JP2018537470A - n−ブテンの酸化脱水素によるブタジエンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
A)n−ブテンを含むフィードガス流aを提供するステップと、B)前記n−ブテンを含むフィードガス流aと酸素含有ガスとを脱水素反応器に供給してn−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素を行うステップと、C)急冷塔を含む少なくとも1つの冷却段階と圧縮装置を含む圧縮段階とにおいて前記生成ガス流bを冷却および圧縮し、その際、前記生成ガス流bを循環路内で搬送される少なくとも1つの冷媒と接触させるステップと、D)前記C4炭化水素を循環路内で搬送される少なくとも1つの吸収剤に吸収させることによって、非凝縮性の低沸点ガス成分を前記ガス流c2からガス流d2として分離するステップと、E)前記C4生成物流d1を、ブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1とn−ブテンを含む物質流e2とに分離するステップと、F)前記ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流f1とブタジエンを含む物質流f2とを得るステップとを含む方法において、以下(i)〜(iii):(i)前記脱水素ゾーンに供給される酸素含有ガス流中の酸素濃度をモニタリングすることによって爆発性ガス混合物の形成を回避し、かつ前記酸素含有ガス流および前記炭化水素含有ガス流の質量流量を、爆発性ガス混合物が生じ得ないように制御する措置と、(ii)前記脱水素ガス混合物中の酸素濃度が限界値を超えたら前記脱水素ゾーンへの前記酸素含有ガス混合物の供給を中断する措置と、(iii)前記ステップA)〜F)を爆発に耐え得るように構成されている設備内で行う措置であって、ここで、液体搬送管は爆発に耐え得るように構成されており、かつガス導管はデトネーションに耐え得るように構成されているものとする措置とを行うことを特徴とする方法。
Description
説明
本発明は、n−ブテンの酸化脱水素によるブタジエンの製造方法に関する。
本発明は、n−ブテンの酸化脱水素によるブタジエンの製造方法に関する。
ブタジエンは重要な基礎化学物質であり、例えば合成ゴム(ブタジエンホモポリマー、スチレン−ブタジエンゴムまたはニトリルゴム)の製造や熱可塑性ターポリマー(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)の製造に使用される。ブタジエンはさらに、(1,4−ジクロロブテンおよびアジピン酸ジニトリルを経て)スルホランやクロロプレンや1,4−ヘキサメチレンジアミンへと転化される。さらに、ブタジエンの二量化によってビニルシクロヘキセンを製造することも可能であり、このビニルシクロヘキセンの脱水素によってスチレンを得ることができる。
ブタジエンは、飽和炭化水素の熱分解(スチームクラッキング)により製造可能であり、通常は原料としてのナフサから出発する。ナフサのスチームクラッキングによって、メタン、エタン、エテン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、アレン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ブチン、メチルアレン、C5以上の高級炭化水素の炭化水素混合物が生成される。
n−ブテン(1−ブテンおよび/または2−ブテン)の酸化脱水素によってブタジエンを得ることも可能である。n−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素(オキシ脱水素、ODH)の出発ガス混合物として、n−ブテンを含む任意のあらゆる混合物を利用することができる。例えば、主成分としてn−ブテン(1−ブテンおよび/または2−ブテン)を含み、かつブタジエンおよびイソブテンの除去によってナフサクラッカーのC4留分から得られた留分を使用することができる。さらに、エチレンの二量化によって得られた、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンまたはそれらの混合物を含むガス混合物を出発ガスとして使用することも可能である。さらに、流動接触分解(FCC)によって得られたn−ブテン含有ガス混合物を出発ガスとして使用することも可能である。
ブテンからブタジエンへの酸化脱水素方法は、基本的に知られている。
例えば米国特許出願公開第2012/0130137号明細書(US 2012/0130137A1)には、モリブデン、ビスマスおよび通常さらなる金属の酸化物を含む触媒を用いた前述の方法が記載されている。こうした酸化脱水素触媒の持続的な活性を維持するためには、還元が過度に生じることによる該触媒の性能の低下を避けるべく、ガス雰囲気中の酸素分圧を臨界的な最小限の程度に抑えることが必要である。この理由から、通常は、オキシ脱水素反応器内で化学量論量の酸素を使用して運転することや、酸素を完全に転化させて運転することも不可能である。例えば米国特許出願公開第2012/0130137号明細書(US 2012/0130137)には、出発ガス中の酸素含有量が2.5〜8体積%であることが記載されている。
こうした触媒系に過剰の酸素が必要であることは一般に知られており、このことは、こうした触媒の試験条件やプロセス条件に反映される。代表例として、Jungらによる最新の研究(Catal. Surv. Asia 2009, 13, 78−93; DOI 10.1007/s10563−009−9069−5 and Applied Catalysis A: General 2007, 317, 244−249; DOI 10.1016/j.apcata.2006.10.021)が挙げられる。
長い管の場合(すなわち管の長さが管の直径の少なくとも約50倍である場合)には、管内が相応する化学量論比(空気比λ=1、理想的混合物)になると、炭化水素/酸素混合物の爆発がデトネーションへと急変することがある。石油化学産業における従来技術によれば、加圧下にあるシステムにおいて爆発に耐え得る構造が存在する場合に、そうした構造を設けるのと同時に例えば以下の措置を講じることによって、爆発からデトネーションへの急変が阻止される:
− 内部構造物の配置、
− バルク体の導入、
− 防爆フィルターの設置、
− 束状体としての管構成、
− 消火システム(粉末)の設置、
− 液体ミスト。
− 内部構造物の配置、
− バルク体の導入、
− 防爆フィルターの設置、
− 束状体としての管構成、
− 消火システム(粉末)の設置、
− 液体ミスト。
こうした内部構造物は嵩高いため、間隙幅が狭くなり、そして表面積が大きくなり、これによって爆発が停止する。伝播火炎は冷却され、理想的なケースでは最後に消失する。
こうした措置のいずれも、表面積を大きくし、隙間寸法を小さくするという点で共通している。しかし、ブテンからブタジエンへの酸化脱水素方法において流れる炭化水素混合物は、無視できない濃度の1,3−ブタジエンを意図的に含んでいる。この物質は、間隙内や表面上で重合する性質をもつ。したがって、重合によって堆積物が生じることで内部構造物が完全に閉塞/目詰まりするまでの稼働時間が短すぎるため、上記の防護措置を講じても、1,3−ブタジエンの製造方法においては満足とは言えない。
本発明の課題は、n−ブテンからブタジエンを製造するための最大限安全な方法を提供することである。人や周囲環境が危険に曝されないようにするという相応する安全コンセプトを確実なものとしなければならない。
前記課題は、n−ブテンからブタジエンを製造する方法であって、以下:
A) n−ブテンを含むフィードガス流aを提供するステップと、
B) 前記n−ブテンを含むフィードガス流aと酸素含有ガスとを、脱水素反応器を含む少なくとも1つの脱水素ゾーンに供給してn−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素を行うことにより、ブタジエンと、未反応n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む生成ガス流bを得るステップと、
C) 前記生成ガス流bを、
少なくとも1つの急冷塔を含む少なくとも1つの冷却段階と、
少なくとも1つの圧縮装置を含むとともに、必要に応じて前記圧縮装置の間にある1つまたは複数の中間冷却装置を含む、少なくとも1つの圧縮段階と
において冷却および圧縮し、その際、前記生成ガス流bを、循環路内で搬送される少なくとも1つの冷媒と接触させることにより、
水を含む少なくとも1つの凝縮物流c1と、
ブタジエンと、n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含むガス流c2と
を得るステップと、
D) 前記ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を、循環路内で搬送される少なくとも1つの吸収剤に吸収させることによって、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む非凝縮性の低沸点ガス成分を、前記ガス流c2からガス流d2として分離して、C4炭化水素が負荷された少なくとも1つの吸収剤流と、前記ガス流d2とを得て、次いで、前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させて、C4生成ガス流d1を得るステップと、
E) 前記C4生成物流d1を、ブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1と、n−ブテンを含む物質流e2とに分離するステップと、
F) 前記ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とを得るステップと
を含む方法において、以下の(i)〜(iii):
(i) 前記脱水素ゾーンに供給される酸素含有ガス流中の酸素濃度をモニタリングすることによって爆発性ガス混合物の形成を回避し、かつ前記酸素含有ガス流および前記炭化水素含有ガス流の質量流量を、爆発性ガス混合物が生じ得ないように制御する措置と、
(ii) 前記脱水素ガス混合物中の酸素濃度が限界値を超えたら、前記脱水素ゾーンへの前記酸素含有ガス混合物の供給を中断する措置と、
(iii) 前記ステップA)〜F)を、爆発に耐え得るように構成されている設備内で行う措置であって、ここで、液体搬送管は、爆発に耐え得るように構成されており、かつガス導管は、デトネーションに耐え得るように構成されているものとする措置と
