JP2019001350A - 運転交代制御装置、及び運転交代制御プログラム - Google Patents

運転交代制御装置、及び運転交代制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】自動運転機能から運転者への運転交代を円滑に実施可能な運転交代制御装置等の提供。
【解決手段】自動運転ECU50は、自動運転機能を備える車両Aにおいて、運転者と自動運転機能との間における運転交代を制御する運転交代制御装置であって、自動運転機能によって走行している状態で、運転者へ向けた運転交代の要求を行なう。自動運転ECU50は、交代要求の後に、操舵装置の操舵アクチュエータ17にステアリングホイール11を回転させる駆動トルクを発生させる。そして、自動運転ECU50は、操舵情報を取得し、操舵情報に基づき、操舵アクチュエータ17によるステアリングホイール11の回転を修正する操舵操作を運転者が行っている場合に、自動運転機能から運転者への運転交代を可能にする。
【選択図】図1

Description

この明細書による開示は、運転者と自動運転機能との間における運転交代を制御する技術に関する。
従来、例えば特許文献1には、車両の自動操縦制御を可能にする走行制御装置が開示されている。この走行制御装置は、自動操縦制御が有効な状態で、運転者によって入力される操舵トルクが予め設定された閾値を超えた場合に、自動操縦制御を中止する。即ち、閾値を超えた操舵トルクがステアリングホイールへ入力されると、運転者による手動運転への切り替えが行われる。
特開2005−67322号公報
さて、特許文献1の自動操縦制御のような自動運転機能から運転者への運転交代は、車両が直線区間を走行している期間に実施されるのが望ましい。しかし、車両が直線区間を走行している場合、運転者は、ステアリングホイールを回転させるような操舵操作を行なうことができない。そのため、特許文献1の走行制御装置のような操舵トルクに基づいて運転交代を行なう構成では、運転操作を引き継ぐ意思が運転者にあったとしても、直線区間を走行中に運転者への運転交代を実行することが困難となり得た。
本開示は、自動運転機能から運転者への運転交代を円滑に実施可能な運転交代制御装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、運転者に代わって運転操作を実施可能な自動運転機能を備える車両(A)において、運転者と自動運転機能との間における運転交代を制御する運転交代制御装置であって、車両に搭載された操舵装置(10)に入力されている操舵操作を示す操舵情報を取得する操舵情報取得部(65)と、車両が自動運転機能によって走行している状態で、運転者へ向けた運転交代の要求を行なう交代要求部(66)と、交代要求部による交代要求の後に、操舵装置のアクチュエータ(17)にステアリングホイール(11)を回転させる駆動トルクを発生させるトルク制御部(67)と、操舵情報に基づき、アクチュエータの駆動トルクによるステアリングホイールの回転を修正する操舵操作を運転者が行っている場合に、自動運転機能から運転者への運転交代を可能にする交代制御部(69)と、を備える運転交代制御装置とされる。
また開示された一つの態様は、運転者に代わって運転操作を実施可能な自動運転機能を備える車両(A)において、運転者と自動運転機能との間における運転交代を制御する運転交代制御プログラムであって、少なくとも一つの処理部(50a)を、車両に搭載された操舵装置(10)に入力されている操舵操作を示す操舵情報を取得する操舵情報取得部(65)、車両が自動運転機能によって走行している状態で、運転者へ向けた運転交代の要求を行なう交代要求部(66)、交代要求部による交代要求の後に、操舵装置のアクチュエータ(17)にステアリングホイール(11)を回転させる駆動トルクを発生させるトルク制御部(67)、操舵情報に基づき、アクチュエータの駆動トルクによるステアリングホイールの回転を修正する操舵操作を運転者が行っている場合に、自動運転機能から運転者への運転交代を可能にする交代制御部(69)、として機能させる運転交代制御プログラムとされる。
この態様では、自動運転機能から運転者への運転交代の要求の後に、操舵装置のアクチュエータが、ステアリングホイールを回転させる駆動トルクを発生する。このとき、自動運転機能から運転操作を引き継ぐ意思が運転者にあれば、運転者は、アクチュエータから入力された駆動トルクによるステアリングホイールの回転を修正するような操舵操作を、ステアリングホイールに入力する。そのため、車両が直線区間を走行中であっても、アクチュエータの駆動トルクに抗するような修正操舵の有無により、運転を引き継ごうとする運転者の意思が確認可能となる。故に、操舵操作がある場合に運転者への運転交代を許可するようにすれば、運転交代制御装置は、運転者への運転交代を円滑に実施できる。
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
車両に搭載された自動運転に関連する構成の全体像を示すブロック図である。 操舵装置の構成を模式的に示す図である。 把持判定部による把持判定の詳細を示す図である。 把持検出モードにおける把持判定の詳細を説明するための図である。 意思検出モードにおける意思判定の詳細を説明するための図である。 交代制御による意思判定の詳細を示す図である。 運転交代のプロセスを時系列に沿って示すタイムチャートである。 自動運転ECUにて実施される権限移譲処理の詳細を示すフローチャートである。 変形例1における交代要求モードでの駆動トルク及びステアリング角の各推移を示す図である。 変形例2の意思検出モードでの車両の挙動を示す図である。
