以下、本発明の実施の形態に係るプラント監視装置について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係るプラント監視装置は、例えば、発電プラントや化学プラントにおけるプロセス制御を実現するための分散型制御システム(DCS:Distributed Control System)で構成される監視制御システムに適用される。しかしながら、本発明に係るプラント監視装置が適用されるシステムについては、DCSに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
図1は、本実施の形態に係るプラント監視装置が適用される監視制御システムのネットワーク構成図である。本実施の形態に係る監視制御システムにおいては、ネットワーク上の特定の機器に制御を集中させるのではなく、ネットワーク上の任意の機器間で必要な情報のみを共有し、プラント全体のプロセス制御を行うものである。
図1に示すように、本実施の形態に係る監視制御システム10は、制御装置11と、プラント監視装置としてのオペレータステーション(以下、「OPステーション」という)12と、データベースステーション(以下、「DBステーション」という)13と、プリンタ14と、エンジニアリングステーション(以下、「ENGステーション」という)15とを含んで構成される。図1においては、説明の便宜上、2台の制御装置11a、11bのみを示している。実際には、プラントの規模に応じて、多数の制御装置11が監視制御システム10に接続される。
制御装置11(11a、11b)には、プラントに設置される主要機器や周辺機器(以下、適宜「プラント機器」という)16が接続されている。プラント機器16を構成する主要機器には、例えば、ガスタービン、蒸気タービンやボイラなどが含まれる。プラント機器16を構成する周辺機器には、例えば、各種のセンサ、アクチュエータやバルブなどが含まれる。これらのプラント機器16は、有線又は無線にて制御装置11に接続される。
制御装置11(11a、11b)には、制御ネットワーク17を介して、OPステーション12及びDBステーション13が接続されている。OPステーション12、DBステーション13、プリンタ14及びENGステーション15は、情報ネットワーク18を介して互いに接続されている。制御ネットワーク17及び情報ネットワーク18は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)で構成される。また、制御ネットワーク17及び情報ネットワーク18は、有線ネットワークに限らず、無線ネットワークで構成されてもよい。
制御装置11は、マイクロプロセッサ等を持つコントローラであり、各プラント機器16から周期的に監視データを収集して、PID(Proportional Integral Differential)制御等によって対象機器を自動制御している。
OPステーション12は、各制御装置11から収集した監視データに基づいてプラントの監視を行っており、各制御装置11に対する制御値の設定、制御の有効化及び無効化、制御状態の監視等を実施している。OPステーション12は、2つのディスプレイ121、122を備えている。OPステーション12は、プラントの運転状況をディスプレイ121、122で表示するマルチディスプレイ環境で操作される。
例えば、ディスプレイ121、122には、プラントの運転状況を監視するプラント監視画面や、プラント機器16を操作可能な操作部を配列した機器操作画面等が表示される。OPステーション12の操作者は、プラント監視画面を確認することにより、プラントの一部又は全部の運転状況を監視することができる。また、OPステーション12の操作者は、機器操作画面に含まれる操作部を操作することにより、操作対象のプラント機器11に対する設定値や操作量を変更することができる。なお、これらのプラント監視画面及び機器操作画面についは後述する。
OPステーション12は、プラント機器16を直接的に操作可能な操作キーを含む専用キーボード123を備えている。OPステーション12の操作者は、一定の条件下において、上述した機器操作画面を介在させることなく、専用キーボード123の操作キーを操作して操作対象のプラント機器16に対する設定値や操作量を変更することができる。なお、専用キーボード123は、単独でOPステーション12に接続されてもよいし、汎用キーボードと一緒にOPステーション12に接続されてもよい。なお、この専用キーボード123の構成例については後述する。
DBステーション13は、プラントに関するアラームの履歴情報や監視データのトレンド情報を長時間に亘って蓄積している。プリンタ14は、OPステーション12、DBステーション13、ENGステーション15等から入力されたデータを印刷可能に構成されている。
