JP2019020565A - 樹脂膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、レジスト用フィルムをシリコンウエハ上にラミネートして樹脂膜を形成する際に、フィルムのリワーク性が高く、ボイド残りの発生を抑制することができる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】シランカップリング剤を用いてシリコンウエハの少なくとも一方の面を疎水化処理する第一工程と、上記シリコンウエハの疎水化処理された面の少なくとも一部に、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして樹脂膜を形成する第二工程とを含む、樹脂膜形成方法。
【選択図】なし
【解決手段】シランカップリング剤を用いてシリコンウエハの少なくとも一方の面を疎水化処理する第一工程と、上記シリコンウエハの疎水化処理された面の少なくとも一部に、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして樹脂膜を形成する第二工程とを含む、樹脂膜形成方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂膜形成方法に関する。
半導体素子の表面保護層及び層間絶縁層としては、感光性樹脂組成物から形成される樹脂膜を露光及び現像し、更に加熱硬化することで形成したパターン硬化膜が用いられる。表面保護層及び層間絶縁層を形成するための感光性樹脂組成物が開発されている(例えば、特許文献1、2及び3)。
レジストの形成は、多くの場合、スピンコーティング法を用いて、レジストを形成すべき基板上へワニス状のレジスト材料を直接塗工することにより行われている。塗工時の条件によっては、余剰なレジスト材料がコーターカップのドレインに吸引される前に乾燥し、コットンキャンディと呼ばれる綿あめ状となってコーターカップの上部で浮遊するため、周辺部及び基板を汚染する。また、高解像度の達成が可能な感光性レジストは、配線の微細化が進む配線板用途への適用も期待されるものの、ワニス状の感光性レジスト材料は主な製膜方法がスピンコーティングであるために、板型基板を使用する配線板用途へ適用することは難しい。このため、多様化する基板サイズ及び形状に対応可能な、塗工以外の手段によるレジスト形成方法が長らく待ち望まれている。塗工以外のレジスト形成方法としては、フィルム状のレジスト材料を用いる方法がある。
レジストには、半導体パッケージ製造工程中の加熱又はめっき工程での剥がれを抑制するために、基板との密着性が求められる。一般に、ポジ型感光性レジスト材料に用いられる高分子化合物は、例えばp−ヒドロキシスチレン等をモノマ単位として含むフェノール含有樹脂を用いる場合が多い。このようなレジスト材料には、密着性向上を目的として添加剤が配合されることがある。一方で、フィルム状のレジスト材料を用いる場合は、レジスト用フィルムを基板上にラミネートする際に、レジスト用フィルム表面と基板表面との密着性が高すぎると、フィルムをリワークすることができず、作業性及び歩留まりの低下が問題となり得る。
レジスト材料がワニス状である場合には、流動性があるため、基板の表面状態が均一であれば基板とワニスとの密着性に関係なく均一に製膜することができる。一方、フィルム状のレジスト材料では、レジスト用フィルム表面と基板表面との密着性が高すぎると、ラミネートによる製膜時にレジスト用フィルムと基板との間の空気を完全に逃がすことができず、ボイド残りが発生し、欠陥の原因となる。そのため、基板上へのレジスト用フィルムの製膜において、レジスト用フィルム表面と基板表面との密着性が、ラミネート前はフィルムのリワークが可能な程度に抑えられていることが望ましい。
本発明は、レジスト用フィルムをシリコンウエハ上にラミネートして樹脂膜を形成する際に、フィルムのリワーク性が高く、ボイド残りの発生を抑制することができる方法を提供することを目的とする。
本発明は、シランカップリング剤を用いてシリコンウエハの少なくとも一方の面を疎水化処理する第一工程と、上記シリコンウエハの疎水化処理された面の少なくとも一部に、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして樹脂膜を形成する第二工程とを含む、樹脂膜形成方法を提供する。
上記方法において、シランカップリング剤が、アミノ系シランカップリング剤及びイソシアネート系カップリング剤の少なくとも一方であることが好ましい。
上記方法において、レジスト用フィルムがポジ型感光性であり、レジスト用フィルムが上記樹脂層の一方の面に支持フィルムを有し、第二工程において、上記樹脂層の、支持フィルムが設けられた面とは反対の面が上記シリコンウエハに接するようにラミネートされることが好ましい。
上記方法において、レジスト用フィルムが、支持フィルム上に、ポジ型感光性樹脂組成物を塗工して感光性樹脂組成物層を設ける工程と、上記感光性樹脂組成物層を加熱乾燥して樹脂層を得る工程とを含む方法によって得られるものであることが好ましい。
上記方法において、上記ポジ型感光性樹脂組成物が、(A)下記一般式(1)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)下記一般式(2)で表される構造単位を有するアクリル樹脂とを含有することが好ましい。
[一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、aは0〜3の整数を示し、bは1〜3の整数を示し、aとbとの合計は5以下である。]
上記方法において、(D)成分が下記一般式(3)で表される構造単位を更に有するアクリル樹脂であることが好ましい。
上記方法において、(D)成分が下記一般式(4)で表される構造単位を更に有するアクリル樹脂であることが好ましい。
上記方法において、(D)成分が下記一般式(5)で表される構造単位を更に有するアクリル樹脂であることが好ましい。
上記方法において、(A)成分が下記一般式(6)で表される構造単位を更に有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
上記方法において、(A)成分が下記一般式(7)で表される構造単位を更に有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
上記方法において、(B)成分がo−キノンジアジド化合物であることが好ましい。
上記方法において、レジスト用フィルムが、上記樹脂層の、上記支持フィルムが設けられた面とは反対の面に保護フィルムを積層する工程を更に含む方法によって得られるものであってよい。
上記方法において、レジスト用フィルムが、連続的に得られたレジスト用フィルムをロールフィルム化する工程を更に含む方法によって得られるものであってよい。
本発明はまた、上記方法によって形成された樹脂膜を加熱して硬化膜を形成する工程を含む、半導体素子の製造方法を提供する。当該製造方法により、ボイド残りが抑制された半導体素子を、高い歩留まりで、作業性よく製造することができる。
本発明の樹脂膜形成方法により、レジスト用フィルムをシリコンウエハ上にラミネートして樹脂膜を形成する際に、フィルムのリワーク性を向上させ、ボイド残りの発生を抑制することができる。
本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また本明細書において「〜」を用いて数値範囲を表わす場合は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示すものとする。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。
[樹脂膜形成方法]
本実施形態に係る樹脂膜形成方法は、シランカップリング剤を用いてシリコンウエハの少なくとも一方の面を疎水化処理する第一工程(疎水化処理工程)と、シリコンウエハの疎水化処理された面の少なくとも一部に、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして樹脂膜を形成する第二工程(製膜工程)とを含む。
本実施形態に係る樹脂膜形成方法は、シランカップリング剤を用いてシリコンウエハの少なくとも一方の面を疎水化処理する第一工程(疎水化処理工程)と、シリコンウエハの疎水化処理された面の少なくとも一部に、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして樹脂膜を形成する第二工程(製膜工程)とを含む。
<疎水化処理>
第一工程である疎水化処理工程は、例えば、基板となるシリコンウエハにシランカップリング剤を塗布し、乾燥させることにより行うことができる。シランカップリング剤の塗布方法としては、例えば、浸漬法、雰囲気にさらす方法、スピンコート法、LB(ラングミュアーブロージェット)法等がある。浸漬法は、シランカップリング剤の希釈溶液中に基板を浸漬して引き上げる方法であって、LB法のように分子の配向及び分子レベルの膜を形成することは考慮していない方法である。スピンコート法の場合は、シランカップリング剤の希釈溶液を基板の中央部に滴下し、所定の回転速度で回転することにより基板上に薄膜を形成する方法であり、常用される手法である。シリコンウエハ上にシランカップリング剤を塗布した後、加熱乾燥することにより、シリコンウエハの表面にシランカップリング層を形成し、シリコンウエハの表面を疎水化することができる。
第一工程である疎水化処理工程は、例えば、基板となるシリコンウエハにシランカップリング剤を塗布し、乾燥させることにより行うことができる。シランカップリング剤の塗布方法としては、例えば、浸漬法、雰囲気にさらす方法、スピンコート法、LB(ラングミュアーブロージェット)法等がある。浸漬法は、シランカップリング剤の希釈溶液中に基板を浸漬して引き上げる方法であって、LB法のように分子の配向及び分子レベルの膜を形成することは考慮していない方法である。スピンコート法の場合は、シランカップリング剤の希釈溶液を基板の中央部に滴下し、所定の回転速度で回転することにより基板上に薄膜を形成する方法であり、常用される手法である。シリコンウエハ上にシランカップリング剤を塗布した後、加熱乾燥することにより、シリコンウエハの表面にシランカップリング層を形成し、シリコンウエハの表面を疎水化することができる。
