JP2019008160A - 防音用被覆材およびエンジンユニット - Google Patents
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Abstract
Description
従来より、自動車メーカー各社は様々な防音仕様について開発を進めており、自動車エンジン用防音カバーとしても種々のものが提案されている(例えば、特許文献1(特開2002−180845号公報)参照)が、自動車の車外騒音については上記ECEの規則51(ECE R51)に規制値が定められ、同規制値を定めたRegulation EU No.540/2014によれば、2016年7月迄に72dB(フェーズ1)、2020年7月迄に70dB(フェーズ2)、2024年7月迄に68dB(フェーズ3)と段階を追って厳しくなる基準が施行され、車外騒音の規制レベルを最終的には2016年7月までの基準に対して4dB、音圧エネルギーとして約1/2.5に低減するという大変厳しい要求がなされている。
(1)開孔率が0.1〜5.0%で開孔径が100〜1000μmである第一の多孔質フィルムと、一以上の弾性多孔質体層と、開孔率が0.1〜5.0%で開孔径が100〜1000μmである第二の多孔質フィルムとが、この順番に積層されてなることを特徴とする防音用被覆材、
(2)前記第一の多孔質フィルムの外表面側および第二の多孔質フィルムの外表面側の少なくとも一方にさらに表皮材を有する上記(1)に記載の防音用被覆材、
(3)前記第一の多孔質フィルムまたは第二の多孔質フィルムの通気抵抗が0.1〜10kPa・s/mである上記(1)または(2)に記載の防音用被覆材、
(4)前記防音用被覆材が自動車エンジン用防音カバーである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の防音用被覆材、
(5)自動車用エンジンと当該自動車用エンジンの少なくとも一部を覆う上記(1)〜(4)のいずれかに記載の防音用被覆材と、前記自動車用エンジンと防音用被覆材とを収容するエンジンルームとを有するエンジンユニットであって、前記自動車用エンジンと前記防音用被覆材との間または前記防音用被覆材とエンジンルームとの間に0.1〜30mmの距離の空隙を有すること
を特徴とするエンジンユニット、を提供するものである。
本発明に係る防音用被覆材は、開孔率が0.1〜5.0%で開孔径が100〜1000μmである第一の多孔質フィルムと、一以上の弾性多孔質体層と、開孔率が0.1〜5.0%で開孔径が100〜1000μmである第二の多孔質フィルムとが、この順番に積層されてなることを特徴とするものである。
本発明に係る防音用被覆材において、第一の多孔質フィルムおよび第二の多孔質フィルムは、同一のものであってもよいし異なるものであってもよい。
第一の多孔質フィルムまたは第二の多孔質フィルムとしては、柔軟性を有し、後述する弾性多孔質体層を挟持した状態で、使用環境下において著しい熱収縮等を生じないものが好ましい。
上記多層フィルムを使用することにより、後述する弾性多孔質体層への密着性等を容易に向上することができる。
また、第一の多孔質フィルムまたは第二の多孔質フィルムは、その通気性を制御するために、表面に適宜塗布剤を塗布加工したものであってもよい。
また、本発明に係る防音用被覆材において、第一の多孔質フィルムまたは第二の多孔質フィルムは、開孔径が100〜1000μmであるものであり、300〜800μmであるものが好ましく、500〜700μmであるものがより好ましい。
なお、上記孔の全面積は、マイクロスコープにより測定した値を意味する。
すなわち、防音用被覆材の両主表面側に微通気性フィルム材(第一の多孔質フィルムおよび第二の多孔質フィルム)を配置することで、防音用積層材全体の流れ抵抗を調節し吸音性能を向上し得ると考えられる。
多孔質フィルムのヤング率が上記範囲内にあることにより、多孔質フィルムが所望の柔軟性を有し、可撓性等に優れ、吸音性に優れた防音用被覆材を容易に提供することができる。
第一の多孔質フィルムまたは第二の多孔質フィルムの厚みが上記範囲内にあることにより、柔軟性に優れるとともに防音用被覆材の薄型化(コンパクト化)を容易に図ることができる。
これは、外部から被覆材中を通過しようとする音に対し、多孔質フィルムに設けられた空孔により、専ら周波数が800〜2000Hz程度の高周波音の音波は多孔質フィルム表面で反射されずに内部に取り込まれ、周波数が400Hz以上800Hz未満の低周波音の音波は多孔質フィルムに遮られて空気中を伝搬する音エネルギーが振動エネルギーに変換され、多孔質フィルムおよび被覆材全体の振動により吸音されると考えられる。
