JP2019021036A - 移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラム - Google Patents

移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2019021036A
JP2019021036A JP2017139085A JP2017139085A JP2019021036A JP 2019021036 A JP2019021036 A JP 2019021036A JP 2017139085 A JP2017139085 A JP 2017139085A JP 2017139085 A JP2017139085 A JP 2017139085A JP 2019021036 A JP2019021036 A JP 2019021036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
movement trajectory
load
motor
smoothing
data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017139085A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6762276B2 (ja
Inventor
義樹 加藤
Yoshiki Kato
義樹 加藤
伊智郎 粟屋
Ichiro Awaya
伊智郎 粟屋
慶佑 望月
Keisuke Mochizuki
慶佑 望月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2017139085A priority Critical patent/JP6762276B2/ja
Publication of JP2019021036A publication Critical patent/JP2019021036A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6762276B2 publication Critical patent/JP6762276B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Electric Motors In General (AREA)
  • Testing And Monitoring For Control Systems (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

【課題】多次元のパラメータセットの時系列データからなる移動軌跡データを適切に成形できる移動軌跡成形装置を提供する。【解決手段】移動軌跡成形装置は、多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを取得する移動軌跡データ取得部と、予め規定された平滑化フィルタを適用して前記移動軌跡データを平滑化する平滑化処理部と、を備える。前記平滑化フィルタは、前記パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数と、前記パラメータセットどうしの多次元空間内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数と、の積からなる。【選択図】図20

Description

本発明は、移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラムに関する。
負荷を駆動させるモータの制御系(モータ制御システム)の設計において制御性能を向上させるためにはフィードバック制御では限界があり、指令信号に対する応答特性が高いフィードフォワード制御を行う必要がある。また、フィードフォワード制御を実現するためには、制御システム側が、制御対象(即ち、モータ及び負荷を有する機械系)を模したモデルの逆モデルを持つ必要があるが、このフィードフォワード制御用のモデルと実際の制御対象の特性との間に誤差があると、制御性能の向上は図れない。
したがって、制御性能の高いフィードフォワード制御を実現するためには、制御対象を正確に模したモデルを得る必要がある。ここで、当該モデルをなすモデルパラメータである制御対象全体の慣性モーメントJ、粘性係数D及びクーロン摩擦係数τは、制御対象全体を一慣性系モデルとして模した場合に、所定のエラーシステムによって算出される誤差信号とその内部信号とに基づいて同定することが可能である。
また、特許文献1では、モデルパラメータの推定手段として、変位−変形量の位相面図(ロストモーション補正モデル)から、剛性と飽和時の摩擦の大きさを推定し、ロストモーション補正量を算出する方法が開示されている。
また、特許文献2では、取り付け時の測定、力測定器測定による力と変位の関係の測定結果から、各モデルパラメータを求め、ロストモーション補正のタイミングに使用する方法が開示されている。
特開平8−152910号公報 特開2002−023852号公報
また、上述の制御対象(モータ及び負荷を有する機械系)の異常診断やヘルスモニタリングを行う目的で、当該制御対象の機械特性を表す複数種類のパラメータの時系列を組み合わせて分析することが想定される。このような多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを精度良く分析できるようにするために、上記移動軌跡データを適切に成形する手法の確立が望まれている。
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであって、多次元のパラメータセットの時系列データからなる移動軌跡データを適切に成形できる移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラムを提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、移動軌跡成形装置は、多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを取得する移動軌跡データ取得部と、予め規定された平滑化フィルタを適用して前記移動軌跡データを平滑化する平滑化処理部と、を備える。前記平滑化フィルタは、前記パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数と、前記パラメータセットどうしの多次元空間内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数と、の積からなる。
また、本発明の第2の態様によれば、前記第1の重み付け関数及び前記第2の重み付け関数は、ガウス分布関数である。
また、本発明の第3の態様によれば、上述の移動軌跡成形装置は、前記多次元のパラメータセットを、次元別に正規化する正規化処理部を更に備える。
また、本発明の第4の態様によれば、上述の移動軌跡成形装置は、平滑化された前記移動軌跡データによって特定される移動軌跡曲線を、多次元空間内において等間隔で刻むとともに、当該等間隔で刻まれた前記移動軌跡曲線上の各点の座標のデータ系列を取得する等間隔化処理部を更に備える。
また、本発明の第5の態様によれば、前記多次元のパラメータセットは、モータと、負荷と、前記モータ及び前記負荷を連結する連結部材と、を具備する機械系における、前記モータのトルク、前記モータの角速度、前記負荷の角度、前記負荷の角速度、前記連結部材のねじれ角度、及び、前記連結部材のねじれ角速度のうちの少なくとも何れか一つを含む。
また、本発明の第6の態様によれば、異常診断システムは、上述の移動軌跡成形装置と、当該移動軌跡成形装置によって成形された移動軌跡データである評価対象移動軌跡データと予め用意された基準移動軌跡データとの対比に基づいて、前記移動軌跡データに異常があるか否かを判定する異常判定部と、を備える。
また、本発明の第7の態様によれば、前記異常判定部は、前記評価対象移動軌跡データと前記基準移動軌跡データとの間のDTW距離を演算し、算出された前記DTW距離が所定の判定閾値を上回ったか否かに基づいて、前記移動軌跡データに異常があるか否かを判定する。
また、本発明の第8の態様によれば、移動軌跡成形方法は、多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを取得する移動軌跡データ取得ステップと、予め規定された平滑化フィルタを適用して前記移動軌跡データを平滑化する平滑処理ステップと、を有する。前記平滑化フィルタは、前記パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数と、前記パラメータセットどうしの多次元空間内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数と、の積からなる。
また、本発明の第9の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを取得する移動軌跡データ取得ステップと、予め規定された平滑化フィルタを適用して前記移動軌跡データを平滑化する平滑処理ステップと、を実行させる。前記平滑化フィルタは、前記パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数と、前記パラメータセットどうしの多次元空間内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数と、の積からなる。
上述の移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラムによれば、多次元のパラメータセットの時系列データからなる移動軌跡データを適切に成形することができる。
第1の実施形態に係るモータ制御システムが制御対象とする機械系の概要を示す図である。 第1の実施形態に係る機械系のブロック線図を示す図である。 第1の実施形態に係る機械系のモータ側及び負荷側の摩擦特性を説明する図である。 第1の実施形態に係る機械系の連結部材における不感帯の特性を説明する図である。 第1の実施形態に係るモータ制御システムの機能構成を示す図である。 第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の機能構成を示す図である。 第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理フローを示す図である。 第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理を説明する図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第1の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第2の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第3の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第4の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第5の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第6の図である。 第2の実施形態に係るモータ制御システム、機械系、及び、異常診断システムの全体構成を示す図である。 第2の実施形態に係る異常診断システムの機能構成を示す図である。 第2の実施形態に係る異常診断システムの処理フローを示す図である。 第2の実施形態に係る異常診断システムの各処理を詳細に説明するための第1の図である。 第2の実施形態に係る異常診断システムの各処理を詳細に説明するための第2の図である。 第2の実施形態に係る異常診断システムの各処理を詳細に説明するための第3の図である。 第2の実施形態に係る異常診断システムの各処理を詳細に説明するための第4の図である。 第2の実施形態に係る異常診断システムの各処理を詳細に説明するための第5の図である。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係るモータ制御システムについて、図1〜図14を参照しながら詳細に説明する。
(制御対象とする機械系の概要)
