JP2018538161A - 電子衝撃により架橋されたトレッドを含むタイヤ - Google Patents
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Abstract
が1.10以上になるのを可能にする任意の値をとることが可能であることを特徴とする、タイヤに関する。
本発明は、タイヤを調製する方法にも関する。
Description
タイヤ製造業者にとって、タイヤのウェットグリップを改善することは変わらぬ目的である。同時に、別の目的はタイヤの転がり抵抗を低下させることである。しかし、グリップの改善はヒステリシス損失を増加させることを伴うが、一方で転がり抵抗の改善はヒステリシス損失を低下させることを伴うという点で、これらの2つの目的は両立させるのが困難である。したがって最適化しようとする性能の妥協点がある。
したがって、本出願人の企業は熱可塑性エラストマーを含むトレッドを備えたタイヤを過去に開発した(国際公開第2012/152686号)。これらのタイヤはグリップと転がり抵抗性能との非常にすぐれた妥協点を有する。
さらに、熱可塑性エラストマーでできたトレッドは、温度での低い粘度に起因して加工がより容易である。
特に、トレッド配合物中において硫黄などの架橋添加剤を使用することは、非常に多くの場合、生産性を制限する加工上の制約がある(例えばスコーチ時間)。
独国特許第102012105730号の出願において、従来のトレッドの電子衝撃を使用して、タイヤを調製する間のこのトレッドの「タック」を低下させた。しかし、これらのトレッドは熱可塑性エラストマーに基づいておらず、この文書はそのようなトレッドの性能についての情報を含んでいない。
したがって、本発明の1つの主題は、少なくとも1つのエラストマーブロック及び少なくとも1つの熱可塑性ブロックを含む、1つ又は複数の熱可塑性エラストマーに基づくトレッドと、クラウン補強材を含むクラウンと、2つの側壁と、2つのビードと、2つのビードへ固定され一方の側壁から他方へ延びるカーカス補強材とを含むタイヤであって、架橋が主に炭素−炭素結合を形成するように、トレッドがタイヤの硬化後に電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋され、xは比
G’(200℃)(xkGy)が、電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋されたトレッドの200℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(40℃)(xkGy)が、電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋されたトレッドの40℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(200℃)(0kGy)が、電子衝撃によって架橋されていないトレッドの200℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(40℃)(0kGy)が、電子衝撃によって架橋されていないトレッドの40℃におけるせん断弾性係数である
ことを特徴とする、タイヤである。
本発明によるタイヤは、特に一方における、調製中のより容易な加工と、他方における、高温での改善された剛性との間で、特性のすぐれた妥協点を有する。
− トレッドを押出加工(extruding)するステップと、次いで
− 押出加工したトレッドをタイヤ上に配置するステップと、次いで
− タイヤを硬化させるステップと、次いで
− 電子衝撃によってタイヤを架橋させるステップと
を含む、上記で定義されるトレッドを含むタイヤを調製する方法である。
本発明によるタイヤ及びその調製方法は、調合ステップ及び成形(shaping)ステップの間にタイヤが架橋していないならば、タイヤの製造中のトレッドの扱いを容易にする利点がある。
本発明及びその利点は、以下の説明及び例示的な実施形態を読むこと及び図を学ぶことによって、より容易に理解されることになる。
さらに、「aとbの間」という表現で示される値の任意の範囲は、aを超える値からb未満まで広がる値の範囲を表すが(すなわち、限界のa及びbは除外される)、一方「aからbまで」という表現で示される値の任意の範囲は、aからbまで広がる値の範囲を意味する(すなわち、厳密な限界のa及びbを含める)。
本発明の出願において、「エラストマー百部当たりの部数」又は「phr」という用語は、100質量部のトレッドのエラストマーに対する、すなわちエラストマーが熱可塑性であるか又は非熱可塑性であるかにはかかわらず、トレッド中に存在するエラストマーの全質量に対する、構成成分の質量部を意味する。したがって、例えば60phrの構成成分は、トレッドの100gのエラストマーに対してこの構成成分が60gであることを意味することになる。
上記のように、本発明によるタイヤは特に、1つ又は複数の熱可塑性エラストマーに基づくトレッドを含む。
熱可塑性エラストマー(TPE)は、既知の方法では、熱可塑性ポリマーとエラストマーの中間の構造を有するポリマーを意味すると理解される。
熱可塑性エラストマーは、1つ又は複数の軟質「エラストマー」セグメントに結合した1つ又は複数の剛性の「熱可塑性」セグメントから成る。