図1に示す本開示の一実施形態において、運転交代制御装置の機能は、自動運転ECU(Electronic Control Unit)50によって実現されている。自動運転ECU50は、車両制御ECU80等の多数の電子制御ユニット及び操舵装置10等の多数の車載装置と共に車両Aに搭載されている。自動運転ECU50、車両制御ECU80、及び操舵装置10は、直接的又は間接的に互い電気接続されており、相互に通信可能である。車両Aは、自動運転ECU50及び車両制御ECU80の作動により、レベル3の自動運転機能を備える。
車両制御ECU80は、車両Aに搭載された車載アクチュエータ群91及び車載センサ群92と、直接的又は間接的に電気接続されている。車載アクチュエータ群91は、車両Aの挙動を制御する。車載アクチュエータ群91には、例えば電子制御スロットルのスロットルアクチュエータ、インジェクタ、ブレーキアクチュエータ、並びに駆動用及び回生用のモータジェネレータが含まれている。車載センサ群92は、運転者によって実施された運転操作及び車両Aの走行状態等を検出する。車載センサ群92には、アクセルペダルのストローク量を検出するアクセルポジションセンサ、ブレーキペダルに入力された踏力を検出するブレーキ操作量センサ、及び車両Aの走行速度を検出する速度センサ等が含まれている。
車両制御ECU80は、プロセッサ、RAM、メモリ装置、及び入出力インターフェース等を有するコンピュータを主体として構成されている。車両制御ECU80は、メモリ装置に記憶された車両制御プログラムをプロセッサによって実行することにより、車両制御に係る機能ブロックとしてアクチュエータ制御部81を構築する。アクチュエータ制御部81は、運転者による運転操作に基づく操作情報及び自動運転ECU50から取得される自律走行情報の少なくとも一方に基づき、車載アクチュエータ群91へ向けて出力される制御信号を生成する。
図1及び図2に示す操舵装置10は、機械的な構成として、ステアリングホイール11、入力シャフト12a、出力シャフト12b、減速機13、ラックアンドピニオン14、タイロッド15を備えている。操舵装置10は、電気的な構成として、トルクセンサ16a、操舵角センサ16b、操舵アクチュエータ17、及びステアECU18を備えている。
ステアリングホイール11は、運転者によって把持可能な構成である。ステアリングホイール11には、運転者による操舵操作が入力される。入力シャフト12aは、ステアリングホイール11を保持しており、ステアリングホイール11と一体的に回転する。出力シャフト12bは、入力シャフト12aとラックアンドピニオン14とを連結させている。ステアリングホイール11に入力された運転者による操舵操作は、入力シャフト12a及び出力シャフト12bを通じて、ラックアンドピニオン14に伝達される。
減速機13は、操舵アクチュエータ17と入力シャフト12aとの間に設けられている。減速機13は、操舵アクチュエータ17の出力軸の回転を減速し、入力シャフト12aに伝達する。減速機13によって減速されることで、入力シャフト12aに入力されるアシストトルクは、操舵アクチュエータ17の発生させる駆動トルクよりも大きくなる。
ラックアンドピニオン14は、出力シャフト12bに連繋して回転するピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛合したラックギヤとを有している。ラックアンドピニオン14は、ピニオンギヤの回転動作を、ラックの並進動作に変換する。タイロッド15は、ラックの端部と、ハブキャリアに設けられたナックル部とを連結させている。タイロッド15は、ラックの並進動作をハブキャリアに伝達し、車両Aの操舵輪をキングピン廻りに回転させる。
トルクセンサ16a及び操舵角センサ16bは、それぞれ車載センサ群92の一つであって、例えば入力シャフト12aに設けられている。トルクセンサ16aは、操舵装置10に各所から入力されているトルクに関連した物理量として、入力シャフト12aに生じているねじれ量を計測する。トルクセンサ16aは、ねじれ量の計測結果である出力値を、ステアECU18等に出力する。トルクセンサ16aは、一例として、1ヘルツ未満の周波数で変動する駆動トルクから、数百ヘルツの周波数で変動する駆動トルクまでを検出可能である。
操舵角センサ16bは、ステアリングホイール11及び入力シャフト12aの回転方向を検出する。加えて操舵角センサ16bは、ステアリングホイール11の回転角度であって、直進時の角度位相(0°)からの回転角度の絶対値及び回転方向をステアリング角として検出する。
操舵アクチュエータ17は、例えばブラシレスモータ等であり、車載アクチュエータ群91の一つである。操舵アクチュエータ17は、ステアリングホイール11を回転させることが可能な駆動トルクを発生させる。操舵アクチュエータ17の駆動トルクは、運転者による手動運転の期間中、運転者による操舵操作を補助する方向のアシストトルクとして、減速機13から入力シャフト12aに入力される。また、車両Aが自律走行を行っている期間にて、操舵アクチュエータ17の駆動トルクは、操舵輪の方向を規定する操舵トルクとして、入力シャフト12aに入力される。
ステアECU18は、トルクセンサ16aの出力値に基づき、入力シャフト12aに作用しているトルクの値を算出する。加えてステアECU18は、操舵角センサ16bの出力値に基づき、ステアリング角を取得する。ステアECU18は、算出したトルクの値及びステアリング角等を、操舵装置10に入力されている操舵操作を示す操舵情報として、自動運転ECU50及び車両制御ECU80に逐次出力可能である。
