JP2019023501A - 軸受装置 - Google Patents

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康弘 河合
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Abstract

【課題】クリープを抑止でき、軸の回転中心線方向での位置決めを実現可能である簡易な構成の軸受装置を提供する。【解決手段】軸受装置100は、軸受嵌合穴122が形成されたハウジング120と、軸受嵌合穴122に嵌め着けられた転がり軸受130と、を備え、軸受嵌合穴122の内周面にハウジング側周方向溝124が形成され、転がり軸受130の外輪140の外周面に外輪側周方向溝144が形成され、ハウジング側周方向溝124内および外輪側周方向溝144内に嵌め込まれた止め輪180を含み、ハウジング側周方向溝124を含む面および外輪側周方向溝144を含む面は、それぞれ回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度α傾斜している。【選択図】図2

Description

本発明は、軸受装置に関し、転がり軸受の外輪または内輪のクリープを抑止し、軸の回転中心線方向での位置決めをする技術に関する。
たとえば、車両等において、動力伝達機構を収容する軽合金製のハウジングと、ハウジングに形成された軸受嵌合部に嵌め着けられた転がり軸受と、を備える軸受装置において、前記ハウジングに対する前記転がり軸受の外輪または内輪の回転、すなわちクリープを抑止し、且つその外輪を軸の回転中心線方向での位置決めをする軸受装置が知られている。
たとえば、特許文献1に記載の軸受装置がそれである。特許文献1に記載の軸受装置では、軸受嵌合部としてハウジングに形成された軸受嵌合穴の内周面と外輪の外周面とに、径方向へ凹む周方向溝がそれぞれ形成され、軸受装置の回転中心線方向に外輪を位置決めするためにそれらの周方向溝内に止め輪が嵌め込まれている。また、ハウジングの軸受嵌合穴の内周面に形成された周方向溝には、その周方向の一部が回転中心線方向へ凹む凹部が形成され、また、止め輪には、周方向の一部から回転中心線方向に突出する係止突部を有し、止め輪の係止突部が軸受嵌合穴の周方向溝の凹部に係止されている。この止め輪の係止突部とハウジングの凹部との係止により外輪のクリープが抑止される。
特開2014−105733号公報
上記軸受装置では、ハウジングに形成された軸受嵌合穴の内周面に形成された周方向溝はその周方向の一部が回転中心線方向へ凹む凹部を有するとともに、止め輪は周方向の一部から回転中心線方向に突出する係止突部を有する複雑な構成となっており、それらの加工は複雑である。
本発明は、以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、転がり軸受の外輪または内輪のクリープを抑止でき、軸の回転中心線方向での位置決めを実現可能とする軸受装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、ハウジングと、前記ハウジングに形成された軸受嵌合部に嵌合された転がり軸受と、を備える軸受装置であって、前記ハウジングの前記軸受嵌合部の嵌合面にハウジング側周方向溝が形成され、前記転がり軸受の外輪または内輪の前記軸受嵌合部と嵌合する嵌合面に軸受側周方向溝が形成され、前記ハウジング側周方向溝内および前記軸受側周方向溝内に嵌め込まれた止め輪を含み、前記ハウジング側周方向溝を含む面および前記軸受側周方向溝を含む面は、それぞれ前記転がり軸受の回転中心線に対する垂直面から所定の角度傾斜していることにある。
第2発明の要旨とするところは、前記ハウジング側周方向溝の形状および前記軸受側周方向溝の形状は、それぞれ連続した楕円であることにある。
第3発明の要旨とするところは、前記止め輪の形状は、周方向の一部に開口を有する楕円であることにある。
第4発明の要旨とするところは、前記ハウジング側周方向溝の側壁および前記軸受側周方向溝の側壁は、前記転がり軸受の回転中心線を含む断面において、前記回転中心線に対して垂直であることにある。
第5発明の要旨とするところは、前記止め輪は、一定の厚みを有し、且つ周方向の一部に開口を有するリング状の板であることにある。
第1発明の軸受装置によれば、前記ハウジング側周方向溝を含む面および前記軸受側周方向溝を含む面は、それぞれ前記転がり軸受の回転中心線に対する垂直面から所定の角度傾斜している。このため、クリープが発生して外輪または内輪がハウジングに対して回転しようとすると、軸受側周方向溝は、回転中心線方向にずれようとし、ハウジング側周方向溝および軸受側周方向溝の互いの開口部が対向しなくなるため、止め輪がハウジング側周方向溝の側壁と軸受側周方向溝の側壁との間に介在することとなり、外輪または内輪のクリープが抑止される。
第2発明の軸受装置によれば、前記ハウジング側周方向溝の形状および前記軸受側周方向溝の形状は、それぞれ連続した楕円である。このため、ハウジング側周方向溝および軸受側周方向溝を簡易な構成にでき、それらの加工も単純にすることができる。
第3発明の軸受装置によれば、前記止め輪の形状は、周方向の一部に開口を有する楕円である。このため、止め輪の周方向の全体にわたって、止め輪はハウジング側周方向溝の側壁と軸受側周方向溝の側壁との間に介在することとなるため、止め輪へのせん断の荷重が分散されることで止め輪の板厚を薄くすることができる。
第4発明の軸受装置によれば、前記ハウジング側周方向溝の側壁および前記軸受側周方向溝の側壁は、前記転がり軸受の回転中心線含む断面において、前記回転中心線に対して垂直である。このため、ハウジングに対して外輪が回転中心線方向へ相対移動しても、ハウジング側周方向溝の側壁および軸受側周方向溝の側壁から止め輪に対して、軸受側周方向溝の深さ方向成分の力は作用しないため、止め輪がハウジング側周方向溝から抜けるのが抑止される。
第5発明の軸受装置によれば、前記止め輪は、一定の厚みを有し、且つ周方向の一部に開口を有するリング状の板である。このため、止め輪を簡易な構成にでき、その加工も単純にすることができる。
