JP2019027332A - 車両の廃熱回収装置。 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両設計の自由度を高めつつ、既存のエンジン冷却水回路をそのまま利用することで設計コストを抑制可能な車両の廃熱回収装置を提供する。
【解決手段】車両の廃熱回収装置は、エンジン冷却水回路を循環する冷却水とは異なる冷媒が循環する冷媒回路を含む。冷媒回路は、エンジンからの排ガスの一部をEGRガスとして前記エンジンに再循環させるEGR回路に設けられたEGRクーラ、または、冷凍サイクル回路が備えるコンデンサの少なくとも一方と熱交換することで廃熱を回収し、熱需要部に前記廃熱を供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両で発生する廃熱を回収することにより、車両のエネルギー効率を向上可能な車両の廃熱回収装置に関する。
車両にはエンジンや補器等の発熱源が搭載されている。近年、環境意識の高まりに伴い車両のエネルギー効率向上が要求されており、このような発熱源からの廃熱回収が重要な技術として着目されている。
車両における廃熱回収技術の一例として、特許文献1がある。特許文献1では、エンジンの低温始動時に冷凍サイクルを始動させ、コンプレッサから圧送された高温高圧の冷媒と、エンジンに循環供給される冷却水とをコンデンサで熱交換させ、エンジンに供給される冷却水の温度を急速に上昇させることにより、冷凍サイクルの廃熱を利用してエンジンの暖気を行うシステムが開示されている。
特開2004−143961号公報
上述の特許文献1のように、エンジンの冷却水を用いた廃熱回収は、既存のエンジン冷却水回路の変更が必要となり、設計の自由度が低いことから、設計コストが増加する虞がある。
本発明の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、車両設計の自由度を高めつつ、既存のエンジン冷却水回路をそのまま利用することで設計コストを抑制可能な車両の廃熱回収装置を提供することを目的とする。
本発明の少なくとも一実施形態に係る車両の廃熱回収装置は上記課題を解決するために、車両に搭載されたエンジンに冷却水を循環させることにより前記エンジンの温度調節を行うエンジン冷却水回路と、前記エンジンからの排ガスの一部をEGRガスとして前記エンジンに再循環させるEGR回路と、前記EGR回路に設けられ、前記エンジン冷却水の前記冷却水が循環することにより前記EGRガスを冷却するEGRクーラと、コンプレッサから圧送された冷媒を液化凝縮するコンデンサを備えた冷凍サイクル回路と、前記車両において、熱供給を必要とする熱需要部と、前記冷却水とは異なる冷媒が循環し、前記冷媒が前記EGRクーラまたは前記コンデンサの少なくとも一方と熱交換することで廃熱を回収し、前記熱需要部と熱交換することによりで前記熱需要部に前記廃熱を供給する冷媒回路と、を含む。
上記構成によれば、冷媒回路を用いてEGRクーラまたはコンデンサの少なくとも一方からの廃熱を回収し、回収した廃熱を熱需要部で利用することができる。このような冷媒回路を流れる冷媒は、冷却水に比べて比熱が大きいため、既存のエンジン冷却水回路に対して冷媒回路を増設する際に追加される配管径が、冷却水回路に比べて小さく済む。そのため、本構成を採用する際の設計コストを少なく抑えながら、車両のエネルギー回収効率を効果的に向上できる。
本発明の一実施形態に係る廃熱回収装置を含む車両の全体構成を示す模式図である。 図1の変形例である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明の一実施形態に係る廃熱回収装置を含む車両1の全体構成を示す模式図である。
車両1は走行用動力源としてエンジン2を備える。エンジン2はガソリンや軽油等の化石燃料を燃焼させることによって動力を出力可能な内燃機関であり、図1では、エンジン2として直列4気筒ディーゼルエンジンが例示されている。エンジン2の燃焼室には、吸気通路4から吸気が取り込まれ、不図示の燃料噴射装置から供給される圧縮燃料と混合して燃焼が行われる。燃焼室で発生した排ガスは、排気通路6を介して外部に排出される。
