JP2019026799A - ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物、該組成物を用いたガスバリア性コーティング剤及びガスバリア性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
[一般式(1)中、Xは、直接結合を表すか、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかを表し、これらの基の構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基、ハロゲン原子及び繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖を含んでもよい。Yは、下記一般式(2)で示される少なくとも1つの2級アミノ基を有する構造であり、前記繰り返し単位間において、異なる構成のYが混在していてもよい。また、2つのZは、それぞれ独立に下記一般式(3)〜(6)のいずれかの構造を表し、同一の構造であっても異なる構造であっていてもよく、且つ、繰り返し単位間においても、同一の構造であっても異なる構造であってもよい。]
[一般式(2)中、Y1、Y2及びY3は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基のいずれかを表し、該構造中には、エーテル結合、スルホニル結合、水酸基及びハロゲン原子を含んでもよい。]
[一般式(3)〜(6)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、右側の結合手は、一般式(1)中の酸素原子と結合し、左側の結合手は、一般式(1)中のXと結合するか、該Xが直接結合の場合は他方のZと結合する。]
〔ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物〕
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、特定の繰り返し単位を有する、2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂と、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物を含むことを特徴とする。そして、この組成物を用いた本発明のガスバリア性コーティング剤は、2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂の2級アミノ基と、エポキシ化合物とを反応させることで、熱硬化させて、機能性に優れる架橋樹脂皮膜を形成することができるものになる。詳しくは、本発明のガスバリア性コーティング剤を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、前記一般式(1)で示される繰り返し単位が主鎖骨格に導入されていることを特徴とし、その主鎖骨格構造中にある2級アミノ基の全部又は一部が、併用するエポキシ化合物の2以上のエポキシ基と反応することにより熱硬化し、その結果、高温度下においても十分なガスバリア性を有する架橋樹脂皮膜層の形成が可能になる。このようにして形成した架橋樹脂皮膜層は、機械強度及び透明性にも優れるものであるので、ガスバリア性フィルムなど、広範な利用が期待でき、その実用価値は極めて高い。
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものであり、主鎖骨格構造中に、式(1)中のYに由来する2級アミノ基を持つことを特徴とする。
[一般式(3)〜(6)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、右側の結合手は、一般式(1)中の酸素原子と結合し、左側の結合手は、一般式(1)中のXと結合するか、該Xが直接結合の場合は他方のZと結合する。]
本発明を構成する2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂(以下、単に「ポリヒドロキシウレタン樹脂」とも呼ぶ)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、1分子中に2つの5員環環状カーボネート基を有する化合物(以下、「環状カーボネート化合物」と呼ぶ場合がある)と、1分子中に、2つの1級アミノ基と、1つ以上の2級アミノ基とを有する構造の化合物(以下、「ポリアミン化合物」と呼ぶ)を含むアミノ化合物の重付加反応を利用して合成することができる。具体的には、上記方法で本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂を製造する場合、「環状カーボネート化合物」と重付加反応させるアミノ化合物として、樹脂の主鎖中に2級アミノ基を持つようにするため、上記「ポリアミン化合物」を用いることを必須とするが、「ポリアミン化合物」とともに、例えば、1分子中に2つの1級アミノ基を有する化合物(以下、「ジアミン化合物」と呼ぶ)を併用してもよい。以下、ポリヒドロキシウレタン樹脂の製造に用いる原料及び製造条件について説明する。
