JP2019028126A - 電子写真用の帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

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JP2019028126A JP2017144393A JP2017144393A JP2019028126A JP 2019028126 A JP2019028126 A JP 2019028126A JP 2017144393 A JP2017144393 A JP 2017144393A JP 2017144393 A JP2017144393 A JP 2017144393A JP 2019028126 A JP2019028126 A JP 2019028126A
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悟 西岡
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一浩 山内
健一 山内
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健一 山内
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Abstract

【課題】使用条件及び使用環境に依存せず、外添剤、トナーの如き汚れ物質の付着を抑制する帯電部材を提供する。【解決手段】導電性の基体、弾性層及び表面層をこの順に有する電子写真用の帯電部材であって、表面層は、弾性層と対向する側とは反対側の表面における表面抵抗が、1.0×1014Ω/□以上、1.0×1017Ω/□以下であり、かつ、バインダー樹脂とカーボンブラックとを含み、バインダー樹脂は、フェノール性水酸基およびアミド構造を有するポリアミド樹脂を含み、ポリアミド樹脂は、特定の構造を有する第1のポリマー部分及び第2のポリマー部分の少なくとも一方をさらに有する。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用の帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置に関する。
レーザービームプリンターの如き電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」と称す)においては、感光体、帯電部材、現像部材及びクリーニング部材の如き複数の構成要素を一体的に組み込んでプロセスカートリッジとする。そして、このカートリッジを装置本体に対して着脱可能な構成とする場合がある。
近年、画像形成装置の構造の簡略化の観点から、クリーナーレスシステム(トナーリサイクルシステム)が提案されている。この方式は、転写工程後のクリーニング手段である感光体クリーナーを廃し、転写後の感光体上の残留トナーを、現像装置による「現像同時クリーニング」で感光体上から除去し、現像容器に回収・再利用する電子写真プロセスである。現像同時クリーニングとは、転写工程後にも感光体上に残留しているトナー(以下、「残留トナー」ともいう)を、次工程以降の現像時に、かぶり取りバイアスによって回収する方法である。なお、かぶり取りバイアスは、現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位との間の電位差である、かぶり取り電圧差Vbackを意味する。クリーナーレスシステムにおいて接触帯電部材である帯電ローラを適用した場合は、感光体クリーナーを有する場合と比較して、感光体上の残留トナー量が増加し、帯電ローラに汚れが、より付着し易くなっている。
帯電部材への残留トナーの如き汚れの付着を抑制するための手段として、特許文献1では、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂を含有する表面層を有する帯電部材が提案されている。また、特許文献2では、帯電ローラの他に、帯電前当接部材を有する画像形成装置が提案されている。
特開2010−197590号公報 特開2008−70637号公報
感光体上の、残留トナー中には、トナーが本来帯びるべき極性(以下、「正規極性」ともいう)とは逆の極性に帯電しているトナー(以下、「逆帯電トナー」ともいう)が含まれている。具体的には、例えば、正規極性が負であれば、逆帯電トナーは、正に帯電したトナーである。一方、画像形成装置において、感光体に当接して配置されている帯電部材は、トナーの正規極性と同じ極性の帯電バイアスを印加する。そのため、帯電部材と感光体の表面電位間に電位差が生じ、残留トナー中の逆帯電トナーは、帯電バイアスおよび帯電部材と感光体との間の電位差の関係から、帯電部材に静電的に付着し易い。
特許文献1に係る帯電部材は、化学的、物理的な汚れの付着に対しては有効であるものの、静電的な汚れの付着に対する効果は少ない。一方、特許文献2に係る画像形成装置においては、感光体上の逆帯電トナーは、電圧が印加された帯電前当接部材による放電または電荷注入により、正規極性に戻されるため、帯電部材への静電的な付着は起こりにくいと考えられる。しかし、帯電前当接部材の導入は、画像形成装置のコストアップを招来する。
本発明の一態様は、静電的な汚れ付着を、より確実に抑制し得る帯電部材の提供に向けたものである。また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を長期に亘って安定的に形成可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様は、導電性の基体、弾性層及び表面層をこの順に有する電子写真用の帯電部材であって、該表面層は、バインダー樹脂とカーボンブラックとを含み、該表面層の、該弾性層と対向する側とは反対側の表面における表面抵抗が、1.0×1014Ω/□以上、1.0×1017Ω/□以下であり、該バインダー樹脂は、構造式(1)で示される構造を有するポリアミド樹脂を含み、該ポリアミド樹脂は、第1のポリマー部分及び第2のポリマー部分の少なくとも一方をさらに有し、該第1のポリマー部分は、構造式(2)〜(8)で示される群から選択される少なくとも1つの構造を含み、該第2のポリマー部分は、構造式(9)で示される構造を含む、帯電部材である。
Figure 2019028126
[構造式(1)中、R11は、炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(2)中、R21は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(3)中、R31は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(4)中、R41は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(5)中、R51は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(6)中、R61は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(7)中、R71は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(8)中、R81は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
Figure 2019028126
[構造式(9)中、R91は炭素数3〜9の二価の脂肪族炭化水素基を示す。]。
また本発明の他の態様は、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電装置と、を有し、該帯電装置は、該電子写真感光体と接触して配置される帯電部材を具備している電子写真画像形成装置であって、該帯電部材は、上記の帯電部材である電子写真画像形成装置である。
また本発明の他の態様は、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、上記の帯電部材を具備しているプロセスカートリッジである。
本発明の一態様によれば、汚れの静電的な付着をより確実に抑制し得る帯電部材を得ることができる。また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を長期に亘って安定的に形成可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式的断面図である。
本発明の一態様に係る帯電部材は、導電性の基体、弾性層及び表面層をこの順に有する。
該表面層はバインダー樹脂と、カーボンブラックとを含む。該表面層の、該弾性層と対向する側とは反対側の表面における表面抵抗が、1.0×1014Ω/□以上、1.0×1017Ω/□以下である。
該バインダー樹脂は、構造式(1)で示される構造を有するポリアミド樹脂を含み、該ポリアミド樹脂は、第1のポリマー部分及び第2のポリマー部分の少なくとも一方をさらに有する。
該第1のポリマー部分は、構造式(2)〜(8)で示される群から選択される少なくとも1つの構造を含み、該第2のポリマー部分は、構造式(9)で示される構造を含む。
Figure 2019028126

構造式(1)中、R11は、炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示す。
Figure 2019028126

構造式(2)中、R21は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。
Figure 2019028126

構造式(3)中、R31は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。
Figure 2019028126

構造式(4)中、R41は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。
Figure 2019028126

構造式(5)中、R51は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。
Figure 2019028126

構造式(6)中、R61は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。
Figure 2019028126

構造式(7)中、R71は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。
Figure 2019028126

構造式(8)中、R81は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。
Figure 2019028126

