JP2019029599A - 生産性に優れたギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ギャングボンディングプロセスにおいて、導通不良やボイドの発生などの問題を解決し得る、ギャングボンディングプロセスに適したアンダーフィル絶縁フィルムを提供する。【解決手段】下記成分(a)〜(d)を含んでなるギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム:(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分:10〜40質量部(b)熱ラジカル重合性物質:20〜85質量部(c)エポキシ樹脂:0〜65質量部(d)熱ラジカル発生剤:0.1〜5質量部(ここで、(a)(b)(c)及び(d)の各含有量は、(a)(b)及び(c)の合計100質量部に対する質量部である。)。【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体チップをフリップチップ実装する工程、チップ/チップ間またはチップ/回路基板間を充填するのに使う、アンダーフィル絶縁フィルム(NCF)に関するものであり、より具体的には、このような実装プロセスにおいて生産性向上(タクトタイム短縮)に有効な手法であるギャングボンディングプロセス用に好適な特性を有するアンダーフィル絶縁フィルム、及びその用途に関する。
フリップチップ(FC)実装等の半導体チップの実装において、半導体チップと回路基板とを接続した後に、半導体チップと回路基板の間の空間に液状のアンダーフィル材を充填することが、従来より広く行われている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、例えばフリップチップBGAにおいて、ハンダバンプつきチップをパッケージ用基板にFC接続し、液状アンダーフィルを注入、硬化するような使い方であった。
しかしながら、近年、半導体チップ間での信号量を増大させるため、バンプ数は増大の傾向にあり、チップ面積が限られていることから、バンプの狭ピッチ化が進行している。例えば、プロセッサーやメモリーの先端分野では、超多ピンのバンプをもつチップを近接してシリコンインターポーザー上に搭載することや、シリコン貫通電極(TSV)で両面にバンプを多数形成したメモリーチップを積層することなどが実用化され、コストダウンによる普及が期待されている。
また、バンプの高さは、チップと基板の熱応力の緩和やアンダーフィル充填性を考慮して大きめだったが、高密度バンプに対応したシリコンインターポーザーや、シリコンチップを積層するようなケースでは、同じシリコン材を使うため熱応力を考慮する必要がなく、また、熱伝導(放熱)や、ICパッケージの低背化のトレンドからも、狭ギャップ化が進んでいる。
液状のアンダーフィル材を用いる充填方法では、このような狭ピッチ、狭ギャプのチップ間に気泡を残さず充填するのが困難になってきている。アンダーフィルは、バンプ間の絶縁性の確保、バンプ部に発生する応力のサポートなどの機能が求められるが、充填性が悪いと、そのような面で信頼性が低下することになる。
また、大型チップを樹脂基板にFC接続する場合、リフロー時などの熱ストレスで外周近傍のバンプ接続が壊れ歩留りが低下することがあり、このような場合には、アンダーフィルの後注入ではなく、FC接続と同時にバンプをサポートするアンダーフィルを形成するペーストやフィルム状の先入れ材料が求められていた。
一方、異方導電性フィルム(ACF)を介してフリップチップ接続する方式も液晶ドライバーIC分野では、実用化されている。しかしこの方式は、導電粒子をフィルムに添加しているため、バンプの狭ピッチ化のトレンドでは、バンプ間の短絡を誘発する懸念がある。また、耐熱性のないディスプレーに実装するように発展したためもあり、リフロー温度に耐えられないため、汎用のICパッケージ内に適用することが難しい。信頼性とコストで近年主流のハンダバンプによる接続や、工程に適合させるのも困難である。また、導電粒子添加によって光線透過性が悪いため、チップのバンプ面にACFを貼った場合にアライメントマークを視認できないので、チップと基板の位置合わせができなくなる。従って、ウエハレベルでバンプ面に接合フィルムを貼り、個片化して接合材つきチップとして使用することができない問題もある。
また、ペースト状のアンダーフィル材(NCP)を接合前にチップ、基板間に配置し接合する方式についても、樹脂のはみ出しの制御が困難で、チップを積層する場合や、チップを近接配置する場合に、適用が困難となる。
このように、狭ピッチ、狭ギャップのバンプチップのFC実装、大型チップの樹脂基板へのFC実装およびチップを近接してFC実装するICパッケージにおいては、接合材として、NCFが有力視されている。具体的には、樹脂製のフィルムをアンダーフィル絶縁フィルムとして用い、半導体チップと基板との間に配置した後、加熱・加重により半導体チップと基板とをFC接合する際に、樹脂が流動することによって半導体チップと基板の間の空間を充填する技術が提案されている。
しかしながら、通常のNCF工法ではフリップチップボンダーのヘッドを1チップ毎に昇温、冷却する必要があるため、生産性(タクトタイム)に課題があり、本格普及するには至っていない。近年、NCFを用いる圧着を仮圧着と本圧着の2段階で行い、複数のチップをまとめて本圧着するいわゆるギャングボンディングを採用することで、ヘッドの昇温、冷却の必要性、回数を低減し、生産性を改良することが試みられている。
ギャングボンディングでは仮圧着工程でチップ側の電極と基板側の電極との間の位置合わせと仮圧着を行い、本圧着工程でハンダを溶融して電極間をハンダ接合するものである。例えば特許文献2には、半田電極付き半導体チップの該半田電極を有する面に半導体接合用接着フィルムを供給する工程1と、前記半田電極付き半導体チップを、前記半導体接合用接着フィルムを介して、対向電極若しくは電極パッドを有する半導体チップ又は回路基板上に半田溶融温度未満の温度で仮接合する工程2(上述の仮圧着に相当)と、半田溶融温度以上の温度に加熱したボンディングヘッドを接触させることにより半田接合する工程3(上述の本圧着に相当)を有する半導体装置の製造方法に用いられる半導体接合用接着フィルムであって、少なくとも、熱硬化性樹脂、熱硬化剤及び高分子量化合物を含有し、特定の温度範囲に特定の最低溶融粘度を有し、かつ、最低溶融粘度到達温度より10℃高い温度における溶融粘度と最低溶融粘度とが特定の関係を有する半導体接合用接着フィルムが記載されている。
しかしながら、従来の半導体接合用接着フィルムを用いた場合、仮圧着におけるボイドや導通不良が生ずる場合が有り、その解決が望まれていた。
特開平10−158366号公報 特開2016−201418号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記背景技術に鑑み、NCFを用いたいわゆるギャングボンディングプロセスにおいて、導通不良やボイドの発生などの問題を解決し得る、ギャングボンディングプロセスに適したアンダーフィル絶縁フィルムを提供し、これにより半導体チップの実装プロセスにおける生産性・コストを大幅に改善することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の組成を有するギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム、すなわち、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、(b)熱ラジカル重合性物質、所望により(c)エポキシ樹脂、及び(d)熱ラジカル発生剤を、それぞれ所定量含んでなるギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム、によって上記課題が効果的に解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明及びその各実施形態は、下記[1]から[15]に記載のとおりである。
[1]
下記成分(a)〜(d)を含んでなるギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム:
(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分:10〜40質量部
(b)熱ラジカル重合性物質:20〜85質量部
(c)エポキシ樹脂:0〜65質量部
(d)熱ラジカル発生剤:0.1〜5質量部
(ここで、(a)(b)(c)及び(d)の各含有量は、(a)(b)及び(c)の合計100質量部に対する質量部である。)。
[2]
前記(b)熱ラジカル重合性物質の含有量が20〜65質量部であり、前記(c)エポキシ樹脂の含有量が20〜65質量部であり、更に(f)エポキシ硬化剤を、(a)(b)、及び(c)の合計100質量部に対して0.5〜10質量部含有する、[1]に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[3]
更に、(e)重合禁止剤を、前記(b)熱ラジカル重合性物質の量(質量)に対して、600〜10000質量ppm含む、[1]又は[2]に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[4]
更に、(g)フラックス剤を、(a)(b)、及び(c)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部含有する、[1]から[3]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[5]
動的粘弾性測定装置を用いた測定において、60℃から10℃/分で昇温させた際の、120℃での溶融粘度η が2×102〜2×104Pa・sであり、140℃での溶融粘度η 2が3×10〜3×10Pa・sである、[1]から[4]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[6]
動的粘弾性測定装置を用いた測定において、60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた際の最低溶融粘度η が、2×10〜5×10Pa・sであり、最低溶融粘度を与える温度が100℃〜140℃である[1]から[5]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[7]
動的粘弾性測定装置を用いた測定において、60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた後、一旦60℃に冷却して、その後再度10℃/分で昇温したときの150℃での溶融粘度η が、1×104〜1×108Pa・sである、[1]から[6]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[8]
導電性粒子の含有量が5質量%以下である、[1]から[7]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[9]
前記(d)熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度が、140〜200℃である、[1]から[8]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[10]
前記剤(e)重合禁止剤が、キノン系の重合禁止剤である、[3]から[9]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[11]
前記(f)エポキシ硬化剤が、潜在性硬化剤である、[2]から[9]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[12]
前記潜在性硬化剤が、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物から選ばれる少なくとも一つである、[11]に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
[13]
ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された回路基板とを、[1]から[12]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを介して接合する、半導体装置の製造方法であって、
α)ハンダ付き電極を有するウエハ上に前記ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを真空下で貼り付ける工程と、
