JP2020512980A - n−ブテンを酸化脱水素するための反応器の停止および再生方法 - Google Patents

n−ブテンを酸化脱水素するための反応器の停止および再生方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、並行して運転される反応器R1〜Rnにおいてn−ブテンからブタジエンを製造する方法に関し、ここで、反応器Rmの再生段階の間、別の反応器は運転段階にある。

Description

本発明は、酸化脱水素(ODH)によってn−ブテンから1,3−ブタジエンを製造するための反応器の停止および再生方法に関する。
ブタジエンは重要な基礎化学物質であり、例えば合成ゴム(ブタジエンホモポリマー、スチレンブタジエンゴムまたはニトリルゴム)を製造するために、または熱可塑性ターポリマー(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー)を製造するために使用される。さらに、ブタジエンは、スルホラン、クロロプレンおよび1,4−ヘキサメチレンジアミンに(1,4−ジクロロブテンおよびアジピン酸ジニトリルを介して)変換される。さらに、ブタジエンの二量化によってビニルシクロヘキセンを生成することができ、このビニルシクロヘキセンを脱水素してスチレンにすることができる。
ブタジエンは、飽和炭化水素の熱分解(水蒸気分解)によって製造することができ、この場合、通常、原料としてナフサから出発する。ナフサの水蒸気分解の場合、メタン、エタン、エテン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、アレン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ブチン、メチルアレン、C炭化水素およびより高級な炭化水素からの炭化水素混合物が生じる。
ブタジエンは、n−ブテン(1−ブテンおよび/または2−ブテン)の酸化脱水素によっても得ることができる。n−ブテンを酸化脱水素(オキシ脱水素、ODH)してブタジエンにするための供給ガスとして、任意のあらゆるn−ブテン含有混合物を用いることができる。例えば、主成分としてn−ブテン(1−ブテンおよび/または2−ブテン)を含み、かつナフサ分解のC留分からブタジエンおよびイソブテンの分離によって得られた留分を使用してもよい。さらに、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンまたはそれらの混合物を含み、かつエチレンの二量化によって得られたガス混合物も供給ガスとして使用することができる。さらに、供給ガスとして、流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking、FCC)によって得られたn−ブテン含有ガス混合物を使用してもよい。
ブテン含有ガス流の変換は、大規模工業的には、一般に伝熱媒体としての塩浴中で運転される管束型反応器中で実施される。生成物ガス流は、反応器の下流でクエンチ段階において冷却剤と直接接触させることにより冷却され、引き続き圧縮される。次いで、C成分は吸収塔内で有機溶媒に吸収される。不活性ガス、低沸点物質、CO、COなどは塔頂部を介して塔から排出される。この塔頂流は、循環ガスとして部分的にODH反応器に供給される。炭化水素と酸素は爆発性雰囲気を作り出す可能性がある。着火性混合物を回避するために、可燃性ガス成分(主に炭化水素およびCO)の濃度は、爆発下限(UEG)を下回っていても爆発上限(OEG)を上回っていてもよい。爆発下限を下回っている場合、爆発性ガス混合物が形成され得ることなく、酸素濃度を自由に選択することができる。ただし、その場合、供給ガスの濃度は低いため、経済的に不利である。それゆえ、爆発上限を上回る反応ガス混合物を用いた変換が好ましい。この場合、爆発が起こり得るか否かは酸素濃度に依存する。特定の酸素濃度、すなわちLOC(限界酸素濃度)を下回っている場合、爆発性ガス混合物が形成され得ることなく、可燃性ガス成分の濃度を自由に選択することができる。UEG、OEGおよびLOCのいずれも温度および圧力に依存する。
