JP2019034283A - 中空樹脂粒子、感熱記録材料、および、中空樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の体積平均粒子径に調整できる中空樹脂粒子、その中空樹脂粒子を含む断熱層を備える感熱記録材料、および、所望の体積平均粒子径に調整できる中空樹脂粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】中空樹脂粒子は、内部が中空であり、ウレタン・ウレア樹脂からなる。ウレタン・ウレア樹脂は、アニオン性基を有する。ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量は、0.3質量%以上10質量%以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、中空樹脂粒子、感熱記録材料、および、中空樹脂粒子の製造方法に関し、詳しくは、中空樹脂粒子、中空樹脂粒子を含む断熱層を備える感熱記録材料、および、中空樹脂粒子の製造方法に関する。
従来、中空樹脂粒子は、感熱記録紙、熱転写受容紙などの感熱記録材料、農薬、医薬、香料、液晶、接着剤などの多くの分野において用いられている。
このような中空樹脂粒子は、例えば、揮発性溶媒に、保護膜形成物質としての芳香族イソシアネートを配合して、分散相を得、別途、水に分散剤を配合して連続相を得、次いで、この連続相に分散相を混合し、分散させることにより、分散液を得、次いで、その分散液を反応させて、保護膜形成物質により揮発性溶媒を内包したマイクロカプセルを得、その後、揮発性溶媒を気化させて、マイクロカプセルの内部を中空にすることにより製造されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
このような中空樹脂粒子において、体積平均粒子径が大きすぎると、例えば、中空樹脂粒子を含む樹脂を基材に塗工する際、塗膜の平滑性が低下する。また、中空樹脂粒子の体積平均粒子径が小さすぎると、中空率を一定とした場合、保護膜の厚みの絶対値が小さくなるため、粒子が潰れやすく、また、変形しやすくなり、断熱材として用いる場合に、断熱性に劣る。そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整することが要求される。
一方、特許文献1の製造方法では、保護膜形成物質を揮発性溶媒に配合した後、分散剤を用いて、分散させている。しかし、このような方法では、分散が不均一となり、体積平均粒子径の分布が広がるため、体積平均粒子径の調製が困難である。
本発明は、所望の体積平均粒子径に調整できる中空樹脂粒子、その中空樹脂粒子を含む断熱層を備える感熱記録材料、および、所望の体積平均粒子径に調整できる中空樹脂粒子の製造方法を提供することにある。
本発明[1]は、内部が中空であり、ウレタン・ウレア樹脂からなる中空樹脂粒子であって、前記ウレタン・ウレア樹脂は、アニオン性基を有し、前記ウレタン・ウレア樹脂中の前記アニオン性基の含有量は、0.3質量%以上10質量%以下である、中空樹脂粒子である。
本発明[2]は、前記アニオン性基が、スルホニル基、または、カルボキシル基である、上記[1]に記載の中空樹脂粒子を含んでいる。
本発明[3]は、前記ウレタン・ウレア樹脂が、前記アニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物との反応生成物を含む、上記[1]または[2]に記載の中空樹脂粒子を含んでいる。
本発明[4]は、前記アニオン性基を含むポリイソシアネートが、前記アニオン性基を含む脂肪族イソシアヌレートである、上記[3]に記載の中空樹脂粒子を含んでいる。
本発明[5]は、体積平均粒子径が、0.5μm以上30μm以下である、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子を含んでいる。
本発明[6]は、体積中空率が、30%以上90%以下である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子を含んでいる。
本発明[7]は、支持層と、断熱層と、感熱記録層とを順に備え、前記断熱層は、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子を含む、感熱記録材料を含んでいる。
本発明[8]は、水に、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを混合し、前記アニオン性基を含むポリイソシアネートにより前記疎水性溶剤を内包したポリイソシアネート液滴を得る工程、前記ポリイソシアネート液滴における前記アニオン性基を含むポリイソシアネートと、前記活性水素基含有化合物とを反応させて、前記疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得る工程、および、前記樹脂粒子おいて内包された前記疎水性溶剤を除去して、前記ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子を得る工程を備える、中空樹脂粒子の製造方法である。
本発明[9]は、前記樹脂粒子において、前記ウレタン・ウレア樹脂および前記疎水性溶剤の総量に対するアニオン性基の含有量が、0.075質量%以上1.7質量%以下であることを特徴とする、上記[8]に記載の中空樹脂粒子の製造方法を含んでいる。
本発明の中空樹脂粒子は、内部が中空であり、ウレタン・ウレア樹脂からなり、ウレタン・ウレア樹脂は、アニオン性基を有し、ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量は、0.3質量%以上10質量%以下である。そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径が調整されている。その結果、この中空樹脂粒子が、過度に大きくなることを抑制できるため、例えば、中空樹脂粒子を含む樹脂を基材に塗工する際、塗膜の平滑性が向上する。また、この中空樹脂粒子が、過度に小さくなることを抑制できるため、内部空間を確保でき、断熱性に優れる。
本発明の感熱記録材料は、本発明の中空樹脂粒子を含む断熱層を備えるため、断熱性に優れる。
本発明の中空樹脂粒子の製造方法は、水に、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを混合し、アニオン性基を含むポリイソシアネートにより疎水性溶剤を内包したポリイソシアネート粒子を得る工程、ポリイソシアネート粒子におけるアニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物とを反応させて、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得る工程を備える。そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整できる。
中空樹脂粒子は、アニオン性基を含むポリイソシアネートを調製する工程、水に、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを混合し、アニオン性基を含むポリイソシアネートにより疎水性溶剤を内包したポリイソシアネート液滴を得る工程、ポリイソシアネート液滴におけるアニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物とを反応させて、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得る工程、および、樹脂粒子おいて内包された疎水性溶剤を除去して、ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子を得る工程を備える製造方法により、得ることができる。
アニオン性基を含むポリイソシアネートを調製する工程では、ポリイソシアネートをアニオン性基含有活性水素化合物で変性させる。これによって、アニオン性基を含むポリイソシアネートを得る。
ポリイソシアネートをアニオン性基含有活性水素化合物で変性するには、例えば、ポリイソシアネートと、アニオン性基含有活性水素化合物とを反応させる。