ステアECU18は、各センサ16a,16bに基づく操舵情報、車両Aの車速情報、並びに自動運転ECU50及び車両制御ECU80から入力される制御信号等から、操舵アクチュエータ17を駆動するための直流電圧を設定する。ステアECU18は、操舵アクチュエータ17への直流電圧の印加により、操舵アクチュエータ17の発生させる駆動トルクを制御する。ステアECU18は、少なくとも数百ヘルツ以上の周波数で駆動トルクを周期的に変動させることができる。
図1に示す自動運転ECU50は、GNSS受信器71、地図データベース72、カメラユニット73、ライダ74、及びミリ波レーダ75等と直接的又は間接的に電気接続されている。自動運転ECU50は、これらの構成(71〜75)から自動運転に必要な自車両周囲の走行環境に係る情報を取得する。
GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器71は、複数の人工衛星から送信された測位信号を受信可能である。GNSS受信器71は、受信した測位信号を、車両Aの現在位置を特定するための情報として、自動運転ECU50へ向けて逐次出力する。
地図データベース72は、多数の地図データを格納している記憶装置である。地図データには、各道路の曲率、勾配、及び区間の長さといった構造情報、並びに制限速度及び一方通行といった非一時的な交通規制情報等が含まれている。地図データベース72は、自動運転ECU50からの要求に基づき、車両Aの現在位置の周辺及び進行方向の地図データを自動運転ECU50に提供する。
カメラユニット73、ライダ74、及びミリ波レーダ75は、歩行者及び他の車両等の移動物体、さらに路上の落下物、交通信号、ガードレール、縁石、道路標識、道路標示、及び区画線等の静止物体を検出する自律センサである。カメラユニット73、ライダ74、及びミリ波レーダ75はそれぞれ、検出した移動物体及び静止物体に係る検出物情報を、自動運転ECU50へ向けて逐次出力する。
カメラユニット73は、車両Aの前方領域を撮影する単眼式又は複眼式の前方カメラである。カメラユニット73は、前方領域の画像を検出物情報として取得する。ライダ74は、車両Aの進行方向へ向けてレーザ光を照射し、進行方向に存在する移動物体及び静止物体等で反射されたレーザ光を受信することにより、検出物情報を取得する。ミリ波レーダ75は、車両Aの進行方向へ向けてミリ波を照射し、進行方向に存在する移動物体及び静止物体等で反射されたミリ波を受信することにより、検出物情報を取得する。ミリ波レーダ75は、ライダ74よりも遠方の物体を検出可能である。
自動運転ECU50は、車両制御ECU80との連携によって車両Aの加減速制御及び操舵制御を行うことにより、運転者に代わって車両Aの運転操作を実施可能な自動運転機能を発揮する。自動運転ECU50は、運転操作の権限の所在が異なる複数の制御モードを切り替える。複数の制御モードには、自動運転機能によって車両Aを自律走行させる自動運転モード、及び運転者の運転操作によって走行する自動運転モードが含まれている(図7参照)。さらに、自動運転モードから手動運転モードへの遷移時に実行される交代要求モード、及び車両Aを自動退避させるためのMRM(Minimum Risk Maneuver)モードが、制御モードには含まれている(図7参照)。
自動運転ECU50は、処理部50a、RAM、メモリ装置、及び入出力インターフェースを有するコンピュータを主体に構成されている。処理部50aには、少なくとも一つ以上のメインプロセッサ及びグラフィックプロセッサ等が含まれている。処理部50aには、AI(Artificial Intelligence)による学習及び推定に特化した専用のプロセッサが設けられていてもよい。
自動運転ECU50は、メモリ装置に記憶された自律走行プログラム及び運転交代制御プログラム等を処理部50aによって実行可能である。自律走行プログラムは、車両Aの自律走行を可能にするためのプログラムである。自律走行プログラム等に基づき、自動運転ECU50には、自車位置特定部61、走行環境認識部62、走行計画生成部63、及び自律走行制御部64等が自動運転に係る制御ブロックとして構築される。
自車位置特定部61は、GNSS受信器71から取得する測位信号に基づき、車両Aの現在位置を特定する。自車位置特定部61は、カメラユニット73から取得する前方領域の画像と、地図データベース72から取得する詳細な地図データとの照合により、車両Aの詳細な現在位置を同定できる。
走行環境認識部62は、自車位置特定部61にて特定された位置情報、地図データベース72から取得した地図データ、及び各自律センサから取得した検出物情報等を組み合わせることで、車両Aの周囲の走行環境を認識する。走行環境認識部62は、特に各自律センサの検出範囲内について、各検出物情報の統合結果に基づき、車両Aの周囲の物体の形状及び移動状態を認識する。走行環境認識部62は、認識した周囲の物体の情報と、位置情報及び地図データと組み合わせることで、実際の走行環境を三次元で再現した仮想空間を生成する。
走行計画生成部63は、走行環境認識部62によって認識された走行環境に基づき、自動運転機能によって車両Aを自律走行させるための走行計画を生成する。走行計画としては、長中期の走行計画と、短期の走行計画とが生成される。長中期の走行計画では、運転者によって設定された目的地に車両Aを向かわせるための経路が規定される。自動運転機能から運転者への計画的な運転交代のスケジュールは、主に長中期の走行計画に基づいて設定される。短期の走行計画では、走行環境認識部62にて生成された車両Aの周囲の仮想空間を用いて、長中期の走行計画に従った走行を実現するための予定走行軌跡が規定される。具体的に、車線追従及び車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、並びに衝突回避のための急制動等の実行が、短期の走行計画に基づいて決定される。