ENGステーション15は、OPステーション12で表示されるプラント監視画面や機器操作画面に含まれる表示要素の定義(ユーザ定義)を行う。この定義には、各種の表示要素の位置や大きさ、配色や形状等の情報が含まれる。また、ENGステーション15は、後述する専用キーボード123内のファンクションキー412や、ワンタッチキー421に割り当てられる機能の定義(ユーザ定義)を行う。さらに、ENGステーション15は、専用キーボード123でプラント機器16が操作可能となる条件を定義する。例えば、ENGステーション15は、特定のディスプレイに機器操作画面が表示された場合に専用キーボード123からプラント機器16が操作可能となる条件を定義し、この特定のディスプレイを指定する。
ENGステーション15は、プラント監視画面に含まれる表示要素等を、OPステーション12で表示するためのデータ変換(コンパイル)を行う。ENGステーション15は、データ変換によって生成された実行ファイル(DLL:Dynamic Link Library)をOPステーション12に転送する。また、ENGステーション15は、専用キーボード123のファンクションキー412等に設定される機能情報や、専用キーボード123からプラント機器16が操作可能となる特定のディスプレイ情報をOPステーション12に転送する。
ここで、OPステーション12に表示されるプラント監視画面及び機器操作画面の一例と、専用キーボード123のキー配列の一例について説明する。なお、以下に示すプラント監視画面、機器操作画面及び専用キーボード123のキー配列は一例を示すものであって、監視対象となるプラント機器16やプラント機器16に対する操作内容に応じて適宜変更することができる。
図2は、本実施の形態に係るOPステーション12に表示されるプラント監視画面20の一例を示す模式図である。図2に示すように、プラント監視画面20には、複数の表示要素が組み合わされて、プラントの運転状況が表示される。図2に示すプラント監視画面20においては、プラント機器16の一例として、一対のタンク211、221、バルブ23及びモータ24を示している。これらのプラント機器16に対応する表示要素を表示するための情報は、ENGステーション15で定義(ユーザ定義)される。
プラント監視画面20には、各プラント機器16に対する操作を受け付けるための操作部25、26を表示することができる。図2に示すプラント監視画面20においては、タンク211の状態を表すステータスバー212とそれを制御するための操作部251a、同様にタンク221の状態を表すステータスバー222とそれを制御するための操作部251h、ポンプ24を操作するための操作部26を示している。操作部251a、251h、操作部26は、それぞれステータスバー212、222、ポンプ24をマウスでクリックした時に表示される。操作部25、26に対応する表示要素を表示するための情報は、ENGステーション15で定義(ユーザ定義)される。
操作部26は、ポンプ24に対する操作コマンドを表示する。操作者は、操作部26に割り当てられた操作コマンドを選択することにより、プラント機器16に操作命令を出力する。図2においては、ポンプ24に対する操作コマンドとして、操作部26aに「運転」が、操作部26bに「停止」が割り当てられている。操作者は、いずれかの操作部26a、26bを選択することでプラント機器16を動かすことができる。なお、操作コマンドには、操作部(例えば、操作部26)ごとに最大8個のコマンドを定義できる。
操作部25は、プラント監視画面20内で表示位置が予め決められている。例えば、操作部25は、プラント監視画面20における下段8、上段8の16か所に表示することができる。図2に示す例では、プラント監視画面20の下段における最も側方側(左右方向の端部)の位置に操作部251a、251hを示している。
図3は、本実施の形態に係るOPステーション12に表示される機器操作画面30の一例を示す模式図である。図3に示すように、機器操作画面30には、プラント機器16を操作可能な操作部31が上下2段に並べて表示される。図3に示す機器操作画面30においては、上段に4つの比率演算グループに属するプラント機器16に対する操作部311a〜311dが表示され、下段に8つのPID制御グループに属するプラント機器16に対応する操作部312a〜312hが表示されている。
これらの操作部311、312は、プラント監視画面20上に表示される操作部25と同様の構成を有する。プラント監視画面20では、画面上に表示されるプラント機器16に対する操作部25が表示される。これに対し、機器操作画面30では、プラント機器16に対する制御内容等により操作部311、312をグループに分けて表示される。このため、機器操作画面30は、グループ画面と呼ばれることがある。
