(実施形態の構成の説明)
車両用灯具10は、自動車等の車両に用いられる灯具として用いられるもので、例えば、ヘッドランプやフォグランプ等に用いられる。車両用灯具10は、光源(後述する光源ユニット11)からの直射光をレンズ12により配光パターンを形成するいわゆる直射タイプ(レンズ直射型)のランプユニットを構成する。車両用灯具10は、車両の前部の左右両側で、ランプハウジングの開放された前端がアウターレンズで覆われて形成される灯室に、上下方向用光軸調整機構や左右方向用光軸調整機構を介して設けられる。車両用灯具10は、対称な位置関係とされていることを除くと左右で等しい構成とされているので、以下では左側に設けられたものを用いて説明する。以下の説明では、車両用灯具10において、車両の直進時の進行方向を前後方向とし、車両に搭載された状態での鉛直方向を上下方向とし、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向とする。
車両用灯具10は、図1および図2に示すように、光源としての光源ユニット11とレンズ12とレンズホルダ13と光学部材14と放熱部材15とを備える。光源ユニット11は、半導体発光素子が用いられ、実施例1では収容するLED(発光ダイオード)を点灯可能な部材として構成されたLEDパッケージ21が基板22に取り付けられている。なお、LEDパッケージ21は、OLE(Organic Light Emitting(有機EL))やOLED(Organic Light Emitting Diode)等で構成されていてもよい。
基板22は、板状とされ、左右の両側に取付穴25と位置決め穴とが設けられている。基板22では、自らに設けられた端子がLEDパッケージ21の端子に接続されてLEDパッケージ21が固定されるとともに、光源ユニット11(LEDパッケージ21)に電力を供給するためのコネクタ26が設けられている。基板22は、ネジ24により放熱部材15の後述する取付面53に取り付けられる。これにより、光源ユニット11は、基板22を介して放熱部材15にLEDパッケージ21が位置決めされて取り付けられる。すると、光源ユニット11は、光の出射光軸(光軸方向)が車両前方方向となるように配置され、そのLEDパッケージ21の発光面がレンズ12の後側焦点近傍に位置される。光源ユニット11は、コネクタ26にハーネスが接続され、点灯制御回路からの電力が基板22を介してLEDパッケージ21に供給されて適宜点灯される。
レンズ12は、樹脂部材で構成され、レンズ部31とフランジ部32とを有する。レンズ部31は、光源ユニット11に対向する入射面33と、車両前方側に位置する出射面34と、を有する。レンズ部31は、光源ユニット11から出射された光(直射光)が入射面33から入射され、その光を出射面34から車両前方の所定の方向へ出射させる。この入射面33と出射面34とは、配光パターンに応じて双方の形状(曲率等)が設定され、レンズ部31に入射した光源ユニット11からの光で所定の配光パターンを形成する。入射面33は、自由曲面や2次曲面や複合2次曲面やそれらを組み合わせた面や平面で構成され、一例として平面とされる。なお、入射面33は、光源ユニット11側に突出する凸曲面や、光源ユニット11とは反対側に凹む凹曲面とされていてもよい。出射面34は、自由曲面や2次曲面や複合2次曲面やそれらの組み合わせの面で構成され、光源ユニット11と反対側に突出した凸曲面とされる。入射面33および出射面34は、一方もしくは双方が複数に分割された面で構成されていてもよい。フランジ部32は、レンズ部31の左右方向の両側に一体に設けられている。フランジ部32は、レンズ12をレンズホルダ13に固定するための箇所となる。
レンズホルダ13は、放熱部材15よりも熱伝導率が低い(熱抵抗が大きい)樹脂部材で構成される。レンズホルダ13は、前側から正面視して全体に矩形の枠状とされ、レンズ支持部35と取付板部36とを有する。レンズ支持部35は、取付板部36から前方に突出する枠状とされ、前端壁が開口され、左右両側面壁に弾性支持片37がそれぞれ設けられている(図1では、左側のみ図示)。レンズ支持部35は、フランジ部32を含めたレンズ12全体を受け入れることのできる大きさとされ、前端壁の開口は、レンズ部31(出射面34)を突出させることのできる大きさとされている。
レンズホルダ13では、出射面34を前側に向けたレンズ12が、レンズ支持部35に後側から前側へと挿入される。すると、レンズ12は、フランジ部32がレンズ支持部35の前面壁と弾性支持片37との間に挟み込まれることで、位置決めされて支持される。このとき、レンズ12は、レンズ部31(出射面34)がレンズホルダ13の前端壁の開口から前方に突出される。取付板部36は、レンズ支持部35を取り囲む板状とされ、放熱部材15の後述する取付面53に宛がわれる箇所となる。取付板部36では、4隅に取付穴38が設けられている。
