JP2019021757A - 封止用フィルムおよび電子部品搭載基板の封止方法 - Google Patents

封止用フィルムおよび電子部品搭載基板の封止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、電子部品搭載基板が備える電子部品の搭載に起因して生じる凹凸に対する優れた追従性、および、電子部品への電磁波によるノイズの影響を軽減するための電磁波シールド性を付与して封止することができる封止用フィルム、かかる封止用フィルムを用いた電子部品搭載基板の封止方法、ならびに、かかる封止用フィルムを備える封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を提供すること。【解決手段】本発明の封止用フィルム100は、電子部品搭載基板45を封止するのに用いられ、絶縁層12と電磁波シールド層13とを備えるものであり、電磁波シールド層13は突出部15を備え、絶縁層12および電磁波シールド層13は樹脂材料を含有し、封止用フィルム100は軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であり、かつ、電子部品搭載基板45に形成される凹凸6に対応する凹凸7を予め備える。【選択図】図3

Description

本発明は、封止用フィルムおよび電子部品搭載基板の封止方法に関するものである。
従来、携帯電話、スマートフォン、電卓、電子新聞、タブレット端末、テレビ電話、パーソナルコンピュータのような電子機器には、例えば、半導体素子、コンデンサー、コイルのような電子部品が搭載された電子部品搭載基板が実装されるが、この電子部品搭載基板は、湿気や埃等の外部因子との接触を防止することを目的に、樹脂により封止がなされることがある。
このような樹脂による封止は、例えば、電子部品搭載基板を金属キャビティ内に配置した後に、流動性の高いウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂を注入して封止するポッティング法の他、熱可塑性樹脂を溶融状態で電子部品搭載基板に塗布した後に、固化させることで塗布した領域をコーティング(封止)するコーティング法が知られている。
しかしながら、ポッティング法では、熱硬化性樹脂の硬化に時間を要し、さらには、通常、封止に金属キャビティを要するため、得られる電子機器の重量化を招くと言う問題があった。また、コーティング法では、溶融状態とする熱可塑性樹脂の粘度管理、および、熱可塑性樹脂の塗布領域に対する塗り分けに時間と手間を有すると言う問題があった。
かかる問題点を解決することを目的に、ホットメルト性を有するバリアフィルムを電子部品搭載基板に貼付することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところが、この場合、電子部品搭載基板が電子部品を備えることに起因して形成される凹凸に対する追従性が十分に得られず、その結果、湿気や埃等の外部因子に対するバリア性を十分に向上させるには至っていない。
また、湿気や埃等の外部因子に対するバリア性を付与する他に、前記電子部品に対する電磁波によるノイズの影響を軽減するための電磁波シールド性を、バリアフィルム(封止用フィルム)に付与することが求められることがあった。
さらに、例えば、電子部品搭載基板の全面をバリアフィルムで覆うと、電子部品搭載基板をその外部と電気的に接続するための電極を電子部品搭載基板が備える場合、この電極もバリアフィルムで覆われ、その結果、電極と外部との電気的な接続を確保することが困難となることもあった。
特開2009−99417号公報
本発明の目的は、電子部品搭載基板が備える電子部品の搭載に起因して生じる凹凸に対する優れた追従性、および、電子部品への電磁波によるノイズの影響を軽減するための電磁波シールド性を付与して封止することができる封止用フィルム、かかる封止用フィルムを用いた電子部品搭載基板の封止方法、ならびに、かかる封止用フィルムを備える封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 基板と、該基板の一方の面側に搭載された電子部品とを備える電子部品搭載基板を封止するのに用いられ、絶縁層と、該絶縁層の一方の面側に積層された電磁波シールド層とを備える封止用フィルムであって、
前記絶縁層および前記電磁波シールド層は、ともに、樹脂材料を含有し、当該封止用フィルムは、JIS K 6251に準拠して求められる軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であり、かつ、前記基板に前記電子部品が搭載されることで前記電子部品搭載基板に形成される凹凸に対応する凹凸を予め備えることを特徴とする封止用フィルム。
(2) 前記電子部品搭載基板において、前記電子部品に対応して形成される前記凹凸の凸部の高さをH[mm]とし、当該封止用フィルムにおいて、前記電子部品搭載基板が備える前記凸部に対応して予め形成された、前記凹凸の凹部の深さをD[mm]としたとき、1.0<H/D<1.4なる関係を満足する上記(1)に記載の封止用フィルム。
(3) 前記電子部品搭載基板は、前記基板の一方の面側または他方の面側に、前記電子部品に電気的に接続された電極を備え、前記電磁波シールド層は、前記絶縁層の端部を越えて突出する突出部を備えており、
前記電子部品搭載基板を封止する際に、前記突出部は、前記電極に接触するよう構成されている上記(1)または(2)に記載の封止用フィルム。
(4) 前記電子部品搭載基板は、前記基板の一方の面の縁部、もしくは前記電子部品の周囲に、前記電極を備える上記(3)に記載の封止用フィルム。
(5) 前記電極は、グランド電極である上記(3)または(4)に記載の封止用フィルム。
(6) 当該封止用フィルムは、25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率が100ppm/K以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の封止用フィルム。
(7) 前記絶縁層および前記電磁波シールド層のうち少なくとも一方は、前記樹脂材料として、ポリオレフィン系樹脂を含有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の封止用フィルム。
(8) 当該封止用フィルムは、その平均厚さが10μm以上700μm以下である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の封止用フィルム。
(9) 前記基板は、プリント配線基板である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の封止用フィルム。
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の封止用フィルムを用いて、前記基板と前記電子部品とを封止する電子部品搭載基板の封止方法であって、
前記基板と前記電子部品とを覆うように、前記絶縁層を前記電子部品搭載基板側にし、かつ、前記電子部品搭載基板に形成される前記凹凸に、前記封止用フィルムが予め備える前記凹凸に対応させて前記封止用フィルムを配置する配置工程と、
前記封止用フィルムを加熱し軟化させるとともに、減圧する加熱・減圧工程と、
前記封止用フィルムを冷却させるとともに、加圧することで、前記基板と前記電子部品とを前記封止用フィルムで封止する冷却・加圧工程とを有することを特徴とする電子部品搭載基板の封止方法。
本発明では、封止用フィルムを構成する絶縁層および電磁波シールド層がともに樹脂材料を主材料として構成され、封止用フィルムは、JIS K 6251に準拠して求められる軟化点における封止用フィルムの伸び率が150%以上3500%以下となっており、かつ、基板に電子部品が搭載されることで電子部品搭載基板に形成される凹凸に対応する凹凸を予め備えている。そのため、基板と電子部品と電極とを覆い、かつ、電子部品搭載基板に形成された凹凸に、封止用フィルムが予め備える凹凸が対応するように封止用フィルムを配置し、その後、封止用フィルムを加熱し軟化させるとともに減圧した後に、封止用フィルムを冷却、かつ、加圧する工程を経ることにより、電子部品搭載基板に形成された凹凸に対して、優れた追従性をもって封止した状態で、基板と電子部品と電極とを被覆することができる。そのため、この封止用フィルムを被覆することで得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板において、電子部品が湿気や埃等の外部因子と接触するのを的確に抑制または防止することができる。
