JP2019014488A - 電子部品用トレイ及びその製造方法 - Google Patents

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信裕 篠塚
明 樫本
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明 樫本
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Sachiko Oide
祥子 大出
鈴木 秀樹
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Abstract

【課題】 電子部品が落下して汚染したり、損傷するおそれを低減し、種類の異なる電子部品の保持や搬送を可能とする電子部品用トレイ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも110℃以上の耐熱性を有する樹脂を含有する成形材料により射出成形される平面略長方形のトレイ材1と、このトレイ材1の表面に着脱自在に取り付けられる粘着板材10とを備え、粘着板材10を、トレイ材1の表面に積層される平面略長方形の剛性板11と、この剛性板11の表面の大部分にスクリーン印刷されてMEMS等の電子部品20を着脱自在に粘着保持する弱粘着性の複数の粘着パターン12とから形成する。底の浅いポケット穴に電子部品20を収納するのではなく、粘着パターン12に電子部品20を粘着保持させるので、例え電子部品用トレイの搬送時に振動等が作用しても、電子部品20が脱落して汚染したり、損傷するおそれを排除できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体チップやMEMS等の電子部品の保持や搬送に利用される電子部品用トレイ及びその製造方法に関するものである。
半導体チップに代表される電子部品を保持したり、搬送する場合には、電子部品を塵埃、衝撃、静電気等から保護するため、専用の電子部品用トレイが使用される。この電子部品用トレイとしては、例えば(1)平面矩形の樹脂プレートのXY方向に、電子部品を収納する複数のポケット穴が配列形成されたタイプ(特許文献1、2、3参照)、(2)平面長方形の樹脂プレートのXY方向に、電子部品を収納する複数のポケット穴が配列形成され、各ポケット穴の中央部に、操作用の貫通口が穿孔されたタイプ、(3)アルミニウムにより平面長方形に形成されたプレート部の表面に、平面格子形に射出成形された樹脂製の仕切り部が一体化され、この仕切り部の複数のポケット穴に電子部品を適宜収納するタイプ(特許文献4参照)等があげられる。
電子部品用トレイは、(1)、(2)、(3)のタイプに拘わらず、電子部品との適合性を重視し、電子部品の位置ずれやガタツキを防止する観点から、電子部品の種類毎に製造される。例えば、電子部品の大きさが2インチの場合には、2インチの電子部品の取り扱いに適した構造に構成され、電子部品の大きさが4インチの場合には、4インチの電子部品の取り扱いに適した構造に構成される。
特開2002‐313904号公報 特開2002‐255278号公報 実開平04‐084188号公報 特開2012‐080028号公報
従来における電子部品用トレイは、以上のように構成され、底の浅いポケット穴に電子部品が単に収納されるに止まるので、搬送時に振動等が作用すると、ポケット穴から電子部品が簡単に飛び出して落下し、電子部品が汚染したり、損傷するおそれがある。また、従来における電子部品用トレイは、電子部品の種類毎の専用品に製造されるので、種類の異なる電子部品の保持や搬送に支障を来すという問題がある。例えば、電子部品用トレイが2インチの電子部品を前提に製造された場合には、4インチの電子部品を保持したり、搬送することはきわめて困難である。
本発明は上記に鑑みなされたもので、電子部品が落下して汚染したり、損傷するおそれを低減し、しかも、種類の異なる電子部品の保持や搬送を可能とする電子部品用トレイ及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、少なくとも樹脂を含有する成形材料により成形されるトレイ材と、このトレイ材に取り付けられる粘着板材とを備え、粘着板材が、トレイ材の表面に重ねられる剛性板と、この剛性板の表面の少なくとも一部に形成されて電子部品を着脱自在に粘着保持する弱粘着性の粘着パターンとを含むことを特徴としている。
なお、少なくとも110℃以上の耐熱性を有する樹脂含有の成形材料により、トレイ材がJEDEC規格に基づく大きさに成形されるようにすることができる。
