JP2019010016A - 収穫機 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業装置の負荷増大等に起因する作業無段変速装置の内部的な滑り等によって作業装置が適正に駆動できない場合に対処できる制御技術が要望されている。【解決手段】収穫機は、走行HST41に走行変速制御指令を与える走行変速制御部611と、作業変速制御指令を作業HST51に与える作業変速制御部621と、車体を前進させるための走行変速制御指令が与えられている状態で車体の走行が検知され、かつ、作業変速制御指令が作業HST51に与えられている状態であるとともに作業クラッチが入り状態であるにもかかわらず作業装置駆動検出センサが作業装置の駆動不良を検出している場合、作業装置異常が発生していると判定する判定部63と、作業装置異常が判定されると、減速要求を与える減速要求部641を備えている。走行変速制御部611は、減速要求に基づいて、減速制御指令または停止制御指令を走行HST41に与える。【選択図】図4
Description
本発明は、エンジンからの動力を作業装置に伝達する作業動力伝達機構と、エンジンからの動力を走行装置に伝達する走行動力伝達機構とを備えた収穫機に関する。
特許文献1によるコンバインでは、走行動力伝達機構及び作業動力伝達機構に、油圧式無段変速装置(HSTなどとも呼ばれる)のような無段変速装置が用いられている。走行動力伝達機構と作業動力伝達機構との両方に無段変速装置が用いられているので、エンジンから入力された動力が、走行無段変速装置及び作業無段変速装置によって無段階に変速できる。したがって、作業速度(刈取り速度)を走行速度に同期させる同期制御が可能となる。同期制御が行われている際には、車体が走行している時には作業装置も駆動し、車体が停止している時には、作業装置も停止している。なお、無段変速装置では、負荷が大きい場合、油圧の漏れや滑りなどにより内部的な動力伝達の不良(空回り)が生じることがある。
特許文献2によるコンバインでも、車速に刈取部の駆動速度を連動させる車速連動同期制御が行われている。このコンバインの掻込制御時に、前傾検出手段によって車体の前傾姿勢が検出されると、圃場への車体進入時における刈取作業中であると制御部が判断し、刈取部の駆動速度である掻込速度を自動的に低下させる。この制御によって、車体の圃場への進入時において、刈取部の駆動速度が車速に対して速すぎることに起因した刈取作業性の低下が抑制される。
特許文献1のコンバインでは、稲や麦などの刈取るべき作物の量が急に増えたり、水分等を多く含んだ作物を刈り取ったりすると、作業無段変速装置に大きな負荷が生じて、作業無段変速装置に空回りが発生し、作業装置が停止する。収穫機による刈取り収穫作業では、車体が走行しているにもかかわらず作業装置が停止してしまうと、車体の走行とともに刈取り作業ができずに作物が次々と踏み倒される。このような問題に対する対策は、特許文献1のコンバインでは、考慮されていない。
特許文献2のコンバインでも、作業装置が想定外で停止した状態で、車体が動き出すことによってもたらされる問題に対する対策は、考慮されていない。
上述した実情から、作業装置の負荷増大等に起因する作業無段変速装置の内部的な滑り等によって作業装置が適正に駆動できない場合に、適切に対処できる制御技術が要望されている。
本発明による収穫機は、車体に搭載されたエンジンと、前記車体を対地支持する走行装置と、前記車体に搭載された収穫用の作業装置と、前記作業装置の駆動状態を検出する作業装置駆動検出センサと、前記エンジンからの動力を、走行無段変速装置を介して前記走行装置に伝達する走行動力伝達機構と、前記エンジンからの動力を、作業無段変速装置及び作業クラッチを介して前記作業装置に伝達する作業動力伝達機構と、車速を算出する車速算出部と、運転者によって操作される人為変速操作具と、前記人為変速操作具の変速操作位置に基づいて前記走行無段変速装置に走行変速制御指令を与える走行変速制御部と、前記車体の走行状態に基づいて作業変速制御指令を前記作業無段変速装置に与える作業変速制御部と