を行うことを特徴とする方法によって解決される。
A) n−ブテンを含むフィードガス流aを提供するステップと、
B) 前記n−ブテンを含むフィードガス流aと酸素含有ガスとを、脱水素反応器を含む少なくとも1つの脱水素ゾーンに供給してn−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素を行うことにより、ブタジエンと、未反応n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む生成ガス流bを得るステップと、
C) 前記生成ガス流bを、
少なくとも1つの急冷塔を含む少なくとも1つの冷却段階と、
少なくとも1つの圧縮装置を含むとともに、必要に応じて前記圧縮装置の間にある1つまたは複数の中間冷却装置を含む、少なくとも1つの圧縮段階と
において冷却および圧縮し、その際、前記生成ガス流bを、循環路内で搬送される少なくとも1つの冷媒と接触させることにより、
水を含む少なくとも1つの凝縮物流c1と、
ブタジエンと、n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含むガス流c2と
を得るステップと、
D) 前記ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を、循環路内で搬送される少なくとも1つの吸収剤に吸収させることによって、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む非凝縮性の低沸点ガス成分を、前記ガス流c2からガス流d2として分離して、C4炭化水素が負荷された少なくとも1つの吸収剤流と、前記ガス流d2とを得て、次いで、前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させて、C4生成ガス流d1を得るステップと、
E) 前記C4生成物流d1を、ブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1と、n−ブテンを含む物質流e2とに分離するステップと、
F) 前記ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とを得るステップと
を含む方法において、以下の(i)〜(iii):
(i) 前記脱水素ゾーンに供給される酸素含有ガス流中の酸素濃度をモニタリングすることによって爆発性ガス混合物の形成を回避し、かつ前記酸素含有ガス流および前記炭化水素含有ガス流の質量流量を、爆発性ガス混合物が生じ得ないように制御する措置と、
(ii) 前記脱水素ガス混合物中の酸素濃度が限界値を超えたら、前記脱水素ゾーンへの前記酸素含有ガス混合物の供給を中断する措置と、
(iii) 前記ステップA)〜F)を、爆発に耐え得るように構成されている設備内で行う措置であって、ここで、液体搬送管は、爆発に耐え得るように構成されており、かつガス導管は、デトネーションに耐え得るように構成されているものとする措置と
を行うことを特徴とする方法によって解決される。
本発明によれば、本方法の安全性は、一連の措置によって保証される。一方では、プラント内部(内部構造物)の保全性を維持するために、安全指向でプラントを停止させることが予定される。したがって、脱水素反応器に供給される酸素含有ガス流における、状況に応じて変動する酸素濃度を、適切なオンライン分析によってモニタリングする。さらに、酸素含有ガス流および炭化水素含有ガス流の質量流量を、認証を受けた量測定部によって比を相応して調節してモニタリングする。これによって、運転上の変動とオンライン分析の精度とを考慮して、プロセス流中の現在の酸素濃度と爆発下限との差が確実に最小限になるように維持する。酸素濃度が爆発下限の限界値を超えたら、反応器またはプラント全体を停止させる。
「反応器の停止」とは、反応器へのフィードガス流を中断することと理解されるが、ただし少なくとも、例えば該当する管内の弁の閉鎖により反応器への酸素供給を中断することと理解される。
「プラント全体の停止」とは、プラントへの該当するすべてのフィードガス流、プラントから得られる生成物流およびプラント内の流れを中断することと理解され、これは例えば、該当する管内の弁を閉鎖し、かつ必要に応じてプラントを安全な状態へと移行させるためのさらなる措置を講じることによって行われる。
他方では、周囲環境に対するプラントの保全性を確保すべく、爆発の危険に曝される構造集成体内のガス搬送設備を爆発に耐え得るように構成し、かつガス搬送管をデトネーションに耐え得るように構成する。したがって、該当する構造集成体内のガス搬送設備および液体搬送管を、爆発に耐え得るように構成する。従来技術とは対照的に、遮られていない長さがその直径の少なくとも50倍であるガス搬送管を、デトネーションに耐え得るように設計する。ガスが流れる設備であって流れの長さが短いという意味での「短い」設備を爆発に耐え得るように設計することと、「長い」管をデトネーションに耐え得るように設計することとを組み合わせることで、プラントの設計が固有の安全なものとなる。ガスが流れる設備の長さおよび直径は、デトネーションを排除できるように選択される。さらに、蒸留塔内の内部構造物(トレイ)を、気密となるように構成する。プロセス工学的に可能である場合には、管内での爆発が付属のプラント構成要素へと伝播するのを防ぐ目的で、ガス供給管を液体に沈める。冷却装置を、熱交換器としてではなく直接冷却装置として構成することが好ましい。
以下の設備:
− ステップB)で使用する脱水素反応器;
− ステップC)で使用する急冷塔;
− ステップC)で使用する圧縮装置;
− ステップC)で使用する中間冷却装置;
− ステップF)で使用する蒸留塔;
− 溶媒再生ユニットで使用するデカンター;
のうちの1つまたは複数が、爆発に耐え得るように設計されていることが好ましい。
− ステップB)で使用する脱水素反応器;
− ステップC)で使用する急冷塔;
− ステップC)で使用する圧縮装置;
− ステップC)で使用する中間冷却装置;
− ステップF)で使用する蒸留塔;
− 溶媒再生ユニットで使用するデカンター;
のうちの1つまたは複数が、爆発に耐え得るように設計されていることが好ましい。
爆発に耐え得る構成に関しては、以下のように説明される:爆発とは、層流の火炎前線を伴う、着火性混合物の制御されない燃焼をいう。空気/炭化水素混合物が化学量論量で存在する場合には、最大爆発圧力上昇は10倍と算出される。
したがって、爆発に耐え得る構成とは、圧力上昇分が最大で10倍であるものと想定して設備または管が設計されていることを意味する。
デトネーションに耐え得る構成に関しては、以下のように説明される:ある流れの長さの後に、可燃性物質や酸素の濃度が最小限であっても爆発がデトネーションへと急変する場合がある。このことは、火炎前線が音速を上回る速度で加速する場合に起こる。圧力上昇係数は50以上となり得る。
ガス搬送管および設備の長さ:直径の比を適切に選択することによって、デトネーションを排除することができる。この比を、総じて50以下:1とすることができる。この比が50超:1である場合には、管をデトネーションに耐え得るように設計する。
したがって本発明によれば、ステップA)〜F)の設備の間で、ガス導管が、デトネーションが排除されるような長さと直径との比を有するか、または該当するガス搬送管をデトネーションに耐え得るように設計する。前述の比は、総じて50以下:1である。これよりも高い比の場合には、導管をデトネーションに耐え得るように設計する。該当する管を、例えば最大運転圧力の50倍を想定して設計する。例えば運転圧力が5バールである場合、設計圧力は250バールと算出される。次に、この圧力に相応して管の材料および肉厚を選択する(=機械的設計)。
ステップC)で使用する中間冷却装置は、好ましくは直接冷却装置として構成されている。これらの直接冷却装置を、内部構造物を備えた縦型の塔として構成する。内部構造物としては、例えばポールリングなどの不規則充填物や、規則充填物や、好ましくは例えばシーブトレイ、カスケードトレイまたはバルブトレイなどの塔棚板が挙げられる。例えば水や、例えばトルエンや好ましくはメシチレンといった炭化水素などの液体冷媒を、冷却すべきガス流と並流で搬送するか、または好ましくはこれと向流で搬送する。
ステップD)、E)および/またはF)で使用する蒸留塔は、好ましくは気密の塔棚板を備えた棚段塔として構成されている。
さらに、ステップD)、E)および/またはF)で使用する蒸留塔へのガス供給管は、液体に浸っていることが好ましい。
ステップA)〜F)の設備の間のガス導管は、デトネーションが起こり得ないような長さ:直径の比を有する。この長さ:直径の比は、好ましくは50以下:1である。
冷媒として、ステップC)において、水、アルカリ性水溶液、有機溶媒またはそれらの混合物を使用することができる。有機溶媒を使用することが好ましい。例えばトルエンやキシレンやメシチレンといった芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
以下の実施形態は、本発明による方法の好ましいまたは特に好ましい変形例である。
ステップC)は、少なくとも1つの冷却段階Ca)および圧縮段階Cb)を含む。段階Ca)を、複数の段階Ca1)〜Can)において多段階で行うことが好ましく、特に2つの段階Ca1)およびCa2)において2段階で行うことが好ましい。この場合、一変形例では、第2の段階Ca2)を通過した後の冷媒の少なくとも一部を、第1の段階Ca1)に冷媒として供給する。
段階Cb)は、総じて、少なくとも1つの圧縮段階Cba)および少なくとも1つの冷却段階Cbb)を含む。好ましくは、少なくとも1つの冷却段階Cbb)において、圧縮段階Cba)で圧縮したガスを冷媒と接触させる。特に好ましくは、冷却段階Cbb)の冷媒は、段階Ca)で冷媒として使用する有機溶媒と同一の有機溶媒を含む。特に好ましい一変形例では、少なくとも1つの冷却段階Cbb)を通過した後のこの冷媒の少なくとも一部を、段階Ca)に冷媒として供給する。
好ましくは、段階Cb)は、複数の圧縮段階Cba1)〜Cban)および冷却段階Cbb1)〜Cbbn)を含み、例えば4つの圧縮段階Cba1)〜Cba4)および4つの冷却段階Cbb1)〜Cbb4)を含む。
圧縮段階Cba1)〜Cban)は、好ましくはいずれも爆発に耐え得るように設計されている。
冷却段階Cbb1)〜Cbbn)は、好ましくはいずれも直接冷却装置として形成されている。
好ましくは、ステップD)は、Da)〜Dc)を含む:
Da) ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を高沸点吸収剤に吸収させることによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤流とガス流d2と得るステップ、