また、封止用フィルムにより、基板と電子部品とを被覆する際に、電子部品は、絶縁層を介して電磁波シールド層で封止されるため、得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板は、電子部品への電磁波によるノイズの影響が的確に抑制または防止されたものとなる。
さらに、電磁波シールド層が絶縁層の端部を越えて突出する突出部を備え、封止用フィルムにより、電子部品の他に、さらに、電極をも被覆する場合には、電極は、導電性を有する電磁波シールド層と接触して封止され、そのため、得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板おいて、この電磁波シールド層を介した電極と外部との電気的な接続を確保することが可能となる。
本発明の封止用フィルムの第1実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す封止用フィルムを製造する製造方法を説明するための縦断面図である。 図1に示す封止用フィルムを用いて電子部品搭載基板の封止方法を説明するための縦断面図である。 本発明の封止用フィルムの第2実施形態を示す縦断面図である。 図4に示す封止用フィルムを製造する製造方法を説明するための縦断面図である。 図4に示す封止用フィルムを用いて電子部品搭載基板の封止方法を説明するための縦断面図である。
以下、本発明の封止用フィルムおよび電子部品搭載基板の封止方法を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
本発明の封止用フィルムは、基板と、該基板の一方の面側に搭載された電子部品と、前記基板の前記一方の面側に設けられ、前記電子部品に電気的に接続された電極とを備える電子部品搭載基板を封止するのに用いられ、絶縁層と、該絶縁層の一方の面側に積層された電磁波シールド層とを備えるものであり、絶縁層および電磁波シールド層は、ともに、樹脂材料を含有し、この封止用フィルムは、JIS K 6251に準拠して求められる軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であり、かつ、基板に電子部品が搭載されることで電子部品搭載基板に形成される凹凸に対応する凹凸を予め備えることを特徴とする。
また、本発明の電子部品搭載基板の封止方法は、上記の封止用フィルムを用いて、基板と電子部品とを封止する封止方法であり、基板と電子部品とを覆うように、絶縁層を電子部品搭載基板側にし、かつ、電子部品搭載基板に形成される凹凸に、封止用フィルムが予め備える凹凸を対応させて封止用フィルムを配置する配置工程と、封止用フィルムを加熱し軟化させるとともに、減圧する加熱・減圧工程と、封止用フィルムを冷却させるとともに、加圧することで、基板と電子部品とを封止用フィルムで封止する冷却・加圧工程とを有することを特徴とする。
このような封止用フィルムを用いて、基板上に電子部品および電極が搭載されることにより形成された凹凸の被覆に適用すると、前記冷却・加圧工程において、軟化された状態の封止用フィルムが、加圧された状態で冷却される。さらに、配置工程において、封止用フィルムは、電子部品搭載基板に形成される凹凸に、この封止用フィルムが予め備える凹凸を対応させて配置される。これらのことから、封止用フィルムにより基板と電子部品とを優れた追従性をもって封止した状態で、被覆することができる。そのため、この封止用フィルムを被覆することで得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板において、電子部品が湿気や埃等の外部因子と接触するのを的確に抑制または防止することができる。したがって、得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板ひいてはこの封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を備える電子機器の信頼性の向上を図ることができる。
また、封止用フィルムにより、基板と電子部品と電極とを被覆する際に、電子部品は、絶縁層を介して電磁波シールド層で封止される。そのため、得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板は、電子部品への電磁波によるノイズの影響が的確に抑制または防止されたものとなる。
さらに、電磁波シールド層が絶縁層の端部を越えて突出する突出部を備え、封止用フィルムにより、電子部品の他に、さらに、電極をも被覆する場合には、電極は、突出部において導電性を有する電磁波シールド層と接触して封止され、そのため、得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板おいて、この電磁波シールド層を介した電極と外部との電気的な接続を確保することが可能となる。
<封止用フィルム>
<<第1実施形態>>
まず、本発明の封止用フィルム100の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の封止用フィルムの第1実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す封止用フィルムを製造する製造方法を説明するための縦断面図、図3は、図1に示す封止用フィルムを用いて電子部品搭載基板の封止方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1〜図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
封止用フィルム100は、絶縁層12と、この絶縁層12の一方の面側(上面側)に積層された電磁波シールド層13とを備え、絶縁層12および電磁波シールド層13が、ともに、樹脂材料を含有し、JIS K 6251に準拠して求められる軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であり、かつ、基板5に電子部品4が搭載されることで電子部品搭載基板45に形成される凹凸6に対応して予め形成された凹凸7を備えるものである。
この封止用フィルム100により被覆される電子部品搭載基板45は、本実施形態では、基板5と、基板5の上面(一方の面)の中央部に搭載(載置)された電子部品4と、この電子部品4に電気的に接続され、基板5の上面の端部に形成された電極3とを備えている。このような電子部品搭載基板45において、基板5の上面への電子部品4および電極3の搭載により、基板5上に凸部61と凹部62とからなる凹凸6が形成され、この凹凸6が、封止用フィルム100を用いて被覆される。
なお、基板5としては、例えば、プリント配線基板が挙げられ、基板5上に搭載する電子部品4としては、例えば、半導体素子、コンデンサー、コイル、コネクターおよび抵抗等が挙げられ、電極3としては、例えば、外部から電気を供給するための電源と接続するための電極、他の電子部品と電気的に接続するための電極、および、電子部品4を接地するためのグランド電極等が挙げられる。
このような電子部品搭載基板45の被覆に用いられる、絶縁層12と電磁波シールド層13とを備える積層体で構成される封止用フィルム100は、前記伸び率が前記範囲内を満足し得るものであれば、これら絶縁層12と電磁波シールド層13とに含まれる樹脂材料(熱可塑性樹脂材料)は、如何なるもので構成されていてもよいが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン共重合体、延伸ポリプロピレン、未延伸ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−6T、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とからなるナイロン−6I、ノナンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−9T、メチルペンタジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−M5T、カプロラクタムとラウリルラクタムとからなるナイロン−6,12、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とカプロラクタムとからなるナイロン−6−6,6のようなポリアミド系樹脂、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニルおよびポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、絶縁層12および電磁波シールド層13のそれぞれに含まれる樹脂材料は、同一のものであってもよいし、異なるものであっても良い。