図1は、第1の実施形態に係るモータ制御システムが制御対象とする機械系の概要を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るモータ制御システム1は、モータ20と、負荷21と、モータ20及び負荷21を機械的に連結する軸22(連結部材)と、を有してなる機械系2の動作を制御するシステムである。ここで、本実施形態において、モータ20は、内部に回転角度、回転速度を検出可能な回転検出器(エンコーダ)を有し、精密な位置決めを実現可能なサーボモータである。また、本実施形態において、軸22は、例えば、ボールねじ、ギア等の剛性要素、ガタ要素を有する部材である。
図1に示すように、モータ制御システム1は、図示しない上位機器(ホストコントローラ)から負荷21の目標回転角度(以下、「目標角度θ」と記載する。)を示す角度指令値を受け付ける。そして、モータ制御システム1は、受け付けた目標角度θに応じてモータ20に発生すべきトルクτを算出し、当該トルクτを示すトルク指令値を出力する。モータ20は、受け付けたトルク指令値に基づいてトルクτで回転駆動し、そのトルクτがモータ20側から負荷21側へと軸22を通じて伝達する。その結果、伝達されたトルクτ’に応じて負荷21が回転駆動する。このようにして、モータ制御システム1により、負荷21の回転角度θが所望の目標角度θに一致するような制御が実現される。
本実施形態に係るモータ制御システム1は、いわゆるクローズドシステムであって、モータ20の回転速度(角速度)と、負荷21の回転角度と、を示す実測データを入力し、これらの実測データに基づいてフィードバック制御を行う。
なお、以下の説明において、モータ20の回転速度(角速度)を「モータ角速度ω」とも記載し、モータ20の回転角度を「モータ角度θ」とも記載する。また、負荷21の回転速度(角速度)を「負荷角速度ω」とも記載し、負荷21の回転角度を「負荷角度θ」とも記載する。
また、モータ制御システム1は、更に、機械系2を2慣性系と見なして模した2慣性系モデル(後述)を予め有しており、当該2慣性系モデルに基づくフィードフォワード制御を行う。
なお、機械系2における負荷21が、回転系ではなく直動系の負荷(テーブル負荷等)の場合、負荷21に対する制御対象パラメータは、厳密には“角度”、“角速度”ではなく、“位置”、“速度”となる。しかし、この場合、モータ制御システム1は、2慣性系として、モータ20の“角度”、“角速度”と同じ次元で取り扱うために、負荷の“位置”、“速度”を、モータ軸換算値としての“角度”、“角速度”に逐次変換して各種制御を行うものとする。
機械系2を2慣性系と見なした場合において、機械系2固有の特性を表すパラメータ群は、モータ20側の特性を示すパラメータ、負荷21側の特性を示すパラメータ、及び、モータ20と負荷21とを機械的に連結して動力を伝達する軸22(連結部材)の特性を示すパラメータに大別される。具体的には、モータ20側の特性を示すパラメータとして、モータ側慣性モーメントJ、モータ側粘性係数D、モータ側摩擦係数τfMがある。また、負荷21側の特性を示すパラメータとして、負荷側慣性モーメントJ、負荷側粘性係数D、負荷側摩擦係数τfLがある。更に、軸22の特性を示すパラメータとして、ねじれ剛性係数K、ねじれ粘性係数D、不感帯幅BLがある。
(2慣性系モデルの概要)
図2は、第1の実施形態に係る機械系のブロック線図を示す図である。
本実施形態に係る機械系2(図1参照)をモータ20、負荷21及び軸22からなる2慣性系と見なすことで、当該機械系2における入力と出力の関係を、図2に示すような伝達関数を用いたブロック線図で表すことができる。
図2に示すように、モータ20は、モータ制御システム1(図1)から受け付けたトルク指令値に基づいて発生させたトルクτを入力とし、モータ角速度ω及びモータ角度θを出力とする。モータ20に入力されたトルクτは、モータ20に生じる摩擦であるモータ側摩擦係数τfM、及び、軸22を通じて負荷21に伝達するトルクτ’が差し引かれた後、伝達要素1/(Js+D)を通じてモータ角速度ωに変換され、更に伝達要素1/sを通じてモータ角度θに変換される。
ここで、モータ側摩擦係数τfMは、モータ20の速度反転時(モータ角速度ωの符号反転時)に符号のみが反転するクーロン摩擦成分だけでなく、モータ20の速度反転後の変位(モータ角速度ωのゼロからの積分値)に依存して非線形に変化する非線形摩擦成分を含んでいる。モータ側摩擦係数τfMは、この非線形摩擦成分をモデル化して規定し、モータ角速度ωを入力変数とするモータ側摩擦関数Gを通じて得られる。モータ側摩擦関数Gの詳細については後述する。
同様に、負荷21は、モータ20から軸22を通じて伝達されたトルクτ’(=(K+Ds)(θ−θ−BKLS))を入力とし、負荷角速度ω及び負荷角度θを出力とする。負荷21に入力されたトルクτ’は、負荷21に生じる摩擦である負荷側摩擦係数τfLが差し引かれた後、伝達要素1/(Js+D)を通じて負荷角速度ωに変換され、更に伝達要素1/sを通じて負荷角度θに変換される。
ここで、負荷側摩擦係数τfLも同様に、負荷21の速度反転後の変位(負荷角速度ωのゼロからの積分値)に依存して非線形に変化する非線形摩擦成分を含んでいる。負荷側摩擦係数τfLは、この非線形摩擦成分をモデル化して規定し、負荷角速度ωを入力変数とする負荷側摩擦関数Gを通じて得られる。負荷側摩擦関数Gの詳細については後述する。
なお、機械系2をなすモータ20及び負荷21には、それぞれ、図示しない回転検出器(エンコーダ)が設置されている。モータ制御システム1は、当該回転検出器を通じて、モータ角度θ、負荷角度θの経時的変化を示す実測データ、及び、これらの時間微分より導出可能なモータ角速度ω、負荷角速度ωの経時的変化を示す実測データを取得する。
また、図2に示すように、軸22は、モータ角度θと負荷角度θとの偏差(以下、「ねじれ角度(θ−θ)」とも記載する。)を入力とし、ねじれ角度(θ−θ)に応じたトルクτ’を出力とする伝達系である。入力されたねじれ角度(θ−θ)は、不感帯(ガタ)における非線形特性を表す不感帯特性関数F1と、伝達要素K及び伝達要素Dsと、を通じて、モータ20及び負荷21に印加されるトルクτ’に変換される。
ここで、不感帯特性関数F1とは、軸22のねじれ角度(θ−θ)を入力変数とし、当該ねじれ角度(θ−θ)からガタ変位BKLSを差し引いたものを出力する非線形関数である。不感帯特性関数F1の詳細については後述する。
また、ねじれ剛性係数Kとは、軸22のねじれ方向についての剛性の度合いを示すパラメータであって、軸22のばね定数に相当する。即ち、ねじれ剛性係数Kは、負荷21に印加されるトルクτ’のうち、軸22のねじれ角度(θ−θ)に比例する成分を与える。
また、ねじれ粘性係数Dとは、軸22のねばりの度合いを示すパラメータであって、負荷21に印加されるトルクτ’のうち、軸22におけるモータ角速度ωと負荷角速度ωとの偏差(以下、「ねじれ速度(ω−ω)」とも記載する。)に比例する成分を与える。
図2に示す機械系2において、モータ側慣性モーメントJ、モータ側粘性係数D、モータ側摩擦係数τfM、負荷側慣性モーメントJ、負荷側粘性係数D、負荷側摩擦係数τfL、ねじれ剛性係数K、ねじれ粘性係数D及び不感帯幅BLは、機械系2の現実の特性を表すパラメータ群であり、いずれも個別には観測が困難な未知のパラメータである。
一方、機械系2についての入力であるトルクτ、及び、出力であるモータ角速度ω、モータ角度θ、負荷角速度ω及び負荷角度θは、上述の回転検出器を通じて観測可能なパラメータである。
図3は、第1の実施形態に係る機械系のモータ側及び負荷側の摩擦特性を説明する図である。
図3(a)は、モータ側摩擦係数τfM及び負荷側摩擦係数τfLの各々に生じる非線形摩擦特性を示すグラフである。
良く知られているクーロン摩擦は、物体の速度(モータ角速度ω、負荷角速度ω)の方向(正、負の符号)に依存してその方向(正、負の符号)のみが変化し、その量は、速度(ω)、変位(θ)に対しては変動しないものとして知られている。しかしながら、軸22において、例えば、ボールねじ、ボールベアリング等の転がり要素が含まれる場合には、通常のクーロン摩擦とは特性が異なる“転がり摩擦”を考慮する必要がある。
ここで、転がり摩擦は、速度反転直後の転がり要素が転動しない“微動領域”においては、速度反転後の変位(モータ角速度ω、負荷角速度ωのゼロからの積分値)によって見かけのばね定数が動的に変化する非線形ばね特性を有しており、図3(a)に示すようなヒステリシスカーブを描く。これは、転がり要素と軌道面の接触部における弾性変形やすべりによるものと考えられている。
また、転がり要素が有効に転動する“粗動領域”においては、クーロン摩擦により摩擦の速度に対する静的特性を示す。即ち、図3(a)に示すように、モータ20の摩擦(モータ側摩擦係数τfM)は、速度反転後の変位が所定以上となった時点で、モータ側クーロン摩擦係数τfMcで飽和する。また、負荷21の摩擦(負荷側摩擦係数τfL)は、速度反転後の変位が所定以上となった時点で、負荷側クーロン摩擦係数τfLcで飽和する。
本実施形態においては、モータ側摩擦特性関数G及び負荷側摩擦特性関数Gは、図3(a)に示す非線形摩擦特性を折れ線近似してなるGMSモデルに基づいて規定される。ここで、GMSモデルとは、N個の特性の異なるブロック(転がり要素)とばねとが並列に接続されている状態を模したものである。図3(b)に示すグラフ(折れ線)を構成する複数の直線の各々が、N個のブロックのうちのいくつまでが転がりきっている(有効に転動している)状態か、を表現している。
図3(b)に示すように、モータ側摩擦特性関数Gは、変位0〜θ、θ〜θ、θ〜θ、θ〜θの各々において採用すべき折れ線を規定する傾きK、K、K、K、及び、オフセット(変位0における切片)τfM1(=−τfMc)、τfM2、τfM3、τfM4、τfM5(=τfMc)によって規定される。
なお、図示を省略するが、負荷側摩擦特性関数Gも、図3(b)に示すモータ側摩擦特性関数Gと同様に規定される。
図4は、第1の実施形態に係る機械系の連結部材における不感帯の特性を説明する図である。
図4(a)に示す不感帯特性関数F1は、モータ20と負荷21との間に設けられた軸22の“遊び”(不感帯)の幅を示す不感帯幅BLに基づく伝達特性を表している。
不感帯特性関数F1は、不感帯幅BLに依存する非線形特性であって、軸22のねじれ角度(θ−θ)を入力変数とする。図4(a)に示すように、軸22のねじれ角度(θ−θ)の絶対値が不感帯幅BL以下の場合(−BL≦θ−θ≦+BL)、ガタ出力はゼロとなる。即ち、この場合、モータ20から負荷21へトルクが伝達されない。
他方、軸22のねじれ角度(θ−θ)の絶対値が不感帯幅BLよりも大きい場合(θ−θ<−BL,θ−θ>+BL)、ガタ出力は、ねじれ角度(θ−θ)から不感帯幅BLだけ小さい値(θ−θ+BL(θ−θ<−BL)、又は、θ−θ−BL(θ−θ>+BL))となる。
また、図4(b)に示すガタ変位関数F1’は、ガタ変位BKLSとねじれ角度(θ−θ)との関係をしている。
ガタ変位BKLSは、不感帯幅BL(−BL〜+BL)の幅を有する不感帯における変位量を示すパラメータであって、ねじれ角度(θ−θ)に対し、図4(b)に示すような特性を有している。即ち、図4(a)に示すガタ出力は、ガタ変位BKLSを用いて“θ−θ―BKLS”と表すことができる。
図4(b)に示すように、ガタ変位BKLSは、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最小値(−BL)よりも小さい範囲では、ガタ変位BKLSは最小値(−BL)をとり、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最大値(+BL)よりも大きい範囲では、ガタ変位BKLSは最大値(+BL)をとる。また、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最小値(−BL)以上かつ最大値(+BL)以下の範囲においては、ガタ変位BKLSは、ねじれ角度(θ−θ)と同一の値を有する特性となる。
(機能構成)
図5は、第1の実施形態に係るモータ制御システムの機能構成を示す図である。
図5に示すように、第1の実施形態に係るモータ制御システム1は、フィードバック制御部10と、フィードフォワード制御部11と、パラメータ同定装置12と、を備えている。
フィードバック制御部10は、回転検出器を通じて観測されるモータ角速度ωと、角度指令値により指定される負荷21の目標角度θ及び観測される現在の負荷角度θの偏差(θ−θ)と、に基づいて、モータ20の制御を行う。
具体的には、フィードバック制御部10は、目標角度θと負荷角度θとの偏差(θ−θ)をゼロとするためのトルクを算出し、その算出結果を示すトルク指令値を出力する。その際、フィードバック制御部10は、回転検出器を通じて観測されたモータ角速度ωを参照して、適切かつ迅速なフィードバック制御がなされるようなトルクを算出する。
フィードフォワード制御部11は、機械系2を模した2慣性系モデルMODを内部に有している。この2慣性系モデルMODは、複数のモデルパラメータ群からなり、図2に示す機械系2の逆モデルとなるように構成されている。