自律走行制御部64は、走行計画生成部63によって策定された予定走行軌跡に基づく内容の加減速及び操舵を指示する車両制御情報を生成する。自律走行制御部64は、生成した車両制御情報を車両制御ECU80へ向けて逐次出力する。自律走行制御部64は、アクチュエータ制御部81と連携し、予定走行軌跡に沿って車両Aを走行させる。
運転交代制御プログラムは、運転者と自動運転機能との間における運転交代を制御するプログラムである。運転者から自動運転機能への運転交代には、システム側から運転者に計画的に制御権を引き渡すハンドオーバーと、緊急性の高い状況で運転者が自らの判断で制御権を取得するオーバーライドとが存在する。運転交代制御プログラムは、ハンドオーバーのプロセスを制御するプログラムである。自動運転ECU50には、運転交代制御プログラム等に基づき、操舵情報取得部65、交代要求部66、トルク制御部67、把持判定部68、及び交代制御部69等が権限移譲に係る制御ブロックとして構築される。
操舵情報取得部65は、ステアECU18から出力された操舵情報を取得する。操作情報には、上述したように、入力シャフト12aに入力されているトルクの値、並びに入力シャフト12aの回転方向及び回転角度を示す値が含まれている。尚、操舵情報取得部65にて取得されるトルクの値は、ステアリングホイール11に入力される操舵トルク、減速機13から入力されるアシストトルク、及び路面反力に起因した反力トルク等を合成した値となる。
交代要求部66は、自動運転モード(図7参照)にて、車両Aが自動運転機能によって自律走行している状態で、運転者へ向けた運転交代の要求(TOR:Take Over Request)を行なう。交代要求部66は、例えば自動運転の許可された道路区間が終了する等、自動運転機能による自律走行の継続が不可能であると判断した場合に、運転交代のための交代区間を設定する。交代区間は、道路が概ね直線状であるエリアに設定される。交代要求部66は、自車位置特定部61にて特定された車両Aの現在位置が交代区間に到達したタイミングで、自動運転モードから交代要求モードへと制御モードを移行させ、運転操作の交代要求を開始する。
トルク制御部67は、交代要求部66による交代要求の後に、操舵アクチュエータ17に駆動トルクを発生させる。交代要求の後に設定される交代要求モード(図7参照)では、把持検出モード及び意思検出モードが順に実施される。トルク制御部67は、把持検出モードにて周期的に変化する把持判定トルクを発生させ、意思検出モードにて周期的に変化する入力判定トルクを発生させる。入力判定トルクの周波数は、把持判定トルクの周波数よりも低く設定される。入力判定トルクの値は、把持判定トルクの値よりも大きく設定される。
把持判定部68は、交代要求の後に実施される把持検出モードにて、運転者がステアリングホイール11を把持しているか否かを判定する。把持検出モードにて、操舵アクチュエータ17の発生させる把持判定トルクは、例えば100Hz程度の微小振動とされる。100Hz程度のトルク変動であれば、車両Aの操舵輪は、横力を実質的に発生させない。このように、把持判定トルクは、車両Aに横方向の移動を実質的に生じさせない周波数に設定されている。
把持判定部68は、操舵アクチュエータ17が発生させる把持判定トルクの推移をトルク制御部67から取得する(図3及び図4参照)。把持判定トルクの推移は、ステアリングホイール11に運転者が触っていない場合(非把持時)の駆動トルクの予測波形である。加えて把持判定部68は、トルクセンサ16aの出力に基づくトルクの値を取得する。把持判定部68は、非把持時の把持判定トルクの予測波形と、入力シャフト12aに作用している実際のトルクの推移との比較に基づき、運転者がステアリングホイール11を把持しているか否かを判定する。
具体的に、把持判定部68は、ステアリングホイール11の把持に伴うトルクの波形の乱れを検出する。例えば、周波数分析により、把持判定トルクの設定周波数である100Hzの周波数成分が減っていた場合に、把持判定部68は、ステアリングホイール11の把持が有る旨の肯定判定を行なう。把持判定部68による把持の肯定判定に基づき、把持検出モードから意思検出モードへの移行が実施される。
交代制御部69は、自動運転機能と運転者との間における運転交代を制御する。交代制御部69は、自動運転モードにおいて、所定のオーバーライド閾値(例えば0.5N・m)を超える操舵トルクの入力があった場合に、運転操作の制御権を自動運転機能から運転者に直ちに移譲させる。交代制御部69は、緊急性の高い状況にて、運転者によるオーバーライドを可能にする。
加えて交代制御部69は、システム側の判断にて自動運転機能から運転者に制御権を移譲させるハンドオーバーのシーンにて、運転者に運転交代の意思があるか否かを推定し、制御権の移譲の許可及び不許可の状態を切り替える。交代制御部69は、運転者に運転交代の意思があると推定した場合に運転者への制御権の移譲を許可し、運転者に運転交代の意思がないと推定した場合に制御権の移譲を不許可にする。