β)該ウエハを個々のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム付半導体チップに分割する工程と、
γ)前記半導体チップの電極と前記回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に仮圧着する工程と、
δ)仮圧着された前記半導体チップと該回路基板とを、最大温度が該チップに搭載されたハンダの融点温度以上となる温度条件で、熱圧着する工程であって、複数の仮圧着された前記半導体チップが同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱される工程である熱圧着工程と、を有する、上記半導体装置の製造方法。
[14]
ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された回路基板とを、[1]から[12]のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを介して接合する、半導体装置の製造方法であって、
α‘)前記回路基板上に前記ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを貼り付ける工程と、
γ)前記半導体チップの電極と前記回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に仮圧着する工程と、
δ)仮圧着された前記半導体チップと該回路基板とを、最大温度が該チップに搭載されたハンダの融点温度以上となる温度条件で、熱圧着する工程であって、複数の仮圧着された前記半導体チップが同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱される工程である熱圧着工程と、を有する、上記半導体装置の製造方法。
[15]
[13]又は[14]に記載の方法を用いる、電気電子機器の製造方法。
本発明の、特定の組成を有するギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムによれば、仮圧着工程と本圧着工程とを有するいわゆるギャングボンディングプロセスにおいて導通不良やボイドの発生などの問題を有効に抑制することができ、ギャングボンディングプロセス特に好適に用いられるアンダーフィル絶縁フィルムが提供される。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを用いた半導体装置の製造方法は、生産性及び製造された半導体装置の性能に優れる。
本発明の、特定の組成を有するギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを用いることで、優れた性能の半導体装置、並びにその中間製品及び応用製品を、高い生産性で製造することができる。
従来技術の、アンダーフィル絶縁フィルム(NCF)を用いた半導体チップをフリップチップ実装する方法を示す、模式図である。 本発明の一実施形態である、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(NCF)を用いたプロセスを示す、模式図である。 本発明の他の実施形態である、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(NCF)を用いたTSVプロセスを示す、模式図である。
(ギャングボンディングプロセス)
本発明において「ギャングボンディングプロセス」とは、ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された回路基板とをアンダーフィル絶縁フィルムを介して接合する、半導体装置の製造方法であって、
半導体チップの電極と回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に加熱・加圧する仮圧着工程と、
複数の仮圧着された前記半導体チップと該回路基板とを、最大温度が該チップに搭載されたハンダの融点温度以上となる温度条件で、加熱・加圧する本圧着工程と、を有する上記半導体装置の製造方法、をいう。
なお、ここで、アンダーフィル絶縁フィルムは、仮圧着工程に先立ち、ハンダ付き電極が形成された半導体チップに貼り付けられていてもよく、或いは対向電極が形成された回路基板に貼り付けられていてもよい。
(ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、特定の組成を有するものであり、より具体的には、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、(b)熱ラジカル重合性物質、所望により(c)エポキシ樹脂、及び(d)熱ラジカル発生剤を、それぞれ所定量含んでなるギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムである。
以下、本発明のアンダーフィル用絶縁フィルムを構成する各成分について説明する。
((a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分を含んでなる。
(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分は、フィルム形成用の樹脂として機能することを目的として添加される。樹脂成分(a)のなかでも、硬化後のガラス転移点の観点から、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好ましく、フィルム製造の観点から有機溶剤に溶解可能な樹脂が好ましい。好ましい溶剤として、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解可能であることが好ましく、低温で乾燥可能な観点から沸点が150℃以下の溶剤に溶解可能であることがより好ましい。
樹脂成分(a)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、樹脂成分(a)を、後述する(b)熱ラジカル重合性物質から導かれる樹脂、(c)エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と反応する官能基で修飾すると硬化後の物性、例えばTgや熱膨張率が改善する。一方で、圧着前の潜在硬化性は維持する必要があるので、活性が高過ぎる官能基は避けたほうが良い場合が多い。
後述する(b)熱ラジカル重合性物質から導かれる樹脂、(c)エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との相溶性が高いことが好ましい。NCFの樹脂が相分離して濁ってしまうと、バンプ面に貼った段階で、チップ表面のマーク視認性が悪化するからである。
また、実装材料の硬化後の物性として、液状アンダーフィル同様に、ガラス転移点が高いこと、熱膨張率が低いことなどは要求される。そのような面でより好ましい樹脂について、以下に詳述する。
本発明のアンダーフィル用絶縁フィルムにおける(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分の含有量は、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、及び(b)熱ラジカル重合性物質、並びに存在する場合には(c)エポキシ樹脂、の合計100質量部に対して、10から40質量部である。
樹脂成分(a)の含有量が10質量部以上であると、未硬化段階でフィルムを製造または使用する上で、適切な強度が容易に発現する。樹脂成分(a)の含有量は、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。
一方、樹脂成分(a)の含有量が、40質量部以下であると流動性の悪化や、熱硬化性樹脂成分の硬化不十分、などの問題を効果的に抑制できる。樹脂成分(a)の樹脂の含有量は、好ましくは35質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下である。
(フェノキシ樹脂)
樹脂成分(a)としては、溶剤溶解性、熱硬化性樹脂との相溶性、フィルム形成能、絶縁性等、ガラス転移点の観点から、フェノキシ樹脂が特に好ましい。
好ましいフェノキシ樹脂としては、ビスフェノール骨格(ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格など)、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格およびトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられるが、これらには限定されない。
このうち、本発明では、ビスフェノール骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂がより好ましい。
なかでも、下記一般式(P1)で表される構造を有するフェノキシ樹脂が好ましい。
ここで、RxおよびRyは各々独立に、水素原子またはグリシジル基を表す。Lは単結合、または−C(Ra)(Rb)−、−O−、−S−または−SO−を表す。ここで、RaおよびRbは各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rにおけるアルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、1〜4がより好ましく、1が最も好ましい。例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、n−ノニルが挙げられる。Rにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜10が好ましく、1〜4がより好ましく、1が最も好ましい。例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシが挙げられる。Rにおけるハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。Rは水素原子が特に好ましい。
m1は、0〜2の整数が好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンと、ビスフェノールのジグリシジルエーテルまたは/およびビフェノールのジグリシジルエーテルとの反応で得られるフェノキシ樹脂が好ましい。なかでも、ビフェノールのジグリシジルエーテルとの反応で得られるフェノキシ樹脂が好ましく、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテルとの反応で得られるフェノキシ樹脂が特に好ましい。
フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、グリシジル基等のいずれの官能基でもよいが、他の成分との反応性の観点から、グリシジル基が好ましい。フェノキシ樹脂は1種単独または2種以上を併用してもよい。
市販のフェノキシ樹脂の例としては、例えば、東都化成(株)製の商品名、FX280、FX293、FX293S(フルオレン骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱化学(株)製の商品名、jER 1256、jER 4250、新日鐵化学(株)社製の商品名、YP−50、YP−50S(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱化学(株)製の商品名、YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱化学(株)製の商品名、YX6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱化学(株)製の商品名、YX7200、YL7553、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482等が挙げられる。
本発明において樹脂成分(a)として好ましく用いることができるフェノキシ樹脂の分子量には特に制限は無いが、フィルム形成能等の観点から、ポリスチレン換算で数平均分子量が5000を超えるフェノキシ樹脂を用いることが好ましい。フェノキシ樹脂の数平均分子量は、7000以上がより好ましく、9000以上が特に好ましい。一方、フェノキシ樹脂の数平均分子量の上限は特に限定されないが、15000以下が好ましく、12000以下がより好ましい。数平均分子量が15000以下であると、有機溶剤に対して溶解性が向上し、生産性を向上させることができる。
また、フェノキシ樹脂のエポキシ当量は3000から20000の範囲が好ましく、より好ましくは5000から10000である。