具体的には、複数のモデルパラメータ群とは、モデルモータ側慣性モーメントJM0、モデルモータ側粘性係数DM0、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側慣性モーメントJL0、モデル負荷側粘性係数DL0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL、及び、モデルねじれ剛性係数KR0である。
2慣性系モデルMODは、機械系2を模して構築された逆モデルであり、当該2慣性系モデルMODをなす上記モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)は、機械系2の実際の特性を表す未知のパラメータ群(J、D、τfM、J、D、τfL、BL、K)の各々に対応している。
ここで、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)と、機械系2の実際の特性を示すパラメータ群(J、D、τfM、J、D、τfL、BL、K)との間に誤差が全くないと仮定すると、2慣性系モデルMODは、現実の機械系2の逆モデルに完全に一致するものとなる。そうすると、フィードフォワード制御部11が目標角度θ及び2慣性系モデルMODに基づいて算出したトルクを機械系2に出力して駆動した結果、機械系2を通じて実際に得られる負荷角度θは、完全に目標角度θに一致するはずである(θ=θ)。このように、フィードフォワード制御部11は、予め機械系2を模して規定された2慣性系モデルMODに基づいて、機械系2固有の特性を織り込みながらトルクを算出することで、フィードバック制御よりも応答性が高いフィードフォワード制御において、より高精度な制御を実現することができる。
なお、図5に示すように、モータ制御システム1は、フィードバック制御部10により算出されたトルクと、フィードフォワード制御部11により算出されたトルクと、を加算して得られるトルクτ(トルク指令値)を機械系2(モータ20(図1、図2))に向けて出力する。
以上のように、本実施形態に係るモータ制御システム1は、モータ20、負荷21及び軸22を具備する機械系2を模した2慣性系モデルMODをなす複数のモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)に基づいて、モータ20に発生させるべきトルクτを算出する。
フィードフォワード制御部11において、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)は、予め、機械系2の特性を表すパラメータとして想定される値で規定されている。しかしながら、実際には、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)と、機械系2固有のパラメータ群(J、D、τfM、J、D、τfL、BL、K)との間には、それぞれ誤差が存在している。このような誤差があると、精度の高いフィードフォワード制御を実現することができない。
そこで、本実施形態に係るモータ制御システム1は、上述の複数のモデルパラメータ群のうち、特に、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を別個独立に、精度良く同定可能なパラメータ同定装置12を備えている。
図5に示すように、パラメータ同定装置12は、機械系2におけるモータ角度θ、モータ角速度ω、負荷角度θ及び負荷角速度ωの経時的変化を示す実測データを取得する。パラメータ同定装置12は、上記4個の実測データに基づいて、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
以下、パラメータ同定装置12の機能について詳細に説明する。
図6は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の機能構成を示す図である。
図6に示すように、パラメータ同定装置12は、データ取得部120と、位相面図生成部121と、パラメータ同定部122と、を備えている。
データ取得部120は、モータ20に対するトルク指令値(トルクτ)と、モータ20の角度(モータ角度θ)及び角速度(モータ角速度ω)の経時的変化を示す実測データと、負荷21の角度(負荷角度θ)及び角速度(負荷角速度ω)の経時的変化を示す実測データと、を取得する。
位相面図生成部121は、データ取得部120によって取得されたトルク指令値(トルクτ)と、モータ20の角度及び角速度の実測データと、負荷21の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する。
ここで、図6に示すように、位相面図生成部121は、連結部材(軸22)のねじれ角度(θ−θ)とトルク指令値(トルクτ)との関係を示す「ねじれ角度−トルク位相面図P1」を生成する。
また、位相面図生成部121は、トルク指令値(トルクτ)とモータ20の角速度(モータ角速度ω)及び負荷21の角速度(負荷角速度ω)との関係を示す「トルク−機械角速度位相面図P2」を生成する。
また、位相面図生成部121は、軸22のねじれ角度(θ−θ)とモータ20の角速度(モータ角速度ω)及び負荷21の角速度(負荷角速度ω)との関係を示す「ねじれ角度−機械角速度位相面図P3」を生成する。
また、位相面図生成部121は、トルク指令値(トルクτ)と軸22のねじれ速度(モータ角速度ωと負荷角速度ωとの差。以下、“ω−ω”と記載する。)との関係を示す「トルク−ねじれ速度位相面図P4」を生成する。
また、位相面図生成部121は、軸22のねじれ角度(θ−θ)と軸22のねじれ速度(ω−ω)との関係を示す「ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5」を生成する。
また、位相面図生成部121は、負荷21の角度(負荷角度θ)とトルク指令値(トルクτ)との関係を示す「負荷角度−トルク位相面図P6」を生成する。
パラメータ同定部122は、位相面図生成部121によって生成された複数の位相面図に基づいて、モータ20の摩擦(モータ側摩擦係数τfM)、負荷21の摩擦(負荷側摩擦係数τfL)、軸22の剛性(ねじれ剛性係数K)、及び、軸22の不感帯幅BLを示すモデルパラメータ(τfM0、τfL0、KR0、BL)を同定する。
(パラメータ同定装置の処理フロー)
図7は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理フローを示す図である。
また、図8は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理を説明する図である。
また、図9〜図14は、第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第1から第6の図である。
図7に示す処理フローは、例えば、機械系2の実運転の開始前等において、パラメータ同定装置12(図6)が機械系2についてのパラメータ同定を行う際に実行される。
まず、モータ制御システム1のオペレータは、上位機器を操作して所定の角度指令値を出力させることで、負荷21の角度(負荷角度θ)を小振幅かつ低周波数で反復動作させる(ステップS01)。
次に、パラメータ同定装置12のデータ取得部120は、小振幅かつ低周波数で反復動作中の機械系2から、モータ角速度ω、モータ角度θ、負荷角速度ω及び負荷角度θの経時的変化を示す実測データを取得する(ステップS02)。
次に、パラメータ同定装置12の位相面図生成部121は、ステップS02で取得された実測データから複数の位相面図を生成する(ステップS03)。
ここで、位相面図生成部121は、図8に示すように、負荷角度θの方向反転前後に取得されたねじれ角度(θ−θ)の実測データ、及び、トルクτの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。ここで、「ねじれ角度(θ−θ)の実測データ」は、モータ角度θの実測データから負荷角度θの実測データを差し引くことで得られる。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図9に示すような、ねじれ角度(θ−θ)を横軸にとり、トルクτを縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−トルク位相面図P1」を生成する。
なお、位相面図生成部121は、負荷角度θの正方向から負方向への反転前後に取得される実測データと、負方向から正方向への反転前後に取得される実測データと、の各々について上記実測値の紐付けを行う。このようにして生成されたねじれ角度−トルク位相面図P1には、主に、機械系2の非線形摩擦特性(図3(a)参照)と不感帯特性関数F1に起因するヒステリシス曲線が表れる。
同様に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるトルクτの実測データ、及び、モータ角速度ω、負荷角速度ωの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図10に示すような、トルクτを横軸にとり、モータ角速度ω及び負荷角速度ωを縦軸にとる位相面図である「トルク−機械角速度位相面図P2」を生成する。
同様に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるねじれ角度(θ−θ)の実測データ、及び、モータ角速度ω、負荷角速度ωの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図11に示すような、ねじれ角度(θ−θ)を横軸にとり、モータ角速度ω及び負荷角速度ωを縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−機械角速度位相面図P3」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるトルクτの実測データ、及び、ねじれ速度(ω−ω)の実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。ここで、「ねじれ速度(ω−ω)の実測データ」は、モータ角速度ωの実測データから負荷角速度ωの実測データを差し引いて得られる。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図12に示すような、トルクτを横軸にとり、ねじれ速度(ω−ω)を縦軸にとる位相面図である「トルク−ねじれ速度位相面図P4」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるねじれ角度(θ−θ)の実測データ、及び、ねじれ速度(ω−ω)の実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図13に示すような、ねじれ角度(θ−θ)を横軸にとり、ねじれ速度(ω−ω)を縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後における負荷角度θの実測データ、及び、トルクτの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図14に示すような、負荷角度θを横軸にとり、トルクτを縦軸にとる位相面図である「負荷角度−トルク位相面図P6」を生成する。
次に、パラメータ同定部122は、ステップS03で生成された各種位相面図に基づいて、2慣性系モデルMODをなす各種モデルパラメータのうち、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を同定する(ステップS04)。具体的には、パラメータ同定部122は、各種位相面図における折れ点の位置等に基づいて上記モデルパラメータを同定する。
ここで、図2に示すブロック線図に基づいて、モータ20についての運動方程式である式(1)、及び、負荷21についての運動方程式である式(2)を得ることができる。
Figure 2019021036
Figure 2019021036
式(1)、(2)において、“τfM[ω]”は、モータ側摩擦特性関数GM(図3(b))に基づいてモータ角速度ωの変数として規定されるモータ側摩擦係数τfMを示している。また、“τfL[ω]”は、負荷側摩擦特性関数Gに基づいて負荷角速度ωの変数として規定される負荷側摩擦係数τfLを示している。
また、“BKLS[θ−θ]”は、ガタ変位関数F1’(図4(b))に基づいてねじれ角度(θ−θ)の変数として規定されるガタ変位BKLSを示している。
なお、現実の機械系2において、軸22のねじれ粘性係数Dの影響は小さいため、式(1)、式(2)においては、ねじれ粘性係数Dを無視している。