本発明の実施例に係る軸受装置を含む自動変速機の要部を示す断面図である。 図1の軸受装置の要部を拡大して示す断面図である。 図2のIII−III視断面図である。 図2の軸受装置の外輪を示す図である。 図2の軸受装置の止め輪を示す斜視図である。 組み付け時の要部拡大断面図である。 クリープの抑制作用を説明するための要部拡大断面図である。 本発明の他の実施例に係る軸受装置の要部を拡大して示す断面図である。 図8の軸受装置の外輪の外周面を示す図である。 図8の軸受装置の止め輪にかかる力について示す図である。 本発明の他の実施例に係る軸受装置の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の他の実施例に係る軸受装置の外輪の外周面を示す図である。 本発明の他の実施例に係る軸受装置の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の他の実施例に係る軸受装置の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の他の実施例に係る軸受装置の要部を拡大して示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態である軸受装置を備える車両の自動変速機について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る軸受装置100を含む自動変速機24の要部を示す断面図である。回転中心線CLは、自動変速機24の回転軸の中心線である。なお、回転中心線CLの下半分は省略されている。
車両は、車体に例えばボルト止め等によって取り付けられる非回転部材としてのトランスアクスルケース20を有する。自動変速機24は、トランスアクスルケース20内に収容された状態で、図示しないエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に備えられる。
自動変速機24は、車両の走行状態に応じてエンジンからの駆動力が入力される第1入力軸16の回転速度を多段階に変換して出力する多段変速機である。自動変速機24の第2入力軸は、スプライン嵌合によって第1入力軸16と相対回転不能に連結されている。
自動変速機24は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置50を主体として構成されている第1変速部と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置54およびシングルピニオン型の第3遊星歯車装置56を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部とから構成される。
自動変速機24は、クラッチc1、c2、ブレーキb1〜b3、および一方向クラッチf1の係合または解放の組み合わせにより、第1変速部および第2変速部の各回転要素(サンギヤS1〜S3、キャリアCA1〜CA3、リングギヤR1〜R3)の連結状態の組み合わせを変化させて第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」の6つの前進ギヤ段を成立させるとともに、後退ギヤ段「R」を成立させる。このように、自動変速機24は第1入力軸16および第2入力軸18の回転を変速して出力歯車30から出力する。
たとえば、自動変速機24は、クラッチc1の係合により第1速ギヤ段を、クラッチc1とブレーキb1との係合により第2速ギヤ段を、クラッチc1とブレーキb3との係合により第3速ギヤ段を、クラッチc1とクラッチc2との係合により第4速ギヤ段を、クラッチc2とブレーキb3との係合により第5速ギヤ段を、クラッチc2とブレーキb1との係合により第6速ギヤ段を、それぞれ成立させる。また、自動変速機24は、ブレーキb2とブレーキb3との係合により後退ギヤ段を成立させ、クラッチc1、c2、ブレーキb1〜b3のすべてが解放されることによりニュートラル状態を成立させる。また、第1速ギヤ段「1st」を成立させるブレーキb2には並列に一方向クラッチf1が設けられているため、クラッチc1とブレーキb2とを係合させることで、エンジンブレーキを作用させることができる。
ここで、自動変速機24の第2変速部のキャリアCA2(CA3)および出力歯車30は、スプライン嵌合によって連結されている。出力歯車30は、例えばはすば歯車であり、噛み合わせた相手方の歯車から回転中心線方向のスラスト力を受けるため、スラストベアリングとしても機能する軸受装置100を介してトランスアクスルケース20により回転可能に支持されている。
図2は、図1の軸受装置100の要部を拡大して示す断面図であり、自動変速機24の回転軸の回転中心線CLを含む平面における断面図である。図3は、図2のIII−III視断面図であり、図4は、軸受装置100のハウジング120の軸受嵌合部である軸受嵌合穴122に嵌め着けられた外輪140の外周面を示す図である。
軸受装置100は、転がり軸受130と、転がり軸受130を支持する非回転の支持部材として機能するハウジング120と、を備える。本実施例では、図1で示したトランスアクスルケース20の一部が、ハウジング120として機能する。転がり軸受130は、外輪140、内輪150、2列の球状転動体160、保持器170、および止め輪180を備える所謂複列アンギュラ玉軸受である。自動変速機24の回転軸の回転中心線CLは、外輪140および内輪150の中心線、すなわち転がり軸受130の回転中心線と同じである。本実施例の場合、外輪140が軸受嵌合部である軸受嵌合穴122でハウジング120に固定され、内輪150が回転する転がり軸受130の回転軸となり、ハウジング120に形成された軸受嵌合穴122の内周面および外輪140の外周面が嵌合面となる。
図2に示すように、外輪140は、ハウジング120に形成された軸受嵌合穴122にしまり嵌めで嵌合されている。また、外輪140と同軸の内輪150は貫通穴158を有し、その貫通穴158には自動変速機24の出力歯車30がしまり嵌めにより嵌め着けられている。