また、樹脂材料を含有する絶縁層12および電磁波シールド層13のうち、絶縁層12は、前記樹脂材料を主材料として含有する層で構成され、電磁波シールド層13は、前記樹脂材料と、導電性を備える導電性粒子とを含有する層で構成される。絶縁層12および電磁波シールド層13をかかる構成のものとすることで、絶縁層12を、絶縁性を有し、電磁波シールド層13を、導電性および電磁波シールド性の双方を有するものとし得る。
上記のような樹脂材料を含有する絶縁層12と電磁波シールド層13とを備える封止用フィルム100は、ポリオレフィン系樹脂を前記樹脂材料として含有する層を、絶縁層12および電磁波シールド層13のうちの少なくとも1層として備えることが好ましい。これにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を容易に150%以上3500%以下に設定することができる。
そこで、以下では、前記樹脂材料を主材料として含有する絶縁層12と、前記樹脂材料と導電性粒子とを含有する電磁波シールド層13とを備え、絶縁層12に含まれる樹脂材料がポリオレフィン系樹脂である封止用フィルム100を、一例として説明する。
絶縁層12は、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下に設定して、凹凸6への密着性および形状追従性に優れたものとすることを目的に、本実施形態では、ポリオレフィン系樹脂(エチレン共重合体)としてのエチレン−酢酸ビニル共重合体を主材料として含有する層である。
また、絶縁層12は、樹脂材料(ポリオレフィン系樹脂)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を主材料として含有することで、絶縁性を備える層であり、電子部品搭載基板45を封止用フィルム100で被覆する際に、電子部品4と導電性を有する電磁波シールド層13との間に介在することで、電子部品4同士、さらには電子部品4と電極3との間で短絡が生じるのを防止するための層として機能する。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、共重合されるVA含有量が5重量%以上30重量%以下であることが好ましく、10重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。前記下限値未満であると、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を前記範囲内に設定することが困難となるおそれがある。これに対して、前記上限値を超えると、絶縁層12を構成する樹脂の結晶部が減少し、非結晶部が増加する傾向を示すことに起因して、絶縁層12に残存する酸化防止剤等の添加剤が溶出するおそれがある。そのため、電子部品搭載基板45側に移行し、その結果、電子部品4の特性に不都合が生じるおそれがある。
また、絶縁層12の平均厚さは、5μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上120μm以下であることがより好ましい。絶縁層12の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
なお、絶縁層12に含まれる樹脂材料としては、ポリオレフィン系樹脂(エチレン共重合体)としてのエチレン−酢酸ビニル共重合体の他、後述する電磁波シールド層13に含まれるアイオノマー樹脂であってもよいし、エチレン−酢酸ビニル共重合体以外のポリオレフィン系樹脂であってもよいし、さらには、ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートのようなポリエステル樹脂等であってもよい。
電磁波シールド層13は、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下に設定して、凹凸6への密着性および形状追従性に優れたものとすること、さらには、封止用フィルム100を強靱性に優れたものとすることを目的に、本実施形態では、樹脂材料としてアイオノマー樹脂を含有する。また、この樹脂材料(アイオノマー)は、下記の導電性材料を層中に保持するバインダーとしても機能する。
また、電磁波シールド層13は、樹脂材料としてアイオノマー樹脂の他に、さらに、導電性を有する導電性粒子を含有することで、導電性および電磁波シールド性を備える層である。そして、この電磁波シールド層13は、本実施形態では、絶縁層12よりも大きく形成され、その中央部において絶縁層12が積層されるが、端部において、絶縁層12の端部を越えて突出することで形成された突出部15を備えている。
このような電磁波シールド層13により、電子部品搭載基板45を封止用フィルム100で被覆する際に、その中央部では、絶縁層12を介して、電子部品4が被覆される。そのため、電子部品搭載基板45を封止用フィルム100で被覆することで得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50を、電子部品4への電磁波によるノイズの影響が的確に抑制または防止されたものとすることができる。さらに、電磁波シールド層13の端部では、絶縁層12が介在することなく、導電性を有する突出部15が電極3を直接被覆することで、電極3が突出部15(電磁波シールド層13)に電気的に接続される。そのため、得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50において、この突出部15を介した電極3と外部との電気的な接続を確保することが可能となる。
ここで、本明細書中において、樹脂材料としてのアイオノマー樹脂とは、エチレンおよび(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体や、エチレン、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を、金属イオンで架橋した樹脂のことを言い、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。
また、金属イオンとしては、例えば、カリウムイオン(K)、ナトリウムイオン(Na)、リチウムイオン(Li)、マグネシウムイオン(Mg++)、亜鉛イオン(Zn++)等が挙げられる。これらの中でも、ナトリウムイオン(Na)または亜鉛イオン(Zn++)であることが好ましい。これにより、アイオノマー樹脂における架橋構造が安定化されるため、前述した電磁波シールド層13としての機能をより顕著に発揮させることができる。
さらに、エチレンおよび(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体、もしくは、エチレン、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルを重合体の構成成分とする3元共重合体のカルボキシル基における陽イオン(金属イオン)による中和度は、好ましくは40mol%以上75mol%以下である。
また、導電性粒子は、電磁波シールド層13に導電性および電磁波シールド性の双方を付与し得るものであれば、特に限定されず、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケルおよびアルミニウム、またはこれらを含む合金のような金属、および、AFe(式中、Aは、Mn、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるフェライト、ITO、ATO、FTOのような金属酸化物等を含むものが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、導電性粒子は、このような金属および/または金属酸化物を含むものの他、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレンのような導電性高分子、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンブラックのような炭素系材料を含有するものであってもよい。
導電性粒子の平均粒径は、1.0μm以上40.0μm以下であるのが好ましく、3.0μm以上8.0μm以下であるのがより好ましい。これにより、導電性粒子を電磁波シールド層13中に均一に分散させることができる。そのため、電磁波シールド層13を、このものとしての特性を均質に発揮するものとできる。
