以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、図1及び図2に示すような測定装置Yに適用されるものであり、複数の試験片収納容器Bを連続的に導入することが可能なコンティニュアスローディングボトルチェンジャーとして機能する装置である。本実施形態の試験片収納容器連続処理装置Xは、例えば図3等に示す試験片収納容器Bを処理対象とするものである。
試験片収納容器Bは、図3(a)に示すように、複数の試験片Pを収納可能な内部空間を有する容器本体B1と、内部空間の上方を開閉可能に蓋封する開閉蓋B2とを備え、同図中に示すような試験片Pを内部空間に収納可能なものである。本実施形態で使用する試験片Pは、図3(b)に示すように、細長いスティックP1を主体とし、スティックP1の一端側に複数の試薬層P2を設け、他端側を把持部P3に設定したものである。スティックP1は、例えば合成樹脂製であり、試薬層P2を設けた面をオモテ面として扱われるものである。また、把持部P3の一部には、試験片Pの名称またはロゴマーク等が印刷されている。
本実施形態では、容器本体B1を、軸方向(長手方向)に一致する上下方向に開放された無底無蓋の内部空間を有する円筒状のボディB3と、ボディB3の下端に装着可能な下蓋B4とによって構成している。下蓋B4をボディB3に装着した状態で、上方にのみ開口した内部空間が形成され、下蓋B4のガイド突出部B41がボディB3の下側ガイド溝部に嵌合することで、装着状態において下蓋B4がボディB3の周方向に不意に回転する事態を防止・抑制できる。
ボディB3の外周面には、乾燥剤が収容可能な乾燥剤収容部B31と、後述する導入部5のガイドレール61に若干のあそびをもった状態で嵌合可能なガイド鍔部B32と、後述するメイン移送部4の押圧部(レバー41)に押圧される被押圧部B33とを設けている。これら乾燥剤収容部B31、ガイド鍔部B32、被押圧部B33は、他の部分よりもボディB3の外部に向かって突出したり、膨出した形状に設定されている。このような異形状をボディB3の外周面に設けることにより、複数の試験片収納容器Bを並べる場合や、連続処理装置Xの導入始端11に投入する場合等において、これら異形状部分を目印にすることで向きを揃えて整列させたり、連続処理装置Xによる移動処理に適した向きに揃えて投入することができる。なお、乾燥剤収容部B31の内部空間は、適宜の通気口(図示省略)によって、試験片Pが収納される空間と連通し、乾燥剤収容部B31にそれぞれ乾燥剤を収容することで、試験片Pが収納される空間の湿度を所定値以下に維持して、湿気による試験片Pの劣化、不良化を防止できる。本実施形態では、一対のガイド鍔部B32をホディB3の径方向に相互に対面するように180度ピッチで設け、周方向に、一方のガイド鍔部B32、乾燥剤収容部B31、他方のガイド鍔部B32、被押圧部B33がこの順に所定間隔で並ぶように設定している。
開閉蓋B2は、ボディB3に対する嵌合形態が下蓋B4と同一であり、且つボディB3に装着した状態において内部空間を上方に開放可能な開放状態(後述の図16参照)と内部空間を閉塞可能な閉止状態の間で変更可能なものである。開閉蓋B2をボディB3に装着した状態で、開閉蓋B2のガイド突出部B21がボディB3の上側ガイド溝部に嵌合することで、装着状態において開閉蓋B2がボディB3の周方向に不意に回転する事態を防止・抑制できる。本実施形態では、開閉蓋B2全体が、ボディB3に対して開閉動作するタイプではなく、開閉蓋B2のうち、ボディB3に装着している筒状部B22に対して、ヒンジ軸B23を介して連結状態にある蓋本体B24を回動可能に構成した開閉蓋B2を適用している。
そして、図3等に示す閉止状態にある開閉蓋B2に対して所定の操作力、具体的には、蓋本体B24のうちヒンジ軸B23よりも外側方に突出している突出部B25を下方に押圧する操作力が付与されることによって、蓋本体B24がヒンジ軸B23周りに回動して、後述する図16に示すように、試験片収納容器Bの内部空間を上方に開放する開放状態になる。本実施形態において、「開閉蓋B2が開放状態になる」とは、「内部空間に収納している試験片Pが取出可能な状態になる」ことであり、内部空間全体を上方に開放した状態、または内部空間の一部を開放した状態の何れも含む。また、開放状態にある開閉蓋B2を閉止状態にするには、蓋本体B24に対する前記操作力(閉止状態から開放状態に切り替える操作力)を停止したり、開閉蓋B2を開放状態から閉止状態に積極的に切り替える操作力を付与すればよい。なお、下蓋B4をボディB3から一時的に取り外することによって、ボディB3の内部空間は下方に開放された空間になり、この下開口部を通じて、ボディB3の内部空間に試験片Pを補充・収容したり、所定の処理後等においてボディB3の内部空間から試験片Pを排出・廃棄することができる。したがって、内部空間が上方にのみ開放可能に設定された容器と比較して、内部空間に対する試験片Pの出し入れ方向の選択肢が増え、使い勝手が向上することも期待できる。また、試験片Pの補充のみならず、乾燥剤収容部B31に対して行う乾燥剤の入れ替え作業も、下蓋B4をボディB3から一時的に取り外すことで実施することができる。さらにまた、試験片Pの包装形態に応じて、試験片Pの補充や乾燥剤の入れ替えを、ボディB3に装着している開閉蓋B2(具体的には筒状部B22)をボディB3から一時的に取り外して実施することが可能である。
このような試験片収納容器Bは、例えば試験片Pを用いた測定処理が可能な装置が導入されている例えば医療機関等(以下では「装置導入現場」)において好適に使用されるものである。測定処理が完了した後、試験片収納容器Bは、新たな試験片Pを収容して再利用されることが前提とされているが、1回の使用後に廃棄される仕様とすることもできる。
また、装置導入現場までの輸送過程では上述の試験片収納容器Bを用いずに、装置導入現場に搬入された時点以降に、輸送過程において収納容器または包装材に収納・包装されている試験片Pを、上述の試験片収納容器Bの内部空間に移し替えるようにすれば、輸送中に試験片Pが擦れ合って発生する可能性がある粉塵や繊維屑を移し替え時に除去することが可能であり、試験片Pの取り出し障害を回避することができる。このような使用態様を採用することによって試験片収納容器Bを装置導入現場で繰り返し使用することが可能になる。
以上に述べた試験片収納容器Bを構成する各パーツは、それぞれ合成樹脂製の一体成形品であり、所定の金型を用いることで大量生産が可能である。上述の各パーツの成形材料としては、ABS(アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート)、PE(ポリエチレン)等を挙げることができる。
以上のパーツからなる試験片収納容器Bは、ボディB3に開閉蓋B2を装着する際に、ボディB3の上方から開閉蓋B2の筒状部B22をボディB3の上端部を含む所定領域(上端部側被覆領域)を被覆するように差し込むことで、茶筒のように、開閉蓋B2の筒状部B22の内周面とボディB3の上端部側被覆領域が相互に摺接して密閉度合いが高まる。なお、ボディB3に下蓋B4を装着する手順は、開閉蓋B2の装着手順に準じて行うことができる。
ちなみに、本実施形態の試験片収納容器Bは、ボディB3の下端部に下蓋B4が装着され且つボディB3の上端部に開閉蓋B2が装着された装着状態と、ボディB3の下端部に下蓋B4が装着され且つボディB3の上端部に、下蓋B4と同様の形態であり、且つ下蓋B4を上下反転させた姿勢で使用可能な上蓋(図示省略)が装着された装着状態とを選択可能に構成されている。
本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、このような開閉蓋付きタイプの試験片収納容器Bに対して、容器本体B1から全部または所定枚数の試験片Pを1枚ずつ取り出して所定の測定処理を行う測定装置Yに適用されるものであり、測定装置Yの筐体Y1内に導入した試験片収納容器Bを、容器本体B1から試験片Pを取り出すことが可能な所定の試験片取出位置まで移送する処理を含む複数の処理を行うものである。