このため、例えば本発明に係る防音用被覆材を自動車エンジン用防音カバーとして使用した場合、自動車エンジンから発せられた音が防音用被覆材の下面側から上面側に通過する際に、自動車エンジンから発せられる周波数400Hz以上800Hz未満の低周波音の音波は被覆材の下側に配置された多孔質フィルムに遮られて吸音され、周波数400Hz以上800Hz未満の低周波音の一部が上記防音用被覆材を通過した場合であっても、自動車用エンジンと防音用被覆材とを収容するエンジンルームの壁面で反射して防音用被覆材の上面側から下面側に通過する際に、同様に被覆材の上側に配置された多孔質フィルムによって振動エネルギーに変換され、効果的に吸音性能を発揮することができる。
フェルトとしては、上記各種短繊維の一種以上を混合したものをニードルパンチ等の手段で一体化したものを挙げることができ、具体的には、もう集成体を形成する無機短繊維からなる無機繊維製フェルト(例えば、グラスウールからなるグラスフェルト(ガラス繊維フェルト)等の他、ポリエチレンテレフタレートフェルト等のポリエステル繊維フェルト、ナイロン繊維フェルト、ポリエチレン繊維フェルト、ポリプロピレン繊維フェルト、アクリル繊維フェルト、アラミド繊維フェルト、シリカーアルミナセラミックスファイバーフェルト、シリ力繊維フェルト、綿、羊毛、木毛、クズ繊維等を熱硬化性樹脂でフェルト状に加工したレジンフェルト等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
フェルトとしては、無機繊維製フェルトが好ましく、密度が10〜50kg/m3であるものが好ましく、15〜50kg/m3であるものより好ましく、20〜35kg/m3であるものがさらに好ましく、人造鉱物繊維の吹き付け物や成形物を使用することができる。
上記樹脂発泡体としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、フェノールフォーム、メラミンフォーム等の樹脂フォームから選ばれる一種以上や、二トリルブタジエンラバー、クロロプレンラバー、スチレンラバー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム等を連泡状に発泡させるか、発泡後にクラッシング加工などにより連泡化した連続気泡体から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記繊維径を有するガラス繊維は、遠心法または火炎法で製造することができる。
また、上記難燃性複合繊維において、熱接着性ポリエステルは、難燃性ポリエステルのバインダーとして機能するものであって、難燃性ポリエステルの融点よりも低い融点を有し、難燃性ポリエステルの融点よりも少なくとも20℃低い融点を有するものが好ましい。
上記融点の差が20℃未満であると、難燃性複合繊維の作製時に高温処理が必要になるために難燃性ポリエステルの配向性が低下し易くなり、熱接着性ポリエステルによる補強効果が低減して難燃剤内添繊維の耐久性が低下し易くなるとともに、母材である難燃性ポリエステルの物性低下を生じ易くなる。
難燃性複合繊維を構成する難燃性ポリエステルの含有割合が上記範囲内にあることにより、難燃性複合繊維に対して所望の難燃性を容易に付与することができる。
本発明に係る防音用被覆材において、弾性多孔質体層が複数層からなるものである場合は、複数の弾性多孔質体層の厚みの合計が上記範囲内にあればよい。
上記嵩密度は、弾性多孔質体の構造および厚み等に応じて、所望の吸音性を有するものから適宜選択される。
弾性多孔質体の目付が上記範囲内にあることにより、軽量で所望形状を有する防音用被覆材を容易に提供することができる。
このため、例えば本発明に係る防音用被覆材を自動車エンジン用防音カバーとして使用した場合、自動車エンジンから発せられた音が防音用被覆材の下面側から上面側に通過する際に、自動車エンジンから発せられる周波数800〜2000Hzの音波は被覆材の下側に配置された多孔質フィルムを通過して内部に配置された弾性多孔質体層で吸音され、周波数800〜2000Hzの音波の一部が上記防音用被覆材を通過した場合であっても、自動車用エンジンと防音用被覆材とを収容するエンジンルームの壁面で反射して防音用被覆材の上面側から下面側に通過する際に、同様に被覆材の上側に配置された多孔質フィルムを通過して同様に内部に配置された弾性多孔質体層で吸音されてさらに効果的に吸音性能を発揮することができると考えられる。
本発明に係る防音用被覆材において、表皮材は、第一の多孔質フィルムの外表面側および第二の多孔質フィルムの外表面側の少なくとも一方に設けられていることが好ましく、両者に設けられていることがより好ましい。