また、上記運動方程式(式(1)、式(2))において、機械系2の反復動作を小振幅かつ低周波数にすると、モータ20の慣性トルクJθ、負荷21の慣性トルクJθ、モータ20の粘性トルクDsθ、及び、負荷21の粘性トルクDsθの影響も小さくなる。そこで、上記運動方程式におけるこれらの項を削除することで、以下に示す式(3)、式(4)が導出される。
Figure 2019021036
Figure 2019021036
式(3)より、機械系2の反復動作が小振幅かつ低周波数の条件下において、トルク指令値に従ってモータ20が出力するトルクτは、モータ側摩擦係数τfMと負荷側摩擦係数τfLとの合計値となることが示される。
また、式(4)より、機械系2の反復動作が小振幅かつ低周波数の条件下において、負荷側摩擦係数τfLをねじれ剛性係数Kで除した値とガタ変位BKLSとの和がねじれ角度(θ−θ)となることが示される。即ち、軸22におけるねじれ角度(θ−θ)からガタ変位BKLSを差し引いた角度(変位)に、軸22のばね定数(ねじれ剛性係数K)を乗じた値が、負荷側摩擦係数τfLに一致する。
以下、式(3)、(4)の関係を考慮しながら、図9に示すねじれ角度−トルク位相面図P1における各折れ点T11〜T14について説明する。
ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T11〜折れ点T12は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じてモータ20が正方向への回転駆動を開始するまでの軌跡を示している。即ち、折れ点T11において最小値(負方向に飽和状態)となっていたトルクτが正方向に向けて徐々に増加していく過程において、当該トルクτがモータ20に生じる摩擦の飽和値(モータ側クーロン摩擦係数τfMc)を上回った時点でモータ20が正方向に回転駆動し始める。他方、折れ点T12の時点では、不感帯(−BL〜+BL)の存在により負荷21の摩擦の影響は生じない。したがって、折れ点T12に至った時点におけるトルクτは、式(3)より、モータ20に生じる摩擦の飽和値(モータ側クーロン摩擦係数τfMc)に一致する。
また、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T12〜折れ点T13は、軸22のねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最小値(−BL)から最大値(+BL)に至るまでの軌跡を示している。即ち、折れ点T12から折れ点T13にかけては、ガタ変位BKLSのみが変化し、負荷21には動力が伝達されない。したがって、モータ20のみが駆動するため、トルクτがモータ側クーロン摩擦係数τfMc一定を維持しながら、ねじれ角度(θ−θ)が変化する。したがって、折れ点T13に至った時点におけるねじれ角度(θ−θ)は、式(4)より、不感帯の最大値(+BL)に一致する。
また、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T13〜折れ点T14は、ガタ変位BKLSが正方向に飽和して、不感帯幅BLを上回るねじれ角度(θ−θ)を通じて、負荷21に印加されるトルクτ’が徐々に増加し、これに応じて負荷21が正方向への回転駆動を開始するまでの軌跡を示している。即ち、折れ点T13においてモータ20のみを回転駆動させていたトルクτが正方向に向けて更に増加していく過程において、当該トルクτが、モータ20に生じる摩擦の飽和値と負荷21に生じる摩擦の飽和値(負荷側クーロン摩擦係数τfLc)との合計値と釣り合った時点で負荷21が正方向に回転駆動し始める。したがって、折れ点T14に至った時点におけるトルクτは、式(3)より、モータ側クーロン摩擦係数τfMcと負荷側クーロン摩擦係数τfLcとの合計値に一致する。
また、折れ点T14に至った時点におけるねじれ角度(θ−θ)は、式(4)より、“τfLc/K+BL”に一致する。
以上の特性に基づき、パラメータ同定部122は、各折れ点T11〜T14の位置に基づいて各種モデルパラメータを同定する。
具体的には、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T12(又は折れ点T13)の縦軸の値を参照してモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定する。また、パラメータ同定部122は、折れ点T14における縦軸の値から、先に同定したモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0の値を差し引いてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定する。更に、パラメータ同定部122は、折れ点T13(又は折れ点T12)の横軸の値を参照してモデル不感帯幅BLを同定する。更に、パラメータ同定部122は、折れ点T14における横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
次に、式(3)、(4)の関係を考慮しながら、図10に示すトルク−機械角速度位相面図P2における各折れ点T21〜T24について説明する。
トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T21〜折れ点T22は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じて、トルクτが最小値(負の飽和状態)からほとんど変化しないまま、モータ20及び負荷21の角速度がゼロとなるまでの軌跡を示している。
また、折れ点T22〜折れ点T23は、モータ20及び負荷21の角速度がゼロの状態から徐々に正方向にトルクτが上昇して行く中で、不感帯(−BL〜+BL)の存在により、モータ角速度ωのみが上昇する軌跡を示している。
また、折れ点T23〜折れ点T24は、トルクτが、モータ20のみの駆動に要するトルク(モータ側クーロン摩擦係数τfMc)を上回ることで負荷21にトルクτ’が印加され、モータ角速度ωと負荷角速度ωとが等しく上昇する軌跡を示している。
ここで、折れ点T22の横軸の値は、モータ角速度ω、負荷角速度ωがゼロであることに基づき、式(3)より“−τfMc−τfLc”と求めることができる。
また、折れ点T23の横軸の値は、負荷21の角速度が上昇を開始する時点(モータ20のみが回転駆動している時点)におけるトルクである。したがって、式(3)より、折れ点T23の横軸の値は、モータ側クーロン摩擦係数τfMcに一致する。
パラメータ同定部122は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T22の横軸の値から、先に同定したモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0の値を差し引いてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定する。
ここで、ねじれ角度−トルク位相面図P1の折れ点T14では、トルクτ、ねじれ角度(θ−θ)が完全には飽和せず、モータ側粘性係数D及び負荷側粘性係数Dに基づく誤差成分が生じることが分かっている。そうすると、ねじれ角度−トルク位相面図P1の折れ点T14の位置に基づいてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定しようとすると、当該誤差成分に起因して精度が低下することが考えられる。
他方、トルク−機械角速度位相面図P2の折れ点T22では、モータ角速度ω、負荷角速度ωがゼロとなっている。したがって、折れ点T22では、モータ角速度ω、負荷角速度ωに比例する成分を与えるモータ側粘性係数D及び負荷側粘性係数Dの影響を受けていない。そのため、折れ点T22の横軸の値から、より精度の高いモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定することができる。
また、パラメータ同定部122は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T23の横軸の値を参照してモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定する。
次に、式(3)、(4)の関係を考慮しながら、図11に示すねじれ角度−機械角速度位相面図P3における各折れ点T31〜T34について説明する。
ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T31〜折れ点T32は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じて、ねじれ角度(θ−θ)が最小値(負の飽和状態)からほとんど変化しないまま、モータ20及び負荷21の角速度がゼロとなるまでの軌跡を示している。
また、折れ点T32〜折れ点T33は、不感帯(−BL〜+BL)の存在により負荷角速度ωがゼロのままモータ角速度ωのみが上昇することで、ねじれ角度(θ−θ)が徐々に増大していく軌跡を示している。
また、折れ点T33〜折れ点T34は、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最大値(+BL)を上回ることで負荷21にトルクτ’が印加され、モータ角速度ωと負荷角速度ωとが等しく上昇する軌跡を示している。
ここで、折れ点T32の横軸の値は、負荷角速度ωがゼロであること、及び、ガタ変位BKLSが“−BL”(θ−θ<−BL)であることに基づき、式(4)より“−τfLc/K−BL”と求めることができる。
また、折れ点T33の横軸の値は、負荷21の角速度が上昇を開始する時点(負荷角速度ωがゼロの時点)におけるねじれ角度(θ−θ)である。したがって、折れ点T33の横軸の値は、式(4)より、不感帯の最大値(+BL)に一致する。
パラメータ同定部122は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T32の横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
また、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T33の横軸の値を参照してモデル不感帯幅BLを同定する。
次に、図12に示すトルク−ねじれ速度位相面図P4から導出される各折れ点T41〜T43について説明する。
図12に示すトルク−ねじれ速度位相面図P4は、トルク−機械角速度位相面図P2(図10)に示されるモータ角速度ωと負荷角速度ωとの差を示す位相面図である。したがって、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T41の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T21の位置に対応する。また、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T23の位置に対応する。更に、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T43の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T24の位置に対応する。
パラメータ同定部122は、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42の横軸の値を参照してモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定する。
ここで、図12に示す通り、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42は、トルク−機械角速度位相面図P2(図10)における折れ点T23よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定することができる。
次に、図13に示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5から導出される各折れ点T51〜T53について説明する。