n−ブテンを1,3−ブタジエンにする酸化脱水素では、コーク前駆体、例えばスチレン、アントラキノン、フルオレノンが形成される可能性があり、これらは最終的に多金属酸化物触媒の炭化および失活をもたらす可能性がある。触媒床上での圧力低下は、炭素含有堆積物の形成によって増加し得る。再生を行い、触媒の活性を回復させるために、多金属酸化物触媒上に堆積した炭素を一定の間隔で酸素含有ガスを用いて燃焼除去させることが可能である。
独国特許発明第734026号明細書には、5%の酸化クロムを含み、特にブタンを脱水素する方法で使用される、酸化アルミニウムベースの脱水素触媒の再生について記載されている。この再生は、一定の時間間隔で酸素含有ガスの影響下に実施される。ここで、再生時間を短く保つために、堆積したコークの一部のみが好ましくは燃焼除去させられる。
特開昭60−058928号公報には、酸素含有再生ガス混合物を用いて、300〜700℃、有利には350〜650℃の温度、および0.1〜5%の酸素濃度で、n−ブテンを1,3−ブタジエンに酸化脱水素するための、少なくともモリブデン、ビスマス、鉄、コバルトおよびアンチモンを含む多金属酸化物触媒の再生について記載されている。酸素含有ガス混合物として、適切な不活性ガス、例えば窒素、水蒸気または二酸化炭素で希釈された空気が供給される。
国際公開第2005/047226号には、酸素含有ガス混合物を200〜450℃の温度で通過させることによる、アクロレインをアクリル酸に部分酸化するための、少なくともモリブデンおよびバナジウムを含む多金属酸化物触媒の再生について記載されている。酸素含有再生ガス混合物として、好ましくは3〜10体積%の酸素を含む希薄空気が用いられる。酸素と窒素の他に、ガス混合物は水蒸気を含んでいてもよい。
低コストの酸素含有再生ガス混合物は空気である。例えば、米国特許出願公開第2007/0142689号明細書には、先行技術から公知の脱水素触媒上に、高温(>300℃)にて、場合によりNまたは蒸気で希釈された空気を好ましくは通過させることによって、長期間の運転後に簡単な方法で再生できることが記載されている。
空気の酸素含有量は、約20.95体積%と比較的高い。2つの重要な理由が、比較的高い酸素含有量を有する再生ガスの妨げとなっている:(1)管束型反応器中で、コークの量と局所分布を正確に予測することができない。不利な場合、反応管は非常に酷くコーク化されるため、反応管をほぼ貫流することができなくなる。その場合、熱除去は非常に妨げられ、再生ガス混合物中の酸素含有量によって影響される。酸素含有量が高い場合、反応管内で大きな局所温度上昇が発生する可能性があり、これは、触媒、さらには反応管または反応器全体の破壊につながる可能性がある。(2)コーク前駆体および炭素含有堆積物は、触媒表面上だけでなく、触媒の内部、例えば細孔にも存在している可能性がある。運転段階の間の酸素含有量よりも大幅に高い比較的高い酸素含有量を有する再生ガスが、コーク前駆体および炭素含有堆積物の燃焼除去のために使用される場合、炭素含有堆積物が急速に炭素酸化物に変換される急速な燃焼除去が生じる可能性がある。これに付随したガス発生による急速な体積増加は、活性材料の剥離によって触媒を不可逆的に損傷する可能性がある。
空気の酸素含有量より低い酸素含有量、または運転段階よりも低い酸素含有量を有する酸素含有再生ガス混合物は、空気を不活性ガスで希釈することによって、例えば米国特許出願公開第2007/0142689号明細書に記載されているように、窒素または水蒸気で希釈することによって作り出すことができる。しかしながら、再生ガス混合物中の水蒸気含有量が高いと、触媒が損傷する可能性があり、例えばMo含有触媒の場合、揮発性モリブデン化合物の形成および排出によって損傷する可能性がある。不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、二酸化炭素またはこれらの混合物も高価である。さらに、十分な量の不活性ガスを蓄えておくには、大きくて高価な容器が必要である。
上記の文献では、再生ガス混合物をどのようにして安価に、かつ確実に提供できるかについては何ら述べられていない。さらに、上述の文献では、反応器中または装置の他の領域で爆発性雰囲気が生じるリスク無しに、生成工程から再生工程への切り替えと、その逆の切り替えとがどのように行われるかについても何ら述べられていない。