上記重付加反応の際に使用される環状カーボネート化合物は、特に制限はなく、従来公知の環状カーボネート化合物を使用することができる。本発明では、下記式に示すように、エポキシ化合物と二酸化炭素の反応により合成された重合物を用いることが好ましい。環状カーボネート化合物として、このような重合物を用いることで、目的とするポリヒドロキシウレタン樹脂中に二酸化炭素由来の構造を組み込むことができる。下記式の反応条件としては、例えば、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、0℃〜160℃の温度にて、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で、4〜24時間程度反応させることが挙げられる。この結果、二酸化炭素をエステル部位に固定化した環状カーボネート化合物を得ることができる。
本発明を構成する2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂は、前記したように、その合成原料として、1分子中に、2つの1級アミノ基と、1つ以上の2級アミノ基とを有する構造の化合物である「ポリアミン化合物」を用いることで容易に製造できる。「ポリアミン化合物」としては、従来公知のいずれのものも使用できる。好適なものとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イミノビスプロピルアミン、N,N’−ビスアミノプロピル−1,3−プロピルジアミン及びN,N’−ビスアミノプロピル−1,3−ブチレンジアミンなどの鎖状脂肪族ジアミンが挙げられる。
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂を製造する際の具体的な方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶剤の存在下或いは溶剤の非存在下で、前記したような環状カーボネート化合物と、ポリアミン化合物と、必要に応じてジアミン化合物とを混合し、40〜200℃の温度で4〜24時間反応させ重付加反応することで得ることができる。
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、上述した2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂とともに、2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(以下、単に「エポキシ化合物」と呼ぶ場合がある)を含むことを特徴とする。上記エポキシ化合物としては、少なくとも2つのエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。好適なものとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルやグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどの多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物や、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテルやN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンなどの多官能芳香族グリシジルエーテル化合物を挙げることができる。また、本発明で用いる好適なエポキシ化合物は、エポキシ基を2以上有するものであればよいが、より好ましくは、その構造中に、芳香環を有するものであるものが好ましい。
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、ガスバリア性コーティング剤とすることができる。本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂とともにエポキシ化合物を含むため、これらを熱硬化させることで架橋樹脂皮膜(硬化皮膜)を形成することができる。形成した架橋樹脂皮膜は、ポリヒドロキシウレタン樹脂が本来持つガスバリア性を低下させることなく、むしろ向上させた、従来のポリヒドロキシウレタン樹脂の皮膜に比べて、機械的特性や熱的特性が向上したものになる。本発明のガスバリア性コーティング剤は、ポリヒドロキシウレタン樹脂と、エポキシ化合物が併存した状態で熱硬化させる構成のものであればよく、例えば、エポキシ化合物をコーティング直前に、ポリヒドロキシウレタン樹脂と混合させる2液型の形態としてもよい。
次に、上記した本発明のガスバリア性コーティング剤を用いることで簡便に得られる本発明のガスバリア性フィルムについて説明する。本発明のガスバリア性フィルムは、単独層或いは多層からなるフィルムであって、少なくとも1つの層が、本発明のガスバリア性コーティング剤を熱硬化させて形成したガスバリア性を示す架橋樹脂皮膜層であることを特徴とする。形成される架橋樹脂皮膜層は、水酸基の水素結合によってガスバリア性を発現するポリヒドロキシウレタン樹脂からなるものでありながら、高温度下においてガスバリア性が低下する、という従来技術の課題が解決されたものとなる。
エポキシ当量187のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトートYD−128、新日鐵住金化学社製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬工業社製、以下同様)20部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。そして、反応終了後の溶液に300部の水を加え、生成物を析出させ、ろ別した。得られた白色粉末をトルエンにて再結晶を行って、白色の粉末52部(収率42%)を得た。