、前記車体を前進させるための前記走行変速制御指令が前記走行無段変速装置に与えられている状態で前記車体の走行が検知され、かつ、前記作業装置を駆動させるための前記作業変速制御指令が前記作業無段変速装置に与えられている状態であるとともに前記作業クラッチが入り状態であるにもかかわらず前記作業装置駆動検出センサが駆動不良を検出している場合、作業装置異常が発生していると判定する判定部と、前記作業装置異常が判定されると、前記走行変速制御部に減速要求を与える減速要求部とを備え、前記走行変速制御部は、前記減速要求に基づいて、前記走行装置を減速させる減速制御指令または前記走行装置を停止させる停止制御指令を前記走行変速制御指令として前記走行無段変速装置に与える。
この構成によれば、車体を前進させるための走行変速制御指令が走行無段変速装置に与えられている状態で車体の走行が検知され、かつ、作業装置を駆動させるための作業変速制御指令が作業無段変速装置に与えられている状態であるとともに作業クラッチが入り状態であるにもかかわらず、作業装置が駆動不良(駆動停止や微小駆動)となれば、作業装置異常の判定がなされる。作業装置異常が判定されると、走行無段変速装置に対して車体を停止させる制御または車体を減速させる減速制御が行われる。これにより、刈取り作業ができずに作物が踏み倒されるという問題は回避される。従来のコンバインでは、刈取り穀稈の搬送詰まりを検出して、エンジンを停止させる技術は知られているが、エンジンを停止させると、エンジンを駆動源としている全ての機器が停止するので、そのリカバリ処理が複雑となる。本発明では、走行無段変速装置に減速制御指令または停止制御指令を与えて、車体を停止または減速させるだけなので、エンジンを停止させる必要はなく、リカバリ処理が簡単となる。
一般的な収穫機では、作業装置としての刈取部が車体前部に設けられており、刈取部を駆動させながら前進走行することで、作物の刈取り収穫が行われる。車体の停止時や後進時は、刈取り収穫作業は行われない。また、刈取り収穫時において、車速が速いほど、多くの作物の刈取り収穫を行う必要があるので、作業装置を高速で駆動させることが好ましい。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記作業変速制御部は、前記人為変速操作具の変速操作位置が前進位置の場合には、前記車速に基づいて前記作業無段変速装置の変速比を変更する前進用作業変速制御指令を前記作業無段変速装置に与え、前記人為変速操作具の変速操作位置が中立位置または後進位置の場合には、前記作業無段変速装置を中立にする中立用作業変速制御指令を前記作業無段変速装置に与える。
上述した作業装置異常は、刈取部に入り込んでくる作物が原因となって生じる可能性が最も高いので、作物が刈取部に入り込んでいるという状態を、作業装置異常の判定条件として加えると、判定精度が向上する。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記作業装置としての刈取部に入り込んでくる作物を検出する株元センサが備えられ、前記株元センサによる前記作物の検出が、前記作業装置異常の判定条件に含まれる。
作業装置異常が判定されると、車体が、自動的に、停止または減速するので、運転者は、戸惑ってしまう。このため、作業装置異常が生じ、車体が停止または減速したことが運転者に報知されることが好ましい。したがって、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記作業装置異常が判定されると警報報知を行う報知部が備えられている。
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、図1に示す矢印Fの方向を「車体前側」、矢印Bの方向を「車体後側」とする。