構造式(9)中、R91は炭素数3〜9の二価の脂肪族炭化水素基を示す。
前記構成を有する帯電部材は、その表面への汚れの付着を、より一層低減させ得る。その理由を、本発明者らは以下のように推測している。
表面層に含有される導電性微粒子としてのカーボンブラックは、感光体上の残留トナー中の逆帯電トナーに対して、効率的に電荷を注入できる。その理由は、導電性のカーボンブラックは、パイ電子を有する縮合ベンゼン環から構成されているため、逆帯電トナーに対して効率的に電荷を注入できるものと考えられる。
ところで、帯電部材の表面層中のカーボンブラックの主たる役割は、該表面層の電気抵抗を適切な領域に調整する点にある。すなわち、表面層中において、該導電性粒子は、表面層の弾性層と対向する側とは反対側の表面における表面抵抗率が、例えば、1.0×1014Ω/□以上、1.0×1017Ω/□以下となるように含有させられている。そのため、帯電部材による逆帯電トナーへの電荷注入能を向上させるために、表面層に、カーボンブラックを大量に添加することはできない。また、大量のカーボンブラックの添加は、表面層の表面抵抗率を下げ、逆帯電トナーに付与された電荷が、逆に帯電部材に漏洩してしまうことが考えられる。
従って、表面層中のカーボンブラックの含有量を増やすこと以外の方法で、帯電部材による逆帯電トナーへの電荷注入能を向上させ得る新たな技術の開発が必要であることを認識した。
かかる認識に基づき検討を重ねた結果、表面層中の、カーボンブラックを分散、保持してなるバインダー樹脂に、上記構造式(1)で示される構造を有するポリアミド樹脂を用いるという方法を見出した。さらに、この方法によれば、表面抵抗率の低下を抑えつつ、逆帯電トナーに電荷を効率的に注入し得る表面層とすることができることを見出した。
このようなポリアミド樹脂をバインダー樹脂として用いることで、表面層による逆帯電トナーの正規極性化が効率良く行うことができる理由を本発明者らは以下の様に推測している。
構造式(1)で示される構造(以下、「構造(1)」とも称す)は、3−ヒドロキシイソフタル酸とジアミンを反応させた構造である。
カーボンブラックを構成する芳香環構造と、構造(1)のフェノール構造中の芳香環とは、π−π相互作用を通じて、フェノール性水酸基及びアミド基から電子が供与され、カーボンブラックへの電子の注入が行なわれる。また、構造(1)中のアミド基及び水酸基が、カーボンブラックの表面の酸性官能基と相互作用し、カーボンブラックが、ポリアミド樹脂に吸着され易くなる。その結果、カーボンブラックが有する芳香環構造と、構造(1)中の芳香環とが、より近接した状態を取りやすくなり、π−π相互作用がより生じやすくなると考えられる。その結果、カーボンブラックからの逆極性トナーに対する電荷の付与がより効率的に行われることになる。また、アミド基は、ネガ帯電性を有するため、摩擦帯電によって、正極性に帯電した逆極性トナーに電荷を付与し得る。
構造式(2)〜(5)で示される構造(以下、「構造(2)」などとも称す)を含む第1のポリマー部分は、ジエン系の炭化水素化合物を重合させた構造を含むものである。
また、構造式(6)〜(8)で示される構造(以下、「構造(6)」などとも称す)を含む第1のポリマー部分は、α−オレフィンを重合させた構造、またはジエン系の炭化水素化合物を重合させ、水素添加した構造を含むものである。
さらに、構造式(9)で示される構造(以下、「構造(9)」とも称す)を含む第2のポリマー部分は、カルボニル基間を、脂肪族炭化水素基で結合した構造を含むものである。
該ポリアミド樹脂の分子中に、第1のポリマー部分および第2のポリマー部分の少なくとも一方を導入することで、該ポリアミド樹脂の電気抵抗を高めることができる。すなわち、表面層のバインダー樹脂部分の電気抵抗を高めることができるため、表面層中のカーボンブラックを介在して逆帯電トナーに対して付与された電荷が、表面層側に漏洩することを抑制することができる。また、第1のポリマー部分および第2のポリマー部分は、疎水性であるため、表面層の吸湿を抑え、表面層の電気抵抗の低下を抑制し得る。その結果、逆帯電トナーへの電荷付与による正規極性化をより効率的に行うことができる。
さらに、第1のポリマー部分および第2のポリマー部分は、ポリアミド樹脂に対して柔軟性を付与し得る。その結果、表面層と逆帯電トナーとの密着性を高め、逆帯電トナーに対するカーボンブラックを介在した電荷の供給をより一層効率的に行い得る。