光学部材14は、光源ユニット11とレンズ12との間を通る光を制御する。光学部材14は、実施例1では、外部から入射してレンズ12により集光された光がコネクタ26を照射することを防止(遮光)するために設けられている。なお、光学部材14は、例えば、光源ユニット11から出射されてレンズ12に入射する光の一部を遮るものでもよく、光源ユニット11から出射された光のうちの配光パターンの形成に用いられないものを補助配光パターンの形成のためにレンズ12へ向けて反射するものでもよい。
光学部材14は、図3に示すように、板形状の部材とされ、実施例1では光不透過性の金属板(例えばメッキ鋼板やSUSやアルミ等の鋼板)で形成される。光学部材14は、上下に長尺な一対の取付片部41と、その下端部分の間で両取付片部41を連結する連結片部42と、を有し、前方側から見て全体にU字形状とされている。光学部材14は、後述するように、レンズ12側(前側)から見て、光源ユニット11におけるLEDパッケージ21の左右方向の両側に取付片部41を位置させつつ、光源ユニット11のコネクタ26を連結片部42で覆い隠すように設けられる(図5参照)。
各取付片部41には、上端近傍に位置決め穴43と取付穴44とが上下方向に並んで設けられている。この位置決め穴43と取付穴44とは、光学部材14を放熱部材15の後述する取付面53に固定するために用いられるもので、取付面53(その後述する固定部65)への固定箇所45として機能する。
また、各取付片部41には、下端の外側の端部に接触箇所46が設けられている。接触箇所46は、取付片部41の下端から上下方向に伸びるスリット47が設けられることで形成され、取付片部41とは上側のみが接続されて下側および左右両側が切り離された突片状(所謂タブ形状)に形成されている。このように、光学部材14では、一対の固定箇所45が一方の縁部(上端部)に設けられ、接触箇所46が他方の縁部(下端部)に設けられている。
連結片部42には、上端の中間に折曲片部48が設けられている。折曲片部48は、連結片部42から上方に突出された平板状の箇所が光源ユニット11側(後側)に折り曲げられて構成されている。折曲片部48は、光源ユニット11のLEDパッケージ21から出射された光がレンズ12(その入射面33)へと適切に入射することを阻害することなく、コネクタ26の上側を覆うことを可能とする。
この光学部材14は、板形状の部材を打ち抜き加工により形成され、実施例1では図4に示すフローチャートの手順で形成される。
ステップS1は、板形状の部材を表面(形成された光学部材14を取り付けた状態でレンズ12側となる面(表面14a))側から切刃を当てて切断し、ステップS2へ進む。ステップS1は、板形状の部材から、両取付片部41が連結片部42で連結され、両取付片部41に固定箇所45が設けられるとともに連結片部42に両接触箇所46および折曲片部48が設けられた形状を形作る。このとき、折曲片部48の先端の表面14a側の端部となる前端縁48a(図3、図6参照)が、切刃が押し当てられて打ち抜かれることにより丸められた形状(所謂だれ)とされる。ここで、折曲片部48の先端の裏面14b側の端部となる後端縁48bにはバリが形成される虞がある。このため、実施例1では次にステップS2の工程を行う。
ステップS2は、折曲片部48の後端縁48bに金型を押し当てることにより、後端縁48bを潰して面取りして、ステップS3へ進む。
ステップS3は、ステップS1で形作られてステップS2で後端縁48bが面取りされた板形状の部材に、光学部材14としての所定の形状に曲げる曲げ加工(光学部材14の下端や折曲片部48等の形成)を行って、ステップS4へ進む。
ステップS4は、打ち抜き加工のための金型から光学部材14を外して、この加工を終了する。
これにより、上記した形状の光学部材14を得ることができる。その光学部材14では、折曲片部48の先端において、前端縁48aが丸められた形状(所謂だれ)とされるとともに、後端縁48bが面取りされている(図3、図6参照)。
放熱部材15は、図2に示すように、光源ユニット11で発生する熱を外部に放射させるヒートシンク部材であり、熱伝導性を有するアルミダイカストや樹脂で形成される。放熱部材15は、前後方向に直交する板状とされたベース部51と、そこに一体に設けられた複数枚の放熱フィン52と、を有する。ベース部51は、前後方向前側の面が光源ユニット11やレンズホルダ13や光学部材14が取り付けられる取付面53とされ、前後方向後側の面である裏面54に各放熱フィン52が設けられる。このため、放熱部材15は、光源ユニット11が固定される固定部材として機能する。取付面53は、実施例1では、前後方向に直交する面に沿うものとされている。各放熱フィン52は、熱を外部に放射させる箇所であり、上下方向および前後方向に伸びる板状とされて、左右方向に並列されて設けられている。