シランカップリング剤としては、公知のものを使用することができる。シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル系シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル系シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル系シランカップリング剤;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤などが挙げられる。シリコンウエハとの結合性及びレジスト材料との結合性の観点から、シランカップリング剤は、アミノ系シランカップリング剤及びイソシアネート系カップリング剤の少なくとも一方であることが好ましい。シランカップリング剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤を希釈する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等を使用することができる。
<製膜>
第二工程は製膜工程である。製膜工程では、疎水化処理を行ったシリコンウエハに、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして、樹脂膜を形成する。ラミネートは例えばラミネーターを用いて行うことができる。ラミネートにより、シリコンウエハとレジスト用フィルムとを密着させることができる。ラミネーターには真空加圧ラミネーター常圧ロールラミネーター等を使用できるが、特に加熱温度を低く設定できることから真空加圧ラミネーターが好ましい。ラミネート温度及び時間は、レジスト用フィルムをシリコンウエハ表面に密着させるために十分であればよいが、好ましくはラミネート温度50〜120℃、ラミネート時間10〜120秒程度である。
第二工程は製膜工程である。製膜工程では、疎水化処理を行ったシリコンウエハに、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして、樹脂膜を形成する。ラミネートは例えばラミネーターを用いて行うことができる。ラミネートにより、シリコンウエハとレジスト用フィルムとを密着させることができる。ラミネーターには真空加圧ラミネーター常圧ロールラミネーター等を使用できるが、特に加熱温度を低く設定できることから真空加圧ラミネーターが好ましい。ラミネート温度及び時間は、レジスト用フィルムをシリコンウエハ表面に密着させるために十分であればよいが、好ましくはラミネート温度50〜120℃、ラミネート時間10〜120秒程度である。
[レジスト用フィルム]
本実施形態に係る樹脂膜形成方法において用いられるレジスト用フィルムについて説明する。レジスト用フィルムは樹脂層を含む。レジスト用フィルムは、感光性であってよく、ポジ型感光性であってよい。レジスト用フィルムは樹脂層のみからなるものであってよい。
本実施形態に係る樹脂膜形成方法において用いられるレジスト用フィルムについて説明する。レジスト用フィルムは樹脂層を含む。レジスト用フィルムは、感光性であってよく、ポジ型感光性であってよい。レジスト用フィルムは樹脂層のみからなるものであってよい。
レジスト用フィルムは、例えば、樹脂層の一方の面に支持フィルムを更に有していてもよい。レジスト用フィルムが支持フィルムを有する場合は、製膜工程において、樹脂層を支持フィルムとともにラミネートすることができる。このとき、樹脂層の、支持フィルムが設けられた面とは反対側の面がシリコンウエハに接するようにラミネートを行う。支持フィルムはラミネート後に剥離することができる。
レジスト用フィルムとしては、例えば、保護フィルム、樹脂層及び支持フィルムをこの順に備えるものであってよいが、製膜の際には少なくとも保護フィルムを剥離して用いる。保護フィルムは、空気を遮断する役割、及び異物等から樹脂層を保護する役割を有する。
レジスト用フィルムの樹脂層は、例えば、ポジ型感光性樹脂組成物から形成されるものであってよい。樹脂層は、例えば、感光性樹脂組成物を塗工して形成される感光性樹脂組成物層を加熱乾燥して形成することができる。
以下、レジスト用フィルムの製造方法の例を説明する。まず、後述するポジ型感光性樹脂組成物を支持フィルム上に塗工して、感光性樹脂組成物層を設ける。ポジ型感光性樹脂組成物の塗工は、例えば、フォワードロールコータ、リバースロールコータ、コンマコータ、ダイコータ、リップコータ、グラビアコータ、ディップコータ、エアナイフコータ、キャピラリーコータ、レイジング&ライジング(R&R)コータ、ブレードコータ、バーコータ、アプリケータ、押出成形機等を用いて行うことができる。
次に、支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物層を加熱乾燥して感光性樹脂組成物中の有機溶媒及び揮発分の少なくとも一部を除去し、樹脂層を形成する。
加熱乾燥は、例えば熱風循環オーブン等を用いることができる。加熱温度は、例えば、50〜200℃とすることができ、60〜150℃とすることが好ましい。加熱時間は、例えば、1〜60分とすることができ、3〜30分としてよい。
樹脂層の厚みは5〜150μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
レジスト用フィルムの製造方法は、樹脂層の、支持フィルムが設けられた面とは反対の面に保護フィルムを積層する工程を更に含んでいてもよい。
支持フィルム及び保護フィルムは、形態を損なうことなく樹脂層から剥離できるものであればよく、単一層からなるものであってもよく、複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムであってもよい。支持フィルム及び保護フィルムとしては、ナイロンフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルペンテン(TPX)フィルム、ポリカーボネート、フッ素含有フィルム、特殊ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムなどを使用することができる。これらのフィルムについては、コロナ処理、又は剥離剤、帯電防止剤の塗布等の各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができる。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、適度の可撓性、機械的強度を有するため好ましい。ポリエチレンテレフタレートは耐熱性に優れることから、離型剤又は帯電防止剤の塗布及び乾燥にも耐えることができるため好適である。
上記支持フィルム及び保護フィルムの厚みはそれぞれ、製造の安定性及び巻き芯に対する巻き癖、いわゆるカール防止の観点から、いずれも好ましくは10〜100μm、より好ましくは25〜50μmである。
上記レジスト用フィルムは、連続して製造することができる。レジスト用フィルムの製造方法は、連続的に得られたレジスト用フィルムをロールフィルム化する工程を更に含んでもよい。連続して得られたレジスト用フィルムは、巻き取ってロールフィルム化することができる。
[製膜時の加熱処理]
レジスト用フィルムをシリコンウエハにラミネートした後に、レジスト用フィルムの樹脂層とシリコンウエハとの密着性を高めるために、加熱処理を行うことが好ましい。加熱としてはソフトベークを行うことが好ましい。ソフトベークに使用する機器には特に制限がないが、ホットプレート、オーブン等を用いることが好ましい。ソフトベークの温度及び時間に特に制限はないが80〜140℃で、1〜7分行なうことが好ましい。
レジスト用フィルムをシリコンウエハにラミネートした後に、レジスト用フィルムの樹脂層とシリコンウエハとの密着性を高めるために、加熱処理を行うことが好ましい。加熱としてはソフトベークを行うことが好ましい。ソフトベークに使用する機器には特に制限がないが、ホットプレート、オーブン等を用いることが好ましい。ソフトベークの温度及び時間に特に制限はないが80〜140℃で、1〜7分行なうことが好ましい。
[パターン形成・硬化]
本実施形態に係る樹脂膜形成方法によって形成した樹脂膜は、更にパターン形成を行ってパターン樹脂膜として用いることができる。樹脂層として感光性の樹脂層を用いる場合、パターン形成は、樹脂膜を露光及び現像することによって行うことができる。さらに、樹脂膜又はパターン樹脂膜を加熱して硬化することにより、硬化膜又はパターン硬化膜を形成することができる。硬化膜又はパターン硬化膜は、例えば、半導体素子における表面保護層及び/又は層間絶縁層として用いることができる。
本実施形態に係る樹脂膜形成方法によって形成した樹脂膜は、更にパターン形成を行ってパターン樹脂膜として用いることができる。樹脂層として感光性の樹脂層を用いる場合、パターン形成は、樹脂膜を露光及び現像することによって行うことができる。さらに、樹脂膜又はパターン樹脂膜を加熱して硬化することにより、硬化膜又はパターン硬化膜を形成することができる。硬化膜又はパターン硬化膜は、例えば、半導体素子における表面保護層及び/又は層間絶縁層として用いることができる。
<露光工程>
露光工程では、シリコンウエハ上に形成した樹脂膜の少なくとも一部に、直描もしくはマスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。後述する感光性樹脂組成物において、(A)成分はi線に対する透明性が高いので、i線の照射を好適に用いることができる。なお、露光後、必要に応じて、溶解速度を向上させる観点から、露光後加熱(PEB)を行うこともできる。露光後加熱を行なう場合の温度は70℃〜140℃、露光後加熱の時間は1分〜5分が好ましい。
露光工程では、シリコンウエハ上に形成した樹脂膜の少なくとも一部に、直描もしくはマスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。後述する感光性樹脂組成物において、(A)成分はi線に対する透明性が高いので、i線の照射を好適に用いることができる。なお、露光後、必要に応じて、溶解速度を向上させる観点から、露光後加熱(PEB)を行うこともできる。露光後加熱を行なう場合の温度は70℃〜140℃、露光後加熱の時間は1分〜5分が好ましい。
<現像工程>
現像工程では、露光工程後の樹脂膜の露光部を現像液で除去することにより、樹脂膜がパターン化され、パターン樹脂膜が得られる。現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン及び水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液が好適に用いられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10質量%とすることが好ましい。さらに、上記現像液にアルコール類又は界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で配合することができる。現像液を用いて現像を行なう方法としては、例えば、現像液をシャワー現像、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像等の方法により感光性樹脂膜上に配し、18〜40℃の条件下、30〜360秒間放置する。放置後水洗し、スピン乾燥を行うことでパターン樹脂膜を洗浄する。