エポキシ当量116のヘキサンジオールポリグリシジルエーテル(商品名:エポゴーセ−HD(D)、四日市合成社製)100部と、ヨウ化ナトリウム20部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。そして、反応終了後の溶液に、酢酸エチル400部及び水800部を加え、1時間撹拌した。その後、酢酸エチル相を回収し、エバポレーターにて溶剤の除去を行って、オイル状の化合物127部(収率92.1%)得た。
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状カーボネート含有化合物(C−I)を42.8部、イミノビスプロピルアミン(広栄化学工業社製)を13.1部、さらに、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを83.9部加え、80℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行った。反応後の溶液の一部をサンプリングしてIRで分析することにより、1800cm-1付近のカーボネート基のカルボニル基に由来する吸収(ピーク)が消失していることを確認し、本発明で規定する構造中に2級アミノ基を有するポリヒドロキシウレタン樹脂を合成した。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を移動相としたGPC測定(東ソー製、GPC−8220;カラムSuperAW2500+AW3000+AW4000+AW5000;以下の実施例も同様にして測定)による重量平均分子量は、29000(ポリスチレン換算)であった。また、水酸基価を測定したところ、樹脂分に対して201mgKOH/gであった。
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状カーボネート含有化合物(C−I)を42.8部、イミノビスプロピルアミンを6.6部、及び、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を5.8部、さらに、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを82.7部加え、80℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行った。反応後の溶液の一部をサンプリングしてIRで分析することで、1800cm-1付近のカーボネート基のカルボニル基に由来する吸収(ピーク)が消失していることを確認して、本発明で規定する2級アミノ基を有する構造のポリヒドロキシウレタン樹脂を合成した。得られた樹脂の重量平均分子量は、28000(ポリスチレン換算)であった。また、水酸基価を測定したところ、樹脂分に対して203mgKOH/gであった。
実施例2で用いたレゾルシノールジグリシジルエーテルを、エポキシ当量115g/eqのグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−314、ナガセケムテクス社製)5.8部(すなわち、樹脂の持つ2級アミノ基に対し、反応するエポキシ基が等量となる使用量)に替えた以外は実施例2と同様にして、基材フィルム上に架橋塗膜を形成した。図3に架橋塗膜のIRスペクトルを示した。上記で調製した架橋塗膜(樹脂塗膜)を評価試料とした。樹脂塗膜の水酸基価は、樹脂分に対して230mgKOH/gであり、また、二酸化炭素由来の−O−CO−結合の樹脂分に占める割合は14.4%であった。
実施例1で用いた1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを、エポキシ当量98g/eqのN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学社製)4.9部(すなわち、樹脂の持つ2級アミノ基に対し、反応するエポキシ基が半分となる使用量)に替えた以外は実施例1と同様にして、基材フィルム上に架橋塗膜を形成した。この架橋塗膜(樹脂塗膜)を評価試料とした。樹脂塗膜の水酸基価は樹脂分に対して231mgKOH/gであり、また、二酸化炭素由来の−O−CO−結合の樹脂分に占める割合は14.5%であった。
実施例4で用いたN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンを、9.8部(すなわち、樹脂の持つ2級アミノ基に対し、反応するエポキシ基が等量となる使用量)に替えた以外は実施例4と同様にして、基材フィルム上に架橋塗膜を形成した。この架橋塗膜(樹脂塗膜)を評価試料とした。得られた樹脂塗膜の水酸基価は樹脂分に対して256mgKOH/gであり、また、二酸化炭素由来の−O−CO−結合の樹脂分に占める割合は13.4%であった。図4に架橋塗膜のIRスペクトルを示した。
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状カーボネート含有化合物(C−I)を42.8部、ジエチレントリアミン(広栄化学工業社製)を5.3部、及び、メタキシレンジアミン(三菱ガス化学社製)を6.8部、さらに、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを82.1部加え、80℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行った。反応後の溶液の一部をサンプリングしてIRで分析することで、1800cm-1付近のカーボネート基のカルボニル基に由来する吸収(ピーク)が消失していることを確認し、本発明で規定する2級アミノ基を有する構造のポリヒドロキシウレタン樹脂を合成した。得られた樹脂の重量平均分子量は、23000(ポリスチレン換算)であった。また、水酸基価を測定したところ、樹脂分に対して205mgKOH/gであった。