また、少なくとも110℃以上の耐熱性を有する樹脂含有の成形材料により、トレイ材がJEITA規格に基づく大きさに射出成形されるようにすることができる。
また、トレイ材の周縁部の少なくとも一部分に周壁が立て設けられ、この周壁の高さが、粘着板材の厚さに粘着保持が予定される電子部品の厚さを加算した加算値よりも大きい値とされており、トレイ材の裏面周縁部に、積層用の切り欠き段差部が形成されるようにすることができる。
また、粘着パターンが、剛性板の表面の少なくとも一部にペースト状のシリコーンゴムが供給して乾燥硬化することで形成されることが好ましい。
また、粘着パターンは、複数の粘着材がX方向に並んで指向する第一の粘着パターンと、複数の粘着材がY方向に並んで指向する第二の粘着パターンと、粘着材がXY方向のいずれかの方向に指向する第三の粘着パターンとを含み、第一、第二の粘着パターンの粘着材よりも第三の粘着パターンの粘着材が長くされ、
第一、第二の粘着パターンが隣接して並べられ、第三の粘着パターンが、並んだ複数の第一、第二の粘着パターンの間に介在するようにすることが好ましい。
また、第一、第二、第三の粘着パターンの粘着材が、高さ0.008mm以上0.014mm以下、幅0.14mm以上0.4mm以下の略柱形に形成されるようにすることができる。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし6のいずれかに記載した電子部品用トレイの製造方法であり、
少なくとも樹脂を含有する成形材料によりトレイ材を成形し、このトレイ材の表面に粘着板材を重ね、この粘着板材の表面の粘着パターンを露出させることを特徴としている。
ここで、特許請求の範囲におけるトレイ材と粘着板材は、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。トレイ材には、粘着板材を着脱自在に取り付けることもできるし、固定することもできる。このトレイ材は、平面略長方形、略正方形、略枠形に形成することができる。また、粘着板材の剛性板には、少なくともステンレス板や硬質のガラス板等を使用することができる。
電子部品には、少なくともMEMSやその部品、回路素子、レンズ、センサ、半導体チップ、半導体パッケージ等が含まれる。この電子部品は、単数でも良いし、複数でも良いが、複数の場合、大きさや種類の異同を特に問うものではない。粘着パターンには、少なくとも平面略C字形、E字形、H字形、I字形、L字形、O字形、T字形、U字形、V字形、X字形、円形、矩形等の粘着材を複数使用することができる。さらに、本発明に係る電子部品用トレイは、クリーンルーム用、工程内用、検査用、出荷用の専用品等でも良い。
本発明によれば、電子部品を保持したり、搬送する場合には、電子部品用トレイの粘着板材の粘着パターンに電子部品を押し付ければ、粘着パターンに電子部品を粘着保持させることができる。
これに対し、電子部品用トレイから電子部品を取り外す場合には、電子部品を治具等で吸着したり、摘まんだり、又は挟めば、粘着板材の粘着パターンから電子部品を取り外すことができる。この際、粘着パターンが弱粘着性なので、電子部品に強い剥離力を作用させなくても、電子部品を簡単に取り外すことができる。
本発明によれば、電子部品用トレイから電子部品が落下して汚染したり、損傷するおそれを低減することができるという効果がある。また、例え複数の電子部品が一種類ではなく、複数種の場合にも、種類の異なる複数の電子部品を保持したり、搬送することができる。
請求項2記載の発明によれば、少なくとも110℃以上の耐熱性を有する樹脂含有の成形材料により、トレイ材を成形するので、例えトレイが加熱処理工程で使用されたり、電子部品が加熱処理される場合にも、電子部品用トレイを耐熱性に優れる専用トレイに交換する手間を省くことができる。また、トレイ材を事実上の国際標準規格であるJEDEC規格に基づく大きさに成形するので、電子部品用トレイや異なる電子部品の取扱が容易となる。