したがって、本発明に従って使用できるトレッドの1つ又は複数の熱可塑性エラストマーは、少なくとも1つのエラストマーブロック及び少なくとも1つの熱可塑性ブロックを含む。
典型的には、これらのセグメント又はブロックの各々は、少なくとも5個を超える、一般には10個を超える基本単位を含有する。
やはり優先的には、本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーのガラス転移温度は−100℃を上回る。
熱可塑性エラストマーの数平均分子量(Mnによって表される)は優先的には30000と500000g/molの間、より優先的には40000と450000g/molの間である。示される最小値を下回ると、特にその起こり得る希釈(伸展油の存在下)に起因して、影響を受ける熱可塑性エラストマーのエラストマー鎖どうしが凝集するリスクがある。さらに、低下した「高温」性能の結果により、機械的特性、特に破断点での特性に影響を与える、加工温度の上昇のリスクがある。さらに、過度に高いMn質量は実施に悪影響を与える可能性がある。したがって、50000と300000g/molの間の値がタイヤトレッドにおける熱可塑性エラストマーの使用に特に良く適していたことが分かった。
1つ又は複数の熱可塑性エラストマーの多分散指数(PI=Mw/Mn、Mwは質量平均分子量)は好ましくは3未満、より優先的には2未満、より優先的にはさらに1.5未満である。
本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーは、少数のブロック(5未満、典型的は2又は3)を含むコポリマーであってもよく、この場合これらのブロックは好ましくは15000g/molを超える高い質量を有する。
第1の変形によれば、本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーは直鎖状である。
この第1の変形の第1の特定の実施形態において、熱可塑性エラストマーは、ジブロックコポリマー:熱可塑性ブロック/エラストマーブロックである。
この第1の変形の第3の特定の実施形態において、熱可塑性エラストマーはエラストマーブロック及び熱可塑性ブロック(マルチブロック熱可塑性エラストマー)の直鎖状の連なりで形成されている。
第2の変形によれば、本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーは、少なくとも3つの分岐を含む星型分岐状である。
例えば、熱可塑性エラストマーは、その場合少なくとも3つの分岐を含む星型分岐エラストマーブロック、及びエラストマーブロックの分岐の各々の端にある熱可塑性ブロックで構成されていてもよい。中央のエラストマーの分岐の数は、例えば3〜12、好ましくは3〜6で様々であってもよい。
上記で説明されるように、本発明に従って使用できる1つ又は複数の熱可塑性エラストマーは、少なくとも1つのエラストマーブロック及び少なくとも1つの熱可塑性ブロックを含む。
本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーのエラストマーブロックは、当業者に既知である任意のエラストマーであってもよい。
飽和エラストマーブロックと不飽和エラストマーブロックとは一般に区別される。
飽和エラストマーブロックは、このブロックが、エチレン性不飽和(すなわち、炭素−炭素二重結合)を含まない主要な単位を含むことを意味すると理解される。
不飽和エラストマーブロックは、このブロックが、エチル性不飽和を含む主要な単位を含むことを意味すると理解される。
飽和エラストマーブロックは一般に、エチレン系モノマーの重合によって形成される。特にポリアルキレンブロック、例えばランダムエチレン−プロピレン又はエチレン−ブチレンコポリマーを挙げることができる。これらの飽和エラストマーブロックは、不飽和エラストマーブロックの水素化によっても得ることができる。
それらはまた、ポリエーテル、ポリエステル、又はポリカーボネートの系統から得られる脂肪族ブロックであってもよい。特に、飽和エラストマーブロックは、特にポリエーテル、特にポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)によって形成されていてもよい。
例えば、共役C4−C14ジエンは、エチレン系モノマーと共に共重合されてもよいが、上記のようにエチレン系単位が優勢のままである。
不飽和エラストマーブロックは一般に主にジエンモノマーの重合によって形成される。
あるいは、不飽和エラストマーブロックはまた、主に直鎖炭素−炭素二重結合及び環状型の炭素−炭素二重結合を含むモノマーを重合することによって形成されてもよく、これは例えばポリノルボルネンの場合があてはまる。
好ましくは、不飽和エラストマーブロック形成させるために共役C4−C14ジエンを重合又は共重合させることができる。
例として、この、第1のモノマーと共重合することが可能な他のモノマーは、上記で定義されるようなエチレン系モノマー(例えばエチレン)、8〜20個の炭素原子を有する上記で定義されるようなビニル芳香族型のモノマーから選択してもよく、又はこれは酢酸ビニルなどのモノマーであってもよい。