各操作部31(311、312)には、測定値(PV:Process Variable)と、設定値(SV:Set Variable)と、操作量(MV:Manipulative Variable)とを入力する入力領域が設けられている。また、各操作部31には、制御モードを選択可能な選択領域が設けられている。例えば、この選択領域では、リモートモードを選択可能な「R」と、オートモードを選択可能な「A」と、マニュアルモードを選択可能な「M」とが含まれる。これらの表示項目は、操作対象となるプラント機器16の種別に応じて変化する。OPステーション12の操作者は、このような操作部31から所望の入力値を入力し、或いは、所望の制御モードを選択することにより、プラント機器16に対する設定を変更することができる。
図4は、本実施の形態に係るOPステーション12に接続される専用キーボード123のキー配列の一例を示す模式図である。図4に示すように、専用キーボード123には、プラント機器16を直接的に操作可能な操作キー(以下、適宜「直接操作キー」という)41と、ディスプレイ121、122のうち、アクティブ状態の一方を操作可能な共用操作キー42とが配置されている。直接操作キー41は、図4に示す専用キーボード123の上方側部分に配置され、共有操作キー42は、図4に示す専用キーボード123の下方側部分に配置されている。
直接操作キー41には、操作対象となるプラント機器16の設定値等をループ制御可能なループ制御キー411と、操作対象となるプラント機器16に対するファンクションキー412とが含まれる。
ループ制御キー411は、機器操作画面30の下段部分に表示される操作部312に関連付けて配置されている。例えば、ループ制御キー411aは、図3に示す操作部312aに関連付けられる。ループ制御キー411aを操作することにより、操作部312aの操作対象のプラント機器16の設定値等を変更することができる。なお、この操作結果は、操作部312aにも反映される。同様に、ループ制御キー411b〜411hは、それぞれ図3に示す機器操作画面30の操作部312b〜312hに関連付けられる。
同様に、ループ制御キー411は、図2に示すプラント画面20の下段に最大8か所表示される操作部25に関連付けて配置されている。例えば、ループ制御キー411a、411hは、それぞれ図2に示す操作部251a、251hに関連付けられる。
ファンクションキー412は、図2に示すプラント画面20の操作部26に関連付けて配置されている。例えば、ファンクションキー412aは、操作部26aに関連付けられる。同様に、ファンクションキー412b〜412hは、それぞれ図2に示すプラント画面20の操作部26b〜26hに関連付けられる。
ループ制御キー411aには、制御モードの選択に使用されるキーが配置される。ループ制御キー411aには、モードキー411iと一緒に選択されることで、リモートモードを選択可能なRキーと、オートモードを選択可能なAキーと、マニュアルモードを選択可能なMキーとが含まれる。これらのRキー及びMキーは、マニュアルモード選択時に操作量値(MV)の増減にも使用され、オートモード選択時に設定値(SV)の増減にも使用される。また、Rキー及びMキーは、オートモード選択時にSVキー411jと一緒に選択されることで、設定値(SV)の増減に使用される。Aキーは、各制御モードにて、Rキー及びMキーと一緒に選択されることで、操作量値(MV)又は設定値(SV)の増減幅を拡大することができる。ループ制御キー411b〜411hについても同様である。
ループ制御キー411には、上下切替キー411kが含まれる。上下切替キー411kは、機器操作画面30上に表示される上段の操作部311と下段の操作部312とを入れ替える際に使用される。上述のように、専用キーボード123(より具体的には、直接操作キー41)では、機器操作画面30の下段に配置された各操作部312に対応するプラント機器16への操作が可能となっている。プラント監視画面20の下段に表示される操作部25についても同様である。上下切替キー411kを選択することにより、専用キーボード123で操作可能なプラント機器16を切り替えることが可能となる。
共有操作キー42には、ワンタッチキー421と、マスターキー422と、共通操作キー423と、アルファベットキー424と、カーソル移動キー425と、テンキー426とが含まれる。ワンタッチキー421には、アクティブ状態のディスプレイに表示される各種画面に対する任意の機能を割り当てることができる。例えば、ワンタッチキー421には、任意の画面(例えば、特定のプラント監視画面20)へのショートカット機能が割り当てられる。
マスターキー422には、プラント監視のために予め用意された各種画面の先頭画面を表示するため機能が割り当てられる。例えば、マスターキー422には、上述したようなプラント監視画面20、機器操作画面30の先頭画面を表示するための機能が割り当てられる。また、マスターキー422には、ループ制御状況を一括的に表示するループ画面や、プラント内に配備されるプラント機器16のトレンドを一括的に表示するトレンド画面の先頭画面を表示するための機能が割り当てられる。