図13に示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3(図11)に示されるモータ角速度ωと負荷角速度ωとの差を示す位相面図である。したがって、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T51の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T31の位置に対応する。また、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T32の位置に対応する。また、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T53の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T33の位置に対応する。更に、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T54の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T34の位置に対応する。
パラメータ同定部122は、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T53の横軸の値を参照して、モデル不感帯幅BLを同定する。
また、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52の横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
ここで、図13に示す通り、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52及び折れ点T53は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3(図11)における折れ点T32、T33よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を同定することができる。
次に、図14に示す負荷角度−トルク位相面図P6から導出される折れ点T61及び折れ点T63について説明する。
折れ点T61及び折れ点T63の時点においては、モータ側摩擦係数τfM及び負荷側摩擦係数τfLの両方が飽和状態である。したがって、式(3)より、折れ点T61の縦軸の値は、“−τfMc−τfLc”、折れ点T63の縦軸の値は、“τfMc+τfLc”と求めることができる。
パラメータ同定部122は、負荷角度−トルク位相面図P6における折れ点T63の縦軸の値から、先に同定したモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0の値を差し引いてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定する。
ここで、図14に示す通り、負荷角度−トルク位相面図P6における折れ点T63は、ねじれ角度−トルク位相面図P1(図9)における折れ点T14よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定することができる。
本実施形態に係るパラメータ同定部122は、例えば、トルク−ねじれ速度位相面図P4の折れ点T42から同定されたモデルモータ側摩擦係数τfM0、トルク−機械角速度位相面図P2の折れ点T22から同定されたモデル負荷側摩擦係数τfL0を採用する。
また、パラメータ同定部122は、例えば、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5の折れ点T52及び折れ点T53の各々から同定されたモデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を採用する。
これにより、いずれのモデルパラメータについても高い精度で同定することができる。
なお、パラメータ同定部122は、同定されたモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0をモータ側摩擦特性関数GMに代入する(図3(b)参照)。そして、パラメータ同定部122は、モデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0に対し予め定められた係数を乗じることで、モータ側摩擦特性関数GMを構成する各種定数(傾きK、K、K、K、オフセットτfM1、τfM2、τfM3、τfM4、τfM5)を同定する。これにより、パラメータ同定部122は、モデルモータ側摩擦係数τfM0を同定する。
同様に、パラメータ同定部122は、同定されたモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を付加側摩擦特性関数Gに代入する。そして、パラメータ同定部122は、モデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0に対し予め定められた係数を乗じることで、負荷側摩擦特性関数Gを構成する各種定数(傾き、オフセット)を同定する。これにより、パラメータ同定部122は、モデル負荷側摩擦係数τfL0を同定する。
なお、本実施形態に係るパラメータ同定部122は、生成された各種位相面図に対し、PSO(Particle Swarm Optimization)等を施し、各位相面図に示されたヒステリシス曲線との誤差面積が最小となるような折れ線近似演算を行うことで、各折れ点を検出する。
(作用、効果)
以上、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、上述のデータ取得部120と、位相面図生成部121と、パラメータ同定部122と、を備える態様とする。
このようにすることで、複数の位相面図に表された複数の折れ点等から、機械系2のモータ側摩擦係数τfM、負荷側摩擦係数τfL、不感帯幅BL及びねじれ剛性係数Kを別個独立に評価して、上記各種パラメータに対応するモデルパラメータを精度良く同定することができる。
したがって、モータ20及び負荷21を有する機械系2を精度よく模した2慣性系モデルMODを得ることができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、トルクτと軸22のねじれ速度(ω−ω)との関係を示すトルク−ねじれ速度位相面図P4を生成する。そして、パラメータ同定部122は、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点の位置に基づいてモータ20の摩擦を示すモデルパラメータ(モデルモータ側摩擦係数τfM0)を同定する。
このようにすることで、モデルモータ側摩擦係数τfM0を一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、軸22のねじれ角度(θ−θ)と軸22のねじれ速度(ω−ω)との関係を示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5を生成する。そして、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点の位置に基づいて軸22の剛性、及び、不感帯幅を示すモデルパラメータ(モデルねじれ剛性係数KR0、モデル不感帯幅BL)を同定する。
このようにすることで、モデルねじれ剛性係数KR0、モデル不感帯幅BLを一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、トルクτとモータ20の角速度又は負荷21の角速度との関係を示すトルク−機械角速度位相面図P2を生成する。そして、パラメータ同定部122は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点の位置に基づいて負荷21の摩擦を示すモデルパラメータ(モデル負荷側摩擦係数τfL0)を同定する。
このようにすることで、モデル負荷側摩擦係数τfL0を一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、負荷21の角度(負荷角度θ)とトルクτとの関係を示す負荷角度−トルク位相面図P6を生成する。そして、パラメータ同定部122は、負荷角度−トルク位相面図P6における折れ点の位置に基づいて負荷21の摩擦を示すモデルパラメータ(モデル負荷側摩擦係数τfL0)を同定する。
このようにすることで、モデル負荷側摩擦係数τfL0を一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、軸22のねじれ角度(θ−θ)とトルクτとの関係を示すねじれ角度−トルク位相面図P1を生成する。そして、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点の位置に基づいて、モータ20の摩擦、負荷21の摩擦、軸22の剛性、及び、軸22の不感帯幅のうちの少なくとも何れか一つを示すモデルパラメータを同定する。
このようにすることで、一つの位相面図から、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデルねじれ剛性係数KR0及びモデル不感帯幅BLを同定することができる。
以上、第1の実施形態に係るモータ制御システム1及びパラメータ同定装置12について詳細に説明したが、モータ制御システム1、パラメータ同定装置12の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
例えば、他の実施形態に係るパラメータ同定部122は、複数の位相面図(P1〜P6)から同定可能なモデルパラメータのうち、同種のものについて複数の値が同定された場合、その平均値をモデルパラメータとしてもよい。例えば、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−トルク位相面図P1から同定されたモデル不感帯幅BLと、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5から同定されたモデル不感帯幅BLと、の平均値を2慣性系モデルMODに採用するモデル不感帯幅BLとしてもよい。
また、他の実施形態に係る位相面図生成部121は、一つの位相面図(ねじれ角度−トルク位相面図P1)のみを生成する態様であってもよい。この場合、パラメータ同定部122は、生成されたねじれ角度−トルク位相面図P1からモデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデルねじれ剛性係数KR0及びモデル不感帯幅BLの全てを同定する。
このようにすることで、各モデルパラメータの同定処理を簡素化することができる。
また、他の実施形態に係る位相面図生成部121は、機械系2の反復動作ごとに実測データの取得を複数回繰り返し、これを平均化したものに基づいて各位相面図を生成してもよい。
このようにすることで、実測データのばらつき誤差が低減されるため、モデルパラメータの同定精度を更に高めることができる。
また、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、モータ制御システム1におけるフィードフォワード機能に対してだけではなく、モータ制御システム1の異常診断や機械調整にも利用することができる。
また、第1の実施形態において、パラメータ同定装置12は、上位機器から入力されるトルク指令値を「トルクτ」として、上述の各種処理を行うものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、“トルク指令値”ではなく、モータ20に流れる検出電流値から求まる“実測トルク”を「トルクτ」として用いて、上述の各種処理を行う態様であってもよい。
また、重力等の定常外乱がある場合には、トルクτやねじれ角度(θ−θ)に一定のオフセットがかかる。そこで、他の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、更に、トルクτ、ねじれ角度(θ−θ)の平均を求めてオフセット分を除去する機能、折れ点を正負で平均をとる機能を有していてもよい。
<第2の実施形態>
機械制御において、第1の実施形態で説明した位相面図(P1〜P6)によれば、機械系2の特性を示す複数の信号間の関係を可視化することができ、時間応答だけでは見つけにくい機械特性を詳細に把握することができる。このような位相面図を、基準となる位相面図と比較することで、機械系2の異常検知やヘルスモニタリングのための機械診断を行うことができる。
しかしながら、機械系2から取得した位相面図に基づいて異常検知、ヘルスモニタリング等を行う場合、人の目視による比較(判断)に頼る必要があり、取得した位相面図と基準位相面図との比較に基づく異常診断を自動ですることは困難である。即ち、「位相面図における2つの移動軌跡の差が大きければ異常である。」との判断は、人の目視によって行うことは容易であるが、これでは効率的に行うことができないし、類否判断が曖昧となり得る。すなわち、装置(コンピュータ等)を用いて、診断対象とする機械系2から取得した位相面図と、基準位相面図との比較に基づく異常の有無を自動的に判断する手法を確立することが望まれる。