スチレンモノマー、すなわち、メチルスチレン、パラ(tert−ブチル)スチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、又はパラヒドロキシスチレンは、ビニル芳香族化合物として特に適している。好ましくは、ビニル芳香族型のコモノマーはスチレンである。
− SBR及びポリスチレンブロックに由来するスチレン。これは5個のプロトンに関する6.0ppmと7.3ppmの間の芳香族領域で定量化可能である(7.18ppmのCS2不純物のシグナルの積分を差し引く)。
− SBRに由来するPB1−2。これは2個のプロトンに関する4.6ppmと5.1ppmの間のエチレン領域で定量可能である。
− SBRに由来するPB1−4。これは2個のプロトンに関する5.1ppmと6.1ppmの間のエチレン領域で、PB1−2単位の1個のプロトンを削除することにより、定量可能である。
− 水素化により生じ、脂肪族プロトンのみを有する、水素化PB1−2。水素化PB1−2の側基CH3は、3個のプロトンに関する0.4ppmと0.8ppmの間の脂肪族領域で同定され定量化可能である。
− 水素化により生じ、脂肪族プロトンのみを有する、水素化PB1−4。これは、8個のプロトンについて考慮し、様々な単位から脂肪族プロトンを差し引くことによって推測されることになる。
本発明において好ましくは、熱可塑性エラストマーのエラストマーブロックは、タイヤトレッドとしての使用に十分であり適合性がある良好なエラストマーの特性及び機械的強度を熱可塑性エラストマーに与えるために、全体として、25000g/mol〜350000g/mol、好ましくは35000g/mol〜250000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
1つ又は複数のエラストマーブロックはまた、上記で定義されるような数種類のエチレン、ジエン、又はスチレンモノマーを含むブロックであってもよい。
本発明において特に好ましくは、1つ又は複数のエラストマーブロックは、エチレン系エラストマー、ポリエーテル、ジエンエラストマー(後者は部分的に又は完全に水素化されていてもよい)、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択される。
1つ又は複数のエラストマーブロックは、上記で定義されるようないくつかのエラストマーブロックから成っていてもよい。
上記で説明されるように、本発明に従って使用できる熱可塑性ポリマーは、少なくとも1つの熱可塑性ブロックも含む。
実際に、半結晶性ポリマーの場合には、ガラス転移温度を超える融点が観測されることがある。この場合、ガラス転移温度ではなく融点を上記に定義において考慮に入れる。
1つ又は複数の熱可塑性ブロックは様々な種類の重合したモノマーから形成されていてもよい。
− ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン);
− ポリウレタン;
− ポリアミド;
− ポリエステル;
− ポリアセタール;
− ポリエーテル(ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンエーテル);
− ポリフェニレンスルフィド;
− ポリフッ素化化合物(FEP、PFA、ETFE);
− ポリスチレン(以下に詳細に説明する);
− ポリカーボネート;
− ポリスルホン;
− ポリメチルメタクリラート;
− ポリエーテルイミド;
− 熱可塑性コポリマー、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマーなど。
− アセナフチレン:当業者は例えば、Z. Fodor and J. P. Kennedy, Polymer Bulletin, 1992, 29(6), 697-705による論文を参照できる;
− インデン及びその誘導体、例えば、2−メチルインデン、3−メチルインデン、4−メチルインデン、ジメチルインデン、2−フェニルインデン、3−フェニルインデン、及び4−フェニルインデなど;当業者は例えば発明者らのKennedy、Puskas、Kaszas、及びHagerによる特許文書である米国特許第4946899号、並びにJ. E. Puskas, G. Kaszas, J. P. Kennedy and W. G. Hager, Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry (1992), 30, 41、及びJ. P. Kennedy, N. Meguriya and B. Keszler、Macromolecules (1991), 24(25), 6572-6577の文献を参照できる;
− イソプレン、その後一定数のtrans−1、4−ポリイソプレン単位及び分子内プロセスに従って環化される単位が形成される;当業者は例えば、G. Kaszas, J. E. Puskas and J. P. Kennedy, Applied Polymer Science (1990), 39(1), 119-144、及びJ. E. Puskas, G. Kaszas and J. P. Kennedy, Macromolecular Science, Chemistry A28 (1991), 65-80の文献を参照できる。
本発明の1つの変形によれば、上記のモノマーは少なくとも1つの他のモノマーと共に共重合させてもよいが、ただし当該の他のモノマーがブロックの熱可塑性、すなわちブロックのガラス転移温度、又は半結晶性ポリマーの場合は融点が80℃以上であることを改変しない限りにおいてである。