現像工程では、露光工程後の樹脂膜の露光部を現像液で除去することにより、樹脂膜がパターン化され、パターン樹脂膜が得られる。現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン及び水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液が好適に用いられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10質量%とすることが好ましい。さらに、上記現像液にアルコール類又は界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で配合することができる。現像液を用いて現像を行なう方法としては、例えば、現像液をシャワー現像、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像等の方法により感光性樹脂膜上に配し、18〜40℃の条件下、30〜360秒間放置する。放置後水洗し、スピン乾燥を行うことでパターン樹脂膜を洗浄する。
<加熱工程>
樹脂膜又はパターン樹脂膜を加熱処理することにより、硬化された樹脂膜又はパターン樹脂膜である硬化膜又はパターン硬化膜を形成することができる。加熱温度は、半導体装置に対する熱によるダメージを充分に防止する点から、250℃以下が好ましく、225℃以下がより好ましく、140〜200℃であることが更に好ましい。
樹脂膜又はパターン樹脂膜を加熱処理することにより、硬化された樹脂膜又はパターン樹脂膜である硬化膜又はパターン硬化膜を形成することができる。加熱温度は、半導体装置に対する熱によるダメージを充分に防止する点から、250℃以下が好ましく、225℃以下がより好ましく、140〜200℃であることが更に好ましい。
加熱処理は、例えば、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等のオーブンを用いて行うことができる。また、大気中、又は窒素等の不活性雰囲気中のいずれを選択することもできるが、窒素下で行う方がパターンの酸化を防ぐことができるので望ましい。上述の好ましい加熱温度の範囲は従来の加熱温度よりも低いため、支持基板及び半導体装置へのダメージを小さく抑えることができる。上記加熱処理方法によって、電子デバイスを歩留まりよく製造することができ、また、プロセスの省エネルギー化につながる。さらに、上述のポジ型感光性樹脂組成物を用いた樹脂層から形成されるパターン硬化膜をレジストとして用いると、感光性ポリイミド等に見られる加熱処理工程における体積収縮(硬化収縮)が小さいため、寸法精度の低下を防ぐことができる。
加熱処理工程における加熱処理時間は、後述する感光性樹脂組成物が硬化するのに充分な時間であればよいが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下が好ましい。
また、加熱処理は、上述のオーブンの他、マイクロ波硬化装置又は周波数可変マイクロ波硬化装置を用いて行うこともできる。これらの装置を用いることにより、基板及び半導体装置の温度を例えば200℃以下に保ったままで、感光性樹脂膜のみを効果的に加熱することが可能である(J.Photopolym.Sci.Technol.,18,327−332(2005)参照)。
上述のパターン硬化膜の製造方法によれば、充分に高い感度及び解像度で、密着性及び熱衝撃性にも優れるパターン硬化膜を得ることができる。
[感光性樹脂組成物]
ポジ型感光性の樹脂層の製造に用いられる感光性樹脂組成物について説明する。感光性樹脂組成物は、例えば、(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)アクリル樹脂と、を含有していてよい。感光性樹脂組成物が含有する各成分について説明する。
ポジ型感光性の樹脂層の製造に用いられる感光性樹脂組成物について説明する。感光性樹脂組成物は、例えば、(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)アクリル樹脂と、を含有していてよい。感光性樹脂組成物が含有する各成分について説明する。
<(A)成分>
(A)成分としてのアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ水溶液に可溶である。(A)成分がアルカリ水溶液に可溶であることの1つの基準を以下に説明する。(A)成分単独と任意の溶媒とから得られた溶液、又は(A)成分と、以下に順を追って説明する(B)成分、(C)成分及び(D)成分と任意の溶媒とから得られた溶液を、シリコンウエハ等の基板上にスピン塗工して膜厚5μm程度の樹脂膜を形成する。これをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液のいずれか一つに、20〜25℃において浸漬する。この結果、樹脂膜が均一な溶液として溶解し得るとき、用いた(A)成分はアルカリ水溶液に可溶であると判断する。
(A)成分としてのアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ水溶液に可溶である。(A)成分がアルカリ水溶液に可溶であることの1つの基準を以下に説明する。(A)成分単独と任意の溶媒とから得られた溶液、又は(A)成分と、以下に順を追って説明する(B)成分、(C)成分及び(D)成分と任意の溶媒とから得られた溶液を、シリコンウエハ等の基板上にスピン塗工して膜厚5μm程度の樹脂膜を形成する。これをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液のいずれか一つに、20〜25℃において浸漬する。この結果、樹脂膜が均一な溶液として溶解し得るとき、用いた(A)成分はアルカリ水溶液に可溶であると判断する。
(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を有していてよい。
一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、aは0〜3の整数を示し、bは1〜3の整数を示し、aとbとの合計は5以下である。
(A)アルカリ可溶性樹脂は一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマ等を重合させることで得られる。
一般式(1)において、R2で表わされる炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。また、R2で表わされる炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノノキシ基及びデコキシ基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、m−イソプロペニルフェノール及びo−イソプロペニルフェノールが挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A)アルカリ可溶性樹脂を得る方法に特に制限はないが、例えば、一般式(1)で示される構造単位を与えるモノマの水酸基をt−ブチル基、アセチル基等で保護して水酸基が保護されたモノマとし、水酸基が保護されたモノマを重合して重合体を得て、さらに、得られた重合体を、公知の方法(酸触媒下で脱保護してヒドロキシスチレン系構造単位に変換すること等)で脱保護することにより得られる。
(A)成分は、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマのみからなる重合体又は共重合体であってもよく、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマとそれ以外のモノマとの共重合体であってもよい。(A)成分が共重合体である場合、共重合体中の一般式(1)で示される構造単位の割合は、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の観点から、(A)成分100モル%に対し、10〜100モル%が好ましく、20〜97モル%がより好ましく、30〜95モル%が更に好ましく、50〜95モル%が特に好ましい。
(A)成分は、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性をより向上する観点から、下記一般式(6)で表される構造単位を更に有するアルカリ可溶性樹脂であってもよい。
一般式(6)中、R10は水素原子又はメチル基を示し、R11は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、cは0〜3の整数を示す。
R11で表わされる炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基としては、それぞれR2と同様のものが例示できる。
一般式(6)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂は、一般式(6)で表される構造単位を与えるモノマを用いることで得られる。一般式(6)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン及びp−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A)成分が一般式(6)で示される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である場合、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性及びパターン硬化膜の機械特性の観点から、一般式(6)で示される構造単位の割合は(A)成分100モル%に対し、1〜90モル%が好ましく、3〜80モル%がより好ましく、5〜70モル%が更に好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。
また、(A)成分は、弾性率を低くする観点から、下記一般式(7)で表される構造単位を更に有するアルカリ可溶性樹脂であってもよい。