Db) 非凝縮性ガス流によるストリッピングによって、ステップDa)で得られた前記C4炭化水素が負荷された吸収剤流から酸素を除去するステップ、および
Dc) 前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させることによって、C4生成ガス流d1を得るステップ。その際、このC4生成ガス流d1は、好ましくは100ppm未満の酸素含有量を有する。
Da) ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を高沸点吸収剤に吸収させることによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤流とガス流d2と得るステップ、
Db) 非凝縮性ガス流によるストリッピングによって、ステップDa)で得られた前記C4炭化水素が負荷された吸収剤流から酸素を除去するステップ、および
Dc) 前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させることによって、C4生成ガス流d1を得るステップ。その際、このC4生成ガス流d1は、好ましくは100ppm未満の酸素含有量を有する。
一実施形態では、ステップD)で使用する吸収剤は、ステップC)で使用する冷媒と同一の有機溶媒であり、C4炭化水素を脱着させた後のこの吸収剤の少なくとも一部を、ステップC)に冷媒として供給する。本実施形態の好ましい一変形例において、吸収剤および冷媒は、トルエン、キシレンまたはメシチレンである。
本方法の好ましい実施形態を図1〜3に示すとともに、以下に詳細に説明する。
ステップA)において、n−ブテンを含むフィードガス流を提供する。
フィードガス流として、純粋なn−ブテン(1−ブテンおよび/またはシス/トランス−2−ブテン)を使用してもよいし、ブテン含有ガス混合物を使用してもよい。こうしたガス混合物を、例えばn−ブタンの非酸化脱水素によって得ることができる。主成分としてn−ブテン(1−ブテンおよびシス/トランス−2−ブテン)を含み、かつブタジエンおよびイソブテンの除去によってナフサクラッキングのC4留分から得られた留分を使用することも可能である。さらに、エチレンの二量化によって得られた、純粋な1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンまたはそれらの混合物を含むガス混合物を出発ガスとして使用することも可能である。さらに、流動接触分解(FCC)によって得られたn−ブテン含有ガス混合物を出発ガスとして使用することも可能である。
本発明による方法の一実施形態では、n−ブテンを含む出発ガス混合物は、n−ブタンの非酸化脱水素によって得られたものである。非酸化接触脱水素と、形成されたn−ブテンの酸化脱水素とを組み合わせることによって、使用するn−ブタンに対して高収率のブタジエンを得ることができる。n−ブタンの非酸化接触脱水素の際に、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテンおよび未反応n−ブタンの他に副成分を含むガス混合物が得られる。通常の副成分は、水素、水蒸気、窒素、COおよびCO2、メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペンである。第1の脱水素ゾーンを出るガス混合物の組成は、脱水素の運転様式に応じて大きく変動し得る。例えば酸素および追加の水素を供給して脱水素を行った場合、生成ガス混合物は、比較的高い含有量の水蒸気および炭素酸化物を有する。酸素を供給しない運転様式の場合、非酸化脱水素の生成ガス混合物は、比較的高い含有量の水素を有する。
ステップB)において、n−ブテンを含むフィードガス流と酸素含有ガスとを少なくとも1つの脱水素ゾーン1(ODH反応器)に供給し、このガス混合物に含まれるブテンをオキシ脱水素触媒の存在下で酸化脱水素することにより、ブタジエンを得る。
オキシ脱水素に適した触媒は、総じてMo−Bi−O含有多金属酸化物系をベースとしており、こうした系は、通常は鉄をさらに含む。総じて、こうした触媒系は、例えばカリウム、セシウム、マグネシウム、ジルコニウム、クロム、ニッケル、コバルト、カドミウム、スズ、鉛、ゲルマニウム、ランタン、マンガン、タングステン、リン、セリウム、アルミニウムまたはケイ素などのさらなる追加の成分を含む。鉄を含むフェライトも触媒として提案されている。
好ましい一実施形態では、多金属酸化物は、コバルトおよび/またはニッケルを含む。さらに好ましい一実施形態では、多金属酸化物はクロムを含む。さらに好ましい一実施形態では、多金属酸化物はマンガンを含む。
Mo−Bi−Fe−O含有多金属酸化物の例は、Mo−Bi−Fe−Cr−O含有多金属酸化物またはMo−Bi−Fe−Zr−O含有多金属酸化物である。好ましい系は、例えば、米国特許第4,547,615号明細書(US 4,547,615)(Mo12BiFe0.1Ni8ZrCr3K0.2OxおよびMo12BiFe0.1Ni8AlCr3K0.2Ox)、米国特許第4,424,141号明細書(US 4,424,141)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5P0.5K0.1Ox+SiO2)、独国特許出願公開第2530959号明細書(DE−A 25 30 959)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5Cr0.5K0.1Ox、Mo13.75BiFe3Co4.5Ni2.5Ge0.5K0.8Ox、Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5Mn0.5K0.1OxおよびMo12BiFe3Co4.5Ni2.5La0.5K0.1Ox)、米国特許第3,911,039号明細書(US 3,911,039)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5Sn0.5K0.1Ox)、独国特許出願公開第2530959号明細書(DE−A 25 30 959)および独国特許出願公開第2447825号明細書(DE−A 24 47 825)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5W0.5K0.1Ox)に記載されている。
好適な多金属酸化物およびそれらの製造は、さらに米国特許第4,423,281号明細書(US 4,423,281)(Mo12BiNi8Pb0.5Cr3K0.2OxおよびMo12BibNi7Al3Cr0.5K0.5Ox)、米国特許第4,336,409号明細書(US 4,336,409)(Mo12BiNi6Cd2Cr3P0.5Ox)、独国特許出願公開第2600128号明細書(DE−A 26 00 128)(Mo12BiNi0.5Cr3P0.5Mg7.5K0.1Ox+SiO2)および独国特許出願公開第2440329号明細書(DE−A 24 40 329)(Mo12BiCo4.5Ni2.5Cr3P0.5K0.1Ox)に記載されている。
モリブデンと少なくとも1つのさらなる金属とを含む、触媒活性を示す特に好ましい多金属酸化物は、一般式(Ia):
Mo12BiaFebCocNidCreX1 fX2 gOy (Ia)
[式中、
X1は、Si、Mnおよび/またはAlであり、
X2は、Li、Na、K、Csおよび/またはRbであり、
0.2≦a≦1であり、
0.5≦b≦10であり、
0≦c≦10であり、
0≦d≦10であり、
2≦c+d≦10であり、
0≦e≦2であり、
0≦f≦10であり、
0≦g≦0.5であり、
yは、電荷中立性が保たれることを前提として(Ia)における酸素以外の元素の価数および存在量によって決定される数である]
を有する。
Mo12BiaFebCocNidCreX1 fX2 gOy (Ia)
[式中、
X1は、Si、Mnおよび/またはAlであり、
X2は、Li、Na、K、Csおよび/またはRbであり、
0.2≦a≦1であり、
0.5≦b≦10であり、
0≦c≦10であり、
0≦d≦10であり、
2≦c+d≦10であり、
0≦e≦2であり、
0≦f≦10であり、
0≦g≦0.5であり、
yは、電荷中立性が保たれることを前提として(Ia)における酸素以外の元素の価数および存在量によって決定される数である]
を有する。
触媒活性を示す酸化物材料が2つの金属CoおよびNiのうちCoのみを有する(d=0である)触媒が好ましい。X1は、好ましくはSiおよび/またはMnであり、X2は、好ましくはK、Naおよび/またはCsであり、特に好ましくは、X2はKである。
分子状酸素を含むガスは、総じて、分子状酸素を10体積%より多く、好ましくは15体積%より多く、さらにより好ましくは20体積%より多く含む。これは、好ましくは空気である。分子状酸素の含有量の上限は、総じて50体積%以下であり、好ましくは30体積%以下であり、さらにより好ましくは25体積%以下である。さらに、分子状酸素を含むガス中には、任意の不活性ガスが含まれていてよい。可能な不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、CO、CO2および水が挙げられる。不活性ガスの量は、窒素の場合には、総じて90体積%以下であり、好ましくは85体積%以下であり、さらにより好ましくは80体積%以下である。窒素以外の成分の場合は、総じて10体積%以下であり、好ましくは1体積%以下である。
酸化脱水素を、n−ブテンが完全に転化するように行うためには、酸素:n−ブテンのモル比が少なくとも0.5であるガス混合物が好ましい。好ましくは、酸素:n−ブテンの比が0.55〜10の状態で作業を行う。この値に調節するために、出発物質ガスを、酸素または酸素含有ガス、例えば空気および必要に応じて追加の不活性ガスまたは水蒸気と混合することができる。次いで、得られた酸素含有ガス混合物をオキシ脱水素に供給する。
オキシ脱水素の反応温度は、総じて、反応管の周囲に存在する熱交換媒体によって制御される。こうした液体熱交換媒体としては、例えば硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムおよび/または硝酸ナトリウムなどの塩の溶融物、ならびに例えばナトリウム、水銀および種々の金属の合金などの金属の溶融物が挙げられる。しかし、イオン液体または熱媒体油を使用することもできる。熱交換媒体の温度は、220〜490℃であり、好ましくは300〜450℃であり、特に好ましくは350〜420℃である。
