以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。便器800は、トイレ室の床面に設置される「床置き式」でもよいし、トイレ室の壁面やライニングに設置される「壁掛け式」であってもよい。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500(図2参照)を操作すると、洗浄ノズル(以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する)473を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
ノズル473は、人体局部に向けて水を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル473の先端部には、複数の吐水口31(ビデ洗浄吐水口31a、おしり洗浄吐水口31bなど)が設けられている。ノズル473は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口31aから水を噴射して、便座200に座った女性の女性局部を洗浄することができる。あるいは、ノズル473は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口31bから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。
なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。また、本願明細書において、「前方」、「後方」、「上方」、「下方」は、開いた便蓋300に背を向けて便座200に座った使用者から見た方向をいうものとする。
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を例示するブロック図である。
図2では、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置のケーシングを例示する平面図である。
図3では、ケーシング400及びその内部を模式的に表している。
衛生洗浄装置100は、水を吐出する吐水部470を有する。吐水部470は、ノズル473(洗浄ノズル)、ノズル洗浄室478及び噴霧ノズル479を有する。吐水部470は、ケーシング400に配置(又は収納)されている。
衛生洗浄装置100は、ケーシング400内に配置された給水路20を有する。給水路20は、水道や貯水タンクなどの給水源10から供給された水を吐水部470へ供給する。つまり、給水路20は、吐水部470から吐出される水を、吐水部470へ導く。
給水路20には、以下に説明する電磁弁431、調圧弁432、逆止弁433、開放式タンク434(逆流防止機構)、洗浄用ポンプ436、熱交換器ユニット440、流量センサ442(流量検知手段)、電解槽ユニット450、バキュームブレーカ452、流路切替部472(流路切替手段)などの各部と、これら各部を接続する複数の配管と、が設けられている。
給水路20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁431は、給水路20を開閉する。電磁弁431を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、下流側へ流れる。
電磁弁431の下流には、調圧弁432が設けられている。調圧弁432は、給水圧が高い場合に、給水路20内の圧力を所定の圧力範囲に調整する。調圧弁432の下流には、逆止弁433が設けられている。逆止弁433は、給水路20内の圧力が低下した場合などに、逆止弁433よりも上流側への水の逆流を抑制する。
逆止弁433の下流には、開放式タンク434(逆流防止機構)が設けられている。開放式タンク434は、給水路20の経路上に設けられ、逆止弁433を介して流入した水を内部に貯留する。また、開放式タンク434は、内部にエアギャップを形成することにより、給水路20において、開放式タンク434よりも下流側から上流側に向かう水の流れを物理的に遮断する。換言すれば、開放式タンク434は、給水路20の開放式タンク434よりも下流側の部分と上流側の部分とを縁切りする。これにより、開放式タンク434は、ノズル473内の洗浄水やボウル801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを確実に抑制する。
開放式タンク434の下流には、洗浄用ポンプ436が設けられている。洗浄用ポンプ436は、開放式タンク434に貯留された水を流出させる。洗浄用ポンプ436は、開放式タンク434に貯留された水を汲み出す。これにより、洗浄用ポンプ436は、開放式タンク434に貯留された水を、開放式タンク434よりも下流の給水路20に供給する。洗浄用ポンプ436は、制御部405に接続されている。洗浄用ポンプ436の駆動及び駆動の停止は、制御部405によって制御される。洗浄用ポンプ436は、開放式タンク434に貯留された水を流出させることが可能な任意のポンプでよい。
洗浄用ポンプ436の下流には、熱交換器ユニット440(加熱部)が設けられている。熱交換器ユニット440は、ヒータを有し、洗浄用ポンプ436を介して開放式タンク434から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット440は、温水を生成する。
熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器であり、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット440は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。また、加熱部は、熱交換器に限ることなく、例えば、マイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式を用いたものでもよい。
熱交換器ユニット440は、制御部405と接続されている。制御部405は、例えば、使用者による操作部500の操作に応じて熱交換器ユニット440を制御することにより、操作部500で設定された温度に水を昇温する。
熱交換器ユニット440の下流には、流量センサ442が設けられている。流量センサ442は、給水路20を流れる水の流量を検知する。流量センサ442は、制御部405に接続されている。流量センサ442は、流量の検知結果を制御部405に入力する。
流量センサ442の下流には、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット450は、制御部405に接続されている。電解槽ユニット450は、制御部405による制御に基づいて、機能水の生成を行う。