尚、排気通路6には排ガスに含まれる粒子状物質を捕集するためのDPF7と、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するためのSCR9とが設けられている。
エンジン2には、出力向上を目的として過給器8が搭載されている。過給器8は、吸気通路4に設けられたコンプレッサ10と、排気通路6に設けられたタービン12とを備える。燃焼室から排出される排ガスによって排気通路6でタービン12が駆動されると、吸気通路4にあるコンプレッサ10がタービン12と連動して駆動され、燃焼室への過給が行われる。また吸気通路4のうちコンプレッサ10の下流側には、コンプレッサ10によって過給された高温の吸気を冷却するためのインタークーラ14が設けられている。
またエンジン2には、排ガスの一部をEGRガスとしてエンジン2に再循環させるためのEGR回路16が設けられている。EGR回路16には、通過する高温のEGRガスを冷却するためのEGRクーラ18と、EGR回路16におけるEGRガスの流量を調整するためのEGRバルブ20と、が設置されている。
尚、EGRバルブ20はEGRクーラ18内に一体的に設けられていてもよい。
エンジン2は、冷却水を循環させることによりエンジン2の温度調節を行うためのエンジン冷却水回路22を備える。エンジン冷却水回路22には、冷却水を圧送するための冷却水ポンプ24と、エンジン2から廃熱を受け取ることによって昇温した冷却水を外気と熱交換して冷却するラジエータ26と、が設けられている。ラジエータ26は車両前方側に配置され、走行時に前方から受ける走行風によって熱交換が促進されるように構成されている。ラジエータ26に導入される外気量は、上述した走行風の他に、エンジン2の動力の一部を利用して駆動可能なラジエータファン28によって可変に構成されている。
エンジン冷却水回路22のうち冷却水ポンプ24の上流側とラジエータ26の下流側との間には、エンジン冷却水回路22に並行するようにバイパス回路30が分岐している。バイパス回路30はEGRクーラ18を通るように構成されており、冷却水によってEGRガスの冷却が行われるように構成されている。
尚、EGRクーラ18には後述する冷媒回路46を流れる冷媒も導入され、バイパス回路30を流れる冷却水とともにEGRガスを冷却するように構成されている。すなわちEGRクーラ18は冷却水と冷媒の2系統によって優れた冷却性能が得られるようになっている。
また車両1には、キャブ34の空調システム(HVAC)を構成する冷凍サイクル回路36が搭載されている。冷凍サイクル回路36は、冷凍サイクルに用いられる公知の冷媒を使用することができ、例えばR134a等の冷媒が使用され、冷媒を圧送するコンプレッサ38と、コンプレッサ38から圧送された冷媒を液化凝縮するコンデンサ40と、コンデンサ40によって液化凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁42と、膨張弁42から冷媒をキャブ34内の空気と熱交換することにより冷却するエバポレータ44と、を備える。車両1は、このような冷凍サイクル回路36を備えることで、キャブ34で冷房が使用可能になっている。
このような車両1には、発熱源となる冷凍サイクル回路36のコンデンサ40及びEGRクーラ18の少なくとも一方と熱交換することで、これらからの廃熱を回収可能な冷媒回路46を備える。冷媒回路46の冷媒には、エンジン冷却水に用いられる冷媒とは異なる冷媒が用いられる。例えば、冷凍サイクルに用いられる公知の作動流体を用いることができる。
図1の例では、冷媒回路46は、コンデンサ40及びEGRクーラ18の両方と熱交換することで、これらから排出される廃熱を回収する。コンデンサ40及びEGRクーラ18から廃熱を回収することで高温となった冷媒は、熱需要部48に供給される。本実施形態では、熱需要部48としてキャブ34内に設置されたヒータ50と、エンジンの冷却水と熱交換可能な熱交換器52とが示されている。