また、示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度が80℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは130℃以上が好ましい。ガラス転移温度がこの範囲にあると、アンダーフィルム用絶縁フィルム硬化物全体のガラス転移温度が高くなり、実装品の信頼性が向上する。ガラス転移温度に特に上限はないが、250℃以下であると溶剤溶解性の観点で好ましい。
本発明において樹脂成分(a)としてフェノキシ樹脂を用いる場合の、フェノキシ樹脂の含有量には特に制限は無いが、樹脂成分(a)、及び熱ラジカル重合性物質(b)、並びに存在する場合にはエポキシ樹脂(c)の合計100質量部に対して、10から40質量部である。
フェノキシ樹脂の含有量が10質量部以上であると、未硬化段階でフィルムを製造または使用する上で、適切な強度が容易に発現する。フェノキシ樹脂の含有量は、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。
一方、フェノキシ樹脂の含有量が、40質量部以下であると流動性の悪化や、熱硬化性樹脂成分の硬化不十分、などの問題を効果的に抑制できる。(a)フィルム形成用の樹脂の含有量は、好ましくは35質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下である。
(ポリイミド樹脂)
本発明においては、樹脂成分(a)としてポリイミド樹脂を好適に用いることもできる。
例えば、市販のテトラカルボン酸とジアミンを溶剤中で脱水縮合して重合する、溶剤可溶ポリイミドも、本発明において好ましく用いられるフィルム形成用ポリマーとして好適である。公知のモノマーの組み合わせで、溶剤可溶ポリイミドを重合することができる。
熱硬化性樹脂との反応点として、反応性基が側鎖にあるものが、硬化後のTgを上げ、熱膨張率を下げる面で、より好ましい。Tgは50から200℃程度のものが、熱硬化性樹脂と組み合わせたときの、溶融特性発現のためには好ましい。
ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂においても、上記ポリイミド樹脂と同様の指標で、本発明に適用可能である。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、後述の様に特定の温度、条件における特定の溶融粘度η 、及びη がそれぞれ特定の範囲内にあることが好ましく、更に特定の温度、条件で得られた最低溶融粘度η 、及びそれを与える温度、更には別途の特定の温度、条件で得られた溶融粘度η が、それぞれ特定の範囲内にあることが特に好ましい。この観点から、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、室温では固形フィルム状であり、加熱により一旦溶融して粘度が低下し接着可能、バンプ貫通可能になり、更に加熱することにより硬化して粘度が上昇し、ボイドを抑制可能にする、いわゆる熱硬化性を有することが好ましい。このために、前記(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分に加えて、(b)熱ラジカル重合性物質、及び(d)熱ラジカル発生剤を用いる。
(b)熱ラジカル重合性物質と(d)熱ラジカル発生剤を組み合わせた系から導かれる樹脂を用いることにより、本発明のアンダーフィル用樹脂フィルムに、適切な設計上の自由度をもって、所望の硬化開始温度、硬化速度、潜在性等を付与することができる。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムにおいては、設計上の自由度を更に向上し、被着体との接着性をも更に向上させる観点から、(b)熱ラジカル重合性物質、及び(d)熱ラジカル発生剤に加えて、更に(c)エポキシ樹脂を用いることが、特に好ましい。
((b)熱ラジカル重合性物質)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、硬化時のボイド抑制等の目的で、(b)熱ラジカル重合性物質を所定量含有している。効果に潜在性があり、NCF用途でボイドを抑える温度域で速硬化性を発現するには、熱ラジカル反応系が優れている。
ここで、(b)熱ラジカル重合性物質とは、熱ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、(メタ)アクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。熱ラジカル重合性物質はモノマー、オリゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
上記(b)熱ラジカル重合性物質としては、(メタ)アクリレートが特に好ましい。(メタ)アクリレートとしては、単官能(メタ)アクリレート、2官能以上の(メタ)アクリレートを使用可能である。単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールF―EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA―EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの(b)熱ラジカル重合性物質は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、硬化時の特性を制御し易いことなどから、2官能(メタ)アクリレートが好適に用いられる。中でも、相溶性、耐熱性の観点からエポキシ(メタ)アクリレート等が、特に好適に用いられる。
また、架橋構造を導入するために、多官能(メタ)アクリレートを併用することも好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が、特に好適に用いられる。
なお本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
(b)熱ラジカル重合性物質の含有量は、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、及び(b)熱ラジカル重合性物質、並びに存在する場合には(c)エポキシ樹脂、の合計量100質量部に対して、20〜85質量部である。
(b)熱ラジカル重合性物質の含有量は、好ましくは30質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上である。20質量部以上であるので、硬化時のボイドの抑制等が容易となる。一方、(b)熱ラジカル重合性物質の含有量は、好ましくは65質量部以下であり、より好ましくは55質量部以下である。85質量部以下であると、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムのべたつきを抑制することができる。べたつきが小さいと、NCFつきウエハやチップのハンドリングがより容易になる。NCF面と接触する冶具類にくっついてしまう搬送トラブルも抑制できる。ごみの付着も抑制できる。
また、チップに貼った場合の視認性を悪化させないために、他の樹脂と相分離しない構造を選択することが好ましい。
((c)エポキシ樹脂)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、被着体への接着性付与等の観点から、所定量の(c)エポキシ樹脂を含んでも良い。
(c)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型などの二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型などのエポキシ樹脂を用いることができるが、これらには限定されない。エポキシ樹脂は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。アライメントマーク視認性の観点から、フィルム形成用の樹脂や他の熱硬化性樹脂と相溶性が良く、それらと相分離しないものが好ましい。
常温でのべたつき低減の観点から、固形のエポキシ樹脂が好ましく、硬化後のガラス転移点および弾性率向上の観点から、2官能以上の多官能エポキシ樹脂がより好ましい。これらの理由から、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂を特に好ましく用いることができる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、m−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及びp−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のいずれであってもよいが、特に下式で表されるo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。また、これらの樹脂中のグリシジル基としては、それぞれ対応するクレゾールノボラック樹脂中のフェノール性水酸基をグリシドキシ基で置換したものが好ましい。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の分子量は、800〜1300が好ましく、より好ましくは900〜1300が好ましい。軟化点としては、60℃以上が好ましく、より好ましくは、80℃以上が好ましい。
本発明において、例えば接着性付与、硬化速度調整等の目的で(c)エポキシ樹脂を用いる場合、(c)エポキシ樹脂の含有量は、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、(b)熱ラジカル重合性物質、及び(c)エポキシ樹脂の合計100質量部に対して、0〜65質量部である。(c)エポキシ樹脂の含有量は、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上である。(c)エポキシ樹脂を含有すると、フィルム全体の接着性、硬化速度を一層適切に制御することができる。一方、(c)エポキシ樹脂の含有量は、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下である。(c)エポキシ樹脂の含有量が65質量部以下であると、フィルム形成への不利益な影響を一層抑制することができ、ボイド抑制用ラジカル硬化系の配合量も確保できる。
((f)エポキシ硬化剤)
本発明において接着性付与、硬化速度調整のための樹脂として(c)エポキシ樹脂を用いる場合、(f)エポキシ硬化剤を適宜使用することが好ましい。本用途においては、潜在性、耐マイグレーション性、適切な硬化速度が必要なので、適用できる硬化剤を適切に選択することが望ましい。この中で、ボイド抑制に必要な速い硬化は、熱ラジカル硬化系が担うことができるので、特に重要なのは潜在硬化性である。すなわち、(f)エポキシ硬化剤として、潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
公知の硬化剤では、アミン系でも酸無水物系でも潜在性が必ずしも十分でなく、フェノール硬化、イミダゾール硬化の一部からある程度、本目的にかなうものを選択することが好ましい。
なかでも、固形で潜在性の良いイミダゾール系硬化剤を好ましく用いることができる。より具体的には、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等を、特に好ましく用いることができる。
(f)エポキシ硬化剤の含有量は、(a)樹脂成分、(b)熱ラジカル重合性物質、及び(c)エポキシ樹脂の合計100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部である。0.5質量部以上であることで、熱処理による硬化時間が短くなり生産性を向上させることが容易になる。また、(f)エポキシ硬化剤の含有量が10質量部以下であることで、長期間の保存安定性を確保することが容易となり、圧着時のアウトガス抑制の観点からも好ましい。
((d)熱ラジカル発生剤)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムにおいては、アクリル化合物等の(b)熱ラジカル重合性物質の重合を促進するために、有機過酸化物、アゾ系化合物等の(d)熱ラジカル発生剤を所定量、併せて使用する。