電解槽ユニット450において生成される機能水は、例えば、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
電解槽ユニット450の下流には、バキュームブレーカ(VB)452が設けられている。バキュームブレーカ452は、例えば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば、流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ452は、給水路20に水の流れが無い時に、給水路20内に空気を取り込む。弁機構には、例えば、フロート弁が用いられる。
バキュームブレーカ452は、上記のように給水路20内に空気を取り込むことにより、例えば、給水路20のバキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ452は、例えば、ノズル473の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ452は、ノズル473内の水を抜いてノズル473内に空気を取り込むことにより、例えば、ノズル473内の洗浄水やボウル801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
バキュームブレーカ452の下流には流路切替部472が設けられている。流路切替部472は、ノズル473やノズル洗浄室478への給水の開閉や切替を行う。この例では、流路切替部472は、流量の調整を行う流量調整部としても機能する。ただし、流量調整部及び流路切替部は、別々のユニットであってもよい。流路切替部472は、制御部405に接続され、制御部405によって制御される。
流路切替部472の下流には、吐水部470(ノズル473、ノズル洗浄室478、及び噴霧ノズル479)が設けられている。ノズル473は、ノズルモータ476からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり後退したりする。つまり、ノズルモータ476は、制御部405からの指令に基づいてノズル473を進退させる。
ノズル473は、図3に実線で表したように、非使用時には、ケーシング400内に収納されている。ノズル473は、図3に破線で表したように、ケーシング400から前方かつ下方へ進出た状態で、吐水口31から水を吐出して、人体局部を洗浄する。
ノズル洗浄室478は、その内部に設けられた吐水口32から機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。噴霧ノズル479は、その先端に設けられた吐水口33から洗浄水や機能水をミスト状にしてボウル801に噴霧する。この例では、人体を洗浄するためのノズル473とは別に噴霧ノズル479を設けている。これに限ることなく、ミスト状の液体をボウル801に噴霧するための吐水口をノズル473に設けてもよい。
また、流路切替部472の下流には、おしり洗浄流路21と、やわらか洗浄流路22と、ビデ洗浄流路23と、が設けられている。おしり洗浄流路21及びやわらか洗浄流路22は、給水路20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をおしり洗浄吐水口31bへ導く。ビデ洗浄流路23は、給水路20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をビデ洗浄吐水口31aへ導く。
また、流路切替部472の下流には、バイパス流路24と、噴霧用流路25と、が設けられている。バイパス流路24は、給水路20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をノズル洗浄室478の吐水口32へ導く。噴霧用流路25は、給水路20を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット450において生成された機能水を噴霧ノズル479の吐水口33に導く。
制御部405は、流路切替部472を制御することにより、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、バイパス流路24、及び噴霧用流路25の各流路の開閉を切り替える。
また、衛生洗浄装置100は、人体検知手段406を有する。人体検知手段406は、衛生洗浄装置100が設けられたトイレ室内の人体を検知する。制御部405は、人体検知手段406の検知結果を取得する。なお、本願明細書において、人体検知手段406による「トイレ室内の人体の検知」とは、トイレ室内の使用者の存在の検知だけでなく、トイレ室内の使用者の動作の検知を含む。例えば、「トイレ室内の人体の検知」という範囲には、使用者のトイレ室への入室及び退室、使用者の便器800への接近及び離反、便座200の開閉、及び、便蓋300の開閉の検知も含まれる。
人体検知手段406として、入室検知センサ403、着座検知センサ404、及び開閉検知センサ402が設けられている。
入室検知センサ403には、例えば、焦電センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)を用いることができる。この例では、入室検知センサ403には、ケーシング400に設けられた焦電センサが用いられている。入室検知センサ403は、例えば、使用者がトイレ室のドアを開けて入室したことを直ちに検知可能である。これにより、トイレ室内への使用者の入室の有無を検知することができる。
着座検知センサ404は、使用者の便座200への着座の有無を検知することができる。着座検知センサ404は、使用者の着座及び離座を検知する。着座検知センサ404には、マイクロ波センサ、測距センサ(赤外線投光式センサ)、超音波センサ、タクトスイッチ、静電容量スイッチ(タッチセンサ)、または歪みセンサを用いることができる。この例では、着座検知センサ404には、ケーシング400に設けられた測距センサが用いられている。
なお、タクトスイッチ、静電センサ及び歪みセンサなどの接触式センサを用いる場合には、これらの接触式センサは、便座200に設けられる。便座200に使用者が座ると、使用者の体重によってタクトスイッチが押下される。または、使用者が静電センサに接触する。または、使用者の体重によって歪みセンサに圧力が加えられる。これらのセンサからの電気信号により、使用者の着座を検知することができる。
開閉検知センサ402は、例えばマイクロスイッチであり、便座200又は便蓋300の開閉状態を検知する。この例では、開閉検知センサ402は、便座200の開閉状態を検知する。例えば、便座200が便器800から一定角度以上開くと、開閉検知センサ402が便座200の開状態を検知する。
