JP2019010833A - 多孔質体及びその製造方法、インクジェット記録方法、並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

多孔質体及びその製造方法、インクジェット記録方法、並びにインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】繰り返し使用した場合であってもインク像から液体成分を十分に除去してコックリングを抑制し、良好な画像を形成できる多孔質体を提供する。
【解決手段】被吐出媒体上のインク像との接触による前記インク像からの液体成分の吸収用の多孔質体であって、前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とする多孔質体。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質体及びその製造方法、インクジェット記録方法、並びにインクジェット記録装置に関する。
色材を含むインクを紙等の記録媒体上に直接又は間接的に付与することで画像を形成する場合、記録媒体がインク像中の液体成分を過剰に吸収することによる変形(コックリング)が生じることがある。そこで、インク像中の液体成分を速やかに除去するため、例えば特許文献1には、ベルト状の高分子吸収体である多孔質体をインク像と接触させてインク像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている。一方、特許文献2には、フッ素系樹脂繊維からなる多孔質膜が提案されている。また、特許文献3には、極細繊維と極細ビーズから作製された高風量低圧損型の多孔質体が提案されている。
特開2001−179959号公報 特開2009−245639号広報 国際公開第2009/031334号
しかしながら、特許文献1に記載の高分子吸収体又は特許文献2および3に記載の多孔質体をインク像と接触させ、インク像から液体成分を除去する場合、液体成分がインク像から十分に除去されない場合がある。この場合、記録媒体にコックリングが生じ、良好な画像が得られない。
本発明の目的は、繰り返し使用した場合であってもインク像から液体成分を十分に除去してコックリングを抑制し、良好な画像を形成できる多孔質体及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記多孔質体を用いたインクジェット記録方法、及び前記多孔質体を備えるインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明に係る多孔質体は、被吐出媒体上のインク像との接触による前記インク像からの液体成分の吸収用の多孔質体であって、前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とする。
本発明に係る多孔質体の製造方法は、被吐出媒体上のインク像との接触による前記インク像から液体成分の吸収用の多孔質体の製造方法であって、静電紡糸法または静電噴霧法により前記多孔質体を製造する工程を含み、前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録方法は、被吐出媒体上にインクを付与してインク像を形成する工程と、前記被吐出媒体上の前記インク像に多孔質体を接触させ、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、を含むインクジェット記録方法であって、前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録装置は、被吐出媒体上にインクを付与してインク像を形成するインク付与装置と、前記被吐出媒体上の前記インク像と接触し、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する多孔質体を有する液除去装置と、を備えるインクジェット記録装置であって、前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とする。
本発明によれば、繰り返し使用した場合であってもインク像から液体成分を十分に除去してコックリングを抑制し、良好な画像を形成できる多孔質体及びその製造方法を提供することができる。また、前記多孔質体を用いたインクジェット記録方法、及び前記多孔質体を備えるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明に係る多孔質体を用いてインク像から液体成分を除去する工程の一例を示す模式図である。 本発明に係る多孔質体を構成する繊維と補助体の一例を示す模式図である。 本発明に係る多孔質体の製造方法に用いられる成膜装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明に係る多孔質体の製造方法に用いられる成膜装置の構成の他の例を示す模式図である。 本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図5、8に示されるインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図5に示される転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図8に示される直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
〔多孔質体〕
本発明に係る多孔質体は、被吐出媒体上のインク像との接触による前記インク像からの液体成分の吸収用の多孔質体である。ここで、前記多孔質体は、繊維と、粒子からなる補助体とを含む。前記多孔質体は以下の要件(1)〜(4)を満たす。
(1)前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8である。
(2)前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)
(3)前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74である。
(4)前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上である。
多孔質体をインク像と接触させてインク像から液体成分を除去する場合、多孔質体によりインク像内部の液体成分を押し出して多孔質体内に押し込むことで、液体成分を除去することができる。しかしながら、繊維を含む多孔質体を用いる場合、液体成分を多孔質体内へ押し込む際の圧力によって繊維が密接に重なり合い、繊維間の空隙が潰れ、液体成分の吸収性が低下する。
そこで、本発明では、繊維と粒子からなる補助体とを含む多孔質体を用いる。これにより、補助体がスペーサーの役割を果たして空間が確保され、繊維が密接に重なり合うことを抑制できるため、液体成分の吸収性の低下を抑制することができる。したがって、インク像から液体成分を十分に除去することができ、コックリングが抑制され、良好な画像を得ることができる。特に本発明では、補助体として孤立した粒子及び/又は粒子を有する数珠状繊維を用い、かつ、前記要件(1)〜(4)を満たすことで、インク像から液体成分を十分に除去可能な多孔質体を得ることができることを見出した。
図1に、本発明に係る多孔質体を用いて、インクを含むインク像から液体成分を除去する工程の一例を示す。図1では、多孔質体101を、記録媒体等の被吐出媒体105上のインク像104に接触させ、圧力108をかけることで、インク像104から液体成分の少なくとも一部を除去する。多孔質体101は、繊維(不図示)以外に補助体103を含むため、圧力108がかかっても補助体103がスペーサーの役割を果たし、繊維が密接に重なり合うことで繊維間の空隙が潰れることを抑制できる。これにより、液体成分を吸収可能な多孔質体101内の空間が確保され、インク像104から液体成分を十分に除去することができる。
本発明に係る多孔質体は、液体成分の吸収量や、搬送性、耐久性及びコストの観点から、繊維径や材料が異なる多孔質体が複数積層された構成であってもよい。また、本発明に係る多孔質体は、例えば図1に示されるように支持部材107に積層されていてもよい。支持部材の形状としては、例えばシート形状、ローラ形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。なお、本明細書では、本発明に係る多孔質体以外の多孔質体は支持部材として扱う。
図2に、本発明に係る多孔質体を構成する繊維と補助体の一例を示す。該多孔質体は、繊維201と、繊維と一体化せずに独立して存在する孤立した粒子202と、繊維と粒子とが一体化した数珠状繊維203とを含む。ここで、数珠状繊維とは、繊維の一部に数珠玉状に形成された粒状が一体化された繊維である。粒状と繊維とは同一材料から一体化されて形成されており、繊維長方向に直交する繊維径D1と粒子径D2の関係は、D1<D2である。また、粒子の形成位置は、繊維端、繊維端間のいずれでもよい。図2において、粒子を有さない繊維201および数珠状繊維203の繊維部分が本発明における「繊維」に該当する。また、孤立した粒子202及び数珠状繊維203の粒子部分が本発明における「補助体」に該当する。数珠状繊維は少なくとも一つの粒子を有していればよく、数珠状繊維203のように複数の粒子を有していてもよい。また、孤立した粒子202は、繊維のネットワーク内に内封されており、後述する加熱処理を施すことによって、繊維及び/又は補助体同士が接着されて密着性が向上するため、多孔質体から脱落しない。
本発明に係る多孔質体内において、繊維及び補助体の合計の充填率(=繊維と補助体の合計の体積/多孔質体の体積)は0.1〜0.8である。前記充填率が0.1未満の場合、多孔質体の十分な強度が得られない。一方、前記充填率が0.8よりも大きい場合、多孔質体内の空隙が少ないため、液体除去性能が低下する。前記充填率は0.2〜0.75が好ましく、0.3〜0.7がより好ましく、0.4〜0.6がさらに好ましい。なお、繊維の充填率及び補助体の充填率は、後述する方法により得られる値である。
