以下、本発明に係る作業機用のコラムポストを備える作業車両の一実施形態であるタワークレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
(実施形態)
(構成)
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るタワークレーン1は、シャーシフレーム2と、走行装置3と、ベース4と、コラムポスト5と、クレーン装置6と、アウトリガ装置9とを備える。加えて、運転席10と、操作部11と、ウインチ12と、ワイヤロープ13と、フック14と、原動部15と、コントロールボックス16と、フック格納ブラケット17とを備える。
走行装置3は、例えばゴム製の履帯が左右に装着されたクローラ式の走行装置であり、シャーシフレーム2の下部に設けられている。
ベース4は、シャーシフレーム2の上部に連結固定されており、コラムポスト5(以下、単に「コラム5」と略称する)は、ベース4の上部に旋回自在に立設されている。
クレーン装置6は、コラム5の上端に起伏自在に枢支され、入子式の箱型ブームで構成された伸縮式の起伏ブーム7と、この起伏ブーム7の先端部に起伏自在に枢支され、入子式の箱型ブームで構成された伸縮式の折曲げブーム8とを備える。
アウトリガ装置9は、一部図示省略するが、シャーシフレーム2上部の、右前、右後ろ、左前及び左後ろにそれぞれ設けられた、右前アウトリガ9RF、右後アウトリガ9RR、左前アウトリガ9LF及び左後アウトリガ9LRを備える。
右前、右後、左前及び左後アウトリガ9RF、9RR、9LF及び9LRは、シャーシフレーム2上に旋回かつ起伏自在に設けられた基端側アームと、基端側アームの先端に起伏自在に設けられた伸縮式の先端側アームとを備えている。
更に、右前、右後、左前及び左後アウトリガ9RF、9RR、9LF及び9LRは、基端側アームを起伏動作させる油圧アクチュエータである右前、右後、左前及び左後縦アウトリガシリンダ37RF、37RR、37LF及び37LRを備える。加えて、図4に示すように、先端側アームを起伏動作させると共に伸縮動作させる油圧アクチュエータである右前、右後、左前及び左後横アウトリガシリンダ36RF、36RR、36LF及び36LRを備える。
以下、右前、右後、左前及び左後アウトリガ9RF、9RR、9LF及び9LRを、「各アウトリガ9RF〜9LR」と略称する場合がある。また、右前、右後、左前及び左後横アウトリガシリンダ36RF、36RR、36LF及び36LRを、「各横アウトリガシリンダ36RF〜36LR」と略称する場合がある。また、右前、右後、左前及び左後縦アウトリガシリンダ37RF、37RR、37LF及び37LRを、「各縦アウトリガシリンダ37RF〜37LR」と略称する場合がある。
アウトリガ装置9は、図1に示す格納状態から、各アウトリガ9RF〜9LRを手動で水平方向に回動させることで、図2及び図3に示すように、機体に対して放射状の張り出し位置に位置させられるように構成されている。その後、操作部11の操作又は遠隔操作装置162(後述)の操作によって、各横アウトリガシリンダ36RF〜36LRを駆動して各アウトリガ9RF〜9LRの先端側アームを起方向に動作させると共に伸長させる。更に、各縦アウトリガシリンダ37RF〜37LRを駆動して各アウトリガ9RF〜9LRの基端側アームを伏方向に動作させて先端側アームの下部を地上に接地させることで、全周同一の吊上げ性能を確保しつつ、機体の安定を図るようになっている。
運転席10は、タワークレーン1を走行操作時にオペレータ(運転者)が着座するもので、リンク機構を介してタワークレーン1の後方に突出して設けられている。
操作部11は、タワークレーン1の後端部に設けられており、運転席10の前方かつ後端部の左側に配された左右一対の走行操作レバー及び複数の操作スイッチが配置された操作パネル(不図示)と、操作パネルの右横側に設けられた複数の操作レバー(不図示)とを有している。
複数の操作レバーは、図4に示す、コントロールバルブ15cのアウトリガ用切換制御弁82、旋回用切換制御弁83、ブーム伸縮用切換制御弁84、ウインチ用切換制御弁85、ブーム起伏用切換制御弁86内の各スプールを直接作動させている。
上記各操作レバーは、各種油圧アクチュエータにそれぞれ対応して設けられており、中立位置から傾倒する方向で操作レバーに対応する油圧アクチュエータの駆動が可能となっている。
具体的に、上記各操作レバーは、クレーン装置6の左旋回動作及び右旋回動作を操作するレバー、起伏ブーム7及び折曲げブーム8の伸縮動作を操作するレバー、フック14の巻上動作及び巻下動作を操作するレバー、起伏ブーム7及び折曲げブーム8の起伏動作を操作するレバーを含む。
また、上記複数の操作スイッチは、クレーン操作−アウトリガ操作切換スイッチ、起伏ブーム切換スイッチ、伸縮ブーム切換スイッチ、フック固定スイッチ、各アウトリガ9RF〜9LRのうちから操作するアウトリガを選択するためのアウトリガ選択スイッチ、選択したアウトリガを操作するアウトリガ操作スイッチなどを含む。
なお、クレーン操作−アウトリガ操作切換スイッチは、クレーン装置6を操作可能とするためのクレーンモードとアウトリガ装置9を操作可能とするためのアウトリガモードとを切り換えるためのスイッチである。
また、起伏ブーム切換スイッチは、クレーンモードにおいて、起伏ブーム7を起伏操作可能とするための起伏ブーム起伏操作モードと折曲げブーム8を起伏操作可能とするための折曲げブーム起伏操作モードとを切り換えるためのスイッチである。
また、伸縮ブーム切換スイッチは、クレーンモードにおいて、起伏ブーム7を伸縮操作可能とするための起伏ブーム伸縮操作モードと折曲げブーム8を伸縮操作可能とするための折曲げブーム伸縮操作モードとを切り換えるためのスイッチである。
上記各モード切り換えスイッチによって、上述の走行装置3、クレーン装置6及びアウトリガ装置9と、クレーンモードにおける起伏ブーム7及び折曲げブーム8とは、安全のため同時には作動できないように構成されている。
ここで、このタワークレーン1は、図5に示すように、クレーン操作を遠隔で行うことが可能な遠隔操作装置162を備えている。この遠隔操作装置162は、図示省略するが、遠隔操作装置162の筺体に設けられた各種操作レバーや各種操作スイッチにより、上記操作部11の操作レバー及び操作スイッチと同等の操作が可能に構成されている。また、この遠隔操作装置162は、操作レバー及び操作スイッチの操作に応じた遠隔操作信号Rctrを無線送信するように構成されている。
また、図2及び図3に示すように、起伏ブーム7の後端面の略中央位置にはウインチ12が突設されている。そして、タワークレーン1は、このウインチ12からワイヤロープ13を第1のシーブ44及び第2のシーブ45を介して折曲げブーム8の先端部に導く。そして、この先端部の上部に設けられた第3のシーブ46と、第3のシーブ46の下方であり、折曲げブーム8の先端内部に設けられた第4のシーブ(図示略)とを介してフック14に掛回すことにより、フック14が折曲げブーム8の先端部から吊り下げられている。
一方、原動部15は、その筐体内部に、図4に示す、エンジン15aと、このエンジン15aを駆動源として駆動する圧油供給装置15bと、この圧油供給装置15bから供給される圧油の油路を切換制御するコントロールバルブ15cとを備える。
更に、タワークレーン1は、図1から図4に示すように、コラム5の旋回、起伏ブーム7及び折曲げブーム8の伸縮、ウインチ12の巻上げ及び巻下げ、並びに起伏ブーム7及び折曲げブーム8の起伏を行うための油圧アクチュエータを備える。
即ち、タワークレーン1は、旋回用油圧モータ30、起伏ブーム伸縮用油圧シリンダ31、折曲げブーム伸縮用油圧シリンダ32、ウインチ用油圧モータ33、起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34及び折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35を備える。
なお更に、タワークレーン1は、走行装置3を駆動するための油圧アクチュエータとして、走行用モータ38を備える。
起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34は、図3及び図4に示すように、第1の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Lの一対の油圧シリンダから構成される。
また、折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35は、第1の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35R及び第2の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35Lの一対の油圧シリンダから構成される。
そして、これらの油圧アクチュエータ30、31、32、33、34及び35は、図4に示すように、何れも圧油供給装置15bからコントロールバルブ15cを介して圧油を供給することにより作動するように構成されている。
一方、圧油供給装置15bは、図4に示すように、エンジン15aを駆動源として駆動する油圧ポンプ60と、左吐出ポート61Lと、右吐出ポート61Rと、主管路62と、戻り管路63と、タンク64とを備えている。
また、コントロールバルブ15cは、クレーン用切換制御弁80と、アクセルシリンダ81と、アウトリガ用切換制御弁82と、旋回用切換制御弁83と、ブーム伸縮用切換制御弁84と、ウインチ用切換制御弁85と、ブーム起伏用切換制御弁86とを備えている。更に、横アウトリガシリンダ切換弁87と、縦アウトリガシリンダ切換弁88と、走行用切換制御弁89と、第1の電磁切換弁820と、第2の電磁切換弁840と、第3の電磁切換弁860とを備えている。
油圧ポンプ60から吐出された圧油は、走行用切換制御弁89に供給され、供給された圧油は、走行操作レバーがニュートラルの状態のときに、走行用切換制御弁89を素通りして、主管路62に流れ込み、主管路62を介してコントロールバルブ15cへと向けて供給される。また、油圧ポンプ60から吐出された圧油は、戻り管路63を介してタンク64に戻されるようになっている。
クレーン用切換制御弁80は、主管路62と戻り管路63との間に設けられた、メインリリーフ弁(アンロード弁)180と、アンロード弁作動用ソレノイド181と、フック固定用リリーフ弁182とを備えている。
アンロード弁作動用ソレノイド181は、コントローラ160からの作動信号Uoに応じてON状態又はOFF状態のいずれか一方の状態となる。そして、ON状態のときにメインリリーフ弁180を開状態とし、主管路62と戻り管路63とを連通させるようになっている。図4に示す例では、油圧ポンプ60から吐出した圧油を、走行用切換制御弁89、クレーン用切換制御弁80以外の他の切換制御弁を介さずに戻り管路63を介してタンク64に戻すようになっている。すなわち、油圧ポンプ60の運転状態を、圧油を無負荷で循環するアンロード状態(無負荷運転状態)にさせることが可能となっている。
フック固定用リリーフ弁182は、フックリリーフソレノイド182aと、フックリリーフ弁182bとを備えている。
フックリリーフソレノイド182aは、オペレータの手動操作による、操作部11又は遠隔操作装置162におけるフック固定スイッチの操作に応じたコントローラ160からの作動信号Hrに応じてON状態又はOFF状態のいずれか一方の状態となる。そして、ON状態のときに主管路62からの圧油の油路を、フックリリーフ弁182bを圧油が流れる油路へと切り換える。
ここで、フックリリーフ弁182bは、その設定リリーフ圧が、通常作動時のリリーフ圧であるメイン設定圧Pmよりも低い低設定圧Ps(Pm>Ps)となっている。従って、フックリリーフソレノイド182aをON状態としてフックリリーフ弁182bを作動することで、圧油の圧力上限を低設定圧Psに制限することが可能である。
これによって、フック固定スイッチがON状態の間は、フック14の巻上げ作動圧力を低圧に制限してフック14を固定するフック格納ブラケット17の損傷を防ぐことが可能となる。
アクセルシリンダ81は、遠隔操作装置162又は操作部11のアクセル操作量に応じたコントローラ160からのアクセル制御信号Vctrに応じて、アクセルシリンダ81のピストンロッドを作動させるようになっている。このピストンロッドの作動位置信号L6(後述)はコントローラ160に入力され、コントローラ160は、アクセルシリンダ81の作動位置に応じて、エンジン15aの回転数を所望の回転数に制御可能になっている。なお、油圧ポンプ60からの圧油の吐出量は、アクセル操作によってエンジン15aの回転速度を上げるほど多くなる。
アウトリガ用切換制御弁82は、操作レバーの操作、又は遠隔操作装置162からの操作信号Rctrに応じたコントローラ160からの作動信号Actr1によって、各アウトリガ9RF〜9LRの各横アウトリガシリンダ36RF〜36LRおよび各縦アウトリガシリンダ37RF〜37LRに圧油を給油する。
第1の電磁切換弁820は、圧油の給油先として各アウトリガ9RF〜9LRの各横アウトリガシリンダ36RF〜36LRまたは各縦アウトリガシリンダ37RF〜37LRのいずれか一方を選択する制御弁である。
アウトリガ用切換制御弁82から流出した圧油は、まず第1の電磁切換弁820に流入する。第1の電磁切換弁820は、オペレータの手動操作による操作部11における、アウトリガ切換スイッチ(図示略)の操作によるコントローラ160からの切換制御信号Actr2に応じて、各横アウトリガシリンダ36RF〜36LRまたは各縦アウトリガシリンダ37RF〜37LRに対する圧油の油路を切り換える。
横アウトリガシリンダ切換弁87は、横アウトリガシリンダ36RF〜36LRごとに圧油を給油するか否かを選択する制御弁である。
横アウトリガシリンダ切換弁87は、オペレータの手動操作による操作部11における、横アウトリガシリンダ選択スイッチ(図示略)の操作によるコントローラ160からの作動信号Actr3〜6に応じて、各横アウトリガシリンダ36RF〜36LRに対する圧油の油路を切り換える。
縦アウトリガシリンダ切換弁88は、縦アウトリガシリンダ37RF〜37LRごとに圧油を給油するか否かを選択する制御弁である。
縦アウトリガシリンダ切換弁88は、オペレータの手動操作による操作部11における、縦アウトリガシリンダ選択スイッチ(図示略)の操作によるコントローラ160からの作動信号Actr7〜10に応じて、各縦アウトリガシリンダ37RF〜37LRに対する圧油の油路を切り換える。
旋回用切換制御弁83は、操作部11の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置162の操作に応じたコントローラ160からの作動信号Tctrに応じて、旋回用油圧モータ30に対して圧油を流入する。
ブーム伸縮用切換制御弁84は、操作部11の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置162の操作に応じたコントローラ160からの作動信号Bctr1に応じて、第2の電磁切換弁840に対して圧油を流入する。