共通操作キー423には、プラント監視のために予め用意された各種画面に共通の操作が割り当てられる。例えば、共通操作キー423には、OPステーション12に接続されたディスプレイ121、122に初期画面を表示するためのホーム操作や、各種画面上のページを戻し、或いは、進める操作が割り当てられる。アルファベットキー424、カーソル移動キー425及びテンキー426は、図示していない検索画面上で検索ワードや数値を指定する際、或いは、操作対象を所望の表示項目に切り替える際などに使用される。
このような専用キーボード123をマルチディスプレイ環境にて使用する場合、専用キーボード123を用いた操作を、アクティブ状態となっているディスプレイに対する操作に限定することが考えられる。この場合、専用キーボード123を用いる際、操作したいディスプレイをマウス操作でアクティブ状態とした後に入力操作を行うことが必要となる。一方で、専用キーボード123による操作を行う際、所望のディスプレイと異なるディスプレイがアクティブ状態となっていると、意図したプラント機器16とは異なるプラント機器16への操作となる可能性があり、誤操作の要因となり得る。
本発明者らは、マルチディスプレイ環境にてディスプレイの状態(アクティブ状態/非アクティブ状態)に応じて専用キーボード123からのプラント機器16の操作可否を決めることが、専用キーボード123からのプラント機器16の誤操作の要因となり得る点に着目した。そして、ディスプレイの状態(アクティブ状態/非アクティブ状態)に関わらず、専用キーボード123でプラント機器16を操作可能とするディスプレイを予め特定しておくことが、専用キーボード123によるプラント機器16の誤操作の抑制に寄与することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の骨子は、プラントの運転状況を複数画面で表示するマルチディスプレイ環境で操作されるプラント監視装置において、プラント機器16に対する操作を受け付ける操作部25、31(311、312)を含む各種操作画面(プラント画面20や機器操作画面30)を表示可能な複数のディスプレイ121、122と、プラント機器16を操作可能な直接操作キー41を含む専用キーボード123とを備え、予め指定された特定のディスプレイに表示された各種操作画面上の操作部に対する直接操作キー41からの操作を受け付ける一方、特定のディスプレイ以外のディスプレイに表示された各種操作画面上の操作部に対する専用操作キー41からの操作を受け付けないことである。なお、各種操作画面には、プラント画面20、機器操作画面30の他、上述したループ画面やトレンド画面が含まれる。
本発明によれば、予め指定された特定のディスプレイに表示された各種操作画面上の操作部のみに対して専用キーボード123の直接操作キー41からの操作を受け付けることができる。このため、特定のディスプレイ以外のディスプレイに表示される各種操作画面上の操作部に対応するプラント機器16が専用操作キー41で操作される事態を防止することができる。これにより、マルチディスプレイ環境にて専用キーボード123を用いて入力操作を行う場合であっても誤操作を抑制することができる。
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態に係る監視制御システム10が有するOPステーション12及びENGステーション15の構成について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係るOPステーション12の機能ブロック図である。図6は、本実施の形態に係るENGステーション15の機能ブロック図である。なお、図5及び図6においては、本発明に関係する構成要素のみを示している。以下では、図5に示すOPステーション12に専用キーボード123のみが接続されているものとする。
図5に示すように、OPステーション12は、OPステーション12全体の制御を行う制御部124を備える。制御部124には、記憶部125及び通信部126が接続されている。制御部124は、例えば、CPUなどの演算手段で構成され、記憶部125に記憶された制御プログラムを実行することにより、OPステーション12の各構成要素を制御する。OPステーション12には、上述したディスプレイ121、122及び専用キーボード123が接続されている。以下においては、説明の便宜上、ディスプレイ121を第1ディスプレイ121と呼び、ディスプレイ122を第2ディスプレイ122と呼ぶものとする。
記憶部122は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの記憶手段で構成され、制御部121が読み込んで実行する制御プログラムを記憶すると共に、制御部124のワークメモリとして機能する。また、記憶部122は、ENGステーション15から送信された、後述する機器操作ディスプレイ番号を記憶する。通信部126は、情報ネットワーク18を介してENGステーション15と通信を行う。また、通信部126は、制御ネットワーク17を介して制御装置11と通信を行う。
