次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の振動減衰装置20を含む発進装置1の概略構成図である。同図に示す発進装置1は、例えば駆動装置としてのエンジン(内燃機関)EGを備えた車両に搭載されてエンジンEGからの動力を車両のドライブシャフトDSに伝達するためのものであり、振動減衰装置20に加えて、エンジンEGのクランクシャフトに連結される入力部材としてのフロントカバー3や、フロントカバー3に固定されて当該フロントカバー3と一体に回転するポンプインペラ(入力側流体伝動要素)4、ポンプインペラ4と同軸に回転可能なタービンランナ(出力側流体伝動要素)5、自動変速機(AT)、無段変速機(CVT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)、ハイブリッドトランスミッションあるいは減速機である変速機(動力伝達装置)TMの入力軸ISに固定される出力部材としてのダンパハブ7、ロックアップクラッチ8、ダンパ装置10等を含む。
なお、以下の説明において、「軸方向」は、特に明記するものを除いて、基本的に、発進装置1やダンパ装置10(振動減衰装置20)の中心軸(軸心)の延在方向を示す。また、「径方向」は、特に明記するものを除いて、基本的に、発進装置1やダンパ装置10、当該ダンパ装置10等の回転要素の径方向、すなわち発進装置1やダンパ装置10の中心軸から当該中心軸と直交する方向(半径方向)に延びる直線の延在方向を示す。更に、「周方向」は、特に明記するものを除いて、基本的に、発進装置1やダンパ装置10、当該ダンパ装置10等の回転要素の周方向、すなわち当該回転要素の回転方向に沿った方向を示す。
ポンプインペラ4は、図2に示すように、フロントカバー3に密に固定されるポンプシェル40と、ポンプシェル40の内面に配設された複数のポンプブレード41とを有する。タービンランナ5は、図2に示すように、タービンシェル50と、タービンシェル50の内面に配設された複数のタービンブレード51とを有する。タービンシェル50の内周部は、複数のリベットを介してダンパハブ7に固定される。ポンプインペラ4とタービンランナ5とは、互いに対向し合い、両者の間には、タービンランナ5からポンプインペラ4への作動油(作動流体)の流れを整流するステータ6が同軸に配置される。ステータ6は、複数のステータブレード60を有し、ステータ6の回転方向は、ワンウェイクラッチ61により一方向のみに設定される。これらのポンプインペラ4、タービンランナ5およびステータ6は、作動油を循環させるトーラス(環状流路)を形成し、トルク増幅機能をもったトルクコンバータ(流体伝動装置)として機能する。ただし、発進装置1において、ステータ6やワンウェイクラッチ61を省略し、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を流体継手として機能させてもよい。
ロックアップクラッチ8は、油圧式多板クラッチとして構成されており、ダンパ装置10を介してフロントカバー3とダンパハブ7すなわち変速機TMの入力軸ISとを連結するロックアップを実行すると共に当該ロックアップを解除する。ロックアップクラッチ8は、フロントカバー3に固定されたセンターピース3sにより軸方向に移動自在に支持されるロックアップピストン80と、ダンパ装置10の入力要素であるドライブ部材11に含まれるクラッチドラム110と、ロックアップピストン80と対向するようにフロントカバー3の内面に固定される環状のクラッチハブ82と、クラッチドラム110に形成されたスプラインに嵌合される複数の第1摩擦係合プレート(両面に摩擦材を有する摩擦板)83と、クラッチハブ82の外周面に形成されたスプラインに嵌合される複数の第2摩擦係合プレート(セパレータプレート)84とを含む。
更に、ロックアップクラッチ8は、ロックアップピストン80を基準としてフロントカバー3とは反対側、すなわちロックアップピストン80よりもタービンランナ5側に位置するようにフロントカバー3のセンターピース3sに取り付けられる環状のフランジ部材(油室画成部材)85と、フロントカバー3とロックアップピストン80との間に配置される複数のリターンスプリング86とを含む。図示するように、ロックアップピストン80とフランジ部材85とは、係合油室87を画成し、当該係合油室87には、図示しない油圧制御装置から作動油(係合油圧)が供給される。そして、係合油室87への係合油圧を高めることにより、第1および第2摩擦係合プレート83,84をフロントカバー3に向けて押圧するようにロックアップピストン80を軸方向に移動させ、それによりロックアップクラッチ8を係合(完全係合あるいはスリップ係合)させることができる。なお、ロックアップクラッチ8は、油圧式単板クラッチとして構成されてもよい。
ダンパ装置10は、図1および図2に示すように、回転要素として、上記クラッチドラム110を含むドライブ部材(入力要素)11と、中間部材(中間要素)12と、タービンシェル50の内周部と共に複数のリベットを介してダンパハブ7に固定されるドリブン部材(出力要素)15とを含む。更に、ダンパ装置10は、トルク伝達要素として、同一円周上に周方向に間隔をおいて交互に配設されるそれぞれ複数(本実施形態では、例えば3個ずつ)の第1スプリング(第1弾性体)SP1および第2スプリング(第2弾性体)SP2を含む。第1および第2スプリングSP1,SP2としては、荷重が加えられてないときに円弧状に延びる軸心を有するように巻かれた金属材からなるアークコイルスプリングや、荷重が加えられてないときに真っ直ぐに延びる軸心を有するように螺旋状に巻かれた金属材からなるストレートコイルスプリングが採用される。また、第1および第2スプリングSP1,SP2としては、いわゆる二重バネが採用されてもよい。
ダンパ装置10のドライブ部材11は、上述のクラッチドラム110と、複数のリベットを介して当該クラッチドラム110に一体に回転するように連結される環状のドライブプレート111とを含む。クラッチドラム110は、複数の第1摩擦係合プレート83が嵌合されるスプラインを含む筒状のドラム部110aと、ドラム部110aの一端から径方向外側に延出された環状の連結部110bと、連結部110bから周方向に間隔をおいて(等間隔に)径方向外側に延出されると共に軸方向に延びる爪部を有する複数(本実施形態では、例えば120°間隔で3個)のスプリング当接部110cと、それぞれ隣り合うスプリング当接部110cの周方向における間で連結部110bからドラム部110aの径方向外側に位置するように延出された複数のスプリング支持部110dとを有する。また、ドライブプレート111は、短尺筒状の内周部111aと、当該ドライブプレート111の外周部から軸方向にオフセットされると共に径方向外側に延出された支持部111bとを有し、クラッチドラム110の連結部110bと軸方向に間隔おいて対向するように当該連結部110bに複数のリベットを介して固定される。
中間部材12は、第1および第2スプリングSP1,SP2を外側から囲むと共に、クラッチドラム110(ドライブ部材11)の複数のスプリング支持部110dと共に第1および第2スプリングSP1,SP2を同一円周上で互いに隣り合わせにして(交互に)支持可能な環状部材として構成されている。また、中間部材12は、外周部から周方向に間隔をおいて径方向内側に延出された複数(本実施形態では、例えば120°間隔で3個)のスプリング当接部12caと、側部から軸方向に延出された複数(本実施形態では、例えば120°間隔で3個)のスプリング当接部12cbとを有する。図2に示すように、中間部材12の内周部は、ドライブプレート111の外周面により回転自在に支持されると共に、支持部111bにより軸方向に支持される。
ドリブン部材15は、図2に示すように、環状の第1ドリブンプレート16と、環状の第2ドリブンプレート17と、複数のリベットを介して当該第1および第2ドリブンプレート16,17に一体に回転するように連結されると共に、複数のリベットを介してダンパハブ7に固定される環状の第3ドリブンプレート18とを含む。図示するように、第2ドリブンプレート17は、第1ドリブンプレート16よりもフロントカバー3に近接するように配置され、第3ドリブンプレート18は、第2ドリブンプレート17よりもタービンランナ5に近接するように配置される。また、本実施形態において、第2および第3ドリブンプレート17,18の厚みは、互いに同一に定められている。