請求項3記載の発明によれば、他の電子部品用トレイの周壁に電子部品用トレイの切り欠き段差部を嵌め合わせて支持させれば、複数の電子部品用トレイを上下方向に積層して保管したり、搬送することができる。この際、電子部品用トレイの周壁の高さが粘着板材の厚さに粘着保持が予定される電子部品の厚さを加算した加算値よりも大きい値なので、電子部品用トレイの周壁から電子部品が上方に突き出ることが少ない。したがって、粘着パターンに粘着保持した電子部品を損傷させることなく、複数の電子部品用トレイを積層してまとめることが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、シリコーンゴムにより粘着パターンを形成するので、優れた耐熱性、接着性、圧縮特性、電気絶縁性、難燃性を得ることができ、しかも、長期に亘って弱粘着性を維持することが可能となる。また、粘着パターンに対する電子部品の粘着部に特に熱等を加えなくても、手作業だけで電子部品を簡単に取り外すことが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、粘着保持対象の電子部品が大きい場合には、第一、第二、第三の粘着パターンの粘着材に粘着保持させれば、大きな電子部品の位置ずれや脱落を有効に防止することができる。この際、第一、第二、第三の粘着パターンの向きや長さが異なるので、電子部品のXY方向への位置ずれを有効に抑制することができる。また、粘着保持対象の電子部品が小さい場合には、第一、第二の粘着パターンの粘着材、第一の粘着パターンの粘着材、又は第二の粘着パターンの粘着材に粘着保持させれば、小さな電子部品の位置ずれや脱落の防止が期待できる。
請求項6記載の発明によれば、第一、第二、第三の粘着パターンの粘着材の高さが0.008mm以上0.014mm以下なので、剛性板に電子部品が接触して汚染したり、粘着材に粘着した電子部品の姿勢が不安定になるおそれを低減することができる。また、第一、第二、第三の粘着パターンの粘着材の幅が0.14mm以上0.4mm以下なので、粘着材を高精細に印刷することが可能となる。
本発明に係る電子部品用トレイの実施形態を模式的に示す全体斜視説明図である。 本発明に係る電子部品用トレイの実施形態におけるトレイ材を模式的に示す斜視説明図である。 本発明に係る電子部品用トレイの実施形態におけるトレイ材と粘着板材とを模式的に示す部分断面説明図である。 本発明に係る電子部品用トレイの実施形態における粘着板材を模式的に示す部分斜視説明図である。 本発明に係る電子部品用トレイの実施形態における粘着板材の粘着パターンを模式的に示す平面説明図である。 本発明に係る電子部品用トレイの実施形態における粘着パターンの粘着材を模式的に示す斜視説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における電子部品用トレイは、図1ないし図6に示すように、樹脂含有の成形材料により成形される平面略矩形のトレイ材1と、このトレイ材1に取り付けられる粘着板材10とを備え、この粘着板材10の剛性板11に、MEMS等の電子部品20を着脱自在に粘着保持する複数の粘着パターン12が形成されており、例えばクリーンルームで使用される。
トレイ材1は、図1ないし図3に示すように、所定の樹脂を含有する成形材料により、JEDEC規格に基づく大きさの平面略長方形の板に射出成形され、保管時や電子部品20の搬送時に、必要に応じて複数枚が上下方向に積層される。成形材料の樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリフェニレンエーテル、ポリエーテルミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン等があげられる。
これらの樹脂の中では、電子部品20が加熱処理される場合に鑑み、少なくとも110℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上の耐熱性を有するポリフェニレンエーテルやポリエーテルミドが好ましい。また、成形材料には、上記樹脂の他、必要に応じ、導電性や補強性等に優れるカーボンブラック、強度に優れる軽量のカーボンファイバー、断熱性等に優れる軽量のセラミックファイバー等の各種フィラーが添加される。
JEDEC規格(Joint Electron Device Engineering Council)は、電子部品20の標準化を推進するアメリカの業界団体が提案している規格であり、事実上の国際標準規格である。このJEDEC規格に基づく外形寸法にトレイ材1が射出成形されることにより、異なる電子部品20の取扱が容易となる。
トレイ材1は、図2に示すように、XY方向に複数の作業スペース2がマトリクスに区画形成され、各作業スペース2が基本的には平面矩形に形成されており、各作業スペース2の中央部には、平面矩形の貫通口3が穿孔されるとともに、この貫通口3の周縁部には、平面略X字形の補強リブ4が一体形成される。
トレイ材1の表面周縁部の少なくとも大部分には図2や図3に示すように、複数の周壁5がそれぞれ立設され、この複数の周壁5の間が必要に応じて握持操作に利用される。この複数の周壁5の高さHは、電子部品20を粘着保持したトレイ材1の積層を可能とする観点から、粘着板材10の厚さに粘着保持が予定される電子部品20の厚さを加算した加算値よりも大きい値(例えば、3mm)とされる。また、トレイ材1の周縁部の一対の短辺には、細長い操作用の摘み片6がそれぞれ突出形成される。