本発明に係る多孔質体は、繊維の平均繊維径(μm)×5≦粒子の平均粒子径(μm)≦多孔質体の厚さ(μm)を満たす。補助体である粒子の平均粒子径が繊維の平均繊維径×5以上であることにより、スペーサーとしての効果が得られる。一方、粒子の平均粒子径が多孔質体の厚さ以下であることにより、画質を良好にすることができる。なお、補助体の原料として多孔質体の厚さよりも大きな粒子を用いる場合にも、通常多孔質体の作製工程で粒子がつぶされるため、最終的に粒子径は多孔質体の厚さとなる。繊維の平均繊維径及び粒子の平均粒子径は、後述する方法により得られる値である。
繊維の平均繊維径は、液体成分の吸収性の観点から、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜5μmがより好ましく、0.01〜1μmがさらに好ましい。粒子の平均粒子径は、0.3μm以上であることが好ましく、0.5〜50μmであることがより好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましい。粒子の平均粒子径が0.3μm以上であることにより、該粒子がスペーサーとして機能することにより形成される空間が大きくなり、液体成分が多孔質体内を通過する際の抵抗を低下させることができる。多孔質体の厚さは、液体成分の吸収性の観点から、5〜500μmが好ましく、7〜300μmがより好ましく、10〜200μmがさらに好ましい。
本発明に係る多孔質体内において、補助体の充填率(=補助体の体積/多孔質体の体積)は0.03〜0.74である。理想的には、圧力がかかる平面内にスペーサーとなる補助体の粒子が三点存在すれば、その三点に囲まれた内部は空間が保たれるとも考えられるが、実際には多孔質体が繊維を含むため、三点で囲まれた内部にも繊維が押し込まれる。本発明者の検討の結果、補助体の充填率が0.03以上であることにより、スペーサーとしての効果が得られることが分かった。一方、補助体の充填率が0.74よりも大きい場合、補助体がつぶれて補助体同士がくっつきあい、多孔質体が吸収体として均一に機能せず、画像が乱れることが分かった。補助体の充填率は0.05〜0.6が好ましく、0.07〜0.5がより好ましく、0.1〜0.4がさらに好ましい。
本発明に係る多孔質体内において、繊維の充填率(=繊維の体積/多孔質体の体積)は0.03以上である。繊維の充填率が0.03未満の場合、多孔質体の十分な強度が得られない。繊維の充填率は0.05〜0.6が好ましく、0.07〜0.5がより好ましく、0.1〜0.4がさらに好ましい。
多孔質体をインク像と接触させる際の温度における、補助体を構成する材料の押し込み弾性率は75MPa以上であることが好ましい。該押し込み弾性率が75MPa以上であることにより、液体除去の際に圧力がかかった場合にも、補助体がつぶれずに液体除去性能を十分に維持することができる。該押し込み弾性率は100MPa以上がより好ましく、250MPa以上がさらに好ましく、500MPa以上が特に好ましい。該押し込み弾性率の上限は特に限定されない。なお、該押し込み弾性率は後述する方法により測定される値である。
多孔質体のインク像と接触する面(以下、インク像接触面とも示す)に接触する補助体の粒子の直径は、30μm以下であることが好ましい。ここで、インク像接触面に接触するとは、インク像接触面に補助体の少なくとも一部が触れている状態を示す。該直径が30μm以下であることにより、画像表面に粒子による凹みがつくことを抑制することができ、良好な画像を形成することができる。該直径の範囲の下限は特に限定されない。なお、該直径は後述する方法により測定される値である。
多孔質体のインク像接触面に接触する繊維の径は、0.7μm以下であることが好ましい。該径が0.7μm以下であることにより、繊維間に形成される空隙の径が十分に小さくなり、インク像と接触した際にインク中の固形分が多孔質体内の空隙に入り込む量を低減できるため、多孔質体を繰り返し使用した場合にも液体除去性能を十分に維持できる。該径の範囲の下限は特に限定されない。なお、該径は後述する方法により測定される値である。
多孔質体のインク像接触面は、フッ素を含む材料を含むことが好ましい。ここで、インク像接触面がフッ素を含む材料を含むとは、インク像接触面の少なくとも一部がフッ素を含む材料により構成されていることを示す。インク像接触面がフッ素を含む材料を含むことにより、繊維にインクの固形分が付着することを抑制でき、多孔質体を繰り返し使用した場合にも液体除去性能を十分に維持できる。フッ素を含む材料としては、後述するフッ素を含む樹脂等が挙げられる。
多孔質体を構成する繊維及び補助体の材料としては、樹脂を用いることができる。前記樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリイミドベンザゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリウレタン、セルロース化合物、ポリペプチド、ポリヌクレオシド、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素などを用いることができる。
また、前記樹脂としてフッ素を含む樹脂を用いることができる。フッ素を含む樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)などが挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いてもよい。なお、繊維と補助体は同じ材料により構成されていてもよい。
〔多孔質体の製造方法〕
本発明に係る多孔質体の製造方法は、被吐出媒体上のインク像との接触による前記インク像から液体成分の吸収用の多孔質体の製造方法である。ここで、該方法は、静電紡糸法または静電噴霧法により前記多孔質体を製造する工程を含む。前記多孔質体は、繊維と、粒子からなる補助体とを含む。前記多孔質体は前記要件(1)〜(4)を満たす。該方法によれば、本発明に係る多孔質体を効率よく簡便に製造することができる。
静電紡糸法は、ノズル等の樹脂溶液供給部から成膜空間へ供給した樹脂溶液に対して電界を作用させることにより、クーロン力により樹脂溶液を繊維化して繊維層を形成する方法である。また、静電噴霧法は、前記静電紡糸法において、前記樹脂溶液の代わりに粒子を揮発溶媒に分散させた粒子分散液を用い、粒子を吹き付ける方法である。図3及び図4を用いて、本発明の一実施形態に係る多孔質体の製造方法の例を説明する。
図3に、本発明の一実施形態に係る多孔質体の製造方法に用いられる成膜装置の一例を示す。繊維または補助体を形成するための材料を溶媒に溶解した樹脂溶液を、樹脂溶液供給装置301からノズル302に供給する。回転しながら捕集できるコレクター305とノズル302との間に、電圧印加装置304を用いて電界を形成し、樹脂溶液をノズル302から吐出させる。これにより、コレクター305上に繊維または補助体306を成膜することができる。前記成膜装置は、換気により蒸発した溶媒を排気するための吸気口308と排気口309とを備える、成膜空間を囲う成膜容器307を有する。コレクター305は、繊維または補助体306を集積できるものであれば特に限定されない。コレクター305の形状としては、例えば図3に示されるような円筒形状が挙げられる。また、例えば、金属や炭素などの導電性材料又は有機高分子などの非導電性材料からなる、不織布、織物、編物、ネット、平板、或いはベルトをコレクター305として使用することもできる。
さらに、図4に示される成膜装置を用いることもできる。図4に示されるように、二つのノズル402、411を用意し、それぞれに繊維または補助体を形成するための材料を溶媒に溶解させた樹脂溶液、或いは粒子を揮発溶媒に分散させた粒子分散液を樹脂溶液供給装置401、404から供給することができる。前記成膜装置は、換気により蒸発した溶媒を排気するための吸気口408と排気口409とを備える、成膜空間を囲う成膜容器407を有する。コレクター405とノズル402、411との間に、電圧印加装置403、406を用いて電界を形成し、例えばノズル402からは繊維を、ノズル411からは補助体を吐出させる。これにより、コレクター405上に繊維及び補助体410からなる多孔質体を成膜することができる。繊維及び補助体をノズル402とノズル411から交互に吐出して成膜してもよい。このとき、繊維と補助体の成膜時間を調節することで、補助体の充填率と繊維の充填率を調節することができる。さらに、図示しないが、三つのノズルを用意することで、繊維、孤立した粒子及び数珠状繊維からなる多孔質体を成膜することもできる。
繊維または補助体を形成するための材料である樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1万〜100万、より好ましくは10万〜50万である。前記重量平均分子量が小さい方が、粒子、数珠状繊維になりやすい傾向がある。樹脂溶液に含まれる溶媒は、樹脂を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、水、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン、アセトフェノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ギ酸、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これら溶媒は単独で、又は混合して使用することができる。なお、樹脂は溶媒に完全に溶解していることが好ましい。
樹脂溶液中の樹脂の濃度は、樹脂の種類、樹脂の重量平均分子量、溶媒の種類等にもよるが、1〜50質量%であることが好ましい。前記濃度が1質量%以上であることにより、溶媒が蒸発して繊維状、粒子状になりやすい傾向がある。また、前記濃度が50質量%以下であることにより、樹脂が十分に溶解して樹脂溶液が延伸されやすくなり、繊維状、粒子状になりやすい傾向がある。また、樹脂溶液は、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウムなどの塩や界面活性剤などの補助剤を含んでいてもよい。