ポリイソシアネートは、疎水性溶剤(後述)と親和する有機ポリイソシアネートであって、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、ドデカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネートが含まれる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物))(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(H6XDI)などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
これらポリイソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネート誘導体は、上記したポリイソシアネート単量体の誘導体であって、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート誘導体、イミノオキサジアジンジオン誘導体)、5量体、7量体など)、アロファネート誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、低分子量ポリオール(1価アルコールまたは2価アルコール)との反応より生成するアロファネート誘導体など)、ポリオール誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と低分子量ポリオール(3価アルコール)との反応より生成するポリオール誘導体(アルコール付加体)など)、ビウレット誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット誘導体など)、ウレア誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア誘導体など)、オキサジアジントリオン誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド誘導体(上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド誘導体など)、ウレトジオン誘導体、ウレトンイミン誘導体などが挙げられる。
さらに、ポリイソシアネート誘導体として、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられる。
これらポリイソシアネート誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネートとしては、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートおよびその誘導体が挙げられる。
ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートおよびその誘導体であれば、中空樹脂粒子が黄変することを抑制できる。
また、ポリイソシアネートとしては、好ましくは、ポリイソシアネート単量体の誘導体、より好ましくは、ポリイソシアネートのイソシアヌレート誘導体が挙げられる。
ポリイソシアネートが、ポリイソシアネート単量体の誘導体であれば、中空樹脂粒子の強度を向上させることができる。
ポリイソシアネートとしては、とりわけ好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート誘導体が挙げられる。
ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート誘導体であれば、中空樹脂粒子が黄変することを抑制でき、かつ、中空樹脂粒子の強度を向上させることができる。
アニオン性基含有活性水素化合物は、ポリイソシアネートと反応する活性水素基およびアニオン性基を併有する。
活性水素基としては、例えば、水酸基、アミノ基などが挙げられ、好ましくは、アミノ基が挙げられる。
アニオン性基としては、例えば、スルホニル基、カルボキシル基、リン酸基が挙げられ、好ましくは、スルホニル基、カルボキシル基が挙げられる。
アニオン性基が、スルホニル基、または、カルボキシル基であれば、アニオン性基を含むポリイソシアネートは、分散性に優れる。
なお、アニオン性基は、後述する中和剤によって、塩を形成していてもよい。
アニオン性基含有活性水素化合物としては、例えば、スルホニル基含有活性水素化合物、カルボキシル基含有活性水素化合物、リン酸基含有活性水素化合物などが挙げられる。
スルホニル基含有活性水素化合物は、活性水素基およびスルホニル基を併有する化合物であって、例えば、ヒドロキシメタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのヒドロキシアルカンスルホン酸、例えば、2−(シクロヘキシルアミノ)−エタンスルホン酸、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸などのアミノスルホン酸などの1つの活性水素基および1つのスルホニル基を併有するスルホニル基含有活性水素化合物などが挙げられる。
カルボキシル基含有活性水素化合物は、活性水素基およびカルボキシル基を併有する化合物であって、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシピバリン酸、リンゴ酸、クエン酸などの1つの活性水素基および1つのカルボキシル基を併有するカルボキシル基含有活性水素化合物、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などの2つの活性水素基および1つのカルボキシル基を併有するカルボキシル基含有活性水素化合物などが挙げられる。
リン酸基含有活性水素化合物は、活性水素基およびリン酸基を併有する化合物であって、例えば、ヒドロキシアルキルホスホン酸、アミノアルキルホスホン酸などの1つの活性水素基および1つのリン酸基を併有するリン酸基含有活性水素化合物などが挙げられる。
アニオン性基含有活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アニオン性基含有活性水素化合物としては、好ましくは、スルホニル基含有活性水素化合物、カルボキシル基含有活性水素化合物、より好ましくは、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸、グリコール酸が挙げられる。
そして、ポリイソシアネートとアニオン性基含有活性水素化合物とを反応させるには、アニオン性基含有活性水素化合物の活性水素基に対してポリイソシアネートのイソシアネート基が過剰となるように、ポリイソシアネートとアニオン性基含有活性水素化合物とを配合する。
具体的には、活性水素基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、2.2以上、好ましくは、2.5以上、また、例えば、130以下、好ましくは、100以下となるように、ポリイソシアネートとアニオン性基含有活性水素化合物とを配合する。
これによって、反応生成物(すなわち、アニオン性基を含むポリイソシアネート)の分子末端が、イソシアネート基となる。好ましくは、反応生成物の主鎖の両末端がイソシアネート基となる。
反応生成物の主鎖の両末端がイソシアネート基となるには、好ましくは、トリイソシアネート(すなわち、ポリイソシアネートの誘導体(好ましくは、アダクト誘導体、イソシアヌレート誘導体))と、1つの活性水素基および1つのアニオン性基を併有するアニオン性基含有活性水素化合物(例えば、1つの活性水素基および1つのスルホニル基を併有するスルホニル基含有活性水素化合物、1つの活性水素基および1つのカルボキシル基を併有するカルボキシル基含有活性水素化合物など)とを反応させるか、または、ジイソシアネートと、2つの活性水素基および1つのアニオン性基を併有するアニオン性基含有活性水素化合物(例えば、2つの活性水素基および1つのカルボキシル基を併有するカルボキシル基含有活性水素化合物)とを反応させる。