有機過酸化物としては、例えば、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等を好ましく使用することができる。これらの有機過酸化物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの(d)熱ラジカル発生剤の中でも、1分間半減期温度が140℃以上であるものが好ましく、さらに好ましくは160℃以上である。1分間半減期温度が140℃以上の場合には、圧着時の樹脂の流動性が適切であるため、チップと基板間の電極同士の樹脂噛み(電極が接触する前に硬化が進んで、電極間に樹脂が噛んでしまう現象)を抑制する観点で好適に用いられる。一方、1分間半減期温度が200℃以下であるものが好ましく、さらに好ましくは190℃以下であるものが望ましい。1分間半減期温度が200℃以下である場合には、圧着時の硬化が適切で、ボイドを抑制する効果が高い。
さらに、フィルム製造時の溶剤乾燥工程での過酸化物揮発抑制の観点から、(d)熱ラジカル発生剤の分子量は200以上が好ましく、より好ましくは250以上が望ましい。
これらの中で、2,2-ジ(4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン(日油株式会社製、パーテトラA)、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレラート(日油株式会社製、パーヘキサV)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油株式会社製、パーヘキサ25B)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン(日油株式会社製、パーヘキシン25B)などが好ましく用いられる。
有機過酸化物等の(d)熱ラジカル発生剤の添加量は、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、及び(b)熱ラジカル重合性物質、並びに存在する場合には(c)エポキシ樹脂の合計100質量部に対して0.1〜5質量部であり、0.3〜3質量部添加することが好ましい。0.1質量部以上なので、アクリレート等の硬化が十分なものとなり、また、5質量部以下なので、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの保存安定性が良好であり、また、圧着時のアウトガスが抑制されるため、ボイド抑制の観点からも好ましい。
((e)重合禁止剤)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、上記(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、(b)熱ラジカル重合性物質、及び(d)熱ラジカル発生剤に加えて、(e)重合禁止剤を含有していることが好ましい。(e)重合禁止剤を含有することで、保存時に(b)熱ラジカル重合性物質の不必要な重合を抑制することができるので、保存安定性が向上する。また、熱ラジカル硬化系の場合に、硬化開始温度、硬化速度を調整することができる。
(e)重合禁止剤の含有量(質量)は、(b)熱ラジカル重合性物質の量(質量)に対して、600〜10000ppmであることが好ましく、800〜5000ppmであることがより好ましい。(e)重合禁止剤の含有量が600ppm以上であるから、十分な保存安定性を実現することが容易であり、100000ppm以下であるから、硬化時に(b)熱ラジカル重合性物質の重合を必要以上に阻害せず、ボイド等を効果的に抑制することができる。特に、NCFを半導体ウエハに貼り付けて用いる場合には、ダイシングおよびピックアップ工程を経た上で、NCF付チップがFC接続される。ウエハラミからフリップチップ接続までに、時間がかかることがあり、特に高い保存安定性が求められる。このため、上記の範囲で(e)重合禁止剤を含有することが好ましい。
(e)重合禁止剤の種類には特に制限は無く、(b)熱ラジカル重合性物質の種類、重合機構等との関係で好適な(e)重合禁止剤を適宜使用することができる。例えば、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、t−ブチルパラベンゾキノン、2,5−ジクロロ−p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロ−p−ベンゾキノン、テトラクロロ−p−ベンゾキノン等のキノン類;o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、1,3,5−トリニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロトルエン等のニトロ化合物;o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等のニトロフェノール類;メチル−α−ニトロソイソプロピルケトン、フェニル−t−ブチルニトロン等のニトロソ、ニトロン化合物;塩化鉄(III)等の金属塩、フェノチアジン等を適宜用いることができるが、これらには限定されない。
中でも、ウエハのバンプ形成面にNCFを貼る工程等においても効果的に重合禁止効果が発現できる点で、キノン類を用いることが好ましく、p−ベンゾキノン(PBQともいう。)、メチル−p−ベンゾキノン、t−ブチルパラベンゾキノン(TBQともいう。)、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノンを用いることが特に好ましい。
((g)フラックス剤)
また、上記(f)エポキシ硬化剤に加えて/代えて、(g)フラックス剤、好ましくはフラックス機能を有する酸(無水物)を用いることもできる。この様な酸(無水物)は、(c)エポキシ樹脂を硬化させることができるのに加えて、フラックス機能を有することでハンダ表面、電極表面の酸化膜を除去することができるので、半導体チップと回路基板等との間の電気接合を一層容易、かつ確実なものとすることができるので、好ましい。
フラックス機能を有する酸(無水物)としては、例えばアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テトラプロペニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、などの脂肪族酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物などを挙げることができる。これらのフラックス機能を有する酸(無水物)は、1種を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらフラックスは、NCF中に固形で分散できると、エポキシ樹脂との反応面で、潜在性が有利になる。固形で分散するためには、後述の配合液に使用する溶剤に対する溶解性が悪いものが好ましい。NCFフィルム厚みに対して十分小さいサイズに粉砕して配合すると良い。一方で、ハンダ溶融温度より低い温度で融点に達してフラックス活性を示すことが好ましい。これらの酸(無水物)の中でも、前記特性、ハンダ接続性とエポキシ硬化作用、工業的な入手のしやすさなどを踏まえると、コハク酸、アジピン酸等が特に好ましい。
フラックス機能を有する酸(無水物)をはじめとする(g)フラックス剤の配合量は、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、及び(b)熱ラジカル重合性物質、並びに存在する場合には(c)エポキシ樹脂の合計100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上3質量部以下である。フラックス機能を有する酸(無水物)をはじめとする(g)フラックス剤の配合量が0.1質量部以上であれば、ハンダ濡れを促進し、半導体チップと基板との間の電気的接続を有効に促進することができる。フラックス機能を有する酸(無水物)をはじめとする(g)フラックス剤の配合量が10質量部以下であれば、保存安定性の確保や圧着試時のアウトガス抑制の観点から好ましい。
(フィラー)
フィラーを添加することで、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの熱膨張率が低下し寸法安定性等が向上し、チップや基板に対する熱ストレスが低下し信頼性も向上する。一方で、充填量が増えると、流動特性が悪化する。マークの視認性という面では、樹脂と屈折率差があるフィラーの場合、光の波長近傍からより大きなサイズでは、散乱を起こして視認性が悪くなる。また、チップ/基板のギャップに対して、より大きなサイズのフィラーが介在すると、チップ割れなどの不良原因になる。バンプと電極間に大きなフィラーが噛み込むと導通不良にもなる。
無機フィラーとしては上記条件を満たすものであれば、シリカ(溶融シリカや結晶性シリカ、ヒュームドシリカなど)、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素の粉末などでよいが、なかでも、サイズと流動性面で、ヒュームドシリカや溶融シリカが特に好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上である。0.01μm以上であると、フィラーと樹脂の相互作用による溶融粘度の増加を抑制することができる。無機フィラーの平均粒子径は、半導体素子と基板の電極間のフィラーの噛み込み抑制できること、および、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの透明性の観点から、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下である、さらに好ましくは0.1μm以下である。なお、平均粒子径は、光度式の粒度分布計(例えば、HORIBA製、装置名;LA−910)や顕微鏡による観察により求めることができる。ただし、これらの微粉においては、良好に分散処理しないと、二次粒子サイズを測定することになる。
フィラーの粒子サイズは、分級操作でトップカットされていることが好ましく、配合、分散、コートの過程でも、フィルターで粗大粒子をカットすることが好ましい。
ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム中の無機フィラーの含有量は、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。5質量%以上であると、硬化後の熱膨張率が、未添加に比べ良好になる。また、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム中の無機フィラーの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。60質量%以下であると、流動性を確保でき、良好な透明性が得られるとともに、NCFを介した半導体チップの基板への実装時にフィラーの噛み込みを良好に抑制できる。
(その他添加剤)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムには、本発明の目的に反しない限りにおいて、上記以外の成分を適宜配合することができる。他の成分としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤、イオントラップ剤、有機フィラーなどを挙げることができる。
難燃剤としては、例えば、リン化合物、金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂などを用いることができるが、これらには限定されない。
シランカップリング剤を添加することで、フィラーと樹脂界面、プロセスで用いる半導体チップ、回路基板等とギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの接着性を向上することができる。シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどエポキシ基がついたもの、反応性二重結合がついたものなどを用いることができるが、これらには限定されない。
イオントラップ剤を添加することで、電極配線やギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを構成する他の材料からもたらされる陽イオン、陰イオン等のイオン性不純物を捕捉し、配線のマイグレーションや腐食を防止することができる。イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス、キレート類などを用いることができるが、これらには限定されない。
(ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの物性)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分、(b)熱ラジカル重合性物質、所望により(c)エポキシ樹脂、及び(d)熱ラジカル発生剤、をそれぞれ所定量含んでいればよく、フィルムの物性自体には特に明示の制限は無いが、溶融粘度をはじめとする諸物性が、以下に述べる条件を満たすことが好ましい。