第1ドリブンプレート16は、環状の連結部16aと、当該連結部16aの外周から軸方向に延出された短尺の円筒部16bと、円筒部16bの端部から径方向外側に延出されると共に軸方向に延びる爪部を有する複数(本実施形態では、例えば120°間隔で3個)のスプリング当接部16cとを有する。第2ドリブンプレート17は、環状の板体であり、その外周部は、第3ドリブンプレート18に近接するように内周部から軸方向にオフセットされている。第3ドリブンプレート18は、第2ドリブンプレート17およびダンパハブ7に連結される環状の連結部18aと、第2ドリブンプレート17から離間するように連結部18aの外周から軸方向に延出された短尺の円筒部18bと、円筒部18bの端部から径方向外側に延出されると共に第2ドリブンプレート17と軸方向に間隔をおいて対向する環状部18cとを有する。図2に示すように、第1ドリブンプレート16の円筒部16bは、ドライブ部材11のドライブプレート111を回転自在に支持する。これにより、ドライブ部材11およびドライブプレート111により支持される中間部材12がドリブン部材15によってダンパハブ7に対して調心されることになる。
ダンパ装置10の取付状態において、第1および第2スプリングSP1,SP2は、ダンパ装置10の周方向に沿って交互に並ぶようにドライブ部材11のスプリング支持部11dと中間部材12とにより支持され、ドライブ部材11(クラッチドラム110)の互い隣り合うスプリング当接部110cの間に1個ずつ配置される。これにより、第1および第2スプリングSP1,SP2は、ロックアップクラッチ8(ロックアップピストン80や第1および第2摩擦係合プレート83,84)の径方向外側に位置するように流体室9の外周側領域に配設されることになる。
また、中間部材12の各スプリング当接部12caは、互い隣り合うスプリング当接部110cの間に配置されて対をなす(直列に作用する)第1および第2スプリングSP1,SP2の間で両者の端部と当接する。同様に、中間部材12の各スプリング当接部12cbも、互い隣り合うスプリング当接部110cの間に配置されて対をなす(直列に作用する)第1および第2スプリングSP1,SP2の間で両者の端部と当接する。これにより、ダンパ装置10の取付状態において、各第1スプリングSP1の一端部は、ドライブ部材11の対応するスプリング当接部110cと当接し、各第1スプリングSP1の他端部は、中間部材12の対応するスプリング当接部12ca、12cbと当接する。また、ダンパ装置10の取付状態において、各第2スプリングSP2の一端部は、中間部材12の対応するスプリング当接部12ca,12cbと当接し、各第2スプリングSP2の他端部は、ドライブ部材11の対応するスプリング当接部110cと当接する。
更に、ドリブン部材15(第1ドリブンプレート16)の各スプリング当接部16cは、クラッチドラム110(スプリング当接部110c)とドライブプレート111との間に介設され、ダンパ装置10の取付状態において、ドライブ部材11のスプリング当接部110cと同様に、対をなさない(直列に作用しない)第1および第2スプリングSP1,SP2の間で両者の端部と当接する。これにより、ダンパ装置10の取付状態において、各第1スプリングSP1の上記一端部は、ドリブン部材15の対応するスプリング当接部16cとも当接し、各第2スプリングSP2の上記他端部は、ドリブン部材15の対応するスプリング当接部16cとも当接する。この結果、ドリブン部材15は、複数の第1スプリングSP1と、中間部材12と、複数の第2スプリングSP2とを介してドライブ部材11に連結され、互いに対をなす第1および第2スプリングSP1,SP2は、ドライブ部材11とドリブン部材15との間で、中間部材12のスプリング当接部12ca,12cbを介して直列に連結される。なお、本実施形態では、発進装置1やダンパ装置10の軸心と各第1スプリングSP1の軸心との距離と、発進装置1等の軸心と各第2スプリングSP2の軸心との距離とが等しくなっている。
更に、本実施形態のダンパ装置10は、ドライブ部材11と中間部材12との相対回転および第1スプリングSP1の撓みを規制する第1ストッパと、ドライブ部材11とドリブン部材15との相対回転を規制する第2ストッパとを含む。第1ストッパは、エンジンEGからドライブ部材11に伝達されるトルクがダンパ装置10の最大捩れ角に対応したトルクT2(第2の閾値)よりも小さい予め定められたトルク(第1の閾値)T1に達した段階でドライブ部材11と中間部材12との相対回転を規制するように構成される。また、第2ストッパは、ドライブ部材11に伝達されるトルクが最大捩れ角に対応したトルクT2に達した段階でドライブ部材11とドリブン部材15との相対回転を規制するように構成される。これにより、ダンパ装置10は、2段階(2ステージ)の減衰特性を有することになる。なお、第1ストッパは、中間部材12とドリブン部材15との相対回転および第2スプリングSP2の撓みを規制するように構成されてもよい。また、ダンパ装置10には、ドライブ部材11と中間部材12との相対回転および第1スプリングSP1の撓みを規制するストッパと、中間部材12とドリブン部材15との相対回転および第2スプリングSP2の撓みを規制するストッパとが設けられてもよい。
振動減衰装置20は、ダンパ装置10のドリブン部材15に連結され、作動油で満たされる流体室9の内部に配置される。図2から図6に示すように、振動減衰装置20は、支持部材(支持プレート)としての第2および第3ドリブンプレート17,18と、第2および第3ドリブンプレート17,18との間でトルクを授受するように当該第2および第3ドリブンプレート17,18に連結される復元力発生部材としての複数(本実施形態では、例えば3個)の錘体22と、各錘体22に連結される1体の環状の慣性質量体23とを含む。
第2ドリブンプレート17は、図3および図4に示すように、その外周面171から周方向に間隔をおいて(等間隔に)径方向外側に突出するように形成された複数(本実施形態では、例えば3個)の突出部172を有する。各突出部172には、第2ドリブンプレート17の径方向に延在する1つのスリット(開口部)173が形成されている。各スリット173は、それぞれ第2ドリブンプレート17の径方向に延在すると共に第2ドリブンプレート17の周方向に間隔をおいて対向する一対の平坦な内面174を有し、一対の内面174は、それぞれ錘体22との間でトルクを授受するトルク伝達面として機能する。なお、本実施形態において、スリット173は、図3に示すように、径方向外側の端部が開口するように形成されているが、スリット173は、径方向外側の端部が開口しないように形成されてもよい。
また、第3ドリブンプレート18は、図4に示すように、その外周面から周方向に間隔をおいて(等間隔に)径方向外側に突出するように形成された複数(本実施形態では、例えば3個)の突出部182を有する。各突出部182には、第3ドリブンプレート18の径方向に延在する1つのスリット(開口部)183が形成されている。各スリット183は、それぞれ第3ドリブンプレート18の径方向に延在すると共に第3ドリブンプレート18の周方向に間隔をおいて対向する一対の平坦な内面184を有し、一対の内面184も、それぞれ錘体22との間でトルクを授受するトルク伝達面として機能する。なお、本実施形態において、スリット183も、径方向外側の端部が開口するように形成されているが、スリット183は、径方向外側の端部が開口しないように形成されてもよい。
各錘体22は、図3から図6に示すように、互いに同一の形状を有する2つのプレート部材(質量体)220と、1本の第1連結軸221と、2本の第2連結軸222とを有する。図3および図5に示すように、各プレート部材220は左右対称かつ円弧状の平面形状を有するように金属板により形成されており、2つのプレート部材220は、1本の第1連結軸221および2本の第2連結軸222を介して第2および第3ドリブンプレート17,18の軸方向に間隔をおいて対向するように互いに連結される。図5に示すように、各プレート部材220は、円柱面CSoにより形成された外周面と、凹曲面状の内周面とを有する。また、各プレート部材220の内周面は、当該プレート部材220の幅方向における中央部すなわち第1連結軸221の近傍で外周面から離間する方向に突出する突出部220aと、それぞれプレート部材220の一端部または他端部で外周面から離間する方向に突出する2つの突出部220bとを含む。本実施形態において、突出部220a,220bは、何れも円柱面状の表面を有し、突出部220a,220bの表面は、図5に示すように、円柱面CSiに接する。
