JP2019001822A - 着色が低減したトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末、及びそれを用いたポリイミド - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、着色が低減したトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末、及びそれをジアミン成分に用いた着色が低減したポリイミドを提案することを目的とする。
1. 純水にトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末を10質量%の濃度に溶解して得られた溶液に対する波長400nm、光路長1cmの光透過率が90%以上であることを特徴とするトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末。
2. 波長400nm、光路長1cmの光透過率が95%以上であることを特徴とする前記項1に記載のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末。
3. ジアミン成分として、前記項1または2に記載のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末を用いた、膜厚10μmのフィルムにしたときの400nmにおける光透過率が80%以上であることを特徴とするポリイミド。
4. 光学材料用途であることを特徴とする前記項3に記載のポリイミド。
例えば、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノウンデカン、ジアミノドデカンなどの直鎖状および分枝状の脂肪族ジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、3−メチル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,3’−メチル−4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(アミノメチル)−トリシクロ〔5,2,1,0〕デカン、イソホロンジアミン、1,3−ジアミノアダマンタンなどの脂環構造を有するジアミン、
3,5−ジアミノベンゾトリフルオライド、2−(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン、5−(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(トリフルオロメトキシ)ベンジジン、3,3’−ジアミノ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン;2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−トリフルオロメチル−2,2’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)などのハロゲン基を有する芳香族ジアミン、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、テレフタル酸ビス(4−アミノフェニル)エステル、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノベンズアニライド、N、N−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−p−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)、N,N’−m−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)などのカルボニル基を有する芳香族ジアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、O−トリジンスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどのスルホニル基を有する芳香族ジアミンを挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピレン)ジフタル酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン類、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、(1,1’:3’,1”−ターフェニル)−3,3”,4,4”−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ジメチルシラジイル)ジフタル酸二無水物、4,4’−(1,4−フェニレンビス(オキシ))ジフタル酸二無水物など、脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、3c−カルボキシメチルシクロペンタン−1r,2c,4c−トリカルボン酸1,4,2,3−二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。特にポリイミドの機械特性や耐熱性が優れるため、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好適である。
重合イミド化する方法や条件には特に限定はなく、従来のポリイミドの製造方法で採用される重合イミド化する方法や条件を好適に採用できるが、以下に説明するポリイミドの前駆体を経由する製造方法によって、より容易に製造することができる。
有機溶剤にジアミンを溶解し、この溶液に攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜100℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。
あらかじめ、ジアミンとシリル化剤を反応させ、シリル化されたジアミンを得る。必要に応じて、蒸留等によりシリル化されたジアミンの精製をおこなう。脱水された溶剤中にシリル化されたジアミンを溶解させ、攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜100℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。ここで用いるシリル化剤として、塩素を含有しないシリル化剤を用いると、シリル化されたジアミンを精製する必要がないので好適である。塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。さらにフッ素原子を含まず低コストであることから、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。また、ジアミンのシリル化反応には、反応を促進するために、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミンなどのアミン系触媒を用いることができる。この触媒はポリイミド前駆体の重合触媒として、そのまま使用することができる。
例えばセラミック(ガラス、シリコン、アルミナ)、金属(銅、アルミニウム、ステンレス)、耐熱プラスチックフィルム(ポリイミド)などの基板に、ポリイミド前駆体溶液組成物を流延し、真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中で、熱風もしくは赤外線を用い、20〜180℃、好ましくは20〜150℃で乾燥する。次に得られたポリイミド前駆体を基板上で、もしくはポリイミド前駆体(フィルム)を剥離し、そのフィルム端部を固定した状態で、真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中で、熱風もしくは赤外線を用い、200〜500℃、より好ましくは250〜450℃で加熱することでポリイミド/基板積層体、もしくはポリイミドフィルムを製造することができる。得られるポリイミドが酸化劣化するのを防ぐため、イミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましい。イミド化温度が高すぎなければ空気中で行なっても差し支えない。
トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン:ZHEJIANG TAIZHOU QINGQUAN MEDICAL & CHEMICAL株式会社製 純度 99.1%(GC分析)
吸着剤:日本ノリット株式会社製 活性炭 Norit SX Plus BET法で求めた比表面積1100m2/g