また、電磁波シールド層13中における導電性粒子の含有量は、10重量%以上95重量%以下であることが好ましく、50重量%以上90重量%以下であることがより好ましい。導電性粒子の含有量をかかる範囲内に設定することにより、電磁波シールド層13に導電性および電磁波シールド性の双方を確実に付与しつつ、封止用フィルム100の軟化点における伸び率が150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定されているものとし得る。
また、電磁波シールド層13の平均厚さは、1μm以上400μm以下であることが好ましく、5μm以上200μm以下であることがより好ましい。電磁波シールド層13の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100を強靱性に優れ、かつ、封止用フィルム100の軟化点における伸び率が150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定されているものとし得る。さらに、電磁波シールド層13に、導電性および電磁波シールド性の双方を確実に付与することができる。
なお、電磁波シールド層13に含まれる樹脂材料としては、アイオノマー樹脂の他、絶縁層12に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体や、それ以外のポリオレフィン系樹脂であってもよいし、ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートのようなポリエステル樹脂等であってもよい。
また、封止用フィルム100では、絶縁層12と電磁波シールド層13との間には、接着性を付与したり、あるいは接着性を高めるために必要に応じて接着層を設けるようにすることもできる。また、絶縁層12と電子部品搭載基板45との間の接着性を高めるために、必要に応じて絶縁層12の内側に接着層を設けることもできる。
接着層に含まれる接着性樹脂としては、例えば、EVA、エチレン−無水マレイン酸共重合体、EAA、EEA、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、あるいは、各種ポリオレフィンに、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸またはこれらの無水物をグラフトさせたもの、例えば、マレイン酸グラフト化EVA、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等、公知の粘着性樹脂や接着性樹脂を適宜、使用することができる。
ここで、封止用フィルム100を、上記のような構成の電磁波シールド層13と絶縁層12とを備える多層体とすることにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を比較的容易に150%以上3500%以下に設定することができるが、この伸び率は、150%以上3500%以下であればよいが、600%以上3500%以下であることが好ましく、2000%以上3500%以下であることがより好ましい。これにより、封止用フィルム100を用いて、電子部品搭載基板45が備える凹凸6の被覆に適用した際に、凹凸6の形状に対して優れた追従性をもって封止した状態で被覆することができ、かつ、封止用フィルム100の途中で破断されるのを的確に抑制または防止することができる。
また、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を前記範囲内とすることにより、基板5に設けられた凹凸6における段差が10mm以上のように段差が大きいものであったとしても、封止用フィルム100を凹凸6の形状に対応して追従させることができる。
なお、破断伸び(軟化点における伸び率)の測定は、オートグラフ装置(例えば、島津製作所製、AUTOGRAPH AGS−X等)を用いて、JIS K 6251に記載の方法に準拠して測定することができる。
また、封止用フィルム100の軟化点は、動的粘弾性測定装置(例えば、セイコーインスツル社製、EXSTAR6000等)を用いて、チャック間距離20mm、昇温速度5℃/分および角周波数10Hzの条件で測定し得る。
さらに、封止用フィルム100の25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率は、350ppm/K以下であることが好ましく、5ppm/K以上40ppm/K以下であることがより好ましい。封止用フィルム100の25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率がこのような範囲の値であると、封止用フィルム100の加熱時において、封止用フィルム100は、優れた伸縮性を有するものとなるため、封止用フィルム100の凹凸6に対する形状追従性をより確実に向上させることができる。さらに、封止用フィルム100と、基板5、電子部品4さらには電極3との間で、優れた密着性を維持することができるため、電子部品搭載基板45の駆動を繰り返すことで生じる発熱に起因する封止用フィルム100の電子部品搭載基板45からの剥離をより的確に抑制または防止することができる。なお、封止用フィルム100の線膨張率は、例えば、動的粘弾性測定装置(例えば、セイコーインスツル社製、EXSTAR6000等)を用いて算出し得る。
ここで、本発明では、前述のとおり、封止用フィルム100は、さらに、図1、図2(a)に示すように、基板5に電子部品4が搭載されることで電子部品搭載基板45に形成される凹凸6に対応する凹凸7を予め備えている。すなわち、封止用フィルム100は、電子部品搭載基板45が備える凹凸6の凸部61に対応して予め形成された、凹凸7の凹部72と、電子部品搭載基板45が備える凹凸6の凹部62に対応して予め形成された、凹凸7の凸部71とを備えている。このように、電子部品搭載基板45の凹凸6の形状に対応した凹凸7を封止用フィルム100が予め備えていることにより、封止用フィルム100を用いて、電子部品搭載基板45が備える凹凸を被覆する際に、凹凸6の形状に対して優れた追従性をもって封止した状態で被覆することができる。
また、電子部品搭載基板45における凹凸6の凸部61の高さをH[mm]とし、封止用フィルム100における凹凸7の凹部62の深さをD[mm]としたとき、1.0<H/D<1.4なる関係を満足することが好ましく、1.0<H/D<1.2なる関係を満足することがより好ましい。かかる関係を満足することにより、封止用フィルム100を用いて、電子部品搭載基板45が備える凹凸を被覆する際に、封止用フィルム100を加熱することで、予め凹凸7が形成された封止用フィルム100において、たとえ収縮が生じたとしても、封止用フィルム100の一部において、剥がれや、破断が生じるのを的確に抑制または防止することができる。
さらに、封止用フィルム100において、電磁波シールド層13は、本実施形態では、絶縁層12よりも大きく形成され、その端部が絶縁層12の端部(縁部)から露出すること、換言すれば、絶縁層12の端部を越えて突出することで形成された突出部15を備えている。そのため、この封止用フィルム100を用いた被覆の際に、基板5の上面側の端部に形成された電極3に、突出部15を接触させた状態とすることができる。したがって、この突出部15は、電磁波シールド層13で構成され導電性を有することから、得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50において、この電磁波シールド層13を介した電極3と外部との電気的な接続を確保することができる。
また、この突出部15の長さは、特に限定されないが、0.1cm以上2.5cm以下であることが好ましく、0.5cm以上1.5cm以下であることがより好ましい。突出部15の長さをかかる範囲内に設定することにより、突出部15を、基板5の上面側の端部に形成された電極3に到達させることができるため、突出部15と電極3との電気的な接続をより確実に実現することができる。
また、封止用フィルム100の全体としての平均厚さは、10μm以上700μm以下であることが好ましく、20μm以上400μm以下であることがより好ましい。封止用フィルム100の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100の途中において、封止用フィルム100が破断するのを的確に抑制または防止し得るとともに、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
(封止用フィルムの製造方法)