第2の電磁切換弁840は、圧油の給油先として起伏ブーム伸縮用油圧シリンダ31又は折曲げブーム伸縮用油圧シリンダ32のいずれか一方を選択する制御弁である。
ブーム伸縮用切換制御弁84から流出した圧油は、まず第2の電磁切換弁840に流入する。
第2の電磁切換弁840は、オペレータの手動操作による操作部11における、伸縮ブーム切換スイッチ(図示略)の操作に応じた又は遠隔操作装置162からの操作信号Rctrに応じたコントローラ160からの切換制御信号Bctr3に応じて、起伏ブーム伸縮用油圧シリンダ31又は折曲げブーム伸縮用油圧シリンダ32に対する圧油の油路を切り換える。
ウインチ用切換制御弁85は、操作部11の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置162の操作に応じたコントローラ160からの作動信号Wctrに応じて、ウインチ用油圧モータ33に対して圧油を流入する。
ブーム起伏用切換制御弁86は、操作部11の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置162の操作に応じたコントローラ160からの作動信号Bctr2に応じて、起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34および折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35に圧油を給油する。
第3の電磁切換弁860は、圧油の給油先として起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34または折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35のいずれか一方を選択する制御弁である。
ブーム起伏用切換制御弁86から流出した圧油は、まず第3の電磁切換弁860に流入する。
第3の電磁切換弁860は、オペレータの手動操作による、操作部11における起伏ブーム切換スイッチ(図示略)の操作に応じた又は遠隔操作装置162からの操作信号Rctrに応じたコントローラ160からの切換制御信号Bctr4に応じて、起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34又は折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35に対する圧油の油路を切り換える。
各切換制御弁82〜86及びアクセルシリンダ81は、それぞれ差動トランス(不図示)を備えており、各差動トランスで検出された各切換制御弁82〜86及びアクセルシリンダ81の切換位置L1〜L6の検出信号(以下、「切換位置信号」と記載する場合がある)は、図5に示すように、コントローラ160へと入力されるようになっている。すなわち、コントローラ160は、切換位置信号L1〜L6によって、各切換制御弁82〜86及びアクセルシリンダ81の作動内容(切換位置)を把握することが可能となっている。
走行用モータ38は、図4に示すように、走行装置3の左右の履帯それぞれに対応する二つの走行用モータ38L及び38Rを備えている。走行用モータ38L及び38Rは、何れも圧油供給装置15bから走行用切換制御弁89を介して圧油を個別に供給することによりそれぞれが独立して作動するようになっている。
これにより、このタワークレーン1は、圧油供給装置15bを作動させ、左右一対の走行操作レバーを同時に前進または後退操作することで、走行装置3を駆動して前進または後退方向に走行可能である。また、右折ないし左折する場合、左右一対の走行操作レバーを個別に前進または後退操作することで、対応する左右の履帯を個別に駆動できるため、単純に左右の速度差で回頭可能である。
図1〜図3に戻って、コントロールボックス16は、その内部に、図5に示すコントローラ160を備えている。また、図示省略するが、コントロールボックス16の上部には、受信機161が設けられている。
受信機161は、信号線(図示略)を介してコントローラ160と接続されている。受信機161は、遠隔操作装置162から無線送信された遠隔操作信号Rctrを受信し、受信した遠隔操作信号Rctrを、信号線を介してコントローラ160に入力する。
コントローラ160には、図5に示すように、操作部11からの操作信号Ctr、遠隔操作装置162からの遠隔操作信号Rctr、各種切換制御弁82〜86及びアクセルシリンダ81からの切換位置信号L1〜L6等が入力されている。そして、コントローラ160は、これら入力信号に応じて、タワークレーン1の備える油路切換用の電磁弁等の各種電気装置を作動制御する。
また、コントローラ160は、図示省略するが、所定の制御プログラムに基づいて、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムを含む各種データを格納しているROM(Read Only Memory)と、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)と、時間計測用のタイマとを備えている。
コントローラ160は、さらに、上述した受信機161、操作部11、遠隔操作装置162、及びコントロールバルブ15c等を含めた各装置に対してデータの入出力を媒介する入出力I/F(インターフェース)と、データ転送用の各種内外バスとを備えている。各種内外バスによって、CPU、ROM、RAM及びタイマとの間が接続されていると共に、このバスに入出力I/Fを介して上記各装置が接続されている。
そして、電源を投入すると、ROM等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROMに予め記憶された各種の制御プログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPUが各種リソースを駆使して演算処理を行うことで上記各装置を作動制御するための各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
更に、実施形態に係るタワークレーン1は、図1〜図3に示すように、起伏ブーム7の起立角度を規制する起立角度規制部材20と、起伏ブーム7の基端寄りの位置に設けられた基端側ブラケット40とを備える。更に、タワークレーン1は、起伏ブーム7の先端側に設けられた先端ブラケット41aと、折曲げブーム8の基端側に設けられた基端ブラケット41bと、先端ブラケット41a及び基端ブラケット41bに接続されたVリンク機構42と、折曲げブーム8の先端寄りにかつ下部側に一部が突出するように設けられた先端側ブラケット43とを備える。
起立角度規制部材20は、起伏ブーム7の一方の側面側(図1〜図3の右手側)に設けられた第1の起立角度規制部材20Rと、起伏ブーム7の他方の側面側(図1〜図3の左手側)に設けられた第2の起立角度規制部材20Lとを備える。
以降の説明において、「一方の側面側」は、図1〜図3のタワークレーン1の各姿勢における各構成部材の右手側を指すこととし、「他方の側面側」は、図1〜図3のタワークレーン1の各姿勢における各構成部材の左手側を指すこととする。
基端側ブラケット40は、起伏ブーム7と一体的に形成されており、図2に示す姿勢において、起伏ブーム7の前方側に突出して形成された第1の接続部40aと、起伏ブーム7の後方側に突出して形成された第2の接続部40bとを備える。
そして、図2、図6(a)及び(b)に示すように、第1の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Rのチューブ側の一端部が、第2の接続部40bの右手側の内側に、第2のシリンダピン341を介して水平な軸回りに回転自在に軸支されている。加えて、第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Lのチューブ側の一端部が、第2の接続部40bの左手側の内側に、第2のシリンダピン341を介して水平な軸回りに回転自在に軸支されている。
更に、第1の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Rのロッド側の一端部が、コラム5の右手側の前端部の内側に、第1のシリンダピン340を介して水平な軸回りに回転自在に軸支されている。加えて、第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Lのロッド側の一端部が、コラム5の左手側の前端部の内側に、第1のシリンダピン340を介して水平な軸回りに回転自在に軸支されている。
先端ブラケット41aは、図1に示すように、起伏ブーム7の先端部を挟んで対向する2枚のプレート状の部材を有し、先端部には、前記2枚のプレート状の部材の内側に第1のシーブ44が、水平な軸回りに回転自在に軸支されている。
基端ブラケット41bは、図1に示す格納姿勢時の位置関係において、下端部が、先端ブラケット41aの上端部に、水平な軸回りに回転自在に枢支されている。
Vリンク機構42は、折曲げブーム8の右手側に設けられた第1のVリンクと、左手側に設けられた第2のVリンク(図示略)とを備える。
第1のVリンクは、2枚のプレート状のリンクの一端がそれぞれ第1の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35Rのロッド側の一端に、水平な軸回りに回転自在に枢支された構成となっている。加えて、2枚のプレート状のリンクの一方の他端が、先端ブラケット41aの右手側の下部に、水平な軸回りに回転自在に軸支され、他方の他端が、基端ブラケット41bの右手側の上部に、水平な軸回りに回転自在に軸支された構成となっている。
第2のVリンクは、2枚のプレート状のリンクの一端がそれぞれ第2の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35Lのロッド側の一端に、水平な軸回りに回転自在に枢支された構成となっている。加えて、2枚のプレート状のリンクの一方の他端が、先端ブラケット41aの左手側の下部に、水平な軸回りに回転自在に軸支され、他方の他端が、基端ブラケット41bの左手側の上部に、水平な軸回りに回転自在に軸支された構成となっている。
また、第1のVリンク及び第2のVリンクの上記他方のリンクの基端ブラケット41bとの接続部よりも他端側の部分には、図1に示すように、基端ブラケット41bよりも後方(図2では上方)に突出して形成されたシーブ取付部42a、42b(図示略)が設けられている。そして、このシーブ取付部42a、42bを懸架した第2シーブ軸が、その軸の中央に1つ設けた第2のシーブ45を、水平な軸回りに回転自在に軸支するように設けられている。
第1の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35Rは、そのチューブ側の他端が先端側ブラケット43の下端突出部の右手側に、水平な軸回りに回転自在に枢支されている。また、第2の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35Lは、そのチューブ側の他端が先端側ブラケット43の下端突出部の左手側に、水平な軸回りに回転自在に枢支されている。
更に、第1及び第2の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35R及び35Lは、それぞれのロッド側の一端部同士が第1のVリンク及び第2のVリンクの一端部側の回転軸となるピン42cによって接続されている。
更に、起伏ブーム7と折曲げブーム8とは、先端ブラケット41aと基端ブラケット41bとを介して軸支されている。
かかる構成によって、第1及び第2の折曲げブーム起伏用油圧シリンダ35R及び35Lを伸長させることで折曲げブーム8が起方向(起伏ブーム7から遠ざかる方向)に回動し、一方、縮小させることで折曲げブーム8が伏方向(起伏ブーム7に近づく方向)に回動する。
(コラム5の構成)
次に、本実施形態のコラム5の詳細な構成を説明する。
このコラム5は、図6(a)及び(b)並びに図7(a)及び(b)に示すように、ベースプレート50と、このベースプレート50上に所定の間隙を空けて立設された第1及び第2のプレート51R及び51Lとを備える。
第1のプレート51Rは、図6(a)及び図7(a)に示すように、右手側から側面視して、第1の縦板部51Raと、第2の縦板部51Rbと、第1の縦板部51Raと第2の縦板部51Rbとをつなぐ第1の横板部51Rcとを有し、略「H」字状に構成されている。
第1の横板部51Rcの下部には、折曲げブーム8と起伏ブーム7に設けられた油圧アクチュエータ(31、32、33、34、35)にポンプ60からの圧油を送油するゴムホースや電気配線等を、コラム5の内部に通すための貫通穴が開けられている。
第1の縦板部51Raは、第2の縦板部51Rbよりも長尺に構成され、かつ図1で示す車両前方側へ突き出た構成となっている。更に、その上部には、起伏ブーム7の基端部を支持するための第1のブーム支持用ピン穴74Rがプレート面を貫通して設けられている。また、第2の縦板部51Rbの上部には、後述するピン穴52R、53R、54Rが設けられており、その上端部は略水平な面に形成されている。
更に、第1のプレート51Rは、その第2の縦板部51Rbのプレート面を貫通して設けられた第1−1のピン穴52R、第1−2のピン穴53R及び第1−3のピン穴54Rと、第2の縦板部51Rbの表面に重ねて設けられた第1の補強部55Rと、第1の補強部55R及び第2の縦板部51Rbの上端部に形成された第1のブーム載置部59Rとを備える。
第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rは、第1−1の挿通孔52Ra、第1−2の挿通孔53Ra及び第1−3の挿通孔54Raを備える。加えて、第1−1〜第1−3の挿通孔52Ra〜54Raの開口部分の周囲を囲むように突出して形成された第1−1のボス52Rb、第1−2のボス53Rb及び第1−3のボス54Rbを備える。
第1の補強部55Rは、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rの第1−1〜第1−3のボス52Rb〜54Rbの周囲を覆うように形成されかつ第1のプレート51Rよりも肉厚に設けられている。この第1の補強部55Rは、その下端部がベースプレート50まで伸びてベースプレート50に溶接等によって接合されている。
第2のプレート51Lは、図6(b)及び図7(b)に示すように、左手側から側面視して、第1のプレート51Rと鏡面対称となる形状(第1のプレート51Rを裏返した形状)を有する。即ち、長尺かつ図1で示す車両前方側へ突き出た構成の左辺側を構成する第3の縦板部51Laと、短尺の右辺側を構成する第4の縦板部51Lbと、第3の縦板部51Laと第4の縦板部51Lbとをつなぐ第2の横板部51Lcとを有する。
第2の横板部51Lcの下部には、折曲げブーム8と起伏ブーム7に設けられた油圧アクチュエータ(31、32、33、34、35)にポンプ60からの圧油を送油するゴムホースや電気配線等を、コラム5の内部に通すための貫通穴が開けられている。