一般式(7)中、R12は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。
一般式(7)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂は、一般式(7)で表される構造単位を与えるモノマを用いることで得られる。一般式(7)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシルが挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A)成分が一般式(7)で示される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である場合、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性及びパターン硬化膜の機械特性の観点から、一般式(7)で示される構造単位の割合は(A)成分100モル%に対し、1〜90モル%が好ましく、3〜80モル%がより好ましく、5〜70モル%が更に好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。
(A)成分は、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性及びパターン硬化膜の機械特性の観点から、一般式(1)で表される構造単位と一般式(6)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂、一般式(1)で表される構造単位と一般式(7)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂、又は、一般式(1)で表される構造単位と一般式(6)で表される構造単位と一般式(7)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。(A)成分は、一般式(1)で表される構造単位と一般式(6)又は(7)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
(A)成分の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、感光特性及びパターン硬化膜の機械特性のバランスを考慮すると、重量平均分子量で1000〜500000が好ましく、2000〜200000がより好ましく、2000〜100000であることが更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得られる値である。
<(B)成分>
(B)成分である光により(光を受けることにより)酸を生成する化合物は、感光性樹脂組成物において感光剤として機能する。(B)成分は、光照射を受けて酸を生成させ、光照射を受けた部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。(B)成分としては、一般に光酸発生剤と称される化合物を用いることができる。(B)成分の酸発生を誘起する光照射に用いられる活性光線としては、紫外線、可視光線、放射線等が挙げられる。(B)成分の具体例としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が挙げられる。(B)成分は、これらの化合物のうちの1種のみからなるものであってもよく、また2種以上を含んで構成されるものであってもよい。これらの中で、感度が高いことから、o−キノンジアジド化合物が好ましい。
(B)成分である光により(光を受けることにより)酸を生成する化合物は、感光性樹脂組成物において感光剤として機能する。(B)成分は、光照射を受けて酸を生成させ、光照射を受けた部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。(B)成分としては、一般に光酸発生剤と称される化合物を用いることができる。(B)成分の酸発生を誘起する光照射に用いられる活性光線としては、紫外線、可視光線、放射線等が挙げられる。(B)成分の具体例としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が挙げられる。(B)成分は、これらの化合物のうちの1種のみからなるものであってもよく、また2種以上を含んで構成されるものであってもよい。これらの中で、感度が高いことから、o−キノンジアジド化合物が好ましい。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物等とを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られるものを用いることができる。
反応に用いられるo−キノンジアジドスルホニルクロリドとしては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド及びナフトキノン−1,2−ジアジド−6−スルホニルクロリドが挙げられる。
反応に用いられるヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン及びトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが挙げられる。
反応に用いられるアミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及びビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。
これらの中でも、o−キノンジアジド化合物を合成する際の反応性の観点と、樹脂層を露光する際に適度な吸収波長範囲である観点から、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンと1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたもの、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン又はトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたものを用いることが好ましい。
反応に用いられる脱塩酸剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びピリジンが挙げられる。また、反応溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びN−メチルピロリドンが用いられる。
o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物との配合は、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基とのモル数の合計が0.5〜1モルになるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい配合割合は、0.95/1モル〜1/0.95モル当量の範囲である。
上述の反応の好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間である。
(B)成分の含有量は、露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、感度がより良好となる点から、(A)成分100質量部に対して3〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、5〜30質量部が更に好ましく、5〜20質量部とすることが特に好ましい。
<(C)成分)>
(C)成分である熱架橋剤は、パターン樹脂膜を加熱して硬化する際に、(A)成分と反応して橋架け構造を形成し得る構造を有する化合物である。これにより、膜の脆さ及び膜の溶融を防ぐことができる。(C)成分としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
(C)成分である熱架橋剤は、パターン樹脂膜を加熱して硬化する際に、(A)成分と反応して橋架け構造を形成し得る構造を有する化合物である。これにより、膜の脆さ及び膜の溶融を防ぐことができる。(C)成分としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
ここでいう「フェノール性水酸基を有する化合物」には、(A)成分としてのアルカリ可溶性樹脂は包含されない。熱架橋剤としてのフェノール性水酸基を有する化合物は、熱架橋剤としてだけでなく、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度を向上させることができる。このようなフェノール性水酸基を有する化合物の重量平均分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、感光特性及び機械特性のバランスを考慮して、2000以下であることが好ましく、94〜2000であることがより好ましく、108〜2000であることが更に好ましく、108〜1500であることが特に好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができるが、下記一般式(8)で表される化合物が、露光部の溶解促進効果とパターン樹脂膜の硬化時の溶融を防止する効果のバランスに優れているため、好ましい。
一般式(8)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、s及びtはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、u及びvはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。
一般式(8)において、Xが単結合である化合物は、例えば、ビフェノール(ジヒドロキシビフェニル)誘導体である。また、Xで示される2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素数2〜10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素数6〜30のアリーレン基、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホニル基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合及びアミド結合が挙げられる。さらに、R14、R15、R16及びR17で示される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基等の炭素数6〜30のアリール基及びこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基が挙げられる。