第1連結軸221は、中実(あるいは中空)の丸棒状に形成されており、図3および図5に示すように、その軸心が錘体22(プレート部材220)の幅方向(周方向)における中心線CL(錘体22の取付状態で第2および第3ドリブンプレート17,18の回転中心RCを通る直線)上の錘体22の重心Gを通るように2つのプレート部材220に固定(連結)される。第1連結軸221は、第2および第3ドリブンプレート17,18の一対の内面174,184同士の間隔(スリット173,183の幅)および内面174,184の径方向長さよりも短い外径を有する。そして、第1連結軸221は、第2ドリブンプレート17の各突出部172のスリット173内に一対の内面174の何れか一方と当接するように摺動自在に配置されると共に、第3ドリブンプレート18の各突出部182のスリット183内に一対の内面184の何れか一方と当接するように摺動自在に配置される。
これにより、各錘体22は、支持部材としての第2および第3ドリブンプレート17,18に対して径方向に移動自在となるように連結され、第2および第3ドリブンプレート17,18とすべり対偶をなす。更に、第1連結軸221は、対応するスリット173の内面174の何れか一方および対応するスリット183の内面184の何れか一方と当接可能となることで、第2および第3ドリブンプレート17,18との間でトルクを授受するトルク伝達部として機能する。なお、第1連結軸221は、複数のコロやボール(転動体)を介して円筒状の外輪を回転自在に支持するものであってもよく、転動体を介することなく外輪を回転自在に支持するものであってもよい。
また、各錘体22の2本の第2連結軸222は、中実(あるいは中空)の丸棒状に形成されており、図3に示すように、上記重心Gを通る錘体22(プレート部材220)の中心線CLに関して対称に位置するように2つのプレート部材220の一端部または他端部に固定される。すなわち、2つのプレート部材220に固定された2本の第2連結軸222の軸心は、錘体22の幅方向における中心線CLに関して対称に位置する。更に、図3および図6に示すように、第2連結軸222は、複数のコロ(転動体)223を介して円筒状の外輪(ローラ)224を回転自在に支持し、これらの第2連結軸222、複数のコロ223および外輪224は、錘体22の被ガイド部225を構成する。本実施形態では、図5に示すように、各プレート部材220の両端部に突出部220bが形成されているので、外輪224の外周がプレート部材220の周縁部の外側にはみ出すことはない。なお、第2連結軸222と外輪224との間には、複数のコロ223の代わりに複数のボールが配設されてもよく、コロやボールが省略されてもよい。
慣性質量体23は、金属板により形成された1枚の環状の第1プレート部材231と、金属板により形成された2つの環状の第2プレート部材232とを含み、当該慣性質量体23(第1および第2プレート部材231,232)の重量は、1個の錘体22の重量よりも十分に重く定められている。本実施形態では、第1プレート部材231の外周面の曲率半径と、各第2プレート部材232の外周面の曲率半径とが同一に定められている。また、各第2プレート部材232の内周面は、図4および図6に示すように、当該第2プレート部材232が第1プレート部材231と同軸に配置された際に、当該第1プレート部材231の内周面よりも径方向外側に位置するように形成されている。更に、各第2プレート部材232の厚みは、図4および図6に示すように、第2および第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)の厚みよりも小さく定められている。
また、図3および図6に示すように、第1プレート部材231は、2個ずつ対をなして周方向に間隔をおいて並ぶように配設された複数(本実施形態では、例えば6個)のガイド部235を有する。各ガイド部235は、弓なりに延びる開口部であって、それぞれ対応する錘体22の被ガイド部225を案内するものである。本実施形態において、対をなす2個のガイド部235は、第1プレート部材231に対して、当該第1プレート部材231を中心周りに3等分する径方向に延びる直線(錘体22の個数分だけ第1プレート部材231等を等分する直線)に関して対称に形成されている。
各ガイド部235は、図3に示すように、錘体22の被ガイド部225を構成する外輪224の転動面となる凹曲面状のガイド面236と、当該ガイド面236よりも第1プレート部材231等の内周側(第1プレート部材231等の中心側)でガイド面236と対向する凸曲面状の支持面237と、ガイド面236および支持面237の両側で両者に連続する2つのストッパ面238とを含む。ガイド面236は、第2および第3ドリブンプレート17,18の回転に伴って当該ガイド面236上を外輪224が転動することで、錘体22の重心Gが当該第2および第3ドリブンプレート17,18の回転中心RCに対して径方向に沿って揺動(接近離間)すると共に慣性質量体23に対する相対位置が不変となるように定められた仮想軸25との軸間距離L1を一定に保ちながら当該仮想軸25の周りに揺動するように形成されている。仮想軸25は、第1プレート部材231等を中心周りに3等分する径方向に延びる直線(錘体22の個数分だけ第1プレート部材231等を等分する直線)上の点であって当該第1プレート部材231等の中心(回転中心RC)から予め定められた軸間距離L2だけ離間した点を通って第1プレート部材231等に直交する直線である。また、支持面237は、外輪224の外径よりも若干大きく定められた間隔をおいてガイド面236と対向するように形成された凸曲面であり、ストッパ面238は、例えば円弧状に延びる凹曲面である。なお、本実施形態では、図6に示すように、各第2プレート部材232の内周面に、第1プレート部材231の各ガイド部235のガイド面236に連続するように、複数のガイド面236が周方向に間隔をおいて形成されている。
図4および図6に示すように、支持部材としての第2および第3ドリブンプレート17,18は、錘体22を構成する2つのプレート部材220の間に軸方向に並べて配置される。また、第2ドリブンプレート17と第3ドリブンプレート18の環状部18cとは、上述のように軸方向に間隔をおいて対向し、両者の軸方向における間には、慣性質量体23の第1プレート部材231が配置される。更に、第1プレート部材231の内周面は、第3ドリブンプレート18の円筒部18bの外周面により回転自在に支持される。これにより、慣性質量体23は、ドリブン部材15によってダンパハブ7に対して調心されることで第2および第3ドリブンプレート17,18によって回転中心RCの周りに回転自在に支持され、当該第2および第3ドリブンプレート17,18と回り対偶をなす。そして、慣性質量体23の各第2プレート部材232は、錘体22の2つのプレート部材220の軸方向における間に配置されると共に第2および第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)の対応する一方の径方向外側に位置するように図示しない固定具を介して第1プレート部材231の表面に固定される。
また、錘体22の2つのプレート部材220は、図4および図6に示すように、第2おおよび第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)と慣性質量体23とを軸方向における両側から挟み込むように第1および第2連結軸221,222によって互いに連結される。更に、図3および図4に示すように、慣性質量体23の第1プレート部材231には、円弧状に延びる開口部239が形成されており、錘体22の第1連結軸221は、当該開口部239内に挿通される。本実施形態において、開口部239の内面は、第1連結軸221と接触しないように形成されている。また、2つのプレート部材220を連結する各第2連結軸222は、図6に示すように、慣性質量体23(第1プレート部材231)の対応するガイド部235を貫通し、各外輪224は、対応するガイド部235のガイド面236に接触する。
上述のように、振動減衰装置20では、錘体22と第2および第3ドリブンプレート17,18とがすべり対偶をなし、第2および第3ドリブンプレート17,18と慣性質量体23とが回り対偶をなす。更に、各錘体22の外輪224が対応するガイド部235のガイド面236を転動可能となることで、各錘体22と慣性質量体23とがすべり対偶をなす。これにより、第2および第3ドリブンプレート17,18、複数の錘体22、およびガイド部235を有する慣性質量体23は、スライダクランク機構(両スライダクランク連鎖)を構成する。そして、振動減衰装置20の平衡状態は、各錘体22の重心Gが対応する仮想軸25と回転中心RCとを通る直線上に位置する状態となる(図3参照)。