第3の縦板部51Laの上部には、起伏ブーム7の基端部を支持するための第2のブーム支持用ピン穴74Lが、プレート面を貫通してかつ第1のブーム支持用ピン穴74Rに対して同軸に設けられている。また、第4の縦板部51Lbの上部には、後述するピン穴52L、53L、54Lが設けられており、その上端部は略水平な面に形成されている。
そして、第1及び第3の縦板部51Ra及び51Laは、起伏ブーム7の基端部を、第1及び第2のブーム支持用ピン穴74R及び74Lに挿入されたブームフートピン75を介して起伏自在になるように枢支した構成となっている。
更に、第2のプレート51Lは、その第4の縦板部51Lbのプレート面を貫通して設けられた第1−4のピン穴52L、第1−5のピン穴53L及び第1−6のピン穴54Lと、第4の縦板部51Lbの表面に重ねて設けられた第2の補強部55Lと、第2の補強部55L及び第4の縦板部51Lbの上端部に形成された第2のブーム載置部59Lとを備える。
第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lは、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと同様の構成を有し、第1−4の挿通孔52La、第1−5の挿通孔53La及び第1−6の挿通孔54Laと、第1−4のボス52Lb、第1−5のボス53Lb及び第1−6のボス54Lbとを備える。
第2の補強部55Lは、第1の補強部55Rと同様の構成を有し、第1−4〜第1−6のボス52Lb〜54Lbの周囲を覆うように形成されかつ第2のプレート51Lよりも肉厚に設けられている。この第2の補強部55Lも、その下端部がベースプレート50まで伸びてベースプレート50に溶接等によって接合されている。
更に、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと、第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lとは、側面視で、同じ相対位置関係でかつ同心に設けられている。
なお、第1のブーム載置部59R及び第2のブーム載置部59Lの詳細な構成については後述する。
また、以下、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと、第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lとを、総じて「第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54L」と略記する場合がある。
(起立角度規制装置の構成)
次に、本実施形態に係る起立角度規制装置の詳細な構成を説明する。
この起立角度規制装置は、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lと、コラム5に形成された第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54Lと、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lと、後述する第1〜第4の支持部500a〜500dとを備える。
第1の起立角度規制部材20Rは、図3に示すように、第1の右手側プレート21Rと第2の右手側プレート22Rとを連結したリンク機構から構成され、第2の起立角度規制部材20Lは、第1の左手側プレート21Lと第2の左手側プレート22Lとを連結したリンク機構から構成されている。
第1の右手側プレート21Rは、金属製のプレートから形成されており、図8(a)に示すように、側面視で、一端側の端部の幅が他端側の端部の幅よりも広くなっており、かつ、一端側から他端側に向かって徐々に狭くなる形状となっている。即ち、一端側の端部を短辺として、各頂点が丸みをおびた略鈍角三角形状に形成されている。加えて、第1の右手側プレート21Rは、その一端部にプレート面を貫通して形成された第2−1のピン穴210R、第2−2のピン穴211R及び第2−3のピン穴212Rの3つのピン穴と、その他端部にプレート面を貫通して形成された第1の連結穴213Rとを備える。
ここで、第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rは、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと同じ相対位置関係かつ同じ内径に形成されている。
第2の右手側プレート22Rは、図8(b)に示すように、側面視で両端部がティアドロップ形状の長板状の金属製プレートから形成されている。加えて、第2の右手側プレート22Rは、その一端部にプレート面を貫通して形成された第2の連結穴220Rと、その他端部にプレート面を貫通して形成された第3の連結穴221Rとを備える。
第1の左手側プレート21Lは、第1の右手側プレート21Rと同様の構成を有しており、図8(a)中の括弧内の符号に示すように、その一端部に形成された第2−4のピン穴210L、第2−5のピン穴211L及び第2−6のピン穴212Lと、その他端部に形成された第4の連結穴213Lとを備える。
ここで、第2−4〜第2−6のピン穴210L〜212Lは、第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lと同じ相対位置関係かつ同じ内径に形成されている。
また、第2の左手側プレート22Lは、第2の右手側プレート22Rと同様の構成を有しており、図8(b)中の括弧内の符号に示すように、その一端部に形成された第5の連結穴220Lと、その他端部に形成された第6の連結穴221Lとを備える。
第1の右手側プレート21Rの一端部は、図9(a)に示すように、起伏ブーム7が格納位置(図1の位置)にある、ブーム格納状態のときのみに限って、コラム5に形成された第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rに対して、第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rが側面視で各々の中心軸が軸方向に丁度重なり合う同軸位置に配置される。
具体的に、第1−1のピン穴52R及び第2−1のピン穴210Rの組である第1のピン穴対と、第1−2のピン穴53R及び第2−2のピン穴211Rの組である第2のピン穴対と、第1−3のピン穴54R及び第2−3のピン穴212Rの組である第3のピン穴対とで各組の穴位置が軸方向に同軸で重なるように配置されている。
また、第1の左手側プレート21Lの一端部は、図9(b)に示すように、起伏ブーム7が格納位置にある、ブーム格納状態のときのみに限り、コラム5に形成された第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lに対して、第2−4〜第2−6のピン穴210L〜212Lが側面視で各々の中心軸が軸方向に丁度重なり合う同軸位置に配置される。
具体的に、第1−4のピン穴52L及び第2−4のピン穴210Lの組である第4のピン穴対と、第1−5のピン穴53L及び第2−5のピン穴211Lの組である第5のピン穴対と、第1−6のピン穴54L及び第2−6のピン穴212Lの組である第6のピン穴対とで各組の穴位置が軸方向に同軸で重なるように配置されている。
そして、第1の右手側プレート21Rは、図9(a)に示すように、第1〜第3のピン穴対のいずれかに第1の角度規制ピン23Rが差し込まれることで、差し込まれた第1の角度規制ピン23Rを回転軸としてその軸回りに回転自在に軸支される。
また、第1の左手側プレート21Lは、図9(b)に示すように、第4〜第6のピン穴対のいずれかに第2の角度規制ピン23Lが差し込まれることで、差し込まれた第2の角度規制ピン23Lを回転軸としてその軸回りに回転自在に軸支される。
なお、図9(a)及び(b)の例では、第1のピン穴対に第1の角度規制ピン23Rが差し込まれ、第4のピン穴対に第2の角度規制ピン23Lが差し込まれた場合を示している。
ここで、本実施形態の起立角度規制装置は、起伏ブーム7が格納位置にあるときに、オペレータが、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを差し込むピン穴対の位置によって、起伏ブーム7の起立角度を、予め設定された異なる3種類の第1〜第3の起立角度のうちから所望の角度に選択することが可能に構成されている。具体的に、第1及び第4のピン穴対が第1の起立角度に対応し、第2及び第5のピン穴対が第2の起立角度に対応し、第3及び第6のピン穴対が第3の起立角度に対応している。
また、以下、第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rと、第2−4〜第2−6のピン穴210L〜212Lとを、総じて「第2−1〜第2−6のピン穴210R〜212L」と略記する場合がある。
また、本実施形態では、各ピン穴対で軸方向に穴位置が重なるように配置された第1の右手側プレート21Rの下端側には、図9(a)に示すように、第1のプレート51Rの側面部上に、第1の支持部500a及び第2の支持部500bが突設されている。同様に、第1の左手側プレート21Lの下端側には、図9(b)に示すように、第2のプレート51Lの側面部上に、第3の支持部500c及び第4の支持部500dが突設されている。
第1〜第4の支持部500a〜500dはいずれも、プレートの側面部上に突設されたブロック部と、このブロック部を貫通して設けられた雌ねじ部と、この雌ねじ部に下方からねじ込まれたボルト部と、雌ねじ部を介してブロック部の上方に飛び出たボルト部の先端部に螺合されたナット部とを備える。
第1及び第3の支持部500a及び500cは、図9(a)及び(b)に示すように、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの他端部寄りの位置の下側に設けられている。そして、その軸方向を第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの下端部と直交する方向に向けて、かつ下端部にボルト部の先端部が当接可能に設けられている。
また、第2及び第4の支持部500b及び500dは、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの一端部寄りの位置でかつピン穴の位置よりも中央側の位置の下側に設けられている。そして、その軸方向を第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの下端部と直交する方向に向けて、かつ下端部にボルト部の先端部が当接可能に設けられている。
即ち、第1〜第4の支持部500a〜500dは、起伏ブーム7がブーム格納状態のときに限って、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの下端部を下方からずれ落ちることなく支持する置台である。よって、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが差し込まれていないときでも各組の穴同士の中心軸が同軸に重なり、ピンを差し込み可能な連通状態に維持することが可能である。
また、組立時の誤差等によって穴位置がずれていた場合でも、第1〜第4の支持部500a〜500dのボルト部のねじ込み量を調節することによって、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの支持位置を調整して穴位置を補正することも可能となっている。本実施形態の支持部では、第1及び第3の支持部500a及び500cによって、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの横方向の支持位置を調節することが可能である。加えて、第2及び第4の支持部500b及び500dによって、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの高さ方向の支持位置を調節することが可能である。
更に、図9(a)に示すように、第1の右手側プレート21Rの他端部には、第2の右手側プレート22Rの一端部が、第1の連結穴213R及び第2の連結穴220Rに挿通された第1の連結ピン24Rを介して軸支されている。具体的に、第2の右手側プレート22Rは、第1の連結ピン24Rを回転軸としてその軸回りに回転自在に連結されている。
また、図9(b)に示すように、第1の左手側プレート21Lの他端部には、第2の左手側プレート22Lの一端部が、第4の連結穴213L及び第5の連結穴220Lに挿通された第2の連結ピン24Lを介して軸支されている。具体的に、第2の左手側プレート22Lは、第2の連結ピン24Lを回転軸としてその軸回りに回転自在に連結されている。
更に、図9(a)に示すように、第2の右手側プレート22Rの他端部は、基端側ブラケット40の第1の接続部40aの右手側に、第3の連結穴221R及び第1の接続部40aに設けられた連結穴(図示略)に挿通された第3の連結ピン25を介して軸支されている。具体的に、第2の右手側プレート22Rは、第3の連結ピン25を回転軸としてその軸回りに回転自在に接続されている。
また、図9(b)に示すように、第2の左手側プレート22Lの他端部は、基端側ブラケット40の第1の接続部40aの左手側に、第6の連結穴221L及び第1の接続部40aに設けられた連結穴(図示略)に挿通された第3の連結ピン25を介して軸支されている。具体的に、第2の左手側プレート22Lとは、第3の連結ピン25を回転軸としてその軸回りに回転自在に接続されている。
第1の起立角度規制部材20Rは、図9(a)に示すように、起伏ブーム7がブーム格納状態のときにおいて、第1の右手側プレート21R及び第2の右手側プレート22Rが、その連結部を中心として「逆くの字」状に折れ曲がった状態となるように構成されている。
同様に、第2の起立角度規制部材20Lは、図9(b)に示すように、起伏ブーム7がブーム格納状態のときにおいて、第1の左手側プレート21L及び第2の左手側プレート22Lが、その連結部を中心として「くの字」状に折れ曲がった状態となるように構成されている。
また、上記構成によって、起伏ブーム7がブーム格納状態の姿勢において、起伏ブーム7を挟んで、上方側に第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lの他端部の回転軸(第3の連結ピン25)が配され、下方側に第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lのチューブ側の先端部の回転軸(第2のシリンダピン341)が配される。加えて、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lのロッド側の先端部の回転軸(第1のシリンダピン340)が、コラム5の前端部側(第2及び第4の縦板部51Rb及び51Lb)に配され、第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54Lが、コラム5の後端部側(第1及び第3の縦板部51Ra及び51La)に配される。