繊維、孤立した粒状の補助体及び数珠状繊維は、例えば静電紡糸法において、材料の分子量、樹脂溶液濃度、紡糸電圧等を調節することにより作り分けることができる。用いる材料や溶剤の種類によっても条件は異なるが、例えば材料の分子量を小さくする、樹脂溶液濃度を低くする、電圧を高くすることで繊維中に粒子が形成され、数珠状繊維を作製することができる。さらに前記条件を大きく振ることで、孤立した粒子を作製することができる。
上記方法により得られた多孔質体には、加熱処理を施すことが好ましい。加熱温度としては、繊維又は補助体を構成する樹脂が結晶性樹脂の場合、該樹脂のTg(ガラス転移温度)以上、該樹脂のTm(融点)+20℃以下であることが好ましい。一方、繊維又は補助体を構成する樹脂が非結晶性樹脂の場合、前記加熱温度は該樹脂のTg以上、該樹脂のTg+50℃以下であることが好ましい。加熱温度がTg以上であることにより、繊維及び/又は補助体同士が接着されて密着性が向上する。一方、加熱温度がTm+20℃以下、又は、Tg+50℃以下であることにより、繊維又は補助体の溶融により空隙が詰まり、通気性が低下することを抑制することができる。なお、TgとTmは示差走査熱量測定(DSC)により測定される値である。繊維又は補助体が複数の樹脂を含む場合には、TgとTmは最も含有量(体積)が多い樹脂のTgとTmを示す。また、繊維と補助体を構成する材料のTgが異なる場合には、低い方の温度を採用することが好ましい。
加熱処理の際には多孔質体を加圧してもよい。多孔質体を加圧することで繊維同士の接触面積が増えるため、繊維同士が接着しやすくなる。さらに、多孔質体を加圧することで、繊維及び補助体の合計の充填率(多孔質体の空隙率)を調整することができる。加熱装置としては、熱風乾燥機、オーブン、赤外線(IR)加熱装置、マイクロ波加熱装置等を用いることができる。さらに、多孔質体を加圧する場合には、加熱機構の付いた平板プレス機、ロールプレス機、ラミネート装置、カレンダー装置等を適宜用いることができる。
〔インクジェット記録方法、インクジェット記録装置〕
本発明に係るインクジェット記録方法は、被吐出媒体上にインクを付与してインク像を形成する工程と、前記被吐出媒体上の前記インク像に多孔質体を接触させ、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、を含む。ここで、前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含む。前記多孔質体は前記要件(1)〜(4)を満たす。本発明に係るインクジェット記録方法によれば、インク像から液体成分を十分に除去してコックリングを抑制し、良好な画像を形成することができる。
本発明に係るインクジェット記録装置は、被吐出媒体上にインクを付与してインク像を形成するインク付与装置と、前記被吐出媒体上の前記インク像と接触し、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する多孔質体を有する液除去装置と、を備える。ここで、前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含む。前記多孔質体は前記要件(1)〜(4)を満たす。本発明に係るインクジェット記録装置によれば、インク像から液体成分を十分に除去してコックリングを抑制し、良好な画像を形成することができる。
本発明に係るインクジェット記録装置は、例えば以下の構成を有することができる。被吐出媒体である転写体上に第一の液体と色材とを含む液除去前のインク像を形成する画像形成ユニット。前記液除去前のインク像と接触し、前記液除去前のインク像から前記第一の液体の少なくとも一部を除去する、本発明に係る多孔質体を有する液除去装置。液除去装置の多孔質体を被吐出媒体上の第一の液体と色材とを含む液除去前のインク像と接触させることで、液除去前のインク像から第一の液体の少なくとも一部が除去される。この結果、紙などの記録媒体がインク像中の第一の液体を過剰に吸収することによるカールやコックリングが抑制される。
前記画像形成ユニットとしては、被吐出媒体上に第一の液体と色材とを含む液除去前のインク像を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。好ましくは、1)第一の液体又は第二の液体を含む反応液を被吐出媒体上に付与する反応液付与装置と、2)第一の液体又は第二の液体と、色材とを含むインクを被吐出媒体上に付与するインク付与装置と、を含む。この場合、前記反応液及び前記インクの混合物として、前記液除去前のインク像が形成される。前記インク付与装置は、インクジェットヘッドであることができる。また、反応液は、インクと化学的又は物理的に作用して、前記反応液及び前記インクの混合物を前記反応液及び前記インクのそれぞれよりも粘稠とする成分を含む。すなわち、反応液は、インクと接触して高粘度化したインク像を形成することができる。前記反応液及び前記インクの少なくとも一方は、液体成分である前記第一の液体を含む。ここで、第一の液体としては、常温(室温)での揮発性の低い液体を含み、特に水を含む。第二の液体は、第一の液体以外の液体であり、揮発性の高低は問わないが、第一の液体よりも揮発性の高い液体であることが好ましい。
次に本発明に係るインクジェット記録装置の具体的な実施形態例について説明する。本発明に係るインクジェット記録装置としては、以下の二つのインクジェット記録装置が挙げられる。被吐出媒体としての転写体上に液除去前のインク像を形成し、本発明に係る多孔質体により液体成分を除去した後の液除去後のインク像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置。被吐出媒体としての記録媒体上に液除去前のインク像を形成し、本発明に係る多孔質体により該インク像から液体成分を除去するインクジェット記録装置。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
[転写型インクジェット記録装置]
以下に図面を参照して、本発明に係る転写型インクジェット記録装置の具体的な実施形態について説明する。図5は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。図5に示される転写型インクジェット記録装置500は、転写体501を介して記録媒体508にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。図5では、X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置500の幅方向(全長方向)、奥行き方向、及び高さ方向を示している。記録媒体508はX方向に搬送される。
図5に示される転写型インクジェット記録装置500は、以下の構成を有する。支持部材502によって支持された転写体501。転写体501上にインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置503。反応液が付与された転写体501上にインクを付与し、転写体501上に、インクによる画像であるインク像を形成するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置504。転写体501上のインク像から液体成分を除去する液除去装置505。転写体501上の液除去後のインク像を、紙などの記録媒体508上に転写する転写用の押圧部材506。また、転写型インクジェット記録装置500は、必要に応じて転写後の転写体501の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材509を有していてもよい。なお、転写体501、反応液付与装置503、インク付与装置504のインクジェットヘッド、液除去装置505及び転写体クリーニング部材509は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体508に対応する長さを有している。
転写体501は支持部材502の回転軸502aを中心として図5の矢印Aの方向に回転する。この支持部材502の回転により、転写体501が移動する。移動する転写体501上に、反応液付与装置503によって反応液、及び、インク付与装置504によってインクが順次付与され、転写体501上にインク像が形成される。転写体501上に形成されたインク像は、転写体501の移動により、液除去装置505が有する液吸収部材505aと接触する位置まで移動される。
液吸収部材505aは本発明に係る多孔質体を有し、転写体501の回転に同期して移動する。転写体501上に形成されたインク像は、矢印Bの方向に移動する液吸収部材505aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材505aは転写体501上のインク像から液体成分を除去する。この接触した状態において、液吸収部材505aは、所定の押圧力をもって転写体501に押圧されることが液吸収部材505aを効果的に機能させる観点から好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体501上に形成されたインク像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、転写体501の移動により、記録媒体搬送装置507によって矢印Cの方向に搬送される記録媒体508と接触する転写部へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体508と接触している間に、転写用の押圧部材506が転写体501を押圧することによって、記録媒体508上にインク像が転写される。記録媒体508上に転写されたインク像は、液除去前のインク像及び液除去後のインク像の反転画像である。