ここで、測定装置Yのうち、所定の試験片取出位置に到達した試験片収納容器Bの容器本体B1から試験片Pを1枚ずつ取り出す試験片取出部(ピックアップ機構)や、容器本体B1から取り出した試験片Pを使用して液体試料、特に尿試料を測定する測定部の基本動作及び処理手順は既知のものを使用・利用することができ、詳細な説明は省略する。これら試験片取出部及び測定部は測定装置Yの筐体Y1の内部に配置されている。
本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、図1、図2及び図4に示すように、測定装置Yの筐体Y1の外部に設定した所定の導入始端11から導入された試験片収納容器Bを少なくとも筐体Y1内における所定の試験片取出位置まで移送する導入移送部1と、試験片取出位置において開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替える蓋開放部2と、容器本体B1から全部または所定枚数の試験片Pが取り出された試験片収納容器Bを排出口31に排出する排出部3とを備え、導入始端11から排出口31まで試験片収納容器Bを一方通行の移送経路(後述する第1次導入ラインL6、第2次導入ラインL7、メイン搬送ラインL4)に沿って所定の排出口31まで移動させることが可能なものである。
導入移送部1は、図5乃至図14に示すように、筐体Y1内に設けられ且つ試験片収納容器Bを一直線状のメイン移送ラインL4(図13参照)に沿って少なくとも試験片取出位置まで移送するメイン移送部4と、導入始端11から導入された試験片収納容器Bをメイン移送ラインL4(メイン移送部4による試験片収納容器Bの移送ライン)の始端に移送する導入部5とを有する。
導入部5は、外部に向けて開口している導入始端11を入口(始端)とする第1次導入ラインL6(図9参照)に沿って、導入始端11から導入された試験片収納容器Bを導入始端11より低位に設定した第1次導入ラインL6の終端に向かって自重で移動させる第1次導入部6(スライド通路)と、第1次導入ラインL6の終端を通過した試験片収納容器Bをメイン移送ラインL4の始端まで降下させる第2次導入部7(降下通路)とを備えている。メイン移送ラインL4の始端は、本発明の「メイン移送部による試験片収納容器の移送開始位置」に相当する。
第1次導入部6は、図1、図2、図5乃至図9に示すように、測定装置Yの筐体Y1の外部に配置されるものであり、筐体Y1の一方の側面の外側の領域において、測定装置Yの前方から奥方に向かって高さ方向が低くなる傾斜姿勢で配置したレール61を用いて形成したものである。ここで、測定装置Yは、病院等の装置導入現場において、装置Yの幅方向Wに複数並べて設置した状態で運用されることが多く、幅方向Wに並ぶ測定装置Yのうち筐体Y1同士の隙間(デッド空間)を有効活用するため、本実施形態では、筐体Y1の一方の側面の外側の領域に第1次導入部6を含む連続処理装置Xの一部を配置する構成を採用している。
レール61は、レールベース62と、レールベース62の両サイドに配置される左右一対のレール本体63とを備え、各レール本体63の内向き面(レール本体63同士が相互に対向する面)に、試験片収納容器Bのガイド鍔部B32が収まるガイドレール溝64を形成したものである。本実施形態では、ガイド鍔部B32をガイドレール溝64に沿って滑らせる際に、試験片収納容器Bの底面がレールベース62から浮くように、ガイドレール溝64の高さ位置を設定している(図8参照)。特に、ガイドレール溝64を有するレール本体63を、耐摩耗性、摺動性、加工性に優れた素材、例えばポリアセタール(POM)で形成している。レール61の傾斜角度は適宜の値に設定でき、本実施形態では15度に設定している。また、レール本体63の上方にレールカバー65を設け(図8参照)、レール61全体を、導入始端11のみが外部に開口した筒状(トンネル状)の形態に設定している。図5では、第1次導入部6のうちレールカバー65を省略し、図6では、図5のうち一方のレール本体61をさらに省略して示している。
そして、このようなレール61で構成した第1次導入部6によれば、オペレータが試験片収納容器Bを導入始端11から導入(投入)すると、その試験片収納容器Bは、ガイド鍔部B32をガイドレール溝64内に沿って滑らせることで、レール61の終端に向かって自重で移動することになる。第1次導入部6による試験片収納容器Bの導入ラインである第1次導入ラインL6(図9参照)は、次に説明する第2次導入部7による試験片収納容器Bの導入ラインである第2次導入ラインL7に連続している。
第2次導入部7は、図6、図7及び図10に示すように、第1次導入ラインL6の終端を通過した試験片収納容器Bを受け取り、受け取った試験片収納容器Bをメイン移送ラインL4の始端までエレベータ方式で降下させるエレベータ機構71を備えている。エレベータ機構71は、試験片収納容器Bを受け取る移送ケース72と、移送ケース72を昇降移動させる昇降駆動モータ73とを備えている。本実施形態では、昇降駆動モータ73として、ステッピングモータを適用している。
移送ケース72は、第1次導入部6を通過した試験片収納容器Bを受取可能な上位置(図6参照)と、受け取った試験片収納容器Bをメイン移送ラインL4の始端に受け渡し可能な下位置(図7及び図10参照)との間で昇降移動する。本実施形態の測定装置Yは、試験片取出位置において所定角度傾斜させた試験片収納容器Bの容器本体B1から試験片Pを取り出す構成を有している。そこで、本実施形態のエレベータ機構71では、上位置において、試験片取出処理に適した所定角度傾斜させた姿勢(以下、「傾斜姿勢」)で試験片収納容器Bを移送ケース72で受け取り、その傾斜姿勢を維持したまま試験片収納容器Bを下位置まで降下するように設定している。本実施形態では、上位置において試験片収納容器Bを移送ケース72に受け取る処理、及び下位置において試験片収納容器Bを移送ケース72からメイン移送ラインL4へ受け渡す処理がスムーズに行えるように、移送ケース72を適宜の形状に設定している。
また、本実施形態に係る第2次導入部7は、移送ケース72の上位置から下位置への降下移動中、及び下位置から上位置への上昇移動中に、第1次導入ラインL6の終端近傍まで到達している後続の試験片収納容器Bが、移送ケース72の昇降移動領域に誤って落下する事態を防止するストッパ74を備えている。ストッパ74は、移送ケース72と一体に昇降移動し、移送ケース72の昇降移動中に後続の試験片収納容器Bに添接した状態で転動する支持ローラ75を備えている(図6、図7及び図10参照)。本実施形態では、複数(図示例では2つ)のストッパ74を高さ方向に所定ピッチで配置している。なお、本実施形態の第2次導入部7では、移送ケース72を下位置から上位置に向かってある程度上昇移動させた時点で最下位のストッパ74と後続の試験片収納容器Bとの添接状態を解除し、さらに移送ケース72を上位置に移動させ終えた時点で、移送ケース72に向かって自重で移動する後続の試験片収納容器Bを上位置の移送ケース72に収容できるように構成している。第2次導入部7は、上位置にある移送ケース72を検知するセンサ(上位置検出センサ76)と、下位置にある移送ケース72を検知するセンサ(下位置検出センサ77)とを適宜の箇所に設けている(図10参照)。
本実施形態の連続処理装置Xでは、第2次導入部7による試験片収納容器Bの導入ラインである第2次導入ラインL7(図10参照)を、第1次導入ラインL6よりも急な勾配に設定している。そして、第1次導入ラインL6に沿って測定装置Yの前方から奥方に向かって自重で滑りながら移動した試験片収納容器Bを、メカニカルな機構(エレベータ機構71)によって試験片取出処理に適した傾斜姿勢に維持したまま第2次導入ラインL7に沿ってメイン移送ラインL4の始端まで移動させるように構成している。