すなわち、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、上記特定の組成を有するギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムであって、その用途との関係から、動的粘弾性測定装置を用いた測定において、それぞれ特定の条件における溶融粘度が、以下の条件のいずれか、又は全てを満たしている事が好ましい。
60℃から10℃/分で昇温させた際の、120℃での溶融粘度η が2×102〜2×104Pa・sである。
同じく140℃での溶融粘度η 2が3×10〜3×10Pa・sである、
溶融粘度ηは、レオメータ(動的粘弾性測定装置(せん断))を用いて、窒素下、周波数1Hzの条件で、10℃/minで昇温することにより測定することができる。
120℃での溶融粘度η が2×102Pa・s以上であると、過剰なはみ出しや樹脂の這い上がりを防ぐことができる観点で好ましい。120℃での溶融粘度η は、5×102Pa・s以上であることがより好ましい。
また、120℃での溶融粘度η が、2×10Pa・s以下であると、ギャングボンディングプロセスの仮圧着工程において適切な粘度を実現する観点及び、流動性不足による、空気の巻き込み、バンプの貫通不良などの不具合を抑制する観点で好ましい。半導体チップと回路基板とを接合する際のプロセスの初期において、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを構成する樹脂が、適切な流動性を示し、半導体チップと基板との間の狭い空間を隙間無く充填することが容易となるとともに、半導体チップ側の電極と基板側の電極との間に樹脂が噛み込まれにくく、両者間の良好な導通を確保することも容易となる。120℃での溶融粘度η は、より好ましくは、5×10Pa・s以下であり、さらに好ましくは、2×103Pa・s以下である。
140℃での溶融粘度η が3×10Pa・s以上であると、昇温の途中でNCFを構成する樹脂が適度に硬化するため、圧着時のボイド発生を抑制することができる。140℃での溶融粘度η は、1×10Pa・s以上であることがより好ましく、5×10Pa・s以上であるとさらに好ましく。
また、140℃での溶融粘度η が、3×10Pa・s以下であることで、半導体チップと回路基板とを接合する際のプロセスの初期において、安定的に導通を確保することが可能となる。140℃での溶融粘度η は、より好ましくは、1×10Pa・s以下である。あまり急激に硬化が進むと、バンプ貫通性が悪く導通不良になる傾向が出るおそれがあるためである。
120℃および140℃での溶融粘度η 及びη は、例えば、フィルム中のフィラーや(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分の含有量や(b)熱ラジカル重合性物質から導かれる樹脂、(c)エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化開始温度、硬化速度を適宜増減すること等によって、調整することができる。熱硬化性樹脂の硬化開始温度、硬化速度は、熱ラジカル硬化系(主として(b)熱ラジカル重合性物質により硬化挙動が規定される場合)であれば、(b)熱ラジカル発生剤の分解温度を変えることで硬化開始温度を調整できる。エポキシ硬化系(主として(c)エポキシ樹脂により硬化挙動が規定される場合)であれば(f)エポキシ硬化剤を変えることで調整できる。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムにおいては、動的粘弾性測定装置において、60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた際の最低溶融粘度η が、2×10〜5×10Pa・sであり、かつ、最低溶融粘度を与える温度が100℃〜140℃であることが好ましい。
100℃〜140℃の温度範囲に、上記の範囲内の最低溶融粘度η を有することで、本実施形態のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、ギャングボンディングプロセスの仮圧着工程において特に適切な粘度を有することとなる。
最低溶融粘度η は、より好ましくは、4×10〜2×10Pa・sである。
最低溶融粘度を与える温度は、より好ましくは、105〜135℃であり、さらに好ましくは、110〜130℃である。
最低溶融粘度η 及び最低溶融粘度を与える温度は、例えば、フィルム中のフィラーや(a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分の含有量や(b)熱ラジカル重合性物質から導かれる樹脂、(c)エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化開始温度、硬化速度を適宜増減すること等によって、調整することができる。熱硬化性樹脂の硬化開始温度、硬化速度は、熱ラジカル硬化系(主として(b)熱ラジカル重合性物質により硬化挙動が規定される場合)であれば、(b)熱ラジカル発生剤の分解温度を変えることで硬化開始温度を調整できる。エポキシ硬化系(主として(c)エポキシ樹脂により硬化挙動が規定される場合)であれば(f)エポキシ硬化剤を変えることで調整できる。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムにおいては、動的粘弾性測定装置において、60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた後、一旦60℃に冷却して、その後再度10℃/分で昇温したときの150℃での溶融粘度η が、1×104〜1×108Pa・sであることが好ましい。溶融粘度η が上記範囲にあることで、仮圧着での加熱、及びその後の冷却を経たアンダーフィル絶縁フィルムが、本圧着において適切な流動性を発揮することができ、半導体チップと回路基板との間に良好な接合を実現することができる。
60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた後、一旦60℃に冷却して、その後再度10℃/分で昇温したときの150℃での溶融粘度η は、1×10〜5×10Pa・sであることがより好ましく、1×10〜2×10Pa・sであることがより好ましい。
60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた後、一旦60℃に冷却して、その後再度10℃/分で昇温したときの150℃での溶融粘度η は、例えば、(b)熱ラジカル重合性物質から導かれる樹脂、(c)エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂の硬化開始温度、硬化速度を適宜増減すること等によって、調整することができる。熱硬化樹脂の硬化開始温度、硬化速度は、熱ラジカル硬化系(主として(b)熱ラジカル重合性物質により硬化挙動が規定される場合)であれば、(b)熱ラジカル発生剤の分解温度を変えることで硬化開始温度を調整できる。エポキシ硬化系(主として(c)エポキシ樹脂により硬化挙動が規定される場合)であれば(f)エポキシ硬化剤を変えることで調整できる。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを用いるプロセスにおいては、典型的には半導体チップに形成されたハンダ付き電極と、回路基板に形成された対向電極とが直接接触しまたは接合されることによって導通が確保される。この点において、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、同じく半導体チップと基板との接合に用いられるが、導電性粒子を介して半導体チップと回路との導通が得られる、いわゆる異方導電性フィルム(ACF)と区別される。
樹脂の特性に関しても、異方導電性フィルムは、通常ディスプレーのドライバーチップを実装する際に用いられるため、耐熱性のないディスプレー用に最高温度200℃以下、180℃程度で硬化することが求められる。また、導電粒子を噛み込む前提なので、バンプの貫通性への要求水準も低い。発明者らは、異方導電性フィルムで用いられている樹脂処方を、アンダーフィル絶縁フィルムの樹脂処方に適応すると、速く硬化するため、圧着時の流動性不良に伴う接合不良が生じることを見出した。このように、異方導電性フィルムの樹脂処方をアンダーフィル絶縁フィルムにそのまま適用することは困難である。
異方導電性フィルムが含有する導電性粒子は、直径数μmから数十μmの微細なものではあるが、近年の半導体素子の一層の微細化、実装の一層の高密度化に伴い、その様な微細な導電性粒子を用いたとしても、意図しない電極間の短絡のリスクを完全に払拭することは困難となっている、この観点から、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、異方導電性フィルムと比較して微細化した半導体素子の高密度での実装により適したアンダーフィル用フィルムであり、その優位性は今後一層顕著なものになることが予想される。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムにおいては、上述の様に、意図しない電極間の短絡を防止するために、厚み方向においても導電性を有さないことが好ましい。短絡防止の観点からは、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、別段の技術的必要性がない限り、導電性粒子の含有量が少ないか、或いは導電性粒子を実質的に含有しないことが望ましい。すなわち、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの導電性粒子の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。
短絡防止の観点からは、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、別段の技術的必要性がない限り、金属の含有量が少ないか、或いは金属を実質的に含有しないことが望ましい。すなわち、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの金属の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。
(ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの製造方法)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、例えば、以下のようにして作製される。まず、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの形成材料である上述の各成分を配合し、溶媒(例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンなど)に溶解ないし分散させて塗工液を調製する。フィラーを分散させる場合には、必要に応じて、ビーズミル等の分散装置を用いて、分散する。次に、調製した塗工液を汎用のコーターで、基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗工したのち、熱オーブンなどを用いて溶剤を乾燥させ、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを形成する。乾燥条件としては、残溶剤が極端に残ると、FC接続時のボイドの発生要因になるので、少なくとも1%以下に乾燥させる条件に調整することが好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、乾燥工程で硬化反応が顕著に開始しない程度に調整することが好ましい。100℃、数分を目安に調整するとよい。
上記の条件で塗れる厚みには限界があるので、過度に厚いNCFが必要な場合は、残溶剤条件を満たす厚みのNCFを複数積層することで、所定厚みとすることができる。
基材セパレータは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、OPP(延伸ポリプロピレン)、CPP、ポリ−4−メチルペンテン−1、PTFEなどに必要に応じてシリコーンなどの離形剤を塗布したものを、好ましく用いることができる。