ハウジング120は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等のダイキャスト用の軽合金製であって、焼入れ鋼である外輪140よりも塑性変形が比較的容易である。このため、軸受嵌合穴122に圧入により嵌め入れられた外輪140の抜き荷重はそれ程大きくはなく、使用中にはハウジング120に対する外輪140の回転、すなわちクリープが発生する可能性が考えられる。
図3に示すように、複数の球状転動体160が、外輪140と内輪150との間にて周方向に配置され、保持器170は、複数の球状転動体160の転動を可能とし、且つ相互に離間するように複数の球状転動体160を保持する。止め輪180は、外輪140の外周面に形成された外輪側周方向溝144内およびハウジング120の軸受嵌合穴122の内周面に形成されたハウジング側周方向溝124内の両方に渡って嵌め込まれている。なお、外輪側周方向溝144は、本発明の軸受側周方向溝に該当する。
図4に示すように、外輪140の外周面には、回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度αだけ傾斜した傾斜平面Pに沿って外輪側周方向溝144が、一定の溝幅で全周にわたって連続して形成されている。外輪側周方向溝144は、傾斜平面P上で楕円となる。なお、厳密には、外輪側周方向溝144は幅および深さを有する溝であるが、回転中心線CLを含む平面における外輪側周方向溝144の溝断面の幾何学的重心(面積中心)の軌跡をもってその溝の形状とみなすとともに、軸受側周方向溝である外輪側周方向溝144を含む面とは上記溝断面の幾何学的重心の軌跡(面積中心線)を含む面であって、傾斜平面Pと共通する。したがって、外輪側周方向溝144を含む面は、回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度αだけ傾斜している。また、外輪側周方向溝144の深さ方向は、傾斜平面Pに沿って形成されている。すなわち、外輪側周方向溝144内の側壁144wは、傾斜平面Pに平行である。言い換えると、回転中心線CLを含む断面において、外輪側周方向溝144内の側壁144wは傾斜平面Pに平行である。また、回転中心線CLを含む断面において、外輪側周方向溝144内の底面144bは、傾斜平面Pに対して垂直である。
ハウジング120の軸受嵌合穴122の内周面には、傾斜平面Pに沿ってハウジング側周方向溝124が、一定の溝幅で全周にわたって連続して形成されている。ハウジング側周方向溝124の形状は、傾斜平面P上で外輪側周方向溝144の形状と相似であり、外輪側周方向溝144よりも少し径の大きい楕円となる。なお、外輪側周方向溝144と同様に、厳密には、ハウジング側周方向溝124も幅および深さを有する溝であるが、回転中心線CLを含む平面におけるハウジング側周方向溝124の溝断面の幾何学的重心の軌跡をもってその溝の形状とみなすとともに、ハウジング側周方向溝124を含む面とは上記溝断面の幾何学的重心の軌跡を含む面であって、傾斜平面Pと共通する。したがって、ハウジング側周方向溝124を含む面は、回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度αだけ傾斜している。また、ハウジング側周方向溝124の深さ方向は、傾斜平面Pに沿って形成されている。すなわち、ハウジング側周方向溝124内の側壁124wは、傾斜平面Pに平行である。言い換えると、回転中心線CLを含む断面において、ハウジング側周方向溝124内の側壁124wは傾斜平面Pに平行である。また、回転中心線CLを含む断面において、ハウジング側周方向溝124内の底面124bは、傾斜平面Pに対して垂直である。
したがって、外輪140をハウジング120に形成された軸受嵌合穴122に嵌合させて、外輪140を回転させたとき、所定の位置において、外輪140の外輪側周方向溝144の開口部とハウジング120のハウジング側周方向溝124の開口部とは合致し、互いの開口部が対向する。
なお、本実施例における図およびその説明では、理解を容易とするために意図的に外輪側周方向溝を含む平面とハウジング側周方向溝を含む面とは、同一の傾斜平面Pとしているが、厳密にはそれぞれ異なる場合もある。その場合には、それぞれの傾斜平面と回転中心線CLに対する垂直面とがなす所定の角度もまた異なる。
図5は、軸受装置100の止め輪180を示す斜視図である。図5に示すように、止め輪180は、一定の厚みを有し、且つ周方向の一部に開口を有する、たとえばバネ鋼製のリング状の平板な鋼板である。止め輪180の板断面の中心線がなす形状は、ハウジング側周方向溝124および外輪側周方向溝144がなす楕円と同様の長軸および短軸の長さの比を有する楕円である。また、止め輪180の径方向の幅寸法は、外輪側周方向溝144の深さ寸法よりも小さい。止め輪180は、その周方向の一部に開口を有することにより、弾性的に径方向へ縮小または拡大可能となっている。
図6は、組み付け時の要部拡大断面図である。転がり軸受130の組み付けにおいては、止め輪180を弾性的に拡径させて、外輪140の外輪側周方向溝144内に止め輪180を嵌め入れる。止め輪180の径方向の幅寸法は、外輪側周方向溝144の深さ寸法よりも小さいため、止め輪180を弾性的に縮径させることで止め輪180を外輪側周方向溝144内の中に全て嵌め入れることができる。その後、外輪140の外輪側周方向溝144の開口部とハウジング120のハウジング側周方向溝124の開口部とを合致させるように嵌合させる。すると、止め輪180は弾性復帰力で再び径方向へ拡大し、止め輪180は外輪140の外輪側周方向溝144内およびハウジング120のハウジング側周方向溝124内の両方に渡って位置するように嵌め込まれることとなる。ハウジング側周方向溝124の深さ寸法は、止め輪180の径方向の幅寸法よりも小さいことが好ましい。止め輪180が外輪側周方向溝144から抜けるのを防止できるからである。