本実施形態の導入部5は、このような第1次導入部6と第2次導入部7の組み合わせによって構成したものである。なお、第1次導入部6は、特にメカニカルな機構を備えていない構成である。導入部5のうち、第1次導入部6は、複数(本実施形態では最大7つ)の試験片収納容器Bを第1次導入ラインL6上に整列させた状態で架設することが可能なものであり、第2次導入部7は、試験片収納容器Bを1つずつ順番に第2次導入ラインL7に沿って降下移動させるものである。特に、第2次導入部7は、第1次導入ラインL6よりも急な勾配に設定した第2次導入ラインL7に沿った試験片収納容器Bの降下移動中、及び降下移動終了時に、試験片収納容器Bに対して無用な衝撃を与えることを防止・抑制可能な機構で構成している。
本実施形態の試験片収納容器連続処理装置Xは、導入部5の所定箇所に、試験片収納容器Bの有無を検知するセンサを設けている。本実施形態では、第2次導入部7のうち上位置にセットした移送ケース72に収容した試験片収納容器Bを検知可能なセンサ(導入部空検知用センサ51)を設けている(図8参照)。なお、図8及び図10では、移送ケース72が上位置にある場合のストッパ74の先端部、つまり支持ローラ75の位置を符号「75(t)」で示し、移送ケース72が下位置にある場合のストッパ74の先端部、つまり支持ローラ75の位置を符号「75(u)」で示している。
メイン移送部4は、図11乃至図14に示すように、メイン移送ラインL4の始端に到達している試験片収納容器Bを少なくとも試験片取出位置まで移送するものである。図11及び図12は、図7と同じ方向から見た斜視図であり、第1次導入部6を省略して示している。
メイン移送部4は、測定装置Yの幅方向Wに沿って延伸するメインベース40上の試験片収納容器Bを、メイン移送ラインL4の終端に向かって押圧可能なレバー41を備えている。ここで、メインベース40は、試験片収納容器Bを試験片取出処理に適した所定の傾斜姿勢で支持可能なものである。メインベース40に準じた形状のベースは、本実施形態に係る連続処理装置Xが適用されていない既知の測定装置Yにおいても、試験片収納容器を移送する機構のパーツとして測定装置Yの筐体Y1内に配置されている場合がある。本実施形態では、従来のベースを一部改良したメインンベース40を用いてメイン移送部4を構成している。メインベース40は、試験片収納容器Bの底面を支持するメインベース本体401と、傾斜姿勢で凭れ掛かる試験片収納容器Bを支持するサポート壁部402とを少なくとも有するものである。
レバー41は、メインベース40の延伸方向に往復移動するものであり、移送ラインL4に沿った試験片収納容器Bの移送方向Aと一致する方向(正方向、図13参照)へ移動する際に、サポート壁部402よりも前方に突出した状態を維持し、試験片収納容器Bを移送方向Aに押圧して移動させることが可能であり、試験片収納容器Bの移送方向Aとは反対方向(逆方向)へ移動する際は、試験片収納容器Bに当たることで回動してサポート壁部402よりも奥方に退避した状態(図示省略)になり、試験片収納容器Bを押し戻さないように設定したものである。以下では、レバー41をメイン移送ラインL4の移送方向A下流側(正方向)へ移動させる動作を「送り動作」とし、レバー41をメイン移送ラインL4の移送方向A上流側(逆方向)へ移動させる動作を「戻り動作」とする。サポート壁部402には、レバー41の往復動を許容するレバー移動開口部403を形成している(図11及び図12参照)。
レバー41のうち、送り動作時においてサポート壁部402よりも奥方に位置付けられる基端部の近傍に、レバー41の突出端部領域がサポート壁部402よりも前方に突出している姿勢にあるレバー41が一方向(正方向)へ回転することを規制し、レバー41の他方向(逆方向)へ回転することを許容するストッパピン42を設けている(図13及び図14参照)。これによって、送り動作時には、レバー41の姿勢を、突出端部がサポート壁部402よりも前方に突出して露出している姿勢に維持することができ、戻り動作時には、レバー41の突出端部が試験片収納容器Bに当たった場合にサポート壁部402よりも奥方に退避してレバー41全体がサポート壁部402よりも前方に突出していない姿勢にすることができる。
本実施形態のメイン移送部4は、送り動作(押し動作)時に、1つの試験片収納容器Bに対して高さ方向に異なる2つの位置からレバー41で同時に押圧し、その際に試験片収納容器Bを倒さないように、レバー41を上下2段に配置している。また、複数のレバー41を、メイン移送ラインL4の移送方向Aに沿って所定ピッチで配置している。本実施形態では、上下2段のレバー41の組をメイン移送ラインL4の移送方向Aに所定ピッチで4組配置している(図13参照)。全てのレバー41及びストッパピン42は、共通のレバー支持ブラケット43に取り付けられ、レバー支持ブラケット43を往復動させることで、全てのレバー41を一斉に送り動作させたり、戻り動作させることができる(図13及び図14参照)。そして、本実施形態のメイン移送部4は、レバー支持ブラケット43を、試験片収納容器Bの移送方向Aに沿ったレバー41同士の離間距離である1ピッチ分と同じ距離か、または1ピッチ分よりも長い距離を繰り返し往復移動させることによって、各レバー41の送り動作、戻り動作を繰り返すことができる。なお、本実施形態では、試験片収納容器Bに、レバー41に押圧される被押圧部B33を設けている。レバー支持ブラケット43の往復移動は、ラック・ピニオン機構44と、ラック・ピニオン機構44を駆動するモータ(メイン移送用モータ45)とを用いて実現している(図13及び図14参照)。本実施形態では、メイン移送用モータ45として、ステッピングモータを適用している。
また、メイン移送部4は、送り動作の開始位置におけるレバー41の有無を検知するセンサ(送り動作開始位置検出センサ46)と、戻り動作の開始位置におけるレバー41の有無を検知するセンサ(戻り動作開始位置検出センサ47)とを適宜の箇所に設けている(図13参照)。なお、レバー41の戻り動作開始位置は、送り動作終了位置と同じであり、送り動作開始位置は、戻り動作終了位置と同じである。
各レバー41を、送り動作開始位置に位置付けた際、複数のレバー41のうちメイン移送ラインL4の始端に最も近い位置に配置されるレバー41が、下位置に位置付けた移送ケース72に保持されている試験片収納容器Bに接触または近接した状態になる。この状態で、レバー41の送り動作を開始すると、下位置に位置付けた移送ケース72に収まっている試験片収納容器Bは、予め設定したレバー41の1回の送り動作での移動距離である1ストローク分だけ移送方向A下流側(試験片取出位置に近付く方向)へ移動して、移送ケース72から離れる。本実施形態では、レバー41の1ストローク分の移動距離を、移送方向Aに沿ったレバー41同士の離間距離と同じ距離か、レバー41同士の離間距離よりも少し長い距離に設定している。
このような各レバー41の送り動作の後に戻り動作を行い、再度レバー41の送り動作を行うことで、試験片収納容器Bを移送方向A下流側に順次移動させることができる。そして、本実施形態では、メイン移送ラインL4の始端に到達している試験片収納容器Bに対して、各レバー41の送り動作と戻り動作を交互に2回繰り返し、3回目の各レバー41の送り動作を終了した時点で、その試験片収納容器Bを試験片取出位置に移動させることができる。図12には、2回目のレバー41の送り動作終了時点における試験片収納容器Bの位置を示している。本実施形態では、レバー41の送り動作・戻り動作を3回繰り返すことによって、その試験片収納容器Bを試験片取出位置に移動させることができる。本実施形態の連続処理装置Xは、メイン移送部4の所定箇所に、試験片取出位置における試験片収納容器Bの有無を検知するセンサ(取出位置容器検知用センサ48)を設けている。取出位置容器検知用センサ48は、図12にその取付位置を模式的に示すように、例えば、メインベース40の底面(ベース本体401の下向き面)のうち、試験片取出位置に到達した試験片収納容器Bを検知可能な位置に設けられている。