(第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54Lの形成位置の設計手順)
次に、起伏ブーム7の起立角度を目的の起立角度に規制するための第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54Lの形成位置の設計手順について説明する。
なお、ブームフートピン75の位置、原動部15のエンジンカバー、折曲げブーム8等の周辺の他の装置の位置は予め決定されているものとする。
以下、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rの形成位置の設計手順について詳しく説明する。
最初に、必要な起伏ブーム7の起立角度を決定する。本実施形態では、第1、第2及び第3の起立角度として、95°、90°及び85°の3種類の起立角度を決定する。
次に、図11(a)に示すように、原動部15を構成するエンジンカバーや折曲げブーム8等の周辺の他の装置との取り合いから、起伏ブーム7側の第3の連結ピン25のおおよその位置(軸心位置b)を決定する。
次に、決定した軸心位置bと、既知のブームフートピン75の軸心位置とから、まずは、起立角度95°に対応する第1−1のピン穴52Rの位置を決定する。
ここで、ブームフートピン75周りのモーメント(既知)をMと仮設定し、第3の連結ピン25の軸心と第1の角度規制ピン23Rの軸心とを結ぶ直線と、該直線とブームフートピン75の軸心位置とが直角に交わるときの直線距離である第1の距離Bを仮設定する。そして、第1−1のピン穴52Rに差し込まれた第1の角度規制ピン23Rにかかる引っ張り力Fを、下式(1)に基づき決定する。
F=M/B ・・・(1)
なお、タワークレーン1は、図16に示す作業姿勢を一例として説明すると、車両前方側に折曲げられた折曲げブーム8の先端に吊されたフック14を介して荷を吊るして荷役作業を行う。そのため、荷を吊った際に起伏ブーム7には車両前方側に引っ張られる力がかかり、その結果、第1の起立角度規制部材20Rには、引っ張り力Fが発生する。
ここで、上式(1)に示すように、第1の距離Bが短いほど第1の角度規制ピン23Rにかかる引っ張り力Fは大きくなり、第1の距離Bが長いほど第1の角度規制ピン23Rにかかる引っ張り力Fは小さくなる。その一方で、第1の距離Bが短いほど第1の起立角度規制部材20Rをコンパクトに設けることが可能となり、第1の距離Bが長いほど第1の起立角度規制部材20Rを設けるためのスペースが大きくなる。
本実施形態では、許容可能な引っ張り力Fの範囲で可能な限り第1の距離Bを短い距離に設定する。
更に、第1の角度規制ピン23Rの剪断応力をτとし、ピン断面積をAとし、引っ張り力F以外に考慮すべき第1の角度規制ピン23Rにかかる応力(既知)をkとすると、剪断応力τは、下式(2)から計算できる。
τ=F/A+k ・・・(2)
上式(2)から、剪断応力τが予め設定した許容応力よりも小さくなるときのピン断面積Aを求めて、第1の角度規制ピン23Rのピン径及び第1−1のピン穴52Rの穴径(内径)を決定する。そして、第1−1のピン穴52Rの軸心位置を図11(a)中のa1点に決定する。
ここで、第1−1のピン穴52Rの軸心位置a1は、第1の起立角度規制部材20Rをコラム5に取り付け易く、かつオペレータがピンを嵌脱し易い位置に決定することが望ましい。本実施形態では、軸心位置a1を、格納状態の起伏ブーム7よりも下側となるコラム5の第2の縦板部51Rbの上部に決定する。
次に、第1の右手側プレート21R及び第2の右手側プレート22Rの長さを決定する。ここで、図11(a)に示すように、起立角度95°のときに第1の起立角度規制部材20Rが直線状となったときの、第3の連結ピン25の軸心位置と、決定した第1−1のピン穴52Rの軸心位置a1との間の直線距離をDとする。
更に、起立角度95°のときの第1−1のピン穴52Rの軸心位置a1と第1の連結ピン24Rの軸心位置との間の長さを第1−1のリンク長r11と仮設定する。加えて、第1の連結ピン24Rの軸心位置と第3の連結ピン25の軸心位置との間の長さを第2のリンク長r2と仮設定すると、第2のリンク長r2は、直線距離Dと第1−1のリンク長r11とから下式(3)で表すことができる。
r2=D−r11 ・・・(3)
ここで、起伏ブーム7の起伏動作と連動する第1の起立角度規制部材20Rにおける、図11(c)に示す、第1の右手側プレート21Rと第2の右手側プレート22Rとの連結点Pの最大径が描く軌跡が、側面視でブームフートピン75と干渉しない様にすると、横幅方向にて第1の起立角度規制部材20Rをコラム5に、より接近させることが可能となる。一般的にブームフートピン75はブーム起伏時、ともに回動しないよう回り止め具(図示略)が設けられている。第1の起立角度規制部材20Rがその厚み分から避けるよう、第2のリンク長r2が描く弧がブームフートピン75よりも径の内側になるように連結点Pの軌跡を考慮すると、第1の起立角度規制部材20Rとコラム5とが接近する効果として、第2−1のピン穴210Rの全長を短く抑えることが出来て、ピンに掛かるせん断力による破断防止のための隙間対策を施したボスも大掛かりでなくなるという利点を得る。このことを考慮して、本実施形態では、上式(3)から、r11を変数として、a1点を中心とした半径r11の円と、b点を中心とした半径r2の円との交点の軌跡上に分割点を設定して第1−1のリンク長r11及び第2のリンク長r2を決定する。
具体的に、図11(b)に示すように、第1−1のリンク長r11がr111のときの円と第2のリンク長r2がr21のときの円との交点、第1−1のリンク長r11がr112(r111<r112)のときの円と第2のリンク長r2がr22のときの円との交点を求める。加えて、第1−1のリンク長r11がr113(r112<r113)のときの円と第2のリンク長r2がr23のときの円との交点、・・・といったように第1−1のリンク長r11を変えた際の交点の軌跡である第1の軌跡t1を算出する。
このように、第1−1のリンク長r11を任意に決めると第1の軌跡t1との交点から第1の右手側プレート21Rと第2の右手側プレート22Rとの接続位置が決まる。この接続位置から、図11(c)に示すように、第1−1のリンク長r11をDr11に、第2のリンク長r2をDr2に決定する。更に、連結部の軸心位置である連結点をPとする。
本実施形態では、第1の右手側プレート21Rの一端部側、即ちコラム5側にピン穴を設けたので、可変する起立角度に対応した第1の角度規制ピン23Rを差し込むピン穴の位置によらずに、第2のリンク長r2はDr2で一定となる。ここで、図11(c)中の実線の直線は第1の右手側プレート21Rの第1−1のリンク長r11に対応する部分を示し、破線の直線は第2の右手側プレート22Rの第2のリンク長r2に対応する部分を示す。
また、第3の連結ピン25の軸心位置は、起伏ブーム7が伏動作時は、図11(a)に示すように、軌道O1に沿ってb点まで移動する。このとき、第1の起立角度規制部材20Rは、図11(c)に示すように、第1の右手側プレート21Rと第2の右手側プレート22Rとの連結点P(第1の連結ピン24Rの軸心位置)を中心に「逆くの字」状に折れ曲がった状態となる。
これは、リンクを構成する各プレートの自重によるものであり、本実施形態の第1の起立角度規制部材20Rでは、第1の右手側プレート21Rの方が第2の右手側プレート22Rよりも重く構成されている。そのため、連結点Pが上方にせり上がる方向には可動しない。
次に、起立角度85°に対応する第1−3のピン穴54Rの形成位置を決定する。
ここで、第2のリンク長r2はDr2に既に決まっており、また、本実施形態では、起伏ブーム7がブーム格納状態のときのP点の位置を固定とする。なお、P点の位置を固定とするのは、起伏ブーム7がブーム格納状態のときにおいて、第1〜第3のピン穴対を、いずれも第1の角度規制ピン23Rを差し込み可能な状態とするためである。
このことを踏まえて、まず、決定した第1の角度規制ピン23Rのピン径に基づきピン穴の強度計算を行って、図12(a)に示すように、既に決定した第1−1のピン穴52Rの軸心位置a1と、新たに決定する第1−3のピン穴54Rの軸心位置a3との間のピン間距離Rbを決定する。ここで、第1の角度規制ピン23Rにかかる引っ張り力Fが大きいほどピン径が大きくなり、ピン径が大きくなるほどボスを含めた外径もより大きくせざるを得ないため、ピン間距離Rbは長くなる。即ち、ピン間距離Rbは、ピン穴の強度に係わり、短過ぎるとピン穴間の肉厚が薄くなって強度が弱くなり、長過ぎると強度は強くなるがピン穴や起立角度規制部材等をコンパクトに配置できなくなる。従って、本実施形態では、コンパクトさを優先して、許容強度の範囲で穴位置が重ならない程度に出来るだけ短い距離に設定する。そして、第1−1のピン穴52Rの軸心位置a1を中心とした半径Rbの円を設定する。
次に、起伏ブーム7が起立角度85°で起立時の第3の連結ピン25の軸心位置を中心とした半径Dr2の円を設定する。
そして、半径Dr2の円に接しかつP点を通る円の中心の軌跡である第2の軌跡t2と、半径Rbの円とが接する(または交わる)位置を第1−3のピン穴54Rの軸心位置a3として固定する。このときのP点を通る円の半径r13が、第2−3のピン穴212R及び第1−3のピン穴54Rに差し込まれた第1の角度規制ピン23Rの軸心位置と第1の連結ピン24Rの軸心位置との間の長さ(以下、「第1−3のリンク長r13」と記載する)となる。
具体的に、図12(b)に示すように、半径Dr2の円と接し、かつP点を通る半径r131の円の中心、半径Dr2の円と接し、かつP点を通る半径r132の円の中心、半径Dr2の円と接し、かつP点を通る半径r133の円の中心、・・・といったように第1−3のリンク長r13を可変した際の第2の軌跡t2を算出する。そして、この第2の軌跡t2と半径Rbの円とが接する位置を第1−3のピン穴54Rの軸心位置a3とする。なお、半径Rbが小さくて、第2の軌跡t2との接点が無い場合は、第2の軌跡t2上の任意の位置を軸心位置a3とすることが可能である。
また、図示省略するが、起立角度90°に対応する第1−2のピン穴53Rの形成位置についても、上記起立角度85°のときと同様の手順で決定する。この場合、起立角度90°で起立時の第3の連結ピン25の軸心位置を中心とした半径Dr2の円を設定する。そして、この円に接しかつP点を通る円の中心の軌跡である第3の軌跡t3と、第1−1のピン穴52Rの軸心位置a1及び第1−3のピン穴53Rの軸心位置a3をそれぞれ中心とした半径Rbの円とが接する位置を第1−2のピン穴53Rの軸心位置a2として決定する。このときのP点を通る円の半径r12が、第2−2のピン穴211R及び第1−2のピン穴53Rに差し込まれた第1の角度規制ピン23Rの軸心位置と第1の連結ピン24Rの軸心位置との間の長さ(以下、「第1−2のリンク長r12」と記載する)となる。
以上のようにして、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rの形成位置を決定する。
更に、第1、第2及び第3の起立角度95°、90°及び85°の3つのピン穴の位置が決まると、コラム5の第1のプレート51Rの第2の縦板部51Rbの形状が決定する。
次に、コラム5と第1の起立角度規制部材20Rとの組み合わせを検討する。そして、図12(c)に示すように、起伏ブーム7がブーム格納状態のときにコラム5側の3つのピン穴の中心軸(第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rの位置)と、第1の右手側プレート21R側の3つのピン穴の中心軸(第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rの位置)とが各々同軸となるように第1及び第2の支持部500a及び500bの位置調節を行う。
なお、第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lの形成位置は、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rの形成位置が左右対称となり裏返しの位置となるため、同様に求めることが可能である。また、第2のプレート51L、第3及び第4の支持部500c及び500dについても同様である。よって、説明を省略する。
(起伏ブーム7の起立動作)
次に、起伏ブーム7の起立動作について説明する。
ここで、図9(a)及び(b)の例は、起立角度95°に対応する第1及び第4のピン穴対に第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが差し込まれている状態を示す。
また、図9(a)及び(b)に示す格納状態では、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lの抜き差しが可能な状態となっている。そのため、オペレータは、所望の起立角度に対応するピン穴対を選択して、選択したピン穴対に第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを差し込むことで、起伏ブーム7を所望の起立角度で起立させることが可能である。
以下、右手側から見た場合の起伏ブーム7がブーム格納状態から各起立角度での起立状態へと移行する動作である起立動作について説明する。
まず、起立角度95°の起立状態への起立動作について説明する。
最初に、第3の電磁切換弁860を起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34側に切り換える。この切換操作は、オペレータが操作部11の起伏ブーム切換スイッチ(図示略)を、起伏ブーム起伏操作モード側に切り換えることで行う。
次に、図9(a)に示す起伏ブーム7の格納状態及び第1の角度規制ピン23Rの差し込み状態で起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34を伸長方向に駆動すると、起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34が伸長し、起伏ブーム7が起方向に回動する。これにより、図13(a)に示すように、第1の角度規制ピン23Rが固定軸、第3の連結ピン25が可動軸となり、起伏ブーム7の起立に同調して、第1の右手側プレート21R及び第2の右手側プレート22Rを引き延ばす。
その結果、第1の起立角度規制部材20Rが、図13(b)に示すように、やがて直線状となってコラム5と起伏ブーム7との間で斜めに突っ張り、起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34の伸長動作に対して、第1の右手側プレート21R及び第2の右手側プレート22Rがそれ以上回動しない状態となる。即ち、この状態では、起伏ブーム7が95°の起立角度に規制される。