交代制御部69は、運転者における運転交代の意思の有無を判定する意思検出モードを、把持検出モードの後に実施する。意思検出モードにて、操舵アクチュエータ17の発生させる入力判定トルクは、ステアリングホイール11を揺すりつつ回転させる。交代制御部69は、ステアリングホイール11の回転を修正する操舵操作を運転者が行っているか否かに基づいて、運転者の運転交代の意思を推定する。詳記すると、運転交代可能な運転者は、ステアリングホイール11が揺れていることを認識し、且つ、周辺環境との比較から、揺れていることがおかしいと判断できる。そのため交代制御部69は、ステアリングホイール11の揺れを抑えようとする修正操舵の入力がある場合に、運転者に運転交代の意思があると推定し、自動運転機能から運転者への運転交代を可能にする。
意思検出モードにて操舵アクチュエータ17が発生させる入力判定トルクは、第一閾値よりも大きく、且つ、第二閾値未満となる値に設定される。第一閾値は、入力シャフト12aに許容された「あそび」の大きさに相当する角度だけステアリングホイール11を回転させる操舵トルクを基準に設定されている。一例として、「あそび」に相当する操舵トルクが0.3N・mであれば、入力判定トルクは、減速機13から入力シャフト12aに0.3N・m以上のトルクが作用するような値に設定される。こうした入力判定トルクの入力により、車両Aには、横方向の移動が生じ得る。
第二閾値は、オーバーライド閾値に基づいて設定される。上述したように、ステアリングホイール11にオーバーライド閾値以上の操舵トルクが入力された場合、ハンドオーバーのプロセスの途中であっても、交代制御部69は、運転者の意思の有無に関係なく、即座に制御権を運転者に移譲させる。そのため、第二閾値は、入力判定トルクに抗した修正操舵の操舵トルクがオーバーライド閾値を超えないような値に設定される。具体的に、入力判定トルクは、減速機13から入力シャフト12aに0.5N・m以上のトルクが作用しないような値に抑制されている。
入力判定トルクは、DC(Direct Current)成分及びAC(Alternating current)成分を含んでいる。操舵アクチュエータ17の発生させるDC成分の向きは、車両Aが走行中の車線から逸脱しないように制御される。具体的には、一定の時間間隔で、DC成分の向きの正負が逆転される。一方、AC成分の周波数は、例えば手が振動を感じ易い10Hz〜50Hz程度に設定されている。
交代制御部69は、意思検出モードにて、操舵アクチュエータ17の制御情報をトルク制御部67から取得し、運転者に運転交代の意思が有る場合と無い場合、それぞれの操舵の予測波形を設定する。加えて交代制御部69は、操舵角センサ16bのセンサ出力であるステアリング角の推移を、操舵情報取得部65から取得する。交代制御部69は、設定した予測波形と、実際のステアリング角の推移との比較に基づき、入力判定トルクによる操舵を修正する運転者の操舵操作の有無を判定する(図5及び図6参照)。
具体的に、交代制御部69は、車両Aを直進状態に戻すために、DC成分とは逆方向の操舵操作を運転者が行っている場合、運転者に運転交代の意思があると推定し、ハンドオーバーを可能にする。一方で、交代制御部69は、DC成分と同じ方向の操舵操作を運転者に行っている場合、及び操舵トルクが実質的にない(例えば、0.3N・m未満)場合、運転交代の意思がないとみなす。この場合、ハンドオーバーは、不許可となる。尚、オーバーライド閾値を超える操舵トルクが入力された場合、交代制御部69は、操舵操作の方向に係らず、運転者に運転交代の意思があると推定する。但しこの場合は、上述したようにオーバーライドが実行される。
次に、ここまで説明した自動運転ECU50が制御モードを自動運転モードから手動運転モードに遷移させる過程を、図7に基づき、図1を参照しつつ説明する。以下の説明では、ハンドオーバーによる権限移譲が示されており、運転者は、車両Aからの交代要求に応えるかたちで運転操作を引き継ぐことができる。
時刻t1では、自動運転モードにて自律走行中の車両Aが交代区間に到達する。これにより、交代要求部66による運転交代の要求が実施される。交代要求は、表示機器によるメッセージの表示、及び音響機器によるメッセージ音声の再生等によって実施される。時刻t1にて、制御モードは、自動運転モードから交代要求モードに遷移する。そして、把持検出モードにおける把持判定が把持判定部68によって開始される。
時刻t2では、時刻t1にて実施された交代要求に運転者が気づく。その結果、時刻t3にて、運転者は、ステアリングホイール11を把持する。把持判定部68は、時刻t3にて開始された把持の継続に基づき、時刻t4にて、ステアリングホイール11の把持のあり判定を行なう。
時刻t4では、把持検出モードから意思検出モードへの切り替えに伴い、操舵アクチュエータ17が入力判定トルクの発生を開始させる。運転者が入力判定トルクに抗する操舵操作を継続することにより、交代制御部69は、時刻t5にて、運転交代の意思がある旨の意思判定を行なう。これにより、制御権の移譲開始の通知が運転者に対して実施されたうえで、制御モードが交代要求モードから手動運転モードへと遷移する。尚、移譲開始の通知は、交代要求と同様に、表示機器によるメッセージの表示、及び音響機器によるメッセージ音声の再生等によって実施される。
一方、時刻t6は、時刻t1からの経過時間が閾値時間Tを経過する時刻である。時刻t6では、ステアリングホイール11の把持が無い、又は運転交代の意思が確認されないことに基づき、制御モードが交代要求モードからMRMモードへと遷移する。以上により、車両Aは、退避場所を探索したうえで、探索した退避場所に自律走行によって停止する。尚、閾値時間Tは、交代区間の終了地点を基準に設定される。
以上の権限移譲を実現するために、自動運転ECU50によって実施される権限移譲処理の詳細を、図8に基づき、図1を参照しつつ説明する。図8に示す権限移譲処理は、手動運転モードから自動運転モードへの切り替えが行われたことに基づき、自動運転ECU50によって開始される。