以下、構造式(1)で示される構造を有するポリアミド樹脂について説明する。
構造式(1)中、R11は、炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示す。
11が炭素数2以上の脂肪族炭化水素基であれば、誘起効果により、炭素原子から、アミドを形成する窒素原子への電子供与が可能となり、フェノール構造部の電子供与性が向上する。また、R11が炭素数12以下の脂肪族炭化水素基であれば、樹脂の強度を高めることができる。R11は、置換または未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基であることが好ましい。R11が置換または未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基であれば、芳香環構造によりカーボンブラックとπ−π相互作用すると共に、メソメリー効果によりアミドを形成する窒素原子への電子供与が可能となるためである。
炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ドデシレン基の如き炭素数2〜12のアルキレン基が挙げられる。炭素数6〜12の二価の芳香族基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基の如き芳香族基が挙げられる。該芳香族基は、3,4’−オキシジフェニレン基、4,4’−オキシジフェニレン基のように、連結基を介して2つの芳香環が連結した構造であってもよい。該連結基としては、−O−、−C=O−、−S−、−S=O−、−SO−が挙げられる。また、該芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
構造式(2)〜(8)中、R21、R31、R41、R61、R71は、水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示し、R51及びR81は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。これにより、ポリアミド樹脂は優れた絶縁性及び疎水性を示し電荷の漏洩を減少させると共に、結晶化が抑制され、柔軟性が向上する。また、カーボンブラックにポリアミド樹脂が吸着される際に、立体障害による吸着量の低下を防ぐことができる。炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基の如き炭素数1〜3のアルキル基の如き飽和炭化水素基が挙げられる。
構造式(9)中、R91は、炭素数3〜9の二価の脂肪族炭化水素基を示す。R91が炭素数3〜9の脂肪族炭化水素基であれば、カーボネート基の量が多くなり過ぎず、優れた絶縁性及び疎水性をし電荷の漏洩を減少させる共に、凝集性を抑制し、柔軟性を付与することができる。炭素数3〜9の脂肪族炭化水素基としては、プロピレン基、ブチレン基、3−メチルペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、2−メチルオクチレン基、ノニレン基の如き炭素数3〜9のアルキレン基が挙げられる。
ポリアミド樹脂中に含まれるポリマー構造としては、第1のポリマー部分を有することが好ましい。第1のポリマー部分は、疎水性官能基である炭化水素構造で構成されており、高絶縁性を有し、かつ高温高湿環境下においても、より吸湿を抑え、低抵抗化を抑制できるためである。第1のポリマー部分は、構造式(2)〜(5)で示される群から選択される少なくとも1つの構造を含むことがより好ましい。構造(2)〜(5)は、二重結合を含むため、ポリアミド樹脂中のπ結合が増加し、フェノール構造以外からも、カーボンブラックの芳香環へ電子の注入が可能となるためである。
第1のポリマー部分における構造(2)〜(8)の共重合比率を、各々k、l、m、n、p、q、rとしたとき、k+l+m+n+p+q+r=100であり、かつ、0≦k≦100、0≦l≦100、0≦m≦100、0≦n≦100、0≦p≦100、0≦q≦100、0≦r≦100であることが好ましい。共重合比率が上記範囲内であれば、第1のポリマー部分における結晶化が抑制され、表面層に分散されているカーボンブラックの分散性を阻害することがない。
第1のポリマー部分の数平均分子量は、1000以上、4200以下であることが好ましい。数平均分子量が上記範囲内であれば、ポリアミド樹脂に高絶縁性を付与すると同時に、高温高湿環境下における低抵抗化を抑制し、カーボンブラックやトナーの電荷の漏洩を防止できる。また、数平均分子量が上記範囲内であれば、ポリアミド樹脂に適度な柔軟性を付与することができ、トナー劣化を抑制することもできる。
第2のポリマー部分における前記構造(9)の繰り返し単位数は、7以上、30以下であることが好ましい。繰り返し単位数が上記範囲内であれば、極性官能基であるカーボネート基による凝集を抑え、表面層に分散されているカーボンブラックの分散性を阻害することがない。
第2のポリマー部分の数平均分子量は、1000以上、3000以下であることが好ましい。数平均分子量が上記範囲内であれば、ポリアミド樹脂に高絶縁性を付与すると同時に、高温高湿環境下における低抵抗化を抑制し、カーボンブラックやトナーの電荷の漏洩を防止できる。また、ポリアミド樹脂に適度な柔軟性を付与することができ、トナー劣化を抑制することもできる。
ポリアミド樹脂は、下記構造式(10)〜(12)で示される群から選択される少なくとも1つの構造をさらに有することが好ましい。
Figure 2019028126
構造式(10)〜(12)中、R101、R111、R123は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。R101、R111、R123が炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であれば、ポリアミド樹脂同士の凝集を抑えることができる。また、表面自由エネルギーや摩擦係数の低下にも貢献する。炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、イコシル基の如き炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
構造式(10)〜(12)中、R102、R112、R122は、炭素数2〜8の二価の脂肪族炭化水素基または炭素数3〜12のアルキレンオキシアルキレン基を示す。R102、R112、R122が炭素数2〜8の二価の脂肪族炭化水素基または炭素数3〜12のアルキレンオキシアルキレン基であれば、原料となる片末端エポキシ変性シリコーンオイルの反応性が高く、ポリアミドと反応しやすいため、未反応分が低減する。その結果、少量の添加で、より効果を発揮すると同時に、未反応分による感光体汚染を防ぐことができる。炭素数2〜8の二価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基の如き炭素数2〜8のアルキレン基が挙げられる。炭素数3〜12のアルキレンオキシアルキレン基としては、プロピレンオキシメチレン基(−C−O−CH−)、ウンデシレンオキシメチレン基(−C1122−O−CH−)等が挙げられる。
構造式(10)〜(12)中、R103、R113、R121は、炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示す。R103、R113、R121が炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基であれば、樹脂に強度を持たせることができる。R103、R113、R121は、置換または未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基であることが好ましい。R103、R113、R121が置換または未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基であれば、芳香環構造により、カーボンブラックとのπ−π相互作用によるカーボンブラック表面への吸着や、電子供与が可能となるためである。炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ドデシレン基の如き炭素数2〜12のアルキレン基が挙げられる。炭素数6〜12の二価の芳香族基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基の如き芳香族基が挙げられる。該芳香族基は、3,4’−オキシジフェニレン基、4,4’−オキシジフェニレン基のように、連結基を介して2つの芳香環が連結した構造であってもよい。該連結基としては、−O−、−C=O−、−S−、−S=O−、−SO−等が挙げられる。また、該芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。
構造式(10)〜(12)中、ジメチルシリコーン構造の繰り返し単位数であるs、t、uは特に限定されないが、30〜60の範囲内であれば、ポリアミド樹脂の凝集を抑えると共に、摩擦係数や表面自由エネルギーを下げることができる。
構造式(10)で示される構造(以下、「構造(10)」とも称す)は、片末端エポキシ変性シリコーンオイルとポリアミド樹脂の末端アミノ基とを反応させた構造である。構造式(11)で示される構造(以下、「構造(11)」とも称す)は、片末端エポキシ変性シリコーンオイルとポリアミド樹脂の末端カルボン酸基とを反応させた構造である。構造式(12)で示される構造(以下、「構造(12)」とも称す)は、片末端エポキシ変性シリコーンオイルとポリアミド樹脂中に含まれるフェノール性水酸基とを反応させた構造である。
ポリアミド樹脂中に、構造式(10)〜(12)で示される群から選択される少なくとも1つのシリコーン構造をさらに有することで、トナーへの電荷の付与性が向上する。その理由は定かではないが、ポリアミドの凝集を抑えることで、カーボンブラック表面へのポリアミド吸着量が増し、カーボンブラックへの電子注入量が増えるためと考えている。また、シリコーン構造に由来する高抵抗化及び疎水化により、高温高湿環境下においても低抵抗化が抑制される。さらに、ポリアミド樹脂表面の表面自由エネルギーや摩擦係数を低下させ、化学的、物理的にも汚れ物質の付着量を低減させる効果が認められる。
片末端エポキシ変性シリコーンオイルの合成法は、特に限定されるものではないが、代表的な方法としては、以下が挙げられる。ヘキサメチルシクロトリシロキサンを、ジメチルアルキルシラノール(CHRSiOH(Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基)の存在下で、5価のケイ素錯体触媒を用いて開環重合することにより、末端シラノール化合物を得る。次に、クロロジメチルシランに、1分子中にグリシジル基とアルケニル基を有する化合物を白金触媒存在下で付加させ、グリシジル基含有末端ジメチルクロロシラン化合物を得る。そして、先に得られた末端シラノール化合物とグリシジル基含有末端ジメチルクロロシラン化合物とを等モル量で混合し、三級アミン化合物の如き塩酸捕捉剤を添加して脱塩酸反応を行うことにより、片末端エポキシ変性シリコーンオイルを得ることができる。
上記ポリアミド樹脂の構造は、例えば、熱分解GC/MS、FT−IR、またはNMRによる分析等により確認することが可能である。
(ポリアミド樹脂の製造)
該ポリアミド樹脂は、3−ヒドロキシイソフタル酸と、ジアミン、ジカルボン酸、ジカルボン酸プレポリマーとから合成することができる。構造(10)〜(12)を有するポリアミド樹脂の場合は、さらに片末端エポキシ変性シリコーンオイルを用いて合成する。
構造(1)は、3−ヒドロキシイソフタル酸とジアミンを重縮合することにより得られる。
第1のポリマー部分及び第2のポリマー部分は、ジカルボン酸プレポリマーとジアミンを重縮合させることにより得られる。
両末端カルボン酸変性ポリオレフィンとジアミンを重縮合した場合、第1のポリマー部分がポリアミド樹脂中に含まれる。両末端カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、以下のポリオレフィンが挙げられる。両末端カルボン酸変性ポリブタジエン;両末端カルボン酸変性水添ポリブタジエン;両末端カルボン酸変性ポリイソプレン;両末端カルボン酸変性水添ポリイソプレン;両末端カルボン酸変性ポリα−オレフィン重合体
また、両末端カルボン酸変性脂肪族ポリカーボネートとジアミンを重縮合した場合、第2のポリマー部分がポリアミド樹脂中に含まれる。両末端カルボン酸変性脂肪族ポリカーボネートとしては、以下のポリカーボネートが挙げられる。両末端カルボン酸変性ポリノナメチレンカーボネート;両末端カルボン酸変性ポリ(2−メチル−オクタメチレン)カーボネート;両末端カルボン酸変性ポリヘキサメチレンカーボネート;両末端カルボン酸変性ポリペンタメチレンカーボネート;両末端カルボン酸変性ポリ(3−メチルペンタメチレン)カーボネート;両末端カルボン酸変性ポリテトラメチレンカーボネート;両末端カルボン酸変性ポリトリメチレンカーボネート;両末端カルボン酸変性ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネート);両末端カルボン酸変性ポリ(2−エチル−2−ブチル−トリメチレン)カーボネート;及びこれらの両末端カルボン酸変性ランダム/ブロック共重合体
本発明において、ポリアミド樹脂の原料として使用することができるジアミン、ジカルボン酸は、特に限定されるものではなく、ポリアミドの原料として公知のものであれば、いずれも使用することができる。
ジアミンとしては、炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基を有する脂肪族ジアミン、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を有する芳香族ジアミンを用いることができる。具体的には、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタンなどの直鎖状の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミンが挙げられる。また、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−トリレンジアミンの如きフェニレンジアミン誘導体;1,5−ジアミノナフタレンの如きナフチレンジアミン誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの如きジアミノジフェニルエーテル誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテルの如きジアミノジフェニルチオエーテル誘導体;4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンの如きジアミノベンゾフェノン誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルスルホキサイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンの如きジアミノジフェニルスルホン誘導体;ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニルの如きジアミノビフェニル誘導体;p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−キシリレンジアミンの如きキシリレンジアミン誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタンの如きジアミノジフェニルメタン誘導体の如き、置換または未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、置換または未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を有する芳香族ジアミンが好ましく、ジアミノジフェニルエーテル誘導体がより好ましく、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが特に好ましい。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息香酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−チオ二安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸の如きベンゼン環またはナフタレン環を有するジカルボン酸が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸がより好ましい。
ジアミン及びジカルボン酸の重縮合反応としては、縮合剤を用いる方法、塩を形成し脱水反応により縮合を行う方法、脱水剤を用いる方法など、いずれも利用可能である。
一例として、縮合剤を用いる方法について詳しく述べる。縮合剤としては、リン酸系縮合剤等を利用することができる。本発明では、亜リン酸エステル系の縮合剤を用いることが好ましい。亜リン酸エステルとしては、亜リン酸トリフェニルが好ましい。本発明では、必要に応じて、溶媒を使用することができる。溶媒は、ピリジン誘導体(ピリジンを含む)が好ましく、必要に応じてピリジン誘導体以外のその他有機溶媒を用いることができる。また、塩化リチウムや塩化カルシウムの如き無機塩を添加してもよい。
フェノール性水酸基は、カルボキシル基やアミノ基と反応を起さないため、この方法によれば、フェノール性水酸基を保護することなく、本発明のポリアミド樹脂を容易に製造できる。また、約150℃以下の温度で重縮合が可能であるため、ゴム成分中の二重結合もそのまま保持される。
構造(10)は、下記の2通りの方法にて合成できる。
(A)片末端エポキシ変性シリコーンオイルと本発明のポリアミド樹脂のアミド末端のアミノ基とを反応させることにより得る方法。
(B)原料ジアミンに予め片末端エポキシ変性シリコーンオイルを反応させた後、ジカルボン酸及びジカルボン酸プレポリマーを重縮合させる方法。
構造(11)は、下記の2通りの方法にて合成できる。
(C)片末端エポキシ変性シリコーンオイルと本発明のポリアミド樹脂のアミド末端のカルボン酸基とを反応させることにより得る方法。
(D)原料ジカルボン酸に予め片末端エポキシ変性シリコーンオイルを反応させた後、ジアミン及びジカルボン酸プレポリマーを重縮合させる方法。カルボン酸基と片末端エポキシ変性シリコーンオイルとを反応せる際、触媒として、4級アンモニウム塩、3級アミン、イミダゾール、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩、ハロゲン化リチウム、トリフルオロホウ素錯塩等を用いてもよい。
構造(12)は、下記の2通りの方法にて合成できる。
(E)片末端エポキシ変性シリコーンオイルと本発明のポリアミド樹脂のフェノール性水酸基とを反応させることにより得る方法。
(F)原料である3−ヒドロキシイソフタル酸に予め片末端エポキシ変性シリコーンオイルを反応させた後、ジアミン及びジカルボン酸プレポリマーを重縮合させる方法。
<電子写真用の帯電部材>
本発明の一態様に係る電子写真用の帯電部材は、少なくとも、導電性の基体と、該基体上に設けられた導電性の弾性層、及び該弾性層上に設けられた表面層とを有する。導電性の基体の上に形成される層は、弾性層と表面層の2層構造、弾性層と表面層の間に中間層を配置した3層構造、または、中間層を複数配置した多層構造とすることができる。
以下、本発明に係る電子写真用の帯電部材の一態様であるローラ形状の帯電部材(以下、「帯電ローラ」とも称す)を例に挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[表面層]
表面層は、バインダー樹脂とカーボンブラックとを含む。該バインダー樹脂は、前記した、構造式(1)で示される構造を有するポリアミド樹脂を含む。
(表面抵抗率)
本発明に係る電子写真用の帯電部材において、表面層の弾性層と対向する側とは反対側の表面における表面抵抗率は、1.0×1014Ω/□以上、1.0×1017Ω/□以下である。表面層の表面抵抗率を上記範囲内とすることで、帯電部材の帯電機能を発揮させ得る。表面層の表面抵抗率は、例えば、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(商品名:Q−Scope250、Quesant Instrument Corporation社製)を用いて測定する。測定方法の詳細は、実施例にて説明する。
(ユニバーサル硬度)
本発明に係る電子写真用帯電部材において、表面層の表面から圧子を1μm押し込んだ時点での表面のユニバーサル硬度は、1.0N/mm以上、5.0N/mm以下であることが好ましい。表面層のユニバーサル硬度が上記範囲内であれば、画像形成枚数が増加しても、トナーの変形や割れを抑え、帯電ローラ表面のトナー付着を抑制できる。なお、帯電ローラの表面のユニバーサル硬度は、例えば、ユニバーサル硬度計(商品名:超微小硬度計H−100V、Fisher社製)を用いて測定する。ユニバーサル硬度(N/mm)とは、圧子を、荷重をかけながら測定対象物に押し込むことにより求められる物性値であり、「(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の表面積)」から求められる。四角錐などの圧子を、所定の比較的小さい試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、所定の押し込み深さに達した時点でのその押し込み深さから圧子が接触している表面積を求め、上記式よりユニバーサル硬度を算出する。
(カーボンブラック)
表面層に含有させるカーボンブラックは、前記したバインダー樹脂であるポリアミド樹脂中に分散されている。該カーボンブラックは逆帯電トナーに電荷を注入し、正規極性化させ得る。
カーボンブラックとしては、ブラックファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックを例示することができる。ファーネスブラックとしては、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、I−ISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF、GPF、SRF−HS−HM、SRF−LM、ECF、FEF−HSを例示することができる。サーマルブラックとしては、FT、MTを例示することができる。カーボン系微粒子としては、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン粒子、ピッチ系カーボン粒子を例示することができる。これらカーボンブラックは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックは、pH5以下の酸性カーボンブラックであることが好ましい。酸性カーボンブラックは、表面に酸性官能基を多く含むため、酸塩基反応や水素結合等により、本発明のポリアミド樹脂を吸着しやすい上、分散性も良好であるためである。
カーボンブラックの個数平均粒子径は、10〜100nmが好ましい。個数平均粒子径が上記範囲内であれば、表面層に導電性を付与できる上、分散性に優れ、より少量でトナーへ電荷を注入できるためである。
表面層は、カーボンブラックを、該カーボンブラックの少なくとも一部が、表面層の基体に面する側とは反対側の表面から露出するように保持していることが好ましい。カーボンブラックが表面層の表面に露出していることにより、トナーとカーボンブラックが直接接するため、トナーへ電荷をより注入しやすくなるからである。
表面層のカーボンブラックを露出させる手法としては、最表面のスキン層を除去する方法がある。例えば、紫外線処理、研磨法、電解研磨法、化学研磨法、イオンミリング法等を行うことにより、表面スキン層を除去し、本発明のカーボンブラックを露出させることができる。本発明においては、表面層の硬度が低いため、紫外線処理を行うことによっても、十分にスキン層を除去し、カーボンブラックを露出させることができる。紫外線処理は、研磨法等と比較して、表面層へのダメージを最小限に抑えた上で、カーボンブラックを露出させることができるため、好ましい。カーボンブラックの露出状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、任意の2μm四方の領域の画像を撮影することにより確認できる。
(その他導電剤)
帯電部材の表面層は導電性を有することが好ましい。導電性の付与手段としては、イオン導電剤や導電性微粒子の添加が挙げられるが、安価であり電気抵抗値の環境変動が少ない導電性粒子が好適に用いられる。導電性粒子としては、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物系導電性粒子;アルミニウム、鉄、銅、銀の如き金属系導電性粒子を挙げることができる。これら導電性粒子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他添加剤)
本発明において、表面層には、本発明の効果が損なわれない程度に、必要に応じてその他添加剤を加えてもよい。添加剤としては、架橋剤(エポキシ化合物、イソシアネート化合物等)、顔料、難燃化剤、シリコーン添加剤、触媒(アミン類、4級アンモニウム塩、3級アミン、イミダゾール、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩等)などが挙げられる。シリコーン添加剤を表面層に添加した場合、表面層の表面自由エネルギーの低下や、高抵抗化、滑り性を付与することができる。そのため、本発明においては、シリコーン添加剤を添加することが好ましい。シリコーン添加剤としては、ポリアミド樹脂と反応するエポキシ基や酸無水物基、アクリル基、メタアクリル基の如き官能基を有する変性シリコーンオイルが好ましい。変性シリコーンオイルの構造としては、側鎖型、両末端型、片末端型、両末端側鎖型等が知られているが、片末端型が好ましい。
(粗さ調整用樹脂粒子)
帯電部材の表面層は、本発明の効果を損なわない範囲で、有機系の粗さ調整用樹脂粒子または無機系の粗さ調整用粒子を含有してもよい。有機系の粗さ調整用樹脂粒子の例としては、高分子化合物からなる粒子が挙げられる。高分子化合物の中でも、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂の粒子が好ましい。これらの高分子化合物は、粒子としたときに硬度が小さくて変形しやすく、表面層のバインダー樹脂中に均一に存在させることができる。無機系の粗さ調整用粒子、その他の絶縁性粒子としては、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、ゼオライト及びベントナイトの如き粒子を挙げることができる。これらの粒子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの粒子には、表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コーティング、表面処理等が施されていてもよい。
表面層は、静電スプレー塗布やディッピング塗布、リングの如き塗布法により形成することができる。または、予め所定の膜厚に成膜されたシート形状もしくはチューブ形状の層を接着又は被覆することにより形成することもできる。あるいは、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法も用いることができる。これらの中でも、塗布法によって塗料を塗工し、塗膜を形成する方法が好ましい。
[基体]
帯電ローラの導電性の基体としては、鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケル等で形成されている金属製(合金製)の基体(例えば、円柱状の金属)を用いることができる。
[弾性層]
帯電ローラの導電性の弾性層は、例えば高分子弾性体に導電剤を分散して形成される。高分子弾性体としては、以下のものが挙げられる。エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、EPM(エチレン・プロピレンゴム)、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムの如き合成ゴム;天然ゴム、イソプレンゴム;SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン−ブロックコポリマー)、SEBS(スチレン・エチレンブチレン・スチレン−ブロックコポリマー)の如き熱可塑性エラストマー等。これらの中でも、高分子弾性体としては、エピクロルヒドリンゴムが好ましい。エピクロルヒドリンゴムは、ポリマー自体が中抵抗領域の導電性を有し、導電剤の添加量が少なくても良好な導電性を発揮することができる。また、弾性層中の位置による電気抵抗のバラツキも小さくすることができるため、高分子弾性体として好適である。
エピクロルヒドリンゴムとしては、以下のものが挙げられる。エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体及びエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル(EP−EO−AGE)三元共重合体。これらの中でも、安定した中抵抗領域の導電性を示すことから、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体が特に好適に用いられる。エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体は、重合度や組成比を任意に調整することで導電性や加工性を制御できる。弾性層の高分子弾性体は、エピクロルヒドリンゴム単独でもよいが、エピクロルヒドリンゴムを主成分として、必要に応じて前記ゴムの如き一般的なゴムを含有してもよい。これらの一般的なゴムの使用量は、エピクロルヒドリンゴム100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
弾性層中の導電剤としては、イオン導電剤または電子導電剤を用いることができる。弾性層の電気抵抗のムラを小さくするという目的から、イオン導電剤を用いることが好ましい。イオン導電剤が弾性層中に均一に分散し、弾性層の電気抵抗を均一化することにより、帯電ローラを直流電圧のみの電圧印加で使用したときでも均一な帯電を得ることができる。
イオン導電剤としては、イオン導電性を示すイオン導電剤であれば特に限定されず、例えば以下のものが挙げられる。過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウムの如き無機イオン物質;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、過塩素酸テトラブチルアンモニウムの如き四級アンモニウム塩;トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムの如き有機酸無機塩。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、環境変化に対して弾性層の電気抵抗が安定であることから、過塩素酸四級アンモニウム塩が好ましい。
電子導電剤としては、電子導電性を示す導電性粒子であれば特に限定されず、例えば以下のものが挙げられる。ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックの如きカーボンブラック;酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物系導電性粒子;アルミニウム、鉄、銅、銀の如き金属系導電性粒子。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