以上のような構成をなす、本実施形態の封止用フィルム100は、例えば、以下に示すような封止用フィルムの製造方法により製造することができる。
封止用フィルムの製造方法は、平板状(シート状)をなす封止用フィルム100を用意した後に、この封止用フィルム100を、型取り用母型基板85が有する凹凸8を覆うように配置する配置工程と、封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、減圧する加熱・減圧工程と、封止用フィルム100を冷却させるとともに、加圧することで、型取り用母型基板85の凹凸8を封止用フィルム100で被覆する冷却・加圧工程と、凹凸7を備える封止用フィルム100を型取り用母型基板85から離脱させる離脱工程とを有する。
以下、電子部品搭載基板の封止方法の各工程について、順次説明する。
(配置工程)
まず、平板状(シート状)をなす封止用フィルム100と、凹凸8を有する型取り用母型基板85とを用意した後に、図2(a)に示すように、封止用フィルム100が備える電磁波シールド層13および絶縁層12のうち絶縁層12を、型取り用母型基板85に対向させた状態で、型取り用母型基板85の凹凸8を覆うように、封止用フィルム100を型取り用母型基板85上に配置する。
なお、平板状をなす封止用フィルム100を製造する製造方法については、特に限定されず、例えば、公知の共押出法、ドライラミネート法、押出ラミ法、塗工積層等を用いて、電磁波シールド層13と絶縁層12とを成膜および積層を行うことにより、平板状をなす封止用フィルム100を得ることができる。
また、型取り用母型基板85は、その凹凸8が、基板5上に電子部品4および電極3を搭載することにより得られる電子部品搭載基板45に形成される凹凸6に対応した形状をなしており、樹脂材料または金属材料等の構成材料で構成され、例えば、金型等の型を用いて形成することができる他、前記構成材料で構成される平板を凹凸8(凸部81、凹部82)の形状に対応してエッチングすること等により製造することができる。
(加熱・減圧工程)
次に、図2(b)に示すように、封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、減圧する。
このように、封止用フィルム100を加熱することにより、封止用フィルム100すなわち電磁波シールド層13および絶縁層12が軟化し、その結果、型取り用母型基板85が備える凹凸8(凸部81、凹部82)の形状に対して、追従し得る状態となる。
また、この際、型取り用母型基板85および封止用フィルム100を、減圧雰囲気下に配置することで、封止用フィルム100の上側ばかりでなく、型取り用母型基板85と封止用フィルム100との間の気体(空気)が脱気される。
これにより、封止用フィルム100が伸展しながら、型取り用母型基板85が備える凹凸8の形状に若干追従した状態となる。
本工程により、型取り用母型基板85に形成された凹凸8の形状に対して、封止用フィルム100を、追従し得る状態とすることができる。
なお、封止用フィルム100の加熱と、雰囲気の減圧とは、加熱の後に減圧してもよく、減圧の後に加熱してもよいが、加熱と減圧とをほぼ同時に行うことが好ましい。これにより、軟化した封止用フィルム100を、凹凸8の形状に確実に若干追従した状態とすることができる。
(冷却・加圧工程)
次に、図2(c)に示すように、封止用フィルム100を冷却させるとともに、加圧する。
このように、減圧された雰囲気から加圧することで、前記加熱・減圧工程において、型取り用母型基板85と封止用フィルム100との間が脱気され、減圧状態が維持されていることから、封止用フィルム100がさらに伸展することとなり、その結果、凹凸8の形状に優れた密着度(気密度)で追従した状態で、軟化した状態の封止用フィルム100により、型取り用母型基板85が被覆される。なお、前記加熱減圧工程において、凹凸8の形状に対応して封止用フィルム100が十分追従していれば、加圧工程を省略することができる。
この際、本発明では、封止用フィルム100の軟化点における伸び率が150%以上3500%以下となっている。そのため、封止用フィルム100は、この加圧時に、型取り用母型基板85に形成された凹凸8(凸部81、凹部82)に対してより優れた形状追従性をもって伸展させることができるため、軟化した状態の封止用フィルム100により、型取り用母型基板85を優れた追従性をもって被覆することができる。
そして、封止用フィルム100により、型取り用母型基板85を、優れた追従性(気密性)をもって被覆した状態で、封止用フィルム100を冷却することで、この状態を維持したまま、封止用フィルム100が固化する。
また、型取り用母型基板85は、前述の通り、1つの構成材料により構成され、凹凸8が一体的に形成されている。そのため、かかる観点からも、基板5上に電子部品4および電極3を搭載することにより凹凸6が形成される電子部品搭載基板45に、封止用フィルム100を被覆する場合と比較して、型取り用母型基板85に形成された凹凸8に対して、優れた追従性(気密性)をもって封止用フィルム100を被覆することができる。
なお、封止用フィルム100の冷却と、雰囲気の加圧とは、加圧の後に冷却してもよいが、冷却と加圧とをほぼ同時に行うことが好ましい。これにより、凹凸8の形状に対応して、封止用フィルム100をより優れた追従性をもって被覆させることができる。
(離脱工程)
次に、図2(d)に示すように、封止用フィルム100を型取り用母型基板85から離脱させる。
これにより、型取り用母型基板85の凹凸8、すなわち、電子部品搭載基板45が有する凹凸6の形状に対応した凹凸7(凸部71、凹部72)を備える封止用フィルム100が形成される。
なお、型取り用母型基板85が有する凹凸8には、配置工程に先立って、フッ素系離型剤およびシリコーン系離型剤のような離型剤による表面処理を施すようにしてもよい。これにより、本工程における、封止用フィルム100の型取り用母型基板85からの離脱をより円滑に実施することができる。
上記の工程を経ることで、電子部品搭載基板45が有する凹凸6の形状に対応した凹凸7を予め備える封止用フィルム100を得ることができる。
(電子部品搭載基板の封止方法)
次に、上述した本発明の封止用フィルムを用いた電子部品搭載基板の封止方法(本発明の電子部品搭載基板の封止方法)について説明する。
本発明の電子部品搭載基板の封止方法は、基板5と電子部品4とを覆い、かつ、電子部品搭載基板45に形成される凹凸6に、封止用フィルム100が予め備える凹凸7が対応するように封止用フィルム100を配置する配置工程と、封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、減圧する加熱・減圧工程と、封止用フィルム100を冷却させるとともに、加圧することで、基板5と電子部品4と電極3を封止用フィルム100で被覆する冷却・加圧工程とを有する。
以下、電子部品搭載基板の封止方法の各工程について、順次説明する。
(配置工程)
まず、図3(a)に示すように、封止用フィルム100が備える電磁波シールド層13および絶縁層12のうち絶縁層12を、電子部品搭載基板45に対向させた状態で、電子部品搭載基板45が備える基板5と電子部品4とを、さらには、本実施形態では、電極3をも覆うように、封止用フィルム100を電子部品搭載基板45上に配置する。
この際、本発明では、封止用フィルム100には、凹凸7が予め形成されており、この凹凸7を、基板5に電子部品4と電極3とを搭載することで形成された電子部品搭載基板45が備える凹凸6に対応させる。すなわち、電子部品搭載基板45の凸部61に対応して、封止用フィルム100に予め形成された凹凸7の凹部72を配置し、電子部品搭載基板45の凹部62に対応して、封止用フィルム100に予め形成された凹凸7の凸部71を配置する。
(加熱・減圧工程)
次に、封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、減圧する。
このように、封止用フィルム100を加熱することにより、封止用フィルム100すなわち電磁波シールド層13および絶縁層12が軟化し、その結果、基板5上に電子部品4および電極3を搭載することにより形成された凹凸6の形状に対して、密着し得る状態となる。
また、この際、電子部品搭載基板45および封止用フィルム100を、減圧雰囲気下に配置することで、封止用フィルム100の上側ばかりでなく、電子部品搭載基板45と封止用フィルム100との間の気体(空気)が脱気される。
これにより、封止用フィルム100が軟化しながら、凹凸6の形状、すなわち、基板5上の電子部品4および電極3の形状に対して若干密着した状態となる。