取付面53には、中央部に光源取付部55が、周縁部にレンズ取付部56が、光源取付部55とレンズ取付部56との間に部材取付部57が、それぞれ設けられている。光源取付部55は、光源ユニット11を取り付ける箇所であり、基板22の位置決め穴に通される位置決め突起61と、基板22の取付穴25に対向されるネジ穴62と、を有する。レンズ取付部56は、レンズホルダ13を取り付ける箇所であり、レンズホルダ13の各取付板部36の位置決め穴に通される位置決め突起63と、各取付板部36の取付穴38に対向されるネジ穴64と、を有する。
部材取付部57は、光学部材14を取り付ける箇所である。部材取付部57は、光源としての光源ユニット11(光源取付部55)を挟んで左右方向で対を為す位置に設けられた一対の固定部65と、両固定部65を結ぶ直線と直交する方向(上下方向)で光源ユニット11から離れた位置に設けられた一対の接触部66とを有する。各固定部65は、光学部材14の各固定箇所45に対応する位置に設けられている。各接触部66は、各固定部65の下方で対を為しており、光学部材14の各接触箇所46に対応する位置に設けられている。
各固定部65は、取付面53から前後方向前側へと錐台状に突出して形成され、前側の突出端面65aが取付面53と平行な平面とされている。各突出端面65aは、光学部材14の各固定箇所45が宛がわれる箇所となる。この各固定部65は、宛がわれた光学部材14が、取付面53に設けられる光源ユニット11(LEDパッケージ21)に対して光学的に適切な位置となるように、取付面53から突出端面65aまでの突出量(高さ寸法)が設定されている。この適切な位置とは、光学部材14が設定された機能を適切に作用させることをいい、実施例1ではレンズ12で集光された光によるコネクタ26の照射を確実に防止することをいう。各突出端面65aには、光学部材14の各取付片部41の位置決め穴43に通される位置決め突起67と、各取付片部41の取付穴44に対向されるネジ穴68と、を有する。この各ネジ穴68は、光学部材14の取り付けのために自らに対応された締結部材としてのネジ69を、裏面54側に至ることなく受け入れることが可能とされており、裏面54側に突出しないものとされている(図6参照)。換言すると、各ネジ穴68にねじ込まれるネジ69は、光学部材14の取付強度を勘案しつつ上記した突出量とされた各固定部65の中に納まる長さ寸法とされている。各接触部66は、取付面53から前後方向前側へと棒状に突出して形成され、取付面53からの突出量(高さ寸法)が両固定部65よりも大きくされている。
車両用灯具10は、次のように、放熱部材15の取付面53に、光源ユニット11、光学部材14およびレンズホルダ13が組み付けられる。先ず、取付面53の光源取付部55に、位置決め突起61を位置決め穴に通した状態で、基板22の取付穴25を通したネジ24がネジ穴62にねじ込まれることで、位置決めされて基板22が取り付けられる。これにより、取付面53では、中央部で位置決めされて光源ユニット11(LEDパッケージ21)が設けられる。
その後、取付面53の部材取付部57では、各固定部65の各位置決め突起67を対応する光学部材14の位置決め穴43に通した状態で、各固定部65の突出端面65aに光学部材14の各取付片部41の固定箇所45が宛がわれるとともに、各接触部66(その突出端)に光学部材14の各連結片部42の接触箇所46が宛がわれる。このとき、取付面53が鉛直方向の上側を向くように放熱部材15を置いて作業を行うことで、2つの固定部65(突出端面65a)および2つの接触部66(突出端)の上に安定して光学部材14を置くことができる。そして、部材取付部57では、各取付穴44を通したネジ69が対応する光学部材14のネジ穴68にねじ込まれることで、光学部材14が位置決めされて取り付けられる。これにより、取付面53では、光源ユニット11よりも前方側において、前方側から見て光源ユニット11のLEDパッケージ21を取り囲むように光学部材14が設けられる(図5参照)。