制御部405は、マイコンなどの制御回路を含む。制御部405は、電源回路401から電力を供給され、人体検知手段406や、開放式タンク434や、流量センサ442や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、洗浄用ポンプ436や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、流路切替部472や、ノズルモータ476などの動作を制御する。
また、衛生洗浄装置100には、便器洗浄バルブユニット510が設けられてもよい。便器洗浄バルブユニット510は、便器800に流す洗浄水の供給を制御する役割を有する。便器洗浄バルブユニット510の動作は、例えば、制御部405に制御される。使用者は、操作部500を操作して、制御部405に信号を送ることで、便器洗浄を行うことができる。
衛生洗浄装置100には、便蓋開閉ユニット511及び便座開閉ユニット512が設けられてもよい。便蓋開閉ユニット511は、モータ等を有し、便蓋300と接続されている。便座開閉ユニット512は、モータ等を有し、便座200と接続されている。便蓋開閉ユニット511及び便座開閉ユニット512の動作は、制御部405に制御される。使用者は、操作部500を操作して、制御部405に信号を送ることで、便座200及び便蓋300のそれぞれを電動で開閉することができる。
また、ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭機能」や「室内暖房機能」などが適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口及び室内暖房ユニットからの排出口が適宜設けられる。ただし、これらの付加機能部は必ずしも設けられなくてもよい。
図4は、実施形態に係る衛生洗浄装置の開放式タンクを例示する模式図である。
図4に表したように、開放式タンク434(逆流防止機構)は、給水路20に設けられたサブタンク706を有する。電磁弁431を通過した水は、入口配管710を経て、流入口701から開放式タンク434のサブタンク706内に流入する。
また、開放式タンク434は、排出口703(オーバーフロー口)と、流出口702とを有する。排出口703は、サブタンク706の満水水位H2を超える余剰水をサブタンク706の外へ排出する。すなわち、サブタンク706に流入した水は、サブタンク706内に貯留するが、その水位が満水水位H2を超えると、開放式タンク434の前面に設けられた排出口703から、矢印OFのように余剰水が外部へと流出する(オーバーフロー)。
流入口701と排出口703との間にはエアギャップA1が形成され、開放式タンク434内の水位が上昇しても、貯留されている水が流入口701まで至ることはない。これによって、開放式タンク434から上流への汚水の逆流防止が図られている。また、排出口703から便器800のリム面までには高さA2の距離があり、これもエアギャップとして機能しており、ボウル部内で汚水が跳ね、排出口703から開放式タンク434内に浸入してしまう事態の発生を抑制している。
流出口702は、サブタンク706内の水(及び後述する除去剤)を、給水路20のサブタンク706よりも下流側へ流出させる。具体的には、流出口702に接続される出口配管712の下流には、洗浄用ポンプ436が接続されており、洗浄用ポンプ436は、流出口702からサブタンク706内の水を汲み出して下流に供給する。また、洗浄用ポンプ436は、流量(水勢)の調節も可能とされている。
以上のように構成することで、開放式タンク434のサブタンク706内に貯留されている水は、洗浄用ポンプ436によって汲み出されるとともに、汲み出される流量は、洗浄用ポンプ436によって調整される。流入口701からサブタンク706内に流入する水の流量に対し、洗浄用ポンプ436によって汲み出され、流出口702から流出する水の流量が相対的に小さい場合には、サブタンク706内に貯留されている水の水位が上昇して満水水位H2を超え、排出口703から矢印OFのように余剰水として流出する。この余剰水は、便器800のボウル801に排出され、便器800の排水時にボウル801の水とともに排出される。
また、サブタンク706には、サブタンク706内の水位を検知する水位センサ707が設けられている。水位センサ707は、例えば、フロートスイッチである。水位センサ707には、サブタンク706内の水位を検知可能な任意のセンサを用いることができる。
水位センサ707は、サブタンク706内の水位が渇水水位H1であることを検知可能である。渇水水位H1とは、流出口702の高さと略同一の水位をいう。ここで、「略同一」とは、例えば、渇水水位H1と、水位H0(流出口702の上端の高さ)と、の差が、25mm以下、好ましくは21mm以下であることをいう。渇水水位H1は、水位H0と同じ、又は水位H0よりも僅かに高いことが好ましい。例えば、渇水水位H1と水位H0との差は、10mm以上25mm以下である。
なお、流出口702は、サブタンク706の底(又は底の近傍)に設けられている。例えば、水位H0(流出口702の上端の高さ)と、サブタンク706の底の高さと、の差は、5mm以下、好ましくは2mm以下である。サブタンク内の水位が渇水水位H1であるとき、サブタンク706は、ほぼ空の状態である。
給水路20に給水源から供給される水(例えば水道水)には、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム等が含まれていることがある。このため、給水路20において、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム等を主成分とするスケール(例えば炭酸カルシウムなど)が析出することがある。スケールが析出すると、スケールによって給水路20が詰まってしまう恐れがある。そこで、実施形態においては、制御部405は、サブタンク706内に投入される除去剤によって、給水路20に析出したスケールを溶解するスケール除去モードを実行する。これにより、スケールの詰まりの解消及び防止を図ることができる。
除去剤は、例えば酸性の液体であり、給水路20に析出したスケールを溶解する。除去剤は、例えばリン酸、乳酸、塩酸又はクエン酸などを含む。除去剤には、スルファミン酸や酢酸を含むものを用いてもよい。図3に表したように、例えば開放式タンク434には、除去剤をサブタンク706に投入可能な除去剤投入部434a(例えば開口部)が設けられる。なお、除去剤投入部434aが設けられる場所や、除去剤が投入されるタンクは、開放式タンク434(サブタンク706)には限らない。例えば、貯湯式の衛生洗浄装置の場合には、貯湯タンクに除去剤投入部434aを設け、貯湯タンクに除去剤を投入してもよい。
