車両用灯具10は、車両に用いられる灯具として用いられるもので、例えば、ヘッドランプのポジションランプ、デイタイムランニングランプ(DRL(昼間走行灯))、リアコンビネーションのストップランプ、ヘッドランプ等に用いられる。車両用灯具10は、図1に示すように、直列回路部11と制御部12とスイッチ機構13とを備える。直列回路部11は、複数の半導体発光素子14が直列に接続され、実施例1では複数の半導体発光素子14として順方向電圧が3.5VのLEDが3つ直列に接続されている。以下では、各半導体発光素子14を個別に述べる際には、図1を正面視して上側から順に末尾にAからCを付して示す。このことは、後述する各スイッチ素子16および各信号端子25に関しても同様とする。各半導体発光素子14には、両端子間を結ぶバイパス路15が設けられている。
制御部12は、車両に設けられた電源に接続される電源入力端子21と、車両におけるグランドレベル(基準電位)とされた箇所に接続されるグランド入力端子22と、を有する。電源入力端子21は、実施例1では、車両に設けられたバッテリの出力端子(正極端子)に接続され、そのバッテリの出力電圧が12Vとされている。制御部12は、電源入力端子21に入力された電圧すなわちバッテリの出力電圧を検知することができ、その出力電圧に基づいて後述する発光制御処理を行う。
また、制御部12は、直列回路部11の一端(最も上流側の半導体発光素子14Aの一端(アノード)に繋がる電線)が接続される正側出力端子23と、直列回路部11の他端(最も下流側の半導体発光素子14Cの他端(カソード)に繋がる電線)が接続される負側出力端子24とを有する。制御部12は、正側出力端子23および負側出力端子24を介してバッテリからの電力を直列回路部11に供給することで、その各半導体発光素子14を点灯させる。
スイッチ機構13は、各半導体発光素子14に設けられた各バイパス路15に対応するスイッチ素子16を有する。各スイッチ素子16は、対応する各バイパス路15を断続する(導通状態と遮断状態とで切り替える)ものであり、それぞれが制御部12の信号端子25に接続され、信号端子25からの入力信号により断続が切り替えられる。
制御部12は、各半導体発光素子14に電力を供給した状態において、各信号端子25を介して適宜スイッチ素子16を遮断状態とすることで対応する半導体発光素子14を個別に点灯させ、スイッチ素子16を導通状態とすることで対応する半導体発光素子14を個別に消灯させる。なお、直列回路部11およびスイッチ機構13は、制御部12が各半導体発光素子14を個別に発光制御できるものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
制御部12は、電源入力端子21を介してバッテリから入力電圧が印加され、その入力電圧を昇圧させることなく直列回路部11すなわち正側出力端子23と負側出力端子24との間に供給電圧として印加することで、各半導体発光素子14を点灯させる。このため、車両用灯具10では、バッテリから入力した電圧(入力電圧)よりも直列回路部11への供給電圧の方が低くなる。制御部12は、基本的に、正側出力端子23と負側出力端子24との間に供給電圧を印加しつつ、スイッチ機構13の各スイッチ素子16を遮断状態とすることで、全ての半導体発光素子14を点灯させる。
そして、制御部12は、入力電圧が低下して低電圧状態となると、少なくとも1つのスイッチ素子16を遮断状態としつつ残りの各スイッチ素子16を導通状態として、遮断状態とするスイッチ素子16を高速で順番に変更することで、各半導体発光素子14を高速で順番に点灯させる。制御部12は、入力電圧(電源入力端子21の電位)が下限電圧Vl(図3参照)よりも小さくなると、入力電圧が低下したもの(低電圧状態)と判断する。この下限電圧Vlは、直列回路部11の各半導体発光素子14を点灯させることができなくなる電圧値とする。下限電圧Vlは、実施例1では、順方向電圧が3.5VのLEDが3つ直列に接続されているため、略10.5Vよりも小さくなると各半導体発光素子14すなわち直列回路部11全体が暗くなり、場合によっては点灯させることが困難になるので、10.5Vとしている。このような車両における入力電圧の低下としては、例えば、クランキングスタート時には6V程度まで低下するため、直列回路部11全体を点灯させることができなくなることがある。この入力電圧の低下は、他には、一例として、アイドリングストップ機構やその後のエンジンスタートが実行されたりすることで生じ得る。なお、下限電圧Vlは、個数や順方向電圧等により各半導体発光素子14が点灯できなくなる値が変化するので、適宜設定することができる。