また、本実施形態では、各レバー41を送り動作終了位置に位置付けた状態で、複数のレバー41のうちメイン移送ラインL4の終端に最も近い位置に配置されるレバー41に接触している試験片収納容器Bが、試験片取出位置よりもさらに移送方向A下流側に設定した排出準備位置に到達している。すなわち、本実施形態のメイン移送部4は、試験片取出位置よりもさらに移送方向A下流側に設定した排出準備位置まで試験片収納容器Bを移送するものである。なお、導入始端11から導入された試験片収納容器Bは、試験片取出位置に到達して次に説明する蓋開放部2による蓋開放処理が行われるまで、開閉蓋B2の閉止状態が維持されている。
蓋開放部2は、図15乃至図18に示すように、試験片取出位置において、開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替えるものである。蓋開放部2は、閉止状態にある開閉蓋B2の突出部B25を上方から押圧するスイングレバー21と、スイングレバー21をスイングレバー軸回りに振り動かすモータ(蓋開閉用モータ22)とを備えている。本実施形態では、蓋開閉用モータ22として、ステッピングモータを適用している。
スイングレバー21を所定の振り下ろし前準備位置から振り下ろし位置まで回転させることによって、スイングレバー21の先端部が蓋本体B24の突出部B25を押圧して、蓋本体B24をヒンジ軸B23回りに回転させて、開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替えることができる。本実施形態では、スイングレバー21の先端部にベアリング23を設け、蓋本体B24の突出部B25にベアリング23が添接しながら転動するように構成している。図15には、スイングレバー21を振り下ろし前準備位置に位置付けて、開閉蓋B2を閉止状態に維持している状態を示し、図16には、スイングレバー21を振り下ろし前準備位置から振り下ろし位置まで振り下ろして、開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替えた状態を示している。また、図17では、閉止状態の開閉蓋B2及び振り下ろし前準備位置のスイングレバー21を実線で示し、開放状態の開閉蓋B2及び振り下ろし位置のスイングレバー21を二点鎖線で示している。図17のa方向矢視図である図18では試験片収納容器Bを省略して示している。
本実施形態の蓋開放部2は、スイングレバー21を振り下ろし前順位置から振り下ろし位置まで動かした状態で、ベアリング23が、開閉蓋B2のうちヒンジ軸B23の真下に形成されているベアリング収容部B27(図3等参照)に嵌まり込むことによって、試験片取出処理中に試験片収納容器B全体が揺れ動く等の無用な挙動を防止、抑制できる。本実施形態では、蓋開放部2の適宜箇所に、スイングレバー21が振り下ろし前準備位置にあるか否か検知するセンサ(振り下ろし前準備位置検出センサ24)を設けている(図17参照)。
本実施形態では、スイングレバー21を振り下ろし位置から振り下ろし前準備位置まで振り戻すことによって、開閉蓋B2を開放状態から閉止状態に切り替えることができる。つまり、蓋開放部2は、開閉蓋B2を開放状態と閉止状態との間で自在に切替可能な蓋開閉部として機能する。したがって、試験片取出処理終了後に、スイングレバー21を振り下ろし位置から振り下ろし前準備位置に振り戻すことで、開閉蓋B2は開放状態から閉止状態に切り替わる。なお、スイングレバー21を振り下ろし位置から振り下ろし前準備位置に向かって振り戻し始めたある時点で、開閉蓋B2の一部に設けた閉止復帰用凸部B26(図3、図17参照)に、スイングレバー21の先端(ベアリング23)が当たり、さらに、スイングレバー21を振り下ろし前準備位置に向かって振り戻すことで、開閉蓋B2をヒンジ軸B23回りに回転する方向に押圧して閉止状態に復帰させることができる。本実施形態では、試験片収納容器Bが試験片取出位置において所定の傾斜姿勢で維持されているため、開放状態にある開閉蓋B2を閉止状態に切り替える際に、開閉蓋B2がヒンジ軸B23回りに所定角度まで起立した姿勢になると、開閉蓋B2は自重で回転して閉止状態になる。
本実施形態では、メイン移送部4によって試験片取出位置から排出準備位置に移送した試験片収納容器Bを排出部3によって排出口31から排出可能に構成している。
排出部3は、図4、図19乃至図25に示すように、試験片取出位置よりもメイン移送ラインL4下流側に設定した排出準備位置において、試験片収納容器Bを試験片取出処理に適した傾斜姿勢から鉛直姿勢に変更させる姿勢変更部32を備え、鉛直姿勢の試験片収納容器Bを排出口31から回収領域33に落下させるものである。
排出口31は、排出準備位置において試験片収納容器Bを傾斜姿勢で保持可能な傾斜姿勢保持ベース34に形成された高さ方向に貫通する開口であり、開口方向を鉛直方向に設定したものである。排出口31の開口形状は、図25に示すように、鉛直姿勢にある試験片収納容器Bが通過可能な形状であって、且つ鉛直姿勢ではない試験片収納容器Bが通過不能な形状である。図25では姿勢変更部32を省略して示している。
姿勢変更部32は、試験片取出位置から排出準備位置に到達した試験片収納容器Bを保持する保持ケース35と、保持ケース35を、排出準備位置において傾斜姿勢の試験片収納容器Bを保持する排出前受取位置と、試験片収納容器Bを傾斜姿勢から鉛直姿勢に矯正する鉛直姿勢矯正位置との間で回転移動させるモータ(排出用モータ36)とを備えている。本実施形態では、排出用モータ36として、ステッピングモータを適用している。図4及び図20に、保持ケース35が排出前受取位置にある状態を示し、図19及び図21に、保持ケース35が鉛直姿勢矯正位置にある状態を示している。図20及び図21は、図11と同じ方向から見た排出部3の斜視図である
排出部3は、排出前受取位置にある保持ケース35を検知するセンサ(排出前受取位置検出センサ37)と、鉛直姿勢矯正位置にある保持ケース35を検知するセンサ(鉛直姿勢矯正位置検出センサ38)とを適宜の箇所に設けている(図24参照)。本実施形態の排出部3は、排出準備位置において保持ケース35を排出前受取位置と鉛直姿勢矯正位置との間で所定角度分(例えば15度乃至25度)だけ回転するように設定している。そして、排出前受取位置にセットした保持ケース35で試験片収納容器Bを受け取って保持した状態で、保持ケース35を鉛直姿勢矯正位置に回転移動させると、試験片収納容器Bは傾斜姿勢から鉛直姿勢に変換されて、鉛直姿勢のまま排出口31から下方に落下する。
本実施形態の排出部3は、排出口31から下方に落下させた試験片収納容器Bを例えば図22及び図23に示す排出通路39に沿って自重で移動させて、所定の回収領域33まで移送する。排出通路39及び回収領域33は、測定装置Yの筐体Y1を載置して支持する載置台Y2(図1及び図2参照)の内部空間に配置することができる。したがって、メイン移送部4のメイン移送ラインL4に沿って排出準備位置まで到達した試験片収納容器Bは、メイン移送ラインL4よりも低い位置に設定した回収領域33に回収される。
排出口31から排出した試験片収納容器Bの最大回収数は、回収領域33自体のサイズや排出口31から回収領域3までの長さ等によって決まるが、回収領域33に対してオペレータがアクセス可能な構成にすれば、回収領域33に回収された試験片収納容器Bを回収領域33から取り除くことができる。図23に示すように、回収領域33に到達した試験片収納容器3の乾燥剤収容部B31が回収領域33に形成した切欠に嵌合するように構成できる。
なお、図22等に示す排出通路39及び回収領域33を採用せず、排出口31から下方に落下した試験片収納容器Bを多数収容可能な例えば箱状の回収ケースを、排出口31の下方に配置した構成を採用することもできる。本実施形態の排出部3は、排出口31の開口上縁よりも低い位置において試験片収納容器Bが有るか否かを検知するセンサ(回収領域満杯検知用センサ30)を有している(図22乃至図24参照)。