同様に有利で、空気よりも酸素含有量が低いガス混合物は、オキシ脱水素の生成物ガス混合物から非凝縮性または低沸点のガス成分を分離することによって得られ、かつオキシ脱水素ゾーンに返送される循環ガスである。しかしながら、典型的な運転状態では、この循環ガスは酸素を7〜9体積%含んでおり、その結果、高い局所温度ピークのリスクは依然として非常に高くなる。
このような循環ガスは、国際公開第2015/007839号に記載されているODH法において得られ、n−ブテンが、酸素含有ガス、好ましくは空気と反応してブタジエンを形成する。この国際公開第2015/007839号は、記載されたプロセスで得られる循環ガスの、再生運転には依然として比較的高い酸素含有量の問題を扱っており、次の解決策を提案している:運転段階と再生段階を交互に行う。各生成工程の終了時に、反応器への空気の導入は調節されるか、または完全に遮断されるが、循環ガス中の酸素濃度が5体積%に低下するまでオキシ脱水素運転は継続される。それから、n−ブテン含有ガス流の供給と酸素含有ガスの供給が終えられる。続く再生工程は、結果生じる酸素含有量5体積%の循環ガスを用いて実施される。
つまり、国際公開第2015/007839号に記載されている方法の重要な要素は、再生段階における循環ガスの酸素含有量が、運転段階における循環ガスの酸素含有量を大幅に下回ることである。上記の文献はすべて、生成段階と再生段階とが交互に実施される単一の反応器を前提としている。再生工程のエネルギーがどのように提供されるかについては何ら述べられていない。さらに、互いに独立して運転段階または再生段階にあり得る複数の反応器の可能な並行運転についても何ら述べられていない。
国際公開第2015/007841号には、互いに独立して並行運転される2つの管束型反応器が共通の伝熱媒体に存在するODH法が記載されている。各生成ラインには、管束型反応器、クエンチセクションおよび圧縮セクションが備わっており、その後、2つの圧縮生成物ガス流が共通の吸収塔に一緒に導かれる。そこでは、オキシ脱水素反応の共通の生成物ガスの非凝縮性または低沸点のガス成分の除去によって酸素含有循環ガスが得られ、部分流が運転段階で2つの反応器にそれぞれ返送される。
国際公開第2015/007841号に記載されている方法では、運転段階から再生段階への2つの反応器のうちの一方の移行は、酸素含有ガス流、好ましくは空気を最初に遮断し、オキシ脱水素を、この反応器の生成物ガス流中の酸素濃度が所定の値を下回るまで運転継続するように構成されている。それから、最初に循環ガス流の部分流、次いでこの反応器のブテン含有供給ガス流が遮断され、その後、共通の吸収塔の上流の反応器から圧縮生成物ガス流を排出することによって再生モードが開始される。それから、不活性ガスを含有する流が再生すべき反応器に供給され、引き続き反応器から出ていく流の部分流が圧縮され、考慮される反応器に酸素含有再生ガスとして返送される。この間、2つ目の生成ラインは生成モードのままである。
しかしながら、国際公開第2015/007841号に記載されている手順は、多くの欠点をはらんでいる。例えば、2つの生成ラインには、運転段階でのみ共通の循環ガスの部分流がそれぞれ供給されるものの、再生段階では供給されない。再生段階では、各ラインで再生ガスがそれぞれ別個に作製、予熱、圧縮および返送されなければならない。このため、生成ラインごとに少なくとも2つの圧縮器セクションがあてがわれなければならない−1つは運転段階用で、少なくとももう1つは再生段階用である。再生ガスは、酸素含有供給ガス流、好ましくは空気、および運転段階からの循環ガスの部分流を中断し、その代わりに不活性ガスを供給することによって作製され、生成物ガス流の酸素含有量を減らすために最初にオキシ脱水素運転がさらに継続され、その後、n−ブテン含有供給ガス流も最終的に中断される。ここで、オキシ脱水素反応はますます選択性が低下するため、運転段階から再生段階への移行中に形成されるコーク前駆体およびコークの量が増加する。