上記一般式(8)で表わされる化合物としては、例えば、1,1−ビス{3,5−ビス(メトキシメチル)−4−ヒドロキシフェニル}メタン(本州化学工業株式会社、商品名「TMOM−pp−BPF」)を用いることができる。
ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)メラミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)グリコールウリル、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)ベンゾグアナミン及び(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)尿素等の活性メチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物が挙げられる。ここで、アルキルエーテルのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基が挙げられ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル及びテトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン、複素環式エポキシ樹脂及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
(C)成分としては、上述した化合物以外に、例えば、ビス[3,4−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]エーテル、1,3,5−トリス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン等のヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4’−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等のマレイミド基を有する化合物、ノルボルネン骨格を有する化合物、多官能アクリレート化合物、オキセタニル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物及びブロック化イソシアナート化合物を用いることもできる。
上述した(C)成分の中で、感度及び耐熱性をより向上できる点から、フェノール性水酸基を有する化合物又はヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物を用いることが好ましく、解像度及び塗膜の伸びもより向上できる点から、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物がより好ましく、ヒドロキシメチルアミノ基の全部又は一部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物が更に好ましく、ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物が特に好ましい。
上記ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物の中でも、下記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
一般式(9)中、R31、R32、R33、R34、R35及びR36は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を示す。
一般式(9)において、R31、R32、R33、R34、R35及びR36で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
(C)成分の含有量は、露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、感度がより良好となる点から、(A)成分100質量部に対して0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましく、2〜30質量部が更に好ましい。
<(D)成分>
(D)成分であるアクリル樹脂は、下記一般式(2)で表される構造単位を有していてよい。
(D)成分であるアクリル樹脂は、下記一般式(2)で表される構造単位を有していてよい。
一般式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を示す。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、一般式(2)で表される構造単位を有する(D)成分を含有することにより、感光性樹脂組成物の白濁を充分に抑え、パターン硬化膜のヘーズ値を低くすることができる。また、(D)成分を含有することにより、感光特性及び熱衝撃性(高温放置後及び冷熱衝撃試験後での機械特性の変化率が小さいこと)をより向上することができる。(D)成分は、1種のアクリル樹脂のみからなるものであってもよく、2種以上のアクリル樹脂を含むものであってもよい。
(D)成分は上記一般式(2)で表される構造単位を含むことで、(D)成分と(A)成分との相互作用が良好になり、相溶性が向上するため、パターン硬化膜の基板への密着性、機械特性及び熱衝撃性をより向上できる。
一般式(2)中、(A)成分との相溶性及び熱衝撃性をより向上できる点から、R4が炭素数2〜15のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基がより好ましく、炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基が特に好ましい。
R4で示される炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基(ヒドロキシラウリル基という場合もある。)、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシノナデシル基及びヒドロキシエイコシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
一般式(2)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を与えるモノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。
このような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとしては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R3)−COOR4 …(10)
一般式(10)中、R3及びR4は、それぞれ一般式(2)におけるR3及びR4と同じ意味である。
このような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとしては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R3)−COOR4 …(10)
一般式(10)中、R3及びR4は、それぞれ一般式(2)におけるR3及びR4と同じ意味である。
感光性樹脂組成物の白濁を充分に抑え、感光特性、機械特性及び熱衝撃性をより向上させる観点から、一般式(2)で表わされる構造単位を有するアクリル樹脂はポリマとして添加することが望ましい。
一般式(10)で表されるモノマ体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシドデシル((メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリルという場合もある。)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシトリデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシテトラデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクタデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノナデシル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシエイコシルが挙げられる。これらのモノマは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、(A)成分との相溶性、破断伸びをより向上する観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシウンデシル又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシドデシルを用いることが好ましい。
(D)成分は、一般式(2)で表される構造単位のみからなるアクリル樹脂であってもよく、一般式(2)で表される構造単位以外の構造単位を有するアクリル樹脂であってもよい。一般式(2)で表される構造単位以外の構造単位を有するアクリル樹脂である場合、アクリル樹脂中の一般式(2)で表される構造単位の割合は、(D)成分の総量に対して、0.1〜30モル%であることが好ましく、0.3〜20モル%であることがより好ましく、0.5〜10モル%であることが更に好ましい。上記一般式(2)で表される構造単位の組成比が0.1〜30モル%であることにより、(A)成分との相溶性及びパターン硬化膜の熱衝撃性をより向上することができる。
(D)成分は下記一般式(3)で表される構造単位を更に有するアクリル樹脂であることが好ましい。
一般式(3)中、R5は水素原子又はメチル基を示し、R6は1級、2級又は3級アミノ基を有する1価の有機基を示す。(D)成分が一般式(3)で表される構造単位を有することで、未露光部の現像液に対する溶解阻害性をより向上できる。