ヒータ50は、冷媒回路46を流れる冷媒と、キャブ34内の空気とを熱交換することにより、暖房として機能する。すなわち、上述の冷凍サイクル回路36のエバポレータ44が冷房として機能し、ヒータ50が暖房として機能することにより、キャブ34内の空気が適切な温度に調整可能となっている。
尚、本実施形態では、ヒータ50の上流側に制御弁54が設置されており、当該制御弁54の開度を調整することでヒータ50への冷媒量を調整することで、ヒータ50による加熱度合いを調整できるようになっている。
熱交換器52は、冷媒回路46を流れる冷媒と、上述のエンジン冷却水回路22を流れる冷却水とを熱交換することにより、例えばエンジン始動時においてエンジン2の暖気を促進に構成されている(図1では図示が省略されているが、熱交換器52を流れる冷却水の流路はエンジン冷却水回路22に接続されている)。
このように熱需要部48に対して廃熱を供給して温度が低下した冷媒は、コンプレッサ56で圧送された後、コンデンサ58で凝縮されることで液化される。液化された冷媒は、再びコンデンサ40及びEGRクーラ18に供給され、廃熱回収を繰り返す。
上記構成によれば、冷媒回路46を用いてEGRクーラ18またはコンデンサ40の少なくとも一方からの廃熱を回収し、回収した廃熱を熱需要部48で利用することができる。このような冷媒回路46を流れる冷媒は、エンジン冷却水回路22を流れる冷却水に比べて比熱が大きく、例えばR134aやI245faなどが使用可能である。そのため、既存のエンジン冷却水回路22や空調用の冷凍サイクル回路36に対して冷媒回路46を増設する際に追加される配管径が小さく済む。特に空調用の冷凍サイクル回路36がユニット化されている場合には、当該ユニットに対して配管を増設して冷媒回路を追加する必要があるが、このような配管径が小さく済むため、設計変更が少なく、コスト的にもサイズ的にも有利である。
また冷媒回路46を設けることで、EGRクーラ18ではエンジン冷却水回路22からの冷却水とともに冷媒回路46からの冷媒によって二重に冷却されるため、より冷却効果に優れたEGRクーラ18をコンパクトな構成で実現できる。
尚、上述の実施形態では、冷媒回路46がコンデンサ40及びEGRクーラ18の両方と熱交換する場合を示したが、図2のようにEGRクーラ18のみと熱交換するように構成してもよい(当然ながら、コンデンサ40のみと熱交換するように構成してもよい)。
以上説明したように上述の実施形態によれば、車両設計の自由度を高めつつ、既存のエンジン冷却水回路をそのまま利用することで設計コストを抑制可能な車両の廃熱回収装置を提供できる。
1 車両
2 エンジン
4 吸気通路
6 排気通路
8 過給器
10,38,56 コンプレッサ
12 タービン
14 インタークーラ
16 回路
18 EGRクーラ
20 EGRバルブ
22 エンジン冷却水回路
24 冷却水ポンプ
26 ラジエータ
28 ラジエータファン
30 バイパス回路
34 キャブ
36 冷凍サイクル回路
40,58 コンデンサ
42 膨張弁
44 エバポレータ
46 冷媒回路
48 熱需要部
50 ヒータ
52 熱交換器
54 制御弁

Claims (1)

  1. 車両に搭載されたエンジンに冷却水を循環させることにより前記エンジンの温度調節を行うエンジン冷却水回路と、
    前記エンジンからの排ガスの一部をEGRガスとして前記エンジンに再循環させるEGR回路と、
    前記EGR回路に設けられ、前記エンジン冷却水の前記冷却水が循環することにより前記EGRガスを冷却するEGRクーラと、
    コンプレッサから圧送された冷媒を液化凝縮するコンデンサを備えた冷凍サイクル回路と、
    前記車両において、熱供給を必要とする熱需要部と、
    前記冷却水とは異なる冷媒が循環し、前記冷媒が前記EGRクーラまたは前記コンデンサの少なくとも一方と熱交換することで廃熱を回収し、前記熱需要部と熱交換することによりで前記熱需要部に前記廃熱を供給する冷媒回路と、
    を含む、車両の廃熱回収装置。

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