S101では、車両Aが交代区間へ到達したか否かに基づき、運転交代の要求を実施するか否かを判定する。車両Aが交代区間に到達していない場合、S101の判定を繰り返す。そして、車両Aが交代区間に到達し、交代要求を実施すると判定した場合、S102に進む。
S102では、制御モードを自動運転モードから交代要求モードへと遷移させ(図7 時刻t1参照)、S103に進む。S103では、交代要求モードのうちの把持検出モードを実施し、S104に進む。
S104では、把持判定の有無を判定する。S104にて、ステアリングホイール11が把持されていないと判定した場合、S108に進む。S108では、S102によって遷移した交代要求モードの経過時間が閾値時間Tと比較される。S108にて、経過時間が閾値時間Tを超えていると判定した場合、S109に進む。一方で、経過時間が閾値時間T以下であると判定した場合、S103及びS104を繰り返し、運転者によるステアリングホイール11の把持を待機する。そして、S104にて、ステアリングホイール11が把持されたと判定した場合(図7 時刻t4参照)、S105に進む。
S105では、意思検出モードを実施し、S106に進む。S106では、運転交代の意思の有無を判定する。S106にて、運転者に運転交代の意思があると推定した場合、S107に進む。S107では、交代要求モードから手動運転モードへと制御モードを遷移させ、一連の処理を終了する。以上により、ハンドオーバーが完了する。
一方、S106にて、運転交代に運転交代の意思が無いと判定した場合、S108に進む。この場合のS108でも、交代要求モードの経過時間が閾値時間T未満であれば、S103に戻る。一方で、経過時間が閾値時間Tを超えていた場合、S109に進む。S109では、交代要求モードからMRMモードへと制御モードを遷移させ、一連の処理を終了する。以上により、車両Aの退避走行が開始される。
ここまで説明した本実施形態によれば、自動運転機能から運転者への運転交代の要求の後に、操舵アクチュエータ17が、ステアリングホイール11を回転させる駆動トルクを発生する。このとき、自動運転機能から運転操作を引き継ぐ意思が運転者にあれば、運転者は、操舵アクチュエータ17から入力された駆動トルクを修正するような操舵操作を、ステアリングホイール11に入力する。そのため、車両Aが直線区間を走行中であっても、操舵アクチュエータ17の駆動トルクに抗するような修正操舵の有無により、運転を引き継ごうとする運転者の意思が確認可能となる。故に、操舵操作がある場合に運転者への運転交代を許可するようにすれば、自動運転ECU50は、運転者への運転交代を円滑に実施できる。即ち、運転する意思が運転者にあるにも係らず、誤ったMRMモードへの移行により、手動運転モードへの移行がなされない事態は、回避される。
加えて本実施形態では、把持判定部68によって運転者によるステアリングホイール11の把持が確認された後で、トルク制御部67は、交代制御部69による判定のための入力判定トルクを発生させる。こうした処理によれば、入力判定トルクの印加に伴うステアリングホイール11の回転が自動運転機能による単なる操舵制御であると運転者に誤認される事態は、抑制可能となる。
また本実施形態では、ステアリングホイール11を把持しているか否かの把持判定が、トルクセンサ16aの出力に基づいて判定される。故に、ステアリングホイール11の把持を検出するための専用の把持センサが省略可能となる。
さらに本実施形態の意思検出モードにおいて、トルク制御部67は、把持判定トルクよりも周波数の低い入力判定トルクを、操舵アクチュエータ17に発生させる。具体的に、入力判定トルクは、運転者の皮膚が加速度を感じ易い10〜20Hz程度の刺激を運転者に与える。以上によれば、運転者は、ステアリングホイール11の振動を抑える動作を促され、運転操作への意識を高められた状態で運転操作の制御権を受け取ることができる。
加えて本実施形態では、意思検出モードにて操舵アクチュエータ17が発生させる入力判定トルクは、把持検出モードでの把持判定トルクよりも大きい値に設定され、且つ、車両Aに横方向の移動を生じさせる。運転者が運転可能な状態であって車両Aの周囲の環境を認識していれば、車両挙動の変化は、直ちに運転者に認識され得る。故に、車両Aの横移動を生じさせることで、運転交代の意思のある運転者に対し、車両Aを直進状態へ戻すような修正舵の入力を促すことができる。以上によれば、運転者における運転交代の意思の有無が精度良く確認可能となる。
また本実施形態では、車両Aが走行中の車線から逸脱しないように駆動トルクの向きが制御される。こうした態様のトルク制御が実施されれば、車両Aに横移動を生じさせるような駆動トルクを印加しても、車両Aは、運転交代の完了まで安定的な走行を継続できる。
また本実施形態における把持判定トルクは、車両Aに横移動を生じさせないような周波数及び大きさに設定されている。このように、把持判定トルクが車両Aの挙動を変化させない駆動トルクであれば、把持判定部68は、運転者の不安を惹起するような挙動変化を車両Aに生じさせることなく、トルクセンサ16aの出力を用いて運転者による把持の有無を判定できる。
さらに本実施形態の交代制御部69は、操舵アクチュエータ17の入力する駆動トルクとは逆方向の操舵操作を運転者が行っている場合に、自動運転機能から運転者への運転交代が可能になる。このように、駆動トルクによる横移動を打ち消すような修正操舵が入力されるようであれば、運転者には運転交代の意思があると推定される。故に、逆向きの操舵入力に基づくことで、運転者の意思を精度良く推定し、円滑な運転交代を実施することが可能になる。