このとき、外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124の開口部における回転中心線CLに平行な方向の外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124の溝幅である開口部溝幅をw1とし、外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124の開口部における回転中心線CLに平行な方向の止め輪180の幅である開口部板幅をt1としたとき、止め輪180はその両側に合計g1(=w1−t1)の隙間を持って外輪側周方向溝144内およびハウジング側周方向溝124内に嵌め込まれることとなる。なお、外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124は、回転中心線CLに対する垂直面からそれぞれ所定の角度αだけ傾斜しているため、開口部溝幅w1は、外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124のそれぞれの溝の側壁間の距離よりも傾斜している分だけ長い。同様に、止め輪180の開口部板幅t1は、止め輪180の板厚方向に対して所定の角度αだけ傾斜しているため、板の厚みよりも傾斜している分だけ長い。
図7は、クリープの抑制作用を説明するための要部拡大断面図である。上述したように、外輪140の外輪側周方向溝144とハウジング120のハウジング側周方向溝124とが、回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度αだけ傾斜した傾斜平面Pに沿って形成されている。そのため、外輪140がハウジング120に対して相対的に回転しようとすると、外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124は、矢印に示すように回転中心線方向に相対移動しようとし、外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124の互いの開口部が対向しなくなっていく。
外輪140のクリープの発生によって、外輪側周方向溝144とハウジング側周方向溝124とが隙間gだけずれると、止め輪180は外輪側周方向溝144の側壁144wとハウジング側周方向溝124の側壁124wとに挟持されることとなり、さらに外輪側周方向溝144とハウジング側周方向溝124とが隙間gよりもずれようとすると、止め輪180にはせん断応力が生じる。このせん断応力により、外輪140とハウジング120とがこれ以上相対回転することが防止され、外輪140のクリープが抑止される。
ここで、外輪140の外周面の直径をD1とし、外輪140の外周面の回転中心線方向の幅をB1とする。このとき、所定の角度αの正接(tanα)の絶対値は、g1/D1よりも大きければ、少なくとも外輪140がハウジング120に対して一回転することを防止することができる。また、所定の角度αの正接(tanα)の絶対値は、B1/D1よりも小さくなる。
ところで、外輪140の外周面の直径をD1は、ハウジング120と転がり軸受130とが嵌合している部分、すなわち軸受嵌合部の直径Dと同じであり、外輪140の外周面の回転中心線方向の幅B1は、軸受嵌合部の回転中心線方向の幅Bと同じである。また、隙間をg1は、軸受側周方向溝である外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124の開口部における回転中心線CLに平行な方向の軸受側周方向溝である外輪側周方向溝144およびハウジング側周方向溝124の溝幅と止め輪180の幅との差分gである。
したがって、軸受嵌合部の直径をDとし、軸受嵌合部の回転中心線方向の幅をBとし、軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝の開口部における回転中心線CLに平行な方向の軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝の溝幅と止め輪の幅との差分である隙間をgとすると、所定の角度αの絶対値|α|は、下式(1)、(2)の逆三角関数で示される値の範囲である。
|α| > arctan(g/D) ・・・(1)
|α| < arctan(B/D) ・・・(2)
また、外輪140がクリープしていなくとも、外輪140が回転中心線方向に移動しようとすると、この場合も同様に、止め輪180が外輪140の外輪側周方向溝144内およびハウジング120のハウジング側周方向溝124内の両方に渡って嵌め込まれているため、外輪140が回転中心線方向に隙間gよりも移動するのを防止することができる。
本実施例の軸受装置100によれば、クリープが発生して外輪130がハウジング120に対して相対回転しようとすると、外輪側周方向溝144は回転中心線方向にずれようとし、ハウジング側周方向溝124および外輪側周方向溝144の互いの開口部が対向しなくなるため、止め輪180がハウジング側周方向溝124の側壁124wと外輪側周方向溝144の側壁144wとの間に介在することとなり、外輪130のクリープが抑止される。
また、ハウジング側周方向溝124の形状および外輪側周方向溝144の形状は、それぞれ連続した楕円であるため、ハウジング側周方向溝124および外輪側周方向溝144を簡易な構成にでき、それらの加工も単純にすることができる。
また、止め輪180の形状は、ハウジング側周方向溝124および外輪側周方向溝144がなす楕円と同様の長軸および短軸の長さの比を有する楕円であるため、クリープの抑制時には、止め輪180の周方向の全体にわたって、止め輪180はハウジング側周方向溝124の側壁124wと外輪側周方向溝144の側壁144wとの間に介在することとなるため、止め輪180へのせん断の荷重が分散されることで止め輪180の板厚を薄くすることができる。
また、止め輪180は、一定の厚みを有し、且つ周方向の一部に開口を有する楕円のリング状の平板な板であるため、止め輪180を簡易な構成にでき、その加工も単純にすることができる。