なお、転写体501上では反応液が付与されてからインクが付与されてインク像が形成されるため、インク像が形成されていない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本発明では液吸収部材505aはインク像のみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去する。したがって、以上では、インク像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、インク像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体501上のインク像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。前記転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体は、インク像形成面を含む表面層を有することができる。表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、これらは温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。前記材質による各層を任意に組み合わせて転写体を作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体は、図5に示されるように、支持部材502上に支持されていることができる。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。又は、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材上に支持してもよい。
支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、以下の材質が好ましく用いられる。アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクス。またこれらを組み合わせて用いることも好ましい。
<反応液付与装置>
前記転写型インクジェット記録装置は、転写体に反応液を付与する反応液付与装置を有することができる。図5に示される反応液付与装置503は、反応液を収容する反応液収容部503aと、反応液収容部503aにある反応液を転写体501上に付与する反応液付与部材503b及び503cとを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。しかし、反応液付与装置は、反応液を転写体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ以外では、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、転写体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式によるインク像形成時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制できる。
<反応液>
反応液は、インクと接触して高粘度化する。そのため、反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有することができる。インクの高粘度化とは、インクを構成する成分である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度の上昇が認められることである。また、このインクの高粘度化には、色材などインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合も含まれる。このインク高粘度化成分は、転写体上でのインクの少なくとも一部の流動性を低下させて、液除去前のインク像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、多価の金属イオン及び有機酸が好ましく、有機酸がより好ましい。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は第一の液体として水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。界面活性剤としては、具体的にはアセチレングリコールエチレンオキシド付加物(「アセチレノールE100」(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(「メガファックF444」(商品名)、DIC株式会社製)等が挙げられる。
<インク付与装置>
前記転写型インクジェット記録装置は、転写体上にインクを付与するインク付与装置を有することができる。反応液とインクとが混合されることでインク像が形成され、その後液除去装置にて該インク像から液体成分が除去される。
インクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いることができる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本発明では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷を行う観点から電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本発明では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とする。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体分を除去する観点より、転写体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
前記転写型インクジェット記録装置は、転写体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、転写型インクジェット記録装置は上記4種類のインクを転写体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。また、インク付与装置は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを有していてもよい。
<インク>
本発明に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材は、顔料を含むことが好ましい。例えば、色材として、顔料又は染料と顔料との混合物を用いることが好ましい。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本発明の態様においては構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲内であることが好ましい。また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本発明においては好適である。
(樹脂粒子)
本発明に適用されるインクは、色材を有さない各種粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。本発明に用いることのできる樹脂粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合体、又は、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合体が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲内が好適である。またインク中における樹脂粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに本発明の態様においては、該樹脂粒子が液中に分散した樹脂粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を分散させたいわゆる自己分散型樹脂粒子分散体が好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂粒子分散体も、同様に本発明に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、もしくは樹脂粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
本発明の態様に用いられる樹脂粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、50nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましい。また本発明の態様に用いられる樹脂粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
(界面活性剤)
本発明において用いられるインクは界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(アセチレノールE100(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本発明において用いられるインクは溶剤として水及び/又は水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール等が挙げられる。これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることもできる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本発明において用いられるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液除去装置>
液除去装置は、インク像に対して本発明に係る多孔質体を有する液吸収部材を接触させることにより、インク像から液体成分を除去する装置である。図5に示される液除去装置505は、本発明に係る多孔質体を有する液吸収部材505a、及び、液吸収部材505aを転写体501上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材505bを有する。なお、液吸収部材及び押圧部材の形状については特に制限はない。例えば、押圧部材が円柱形状であり、液吸収部材がベルト形状であって、円柱形状の押圧部材でベルト形状の液吸収部材を転写体に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材が円柱形状であり、液吸収部材が円柱形状の押圧部材の周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材で円筒形状の液吸収部材を転写体に押し当てる構成であってもよい。