この反応においては、ポリイソシアネートと、アニオン性基含有活性水素化合物とに加えて、必要により、溶媒と、中和剤とを混合し、窒素雰囲気下、大気圧下で、撹拌および加熱する。
溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエーテルエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、2−エチルヘキシル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類などが挙げられ、好ましくは、エステル類、エーテルエステル類、芳香族炭化水素類が挙げられ、より好ましくは、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレンが挙げられる。
溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
溶媒の配合割合は、ポリイソシアネート100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、180質量部以下である。
中和剤は、好ましくは、アニオン性基含有活性水素化合物が、スルホニル基含有活性水素化合物である場合に、アニオン性基を中和するために配合され、例えば、3級アミンが挙げられる。
3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−メチルピペリジンまたはN−エチルピペリジンなどの3級モノアミン、例えば、1,3−ビス−(ジメチルアミノ)−プロパン、1,4−ビス−(ジメチルアミノ)−ブタン、N,N'−ジメチルピペラジンなどの3級ジアミンなどが挙げられる。
中和剤の配合割合は、アニオン性基含有活性水素化合物1モルに対して、例えば、0.5モル以上、また、例えば、2モル以下である。
また、中和剤の配合割合は、アニオン性基含有活性水素化合物100質量部に対して、例えば、40質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下である。
加熱温度は、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、また、例えば、100℃以下である。
加熱(撹拌)時間は、例えば、30分以上、1時間以上であり、また、例えば、4時間以下である。
これにより、アニオン性基を含むポリイソシアネートが得られる。
このようなアニオン性基を含むポリイソシアネートは、分子末端にイソシアネート基を有し、側鎖にアニオン性基を有している。好ましくは、主鎖の両末端がイソシアネート基を有し、側鎖にアニオン性基を有している。
このようなアニオン性基を含むポリイソシアネートとして、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート誘導体をアニオン性基含有活性水素化合物で変性させたアニオン性基を含む脂肪族イソシアヌレートが挙げられる。
アニオン性基を含むポリイソシアネートが、アニオン性基を含む脂肪族イソシアヌレートであれば、中空樹脂粒子が黄変することを抑制でき、かつ、中空樹脂粒子の強度を向上させることができる。
アニオン性基を含むポリイソシアネートにおけるイソシアネート基濃度は、例えば、3.0質量%以上、好ましくは、5.0質量%以上、より好ましくは、10.0質量%以上であり、例えば、20.0質量%以下、好ましくは、15.0質量%以下、より好ましくは、14.0質量%以下である。
イソシアネート基濃度は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1603に準拠したn−ジブチルアミン法により測定できる。
溶媒中で、ポリイソシアネートとアニオン性基含有活性水素化合物とを反応させた場合には、溶媒中のアニオン性基を含むポリイソシアネートの固形分濃度は、例えば、40質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下である。
なお、このような場合には、アニオン性基を含むポリイソシアネートは、溶媒を含む反応液のまま、次の工程において、用いることができる。
続いて、水に、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを混合する。
具体的には、まず、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを混合し、混合液を調製する。
疎水性溶剤としては、上記した溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
疎水性溶剤の配合割合(反応液のまま用いる場合には、反応液の溶媒と疎水性溶剤との総量)は、アニオン性基を含むポリイソシアネート100質量部に対して、例えば、140質量部以上、好ましくは、200質量部以上であり、また、例えば、900質量部以下である。
次いで、水を撹拌しながら、水に、混合液を添加する。
このとき、水中に疎水性溶剤が分散される一方、ポリイソシアネートの分子骨格部分が疎水性溶剤と親和し、アニオン性基が水と親和することから、アニオン性基を含むポリイソシアネートは、水と疎水性溶剤との間に介在する。
具体的には、アニオン性基を含むポリイソシアネートは、水中で疎水性溶剤を包む。
これにより、アニオン性基を含むポリイソシアネートにより疎水性溶剤を内包したポリイソシアネート液滴を得る。
このようなポリイソシアネート液滴は、水中に分散されている。
アニオン性基を含むポリイソシアネートは、アニオン性基を有しているため、別途、分散剤を配合しなくても、ポリイソシアネート液滴は、水との混合で容易に分散される。
なお、上記した説明では、まず、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤との混合液を調製し、次いで、水に、その混合液を添加したが、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを予め混合せず、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とのそれぞれを、水に添加することもできる。
続いて、ポリイソシアネート液滴におけるアニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物とを反応させる。
活性水素基含有化合物は、例えば、水、例えば、アミノ基、水酸基などの活性水素基を2つ以上有する化合物が挙げられる。
活性水素基含有化合物としては、例えば、アミノ基含有化合物、水酸基含有化合物などが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、アミノアルコール、ポリオキシエチレン基含有ポリアミン、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、ヒドラジンまたはその誘導体などが挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミンなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物などが挙げられる。
脂環族ポリアミンとしては、例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびそれらの混合物などが挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンなどが挙げられる。
アミノアルコールとしては、例えば、2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノール(別名:N−(2−アミノエチル)エタノールアミン)、2−((2−アミノエチル)アミノ)−1−メチルプロパノール(別名:N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン)などが挙げられる。
ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミンなどのポリオキシアルキレンエーテルジアミンが挙げられる。