以下に述べる本発明の他の実施例2に係る軸受装置200は、実施例1に係る軸受装置100と構成が略同じであるので、異なる部分を中心に説明することとし、実施例1と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を適宜省略する。
図8は、本実施例に係る軸受装置200の要部を拡大して模式的に示す断面図であり、後述の回転中心線CLを含む平面における断面図である。図9は、軸受装置200のハウジング220の軸受嵌合部である軸受嵌合穴222に嵌め着けられた外輪240の外周面を示す図である。
軸受装置200は、転がり軸受230と、転がり軸受230を支持する非回転部材であるハウジング220と、を備える。本実施例では、図1で示したトランスアクスルケース20が、ハウジング220として機能する。転がり軸受230は、外輪240、内輪150、2列の球状転動体160、保持器170、および止め輪280を備える。自動変速機24の回転軸の回転中心線CLは、外輪240および内輪150の中心線、すなわち転がり軸受230の回転中心線と同じである。本実施例の場合、外輪240が軸受嵌合部である軸受嵌合穴222でハウジング220に固定され、内輪150が回転する転がり軸受230の回転軸となり、ハウジング220に形成された軸受嵌合穴222の内周面および外輪240の外周面が嵌合面となる。
図8に示すように、外輪240は、ハウジング220に形成された軸受嵌合穴222にしまり嵌めで嵌合されている。また、外輪240と同軸の内輪150は貫通穴158を有し、その貫通穴158には自動変速機24の出力歯車30がしまり嵌めにより嵌め着けられている。
図8および図9に示すように、実施例1と同様に、外輪240の外周面には、回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度αだけ傾斜した傾斜平面Pに沿って外輪側周方向溝244が、一定の溝幅で全周にわたって形成されている。なお、外輪側周方向溝244は、本発明の軸受側周方向溝に該当する。外輪側周方向溝244は、傾斜平面P上で楕円となる。また、ハウジング220の軸受嵌合穴222の内周面には、回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度αだけ傾斜した傾斜平面Pに沿ってハウジング側周方向溝224が、一定の溝幅で全周にわたって形成されている。ハウジング側周方向溝224の形状は、傾斜平面P上で外輪側周方向溝244の形状と相似であり、外輪側周方向溝244よりも少し径の大きい楕円となる。
なお、実施例1と同様に、本実施例においても、図およびその説明では、理解を容易とするために意図的に外輪側周方向溝を含む平面とハウジング側周方向溝を含む面とは、同一の傾斜平面Pとしているが、厳密にはそれぞれ異なる。
本実施例では、実施例1とは異なり、外輪側周方向溝244の深さ方向は、回転中心線CLに対して垂直である。すなわち、外輪側周方向溝244内の側壁244wは、回転中心線CLを含む断面において、回転中心線CLに対して垂直である。また、回転中心線CLを含む断面において、外輪側周方向溝244内の底面244bは、回転中心線CLに対して平行である。
また、ハウジング側周方向溝224の深さ方向は、回転中心線CLに対して垂直である。すなわち、ハウジング側周方向溝224内の側壁224wは、回転中心線CLを含む断面において、回転中心線CLに対して垂直である。また、回転中心線CLを含む断面において、ハウジング側周方向溝224内の底面224bは、回転中心線CLに対して平行である。
止め輪280は、外輪側周方向溝244内およびハウジング側周方向溝224内の両方に渡って嵌め込まれるのに適した形状であり、止め輪280は、外輪側周方向溝244内の側壁244wおよびハウジング側周方向溝224内の側壁224wと面接触できる形状である。すなわち、止め輪280の全体形状がなす楕円を含む傾斜平面Pに対して、リングの板の幅方向が所定の角度αだけ傾斜し、止め輪280の板の幅方向が、外輪側周方向溝244およびハウジング側周方向溝224の溝の深さ方向と平行、すなわち回転中心線CLに対して垂直となっている。したがって、止め輪280は、リングの全体形状である楕円を維持しつつ、リングの板の幅方向が全体形状である楕円を含む面に対して所定の角度αだけねじれた形状である。
図10は、本実施例の軸受装置200の止め輪280にかかる力について示す図であり、回転中心線CLを含む平面における断面図である。
外輪240のクリープの発生時または回転中心線方向への移動によって、止め輪280は、外輪側周方向溝244の側壁244wまたはハウジング側周方向溝224の側壁224wから力を受ける。図10はその一例である。ハウジング側周方向溝224の側壁224wは、回転中心線CLに対して垂直であるため、止め輪280がハウジング側周方向溝224の側壁224wから受ける力Fは、回転中心線CLに平行である。このように、力Fは外輪側周方向溝244の深さ方向成分、すなわち回転中心線CLに対して垂直な方向の成分を含まない。外輪側周方向溝244の側壁244wも同様に、回転中心線CLに対して垂直であるため、止め輪280が外輪側周方向溝244の側壁244wから受ける力も、力Fと同様に、回転中心線CLに平行である。したがって、この場合も、止め輪280が受ける力は、外輪側周方向溝244の深さ方向成分、すなわち回転中心線CLに対して垂直な方向の成分を含まない。
したがって、止め輪280は、側壁面が傾斜した止め輪溝内に断面円形の止め輪を嵌め入れた形式の抜け止め構造に比較して、弾性的に径方向へ縮小するような力を受けにくい。
本実施例の軸受装置200によれば、外輪240のクリープの発生時または回転中心線方向へ相対移動しても、ハウジング側周方向溝224の側壁224wおよび外輪側周方向溝244の側壁244wから止め輪280に対して、外輪側周方向溝240の深さ方向成分の力は作用しないため、止め輪280がハウジング側周方向溝224から抜けるのが抑止される。
図11は、本発明の他の実施例3に係る軸受装置300の要部を拡大して示す断面図であり、転がり軸受330の回転中心線CLを含む平面における断面図である。