光学部材14は、各固定部65の突出端面65aに各固定箇所45が固定されると、部材取付部57における取付面53からの突出量が両固定部65よりも各接触部66が大きくされているので、自身の弾性により接触箇所46が各接触部66(突出端)に押し当てられる。このとき、光学部材14は、前後方向の位置が各固定部65の突出端面65aで規定されるとともに、上下方向および左右方向の位置が各位置決め突起67および各位置決め穴43で規定される。そして、各固定部65は、取付面53から突出端面65aまでの突出量が上記したように設定されているので、光学部材14は、光源ユニット11(LEDパッケージ21)に対して光学的に適切な位置に設けられている。この状態において、光学部材14は、図5および図6に示すように、連結片部42が光源ユニット11のコネクタ26の前側を覆うとともに、そこから上方に突出されて後側に曲げられた折曲片部48がコネクタ26の上側を覆う位置関係とされている。また、光学部材14の折曲片部48は、後端縁48bと光源ユニット11とが前後方向で間隔D(図6参照)を置くものとされている。
その後、レンズ12がレンズホルダ13に取り付けられる。そして、取付面53のレンズ取付部56では、各位置決め突起63をレンズホルダ13の取付板部36の対応する位置決め穴に通した状態で、各取付穴38を通したネジ39が取付板部36の対応するネジ穴64にねじ込まれることで、レンズホルダ13が位置決めされて取り付けられる。これにより、取付面53では、レンズホルダ13に支持されたレンズ12が、光源ユニット11(LEDパッケージ21)の前方の適切な位置とされて設けられる。
この車両用灯具10は、上記したように組み付けられて光源ユニット11のコネクタ26にハーネスが接続され、点灯制御回路からの電力が基板22を介してLEDパッケージ21に供給されることで、LEDパッケージ21(その発光面)が適宜点灯される。この点灯により、車両用灯具10は、LEDパッケージ21からの光をレンズ12のレンズ部31の入射面33からレンズ部31内に入射させて出射面34から出射させることで、所定の配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターン)として車両の前方を照射する。このとき、光源ユニット11から発生する熱は、その光源ユニット11が取り付けられた放熱部材15の各放熱フィン52と通じて外部に放射される。車両用灯具10は、外部の光が出射面34から入射してレンズ12により集光された光が入射面33から内側へと進行しても、コネクタ26の前側を覆う連結片部42およびコネクタ26の上側を覆う折曲片部48によりコネクタ26が照射されることを防止できる。
ここで、両固定部65は、光源ユニット11とレンズ12との間を通る光を制御する光学部材14を固定するものなので、汎用性を持たせるためには光源ユニット11の周辺に設けることが望ましい。また、光源ユニット11(LEDパッケージ21)の周辺では、光源ユニット11の点灯のための種々の部品(例えば、上記したコネクタ26)が設けられるので、光学部材14の固定に利用できる位置が制限される。これに対して、光学部材14は、連結片部42および折曲片部48でコネクタ26を覆うので、両固定部65よりも下方まで伸びるものとされる。これらのことから、光学部材14は、実施例1では両接触部66が無いものとすると2つのネジ69(取付穴44)により上端近傍のみで固定される所謂片持ちの状態となり、その2点を結ぶ直線と重心との間隔が大きくなってしまう。この状態では、光学部材14の下端側に近いほど大きな振動が生じる虞があり、その振動が照射する配光パターンに影響を与える虞がある。
このため、車両用灯具10では、両固定部65を結ぶ直線と直交する方向(上下方向)で光源ユニット11から離れた位置に一対の接触部66を設けて、光学部材14の外側下端に設けた両接触箇所46に接触させている。これにより、車両用灯具10では、重心を取り囲むように光学部材14を4点で支持することができ、光学部材14に振動が生じることを大幅に抑制することができる。また、車両用灯具10では、両固定部65と両接触部66との突出量の設定により、光学部材14の弾性を利用して各接触箇所46を各接触部66に押し当てることでそれらを支持点としている。このため、車両用灯具10は、2つのネジ69だけで4点での支持を実現しており、簡易な構成としつつ部材を削減することができる。さらに、車両用灯具10では、両接触部66を取付面53から棒状に突出するものとしている。このため、車両用灯具10は、取付面53における両接触部66の占有面積を小さくでき、両接触部66の位置設定を容易なものにできる。