上記で説明したように、1つ又は複数の熱可塑性ブロックは、ポリスチレン、及び少なくとも1つのポリスチレンブロックを含むポリマーから選択してもよい。
ポリスチレンに関しては、これらはスチレンモノマーから得られる。
本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーの1つ又は複数の熱可塑性ブロックはまた、上記で定義されるようないくつかの熱可塑性ブロックから成っていてもよい。
本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマー中の熱可塑性ブロックの割合は、一方では、熱可塑性エラストマーが有する必要がある熱可塑性によって決定される。
1つ又は複数の熱可塑性ブロックは優先的には、本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーの熱可塑性を維持するのに十分な割合で存在する。熱可塑性エラストマー中の熱可塑性ブロックの最小含量は、熱可塑性エラストマーの使用条件の関数として様々であってもよい。
他方では、タイヤの調製中に熱可塑性エラストマーが変形する能力は、本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマー中の熱可塑性ブロックの割合を決定することにも寄与し得る。
本発明において特に好ましくは、1つ又は複数の熱可塑性ブロックは、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択される。
本発明において非常に特に好ましくは、1つ又は複数の熱可塑性ブロックは、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択される。
本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーとしては、本発明の第1の特定の実施形態において、エラストマー部分が飽和しておりスチレンブロック及びアルキレンブロックを含むコポリマーを挙げることができる。
アルキレンブロックは、好ましくはエチレン、プロピレン、又はブチレンのブロックである。
第2の特定の実施形態によれば、本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーは、エラストマー部分が不飽和でありスチレンブロック及びジエンブロックを含むコポリマーであり、これらのジエンブロックは特にイソプレン又はブタジエンブロックである。
第4の特定の実施形態によれば、本発明に従って使用できる熱可塑性エラストマーは、マルチブロック熱可塑性エラストマーである。
特に、エチレンとプロピレン/ポリプロピレン、ポリブタジエン/ポリウレタン(TPU)、ポリエーテル/ポリエステル(COPE)、又はポリエーテル/ポリアミド(PEBA)とのランダムコポリマーブロック含むコポリマーを挙げることができる。
ポリエーテルブロックは優先的にはポリエチレングリコールである。
上記で例として示される熱可塑性エラストマーを本発明に従って使用できるトレッド内で互いに混合することも可能である。
上記で示される熱可塑性エラストマーは他の非熱可塑性エラストマーとの混合物中に存在することも可能である。
そのような場合において、1つ又は複数の熱可塑性エラストマーは大部分の質量分率を構成する;それらはその場合トレッド中に存在する全エラストマーの少なくとも65質量%、好ましくは少なくとも70質量%、より優先的には少なくとも75質量%を占める。
より優先的には、1つ又は複数の熱可塑性エラストマーはトレッド中に存在する全エラストマーの少なくとも95質量%(特に100%)を占める。
したがって、トレッドの熱可塑性エラストマー含量は、65〜100phr、好ましくは70〜100phr、より優先的には75〜100phr、さらにより優先的には95〜100phrの範囲である。
特に好ましくは、本発明に従って使用できる1つ又は複数の熱可塑性エラストマーはトレッドの唯一のエラストマーである。
上記の1つ又は複数の熱可塑性エラストマーは、それ単独で、本発明によるトレッドが使用可能となるのに十分である。
しかし、熱可塑性エラストマーを非熱可塑性エラストマーと混合する場合、本発明によるトレッドは非熱可塑性エラストマーとして1つ又は複数のジエンゴムを含んでいてもよい。
「ジエン」エラストマー又はゴムは、既知の方法において、少なくとも部分的に(すなわちホモポリマー又はコポリマー)ジエンモノマー(2つの共役又は非共役炭素−炭素二重結合を有するモノマー)から得られる1つ又は複数のエラストマーを意味すると理解されるべきである。
これらのジエンエラストマーは、「本質的に不飽和」又は「本質的に飽和」の2つのカテゴリーに分類できる。
したがって、ジエンエラストマー、例えば一部のブチルゴム、又はEPDM型のジエンとα−オレフィンとのコポリマーなどは、「本質的に飽和」のジエンエラストマー(ジエン由来の単位の含量が低い又は非常に低い、常に15%未満)と表現することができる。
(a)− 4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーを重合させることによって得られる任意のホモポリマー;