ところで、地図上の移動軌跡データの類似度の検索手法として、動的時間伸縮法(DTW:Dynamic Time Warping)がある。機械系2の機械特性を示す二次元のパラメータセット(例えば、トルクτとねじれ角度(θ)との組み合わせ)の時系列データを空間上(ねじれ角度−トルク位相面図P1上)にプロットし、これを当該位相面図上における移動軌跡データとみなしてDTWを適用することで、2つの移動軌跡データの類似度に基づく異常診断を行うことができる。
しかしながら、DTWはノイズに弱いため、位相面図に用いた場合、信号のノイズにより精度が悪くなりやすい。
また、ガタや非線形摩擦の影響を把握可能な微小応答を位相面図に表すと、位相面図上においてサンプルポイントが著しく偏在し、そのままではDTWを適用できない。
更に、移動軌跡データのデータ数が大きい場合、DTWは計算量が過大となる。
第2の実施形態に係る移動軌跡成形装置、及び、当該移動軌跡成形装置を備える異常診断システムは、上記課題に鑑みてなされたものである。以下、第2の実施形態に係る移動軌跡成形装置、及び、当該移動軌跡成形装置を備える異常診断システムについて、図15〜図22を参照しながら詳細に説明する。
(全体構成)
図15は、第2の実施形態に係るモータ制御システム、機械系、及び、異常診断システムの全体構成を示す図である。
モータ制御システム1及び機械系2については、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
異常診断システム3は、機械系2の異常診断、ヘルスモニタリングを行うシステムである。異常診断システム3は、一般に用いられる汎用のコンピュータ等であってよい。
異常診断システム3は、モータ制御システム1の位相面図生成部121(図6参照)を通じて、移動軌跡データを取得する。ここで、「移動軌跡データ」とは、多次元のパラメータセット(多次元ベクトル)の時系列データであって、本実施形態においては、ねじれ角度−トルク位相面図P1上のプロットで示される、トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせの時系列データ(実測データ)である(図8、図9等を参照)。
なお、「移動軌跡データ」は、「トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせの時系列データ」に限定されない。他の実施形態においては、移動軌跡データは、他の位相面図(P2〜P6)上に示されるパラメータセット(例えば、トルクτとねじれ速度(ω−ω)との組み合わせ、負荷角度θとトルクτとの組み合わせ等)の時系列データであってもよい。
第2の実施形態に係る異常診断システム3は、内部に移動軌跡成形装置30を備えている。移動軌跡成形装置30は、モータ制御システム1を通じて得られた移動軌跡データ(移動軌跡)を適切に成形する機能を有している。
(機能構成)
図16は、第2の実施形態に係る異常診断システムの機能構成を示す図である。
図16に示すように、異常診断システム3は、CPU30Aと、メモリ31と、表示部32と、操作部33と、接続インターフェイス34と、記録媒体35と、を備えている。
CPU30Aは、異常診断システム3の動作全体を司るプロセッサである。CPU30Aは、記録媒体等に格納されたプログラムやデータをメモリ31上に読み出し、当該プログラムに規定される処理を実行することで、後述の各機能を実現する。
メモリ31は、CPU30Aのワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(RAM)である。
表示部32は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により実現され、CPU30Aによる処理結果を表示する。
操作部33は、例えば、マウス、タッチパネル及びキーボード等で構成され、操作者(ユーザ)の指示を受けてCPU30Aに各種操作等を入力する。
接続インターフェイス34は、外部装置とのインターフェイスである。特に、本実施形態においては、接続インターフェイス34は、モータ制御システム1と接続される。
記録媒体35は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の大容量記録デバイスにより実現され、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、及び、各種データ等を記憶する。本実施形態に係る記録媒体35は、例えば、後述する「基準移動軌跡データ」などを予め記録保存している。
第2の実施形態に係るCPU30Aは、上述のプログラムに基づいて動作することで、図2に示す移動軌跡データ取得部300、平滑化処理部301、正規化処理部302、等間隔化処理部303、及び、異常判定部304としての機能を発揮する。
移動軌跡データ取得部300は、接続インターフェイス34を通じて、モータ制御システム1から移動軌跡データを取得する。上述した通り、本実施形態の例としては、移動軌跡データ取得部300は、トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせである、二次元のパラメータセット(二次元ベクトル)の時系列データを取得する。
平滑化処理部301は、予め規定された平滑化フィルタ(後述する「バイラテラル軌跡フィルタf」)を適用して、移動軌跡データ取得部300が取得した移動軌跡データを平滑化する。
正規化処理部302は、上記二次元のパラメータセット(トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせ)を、次元別(トルクτ、ねじれ角度(θ−θ)別)に正規化する。
等間隔化処理部303は、平滑化処理部301によって平滑化された移動軌跡データによって移動軌跡曲線を特定する。そして、等間隔化処理部303は、当該移動軌跡曲線を二次元空間内(位相面図内)において等間隔で刻むとともに、当該等間隔で刻まれた移動軌跡曲線上の各点の座標のデータ系列を取得する。
上述の移動軌跡データ取得部300、平滑化処理部301、正規化処理部302及び異常判定部304は、移動軌跡成形装置30を構成する。
異常判定部304は、等間隔化処理部303が取得したデータ系列からなる評価対象移動軌跡データ(移動軌跡成形装置30によって成形された移動軌跡データ)と、予め用意された基準移動軌跡データとの対比に基づいて、移動軌跡データに異常があるか否かを判定する。
(異常診断システムの処理フロー)
図17は、第2の実施形態に係る異常診断システムの処理フローを示す図である。
図18〜図22は、それぞれ、第2の実施形態に係る異常診断システムの各処理を詳細に説明するための第1の図〜第5の図である。
図17に示す一連の処理フローは、例えば、機械系2に対して定期的に行われるヘルスチェック(異常診断)を行う際に実施される。
まず、CPU30Aの移動軌跡データ取得部300は、接続インターフェイス34を通じて、モータ制御システム1から移動軌跡データを取得する(ステップS11)。移動軌跡データ取得部300が取得する移動軌跡データの特徴について、図18、図19を参照しながら説明する。
図18は、トルクτ(モータトルク)の時系列データと、ねじれ角度(θ−θ)の時系列データの例を示している。また、図19は、トルクτの時系列データと、ねじれ角度(θ−θ)の時系列データと、に基づいて作成される移動軌跡データE1(ねじれ角度−トルク位相面図P1上にプロットされるサンプルポイントの群)を示している。
ここで、第1の実施形態では、ガタや非線形摩擦の特性を位相面図上に顕在化させる目的で、機械系2の反復動作を小振幅かつ低周波数(微小応答)とし、モータ20の慣性トルクJθ、負荷21の慣性トルクJθ、モータ20の粘性トルクDsθ、及び、負荷21の粘性トルクDsθの影響を小さくすることを説明した。
この場合、図18に示すように、各時系列データは、負荷角度θの方向反転時付近の時間領域(領域R1、R2)に属するサンプルポイントの数よりも、負荷角度θが同一方向への移動を続ける時間領域(トルクτ、ねじれ角度(θ−θ)が安定する時間領域)(領域Q1、Q2)に属するサンプルポイントの数の方が大きくなる。
また、図19に示すように、ねじれ角度−トルク位相面図P1上に描かれる移動軌跡の大部分は、領域R1、R2に属するサンプルポイントによって形成され、領域Q1、Q2に属する多数のサンプルポイントは、移動軌跡の形成にほとんど寄与しない。即ち、微小応答時に取得された移動軌跡データE1の各サンプルポイントは、ねじれ角度−トルク位相面図P1上に描かれる移動軌跡の一部の領域に著しく偏在する。
図17に示す処理フローにおいて、次に、CPU30Aの正規化処理部302は、移動軌跡データE1の正規化処理を行う(ステップS12)。ここで、移動軌跡データE1の各次元(トルクτ、ねじれ角度(θ−θ))は、スケールや単位が異なるため、それぞれが属する数値範囲が大きく異なる。そこで、正規化処理部302は、トルクτ及びねじれ角度(θ−θ)を同一のスケール、単位として扱えるように、“−1〜+1”の範囲に収まるように正規化を行う。
次に、CPU30Aの平滑化処理部301は、ステップS12で正規化された移動軌跡データE1に対し、「エッジ保存の平滑化処理」を行う(ステップS13)。「エッジ保存の平滑化処理」とは、具体的には、移動軌跡データE1のうち大きく変化するエッジ領域(即ち、図18、図19に示す領域R1、R2)のサンプルポイントを動かすことなく保存して、それ以外の領域(図18、図19に示す領域Q1、Q2)のサンプルポイントのみを選択的に平滑化する処理を指す。
この「エッジ保存の平滑化処理」の詳細については、図20を参照しながら説明する。
図20は、エッジ保存の平滑化処理を実現する平滑化フィルタであるバイラテラル軌跡フィルタfを示している。
バイラテラル軌跡フィルタfは、2つの重み付け関数(第1の重み付け関数W1、第2の重み付け関数W2)の積によって規定される。
第1の重み付け関数W1は、サンプルポイントどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する。具体的には、第1の重み付け関数W1は、横軸を“サンプリングされた時間の差”とする、平均μ=0、標準偏差σgのガウス分布関数である。
第2の重み付け関数W2は、サンプルポイントどうしの位相面(ねじれ角度−トルク位相面図P1)上の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する。具体的には、第2の重み付け関数W2は、横軸を“位相面上の位置の差”とする、平均μ=0、標準偏差σcのガウス分布関数である。
バイラテラル軌跡フィルタfは、例えば、式(5)のように規定される。
Figure 2019021036
ここで、式(5)の“Y(i)”は、移動軌跡データのi番目のサンプルポイントの二次元ベクトル(トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせ)である。
バイラテラル軌跡フィルタfによれば、以下のようなフィルタリング効果が得られる。
まず、第1の重み付け関数W1により、主に、サンプリングされた時間の差が小さいサンプルポイントどうしで平滑化(平均化)がなされる。これにより、短い時間間隔で細かく変動するノイズ成分を除去(平滑化)することができる。
他方、第2の重み付け関数W2によれば、隣り合うサンプルポイント間の距離(位相面上の位置の差)が大きいほど、それらのサンプルポイントの平滑化への寄与度(重み)は小さくなる。したがって、時間間隔が小さいサンプルポイントどうしであっても、当該時間間隔で大きな移動軌跡の変化があった場合には、それらのサンプルポイントどうしでの平滑化はなされなくなる。これにより、エッジ保存の効果が得られる。
以上より、移動軌跡データE1にバイラテラル軌跡フィルタfを適用することで、領域Q1、Q2に属するサンプルポイントのみが選択的に平滑化され、小さい時間間隔で大きな変化が生じたエッジ部分(領域R1、R2)に属するサンプルポイントは平滑化されず、そのまま保存されることとなる。
以下、バイラテラル軌跡フィルタfにより「エッジ保存の平滑化」がなされた移動軌跡データを、「平滑化移動軌跡データE2」と表記して説明する。
なお、第1の重み付け関数W1の標準偏差σgと第2の重み付け関数W2の標準偏差σcとは、平滑化処理の対象とする移動軌跡データの、平滑化したいノイズの大きさ、及び、保存したい(平滑化したくない)エッジの大きさ等に応じて適宜調整される。
図17に示す処理フローにおいて、次に、CPU30Aの等間隔化処理部303は、平滑化移動軌跡データE2に対し、「等間隔化処理」を行う(ステップS14)。「等間隔化処理」とは、平滑化移動軌跡データE2に示される移動軌跡の形を維持したまま、当該移動軌跡の一部分に偏在するサンプルポイントを均等化させる処理である。