なお、封止用フィルム100の加熱と、雰囲気の減圧とは、加熱の後に減圧してもよく、減圧の後に加熱してもよいが、加熱と減圧とをほぼ同時に行うことが好ましい。これにより、軟化した封止用フィルム100を、確実に凹凸6の形状に若干密着した状態とすることができる。
また、前記配置工程において、凹凸6の形状に対応して、封止用フィルム100の凹凸7が十分に追従した状態で封止用フィルム100が電子部品搭載基板45に対して配置されていれば、封止用フィルム100を構成する構成材料の種類によっては、加熱・減圧工程における減圧さらには加熱を省略することもできる。
(冷却・加圧工程)
次に、図3(b)に示すように、封止用フィルム100を冷却させるとともに、加圧する。
このように、減圧された雰囲気から加圧することで、前記加熱・減圧工程において、電子部品搭載基板45と封止用フィルム100との間が脱気され、減圧状態が維持されていることから、凹凸7を備える封止用フィルム100がさらに伸展することとなり、その結果、凹凸6の形状(電子部品4および電極3の形状)に優れた密着度(気密度)で追従した状態で、軟化した状態の封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とが被覆され、本実施形態では、電極3をも被覆される。なお、前記加熱減圧工程において、凹凸6の形状に対応して封止用フィルム100が十分追従していれば、加圧工程を省略することができる。
この際、本発明では、封止用フィルム100の軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であり、かつ、封止用フィルム100が予め備える凹凸7が、電子部品搭載基板45が備える凹凸6に対応して配置されている。したがって、電子部品搭載基板45が備える凹凸6に対応して凹凸7が配置された封止用フィルム100は、この加圧時に、電子部品搭載基板45が備える凹凸6に対してより優れた形状追従性をもって伸展させることができるため、軟化した状態の封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とを優れた追従性をもって被覆することができる。このように、前記伸び率が150%以上3500%以下となっているばかりでなく、封止用フィルム100が予め備える凹凸7が、電子部品搭載基板45が備える凹凸6に対応して配置されていることから、前記加熱・減圧工程および本工程(冷却・加圧工程)を経ることで、封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とを優れた追従性をもって被覆することができる。
そして、封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とを、優れた追従性(気密性)をもって被覆した状態で、封止用フィルム100を冷却することで、この状態を維持したまま、封止用フィルム100が固化する。
これにより、電子部品搭載基板45に形成された凹凸6の形状に追従した状態で、封止用フィルム100により、基板5と電子部品4と電極3とが被覆された封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50が得られることとなる。そのため、この封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50において、湿気や埃等の外部因子と電子部品4および電極3が接触するのを的確に抑制または防止することができる。したがって、得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50ひいてはこの封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50を備える電子機器の信頼性の向上が図られる。
また、上記のような電子部品搭載基板45の被覆に用いられる封止用フィルム100は、絶縁層12と電磁波シールド層13の積層体で構成されるが、本実施形態では、電磁波シールド層13は、絶縁層12よりも大きく形成され、その中央部において絶縁層12が積層されるが、端部において、絶縁層12の端部を越えて突出することで形成された突出部15を備えている。
そのため、本工程において、電磁波シールド層13の中央部では、絶縁層12を介して、電子部品4が被覆される。したがって、得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50を、電子部品4への電磁波によるノイズの影響が的確に抑制または防止されたものとすることができる。
さらに、電磁波シールド層13の端部では、絶縁層12が介在することなく、導電性を有する突出部15が電極3を直接被覆することで、電極3が突出部15(電磁波シールド層13)に電気的に接続される。そのため、得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50において、この突出部15を介した電極3と外部との電気的な接続を確保することが可能となる。
なお、封止用フィルム100の冷却と、雰囲気の加圧とは、加圧の後に冷却してもよいが、冷却と加圧とをほぼ同時に行うことが好ましい。これにより、凹凸6の形状に対応して、封止用フィルム100をより優れた追従性をもって被覆させることができる。
上記の工程を経ることで、封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とが被覆された封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50を得ることができる。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の封止用フィルム100の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の封止用フィルムの第2実施形態を示す縦断面図、図5は、図4に示す封止用フィルムを製造する製造方法を説明するための縦断面図、図6は、図4に示す封止用フィルムを用いて電子部品搭載基板の封止方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図4〜図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態の封止用フィルム100、および、この封止用フィルム100で被覆する電子部品搭載基板45について、前記第1実施形態の封止用フィルム100、および、第1実施形態の封止用フィルム100で被覆する電子部品搭載基板45との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の封止用フィルム100により被覆される電子部品搭載基板45は、基板5の下面(他方の面)側の端部に電極3を備えている。したがって、本実施形態では、電子部品搭載基板45において、基板5の上面への電子部品4の搭載および基板5の下面への電極3の形成により、基板5の上面および下面に凸部61と凹部62とからなる凹凸6が形成されている。
第2実施形態の封止用フィルム100では、かかる構成の電子部品搭載基板45が備える電極3を封止用フィルム100により被覆し得るように、電磁波シールド層13が備える突出部15は、基板5の下面側に折り込むことが可能なように、第1実施形態の封止用フィルム100と比較して、長さが長く設定され、その端部に電極3に対応して形成された凸部61を被覆するための凹部72が形成されていること以外は、図1に示す第1実施形態の封止用フィルム100と同様である。第2実施形態の封止用フィルム100が、かかる構成をなしていることにより、基板5の下面側の端部に形成された電極3に、この突出部15を、その端部が備える凹部72において接触させた状態とすることができる。
具体的には、この突出部15の長さは、特に限定されないが、0.1cm以上5.0cm以下であることが好ましく、0.5cm以上2.5cm以下であることがより好ましい。突出部15の長さをかかる範囲内に設定することにより、突出部15を、基板5の上面側から下面側に折り込みつつ、基板5の下面側に位置する電極3に到達させることができるため、突出部15と電極3との電気的な接続を確実に実現することができる。
(封止用フィルムの製造方法)
このような第2実施形態の封止用フィルム100は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、図5(a)に示すように、配置工程において、第1実施形態の封止用フィルム100と比較して、突出部15の長さが長い、平板状をなす封止用フィルム100を用意し、さらに、第1実施形態の型取り用母型基板85と比較して、電子部品4を覆うための凹部72を形成するための凸部81と、電極3を覆うための凹部72を形成するための凸部81との離間距離が長い、型取り用母型基板85を用意すること以外は、前記第1実施形態と同様にして、図5(b)〜図(d)に示す、加熱・減圧工程〜離脱工程を実施することにより、第2実施形態の封止用フィルム100を得ることができる。