加えて本実施形態によれば、交代制御部69は、オーバーライド閾値を超える操舵トルクが入力された場合に、直ちに制御権を運転者に移譲させる。このように、オーバーライド閾値を基準として、オーバーライドとハンドオーバーとを切り分けることで、運転者は、交代要求モードの期間中に緊急性の高い状況に遭遇した場合でも、制御権を取得して適確に状況に対応可能となる。
尚、以上の実施形態において、操舵アクチュエータ17が「アクチュエータ」に相当し、自動運転ECU50が「運転交代制御装置」に相当し、オーバーライド閾値が「判定閾値」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記実施形態の意思検出モードでは、車両Aが車線内を蛇行するように、入力判定トルクの向きが変更されていた。しかし、例えば図9に示す変形例1のように、意思検出モードにおける入力判定トルクのDC成分の向きは、一定であってもよい。また、走行中の道路が二車線であり、且つ、路肩が広く確保されている場合、DC成分の方向は、車両Aのリスクを上げないように、車両Aを路肩側へ移動させる方向に設定されるのが望ましい。
さらに、図10に示す変形例2のように、路肩に他車両Axが駐停車している場合、DC成分の方向は、他車両Axを避けるため、他車両Axとは逆側に車両Aを移動させる方向に設定されるのが望ましい。
入力判定トルクは、DC成分だけでもよく、又はAC成分だけでもよい。入力判定トルクにDC成分がある場合、入力判定トルクの大きさは、便宜的にDC成分の絶対値とする。また、入力判定トルクがAC成分のみの場合、入力判定トルクの大きさは、AC成分の振幅の値とする。同様に、把持判定トルクの大きさは、振幅の値とする。尚、把持判定トルクは、DC成分を含んでいないことが望ましい。また、把持判定トルクにより、車両Aに僅かな横移動が生じてもよい。一方、入力判定トルクが入力されても、車両Aに横移動が生じなくてもよい。
上記実施形態では、運転交代の意思を確認できないまま閾値時間Tを経過した場合、MRMモードへの移行が実施された。しかし、閾値時間Tを経過した後の処理は、適宜変更可能である。例えば、交代要求よりも強い警告が、表示機器又は音響機器によって実施されてもよい。或いは、退避スペースの探索を行わずに、直ちに路肩への停止が行われてもよい。さらに、閾値時間Tの経過を判定せずに、交代要求が継続されてもよい。
操舵装置は、把持センサを電気的な構成として有していてもよい。把持センサは、例えばステアリングホイールのリム部分又はスポーク部分に埋設されている。把持センサは、リム部分又はスポーク部分における圧力又は静電容量を計測することにより、圧力又は静電容量の変化に基づいて、運転者によるステアリングホイールの把持を検知できる。
上記実施形態では、操舵角センサのセンサ出力に基づいて、運転交代の意思の有無が判定されていた。しかし、トルクセンサのセンサ出力に基づいて、運転交代の意思の有無が判定されてもよい。この場合、0.3N・m〜0,5N・mの操舵トルクが入力されており、且つ、操舵の方向がDC成分とは逆向きである場合に、交代制御部は、運転交代の意思があると推定し、ハンドオーバーを許可する。
尚、オーバーライド閾値の値は、適宜変更可能である。同様に、ハンドオーバーが許可される操舵トルクの範囲、並びに入力判定トルク及び把持判定トルクの各値も、適宜変更可能である。
上記実施形態の交代要求モードでは、把持検出モード及び意思検出モードが順に実施されていた。しかし、把持検出モードの省略により、交代要求モードへの移行後に、直ちに意思検出モードが開始されてもよい。
操舵アクチュエータによって入力される駆動トルクとは逆方向であって、オーバーライド閾値未満となる操舵操作が、「アクチュエータの駆動トルクによるステアリングホイールの回転を修正する操舵操作」に相当する。即ち、オーバーライドとハンドオーバーとが区別される構成において、操舵トルクがオーバーライド閾値を超えるような操舵操作は、「アクチュエータの駆動トルクによるステアリングホイールの回転を修正する操舵操作」には該当しないものとする。但し、アクチュエータの入力トルクによる車両操舵を抑制する際に、瞬間的にオーバーライド閾値を超えるような操舵操作は、上記の「回転を修正する操舵操作」に含まれ得ることが望ましい。故に、オーバーライド閾値を超えたか否かの判定には、所定の閾値時間を設定することが望ましい。
上記実施形態の交代制御部は、運転意思があると判定した場合でも、操舵トルクの大きさに基づき、ハンドオーバー及びオーバーライドを切り分けていた。しかし、ハンドオーバー及びオーバーライドの切り分けは、実施されなくてもよい。例えば交代制御部は、運転交代の意思があると判定した場合、直ちに制御権を運転者に移譲させてよい。
上記実施形態では、直線状の区間に交代区間を設定することが前提とされていた。しかし、交代区間は、カーブ区間に設定されてもよい。カーブ区間で権限移譲を行なう場合、操舵アクチュエータによる駆動トルクの印加は、実施されなくてもよい。換言すれば、操舵アクチュエータに駆動トルクを発生させて運転者の意思を確認する処理は、交代区間が直線状である場合に限って実施されてよい。
上記実施形態における操舵アクチュエータ17は、操舵装置10のコラム部分に設けられていた。しかし、操舵装置における操舵アクチュエータの設置位置は、適宜変更可能である。例えば、操舵アクチュエータは、ピニオンギヤ又はラックギヤのいずれかと連結されていてもよい。操舵アクチュエータは、設置位置に係わらず、駆動トルクの発生により、ステアリングホイールを回転させることが可能である。