進行する反応は発熱性であるため、反応時に反応器内部の特定の部分の温度が熱交換媒体の温度より高くなることがあり、いわゆるホットスポットが形成される。ホットスポットの位置や程度は反応条件によって決まるが、触媒層の希釈比や混合ガスの流量によっても調整可能である。ホットスポットの温度と熱交換媒体の温度との差は、総じて1〜150℃であり、好ましくは10〜100℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。触媒層の端部の温度は、総じて、熱交換媒体の温度を0〜100℃上回り、好ましくは熱交換媒体の温度を0.1〜50℃上回り、特に好ましくは熱交換媒体の温度を1〜25℃上回る。
オキシ脱水素を、従来技術から知られているいずれの固定層型反応器で行ってもよく、例えば棚段式炉、固定層型管状反応器またはシェルアンドチューブ式反応器またはプレート式熱交換器型反応器で行うことができる。シェルアンドチューブ式反応器が好ましい。
反応器は、爆発に耐え得るように設計されている。この場合、反応器ジャケットを、予想され得る爆発圧力に相応して設計する。例えば反応器の最大運転圧力が5バールである場合、反応器内に存在するガス混合物の爆発圧力係数は10である。したがって、反応器ジャケットの機械的設計に関して、設計圧力は50バールとなる。次に、この50バールの設計圧力にしたがって、材料および肉厚を選択する。
酸化脱水素を、好ましくは固定層型管状反応器または固定層型シェルアンドチューブ式反応器内で行う。反応管は、(シェルアンドチューブ式反応器の他の要素と同様に)通常は鋼で仕上げられている。反応管の肉厚は、典型的には1〜3mmである。それらの内径は、通常(一様に)10〜50mmまたは15〜40mmであり、多くの場合20〜30mmである。シェルアンドチューブ式反応器に収容される反応管の数は、通常は少なくとも1000または3000または5000であり、好ましくは少なくとも10000である。シェルアンドチューブ式反応器に収容される反応管の数は、多くの場合15000〜30000であるか、または40000までであるか、または50000までである。反応管の長さは、通常は数mであり、反応管の長さは、典型的には1〜8mの範囲にあり、多くの場合2〜7mの範囲にあり、しばしば2.5〜6mの範囲にある。
さらに、反応器1に設置されている触媒層は、単一の層からなっていてもよいし、2つ以上の層からなっていてもよい。これらの層は、純粋な触媒からなっていてもよいし、出発ガスとも反応の生成ガスの各成分とも反応しない材料で希釈されていてもよい。さらに、触媒層は、非担持触媒からなっていてもよいし、シェル型の担持触媒からなっていてもよい。
酸化脱水素部を出る生成ガス流2は、ブタジエンの他に、総じて、未反応の1−ブテンおよび2−ブテン、酸素ならびに水蒸気をさらに含む。副成分として、この生成ガス流2は、総じて、一酸化炭素、二酸化炭素、不活性ガス(主に窒素)、低沸点炭化水素、例えばメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、ブタンおよびイソブタン、場合により水素および場合により酸素含有炭化水素、いわゆる含酸素剤をさらに含む。含酸素剤は、例えば、ホルムアルデヒド、フラン、酢酸、無水マレイン酸、ギ酸、メタクロレイン、メタクリル酸、クロトンアルデヒド、クロトン酸、プロピオン酸、アクリル酸、メチルビニルケトン、スチレン、ベンズアルデヒド、安息香酸、無水フタル酸、フルオレノン、アントラキノンおよびブチルアルデヒドであってよい。
反応器出口における生成ガス流2は、触媒層の端部の温度に近い温度を有することを特徴とする。次いで、この生成ガス流を、150〜400℃、好ましくは160〜300℃、特に好ましくは170〜250℃の温度にする。温度を所望の範囲に保つために、生成ガス流が流れる管を断熱することが可能であるが、熱交換器を使用することが好ましい。この熱交換器システムは、このシステムが生成ガスの温度を所望の水準に保つことができるのであれば、いかなるものであってもよい。適切な熱交換器の例としては、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器、多管式熱交換器、ケトルスパイラル式熱交換器、ケトルジャケット式熱交換器、液−液接触式熱交換器、空気熱交換器、直接接触式熱交換器およびフィンアンドチューブ式熱交換器が挙げられる。生成ガスの温度を所望の温度に調節する間に、生成ガス中に含まれている高沸点副生成物の一部が析出することがあるため、熱交換器システムが、好ましくは2つ以上の熱交換器を有することが望ましい。この場合、提供される2つ以上の熱交換器が並列に配置されていて、得られた熱交換器内の生成ガスを分けて冷却することが可能であれば、熱交換器に堆積する高沸点副生成物の量が減少し、その結果、その稼働時間を延長させることができる。上述の方法以外の方法として、提供される2つ以上の熱交換器が並列に配置されていてもよい。生成ガスを、1つのまたはすべてではないが複数の熱交換器に供給し、この熱交換器を、所定の稼働時間後に他の熱交換器に交換する。この方法の場合、冷却を継続して反応熱の一部を回収することができ、それと並行して、熱交換器のうちのいずれかに堆積した高沸点副生成物を除去することができる。上述の有機溶媒としては、高沸点副生成物を溶解させ得る溶媒であれば制限なく使用することができ、例えばトルエンやキシレンといった芳香族炭化水素溶媒や、例えば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水性溶媒を使用することができる。
続いて、ステップC)において、大半の高沸点副成分と大半の水とを冷却によって生成ガス流2から分離することができる。この場合、この冷却および分離を、好ましくは急冷部で行う。この急冷は、1段階からなっていてもよいし(図1中の3)、多段階からなっていてもよい(図1中の3、7)。生成ガス流2を冷媒4と直接接触させて冷却する方法を用いることが好ましい。冷媒としては、水、アルカリ性水溶液、有機溶媒またはそれらの組合せもしくは混合物を使用することができる。有機溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、ガス流中に存在する副成分の一部を取り込むことができるのであれば、いずれの溶媒を使用してもよい。例えばトルエンやキシレンやメシチレンといった溶媒が特に好ましい。
本発明による方法の好ましい一実施形態では、冷媒としてトルエンを使用する。本発明による方法の特に好ましい一実施形態では、冷媒としてメシチレンを使用する。
2段階急冷が好ましい。生成ガスの冷却温度は、反応器出口から得られる生成ガス2の温度や冷媒4の温度によって異なる。総じて、生成ガス2は、急冷部入口の上流における熱交換器の有無やその温度水準に応じて、100〜440℃の温度を有する。急冷部への生成ガス入口は、該ガス入口やそのすぐ上流における堆積物による閉塞が最小限に抑えられるかまたは防止されるように設計されていなければならない。生成ガスを、第1の急冷段階3で冷媒と接触させる。ここで、生成ガスとの可能な限り効率的な混合を達成するために、ノズルを通じて冷媒を導入することができる。これと同一の目的で、例えばさらなるノズルのような内部構造物を急冷段階に導入してもよく、これに生成ガスと冷媒とを一緒に通す。急冷部への冷媒入口は、該冷媒入口の範囲での堆積物による閉塞が最小限に抑えられるかまたは防止されるように設計されていなければならない。
総じて、第1の急冷段階において、生成ガス2を、5〜180℃、好ましくは30〜130℃、さらにより好ましくは60〜110℃に冷却する。入口での冷媒4の温度は、総じて25〜200℃であってよく、好ましくは40〜120℃であってよく、特に好ましくは50〜90℃であってよい。第1の急冷段階における圧力については特に制限がないが、総じて0.01〜4バール(ゲージ圧)であり、好ましくは0.1〜2バール(ゲージ圧)であり、特に好ましくは0.2〜1バール(ゲージ圧)である。生成ガス中に高沸点副生成物が多量に存在すると、高沸点副生成物の重合や、このプロセス領域において高沸点副生成物によって引き起こされる固形物の堆積が生じ易い。第1の急冷段階の冷却塔で使用する冷媒4を、循環させて使用する。ブタジエンの質量流量(g/時)に対する冷媒の循環流量(リットル/時)は、総じて0.0001〜5 l/gであり、好ましくは0.001〜1 l/gであり、特に好ましくは0.002〜0.2 l/gである。
底部における冷媒4の温度は、総じて27〜210℃であってよく、好ましくは45〜130℃であってよく、特に好ましくは55〜95℃であってよい。時間の経過とともに冷媒4への副成分の負荷量が増加するため、負荷冷媒の一部を循環路から抜き出して(4a)無負荷冷媒(4b)を加えることによって、循環量を一定に保つことができる。排出量と添加量との比は、第1の急冷段階の終了時における生成ガスの蒸気負荷量や生成ガス温度に依存する。生成ガス2の温度、圧力および含水量に応じて、第1の急冷段階3において水の凝縮が起こる場合がある。この場合、追加の水相5が生じ得るが、これはさらに水溶性副成分を含み得る。その場合、この追加の水相5を急冷段階3の底部で抜き出すことができる。第1の急冷段階3において水相が形成されないように運転することが好ましい。
冷却された生成ガス流6は、副成分が欠乏していることができ、これを今度は第2の急冷段階7に供給することができる。この第2の急冷段階7において、この生成ガス流6を再び冷媒8と接触させることができる。
冷媒8としては、水、アルカリ性水溶液、有機溶媒またはそれらの組合せもしくは混合物を使用することができる。有機溶媒を使用することが好ましい。上述の溶媒としては、ガス流中に存在する副成分の一部を取り込むことができるのであれば、いずれの溶媒を使用してもよい。例えばトルエンやメシチレンといった芳香族炭化水素溶媒は、これらの溶解限度が1000ppm(mg 活性酸素/kg 溶媒)を上回るため、好ましい。
総じて、生成ガスを、第2の急冷段階7のガス出口まで、5〜100℃、好ましくは15〜85℃、さらにより好ましくは30〜70℃に冷却する。冷媒を、生成ガスに対して向流で供給することができる。この場合、冷媒入口5における冷媒8の温度は、5〜100℃であってよく、好ましくは15〜85℃であってよく、特に好ましくは30〜70℃であってよい。第2の急冷段階7における圧力については特に制限がないが、総じて0.01〜4バール(ゲージ圧)であり、好ましくは0.1〜2バール(ゲージ圧)であり、特に好ましくは0.2〜1バール(ゲージ圧)である。第2の急冷段階の冷却塔で使用する冷媒8を、循環させて使用する。ブタジエンの質量流量(g/時)に対する冷媒8の循環流量(リットル/時)は、総じて0.0001〜5 l/gであり、好ましくは0.001〜1 l/gであり、特に好ましくは0.002〜0.2 l/gである。