(電子部品搭載基板の封止方法)
さらに、第2実施形態の封止用フィルム100を用いた、基板5の下面側の端部に電極3を備える電子部品搭載基板45の封止(被覆)は、以下のようにして実施することができる。
すなわち、図6(a)に示すように、配置工程において、基板5と電子部品4とを覆い、かつ、電子部品搭載基板45の上面に形成される凹凸6に、封止用フィルム100が予め備える凹凸7が対応するように封止用フィルム100を配置し、加熱・減圧工程において、封止用フィルム100を加熱して軟化させた後に、図6(b)に示すように、電磁波シールド層13が備える突出部15を、基板5の下面側に折り込むことで、突出部15の端部に形成された凹部72により、基板5の下面の端部に設けられた電極3に対応して形成された凸部61を被覆し、その後、冷却・加圧工程を施すこと以外は、前記第1実施形態と同様にすることにより、図6(c)に示すような封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50を得ることができる。
以上、本発明の封止用フィルムおよび電子部品搭載基板の封止方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の封止用フィルムは、電子部品搭載基板が備える電極の封止用フィルムによる被覆を実施しない場合には、電磁波シールド層が備える突出部の形成を省略してもよい。
また、本発明の封止用フィルムには、同様の機能を発揮し得る、任意の層が追加されていてもよく、具体的には、例えば、本発明の封止用フィルムは、電磁波シールド層の絶縁層と反対側の面上に、絶縁性を有する被覆層を備えるものであってもよい。
さらに、本発明の電子部品搭載基板の封止方法には、1または2以上の任意の工程が追加されていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<平板状をなす封止用フィルムの製造>
平板状(シート状)をなす封止用フィルムを得るために、形成すべき封止用フィルムの各層を構成する樹脂として、それぞれ、以下に示すものを用意した。
まず、絶縁層12を構成する樹脂材料として、アイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル製、「ハイミラン1855」、密度0.940kg/m、MFR1.3g/10min(190℃測定)、融点97℃)を用意した。
また、電磁波シールド層13に含まれる樹脂材料として、アイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル製、「ハイミラン1855」、密度0.940kg/m、MFR1.3g/10min(190℃測定)、融点97℃)を用意した。
さらに、電磁波シールド層13に含まれる導電性粒子として、銀からなる球状粒子(福田金属箔粉工業製、「Ag−XF301」、50%粒子径4〜7μm)を用意した。
次に、絶縁層12を構成する樹脂を用いて押出成形法により絶縁層12を成膜し、電磁波シールド層13に含まれる樹脂材料を45重量部と導電性粒子を55重量部との溶剤混合物を用いてコンマコーターにより電磁波シールド層13を塗工成膜し、上記をラミネーターに貼り合わせることによって、電磁波シールド層13/絶縁層12の順に積層された積層体を形成した後、絶縁層12の縁部を、エッチング法を用いて除去することで突出部15を備える電磁波シールド層13と絶縁層12とで構成される積層体からなる平板状をなす封止用フィルムを得た。
なお、得られた平板状をなす封止用フィルムの各層の平均厚さ(μm)は、それぞれ、電磁波シールド層13/絶縁層12で100/100μmであり、合計厚さは、200μmであった。
また、平板状をなす封止用フィルムの軟化点における伸び率を測定したところ880%であった。
さらに、平板状をなす封止用フィルムにおける、25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率を測定したところ、51ppm/Kであった。
<凹凸を備える封止用フィルムの製造>
まず、凹凸8を備える型取り用母型基板85を用意し、その後、スキンパック包装機(ハイパック社製、「HI−750シリーズ」)が備えるチャンバー内において、型取り用母型基板85が有する凹凸8を覆うように平板状をなす封止用フィルム100を、絶縁層12を型取り用母型基板85側にして、配置した。
次に、平板状をなす封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、チャンバー内を減圧した。なお、封止用フィルム100を加熱した温度は125℃であり、チャンバーの圧力は0.4kPaであり、かかる加熱・減圧の条件を1分間保持した。
次に、チャンバー内を常温・常圧に戻すことで、封止用フィルム100を冷却するとともに、チャンバー内を加圧した。これにより、型取り用母型基板85が有する凹凸8を封止用フィルム100により被覆させた。
次に、封止用フィルム100を型取り用母型基板85から離脱させることで、凹凸7を備える実施例1の封止用フィルム100を得た。
<封止用フィルム被覆電子部品搭載基板の製造>
まず、凹凸6を備える電子部品搭載基板45を用意し、その後、スキンパック包装機(ハイパック社製、「HI−750シリーズ」)が備えるチャンバー内において、電子部品搭載基板45が有する基板5と電子部品4とを覆うように、得られた凹凸7を備える実施例1の封止用フィルム100を、絶縁層12を電子部品搭載基板45側にして、凹凸7と凹凸6とが対応するように配置した。
次に、封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、チャンバー内を減圧した。なお、封止用フィルムを加熱した温度は125℃であり、チャンバーの圧力は0.4kPaであり、かかる加熱・減圧の条件を1分間保持した。
次に、チャンバー内を常温・常圧に戻すことで、封止用フィルムを冷却するとともに、チャンバー内を加圧した。これにより、基板と電子部品とが封止用フィルムで被覆された実施例1の封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例2)
電磁波シールド層13の平均厚さ(μm)を10μmにしたこと以外は、前記実施例1と同様にして実施例2の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例3)
電磁波シールド層13の平均厚さ(μm)を400μmにしたこと以外は、前記実施例1と同様にして実施例3の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例4)
電磁波シールド層13に含まれる樹脂材料を20重量部にし導電性粒子を80重量部にし、さらに、電磁波シールド層13の平均厚さ(μm)を10μmにしたこと以外は、前記実施例1と同様にして実施例4の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例5)
電磁波シールド層13の平均厚さ(μm)を400μmにしたこと以外は、前記実施例4と同様にして実施例5の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例6)
電磁波シールド層13に含まれる樹脂材料として、接着樹脂(三井化学製、「アドマーNF536」)を用意したこと以外は前記実施例1と同様にして実施例6の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例7)
絶縁層12を構成する樹脂材料として、接着樹脂(三井化学製、「アドマーNF536」)を用意したこと以外は前記実施例1と同様にして実施例7の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例8)
絶縁層12を構成する樹脂材料として、ポリオレフィン樹脂(「ノーブレンFS2011DG2」、密度0.900g/cm、メルトインデックス2.0g/10min(230℃測定)、融点160℃)を用意し、形成する絶縁層12の平均厚さ(μm)を50μmとしたこと以外は前記実施例1と同様にして実施例8の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例9)