この「等間隔化処理」の詳細については、図21を参照しながら説明する。
等間隔化処理部303は、図21に示す3つの処理ステップS141、S142、S143を実行する。
まず、等間隔化処理部303は、平滑化移動軌跡データE2において時系列上で隣り合うサンプルポイント間の距離を計測するとともに、各距離の総和を演算することで移動軌跡の全長を特定する(ステップS141)。
具体的には、図21のステップS141に示すように、等間隔化処理部303は、平滑化移動軌跡データE2を構成する各サンプルポイントe1、e2、・・・、eM(“M”は、平滑化移動軌跡データE2の総サンプルポイント数)のうち、隣り合うものどうしの各距離d1、d2、・・d(M−1)を演算する。ここで、i番目のサンプルポイントeiは、ねじれ角度−トルク位相面図P1上の座標(xi、yi)にプロットされるものとする。この場合、i−1番目のサンプルポイントe(i−1)からi番目のサンプルポイントeiまでの距離di、及び、1番目のサンプルポイントe1からi番目のサンプルポイントeiまでの距離の総和siは、式(6)によって求められる。
Figure 2019021036
等間隔化処理部303は、式(6)に基づいて平滑化移動軌跡データE2の最後のサンプルポイントeMまでの距離の総和sM(移動軌跡の全長)を算出する。
次に、等間隔化処理部303は、平滑化移動軌跡データE2を構成する各サンプルポイントe1、e2、・・、eMに基づく曲線(以下、移動軌跡曲線Hと表記する。)を特定する。ある座標空間上にプロットされる複数のポイントに基づいて曲線を特定する手法は、既存技術を適用できる。例えば、等間隔化処理部303は、各サンプルポイントe1、e2、・・、eMを滑らかに接続するスプライン曲線によって移動軌跡曲線Hを特定してもよいし、曲線に振動を生じさせないようにする区分的三次エルミート内挿多項式で移動軌跡曲線Hを特定してもよい。
次に、等間隔化処理部303は、ステップS142で求めた移動軌跡曲線Hを、ねじれ角度−トルク位相面図P1上において等間隔(距離dc)で刻み、刻まれた各点を新たなサンプルポイントe1’、e2’、・・として特定する(ステップS143)。ここで、移動軌跡曲線Hを均等に100分割する場合、等間隔化処理部303は、距離の総和sMを分割数(100)で割ることで距離dcを算出する(dc=sM/100)。
以下、移動軌跡曲線Hが等間隔で刻まれて規定される新たなサンプルポイントe1’、e2’、・・のデータ系列を、「評価対象移動軌跡データE2’」と表記して説明する。
図17において、次に、CPU30Aの異常判定部304は、ステップS14で取得された評価対象移動軌跡データE2’と、予め用意された基準移動軌跡データとのDTW距離を演算する。ここで、「基準移動軌跡データ」とは、機械系2が正常な状態に取得される、代表的な移動軌跡データである。即ち、評価対象移動軌跡データE2’が基準移動軌跡データと類似していれば、診断の対象である機械系2は「異常なし」と判断することができる。また、「DTW距離」とは、動的時間伸縮法に基づいて2つの移動軌跡データの類似度を示す指標となるパラメータである。
以下、図22を参照しながら、DTW距離の求め方について説明する。
図22には、ねじれ角度−トルク位相面図P1上にプロットされた2つのデータ系列X、Yを示している。図22に示すデータ系列Xが評価対象移動軌跡データE2’であり、データ系列Yが基準移動軌跡データであるものとする。
異常判定部304は、データ系列Xのサンプルポイントごとに、データ系列Yの各サンプルポイントのうち最も距離が短いサンプルポイントを特定する。例えば、データ系列Xのうちのi番目のサンプルポイントx(i)と最も距離が短いデータ系列Yのサンプルポイントは、j番目のサンプルポイントy(j)となる。また、データ系列Xのうちの(i+1)番目のサンプルポイントx(i+1)と最も距離が短いデータ系列Yのサンプルポイントも、j番目のサンプルポイントy(j)となる。
異常判定部304は、特定されたデータ系列Xのサンプルポイントとデータ系列Yのサンプルポイントとの組(例えば{x(i),y(j)}の組)の距離(cost)を算出し、更に、全ての組のcostの総和(DTW距離)を算出する。
なお、DTW距離の具体的な算出式は、式(7)に示す通りである。
Figure 2019021036
式(7)において、DTW(i,j)は、{x(i),y(j)}の組までのDTW距離である。
図17において、最後に、異常判定部304は、ステップS15で算出したDTW距離が予め規定された所定の判定閾値を上回ったか否かの判定を行う(ステップS16)。ステップS15で算出したDTW距離が所定の判定閾値を上回っている場合、評価対象移動軌跡データE2’が基準移動軌跡データと大きく異なっていることから、異常判定部304は、「異常あり」との判定をする。他方、ステップS15で算出したDTW距離が所定の判定閾値以下であった場合、評価対象移動軌跡データE2’が基準移動軌跡データと類似していることから、異常判定部304は、「異常なし」との判定をする。
(作用・効果)
以上の通り、第2の実施形態に係る異常診断システム3(移動軌跡成形装置30)は、多次元のパラメータセット(トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせ)の時系列データである移動軌跡データを取得する。また、異常診断システム3は、予め規定された平滑化フィルタ(バイラテラル軌跡フィルタf)を適用して、取得した移動軌跡データを平滑化する。そして、上述のバイラテラル軌跡フィルタfは、パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数W1と、パラメータセットどうしの多次元空間(位相面図)内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数W2と、の積からなる。
このようにすることで、移動軌跡の特徴が強く現れる“エッジ”(短時間内に位置が大きく変化する領域)を平滑化させることなく保存し、ノイズ成分のみを平滑化(除去)することができる。即ち、異常診断システム3によれば、移動軌跡データのノイズを適切に除去することができる。
なお、DTWはノイズの影響を受けて類否判断を誤りやすい特徴を有している。しかし、上述のとおり、エッジ保存の平滑化により移動軌跡データのノイズを適切に除去することで、DTWに基づく移動軌跡の類否判断の信頼性を高めることができる。
また、第2の実施形態に係る異常診断システム3(移動軌跡成形装置30)は、多次元のパラメータセット(トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせ)を、次元別に正規化する。
このようにすることで、異なる単位、異なるスケールのパラメータの組み合わせを同系列のパラメータとして扱うことができるので、DTWに基づく移動軌跡の類否判断(異常診断)をより適切に行うことができる。
更に、第2の実施形態に係る異常診断システム3(移動軌跡成形装置30)は、平滑化移動軌跡データE2によって特定される移動軌跡曲線Hを、多次元空間(位相面図)内において等間隔で刻むとともに、当該等間隔で刻まれた移動軌跡曲線H上の各点の座標のデータ系列(評価対象移動軌跡データE2’)を取得する。
このようにすることで、移動軌跡上におけるサンプルポイントの偏在を解消することができる。これにより、DTWに基づく移動軌跡の類否判断(異常診断)をより適切に行うことができる。
また、移動軌跡データのサンプルポイント数を適切に(例えば100ポイント程度)に削減することができるので、DTWの計算量を大幅に削減することができる。
更に、第2の実施形態に係る異常診断システム3は、評価対象移動軌跡データE2’と、予め用意された基準移動軌跡データとの対比に基づいて、移動軌跡データに異常があるか否かを判定する。
また、異常診断システム3は、評価対象移動軌跡データE2’と基準移動軌跡データとの間のDTW距離を演算する。そして、異常診断システム3は、算出されたDTW距離が所定の判定閾値を上回ったか否かに基づいて、移動軌跡データに異常があるか否かを判定する。
これにより、位相面図に描かれる移動軌跡の類否判断を、DTW距離に基づいて精度良く行うことができる。したがって、位相面図を用いた機械系2の異常診断を実現することができる。
なお、同一空間(位相面図)内にプロットされる2つのデータ系列(移動軌跡)の類否判断の手法は、第2の実施形態で説明したDTWに限定されない。他の実施形態に係る異常診断システム3は、公知の手法であってDTW以外の類否判断の手法を用いてもよい。
また、第2の実施形態においては、移動軌跡データは、二次元のパラメータセット(トルクτとねじれ角度(θ−θ)との組み合わせ)の時系列であるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態においては、移動軌跡データは、三次元のパラメータセット(例えば、トルクτ、ねじれ角度(θ−θ)及びねじれ速度(ω−ω)の組み合わせ等)であってもよい。この場合、異常診断システム3による各処理(正規化処理、エッジ保存の平滑化処理、等間隔化処理、及び、DTW距離の演算処理)は、三次元空間内にプロットされる移動軌跡データについて実行される。
更に、移動軌跡データは、四次元以上のパラメータセットの時系列データであってもよい。
また、第2の実施形態に係る移動軌跡成形装置30は、異常診断システム3に組み込まれ、機械系2の異常診断、ヘルスモニタリングの用途に用いるものとして説明したが、他の実施形態に係る移動軌跡成形装置30は、他の用途に用いられてもよい。
例えば、他の実施形態に係る移動軌跡成形装置30は、小型飛行体(ドローン等)が実空間(三次元空間)内を移動する際に取得される三次元移動軌跡データに対し、ノイズ除去、等間隔化処理等を実行し、移動軌跡を成形する用途に用いられてもよい。
また、他の実施形態に係る移動軌跡成形装置30は、アウトレットモール、百貨店、コンビニエンスストア等を徒歩移動する利用客の移動軌跡データに対し、ノイズ除去、等間隔化処理等を実行し、移動軌跡を成形する用途に用いられてもよい。
以上のような用途に用いることで、移動軌跡の類否判断、統計的分析を高確度、かつ、低負荷で実施することができる。
また、上述の各実施形態においては、異常診断システム3及び移動軌跡成形装置30の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各手順を行うものとしている。ここで、上述した異常診断システム3及び移動軌跡成形装置30の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、異常診断システム3及び移動軌跡成形装置30の各機能が、ネットワークで接続される複数の装置に渡って具備される態様であってもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
1 モータ制御システム
10 フィードバック制御部
11 フィードフォワード制御部
12 パラメータ同定装置
120 データ取得部
121 位相面図生成部
122 パラメータ同定部
2 機械系
20 モータ
21 負荷
22 軸
3 異常診断システム
30 移動軌跡成形装置
30A CPU
300 移動軌跡データ取得部
301 平滑化処理部
302 正規化処理部
303 等間隔化処理部
304 異常判定部
31 メモリ
32 表示部
33 操作部
34 接続インターフェイス
35 記録媒体
θ 目標角度(目標回転角度)
τ、τ’ トルク
θ モータ角度(モータの角度)
ω モータ角速度(モータの角速度)
モータ側慣性モーメント
モータ側粘性係数
τfM モータ側摩擦係数
τfMc モータ側クーロン摩擦係数
θ 負荷角度(負荷の角度)
ω 負荷角速度(負荷の角速度)
負荷側慣性モーメント
負荷側粘性係数
τfL 負荷側摩擦係数
τfLc 負荷側クーロン摩擦係数
ねじれ剛性係数
ねじれ粘性係数
BL 不感帯幅
MOD 2慣性系モデル
M0 モデルモータ側慣性モーメント
M0 モデルモータ側粘性係数
τfM0 モデルモータ側摩擦係数
τfMc0 モデルモータ側クーロン摩擦係数
L0 モデル負荷側慣性モーメント
L0 モデル負荷側粘性係数
τfL0 モデル負荷側摩擦係数
τfLc0 モデル負荷側クーロン摩擦係数
BL モデル不感帯幅
R0 モデルねじれ剛性係数
F1 不感帯特性関数
F1’ ガタ変位関数
モータ側摩擦特性関数
負荷側摩擦特性関数
P1 ねじれ角度−トルク位相面図
P2 トルク−機械角速度位相面図
P3 ねじれ角度−機械角速度位相面図
P4 トルク−ねじれ速度位相面図
P5 ねじれ角度−ねじれ速度位相面図