異物の付着などを考慮すると、NCFはむき出しで扱わないほうがよい。そのような面では、上記のコーターでの乾燥後、微粘着フィルムをNCF面にラミネートする、もしくは、セパレータを加熱ラミネートするとよい。NCFの両サイドの易剥離材の剥離しやすさに差を設けると、以降のNCFのハンドリングが容易になる。軽く剥離できる側の易剥離材を先に剥離することで、NCFをより重い剥離の易剥離材上に安定して残すことができる。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの厚さには特に制限は無く、半導体チップと回路基板との間のギャップや、電極、ハンダ等の接続部材の高さを考慮して適宜設定すればよい。現行の通常のプロセスを前提とすれば、1〜250μm程度の厚さが好ましく、5〜25μm程度の厚さがより好ましい。シリコン材同士のフリップチップ接続の場合は、熱ストレスが小さく、ギャップを大きくとる必然性は小さいので、将来的に、ギャップが小さくなることが想定されている。一方、樹脂基板とチップを接続する場合は、チップサイズ、樹脂基板材特性に応じて、熱ストレスを緩和できるように、バンプ高さが大きくなる。それぞれに対応したフィルム厚みを準備すると良い。
アンダーフィル絶縁フィルムが充填するチップ下の空間には、バンプなどの突起物の容積があり、バンプが適度につぶれた状態となる適切なギャップが存在する。このような適切なギャップを形成するには、ギャップとチップ面積の積で算出される容積から、バンプの容積を引き、良好なはみ出し形成分の容積を加えた程度容積をチップ面積で割ることで、適切なフィルム厚みを概算できる。バンプレイアウトによって、アンダーフィル絶縁フィルムの流動性は変わるので、実チップでテストすることがより好ましい。
(ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムの製品形態)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、離型性フィルムにより保護されていることが好ましい。離型フィルムは、実際のプロセスに供するまでギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを保護する保護材としての機能を有している。離型フィルムは、例えばギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム上に半導体素子を貼着する際に剥がされる。離型フィルムとしては、上述の製造プロセスにおいて使用したセパレータ、微粘着フィルムなどの易剥離フィルムをそのまま使用してもよい。
また、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムがバックグラインド(BG)テープと積層されていてもよい。アンダーフィル絶縁フィルムの使用方法として、バックグラインド(BG)時の回路面保護用粘着テープとして、易剥離フィルム/アンダーフィル絶縁フィルム構成で、ウエハのバンプ面に貼りつけて使用し、易剥離フィルム層を剥離した後、アンダーフィル絶縁フィルムとウエハをダイシングして、アンダーフィル絶縁フィルムつきチップを得る方法が開示されている。本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、このような形態で使用してもよい。
さらに、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムがダイシング(DC)テープと積層されてもよい。アンダーフィル絶縁フィルムの使用法として、ダイシングテープとアンダーフィル絶縁フィルムを一体で使用する方法も、同様に開示されており、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムをこのような形態で使用してもよい。
(半導体装置の製造方法)
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを用いて、例えば半導体チップと回路基板との間の空間を充填することにより、半導チップに形成されたハンダ付き電極と、回路基板に設けられた対向電極との接合部を保護できる。
ハンダの材質としては、錫−鉛系金属材、錫−銀系金属材、錫−銀−銅系金属材、錫−亜鉛系金属材、錫−亜鉛−ビスマス系金属材などを好ましく用いることができる。ハンダが、銅ピラーの先端に形成された構造も含む。電極、対向電極の材質としては、導電性のあるものであれば特に限定されず、例えば、金/ニッケル、銅などが挙げられる。
本発明の一実施形態として、ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された回路基板とを、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを介して接合する、半導体装置の製造方法であって、
α)ハンダ付き電極を有するウエハ上に前記ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを真空下で貼り付ける工程と、
β)該ウエハを個々のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム付半導体チップに分割する工程と、
γ)前記半導体チップの電極と前記回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に仮圧着する工程と、
δ)仮圧着された前記半導体チップと該回路基板とを、最大温度が該チップに搭載されたハンダの融点温度以上となる温度条件で、熱圧着する工程であって、複数の仮圧着された前記半導体チップが同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱される工程である熱圧着工程と、を有する上記半導体装置の製造方法、を挙げることができる。
また、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを、まずウエハではなく基板側に貼ってもよく、その様な場合の実施形態として、ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された回路基板とを、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを介して接合する、半導体装置の製造方法であって、
α‘)前記回路基板上に前記ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを貼り付ける工程と、
γ)前記半導体チップの電極と前記回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に仮圧着する工程と、
δ)仮圧着された前記半導体チップと該回路基板とを、最大温度が該チップに搭載されたハンダの融点温度以上となる温度条件で、熱圧着する工程であって、複数の仮圧着された前記半導体チップが同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱される工程である熱圧着工程と、を有する上記半導体装置の製造方法、を挙げることができる。
上記実施形態では、仮圧着においては適切な可塑性、流動性を示すとともに、半導体チップと基板とを接合する本圧着においてハンダ溶融時にボイドを発生しない、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを用いるので、半導体チップに形成されたハンダ付き電極と、回路基板に設けられた対向電極との接合部の導通を確実なものとし、半導体チップと回路基板との間の空間をボイドなく充填し、かつ硬化後に回路基板上に実装された半導体チップの高い信頼性を提供することが可能となる。更に、ギャングボンディングプロセスを採用し、複数の仮圧着された半導体チップが同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱されることで、ヘッドの昇温、冷却のための長いタクトタイムを必要とせず、高い生産性で半導体装置を製造することができる。
以下、図を参照しながら、上記態様の半導体装置の製造方法を説明する。
まず、図1を参照しながら、従来技術によるアンダーフィル絶縁フィルム(NCF)を用いた半導体チップをフリップチップ実装する方法を、説明する。
図1(A)は、ハンダ付き電極を有するウエハ上にアンダーフィル絶縁フィルムを真空下で貼り付ける工程、及び該ウエハを個々のアンダーフィル絶縁フィルム付半導体チップに分割する工程の後であって、半導体チップの電極と回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に圧着する工程の
前の半導体チップ(1)、回路基板(5)、及びアンダーフィル絶縁フィルム(4)を模式的に示す断面図である。半導体チップ(1)は、シリコンなどの半導体表面に集積回路が形成され、バンプと呼ばれる接続用のハンダ付き電極を有する。ハンダ付き電極は、銅などからなる電極(2a)上に、バンプ材の拡散防止金属膜を介し、ハンダ(3)を形成したものである。
これらのハンダ表面は、経時で酸化する。NCFを貼る前に、プラズマ処理などで、酸化膜を除去すると、より安定した接合が得られる。
回路基板(5)は、例えばリジット基板、フレキシブル基板、シリコン基板、ガラス基板などの基材に回路が形成されている。また、半導体チップ(1)が搭載される実装部には、半導体チップ(1)のハンダ付き電極と対向する位置に所定の厚みを有する対向電極(2b)が形成されている。
ここで、バンプ付半導体チップ(1)には、図示しない工程において、アンダーフィル絶縁フィルム(4)が貼り付けられている。貼り付けは真空下で例えば温度60〜120℃で行われる。アンダーフィル絶縁フィルム(4)は流動性を示し、半導体チップ(1)上に形成された電極(2a)およびハンダ(3)による凹凸を埋めこみ、半導体チップ(1)と密着する。
続いて、アンダーフィル絶縁フィルム付ウエハを個片化することで、個々のアンダーフィルム付チップを作製する。
まず、複数の電極(2a)と複数の対向電極(2b)とが、それぞれの略中心線上で接触するよう、マーク認識のうえ位置合わせされる。マーク認識は、フリップチップボンダーで、基板のチップ搭載部近傍に形成されているマークと、チップ面に形成されているマークをカメラで認識して、行われる。このとき、NCFを透過してマークのエッジが明瞭に識別できないと、搭載位置精度が悪くなる。装置側でも、同軸/拡散照明などで、マークエッジを認識しやすい工夫をする。次いで、図1(A)に示すように、予め登録さている座標に基づき、ヘッドまたはステージが移動し、位置合わせが行われる。
次に、図1(B)に示すように、ヘッド(6)で、アンダーフィル絶縁フィルム(4)が貼り付けられた半導体チップを加圧しながら、昇温し、半導体チップを、回路基板(5)上に熱圧着する。
この時、ステージ側は、コンスタントヒーターがついているセッティングにおいては、80℃〜180℃程度に設定する。樹脂基板の場合は反りが発生するため、60〜100℃程度が好ましい。シリコンチップやシリコンウエハをステージに乗せるケースでは、伝熱がよい基板材のため、ヘッドの加熱がステージ側に逃げて、チップの実温度がヘッドの設定より大幅に低くなるので、ステージ温度を高めに設定するとよい。
ヘッド側ではNCFつきチップを保持するが、こちらの温度は、加重を加える初期段階では、アンダーフィル絶縁フィルムが流動性を有するが、顕著に硬化を開始しない程度の温度、例えば60℃から150℃の範囲が好ましく、より好ましくは80℃から130℃の範囲にする。チップサイズやバンプレイアウトによって、チップ全面で十分なバンプの接触が実現できる時間は異なるので、数秒の範囲内で、時間を調整することが好ましい。
次いで、ヘッド側をチップの実温がハンダ溶融温度になるように昇温する。ヘッド(6)の設定温度と、実際のバンプ部の温度には、前記ステージへの熱の逃げの影響で、乖離があることが多いので、チップ下に熱伝対を挟んだ模擬チップで、実際の温度と、設定温度の対応関係を調べることが好ましい。
ハンダ溶融温度での継続時間は、確実に電極同士を接合する観点から、0.1秒から20秒の範囲が好ましく、より好ましくは0.5秒から5秒の範囲である。また、必要に応じて、半導体装置をハンダ溶融温度から冷却させてから、リリースしても良い。また、熱、圧力の継続時間は、生産性の観点から、30秒の範囲内であることが好ましく、1から20秒の範囲内であることがより好ましい。
次に、図2を参照しながら、本発明の一実施形態である、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(NCF)を用いたプロセスを説明する。
図2(A)は、γ)前記半導体チップの電極と前記回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に仮圧着する工程を模式的に示す断面図である。