トレイ材1の裏面周縁部には、図3に示すように、他のトレイ材1の周壁5の平坦な表面に接触する積層用の切り欠き段差部7が形成される。この切り欠き段差部7の高さ(深さ)は、粘着板材10の厚さに粘着保持が予定される電子部品20の厚さを加算した加算値よりも小さい値とされる。この切り欠き段差部7は、他のトレイ材1の周壁5の平坦な表面に接触することにより、複数枚のトレイ材1の積層時にトレイ材1の姿勢を安定させるよう機能する。
粘着板材10は、図1、図4ないし図6に示すように、トレイ材1に着脱自在に積層される剛性板11と、この剛性板11の表面の大部分に形成されて電子部品20を着脱自在に粘着保持する弱粘着性の複数の粘着パターン12とを備えて形成される。剛性板11は、例えば入手が容易で強度に優れる厚さ0.1mm程度の安価なSUS板により、トレイ材1の大きさに対応する平面長方形に形成され、トレイ材1の表面に重ねて配置される。
複数の粘着パターン12は、剛性板11の平坦な表面XY方向の大部分にペーストの粘着性エラストマー、具体的にはシリコーンゴムがスクリーン印刷して供給され、シリコーンゴムが乾燥硬化することでパターン形成される。剛性板11の表面の大部分にシリコーンゴムがスクリーン印刷されるのは、剛性板11の表面の全面にシリコーンゴムがスクリーン印刷されると、粘着力が必要上に大きくなり、電子部品20の取り外しに支障を来すおそれがあるからである。
シリコーンゴムは、耐熱性、接着性、圧縮特性、電気絶縁性、難燃性に優れる他、長期に亘って弱粘着性を維持し、治具(例えば、ピンセット等)を用いた手作業だけで電子部品20を着脱できるという効果を発揮する。このシリコーンゴムには、メチルシリコーンゴム、ビニルメチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴムの種類があるが、粘着した電子部品20に悪影響を及ぼさないのであれば、特に限定されるものではない。
各粘着パターン12は、図4や図5に示すように、複数の粘着材14がX方向に並んで指向する第一の粘着パターン13と、複数の粘着材14AがY方向に並んで指向する第二の粘着パターン16と、粘着材14BがX方向に指向する第三の粘着パターン17とを備え、例えばトレイ材1の作業スペース2に第一の粘着パターン13が4個、第二の粘着パターン16が7個、第三の粘着パターン17が2個対向するよう組み合わされる。具体的には、第一、第二の粘着パターン13・16がXY方向に隙間を介し隣接して交互に配列され、第三の粘着パターン17が並んだ複数の第一、第二の粘着パターン13・16の間に隙間を介して配列される。
第一の粘着パターン13は、例えばX方向に並んで指向する4本の粘着材14を備え、この4本の粘着材14の間には隙間が形成されており、各粘着材14が断面半円形の短い横長のバーに形成されて上方の湾曲面15に電子部品20を着脱自在に粘着する。これに対し、第二の粘着パターン16は、例えばY方向に並んで指向する4本の粘着材14Aを備え、この4本の粘着材14Aの間には隙間が形成されており、各粘着材14Aが断面半円形の短い横長のバーに形成されて上方の湾曲面15Aに電子部品20を着脱自在に粘着する。
第三の粘着パターン17は、X方向に指向する1本の粘着材14Bを備え、この粘着材14Bが断面半円形の横長のバーに形成されるとともに、第一、第二の粘着パターン13・16が3個一列に並んだ長さに相当する長さとされ、湾曲面15Bに電子部品20を着脱自在に粘着する。
第一、第二の粘着パターン13・16の粘着材14・14Aの高さは、0.008mm以上0.014mm以下、好ましくは高さ0.009mm以上0.013mm以下が良い。これは、第一、第二の粘着パターン13・16の粘着材14・14Aの高さが0.008mm未満の場合には、剛性板11の表面に電子部品20が接触して汚染のおそれがあるからである。これに対し、粘着材14・14Aの高さが0.014mmを越える場合には、粘着材14・14Aに粘着した電子部品20の姿勢が不安定になるおそれがあるからである。
第一、第二の粘着パターン13・16の粘着材14・14Aの幅は、0.14mm以上0.4mm以下、好ましくは0.15mm以上0.35m以下、より好ましくは0.25mm以上0.3mm以下が良い。これは、粘着材14・14Aの幅が0.14mm以上0.4mm以下の範囲であれば、高精細なスクリーン印刷に支障を来すおそれがないからである。