一般式(3)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を与えるモノマとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート及び2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、パターン硬化膜の基板への密着性、機械特性及び熱衝撃性をより向上できる観点から、一般式(3)中、R6が下記一般式(11)で表される1価の有機基であることが好ましい。
一般式(11)中、Yは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R21、R22、R23、R24及びR25は各々独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、nは0〜10の整数を示す。
一般式(3)中、R6が一般式(11)で表される1価の有機基で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート及び2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中で、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−711MMとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−712HMとして(いずれも日立化成株式会社製)として、それぞれ商業的に入手可能であるため好ましい。
(D)アクリル樹脂が一般式(3)で表される構造単位を有する場合、一般式(3)で表される構造単位の割合は、(A)成分との相溶性と現像液に対する溶解性の点から、(D)成分の総量に対して、0.3〜10モル%であることが好ましく、0.4〜6モル%であることがより好ましく、0.5〜5モル%であることが更に好ましい。
(D)成分は下記一般式(4)で表される構造単位を更に有するアクリル樹脂であることが好ましい。
一般式(4)中、R7は水素原子又はメチル基を示し、R8は炭素数4〜20のアルキル基を示す。(D)成分が一般式(4)で表される構造単位を有することで、未露光部の現像液に対する溶解阻害性をより向上できる。
一般式(4)中、R8で示される炭素数4〜20のアルキル基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基という場合もある。)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びエイコシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
一般式(4)中、感度、解像度及び耐熱衝撃をより向上できる点から、R8が炭素数4〜16のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4のアルキル基(n−ブチル基)であることが更に好ましい。
一般式(4)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、下記一般式(12)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R7)−COOR8 …(12)
一般式(12)中、R7及びR8は、それぞれ一般式(4)におけるR7及びR8と同じ意味である。
CH2=C(R7)−COOR8 …(12)
一般式(12)中、R7及びR8は、それぞれ一般式(4)におけるR7及びR8と同じ意味である。
一般式(12)で表されるモノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリルという場合もある。)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル及び(メタ)アクリル酸エイコシルが挙げられる。これらのモノマは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも破断伸びをより向上し、弾性率をより低くする観点から、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル又は(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリルともいう。)を用いることが好ましい。
(D)アクリル樹脂が一般式(4)で表される構造単位を有する場合、一般式(4)で表される構造単位の割合は、(D)成分の総量に対して、50〜93モル%であることが好ましく、55〜85モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることが更に好ましい。上記一般式(4)で表される構造単位の割合が50〜93モル%であることにより、パターン硬化膜の熱衝撃性をより向上することができる。
(D)成分は下記一般式(5)で表される構造単位を更に有するアクリル樹脂であることが好ましい。
一般式(5)中、R9は水素原子又はメチル基を示す。(D)成分が一般式(5)で表される構造単位を有することで、感度をより向上することができる。一般式(5)で表される構造単位を与えるモノマとしては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
(D)アクリル樹脂が一般式(5)で表される構造単位を有する場合、一般式(5)で表される構造単位の割合は、(D)成分の総量に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることが更に好ましい。上記一般式(5)で表される構造単位の組成比が5〜35モル%であることにより、(A)成分との相溶性及び現像性をより向上することができる。
(D)アクリル樹脂が一般式(5)で表される構造単位を有する場合、一般式(5)で表される構造単位の割合は、(D)成分の総量に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることが更に好ましい。上記一般式(5)で表される構造単位の組成比が5〜35モル%であることにより、(A)成分との相溶性及び現像性をより向上することができる。
(D)成分は、例えば、上記一般式(2)で表される構造単位を与えるモノマ、及び必要に応じて添加される一般式(3)、(4)及び(5)で表される構造単位を与えるモノマを配合し、乳酸エチル、トルエン、イソプロパノール等の溶媒中で攪拌し、必要に応じて加熱することにより得られる。
(D)アクリル樹脂の合成に用いられるモノマは、一般式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される構造単位を与えるモノマ以外のモノマを更に含んでいてもよい。そのようなモノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸4−メチルベンジル、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸及びプロピオール酸が挙げられる。これらのモノマは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(D)成分の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましく、3000〜60000であることがより好ましく、5000〜50000であることが更に好ましく、10000〜40000であることが特に好ましい。重量平均分子量が2000以上では硬化膜の熱衝撃性をより向上でき、100000以下であると(A)成分との相溶性及び現像性をより向上できる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
(D)成分の含有量は、感度、解像度、密着性、機械特性及び熱衝撃性のバランスの観点から、(A)成分100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が更に好ましい。
<その他の成分>
上記感光性樹脂組成物は、上記(A)、(B)、(C)及び(D)成分以外に、溶剤、エラストマー、加熱により酸を生成する化合物、溶解促進剤、溶解阻害剤、カップリング剤、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を含有してもよい。
上記感光性樹脂組成物は、上記(A)、(B)、(C)及び(D)成分以外に、溶剤、エラストマー、加熱により酸を生成する化合物、溶解促進剤、溶解阻害剤、カップリング剤、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を含有してもよい。
(溶剤)
上記感光性樹脂組成物は、溶剤を含有することにより、基板上への塗布を容易にし、均一な厚さの塗膜を形成できるという効果を奏する。溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオナート、3−メチルメトキシプロピオナート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶解性と塗布膜の均一性の点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は2−ブタノンを用いることが好ましい。
上記感光性樹脂組成物は、溶剤を含有することにより、基板上への塗布を容易にし、均一な厚さの塗膜を形成できるという効果を奏する。溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオナート、3−メチルメトキシプロピオナート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶解性と塗布膜の均一性の点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は2−ブタノンを用いることが好ましい。
(エラストマー)
エラストマーとしては、従来公知のものを用いることができるが、エラストマーを構成する重合体のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましい。
エラストマーとしては、従来公知のものを用いることができるが、エラストマーを構成する重合体のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましい。
このようなエラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びシリコーン系エラストマーが挙げられる。また、エラストマーは、微粒子状のエラストマーであってもよい。これらのエラストマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エラストマーを用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、3〜40質量部がより好ましく5〜30質量部が更に好ましい。
(加熱により酸を生成する化合物)
加熱により酸を生成する化合物を用いることにより、パターン樹脂膜を加熱する際に酸を発生させることが可能となり、(A)成分と(C)成分との反応、すなわち熱架橋反応が促進され、パターン硬化膜の耐熱性が向上する。また、加熱により酸を生成する化合物は光照射によっても酸を発生するため、露光部のアルカリ水溶液への溶解性が増大する。よって、未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解性の差が更に大きくなり解像度がより向上する。
加熱により酸を生成する化合物を用いることにより、パターン樹脂膜を加熱する際に酸を発生させることが可能となり、(A)成分と(C)成分との反応、すなわち熱架橋反応が促進され、パターン硬化膜の耐熱性が向上する。また、加熱により酸を生成する化合物は光照射によっても酸を発生するため、露光部のアルカリ水溶液への溶解性が増大する。よって、未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解性の差が更に大きくなり解像度がより向上する。
このような加熱により酸を生成する化合物は、例えば、50〜250℃まで加熱することにより酸を生成するものであることが好ましい。加熱により酸を生成する化合物の具体例としては、オニウム塩等の強酸と塩基とから形成される塩、イミドスルホナートが挙げられる。
加熱により酸を生成する化合物を用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部が更に好ましい。
(溶解促進剤)
溶解促進剤をポジ型感光性樹脂組成物に配合することによって、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度及び解像性を向上させることができる。溶解促進剤としては従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸、スルホンアミド基を有する化合物等が挙げられる。
溶解促進剤をポジ型感光性樹脂組成物に配合することによって、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度及び解像性を向上させることができる。溶解促進剤としては従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸、スルホンアミド基を有する化合物等が挙げられる。
このような溶解促進剤を用いる場合の含有量は、アルカリ水溶液に対する溶解速度によって決めることができ、例えば、(A)成分100質量部に対して、0.01〜30質量部とすることができる。
(溶解阻害剤)
溶解阻害剤は(A)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物であり、残膜厚、現像時間及びコントラストをコントロールするために用いられる。その具体例としては、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムクロリド及びジフェニルヨードニウムヨージドが挙げられる。溶解阻害剤を用いる場合の含有量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜15質量部がより好ましく、0.05〜10質量部が更に好ましい。
溶解阻害剤は(A)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物であり、残膜厚、現像時間及びコントラストをコントロールするために用いられる。その具体例としては、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムクロリド及びジフェニルヨードニウムヨージドが挙げられる。溶解阻害剤を用いる場合の含有量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜15質量部がより好ましく、0.05〜10質量部が更に好ましい。
(カップリング剤)
カップリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、形成されるパターン硬化膜の基板との接着性をより高めることができる。カップリング剤としては、例えば、有機シラン化合物、アルミキレート化合物が挙げられる。また、有機シラン化合物としては、例えば、尿素プロピルトリエトキシシランが挙げられる。カップリング剤を用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
カップリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、形成されるパターン硬化膜の基板との接着性をより高めることができる。カップリング剤としては、例えば、有機シラン化合物、アルミキレート化合物が挙げられる。また、有機シラン化合物としては、例えば、尿素プロピルトリエトキシシランが挙げられる。カップリング剤を用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
(界面活性剤又はレベリング剤)
界面活性剤又はレベリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、塗工性をより向上することができる。具体的には、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有することで、ストリエーション(膜厚のムラ)をより防いだり、現像性をより向上させたりすることができる。このような界面活性剤又はレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテルが挙げられる。市販品としては、例えば、メガファックF171、F173、R−08(DIC株式会社製、商品名)、フロラードFC430、FC431(スリーエムジャパン株式会社製、商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403及びKBM803(信越化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
界面活性剤又はレベリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、塗工性をより向上することができる。具体的には、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有することで、ストリエーション(膜厚のムラ)をより防いだり、現像性をより向上させたりすることができる。このような界面活性剤又はレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテルが挙げられる。市販品としては、例えば、メガファックF171、F173、R−08(DIC株式会社製、商品名)、フロラードFC430、FC431(スリーエムジャパン株式会社製、商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403及びKBM803(信越化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
界面活性剤又はレベリング剤を用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。
<感光性樹脂組成物>
感光性樹脂組成物の調製に用いた材料について以下に示す。
[(A)成分]
ポリ(4−ヒドロキシスチレン)
[(B)成分]
o−キノンジアジド化合物(PA28、ダイトーケミックス株式会社製)
[(C)成分]
ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(Cymel-300、日本サイテックインダストリーズ株式会社製)
[(D)成分]
(D)成分としてのアクリル樹脂は次のとおりに調製した。攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた100mlの三口フラスコに、乳酸エチル58gを秤取し、別途に秤取した重合性単量体(アクリル酸n−ブチル(BA)34.7g、アクリル酸ラウリル(LA)2.3g、アクリル酸(AA)5.5g、アクリル酸ヒドロキシブチル(HBA)2.8g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)1.8g)、並びにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.32gを加えた。室温にて約160rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を止め、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を10時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂(D)成分を得た。モノマのモル比は下記のとおりである。
BA/LA/AA/FA−711M/HBA=70.5/2.5/20/2/5(mol%)
上記の(A)成分100質量部に対し、(B)成分15質量部、(C)成分10質量部、(D)成分13質量部の割合で配合し、感光性樹脂組成物を得た。
感光性樹脂組成物の調製に用いた材料について以下に示す。
[(A)成分]
ポリ(4−ヒドロキシスチレン)
[(B)成分]
o−キノンジアジド化合物(PA28、ダイトーケミックス株式会社製)
[(C)成分]
ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(Cymel-300、日本サイテックインダストリーズ株式会社製)
[(D)成分]