以上に述べた第1次導入部6、第2次導入部7、メイン移送部4、蓋開放部2、排出部3のうち、本実施形態では、第2次導入部7、メイン移送部4、蓋開放部2、排出部2をそれぞれメカニカルな機構で構成している。このような各部、各機構を備えた本実施形態に係るボトル連続処理装置Xは、導入部5の導入始端11から導入した試験片収納容器Bを、第1次導入ラインL6、第2次導入ラインL7及びメイン移送ラインL4に沿って一方通行で移動させて、排出部3の回収領域33に回収することができる。本実施形態の連続処理装置Xは、オペレータによって導入始端11から投入された試験片収納容器Bを測定装置Yの筐体Y1内に次々に導入可能であり、試験片取出位置から導入始端11まで最大10本の試験片収納容器Bを架設することができるように設定している。そして、試験片取出位置において試験片取出処理が終了した試験片収納容器Bを排出部3によってメイン移送ラインL4から回収領域33に移動させることが可能である。したがって、回収領域33が満杯にならないように回収領域33の試験片収納容器Bを適宜回収すれば、オペレータは、試験片収納容器Bを導入始端11から順次補充することができる。
次に、このような構成を有する試験片収納容器大量架設モデルの連続処理装置Xを測定装置Yに適用した場合の処理手順及び作用効果を説明する。
本実施形態の測定装置Yは、図26に示すように、電源が投入されると、連続処理装置Xの各機構(第2次導入部7、メイン移送部4、蓋開放部2、排出部3)の初期化処理を実施する。具体的には、第2次導入部7の移送ケース72を上位置にセットし、蓋開放部2のスイングレバー21を振り下ろし前準備位置にセットし、メイン移送部4のレバー41を送り動作開始位置にセットし、排出部3の保持ケース35を排出前受取位置にセットする。このような初期化処理は、各機構に設けたセンサ(上位置検出センサ76、下位置検出センサ77、振り下ろし前準備位置検出センサ24、送り動作開始位置検出センサ46、戻り動作開始位置検出センサ47、排出前受取位置検出センサ37、鉛直姿勢矯正位置検出センサ38)のセンシング情報に基づいて実施することができる。
本実施形態の測定装置Yは、図26に示すように、各機構(第2次導入部7、メイン移送部4、蓋開放部2、排出部3)の初期化処理に続いて、試験片登録処理を行う。試験片登録処理のフローチャートを図27に示す。
適宜の箇所(図示例では、筐体Y1の前面)にディスプレイDを設けた本実施形態の測定装置Yは、試験片登録処理に関して、ディスプレイDのメイン画面D1(図28(a)参照)に表示している「ボトル」キーをオペレータが押す操作の有無を検知する(「ボトル」キー押下有無検知ステップS101、図27参照)。「ボトル」キーをオペレータが押す操作を検知すると、試験片収納容器Bを登録するか回収するかのポップアップ(試薬交換のポップアップD2)をディスプレイDに表示する(図28(b)に示す試薬交換用ポップアップD2の表示例を参照)。なお、後述する測定処理中はメイン画面D1の「ボトル」キーを押す操作を受け付けないように設定している。なお、上述の「ボトル」を含め、本実施形態おけるディスプレイDの画面表示内容、ポップアップ表示例は、一例であり、他の言語や、他の表現・記載であっても構わない。
次に、本実施形態では、試薬交換のポップアップD2における「登録」キーをオペレータが押す操作の有無を検知する(「登録」キー押下有無検知ステップ)。「登録」キーをオペレータが押す操作を検知すると、識別番号(具体例としてバーコード)入力用のポップアップD3をディスプレイDに表示する(図29(c)に示すバーコード入力用ポップアップD3の表示例を参照)。そして、本実施形態の測定装置Yは、例えばハンディーバーコードリーダによる試験片情報(試験片種別・ロット番号・有効期限)の入力を受け付ける(試験片情報入力受付ステップS102、図27参照)と、その入力情報を所定の記憶領域に登録し、ディスプレイDにも表示する。入力された試験片情報を表示したポップアップD31の一例を図29(d)に示す。なお、図27のフローチャートでは、試薬交換のポップアップD2を表示するステップ、「登録」キー押下有無検知ステップは省略している。また、本実施形態では、医療機関等の装置導入現場までの輸送過程で使用される容器(図3(a)に示す試験片収納容器Bとは異なる容器)にバーコードが印字されている前提であり、オペレータは輸送過程で使用される容器から開閉蓋付きの試験片収納容器Bに試験片Pを移し替える作業を、試験片登録処理と同時または試験片登録処理の前後の適宜のタイミングで行う。
本実施形態に係る試験片収納ボトル大量架設モデルでは、ボトルラックの概念が無いため、測定バッチで使用する試験片Pの種別とロット番号を1つだけ入力する。また、本実施形態では、試験片情報のうち、試験片枚数とシリアル番号の編集はできず、登録時は100枚として扱う。また、本実施形態では、模倣品対策として、医療機関等の装置導入現場までの輸送過程で使用される容器(試験片輸送用ボトル)の使い回しを禁止する仕様にしているため、試験片輸送用ボトルのうち使用済み(試験片登録処理済み)の試験片輸送用ボトルは登録できないように設定している。同一測定バッチで使用する2本目以降の試験片輸送用ボトルは登録不要である。
本実施形態の測定装置Yでは、試験片情報入力受付ステップS102で受け付けた試験片情報をディスプレイDに表示した後に、ディスプレイD上の「OK」をオペレータが押す操作の有無を検知し(「OK」キー押下有無検知ステップS103、図27参照)、「OK」をオペレータが押す操作を受け付けると、測定画面(メイン画面D1)に戻り(メイン画面遷移ステップS104)、試験片情報入力受付ステップS102で受け付けた試験片情報に基づいて試験片Pの有効期限をチェックする(有効期限チェックステップS105)。なお、図27及び図30(e)に示すように、ディスプレイDのメイン画面D1に表示する試験片収納容器情報D4は1本分であり、図27及び図30(f)に示すように、試験片Pが有効期限切れのものである場合は他の文字とは異なる目立つ色(例えばオレンジ色)で試験片収納容器情報D41を表示する。以上の手順を経ることで、試験片登録処理が終了する。
このような試験片登録処理を経ることによって、固有の識別情報(バーコード)による試験紙種別・ロット番号・シリアル番号管理を行い、使用済みの試験片輸送用ボトルの再利用を禁止し、模造品対策に有効である。本実施形態では過去300本分の情報を装置内に記憶するように設定している。
また、本実施形態の測定装置Yは、試験片登録に関して、1つの測定バッチでは、同一ロットの試験片Pのみを使用可能とし、測定バッチが終わるまで新しい試験片輸送用ボトルを登録することができないように設定している。
本実施形態の測定装置Yは、図26に示すように、試験片登録処理に続いて、測定処理を実施する。以下の測定処理に関する説明、及び参照する図31では、試験片収納容器連続処理装置Xの各部、各機構が実施する処理を「ユニットU」が実施する処理として捉え、測定装置Yが備えている試験片取出部(試験片取出機構)及び測定部に関する処理は、ユニットUではなく「装置本体M」が実施する処理として捉えている。
測定処理では、先ず、装置本体M側において測定開始条件をチェックする処理を行う(測定開始条件チェックステップS1、図31参照)。本実施形態の測定開始条件は、「Start/Stop」キーを押したオペレータの操作入力を検知することに加えて、導入部5の空検知位置(本実施形態では、第2次導入部7のうち上位置にセットした移送ケース72に到達した試験片収納容器Bを検知可能な位置)または試験片取出位置に試験片収納容器Bが有ることである。試験片収納容器Bが導入部5の空検知位置、試験片取出位置に有るか否かは、上述の導入部空検知用センサ51、取出位置容器検知用センサ48によるセンシング情報に基づいて特定することができる。また、導入部空検知用センサ51によって空検知位置の試験片収納容器Bを検知しない場合、空検知位置の試験片収納容器Bを検知するまでディスプレイDに例えば「待機ボトル空」と表示することで、空検知位置に試験片収納容器Bが無い状態であることをオペレータに知らせ、導入部5の導入始端11から試験片収納容器Bを補充することをオペレータに促すことができる。