第三の粘着パターン17の粘着材14Bの高さは、第一、第二の粘着パターン13・16の高さとの整合を図る観点から、0.008mm以上0.014mm以下、好ましくは高さ0.009mm以上0.013mm以下が良い。また、第三の粘着パターン17の粘着材14Bの幅は、0.14mm以上0.4mm以下、好ましくは0.15mm以上0.3mm以下、より好ましくは0.15mm以上0.2mm以下が良い。これは、粘着材14Bの幅が0.14mm以上0.4mm以下の範囲であれば、高精細なスクリーン印刷が期待できるからである。
上記構成において、電子部品用トレイを製造する場合には、耐熱性の樹脂含有の成形材料によりトレイ材1を射出成形し、このトレイ材1の表面に、既に作製しておいた粘着板材10の剛性板11を重ねて水平に支持させ、この粘着板材10表面の複数の粘着パターン12を露出させれば、電子部品用トレイを製造して使用することができる。
次に、電子部品20を保持したり、搬送する場合には、電子部品用トレイの粘着パターン12に電子部品20を軽く押圧操作すれば、粘着パターン12の粘着材14・14A・14Bの湾曲面15・15A・15Bに電子部品20を粘着保持させることができる。この際、電子部品20が半導体パッケージのように大きい場合には、第一、第二、第三の粘着パターン13・16・17の粘着材14・14A・14Bに粘着保持させ、広い粘着領域を確保すれば、電子部品20の脱落を有効に防止することができる。また、第一、第二、第三の粘着パターン13・16・17の向きや長さが異なるので、電子部品20のXY方向への位置ずれや回転を有効に防止することができる。
これに対し、電子部品20がMEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)のように非常に小さく微細な場合には、広い粘着領域を必要としないので、第一、第二の粘着パターン13・16の粘着材14・14A、第一の粘着パターン13の粘着材14、あるいは第二の粘着パターン16の粘着材14Aに粘着保持させれば良い。
次に、粘着パターン12に電子部品20を粘着保持させた後、多数枚の電子部品用トレイをまとめて搬送したい場合には、他の電子部品用トレイの周壁5に電子部品用トレイの切り欠き段差部7を上方から嵌合して支持させ、以下これを繰り返せば、多数枚の電子部品用トレイを上下方向に積み重ねて搬送することができる。
この際、電子部品用トレイの周壁5の高さHが、粘着板材10の厚さに粘着保持対象の電子部品20の厚さを加算した加算値よりも大きい値なので、電子部品用トレイの周壁5から電子部品20の上部が上方に露出することがない。したがって、電子部品20を損傷させることなく、多数枚の電子部品用トレイを積層してまとめることができる。
次に、電子部品用トレイから電子部品20を取り外す場合には、例えば剛性板11の表面と電子部品20との間に治具を挿入して粘着材14・14A・14Bの湾曲面15・15A・15Bから電子部品20を剥離した後、電子部品20を治具で摘まめば、電子部品20を取り外すことができる。
この際、粘着材14・14A・14Bが剛性板11の表面と電子部品20との間に空気や治具挿入用の隙間を形成するので、電子部品20の剥離が実に容易となる。また、粘着材14・14A・14Bが弱粘着性で、しかも、電子部品20を粘着する粘着面が湾曲して粘着領域を狭めているので、粘着力を適度な範囲とすることができ、電子部品20を簡単に取り外すことができる。また、粘着材14・14A・14Bが弱粘着性のシリコーンゴム製なので、粘着材14・14A・14Bに紫外線を照射したり、熱を加えることなく、電子部品20を迅速に取り外すことが可能となる。
上記構成によれば、底の浅いポケット穴に電子部品20を単に収納するのではなく、粘着パターン12に電子部品20を粘着保持させるので、例え電子部品用トレイの搬送時に振動等が作用しても、電子部品20が脱落して汚染したり、損傷するおそれを排除することができる。また、粘着パターン12の第一、第二、第三の粘着パターン13・16・17に、電子部品20を自由に粘着保持させることができるので、大きさや種類に拘わらず、必要数の電子部品20を確実に粘着保持することができる。
また、粘着材14・14A・14Bの粘着面が平坦面ではなく、上下方向に曲がった湾曲面15・15A・15Bに形成されるので、粘着材14・14A・14Bの粘着面と電子部品20との間に空気が挟まり、滞留するのを防ぐことができる。したがって、空気を湾曲面15・15A・15Bから空間に逃がすことができるので、空気の介在により、電子部品20が想定外に傾斜するのを有効に防止することが可能となる。さらに、粘着パターン12の粘着力が低下した場合には、粘着板材10のみを新規の粘着板材10と交換すれば、既存のトレイ材1を交換することなく、そのまま使用することが可能となる。