軸受装置300について、実施例1、実施例2と異なる部分を中心に説明することとし、実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を適宜省略する。
軸受装置300は、転がり軸受330と、転がり軸受330を支持する非回転の支持部材として機能するハウジング320と、を備える。転がり軸受330は、外輪340、内輪350、2列の球状転動体160、保持器170、および止め輪380を備える所謂複列アンギュラ玉軸受である。
軸受装置300は、実施例1に係る軸受装置100および実施例2に係る軸受装置200のように、外輪がハウジングに形成された軸受嵌合穴に嵌合されているのではなく、軸受嵌合部としてハウジング320に形成された軸受嵌合軸322が内輪350にしまり嵌めで嵌合されている点が異なる。すなわち、転がり軸受330の内輪350が非回転部材であるハウジング320に形成された軸受嵌合軸322に嵌合され、外輪340が回転部材に嵌合される。
本実施例では、図1とは異なり、たとえば、図1で示したトランスアクスルケース20の一部がハウジング320として機能し、ハウジング320には軸受嵌合部として機能する軸受嵌合軸322が形成されている。ハウジング320に形成された軸受嵌合軸322には、内輪350に形成された貫通穴352がしまり嵌めにより嵌め着けられている。また、自動変速機24の出力歯車30は図示していない貫通穴を有し、外輪340は、その貫通穴にしまり嵌めにより嵌め着けられている。ハウジング320は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等のダイキャスト用の軽合金製であって、焼入れ鋼である内輪350よりも塑性変形が比較的容易である。このため、貫通穴352が圧入により嵌め入れられた軸受嵌合軸322の抜き荷重はそれ程大きくはなく、使用中には軸受嵌合軸322に対する内輪350の回転、すなわちクリープが発生する可能性が考えられる。なお、自動変速機24の回転軸の回転中心線CLは、外輪340および内輪350の中心線、すなわち転がり軸受330の回転中心線と同じである。本実施例の場合、内輪350が軸受嵌合軸322でハウジング320に固定され、外輪340が回転する転がり軸受330の回転軸となり、ハウジング320に形成された軸受嵌合軸322の外周面および内輪350の貫通穴352の内周面が嵌合面となる。
図11に示すように、止め輪380は、内輪350の貫通穴352の内周面に形成された内輪側周方向溝354内および軸受嵌合軸322の外周面に形成されたハウジング側周方向溝324内の両方に渡って嵌め込まれている。なお、内輪側周方向溝354は、本発明の軸受側周方向溝に該当する。
内輪350の貫通穴352の内周面には、回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度αだけ傾斜した傾斜平面Pに沿って内輪側周方向溝354が、一定の溝幅で全周にわたって連続して形成されている。軸受側周方向溝である内輪側周方向溝354と傾斜平面Pとの関係、および内輪側周方向溝354内の側壁、底面と傾斜平面Pとの関係は、実施例1と同様である。
軸受嵌合軸322の外周面には、傾斜平面Pに沿ってハウジング側周方向溝324が、一定の溝幅で全周にわたって連続して形成されている。ハウジング側周方向溝324と傾斜平面Pとの関係およびハウジング側周方向溝324内の側壁、底面と傾斜平面Pとの関係は、実施例1と同様である。
したがって、内輪350に形成された貫通穴352を軸受嵌合軸322に嵌合させて、内輪350を回転させたとき、所定の位置において、内輪350の内輪側周方向溝354の開口部と軸受嵌合軸322のハウジング側周方向溝324の開口部とは合致し、互いの開口部が対向する。
軸受装置300の止め輪380は、実施例1と同様の構造であり、止め輪380は内輪350の内輪側周方向溝354内および軸受嵌合軸322のハウジング側周方向溝324内の両方に渡って位置するように嵌め込まれている。
転がり軸受330の組み付けにおいては、止め輪380を弾性的に拡径させて、軸受嵌合軸322のハウジング側周方向溝324内に止め輪380を全て嵌め入れる。その後、内輪350の内輪側周方向溝354の開口部と軸受嵌合軸322のハウジング側周方向溝324の開口部とを合致させるように、軸受嵌合軸322を内輪350の貫通穴352に嵌合する。すると、止め輪380は弾性復帰力で再び径方向へ拡大し、止め輪380は内輪350の内輪側周方向溝354内および軸受嵌合軸322のハウジング側周方向溝324内の両方に渡って位置するように嵌め込まれる。
このとき、内輪側周方向溝354およびハウジング側周方向溝324の開口部における回転中心線CLに平行な方向の内輪側周方向溝354およびハウジング側周方向溝324の溝幅である開口部溝幅をw2とし、内輪側周方向溝354およびハウジング側周方向溝324の開口部における回転中心線CLに平行な方向の止め輪380の幅である開口部板幅をt2としたとき、止め輪380はその両側に合計g2(=w2−t2)の隙間を持って内輪側周方向溝354内およびハウジング側周方向溝324内に嵌め込まれることとなる。
ここで、内輪350の貫通穴352の内周面の直径をD2とし、内輪350の貫通穴352の内周面の回転中心線方向の幅をB2とする。このとき、所定の角度αの正接(tanα)の絶対値は、g2/D2よりも大きければ、少なくとも内輪350が軸受嵌合軸322に対して一回転することを防止することができる。また、所定の角度αの正接(tanα)の絶対値は、B2/D2よりも小さくなる。
ところで、内輪140の貫通穴352の内周面の直径をD2は、ハウジング320と転がり軸受330とが嵌合している部分、すなわち軸受嵌合部の直径Dと同じであり、内輪350の貫通穴352の内周面の回転中心線方向の幅B2は、軸受嵌合部の回転中心線方向の幅Bと同じである。また、隙間をg2は、軸受側周方向溝である内輪側周方向溝354およびハウジング側周方向溝324の開口部における回転中心線CLに平行な方向の軸受側周方向溝である内輪側周方向溝354およびハウジング側周方向溝324の溝幅と止め輪380の幅との差分gである。