以上の条件に加えて、本実施形態では、使用する試験片Pが登録されていない場合や、回収領域33に回収した試験片収納容器Bが満杯である場合にも、ディスプレイDに適宜の文字を表示させる等のポップアップ警告を行い、測定処理を開始しないように設定している。回収領域33に回収した試験片収納容器Bが満杯であるか否かは、上述の回収領域満杯検知用センサ30によるセンシング情報に基づいて特定することができる。
本実施形態では、測定開始条件チェック処理に続いて、試験片取出位置に有る試験片収納容器B内の試験片枚数を確かめる処理(試験片枚数確認ステップS2、図31参照)を行う。この処理は、試験片枚数に関するソフトウェア上のカウンタをチェックする処理である。そして、試験片Pが有る場合(枚数がゼロではない場合)には、開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替えることを要求する信号を発行する(蓋開放要求発行ステップS3)。蓋開放要求発行処理に続いて、蓋開放部2によって開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替える処理(蓋開放ステップS4)を実施し、蓋開放処理に続いて、試験片取出部(試験片取出機構)によって試験片Pを試験片収納容器Bから取り出す処理(試験片取出ステップS5)を実施する。上述の通り、本実施形態では、メイン移送ラインL4上の試験片収納容器Bは、試験片取出処理に適した傾斜姿勢にあり、蓋開放処理中、試験片取出処理中も試験片収納容器Bの傾斜姿勢は維持されている。
試験片収納容器Bから取り出した試験片Pは、測定装置Yの筐体Y1内に設定した図示しない試験片反応ライン上において測定処理に用いられる。本実施形態の試験片取出処理では、各試験片収納容器Bに試験片Pが100枚収納されているものとし、1枚取り出す毎に枚数をデクリメント(変数の値を1減らす演算)する。そして、残数が0になった場合、またはリトライ3回で試験片Pを取り出せなかった場合は、後述の蓋閉止要求発行ステップS6以降の手順に移行する。なお、試験片取出位置にある試験片収納容器Bが空気に曝される時間を極力抑えるため、試験片を取り出す必要の無い待機状態では、試験片収納容器Bの開閉蓋B2を閉止状態に維持しておく。
本実施形態の測定装置Yでは、所定枚数の試験片Pを取り出した後に、開閉蓋B2を開放状態から閉止状態に切り替えることを要求する信号を発行する処理(蓋閉止要求発行ステップS6)を実施し、蓋閉止部としても機能する蓋開放部2によって開閉蓋B2を開放状態から閉止状態に切り替える処理(蓋閉止ステップS7)を実施する。
蓋閉止処理に続いて、本実施形態の測定装置Yは、測定終了条件チェック処理を行う(測定終了条件チェックステップS8)。本実施形態の測定終了条件は、「Start/Stop」キーを押したオペレータの操作入力を検知することである。そして、本実施形態の測定装置Yは、「Start/Stop」キーを押したオペレータの操作入力を検知すると、新たな試験片取出処理を行わず、測定する試験片Pが試験片反応ライン上に無くなった時点で測定を終了する(測定終了ステップS9)。なお、測定終了時点において、導入ライン(第1次導入ラインL6、第2次導入ラインL7)やメイン移送ラインL4上に存在している導入済みの試験片収納容器Bはそのままの位置で滞留させておく。一方、測定終了条件チェック処理において測定終了条件を満たさない場合には、測定を続行するということであり、試験片枚数確認処理(試験片枚数確認ステップS2)に戻る。
本実施形態の測定装置Yは、試験片枚数確認処理において試験片Pが無いことを確認した場合(枚数がゼロである場合)、後続の試験片収納容器Bを試験片取出位置に移動させる必要があるため、試験片収納容器Bの導入を開始し(ボトル導入開始ステップS10)、試験片収納容器Bが導入部5に有るか否かを確認する処理を行う(導入済みボトル有無確認ステップS11)。本実施形態の導入済みボトル有無確認処理は、上述の空検知位置(第2次導入部7のうち上位置にセットした移送ケース72で受け取る試験片収納容器Bを検知可能な位置)に試験片収納容器Bが有るか否かを確認する処理である。試験片収納容器Bが導入部5の空検知位置に有るか否かは、上述の導入部空検知用センサ51によるセンシング情報に基づいて特定(確認)することができる。
本実施形態の測定装置Yは、導入部5の空検知位置に試験片収納容器Bが有る場合、第2次導入部7の移送ケース72を上位置から下位置まで移動させる処理(下移動ステップS12)を行い、続いて排出部3による排出動作(ボトル排出ステップS13)を開始する。なお、上述の初期化処理を経ていることにより、下移動処理中、メイン移送部4のレバー41は送り動作開始位置にある。本実施形態では、排出準備位置に試験片収納容器Bが有るか否かに関わらず排出動作を行うように設定している。排出動作は、排出部3の保持ケース35を排出前受取位置に位置付け、その後のメイン移送部4の戻り動作に続いて、保持ケース35を排出前受取位置から鉛直姿勢矯正位置に回転移動させる動作である。
本実施形態の測定装置Yは、排出処理に続いて、メイン移送部4の戻り動作、送り動作をこの順に実施し(戻り動作・送り動作ステップS14)、メイン移送部4の送り動作に続いて、第2次導入部7の移送ケース72を下位置から上位置まで移動させる処理(上移動ステップS15)を実施して、試験片収納容器Bの導入を終了する(試験片収納容器導入終了ステップS16)。続いて、上述の蓋開放要求発行処理(蓋開放要求発行ステップS3)を実施し、それ以降の処理を順次実施する。
なお、本実施形態の測定装置Yは、導入済みボトル有無確認ステップS11において、導入部5の空検知位置に試験片収納容器Bが無いことを確認した場合、この時点で上位置に位置付けている第2次導入部7の移送ケース72を上下方向に揺らす揺動処理(揺動ステップS17)を実施する。この揺動処理によって、移送ケース72の一部に引っ掛かる等して移送ケース72内に完全に収容できていなかったり、受け損なっている試験片収納容器Bと移送ケース72との相対位置関係を補正して、移送ケース72に試験片収納容器Bを完全に収容することができる。
本実施形態の測定装置Yは、揺動処理に続いて、再度、導入済みボトル有無確認処理(導入済みボトル有無再確認ステップS18)を実施し、導入部5の空検知位置に試験片収納容器Bが有ることを確認した場合は、第2次導入部7に関して下移動処理(下移動ステップS12)を行い、それ以降の処理を順次行う。一方、導入済みボトル有無再確認ステップS18で、導入部5の空検知位置に試験片収納容器Bが無いことを確認した場合は、排出部3による排出動作(ボトル排出ステップS19)を行い、メイン移送部4の戻り動作、送り動作をこの順で実施し(戻り動作・送り動作ステップS20)、試験片収納容器Bの導入を終了し(ボトル導入終了ステップS16)、蓋開放要求発行処理(蓋開放要求発行ステップS3)を実施し、それ以降の処理を順次実施する。
なお、試験片収納容器Bの回収処理に関しては、先ず、「ボトル」キーを押すと、ディスプレイDに試薬交換のポップアップD2(図8(b)参照)を表示する。オペレータによるディスプレイDの「回収」を押す操作を受け付けると、第1次導入部6に架設済みのものを含むすべての試験片収納容器Bを強制排出する。試験片収納容器Bを回収した場合であっても、使用していた試験片収納容器情報(試験片種別・ロット番号・シリアル番号・有効期限・枚数)は保持する。
本実施形態の測定装置Yは、図26に示すように、予定検体数の測定処理終了後に、シャットダウン処理を行うことで、各種処理を停止・終了することができる。
なお、試験片収納容器Bが内部に残留している可能性があるため、本実施形態の測定装置Yでは、電源投入後の初期化処理に続いて、前処理として、排出準備位置にある試験片収納容器Bを排出部3の排出口31から回収領域33へ排出する処理のみを行うように設定することも可能である。