なお、工程γ)に先立って実施される、α)ハンダ付き電極を有するウエハ上に前記ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを真空下で貼り付ける工程、及びβ)該ウエハを個々のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム付半導体チップに分割する工程は、それぞれ、上記従来技術の方法において説明した、ハンダ付き電極を有するウエハ上にアンダーフィル絶縁フィルムを真空下で貼り付ける工程、及び該ウエハを個々のアンダーフィル絶縁フィルム付半導体チップに分割する工程と同様の工程であり、アンダーフィル絶縁フィルムが、ギャングボンディングプロセス用である点においてのみ異なる。
図2(A)において、左及び中央の半導体チップ(1)、回路基板(5)、及びアンダーフィル絶縁フィルム(4)は、仮圧着済みのものであり、右の半導体チップ(1)、回路基板(5)、及びアンダーフィル絶縁フィルム(4)は、仮圧着を行おうとするものである。マーク認識および位置合わせについては、従来技術同様に行う。
仮圧着の条件には特に限定は無いが、例えば、ステージ側は80℃〜180℃程度に設定する。樹脂基板の場合は反りが発生することを防ぐため、60〜100℃程度が好ましい。シリコンチップやシリコンウエハをステージに乗せるケースでは、伝熱がよい基板材のため、ヘッドの加熱がステージ側に逃げて、チップの実温度がヘッドの設定より大幅に低くなるので、ステージ温度を高めに設定するとよい。
仮圧着用ヘッドには、従来技術同様のセラミックヒータ、または安価なコンスタントヒーターを用いることができる。ヘッド側の温度は、加重を加える初期段階では、アンダーフィル絶縁フィルムが流動性をさせ、チップ側の電極と基板側の電極を接触させるため、例えば100℃から180℃の範囲が好ましい。荷重は、チップサイズやバンプレイアウトによって異なるが、10〜500N程度が好ましい。チップ全面で十分なバンプの接触が実現できる時間は異なるが、生産性を顧慮して、数秒の範囲内で、時間を調整することが好ましい。
なお、図2(A)に示す工程においては、半導体チップ(1)、回路基板(5)、及びアンダーフィル絶縁フィルム(4)の組み合わせについて、順次仮圧着を行っている。
次いで、図2(B)及び(C)に示すように、仮圧着後の複数の半導体チップ(1)、回路基板(5)、及びアンダーフィル絶縁フィルム(4)の組み合わせを、本圧着用ヘッド(8)を用いて、最大温度がハンダ(3)の融点温度以上となる温度条件で加熱、加圧して、本圧着する。ここで、複数の仮圧着された半導体チップ(1)が同時にハンダの融点温度以上となる温度条件にて加圧される。
本圧着の条件には特に限定は無いが、例えば、ステージ側は前述の仮圧着と同様に設定する。本圧着用ヘッドには、安価なコンスタントヒーターを用いることができる。本圧着用ヘッド(8)の設定温度と、実際のバンプ部の温度には、前記ステージへの熱の逃げの影響で、乖離があることが多いので、チップ下に熱伝対を挟んだ模擬チップで、実際の温度と、設定温度の対応関係を調べることが好ましい。
荷重は、チップサイズやバンプレイアウトによって異なるが、10〜500N程度が好ましい。ハンダ溶融温度での継続時間は、確実に電極同士を接合する観点から、0.5秒から30秒の範囲が好ましく、生産性の観点から、より好ましくは1秒から20秒の範囲であり、特に好ましくは2秒から10秒の範囲である。また、必要に応じて、半導体装置をハンダ溶融温度から冷却させてから、リリースしても良い。
図2に示す実施態様においては、仮圧着と本圧着とを、ぞれぞれの工程に適した異なる温度に設定された、別個のヘッドを用いて行うので、ヘッド温度の上下を低減またはなくすことが可能であり、ヘッド温度の上下に要する時間を節約することで、タクトタイムを大幅に短縮し、生産性を大幅に向上することが可能となる。また、複数の半導体チップについて同時に本圧着を行うので、この点においても生産性を大幅に向上することができる。更に、本圧着においては高精度の位置合わせが不要なので、安価なプレス装置で本圧着を実施することが可能であり、大幅なコストダウンが可能となる。
上述のプロセスにより、ハンダ(3)付き電極(2a)が形成された半導体チップ(1)と、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(4)と、該ハンダ付き電極と対向する対向電極(2b)が形成された回路基板(5)とが、この順で接合された積層体であって、該ハンダ(3)付き電極(2a)の少なくとも一部、好ましくは全部が、該対向電極(2b)の少なくとも一部、好ましくは全部と電気的に接触している積層体を製造することができる。
当該積層体においては、前記ハンダ(3)付き電極(2a)が、前記対向電極(2b)と電気的に接触している箇所において、該ハンダ(3)付き電極(2a)と該対向電極(2b)との間に、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(5)が存在しないことが好ましく、これによりハンダ(3)付き電極(2a)と対向電極(2b)との間の十分な接合面積が確保され(ハンダの濡れが十分であり、ハンダ接合が形成され)、十分な導通が得られる。
また、当該積層体においては、前記ハンダ(3)付き電極(2a)が、前記対向電極(2b)と電気的に接触している箇所において、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(5)中に貫通孔が形成されていることが好ましく、これによりハンダ(3)付き電極(2a)と対向電極(2b)との間の十分な接合面積が確保され(ハンダの濡れが十分であり、ハンダ接合が形成され)、十分な導通が得られる。
図3は、本発明の他の実施形態である、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(NCF)を用いたプロセスを示す、模式図である。
図3に示す実施形態は、シリコン貫通電極(TSV)で両面にバンプを多数形成したメモリーチップ(TSVチップ)を、縦方向(厚み方向)に積層するものである。
図3(A)は、上で説明した実施形態における図2(A)に相当する仮圧着工程を示すものであり、図示された2つのTSVチップ(9)のうち下のものは、図2(A)の左及び中央の半導体チップ(1)と同様に仮圧着済みのものであり、上のものは、図2(A)の右の半導体チップ(1)と同様に、仮圧着を行おうとするものである。
次いで、図3(B)及び(C)に示すように、仮圧着後の半導体チップ(1)、複数のTSVチップ(9)、回路基板(5)、及びアンダーフィル絶縁フィルム(4)を、本圧着用ヘッド(10)を用いて、最大温度がハンダ(3)の融点温度以上となる温度条件で加熱、加圧して、本圧着する。ここで、複数の仮圧着されたTSVチップ(9)が同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱される。
この実施形態における仮圧着及び本圧着の条件は、図2を参照しながら上述したものと基本的に同様ではあるが、複数のチップを縦方向に積層することにより熱伝導性が低下することなどを考慮して、適宜設定を調整することが望ましい。
上記の2実施形態の積層体は、半導体チップが実装された回路基板であり、更に必要なプロセスを経て、半導体装置として使用することができる。上記積層体においては、硬化後の本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムにより、半導体チップと回路基板との間が、実質的にボイド、空隙無しで充填され、半導体装置としても優れた性能を有するものである。すなわち、本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを用いることにより、優れた性能を有する半導体装置を高い生産性で製造することができる。
この様な半導体装置は、情報処理機器、ディスプレイ、通信機器、輸送機器等に用いられる電気電子機器に好適に搭載することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これにより何ら限定
されるものではない。
以下の実施例/比較例において、物性/特性の評価は下記の方法で行った。
(溶融粘度)
レオメータ(アントンパール社製、型番:MCR302)を用い、溶融粘弾性の温度分散を測定することにより求めた。測定はアンダーフィル絶縁フィルムを1.0mmの厚みになるように積層したものを用い、予め80℃で3分間治具に密着させたのち、次のような条件で測定した。2回目の測定は、1回目の測定が終了した後、30分程度かけて60℃に降温した上で、再度実施した。
環境:窒素雰囲気下
測定治具:パラレルプレート8mmφ
変形モード:ずり
周波数:1Hz
昇温速度:10℃/分
温度範囲:60〜160℃(1回目)、60〜200℃(2回目)
(圧着試験)
テストチップ(グローバルネット(株)製、G03、バンプ径:20μm、バンプピッチ:40μm、バンプ高さ:19μm(銅ピラーに錫/銀ハンダ)、大きさ:5mm×5mm、デイジーチェーン構造)に、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム(20μm)/離形PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製ピューレックスA54、38μm)の積層品をギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムがテストチップ側になるように、真空ラミネータ(株式会社タカトリ製)を用いて、真空下でラミネートした(真空度:13Paに到達後、80℃、1分加圧)。得られた積層品から不要なチップ周辺部をデザインナイフで除去したのち、離形フィルムを取り除くことで、アンダーフィルム用絶縁フィルム付チップを得た。
次に、ボンダー(渋谷工業株式会社製、DB250)を用いて、上記アンダーフィルム用絶縁フィルム付チップを、テスト基板(グローバルネット(株)製、G03、シリコン基板)に対し、位置を適切に合わせた上で、次の条件で圧着した。
ステージ温度:160℃
仮圧着工程 チップ温度:160℃、荷重:45N(4s)
本圧着工程 チップ温度:260℃、荷重:45N(10s)
チップ温度は別途チップ/基板間に熱電対を挿入した治具を作成し、同条件で圧着することにより測定した。
得られたチップ/ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム/基板の積層品を、赤外線顕微鏡でチップ側から観察することにより、ボイドを評価した。ボイドがほとんど発生していないものを「○」、ボイドが顕著に発生したものを「×」とした。また、電気的な接続が取れているものを接合「○」、導通不良があるものを「×」とした。
[実施例1]
フィルム形成用の樹脂成分(a)として、フェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製、YX7200B35(数平均分子量約10000、DSCによるガラス転移温度149℃、エポキシ当量8000))30質量部、(c)エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂(DIC株式会社製、N-695(クレゾールノボラック型、軟化点90〜100℃))、予め固形分70%のメチルエチルケトン溶液を調整し用いた)30質量部、(b)熱ラジカル重合性物質として、アクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD R−130、ビスフェノールA系エポキシアクリレート55〜60%、アクリレートモノマー40〜45%の混合物、平均分子量(Mw)500、(e)重合禁止剤1としてハイドロキノンモノメチルエーテル(慣用名:メトキノン)400ppm含有)40質量部、(f)エポキシ硬化剤として、イミダゾール(四国化成工業株式会社製、2MAOK−PW(2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物))3質量部、(d)熱ラジカル発生剤として、有機過酸化物(パーヘキサ25B(日油株式会社製、1分間半減期温度180℃、分子量290.45)1質量部、(g)フラックス剤として、アジピン酸1質量部、フィラーとして、シリカ(OX50(日本アエロジル株式会社、親水性ヒュームドシリカ、BET比表面積50m/g、平均粒径約0.05μm))25質量部、(e)重合禁止剤2として、TBQ(t−ブチルパラベンゾキノン)を(b)熱ラジカル重合性物質(有機過酸化物)に対し、1000ppm、及びメチルエチルケトンを配合し、固形分濃度50%の樹脂組成物を調整した。これを、剥離処理されたPETにアプリケータを用いて塗布し、90℃のオーブンで5分間乾燥させ、アンダーフィル絶縁フィルムを複数枚作製した。
得られたフィルムの少なくとも1枚について、1回目の昇温で120℃での溶融粘度η 、140℃での溶融粘度η 、及び最低溶融粘度η 、を評価し、最低溶融粘度を与える温度を特定した。60℃まで30分程度かけて冷却した後、2回目の昇温で150℃での溶融粘度η を評価した。また、同じ条件で作製したフィルムを用いて、圧着試験を行いボイド及び導通を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