制御部12は、各半導体発光素子14の順番での点灯を高速で切り替える。この高速とは、車両用灯具10を見た者が、各半導体発光素子14が順番に点灯していることを認識できない程度の時間間隔で点灯を切り替えること、すなわち全ての半導体発光素子14が点灯しているように認識させる時間間隔で点灯を切り替えることをいう。この時間間隔は、直列回路部11の構成や各半導体発光素子14の特性や位置や個数等を考慮しつつ見る者の感覚に基づいて設定するもので、予め実験等により設定し、実施例1では全ての半導体発光素子14を順に一度点灯させる駆動周期を200Hzとしている。なお、この時間間隔は、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
次に、車両用灯具10において、制御部12の制御下で、入力電圧の低電圧状態に対応して各半導体発光素子14を発光させる発光制御処理の一例について、図2を用いて説明する。図2は、実施例1における制御部12にて実行される発光制御処理(発光制御方法)を示すフローチャートである。この発光制御処理は、制御部12の内蔵メモリ26に記憶されたプログラムに基づいて制御部12が実行する。車両用灯具10は、実施例1では、点灯状態とされている際に常に発光制御処理を実行する状態とされており、車両用灯具10が点灯されると図2のフローチャートが開始される。ここで、各半導体発光素子14(各スイッチ素子16)に対して末尾に記す符号AからCの順に1から3の番号を付すものとし、開始時点では、切り替えの対象とする半導体発光素子14(スイッチ素子16)の番号を示す変数nを1(n=1)とする。また、実施例1では、切り替えられる半導体発光素子14(スイッチ素子16)を3つ設けているので、その個数を示す変数kを3(k=3)とする。以下では、図2のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。
ステップS1は、直列回路部11に所定の供給電圧の印加を開始し、ステップS2へ進む。
ステップS2は、入力電圧が低い低電圧状態であるか否かを判断し、YESの場合はステップS3へ進み、NOの場合はステップS11へ進む。ステップS2は、入力電圧と下限電圧Vlとを比較し、入力電圧が下限電圧Vlよりも小さい場合には低電圧状態であるとしてステップS3へ進み、入力電圧が下限電圧Vlよりも大きい場合には低電圧状態ではないとしてステップS11へ進む。
ステップS3は、変数nのスイッチ素子16を遮断状態とし、それ以外のスイッチ素子16を導通状態として、ステップS4へ進む。ステップS3は、対応する信号端子25から変数nのスイッチ素子16を遮断状態とする信号を出力して対応する半導体発光素子14を点灯するとともに、それ以外の信号端子25からスイッチ素子16を導通状態とする信号を出力して対応する各半導体発光素子14を消灯する。
ステップS4は、変数nと変数kとが等しいか否かを判断し、YESの場合はステップS5へ進み、NOの場合はステップS6へ進む。ステップS4は、変数nと変数kとが等しいか否か、すなわち各スイッチ素子16を順に切り替えて全てのスイッチ素子16を遮断状態としたか否かを判断する。
ステップS5は、変数nを1として、ステップS7へ進む。ステップS5は、全てのスイッチ素子16を一通り遮断状態とし終えたので、再び一番目のスイッチ素子16Aを遮断状態とするために切り替えの対象とするスイッチ素子16の番号を示す変数nを1(n=1)とする。
ステップS6は、n+1を新たなnとして、ステップS7へ進む。ステップS6は、次の番号のスイッチ素子16を遮断状態とするために、現在切り替えの対象としている番号を示す変数nに1を加算して新たな変数n(n=n+1)とする。
ステップS7は、低電圧状態か否かを判断し、NOの場合はステップS8へ進み、YESの場合はステップS10へ進む。ステップS7は、入力電圧と下限電圧Vlとを比較し、入力電圧が下限電圧Vlよりも大きい場合には低電圧状態ではなくなったのでステップS8へ進み、入力電圧が下限電圧Vlよりも小さい場合には低電圧状態のままなのでステップS10へ進む。