制御部124は、操作判定部124A、操作部判定部124B、情報取得部124C、強調表示部124D及び操作実施部124Eを有する。操作判定部124Aは、専用キーボード123を介して指示された操作内容を判定する。例えば、操作判定部124Aは、専用キーボード123の直接操作キー41を介して指示された操作内容か、共用操作キー42を介して指示された操作内容かを判定する。
操作部判定部124Bは、第1ディスプレイ121又は第2ディスプレイ122に表示されている画面上の操作部の有無を判定する。例えば、画面判定部124Bは、後述する機器操作ディスレプイにプラント監視画面20の操作部25や機器操作画面30の操作部31が表示されているかを判定する。
情報取得部124Cは、記憶部125に記憶された情報を取得する。例えば、情報取得部124Cは、記憶部125から、専用キーボード123の直接操作キー41でプラント機器16を操作可能なディスプレイ番号(以下、適宜「機器操作ディスプレイ番号」という)を取得する。詳細について後述するように、この機器操作ディスプレイ番号は、ENGステーション15のディスプレイ指定部151Aで予め指定され、記憶部125に記憶される。
強調表示部124Dは、一定の条件が満たされた場合にプラント監視画面20や機器操作画面30に表示された操作部25や操作部31(より具体的には、下段に配置される操作部25、312)を強調表示する。例えば、強調表示部124Dは、専用キーボード123の直接操作キー41を用いた特定の操作(例えば、ループ制御キー411のAキーの選択操作)が行われた場合に対応する操作部25や操作部312を識別可能に強調表示することができる。強調表示の態様については、操作部25や操作部312の背景色を通常と異なる配色とすることや、操作部25や操作部312の外形部分を点滅させることが考えられるが、これらに限定されるものではない。
操作実施部124Eは、専用キーボード123を介して指示された操作内容を実施する。例えば、操作実施部124Eは、専用キーボード123のループ制御キー411を介して指示された操作内容に応じて、制御装置11を介してプラント機器16を操作する。また、操作実施部124Eは、専用キーボード123のマスターキー422を介して指示された操作内容に応じて、アクティブ状態となっているディスプレイにおいて、当該マスターキー422に割り当てられた操作(例えば、プラント監視画面20の表示)を実施する。
図6に示すように、ENGステーション15は、ENGステーション15全体の制御を行う制御部151を備える。制御部151には、記憶部152及び通信部153が接続されている。ENGステーション15には、入力部154及び表示部155が接続されている。
制御部151は、例えば、CPUなどの演算手段で構成され、記憶部152に記憶された制御プログラムを実行することにより、ENGステーション15の各構成要素を制御する。記憶部152は、ROM及びRAMなどの記憶手段で構成され、制御部151が読み込んで実行する制御プログラムを記憶すると共に、制御部151のワークメモリとして機能する。通信部153は、情報ネットワーク18を介してOPステーション12と通信を行う。例えば、通信部153は、OPステーション12に対して機器操作ディスプレイ番号を通知する。
入力部154は、ENGステーション15の操作者からの指示を受け付ける。例えば、入力部154は、操作者から専用キーボード123の直接操作キー41でプラント機器16を操作可能なディスプレイ番号(機器操作ディスプレイ番号)の指定を受け付ける。また、入力部154は、プラント監視画面20等における表示要素に対するユーザ定義を受け付ける。表示要素に対するユーザ定義には、各表示要素の座標情報や寸法情報などの情報が含まれる。表示部155は、操作者からこれらの機器操作ディスプレイ番号やユーザ定義を受け付ける操作入力画面などを表示する。
制御部151は、ディスプレイ指定部151Aを有する。ディスプレイ指定部151Aは、入力部154を介して操作者から指示されたディスプレイ番号を機器操作ディスプレイ番号として指定する。操作者から指示されるディスプレイ番号には、例えば、OPステーション12を構成するコンピュータにインストールされるオペレーティングシステム(OS)で指定されるディスプレイ番号を使用することができる。ディスプレイ指定部151Aは、機器操作ディスプレイ番号を記憶部152に記憶させると共に、通信部153を介してOPステーション12に通知する。