図1には、本発明による収穫機の一例としての自脱型コンバインを示している。このコンバインには、車体1と、車体1を自走可能に対地支持する左右一対のクローラタイプの走行装置10とが備えられている。車体1の前部には、収穫用の作業装置である刈取部2が昇降可能に設けられている。刈取部2は、圃場の穀稈を刈り取って車体後方に搬送する。刈取部2の右後上方には、運転キャビン11が設けられている。運転キャビン11内には、人為変速操作具である主変速レバー30と、掻込みペダル31が配置されている。主変速レバー30は、前後に揺動操作可能な状態で設けられている。掻込みペダル31は、足踏み操作可能な状態で設けられている。
運転キャビン11の下方には、エンジン4が搭載されている。刈取部2及び運転キャビン11の後方には、刈取部2から搬送された刈取穀稈を脱穀する脱穀装置12と、脱穀装置12からの穀粒を貯留するグレンタンク13とが、車体左右方向に隣り合う状態で設けられている。グレンタンク13には、グレンタンク13内の穀粒を排出するアンローダ14が設けられている。
刈取部2には、圃場の穀稈を引き起こす複数の引起装置21、引起装置21に引き起こされた穀稈を切断するバリカン式の切断装置22、刈取穀稈を後方に搬送する穀稈搬送装置23等が備えられている。刈取部2は、車体左右向きの軸心X1周りの揺動で昇降可能に構成されている。この揺動は、油圧シリンダ24の伸縮によって行われる。
図2を用いて、エンジン4からの動力伝達系統について説明する。この動力伝達系統には、走行動力伝達機構40と作業動力伝達機構50とが含まれている。走行動力伝達機構40はエンジン4からの動力を走行装置10に伝達する。作業動力伝達機構50は、エンジン4からの動力を刈取部2や脱穀装置12などの作業装置に伝達する。図2に示された実施形態では、作業動力伝達機構50は、刈取部2へ動力を伝達する第1の作業動力伝達機構と、刈取部2以外の作業装置(脱穀装置12等)へ動力を伝達する第2の動力伝達機構とを含んでいる。走行動力伝達機構40は油圧式無段変速装置を走行無段変速装置(以下走行HST41と略称する)として備えており、第1の作業動力伝達機構も油圧式無段変速装置を作業無段変速装置(以下作業HST51と略称する)として備えている。
走行動力伝達機構40は、第1ベルト伝動装置42とギヤトランスミッション44とを備えている。第1ベルト伝動装置42は、エンジン4の出力軸に取り付けた第1出力プーリ42aと走行HST41の入力軸に取り付けた第1入力プーリ42bとの間の動力伝達を行う。ギヤトランスミッション44は、走行HST41の出力軸と走行装置10の左右の車軸10aとの間の動力伝達を行い、左右の車軸10aに独立して動力を伝達することができる。この車軸10aの回転により、クローラベルトが回動する。
第1の作業動力伝達機構は、第2ベルト伝動装置52を備えている。第2ベルト伝動装置52は、エンジン4の出力軸に取り付けた第2出力プーリ52aと作業HST51の入力軸に取り付けた第2入力プーリ52bとの間の動力伝達を行い、作業クラッチ53を有する。この作業クラッチ53は、操作アクチュエータとしての作業クラッチ用ソレノイド53aの動作によって、選択的にクラッチ入り状態とクラッチ切り状態とになる。作業HST51の出力軸から出力された動力は、刈取部入力軸2aを介して刈取部2に伝達される。第2の作業動力伝達機構は、第3ベルト伝動装置54を備えている。第3ベルト伝動装置54は、エンジン4の出力軸に取り付けた第3出力プーリ54aと中継軸に取り付けた第3入力プーリ54bとの間の動力伝達を行い、中継クラッチ55を有する。
走行HST41及び作業HST51の変速は、斜板の角度を変更することによって行われる。この実施形態では、走行HST41の斜板角度を変更するのに油圧比例弁71が用いられ、作業HST51の斜板角度を変更するのに作業HST変速モータ72が用いられている。
図3に、このコンバインの制御系の機能ブロック図が示されている。制御系は、多数のセンサ群、スイッチ群、車載LANで相互接続された多数のECUと呼ばれる電子制御ユニットなどから構成されている。図3では、ECUは、まとめられて、1つの制御ユニット6として示されている。