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置のスケール除去モードを例示するフローチャートである。
図5では、使用者の動作と、衛生洗浄装置100(制御部405)の動作と、を併せて表している。一点鎖線で表した工程は、使用者の動作を表し、実線で表した工程は、衛生洗浄装置100の動作を表す。
図5に表したように、スケール除去モードは、充填動作(第1〜第3の充填動作a1〜a3)と、待機動作(第1〜第3の待機動作b1〜b3)と、排出動作c1と、を有する。
充填動作(第1〜第3の充填動作a1〜a3)は、給水路20のサブタンク706よりも下流側に、サブタンク706内に投入された除去剤を充填する動作である。すなわち、充填動作において、制御部405は、洗浄用ポンプ436等を制御して、サブタンク706内から下流側の給水路20及び各吐水口(吐水口31a、31b、32、33)へ除去剤を供給する。これにより、サブタンク706よりも下流側において、給水路20が除去剤で満たされる。
待機動作(第1〜第3の待機動作b1〜b3)は、少なくとも第1の充填動作a1の後に、所定時間待機する動作である。この所定時間の間に、除去剤がスケールを溶解する。この所定時間は、任意であるが、例えば、除去剤がスケールを溶解する速さに基づいて定められ、10分〜1時間程度である。
排出動作は、第1〜第3の待機動作b1〜b3の後に、除去剤を給水路20から排出する動作である。すなわち、排出動作において、制御部405は、電磁弁431、洗浄用ポンプ436及び流路切替部472等を制御して、給水路20及び各吐水口(吐水口31a、31b、32、33)に給水源10からの水を供給する。これにより、給水路20内に残っている除去剤が洗い流される。
図5に表したように、使用者は、操作部500を操作し、制御部405に除去運転開始を入力する(ステップS101)。これにより、制御部405は、スケール除去モードの実行を開始する。
制御部405は、サブタンク706内から水を抜く(ステップS102)。例えば、制御部405は、洗浄用ポンプ436等を制御して、サブタンク内の水位を渇水水位H1まで下げる。その後、制御部405は、報知手段501(図2参照)を用いて、水抜きが完了したことを使用者に報知する。この報知手段501には、スピーカ、ディスプレイ、LEDなど任意の手段を用いることができる。この例では、報知手段は、操作部500に設けられたディスプレイ及びスピーカである。報知手段501は、操作部500とは別に設けられてもよい。
その後、使用者は、除去剤投入部434aから除去剤を投入する(ステップS103)。例えば、使用者は、水等で希釈された液体の除去剤を、漏斗などを用いて投入する。また、サブタンク706には、除去剤の投入量の上限を表す上限水位H3(図4参照)を検知可能なセンサ(例えば水位センサ707)が設けられている。使用者が除去剤を投入して、水位が上限水位H3となると、制御部405は、報知手段を用いて報知を行う。これにより、除去剤がサブタンク706からオーバーフローすることを抑制できる。
その後、使用者は、操作部500を操作し、制御部405に除去剤の投入の完了を入力する(ステップS104)。
すると、制御部405は、第1の充填動作a1を実行する(ステップS105)。制御部405は、第1の充填動作a1が完了すると、報知手段を用いて使用者に報知する。その後、使用者は、ステップS103、S104と同様にして除去剤の投入及び投入完了の入力を行う(ステップS106、S107)。
除去剤の投入が完了すると、制御部405は、第1の待機動作b1、第2の充填動作a2、第2の待機動作b2、第3の充填動作a3、第3の待機動作b3を、順次行う(ステップS108〜S112)。
その後、制御部405は、排出動作c1を実行し(ステップS113)、スケール除去モードの実行を終了する(ステップS114)。
以上により、給水路20内に析出したスケールを除去することができる。
ステップS105において、制御部405は、サブタンク706内の水位が渇水水位H1であることを水位センサ707が検知するまで、充填動作(第1の充填動作a1)を継続する。すなわち、制御部405は、サブタンク706内の水位が渇水水位H1となるまで、サブタンク706内の除去剤を、その下流へ供給し続ける。これにより、投入された除去剤の多く(例えばほぼ全て)を、下流側へ充填することができるため、効率よく除去剤を利用でき、効率の良いスケール除去ができる。
一方、サブタンク706内の水位が、サブタンク706の流出口702の高さ(水位H0)まで低下したときに、洗浄用ポンプ436が動作し続けていると、流出口702から給水路20に空気が混入し、スケール除去の効率が低下してしまう。これに対して、実施形態によれば、サブタンク706内の水位が渇水水位H1となると、充填動作が停止するため、その後に流出口702から給水路20に空気が混入することを防止できる。これにより、スケール除去の効率の低下を抑制できる。
制御部405は、ステップS111においても、同様に、サブタンク706内の水位が渇水水位H1であることを水位センサ707が検知するまで、充填動作(第3の充填動作a3)を継続する。
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の流路切替部を例示する模式図である。
図6(a)に表したように、給水路20は、第1流路41と、複数の第2流路42(おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、バイパス流路24、噴霧用流路25)と、を有する。第1流路41は、給水路20のうち、流路切替部472よりも上流側に設けられた部分である。複数の第2流路42のそれぞれは、給水路20のうち、流路切替部472よりも下流側に設けられた部分である。
複数の第2流路のそれぞれは、吐水部470の複数の吐水口と接続される。
すなわち、図2に関して説明した通り、おしり洗浄流路21及びやわらか洗浄流路22は、おしり洗浄吐水口31bと接続されており、ビデ洗浄流路23は、ビデ洗浄吐水口31aと接続されており、バイパス流路24は、吐水口32と接続されており、噴霧用流路25は、吐水口33と接続されている。
流路切替部472は、固定ディスク(ステータ)80と、可動ディスク(ロータ)82と、ハウジング84と、駆動機構86と、を有する。
固定ディスク80は、例えば、円板状であり、前面80a(上流側を向く面)と、前面80aの反対側の背面80b(下流側を向く面)と、を有する。
図6(b)は、固定ディスクを例示する平面図である。固定ディスク80は、複数のポート(開口部)を有する。例えば、固定ディスク80には、ミストポートP1、ビデポートP2、第1のバイパスポートP3、セルフクリーニングポートP4、やわらか洗浄ポートP5、第2のバイパスポートP6、及び、おしり洗浄ポートP7が設けられている。