上記難燃性ポリエステル繊維としては、公知のものを挙げることもでき、例えば、特開昭51−82392号公報、特開昭55−7888号公報、特公昭55−41610号公報等に記載されたものを挙げることができる。
さらに、開孔処理を施した金属箔樹脂シートとしては、表面に微細な開孔を施して音の反射を抑制したアルミニウム箔等の金属箔等が、意匠性や振動による繊維の飛散防止等の観点から好適である。
上記通気抵抗は、繊維も編み方や金属箔の開孔の程度等により適宜調整することができる。
また、本発明に係る防音用被覆材において、金属箔には止液性が確保できる範囲で、開孔径が、1μm以上であるものが好ましく、5μm以上であるものがより好ましく、10μm以上であるものがさらに好ましい。
表皮材の開孔率や開孔径は、上述した多孔質フィルムの開孔率や開孔径の測定方法と同様の測定方法で測定することができる。
本発明に係る防音用被覆材は、厚さが薄くても十分な防音性能を発揮することができる。
また、本発明に係る防音用被覆材は、例えば、得ようとする防音用被覆材の構成部材に対応する全形成材のうち一部のみを順次積層した状態で所定形状に熱圧成形したものと、得ようとする防音用被覆材の構成部材に対応する他の形成材を順次積層した状態で所定形状に熱圧成形したものを、適宜接着剤等で固定することにより作製することができる。
また、(1)第一の表皮材、(2)第一の多孔質フィルム、(3)弾性多孔質体層、(4)第二の多孔質フィルムがこの順番で順次積層されてなる防音用被覆材を形成する場合、例えば、これ等を各々形成する形成材をこの順番で順次積層した状態で所定形状に熱圧成形することにより作製することができる。
さらに、(1)第一の表皮材、(2)第一の多孔質フィルム、(3)弾性多孔質体層、(4)第二の多孔質フィルム、(5)第二の表皮材がこの順番で順次積層されてなる防音用被覆材を形成する場合、例えば、これ等を各々形成する形成材をこの順番で順次積層した状態で所定形状に熱圧成形することにより作製することができる。
加えて、(1)第一の表皮材、(2)第一の多孔質フィルム、(3)第一の弾性多孔質体層、(4)第二の弾性多孔質体層、(5)第二の多孔質フィルム、(6)第二の表皮材がこの順番で順次積層されてなる防音用被覆材を形成する場合、例えば、これ等を各々形成する形成材をこの順番で順次積層した状態で所定形状に熱圧成形することにより作製することができる。
本発明に係る防音用被覆材を自動車エンジン用防音カバーとして使用する場合、例えば、エンジンの排気側壁面および上面の少なくとも一部に配置することにより、好適な吸音特性を容易に発揮することができる。
本発明に係るエンジンユニットは、自動車用エンジンと当該自動車用エンジンの少なくとも一部を覆う本発明に係る防音用被覆材と、上記自動車用エンジンと防音用被覆材とを収容するエンジンルームとを有するエンジンユニットであって、上記自動車用エンジンと上記防音用被覆材との間または前記防音用被覆材とエンジンルームとの間に0.1〜30mmの距離の空隙を有することを特徴とするものである。
また、本発明に係るエンジンユニットにおいて、自動車用エンジンやエンジンルームは、公知のものを適宜採用することができる。
(1)第一の表皮材として、ポリエステル繊維フェルト(前田工繊(株)製125H、繊維径10μm、密度125kg/m3、目付量125g/m2、厚さ1mm)と、
(2)第一の多孔質フィルムの形成材として、6−ナイロン製フィルム(宇部フィルム(株)製シュペレン35N-LL、密度900kg/m3、厚さ0.07mm)を熱剣山ロールを通過させることによって開孔部を設けたフィルム(開孔率4.1%、開孔径290μm、流れ抵抗 0.10kPa・s/m)と、
(3)第一の弾性多孔質体の形成材として、ポリエステル繊維フェルト(高安(株)製S250-HSGYN、ポリエステル繊維の平均繊維径10μm、密度25kg/m3、目付量250g/m2、厚さ10mm)と、
(4)第二の弾性多孔質体の形成材として、ポリエステル繊維フェルト(高安(株)製S250-HSGYN、ポリエステル繊維の平均繊維径10μm、密度25kg/m3、目付量250g/m2、厚さ10mm)と、
(5)第二の多孔質フィルムの形成材として、6−ナイロン製フィルム(宇部フィルム(株)製シュペレン35N-LL、密度900kg/m3、厚さ0.07mm)を熱剣山ロールを通過させることによって開孔部を設けたフィルム(開孔率4.1%、開孔径290μm、流れ抵抗0.10kPa・s/m)と、
(6)第二の表皮材として、ポリエステル繊維フェルト(前田工繊(株)製125H、繊維径10μm、密度125kg/m3、目付量125g/m2、厚さ1mm)とを、