ステップS8は、発光制御処理を終了するか否かを判断し、YESの場合はステップS9へ進み、NOの場合はステップS2へ戻る。このステップS8は、運転手の操作または自動制御により消灯状態とされると発光制御処理を終了すると判断し、配光制御処理を終了するためにステップS9に進む。
ステップS9は、直列回路部11への所定の供給電圧の印加を停止して全ての半導体発光素子14を消灯し、発光制御処理を終了する。
ステップS10は、所定の時間が経過したか否かを判断し、YESの場合はステップS3へ進み、NOの場合はステップS7へ戻る。この所定の時間は、各半導体発光素子14を高速で点灯させるすなわち見た者が順番に点灯していることを認識できない程度の時間間隔で各半導体発光素子14を順番に点灯させるために、ステップS3でいずれか1つの半導体発光素子14を点灯してからその時間間隔となるまでの時間である。
ステップS11は、全てのスイッチ素子16を遮断状態として、ステップS8へ進む。ステップS11は、全ての信号端子25から各スイッチ素子16に遮断状態とする信号を出力することで、全ての半導体発光素子14を点灯させる。
次に、車両用灯具10において、制御部12の制御下で、各半導体発光素子14を発光する発光制御処理の動作について説明する。先ず、車両用灯具10が点灯されると、発光制御処理が実行されて、図2のフローチャートのステップS1に進み、直列回路部11に所定の供給電圧の印加を開始する。そして、入力電圧が下限電圧Vlよりも大きいと、ステップS2→SS11へと進み、全てのスイッチ素子16を遮断状態として全ての半導体発光素子14を点灯させる。その後、ステップS8→S2→S11へと進むことを繰り返すことで、直列回路部11では全ての半導体発光素子14が点灯されたままとなる。
そして、低電圧状態となり入力電圧が下限電圧Vlよりも小さくなり、その低電圧状態が維持されたものとする。すると、ステップS2→S3と進み、変数nが示す1の番号となるスイッチ素子16Aに遮断状態とする信号を、その他のスイッチ素子16B、16Cに導通状態とする信号を、それぞれ出力する。このため、直列回路部11では、半導体発光素子14Aが点灯されるとともに半導体発光素子14B、14Cが消灯される。その後、ステップS4→S6→S7へと進み、変数nを2としてステップS10に進み、所定の時間が経過するまでステップS10→S7→S10を繰り返す。そして、所定の時間が経過すると、ステップS3へと進む。すると、変数nが示す2の番号となるスイッチ素子16Bに遮断状態とする信号を、その他のスイッチ素子16A、16Cに導通状態とする信号を、それぞれ出力する。これにより、直列回路部11では、半導体発光素子14Bが点灯されるとともに半導体発光素子14A、14Cが消灯される。
その後、ステップS4→S6→S7へと進み、変数nを3としてステップS10→S7→S10を繰り返し、所定の時間が経過するとステップS3へと進む。すると、変数nが示す3の番号となるスイッチ素子16Cに遮断状態とする信号を、その他のスイッチ素子16A、16Bに導通状態とする信号を、それぞれ出力する。これにより、直列回路部11では、半導体発光素子14Cが点灯されるとともに半導体発光素子14A、14Bが消灯される。そして、ステップS4に進み、変数n(=3)が変数k(=3)と等しくなったので、ステップS5で変数nを1とする。その後、上記した低電圧状態となって以降の動作を、低電圧状態が解消されるすなわちステップS7で入力電圧が下限電圧Vlよりも大きいと判断されるまで繰り返す。これにより、制御部12は、各スイッチ素子16のうちの1つを順番に遮断状態とすることで、各半導体発光素子14のうちのいずれか1つを順番に点灯させることを繰り返す。そして、車両用灯具10が消灯状態とされると、低電圧状態か否かに拘わらず、ステップS8→S9へと進み、直列回路部11への所定の供給電圧の印加を終了して全ての半導体発光素子14を消灯し、発光制御処理を終了する。
次に、車両用灯具10における発光制御処理の一例について、図3のタイムチャートを用いて説明する。図3のタイムチャートでは、時刻t0で発光制御が開始され、時刻t1で入力電圧が下限電圧Vlよりも小さくなり、時刻t9で入力電圧が下限電圧Vlよりも大きくなったものとする。また、図3のタイムチャートでは、時刻t1から時刻t8に至るまでの各時刻の間隔が、ステップS10でいう所定の時間の経過と略一致されているものとする。