それにより、個々の反応管がより酷くコーク化するリスクも増加し、その結果、関連する管の局所的な過熱が後続の再生プロセスで発生し、関連する管内の触媒の損傷および最悪の場合には反応器の損傷につながる可能性がある。さらに、増加して形成されたコーク前駆体は、反応器排出流の部分流が再生ガスとして使用されるため、再生段階の間に反応器に返送される。それにより、再生プロセスの効率が低下する。さらなる欠点は、2つの生成ラインで共通して運転される後処理に関するもので、これにより、流全体とC負荷の両方で大きな変動が生じる。後処理セクションは、2つのラインが運転段階にあるときの100%負荷運転と、一方のラインが運転段階にあり、もう一方のラインが再生段階にあるときの50%最小負荷運転を交互に行う。
つまり、酸素含有再生ガスを用いた触媒の再生の場合、ガス雰囲気、特に酸素含有量に関して満たさなければならない要件は、運転段階と再生段階とで異なる。運転段階から再生段階への移行は、いわゆる停止段階と呼ばれ、特定の課題を提示する。国際公開第2015/007839号および国際公開第2015/007841号に記載されている方法は、コーク前駆体および炭素含有化合物の形成が増加するなどの欠点を有する。酸素含有量は、着火性混合物が形成されないように、運転段階でも再生段階でも高すぎてはならない。再生段階の開始時に、酸素含有量は、炭素含有化合物の過度に急速な燃焼除去や、触媒および反応管の破壊につながり得る、場合により酷くコーク化した反応管の局所過熱を回避するために高くなりすぎてはならない。
運転段階では、触媒の早期の、または過剰なコーク化を回避するために、酸素含有量は低すぎてはならない。運転段階から再生段階への移行段階では、n−ブテン含有供給ガスに基づく酸素含有量は、コーク化傾向が増加せず、早期の、または過度に急速な燃焼除去が起こることも、着火性混合物が生成されることもないように変化することが望ましい。
本発明の課題は、n−ブテンをブタジエンに酸化的に脱水素するための反応器を停止させるための安全で経済的な方法を提供することである。
この課題は、並行して運転されるn個の反応器R1〜Rnにおいてn−ブテンからブタジエンを製造する方法によって解決され、ここで、並行して運転される複数の各反応器は、運転段階および再生段階を経ることにおいて、該方法は、n個の反応器における反応器Rmの運転段階において、
A) n−ブテン含有供給ガス流a1mを準備する工程と、
B) n−ブテン含有供給ガス流a1m、酸素含有ガス流a2mおよび酸素含有全循環ガス流d2の部分流d2mを反応器の酸化脱水素ゾーンに供給し、n−ブテンを酸化脱水素してブタジエンを形成し、ここで、ブタジエン、未反応のn−ブテン、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、高沸点副成分、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有する生成物ガス部分流bmを得る工程と、
C) 生成物ガス部分流bmとさらなる生成物ガス部分流とを合一して全生成物ガス流bを形成し、全生成物ガス流bを冷却および圧縮し、高沸点副成分の少なくとも一部を凝縮し、ここで、少なくとも1つの水性凝縮物流c1と、ブタジエン、n−ブテン、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流c2とを得る工程と、
D) ガス流c2を吸収ゾーンに供給し、ブタジエンおよびn−ブテンを含むC炭化水素を吸収剤に吸収させることによって、酸素、低沸点炭化水素、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含む非凝縮性で低沸点のガス成分を、ガス流c2からガス流dとして分離し、ここで、C炭化水素が負荷された吸収剤流d1および循環ガス流d2を得て、場合によりパージガス流pを分離した後に、全循環ガス流d2の部分流d2mを反応器Rmに返送する工程と
を含み、ここで、反応器Rmの再生段階の間、別の反応器は運転段階にあり、反応器Rmの再生段階は、
i) n−ブテン含有供給ガス流a1mおよび酸素含有ガス流a2mを低減し、不活性ガス流a4mを反応器Rmに供給する工程であって、ここで、反応器Rmを通る全ガス流は、運転段階の間に反応器Rmを通る全ガス流の55〜75%、有利には60〜70%に相当する工程と、