フィルム形成用の樹脂成分(a)として、フェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製、1256B40(ビスフェノールA骨格、数平均分子量約10000、DSCによるガラス転移温度98℃、エポキシ当量7800))30質量部、(c)エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂(DIC株式会社製、N−672−EXP(クレゾールノボラック型、軟化点71〜79℃)、予め固形分70%のメチルエチルケトン溶液を調整し用いた)20質量部、(b)熱ラジカル重合性物質として、アクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD R−130、ビスフェノールA系エポキシアクリレート55〜60%、アクリレートモノマー40〜45%の混合物、平均分子量(Mw)500、(e)重合禁止剤1としてハイドロキノンモノメチルエーテル(慣用名:メトキノン)500ppm含有)50質量部、(f)エポキシ硬化剤として、イミダゾール(四国化成工業株式会社製、2MAOK−PW(2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物))3質量部、(d)熱ラジカル発生剤として、有機過酸化物(日油株式会社製、パーヘキサV(n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレラート)、1分間半減期温度173℃、分子量334.46)0.7質量部、(g)フラックス剤として、アジピン酸1質量部、フィラーとして、シリカ(デンカ株式会社製、SFP−20M(超微粒子球状タイプ溶融シリカ、d50:0.3μm))54質量部、(e)重合禁止剤2として、TBQ(t−ブチルパラベンゾキノン)を(b)熱ラジカル重合性物質(有機過酸化物)に対し、800ppm、及びメチルエチルケトンを配合し、固形分濃度55%の樹脂組成物を調整した。これを、これを、剥離処理されたPETにアプリケータを用いて塗布し、90℃のオーブンで5分間乾燥させ、厚み20μmのアンダーフィル絶縁フィルムを複数枚作製した。
得られたフィルムの少なくとも1枚について、1回目の昇温で120℃での溶融粘度η 、140℃での溶融粘度η 、及び最低溶融粘度η 、を評価し、最低溶融粘度を与える温度を特定した。冷却後、2回目の昇温で150℃での溶融粘度η を評価した。また、同じ条件で作製したフィルムを用いて、圧着試験を行いボイド及び導通を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
フィルム形成用の樹脂成分(a)として、フェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製、YX7200B35(数平均分子量約10000、DSCによるガラス転移温度149℃、エポキシ当量8000))30質量部、(c)エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社社製、YL983U(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量165〜175))35質量部、及びエポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP4710(ナフタレン型、軟化点85〜105℃、予め固形分70%のメチルエチルケトン溶液を調整し用いた)35質量部、(f)エポキシ硬化剤として、イミダゾール(四国化成工業株式会社製、2MAOK−PW(2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物))0.2質量部、(g)フラックス剤として、アジピン酸1質量部、及びフィラーとして、シリカ(EMIX300(株式会社龍森製、シリカ微粒子。一次粒径300nm))25質量部、及びメチルエチルケトンを配合し、固形分濃度50%の樹脂組成物を調整した。これを、これを、剥離処理されたPETにアプリケータを用いて塗布し、90℃のオーブンで5分間乾燥させ、厚み20μmのギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを複数枚作製した。
得られたフィルムの少なくとも1枚について、1回目の昇温で120℃での溶融粘度η 、140℃での溶融粘度η 、及び最低溶融粘度η 、を評価し、最低溶融粘度を与える温度を特定した。冷却後、2回目の昇温で150℃での溶融粘度η を評価した。また、同じ条件で作製したフィルムを用いて、圧着試験を行いボイド及び導通を評価した。結果を表1に示す。

実施例1及び2では、仮圧着及び本圧着のいずれにおいても、ボイドが抑制されるとともに、良好な導通が得られ、これらの実施例のアンダーフィル絶縁フィルムが、ギャングボンディングプロセスにおいて好適に使用できるものであることがわかった。
比較例1では、ボイドを抑制することができず、更に仮圧着では導通を確保できず、ギャングボンディングプロセスでの使用に適さないフィルムであった。
本発明のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムは、仮圧着工程と本圧着工程とを有するいわゆるギャングボンディングプロセスにおいて導通不良やボイドの発生などの問題を有効に抑制することができ、これを用いることで、優れた性能の半導体装置、並びにその中間製品及び応用製品を、高い生産性で製造することができるという、実用上高い価値を有する技術的効果を有するものであり、産業の各分野、とりわけ半導体装置の製造をはじめとする電気電子産業の分野において、高い利用可能性を有する。
1:半導体チップ
2a:電極
2b:対向電極
3:ハンダ
4:アンダーフィル絶縁フィルム、ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム
5:回路基板
6:ヘッド
7:仮圧着用ヘッド
8、10:本圧着用ヘッド
9:TSVチップ

Claims (15)

  1. 下記成分(a)〜(d)を含んでなるギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム:
    (a)フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分:10〜40質量部
    (b)熱ラジカル重合性物質:20〜85質量部
    (c)エポキシ樹脂:0〜65質量部
    (d)熱ラジカル発生剤:0.1〜5質量部
    (ここで、(a)(b)(c)及び(d)の各含有量は、(a)(b)及び(c)の合計100質量部に対する質量部である。)。
  2. 前記(b)熱ラジカル重合性物質の含有量が20〜65質量部であり、前記(c)エポキシ樹脂の含有量が20〜65質量部であり、更に(f)エポキシ硬化剤を、(a)(b)、及び(c)の合計100質量部に対して0.5〜10質量部含有する、請求項1に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  3. 更に、(e)重合禁止剤を、前記(b)熱ラジカル重合性物質の量(質量)に対して、600〜10000質量ppm含む、請求項1又は2に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  4. 更に、(g)フラックス剤を、(a)(b)、及び(c)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  5. 動的粘弾性測定装置を用いた測定において、60℃から10℃/分で昇温させた際の、120℃での溶融粘度η が2×102〜2×104Pa・sであり、140℃での溶融粘度η 2が3×10〜3×10Pa・sである、請求項1から4のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  6. 動的粘弾性測定装置を用いた測定において、60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた際の最低溶融粘度η が、2×10〜5×10Pa・sであり、最低溶融粘度を与える温度が100℃〜140℃である請求項1から5のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  7. 動的粘弾性測定装置を用いた測定において、60℃から10℃/分で160℃まで昇温させた後、一旦60℃に冷却して、その後再度10℃/分で昇温したときの150℃での溶融粘度η が、1×104〜1×108Pa・sである、請求項1から6のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  8. 導電性粒子の含有量が5質量%以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  9. 前記(d)熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度が、140〜200℃である、請求項1から8のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  10. 前記剤(e)重合禁止剤が、キノン系の重合禁止剤である、請求項3から9のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  11. 前記(f)エポキシ硬化剤が、潜在性硬化剤である、請求項2から9のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  12. 前記潜在性硬化剤が、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物から選ばれる少なくとも一つである、請求項11に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム。
  13. ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された回路基板とを、請求項1から12のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを介して接合する、半導体装置の製造方法であって、
    α)ハンダ付き電極を有するウエハ上に前記ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを真空下で貼り付ける工程と、
    β)該ウエハを個々のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルム付半導体チップに分割する工程と、
    γ)前記半導体チップの電極と前記回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に仮圧着する工程と、
    δ)仮圧着された前記半導体チップと該回路基板とを、最大温度が該チップに搭載されたハンダの融点温度以上となる温度条件で、熱圧着する工程であって、複数の仮圧着された前記半導体チップが同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱される工程である熱圧着工程と、を有する、上記半導体装置の製造方法。
  14. ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された回路基板とを、請求項1から12のいずれか一項に記載のギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを介して接合する、半導体装置の製造方法であって、
    α‘)前記回路基板上に前記ギャングボンディングプロセス用アンダーフィル絶縁フィルムを貼り付ける工程と、
    γ)前記半導体チップの電極と前記回路基板の対向電極とがそれぞれの略中心線上で接触するように、前記半導体チップを、前記回路基板上に仮圧着する工程と、
    δ)仮圧着された前記半導体チップと該回路基板とを、最大温度が該チップに搭載されたハンダの融点温度以上となる温度条件で、熱圧着する工程であって、複数の仮圧着された前記半導体チップが同時にハンダの融点温度以上となる温度条件に加熱される工程である熱圧着工程と、を有する、上記半導体装置の製造方法。
  15. 請求項13又は14に記載の方法を用いる、電気電子機器の製造方法。
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