転写型インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材はベルト形状であることが好ましい。また、このようなベルト形状の液吸収部材を有する液除去装置は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図5において、505cは張架部材としての張架ローラである。
図5に示される液除去装置505では、液吸収部材505aを押圧部材505bによってインク像に圧力をかけて押し当てて接触させることで、インク像に含まれる液体成分を液吸収部材505aの多孔質体に吸収させ、液体成分を減少させる。インク像中の液体成分を減少させる方法として、上述した液吸収部材をインク像に接触させる本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた液除去後のインク像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。以下、液除去装置における各種条件と構成について詳細に述べる。
<液吸収部材>
本実施形態では、液除去前のインク像から第一の液体の少なくとも一部を、本発明に係る多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に本発明に係る多孔質体が配置される。本発明に係る多孔質体を有する液吸収部材は、転写体の移動に連動して移動し、液除去前のインク像と当接した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触する、循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。該形状としては、例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(加圧条件)
転写体上の液除去前のインク像に対して圧接する液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、該インク像中の液体をより短時間に固液分離でき、該インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、転写体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製)にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
液除去前のインク像に液吸収部材を接触させる作用時間は、該インク像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms(ミリ秒)以下であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、転写体の移動方向における圧力感知幅を、転写体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
<前処理装置>
液吸収部材505aをインク像に接触させる前に、多孔質体に処理液を付与する前処理装置(不図示)によって前処理を施してもよい。処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の有機溶剤を用いることができる。処理液の付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
<転写用の押圧部材>
前記転写型インクジェット記録装置は、液除去後のインク像が形成された転写体に記録媒体を圧着して、該インク像を該記録媒体へ転写する転写用の押圧部材を有する。図5に示される転写型インクジェット記録装置500では、記録媒体搬送手段507によって搬送される記録媒体508上に転写体501上の液体成分除去後のインク像を、転写用の押圧部材506により記録媒体508に圧接させることで転写する。転写体上のインク像に含まれる液体成分を予め除去しているため、カールやコックリング等が抑制された記録画像を得ることができる。
押圧部材は記録媒体の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、以下の材質が好ましく用いられる。アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクス。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体上の液除去後のインク像を記録媒体に転写するために押圧部材が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、転写体の耐久性を損なわない観点から5ms(ミリ秒)以上100ms(ミリ秒)以下が好ましい。尚、本発明における押圧時間とは、記録媒体と転写体とが接触している時間を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
転写体上の液除去後のインク像を記録媒体に転写するために押圧部材が転写体を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないように留意する。このために、該圧力は9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。尚、該圧力は記録媒体と転写体との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体上の液除去後のインク像を記録媒体に転写するために押圧部材が転写体を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱手段は、転写体上の液除去後のインク像、転写体及び記録媒体を加熱できる手段を備える態様が好ましい。押圧部材の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体及び記録媒体搬送装置>
記録媒体は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。なお、図5において、記録媒体508を搬送するための記録媒体搬送装置507は、記録媒体繰り出しローラ507a及び記録媒体巻き取りローラ507bによって構成されているが、記録媒体を搬送できれば特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
前記転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有することができる。図6は図5に示される転写型インクジェット記録装置500における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。図6において、601は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、602は操作パネル等の操作制御部、603は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部である。また、604は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、605は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図7は図5に示される転写型インクジェット記録装置500におけるプリンタ制御部のブロック図である。701はプリンタ全体を制御するCPU、702はCPU701の制御プログラムを格納するためのROM、703はプログラムを実行するためのRAMである。704はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。705は液吸収部材搬送モータ706を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC704からシリアルIFを介して、コマンド制御される。707は転写体駆動モータ708を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC704からシリアルIFを介してコマンド制御される。709はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス605の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
[直接描画型インクジェット記録装置]
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被吐出媒体は画像を形成すべき記録媒体である。図8は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置800の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体501、支持部材502、転写体クリーニング部材509を有さず、記録媒体808上で画像形成する以外は、前記転写型インクジェット記録装置と同様の部材を有する。