第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの第1級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)などの第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物などが挙げられる。
ヒドラジンまたはその誘導体としては、例えば、ヒドラジン(水和物を含む)、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
アミノ基含有化合物として、好ましくは、ヒドラジンが挙げられ、より好ましくは、ヒドラジン一水和物が挙げられる。
水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコールが挙げられる。
これら活性水素基含有化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
活性水素基含有化合物として、好ましくは、アミノ基含有化合物が挙げられる。
この反応においては、具体的には、ポリイソシアネート液滴が分散されている水中に、活性水素基含有化合物を添加し、撹拌する。
具体的には、活性水素基含有化合物の活性水素基に対するアニオン性基を含むポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、0.50以上、好ましくは、0.67以上、また、例えば、1.43以下、好ましくは、1.25以下となるように、活性水素基含有化合物を添加する。
また、この反応では、必要により、緩衝剤と、中和剤とを配合し、必要より、加熱し、撹拌する。
緩衝剤としては、例えば、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。
緩衝剤の配合割合は、アニオン性基を含むポリイソシアネート100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下である。
中和剤は、好ましくは、アニオン性基含有活性水素化合物が、カルボキシル基含有活性水素化合物である場合に、アニオン性基を中和するために配合され、例えば、上記した3級アミンなどが挙げられる。
中和剤の配合割合、アニオン性基を含むポリイソシアネート1モルに対して、例えば、0.03モル以上、また、例えば、2モル以下である。
中和剤の配合割合は、アニオン性基を含むポリイソシアネート100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、好ましくは、10質量部以下である。
加熱温度は、例えば、10℃以上であり、また、例えば、80℃以下である。
加熱(撹拌)時間は、例えば、1時間以上であり、また、例えば、24時間以下である。
なお、活性水素基含有化合物が水である場合には、水に、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤との混合液を添加し、必要により、上記の条件で加熱し、撹拌することでアニオン性基を含むポリイソシアネートと活性水素基含有化合物とが反応する。
この反応では、疎水性溶剤と水との界面でアニオン性基を含むポリイソシアネートと活性水素基含有化合物とが界面重合する。すなわち、ポリイソシアネート液滴の表面のアニオン性基を含むポリイソシアネートが、活性水素基含有化合物と反応する。
そのため、この反応により、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得られる。
このような樹脂粒子は、水中に分散されている。
ウレタン・ウレア樹脂は、ウレタン基および/またはウレア基を含む重合体である。
具体的には、活性水素基含有化合物が、水、または、アミノ基含有化合物である場合には、アニオン性基を含むポリイソシアネートのイソシアネート基と、水、または、アミノ基含有化合物のアミノ基とが反応し、ウレア結合が形成され、ウレア樹脂が得られる。
また、活性水素基含有化合物が、水酸基含有化合物である場合には、アニオン性基を含むポリイソシアネートのイソシアネート基と、水酸基含有化合物の水酸基とが反応し、ウレタン結合が形成され、ウレタン樹脂が得られる。
また、活性水素基含有化合物が、水またはアミノ基含有化合物、および、水酸基含有化合物である場合には、アニオン性基を含むポリイソシアネートのイソシアネート基と、水、または、アミノ基含有化合物のアミノ基とが反応し、ウレア結合が形成される一方、アニオン性基を含むポリイソシアネートのイソシアネート基と、水酸基含有化合物の水酸基とが反応し、ウレタン結合が形成され、ウレタン・ウレア樹脂が得られる。
つまり、ウレタン・ウレア樹脂は、アニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物との反応生成物を含み、好ましくは、アニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物との反応生成物からなる。
ウレタン・ウレア樹脂が、アニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物との反応生成物を含めば、ウレタン・ウレア樹脂により疎水性溶剤を内包することができる。
樹脂粒子において、ウレタン・ウレア樹脂および疎水性溶剤の総量に対するアニオン性基の含有量は、例えば、0.075質量%以上、好ましくは、0.3質量%以上、より好ましくは、0.4質量%以上、さらに好ましくは、0.5質量%以上、とりわけ好ましくは、0.7質量%以上であり、また、例えば、1.7質量%以下、好ましくは、1.2質量%以下である。
上記のアニオン性基の含有量が、上記の下限以上および上記の上限以下であれば、中空樹脂粒子の粒子径を調整することができる。
続いて、樹脂粒子おいて内包された疎水性溶剤を除去する。
具体的には、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子が水に分散されている水分散液を、減圧し、ウレタン・ウレア樹脂に内包された疎水性溶剤を気化させ、水と置換する。その結果、樹脂粒子の内部が中空となる。
これにより、ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子が得られる。
このような中空樹脂粒子は、水中に分散されている。
このウレタン・ウレア樹脂は、アニオン性基を有する。詳しくは、ウレタン・ウレア樹脂は、アニオン性基を含むポリイソシアネートに由来するアニオン性基を有する。
ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量は、0.3質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、2質量%以上、さらに好ましくは、3質量%以上、とりわけ好ましくは、5質量%以上であり、また、10質量%以下、好ましくは、7質量%以下である。
ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、上記の下限以上、および、上記の上限以下であれば、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整することができる。
一方、ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、上記上限を上回ると、樹脂の凝集力が高くなり、種々の有機溶剤に不溶となり、中空樹脂粒子を得ることができない。
また、ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、上記下限を下回ると、疎水性が過度に強くなり、中空樹脂粒子が凝集して、均一な中空樹脂粒子が得られない。
なお、ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量は、仕込み量から算出することができる。