ii) 反応器Rmの酸素含有量が2〜3体積%になるまで、n−ブテン含有供給ガス流a1mを0までさらに低減し、循環ガス部分流d2mを低減し、かつ不活性ガス流a4mを増加させる工程であって、ここで、反応器Rmを通る全ガス流は、運転段階の間に反応器Rmを通る全ガス流の55〜75%、有利には60〜70%に相当する工程と、
iii) 2〜3体積%の酸素含有量で炭素含有堆積物を燃焼除去させることによって触媒を再生する工程と、
iv) 反応器Rmの酸素含有量が4〜10体積%になるまで、不活性ガス流a4mを低減し、かつ循環ガス部分流d2mを増加させ、ここで、反応器Rmを通る全ガス流は、運転段階の間の全ガス流の60〜120%に相当する工程と、
v) 4〜10体積%の酸素含有量で触媒を再酸化する工程と
をi)〜v)の順序で含む。
本発明による方法の利点は、工程iv)における触媒の再酸化が、運転状態にある反応器によって作り出された循環ガス部分流d2mを用いて実施できることである。これは、触媒の再酸化に有利な、一般的に4〜10体積%、好ましくは6.5〜9体積%の酸素含有量を有する。追加の不活性ガスは、工程i)〜iii)のみにおいて必要とされ、ここで、ガス部分流d2mは、燃焼除去段階iii)に有利な2〜3体積%の酸素含有量を調整するために、不活性ガスでより少ない程度に希釈されなければならない。
有利には、工程i)の間、酸素:n−ブテンの比率は、運転段階における比率の0.7〜1.0倍である。
さらに好ましくは、反応器Rmの酸素含有量は、工程i)の間、3〜7体積%に低減される。
さらに好ましくは、n−ブテン含有ガス流a1mは、工程i)の間、運転段階の間のガス流の25〜50%に低減される。
さらに好ましくは、工程ii)の間、n−ブテン含有ガス流a1mは、運転段階の間のガス流の12.5〜25%に低減され、それに対応してガス部分流d2mが低減されることで、酸素:n−ブテンの比率は、運転段階における比率の0.7〜1.0倍となり、引き続きn−ブテン含有ガス流a1mは0に減少させられる。
触媒の再酸化は、4〜10体積%、好ましくは6.5〜9体積%の酸素含有量で実施される。
有利には、工程iii)は、5〜60分の期間にわたって実施される。工程v)は、有利には、12〜96時間の期間にわたって実施される。
運転段階における酸素:炭化水素の比率は、供給ガス流a1のn−ブテン含有量が50〜100体積%の場合、一般的に1:1〜1.65:1、好ましくは1.3:1〜1.65:1、特に好ましくは1.4:1〜1.65:1である。
一般的に、運転段階および再生段階の間の反応器Rmの圧力は、1〜5barである。
本発明の一実施形態では、酸素含有ガス流a2mは、工程i)または工程ii)、有利には工程i)で0に減少させられる。本発明のさらなる実施形態では、不活性ガス流a4mは、工程iv)で0に減少させられる。
本発明による方法の特に好ましい変形例は、下記で詳細に説明される。
図1は、共通のクエンチセクションQ、圧縮器セクションKおよび吸収塔Aを有する第1の管束型反応器R、第2の管束型反応器R、および場合によりさらなる管束型反応器Rを用いて、本発明による方法の実施形態を実施するための装置の概略図を示す。ここで、
、R、Rは、並行して運転されるn個の反応器を意味し、
a1、a2、a3、a1、a2、a3、a1、a2、a3は、個々の反応器に割り当てられた物質流a1、a2、a3を意味し、
d2合計は、全循環ガス流を意味し、
d2、d2、d2は、個々の反応器に割り当てられた循環ガス部分流を意味し、
、b、bは、個々の反応器に割り当てられた生成物ガス部分流を意味し、
bは、合一されたブタジエン含有C生成物ガス流を意味し、
Qは、クエンチ段階を意味し、
Kは、圧縮段階を意味し、
c1は、水性凝縮物流を意味し、
c2は、ブタジエン含有C生成物ガス流を意味し、
Aは、吸収段階を意味し、
d1は、ブタジエン含有C生成物ガス流を意味し、
dは、パージ流を分離する前の全循環ガス流を意味し、
pは、パージ流を意味し、
、q、qは、個々の反応器に割り当てられた排出物流を意味する。