ミストポートP1は、噴霧用流路25と接続されている。ビデポートP2は、ビデ洗浄流路23と接続されている。第1のバイパスポートP3は、バイパス流路24と接続されている。セルフクリーニングポートP4は、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22及びビデ洗浄流路23と接続されている。やわらか洗浄ポートP5は、やわらか洗浄流路22と接続されている。第2のバイパスポートP6は、バイパス流路24と接続されている。おしり洗浄ポートP7は、おしり洗浄ポートP7と接続されている。
可動ディスク82は、例えば、固定ディスク80と同程度の径を有する円板状である。可動ディスク82は、固定ディスク80の上流側に設けられる。可動ディスク82は、固定ディスク80の前面80aに当接する。可動ディスク82は、前面80aと直交する方向を軸(以下、回転軸RAと称す)に、前面80aの上で摺動回転する。可動ディスク82は、固定ディスク80の1つのポートに対応する開口部を有する。例えば、可動ディスク82の開口部が、固定ディスク80の1つのポートと重なると、固定ディスク80の別のポートが、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、可動ディスク82の開口部と重なった1つのポートのみに通水が可能となる。
流路切替部472は、可動ディスク82を回転させることにより、通水可能となるポートを選択的に切り替える。これにより、選択するポートに応じて、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、バイパス流路24、及び、噴霧用流路25の少なくともいずれかに、水又は除去剤を選択的に供給することができる。
ハウジング84は、例えば、筒状であり、内部の空間に固定ディスク80及び可動ディスク82を収容する。ハウジング84は、可動ディスク82を回転可能に支持する。ハウジング84の可動ディスク82よりも上流側の内部空間は、配管などを介して電磁ポンプ54と接続されている。電磁ポンプ54を介して供給された水又は除去剤は、ハウジング84の内部空間から可動ディスク82及び固定ディスク80を介して各流路に供給される。
駆動機構86は、モータやソレノイドなどの電動機を有し、可動ディスク82に対して駆動力を供給することにより、可動ディスク82を回転させる。駆動機構86は、制御部405に接続されており、制御部405の制御に基づいて可動ディスク82を回転させる。制御部405は、駆動機構86を駆動して可動ディスク82を回転させ、固定ディスク80の各ポートのいずれかを選択することにより、水又は除去剤の行き先を切り替える。なお、駆動機構86は、漏水を招くことなく可動ディスク82を回転させることができる任意の機構でよい。
以上説明したように、流路切替部472は、第1流路41と、複数の第2流路42の少なくともいずれかと、を選択的に接続する。
図7(a)及び図7(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の流路切替部の動作を例示するタイミングチャートである。
図7(a)は、第1の充填動作a1(又は第3の充填動作a3)において、流路切替部472によって選択されるポートを表し、図7(b)は、第2の充填動作a2において、流路切替部472によって選択されるポートを表す。縦軸は、選択されているポートを表し、横軸は、時間を表す。
図7(a)に表したように、制御部405は、第1の充填動作a1(又は第3の充填動作a3)を開始すると、流路切替部472を制御して、ミストポートP1、ビデポートP2、第1のバイパスポートP3、セルフクリーニングポートP4、やわらか洗浄ポートP5、第2のバイパスポートP6、おしり洗浄ポートP7、をこの順に選択する(第1制御CN1)。その後、制御部405は、流路切替部472を制御して、おしり洗浄ポートP7、第2のバイパスポートP6、やわらか洗浄ポートP5、セルフクリーニングポートP4、第1のバイパスポートP3、ビデポートP2、ミストポートP1、をこの順に選択する(第2制御CN2)。
制御部405は、第1制御CN1及び第2制御CN2を交互に繰り返す。第1制御CN1及び第2制御CN2において、ポートの切り替えは、例えば時間制御である。すなわち、各ポートが選択される時間の長さは、ポート毎に予め定められている。第1制御CN1又は第2制御CN2の途中で、渇水水位H1が検知されると、制御部405は、第1の充填動作a1(又は第3の充填動作a3)を終了する。なお、ポートが選択される順番は、図示した例に限らない。例えば、第1制御CN1及び第2制御CN2のいずれか一方が繰り返されてもよい。
このように選択されるポートを順次切り替え、第1制御CN1及び第2制御CN2を繰り返す。これにより、流路切替部472は、第1流路41と接続される第2流路42を順次切り替え、第1流路41を複数の第2流路42の少なくともいずれかと複数回接続する。
複数の第2流路42においては、スケールの詰まり具合は流路によって異なる。この場合、1つの第2流路42を除去剤で満たしてから、次の第2流路42を除去剤で満たそうとすると、充填動作の時間を長く設定したり、除去剤の流量を大きく設定したりする必要が生じる場合がある。この場合、サブタンク706の容量が小さいと、全ての第2流路42に除去剤を充填する前に、サブタンク706内の水位が渇水水位H1となってしまうおそれがある。これに対して、実施形態によれば、流路切替部472が、第1流路41と接続される第2流路42を順次切り替え、第1流路41と第2流路42とを複数回接続することにより、除去剤を小分けにして、複数の第2流路42のそれぞれに満遍なく供給することができる。
なお、第2の充填動作a2においては、図7(b)に表したように、例えば第1制御CN1が1回だけ実行される。すなわち、流路切替部472は、第2の充填動作a2において、選択するポートを順次切り替え、各ポートを1回ずつ選択する。
また、制御部405は、待機動作(第1〜第3の待機動作b1〜b3)において、複数の第2流路42のうち、人体局部の洗浄に用いられる洗浄流路以外の第2流路42と、第1流路41と、を接続するように流路切替部472を制御する。
人体局部の洗浄に用いられる洗浄流路は、例えば、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、又は、ビデ洗浄流路23である。これらの洗浄流路は、人体局部に向けて水を吐出する洗浄吐水口(ビデ洗浄吐水口31a、又は、おしり洗浄吐水口31b)に水を供給する。洗浄流路以外の第2流路42とは、例えば、バイパス流路24、及び、噴霧用流路25である。