得られた中空樹脂粒子は、ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、上記の範囲であるため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径は、調整されており、具体的には、例えば、0.5μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、40μm以下、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、20μm以下、さらに好ましくは、10μm以下、とりわけ好ましくは、5μm以下である。
なお、体積平均粒子径の測定方法は、後述する実施例で詳述する。
中空樹脂粒子の体積平均粒子径が、上記の上限以下であれば、例えば、中空樹脂粒子を含む樹脂を基材に塗工する際、塗膜の平滑性が向上する。
中空樹脂粒子の体積平均粒子径が、上記の下限以上であれば、断熱性に優れる。
また、この中空樹脂粒子の製造方法では、アニオン性基を含むポリイソシアネートは、アニオン性基を有しているため、安定して分散することができる。そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整することができる。
また、中空樹脂粒子は、内部が中空である。そして、この中空樹脂粒子は、中空樹脂粒子の体積平均粒子径が調整されているため、中空樹脂粒子は、内部が中空であっても、強度に優れ、また、内部空間を大きくすることができ、断熱性に優れる。
中空樹脂粒子の体積中空率は、例えば、30%以上、好ましくは、40%以上であり、また、例えば、90%以下、好ましくは、75%以下、より好ましくは、70%以下である。
中空樹脂粒子の体積中空率が、上記の上限以下であれば、強度に優れる。
中空樹脂粒子の体積中空率が、上記の下限以上であれば、断熱性に優れる。
なお、体積中空率の測定方法は、後述する実施例で詳述する。
なお、上記した説明では、水に、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを混合し、アニオン性基を含むポリイソシアネートにより疎水性溶剤を内包したポリイソシアネート液滴を得る工程において、分散剤を配合することなく、アニオン性基を含むポリイソシアネートを分散しているが、分散剤を配合して、アニオン性基を含むポリイソシアネートを分散してもよい。
このような中空樹脂粒子は、例えば、感熱記録材料、農薬、医薬、香料、液晶、接着剤などの分野において用いることができ、とりわけ、感熱記録材料に、好適に用いることができる。
そのため、支持層と、断熱層と、感熱記録層とを順に備える感熱記録材料において、この中空樹脂粒子を断熱層に含有させることが好適である。
具体的には、図1において、感熱記録材料1は、支持層2と、断熱層3と、感熱記録層4とを順に備える。
感熱記録材料1は、熱によって、色を変化させる材料であって、例えば、感熱記録紙、熱転写受容紙などが挙げられる。
支持層2としては、例えば、紙、プラスチックシートなどが挙げられる。支持層2の厚みは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
断熱層3は、感熱記録層4を発色させるために感熱ヘッドから与えられる熱の放散を防ぐ層である。
断熱層3は、上記の中空樹脂粒子と、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、スチレン/ブタジエン エマルション、アクリルエマルションなどのバインダー樹脂とを含む。断熱層3の厚みは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
感熱記録層4は、上記のバインダー樹脂と、染料と、顕色剤とを含む。
染料としては、例えば、フロオラン系有機染料、トリアリルメタン系有機染料、フェノキシアジン系有機染料などの公知の塩基性有機染料が挙げられる。
顕色剤としては、特に制限されず、例えば、フェノール性化合物、芳香族カルボン酸などの公知の顕色剤が挙げられる。
感熱記録層4の厚みは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
感熱記録材料1を製造するには、まず、支持層2上に、断熱層3を形成する。
断熱層3を形成するには、中空樹脂粒子とバインダー樹脂との混合物を、カーテンコート法、ロールコート法、ブレードコート法などの公知のコート法によって、塗布し、その後、乾燥させる。
次いで、断熱層3上に、感熱記録層4を形成する。
感熱記録層4を形成するには、上記のバインダー樹脂と、染料と、顕色剤との混合物を、カーテンコート法、ロールコート法、ブレードコート法などの公知のコート法によって、塗布し、その後、乾燥させる。
これにより、感熱記録材料1が得られる。
そして、このような感熱記録材料1において、断熱層3は上記の中空樹脂粒子を含んでいる。そのため、感熱記録材料1は、断熱性に優れる。
また、上記した説明では、感熱記録材料1は、支持層2、断熱層3および感熱記録層4からなるが、例えば、支持層2と断熱層3との間や、断熱層3と感熱記録層4との間に、中間層(図示せず)が介在されていてもよい。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
1.アニオン性基を含むポリイソシアネートの調製
合成例1
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコに、HDIヌレート(HDIのイソシアヌレート誘導体、三井化学社製タケネートD−170N) 64.0質量部、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸 7.0質量部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 4.0質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25.0質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、70℃で1時間、さらに80℃で4時間加熱撹拌し、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートを得た。固形分濃度は74.5%、イソシアネート基濃度は11.8%であった。
1.アニオン性基を含むポリイソシアネートの調製
合成例1
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコに、HDIヌレート(HDIのイソシアヌレート誘導体、三井化学社製タケネートD−170N) 64.0質量部、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸 7.0質量部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 4.0質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25.0質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、70℃で1時間、さらに80℃で4時間加熱撹拌し、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートを得た。固形分濃度は74.5%、イソシアネート基濃度は11.8%であった。
合成例2〜合成例7
配合処方を、表1の記載に従って変更した以外は、合成例1と同様に処理して、アニオン性基を含むポリイソシアネートを得た。
配合処方を、表1の記載に従って変更した以外は、合成例1と同様に処理して、アニオン性基を含むポリイソシアネートを得た。
なお、合成例6について、80℃で4時間加熱後に、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートを含む溶液を、放冷すると、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートが固化した。
合成例8