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具10は、光源としての光源ユニット11を挟んで対を為す位置に設けられた一対の固定部65と、両固定部65を結ぶ直線と直交する方向で光源ユニット11から離れた位置で取付面53から突出して設けられた接触部66と、を取付面53に設けている。そして、車両用灯具10は、接触部66の前後方向(光軸方向)での取付面53からの突出量を固定部65よりも大きくし、光学部材14の一方の縁部(実施例1では上端部)に設けた一対の固定箇所45をネジ69で固定部65に固定し、光学部材14の他方の縁部(実施例1では下端部)に設けた接触箇所46を接触部66に接触させている。このため、車両用灯具10は、光学部材14における一方の縁部の両固定箇所45を固定部65に固定しつつ他方の縁部の接触箇所46を接触部66に押し当てることができ、光学部材14の重心を取り囲むように支持することができる。これにより、車両用灯具10は、光学部材14に振動等が生じることを大幅に抑制でき、設計通りの配光パターンを形成することができるとともに、意図しない光を出射させる虞を大幅に低減することができ、製品の品質を向上させることができる。特に、車両用灯具10では、接触部66も各固定部65の下方で対を為して設けているので、光学部材14の重心を取り囲むように4点で支持することができ、光学部材14の取付強度を向上させることができる。
車両用灯具10は、接触箇所46を、互いに交差する四方のうちの一方のみが取付片部41に接続された突片状に形成している。このため、車両用灯具10は、接触部66に接触箇所46が押し当てられることに起因する光学部材14の撓みを接触箇所46やその周辺のみに留めることができ、光学部材14で制御した光源ユニット11とレンズ12との間を通る光への影響を最小限に抑制することができる。
車両用灯具10は、一対の取付片部41の一端部分(実施例1では下端部)を連結片部42により繋ぎ合わせて光学部材14を構成する。また、車両用灯具10は、固定箇所45を取付片部41の他端部分(実施例1では上端部)にそれぞれ設け、接触箇所46を取付片部41の一端部分に設けている。このため、車両用灯具10は、前方側から見て光源ユニット11(LEDパッケージ21)を取り囲みつつ、光源ユニット11の周辺に設けられる電子部品(実施例1では光源ユニット11のコネクタ26)を連結片部42で覆うことができ、その電子部品を保護できる。
車両用灯具10は、光学部材14の連結片部42に設けた折曲片部48において前後方向(光軸方向)で光源ユニット11と対向する後端縁48bに面取り加工を施している。このため、車両用灯具10は、折曲片部48(後端縁48b)と光源ユニット11との間隔を所定の値(実施例1では間隔D)とすることができる。これにより、車両用灯具10は、例えば光源ユニット11への電路となる電極端子と折曲片部48との間で短絡が生じることを防止できる。これは、次のことによる。車両用灯具10は、実施例1では板形状の部材の表面14a側から切刃を当てて光学部材14を成形して、折曲片部48の前端縁48aを丸めた形状(所謂だれ)としている。これは、車両用灯具10は、折曲片部48の表面14a側の面が光源ユニット11とレンズ12との間を通る光が当たり得る位置関係とされるので、折曲片部48の前端縁48aにバリが形成されて光を意図しない方向に反射させることを防止するためである。一方、車両用灯具10は、表面14a側から切刃を当てると、折曲片部48の後端縁48bにバリが形成される虞があり、このバリの大きさや形状の管理は困難である。このため、車両用灯具10は、バリの先端と光源ユニット11との間隔が所定の値以下となる虞があり、バリを介して後端縁48bと光源ユニット11(例えばその電極端子)との間が短絡する虞がある。しかしながら、車両用灯具10では、後端縁48bに面取り加工を施しているので、折曲片部48(後端縁48b)と光源ユニット11との間隔を所定の値にできる。
車両用灯具10は、各固定部65が、光学部材14の光源ユニット11に対する光軸方向での位置を設定している。このため、車両用灯具10は、各固定部65(部材取付部57)に光学部材14を取り付けるだけで、光源ユニット11に対して適切な位置に光学部材14を設けることができる。特に、車両用灯具10は、両固定部65の突出端面65aを平面としているので、光学部材14の光軸方向での位置決めの精度を高めることができる。また、車両用灯具10は、各固定部65が、複数の放熱フィン52が設けられた裏面54側に突出することなくネジ69を受け入れている。このため、車両用灯具10は、放熱部材15において、ネジ69を受け入れる各固定部65がベース部51の裏面54に突起する箇所を形成しないので、各放熱フィン52の間での対流を円滑に生じさせることができ、光源ユニット11を適切に冷却することができる。このことは、車両用灯具10では放熱部材15の各放熱フィン52を前後方向の後方側に向けているため、各放熱フィン52の間に各固定部65に対応する突起が存在すると対流が生じることの妨げとなり易いので、より効果的である。これにより、車両用灯具10は、放熱部材15の冷却性能を高めることに繋がるので、放熱部材15の増大を抑制できる。このため、車両用灯具10は、全体の構成の小型化に寄与できる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、光源ユニット11(光源)とレンズ12との間に設ける光学部材14において、簡易な構成で固定できるとともに振動が生じることを抑制できる。