また、本実施形態において、各錘体22のプレート部材220と慣性質量体23(第1および第2プレート部材231,232)とは、支持部材としての第2および第3ドリブンプレート17,18の軸方向にオフセットして配置され、第2および第3ドリブンプレート17,18は、各錘体22のプレート部材220と慣性質量体23との軸方向における間に配置される。すなわち、第2ドリブンプレート17(突出部172)は、各錘体22の一方のプレート部材220と慣性質量体23の第1プレート部材231との軸方向における間に配置され、第3ドリブンプレート18(突出部182)は、各錘体22の他方のプレート部材220と慣性質量体23の第1プレート部材231との軸方向における間に配置される。そして、各錘体および慣性質量体23(第1および第2プレート部材231,232)は、軸方向(タービンランナ5側)からみてダンパ装置10の第1および第2スプリングSP1,SP2と少なくなくとも部分的に径方向に重なり合う。
更に、錘体22の各プレート部材220には、図4に示すように、第2ドリブンプレート17の突出部172の表面または第3ドリブンプレート18の突出部182の表面に当接して第2および第3ドリブンプレート17,18に対する当該プレート部材220の軸方向における移動を規制する少なくとも1つの突起(ダボ)220pが形成されている。また、第2ドリブンプレート17には、図4に示すように、慣性質量体23の第1プレート部材231の一方の表面に当接して当該慣性質量体23の軸方向における移動を規制する複数の突起(ダボ)17pが周方向に間隔をおいて形成されている。更に、第3ドリブンプレート18には、図4に示すように、慣性質量体23の第1プレート部材231の他方の表面に当接して当該慣性質量体23の軸方向における移動を規制する複数の突起(ダボ)18pが周方向に間隔をおいて形成されている。なお、第2および第3ドリブンプレート17,18に錘体22の各プレート部材220に摺接する突起が形成されてもよく、慣性質量体23の第1プレート部材231に第2または第3ドリブンプレート17,18に摺接する突起が形成されてもよい。
続いて、振動減衰装置20を含む発進装置1の動作について説明する。発進装置1では、ロックアップクラッチ8によりロックアップが解除されている際、図1からわかるように、原動機としてのエンジンEGからのトルク(動力)が、フロントカバー3、ポンプインペラ4、タービンランナ5、ダンパハブ7という経路を介して変速機TMの入力軸ISへと伝達される。また、ロックアップクラッチ8によりロックアップが実行される際には、図1からわかるように、エンジンEGからのトルク(動力)が、フロントカバー3、ロックアップクラッチ8、ドライブ部材11、第1スプリングSP1、中間部材12、第2スプリングSP2、ドリブン部材15、ダンパハブ7という経路を介して変速機TMの入力軸ISへと伝達される。
ロックアップクラッチ8によりロックアップが実行されている際、エンジンEGの回転に伴ってロックアップクラッチ8によりフロントカバー3に連結されたドライブ部材11が回転すると、ドライブ部材11に伝達されるトルクが上記トルクT1に達するまで、ドライブ部材11とドリブン部材15との間で、第1および第2スプリングSP1,SP2が中間部材12を介して直列に作用する。これにより、フロントカバー3に伝達されるエンジンEGからのトルクが変速機TMの入力軸ISへと伝達されると共に、当該エンジンEGからのトルクの変動がダンパ装置10の第1および第2スプリングSP1,SP2により減衰(吸収)される。また、ドライブ部材11に伝達されるトルクがトルクT1以上になると、当該トルクがトルクT2に達するまで、エンジンEGからのトルクの変動がダンパ装置10の第1スプリングSP1により減衰(吸収)される。
更に、発進装置1では、ロックアップの実行に伴ってロックアップクラッチ8によりフロントカバー3に連結されたダンパ装置10がフロントカバー3と共に回転すると、ダンパ装置10の第2および第3ドリブンプレート17,18(ドリブン部材15)も発進装置1の軸心の周りにフロントカバー3と同方向に回転する。第2および第3ドリブンプレート17,18が回転すると、各錘体22の第1連結軸221は、第2および第3ドリブンプレート17,18の回転方向に応じて対応するスリット173,183の一対の内面174,184の何れか一方に当接する。また、錘体22の第2連結軸222により支持された外輪224は、当該錘体22への遠心力の作用により慣性質量体23の対応するガイド部235のガイド面236に押し付けられ、慣性質量体23の慣性モーメント(回りにくさ)による力を受けて当該ガイド面236上をガイド部235の一方の端部に向けて転動する。
これにより、図7に示すように、第2および第3ドリブンプレート17,18が回転中心RCの周りの一方向(例えば、図中反時計方向)に回転すると、各錘体22(重心G)は、2つ(一対)の被ガイド部225(外輪224および第2連結軸222)および2つ(一対)のガイド部235により案内されて自転を規制されながら第2および第3ドリブンプレート17,18の径方向に沿って回転中心RCに接近する。更に、被ガイド部225がガイド部235により案内されることで、各錘体22の重心Gは上記仮想軸25の周りに上記軸間距離L1を一定に保ちながら回転し、それに伴って慣性質量体23が回転中心RCの周りに第2および第3ドリブンプレート17,18とは逆方向に回転する。
また、各錘体22の重心Gに作用する遠心力の分力は、被ガイド部225(外輪224)およびガイド部235のガイド面236を介して慣性質量体23に伝達され、慣性質量体23を平衡状態での位置に戻そうとする復元力となる。かかる復元力は、エンジンEGから第2および第3ドリブンプレート17,18(ドリブン部材15)に伝達される振動の振幅(振動レベル)に応じて定まる錘体22の揺動範囲の端部で、慣性質量体23をそれまでの回転方向に回転させようとする力(慣性モーメント)に打ち勝つようになる。これにより、各錘体22は、一対の被ガイド部225および一対のガイド部235により案内されて自転を規制されながら第2および第3ドリブンプレート17,18の径方向に沿って回転中心RCから離間するようにそれまでとは逆方向に移動する。更に、慣性質量体23は、各錘体22からの復元力すなわち上記遠心力の分力の作用により各錘体22に連動しながら回転中心RCの周りに平衡状態での位置に向けてそれまでとは逆方向に回転する。
第2および第3ドリブンプレート17,18が上記一方向に回転した状態で慣性質量体23が平衡状態での位置に達した際、当該慣性質量体23は、慣性モーメント(止まりにくさ)により同じ方向に更に回転しようとする。また、錘体22の外輪224は、慣性質量体23の慣性モーメント(止まりにくさ)による力を受けて当該ガイド面236上をガイド部235の他方の端部に向けて転動する。これにより、各錘体22(重心G)は、一対の被ガイド部225および一対のガイド部235により案内されて自転を規制されながら第2および第3ドリブンプレート17,18の径方向に沿って回転中心RCに再度接近する。更に、被ガイド部225がガイド部235により案内されることで、各錘体22の重心Gは上記仮想軸25の周りに上記軸間距離L1を一定に保ちながら回転し、それに伴って慣性質量体23が回転中心RCの周りに第2および第3ドリブンプレート17,18に対して同方向に相対回転する。
この場合も、各錘体22の重心Gに作用する遠心力の分力は、被ガイド部225およびガイド部235のガイド面236を介して慣性質量体23に上記復元力として伝達され、上記揺動範囲の端部で、慣性質量体23をそれまでの回転方向に回転させようとする力(慣性モーメント)に打ち勝つようになる。これにより、各錘体22は、一対の被ガイド部225および一対のガイド部235により案内されて自転を規制されながら第2および第3ドリブンプレート17,18の径方向に沿って回転中心RCから離間するように移動する。また、慣性質量体23は、各錘体22からの復元力すなわち上記遠心力の分力の作用により各錘体22に連動しながら回転中心RCの周りに平衡状態での位置に向けて回転する。
このように、第2および第3ドリブンプレート17,18(ドリブン部材15)が一方向に回転する際、振動減衰装置20の復元力発生部材としての各錘体22は、エンジンEGからドリブン部材15に伝達される振動の振幅(振動レベル)に応じて定まる平衡状態での位置を中心とした揺動範囲内で第2および第3ドリブンプレート17,18の径方向に沿って回転中心RCに対して揺動(往復運動)する。また、慣性質量体23には、被ガイド部225およびガイド部235を介して各錘体22に作用する遠心力の分力が復元力として伝達され、当該慣性質量体23は、各錘体22の揺動範囲に応じて定まる平衡状態での位置を中心とした揺動範囲内で回転中心RCの周りに第2および第3ドリブンプレート17,18と逆方向に揺動(往復回転運動)する。