時刻t0となると、直列回路部11に所定の供給電圧の印加が開始される(ステップS1)。そして、入力電圧が下限電圧Vlよりも大きいので、全てのスイッチ素子16を遮断状態とすることで、全ての半導体発光素子14を点灯させた状態とする(ステップS11→S8→S2の繰り返し)。
時刻t1となると、入力電圧が下限電圧Vlよりも小さくなったので、変数nが示す1の番号となるスイッチ素子16Aに遮断状態とする信号を、その他のスイッチ素子16B、16Cに導通状態とする信号を、それぞれ出力する(ステップS2→S3)。このため、直列回路部11では、半導体発光素子14Aが点灯されるとともに半導体発光素子14B、14Cが消灯される。その後、入力電圧が低いままであるので所定の時間の経過を待つ(ステップS4→S6→S7→S10→S7(S7、S10間の移行は繰り返し))。そして、時刻t2となると、変数nが示す2の番号となるスイッチ素子16Bに遮断状態とする信号を、その他のスイッチ素子16A、16Cに導通状態とする信号を、それぞれ出力する(ステップS10→S3)。これにより、直列回路部11では、半導体発光素子14Bが点灯されるとともに半導体発光素子14A、14Cが消灯される。
その後、入力電圧が低いままであるので所定の時間の経過を待つ(ステップS4→S6→S7→S10→S7(S7、S10間の移行は繰り返し))。そして、時刻t3となると、変数nが示す3の番号となるスイッチ素子16Cに遮断状態とする信号を、その他のスイッチ素子16A、16Bに導通状態とする信号を、それぞれ出力する(ステップS10→S3)。これにより、直列回路部11では、半導体発光素子14Cが点灯されるとともに半導体発光素子14A、14Bが消灯される。そして、変数n(=3)が変数k(=3)と等しくなったので変数nを1とし(ステップS4→S5)、上記した動作を時刻t8まで繰り返す。これにより、制御部12は、各スイッチ素子16のうちの1つを順番に遮断状態とすることで、各半導体発光素子14のうちのいずれか1つを順番に点灯させることを、時刻t8まで繰り返す。
そして、時刻t8となると、半導体発光素子14Bが点灯されるとともに半導体発光素子14A、14Cが消灯される(ステップSS3)。その後、時刻t9となると、入力電圧が下限電圧Vlよりも大きくなったので、全てのスイッチ素子16を遮断状態として全ての半導体発光素子14を点灯させる(ステップS3→S4→S6→S7→S8(S7→S10→S7→S8の場合もある)→S2→S11)。その後、直列回路部11では全ての半導体発光素子14が点灯された状態となる(ステップS8→S2→S11の繰り返し)。
このように、車両用灯具10は、点灯状態において、入力電圧が下限電圧Vlよりも大きいとき、全ての半導体発光素子14を点灯させる。そして、入力電圧が下限電圧Vlよりも小さいとき、半導体発光素子14A、半導体発光素子14B、半導体発光素子14Cの順で順番に1つずつ点灯させることを繰り返す。これにより、車両用灯具10は、入力電圧が下限電圧Vlよりも大きい通常時には、全ての半導体発光素子14を点灯させて、全半導体発光素子14が点灯した状態である所望の態様(光り方)で照明することができ、均一に点灯した状態と認識される。また、車両用灯具10は、クランキングスタート等により入力電圧が下限電圧Vlよりも小さくなると、各半導体発光素子14を順番に点灯させることを高速で繰り返すことで、全ての半導体発光素子14が点灯しているように認識させつつ直列回路部11における電圧降下を小さくすることができる。これにより、車両用灯具10は、入力電圧が低下した場合であっても、点灯の態様(光り方)を維持して均一に点灯した状態と認識されつつ直列回路部11全体が点灯できなくなることを防止することができる。
ここで、従来技術の車両用灯具は、少なくとも1つの半導体発光素子を消灯することで、直列回路部における電圧降下を小さくして直列回路部全体が点灯できなくなることを防止している。このため、従来技術の車両用灯具は、入力電圧が低下すると、少なくとも1つの半導体発光素子を消灯させるので、点灯の態様が所望の態様(光り方)から変化してしまい、不均一に点灯した状態と認識されてしまう。これに対して、本願発明の車両用灯具10は、全ての半導体発光素子14が点灯しているように認識されるので、所望の態様(光り方)での点灯を維持して均一に点灯した状態と認識させることができるので、運転手等が違和感を覚えることを抑制できる。