制御ユニット6は、入出力インタフェースとして、出力処理部6Bと入力処理部6Aとを備えている。出力処理部6Bは、車両走行機器群7A、作業装置機器群7B、報知デバイス7Cなどと接続している。車両走行機器群7Aには、車両走行に関する制御機器、例えばエンジン制御機器、制動制御機器、走行動力伝達機構40に組み込まれた制御機器、例えば、油圧比例弁71などが含まれている。油圧比例弁71は、制御ユニット6から送られてくる制御指令に基づいて比例ソレノイドを駆動し、比例的に制御された油圧回路の圧力を用いて斜板ピストンを変位させる。斜板ピストンの変位によって、走行HST41の斜板の斜板角が変更される
作業装置機器群7Bには、刈取部2、脱穀装置12、アンローダ14、作業動力伝達機構50に組み込まれている制御機器、例えば、作業クラッチ53を入り切りする作業クラッチ用ソレノイド53aや作業HST変速モータ72が含まれている。作業HST変速モータ72は、作業HST51の斜板の斜板角を変更するために用いられる。報知デバイス7Cには、車両計器パネル、警報ブザー、スピーカ、警報ランプ、作業ランプなどが含まれている。
入力処理部6Aには、走行系検出センサ群8Aや作業系検出センサ群8Bなどが接続されている。走行系検出センサ群8Aには、エンジン4や走行動力伝達機構40を操作する操作具の位置を検出するセンサや、エンジン4や走行動力伝達機構40の状態を検出するセンサが含まれている。本発明に関連するものとして、操作変位センサ81、回転センサ82、出力速度センサ83、が挙げられる。操作変位センサ81は、走行速度を設定する主変速レバー30の変速操作位置を検出する。回転センサ82は、走行装置10の左右の車軸10aの回転速度を検出する。出力速度センサ83は、走行HST41の出力軸の回転速度を検出する。
作業系検出センサ群8Bには、刈取部2、脱穀装置12、アンローダ14、作業動力伝達機構50などの状態を検出するセンサが含まれている。本発明に関連するものとして、操作変位センサ86、作業クラッチスイッチ87、作業装置駆動検出センサ88、株元センサ89が挙げられる。操作変位センサ86は、掻込みペダル31の踏み込み操作位置を検出する。作業変速制御部621は、検出された踏み込み操作位置に基づいて作業HST51の斜板を調整し、踏み込み操作位置に応じた動力を出力させる。掻込みペダル31の踏み込み操作により、運転者の意思で、刈取部2を緊急的に駆動させることができる。作業クラッチスイッチ87は、作業クラッチ53の入り状態または切り状態を検出して、制御ユニット6に与える。作業装置駆動検出センサ88は、作業動力伝達機構50の駆動状態、つまり作業装置の駆動状態(例えば刈取部2が駆動しているかどうか)を検出する。株元センサ89は、穀稈が刈取部2に進入していることを検出する。
制御ユニット6は、入力処理部6Aを通じて入力されたデータや信号に基づいて演算処理された結果としてのデータや信号を、出力処理部6Bを通じて出力する。この演算処理を行う機能部として、走行制御部61、作業制御部62、判定部63、判定管理部64、報知部65、車速算出部66を備えている。車速算出部66は、回転センサ82からの検出信号に基づいて、車体1の速度(車速)を算出する。
走行制御部61は、車両走行機器群7Aに制御指令を与えて、このコンバインの走行を制御する。走行制御部61には、主変速レバー30の変速操作位置に基づいて走行HST41に走行変速制御指令を与える走行変速制御部611が含まれている。作業制御部62は、作業装置機器群7Bに制御指令を与えて、このコンバインの作業装置(刈取部2など)を制御する。作業制御部62には、作業変速制御部621が含まれている。作業変速制御部621は、車体1の走行状態に基づいて作業変速制御指令を作業HST51に与える。
操作変位センサ81によって検出される主変速レバー30の変速操作位置に基づいて制御される走行HST41の出力速度は出力速度センサ83で検出される。この出力速度センサ83の検出結果に基づいて、作業変速制御部621は、作業HST変速モータ72を駆動制御できる。このような制御構成により、作業HST51での刈取速度は、走行速度に同期可能である。