この例では、制御部405は、待機動作時に、第1のバイパスポートP3を選択するように流路切替部472を制御している。これにより、流路切替部472は、待機動作時に、バイパス流路24と、第1流路41と、を接続する。
待機動作時においては、例えば給水路20内の負圧により、第1流路41と接続されない第2流路42内の除去剤は、第1流路41と接続された第2流路42内の除去剤に比べて、外部に流出しにくい。実施形態によれば、待機動作時に、洗浄流路以外の第2流路42と第1流路41とが接続されることにより、洗浄流路から除去剤が流出することを抑制できる。これにより、衛生洗浄装置100の人体局部を洗浄する機能を妨げるスケールをより確実に除去することができる。
また、制御部405は、待機動作(第1〜第3の待機動作b1〜b3)において、複数の第2流路42のうち、給水路20から除去剤が流出する速度が最低となる第2流路42と、第1流路41と、を接続するように流路切替部472とを制御する。なお、この際、除去剤は、接続された第2流路42と連通する吐水口から外部へ流出する。
給水路20から除去剤が流出する速度(ミリリットル/秒)は、第1流路41と接続されている第2流路42における圧力損失、及び、ヘッド(水頭)に依存する。上述したとおり、この例では待機動作時には、バイパス流路24と第1流路41とが接続されている。待機動作時において、バイパス流路24と第1流路41とが接続されたときに除去剤が流出する速度は、バイパス流路24以外の第2流路42と第1流路41とが接続されたときに除去剤が流出する速度よりも低い。これにより、待機動作時において、給水路20から除去剤が漏れ出しにくいため、除去剤をより効果的に機能させることができる。
図2に関して説明した流量センサ442は、複数の第2流路42の少なくともいずれかを流れる水の流量を検知することができる。すなわち、流量センサ442は、流路切替部472によって第1流路41と接続された第2流路42の流量を検知することができる。
第2流路42にスケールが析出すると、その第2流路42における流量が低下する。そこで、制御部405は、流量センサ442によって検知された流量が所定値以下に低下すると、報知手段501を動作させる。これにより、報知手段501は、使用者に除去剤の投入タイミングを報知する。
なお、投入タイミングを報知するための流量の所定値は、任意であるが、例えば、第2流路42の少なくともいずれかがスケールで詰まる前の流量に基づいて設定される。また、投入タイミングを報知する報知手段には、スピーカ、ディスプレイ、LEDなど任意の手段を用いることができる。
スケール除去モードは、使用者がサブタンク706に除去剤を投入した後に行われるため、スケール除去モードが実行されるタイミングは、使用者に依存する。地域によってスケールの析出し易さは異なるため、使用者が除去剤を投入すべきタイミングは、環境によって変化する。スケール除去モードを実行するタイミングを使用者が感覚のみで決めてしまうと、適切なタイミングでスケールを除去することができず、除去剤が効果的に機能しないおそれがある。これに対して、実施形態によれば、複数の第2流路42の少なくともいずれかがスケールで詰まる前の適切なタイミングで、使用者に除去剤の投入タイミングを報知することができ、効果的に除去剤を機能させることができる。
また、例えば、制御部405が投入タイミングの報知を判断するために用いる流量は、複数の第2流路42のうち、最も小さい断面積、及び、最も小さいコンダクタンスの少なくともいずれかを有する第2流路42の流量である。すなわち、スケールが詰まりやすい第2流路42の流量に基づいて、投入タイミングが報知される。例えば、制御部405は、流量センサ442が検知した噴霧用流路25における流量に基づいて、報知手段501に投入タイミングを報知させる。これにより、スケールが詰まる前のより適切なタイミングで、使用者に除去剤の投入タイミングを報知することができる。
なお、第2流路42の断面積は、例えば、水が流れる方向と垂直な平面における断面積である。水が流れる方向に沿って断面積が変化する場合は、その最小値を用いる。
また、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム等を主成分とするスケールは、電気分解を行う電解槽ユニット450の陰極側に付着することがある。そこで、制御部405は、電解槽ユニット450の運転積算時間が所定時間を超えると、報知手段501を動作させて、使用者に除去剤の投入タイミングを報知してもよい。なお、運転積算時間は、電気分解を行うために電極間に電圧が印加された時間の積算値である。また、投入タイミングを報知するための所定時間は、任意であるが、例えば、第2流路42の少なくともいずれかがスケールで詰まるまでの運転積算時間よりも短い時間に設定される。
図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の吐水部を例示する断面図である。
図8(a)及び図8(b)に示す断面は、図3に示すA1−A1線断面に対応する。
図8(a)は、吐水部470(ノズル473及びノズル洗浄室478)が収納位置にある状態を例示する。制御部405は、衛生洗浄装置100の不使用時には、吐水部470を図8(a)に示す収納位置に配置する。不使用時とは、例えば、人体局部の洗浄が行われない時や、スケール除去モードが実行されていない時である。
図8(b)は、吐水部470(ノズル473及びノズル洗浄室478)がスケール除去位置にある状態を例示する。制御部405は、スケール除去モードの実行中の少なくとも一部において、吐水部470を図8(b)に示すスケール除去位置に配置する。
ケーシング400は、ノズル473をケーシング400の外部へ進出させるための開口部407を有する。開口部407は、ケーシング400の前方に設けられており、ノズル473は、人体局部の洗浄時には、開口部407から前方へ進出することができる。開口部407には、シャッター408(ノズルダンパー)が回動可能に設けられている。シャッター408は、開口部407をノズル473の進退に合わせて開閉する。
図8(a)に表したように、吐水部470が収納位置に配置された状態では、ノズル473及びノズル洗浄室478は、ケーシング400の内部へ後退しており、開口部407及びシャッター408よりも後方に位置する。このとき、シャッター408は、開口部407を塞ぐように閉じている。また、ノズル洗浄室478は、ノズル473の先端部に位置する。
図8(b)に表したように、吐水部470がスケール除去位置に配置された状態では、ノズル473は、ケーシング400から前方へ進出している。このとき、ノズル洗浄室478は、ノズル473からの力を受けて回動し、ケーシング400から前方へ突出している。また、シャッター408は、ノズル473からの力を受けて回動し、開いた状態である。