このとき、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lはストロークエンドまでには達していない。つまり、起伏ブーム7が吊荷によって倒伏側へ掛かるモーメントMは、リンク(起立角度規制部材)に掛かる張力としてのみ受けており、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34L側には伝わっていない。なお、万が一、どちらか一方の起立角度規制部材が破損など不具合を起こした場合でも、もう片側の起立角度規制部材でモーメントMを受けることとなる。さらに両側の起立角度規制部材が破損した場合でも、今度は起伏ブーム7のモーメントMを第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lで受けることとなり、安全性確保のために二重三重のフェールセーフ構造となっている。
また、この状態における、第1のピン穴対に差し込まれた第1の角度規制ピン23Rの軸心と、第2の右手側プレート22Rの他端部側の第3の連結ピン25の軸心との間の直線距離をD1とする。
ここで、図9(a)に示す格納状態で第1の角度規制ピン23Rの差し込み位置を第2のピン穴対(90°に対応)の位置とした場合の起立動作については、図14(a)及び図14(b)に示すように、コラム5側の回転軸の位置が第2のピン穴対の位置となるだけで、第1のピン穴対(95°に対応)のときと同様の動作となるため説明を省略する。この起立動作によって、図14(b)に示すように、起伏ブーム7が90°の起立角度に規制される。
この状態における、第2のピン穴対に差し込まれた第1の角度規制ピン23Rの軸心と、第2の右手側プレート22Rの他端部側の第3の連結ピン25の軸心との間の直線距離をD2とする。
この直線距離D2は、直線距離D1よりも短くなっている(D2<D1)。そのため、第1のピン穴対に第1の角度規制ピン23Rを差し込んだときと比較して、直線状となったときの第2の右手側プレート22Rの他端部(第3の連結穴221R)の到達位置がより高い位置となる。但し、直線距離D1よりも短い状態で、より高い位置となるため、第3の連結穴221Rの前方への到達位置は第1のピン穴対のときよりも後方側となる。
また、図9(a)に示す格納状態で第1の角度規制ピン23Rの差し込み位置を第3のピン穴対(85°に対応)の位置とした場合の起立動作についても、図15(a)及び図15(b)に示すように、コラム5側の回転軸の位置が第3のピン穴対の位置となるだけで、第1のピン穴対(95°に対応)のときと同様の動作となるため説明を省略する。この起立動作によって、図15(b)に示すように、起伏ブーム7が85°の起立角度に規制される。
この状態における、第3のピン穴対に差し込まれた第1の角度規制ピン23Rの軸心と、第2の右手側プレート22Rの他端部側の第3の連結ピン25の軸心との間の直線距離をD3とする。
この直線距離D3は、直線距離D2よりも長くなっている(D2<D3)。但し、本実施形態では、第3のピン穴対の位置は、第1及び第2のピン穴対よりも低い位置となっている。そのため、第2のピン穴対に第1の角度規制ピン23Rを差し込んだときと比較して、直線状となったときの第2の右手側プレート22Rの他端部(第3の連結穴221R)の到達位置が低い位置となる。加えて、直線距離D2よりも長い状態で、より低い位置へと位置するため、第3の連結穴221Rの前方への到達位置は第2のピン穴対よりも後方側となる。
即ち、本実施形態では、図13(b)、図14(b)及び図15(b)に示すように、第2のリンク長はDr2で一定となっており、第1−1〜第1−3のリンク長r11〜r13はそれぞれ異なる長さ(Dr11〜Dr13)となっている。これは、本実施形態では、コラム5に第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rを設け、第1の右手側プレート21Rの一端部側に第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rを設け、この一端部側にて、ピンを差し込むピン穴対の位置を選択するように構成しているためである。つまり、ピンを差し込むピン穴対の位置によって、第1の右手側プレート21Rの一端部側で回転軸の位置が変化するため、第1の右手側プレート21Rの軸間距離が変化する。その結果、直線距離D1〜D3がそれぞれ異なる長さとなって、第2の右手側プレート22Rの他端部(第3の連結穴221R)の到達位置が変化する。
ここで、本実施形態のタワークレーン1は、図10に示すように、起伏ブーム7を起立状態にすると共に、折曲げブーム8を、その先端が前方に向くように折り曲げた姿勢で作業を行う。
加えて、本実施形態の起伏ブーム7及び折曲げブーム8は、伸縮式のブームから構成されている。そのため、図16に示すように、作業時は、起立状態の起伏ブーム7を伸長することで、吊荷の揚程高さをより高く確保することが可能となり、折り曲げ状態の折曲げブーム8を伸長することでより前方の荷を吊ることが可能となる。
ここで、吊荷の揚程高さは、起立状態の起伏ブーム7の最伸長に加え、折曲げブーム8を最伸長した状態で最大起立状態になるよう、これらを組み合わせることで、最も高く吊荷を持ち上げることが出来る。
更に、本実施形態のタワークレーン1は、起伏ブーム7の起立角度を95°、90°及び85°の3種類のうちから選択することが可能である。そのため、3種類の起立角度から作業環境に合った起立角度を選択して作業することが可能である。
具体的に、図10に示すように、起立角度90°のときは、起伏ブーム7が前後に傾かずに直立し、起立角度95°のときは、起伏ブーム7が前方側に5°傾いて起立し、起立角度85°のときは、起伏ブーム7が後方側に5°傾いて起立した状態となる。
そのため、起立角度90°を基準として、起立角度95°では、折曲げブーム8の先端部が、より前方へと届き、吊荷作業時に、より前方側で荷を吊ることが可能となる。また、起立角度85°のときは、起伏ブーム7が、コラム5の旋回中心の真上に位置する。そのため、建物の中にタワークレーン1を配置して、屋根に設けた開口部からブームを突き出して作業を行う場合に、開口部の径を小さくすることが可能となる。また、起立角度95°及び90°のときよりも大きい質量の荷を吊ることが可能である。
以上、右手側から見た場合の起伏ブーム7のブーム格納状態から各起立角度への起立動作について説明したが、左手側から見た場合の起立動作についても左右対称となり裏返しとなるだけで同様の動作となる。よって、説明を省略する。
また、本実施形態では、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lが直線状となるときに、起伏ブーム7を挟んで前方側に第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lの他端部の回転軸(第3の連結ピン25)が配された構成となっている。加えて、起伏ブーム7を挟んで後方側に第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lのチューブ側の先端部の回転軸(第2のシリンダピン341)が配される構成となっている。更に、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lのロッド側の先端部の回転軸(第1のシリンダピン340)が、コラム5の前端部側(第2及び第4の縦板部51Rb及び51Lb)に配された構成となっている。更に、第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54Lのうち右手側及び左手側とで同じ起立角度のピン穴に差し込まれた第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが、コラム5の後端部側(第1及び第3の縦板部51Ra及び51La)に配された構成となっている。
即ち、第1のシリンダピン340と第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54Lとは、第3の連結ピン25と第2のシリンダピン341との位置関係に対して、第1のシリンダピン340が第3の連結ピン25側に、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが第2のシリンダピン341側に配された構成となっている。
そして、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lを伸長することで、起伏ブーム7が起立方向に回動する構成となっている。
その結果、図13(b)、図14(b)及び図15(b)に示すように、起立角度が規制されている状態では、直線状となった第1の起立角度規制部材20Rと、伸長状態の第1の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Rとが、側面視で、アルファベットの「X」を描くがごとく交差した状態となる。このことは、左手側の第2の起立角度規制部材20Lと、第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Lとについても同様となる。
このように、起立状態時に「X」を描く配置関係とすることで、起伏ブーム7の周囲に起立角度規制部材20及び起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34を集約することが可能となる。その結果、建物内などの狭い場所での作業時などに作業者の視線を遮りにくくなって視認性を向上することが可能となる。
(ブーム起伏動作制御装置の構成)
次に、本実施形態に係るブーム起伏動作制御装置について説明する。
ここで、図17(a)に示すように、第1のプレート51Rの第2の縦板部51Rbの内側面には、第1のセンサ支持部材150Rを介して、第1−1〜第1−3の挿通孔52Ra〜54Raの近傍に、第1の近接スイッチ56R、第2の近接スイッチ57R及び第3の近接スイッチ58Rが設けられている。
具体的に、第1−1の挿通孔52Raの開口部の近傍に、第1の近接スイッチ56Rがその検知部を開口部の方向に向けて配置され、第1−2の挿通孔53Raの開口部の近傍に、第2の近接スイッチ57Rがその検知部を開口部の方向に向けて配置され、第1−3の挿通孔54Raの開口部の近傍に、第3の近接スイッチ58Rがその検知部を開口部の方向に向けて配置されている。
また、図17(b)に示すように、第2のプレート51Lの第4の縦板部51Lbの内側面には、第2のセンサ支持部材150Lを介して、第1−4〜第1−6の挿通孔52La〜54Laの各開口部の近傍に、第4の近接スイッチ56L、第5の近接スイッチ57L及び第6の近接スイッチ58Lが設けられている。
具体的に、第1−4の挿通孔52Laの開口部の近傍に、第4の近接スイッチ56Lがその検知部を開口部の方向に向けて配置され、第1−5の挿通孔53Laの開口部の近傍に、第5の近接スイッチ57Lがその検知部を開口部の方向に向けて配置され、第1−6の挿通孔54Laの開口部の近傍に、第6の近接スイッチ58Lがその検知部を開口部の方向に向けて配置されている。
本実施形態では、省スペース化を優先して、図7(a)及び(b)に示すように、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lが、第1及び第2のプレート51R及び51Lの間に配置されている。そして、この第1及び第2のプレート51R及び51Lに挟まれた空間内を通って、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lが上下方向に回動する。
即ち、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lは、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54R及び第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lの軸線と交差する軌道で移動する。
そのため、例えば、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rのいずれか1つと、これと同心の第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lのいずれか1つとに、共通の1本の長尺のピンを挿通して、このピンを回転軸とすることができない構成となっている。
従って、本実施形態では、第1のプレート51R側と、第2のプレート51L側とで、それぞれ別のピンを備えるようにした。具体的に、図18(a)及び(b)に示すように、ピン穴に差し込み時に第1の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Rと接触しない程度に短尺の第1の角度規制ピン23Rと、ピン穴に差し込み時に第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Lと接触しない程度に短尺の第2の角度規制ピン23Lとを備えるようにした。
ここで、第1の角度規制ピン23Rは、基端部に設けられた第1のハンドル23Rhと、先端部に設けられた、軸線と直交方向に進退可能な第1のプランジャボール23Rbとを有する。
第1のプランジャボール23Rbは、バネ等の弾性部材によって支持されており、外部から力を加えられていない状態で先端部の外周面から軸線と直交方向に一部が出っ張った状態となり、力が加えられると弾性部材が縮んで出っ張った部分が内側にへこむように構成されている。
即ち、オペレータが第1のハンドル23Rhを手で掴んで、いずれかのピン穴対に第1の角度規制ピン23Rを差し込むと、第1のプランジャボール23Rbが内側にへこんで、ピン穴の内周面に第1のプランジャボール23Rbの外周面が摺接した状態となる。その後、第1のプランジャボール23Rbが穴の反対側(第1のプレート51Rの内側の空間内)へと抜けると、第1のプランジャボール23Rbが弾性部材の復元力によって外側に出っ張り、第1の角度規制ピン23Rの抜けを防止する役割を果たす。
また、第2の角度規制ピン23Lは、第1の角度規制ピン23Rと同様の構成を有し、第2のハンドル23Lhと、第2のプランジャボール23Lbとを有する。
また、本実施形態において、第1の角度規制ピン23Rは、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと、第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rとの内周面と摺接する外径寸法を有している。同様に、第2の角度規制ピン23Lは、第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lと、第2−4〜第2−6のピン穴210L〜212Lとの内周面と摺接する外径寸法を有している。