反応器Rmの生成モード(運転段階)では、n−ブテン含有供給ガス流a1mが酸素含有ガス流a2mと混合され、ガス混合物流として、管束型反応器Rmの接触管に充填された不均一系粒子状多金属酸化物触媒上に通される。伝熱媒体は、間接熱交換によって、生成モードでガス混合物流を反応温度に加熱するために消費される熱量を差し引いた反応放出熱を取り込んで、これを外部冷却器において二次伝熱媒体に完全に、または部分的に移す。個々の反応器Rmの合一された生成物ガス部分流bmから、クエンチQにおいて冷却剤との接触により高沸点副成分と水の大部分が分離されてクエンチガス流が得られ、これは圧縮段階Kで圧縮され、圧縮流c2として吸収塔に供給される。ここで、第1の反応器R1、第2の反応器R2および場合によりさらなる反応器R3〜Rnは、共通のクエンチQ、共通の圧縮器Kおよび共通の吸収塔Aを有し、ここから塔頂流d2が抜き出され、これは、部分的に第1の循環ガス流d21として第1の管束型反応器R1に、部分的に第2の循環ガス流d22として第2の管束型反応器R2に、さらなる循環ガス流d23〜d2nとして場合によりさらなる管束型反応器R3〜Rnに再循環される。流d2の残分は、パージガス流pとして排出される。任意に、流d2の部分流が、補償流d3として共通のクエンチQに再循環され得る。
再生モードでは、不均一系粒状多金属酸化物触媒は、酸素含有再生ガス混合物をその上に通過させ、不均一系粒状多金属酸化物触媒上に堆積した堆積物を燃焼除去させることによって再生され、ここで、n個の管束型反応器R1〜Rnは、有利には単一の伝熱媒体−循環路を有し、2つ以上の管束型反応器のうちの少なくとも1つが常に生成モード(運転段階)で運転されるため、2つ以上の管束型反応器の接触管の間のスペースの伝熱媒体の温度を最大±10℃の変動範囲内で一定に保つには、生成モードで供給ガス流を反応温度に加熱するために消費される熱量を差し引いた反応放出熱で十分である。
管束型反応器Rmの停止は、管束型反応器Rmへの酸素含有供給流a2mを中断し、n−ブテン含有供給流a1mを、例えば運転段階における体積の約3分の1に調節し、不活性ガス流a4mを送り込むことによって行われ、反応器を通る、結果生じる全ガス流は、例えば運転段階における流全体の体積の64%のままとなる。送り込まれる不活性ガスa4mの体積は、一般的にn−ブテン含有供給流a1mのブタン含有量が変化し、不活性ガス流a4mがこの含有量に適合されることから可変である。次の工程では、n−ブテン含有供給流a1mは、例えば運転段階における体積流量の約6分の1に調節され、循環ガス部分流d2mは、例えば運転段階における全ガス流の21体積%に調節され、不活性ガス流a4mは、例えば運転段階における全ガス流の39体積%に増加される。次の工程では、n−ブテン含有供給ガス流a1mは遮断され、その後、第1の管束型反応器Rmにおいて触媒が再生される。例えば10〜30分後、不活性ガス流a4mは遮断され、第1の循環ガス流d2mは、運転段階における全ガス流の90体積%まで増加される。引き続き、触媒の再酸化が、4〜10体積%の酸素含有量で、有利には12〜19時間にわたって行われる。この間、第1の循環ガス流d2mは、1%にまで調節されることができる。次の運転段階は、運転段階における全ガス流の90体積%までの循環ガス流d2mから出発して、n−ブテン含有供給流a1m、酸素含有供給流a2mを再度送り込み、第1の循環ガス流d2mを、そのつど運転段階における体積流量に調節することによって開始される。
一変形例では、循環ガス流d2の部分流は、補償流d3として、クエンチQ、圧縮器Kおよび吸収塔Aに向かう、結果生じる全体積流量(b+d3)が常にほぼ一定のままとなる量でクエンチQに送られる。
さらなる一変形例では、特定の管束型反応器Rmの生成モードの終了時に、その生成物ガス流は流qmとして排出され、同じ体積の循環ガス流d2の部分流は補償流d3としてクエンチQに送られ、その結果、全体積流量(b+d3)は、クエンチQ、圧縮器Kおよび吸収塔Aで一定のままである。