絶縁層12を構成する樹脂材料として、低密度ポリエチレン樹脂(ダウ社製、「エリート5220G」)を用意し、形成する絶縁層12の平均厚さ(μm)を60μmとしたこと以外は前記実施例1と同様にして実施例9の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(比較例1)
比較例1として、市販の二軸延伸PETフィルム(東洋紡社製、銘柄:E5107)を用意した。
<評価試験>
各実施例および比較例で作製した封止用フィルムまたは封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について、形状追従性、シワの発生の有無、耐熱性の評価を行った。以下に、これらの評価方法について説明する。
<<形状追従性>>
形状追従性は、以下のようにして評価した。
すなわち、各実施例および比較例で作製した封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について、被覆した凹凸における空隙の有無により、以下の評価基準に基づいて判断した。なお、空隙の有無は、顕微鏡を用いて観察した。
各符号は以下のとおりであり、◎および○を合格とし、×を不合格とした。
◎ :段差の底部にまで、充填された状態で被覆されている
○ :段差の底部において若干の空隙が形成されているものの、
ほぼ全体に亘って充填された状態で被覆されている
× :段差の底部において明らかな空隙が形成された状態で被覆されている
<<シワの有無>>
シワの有無は、以下のようにして評価した。
すなわち、各実施例および比較例で作製した封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について、被覆した上面におけるシワの有無により、以下の評価基準に基づいて判断した。なお、シワの有無は、マイクロスコープを用いて観察した。
各符号は以下のとおりであり、○を合格とし、×を不合格とした。
○:封止用フィルムの上面の全体にシワが認められない
×:封止用フィルムの上面の凸部に対応する位置に明らかなシワが認められる
<<電磁波シールド性>>
電磁波シールド性は、以下のようにして評価した。
すなわち、各実施例および比較例で作製した封止用フィルムについて、KEC法(電界)を用いて、周波数0.001〜1GHzの範囲内における電磁波シールド効果の値を測定し、周波数0.01GHz以上1GHz以下の範囲内における電磁波シールド効果の最小値を求めた。そして、求められた最小値を、以下の評価基準に基づいて判断した。
各符号は以下のとおりであり、○を合格とし、×を不合格とした。
○:電磁波シールド効果の最小値が20dB以上である
×:電磁波シールド効果の最小値が20dB未満である
なお、KEC法は、近傍界で発生する電磁波のシールド効果を電界と磁界に分けて評価する方法であり、この方法を用いた測定は、送信アンテナ(送信用の治具)から送信された電磁波を、シート状をなす封止用フィルムを介して、受信アンテナ(受信用の治具)で受信することで実施することができ、かかるKEC法では、受信アンテナにおいて、封止用フィルムを通過(透過)した電磁波が測定されるすなわち、送信された電磁波(信号)が電磁波シールド層により受信アンテナ側でどれだけ減衰したかが測定される。
<<導電性>>
電磁波シールド層における導電性の有無は、以下のようにして評価した。
すなわち、各実施例および比較例で作製した封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について、電磁波シールド層が備える突出部において、電源と接続し、電子部品の駆動の有無により、以下の評価基準に基づいて判断した。
各符号は以下のとおりであり、○を合格とし、×を不合格とした。
○:電子部品の駆動が認められる
×:電子部品の駆動が認められない
Figure 2019021757
表1から明らかなように、各実施例の封止用フィルムでは、軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であり、かつ、電子部品搭載基板に形成される凹凸に対応する凹凸を予め備えることにより、凹部の底部における空隙、さらには封止用フィルムの上面におけるシワの発生を抑制または防止して、電子部品搭載基板に対して被覆することが可能であった。また、電磁波シールド層が備える突出部を介した、外部電源と電極間の導通を確認することができた。
これに対して、比較例の封止用フィルムでは、軟化点における伸び率が150%未満であり、電子部品搭載基板に形成される凹凸に対応する凹凸を予め備えるものとしたが、これに起因して、封止用フィルムによる電子部品搭載基板に対する被覆の際に、凹部の底部における空隙および封止用フィルムの上面におけるシワが明らかに発生する結果となった。
3 電極
4 電子部品
5 基板
6 凹凸
7 凹凸
8 凹凸
12 絶縁層
13 電磁波シールド層
15 突出部
45 電子部品搭載基板
50 封止用フィルム被覆電子部品搭載基板
61 凸部
62 凹部
71 凸部
72 凹部
81 凸部
82 凹部
85 型取り用母型基板
100 封止用フィルム

Claims (10)

  1. 基板と、該基板の一方の面側に搭載された電子部品とを備える電子部品搭載基板を封止するのに用いられ、絶縁層と、該絶縁層の一方の面側に積層された電磁波シールド層とを備える封止用フィルムであって、
    前記絶縁層および前記電磁波シールド層は、ともに、樹脂材料を含有し、当該封止用フィルムは、JIS K 6251に準拠して求められる軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であり、かつ、前記基板に前記電子部品が搭載されることで前記電子部品搭載基板に形成される凹凸に対応する凹凸を予め備えることを特徴とする封止用フィルム。
  2. 前記電子部品搭載基板において、前記電子部品に対応して形成される前記凹凸の凸部の高さをH[mm]とし、当該封止用フィルムにおいて、前記電子部品搭載基板が備える前記凸部に対応して予め形成された、前記凹凸の凹部の深さをD[mm]としたとき、1.0<H/D<1.4なる関係を満足する請求項1に記載の封止用フィルム。
  3. 前記電子部品搭載基板は、前記基板の一方の面側または他方の面側に、前記電子部品に電気的に接続された電極を備え、前記電磁波シールド層は、前記絶縁層の端部を越えて突出する突出部を備えており、
    前記電子部品搭載基板を封止する際に、前記突出部は、前記電極に接触するよう構成されている請求項1または2に記載の封止用フィルム。
  4. 前記電子部品搭載基板は、前記基板の一方の面の縁部、もしくは前記電子部品の周囲に、前記電極を備える請求項3に記載の封止用フィルム。
  5. 前記電極は、グランド電極である請求項3または4に記載の封止用フィルム。
  6. 当該封止用フィルムは、25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率が100ppm/K以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の封止用フィルム。
  7. 前記絶縁層および前記電磁波シールド層のうち少なくとも一方は、前記樹脂材料として、ポリオレフィン系樹脂を含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の封止用フィルム。
  8. 当該封止用フィルムは、その平均厚さが10μm以上700μm以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の封止用フィルム。
  9. 前記基板は、プリント配線基板である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の封止用フィルム。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の封止用フィルムを用いて、前記基板と前記電子部品とを封止する電子部品搭載基板の封止方法であって、
    前記基板と前記電子部品とを覆うように、前記絶縁層を前記電子部品搭載基板側にし、かつ、前記電子部品搭載基板に形成される前記凹凸に、前記封止用フィルムが予め備える前記凹凸に対応させて前記封止用フィルムを配置する配置工程と、
    前記封止用フィルムを加熱し軟化させるとともに、減圧する加熱・減圧工程と、
    前記封止用フィルムを冷却させるとともに、加圧することで、前記基板と前記電子部品とを前記封止用フィルムで封止する冷却・加圧工程とを有することを特徴とする電子部品搭載基板の封止方法。
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