これにより、揺動する慣性質量体23から、エンジンEGからドライブ部材11に伝達される変動トルク(振動)とは逆位相のトルク(慣性トルク)を各ガイド部235、被ガイド部225、各錘体22、第1連結軸221および突出部172,182を介して第2および第3ドリブンプレート17,18に付与することができる。この結果、エンジンEGから第2および第3ドリブンプレート17,18に伝達される振動の次数(励振次数:エンジンEGが3気筒エンジンである場合、1.5次、4気筒エンジンである場合、2次)に応じた次数を有するように振動減衰装置20の諸元を定めることで、エンジンEG(第2および第3ドリブンプレート17,18)の回転数に拘わらず、振動減衰装置20によってエンジンEGからドリブン部材15(第2および第3ドリブンプレート17,18)に伝達される振動を良好に減衰することが可能となる。
更に、振動減衰装置20では、各錘体22のプレート部材220と慣性質量体23とが支持部材としての第2および第3ドリブンプレート17,18の軸方向にオフセットして配置され、第2および第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)は、各錘体22のプレート部材220と慣性質量体23との軸方向における間に配置される。従って、回転要素としてのドリブン部材15が回転する際、各錘体22と慣性質量体23とが互いに摺接することはなく、各錘体22と慣性質量体23との間の摺動抵抗が振動減衰装置20の振動減衰性能に影響を与えることはない。一方、振動減衰装置20では、ドリブン部材15すなわち第2および第3ドリブンプレート17,18が回転する際、各錘体22(突起220p)が第2および第3ドリブンプレート17,18に摺接すると共に、慣性質量体23が第2および第3ドリブンプレート17,18(突起17p,18p)に摺接することになる。ただし、本発明者らの研究・解析によれば、各錘体22と第2および第3ドリブンプレート17,18との間の摺動抵抗や慣性質量体23と第2および第3ドリブンプレート17,18との摺動抵抗は、各錘体22と慣性質量体23との間の摺動抵抗に比べて、振動減衰装置20の振動減衰性能に大きく影響を与えないことが判明している。従って、第2および第3ドリブンプレート17,18を各錘体22のプレート部材220と慣性質量体23との軸方向における間に配置することで、振動減衰装置20の振動減衰性能をより向上させることが可能となる。
また、振動減衰装置20において、各錘体22は、軸方向に間隔をおいて対向するように互いに連結される2つのプレート部材220を含み、第2および第3ドリブンプレート17,18は、2つのプレート部材220の間に軸方向に並べて配置される。そして、慣性質量体23(第1プレート部材231)は、第2および第3ドリブンプレート17,18の軸方向における間に配置される。これにより、各錘体22と慣性質量体23とを互いに摺接させることなく、両者の重量すなわち各錘体22に作用する遠心力や慣性質量体23の慣性モーメントを充分に確保して振動減衰性能をより一層向上させることが可能となる。
更に、振動減衰装置20において、慣性質量体23は、第2および第3ドリブンプレート17,18の軸方向における間に配置される第1プレート部材231と、それぞれ各錘体22の2つのプレート部材220の軸方向における間に配置されると共に第2および第3ドリブンプレート17,18の対応する一方の径方向外側に位置するように第1プレート部材231に固定される2つの第2プレート部材232とを含む。また、図4および図6に示すように、第2および第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)の厚みは、慣性質量体23の第2プレート部材232の厚みよりも大きく定められている。従って、各錘体22のプレート部材220と慣性質量体23の第2プレート部材232との軸方向におけるクリアランスは、各錘体22のプレート部材220と第2または第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)との軸方向におけるクリアランスよりも大きくなる。
これにより、第2および第3ドリブンプレート17,18により各錘体22の各プレート部材220と慣性質量体23の第1プレート部材231とを互いに摺接しないように離隔させると共に、各錘体22の各プレート部材220と慣性質量体23の第2プレート部材232とを充分に離隔させて両者の接触を規制することが可能となる。加えて、慣性質量体23の重量すなわち慣性モーメントを充分に確保して振動減衰性能をより一層向上させることができる。ただし、各プレート部材220の突起220pの軸長によっては、必ずしも、第2および第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)の厚みを慣性質量体23の第2プレート部材232の厚みよりも大きくする必要はない。すなわち、突起220pの軸長を充分に長くすることで、第2および第3ドリブンプレート17,18や第2プレート部材232の厚みに拘わらず、プレート部材220と第2プレート部材232との軸方向におけるクリアランスをプレート部材220と第2または第3ドリブンプレート17,18との軸方向におけるクリアランスよりも大きくすることができる。
また、振動減衰装置20において、各錘体22は、幅方向に間隔をおいて配設された2つ(一対)の被ガイド部225を有し、各錘体22の運動は、2つの被ガイド部225および両者に対応した慣性質量体23の一対(2つ)のガイド部235により規定(拘束)される。これにより、一対の被ガイド部225および一対のガイド部235によって各錘体22の自転を規制して当該錘体22の自転による等価質量の増加に起因した振動減衰装置20の次数低下を抑制すると共に、錘体22を第2および第3ドリブンプレート17,18に対してスムースに揺動させて慣性質量体23を揺動させるための復元力として用いられる当該錘体22に作用する遠心力(その分力)が減衰されてしまうのを抑制することが可能となる。
加えて、錘体22の自転に起因した次数低下を抑制することで、慣性質量体23の重量を充分に確保して振動減衰効果を良好に得ることができる。また、各錘体22の運動を一対の被ガイド部225および一対のガイド部235により規定(拘束)することで、各錘体22と第2および第3ドリブンプレート17,18との間でのトルクの授受に際して第1連結軸221と第2および第3ドリブンプレート17,18の突出部172,182との間で発生する摩擦力を低減させることが可能となる。この結果、第2および第3ドリブンプレート17,18の回転に伴って当該第2および第3ドリブンプレート17,18の径方向に揺動する錘体22を含む振動減衰装置20の振動減衰性能をより向上させることができる。
更に、各錘体22において、2つの被ガイド部225は、プレート部材220の幅方向における中心線CLに関して対称に配設され、トルク伝達部としての第1連結軸221は、当該中心線CL上に設置される。これにより、一対のガイド部235および一対の被ガイド部225により自転を規制しながら錘体22をよりスムースに揺動させると共に、第1連結軸221と突出部172,182との間で発生する摩擦力を低減させて当該錘体22に作用する遠心力が減衰されてしまうのを良好に抑制することが可能となる。ただし、各錘体22が第1連結軸221およびスリット173,183の一対の内面174,184を介してトルクを授受するように第2および第3ドリブンプレート17,18に連結される場合、第1連結軸221および内面174,184と、1組の被ガイド部225およびガイド部235とにより各錘体22の自転を規制することができる。従って、被ガイド部225およびガイド部235は、1つの錘体22に対してそれぞれ1つずつ設けられてもよい。更に、被ガイド部225およびガイド部235は、1つの錘体22に対してそれぞれ3つ以上設けられてもよい。
また、振動減衰装置20では、被ガイド部225が錘体22に設けられ、ガイド部235が慣性質量体23に形成される。これにより、錘体22の重心Gを回転中心RCからより遠ざけて当該錘体22に作用する遠心力すなわち慣性質量体23に作用する復元力が低下するのを抑制し、振動減衰性能を良好に確保することが可能となる。ただし、振動減衰装置20において、ガイド部235が錘体22に設けられてもよく、被ガイド部225が慣性質量体23に形成されてもよい。