したがって、記録媒体808に反応液を付与する、反応液収容部803a、反応液付与部材803b、803cを有する反応液付与装置803、記録媒体808にインクを付与するインク付与装置804は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有する。そのため、説明を省略する。記録媒体808上の液除去前のインク像に接触する液吸収部材805aにより、液除去前のインク像に含まれる液体成分を除去する液除去装置805についても同様に説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液除去装置805は本発明に係る多孔質体を有する液吸収部材805a、及び液吸収部材805aを記録媒体808上の液除去前のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材805bを有する。また、液吸収部材805a及び押圧部材805bの形状については特に制限がなく、前記転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材及び押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液除去装置805は、液吸収部材805aを張架する張架部材を有していてもよい。図8において、805cは張架部材としての張架ローラである。張架ローラ805cの数は図8に示す5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置804によって記録媒体808にインクを付与するインク付与部、及び、液吸収部材805aを記録媒体808上の液除去前のインク像に圧接し液体成分を除去する液体成分除去部と対向する位置に、記録媒体808を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置807は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置において用いられている搬送装置を用いることができる。例として、図8に示すように、記録媒体繰り出しローラ807a、記録媒体巻き取りローラ807b、記録媒体搬送ローラ807cを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図8に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図5に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図6に示す通りである。
図9は図8の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部707及び転写体駆動モータ708を有さない以外は図7における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、901はプリンタ全体を制御するCPU、902は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、903はプログラムを実行するためのRAMである。904はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。905は液吸収部材搬送モータ906を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC904からシリアルIFを介して、コマンド制御される。909はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス605の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。多孔質体の各物性は、以下の方法により測定した。
(繊維の充填率、補助体の充填率)
繊維(補助体)形成時に単位面積あたりに形成される繊維(補助体)の材料体積から、繊維(補助体)の体積を算出した。また、多孔質体の厚さから多孔質体の体積を算出した。多孔質体内における繊維(補助体)の充填率は下記式により算出した。
繊維(補助体)の充填率=繊維(補助体)の体積/多孔質体の体積
繊維及び補助体の合計の充填率は、繊維の充填率と補助体の充填率とを合計した値である。
(数珠状繊維の場合の充填率)
数珠状繊維のみを紡糸したサンプルを別途作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)像を撮影し、繊維部と粒子部の割合を算出した。具体的には以下のとおりである。
後述の実施例及び比較例で用いた数珠状繊維と同様の製造条件で作製した1mのサンプルを用いて、10cm四方に1箇所の間隔で10×10箇所観察した。各観察箇所につき、平面と断面の観察を行った。粒子径の20〜100倍程度の視野が得られるような倍率でSEM像を撮影し、個々の粒子部のサイズ、および粒子部の割合を測定した。一つの粒子部の体積は、該粒子部の粒子部に内接する球の直径を粒子部の直径として算出した。
単位面積あたりに形成される数珠状繊維の材料体積から、数珠状繊維の充填率を算出した。
数珠状繊維の充填率=数珠状繊維の材料体積/多孔質体の体積
数珠状繊維の粒子部の体積=数珠状繊維の材料体積×粒子部の割合/多孔質体の体積
数珠状繊維の繊維部の体積=数珠状繊維の充填率−数珠状繊維の粒子部の体積
(平均繊維径)
10個の多孔質体について走査型電子顕微鏡(SEM)像を撮影し、各多孔質体について無作為に100本の繊維を選択し、その直径を測定した(10×100=1000本)。その平均値を平均繊維径とした。なお、繊維径の40倍程度の視野が得られるような倍率でSEM像を撮影すると、繊維径を測定しやすい。測定された各繊維径の値の70%が、算出された平均繊維径の±50%の範囲内に入っていれば問題ないと判断した。インク像接触面に接触する繊維の径についても同様に測定した。
(平均粒子径)
10個の多孔質体について走査型電子顕微鏡(SEM)像を撮影し、各多孔質体について無作為に100個の粒子を選択し、該粒子の直径を測定した(10×100=1000個)。その平均値を平均粒子径とした。なお、粒子が球体でない場合には、粒子に内接する球の直径を測定した。また、粒子径の20倍程度の視野が得られるような倍率でSEM像を撮影すると、粒子径を測定しやすい。測定された各粒子径の値の70%が、算出された平均粒子径の±50%の範囲内に入っていれば問題ないと判断した。インク像接触面に接触する粒子の直径についても同様に測定した。
(押し込み弾性率)
補助体を構成する材料を加熱成型することにより、厚さ1mmの板状サンプルを作製した。該板状サンプルについて、ナノインデンターにてビッカース圧子を用いて、押し込み弾性率(EIT)を測定した。
[実施例1]
(多孔質体の作製)
図4に示される装置を用いて多孔質体を作製した。粒子の樹脂溶液として、重量平均分子量が15万のポリアクリロニトリル(PAN)を3質量%含むDMF溶液を調製し、樹脂溶液供給装置404にセットした。ノズル411とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置406でノズル411に20kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均粒子径が5μmの粒子からなる補助体を得た。
繊維の樹脂溶液として、重量平均分子量が20万のPANを10質量%含むDMF溶液を調製し、樹脂溶液供給装置401にセットした。ノズル402とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置403でノズル402に15kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均繊維径が1μmの繊維を得た。
前記繊維と前記補助体の体積比が1:1になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した。コレクター405から多孔質体を剥がし取り、平板プレス機を用いて130℃にて加熱プレス加工を施した。これにより、厚さが40μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.50、繊維の充填率が0.25、補助体の充填率が0.25の多孔質体を得た。
(反応液の調製)
以下に示される組成を有する反応液を調製した
・グルタル酸: 35部
・グリセリン: 5部
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名) 2部
・イオン交換水: 58部
(インクの調製)
インクとして、以下に示される組成を有する樹脂分散型顔料インクを調製した。
・顔料色材:C.I.ピグメントブルー15 3.0部
・分散樹脂:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
(酸価240、重量平均分子量5000) 1.0部
・非水溶剤1:グリセリン 7.0部
・非水溶剤2:エチレングリコール 5.0部
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製)
0.5部
・イオン交換水: 83.5部
(画像形成)
図8に示される直接描画型インクジェット記録装置800を用いて画像形成を行った。まず、前記反応液を反応液付与装置803により記録媒体808上に付与した。記録媒体808にはオーロラコート紙(日本製紙(株)製、坪量104g/m)を用い、搬送速度は0.5m/sとした。前記反応液の付与量は1g/mとした。その後、反応液が付与された記録媒体808上に、前記インクをインク付与装置804により付与し、液除去前のインク像を形成した。インク付与装置804として、電気−熱変換素子によりオンデマンド方式にてインク吐出を行うインクジェットデバイスを使用した。インク付与量は20g/mとした。前記液除去前のインク像に対して液除去部材805aを1kg/cmの圧力で20ms(ミリ秒)当接させることで、液体成分を吸収して除去し、液除去後のインク像である画像を形成した。液除去部材805aには、ベルト状の多孔質体である支持部材上に、得られた多孔質体を設けた液除去部材を用いた。また、液除去部材805aによる液体成分の除去は25℃にて行った。
(評価)
前記方法により得られた画像について、以下の評価を行った。なお、下記各評価において、A〜Bを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
<コックリング評価>
得られた印刷物における記録媒体のコックリング(変形)を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:記録媒体の変形が全くみられなかった。