作業変速制御部621による作業HST51の制御のより具体的な一例では、作業変速制御部621は、主変速レバー30の変速操作位置が前進位置の場合には、車速に基づいて作業HST51の変速比を変更する前進用作業変速制御指令を作業HST51に与え、主変速レバー30の変速操作位置が中立位置または後進位置の場合には、作業HST51を中立にする中立用作業変速制御指令を作業HST51に与える。このような作業変速制御部621の構成により、車体1の停止時や後進時は、実質的には、刈取り収穫作業は行われない。また、前進走行による刈取り収穫時には、車速が速いほど、作業装置を高速で駆動させることができ、高速走行を用いた短時間での刈取り収穫作業も可能となる。
判定部63は、次の3つの判定条件が成立した場合に、作業装置異常が発生していると判定する。
(1)車体1を前進させるための走行変速制御指令が走行変速制御部611から走行HST41に与えられている状態で、車体1の走行が車速算出部66によって検知されている。
(2)刈取部2などの作業装置を駆動させるための指令、即ち、作業動力伝達機構50を駆動させるための作業変速制御指令が作業変速制御部621から作業HST51に与えられている状態で、かつ作業クラッチ53が入り状態であるにもかかわらず、作業装置駆動検出センサ88が刈取部2などの作業装置の駆動不良を検出している。なお、作業装置駆動検出センサ88によって検出される作業動力伝達機構50の駆動不良は、駆動停止状態であることが一般的であるが、目標駆動状態(例えば目標駆動回転数)の所定割合しか達成されていない状態であってもよい。
(3)刈取部2に入り込んでくる植立穀稈(作物)を検出する株元センサ89が植立穀稈を検出する。
(1)車体1を前進させるための走行変速制御指令が走行変速制御部611から走行HST41に与えられている状態で、車体1の走行が車速算出部66によって検知されている。
(2)刈取部2などの作業装置を駆動させるための指令、即ち、作業動力伝達機構50を駆動させるための作業変速制御指令が作業変速制御部621から作業HST51に与えられている状態で、かつ作業クラッチ53が入り状態であるにもかかわらず、作業装置駆動検出センサ88が刈取部2などの作業装置の駆動不良を検出している。なお、作業装置駆動検出センサ88によって検出される作業動力伝達機構50の駆動不良は、駆動停止状態であることが一般的であるが、目標駆動状態(例えば目標駆動回転数)の所定割合しか達成されていない状態であってもよい。
(3)刈取部2に入り込んでくる植立穀稈(作物)を検出する株元センサ89が植立穀稈を検出する。
3つ目の判定条件は、植立穀稈が刈取部2に入り込んでいるということを意味している。この3つ目の判定条件は、刈取部2の駆動不良が、刈取部2に入り込んできて刈り取られる植立穀稈が起因となる可能性が最も高いことから、この実施形態において、判定条件として加えられている。ただし、この3つ目の判定条件は、省略することも可能である。
判定管理部64は、判定部63から出力された判定結果に基づいて、判定結果に起因する問題を回避するために、車両走行機器群7Aや作業装置機器群7Bに制御指令を与える。判定管理部64には、走行変速制御部611に減速要求を与える減速要求部641が含まれている。
本発明では、判定部63によって、作業装置異常(刈取部2が穀稈詰まりなどによって駆動不良となっていることなど)が判定されると、減速要求部641が走行変速制御部611に減速要求を与える。走行変速制御部611は、与えられた減速要求に基づいて、走行変速制御指令として走行装置10を減速させる減速制御指令を走行HST41に与える。これにより、油圧比例弁71が斜板を減速方向に動かし、車体1を減速または停止させる。
その際、減速時のショック等の不都合を回避するため、減速制御指令は、現状の車速に基づいて算出された減速値で車体1を減速させるような指令にしてもよい。例えば、不測走行が判定された際の車速の値に応じて、大きな減速ショックが回避されるような減速値が導出される関数(ルックアップテーブル)が用いられる。
報知部65は、作業装置異常やその他の異常事態が検知された場合、警告報知信号を報知デバイス7Cに出力して、警報報知を行う。