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコに、XDIのTMPアダクト(XDIとトリメチロールプロパン(TMP)との反応より生成するポリオール誘導体、三井化学社製タケネートD−110N、76.5%の酢酸エチル溶液) 61.6質量部、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸 1.8質量部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 1.1質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 35.5質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、70℃で1時間、さらに80℃で2時間加熱撹拌することで、スルホニル基を含むXDIのTMPアダクトを得た。固形分濃度は50.5%、イソシアネート基濃度は6.6%であった。
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコに、XDIのTMPアダクト(XDIとトリメチロールプロパン(TMP)との反応より生成するポリオール誘導体、三井化学社製タケネートD−110N、76.5%の酢酸エチル溶液) 61.6質量部、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸 1.8質量部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 1.1質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 35.5質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、70℃で1時間、さらに80℃で2時間加熱撹拌することで、スルホニル基を含むXDIのTMPアダクトを得た。固形分濃度は50.5%、イソシアネート基濃度は6.6%であった。
合成例9
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコに、XDIヌレート(XDIのイソシアヌレート、三井化学社製タケネートD−131N、78%の酢酸エチル溶液) 59.6質量部、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸 2.2質量部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 1.3質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 36.9質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、70℃で1時間、さらに80℃で1時間加熱撹拌することで、スルホニル基を含むXDIのイソシアヌレートを得た。固形分濃度は50.8%、イソシアネート基濃度は7.9%であった。
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコに、XDIヌレート(XDIのイソシアヌレート、三井化学社製タケネートD−131N、78%の酢酸エチル溶液) 59.6質量部、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸 2.2質量部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 1.3質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 36.9質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、70℃で1時間、さらに80℃で1時間加熱撹拌することで、スルホニル基を含むXDIのイソシアヌレートを得た。固形分濃度は50.8%、イソシアネート基濃度は7.9%であった。
合成例10
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコにHDIヌレート (三井化学社製タケネートD−170N) 48.2質量部、グリコール酸 1.8質量部、および、酢酸エチル (EA) 50.0質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、50℃で1時間、さらに、80℃で12時間加熱撹拌することで、カルボキシル基を含むHDIのイソシアヌレートを得た。固形分濃度は50.4%、イソシアネート基濃度は7.9%であった。
2.中空樹脂粒子の製造
実施例1
合成例1で得たスルホニル基を含むHDIのイソシアヌレート 26.9質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73.1質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、蒸留水296質量部に、混合液を添加して5分間撹拌した。これにより、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートによりプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを内包したポリイソシアネート液滴を含む水分散液を得た。
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコにHDIヌレート (三井化学社製タケネートD−170N) 48.2質量部、グリコール酸 1.8質量部、および、酢酸エチル (EA) 50.0質量部を入れた。次いで、フラスコ内を、窒素ガスで置換し、50℃で1時間、さらに、80℃で12時間加熱撹拌することで、カルボキシル基を含むHDIのイソシアヌレートを得た。固形分濃度は50.4%、イソシアネート基濃度は7.9%であった。
2.中空樹脂粒子の製造
実施例1
合成例1で得たスルホニル基を含むHDIのイソシアヌレート 26.9質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73.1質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、蒸留水296質量部に、混合液を添加して5分間撹拌した。これにより、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートによりプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを内包したポリイソシアネート液滴を含む水分散液を得た。
次いで、この水分散液を攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移し、リン酸水素二ナトリウムの5%水溶液を16質量部、ヒドラジン・一水和物を1.9質量部添加して、室温で3時間撹拌した。これにより、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを内包したウレア樹脂からなる樹脂粒子を含む水分散液を得た。
その後、この水分散液を、減圧し、樹脂粒子に内包されたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを留去し、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
実施例2
合成例1で得たスルホニル基を含むHDIのイソシアヌレート 26.9質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 13.1質量部、キシレン60質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、蒸留水296質量部に、混合液を添加して5分間撹拌した。これにより、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートによりプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびキシレンを内包したポリイソシアネート液滴を含む水分散液を得た。