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具10は、入力電圧が低下すると、制御部12が直列回路部11の各半導体発光素子14を高速で順番に点灯させる。このため、車両用灯具10は、直列回路部11における電圧降下を小さくしつつ、全ての半導体発光素子14が点灯している均一に点灯した状態であると認識させることができる。これにより、車両用灯具10は、入力電圧が低下した場合であっても所望の態様(光り方)での点灯を維持でき均一に点灯した状態と認識させることができるので、運転手等が違和感を覚えることを抑制できる。この所望の態様での点灯を維持することは、暗闇の中で車両用灯具10を用いている場合には、不均一に点灯した状態であることが目に付き易いため、特に効果的である。
車両用灯具10は、入力電圧が低下すると、各半導体発光素子14に対応する各バイパス路15に設けた少なくとも1つのスイッチ素子16を遮断状態としつつ残りの各スイッチ素子16を導通状態として、遮断状態とするスイッチ素子16を順番に変更する。換言すると、車両用灯具10は、導通状態とした全てのスイッチ素子16の中から少なくとも1つのスイッチ素子16を順に遮断状態とすることで、全ての半導体発光素子14を順番に点灯させる。このため、車両用灯具10は、対応するスイッチ素子16の状態を変更するだけの簡易な構成および制御で、全ての半導体発光素子14を順番に点灯させることができる。特に、車両用灯具10は、各スイッチ素子16を、何らの信号を入力しないと遮断状態となる構成、もしくは何らの信号を入力しなくても遮断状態を維持する構成とすると、入力電圧が低下したときだけ各スイッチ素子16を制御すればよいので、より簡易な構成および制御とすることができる。
車両用灯具10は、スイッチ素子16を有するバイパス路15を各半導体発光素子14に個別に設けて、入力電圧が低下すると各半導体発光素子14を順番に点灯させることで、直列回路部11全体が点灯できなくなることを防止している。ここで、直列回路部11全体が点灯できなくなることを防止するためには、昇圧回路を用いることも考えられるが、それに伴うノイズ対策等を施す必要も生じ、構成の複雑化を招くとともにコストの上昇を招いてしまう。これに対して、車両用灯具10は、上記したように簡易な構成で実現することができる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10では、車両からの入力電圧が低下した場合であっても、点灯の態様が不均一と認識されることなく点灯状態を維持できる。
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、例えばプログラムに基づかないハードウェアのみの仕様にも適用でき、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、入力電圧が低電圧状態である(下限電圧Vlよりも低い)か否かを判断することで、各半導体発光素子14を順番に点灯させる制御を実行するか否かを決定していた。しかしながら、車両用灯具10では、直列回路部11の発光状態を維持できなくなる要因としては、入力電圧が低下することのみではなく、各半導体発光素子14の順方向電圧が上昇することがあげられる。ここで、各半導体発光素子14の一例としてのLEDは、温度が低下すると順方向電圧が上昇することが知られているので、順方向電圧の上昇が生じ得る。このため、制御部12は、入力電圧が低下したか否かを判断することに替えて、順方向電圧が上昇したか否かを判断するものとしてもよく、入力電圧と順方向電圧との差が縮まったか否かを判断するものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、順方向電圧は、例えば、直列回路部11への供給電圧を検出することで、取得することができる。
また、実施例1では、順方向電圧が3.5VのLEDを3つ直列に接続して直列回路部11を構成していたが、半導体発光素子14の個数や順方向電圧は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、入力電圧が低電圧状態となると、半導体発光素子14を1つずつ点灯していたが、少なくとも1つの半導体発光素子14を順に点灯させる(少なくとも1つは消灯される)ものであれば、例えば、複数を同時に点灯してもよく、実施例1の構成に限定されない。