次に図4を用いて、作業装置異常の車体1の減速に至る制御の流れを説明する。ここでは、当該制御の背景として、刈取り収穫作業のため、車体1が前進走行している際に、刈取部2の駆動不良(停止など)が発生したことが想定されている。
したがって、判定部63には、操作変位センサ81によって検出される主変速レバー30の変速操作位置として、前進位置が入力されている(#01)。さらに、刈取り収穫作業が行われているので、作業動力伝達機構50の作業クラッチ53は入り操作されている。その結果、作業クラッチスイッチ87から作業クラッチ入りの検出信号が判定部63に入力されている(#02)。同様に、車体1が前進走行中であるので、回転センサ82により車軸10aの回転が検出されている。その結果、車速算出部66によって車速発生(走行状態)が判定部63に入力されている(#03)。また、刈取部2には植立穀稈が入り込んでおり、株元センサ89によって作物検出(植立穀稈)が判定部63に入力されている(#04)。
ここで、突然、穀稈詰まりなどによって刈取部2における動力伝達に大きな負荷が生じた場合、作業無段変速装置である作業HST51に空回り等が生じ、作業動力伝達機構50が駆動不良となる。この作業動力伝達機構50の駆動不良が作業装置駆動検出センサ88によって検出され、判定部63に入力される(#05)。これにより、判定部63において、上述した、3つの判定条件が成立するので、判定部63は、作業装置異常が発生していると判定する(#10)。
次に、減速要求部641は、判定部63による作業装置異常の判定結果に応答して、減速要求を走行変速制御部611に与える(#11)。減速要求を受けた走行変速制御部611は、走行変速制御指令として、減速制御指令または停止制御指令を走行HST41に与える(#12)。走行HST41はこの減速制御指令または停止制御指令により、斜板が減速方向、必要の場合、後進方向にまで変位させられ、車体1の減速または車体1の停止が実現する(#13)。図4においては、理解のし易さのために、#10から#13までの流れを太線で示してある。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、作業装置異常が発生すると、自動的に減速制御指令または停止制御指令が緊急出力されたが、この緊急出力に対しても条件設定することが可能である。例えば、車速が所定値以上の時だけ、緊急出力するようにしてもよい。
(1)上述した実施形態では、作業装置異常が発生すると、自動的に減速制御指令または停止制御指令が緊急出力されたが、この緊急出力に対しても条件設定することが可能である。例えば、車速が所定値以上の時だけ、緊急出力するようにしてもよい。
(2)株元センサ89としては、穀稈が刈取部2に進入していることを検出できれば種々の構成のものを採用することができる。植立穀稈が刈取部2に入り込んできたいことを検出するセンサでもよいし、切断装置22によって切断され、穀稈搬送装置23で搬送される前の穀稈の存在を検出するセンサでもよいし、あるいは穀稈搬送装置23で搬送されていく穀稈の量(少量または大量)を検出するセンサでもよい。
(3)上述した実施形態では、作業動力伝達機構50に無段変速装置として作業HST51が備えられていた。これに代えて、作業動力伝達機構50に、その他の無段変速装置が備えられてもよい。
(4)上述した実施形態では、車速算出部66は、走行装置10の左右の車軸10aの回転速度を検出する回転センサ82からの検出信号に基づいて車速を算出している。これに代えて、衛星測位モジュールや慣性航法モジュールなどから得られる位置データないしは動きデータに基づいて、車速を算出することも可能である。
(6)図3で示された制御ユニット6の各機能部は、主に説明目的で区分けされている。実際には、各機能部は他の機能部と統合してもよいし、またはさらに複数の機能部に分けてもよい
(7)上述した実施形態では、収穫機は、自脱型コンバインであったが、普通型コンバインであってもよい。