P6 負荷角度−トルク位相面図
f バイラテラル軌跡フィルタ
W1 第1の重み付け関数
W2 第2の重み付け関数
H 移動軌跡曲線

Claims (9)

  1. 多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを取得する移動軌跡データ取得部と、
    予め規定された平滑化フィルタを適用して前記移動軌跡データを平滑化する平滑化処理部と、
    を備え、
    前記平滑化フィルタは、
    前記パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数と、前記パラメータセットどうしの多次元空間内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数と、の積からなる
    移動軌跡成形装置。
  2. 前記第1の重み付け関数及び前記第2の重み付け関数は、ガウス分布関数である
    請求項1に記載の移動軌跡成形装置。
  3. 前記多次元のパラメータセットを、次元別に正規化する正規化処理部を更に備える
    請求項1又は請求項2に記載の移動軌跡成形装置。
  4. 平滑化された前記移動軌跡データによって特定される移動軌跡曲線を、多次元空間内において等間隔で刻むとともに、当該等間隔で刻まれた前記移動軌跡曲線上の各点の座標のデータ系列を取得する等間隔化処理部
    を更に備える請求項1から請求項3の何れか一項に記載の移動軌跡成形装置。
  5. 前記多次元のパラメータセットは、
    モータと、負荷と、前記モータ及び前記負荷を連結する連結部材と、を具備する機械系における、前記モータのトルク、前記モータの角速度、前記負荷の角度、前記負荷の角速度、前記連結部材のねじれ角度、及び、前記連結部材のねじれ角速度のうちの少なくとも何れか一つを含む
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の移動軌跡成形装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載の移動軌跡成形装置と、
    当該移動軌跡成形装置によって成形された移動軌跡データである評価対象移動軌跡データと予め用意された基準移動軌跡データとの対比に基づいて、前記移動軌跡データに異常があるか否かを判定する異常判定部と、
    を備える異常診断システム。
  7. 前記異常判定部は、
    前記評価対象移動軌跡データと前記基準移動軌跡データとの間のDTW距離を演算し、算出された前記DTW距離が所定の判定閾値を上回ったか否かに基づいて、前記移動軌跡データに異常があるか否かを判定する
    請求項6に記載の異常診断システム。
  8. 多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを取得する移動軌跡データ取得ステップと、
    予め規定された平滑化フィルタを適用して前記移動軌跡データを平滑化する平滑処理ステップと、
    を有し、
    前記平滑化フィルタは、
    前記パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数と、前記パラメータセットどうしの多次元空間内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数と、の積からなる
    移動軌跡成形方法。
  9. コンピュータに、
    多次元のパラメータセットの時系列データである移動軌跡データを取得する移動軌跡データ取得ステップと、
    予め規定された平滑化フィルタを適用して前記移動軌跡データを平滑化する平滑処理ステップと、
    を実行させるプログラムであって、
    前記平滑化フィルタは、
    前記パラメータセットどうしの時間の差が大きくなるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第1の重み付け関数と、前記パラメータセットどうしの多次元空間内の位置が離れるにつれて平滑化の影響度が小さくなる重み付けを規定する第2の重み付け関数と、の積からなる
    プログラム。
JP2017139085A 2017-07-18 2017-07-18 移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラム Active JP6762276B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017139085A JP6762276B2 (ja) 2017-07-18 2017-07-18 移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017139085A JP6762276B2 (ja) 2017-07-18 2017-07-18 移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019021036A true JP2019021036A (ja) 2019-02-07
JP6762276B2 JP6762276B2 (ja) 2020-09-30

Family

ID=65355292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017139085A Active JP6762276B2 (ja) 2017-07-18 2017-07-18 移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6762276B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110608885A (zh) * 2019-09-09 2019-12-24 天津工业大学 一种用于滚动轴承内圈磨损故障诊断及趋势预测的方法
CN111182465A (zh) * 2019-12-12 2020-05-19 中国联合网络通信集团有限公司 终端归属的确定方法及装置
JP2021081773A (ja) * 2019-11-14 2021-05-27 株式会社日立製作所 診断装置、モータ駆動装置および診断方法
CN116301081A (zh) * 2023-05-17 2023-06-23 伸瑞科技(北京)有限公司 一种惯性测试设备的速率控制方法、装置、设备及介质
CN117270455A (zh) * 2023-11-20 2023-12-22 成都飞机工业(集团)有限责任公司 一种基于数字滤波的槽腔铣削刀轨优化方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013041448A (ja) * 2011-08-17 2013-02-28 Hitachi Ltd 異常検知・診断方法、および異常検知・診断システム

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013041448A (ja) * 2011-08-17 2013-02-28 Hitachi Ltd 異常検知・診断方法、および異常検知・診断システム

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110608885A (zh) * 2019-09-09 2019-12-24 天津工业大学 一种用于滚动轴承内圈磨损故障诊断及趋势预测的方法
CN110608885B (zh) * 2019-09-09 2021-10-29 天津工业大学 一种用于滚动轴承内圈磨损故障诊断及趋势预测的方法
JP2021081773A (ja) * 2019-11-14 2021-05-27 株式会社日立製作所 診断装置、モータ駆動装置および診断方法
JP7275008B2 (ja) 2019-11-14 2023-05-17 株式会社日立製作所 診断装置、モータ駆動装置および診断方法
CN111182465A (zh) * 2019-12-12 2020-05-19 中国联合网络通信集团有限公司 终端归属的确定方法及装置
CN116301081A (zh) * 2023-05-17 2023-06-23 伸瑞科技(北京)有限公司 一种惯性测试设备的速率控制方法、装置、设备及介质
CN116301081B (zh) * 2023-05-17 2023-08-04 伸瑞科技(北京)有限公司 一种惯性测试设备的速率控制方法、装置、设备及介质
CN117270455A (zh) * 2023-11-20 2023-12-22 成都飞机工业(集团)有限责任公司 一种基于数字滤波的槽腔铣削刀轨优化方法
CN117270455B (zh) * 2023-11-20 2024-03-15 成都飞机工业(集团)有限责任公司 一种基于数字滤波的槽腔铣削刀轨优化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6762276B2 (ja) 2020-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6762276B2 (ja) 移動軌跡成形装置、異常診断システム、移動軌跡成形方法及びプログラム
CN107671861B (zh) 一种改进的scara机器人动力学参数辨识方法
WO2017203987A1 (ja) パラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラム
US9061420B2 (en) Method and system for extracting intended torque for wearable robot
US10967505B1 (en) Determining robot inertial properties
US11087509B2 (en) Output device, control device, and evaluation function value output method
JP7160914B2 (ja) パワーステアリングシステムにおける摩擦補償の方法および関連する推定方法
WO2021090842A1 (ja) 工作機械および表示装置
JP2017502390A (ja) データに基づく関数モデルを定めるための方法及び装置
TW201600846A (zh) 線性移動平台之摩擦力參數鑑別方法
CN112462606B (zh) 一种基于自适应控制的挠性关节动力学参数辨识方法
JP6756653B2 (ja) パラメータ同定装置、駆動システム、パラメータ同定方法及びプログラム
KR102618327B1 (ko) 로봇아암 관절마찰 추정장치 및 추정방법
TWI752720B (zh) 電子設備及其控制方法
CN113547544B (zh) 一种摩擦辨识方法、摩擦辨识装置以及机器人
JP2019219762A (ja) 制御装置、制御方法及びプログラム
CN114800536A (zh) 多连杆机器人的动力学参数辨识方法和装置
Mahapatra et al. Estimation of torque variation due to torsional vibration in a rotating system using a kalman filter-based approach
CN113084828B (zh) 一种运动控制方法、装置、设备和存储介质
CN113486523A (zh) 一种线性变参数振动系统全局辨识方法
CN114200831B (zh) 一种带输入磁滞的机器人混合时间控制方法、系统及介质
JP7323320B2 (ja) 診断装置、診断方法、及びプログラム
Shi et al. Incremental transfer learning for robot drilling state monitoring under multiple working conditions
CN109003631A (zh) 磁盘驱动系统的多尺度近似显式模型预测控制方法
JP6992923B1 (ja) 推定装置、推定方法、判定装置および判定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170719

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181109

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190909

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6762276

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150