更に、各被ガイド部225は、錘体22すなわち2つのプレート部材220により支持される第2連結軸222と、当該第2連結軸222により回転自在に支持される外輪224とを含み、各ガイド部235は、外輪224が転動する凹曲面状のガイド面236を含む。これにより、錘体22をより一層スムースに揺動させて当該錘体22に作用する遠心力が減衰されてしまうのを極めて良好に抑制することが可能となる。
また、振動減衰装置20において、第2および第3ドリブンプレート17,18は、錘体22との間でトルクを授受するトルク伝達面として、それぞれ径方向に延在すると共に第2および第3ドリブンプレート17,18の周方向に間隔をおいて対向するように形成された一対の内面174,184を有する。更に、各錘体22は、第2および第3ドリブンプレート17,18との間でトルクを授受するトルク伝達部として、第2および第3ドリブンプレート17,18の一対の内面174,184の何れか一方と当接するように当該一対の内面174,184の間(スリット173,183)に配置される第1連結軸221を有する。これにより、第2および第3ドリブンプレート17,18と錘体22とを相互にトルクを伝達するように連結すると共に、両者の連結部すなわち内面174,184と第1連結軸221との間で発生する摩擦力を低減させることが可能となる。
ただし、錘体22に対して2本の第1連結軸221(第1トルク伝達部)が当該錘体22(プレート部材220)の幅方向(周方向)に間隔をおいて配設されてもよく、径方向に延在すると共に2本の第1連結軸221の間に配置される突出部(第2トルク伝達部)が支持部材としての第2および第3ドリブンプレート17,18に形成されてもよい。かかる構成を採用しても、第2および第3ドリブンプレート17,18と錘体22とを相互にトルクを伝達するように連結すると共に、両者の連結部すなわち突出部と第1連結軸221との間で発生する摩擦力を低減させることが可能となる。
更に、振動減衰装置20において、各錘体22のプレート部材220の内周面に形成された突出部220a,220bに接する曲面である円柱面CSiの曲率中心は、図5に示すように、錘体22が揺動範囲の径方向における最も内側(図5における実線参照)に位置した際に回転中心RCに一致する。これにより、揺動する各錘体22と当該錘体22の径方向内側に配置される部材との干渉を良好に抑制すると共に、錘体22の内周面を回転中心RCに寄せて当該錘体22の重量を良好に確保することが可能となる。ただし、各錘体22のプレート部材220の内周面は、凹円柱面状に形成されてもよく、この場合、プレート部材220の内周面の曲率中心は、錘体22が揺動範囲の径方向における最も内側に位置した際に回転中心RCに一致してもよい。また、各錘体22のプレート部材220の外周面すなわち円柱面CSoの曲率中心は、図5に示すように、錘体22が揺動範囲の径方向における最も外側(図5における破線参照)に位置した際に回転中心RCに一致する。これにより、各錘体22の揺動範囲を充分に確保することができる。
図8は、本開示の他の振動減衰装置20Xを示す断面図である。なお、振動減衰装置20Xの構成要素のうち、上述の振動減衰装置20と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図8に示す振動減衰装置20Xの慣性質量体23Xは、上述の慣性質量体23から2つの第2プレート部材232を省略したものに相当し、2個ずつ対をなして周方向に間隔をおいて並ぶように配設された複数のガイド部235や開口部239等を有する環状部材である。また、振動減衰装置20Xを構成するドリブン部材15Xの第2および第3ドリブンプレート17X,18Xは、慣性質量体23Xと概ね同一の外径を有する環状部材である。図8の例において、第2および第3ドリブンプレート17X,18Xの外周面の曲率半径は、慣性質量体23Xの外周面の曲率半径と同一に定められている。更に、第2ドリブンプレート17Xは、内面が対応する第2連結軸222と接触しないように周方向に間隔をおいて外周部に形成された複数の開口部17oと、第2ドリブンプレート17Xの径方向に延在するように周方向に間隔をおいて外周部に形成された複数のスリット173とを有する。同様に、第3ドリブンプレート18Xは、内面が対応する第2連結軸222と接触しないように周方向に間隔をおいて外周部に形成された複数の開口部18oと、第3ドリブンプレート18Xの径方向に延在するように周方向に間隔をおいて環状部18cの外周部に形成された複数のスリット183とを有する。
振動減衰装置20Xにおいても、図8に示すように、各錘体22Xのプレート部材220と慣性質量体23Xとが支持部材としての第2および第3ドリブンプレート17X,18Xの軸方向にオフセットして配置され、第2および第3ドリブンプレート17X,18Xは、各錘体22Xのプレート部材220と慣性質量体23Xとの軸方向における間に配置される。すなわち、第2ドリブンプレート17Xの外周部は、各錘体22Xの一方のプレート部材220と慣性質量体23Xとの軸方向における間に配置され、第3ドリブンプレート18Xの環状部18cは、各錘体22Xの他方のプレート部材220と慣性質量体23Xとの軸方向における間に配置される。かかる振動減衰装置20Xにおいても、上述の振動減衰装置20と同様の作用効果を得ることができる。
図9は、本開示の更に他の振動減衰装置20Yを示す断面図である。なお、振動減衰装置20Yの構成要素のうち、上述の振動減衰装置20等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図9に示す振動減衰装置20Yを構成するドリブン部材15Yの第2ドリブンプレート17Yは、外周面から周方向に間隔をおいて(等間隔に)径方向外側に突出するように形成された複数の突出部172や各突出部172に形成されたスリット173等を有するものである。同様に、ドリブン部材15Yの第3ドリブンプレート18Yも、外周面から周方向に間隔をおいて(等間隔に)径方向外側に突出するように形成された複数の突出部182や各突出部182に形成されたスリット183等を有する。
また、振動減衰装置20Yの各錘体22Yは、左右対称かつ円弧状の平面形状を有する金属製のプレート部材であり、各錘体22Yには、両側に突出するように第1連結軸221が固定されている。第1連結軸221は、中実(あるいは中空)の丸棒状に形成されており、当該第1連結軸221の軸心は、錘体22Yの幅方向(周方向)における中心線上に位置する当該錘体22Yの重心を通る。図9の例において、第1連結軸221の軸長は、互いに固定された第2および第3ドリブンプレート17Y,18Yの突出部172の外面と突出部182の外面との距離以下に定められている。更に、各錘体22Yには、2つの円筒状の外輪224が回転不能に固定されている。2つの外輪224は、上記重心を通る錘体22Yの中心線に関して対称に位置するように各錘体22Yの一端部または他端部に固定される。そして、各外輪224は、複数のコロ(転動体)223を介して第2連結軸222を回転自在かつ錘体22Yから両側に突出するように支持する。
振動減衰装置20Yの慣性質量体23Yは、2つのプレート部材230と、それぞれ2つのプレート部材230の対応する一方に固定される2つの第2プレート部材232とを含む。各プレート部材230は、2個ずつ対をなして周方向に間隔をおいて並ぶように配設された複数のガイド部235を有する。また、各第2プレート部材232の内周面は、当該第2プレート部材232がプレート部材230と同軸に配置された際に、当該プレート部材230の内周面よりも径方向外側に位置するように形成されている。更に、各第2プレート部材232の厚みは、図9に示すように、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Y(突出部172,182)の厚みよりも小さく定められている。
図示するように、各錘体22Yは、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Yの軸方向における間に配置される。また、各錘体22Yの第1連結軸221の一端は、第2ドリブンプレート17の各突出部172のスリット173内に一対の内面174の何れか一方と当接するように摺動自在に配置される。更に、第1連結軸221の他端は、第3ドリブンプレート18の各突出部182のスリット183内に一対の内面184の何れか一方と当接するように摺動自在に配置される。また、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Y(突出部172,182)は、慣性質量体23Yの2つのプレート部材230の間に軸方向に並べて配置される。更に、慣性質量体23の各第2プレート部材232は、第2および第3ドリブンプレート17,18(突出部172,182)の対応する一方の径方向外側に位置するように図示しない固定具を介して対応するプレート部材230の内面(錘体22Y側の面)に固定される。また、慣性質量体23Yの各プレート部材230の内面には、図9に示すように、第2ドリブンプレート17の突出部172の表面または第3ドリブンプレート18の突出部182の表面に当接して第2および第3ドリブンプレート17Y,18Yに対する当該プレート部材230の軸方向における移動を規制する少なくとも1つの突起230pが形成されている。