したがって、軸受嵌合部の直径をDとし、軸受嵌合部の回転中心線方向の幅をBとし、軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝の開口部における回転中心線CLに平行な方向の軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝の溝幅と止め輪の幅との差分である隙間をgとすると、所定の角度αの絶対値|α|は、下式(3)、(4)の逆三角関数で示される値の範囲である。
|α| > arctan(g/D) ・・・(3)
|α| < arctan(B/D) ・・・(4)
なお、本実施例での上式(3)、(4)は、実施例1での式(1)、(2)と同じである。
本実施例の軸受装置300によれば、クリープが発生して内輪350が軸受嵌合軸322に対して相対回転しようとすると、内輪側周方向溝354は回転中心線方向にずれようとし、ハウジング側周方向溝324および内輪側周方向溝354の互いの開口部が対向しなくなるため、止め輪380がハウジング側周方向溝324の側壁と内輪側周方向溝354の側壁との間に介在することとなり、内輪350のクリープが抑止される。
その他、ハウジング側周方向溝324および内輪側周方向溝354を簡易な構成にできること、止め輪380の構成を簡易な構成にできること、止め輪380へのせん断の荷重を分散させることで止め輪380の板厚を薄くすることができること、およびハウジング側周方向溝324、内輪側周方向溝354、止め輪380の加工を単純にすることができることは、実施例1と同様である。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、実施例1、2、3では、軸受側周方向溝である外輪側周方向溝144、244または内輪側周方向溝354、およびハウジング側周方向溝124、224、324は、それぞれ外輪140、240または内輪350、および軸受嵌合穴122、222または軸受嵌合軸322の全周にわたって形成されていたが、一部が欠けていても良い。一部が欠けていても、転がり軸受の回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度だけ傾斜した傾斜平面Pに沿って軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝が形成されており、止め輪が軸受側周方向溝内およびハウジング側周方向溝内の両方に渡って嵌め込まれていれば、外輪または内輪のクリープを抑止することができる。
また、実施例1、2、3では、軸受側周方向溝である外輪側周方向溝144、244または内輪側周方向溝354、およびハウジング側周方向溝124、224、324は、それぞれ溝の周方向に渡って同一の傾斜平面Pに沿って形成されていたが、これに限らない。たとえば、図12に示した軸受装置400の転がり軸受430の外輪440の外周面に形成された外輪側周方向溝444およびハウジング420の軸受嵌合穴422の内周面に形成されたハウジング側周方向溝424の形状をらせん形状としたように、実施例1、2、3の軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝をらせん形状の溝としても良い。この場合であっても、軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝のごく狭い部分毎では、転がり軸受の回転中心線CLに対する垂直面から所定の角度だけ傾斜した傾斜平面に沿って形成されている。
また、実施例1、2、3では、回転中心線CLを含む断面において、軸受側周方向溝である外輪側周方向溝144、244または内輪側周方向溝354、およびハウジング側周方向溝124、224、324の溝断面の側壁と底面がなす形状は矩形であったが、これに限らない。たとえば、図13に示した軸受装置500の転がり軸受530の外輪540の外周面に形成された外輪側周方向溝544およびハウジング520の軸受嵌合穴522の内周面に形成されたハウジング側周方向溝524の溝断面の側壁と底面がなす形状を台形としたように、これを実施例1、2、3の軸受側周方向溝およびハウジング側周方向溝に適用して台形としても良い。また、台形の他、円弧、U字形などであっても良い。この場合、回転中心線CLを含む断面において、クリープ発生時に止め輪を挟んで対向する軸受側周方向溝の側壁とハウジング側周方向溝の側壁が平行であれば、軸受側周方向溝の側壁から止め輪に対して径方向に加えられる力とハウジング側周方向溝の側壁から止め輪に対して径方向に加えられる力が打ち消し合うため、止め輪が軸受側周方向溝またはハウジング側周方向溝から抜けるのが抑止される。
また、実施例1、3では、止め輪180は、一定の厚みを有し、且つ周方向の一部に開口を有する楕円のリング状の平板な鋼板とし、実施例2では、止め輪280の全体形状を楕円としつつ、リングの板の幅方向が前記楕円を含む面から所定の角度だけねじれた形状であったが、これに限らない。
たとえば、実施例1、2、3共に、止め輪180、280の形状は、楕円でなく、円形でも良い。外輪側周方向溝144、244または内輪側周方向溝354、ハウジング側周方向溝124、224、324および止め輪180、280、380の寸法を適切に設定することによって、実施例1、2、3のいずれにも円形の止め輪を適用可能であり、止め輪のコストを低くすることができる。また、止め輪は、鋼板でなくても良い。
また、実施例2において、実施例1、3と同様に、止め輪280の形状を、楕円のリング状の平板な板としても良いし、また、止め輪の全体形状を楕円ではなく、円形としつつ、リングの板の幅方向が前記円形を含む面から所定の角度だけねじれた形状としても良い。外輪側周方向溝244、ハウジング側周方向溝224、および止め輪280の寸法を適切に設定することによって、実施例2にこれらの止め輪を適用可能である。