C:記録媒体に変形がみられた。
<画像評価>
得られた印刷物の画像を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:画像表面に補助体による凹みはみられず、高精細画像が得られた。
B:画像表面に補助体による細かい凹みがみられたが、離れた場所に展示するのであれば気にならない程度であった。
<繰り返し使用評価>
前記多孔質体を有する液除去部材を繰り返し使用した際に、コックリングがなく印刷を行うことができる回数を評価した。繰り返し使用により多孔質体にインク成分が付着し、目詰まりすることによる液体除去率の低下を確認するためである。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
AA:1000回以上コックリングがなく印刷を行うことができた。
A:100回までコックリングがなく印刷を行うことができた。
B:10回までコックリングがなく印刷を行うことができた。
[実施例2]
粒子の樹脂溶液として、重量平均分子量が15万のPANを8質量%含むDMF溶液を調製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして多孔質体を作製した。このとき、得られる補助体の平均粒子径は30μmであった。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
粒子の樹脂溶液として、重量平均分子量が15万のPANを9質量%含むDMF溶液を調製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして多孔質体を作製した。このとき、得られる補助体の平均粒子径は40μmであった。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
粒子の樹脂溶液として、重量平均分子量が15万のPANを10質量%含むDMF溶液を調製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして多孔質体を作製した。このとき、得られた補助体の平均粒子径は50μmであったが、加熱プレス加工を施して多孔質体の厚さを40μmにする際に、補助体が変形し、補助体の平均粒子径は40μmになった。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
前記繊維と前記補助体の体積比が47:3になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を作製した。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
前記繊維と前記補助体の体積比が3:47になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を作製した。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
平板プレス機を用いて加熱プレス加工を施す代わりに、熱風乾燥機を用いて130℃で加熱処理を施した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を作製した。これにより、厚さが200μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.10、繊維の充填率が0.05、補助体の充填率が0.05の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1と同様に成膜し、平板プレス機を用いて130℃にて加熱プレス加工を施し、厚さが25μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.80、繊維の充填率が0.40、補助体の充填率が0.40の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
前記繊維と前記補助体の体積比が6:74になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した以外は、実施例1と同様に成膜を行った。平板プレス機を用いて130℃にて加熱プレス加工を施し、厚さが25μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.80、繊維の充填率が0.06、補助体の充填率が0.74の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
数珠状繊維の樹脂溶液として、メルトフローインデックス(265℃/5kg)が20g/10minのテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)を20質量%含むDMAc溶液を調製した。これを樹脂溶液供給装置404にセットした。ノズル411とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置406でノズル411に21kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均繊維径が0.7μm、平均粒子径が3.5μmの数珠状繊維を得た。
繊維の樹脂溶液として、重量平均分子量が20万のPANを9質量%含むDMF溶液を調製し、樹脂溶液供給装置401にセットした。ノズル402とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置403でノズル402に15kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均繊維径が0.7μmの繊維を得た。
繊維と補助体の体積比が1:1になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した。コレクター405から多孔質体を剥がし取り、平板プレス機を用いて60℃にて加熱プレス加工を施した。これにより、厚さが40μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.50、繊維の充填率が0.25、補助体の充填率が0.25の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例11]
数珠状繊維の樹脂溶液として、メルトフローインデックス(230℃/5kg)が20〜24g/10minのフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)を20質量%含むDMF溶液を調製した。これを樹脂溶液供給装置404にセットした。ノズル411とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置406でノズル411に25kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均繊維径が0.7μm、平均粒子径が3.5μmの数珠状繊維を得た。また、実施例10と同様にして繊維を得た。
前記繊維と前記補助体の体積比が1:1になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した。コレクター405から多孔質体を剥がし取り、平板プレス機を用いて90℃にて加熱プレス加工を施した。これにより、厚さが40μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.50、繊維の充填率が0.25、補助体の充填率が0.25の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。なお、液除去部材による液体成分の除去を60℃にて行った。結果を表1に示す。
[実施例12]
粒子の樹脂溶液として、重量平均分子量が15万のPANを2.5質量%含むDMF溶液を調製し、樹脂溶液供給装置404にセットした。ノズル411とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置406でノズル411に20kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均粒子径が3.5μmの粒子からなる補助体を得た。また、実施例10と同様にして繊維を得た。
前記繊維と前記補助体の体積比が1:1になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した。コレクター405から多孔質体を剥がし取り、平板プレス機を用いて130℃にて加熱プレス加工を施した。これにより、厚さが40μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.50、繊維の充填率が0.25、補助体の充填率が0.25の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例13]
粒子の分散液として、平均粒子径が0.35μmのアクリル粒子(商品名:MP2200、綜研化学株式会社製)を10質量%含むエタノール分散液を調製し、樹脂溶液供給装置404にセットした。ノズル411とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置406でノズル411に15kVの電圧を印加し、分散液の供給量を1ml/hとして、平均粒子径が0.3μmのアクリル粒子からなる補助体を得た。
繊維の樹脂溶液として、ナイロン6を15質量%含むぎ酸溶液を調製し、樹脂溶液供給装置401にセットした。ノズル402とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置403でノズル402に30kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を0.1ml/hとして、平均繊維径が0.05μmの繊維を得た。