合成例1で得たスルホニル基を含むHDIのイソシアヌレート 26.9質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 13.1質量部、キシレン60質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、蒸留水296質量部に、混合液を添加して5分間撹拌した。これにより、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートによりプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびキシレンを内包したポリイソシアネート液滴を含む水分散液を得た。
次いで、この混合液を攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移し、リン酸水素二ナトリウムの5%水溶液を16質量部、ヒドラジン・一水和物を1.9質量部添加して、室温で3時間撹拌した。これにより、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびキシレンを内包したウレア樹脂からなる樹脂粒子を含む水分散液を得た。
その後、この水分散液を、減圧し、樹脂粒子に内包されたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびキシレンを留去し、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
実施例3〜実施例9
配合処方を、表2の記載に従って変更した以外は、実施例2と同様に処理して、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
配合処方を、表2の記載に従って変更した以外は、実施例2と同様に処理して、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
比較例1
合成例6で得た合成例1で得たスルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートは、固化し、疎水性溶剤に溶かすことができなかったため、中空樹脂粒子を製造することができなかった。
合成例6で得た合成例1で得たスルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートは、固化し、疎水性溶剤に溶かすことができなかったため、中空樹脂粒子を製造することができなかった。
比較例2
配合処方を、表2の記載に従って変更した以外は、実施例2と同様に処理して、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
配合処方を、表2の記載に従って変更した以外は、実施例2と同様に処理して、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
比較例3
HDIヌレート(三井化学社製タケネートD−170N) 20.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.0質量部、キシレン60質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、蒸留水296質量部に、混合液を添加して5分間撹拌した。次いで、これを攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移し、リン酸水素二ナトリウムの5%水溶液を16質量部、ヒドラジン・一水和物を2.5質量部添加したところ、凝集物が大量に発生した。そのため、中空樹脂粒子を製造できなかった。
HDIヌレート(三井化学社製タケネートD−170N) 20.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.0質量部、キシレン60質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、蒸留水296質量部に、混合液を添加して5分間撹拌した。次いで、これを攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移し、リン酸水素二ナトリウムの5%水溶液を16質量部、ヒドラジン・一水和物を2.5質量部添加したところ、凝集物が大量に発生した。そのため、中空樹脂粒子を製造できなかった。
比較例4
HDIヌレート(三井化学社製タケネートD−170N) 20.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.0質量部、キシレン60.0質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、分散剤としてのポリビニルピロリドン(PVP)6.0質量部を蒸留水296質量部に溶解させたものに、混合液を添加して5分間撹拌した。次いで、これを攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移し、リン酸水素二ナトリウムの5%水溶液を16質量部、ヒドラジン・一水和物を2.5質量部添加して、室温で撹拌したところ、凝集物が大量に発生した。
3.評価
(体積平均粒子径)
実施例1〜実施例9、および、比較例2の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を測定した。具体的には、試料1gと蒸留水10gとを30mLガラス製サンプル瓶に採取し、マグネティックスターラーで5分間撹拌した後、粒度分析計マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)を用い、下記条件で粒度分布測定を実施した。
HDIヌレート(三井化学社製タケネートD−170N) 20.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.0質量部、キシレン60.0質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)で1000rpmに撹拌しながら、分散剤としてのポリビニルピロリドン(PVP)6.0質量部を蒸留水296質量部に溶解させたものに、混合液を添加して5分間撹拌した。次いで、これを攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移し、リン酸水素二ナトリウムの5%水溶液を16質量部、ヒドラジン・一水和物を2.5質量部添加して、室温で撹拌したところ、凝集物が大量に発生した。
3.評価
(体積平均粒子径)
実施例1〜実施例9、および、比較例2の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を測定した。具体的には、試料1gと蒸留水10gとを30mLガラス製サンプル瓶に採取し、マグネティックスターラーで5分間撹拌した後、粒度分析計マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)を用い、下記条件で粒度分布測定を実施した。
Particle Transparency =Transp
Spherical Particles =Yes
Particle Refractive Index=1.50
Fluid Refractive Index =1.333
その結果を表2に示す。
Spherical Particles =Yes
Particle Refractive Index=1.50
Fluid Refractive Index =1.333
その結果を表2に示す。
比較例4について、得られた凝集物を光学顕微鏡により、無作為に選んだ50個の中空樹脂粒子の粒子径を測定した。その結果を表2に示す。
(体積中空率)
実施例1〜実施例9、および、比較例2の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の体積中空率を測定した。具体的には、中空樹脂粒子を含む水分散液をアルミホイル上に塗布し、40℃で12時間以上乾燥し、塗膜を得た。次いで、この塗膜を、液体窒素に浸して凍結させた後、速やかに切断し、得られた切断面を電子顕微鏡により観察した。無作為に選んだ10個の中空樹脂粒子の粒子径および中空部分の径を測定し、中空率を計算した。得られた中空率の平均値を中空樹脂粒子の体積中空率とした。