このように、本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xによれば、測定装置Yの筐体Y1の外部に設定した導入始端11に対して外部からアクセス可能に設定しているため、オペレータは導入始端11から試験片収納容器Bを次々に導入することができる。また、本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、導入された試験片収納容器Bを導入始端11から排出口31まで一方通行で移送可能に構成しているため、導入始端11から導入された試験片収納容器Bに対して、導入移送部1によって筐体Y1内における所定の試験片取出位置まで移送する導入移送処理と、試験片取出位置において蓋開放部2によって開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替える蓋開放処理と、内部空間から全部または所定枚数の試験片Pが取り出された試験片収納容器Bを排出部3によって排出口31から所定の回収領域33に排出する排出処理とをスムーズに行うことができ、導入移送部1による試験片収納容器Bの移送ライン(第1次導入ラインL6、第2次導入ラインL7、メイン移送ラインL4)に試験片収納容器Bが有る限り、連続運転することが可能である。
したがって、本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xによれば、従来の装置で起こり得る問題、つまり、オペレータが測定装置Yの筐体Y1内に複数の試験片収納容器Bをターンテーブルやボトルラックを用いて一旦セットした時点以降、筐体Y1内の全ての試験片収納容器Bに対する処理が終了するまで、新たな試験片収納容器Bを筐体Y1にセットすることができず、筐体Y1内の試験片収納容器Bを筐体Y1外へ取り出して、次の試験片収納容器Bを新たにセットする処理中に、試験片Pを測定処理に提供することができない時間帯が生じ得るという問題を解決することができ、処理能力及び作業効率が向上する。
さらに、導入始端11を測定装置Yの筐体Y1の外部に設定した本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、筐体Y1内にセット可能な試験片収納容器Bの数を増大させるために筐体Y1を大型化するという設計を採用する必要がない点においても有利である。
また、本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xでは、開閉蓋B2付きの試験片収納容器Bを処理対象とし、試験片取出位置において開閉蓋B2を蓋開放部2によって閉止状態から開放状態に切り替えるように構成しているため、試験片取出位置に到達するまでの試験片収納容器Bを蓋封状態に維持することができ、容器内の試験片Pが大気に曝されて吸湿劣化する事態を防止・抑制することが可能であるとともに、測定装置Yの筐体Y1内に専用の押さえ蓋を設ける必要がなく、構造の簡素化も図ることができる。
本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、導入始端11から排出口31まで試験片収納容器Bを巡回不能な一方通行で移送可能に構成しているため、試験片収納容器Bの移動経路を単純化させてスムーズな移送処理を実現できる。
本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、導入移送部1を、水平方向に延伸する一直線上のメイン移送ラインL4に沿って試験片収納容器Bを少なくとも試験片取出位置まで移送するメイン移送部4と、導入始端11から導入された試験片収納容器Bをメイン移送ラインL4の始端(メイン移送部4による試験片収納容器Bの移送開始位置)まで移送する導入部5とによって構成し、メイン移送部4を筐体Y1内に設けている。そして、測定装置Yが、試験片取出位置において所定角度傾斜させた試験片収納容器Bの容器本体B1から試験片Pを取り出す構成を有するものであることに着目し、本実施形態では、メイン移送部4が試験片収納容器Bを所定角度傾斜させた姿勢を維持して移送するように構成しているため、メイン移送部4によって試験片収納容器Bを移送する処理中に試験片収納容器Bの姿勢を変更する態様と比較して、筐体Y1内における試験片収納容器Bのスムーズで安定した移送処理を実現できる。
また、本実施形態では、メイン移送部4が、試験片取出位置よりもさらに移送方向A下流側に設定した排出準備位置まで試験片収納容器Bを移送するように構成し、排出部3として、排出準備位置に到達した試験片収納容器Bを排出口31に排出する際に、試験片収納容器Bを所定角度傾斜させた姿勢から鉛直姿勢に変更させる姿勢変更部32を備え、鉛直姿勢の試験片収納容器Bを排出口31から回収領域33に落下させるものを採用している。このような構成によれば、試験片取出位置における試験片収納容器Bの姿勢を傾斜姿勢に維持することができるとともに、排出準備位置において姿勢変更部32により傾斜姿勢から鉛直姿勢に変更した試験片収納容器Bを排出口31から回収領域33に落下させるため、排出口31の開口サイズを試験片収納容器Bの平面形状に応じた最小限の大きさに設定することができ、傾斜姿勢の試験片収納容器Bを落下させるために必要な排出口31の開口サイズよりも一回り小さく設定することができる。また、排出口31の開口サイズを、排出口31に対する試験片収納容器Bの通過を許容する範囲で可能な限り小さく設定した場合であっても、排出処理時に試験片収納容器Bが排出口31の開口縁に引っ掛かる確率は、傾斜姿勢の試験片収納容器Bよりも鉛直姿勢の試験片収納容器Bの方が低くなり、スムーズ且つ適切な排出処理を実現できる。
加えて、本実施形態では、導入部5を、導入始端11に導入された試験片収納容器Bを自重で移動させる第1次導入部6と、第1次導入部6を移動し終えた試験片収納容器Bをメイン移送部4による試験片収納容器Bの移送開始位置まで降下させる第2次導入部7とによって構成しているため、第1次導入部6をメカニカルな機構で構成する必要のないスライド通路に設定して、構造の簡素化を実現できるとともに、第1次導入部6の経路長を多数の試験片収納容器Bが架設可能な長さに設定することも比較的容易に実現できる。そして、導入部5全体の経路長の大半を比較的簡単な構成である第1次導入部6で占め、残りの経路長を第2次導入部7で占める設計を採用することで、導入部5において試験片収納容器Bを自重で移動させる経路が相対的に長くなり、導入部5において試験片収納容器Bをメカニカルな機構で移動させる経路が相対的に長い構成と比較して、導入部5において試験片収納容器Bを移動させるために必要な機構の簡素化を実現できる。
本実施形態の第2次導入部7は、試験片収納容器Bをメイン移送部4による試験片収納容器Bの移送開始位置までエレベータ方式で降下させるエレベータ機構71を有するものであるため、エレベータ機構71によって、降下処理中及び降下処理終了時点における試験片収納容器Bの揺れを最小限に抑えることができ、安定した移送処理を実現できる。
さらに、本実施形態の蓋開放部2は、試験片取出位置において、閉止状態にある開閉蓋B2のうちヒンジ軸B23よりも蓋本体B24の中心部から離間する方向に突出した突出部B25を上方から押圧して蓋本体B24をヒンジ軸B23回りに回転させることによって、開閉蓋B2を閉止状態から開放状態に切り替えるように構成したものであるため、本実施形態で使用する試験片収納容器Bの開閉蓋B2に対して適切に蓋開放処理を行うことができる。また、本実施形態の蓋開放部2は、開閉蓋B2を開放状態から閉止状態に切り替える蓋閉止部としても機能し、試験片取出位置において試験片取出処理が終了した時点で、試験片Pが試験片収納容器B内に残っている場合には、その試験片収納容器Bの開閉蓋B2を開放状態から閉止状態に切り替えることによって、試験片収納容器B内の試験片Pが大気に曝される事態を防止・抑制することができる。試験片取出位置において試験片取出処理が終了した時点以降に開閉蓋B2を開放状態から閉止状態に切り替えることによって、開閉蓋B2が開放状態にある試験片収納容器Bよりもコンパクトな形態になり、排出処理のスムーズ化に貢献する。