生成ガス6の温度、圧力および含水量に応じて、第2の急冷段階7において水の凝縮が起こる場合がある。この場合、追加の水相9が生じ得るが、これはさらに水溶性副成分を含み得る。その場合、この追加の水相9を急冷段階7の底部で抜き出すことができる。この水相9が第2の急冷段階7の底部に存在する場合や、急冷部の一部において冷媒として水を使用する場合には、pH値が低い場合よりもpH値が高められた場合の方が、例えば酢酸やMSAなどのODH反応副生成物がより良好に溶解する。上記のような副生成物が溶解することによって例えば水のpH値が低下するため、アルカリ性媒体の添加によってpH値を一定に保つかまたは上昇させることができる。総じて、第2の急冷段階7の底部における水相のpH値を、1〜14、好ましくは2〜12、特に好ましくは3〜11に保つ。pH値の酸性が強いほど、供給すべきアルカリ性媒体はより少なくて済む。塩基性が強いほど、いくつかの副生成物がより良好に溶解する。しかしpH値が非常に高いと、例えばCO2などの副生成物が溶解して、アルカリ性媒体を非常に多く消費することになる。底部における冷媒8の温度は、総じて20〜210℃であってよく、好ましくは35〜120℃であってよく、特に好ましくは45〜85℃であってよい。時間の経過とともに冷媒8への副成分の負荷量が増加するため、負荷冷媒(8a)の一部を循環路から抜き出して無負荷冷媒(8b)を加えることによって、循環量を一定に保つことができる。
生成ガスと冷媒との可能な限り良好な接触を達成するために、第2の急冷段階に内部構造物が存在していてもよい。このような内部構造物には、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイや、例えばMellapak(登録商標)250Yなどの100〜1000m2/m3の比表面積を有するシートメタル充填物などの規則充填物を備えた塔や、不規則充填物を備えた塔が含まれる。
これら2つの急冷段階の循環路は、互いに分かれていてもよいし、連結して一緒になっていてもよい。したがって、例えば流れ8aを流れ4bに加えることもできるし、流れ8aを流れ4bに置き換えることもできる。適切な熱交換器によって、循環流を所望の温度に調節することができる。
急冷部から排ガス導管への液体成分の随伴を最小限に抑えるために、例えばデミスターの設置などの適切な構造的措置を講じることができる。さらに、急冷中に生成ガスから分離されない高沸点物質を、例えばさらなるガス洗浄部などのさらなる構造的措置によって生成ガスから除去することができる。ガス流10が得られ、このガス流10中には、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、場合により酸素、水素、水蒸気、少量のメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、イソブタン、炭素酸化物、不活性ガスおよび急冷部で使用した溶媒の一部が残っている。さらに、この生成ガス流中には、急冷時に定量的に分離されなかった痕跡量の高沸点成分が残っている場合がある。
次いで、この急冷部で得られた生成ガス流10を少なくとも1つの圧縮段階11で圧縮し、そして冷却段階13でさらに冷却するが、その際、水15と急冷部で使用した溶媒14とを含む少なくとも1つの凝縮物流を凝縮させると、ガス流16が残り、ここで、このガス流16は、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテン、酸素、水蒸気、場合により低沸点炭化水素、例えばメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、ブタンおよびイソブタン、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含む。さらに、この生成ガス流中には、痕跡量の高沸点成分が残っている場合がある。
ガス流10の圧縮および冷却を、1つまたは複数の段階(n段階)で行うことができる。総じて、全体として1.0〜4.0バール(絶対圧)の範囲の圧力から3.5〜20バール(絶対圧)の範囲の圧力まで圧縮を行う。各圧縮段階の後に冷却段階が続き、この冷却段階で、ガス流を15〜60℃の範囲の温度に冷却する。したがって、多段圧縮の場合には、凝縮物流は、複数の流れを含み得る。凝縮物流は、主に、水15と、急冷部で使用した溶媒16とからなる。どちらの流れもさらに、少量の低沸点成分、C4炭化水素、含酸素剤および炭素酸化物を含み得る。
冷却段階は、好ましくは直接冷却装置として形成されている。これらの直接冷却装置を、内部構造物を備えた縦型の塔として構成する。内部構造物としては、例えばポールリングなどの不規則充填物や、規則充填物や、好ましくは例えばシーブトレイ、カスケードトレイまたはバルブトレイなどの塔棚板が挙げられる。例えば水や、例えばトルエンや好ましくはメシチレンといった炭化水素などの液体冷媒を、冷却すべきガス流と並流で搬送するか、または好ましくはこれと向流で搬送する。
流れ12を冷却するためおよび/または流れ12からさらなる副成分を除去するために、急冷部で使用した凝縮した溶媒14を熱交換器で冷却し、これを冷却段階13に返送することができる。時間の経過とともに冷媒14への副成分の負荷量が増加するため、負荷冷媒14aの一部を循環路から抜き出して無負荷冷媒14bを加えることによって、循環量を一定に保つことができる。
凝縮物流14aを、急冷部の循環流4bおよび/または8bに返送することができる。そうすることで、凝縮物流14aに吸収させたC4成分をガス流中に再導入することができ、それによって収率を向上させることができる。
適切な圧縮装置は、例えばターボ式圧縮装置、回転ピストン式圧縮装置および往復ピストン式圧縮装置である。圧縮装置を、例えば電動機、エキスパンダーまたはガスタービンもしくは蒸気タービンによって駆動することができる。圧縮装置段階1つあたりの典型的な圧縮比(出口圧力:入口圧力)は、機種に応じて1.5〜3.0である。圧縮したガスを熱交換器により冷却するが、ここで、熱交換器は、例えばシェルアンドチューブ式として構成されていてもよいし、スパイラル式熱交換器として構成されていてもよいし、プレート式熱交換器として構成されていてもよく、また直接冷却装置として構成されていてもよい。
圧縮装置ハウジングは、好ましくは爆発に耐え得るように設計されている。この場合、圧縮装置ハウジングを、予想され得る爆発圧力に相応して設計する。例えば圧縮装置の最大運転圧力が5バールである場合、圧縮装置内に存在するガス混合物の爆発圧力係数は10である。したがって、圧縮装置ハウジングの機械的設計に関して、設計圧力は50バールとなる。次に、この50バールの設計圧力にしたがって、材料および肉厚を選択する。
ブタジエンと、n−ブテンと、酸素と、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン)と、場合により水蒸気と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含むガス流16を、出発流としてさらなる後処理に供給する。
ステップD)(図2)において、C4炭化水素を高沸点吸収剤(28および/または30)に吸収させ、次いでこのC4炭化水素を脱着させることによって、酸素と、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)と、炭素酸化物と、不活性ガスとを含む非凝縮性の低沸点ガス成分を、吸収塔17内でプロセスガス流16からガス流19として分離する。このステップD)は、好ましくは、下位ステップ:
Da) ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を高沸点吸収剤(28および/または30)に吸収させることによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤流とガス流19とを得るステップ、
Db) 非凝縮性のガス流18によるストリッピングによって、ステップDa)で得られたC4炭化水素が負荷された吸収剤流から酸素を除去することによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤流20を得るステップ、および
Dc) 負荷された吸収剤流からC4炭化水素を脱着させることによって、C4生成ガス流31を得るステップ
を含む。
Da) ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を高沸点吸収剤(28および/または30)に吸収させることによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤流とガス流19とを得るステップ、
Db) 非凝縮性のガス流18によるストリッピングによって、ステップDa)で得られたC4炭化水素が負荷された吸収剤流から酸素を除去することによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤流20を得るステップ、および
Dc) 負荷された吸収剤流からC4炭化水素を脱着させることによって、C4生成ガス流31を得るステップ
を含む。
この目的のために、吸収段階17においてガス流16を不活性吸収剤と接触させてC4炭化水素をこの不活性吸収剤に吸収させることによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤20と、残りのガス成分を含む排ガス19とが得られる。脱着段階において、C4炭化水素を、高沸点吸収剤から再び放出させる。
吸収段階は、当業者に知られている適切ないずれの吸収塔で行ってもよい。吸収は、生成ガス流を吸収剤に1回通すことによって行われてもよい。しかし、塔内または回転式吸収装置内で吸収を行ってもよい。その際、吸収は、並流式で行われてもよいし、向流式で行われてもよいし、直交流式で行われてもよい。吸収は、好ましくは向流式で行われる。適切な吸収塔は、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを備えた棚段塔や、例えばMellapak(登録商標)250Yなどの100〜1000m2/m3の比表面積を有するシートメタル充填物などの規則充填物を備えた塔や、不規則充填物を備えた塔である。しかし、トリクル式塔や、噴霧塔や、グラファイトブロック吸収装置や、例えば厚膜および薄膜吸収装置のような表面吸収装置や、回転塔や、プレート式洗浄装置や、交差噴霧式洗浄装置や、回転式洗浄装置も挙げられる。