導電剤の配合量は、低温低湿環境、常温常湿環境及び高温高湿環境(温度30℃、相対湿度80%)における弾性層の体積抵抗率が、1×10〜1×10Ω・cmになるように調整することが好ましい。ただし、低温低湿環境=温度15℃、相対湿度10%であり、常温常湿環境=温度23℃、相対湿度50%であり、高温高湿環境=温度30℃、相対湿度80%である。体積抵抗率が上記範囲内であれば、良好な帯電性能を発揮する帯電部材が得られるためである。弾性層中には、導電剤の他にも、必要に応じて、可塑剤、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、分散剤及び離型剤の如き配合剤を含有させることができる。弾性層の体積抵抗率は、弾性層に使用するすべての材料からなる組成物を厚さ1mmのシートに成型し、該シートの両面に金属を蒸着して電極とガード電極を形成して得た測定用試料を用いて測定することができる。具体的な測定方法は、前述した表面層の体積抵抗率の測定方法と同様である。
弾性層の硬度は、マイクロ硬度(MD−1型)で70°以下が好ましく、60°以下がより好ましい。マイクロ硬度が70°以下であれば、帯電ローラと感光体との間のニップ幅が小さくなり過ぎず、帯電ローラと感光体との間の当接力が狭い面積に集中して当接圧力が大きくなることを抑制できる。弾性層の硬度は、マイクロ硬度(MD−1型)で50°以上が好ましい。
なお、「マイクロ硬度(MD−1型)」とは、アスカー マイクロゴム硬度計MD−1型(商品名、高分子計器(株)製)を用いて測定される帯電ローラの硬度である。具体的には、常温常湿環境(温度23℃、相対湿度50%)中に12時間以上放置した帯電ローラについて、該硬度計を用いて10Nのピークホールドモードで測定される値である。
弾性層の形成方法としては、上記の導電剤及び高分子弾性体を含む原料を密閉型ミキサーで混合して、例えば、押し出し成形、射出成形、又は圧縮成形の如き公知の方法により形成する方法が好ましい。また、弾性層は、導電性の基体の上に直接導電性弾性体を成形して作製してもよく、予めチューブ形状に成形した導電性弾性体を導電性の基体上に被覆形成させてもよい。なお、弾性層の作製後に表面を研磨して形状を整えてもよい。
<プロセスカートリッジ及び画像形成装置>
本発明に係るプロセスカートリッジは、画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、本発明の帯電部材を具備している。また、本発明に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電装置と、を有する。該帯電装置は、該電子写真感光体と接触して配置された本発明の帯電部材を具備している。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。静電潜像が形成された像担持体である静電潜像担持体(電子写真感光体)11は、矢印R1方向に回転される。トナー担持体13は、矢印R2方向に回転することによって、トナー担持体13と静電潜像担持体11とが対向している現像領域にトナー113を搬送する。また、トナー担持体13にはトナー供給部材14が接しており、トナー供給部材14は矢印R3方向に回転することによって、トナー担持体表面にトナー113を供給している。
静電潜像担持体11の周囲には、帯電部材(帯電ローラ)12、転写部材(転写ローラ)16、クリーナー容器17、クリーニングブレード18、定着器19、ピックアップローラ110等が設けられている。静電潜像担持体11は帯電ローラ12によって帯電される。そして、レーザー発生装置112により、レーザー光を静電潜像担持体11に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が、静電潜像担持体11の帯電面に形成される。静電潜像担持体11上の静電潜像は、現像器15内のトナーにより現像されてトナー画像となる。トナー画像は、転写材(紙)111を介して静電潜像担持体11に当接された転写部材(転写ローラ)16により、転写材(紙)111上へ転写される。トナー画像を載せた転写材(紙)111は、定着器19へ搬送されて、転写材(紙)111上に定着される。また、静電潜像担持体11上に残されたトナーは、クリーニングブレード18によりかき落とされ、クリーナー容器17に収納される。
本発明の画像形成装置を構成する帯電装置としては、静電潜像担持体と帯電ローラとが当接部を形成して接触し、帯電ローラに所定の帯電バイアスを印加して、静電潜像担持体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いることが好ましい。このように接触帯電を行うことで、安定した均一な帯電を行うことができ、さらに、オゾンの発生を低減させることが可能である。また、静電潜像担持体との接触を均一に保ち、均一な帯電を行うために、静電潜像担持体と同方向に回転する帯電ローラを用いることがより好ましい。
本発明の画像形成装置において好ましく適用される接触転写工程としては、静電潜像担持体が記録媒体を介してトナーと逆極性の電圧が印加された転写部材と当接しながら、トナー像を記録媒体に静電転写する工程が挙げられる。
本発明の画像形成装置においては、トナー層厚規制部材がトナーを介して現像剤担持体に当接することによって、現像剤担持体上のトナー層厚を規制することが好ましい。現像剤担持体に当接するトナー層厚規制部材としては、規制ブレードが一般的であり、本発明においても好適に使用できる。
上記規制ブレードとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体;リン青銅板、SUS板の如き金属弾性体が使用でき、それらの複合体であってもよい。さらに、ゴム、合成樹脂、金属弾性体の如き弾性支持体に、トナーの帯電性をコントロールする目的で、樹脂、ゴム、金属酸化物、金属の如き帯電制御物質を、現像剤担持体当接部分に当たるように設けたものを用いてもよい。これらの中でも、金属弾性体に、樹脂やゴムを現像剤担持体当接部に当たるように貼り合わせたものが好ましい。
金属弾性体に貼り合わせる樹脂やゴムの材質としては、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂の如き正極性に帯電しやすいものが好ましい。
上記規制ブレード上辺部側である基部は、現像器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性力に抗して現像剤担持体の順方向または逆方向にたわめ状態にして、現像剤担持体の表面に適度の弾性押圧力をもって当接される。
規制ブレードと現像剤担持体との当接圧力は、現像剤担持体母線方向の線圧として、1.27N/m以上、245N/m以下(1.3gf/cm以上、250gf/cm以下)が好ましく、4.9N/m以上、118N/m以下(5gf/cm以上、120gf/cm以下)がより好ましい。当接圧力が1.27N/m以上であれば、トナーの均一塗布が容易となるカブリや飛散を抑制しやすくなる。また、当接圧力が245N/m以下であれば、トナーに大きな圧力がかかることがなく、トナーの劣化を抑制しやすくなる。
現像剤担持体上のトナー層の量は、2.0g/m以上12.0g/m以下であることが好ましく、3.0g/m以上10.0g/m以下であることがより好ましい。現像剤担持体上のトナー量が2.0g/m以上であれば、十分な画像濃度を得やすくなる。一方、現像剤担持体上のトナー量が12.0g/m以下であれば、規制不良が発生しにくくなり、また、カブリの発生を抑制することができる。なお、本発明において、現像剤担持体上のトナー量は、現像剤担持体の表面粗さ(Ra)、規制ブレードの自由長、規制ブレードの当接圧を変更することにより、任意に調整することが可能である。
現像剤担持体に担持されたトナーを現像させるため、現像剤担持体には、バイアス手段としての現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(トナーが付着して可視化される領域)の電位と、非画像部(トナーが付着しない領域)の電位との間の値の電圧を現像剤担持体に印加することが好ましい。静電潜像の画像部の電位と現像バイアス電位の差の絶対値(Vcontrast)は、50V以上400V以下であることが好ましい。Vcontrastが上記範囲内であれば、好適な濃度の画像が形成される。また、現像された画像の濃度を高め、かつ階調性を向上させるためには、現像剤担持体に交番バイアス電圧を印加して、現像領域に向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。
静電潜像の非画像部の電位と現像バイアス電位の差の絶対値(Vback)は、50V以上600V以下であることが好ましい。Vbackが上記範囲内であれば、非画像部にトナーが現像されることを抑制しやすくなる。
特に、クリーナー容器17及びクリーニングブレード18を取り外したクリーナーレスシステムの場合は、Vbackを高めに設定することが好ましい。その理由は、感光体上に付着する紙粉によってVbackが不足し、画像欠陥が発生しやすくなるためである。また、紙に転写されずに感光体上に残ったトナーを、再びトナーが収容される現像容器内へ回収する必要があるためである。具体的には、Vbackを、300V以上600V以下に設定することが好ましい。
本発明の画像形成装置において、前記帯電部材と前記電子写真感光体(静電潜像担持体)とは、速度差を有するように各々の表面が移動する構成であることが好ましい。また、前記帯電部材の表面の移動方向が、前記電子写真感光体の表面の移動方向とは逆であり、前記帯電部材が前記電子写真感光体の移動方向と順方向に速度差を保ちつつ移動される構成であることが好ましい。クリーナーレスの画像形成装置において、この構成を採用すると、電子写真感光体上に残留した残留トナーが帯電部材の表面上へ移行することを抑制することができる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。実施例に先立ち、原料の製造等について説明する。
1.弾性ローラの作製
2.表面層形成用原料の用意及び製造
2−1.ジカルボン酸プレポリマーの用意及び製造
2−2.ジアミンの用意
2−3.フェノール性水酸基含有ポリアミドの製造
2−4.片末端エポキシ変性シリコーンオイルの用意
2−5.シリコーン変性フェノール性水酸基含ポリアミドの製造
3.表面層形成用塗料の製造
<1.弾性ローラの作製>
[弾性ローラ1の作製]
(基体の用意)
直径6mm、長さ252.5mmの円柱形、鋼製の基体(表面をニッケルメッキ加工したもの、以下、「芯金」という)に、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックN−33、(株)東洋化学研究所製)を塗布した。該芯金を、温度80℃で30分間乾燥させた後、さらに120℃で1時間乾燥させたものを「導電性の基体」として使用した。
(弾性層の形成)
下記表1に示す各材料を加圧式ニーダーで混練して、A練りゴム組成物1を得た。
Figure 2019028126
さらに、前記A練りゴム組成物1と下記表2に示す各材料をオープンロールにて混練し、未加硫ゴム組成物1を調製した。
Figure 2019028126
次に、導電性の基体の供給機構及び未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機を使用して、上記導電性の基体上に、未加硫ゴム組成物1を同軸状に外径8.75〜8.90mmの円筒形に押し出し、未加硫ゴム組成物の層を形成したローラを得た。次に、160℃の熱風加硫炉中に前記ローラを投入し、60分間加熱することで未加硫ゴム組成物の層を加硫し、弾性層を形成した。ゴム層の両端部を切断してゴム層の長さを229mmとした後、外径が8.5mmのローラ形状となるように表面を回転砥石で研磨することにより、弾性ローラ1を得た。なお、弾性ローラ1のクラウン量(中央部の外径と中央部から両端部方向に各90mm離れた位置の外径の差の平均値)は90μmであった。
[弾性ローラ2の作製]
エピクロルヒドリンゴム(商品名:エピクロマーCG−102、ダイソー(株)製)を、エピクロルヒドリンゴム(EO−EP−AGE三元共重合物、EO/EP/AGE=73mol%/23mol%/4mol%)に変更した以外は、弾性ローラ1の作製と同様にして弾性ローラ2を作製した。
[弾性ローラ3の作製]
表1に示す各材料を表3に示す各材料に変更し、表2に記載した材料の配合量を各々1.0部に変更した以外は、弾性ローラ1の作製と同様にして弾性ローラ3を作製した。
Figure 2019028126
<2.表面層形成用原料の用意及び製造>
[2−1.ジカルボン酸プレポリマーの用意及び製造]
下記表4に示すジカルボン酸プレポリマーA−1〜A−7を用意した。また、ジカルボン酸プレポリマーA−8〜A−15は、以下のとおりに合成した。
Figure 2019028126
(ジカルボン酸プレポリマーA−8の製造)
フラスコに温度計、冷却管及び撹拌器を取り付け、窒素雰囲気下、ポリイソプレンポリオール(商品名:poly ip、出光興産(株)製、数平均分子量:2500、1,4シス:1,4トランス:1,2ビニル:3,4ビニル=33:57:6:4)100g、無水コハク酸8g、トルエン100gを混合し、130℃で24時間還流した。その後、エバポレーターによりトルエンを留去し、クロロホルムを加えて吸引ろ過により未反応の無水コハク酸を取り除いた。その後、エバポレーターにより濾液からクロロホルムを留去し、ジカルボン酸プレポリマーA−8として、両末端カルボン酸変性ポリイソプレンを得た。
(ジカルボン酸プレポリマーA−9〜A−15の製造)
ポリイソプレンポリオールを、表5に示す各ポリオールに変更し、無水コハク酸の配合量を表5に示すとおりに変更した以外は、ジカルボン酸プレポリマーA−8の製造と同様にして、ジカルボン酸プレポリマーA−9〜A−15を得た。
Figure 2019028126
[2−2.ジアミンの用意]
下記表6に示すジアミンB−1〜B−7を用意した。
Figure 2019028126
[2−3.フェノール性水酸基含有ポリアミドの製造]
(フェノール性水酸基含有ポリアミドC−1の製造)
フラスコに温度計、冷却管及び撹拌器を取り付け、窒素雰囲気下、5−ヒドロキシイソフタル酸9.6g、イソフタル酸59.8g、ジアミンB−1を87.7g、塩化リチウム8.1g、N−メチルピロリドン913g、ピリジン101gを加え、撹拌・溶解させた。そこに亜リン酸トリフェニル220gを加え、90℃で4時間反応させた。次に、ジカルボン酸プレポリマーA−1(Hycar CTB 2000×162、BF Goodrich社製)117gを175gのピリジンと175gのN−メチルピロリドンに溶かした溶液を加え、90℃で4時間反応させた。この反応液を室温に冷却した後、メタノール500gに投入し濾別した。その後、得られた樹脂にメタノールを加えて2時間還流した後、室温まで冷却し、樹脂を濾別・乾燥して、フェノール性水酸基含有ポリアミドC−1を得た。
(フェノール性水酸基含有ポリアミドC−2〜C−19の製造)
各原料を、表7に示すとおりに変更した以外はフェノール性水酸基含有ポリアミドC−1の製造と同様にして、フェノール性水酸基含有ポリアミドC−2〜C−19を得た。
Figure 2019028126
[2−4.片末端エポキシ変性シリコーンオイルの用意]
下記表8に示すシリコーンオイルD−1〜D−8を用意した。なお、シリコーンオイルD−1〜D−8は、下記構造式(13)で示される構造を有する。
Figure 2019028126
Figure 2019028126
[2−5.シリコーン変性フェノール性水酸基含ポリアミドの製造]
(シリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−20の製造)
フラスコに温度計、冷却管及び撹拌器を取り付け、窒素雰囲気下、イソフタル酸59.8g、ジアミンB−1を87.7g、シリコーンオイルD−1を8g、N−メチルピロリドン913g、ピリジン101gを加えて撹拌・溶解させ、90℃で2時間反応させた。その後、5−ヒドロキシイソフタル酸9.6g、塩化リチウム8.1gを加え、撹拌・溶解させた。そこに亜リン酸トリフェニル220gを加え、90℃で4時間反応させた。次に、ジカルボン酸プレポリマーA−1(Hycar CTB 2000×162、BF Goodrich社製)117gを175gのピリジンと175gのN−メチルピロリドンに溶かした溶液を加え、90℃で4時間反応させた。この反応液を室温に冷却した後、メタノール500gに投入し濾別した。得られた樹脂にメタノールを加えて2時間還流した後、室温まで冷却し、樹脂を濾別・乾燥して、構造(10)及び構造(11)を含むフェノール性水酸基含有ポリアミドC−20を得た。
(シリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−21〜C−29の製造)
各原料を、表9−1に示すとおりに変更した以外はシリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−20の製造と同様にして、シリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−21〜C−29を得た。シリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−20〜C−29の構造を表9−2に示す。
Figure 2019028126
Figure 2019028126
(シリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−30の製造)
フラスコに温度計、冷却管及び撹拌器を取り付け、窒素雰囲気下、5−ヒドロキシイソフタル酸9.6g、シリコーンオイルD−1を5.3g、ピリジン101gを加えて撹拌・溶解させ、90℃で2時間反応させた。その後、イソフタル酸59.8g、ジアミンB−1を87.7g、塩化リチウム8.1g、N−メチルピロリドン913gを加え、撹拌・溶解させた。そこに亜リン酸トリフェニル220gを加え、90℃で4時間反応させた。次に、ジカルボン酸プレポリマーA−1(商品名:Hycar CTB 2000×162、BF Goodrich社製)117gを175gのピリジンと175gのN−メチルピロリドンに溶かした溶液を加え、90℃で4時間反応させた。この反応液を室温に冷却した後、メタノール500gに投入し濾別した。得られた樹脂にメタノールを加えて2時間還流した後、室温まで冷却し、樹脂を濾別・乾燥して、構造(12)を含むシリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−30を得た。
(シリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−31〜39の製造)
各原料を、表10に示すとおりに変更した以外はフェノール性水酸基含有ポリアミドC−30の製造と同様にして、シリコーン変性フェノール性水酸基含有ポリアミドC−31〜39を得た。
Figure 2019028126
<3.表面層形成用塗料の製造>
[カーボンブラックの用意]
下記表11に示すカーボンブラックE−1〜E−4を用意した。
Figure 2019028126
[架橋剤の用意]
下記表12に示す架橋剤F−1、F−2を用意した。
Figure 2019028126
[表面層形成用塗料の製造]
(表面層形成用塗料G−1の製造)
表面層形成用塗料G−1の材料として、下記表13に示す材料を反応容器内に加えた。次に、総固形分比が15質量%となるようにジメチルアセトアミド(以下、DMAc)を加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、DMAcを加え、液の粘度を6〜10cpsの範囲内に調整して、表面層形成用塗料G−1を得た。
Figure 2019028126
(表面層形成用塗料G−2〜G−43の製造)
各材料を、表14に示すとおりに変更した以外は、表面層形成用塗料G−1の製造と同様にして表面層形成用塗料G−2〜G−43を得た。
Figure 2019028126
[実施例1]
(帯電ローラ1の製造)
弾性ローラ1を、その長手方向を鉛直方向にして、その上端部を把持して、表面層形成用塗料G−1中に浸漬(ディッピング)して、先に作製した弾性ローラ1の表面に塗料を塗工した。ディッピングは、浸漬時間が9秒間、ローラの引き上げ速度は、初期速度が20mm/s、最終速度は2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。得られた塗工物を常温で30分間風乾し、次いで80℃に設定した熱風循環乾燥機中で1時間乾燥し、さらに160℃に設定した熱風循環乾燥機中で1時間乾燥させた。このようにして、表面層を形成した。これに、波長254nmの紫外線を積算光量が9000mJ/cmとなるように照射し、帯電ローラ1を作製した。紫外線の照射には、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製)を用いた。帯電ローラ1を以下の測定及び評価に供した。
(1.表面層中の重合体の化学構造の分析)
本実施例で得られた表面層の分析には、熱分解装置(商品名:パイロホイルサンプラーJPS−700、日本分析工業(株)製)及びGC/MS装置(商品名:Focus GC/ISQ、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いた。熱分解温度を590℃、キャリアガスとしてヘリウムを使用して分析を行った。その結果、得られたフラグメントピークから、表面層が本発明に係るポリアミド樹脂を含有することが確認された。分析結果を表15−1に示す。なお、表15−1及び表15−2において、構造(9)の繰り返し単位数を「x」と記す。
(2.表面層のユニバーサル硬度の測定)
帯電ローラ1の表面層の表面から圧子を1μm押し込んで深さ1μmの位置におけるユニバーサル硬度を、ユニバーサル硬さ計にて測定した。測定器としては、超微小硬度計(商品名:HM−2000、Fischer社製)を用いた。また、圧子としては、ビッカース圧子を用いた。押し込み速度は以下の条件式(1)で行った。なお、式(1)中、Fは力、tは時間である。
dF/dt=1mN/30s・・・・・・(1)
帯電ローラ1の表面層の表面から深さ1μmの位置でのユニバーサル硬度を、「ユニバーサル硬度(t=1μm位置)」と定義した。帯電ローラ1の表面層の「ユニバーサル硬度(t=1μm位置)」は4N/mmであった。測定結果を「表面硬度」として表15−2に示す。
(3.カーボンブラックの個数平均粒子径の測定)
帯電ローラの表面層に含まれるカーボンブラックの個数平均粒子径の測定方法は、以下のとおりである。まず、帯電ローラから表面層を含む弾性層を切り出し、表面層の断面に白金蒸着を行い、走査型電子顕微鏡(商品名:S−4800、(株)日立ハイテクノロジー製)を用いて、縦2.0μm×横2.0μmの領域を40000倍で観察し、写真撮影を行った。得られた画像を、画像解析ソフト(商品名:Image−Pro Plus、(株)プラネトロン製)を用いて解析した。撮影したSEM画像に対して、2値化処理を行い、カーボンブラックの個数平均粒子径を算出した。SEM画像を5枚撮影し、算出した粒子数の平均値を、本発明の微細凸部の個数とした。測定結果を「CB粒子径」として表15−2に示す。
(4.表面層のカーボンブラック露出の観察)
帯電ローラの表面層におけるカーボンブラック表面露出の観察方法は、以下のとおりである。まず、帯電ローラから表面層を含む弾性層を切り出し、表面層の表面に白金蒸着を行い、走査型電子顕微鏡(商品名:S−4800、(株)日立ハイテクノロジー製)を用いて、縦2.0μm×横2.0μmの領域を40000倍で観察した。その結果、カーボン部落が表面に露出していることを確認した。観察結果を「CB露出」として表15−2に示す。
(5.表面層の表面抵抗率)
表面層の弾性層と対向する側とは反対側の表面における表面抵抗率の測定には、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(商品名:Q−Scope250、Quesant Instrument Corporation社製)を用いた。
まず、サンプルシートを作製するために、カミソリ及び収束イオンビーム法を使用して、帯電ローラの長手方向及び回転方向に各200μmの長さ、回転中心から法線方向には導電性基体を含む2mmの深さで切片を切り出した。次に、表面形状を観察しながら、接地された接地プローブをバインダー部に接触させた。次に、当該SPMのカンチレバーを、当該接地プローブと距離200nm離れたバインダー部に接触させ、50Vの電圧を印加し、電流値を測定した。この際の電圧値と電流値から表面抵抗率を算出した。
なお、帯電ローラを長手方向に10個の領域に10等分し、それぞれの領域内から任意に1点ずつ、合計10点からサンプルシートを回収し、上記測定を行った。その上位10点の算術平均値を、表面層の表面抵抗率とした。測定結果を表15−2に示す。
(6.汚れ評価)
付属の帯電ローラ及びクリーニングブレードを取り外したプロセスカートリッジ(商品名:HP 36A(CB436A)、HP社製)に、帯電ローラとして帯電ローラ1をセットした。また、帯電ローラが感光体の回転に対して順方向に108%の周速差を持って回転するギアを帯電ローラに取り付けた。このプロセスカートリッジを温度23℃、相対湿度50%環境下で、レーザービームプリンター(商品名:HP LaserJet P1505 Printer、HP社製)に装填し、感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔100ドットの横線を描く画像を1000枚出力した。なお、画像の形成は、1枚出力する毎に7秒間かけて感光体の回転を停止させる、いわゆる、間欠モードで行った。間欠モードでの画像出力は、連続して画像の形成を行う場合と比較して、帯電ローラと感光体との摺擦回数が多くなるため、帯電ローラにとって、より過酷な評価条件といえる。次いで、当該プロセスカートリッジから帯電ローラを取り外してテープ着色評価にてその汚れ具合を評価した。
テープ着色評価は以下のようにして行った。帯電ローラの表面にポリエステル粘着テープ(商品名:No.31B、日東電工(株)製)を貼り付けた後に、帯電ローラの表面に付着したトナーと共に粘着テープを剥がし取り、白紙に貼り付けた。これを帯電ローラの表面の画像印刷領域全域について行った後、粘着テープの反射濃度をフォトボルト反射濃度計(商品名:TC−6DS/A、(有)東京電色製)を用いて画像印刷領域全域について測定して、最大値を求めた。次に、同じく白紙に貼り付けた新品のポリエステル粘着テープの反射濃度を測定して最小値を求め、反射濃度の増加分を着色濃度とした。着色濃度の値が小さいほど、帯電ローラの汚れ量が少なく良好であることから、帯電ローラの汚れ評価の指標として着色濃度を用いた。評価結果を表15−2に示す。
(7.画像評価)
前記汚れ評価と同様に、温度23℃、相対湿度50%環境下で画像を1000枚形成し、次いで、低温低湿環境下(温度15℃、相対湿度10%)でハーフトーン画像を出力した。得られたハーフトーン画像を目視で観察し、帯電ローラの表面の汚れに起因する、ハーフトーン画像上の「ポチ」(ドット)状の欠陥の有無を下記基準で判定した。評価結果を表15−2に示す。
ランクA:「ポチ」の発生が認められない。
ランクB:軽微な「ポチ」の発生が認められる。
ランクC:帯電ローラの回転ピッチに対応した位置に「ポチ」の発生が認められる。
ランクD:画像の全面に亘って「ポチ」の発生が認められる。
[実施例2〜45]
表15−1に記載の弾性ローラと表面層形成用塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ2〜45を作製した後、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表15−2に示す。
[実施例46]
実施例1と同様にして、弾性ローラ1上に表面層を形成した。その後、紫外線処理をせずに帯電ローラ46を作製した後、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表15−2に示す。
Figure 2019028126
Figure 2019028126
[比較例1]
表面層形成用塗料の材料として、下記表16に示す材料を分散容器内に加え、サンドミルにて混合した。次いで、メタノールとトルエンの混合溶媒(質量比2:1)を加えて液の粘度を6〜10cpsの範囲内に調整して、表面層形成用塗料G−44を作製した。
表面層形成用塗料G−1を表面層形成用塗料G−44に変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ47を作製し、実施例1と同様に各測定及び評価を実施した。結果を表20に示す。
Figure 2019028126
[比較例2]
表面層形成用塗料の材料として、下記表17に示す材料を分散容器内に加え、サンドミルにて混合した。次いで、イソプロピルアルコールを加えて液の粘度を6〜10cpsの範囲内に調整して、表面層形成用塗料G−45を作製した。
表面層形成用塗料G−1を表面層形成用塗料G−45に変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ48を作製し、実施例1と同様に各測定及び評価を実施した。結果を表20に示す。
Figure 2019028126
[比較例3]
表面層形成用塗料の材料として、下記表18に示す材料を分散容器内に加え、サンドミルにて混合した。次いで、メチルエチルケトンを加えて液の粘度を6〜10cpsの範囲内に調整して、表面層形成用塗料G−46を作製した。
表面層形成用塗料G−1を表面層形成用塗料G−46に変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ49を作製し、実施例1と同様に各測定及び評価を実施した。結果を表20に示す。
Figure 2019028126
[比較例4]
表面層形成用塗料の材料として、下記表19に示す材料を分散容器内に加え、サンドミルにて混合した。次いで、メチルエチルケトンを加えて液の粘度を6〜10cpsの範囲内に調整して、表面層形成用塗料G−47を作製した。
表面層形成用塗料G−1を表面層形成用塗料G−47に変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ50を作製し、実施例1と同様に各測定及び評価を実施した。結果を表20に示す。
Figure 2019028126
Figure 2019028126
実施例1〜46に係る帯電ローラは、汚れ評価及び画像評価において良好又はほぼ良好な結果を示した。特に、実施例1及び実施例24、26〜29、36〜39は、良好な結果である。これは、構造式(1)中のR11が芳香環構造であり、構造(10)〜(12)のいずれか一つ以上のシリコーン構造を有するためと考えられる。すなわち、シリコーン構造によるバインダー樹脂同士の凝集抑制、及びカーボンブラック表面へのバインダー樹脂の吸着量の増加により、トナーへの注入帯電量が増し、帯電ローラ表面へのトナーの静電付着が抑えられたためである。また、シリコーン構造は、表面自由エネルギー及び摩擦力を低減するため、化学的・物理的にもトナーの付着が抑制されたものと考えられる。
一方、比較例1〜4に係る帯電ローラは、汚れ評価及び画像評価のいずれか1つ以上が悪い結果であった。比較例1のバインダー樹脂はアミド構造を含むが、構造(1)ならびにポリアミド中に第1のポリマー部分及び第2のポリマー部分を含まない。そのため、トナーへの注入帯電が不足し、かつ、表面抵抗が低下して、トナーに与えた電荷が減衰し、トナーが静電的に帯電ローラ表面に付着したものと考えられる。比較例2のバインダー樹脂は、フェノール性水酸基を含有しているが、ポリアミド構造を含まない。そのため、注入帯電を促進するカーボンブラック表面へのバインダー樹脂の吸着量が少なく、またアミド基によるフェノール構造への電子供与がないため、トナーへの注入帯電が不足し、トナーが静電的に帯電ローラ表面に付着したものと考えられる。比較例3のバインダー樹脂は、構造(1)を含まない。バインダー樹脂中に、ウレタン結合に由来する芳香環やウレタン基を有するが、構造(1)に含まれるアミド基及びフェノール性水酸基を有さないため、トナーへの注入帯電が不足し、トナーが静電的に帯電ローラ表面に付着したものと考えられる。比較例4についても、比較例1と同様の理由よりトナーが静電的に帯電ローラ表面に付着したものと考えられる。
11:静電潜像担持体(電子写真感光体)
12:帯電部材(帯電ローラ)