ここで、本実施の形態に係る専用キーボード123が操作された場合のOPステーション12の動作について、図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態に係る専用キーボード123が操作された場合のOPステーション12の動作を説明するためのフロー図である。なお、図7に示すフローの実行に先立って、第1ディスプレイ121にはディスプレイ番号#1が割り当てられ、第2ディスプレイ122にはディスプレイ番号#2が割り当てられているものとする。また、記憶部152には、機器操作ディスプレイ番号として、ディスプレイ番号#2が記憶されているものとする。すなわち、OPステーション12においては、第2ディスプレイ122に表示された各種操作画面上の操作部に限って専用キーボード123からプラント機器16を直接的に操作できるように設定されている。
待機状態において、制御部124の操作判定部124Aは、専用キーボード123を介した操作の有無を監視している(ステップ(以下、「ST」という)701)。専用キーボード123を介して操作がない場合には(ST701:No)、この監視動作が継続される。一方、専用キーボード123を介して操作があった場合(ST701:Yes)、操作判定部124Aは、当該操作がループ制御キー411を使用した操作(ループキー操作)であるか判定する(ST702)。この判定結果は、情報取得部124Cに出力される。
ループキー操作である場合(ST702:Yes)、情報取得部124Cは、記憶部125から機器操作ディスプレイ番号を取得する(ST703)。ここでは、機器操作ディスプレイ番号としてディスプレイ番号#2が取得される。取得された機器操作ディスプレイ番号は、操作部判定部124Bに出力される。
機器操作ディスプレイ番号を受け取ると、操作部判定部124Bは、機器操作ディスプレイ番号に対応するディスプレイ(以下、適宜「機器操作ディスプレイ」という)にプラント監視画面20の操作部25や機器操作画面30の操作部31が表示されているか判定する(ST704)。ここでは、機器操作ディスプレイ番号がディスプレイ番号#2であるため、第2ディスプレイ122に操作部25、31が表示されているかが判定される。この判定結果は、操作判定部124Aに出力される。
機器操作ディスプレイに操作部25、31が表示されている場合には(ST704:Yes)、操作判定部124Aは、ループ制御キー411に含まれるAキーが選択されたかを判定する(ST705)。より具体的には、ループ制御キー411a〜411hに含まれる、いずれかのAキーが選択されたかが判定される。この判定結果は、強調表示部124D及び操作実施部124Eに出力される。
Aキーが選択された場合には(ST705:Yes)、強調表示部124Dは、選択されたAキーに対応する下段側の操作部25、312の背景色を強調表示する(ST706)。操作者から選択されたAキーに対応する操作部25、312の背景色が強調されることで、操作者は、自身が操作しようとするプラント機器16を把握することができる。そして、このように操作部25、312が強調表示されると処理が終了し、制御部124は、待機状態に移行し、ST701の監視動作を行う。
一方、Aキーが選択されない場合には(ST705:No)、操作実施部124Eは、ST702で指定されたループ制御キー411に対応する操作(ループキー操作)を実施する(ST707)。例えば、制御モードがマニュアルモードである場合において、ループ制御キー411aに含まれるRキーが選択された場合には、操作量値(MV)の1%増加が実施される。操作量値(MV)の増加は、通信部126を介して制御装置11に指示され、制御装置11を介して該当するプラント機器16に実施される。そして、このようにループキー操作が実施されると処理が終了し、制御部124は、待機状態に移行し、ST701の監視動作を行う。
また、ST704において、機器操作ディスプレイに操作部25、31が表示されていない場合(ST704:No)、操作実施部124Eは、ST702で指示されたループキー操作を受け付けることなく、処理を終了する。すなわち、第2ディスプレイ122に操作部25、31が表示されていない場合にループキー操作が無視される。処理が終了すると、制御部124は、待機状態に移行し、ST701の監視動作を行う。
さらに、ST702において、専用キーボード123のループキー操作でなかった場合には(ST702:No)、操作実施部124Eは、現在アクティブ状態となっているディスプレイに表示されている各種操作画面(アクティブ画面)において、専用キーボード123から選択された操作を実施する(ST708)。このようにループキー操作でない場合には、各種操作画面が表示されるディスプレイの種類に関わらず、アクティブ画面に対する操作が実施されるので、直接操作キー41による誤操作を抑制しつつ、共用操作キー42を用いた操作性の改善が図れる。当該操作が実施されると、処理が終了し、制御部124は、待機状態に移行し、ST701の監視動作を行う。