吐水部470がスケール除去位置にある状態の少なくとも一部においては、除去剤は、ケーシング400の外に向かって吐水部470から吐出される。例えば、図8(b)に示す矢印ABのように、スケール除去位置においてノズル洗浄室478の吐水口32は、ケーシング400の外へ向けて水又は除去剤を吐出する。例えば、除去剤は、下方かつ後方へ向けて、便器800のボウル801内に吐出される。一方、図8(a)に示した収納位置においては、ノズル洗浄室478の吐水口32は、矢印AAのようにケーシング400の内部へ向けて吐水する。
ケーシング400の内部に配置された金属部材(モータ等)や樹脂部材に除去剤が過度に付着すると、これらの部材が劣化しやすくなる場合がある。これに対して、実施形態によれば、制御部405がスケール除去モードの実行中に、吐水部をスケール除去位置に配置することにより、ケーシング内の部材に除去剤が掛かることを抑制できる。これにより、部材の劣化を抑制できる。
実施形態においては、制御部405は、充填動作(第1〜第3の充填動作a1〜a3)、待機動作(第1〜第3の待機動作b1〜b3)及び排出動作c1の少なくとも一部において、吐水部470をスケール除去位置とする。
例えば、除去剤は、給水路20から除去剤を排出してスケール除去モードを終了する際の排出動作時に最もケーシング400内の部材に掛かりやすい。そこで、制御部405は、排出動作時に吐水部470をスケール除去位置に配置する。これにより、排出動作時にケーシング400内の部材に除去剤が掛かることを抑制できる。
また、充填動作時には、除去剤が意図せず吐水口から吐出されてしまう場合もある。そこで、制御部405は、充填動作時(第1〜第3の充填動作a1〜a3の少なくともいずれか)において、吐水部470をスケール除去位置に配置する。これにより、充填動作時にケーシング400内の部材に除去剤が掛かることを抑制できる。
一方、待機動作時には、充填動作時及び排出動作時に比べて、吐水部470から除去剤が吐出されにくい。制御部405は、例えば、待機動作時(第1〜第3の待機動作b1〜b3の少なくともいずれか)においては、吐水部470を収納位置に配置して、ノズル473をケーシング400内に収納する。これにより、ノズル473がケーシング400から進出した状態と比べて、待機動作時にノズル473におけるヘッド(水頭)を小さくすることができる。したがって、待機動作時に除去剤が漏れることを抑制でき、充填されたままとし易いため、スケールを効率よく除去することができる。
なお、待機動作時には、ノズル473を、収納位置よりもさらに後退させてもよい。また、待機動作時に、ノズル473の回動等によって、ノズル473が延びる方向を水平に近づけてもよい。これにより、除去剤が漏れることをさらに抑制できる。
また、図8(b)に表したように、吐水部470がスケール除去位置に配置されたときに、ノズル473の先端473fは、ケーシング400の外に位置する。このように、ノズル473をケーシング400から進出させることで、ケーシング400内の部材に除去剤が掛かることをより抑制できる。
また、図8(b)に表したように、吐水部470がスケール除去位置に配置されたときに、ノズル473の吐水口31(例えばビデ洗浄吐水口31a及びおしり洗浄吐水口31bの少なくともいずれか)は、シャッター408よりも前方に突出しない。言い換えれば、シャッター408の前端408fよりも、吐水口31は後方に位置する。これにより、除去剤がシャッターよりも前方に向けて吐出されることを抑制できる。したがって、使用者がトイレ室内に居るときに充填動作や排出動作が実行されても、使用者に除去剤が掛かることを抑制することができる。
さらに、ノズル473の先端473fがケーシング400の外に位置する場合、使用者は、ノズル473を見ることにより、例えば充填動作又は排出動作が実行されていることを容易に認識できる。これにより、使用者が不用意に衛生洗浄装置に近づくことを抑制でき、使用者に除去剤が掛かることをより抑制できる。
図9は、実施形態に係る衛生洗浄装置のスケール除去モードを例示するフローチャートである。
図9に表したように、制御部405は、ステップS201においてスケール除去モードの実行を開始する。ステップS201は、図5に関して説明したステップS101と同様である。
その後、制御部405は、除去運転を開始(ステップS202)し、図5に関して説明したステップS102及びS105を行う。また、使用者は、図5に関して説明したステップS103、S104、S106及びS107を実行する。
制御部405は、ステップS107における除去剤の投入完了の信号を受信した後、図5に関して説明したステップS108〜S113の実行を開始する。ステップS105の後(例えばステップS108〜S113の実行中)に、人体検知手段406がトイレ室内の人体を検知すると(ステップS203:YES)、制御部405は、スケール除去モードの実行を一時停止(中断)する(ステップS204)。なお、この例では、人体検知手段406として、着座検知センサ404が用いられている。
制御部405は、人体検知手段406がトイレ室内の人体を検知している間(ステップS205:YES)、スケール除去モードの一時停止の状態を継続する。制御部405は、人体検知手段406がトイレ室内の人体を検知しなくなると(ステップS205:NO)、スケール除去モードを再開する。
制御部405は、人体検知手段406がトイレ室内の人体を検知していない間は、スケール除去モードの実行を継続する(ステップS203:NO)。ステップS203〜ステップS205は、図5に関して説明したステップS108〜S113が完了するまで継続される(ステップS206:NO)。
図5に関して説明したステップS108〜S113が完了すると(ステップS206:YES)、制御部405は、スケール除去モードの実行を終了する(ステップS207)。
このように、制御部405は、スケール除去モードの実行中に、人体検知手段406が人体を検知している間、スケール除去モードの実行を一時停止する。これにより、使用者がトイレ室内に居るときに除去剤が吐水部470(ノズル473等)から吐出されることを防止でき、除去剤があやまって使用者に掛かる事態の発生を抑制できる。
なお、スケール除去モードの一時停止とは、実行中の充填動作又は実行中の排出動作を中断すること、及び、充填動作及び排出動作を開始しないこと、をいう。
例えば、人体検知手段406が人体を検知している間において、スケール除去モードが一時停止の状態であっても、待機動作(第1〜第3の待機動作b1〜b3)は、継続されてもよい。言い換えれば、人体検知手段406が人体を検知している間でも、制御部405は、待機動作における待機時間のカウントを継続していてもよい。このように待機動作が継続されることにより、スケール除去モードの完了までの時間が長くなることを抑制でき、使い勝手を向上させることができる。