本発明は、エンジンからの動力を、作業無段変速装置を介して作業装置に伝達する作業動力伝達機構と、エンジンからの動力を、走行無段変速装置を介して走行装置に伝達する走行動力伝達機構とを備えた収穫機であれば、稲や小麦等を収穫するコンバインだけでなく、トウモロコシなど他の農作物を収穫するコンバインや、ニンジンなどを収穫する収穫機にも適用可能である。
1 :車体
2 :刈取部(作業装置)
4 :エンジン
10 :走行装置
30 :主変速レバー(人為変速操作具)
40 :走行動力伝達機構
41 :走行HST(走行無段変速装置)
50 :作業動力伝達機構
51 :作業HST(作業無段変速装置)
53 :作業クラッチ
53a :作業クラッチ用ソレノイド
6 :制御ユニット
61 :走行制御部
611 :走行変速制御部
62 :作業制御部
621 :作業変速制御部
63 :判定部
64 :判定管理部
641 :減速要求部
65 :報知部
66 :車速算出部
7C :報知デバイス
82 :回転センサ
88 :作業装置駆動検出センサ
89 :株元センサ
2 :刈取部(作業装置)
4 :エンジン
10 :走行装置
30 :主変速レバー(人為変速操作具)
40 :走行動力伝達機構
41 :走行HST(走行無段変速装置)
50 :作業動力伝達機構
51 :作業HST(作業無段変速装置)
53 :作業クラッチ
53a :作業クラッチ用ソレノイド
6 :制御ユニット
61 :走行制御部
611 :走行変速制御部
62 :作業制御部
621 :作業変速制御部
63 :判定部
64 :判定管理部
641 :減速要求部
65 :報知部
66 :車速算出部
7C :報知デバイス
82 :回転センサ
88 :作業装置駆動検出センサ
89 :株元センサ
Claims (4)
- 車体に搭載されたエンジンと、
前記車体を対地支持する走行装置と、
前記車体に搭載された収穫用の作業装置と、
前記作業装置の駆動状態を検出する作業装置駆動検出センサと、
前記エンジンからの動力を、走行無段変速装置を介して前記走行装置に伝達する走行動力伝達機構と、
前記エンジンからの動力を、作業無段変速装置及び作業クラッチを介して前記作業装置に伝達する作業動力伝達機構と、
車速を算出する車速算出部と、
運転者によって操作される人為変速操作具と、
前記人為変速操作具の変速操作位置に基づいて前記走行無段変速装置に走行変速制御指令を与える走行変速制御部と、
前記車体の走行状態に基づいて作業変速制御指令を前記作業無段変速装置に与える作業変速制御部と、
前記車体を前進させるための前記走行変速制御指令が前記走行無段変速装置に与えられている状態で前記車体の走行が検知され、かつ、前記作業装置を駆動させるための前記作業変速制御指令が前記作業無段変速装置に与えられている状態であるとともに前記作業クラッチが入り状態であるにもかかわらず前記作業装置駆動検出センサが駆動不良を検出している場合、作業装置異常が発生していると判定する判定部と、
前記作業装置異常が判定されると、前記走行変速制御部に減速要求を与える減速要求部とを備え、
前記走行変速制御部は、前記減速要求に基づいて、前記走行装置を減速させる減速制御指令または前記走行装置を停止させる停止制御指令を前記走行変速制御指令として前記走行無段変速装置に与える収穫機。 - 前記作業変速制御部は、前記人為変速操作具の変速操作位置が前進位置の場合には、前記車速に基づいて前記作業無段変速装置の変速比を変更する前進用作業変速制御指令を前記作業無段変速装置に与え、前記人為変速操作具の変速操作位置が中立位置または後進位置の場合には、前記作業無段変速装置を中立にする中立用作業変速制御指令を前記作業無段変速装置に与える請求項1に記載の収穫機。
- 前記作業装置としての刈取部に入り込んでくる作物を検出する株元センサが備えられ、
前記株元センサによる前記作物の検出が、前記作業装置異常の判定条件に含まれる請求項1または2に記載の収穫機。 - 前記作業装置異常が判定されると警報報知を行う報知部が備えられている請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
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