このようにOPステーション12では、ENGステーション15で予め指定された特定のディスプレイ(機器操作ディスプレイ)に表示された各種操作画面上の操作部(例えば、操作部25、31等)に対する直接操作キー41からの操作が受け付けられ、実施される。一方、特定のディスプレイ以外のディスプレイに表示された各種操作画面上の操作部に対する専用操作キー41からの操作を受け付けることはない。これにより、機器操作ディスプレイに表示された各種操作画面の操作部(例えば、操作部25、31)のみに対して直接操作キー41からの操作を受け付けることができる。このため、機器操作ディスプレイ以外のディスプレイに表示される各種操作画面上の操作部(例えば、操作部25、31)に対応するプラント機器16が直接操作キー41で操作される事態を防止することができる。これにより、マルチディスプレイ環境にて専用キーボード123を用いて入力操作を行う場合であっても誤操作を抑制することができる。
特に、本実施の形態に係るプラント監視システム10においては、機器操作ディスプレイに表示される各種操作画面上の操作部25、31の位置を、専用キーボード123上の直接操作キー41(例えば、ループ制御キー411)の位置に関連付けて配置している。これにより、専用キーボード123上の直接操作キー41を用いた直感的な操作が可能となるので、プラント機器16に対する誤操作を効果的に抑制することができる。
また、OPステーション12では、専用キーボード123上の直接操作キー41を用いた特定の操作(上述した例では、ループ制御キー411に含まれるAキーの選択操作)が行われた場合に操作対象となるプラント機器16に対応する操作部25、312を識別可能に強調表示する。これにより、OPステーション12の操作者がこれから操作しようとするプラント機器16を把握することができるので、異なるプラント機器16が操作される事態を効果的に防止することができる。なお、操作部25、312の強調表示の要否を判定するための直接操作キー41を用いた特定の操作については、通常操作で使用されていない直接操作キー41を利用することを条件として適宜変更が可能である。
なお、強調表示部124Dは、先行して操作部25、312の強調表示に使用された直接操作キーと異なる直接操作キー41を用いた特定の操作を検出するまで操作部25、312の強調表示を継続することが好ましい。この場合、異なる直接操作キー41を用いた特定の操作を検出するまで操作部25、312の強調表示が継続されることから、操作者に対して操作対象の操作部25、312に対する注意を喚起し続けることができるので、直接操作キー41による誤操作を更に抑制することができる。
以上の説明では、直接操作キー41を用いたプラント機器16の誤操作防止を喚起すべく、操作対象となるプラント機器16に対応する操作部25、312を強調表示する場合について説明している。しかしながら、直接操作キー41を用いたプラント機器16の誤操作防止を喚起する方法については、これに限定されるものではない。例えば、操作対象となるプラント機器16の識別情報をポップアップ形式或いは音声形式で操作者に報知するようにしてもよい。
なお、OPステーション12が備える第1ディスプレイ121及び/又は第2ディスプレイ122には、複数画面をタブにより切り替えて表示(タブ表示)することができる。図8は、本実施の形態に係るOPステーション12にタブ表示される画面の一例を示す図である。図8に示す画面においては、アクティブ状態となっているタブT1に、操作部25が表示されていないプラント監視画面20(図2参照)が示されると共に、このタブT1の後方側に配置された2つのタブT2、T3が示されている。
図8に示すようにタブ表示された画面(以下、適宜「タブ表示画面」という)においては、タブT1の以前にアクティブ状態となったタブT2、T3が存在する。図8に示す状態では、タブT2、T3で表示された画面を視認することはできない。タブT2、T3で表示された画面は、OPステーション12の操作者がマウス等でタブT2、T3を選択することで視認することができる。
図7で説明したフローにおいては、ループキー操作が行われた状態で、機器操作ディスプレイに操作部25、31が表示されていると(ST702:Yes⇒ST704:Yes)、指示されたループキー操作が実施され得る(ST707)。一方で、機器操作ディスプレイに図8に示すようなタブ表示画面が表示されていると、ST704にて、機器操作ディスプレイに操作部31が表示されていると判定され得る。
すなわち、図8に示すタブ表示画面では、タブT1に操作部25を含まないプラント監視画面20が表示される一方、タブT2又はタブT3には操作部31を含む機器操作画面30が表示されている可能性がある。この場合、操作部判定部124Bは、機器操作ディスプレイに操作部31が表示されていると判定してしまう。このような場合において、ループキー操作が実施されると、機器操作画面30が機器操作ディスプレイで最後に操作された画面でないにも関わらず、タブT1に表示された機器操作画面30上の操作部312に対応するプラント機器16が操作される虞がある。