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、外部から入射してレンズ12により集光された光がコネクタ26を照射することを防止(遮光)する光学部材14を用いた車両用灯具10を示していたが、光源ユニット11とレンズ12との間を通る光を制御する光学部材を用いる車両用灯具であればよく、実施例1の構成に限定されない。例えば、図7および図8に示す車両用灯具10Aとしてもよい。この車両用灯具10Aは、光学部材14Aの構成とレンズ12Aの形状が異なることを除くと、基本的な構成は車両用灯具10と等しいものであり、以下では車両用灯具10と異なる構成について説明する。車両用灯具10Aのレンズ12Aは、車両用灯具10(そのレンズ12)とは異なる配光パターンを形成するもので、入射面(33)および出射面34Aの形状が異なるものとされている。
光学部材14Aは、一対の取付片部41Aの上方を連結片部42Aが連結する構成とされており、光源ユニット11の上方に設けられた板状とされている。光学部材14Aは、光源ユニット11のコネクタ26を覆うものではなく、光源ユニット11の略上半分を取り囲む円錐面状の反射面としての折曲片部48Aを有する。この折曲片部48Aは、表面14aA側の面に面処理を施す等により、光学部材14Aの他の面よりも高反射率の面とされることで反射面としてもよい。折曲片部48Aは、光源ユニット11から出射された光のうち、直接レンズ12Aの入射面33Aから入射して配光パターンを形成する光ではない他の光を、レンズ12A(その入射面33A)へと導いてレンズ12A(その出射面34A)から出射させることで、配光パターンとは異なる補助配光パターンを形成する。
これに伴い、車両用灯具10Aでは、放熱部材15Aの部材取付部57Aが一対の固定部65Aのみで構成されている。各固定部65Aは、実施例1の固定部65と同様の構成としつつ上下逆転させたものとされ、締結部材としてのネジ69により光学部材14Aが取り付けられると、光源ユニット11に対して光学的に適切な位置とする。この光学部材14Aは、実施例1の光学部材14と同様に、板形状の部材の表面14aA側から切刃を当てることで、上記した略上半分の円錐面状の反射面である折曲片部48Aを有する形状とされ、折曲片部48Aの前端縁48aAが丸められた形状(所謂だれ)とされる。その後、実施例1の光学部材14と同様に、折曲片部48Aの後端縁48bAに金型を押し当てることにより、後端縁48bAを潰して面取りしている。
この車両用灯具10Aは、実施例1の車両用灯具10と同様の構成に関しては、同様の効果を得ることができる。車両用灯具10Aは、光学部材14Aに反射面としての折曲片部48Aを設けているので、表面14aA側から切刃を当てて加工することにより前端縁48aAを丸めた形状とすることで、補助配光パターンをより適切に形成でき、より効果的である。なお、車両用灯具10Aでは、光学部材14Aが光源ユニット11の上方に設けられた板状とされていたが、レンズ12と同様に光源ユニット11のコネクタ26を覆うように光源ユニット11の下方に伸びる形状としてもよい。この場合、光学部材14Aに光学部材14と同様の接触箇所46を設け、部材取付部57Aに部材取付部57と同様の接触部66を設けると、車両用灯具10と同様に重心を取り囲む4点で支持することができ、車両用灯具10と同様の効果を得ることができる。
実施例1および上記した例では、光学部材14、14Aとしていたが、光源ユニット11とレンズ12との間を通る光を制御する板状の部材であればよく、上記した各構成に限定されない。
実施例1では、光学部材14の下端の両端で対を為して突片状の接触箇所46を設けていたが、一対の固定箇所45に対して光学部材14の重心を挟む位置に接触箇所46を設けるものであれば、1つやまたは3つ以上設けるものでもよく、実施例1の構成に限定されない。また、接触箇所46は、スリット47に隣接して形成していたが、互いに交差する四方のうちの一方のみが連結片部42に接続された突片状に形成されていれば、連結片部42から部分的に突出して設けられていてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1および上記した例では、固定部材を放熱部材15としていたが、固定部材は光源ユニット11が固定されるものであればよく、実施例1の構成に限定されない。