オペレータは、図18(a)及び(b)に示すように、第1のプレート51R及び第1の右手側プレート21Rに設けられた第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54R及び第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rのうち所望の起立角度に対応するピン穴の組に第1の角度規制ピン23Rを差し込む。同様に、第2のプレート51L及び第1の左手側プレート21Lに設けられた第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54L及び第2−4〜第2−6のピン穴210L〜212Lのうち所望の起立角度に対応するピン穴の組に第2の角度規制ピン23Lを差し込む。
ここで、図18(a)及び(b)の例では、起立角度95°に対応する第1−1のピン穴52R及び第2−1のピン穴210Rの組と、第1−4のピン穴52L及び第2−4のピン穴210Lの組とに第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが差し込まれている状態を示す。
このとき、図18(b)に示すように、差し込まれた第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lの先端部は、第1及び第2のプランジャボール23Rb及び23Lbと共に第1及び第2のプレート51R及び51Lの対向する内側に突出する。
即ち、図19に示すように、第1の角度規制ピン23Rは、第2−1のピン穴210Rを通り抜けた後に第1−1のピン穴52Rを通って、その先端部が第1のプレート51Rの内側面側へと到達する。同様に、第2の角度規制ピン23Lは、第2−4のピン穴210Lを通り抜けた後に第1−4のピン穴52Lを通って、その先端部が第2のプレート51Lの内側面側へと到達する。
ここで、第1〜第3の近接スイッチ56R〜58R及び第4〜第6の近接スイッチ56L〜58Lは、各対応するピン穴から内側に突出したピンの先端部を検知するように構成されており、この検知結果を示す検知信号SW1〜SW6を、不図示の信号線を介してコントローラ160に送信するように構成されている。
図18(b)及び図19の例では、第2−1のピン穴210R及び第1−1のピン穴52R(第1のピン穴対)に差し込まれた第1の角度規制ピン23Rの先端部が、第1の近接スイッチ56Rによって検知される。加えて、第2−4のピン穴210L及び第1−4のピン穴52L(第4のピン穴対)に差し込まれた第2の角度規制ピン23Lの先端部が、第4の近接スイッチ56Lによって検知される。そして、これら検知結果を示す検知信号SW1及びSW4が、コントローラ160に送信される。なお、他の近接スイッチでは、検知なしとなって、そのことを示す検知信号SW2、SW3、SW5及びSW6が、コントローラ160に送信される。
コントローラ160は、第1〜第3の近接スイッチ56R〜58R及び第4〜第6の近接スイッチ56L〜58Lから送信されてくる検知信号SW1〜SW6に基づき、どの位置のピン穴対にピンが差し込まれているか、又は差し込まれていないかを判定する。そして、この判定結果に基づき、起伏ブーム7の起伏動作を制御する。
なお、図5に示すコントローラ160と、図17(a)及び(b)に示す、第1〜第3の近接スイッチ56R〜58Rと、第4〜第6の近接スイッチ56L〜58Lとから、本実施形態のブーム起伏動作制御装置が構成される。以下、第1〜第3の近接スイッチ56R〜58R及び第4〜第6の近接スイッチ56L〜58Lを、「第1〜第6の近接スイッチ56R〜58L」と略記する場合がある。
(ブーム起伏動作制御処理)
次に、コントローラ160で実行されるブーム起伏動作制御処理の処理手順について説明する。この処理は、所定のサンプリング周期で繰り返し行われる処理となる。
コントローラ160のCPUでブーム起伏動作制御処理が実行されると、まず、図20に示すように、ステップS100に移行する。
ステップS100では、コントローラ160において、第1〜第6の近接スイッチ56R〜58Lから送信されてくる検知信号SW1〜SW6に基づき、検知結果を示す情報をRAM等のメモリに読み込む。その後、ステップS102に移行する。
ステップS102では、コントローラ160において、読み込んだ情報に基づき、右手側及び左手側において、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが、同じ起立角度に対応するピン穴対のみに差し込まれているか否かを判定する。そして、差し込まれていると判定した場合(Yes)は、ステップS104に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS108に移行する。
例えば、図21(a)に示す例では、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが、同じ起立角度85°に対応する第3及び第6のピン穴対に差し込まれている。この場合は、第3の近接スイッチ58Rにて第1の角度規制ピン23Rの先端部が検知され、第6の近接スイッチ58Lにて第2の角度規制ピン23Lの先端部が検知される。従って、コントローラ160は、これらの検知結果を示す検知信号SW3及びSW6と、検知なしを示す検知信号SW1、SW2、SW4及びSW5とから、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが、同じ起立角度に対応するピン穴対のみに差し込まれていると判定する。
一方、例えば、図21(b)に示す例では、第1の角度規制ピン23Rが起立角度95°に対応する第1のピン穴対に差し込まれており、第2の角度規制ピン23Lが、起立角度85°に対応する第6のピン穴対に差し込まれている。この場合は、第1の近接スイッチ56Rにて第1の角度規制ピン23Rの先端部が検知され、第6の近接スイッチ58Lにて第2の角度規制ピン23Lの先端部が検知される。従って、コントローラ160は、これらの検知結果を示す検知信号SW1及びSW6と、検知なしを示す検知信号SW2〜SW5とから、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが、同じ起立角度に対応するピン穴対のみに差し込まれていないと判定する。
本実施形態では、検知結果の組み合わせから、差し違えた場合だけでなく、ピンが一本も差し込まれていない場合、ピンが一本しか差し込まれていない場合、ピンが三本以上差し込まれている場合も検出可能である。これらの場合は、いずれも同じ起立角度に対応するピン穴対のみに差し込まれていないと判定する。
ステップS104に移行した場合は、コントローラ160において、起伏ブーム7の作動を許可するフラグを設定して、ステップS106に移行する。
例えば、図21(a)に示す例では、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lが、同じ起立角度85°に対応する第3及び第6のピン穴対のみに差し込まれた第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを回転軸として正常に回動することが可能な状態となる。そのため、このような状態の場合に起伏ブーム7の起伏動作を許可する。
ステップS106では、コントローラ160において、起伏ブーム7の起伏動作を含む各種作動内容に対応する操作入力に対して、各種油圧アクチュエータを制御する作動制御処理を実行する。その後、一連の処理を終了する。
一方、ステップS102において、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが、同じ起立角度に対応するピン穴対のみに差し込まれていないと判定されてステップS108に移行した場合は、コントローラ160において、起伏ブーム7の作動を禁止するフラグを設定する。その後、ステップS110に移行する。
例えば、図21(b)に示す例では、それぞれ異なる起立角度に対応するピン穴対に差し込まれた第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを回転軸として、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lが回動することとなる。その結果、起伏ブーム7の起立角度を正常に規制することができなくなる。即ち、ピンの差し位置が食い違った状態で起伏ブーム7を起立動作させた場合、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lのうち起立角度のより小さいピン穴対に差し込まれた一方が、他方が直線状となる前に直線状となってしまう。この状態では、他方が折れ曲がった状態で起立動作が完了して、直線状となった一方に引っ張り力Fの大部分がかかってしまう。このような状態では、部品の破損や思わぬ事故へとつながる恐れがあるため、起伏ブーム7の起伏動作を禁止する。
ステップS110では、コントローラ160において、起伏ブーム7の起伏動作を含む各種作動内容に対応する操作入力に対して、アンロード弁作動用ソレノイド181に作動信号Uoを送信する。その後、一連の処理を終了する。
即ち、起伏ブーム7の作動を禁止するフラグが設定されている間は、起伏ブーム7の作動に係る操作入力に対して、メインリリーフ弁180を開状態として、油圧ポンプ60の運転状態を、アンロード状態(無負荷運転状態)にする。
(ブーム載置部の構成)
次に、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lの詳細な構成を説明する。
第1のブーム載置部59Rは、図22(a)及び(b)に示すように、第1の補強部55Rの上端部に形成された第1の水平面部59Raと、第1のプレート51Rの第2の縦板部51Rbの上端部に形成された第2の水平面部59Rbとを有する。
また、第2のブーム載置部59Lは、第2の補強部55Lの上端部に形成された第3の水平面部59Laと、第2のプレート51Lの第4の縦板部51Lbの上端部に形成された第4の水平面部59Lbとを有する。
ここで、図22(a)に示すように、起伏ブーム7の両側面部には、基端側ブラケット40を介して起伏ブーム7及び折曲げブーム8を第1及び第2のブーム載置部59R及び59L上に載置するための第1の脚部70R及び第2の脚部70Lが突設されている。
第1の脚部70Rは、図9(a)及び図22(b)に示すように、基端側ブラケット40の右手側の下端寄りかつ第2の接続部40bよりも起伏ブーム7に対して基端側の位置に溶接等によって接合された、縦断面が半台形状でかつ金属製の第1の基脚部70Raと、第1の基脚部70Raの下端部に設けられた縦断面が矩形状でかつ樹脂製の第1の緩衝部70Rbとを有する。第1の緩衝部70Rbは、2本の第1のネジ70Rcにて、第1の基脚部70Raの底面にネジ止めによって固定されている。
また、第2の脚部70Lは、第1の脚部70Rと同様の構成を有し、図示省略するが、第2の基脚部70Laと、第2の緩衝部70Lbとを有する。第2の緩衝部70Lbは、2本の第2のネジ70Lcにて、第2の基脚部70Laの底面にネジ止めによって固定されている。
ここで、第1の基脚部70Ra及び第2の基脚部70Laの底面は、起伏ブーム7の下面と面一となるように構成されている。従って、第1の緩衝部70Rb及び第2の緩衝部70Lbは、起伏ブーム7の下面よりも下側に突出した状態となる。
そして、起伏ブーム7及び折曲げブーム8を第1のブーム載置部59Rに載置する際は、図23(a)及び(b)に示すように、起伏ブーム7を伏方向に回動させて、第1の脚部70Rの第1の緩衝部70Rbの下面を、第1の水平面部59Ra及び第2の水平面部59Rb上に接した状態で第1の脚部70Rを載置する。このことは、第2のブーム載置部59L側も同様であり、図示省略するが、第2の脚部70Lの第2の緩衝部70Lbの下面を、第3の水平面部59La及び第4の水平面部59Lb上に接した状態で第2の脚部70Lを載置する。
なお、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lは、コラム5と一体的(兼用)に形成されている。そのため、図24(a)及び(b)に示すように、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lに第1の脚部70R及び第2の脚部70Lを載置させた状態、即ち起伏ブーム7の格納状態時の姿勢のままで、起伏ブーム7を旋回させることが可能である。
ここで、本実施形態において、タワークレーン1が作業機に対応し、起伏ブーム7がブームに対応する。
また、本実施形態において、第1及び第2のプレート51R及び51Lがポスト部に対応し、第1の縦板部51Ra及び第3の縦板部51Laの上部がブーム支持部に対応し、第1のブーム載置部59R及び第2のブーム載置部59Lがブーム載置部に対応する。
また、本実施形態において、第1の脚部70R及び第2の脚部70Lが脚部に対応し、第1及び第2の緩衝部70Rb及び70Lbが緩衝部材に対応する。
(実施形態の作用及び効果)
本実施形態に係るコラム5は、ベースプレート50と、ベースプレート50の上面に立設された第1及び第2のプレート51R及び51Lと、第1及び第2の補強部55R及び55Lと、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lとを備える。
第1のプレート51Rは、第1の縦板部51Raと、第2の縦板部51Rbと、これらを接続する第1の横板部51Rcとを有し、第2のプレート51Lは、第3の縦板部51Laと、第4の縦板部51Lbと、これらを接続する第2の横板部51Lcとを有する。
第1及び第3の縦板部51Ra及び51Laは、第2及び第4の縦板部51Rb及び51Lbよりも長尺に構成され、かつ車両前方側へと突き出た構成となっている。更に、これらの上部には、同軸の貫通穴である第1及び第2のブーム支持用ピン穴74R及び74Lが形成されている。そして、起伏ブーム7の基端部を、第1及び第2のブーム支持用ピン穴74R及び74Lに挿入されたブームフートピン75を介して起伏自在になるように枢支した構成となっている。
第1のブーム載置部59Rは、第2の縦板部51Rbの上端部に形成された第1の水平面部59Raと、第1の補強部55Rの上端部に形成された第2の水平面部59Rbとを備えている。一方、第2のブーム載置部59Lは、第4の縦板部51Lbの上端部に形成された第3の水平面部59Laと、第2の補強部55Lの上端部に形成された第4の水平面部59Lbとを備えている。即ち、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lは、第1及び第2のブーム支持用ピン穴74R及び74Lよりも格納状態の起伏ブーム7の先端部寄りに位置する第2及び第4の縦板部51Rb及び51Lb並びに第1及び第2の補強部55R及び55Lの上端部に形成されている。