前記繊維と前記補助体の体積比が5:1になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した。コレクター405から多孔質体を剥がし取り、平板プレス機を用いて70℃にて加熱プレス加工を施した。これにより、厚さが10μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.60、繊維の充填率が0.50、補助体の充填率が0.10の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例14]
繊維の樹脂溶液として、メルトフローインデックス(265℃/5kg)が20g/10minのTHVを26質量%含むDMAc/MIBK(質量比1:1)混合溶媒溶液に、塩化リチウムを0.01質量%添加した溶液を調製した。これを樹脂溶液供給装置401にセットした。ノズル402とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置403でノズル402に15kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均繊維径が0.7μmの繊維を得た。また、実施例11と同様にして数珠状繊維を得た。
繊維と補助体の体積比が1:1になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した。コレクター405から多孔質体を剥がし取り、平板プレス機を用いて60℃にて加熱プレス加工を施した。これにより、厚さが40μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.50、繊維の充填率が0.25、補助体の充填率が0.25の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例15]
数珠状繊維の樹脂溶液として、メルトフローインデックス(230℃/5kg)が20〜24g/10minのPVDF−HFPを25質量%含むDMF溶液を調製し、樹脂溶液供給装置404にセットした。ノズル411とコレクター405との距離は15cmとした。電圧印加装置406でノズル411に20kVの電圧を印加し、樹脂溶液の供給量を1ml/hとして、平均繊維径が0.3μm、平均粒子径が6μmの数珠状繊維を得た。本実施例では、該数珠状繊維のみをコレクター405上に成膜して多孔質体とした。
コレクター405から多孔質体を剥がし取り、平板プレス機を用いて90℃にて加熱プレス加工を施した。これにより、厚さが20μm、繊維及び補助体の合計の充填率が0.40、繊維の充填率が0.13、補助体の充填率が0.27の多孔質体を得た。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例16]
実施例3で作製した多孔質体と、実施例15で作製した多孔質体とを積層して、多孔質体を作製した。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行い、評価した。なお、液除去前のインク像と接する側に実施例15で作製した多孔質体を配置した。結果を表1に示す。
[比較例1]
前記繊維と前記補助体の体積比が1:49になるように両者の成膜時間を調整し、コレクター405上に交互に成膜した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を作製した。該多孔質体を用いて実施例1と同様に画像形成を行ったところ、多孔質体が破壊されてしまい、評価することができなかった。
Figure 2019010833
501 転写体
503、803 反応液付与装置
504、804 インク付与装置
505、805 液除去装置
506 転写用の押圧部材
508、808 記録媒体

Claims (17)

  1. 被吐出媒体上のインク像との接触による前記インク像からの液体成分の吸収用の多孔質体であって、
    前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、
    前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、
    前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、
    前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、
    前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とする多孔質体。
  2. 前記多孔質体を前記インク像と接触させる際の温度における、前記補助体を構成する材料の押し込み弾性率が75MPa以上である請求項1に記載の多孔質体。
  3. 前記多孔質体の前記インク像と接触する面に接触する前記粒子の直径が30μm以下である請求項1又は2に記載の多孔質体。
  4. 前記多孔質体の前記インク像と接触する面に接触する前記繊維の径が0.7μm以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の多孔質体。
  5. 前記粒子の平均粒子径が0.3μm以上である請求項1から4のいずれか一項に記載の多孔質体。
  6. 前記多孔質体の前記インク像と接触する面がフッ素を含む材料を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の多孔質体。
  7. 被吐出媒体上のインク像との接触による前記インク像から液体成分の吸収用の多孔質体の製造方法であって、
    静電紡糸法または静電噴霧法により前記多孔質体を製造する工程を含み、
    前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、
    前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、
    前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、
    前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、
    前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とする多孔質体の製造方法。
  8. 被吐出媒体上にインクを付与してインク像を形成する工程と、
    前記被吐出媒体上の前記インク像に多孔質体を接触させ、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、
    を含むインクジェット記録方法であって、
    前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、
    前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、
    前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、
    前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、
    前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. さらに、前記被吐出媒体上に前記インクを付与して前記インク像を形成する工程を含む請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  10. さらに、前記被吐出媒体上に前記インクと接触して高粘度化する反応液を付与する工程を含む請求項8又は9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記被吐出媒体が記録媒体である請求項8から10のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記被吐出媒体が転写体であり、前記転写体に記録媒体を圧着して、液体成分除去後のインク像を前記記録媒体へ転写する工程をさらに含む請求項8から10のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 被吐出媒体上にインクを付与してインク像を形成するインク付与装置と、
    前記被吐出媒体上の前記インク像と接触し、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する多孔質体を有する液除去装置と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記多孔質体は繊維と、粒子からなる補助体とを含み、
    前記多孔質体内における前記繊維及び前記補助体の合計の充填率が0.1〜0.8であり、
    前記繊維の平均繊維径(μm)×5≦前記粒子の平均粒子径(μm)≦前記多孔質体の厚さ(μm)を満たし、
    前記多孔質体内における前記補助体の充填率が0.03〜0.74であり、
    前記多孔質体内における前記繊維の充填率が0.03以上であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  14. さらに、前記被吐出媒体上に前記インクを付与して前記インク像を形成するインク付与装置を備える請求項13に記載のインクジェット記録装置。
  15. さらに、前記被吐出媒体上に前記インクと接触して高粘度化する反応液を付与する反応液付与装置を備える請求項13又は14に記載のインクジェット記録装置。
  16. 前記被吐出媒体が記録媒体である請求項13から15のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  17. 前記被吐出媒体が転写体であり、前記転写体に記録媒体を圧着して、液体成分除去後のインク像を前記記録媒体へ転写する転写用の押圧部材をさらに備える請求項13から15のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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