なお、上記実施形態ではトレイ材1と粘着板材10とをそれぞれ不透明としたが、トレイ材1と粘着板材10とをそれぞれ透明に形成し、電子部品20を下方から観察可能としても良い。また、トレイ材1の周壁5や粘着板材10の表面には、識別溝等の識別部を形成しても良い。また、トレイ材1をJEDEC規格に基づく大きさの平面略長方形の板に射出成形したが、必要に応じ、JEITA(Japan Electronics and information Technology Industies Association)規格等に基づく大きさの平面略長方形の板に射出成形しても良い。
また、トレイ材1の各作業スペース2表面の貫通口3の周囲に、粘着板材10を水平に支持する複数のリブを上方に向けて突出形成しても良い。また、トレイ材1を平面略長方形の枠板に射出成形し、このトレイ材1の開口を粘着板材10の剛性板11で被覆しても良い。また、トレイ材1の表面周縁部の四隅付近に周壁5をそれぞれ立設しても良いし、トレイ材1の表面周縁部に周壁5を立設することもできる。
また、トレイ材1に、複数の作業スペース2、貫通口3、及び補強リブ4を配設したが、必要に応じ、これらを省略し、トレイ材1の表面に、粘着板材10をそのまま配置したり、固定することもできる。また、全ての作業スペース2に粘着パターン12を対向させても良いし、任意の作業スペース2に粘着パターン12を対向させることもできる。また、剛性板11の表面の大部分にペーストのシリコーンゴムをグラビア印刷したり、ディスペンサで供給することも可能である。さらに、粘着材14・14A・14Bを断面半円の柱形としたが、断面半楕円の柱形としたり、断面矩形や多角形の柱形とすることも可能である。
本発明に係る電子部品用トレイ及びその製造方法は、電気、電子、半導体、精密機器の製造分野で使用される。
1 トレイ材
5 周壁
7 切り欠き段差部
10 粘着板材
11 剛性板
12 粘着パターン
13 第一の粘着パターン
14 粘着材
14A 粘着材
14B 粘着材
15 湾曲面
15A 湾曲面
15B 湾曲面
16 第二の粘着パターン
17 第三の粘着パターン
20 電子部品
H 周壁の高さ

Claims (7)

  1. 少なくとも樹脂を含有する成形材料により成形されるトレイ材と、このトレイ材に取り付けられる粘着板材とを備え、粘着板材が、トレイ材の表面に重ねられる剛性板と、この剛性板の表面の少なくとも一部に形成されて電子部品を着脱自在に粘着保持する弱粘着性の粘着パターンとを含むことを特徴とする電子部品用トレイ。
  2. 少なくとも110℃以上の耐熱性を有する樹脂含有の成形材料により、トレイ材がJEDEC規格に基づく大きさに成形される請求項1記載の電子部品用トレイ。
  3. トレイ材の周縁部の少なくとも一部分に周壁が立て設けられ、この周壁の高さが、粘着板材の厚さに粘着保持が予定される電子部品の厚さを加算した加算値よりも大きい値とされており、トレイ材の裏面周縁部に、積層用の切り欠き段差部が形成される請求項1又は2記載の電子部品用トレイ。
  4. 粘着パターンが、剛性板の表面の少なくとも一部にペースト状のシリコーンゴムが供給して乾燥硬化することで形成される請求項1、2、又は3記載の電子部品用トレイ。
  5. 粘着パターンは、複数の粘着材がX方向に並んで指向する第一の粘着パターンと、複数の粘着材がY方向に並んで指向する第二の粘着パターンと、粘着材がXY方向のいずれかの方向に指向する第三の粘着パターンとを含み、第一、第二の粘着パターンの粘着材よりも第三の粘着パターンの粘着材が長くされ、
    第一、第二の粘着パターンが隣接して並べられ、第三の粘着パターンが、並んだ複数の第一、第二の粘着パターンの間に介在する請求項1ないし4のいずれかに記載の電子部品用トレイ。
  6. 第一、第二、第三の粘着パターンの粘着材が、高さ0.008mm以上0.014mm以下、幅0.14mm以上0.4mm以下の略柱形に形成される請求項5記載の電子部品用トレイ。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載した電子部品用トレイの製造方法であり、少なくとも樹脂を含有する成形材料によりトレイ材を成形し、このトレイ材の表面に粘着板材を重ね、この粘着板材の表面の粘着パターンを露出させることを特徴とする電子部品用トレイの製造方法。
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