(体積中空率)
実施例1〜実施例9、および、比較例2の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の体積中空率を測定した。具体的には、中空樹脂粒子を含む水分散液をアルミホイル上に塗布し、40℃で12時間以上乾燥し、塗膜を得た。次いで、この塗膜を、液体窒素に浸して凍結させた後、速やかに切断し、得られた切断面を電子顕微鏡により観察した。無作為に選んだ10個の中空樹脂粒子の粒子径および中空部分の径を測定し、中空率を計算した。得られた中空率の平均値を中空樹脂粒子の体積中空率とした。
その結果を表2に示す。
(アニオン性基を含むポリイソシアネートの保存安定性)
アニオン性基を含むポリイソシアネートを含む溶液を、窒素雰囲気下で72時間静置した。
(アニオン性基を含むポリイソシアネートの保存安定性)
アニオン性基を含むポリイソシアネートを含む溶液を、窒素雰囲気下で72時間静置した。
保存安定性に関して次の基準で優劣を評価した。その結果を表2に示す。
○:溶液が透明であり、増粘が観測されなかった。
×:溶液が不透明となったか、または、増粘が観測された。
(中空樹脂粒子の粒子安定性)
実施例1〜実施例9、および、比較例2〜比較例4の中空樹脂粒子について、1mm以上の凝集物の有無を確認にした。
○:溶液が透明であり、増粘が観測されなかった。
×:溶液が不透明となったか、または、増粘が観測された。
(中空樹脂粒子の粒子安定性)
実施例1〜実施例9、および、比較例2〜比較例4の中空樹脂粒子について、1mm以上の凝集物の有無を確認にした。
粒子安定性に関して次の基準で優劣を評価した。その結果を表2に示す。
◎:1mm以上の凝集物が観測されなかった。
○:1mm以上の凝集物がわずかに観測された。
×:1mm以上の凝集物が大量に観測された。
(無黄変性)
中空樹脂粒子を含む水分散液をポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)板上に塗布した。得られた試験用サンプルを、QUV促進耐候試験機にて、昼間(60℃×相対湿度10%×4時間×光照射)、夜間(50℃×相対湿度95%×4時間×光照射なし)を1サイクルとして計18サイクル処理した。光照射面は塗膜側とした。処理前後の塗膜を色差計(日本電色工業製、SE2000)にて評価し、処理前後の黄変度ΔEを算出した。
○:処理前後の黄変度 2.00未満
△:処理前後の黄変度 2.00以上4.00未満
×:処理前後の黄変度 4.00以上
その結果を表2に示す。
◎:1mm以上の凝集物が観測されなかった。
○:1mm以上の凝集物がわずかに観測された。
×:1mm以上の凝集物が大量に観測された。
(無黄変性)
中空樹脂粒子を含む水分散液をポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)板上に塗布した。得られた試験用サンプルを、QUV促進耐候試験機にて、昼間(60℃×相対湿度10%×4時間×光照射)、夜間(50℃×相対湿度95%×4時間×光照射なし)を1サイクルとして計18サイクル処理した。光照射面は塗膜側とした。処理前後の塗膜を色差計(日本電色工業製、SE2000)にて評価し、処理前後の黄変度ΔEを算出した。
○:処理前後の黄変度 2.00未満
△:処理前後の黄変度 2.00以上4.00未満
×:処理前後の黄変度 4.00以上
その結果を表2に示す。
4.考察
ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、0.3質量%以上10質量%以下である実施例1〜実施例9では、その体積平均粒子径を、0.5μm以上30μm以下に調整できたことがわかる。
ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、0.3質量%以上10質量%以下である実施例1〜実施例9では、その体積平均粒子径を、0.5μm以上30μm以下に調整できたことがわかる。
一方、ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、0.3質量%を下回る比較例2では、疎水性が過度に強くなり、中空樹脂粒子が凝集することで、その体積平均粒子径が、41.1μmと大きくなり、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整できなかったことがわかる。
また、ウレタン・ウレア樹脂中のアニオン性基の含有量が、10質量%を上回る比較例1は、親水性が過度に強くなり、スルホニル基を含むHDIのイソシアヌレートが固化し、中空樹脂粒子を製造することができず、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整できなかったことがわかる。
アニオン性基を含むポリイソシアネートは、ポリイソシアネートをアニオン性基含有活性水素化合物で変性させず、分散剤(ポリビニルピロリドン(PVP))を用いて、分散させた比較例4は、分散が不均一となり、凝集物が大量に発生した。そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整できなかったことがわかる。
Claims (9)
- 内部が中空であり、ウレタン・ウレア樹脂からなる中空樹脂粒子であって、
前記ウレタン・ウレア樹脂は、アニオン性基を有し、
前記ウレタン・ウレア樹脂中の前記アニオン性基の含有量は、0.3質量%以上10質量%以下であることを特徴とする、中空樹脂粒子。 - 前記アニオン性基が、スルホニル基、または、カルボキシル基であることを特徴とする、請求項1に記載の中空樹脂粒子。
- 前記ウレタン・ウレア樹脂が、前記アニオン性基を含むポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物との反応生成物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の中空樹脂粒子。
- 前記アニオン性基を含むポリイソシアネートが、前記アニオン性基を含む脂肪族イソシアヌレートであることを特徴とする、請求項3に記載の中空樹脂粒子。
- 体積平均粒子径が、0.5μm以上30μm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子。
- 体積中空率が、30%以上90%以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子。
- 支持層と、断熱層と、感熱記録層とを順に備え、
前記断熱層は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子を含むことを特徴とする、感熱記録材料。 - 水に、アニオン性基を含むポリイソシアネートと疎水性溶剤とを混合し、前記アニオン性基を含むポリイソシアネートにより前記疎水性溶剤を内包したポリイソシアネート液滴を得る工程、
前記ポリイソシアネート液滴における前記アニオン性基を含むポリイソシアネートと、前記活性水素基含有化合物とを反応させて、前記疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得る工程、および、
前記樹脂粒子おいて内包された前記疎水性溶剤を除去して、前記ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子を得る工程
を備えることを特徴とする、中空樹脂粒子の製造方法。 - 前記樹脂粒子において、前記ウレタン・ウレア樹脂および前記疎水性溶剤の総量に対するアニオン性基の含有量が、0.075質量%以上1.7質量%以下であることを特徴とする、請求項8に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
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