吸収塔は、爆発に耐え得るように設計されている棚段塔であることが好ましい。この場合、塔ジャケットを、予想され得る爆発圧力に相応して設計する。例えば塔の最大運転圧力が10バールである場合、塔内に存在するガス混合物の爆発圧力係数は9である。したがって、塔ジャケットの機械的設計に関して、設計圧力は90バールとなる。次に、この90バールの設計圧力に相応して、材料および肉厚の双方を選択する。
吸収塔は、気密の塔棚板を備えていることが好ましい。吸収塔へのガス搬送供給管は、液体に浸っていることが好ましい。これによって、火炎前線が塔へと進行することが妨げられる。
一実施形態では、ブタジエンとn−ブテンと低沸点の非凝縮性ガス成分とを含むガス流16を、吸収塔の下部領域に供給する。吸収塔の上部領域には、高沸点吸収剤(28および/または30)を導入する。
吸収段階で使用する不活性吸収剤は、総じて高沸点の非極性溶媒であり、この溶媒に対して、分離すべきC4炭化水素混合物は、分離すべき残りのガス成分よりも著しく高い溶解性を示す。適切な吸収剤は、比較的非極性の有機溶媒、例えば脂肪族C8〜C18−アルカン、もしくは芳香族炭化水素、例えばパラフィン蒸留により得られる中間油留分、嵩高い基を有するトルエンもしくはエーテルまたはこれらの溶媒の混合物であり、これらに、例えば1,2−ジメチルフタレートなどの極性溶媒が加えられていてよい。適切な吸収剤は、さらに、安息香酸およびフタル酸と直鎖C1〜C8−アルカノールとのエステル、ならびにいわゆる熱媒体油、例えばビフェニルおよびジフェニルエーテル、それらのクロロ誘導体ならびにトリアリールアルケンである。適切な吸収剤として、ビフェニルとジフェニルエーテルとの混合物であって、好ましくは共沸組成を有するものが挙げられ、例えば市販のDiphyl(登録商標)が挙げられる。この溶媒混合物は、しばしば0.1〜25質量%の量のジメチルフタレートを含む。
好ましい吸収剤は、少なくとも1000ppm(mg 活性酸素/kg 溶媒)の有機過酸化物の溶解能力を有する溶媒である。好ましい実施形態では、吸収のための溶媒として、トルエン、キシレンまたはメシチレンを使用する。
酸素と、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)と、場合によりC4炭化水素(ブタン、ブテン、ブタジエン)と、場合により不活性ガスと、場合により炭素酸化物と、場合によりさらに水蒸気とを実質的に含む排ガス流19を、吸収塔17の頂部で抜き出す。この物質流の一部を、ODH反応器に供給することができる。これによって、例えばODH反応器への供給流を所望のC4炭化水素含有量に調節することができる。
吸収塔の底部では、ガス18でのフラッシュによって、吸収剤中に溶解した酸素の残分をさらなる塔へと排出する。残りの酸素の割合は非常に低く、好ましくは、脱着塔を出る、ブタンとブテンとブタジエンとを含む流れ31は、最大でわずか100ppmしか酸素を含まない。
ストリッピングによる酸素の除去は、当業者に知られている適切ないずれの塔で行ってもよい。ストリッピングは、負荷された吸収溶液に非凝縮性ガスを1回通すことによって行われてもよい。随伴してストリッピングによって一緒に除去されたC4炭化水素は、このガス流をこの吸収塔に返送することによって、吸収塔17の上部において再び吸収溶液へと戻される。これは、ストリッパー塔に管を設け、かつ吸収塔の下部にこのストリッパー塔を直接設置することによって行うことができる。ストリッピング塔部分の圧力と吸収塔部分の圧力とは本発明によれば同一であるため、これらの塔を直接連結することができる。適切なストリッピング塔は、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを備えた棚段塔や、例えばMellapak(登録商標)250Yなどの100〜1000m2/m3の比表面積を有するシートメタル充填物などの規則充填物を備えた塔や、不規則充填物を備えた塔である。しかし、トリクル式塔や、噴霧塔や、回転塔や、プレート式洗浄装置や、交差噴霧式洗浄装置や、回転式洗浄装置も挙げられる。適切なガスは、例えば窒素またはメタンである。
C4炭化水素が負荷された吸収剤流20は、水を含む。この水を、デカンター21内で吸収剤から流れ22として分離することにより、流れ23が得られる。この流れ23は、吸収剤に溶解した水をわずかにしか含まない。
C4炭化水素が負荷されかつ水の大半が除去された吸収剤流23を、熱交換器で加熱し、次いで流れ24として脱着塔25に導入することができる。1つの方法変形例では、脱着ステップDc)を、負荷された吸収剤の減圧および/または加熱によって行う。好ましい方法変形例は、脱着塔25の底部でリボイラーを利用することである。
脱着塔は好ましくは棚段塔であり、そのジャケットは上記のように爆発に耐え得るように設計されている。脱着塔は、気密の塔棚板を備えていることが好ましい。脱着塔へのガス搬送供給管は、液体に浸っていることが好ましい。これによって、火炎前線が塔へと進行することが妨げられる。
脱着段階で再生させた吸収剤27を熱交換器で冷却し、流れ28として吸収段階17に返送する。プロセスガス流中に存在するエタンやプロパンのような低沸点成分や、ベンズアルデヒド、マレイン酸およびフタル酸のような高沸点成分が循環流中に蓄積する場合がある。こうした蓄積を制限するために、パージ流29を抜き出し、このパージ流29を、流れ14a、8bおよび4bと同様に、従来技術による蒸留塔35(図3)内で、低沸点物36と、再生された吸収剤30(図2および3)と、高沸点物37とに分離してもよいし、好ましくは、なおも流れ29に溶解しているC4炭化水素をプロセスガス流へと戻すために、前述のパージ流29を流れ14b、8bまたは4bに加えてもよい。流れ29を蒸留塔35内で分離する場合、流れ36および37は可燃性であり、したがってこのエネルギーを利用することができる。
実質的にn−ブタンとn−ブテンとブタジエンとからなるC4生成ガス流31は、総じて、20〜80体積%のブタジエンと、0〜80体積%のn−ブタンと、0〜10体積%の1−ブテンと、0〜50体積%の2−ブテンとを含み、ここで、全量は100体積%である。さらに、少量のイソブタンが含まれている場合もある。
主にC4炭化水素を含む、脱着塔の凝縮した頂部排出物の一部を、塔の分離性能を高めるために塔頂部に流れ34として返送する。
次いで、C4生成物流32および33を、ステップE)においてブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと該選択溶媒とを含む物質流と、n−ブテンを含む物質流とに分離する。
抽出蒸留を、例えば”Erdoel und Kohle − Erdgas − Petrochemie”, volume 34(8), p.343−346または”Ullmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie”, volume 9, 4th edition 1975, p.1−18に記載されている通りに行うことができる。この目的のために、C4生成ガス流を抽出ゾーン内で抽出剤と接触させ、好ましくはN−メチルピロリドン(NMP)/水の混合物と接触させる。抽出ゾーンは、総じて、棚板や不規則充填物や規則充填物を内部構造物として含む洗浄塔の形態で構成されている。これは総じて30〜70の理論段数を有しており、それによって十分に良好な分離効果が達成される。洗浄塔は、好ましくは塔頂部に逆洗ゾーンを備えている。この逆洗ゾーンは、液体炭化水素の還流によって、気相に含まれる抽出剤を回収する役割を果たし、その目的のために頂部留分を予め凝縮しておく。抽出ゾーンのフィードにおける抽出剤対C4生成ガス流の質量比は、総じて10:1〜20:1である。抽出蒸留は、好ましくは100〜250℃の範囲の底部温度で、特に110〜210℃の範囲の温度で、10〜100℃の範囲の頂部温度で、特に20〜70℃の範囲の温度で、かつ1〜15バールの範囲の圧力で、特に3〜8バールの範囲の圧力で運転される。抽出蒸留塔は、好ましくは5〜70の理論段数を有する。
抽出蒸留塔は、好ましくは上記のように爆発に耐え得るように設計されている。抽出蒸留塔は、好ましくは気密の塔棚板を備えた棚段塔である。抽出蒸留塔へのガス搬送供給管は、液体に浸っていることが好ましい。
適切な抽出剤は、ブチロラクトン、ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、ケトン類、例えばアセトン、フルフラール、N−アルキル置換低級脂肪酸アミド類、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−ホルミルモルホリン、N−アルキル置換環状酸アミド類(ラクタム類)、例えばN−アルキルピロリドン類、特にN−メチルピロリドン(NMP)である。総じて、アルキル置換低級脂肪酸アミド類またはN−アルキル置換環状酸アミド類が用いられる。ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、フルフラールが特に有利であり、殊にNMPが有利である。
しかし、これらの抽出剤同士の混合物、例えばNMPとアセトニトリルとの混合物や、これらの抽出剤と補助溶媒および/またはt−ブチルエーテル、例えばメチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、プロピル−t−ブチルエーテル、n−ブチル−t−ブチルエーテルまたはイソブチル−t−ブチルエーテルとの混合物を使用することも可能である。特に適しているのはNMPであり、これは好ましくは水溶液で、好ましくは0〜20質量%の水を含む水溶液で、特に好ましくは7〜10質量%の水を含む水溶液で、特に8.3質量%の水を含む水溶液で使用される。
抽出蒸留塔の頂部生成物流は、実質的にブタンとブテンと少量のブタジエンとを含んでおり、これをガス状または液状で抜き出す。総じて、この実質的にn−ブタンと2−ブテンとからなる流れは、n−ブタンを最大で100体積%、2−ブテンを0〜50体積%、そして例えばイソブタン、イソブテン、プロパン、プロペンおよびC5 +炭化水素といった他の成分を0〜3体積%含む。
この実質的にn−ブタンと2−ブテンとからなる流れの全体または一部を、ODH反応器のC4フィードに供給することができる。この返送流のブテン異性体は、実質的に2−ブテンからなり、2−ブテンは、総じて1−ブテンに比べてよりゆっくりと酸化脱水素によってブタジエンへと転化されるため、この返送流を、ODH反応器への供給前に触媒により異性化することができる。これによって、熱力学的平衡状態にある異性体分布に適合するように異性体分布を調節することができる。