かかる振動減衰装置20Yにおいても、上述の振動減衰装置20と同様の作用効果を得ることができる。また、振動減衰装置20Yにおいて、各錘体22Yは、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Yの軸方向における間および慣性質量体23Yの2つの第2プレート部材232の軸方向における間に配置され、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Y(突出部172,182)の厚みは、第2プレート部材232の厚みよりも大きく定められている。従って、慣性質量体23Yの各第2プレート部材232と各錘体22Yとの軸方向におけるクリアランスは、慣性質量体23Yの各プレート部材230と第2または第3ドリブンプレート17Y,18Y(突出部172,182)との軸方向におけるクリアランスよりも大きくなる。
これにより、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Yにより各錘体22Yと慣性質量体23Yの各プレート部材230とを互いに摺接しないように離隔させると共に、各錘体22Yと慣性質量体23の第2プレート部材232とを充分に離隔させて両者の接触を規制することが可能となる。加えて、振動減衰装置20Yでは、慣性質量体23Yの重量すなわち慣性モーメントを充分に確保して振動減衰性能をより一層向上させることができる。ただし、各プレート部材230の突起230pの軸長によっては、必ずしも、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Y(突出部172,182)の厚みを慣性質量体23Yの第2プレート部材232の厚みよりも大きくする必要はない。すなわち、各プレート部材230の突起230pの軸長を充分に長くすることで、第2および第3ドリブンプレート17Y,18Yや第2プレート部材232の厚みに拘わらず、第2プレート部材232と各錘体22Yとの軸方向におけるクリアランスをプレート部材230と第2または第3ドリブンプレート17,18との軸方向におけるクリアランスよりも大きくすることができる。
なお、上述の振動減衰装置20,20X,20Yでは、各錘体22の重心Gが上記仮想軸25の周りに軸間距離L1を一定に保ちながら揺動するが、これに限られるものではない。すなわち、振動減衰装置20,20X,20Yは、錘体22の重心以外の部分が仮想軸25の周りに軸間距離を一定に保ちながら揺動するように構成されてもよい。また、振動減衰装置20,20X,20Yにおいて、被ガイド部225を案内するガイド部235は、錘体22等が第2および第3ドリブンプレート17,18等の径方向に沿って回転中心RCに対して揺動する際に円弧状の軌跡を描くように形成されてもよい。更に、振動減衰装置20,20X,20Yにおける支持部材、各錘体および慣性質量体は、各1枚のプレート部材により形成されてもよい。この場合、各錘体と慣性質量体とが、支持部材の軸方向にオフセットして配置されてもよく、支持部材が各錘体と慣性質量体との軸方向における間に配置されてもよい。
また、振動減衰装置20,20X,20Yは、上記ダンパ装置10の中間部材12に連結されてもよく、ドライブ部材(入力要素)11に連結されてもよい(図1における二点鎖線参照)。また、振動減衰装置20,20X,20Yは、図10に示すダンパ装置10Bに適用されてもよい。図10のダンパ装置10Bは、上記ダンパ装置10から中間部材12を省略したものに相当し、回転要素としてドライブ部材(入力要素)11およびドリブン部材15(出力要素)を含むと共に、トルク伝達要素としてドライブ部材11とドリブン部材15との間に配置されるスプリングSPを含むものである。この場合、振動減衰装置20,20X,20Yは、図示するようにダンパ装置10Bのドリブン部材15に連結されてもよく、図中二点鎖線で示すように、ドライブ部材11に連結されてもよい。
更に、振動減衰装置20,20X,20Yは、図11に示すダンパ装置10Cに適用されてもよい。図11のダンパ装置10Cは、回転要素としてドライブ部材(入力要素)11、第1中間部材(第1中間要素)121、第2中間部材(第2中間要素)122、およびドリブン部材(出力要素)15を含むと共に、トルク伝達要素としてドライブ部材11と第1中間部材121との間に配置される第1スプリングSP1、第2中間部材122とドリブン部材15との間に配置される第2スプリングSP2、および第1中間部材121と第2中間部材122との間に配置される第3スプリングSP3を含む。この場合、振動減衰装置20,20X,20Yは、図示するようにダンパ装置10Cのドリブン部材15に連結されてもよく、図中二点鎖線で示すように、第1中間部材121、第2中間部材122あるいはドライブ部材11に連結されてもよい。何れにしても、ダンパ装置10,10B,10Cの回転要素に振動減衰装置20,20X,20Yを連結することで、ダンパ装置10〜10Cと振動減衰装置20,20X,20Yとの双方により振動を極めて良好に減衰することが可能となる。
以上説明したように、本開示の振動減衰装置は、エンジン(EG)からのトルクが伝達される回転要素(11,12,121,122,15)の回転中心(RC)の周りに該回転要素(11,12,121,122,15)と一体に回転する支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)と、前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)との間でトルクを授受するように該支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)に連結されると共に前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)の回転に伴って揺動可能な復元力発生部材(22,22X,22Y)と、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)を介して前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)に連結されると共に該支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)の回転に伴って該復元力発生部材(22,22X,22Y)に連動して前記回転中心(RC)の周りに揺動する慣性質量体(23,23X,23Y)とを含む振動減衰装置(20,20X,20Y)において、前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)が、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)の少なくとも一部と前記慣性質量体(23,23X,23Y)の少なくとも一部との前記軸方向における間に配置されるものである。
本開示の振動減衰装置では、回転要素と一体に回転する支持部材が復元力発生部材の少なくとも一部と慣性質量体の少なくとも一部との軸方向における間に配置される。従って、回転要素および支持部材が回転する際、復元力発生部材と慣性質量体とが互いに摺接することはなく、復元力発生部材と慣性質量体との間の摺動抵抗が振動減衰装置の振動減衰性能に影響を与えることはない。また、本開示の振動減衰装置では、回転要素および支持部材が回転する際、復元力発生部材および慣性質量体が支持部材に摺接することになるが、本発明者らの研究・解析によれば、復元力発生部材と支持部材との間の摺動抵抗や慣性質量体と支持部材との摺動抵抗は、復元力発生部材と慣性質量体との間の摺動抵抗に比べて、振動減衰装置の振動減衰性能に大きく影響を与えないことが判明している。従って、支持部材を復元力発生部材の少なくとも一部と慣性質量体の少なくとも一部との軸方向における間に配置することで、支持部材の回転に伴って揺動する復元力発生部材と当該復元力発生部材に連動して揺動する慣性質量体とを含む振動減衰装置の振動減衰性能をより向上させることが可能となる。