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例2で得た環状カーボネート含有化合物(C−II)を32.0部、イミノビスプロピルアミンを6.6部、及び、メタキシレンジアミンを6.8部、さらに、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを68.0部加え、80℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行った。反応後の溶液の一部をサンプリングしてIRで分析することにより、1800cm-1付近のカーボネート基のカルボニル基に由来する吸収(ピーク)が消失していることを確認し、本発明で規定する構造の2級アミノ基を有するポリヒドロキシウレタン樹脂を合成した。得られた樹脂の重量平均分子量は、22000(ポリスチレン換算)であった。また、水酸基価を測定したところ、樹脂分に対して247mgKOH/gであった。
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状カーボネート含有化合物(C−I)を42.8部、イミノビスプロピルアミンを13.1部、さらに、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを83.9部加え、80℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行った。反応後の溶液の一部をサンプリングしてIRで分析することにより、1800cm-1付近のカーボネート基のカルボニル基に由来する吸収(ピーク)が消失していることを確認し、本発明で規定する2級アミノ基を有する構造のポリヒドロキシウレタン樹脂を合成した。得られた樹脂の重量平均分子量は、29,000(ポリスチレン換算)であった。また、水酸基価を測定したところ、樹脂分に対して201mgKOH/gであった。
実施例1で用いた1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを、エポキシ基を1つ有するエポキシ化合物である、エポキシ当量130g/eqのブチルグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製)6.5部(樹脂の有する2級アミノ基に対し、反応するエポキシ基が半分となる使用量)に替えた以外は実施例1と同様にして、樹脂塗膜を形成した。形成された樹脂塗膜を評価試料とした。得られた樹脂塗膜の水酸基価は、樹脂分に対して225mgKOH/gであり、また、二酸化炭素由来の−O−CO−結合の樹脂分に占める割合は14.1%であった。
表1に、実施例および比較例の樹脂組成物について、その配合等と特性をまとめて記載した。詳しくは、実施例及び比較例でそれぞれ使用した重付加反応によりポリヒドロキシウレタン樹脂を得る際に用いた、2以上の5員環環状カーボネート構造(基)を有する環状カーボネート化合物と、2以上のアミノ基を有するアミノ化合物との原材料配合を物質量比(モル比)で記載した。また、実施例および比較例の樹脂組成物を構成する、ポリヒドロキシウレタン樹脂と併用するエポキシ化合物については、表1に、エポキシ当量から算出した、樹脂中に存在する2級アミノ基に対するエポキシ基の使用量比で記載した。さらに、表1中に、架橋後の樹脂塗膜の構造から計算される、水酸基価及び二酸化炭素由来−O−CO−の樹脂分子量に占める割合をまとめて示した。
表1中に示した実施例及び比較例の各ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基価、ポリヒドロキシウレタン樹脂とエポキシ化合物との硬化皮膜(架橋塗膜)の水酸基価、CO2含有量は、以下のようにして求めた。
2級アミノ基を主鎖中に持つヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基価は、JIS K1557−1の測定方法に従って測定した値を記載した。単位はmgKOH/gである。また、表1中の、架橋後の樹脂塗膜の水酸基価は、添加したエポキシ化合物のエポキシ基が全て2級アミノ基と反応して水酸基を生成したものとして、2級アミノ基を主鎖中に持つヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基価の測定値に加えた計算値である。
CO2の含有量は、二酸化炭素由来−O−CO−の、化合物分子量に占める割合を算出し、記載した。具体的には、2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂の合成反応に使用した、化合物(C−I)又は(C−II)を合成する際に使用した、モノマーに対して含まれる二酸化炭素の理論量から算出した計算値を示した。例えば、実施例1の場合、使用した化合物(C−I)の二酸化炭素由来の成分は20.6%であり、これより実施例1で得られる塗工液の固形組成物中の二酸化炭素濃度は、(42.8部×20.6%)/63.4全量=13.9質量%となる。
上記の実施例1〜7で得た、基材フィルム上にそれぞれの架橋塗膜が形成された評価試料である各評価用フィルムと、上記比較例1、2で得られた、基材フィルム上にそれぞれの乾燥塗膜が形成された比較用の評価試料である比較評価用フィルムについて、それぞれ、下記の評価方法で以下の項目を評価した。得られた評価結果を、実施例については表2に、比較例については表3に、それぞれまとめて示した。