本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置Xは、第1次導入部6、第2次導入部7、メイン移送部4、蓋開放部2、及び排出部3の各ユニットによって、試験片取出位置に到達する試験片収納容器Bを、後続の試験片収納容器Bに次々に切り替えることが可能なボトルチェンジャーとして機能する。このような試験片収納容器連続処理装置Xは、既存の測定装置を一部改良する等してユニット単位で組み付けることが可能になり、既存の測定装置Yの構成を可能な範囲で踏襲しつつ、導入始端11から連続的に導入される試験片収納容器Bに対して所定の処理を順次施す連続運転が可能である。本実施形態に係る試験片収納容器連続処理装置では、図4等に示すように、導入移送部1を構成する第1次導入部6、第2次導入部7、及びメイン移送部4を一つの集合体として取扱いできるようにユニット化したり、さらに、導入移送部1、蓋開放部2、及び排出部3を一つの集合体として取扱いできるようにユニット化することも可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、第2次導入部としてエレベータ機構を利用した態様を例示したが、エレベータ機構以外のメカニカルな機構、例えば、第1次導入ラインを通過し終えた試験片収納容器を1つずつ順番にメイン移送ラインの始端に向かって送り出すエスケープメント機構を利用した第2次導入部であってもよい。
第1次導入部による試験片収納容器の導入ライン(第1次導入ライン)の長さや傾斜角度を適宜変更することで、架設可能な試験片収納容器の数や、第1次導入ラインに沿った試験片収納容器の移動速度を調節することができる。
本発明は、導入始端に関して、測定装置の筐体外に設定されるという条件、及び外部からアクセスが可能であるという条件を満たせば、図1等に示す位置以外の適宜の位置に導入始端を設定した装置も含む。なお、筐体の内部と外部を仕切る壁に導入始端を設定し、導入始端から導入した試験片収納容器を直ぐに筐体内に設定した導入ラインに沿って移送する構成を考えられるが、そもそも筐体内には多数のパーツ、機構が配置されているため、筐体内に長い導入ラインを確保することは困難である。
導入部による試験片収納容器の導入ラインを一直線状の第1次導入ラインと一直線状の第2次導入ラインで形成する場合、第1次導入ラインと第2次導入ラインの延伸方向や傾斜角度(勾配)の組み合わせは適宜変更することができる。
本発明では、第1次導入ライン、第2次導入ラインの少なくとも何れか一方が、一直線状ではない形状の(曲線状、ジグザグ状、螺旋状等)ラインである構成や、第1次導入ライン及び第2次導入ラインが連続する一直線状に延伸するラインである構成を採用できる。
さらには、導入部の導入ラインの一部または全部がメイン移送部の移送ラインと一直線状に並ぶ構成であっても構わない。
導入部が、試験片収納容器を高さ方向に積み重ねた状態で架設可能なものや、試験片収納容器を寝かせた姿勢で架設可能なものであってもよい。また、測定装置の奥行き方向に並ぶように待機させる構成に代えて、測定装置の幅方向に並ぶように待機させる導入部を採用することもできる。
本発明では、導入部として、導入始端からメイン移送ラインの始端までの導入ライン全域または略全域に亘って、試験片収納容器をメカニカルな機構によって移送するもの、或いは、導入ライン全域または略全域に亘って、試験片収納容器を自重で移動させるものを採用することが可能である。
導入部とメイン移送部の境界を明確に区別することができない構成であっても、全体として、導入始端から導入された試験片収納容器を少なくとも所定の試験片取出位置まで移送する構成であれば、本発明の導入移送部として適用することができる。さらにまた、導入移送部が、測定装置の筐体の外部に設定した所定の導入始端から導入された試験片収納容器を少なくとも筐体の外に設定された所定の試験片取出位置まで移送するものであってもよい。すなわち、本発明は、「所定の試験片取出位置」を測定装置の筐体外の所定位置に設定した構成も包含するものである。この場合、導入移送部を構成するメイン移送部の一部または全部を測定装置の筐体外に設けたり、蓋開放部、排出部の一部または全部を測定装置の筐体外に設けることも可能である。
上述の実施形態では、メイン移送部として、導入部から導入された試験片収納容器に対して、レバーの送り動作を3回繰り返すことによって試験片取出位置まで移送する構成を例示したが、1回のレバーの送り動作、あるいは3回以外の所定の複数回数のレバーの送り動作によって試験片収納容器を少なくとも試験片取出位置まで移送する構成にしてもよい。
本発明では、メイン移送部を、レバー以外の適宜の押圧部または押圧機構で試験片収納容器を押圧して少なくとも試験片取出位置まで移動させるように構成したり、適宜の引っ張り部または引っ張り機構で試験片収納容器を引っ張って少なくとも試験片取出位置まで移動させるように構成することも可能である。
メイン移送部は、試験片収納容器を試験片取出位置まで移動させるものであってもよい。この場合、排出部は、試験片取出位置において適宜の排出処理を行うもの、または試験片取出位置から所定の位置まで試験片収納容器を移動させた後に適宜の排出処理を行うもの、これらの何れであってもよい。
測定装置が、試験片取出位置において所定角度傾斜させた試験片収納容器の容器本体から試験片を取り出す構成を有するものである場合、試験片収納容器を所定の傾斜姿勢に変更するタイミングを、導入ライン(第1次導入ライン、第2次導入ライン)上の所定位置や、メイン移送ライン上の所定位置に試験片収納容器が到達した時点に設定したり、試験片収納容器が導入ラインまたはメイン移送ラインに沿って移動する過程で漸次傾斜姿勢に変更するように構成しても構わない。
本発明には、排出部が、試験片収納容器を所定の傾斜姿勢のまま排出口に排出するものである態様も含まれる。この場合、試験片収納容器を所定角度傾斜させた姿勢から鉛直姿勢に変更させる姿勢変更部は不要である。
測定装置が、試験片取出位置において鉛直姿勢の試験片収納容器から試験片を取り出す構成を有するものである場合、導入移送部は、導入始端に導入された時点から試験片取出位置に到達するまで試験片収納容器を鉛直姿勢のまま移送するものであってもよいし、鉛直姿勢ではない姿勢で導入始端から導入された試験片収納容器を、試験片取出位置に到達するまでの所定の位置、タイミングで鉛直姿勢に変更するものであってもよい。
蓋開閉部が、開閉蓋の全部または一部を所定方向に直線的に移動(無段階的なスライド移動または所定ピッチ単位の段階的なスライド移動等)させることで開閉蓋を閉止状態から開放状態に切り替えるものであってもよい。また、蓋開放部が、試験片取出位置よりも移送方向上流側の所定位置において開閉蓋を閉止状態から開放状態に切り替えるものであっても構わない。この場合、試験片取出位置に到達するよりも前の時点で開閉蓋が閉止状態から開放状態に切り替わる構成になる。したがって、試験片が大気に曝される時間を抑えるという点に着目すれば、蓋開放部によって開閉蓋を閉止状態から開放状態に切り替える位置は、試験片取出位置に近ければ近いほど有利である。
上述の実施形態では、蓋開放部が蓋閉止部としても機能する態様を例示したが、蓋開放部とは別に専用の蓋閉止部を備えた構成でも構わない。また、本発明は、試験片取出処理後に開閉蓋を開放状態のまま排出口から排出する構成も含むものであり、この場合、蓋閉止部は不要である。
上述の実施形態における第2次導入部、メイン移送部、蓋開放部、排出部の各機構は、本発明を実施する上で好適な一例であり、各機構の具体的な構成は、仕様等に応じて適宜変更、選択することができる。
上述の実施形態では、無底無蓋の内部空間を有する筒状のボディに対して、上蓋及び下蓋を装着可能な試験片収納容器を例示したが、上方向にのみ開口した有底無蓋の内部空間を有するボディ(容器本体)を備えた試験片収納容器であってもよい。この場合、ボディは、下蓋として機能する底部と、胴体とを一体化したものになり、ボディとは別パーツの専用の下蓋が不要である。
開閉蓋全体が、容器本体に対して開閉動作する試験片収納容器であってもよい。試験片の形状や素材、用途も特に限定されない。
尿以外の例えば血液等の液体試料を測定する測定装置にも、本発明の連続処理装置を適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。