運転交代制御装置の機能は、上記の自動運転ECUとは異なる構成によって実現されてもよい。例えば、自動運転ECUと共に車両に搭載された電子制御装置の処理部が、本開示による運転交代の制御方法を実施してもよい。或いは、自動運転ECU又は車両制御ECUを含む複数の電子制御装置が、本開示による運転交代制御プログラムを分散処理してもよい。さらに、フラッシュメモリ及びハードディスク等の種々の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)が処理部にて実行される運転交代制御プログラム等を格納する構成として、採用可能である。
A 車両、10 操舵装置、11 ステアリングホイール、17 操舵アクチュエータ(アクチュエータ)、50 自動運転ECU(運転交代制御装置)、50a 処理部、65 操舵情報取得部、66 交代要求部、67 トルク制御部、68 把持判定部、69 交代制御部

Claims (12)

  1. 運転者に代わって運転操作を実施可能な自動運転機能を備える車両(A)において、前記運転者と前記自動運転機能との間における運転交代を制御する運転交代制御装置であって、
    前記車両に搭載された操舵装置(10)に入力されている操舵操作を示す操舵情報を取得する操舵情報取得部(65)と、
    前記車両が前記自動運転機能によって走行している状態で、前記運転者へ向けた運転交代の要求を行なう交代要求部(66)と、
    前記交代要求部による交代要求の後に、前記操舵装置のアクチュエータ(17)にステアリングホイール(11)を回転させる駆動トルクを発生させるトルク制御部(67)と、
    前記操舵情報に基づき、前記アクチュエータの駆動トルクによる前記ステアリングホイールの回転を修正する操舵操作を前記運転者が行っている場合に、前記自動運転機能から前記運転者への運転交代を可能にする交代制御部(69)と、を備える運転交代制御装置。
  2. 前記交代要求の後に、前記運転者が前記ステアリングホイールを把持しているか否かを判定する把持判定部(68)、をさらに備え、
    前記トルク制御部は、前記把持判定部にて前記運転者が前記ステアリングホイールを把持していると判定された場合に、前記交代制御部による判定のための駆動トルクである入力判定トルクを前記アクチュエータに発生させる請求項1に記載の運転交代制御装置。
  3. 前記トルク制御部は、前記交代要求の後に、前記把持判定部による把持の判定のため、周期的に変化する把持判定トルクを発生させ、
    前記操舵情報取得部は、前記操舵装置に入力されるトルクの値を含む前記操舵情報を取得し、
    前記把持判定部は、前記アクチュエータが発生させる前記把持判定トルクの推移と、前記操舵情報に基づくトルクの推移との比較に基づき、前記運転者が前記ステアリングホイールを把持しているか否かを判定する請求項2に記載の運転交代制御装置。
  4. 前記トルク制御部は、周期的に変化する前記入力判定トルクを前記アクチュエータに発生させ、
    前記入力判定トルクの周波数は、前記把持判定トルクの周波数よりも低く設定されている請求項3に記載の運転交代制御装置。
  5. 前記入力判定トルクの値は、前記把持判定トルクの値よりも大きい値に設定されている請求項3又は4に記載の運転交代制御装置。
  6. 前記トルク制御部は、前記車両に横方向の移動を実質的に生じさせない周波数又は大きさの前記把持判定トルクを前記アクチュエータに発生させる請求項3〜5のいずれか一項に記載の運転交代制御装置。
  7. 前記トルク制御部は、前記交代制御部による判定のために、前記車両に横方向の移動を生じさせる駆動トルクを前記アクチュエータに発生させる請求項1〜6のいずれか一項に記載の運転交代制御装置。
  8. 前記トルク制御部は、前記車両が走行中の車線から逸脱しないように前記アクチュエータに発生させる駆動トルクの向きを制御する請求項7に記載の運転交代制御装置。
  9. 前記交代制御部は、前記アクチュエータの入力する駆動トルクとは逆方向の操舵操作を前記運転者が行っている場合に、前記自動運転機能から前記運転者への運転交代を可能にする請求項1〜8のいずれか一項に記載の運転交代制御装置。
  10. 前記交代制御部は、前記運転者によって入力される操舵トルクの値が判定閾値を超えている場合に、前記自動運転機能から前記運転者に運転操作の制御権を移譲させる請求項1〜9のいずれか一項に記載の運転交代制御装置。
  11. 前記トルク制御部は、前記ステアリングホイールに作用するトルクが前記判定閾値以下となるような駆動トルクを、前記アクチュエータに発生させる請求項10に記載の運転交代制御装置。
  12. 運転者に代わって運転操作を実施可能な自動運転機能を備える車両(A)において、前記運転者と前記自動運転機能との間における運転交代を制御する運転交代制御プログラムであって、
    少なくとも一つの処理部(50a)を、
    前記車両に搭載された操舵装置(10)に入力されている操舵操作を示す操舵情報を取得する操舵情報取得部(65)、
    前記車両が前記自動運転機能によって走行している状態で、前記運転者へ向けた運転交代の要求を行なう交代要求部(66)、
    前記交代要求部による交代要求の後に、前記操舵装置のアクチュエータ(17)にステアリングホイール(11)を回転させる駆動トルクを発生させるトルク制御部(67)、
    前記操舵情報に基づき、前記アクチュエータの駆動トルクによる前記ステアリングホイールの回転を修正する操舵操作を前記運転者が行っている場合に、前記自動運転機能から前記運転者への運転交代を可能にする交代制御部(69)、として機能させる運転交代制御プログラム。
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