Claims (16)

  1. 導電性の基体、弾性層及び表面層をこの順に有する電子写真用の帯電部材であって、
    該表面層は、バインダー樹脂とカーボンブラックとを含み、
    該表面層の、該弾性層と対向する側とは反対側の表面における表面抵抗が、1.0×1014Ω/□以上、1.0×1017Ω/□以下であり、
    該バインダー樹脂は、構造式(1)で示される構造を有するポリアミド樹脂を含み、
    該ポリアミド樹脂は、第1のポリマー部分及び第2のポリマー部分の少なくとも一方をさらに有し、
    該第1のポリマー部分は、構造式(2)〜(8)で示される群から選択される少なくとも1つの構造を含み、
    該第2のポリマー部分は、構造式(9)で示される構造を含む、ことを特徴とする帯電部材:
    Figure 2019028126

    [構造式(1)中、R11は、炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(2)中、R21は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(3)中、R31は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(4)中、R41は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(5)中、R51は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(6)中、R61は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(7)中、R71は水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(8)中、R81は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(9)中、R91は炭素数3〜9の二価の脂肪族炭化水素基を示す。]。
  2. 前記第1のポリマー部分における前記構造式(2)〜(8)で示される構造の共重合比率を、各々k、l、m、n、p、q、rとしたとき、k+l+m+n+p+q+r=100であり、かつ、0≦k≦100、0≦l≦100、0≦m≦100、0≦n≦100、0≦p≦100、0≦q≦100、0≦r≦100である、請求項1に記載の帯電部材。
  3. 前記第1のポリマー部分の数平均分子量が、1000以上、4200以下である請求項1または2に記載の帯電部材。
  4. 前記第2のポリマー部分における前記構造式(9)で示される構造の繰り返し単位数が、7以上、30以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電部材。
  5. 前記第2のポリマー部分の数平均分子量が、1000以上、3000以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯電部材。
  6. 前記ポリアミド樹脂が、下記構造式(10)〜(12)で示される群から選択される少なくとも1つの構造をさらに有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の帯電部材:
    Figure 2019028126