また、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)および前記慣性質量体(23,23X,23Y)の一方は、前記軸方向に間隔をおいて対向するように互いに連結される2つのプレート部材(220,230)を含んでもよく、前記支持部材は、前記2つのプレート部材(220,230)の間に前記軸方向に並べて配置される2つの支持プレート(17,17X,17Y,18,18X,18Y)を含んでもよく、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)および前記慣性質量体(23,23X,23Y)の他方は、前記2つの支持プレート(17,17X,17Y,18,18X,18Y)の前記軸方向における間に配置されてもよい。これにより、復元力発生部材と慣性質量体とを互いに摺接させることなく、両者の重量を充分に確保して振動減衰性能をより一層向上させることが可能となる。
更に、前記復元力発生部材(22X)は、前記2つのプレート部材(220)を含んでもよく、前記慣性質量体(23X)は、前記2つの支持プレート(17X,18X)の前記軸方向における間に配置されてもよい。
また、前記復元力発生部材(22)は、前記2つのプレート部材(220)を含んでもよく、前記慣性質量体(23)は、前記2つの支持プレート(17,18)の前記軸方向における間に配置される第1プレート部材(231)と、それぞれ前記2つのプレート部材(220)の前記軸方向における間に配置されると共に前記2つの支持プレート(17,18)の対応する一方の径方向外側に位置するように前記第1プレート部材(231)に固定される2つの第2プレート部材(232)とを含んでもよく、前記復元力発生部材(22)の前記プレート部材(220)と前記慣性質量体(23)の前記第2プレート部材(232)との前記軸方向におけるクリアランスは、前記復元力発生部材(22)の前記プレート部材(220)と前記支持プレート(17,18)との前記軸方向におけるクリアランスよりも大きくてもよい。これにより、2つの支持プレートにより復元力発生部材の各プレート部材と慣性質量体の第1プレート部材とを互いに摺接しないように離隔させると共に、復元力発生部材の各プレート部材と慣性質量体の第2プレート部材とを充分に離隔させて両者の接触を規制することが可能となる。加えて、慣性質量体の重量を充分に確保して振動減衰性能をより一層向上させることができる。
更に、前記慣性質量体(23)の前記第1プレート部材(231)は、環状部材であってもよく、前記慣性質量体(23)の前記第2プレート部材(232)は、前記第1プレート部材(231)の内周面よりも径方向外側に位置するように形成された内周面を有する環状部材であってもよい。
また、前記慣性質量体(23Y)は、前記2つのプレート部材(230)と、それぞれ前記2つの支持プレート(17Y,18Y)の対応する一方の径方向外側に位置するように前記2つのプレート部材(230)の対応する一方に固定される2つの第2プレート部材(232)とを含んでもよく、前記復元力発生部材(22Y)は、前記2つの支持プレート(17Y,18Y)の前記軸方向における間および前記2つの第2プレート部材(230)の前記軸方向における間に配置されてもよく、前記慣性質量体(23Y)の前記第2プレート部材(232)と前記復元力発生部材(22Y)との前記軸方向におけるクリアランスは、前記慣性質量体(23Y)の前記プレート部材(230)と前記支持プレート(17Y,18Y)との前記軸方向におけるクリアランスよりも大きくてもよい。これにより、2つの支持プレートにより復元力発生部材と慣性質量体の各プレート部材とを互いに摺接しないように離隔させると共に、復元力発生部材と慣性質量体の第2プレート部材とを充分に離隔させて両者の接触を規制することが可能となる。加えて、慣性質量体の重量を充分に確保して振動減衰性能をより一層向上させることができる。
更に、前記慣性質量体(23Y)の前記プレート部材(230)は、環状部材であってもよく、前記慣性質量体(23Y)の前記第2プレート部材(232)は、前記プレート部材(230)の内周面よりも径方向外側に位置するように形成された内周面を有する環状部材であってもよい。
また、前記振動減衰装置(20,20X,20Y)は、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)および前記慣性質量体(23,23X,23Y)の一方に設けられた被ガイド部(225)と、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)および前記慣性質量体(23,23X,23Y)の他方に形成されたガイド部(235)であって、前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)が回転する際に、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)が前記回転中心(RC)に対して前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)の径方向に沿って揺動し、かつ前記慣性質量体(23,23X,23Y)が前記回転中心(RC)の周りに揺動するように前記被ガイド部(225)を案内すると共に、前記被ガイド部(225)から前記復元力発生部材(22,22X,22Y)に作用する遠心力の分力が伝達されるガイド部(235)とを更に備えてもよい。かかる振動減衰装置では、支持部材に連結される復元力発生部材の運動が、当該復元力発生部材および慣性質量体に形成された被ガイド部およびガイド部により規定(拘束)される。これにより、復元力発生部材の自転を規制して当該復元力発生部材の自転の起因した振動減衰装置の次数低下を抑制すると共に、復元力発生部材を支持部材に対してスムースに揺動させて慣性質量体を揺動させるための復元力として用いられる当該復元力発生部材に作用する遠心力(その分力)が減衰されてしまうのを抑制することができる。この結果、振動減衰装置の振動減衰性能をより一層向上させることができる。
更に、前記被ガイド部(225)は、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)に設けられ、該復元力発生部材(22,22X,22Y)により支持される軸部(222)と、前記軸部(222)により回転自在に支持されるローラ(224)とを含んでもよく、前記ガイド部(235)は、前記慣性質量体(23,23X,23Y)に形成され、前記ローラ(224)が転動する凹曲面(236)を含んでもよい。これにより、復元力発生部材をよりスムースに揺動させて当該復元力発生部材に作用する遠心力が減衰されてしまうのを極めて良好に抑制することが可能となる。
また、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)は、該復元力発生部材(22,22X,22Y)の幅方向に間隔をおいて配設された2つの前記被ガイド部(225)と、前記2つの被ガイド部(225)の前記幅方向における間に設置されて前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)との間でトルクを授受するトルク伝達部(221)とを有してもよく、前記慣性質量体(23,23X,23Y)は、前記復元力発生部材(22,22X,22Y)の前記被ガイド部(225)に対応するように形成された複数の前記ガイド部(235)を有してもよい。これにより、ガイド部および被ガイド部により自転を規制しながら復元力発生部材をよりスムースに揺動させると共に、復元力発生部材と支持部材との間でのトルクの授受に際してトルク伝達部で発生する摩擦力をより一層低減させて当該復元力発生部材に作用する遠心力が減衰されてしまうのを良好に抑制することが可能となる。
更に、前記支持部材(17,17X,17Y,18,18X,18Y)は、少なくとも入力要素(11)および出力要素(15)を含む複数の回転要素と、前記入力要素(11)と前記出力要素(15)との間でトルクを伝達する弾性体(SP,SP1,SP2,SP3))とを有するダンパ装置(10,10B,10C)の何れかの回転要素と同軸かつ一体に回転するものであってもよい。このようにダンパ装置の回転要素に上記振動減衰装置を連結することで、当該ダンパ装置と上記振動減衰装置との双方により振動を極めて良好に減衰することが可能となる。
また、前記ダンパ装置(10,10B,10C)の前記出力要素(15)は、変速機(TM)の入力軸(IS)に作用的(直接的または間接的)に連結されてもよい。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。