また、実施例1、2、3共に、外輪140、240または内輪350のクリープの抑制時に、止め輪180、280、380のリングの周方向の全体にわたって複数の部分でせん断の荷重を受ける形状であれば、リングの厚みは周方向の全体にわたって一定でなく、厚みに凹凸があっても良い。また、リングの断面形状は矩形ではなく、角が丸みを帯びた矩形や楕円、円形等であっても良い。たとえば、止め輪のリングの断面形状が円形の場合を、図14に示す。図14では、軸受装置600の転がり軸受630の外輪640の外周面に形成された外輪側周方向溝644内およびハウジング620の軸受嵌合穴622の内周面に形成されたハウジング側周方向溝624内の両方に渡って位置するように止め輪680が嵌め込まれ、止め輪680のリングの断面形状は円形である。
また、実施例1では、転がり軸受130の組み付けにおいて、止め輪180を弾性的に拡径させて、外輪140の外輪側周方向溝144内に止め輪180を全て嵌め入れ、その後、弾性復帰力で止め輪180が径方向へ拡大されることで、止め輪180は、外輪140の外輪側周方向溝144内およびハウジング120のハウジング側周方向溝124内の両方に渡って位置するように嵌め込まれたが、これに限らない。たとえば、図15に示す軸受装置700の転がり軸受730のように、組み付けにおいて、止め輪780を弾性的に拡径させて、ハウジング720の軸受嵌合穴722の内周面に形成されたハウジング側周方向溝724内に止め輪780を全て嵌め入れる。その後、外輪740の外輪側周方向溝744の開口部とハウジング720のハウジング側周方向溝724の開口部とを合致させるように嵌合させる。すると、止め輪780は弾性復帰力で再び径方向へ縮小し、止め輪780は外輪740の外輪側周方向溝744内およびハウジング720のハウジング側周方向溝724内の両方に渡って位置するように嵌め込まれる。この場合、止め輪780はハウジング側周方向溝724内に全て嵌め入れられるように、止め輪780の径方向の幅寸法は、ハウジング側周方向溝724の深さ寸法よりも小さい。また、外輪側周方向溝744の深さ寸法は、止め輪780の径方向の幅寸法よりも小さいことが好ましい。止め輪780がハウジング側周方向溝724から抜けるのを防止できるからである。また、実施例3においても、止め輪を弾性的に拡径させて内輪側周方向溝内に全て嵌め入れた後、内輪側周方向溝の開口部とハウジング側周方向溝の開口部とを合致させるように嵌合させて、止め輪の弾性復帰力で止め輪を内輪側周方向溝内およびハウジング側周方向溝内の両方に渡って位置するように嵌め込まれるようにできる。
また、実施例1、2、3では、複列アンギュラ玉軸受を備える軸受装置100、200、300であったが、これに限らない。たとえば、単列アンギュラ玉軸受、深溝玉軸受、4点接触玉軸受等の他のラジアル玉軸受、スラスト玉軸受、ラジアルころ軸受、およびスラストころ軸受などの転がり軸受を備える軸受装置にも本発明は適用可能である。
また、実施例1、2、3では、ハウジング120、220、320は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等のダイキャスト用の軽合金製であってが、これに限らない。ハウジングは、ダイキャスト用の鋳鉄製や鋳鋼のような鋼材製等でも良く、また、ハウジングは、ダイキャスト以外の製造方法で作製されたものでも良い。
なお、実施例1、2、3では、車両の自動変速機に適用した例を説明したが、これに限らない。本発明は自動変速機の他、HV用の電動機の軸受装置へも適用可能であり、また、車両に限らず、他の用途の軸受装置にも適用可能である。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
16:第1入力軸
18:第2入力軸
20:トランスアクスルケース(ハウジング)
24:自動変速機
30:出力歯車
50:第1遊星歯車装置
54:第2遊星歯車装置
56:第3遊星歯車装置
100、200、300:軸受装置
120、220、320:ハウジング
122、222:軸受嵌合穴(軸受嵌合部)
124、224、324:ハウジング側周方向溝
130、230、330:転がり軸受
140、240、340:外輪
144、244:外輪側周方向溝(軸受側周方向溝)
150、350:内輪
322:軸受嵌合軸(軸受嵌合部)
354:内輪側周方向溝(軸受側周方向溝)
160:球状転動体
170:保持器
180、280、380:止め輪
b1〜b3:ブレーキ
c1、c2:クラッチ
CA1〜CA3:キャリア
CL:回転中心線
f1:一方向クラッチ
R1〜R3:リングギヤ
S1〜S3:サンギヤ
P:傾斜平面(軸受側周方向溝を含む面およびハウジング側周方向溝を含む面)

Claims (5)

  1. ハウジングと、前記ハウジングに形成された軸受嵌合部に嵌合された転がり軸受と、を備える軸受装置であって、
    前記ハウジングの前記軸受嵌合部の嵌合面にハウジング側周方向溝が形成され、前記転がり軸受の外輪または内輪の前記軸受嵌合部と嵌合する嵌合面に軸受側周方向溝が形成され、前記ハウジング側周方向溝内および前記軸受側周方向溝内に嵌め込まれた止め輪を含み、
    前記ハウジング側周方向溝を含む面および前記軸受側周方向溝を含む面は、それぞれ前記転がり軸受の回転中心線に対する垂直面から所定の角度傾斜している
    ことを特徴とする軸受装置。
  2. 前記ハウジング側周方向溝の形状および前記軸受側周方向溝の形状は、それぞれ連続した楕円である
    ことを特徴とする請求項1の軸受装置。
  3. 前記止め輪の形状は、周方向の一部に開口を有する楕円である
    ことを特徴とする請求項1または2の軸受装置。
  4. 前記ハウジング側周方向溝の側壁および前記軸受側周方向溝の側壁は、前記転がり軸受の回転中心線を含む断面において、前記回転中心線に対して垂直である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1の軸受装置。
  5. 前記止め輪は、一定の厚みを有し、且つ周方向の一部に開口を有するリング状の板である
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1の軸受装置。
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