(D)成分としてのアクリル樹脂は次のとおりに調製した。攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた100mlの三口フラスコに、乳酸エチル58gを秤取し、別途に秤取した重合性単量体(アクリル酸n−ブチル(BA)34.7g、アクリル酸ラウリル(LA)2.3g、アクリル酸(AA)5.5g、アクリル酸ヒドロキシブチル(HBA)2.8g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)1.8g)、並びにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.32gを加えた。室温にて約160rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を止め、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を10時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂(D)成分を得た。モノマのモル比は下記のとおりである。
BA/LA/AA/FA−711M/HBA=70.5/2.5/20/2/5(mol%)
上記の(A)成分100質量部に対し、(B)成分15質量部、(C)成分10質量部、(D)成分13質量部の割合で配合し、感光性樹脂組成物を得た。
上記の(A)、(B)、(C)及び(D)成分の混合物138質量部に対し、溶媒として乳酸エチル40質量部及びメチルエチルケトン100質量部、カップリング剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液2質量部を配合して混合し、これを3um孔のテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧ろ過して、感光性樹脂組成物を調製した。
<ポジ型感光性レジスト用フィルム>
コンマコータ及び熱風循環オーブンを有し、塗工及び乾燥を連続して行うことができる塗工機を使用して、上記感光性樹脂組成物を支持フィルム上に塗工し、熱風循環オーブンで乾燥させて、支持フィルム上に樹脂層を形成することによりポジ型感光性レジスト用フィルムを得た。さらに、樹脂層の、支持フィルムとは反対側の面に、保護フィルムを貼り合わせた。支持フィルム及び保護フィルムにはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み25μm)を用いた。熱風循環オーブンとしては、前後に連続する2つの乾燥炉(合計長さ6m)を有し、それぞれ温度を設定することができるものを用いた。熱風循環オーブンの温度は、第1乾燥炉70℃、第2乾燥炉110℃とし、塗工の速度は3.5mとした。得られた樹脂層の膜厚は10μmであった。
コンマコータ及び熱風循環オーブンを有し、塗工及び乾燥を連続して行うことができる塗工機を使用して、上記感光性樹脂組成物を支持フィルム上に塗工し、熱風循環オーブンで乾燥させて、支持フィルム上に樹脂層を形成することによりポジ型感光性レジスト用フィルムを得た。さらに、樹脂層の、支持フィルムとは反対側の面に、保護フィルムを貼り合わせた。支持フィルム及び保護フィルムにはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み25μm)を用いた。熱風循環オーブンとしては、前後に連続する2つの乾燥炉(合計長さ6m)を有し、それぞれ温度を設定することができるものを用いた。熱風循環オーブンの温度は、第1乾燥炉70℃、第2乾燥炉110℃とし、塗工の速度は3.5mとした。得られた樹脂層の膜厚は10μmであった。
<シリコンウエハの疎水処理>
シランカップリング剤として、実施例1では3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903(信越化学))、実施例2では3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007(信越化学))をそれぞれ用意した。上記シランカップリング剤をそれぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルで1%に希釈してシランカップリング剤溶液を調製した。シランカップリング剤溶液を直径3インチのシリコンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃で3分間加熱して、シリコンウエハ表面を疎水化処理した。比較例1では無処理のシリコンウエハを用意した。
シランカップリング剤として、実施例1では3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903(信越化学))、実施例2では3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007(信越化学))をそれぞれ用意した。上記シランカップリング剤をそれぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルで1%に希釈してシランカップリング剤溶液を調製した。シランカップリング剤溶液を直径3インチのシリコンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃で3分間加熱して、シリコンウエハ表面を疎水化処理した。比較例1では無処理のシリコンウエハを用意した。
<製膜>
上記レジスト用フィルムから保護フィルムを剥離し、真空加圧ラミネーターを用いて、樹脂層がシリコンウエハに接するように、用意した上記シリコンウエハにレジスト用フィルムをラミネートして密着させた。実施例1及び2では、シリコンウエハの疎水化処理面にラミネートをした。このとき、真空チャンバー内を真空度0.4Paに設定し、温度条件は90℃とした。常圧に戻した後、レジスト用フィルムをラミネートしたシリコンウエハを真空加圧ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離してシリコンウエハと樹脂層とからなる積層体を得た。
上記レジスト用フィルムから保護フィルムを剥離し、真空加圧ラミネーターを用いて、樹脂層がシリコンウエハに接するように、用意した上記シリコンウエハにレジスト用フィルムをラミネートして密着させた。実施例1及び2では、シリコンウエハの疎水化処理面にラミネートをした。このとき、真空チャンバー内を真空度0.4Paに設定し、温度条件は90℃とした。常圧に戻した後、レジスト用フィルムをラミネートしたシリコンウエハを真空加圧ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離してシリコンウエハと樹脂層とからなる積層体を得た。
(ボイド残り)
実施例1、2及び比較例1で得られた積層体を目視で確認し、ボイド残りの有無を評価した。結果を表1に示す。
実施例1、2及び比較例1で得られた積層体を目視で確認し、ボイド残りの有無を評価した。結果を表1に示す。
(リワーク性)
上記レジスト用フィルムから保護フィルムを剥離し、常温常圧の環境において、露出した樹脂層を用意した上記シリコンウエハ上に被せた。樹脂層をシリコンウエハ上から取り除いた後、シリコンウエハの表面に樹脂層の残存がないかを目視で評価した。シリコンウエハの表面に樹脂層が全く残存していないものを「○」、残存が目視で確認されたものを「×」と評価した。結果を表1に示す。
上記レジスト用フィルムから保護フィルムを剥離し、常温常圧の環境において、露出した樹脂層を用意した上記シリコンウエハ上に被せた。樹脂層をシリコンウエハ上から取り除いた後、シリコンウエハの表面に樹脂層の残存がないかを目視で評価した。シリコンウエハの表面に樹脂層が全く残存していないものを「○」、残存が目視で確認されたものを「×」と評価した。結果を表1に示す。
(パターン形成)
シリコンウエハと樹脂層との密着性を高めるため、実施例1、2及び比較例1で得られた積層体を、ホットプレートにより120℃で150秒間ソフトベークした。ソフトベークを行った積層体をi線ステッパーを用いて露光し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38質量%のアルカリ現像液を用いて、150secの現像を行い、パターンを形成した。マイクロスコープを用いて、得られたパターン樹脂膜を観察し、20μmのホールパターンが解像していることを確認した。
シリコンウエハと樹脂層との密着性を高めるため、実施例1、2及び比較例1で得られた積層体を、ホットプレートにより120℃で150秒間ソフトベークした。ソフトベークを行った積層体をi線ステッパーを用いて露光し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38質量%のアルカリ現像液を用いて、150secの現像を行い、パターンを形成した。マイクロスコープを用いて、得られたパターン樹脂膜を観察し、20μmのホールパターンが解像していることを確認した。
Claims (14)
- シランカップリング剤を用いてシリコンウエハの少なくとも一方の面を疎水化処理する第一工程と、前記シリコンウエハの疎水化処理された面の少なくとも一部に、樹脂層を含むレジスト用フィルムをラミネートして樹脂膜を形成する第二工程とを含む、樹脂膜形成方法。
- 前記シランカップリング剤が、アミノ系シランカップリング剤及びイソシアネート系カップリング剤の少なくとも一方である、請求項1に記載の方法。
- 前記レジスト用フィルムがポジ型感光性であり、前記レジスト用フィルムが前記樹脂層の一方の面に支持フィルムを有し、前記第二工程において、前記樹脂層の、前記支持フィルムが設けられた面とは反対の面が前記シリコンウエハに接するようにラミネートされる、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記レジスト用フィルムが、支持フィルム上に、ポジ型感光性樹脂組成物を塗工して感光性樹脂組成物層を設ける工程と、前記感光性樹脂組成物層を加熱乾燥して樹脂層を得る工程とを含む方法によって得られるものである、請求項3に記載の方法。
- (B)成分がo−キノンジアジド化合物である、請求項5〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記レジスト用フィルムが、前記樹脂層の、前記支持フィルムが設けられた面とは反対の面に保護フィルムを積層する工程を更に含む方法によって得られるものである、請求項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記レジスト用フィルムが、連続的に得られたレジスト用フィルムをロールフィルム化する工程を更に含む方法によって得られるものである、請求項4〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって形成された樹脂膜を加熱して硬化膜を形成する工程を含む、半導体素子の製造方法。
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