このため、本実施の形態に係る監視制御システム10においては、機器操作ディスプレイにタブ表示画面が表示される場合においても、専用キーボード123からの誤操作を抑制する機能を備えることができる。より具体的には、OPステーション12に、第1ディスプレイ121及び第2ディスプレイ122にタブ表示画面が表示された場合に最後にアクティブ状態となった最終画面上の操作部の有無を判定し、この判定結果を記憶する機能を備える。
この場合、制御部124の操作部判定部124Bは、機器操作ディスプレイにタブ表示画面が表示されるか判定する機能を有する。そして、機器操作ディスプレイにタブ表示画面が表示されている場合には、最後にアクティブ状態となっている画面(以下、適宜「最終アクティブ画面」という)上の操作部の有無を、最終アクティブ画面情報として記憶部125に通知する。記憶部125は、操作部判定部124Bから通知された最終アクティブ画面情報(最終アクティブ画面上の操作部の有無を含む)を記憶する。操作実施部124Eは、操作部判定部124Bの判定結果に基づいて、最終アクティブ画面に操作部25、31が含まれる場合にループキー操作を実施する一方、操作部25、31が含まれない場合にループキー操作を無視する。
ここで、タブ表示画面が表示された状態で、専用キーボード123が操作された場合のOPステーション12の動作について、図9を参照して説明する。図9は、本実施の形態に係る専用キーボード123が操作された場合のOPステーション12の動作を説明するためのフロー図である。なお、図9において、図7に示すフローと同様の処理については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図9に示すフローの実行に先立って、第1ディスプレイ121、第2ディスプレイ122に割り当てられるディスプレイ番号や、記憶部125に記憶される機器操作ディスプレイ番号は図7と同一であるものとする。
図9に示すように、専用キーボード123からのループキー操作が検出されると(ST702:Yes)、機器操作ディスプレイ番号が取得され、機器操作ディスプレイに操作部25、31が表示されているか判定される(ST703⇒ST704)。そして、操作部25、31が表示されている場合(ST704:Yes)、情報取得部124Cは、記憶部125から最終アクティブ画面情報を取得する(ST901)。取得された最終アクティブ画面情報は、操作部判定部124Bに出力される。
最終アクティブ画面情報を受け取ると、操作部判定部124Bは、最終アクティブ画面に操作部25、31が含まれるか判定する(ST902)。この判定結果は、操作判定部124Aに出力される。最終アクティブ画面に操作部25、31が含まれる場合には(ST902:Yes)、操作判定部124Aは、ループ制御キー411に含まれるAキーが選択されたかを判定する(ST705)。Aキーが選択された場合には(ST705:Yes)、強調表示部124Dにより対応する操作部25、312の背景色が強調表示される。一方、Aキーが選択されない場合には(ST705:No)、操作実施部124EによりST702で指定されたループキー操作が実施される(ST707)。
なお、ST902において、最終アクティブ画面に操作部25、31が含まれない場合には(ST902:No)、操作実施部124Eは、ST702で指示されたループキー操作を受け付けることなく、処理を終了する。処理が終了すると、制御部124は、待機状態に移行し、ST701の監視動作を行う。
このように本実施の形態に係るOPステーション12においては、特定のディスプレイ(機器操作ディスプレイ)に複数画面がタブ表示されると共に、最終アクティブ画面情報として、最終アクティブ画面に操作部25、31が含まれる場合、制御部124は、直接操作キー41からの操作を受け付け、プラント機器16を操作する。これにより、最終アクティブ画面に操作部25、31が含まれる場合に限定して専用キーボード123の直接操作キー41からの操作を受け付けることができる。このため、機器操作ディスプレイの複数画面に操作部25、31が含まれる場合であっても、最終アクティブ画面に操作部25、31が含まれない場合に直接操作キー41で対応するプラント機器16が操作される事態を防止することができる。これにより、マルチディスプレイ環境にて、複数画面をタブにより切り替えて表示する場合であっても、専用キーボード123を用いた誤操作を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、様々に変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている構成要素の処理などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。