また、充填動作を再開する場合には、中断された第2の充填動作a2又は第3の充填動作a3を最初から実行してもよい。
また、上述の通り、この例では、人体検知手段406は、着座検知センサ404である。すなわち、制御部405は、着座検知センサ404が使用者の便座200への着座を検知している間、スケール除去モードの実行を一時停止する。そして、制御部405は、着座検知センサ404が使用者の着座を検知しなくなる(離座を検知する)と、スケール除去モードの実行を再開する。
このように、着座検知センサ404の検知結果に基づいてスケール除去モードの実行を一時停止する場合には、使用者が着座するまではスケール除去モードが継続されるため、例えば使用者の入室を検知してスケール除去モードを一時停止する場合に比べて、スケール除去モードが一時停止する頻度が低い。これにより、スケール除去モードの完了までの時間が長くなることを抑制できる。
また、スケール除去モードにおいては、給水路20に除去剤が充填されているため、衛生洗浄装置100は、人体局部を水で洗浄することができない。ここで、例えば、使用者の入室や便器への接近を検知してスケール除去モードを一時停止する場合には、スケール除去モードの終了直前に使用者が入室すると、着座までの時間でスケール除去モードが終了する場合であっても、スケール除去モードが一時停止することとなる。この場合、使用者は、衛生洗浄装置で局部を洗浄することができず、使い勝手が悪いことがある。これに対して、着座検知センサ404の検知結果に基づいてスケール除去モードの実行を一時停止する場合には、使用者が着座するまでスケール除去モードが継続されるため、使用者がスケール除去モードの終了直前にトイレ室に入室した場合でも、衛生洗浄装置100で局部を洗浄できる可能性が高く、使い勝手を向上させることができる。
また、人体検知手段406は、開閉検知センサ402であってもよい。すなわち、例えば、制御部405は、開閉検知センサ402が、使用者によって便座200が開かれた状態を検知している間、スケール除去モードの実行を一時停止する。そして、制御部405は、使用者によって便座200が閉じられると、スケール除去モードの実行を再開する。このように、開閉検知センサ402の検知結果に基づいてスケール除去モードの実行を一時停止する場合には、使用者が便座200を開くまでスケール除去モードが継続されるため、使用者の入室や接近を検知してスケール除去モードを一時停止する場合に比べて、使用者がスケール除去モードの終了直前にトイレ室に入室した場合に衛生洗浄装置100で局部を洗浄できる可能性が高く、使い勝手を向上させることができる。
また、例えば、制御部405は、充填動作又は排出動作を一時停止しているときに人体検知手段406が前記人体を検知しなくなると(ステップS205:NO)、人体検知手段406が人体を検知しなくなった時刻から所定時間経過後に、一時停止中の充填動作又は排出動作を再開する。これにより、人体検知手段406が人体を検知しなくなった直後に充填動作又は排出動作が再開される場合に比べて、使用者が吐水部からより離れたタイミングで充填動作又は排出動作が再開される。これにより、使用者に除去剤が掛かることをさらに抑制することができる。なお、この所定時間は、任意であるが、例えば5秒程度に設定することができる。
また、制御部405は、充填動作時又は排出動作時に、人体検知手段406が人体を検知すると、ノズル473を後退させる。例えば、制御部405は、充填動作時又は排出動作時には、吐水部470(ノズル473)を図8(b)に関して説明したスケール除去位置に配置し、スケール除去モードの一時停止中には、吐水部470を図8(a)に関して説明した収納位置に配置する。ノズル473は、後退することで使用者から離れるため、使用者にノズル473から吐出される除去剤が掛かることを抑制することができる。また、ノズル473を後退させてケーシング400内に収納することにより、ノズル473やケーシング内に異物が付着することを抑制できる。
制御部405は、スケール除去モードの実行中に、一部の機能の動作を禁止する。これについて、図10を参照して説明する。
図10は、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作を例示する表である。
図10に表したように、使用者が作業をしている場合(図5に関して説明したステップS101〜ステップS107までの間)、制御部405は、ノズル473による人体局部の洗浄機能、便器洗浄バルブユニット510による便器洗浄、及び、便蓋開閉ユニット511及び便座開閉ユニット512による電動開閉の実行を禁止する。すなわち、使用者が操作部500を操作しても、これらの機能は実行されない。これにより、使用者が作業中に、あやまって操作部500を操作した場合に、混乱が生じることを抑制できる。
使用者の作業の終了後(図5に関して説明したステップS108〜S114まで)においても、制御部405は、人体局部の洗浄機能の実行を禁止する。一方、制御部405は、使用者の作業の終了後には、便器洗浄、及び電動開閉の実行を可能とする。すなわち、使用者は、作業の終了後には、操作部500を操作することにより、便器洗浄及び電動開閉の機能を使用可能である。これにより、スケール除去モードの実行中であっても、使用者はトイレを使用することができる。
但し、電動開閉の禁止は、待機動作(ステップS108)が開始されてから、一定時間(例えば10分)後に解除される。これにより、使用者が作業の後片付け等をしているときに、あやまって便蓋300等が開いてしまう事態を抑制できる。
その他の機能(例えば温風乾燥機能、脱臭機能、室内暖房機能など)は、スケール除去モードが実行されている場合でも、実行可能である。また、スケール除去モードが実行されていない場合には、人体局部の洗浄機能、便器洗浄、電動開閉、及びその他の機能は、実行可能である。
スケール除去モードが実行されていない場合、操作部500が操作されると、報知手段501は、機能が実行されることを報知する。例えば、報知手段501は、第1パターン(通常のパターン)の電子音を発する。
スケール除去モードの実行中に、使用者が、操作部500を操作して禁止されている機能を実行しようとした場合、報知手段501は、第2パターンの電子音を発する。これにより、使用者は、当該機能が禁止されていることを認識することができる。但し、使用者の作業中(ステップS101〜ステップS107までの間)においては、禁止されている機能の実行が操作部500に入力されても、報知手段501は、電子音による報知を行わない。これにより、使用者が作業中に、あやまって操作部500を操作した場合に、混乱が生じることを抑制できる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。