    [構造式(10)中、R101は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示し、R102は炭素数2〜8の二価の脂肪族炭化水素基または炭素数3〜12のアルキレンオキシアルキレン基を示し、R103は炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示す。sはジメチルシリコーン構造の繰り返し単位数を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(11)中、R111は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示し、R112は炭素数2〜8の二価の脂肪族炭化水素基または炭素数3〜12のアルキレンオキシアルキレン基を示し、R113は炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示す。tはジメチルシリコーン構造の繰り返し単位数を示す。]、
    Figure 2019028126

    [構造式(12)中、R121は炭素数2〜12の二価の脂肪族炭化水素基、または置換もしくは未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基を示し、R122は炭素数2〜8の二価の脂肪族炭化水素基または炭素数3〜12のアルキレンオキシアルキレン基を示し、R123は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。uはジメチルシリコーン構造の繰り返し単位数を示す。]。
  7. 前記構造式(1)中のR11が、置換または未置換の炭素数6〜12の二価の芳香族基である請求項1〜6のいずれか一項に記載の帯電部材。
  8. 前記カーボンブラックが、pHが5以下の酸性カーボンブラックである請求項1〜7のいずれか一項に記載の帯電部材。
  9. 前記カーボンブラックの個数平均粒子径が、10〜100nmである請求項1〜8のいずれか一項に記載の帯電部材。
  10. 前記表面層が、前記カーボンブラックを、該カーボンブラックの少なくとも一部が、前記表面層の前記基体に面する側とは反対側の表面から露出するように保持してなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の帯電部材。
  11. 前記表面層の前記基体に面する側とは反対側の表面において測定される表面層の表面から深さ1μmの位置におけるユニバーサル硬度が、1.0N/mm以上、5.0N/mm以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の帯電部材。
  12. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電装置と、を有し、該帯電装置は、該電子写真感光体と接触して配置される帯電部材を具備している電子写真画像形成装置であって、該帯電部材は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
  13. 前記帯電装置は、前記電子写真感光体に担持された現像剤が転写材に転写された後にも、該電子写真感光体上に残留している現像剤を回収するものである、請求項12に記載の電子写真画像形成装置。
  14. 前記帯電部材と前記電子写真感光体とは速度差を有するように各々の表面が移動する、請求項13に記載の電子写真画像形成装置。
  15. 前記帯電部材の表面の移動方向が、前記電子写真感光体の表面の移動方向とは逆である、請求項13または14に記載の電子写真画像形成装置。
  16. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、請求項1〜11のいずれか一項に記載の帯電部材を具備していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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