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA):宇部興産株式会社製 純度99.9%(開環後した3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸のHPLC分析で求めた純度)、酸無水化率 99.8%、同質量のN−メチル−2−ピロリドンを加え室温下3時間攪拌後、溶け残った粉末を回収し、真空乾燥させたものを用いた。
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA):宇部興産株式会社製 純度99.6%(開環後した2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸のHPLC分析で求めた純度)、酸無水化率 99.5%、同質量のアセトンを加え室温下3時間攪拌後、溶け残った粉末を回収し、真空乾燥させたものを用いた。
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i−BPDA):CHANGZHOU WEIJIA CHEMICAL株式会社製 純度 99.9%(開環後した2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸のHPLC分析で求めた純度)、酸無水化率 99%、同質量のN−メチル−2−ピロリドンを加え室温下3時間攪拌後、溶け残った粉末を回収し、真空乾燥させたものを用いた。
4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピレン)ジフタル酸二無水物(6FDA):WEYLCHEM株式会社製 純度 99.77%(H−NMRで求めた純度)
4,4’−(ジメチルシラジイル)ジフタル酸二無水物(DPSDA):東レ・ファインケミカル株式会社製 純度99.8%(HPLC分析)
2N 水酸化ナトリウム水溶液:東京化成株式会社製 水酸化ナトリウム水溶液
各溶剤:和光純薬株式会社製 特級もしくは1級相当品
[光透過率]
所定量のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末を純水に溶解し、10質量%溶液を得た。大塚電子製MCPD−300、光路長1cmの標準セルを用いて、純水をブランクとし、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン溶液の400nmにおける光透過率を測定した。
[対数粘度]
0.5g/dLのポリイミド前駆体 N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、ウベローデ粘度計を用いて、30℃で測定した。
[光透過率(ポリイミド前駆体)]
10質量%のポリイミド前駆体/N,N−ジメチルアセトアミド溶液を、大塚電子製MCPD−300を用いて、光路長1cmの標準セルで測定した。N,N−ジメチルアセトアミドをブランクとし、10質量%のポリイミド前駆体/N,N−ジメチルアセトアミド溶液の400nmにおける光透過率を求めた。
[光透過率(ポリイミド)]
大塚電子製MCPD−300を用いて、膜厚10μmのポリイミド膜の400nmにおける光透過率を測定した。
[弾性率、破断伸度]
ポリイミド膜をIEC450規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片とし、ORIENTEC社製TENSILONを用いて、チャック間 30mm、引張速度 2mm/minで、初期の弾性率、破断伸度を測定した。
[熱膨張係数(CTE)]
膜厚10μmのポリイミド膜を幅4mmの短冊状に切り取って試験片とし、島津製作所製TMA−50を用い、チャック間長15mm、荷重2g、昇温速度20℃/minで300℃まで昇温した。得られたTMA曲線から、50℃から200℃までの平均熱膨張係数を求めた。
ガラス製昇華装置に未精製のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン 10.0gを仕込み、1Torr以下に減圧した。トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンが接している壁下面の温度を50℃に加熱し、5℃に温調された対面した壁上面に昇華物を得た。収量は、8.2gであった。この方法で得られたトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末の光透過率の結果を表1に示す。
ガラス製容器に未精製のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン 5.0g、溶媒としてn−ヘキサン 25gを仕込み、窒素雰囲気下60℃で溶解した。そこへ吸着剤として、吸着剤(Norit SX Puls) 0.05gを加え、60℃で1時間攪拌した。60℃を保ったまま、吸着剤をろ別し、無色透明な溶液を得た。この溶液を攪拌しながら、25℃まで徐々に冷却し、結晶を析出させた。結晶をろ別し、得られた結晶を真空乾燥させた。この方法で得られたトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末の光透過率の結果を表1に示す。
精製をおこなわないトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末の光透過率を表1に示す。
ガラス製容器に未精製のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン 5.0g、溶媒としてn−ヘキサン 25gを仕込み、60℃で加熱溶解した。不溶分をデカンテーションで取り除き、25℃まで冷却し、結晶を析出させた。結晶をろ別し、得られた結晶を真空乾燥させた。この方法で得られたトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末の光透過率の結果を表1に示す
窒素ガスで置換した反応容器中に、ジアミン成分として実施例1で得られたトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン(t−DACH) 1.40g(0.0122モル)と、モレキュラーシーブを用いて脱水したN,N−ジメチルアセトアミド 28.4gとを仕込み溶解した。この溶液を50℃に加熱し、この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA) 3.50g(0.0119モル)と、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA) 0.09g(0.0003モル)とを徐々に加えた。この溶液のモノマー成分(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)濃度は15質量%である。この溶液を50℃で6時間撹拌して、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
このポリイミド前駆体溶液の特性を測定した結果を表2に示す。
表2に記載したジアミン成分とテトラカルボン酸成分を用い、溶液のモノマー成分(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)濃度を15質量%として、実施例3と同様にして、ポリイミド前駆体溶液及び、ポリイミドフィルムを得た。特性を測定した結果を表2に示す。
参考例1の精製をおこなっていないt−DACHをアミン成分として用いた以外は、実施例3と同様にして、ポリイミド前駆体溶液及び、ポリイミドフィルムを得た。特性を測定した結果を表2に示す。
Claims (4)
- 純水にトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末を10質量%の濃度に溶解して得られた溶液に対する波長400nm、光路長1cmの光透過率が90%以上であることを特徴とするトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末。
- 波長400nm、光路長1cmの光透過率が95%以上であることを特徴とする請求項1に記載のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末。
- ジアミン成分として、請求項1または2に記載のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン粉末を用いた、膜厚10μmのフィルムにしたときの400nmにおける光透過率が80%以上であることを特徴とするポリイミド。
- 光学材料用途であることを特徴とする請求項3に記載のポリイミド。
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