この順番で順次配置し、5MPaの加圧力下、185℃で30秒間熱圧成形することにより、最大厚さ10mmの自動車エンジン用防音カバーを得た。
実施例1において、(2)第一の多孔質フィルムの形成材および(5)第二の多孔質フィルムの形成材の開孔率を1.7%、開孔径を438μm、流れ抵抗を0.57kPa・s/mに改めた以外は、実施例1と同様にして最大厚さ10mmの自動車エンジン用防音カバーを得た。
実施例1において、(2)第一の多孔質フィルムの形成材および(5)第二の多孔質フィルムの形成材の開孔率を1.3%、開孔径を690μm、流れ抵抗を1.27kPa・s/mに改めた以外は、実施例1と同様にして最大厚さ10mmの自動車エンジン用防音カバーを得た。
実施例1において、(2)第一の多孔質フィルムの形成材および(5)第二の多孔質フィルムの形成材の開孔率を0.4%、開孔径を308μm、流れ抵抗を9.99kPa・s/mに改めた以外は、実施例1と同様にして最大厚さ10mmの自動車エンジン用防音カバーを得た。
実施例1〜実施例4で得られた自動車エンジン用防音カバーを用い、JIS−A−1415の規定に基づきブリュエル・ケアー・ジャパン製4206型音響管を用いて、各自動車エンジン用防音カバーの背後に10mmの空気層を設けた状態で、500〜6400Hzにおける垂直入射吸音率を測定した。結果を図1に示す。
実施例1において、(2)第一の多孔質フィルムの形成材および(5)第二の多孔質フィルムの形成材を用いなかった以外は、実施例1と同様にして最大厚さ10mmの自動車エンジン用防音カバーを得た。
実施例1において、(2)第一の多孔質フィルムの形成材および(5)第二の多孔質フィルムの形成材を用いず、(3)第一の弾性多孔質体および(4)第二の弾性多孔質体の形成材間に、開孔率1.2%、開孔径730μm、流れ抵抗 0.45kPa・s/mの多孔質フィルムを配置した以外は、実施例1と同様にして最大厚さ10mmの自動車エンジン用防音カバーを得た。
比較例1〜比較例2で得られた自動車エンジン用防音カバーを用い、JIS−A−1415の規定に基づきブリュエル・ケアー・ジャパン製4206型音響管を用いて、各自動車エンジン用防音カバーの背後に10mmの空気層を設けた状態で、800〜2000Hzにおける垂直入射吸音率を測定した。結果を図2に示す。
なお、図2においては、比較のために、実施例2で得られた結果を併記している。
実施例3で得られた自動車エンジン用防音カバーを1m2の平板状に切り出して測定サンプルとし、日本音響エンジニアリング(株)製残響室Ab−Lossにより、測定サンプルの側面をL字状のアルミ製アンクルを用いてシールした状態で、測定サンプルの背面に10mmのスペーサーを用いて、背後空気層を10mm設けた状態(実施例5)において、吸音率(残響室法吸音率)を測定した。吸音率は800Hz〜2000Hzの範囲においてISO354(2003)に基づくインパルス応答積分法を用いて測定した。結果を図3に示す。
実施例5において、実施例3で得られた自動車エンジン用防音カバーに代えて比較例32で得られた自動車エンジン用防音カバーを用いた以外は、実施例5と同様の方法で、背後空気層を10mm設けた状態における吸音率(残響室法吸音率)を測定した。結果を図3に示す。
Claims (5)
- 開孔率が0.1〜5.0%で開孔径が100〜1000μmである第一の多孔質フィルムと、一以上の弾性多孔質体層と、開孔率が0.1〜5.0%で開孔径が100〜1000μmである第二の多孔質フィルムとが、この順番に積層されてなることを特徴とする防音用被覆材。
- 前記第一の多孔質フィルムの外表面側および第二の多孔質フィルムの外表面側の少なくとも一方にさらに表皮材を有する請求項1に記載の防音用被覆材。
- 前記第一の多孔質フィルムまたは第二の多孔質フィルムの通気抵抗が0.1〜10kPa・s/mである請求項1または請求項2に記載の防音用被覆材。
- 前記防音用被覆材が自動車エンジン用防音カバーである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防音用被覆材。
- 自動車用エンジンと当該自動車用エンジンの少なくとも一部を覆う請求項1〜請求項4のいずれかに記載の防音用被覆材と、前記自動車用エンジンと防音用被覆材とを収容するエンジンルームとを有するエンジンユニットであって、前記自動車用エンジンと前記防音用被覆材との間または前記防音用被覆材とエンジンルームとの間に0.1〜30mmの距離の空隙を有すること
を特徴とするエンジンユニット。
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