ステップF)において、ブタジエンと選択溶媒とを含む物質流を、蒸留によって、実質的に選択溶媒からなる物質流と、ブタジエンを含む物質流とに分離する。
抽出蒸留塔の底部で得られる物質流は、総じて、抽出剤と、水と、ブタジエンと、少量のブテンとブタンとを含み、この物質流を蒸留塔に供給する。この蒸留塔では、ブタジエンを頂部で得ることができる。蒸留塔の底部では、抽出剤と場合により水とを含む物質流が生じ、この抽出剤と水とを含む物質流の組成は、抽出部に加えられる組成と一致している。この抽出剤と水とを含む物質流を、好ましくは抽出蒸留に返送する。
一変形例では、ブタジエンを含む抽出剤を側方抜出部を通じて抜き出して脱着ゾーンに移し、その際、ブタジエンを抽出剤溶液から脱着させる。脱着ゾーンは、例えば洗浄塔の形態で構成されていてよく、この洗浄塔は、2〜30、好ましくは5〜20の理論段数を有するとともに、場合により例えば理論段数が4である逆洗ゾーンを有する。この逆洗ゾーンは、ブタジエンから構成される液体炭化水素の還流によって、気相に含まれる抽出剤を回収する役割を果たし、その目的のために頂部留分を凝縮させる。規則充填物や棚板や不規則充填物が内部構造物として設けられている。蒸留は、好ましくは100〜300℃の範囲の底部温度で、特に150〜200℃の範囲の底部温度で、かつ0〜70℃の範囲の頂部温度で、特に10〜50℃の範囲の頂部温度で行われる。その際、蒸留塔内の圧力は、好ましくは1〜10バールの範囲にある。総じて、抽出ゾーンと比較して、脱着ゾーン内では、低下された圧力および/または高められた温度が優勢である。
塔頂部で得られた有用生成物流は、総じて90〜100体積%のブタジエンと、0〜10体積%の2−ブテンと、0〜10体積%のn−ブタンおよびイソブタンとを含む。ブタジエンをさらに精製するために、従来技術によるさらなる蒸留を行うことができる。
蒸留塔ジャケットは、好ましくは上記のように爆発に耐え得るように設計されている。蒸留塔は、好ましくは気密の塔棚板を備えた棚段塔である。火炎前線が蒸留塔へと進行するのを防ぐためには、蒸留塔へのガス搬送供給管が液体に浸っていることが好ましい。
また本発明は、n−ブテンからブタジエンを製造する方法を実施するための装置であって、
A) n−ブテンを含むフィードガス流aを提供するための供給管と、
B) 前記n−ブテンを含むフィードガス流aと酸素含有ガスとを少なくとも1つの脱水素ゾーンに供給するための供給管であって、ここで、前記脱水素ゾーンは、n−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素を行うための脱水素反応器を含み、これにより、ブタジエンと、未反応n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む生成ガス流bを得るものとする供給管と、
C) 前記生成ガス流bを、
1つの冷却段階と、
少なくとも1つの急冷塔を含む少なくとも1つの冷却段階と、
少なくとも1つの圧縮装置を含むとともに、必要に応じて前記圧縮装置の間にある1つまたは複数の中間冷却装置を含む、少なくとも1つの圧縮段階と
に供給するための供給管であって、前記生成ガス流bを、循環路内で搬送される少なくとも1つの冷媒と接触させることにより、
水を含む少なくとも1つの凝縮物流c1と、
ブタジエンと、n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含むガス流c2と
を得るものとする供給管と、
D) 前記ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を、循環路内で搬送される少なくとも1つの吸収剤に吸収させることによって、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む非凝縮性の低沸点ガス成分を、前記ガス流c2からガス流d2として分離して、C4炭化水素が負荷された少なくとも1つの吸収剤流と前記ガス流d2とを得るための機器と、
次いで前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させてC4生成ガス流d1を得るための機器と、
E) 前記C4生成物流d1を、ブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1と、n−ブテンを含む物質流e2とに分離するための抽出蒸留塔と、
F) 前記ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とを得るための蒸留塔と
を含む装置において、
前記ステップA)〜F)を実施するために使用する前記設備のうちの1つまたは複数は、爆発に耐え得るように構成されており、液体搬送管は、爆発に耐え得るように構成されており、かつガス導管は、デトネーションに耐え得るように構成されており、特に以下の設備:
− ステップB)で使用する脱水素反応器;
− ステップC)で使用する急冷塔;
− ステップC)で使用する圧縮装置;
− ステップC)で使用する中間冷却装置;
− ステップF)で使用する蒸留塔;
− 溶媒再生ユニットで使用するデカンター
のうちの1つまたは複数は、爆発に耐え得るように設計されている装置にも関する。
A) n−ブテンを含むフィードガス流aを提供するための供給管と、
B) 前記n−ブテンを含むフィードガス流aと酸素含有ガスとを少なくとも1つの脱水素ゾーンに供給するための供給管であって、ここで、前記脱水素ゾーンは、n−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素を行うための脱水素反応器を含み、これにより、ブタジエンと、未反応n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む生成ガス流bを得るものとする供給管と、
C) 前記生成ガス流bを、
1つの冷却段階と、
少なくとも1つの急冷塔を含む少なくとも1つの冷却段階と、
少なくとも1つの圧縮装置を含むとともに、必要に応じて前記圧縮装置の間にある1つまたは複数の中間冷却装置を含む、少なくとも1つの圧縮段階と
に供給するための供給管であって、前記生成ガス流bを、循環路内で搬送される少なくとも1つの冷媒と接触させることにより、
水を含む少なくとも1つの凝縮物流c1と、
ブタジエンと、n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含むガス流c2と
を得るものとする供給管と、
D) 前記ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を、循環路内で搬送される少なくとも1つの吸収剤に吸収させることによって、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む非凝縮性の低沸点ガス成分を、前記ガス流c2からガス流d2として分離して、C4炭化水素が負荷された少なくとも1つの吸収剤流と前記ガス流d2とを得るための機器と、
次いで前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させてC4生成ガス流d1を得るための機器と、
E) 前記C4生成物流d1を、ブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1と、n−ブテンを含む物質流e2とに分離するための抽出蒸留塔と、
F) 前記ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とを得るための蒸留塔と
を含む装置において、
前記ステップA)〜F)を実施するために使用する前記設備のうちの1つまたは複数は、爆発に耐え得るように構成されており、液体搬送管は、爆発に耐え得るように構成されており、かつガス導管は、デトネーションに耐え得るように構成されており、特に以下の設備:
− ステップB)で使用する脱水素反応器;
− ステップC)で使用する急冷塔;
− ステップC)で使用する圧縮装置;
− ステップC)で使用する中間冷却装置;
− ステップF)で使用する蒸留塔;
− 溶媒再生ユニットで使用するデカンター
のうちの1つまたは複数は、爆発に耐え得るように設計されている装置にも関する。
本発明を、以下の実施例により説明する。
実施例
n−ブテンから1,3−ブタジエンを製造するための商業的プラントは、特に以下のものを含む:
− 接触酸化脱水素用の反応器、
− 生成ガス流を冷却するための急冷塔、
− 生成ガス流を圧縮する圧縮装置、
− 頂部生成物としての不活性ガス成分と、底部生成物としてのC4留分とを分離するための吸収塔。
n−ブテンから1,3−ブタジエンを製造するための商業的プラントは、特に以下のものを含む:
− 接触酸化脱水素用の反応器、
− 生成ガス流を冷却するための急冷塔、
− 生成ガス流を圧縮する圧縮装置、
− 頂部生成物としての不活性ガス成分と、底部生成物としてのC4留分とを分離するための吸収塔。
満足のいく触媒寿命を保証するために、反応器出口で6体積%の過剰量の酸素を用いて反応器を運転する。反応器への入口の物質流(n−ブテン、空気、蒸気、窒素)に、認証を受けた量測定部および比調節部を備える。生成ガス中に含まれる水蒸気が急冷塔内で凝縮することにより、吸収塔の頂部生成物中の酸素濃度が7体積%超に増加する。上述のプラント部分における該当する設備を爆発に耐え得るように設計し、連結管をデトネーションに耐え得るように設計する。追加の安全要素として、吸収塔の頂部生成物内に、認証を受けた酸素測定部を設置し、これによりシステム内の酸素濃度を連続的にモニタリングすることができる。これらの分析機器の測定原理としては、レーザー測定または常磁性測定またはこれら2つの測定原理の組合せが挙げられる。
本発明による安全コンセプトによって、ブテンからブタジエンへの酸化脱水素のための、特に酸化反応器の出口において過剰量の酸素が必要とされる方法における、商業的プラントの設計および安全な運転が可能となる。
図4に、
a)爆発に耐え得るように設計された反応器部分における反応器、
b)爆発に耐え得るように設計された急冷部分における急冷塔、
c)爆発に耐え得るように設計された溶媒再生ユニット、
d)爆発に耐え得るように設計された直接冷却装置としての圧縮部分の冷媒としてメシチレンを使用した中間冷却装置、
e)爆発に耐え得るように設計された圧縮部分における圧縮段階(圧縮装置)、
f)爆発に耐え得るように設計されたブタジエン分離部分におけるブタジエン塔、
g)爆発に耐え得るガス導管、
h)デトネーションに耐え得るガス導管、