(b)− 1つ又は複数の共役ジエンを互いに又は8〜20個の炭素原子を有する1つ又は複数のビニル芳香族化合物と共に共重合させることによって得られる任意のコポリマー;
(c)− エチレンと3〜6個の炭素原子を有するα−オレフィンとを、6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーと共に共重合させることによって得られる三元コポリマー、例えば、上記のタイプの非共役ジエンモノマーと共に、特に1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、又はジシクロペンタジエンなどと共に、エチレンとプロピレンから得られるエラストマーなど;
(d)− イソブテンとイソプレンとのコポリマー(ジエンブチルゴム)、並びにまたこのタイプのコポリマーのハロゲン化型、特に塩素化又は臭素化型
を意味すると理解される。
本発明に従って使用できるトレッドは、強化フィラーも含んでいてもよい。
特に、タイヤの製造に一般に使用される任意のタイプのフィラー、例えば有機フィラー、例えばカーボンブラックなど、無機フィラー、例えばシリカなど、又はこれらの2つのタイプのフィラーのブレンド、特にカーボンブラック及びシリカのブレンドを使用してもよい。
強化無機フィラーをエラストマーへカップリングさせるために、例えば、既知の方法において、無機フィラー(その粒子の表面)とエラストマーとの間に化学的性質及び/又は物理的性質の十分な結合をもたらすことを意図した、少なくとも二官能性のカップリング剤(又は結合剤)、特に二官能性オルガノシラン又はポリオルガノシロキサンを使用することが可能である。
本発明の優先的な変形によれば、トレッドは強化フィラーを含有しない。
同様に、本発明に従って使用できるトレッドは、1つ又は複数の不活性のマイクロメートルサイズのフィラー、例えば当業者に既知の板状フィラーなどを含有していてもよい。
好ましくは、本発明に従って使用できるトレッドはマイクロメートルサイズのフィラーを含有していない。
上記の1つ又は複数の熱可塑性エラストマーは、それ単独で、本発明によるトレッドが使用可能となるのに十分である。
例えば、伸展油は、パラフィン系オイル、例えば低粘度パラフィン系オイル(LVPO)などから成る群から選択される。
したがって、本発明の1つの特定の実施形態において、少なくとも1つの可塑化剤はパラフィン系オイルである。
当業者は、以下の説明及び実施例を考慮に入れて、使用される熱可塑性エラストマー(上記に示す)の関数として、及びトレッドを設けたタイヤの特定の使用条件の関数として、いかにして可塑剤の量を調整するかを知ることになる。
これを使用する場合、トレッド向けに目標とされるガラス転移温度及び弾性率に応じて、伸展油の含量は0〜80phr、優先的には0〜50phr、より優先的には5〜50phrの幅の範囲内であることが好ましい。
優先的には、トレッドはすべてのこれらの添加剤を同時に含有しておらず、より優先的にはさらに、トレッドはこれらの添加剤を全く含有しない。
上記で説明したように、本発明に従って使用できるトレッドはタイヤの硬化後に電子衝撃によって架橋される。
好ましくは、この電子衝撃はベータ線によって行われる。
したがって、好ましくは、本発明によるタイヤで使用できるトレッドは、電子衝撃によって少なくとも50kGy、好ましくは70〜300kGyの範囲の曝露レベルで架橋される。
同様に、また場合により、本発明のトレッドは当業者に既知の架橋系を含有してもよい。
しかし、優先的には、トレッドは架橋系を含有しない。したがって、電子衝撃による架橋は好ましくは、本発明によるタイヤで使用できるトレッドの唯一の架橋である。
1.10以上である比
G’(200℃)(xkGy)は、電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋されたトレッドの200℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(40℃)(xkGy)は、電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋されたトレッドの40℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(200℃)(0kGy)は、電子衝撃によって架橋されていないトレッドの200℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(40℃)(0kGy)は、電子衝撃によって架橋されていないトレッドの40℃におけるせん断弾性係数である。
好ましくは、この比は1.10〜75で様々である。
このトレッドは従来の方法でタイヤの上に取り付けられてもよく、前記タイヤは、トレッドに加えて、クラウン、2つの側壁及び2つのビード、2つのビードへ固定されたカーカス補強材、及びクラウン補強材を含む。
場合により、上記のように、本発明によるタイヤはトレッドのパターン形成部分とクラウン補強材との間に下層又は接着層も含んでいてもよい。
一般に、本発明によるタイヤは、自家用タイプの自動車、SUV(スポーツ用途車)、二輪自動車(特にモーターバイク)、航空機、またさらに産業車両、例えばバン、重量物運搬車、及び他の輸送車両又は材料運搬車両などに装備されることを意図している。