各フィルムについて、JIS K7126に準拠して酸素の透過率を測定し、これをガスバリア性の評価とした。この値が低いほど、ガスバリア性に優れると判断できる。具体的には、酸素透過率測定装置(商品名:OX‐TRAN2/21ML、MOCON社製)を使用して、各フィルムの酸素透過率と、基材に使用したPETフィルムの酸素透過率を、23℃相対湿度65%(以下、23℃酸素透過度と呼ぶ)、及び、40℃相対湿度65%(以下、40℃酸素透過度と呼ぶ)の条件下でそれぞれ測定した。なお、該ガスバリア層の酸素透過度は、測定値から基材の酸素透過度に相当する分を勘案し算出した値を記載している。また、単位は、ml/m2・day・atmであり、500ml/m2・day・atmを超える値については>500と記載した。記載した値が小さいほど、ガスバリア性に優れた塗膜層であると評価できる。
使用環境温度の違いによってガスバリア性の機能低下が生じることについての温度依存性を、以下の計算方法にて数値化した。この値が小さいほど温度依存性が少なく、高温度下でのガスバリア性に優れると判断できる。本発明では、この温度依存性の値が極めて0に近くなることを一つの目的としている。
温度依存性=
(40℃相対湿度65%の酸素透過度)−(23℃相対湿度65%の酸素透過度)
各フィルムの機械強度を、破断点強度(引張試験)で評価した。破断点強度は、JIS K−7127に準拠して、オートグラフ(商品名:AGS−J、島津製作所社製)を使用した測定法によって、室温(25℃)での破断点強度を測定して評価した。この値が大きいほど、フィルムの機械強度が高いと判断できる。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する、該式(1)中のYに由来する2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂と、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物とを含むことを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
[一般式(1)中、Xは、直接結合を表すか、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかを表し、これらの基の構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基、ハロゲン原子及び繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖を含んでもよい。Yは、下記一般式(2)で示される少なくとも1つの2級アミノ基を有する構造であり、前記繰り返し単位間において、異なる構成のYが混在していてもよい。また、2つのZは、それぞれ独立に下記一般式(3)〜(6)のいずれかの構造を表し、同一の構造であっても異なる構造であっていてもよく、且つ、繰り返し単位間においても、同一の構造であっても異なる構造であってもよい。]
[一般式(2)中、Y1、Y2及びY3は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基のいずれかを表し、該構造中には、エーテル結合、スルホニル結合、水酸基及びハロゲン原子を含んでもよい。]
[一般式(3)〜(6)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、右側の結合手は、一般式(1)中の酸素原子と結合し、左側の結合手は、一般式(1)中のXと結合するか、該Xが直接結合の場合は他方のZと結合する。] - 前記2級アミノ基を主鎖中に持つポリヒドロキシウレタン樹脂が、原材料の1つに二酸化炭素を用いて合成された1分子中に2つの5員環環状カーボネート構造を有する化合物と、1分子中に、2つの1級アミノ基と、少なくとも1つの2級アミノ基とを有する構造の化合物を含むアミノ化合物との重付加反応により得られた重合物であり、前記ポリヒドロキシウレタン樹脂の全質量に占める二酸化炭素由来の−O−CO−結合の割合が、1〜30質量%である請求項1に記載のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
- さらに、前記一般式(1)中のYが、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基のいずれかの炭化水素基である繰り返し単位が混在している請求項1又は2に記載のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
- 熱硬化させて架橋樹脂皮膜を形成させるためのガスバリア性コーティング剤であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物を含んでなることを特徴とするガスバリア性コーティング剤。
- 単独層或いは多層からなるフィルムであって、少なくとも1つの層が、請求項4に記載のガスバリア性コーティング剤を熱硬化させて形成したガスバリア性を示す架橋樹脂皮膜層であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
- 前記架橋樹脂皮膜層の厚みが0.1〜100μmであり、且つ、前記フィルムの酸素透過率が、23℃相対湿度65%恒温恒湿度及び40℃相対湿度65%恒温恒湿度のいずれの環境下においても、50ml/m2・24h・atm以下である請求項5に記載のガスバリア性フィルム。
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