この構成によれば、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lをコラム5の第1及び第2のプレート51R及び51Lに形成するようにしたので、別途ブーム載置用の台(ブームレスト)を設ける必要がない。そのため、コストを低減することが可能であると共に、省スペースにブーム載置部を構成することが可能となる。
また、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lを、第1及び第2の補強部55R及び55Lで補強された部分の上端部に設けたので、起伏ブーム7及び折曲げブーム8といった重量物を支えるのに十分な強度を確保することが可能である。加えて、第1及び第2の補強部55R及び55Lの下端部をベースプレート50に接合する構成としたので、重量物を支える強度をより大きくすることが可能であると共に、荷を吊った際に生じる引っ張り力を第1及び第2の補強部55R及び55Lを伝ってベースプレート50に伝えることが可能となり、引っ張り力に対しても十分な強度を確保することが可能である。
また、本実施形態に係るタワークレーン1は、起伏ブーム7の両側面部に突設した、起伏ブーム7及び折曲げブーム8を第1及び第2のブーム載置部59R及び59L上に載置するための第1の脚部70R及び第2の脚部70Lを備える。第1の脚部70Rは、縦断面が半台形状でかつ金属製の第1の基脚部70Raと、第1の基脚部70Raの下端部に設けられた縦断面が矩形状でかつ起伏ブーム7の下面よりも下側に突出した樹脂製の第1の緩衝部70Rbとを有する。第2の脚部70Lは、縦断面が半台形状でかつ金属製の第2の基脚部70Laと、第2の基脚部70Laの下端部に設けられた縦断面が矩形状でかつ起伏ブーム7の下面よりも下側に突出した樹脂製の第2の緩衝部70Lbとを有する。
そして、起伏ブーム7をコラム5の第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lに載置する際は、起伏ブーム7を伏方向に回動させて、第1の脚部70Rの第1の緩衝部70Rbの下面を、第1の水平面部59Ra及び第2の水平面部59Rb上に接した状態で第1の脚部70Rを載置する。加えて、第2の脚部70Lの第2の緩衝部70Lbの下面を、第3の水平面部59La及び第4の水平面部59Lb上に接した状態で第2の脚部70Lを載置する。
この構成によれば、第1及び第2の脚部70R及び70Lを介して、起伏ブーム7及び折曲げブーム8を載置する構成としたので、起伏ブーム7の下面を直接ブーム載置部に載置する構成と比較して、起伏ブーム7が傷ついたり、へこんだりするのを防ぐことが可能となる。加えて、コラム5の第1及び第2のプレート51R及び51Lの間の幅よりも、起伏ブーム7の幅の方が狭い場合でも、コラム5の上端部を利用してブーム載置部を構成することが可能である。
また、第1及び第2の脚部70R及び70Lの底面(被載置面)を形成する第1及び第2の緩衝部70Rb及び70Lbを介して起伏ブーム7及び折曲げブーム8をブーム載置部に載置するようにしたので、起伏ブーム7及び折曲げブーム8を載置したことによる第1及び第2のブーム載置部59R及び59L側の塗装の剥がれを防ぐことが可能である。
一方、本実施形態に係る起立角度規制装置は、タワークレーン1の起伏ブーム7の起立角度を規制する装置であって、起伏ブーム7及びコラム5の右手側に設けられた第1の起立角度規制部材20Rと、左手側に設けられた第2の起立角度規制部材20Lとを備える。第1の起立角度規制部材20Rは、一端部がコラム5の右手側に、第1の角度規制ピン23Rを介して水平な軸回りに回転自在に支持された第1の右手側プレート21Rと、一端部が第1の右手側プレート21Rの他端部に、第1の連結ピン24Rを介して水平な軸回りに回転自在に支持されかつ他端部が起伏ブーム7の右手側に、基端側ブラケット40及び第3の連結ピン25を介して水平な軸回りに回転自在に支持された第2の右手側プレート22Rと、を有する。加えて、第2の起立角度規制部材20Lは、一端部がコラム5の左手側に、第2の角度規制ピン23Lを介して水平な軸回りに回転自在に支持された第1の左手側プレート21Lと、一端部が第1の左手側プレート21Lの他端部に、第2の連結ピン24Lを介して水平な軸回りに回転自在に支持されかつ他端部が起伏ブーム7の左手側に、基端側ブラケット40及び第3の連結ピン25を介して水平な軸回りに回転自在に支持された第2の左手側プレート22Lと、を有する。
そして、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lは、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lと第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lとの連結部を中心に折れ曲がった状態となるように構成されている。加えて、起伏ブーム7の起立方向への動作に応じた該起伏ブーム7からの張力を受けて直線状になった時点で起伏ブーム7が起立状態になると共にコラム5と起伏ブーム7との間に斜めに架け渡されて起伏ブーム7の倒伏を阻止するように構成されている。
即ち、起立角度規制部材20が直線状になると共に起伏ブーム7とコラム5との間に斜めに架け渡されることによって、起伏ブーム7の起立方向への動作に対して起立角度規制部材20が突っ張って、起伏ブーム7の起立方向へのそれ以上の動作を阻止する。これによって、起立角度を規制することが可能となる。その結果、従来のワイヤで規制する場合と比較して、ウインチ等を用いることなく低コストかつ省スペースでクレーンのブーム等の作業機の構成部材の起立角度を規制することが可能となる。
また、本実施形態に係る起立角度規制装置は、更に、コラム5の右手部を構成する第1のプレート51Rにプレート面を貫通して設けられた、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと、左手部を構成する第2のプレート51Lの第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと同心となる位置にプレート面を貫通して設けられた、第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lとを備える。
加えて、第1の右手側プレート21Rの一端部に第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと同じ相対位置関係で設けられた、プレート面を貫通する第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rを備える。更に、第1の左手側プレート21Lの一端部に第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lと同じ相対位置関係で設けられた、プレート面を貫通する第2−4〜第2−6のピン穴210L〜212Lを備える。
なお更に、第1−1〜第1−3のピン穴52R〜54Rと第2−1〜第2−3のピン穴210R〜212Rとのうち、同じ相対位置関係で同軸に重なる複数のピン穴の組(第1〜第3のピン穴対)に対して抜き差し可能に構成された第1の角度規制ピン23Rを備える。更に、第1−4〜第1−6のピン穴52L〜54Lと第2−4〜第2−6のピン穴210L〜212Lとのうち、同じ相対位置関係で同軸に重なる複数のピン穴の組(第4〜第6のピン穴対)に対して抜き差し可能に構成された第2の角度規制ピン23Lを備える。
そして、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lは、第1及び第4のピン穴対の組、第2及び第5のピン穴対の組並びに第3及び第6のピン穴対の組のうちいずれか1組のみに第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが差し込まれることで、差し込まれた第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを回転軸として、この回転軸回りに回動するように構成されている。
なお、第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54L及び第2−1〜第2−6のピン穴210R〜212Lは、起伏ブーム7が起立状態となったときに、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lが直線状となって、前記基端ブームの起立角度が、前記ピン穴対の組毎に異なる角度(実施形態では95°、90°、85°)に規制される位置関係に形成されている。
このような構成であれば、ピンを差し込むピン穴対の組み合わせによって、複数の起立角度(95°、90°、85°)のうちから所望の起立角度を選択することが可能となる。これによって、例えば、従来のウインチを操作して目視等によって起立角度を調節するような場合と比較して、ピンを差し込むだけで、起伏ブーム7を、簡易に所望の起立角度で起立させることが可能となる。
また、本実施形態に係る起立角度規制装置は、起伏ブーム7の起立角度を、垂直に起立する90°を基準に前後2つの角度85°、95°を含む3種類の角度のうちから選択可能に構成されている。
この構成であれば、用途や現場の状況に応じて、起立角度90°を基準として、折曲げブーム8の先端部がより前方へと届く95°と、屋根に設けた開口部からブームを突き出して作業を行う場合に、開口部の径をより小さくすることが可能な85°とを任意に選択することが可能となり、作業効率を向上することが可能となる。
加えて、コラム5の右手部及び左手部に第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54Lを設け、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの一端部に第2−1〜第2−6のピン穴210R〜212Lを設けた。例えば、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lと第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lとの連結部にピン穴を設けたとする。または、起伏ブーム7並びに第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lの他端部側にピン穴を設けたとする。これらの場合と比較して、より低い位置でピンの抜き差しを行うことが可能となり作業性を向上することが可能となる。
更に、起伏ブーム7がブーム格納状態の姿勢においては、第1の起立角度規制部材20Rにおける2枚のリンクである第1の右手側プレート21Rと第2の右手側プレート22Rは、逆くの字における最も接近した状態となって、各々がなす連結部の角度は、最も鋭角となる。これは第2の起立角度規制部材20Lにおいても同様である。
このことは、リンク機構はピンで軸支された節となる部分では、ピンを中心軸として自在に回動するが、それ以外のプレートの動きは可動しないよう規制されているのと同様、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lの軸回り以外の回動は規制されている。
つまり、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lの下部側の支軸ピンである第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを抜き去ったとしても、起立角度規制部材は上部を基端側ブラケット40と軸支し、また第1及び第2の連結ピン24R及び24Lでも軸支されているため、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lが機体から離れづらい。
これは、タワークレーン1が左右方向に斜めに傾くような場所で作業している状態でも、ピンを引き抜いてもリンクが機体から離れづらく、有意な点となっている。
本実施形態に係る起立角度規制装置は、更に、起伏ブーム7がブーム格納状態の姿勢において、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lの第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの下端部を下方から当接して支持する、第1及び第2のプレート51R及び51L上に設けられた第1〜第4の支持部500a〜500dを備える。加えて、第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54L及び第2−1〜第2−6のピン穴210R〜212Lと、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lとは、起伏ブーム7がブーム格納状態のときでかつ第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの下端部が第1〜第4の支持部500a〜500dにて支持されている状態において、第1〜第6のピン穴対のいずれもが、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを差し込み可能な状態となるように構成されている。
このような構成であれば、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lは、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを引き抜いた状態でも、下端部が下方から支持された状態となる。そのため、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lは、ピン穴の重なる位置よりも下方に回動することがなく、第1〜第6のピン穴対のいずれに対しても、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lを抜き差し可能な状態に維持することが可能である。なお、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lは、大きな衝撃を加える等しない限りは自重によって上方向には回動しない状態となる。
これによって、オペレータは、起伏ブーム7がブーム格納姿勢のときに、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lの抜き差しを行って、簡易に、起立角度の変更を行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る起立角度規制装置は、更に、第1−1〜第1−6のピン穴52R〜54L及び第2−1〜第2−6のピン穴210R〜212Lと、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lとが、起伏ブーム7を起伏動作時に、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lと第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lとの連結部が、コラム5の起伏ブーム7の取付位置であるブームフートピン75の位置を避ける軌道で移動するように構成されている。