高荷重車両は、地下鉄、バス、及び重量物道路輸送車両、例えば大型トラック、トラクター、トレーラーなど、並びに不整地車両、例えば農業車両又は土木車両など特に含んでいてもよい。
本発明に従って使用できるトレッドは、一度タイヤが硬化されると、電子衝撃により架橋されるという際だった特徴を有する。
この架橋はトレッド内で主に炭素−炭素結合を形成させる。
したがって、これは改善された高温剛性がトレッドに与えられることを可能にする。
以下のステップ:
− トレッドを押出加工するステップと、次いで
− 押出加工したトレッドをタイヤ上に配置するステップと、次いで
− タイヤを硬化させるステップと、次いで
− 電子衝撃によってトレッドを架橋させるステップと
を含む、上記で定義されるタイヤのトレッドを調製する方法にも関する。
したがって、マトリックスを溶融させすべての成分を取り込むように、様々な成分を二軸押出機中に加え、続いて賦形された部材の製造を可能にするダイを使用することによって、本発明によるタイヤのトレッドを最初に従来の方法で調製する。
トレッドの様々な成分は、例えばビーズ又はペレットの形態で入手可能な上記の熱可塑性エラストマーである。
次いでトレッドをタイヤ上に置く。
次いでタイヤを硬化させる。次いでトレッドは一般にタイヤを硬化させるためのモールドの中でパターン形成される。
トレッドを最後に電子衝撃によって架橋させる。
好ましくは、この電子衝撃はベータ線によって行われる。
好ましくは、線量は少なくとも50kGy、好ましくは70〜300kGyで様々である。
本発明及びその利点は、以下の図及び例示的な実施形態を参照してさらに完全に理解されることになる。
添付の図1は、本発明によるタイヤの径方向断面を図式的に表す(特定のスケールに従っていない)。
より具体的には、タイヤベルトは一般に、「ワーキング」プライ又は「クロス」プライとも呼ばれることがある、少なくとも2つの重ね合わせたベルトプライで構成され、その補強部材又は「補強材」はプライの内部で実質的に互いに平行に配置されているが、一方のプライから他のプライへ横断して、すなわち検討されるタイヤのタイプに応じて中央の周方向の面に対して一般に10°と45°の間である角度で、対称的又は非対称に傾斜して配置されている。これらの2つのクロスプライの各々は、補強材を被覆するゴムマトリックス又は「カレンダー加工ゴム」で構成されている。ベルトにおいて、クロスプライは、補強材を含む又は含まない、状況次第で様々であってもよい幅を有する様々な他の補助的ゴムプライ又は層で補われていてもよい;例として、単純なゴムクッション、外部攻撃又は穿通からベルトの残り部分を保護する役割を有する「保護」プライ、又はクロスプライに対して径方向外側であるか内側であるかにはかかわらず実質的に周方向に沿って配向している補強材を含む「フープ」プライ(「ゼロ度」プライ)が挙げられることになる。
上記のベルトの補強のために、特にそれらのクロスプライ、保護プライ、又はフーププライの補強のために、スチールコード又は編む若しくは撚ることによって共に組まれた細糸で構成されるテキスタイルコードの形態である補強材が一般に使用される。
G’(T)(せん断弾性係数)の測定
G’(T)の測定方法は、標準の200in.lbs(22.6Nm)粘度センサーを備えたRPA 2000LVレオロジーデバイス(振動式ディスクレオメーター)を使用する。RPAデバイスは、二重円錐の壁を有するチャンバー中に封入された材料の試料にねじりの応力を与えることを可能にする。
最初に、チャンバー中に封入された試料に1.7Hzで2.8%のピーク間ひずみで、170℃の温度を7分間かけることによって成形操作を行う。
図2のような、温度の関数としてのG’の変化の曲線が得られ、この曲線から、40℃及び200℃における組成物のG’弾性係数を抽出できる。
RPAデバイスをプログラミングすることにより、成形ステップ及びG’測定ステップは、干渉することなく行われる。
40℃及び200℃におけるそれらのG’(T)弾性係数を測定した。
結果を以下の表2に示す。
Claims (21)
- 1つ又は複数の熱可塑性エラストマーに基づくトレッド(3)と、クラウン補強材(2)を含むクラウンと、2つの側壁(5)と、2つのビード(4)と、2つのビード(4)へ固定され一方の側壁(5)から他方へ延びるカーカス補強材(6)とを含むタイヤ(1)であって、
前記1つ又は複数の熱可塑性エラストマーが、少なくとも1つのエラストマーブロック及び少なくとも1つの熱可塑性ブロックを含み、
トレッド(3)が、タイヤの硬化後に電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋され、この架橋は主に炭素−炭素結合を形成するものであり、
xは、下記の比:
G’(200℃)(xkGy)が、電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋されたトレッドの200℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(40℃)(xkGy)が、電子衝撃によってx kGyの曝露レベルで架橋されたトレッドの40℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(200℃)(0kGy)が、電子衝撃によって架橋されていないトレッドの200℃におけるせん断弾性係数であり、