i)爆発に耐え得る液体導管
を示す。
a)爆発に耐え得るように設計された反応器部分における反応器、
b)爆発に耐え得るように設計された急冷部分における急冷塔、
c)爆発に耐え得るように設計された溶媒再生ユニット、
d)爆発に耐え得るように設計された直接冷却装置としての圧縮部分の冷媒としてメシチレンを使用した中間冷却装置、
e)爆発に耐え得るように設計された圧縮部分における圧縮段階(圧縮装置)、
f)爆発に耐え得るように設計されたブタジエン分離部分におけるブタジエン塔、
g)爆発に耐え得るガス導管、
h)デトネーションに耐え得るガス導管、
i)爆発に耐え得る液体導管
を示す。
いずれの塔においても、ガス供給管は液体に沈められている。
容器内で爆発が生じた際に液体管に機械的な過負荷がかからないようにするため、塔に出入りする液体管はいずれも、爆発に耐え得るように設計されている。
各部分間のいずれのガス管も、デトネーションに耐え得るように設計されている。
Claims (15)
- n−ブテンからブタジエンを製造する方法であって、以下:
A) n−ブテンを含むフィードガス流aを提供するステップと、
B) 前記n−ブテンを含むフィードガス流aと酸素含有ガスとを、脱水素反応器を含む少なくとも1つの脱水素ゾーンに供給してn−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素を行うことにより、ブタジエンと、未反応n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む生成ガス流bを得るステップと、
C) 前記生成ガス流bを、
少なくとも1つの急冷塔を含む少なくとも1つの冷却段階と、
少なくとも1つの圧縮装置を含むとともに、必要に応じて前記圧縮装置の間にある1つまたは複数の中間冷却装置を含む、少なくとも1つの圧縮段階と
において冷却および圧縮し、その際、前記生成ガス流bを、循環路内で搬送される少なくとも1つの冷媒と接触させることにより、
水を含む少なくとも1つの凝縮物流c1と、
ブタジエンと、n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含むガス流c2と
を得るステップと、
D) 前記ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を、循環路内で搬送される少なくとも1つの吸収剤に吸収させることによって、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む非凝縮性の低沸点ガス成分を、前記ガス流c2からガス流d2として分離して、C4炭化水素が負荷された少なくとも1つの吸収剤流と、前記ガス流d2とを得て、次いで、前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させて、C4生成ガス流d1を得るステップと、
E) 前記C4生成物流d1を、ブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1と、n−ブテンを含む物質流e2とに分離するステップと、
F) 前記ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とを得るステップと
を含む方法において、以下の(i)〜(iii):
(i) 前記脱水素ゾーンに供給される酸素含有ガス流中の酸素濃度をモニタリングすることによって爆発性ガス混合物の形成を回避し、かつ前記酸素含有ガス流および前記炭化水素含有ガス流の質量流量を、爆発性ガス混合物が生じ得ないように制御する措置と、
(ii) 前記脱水素ガス混合物中の酸素濃度が限界値を超えたら、前記脱水素ゾーンへの前記酸素含有ガス混合物の供給を中断する措置と、
(iii) 前記ステップA)〜F)を、爆発に耐え得るように構成されている設備内で行う措置であって、ここで、液体搬送管は、爆発に耐え得るように構成されており、かつガス導管は、デトネーションに耐え得るように構成されているものとする措置と
を行うことを特徴とする方法。 - 以下の設備:
− ステップB)で使用する脱水素反応器;
− ステップC)で使用する急冷塔;
− ステップC)で使用する圧縮装置;
− ステップC)で使用する中間冷却装置;
− ステップF)で使用する蒸留塔;
− 溶媒再生ユニットで使用するデカンター;
のうちの1つまたは複数が、爆発に耐え得るように設計されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。 - ステップC)で使用する中間冷却装置は、直接冷却装置として構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
- ステップD)、E)および/またはF)で使用する蒸留塔は、気密の塔棚板を備えた棚段塔として構成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- ステップD)、E)および/またはF)で使用する蒸留塔へのガス供給管は、液体に浸っていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 前記ガス導管およびガス搬送設備は、デトネーションが排除されるような長さ:直径の比を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- 前記長さ:直径の比は、50以下:1であることを特徴とする、請求項6記載の方法。
- 冷却段階Ca)を、2つの冷却段階Ca1)およびCa2)において2段階で行い、どちらの冷却段階も直接冷却装置として構成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- 前記第2の冷却段階Ca2)を通過した後の前記冷媒の少なくとも一部を、前記第1の冷却段階Ca1)に冷媒として供給することを特徴とする、請求項8記載の方法。
- 段階Cb)は、総じて、少なくとも1つの圧縮段階Cba)および少なくとも1つの冷却段階Cbb)を含み、前記少なくとも1つの冷却段階Cbb)において、前記圧縮段階Cba)で圧縮したガスを冷媒と接触させることを特徴とする、請求項8または9記載の方法。
- 前記冷却段階Cbb)の冷媒は、前記冷却段階Ca)で冷媒として使用する有機溶媒と同一の有機溶媒であり、前記少なくとも1つの冷却段階Cbb)を通過した後の前記冷媒の少なくとも一部を、前記冷却段階Ca)に冷媒として供給することを特徴とする、請求項10記載の方法。
- 前記循環路内で搬送される冷媒が、メシチレンであることを特徴とする、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
- 前記ステップD)は、Da)〜Dc):
Da) ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を吸収剤に吸収させることによって、C4炭化水素が負荷された吸収剤流と前記ガス流d2とを得るステップと、
Db) 非凝縮性のガス流によるストリッピングによって、ステップDa)で得られた前記C4炭化水素が負荷された吸収剤流から酸素を除去するステップと、
Dc) 前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させることによって、C4生成ガス流d1を得るステップと
を含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。 - 請求項1から13までのいずれか1項記載のn−ブテンからブタジエンを製造する方法を実施するための装置であって、
A) n−ブテンを含むフィードガス流aを提供するための供給管と、
B) 前記n−ブテンを含むフィードガス流aと酸素含有ガスとを少なくとも1つの脱水素ゾーンに供給するための供給管であって、ここで、前記脱水素ゾーンは、n−ブテンからブタジエンへの酸化脱水素を行うための脱水素反応器を含み、これにより、ブタジエンと、未反応n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む生成ガス流bを得るものとする供給管と、
C) 前記生成ガス流bを、
1つの冷却段階と、
少なくとも1つの急冷塔を含む少なくとも1つの冷却段階と、
少なくとも1つの圧縮装置を含むとともに、必要に応じて前記圧縮装置の間にある1つまたは複数の中間冷却装置を含む、少なくとも1つの圧縮段階と
に供給するための供給管であって、前記生成ガス流bを、循環路内で搬送される少なくとも1つの冷媒と接触させることにより、
水を含む少なくとも1つの凝縮物流c1と、
ブタジエンと、n−ブテンと、水蒸気と、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含むガス流c2と
を得るものとする供給管と、
D) 前記ブタジエンとn−ブテンとを含むC4炭化水素を、循環路内で搬送される少なくとも1つの吸収剤に吸収させることによって、酸素と、低沸点炭化水素と、場合により炭素酸化物と、場合により不活性ガスとを含む非凝縮性の低沸点ガス成分を、前記ガス流c2からガス流d2として分離して、C4炭化水素が負荷された少なくとも1つの吸収剤流と前記ガス流d2とを得るための機器と、
次いで前記負荷された吸収剤流から前記C4炭化水素を脱着させてC4生成ガス流d1を得るための機器と、
E) 前記C4生成物流d1を、ブタジエンへの選択性を示す溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1と、n−ブテンを含む物質流e2とに分離するための抽出蒸留塔と、
F) 前記ブタジエンと前記選択溶媒とを含む物質流e1を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とを得るための蒸留塔と
を含む装置において、
前記ステップA)〜F)を実施するために使用する前記設備のうちの1つまたは複数は、爆発に耐え得るように構成されており、液体搬送管は、爆発に耐え得るように構成されており、かつガス導管は、デトネーションに耐え得るように構成されていることを特徴とする装置。 - 以下の設備:
− ステップB)で使用する脱水素反応器;
− ステップC)で使用する急冷塔;
− ステップC)で使用する圧縮装置;
− ステップC)で使用する中間冷却装置;
− ステップF)で使用する蒸留塔;
− 溶媒再生ユニットで使用するデカンター
のうちの1つまたは複数は、爆発に耐え得るように設計されていることを特徴とする、請求項14記載の装置。
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