ここで、プレートの連結部は2枚のプレートが重なり合いかつピンによって支持されるため連結部分が厚くなる。また、起伏ブーム7が取り付けられるブームフートピン75の位置も比較的出っ張った状態となる。また、実施形態の第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lは、ピン穴対を形成するために、コラム5に対して出来る限り近い位置に配置することが望ましい。
このことに基づいて、起伏ブーム7が起伏動作して、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lが回動したときに、プレートの連結部の軌道がブームフートピン75の位置を避けるように構成した。これにより、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lを、コラム5に対して、より近い位置に配置することが可能となり、穴位置の整合等を容易とすると共に、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lの配置スペースの省スペース化も可能となる。
ここで、タワークレーン1は、伸長時に起伏ブーム7を起立方向へと回動させかつ縮小時に起伏ブーム7を伏方向に回動させる力を付与する起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34を備えている。この起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34は、コラム5の内側の右手(第1のプレート51R)寄りに設けられた第1の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Rと、コラム5の内側の左手(第2のプレート51L)寄りに設けられた第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Lとを備える。第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lは、そのロッドの先端部がコラム5に、第1のシリンダピン340を介して水平な軸回りに回転自在に支持され、かつ、チューブの先端部が基端側ブラケット40を介して起伏ブーム7に、第2のシリンダピン341を介して水平な軸回りに回転自在に支持されている。
そして、本実施形態に係る起立角度規制装置は、更に、第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lの他端部側の回転軸(第1及び第2の連結ピン24R及び24L)と第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lのチューブの先端部側の回転軸(第2のシリンダピン341)とは、基端側ブラケット40を介して起伏ブーム7を挟んで互いに離間した位置に配置されている。加えて、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの一端部側の回転軸(第1及び第2の角度規制ピン23R及び23L)と第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lのロッドの先端部側の回転軸(第1のシリンダピン340)とは、コラム5の起伏ブーム7よりも第2のシリンダピン341側の位置に互いに離間して配置されている。更に、起伏ブーム7が起立状態において、第1及び第2の連結ピン24R及び24Lと第2のシリンダピン341との位置関係に対して、第1のシリンダピン340が第1及び第2の連結ピン24R及び24L側(コラム5の前端部側(第2及び第4の縦板部51Rb及び51Lb))に配置されている。なお更に、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが第2のシリンダピン341側(コラム5の後端部側(第1及び第3の縦板部51Ra及び51La))に配置されている。
このような構成であれば、起伏ブーム7が起立状態時に、右手側から側面視して、直線状となった第1の起立角度規制部材20Rと、伸長状態の第1の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Rとが、アルファベットの「X」を描くが如く交差する。同様に、左手側から側面視して、直線状となった第2の起立角度規制部材20Lと、伸長状態の第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34Lとが、「X」を描くが如く交差する。このように、「X」を描く配置構成とすることで、起立角度規制部材20と起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34とが起伏ブーム7の周囲に集約されて狭い場所での作業時などに作業者の視線を遮りにくくして視認性を向上することが可能となる。
また、本実施形態に係る起立角度規制装置は、更に、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lが伸長時に起伏ブーム7が起立方向に回動するように構成されている。そして、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lは、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lがそのストロークエンドまで伸長する前に直線状となるように構成されている。
このような構成であれば、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lがストロークエンドに達していない状態で、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lが直線状となって吊荷による起伏ブーム7の傾倒側のモーメントMを受けることになる。このとき、例えば、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lが双方とも破断した場合に、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lは、ストロークに余裕を残した状態でモーメントMを受けることが可能となり、ストロークエンドで受ける場合と比較して安全性を確保することが可能となる。
一方、本実施形態に係るブーム起伏動作制御装置は、上記起立角度規制装置を備えるタワークレーン1の起伏ブーム7の起伏動作を制御する装置である。このブーム起伏動作制御装置は、第1〜第6の近接スイッチ56R〜58Lが、第1〜第6のピン穴対のいずれのピン穴対に第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが差し込まれているかを検出する。コントローラ160が、第1〜第6の近接スイッチ56R〜58Lの検出結果(検知信号SW1〜SW6)に基づき、右手側と左手側とで同じ起立角度に対応するピン穴対のみに第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lが差し込まれているか否かを判定する。そして、同じ起立角度に対応するピン穴対のみに差し込まれていると判定したときに、起伏ブーム7の起伏動作を許可する。一方、同じ起立角度に対応するピン穴対のみに差し込まれていないと判定したときに、起伏ブーム7の起伏動作を禁止する。
このような構成であれば、同じ起立角度に対応するピン穴対のみにピンが差し込まれていない状態のときに、起伏ブーム7の起伏動作を禁止することが可能となる。これによって、ピンが差し込まれていない状態、一方のピン穴対にしか差し込まれていない状態、ピンを差し違えた状態等で起伏動作が行われることによる、部品の破損や思わぬ事故の発生を未然に防ぐことが可能となる。
また、本実施形態に係るタワークレーン1は、ベース4の上部に設けられたコラム5と、コラム5に起伏自在に枢支された起伏ブーム7とを備える。そして、起伏ブーム7の起立角度を規制する手段として、上記起立角度規制装置を備え、起伏ブーム7の起伏動作を制御する手段として、上記ブーム起伏動作制御装置を備える。
このような構成であれば、上記起立角度規制装置及び上記ブーム起伏動作制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
(変形例)
上記実施形態では、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lを、起伏ブーム7及び折曲げブーム8を載置するための水平面を有する構成としたが、この構成に限らない。例えば、水平面に限らず、斜面として、起伏ブーム7を斜めに支持する構成とするなど他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、第1及び第2の脚部70R及び70Lに、第1及び第2の緩衝部70Rb及び70Lbを設けることで、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lの塗装の剥がれ等を防ぐ構成とした。これに限らず、塗装の剥がれ等を防ぐ構成であれば、例えば、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lの第1及び第2の各水平面部上に緩衝部を設ける構成とするなど他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、第1及び第2の角度規制ピン23R及び23Lの2本のピンを、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの一端部側の回転軸とする構成としたが、この構成に限らない。例えば、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lの配置位置をコラム5の外側にし、第1及び第2の起立角度規制部材20R及び20Lの配置位置をコラム5の内側にするなどして、第1及び第4のピン穴対、第2及び第5のピン穴対、並びに第3及び第6のピン穴対の各組に対して共通の1本の長尺のピンを挿入し、これを回転軸とする構成としてもよい。なお、この構成とした場合に、起立角度規制部材を単体とする構成としてもよい。
また、上記実施形態では、起伏ブーム7を、第1及び第2の起伏ブーム起伏用油圧シリンダ34R及び34Lの2本のシリンダで起伏作動させる構成としたが、この構成に限らず、1本のシリンダで起伏作動させる構成としてもよい。
また、上記実施形態では、低い位置でのピンの抜き差し等の作業性を考慮して、起立角度を変更するための複数のピン穴の位置をコラム5と第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lの一端部側とに設ける構成とした。この構成に限らず、例えば、第1の右手側及び左手側プレート21R及び21Lと第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lとの連結部にそれぞれ複数のピン穴を設ける構成としてもよい。または、第2の右手側及び左手側プレート22R及び22Lの他端部とこの他端部の起伏ブーム7への取り付け位置とにそれぞれ複数のピン穴を設ける構成としてもよい。これらピン穴の位置は、いずれか1つを採用してもよいし、任意の組み合わせを採用してもよい。
また、上記実施形態では、起立角度を変更するための複数のピン穴を設けて、そこに抜き差し可能なピンを差し込む構成としたが、この構成に限らない。複数のピン穴とピンとの組み合わせは、操作性、耐久性、コスト等を考慮すると最適ではあるが、例えば、ピン位置を予め用意された複数の位置から選択可能な機構であれば、ピン位置をスライドする構成など他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、起立角度を95°、90°、85°の3種類の角度から選択可能な構成としたが、この構成に限らない。別の角度を選択可能な構成としてもよいし、2種類の起立角度又は4種類以上の起立角度から選択可能な構成としてもよい。
また、上記実施形態では、起伏ブーム7の起立動作時に、第1の連結ピン24Rと第3の連結ピン25との間の軸心間距離を一定とする構成としたが、この構成に限らない。例えば、図25(a)に示すように、第2の右手側プレート22Rを必要な起立角度に応じて長くすると共に、その第3の連結穴221Rに代えて、長手方向に沿った長穴形状の第7の連結穴222Rを設けて上記軸心間距離を可変とする構成としてもよい。
この構成とすることで、図25(b)に示すように、起伏ブーム7がブーム格納状態のときは、第3の連結ピン25が第7の連結穴222R内の第2の連結穴220R寄りに位置する。この状態から起伏ブーム7が起立方向に回動することで、第2の右手側プレート22Rは、長穴内の第3の連結ピン25回りに回動し、第1及び第2の右手側プレート21R及び22Rが直線状になると、長穴内に第3の連結ピンを摺接させながらスライド移動する。そして、第1及び第2の右手側プレート21R及び22Rは、第3の連結ピン25が第7の連結穴222R内の起伏ブーム7側の端部に当接することで突っ張り、変更前よりも長い状態で直線状となる。
これによって、第1及び第2の右手側プレート21R及び22Rの連結部側の端部位置を変更することなく起立角度の範囲を拡大することが可能となる。また、長穴の形成位置は第3の連結穴221Rの位置に限らず、第1の右手側プレート21Rの第1の連結穴213Rの位置又は第2の右手側プレート22Rの第2の連結穴220Rの位置としてもよい。なお、このことは第2の起立角度規制部材20Lについても同様となる。
また、上記実施形態では、第1及び第2のプレート51R及び51Lの間の距離よりも狭い幅の起伏ブーム7を、ブームの側面部に設けた第1及び第2の脚部70R及び70Lを介して、第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lに載置する構成とした。この構成に限らず、例えば、第1及び第2のプレート51R及び51Lの上端部に到達する幅の起伏ブーム7を採用し、起伏ブーム7の下面を直接第1及び第2のブーム載置部59R及び59Lに載置する構成とするなど他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明に係る起立角度規制装置及びブーム起伏動作制御装置を装備する作業機として、タワークレーンを例に説明したが、これに限らない。本発明は、例えば、起伏ブーム7等の起伏動作をすると共に作業時に起立状態となる構成部材を備えた作業機であれば、タワークレーンに限らず他のクレーンやクレーン以外の種々の作業機に適用可能である。なお、作業機としては、照明装置等の目的地に移動して設置することで作業(例えば対象物に照明を当てるという作業)が行われるものや、自走する機能を有さず据え置きすることで作業(例えば対象物を支持する作業)が行われるものなども含む。