G’(40℃)(0kGy)が、電子衝撃によって架橋されていないトレッドの40℃におけるせん断弾性係数である
ことを特徴とする、タイヤ。 - 1つ又は複数の熱可塑性エラストマーが、25℃以下、好ましくは10℃以下のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
- 熱可塑性エラストマーの数平均分子量が、30000と500000g/molの間、好ましくは40000と400000g/molの間、より好ましくは50000と300000g/molの間であることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 熱可塑性エラストマーの1つ又は複数のエラストマーブロックが、エチレン系エラストマー、ポリエーテル、部分的に又は完全に水素化されていてもよいジエンエラストマー、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- 熱可塑性エラストマーの1つ又は複数のエラストマーブロックが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリエーテル、エチレン−ブチレンコポリマー、部分的に又は完全に水素化されていてもよいスチレン−ブタジエンコポリマー、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のタイヤ。
- 熱可塑性エラストマーの1つ又は複数の熱可塑性ブロックが、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ素化化合物、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリラート、ポリエーテルイミド、熱可塑性コポリマー、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- 熱可塑性エラストマーの1つ又は複数の熱可塑性ブロックが、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- 熱可塑性エラストマーの1つ又は複数の熱可塑性ブロックが、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のタイヤ。
- 1つ又は複数の熱可塑性エラストマーが、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン(SEBS)、ポリエーテル/ポリエステル(COPE)、ポリエーテル/ポリアミド(PEBA)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/水素化されていてもよいブタジエン−スチレンコポリマー/スチレン(SOE)ブロックコポリマー、及びこれらのポリマーの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- トレッドの熱可塑性エラストマー含量が65〜100phr、好ましくは70〜100phr、より好ましくは75〜100phr、さらにより好ましくは95〜100phr(百重量部のエラストマーに対する重量部)の範囲内であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- 1つ又は複数の熱可塑性エラストマーが、トレッドの唯一のエラストマーであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- トレッドが、1つ又は複数の非熱可塑性エラストマーをさらに含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- トレッドが、少なくとも1つの可塑化剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- 少なくとも1つの可塑化剤が、可塑化樹脂及び可塑化オイルから選択されることを特徴とする、請求項13に記載のタイヤ。
- 少なくとも1つの可塑化剤がパラフィン系油であることを特徴とする、請求項13及び14のいずれか1項に記載のタイヤ。
- トレッドが、電子衝撃によって少なくとも50kGy、好ましくは70〜300kGyの範囲の曝露レベルで架橋されることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- トレッドが架橋系を含有しないことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載のタイヤ。
- − トレッドを押出加工するステップと、次いで
− 押出加工したトレッドをタイヤ上に配置するステップと、次いで
− タイヤを硬化させるステップと、次いで
− 電子衝撃によってトレッドを架橋させるステップと
を含む、
請求項1から18までのいずれか1項に記載のタイヤを調製する方法。 - 電子衝撃がベータ線によって行われることを特徴とする、請求項19に記載の調製方法。
- 線量が少なくとも50kGyであり、好ましくは70〜300kGyの範囲内であることを特徴とする、請求項19又は20に記載の調製方法。
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