本発明による方法は、数多くの利点を有している。連結された熱伝達媒体を備えた複数の反応器を使用することによって、オキシ脱水素反応器中で発生した熱を、再生段階の熱源として利用することができる。少なくとも1つの反応器が常に運転段階にあり、他の反応器は再生段階にあるため、装置全体が有価生成物を継続的に作製することが保証される。さらに、複数の反応器を使用すると、オキシ脱水素の生成物ガスの非凝縮性または低沸点のガス成分を除去することによって、循環ガスが継続して、具体的には、(1)補償流d3を利用することで共通の後処理の一定の体積負荷を保証し、(2)すべての管束型反応器の運転段階だけでなく再生段階も共通の循環ガスd2の部分流d2mに依拠することができるだけの十分な量が得られる。
本発明は、触媒の再生を、それぞれガス雰囲気に関して満たさなければならない異なる要件を有する2つの段階、すなわち(a)燃焼除去段階および(b)再酸化段階に分類することができるという認識に基づいている。炭素含有化合物の燃焼除去は、触媒の格子酸素も関与しながら数分以内に起こる。これに再酸化の段階が続く。意外なことに、独国特許発明第734026号明細書および国際公開第14086768号とは異なり、この段階が十分に長く継続しない場合、触媒は後続の運転サイクルでその完全な性能を回復せず、オキシ脱水素反応はあまり選択的に進行しないことから、触媒は、先の運転段階に比べて炭化傾向が増加することがわかった。触媒の格子構造への分子状酸素の取込みと固体状態での拡散は遅いプロセスである。この段階では、この遅いプロセスを促進することから、比較的高い酸素含有量が有利である。
本発明による方法は、循環ガス部分流d2mの一部を不活性ガスと混合することによって得られ、2〜3体積%、好ましくは2.3〜2.7体積%の酸素含有量を有する再生ガスを使用して実施される燃焼除去段階によりこれらの要件を満たす。炭素含有堆積物の燃焼除去は数分以内に起こるため、高価な不活性ガスの消費が大幅に削減され、そのつど数分しか続かない燃焼除去段階に制限することができる。排出流のCO含有量を監視することで確認できる炭素含有堆積物の燃焼除去後、すぐに再酸化段階が続く。付着している炭素含有化合物が十分に除去されたため、これに付随した触媒保護のための酸素含有量の制限は不要であり、それどころか、本発明によれば、有利には6.5〜9体積%の酸素含有量を有する希釈されていない第1の循環ガス流d21を非常に有利な再生ガスとして触媒の再酸化のために使用することが有利である。
循環ガスd2は圧縮された形態で得られるため、既存の圧力勾配を有利に利用することができる。例えば国際公開第2015/007839号または国際公開第2015/007841号に記載されている追加の圧縮器は不要である。
本発明による方法のさらなる利点は、すべての運転段階および再生段階にわたってそれぞれの管束型反応器に継続的に流れが発生し、そのためガス流を介した外部への熱の取出しが常に確保され、非常に長い滞留時間は生じないことである。対流の減少と組み合わせた長い滞留時間は、局所的なホットスポットをもたらし、ひいては触媒に高い熱応力をもたらす可能性がある。燃焼除去段階の間、全体積流量は、例えば運転段階の間の体積流量の63%に低減し、その結果、(1)高価な不活性ガスの消費がさらに減少され、(2)ガス速度が遅いことで、さらに迅速に燃焼除去される。特に、停止段階において、ガス速度と酸素およびn−ブテンの含有量とは、非選択的な反応によって急速な燃焼除去も触媒のコーク化も起こらないように互いに調整される。
始動した反応器の反応器排出流が、全生成物ガス流bが一定のままであるように、停止すべき反応器の反応器排出流の代わりに用いられる、本発明による方法の上記の変形例は、後処理の体積負荷がほぼ一定のままであるだけでなく、全生成物ガス流bの組成もほぼ一定のままであるというさらなる利点を有する。
可能な不活性ガスとして、窒素の使用が好ましいが、アルゴンおよびCOも使用することができる。さらに、酸素含有再生ガス混合物中には水蒸気も含まれていてよい。酸素濃度を設定するために、有利には窒素が使用され、水蒸気にも同様のことが当てはまる。さらに、水蒸気は反応熱を排出するためと、炭素含有堆積物を除去するための温和な酸化剤として存在していてもよい。再生の開始時に反応器中に水蒸気を導入する場合、0〜50体積%、有利には0〜10体積%、さらに好ましくは0.1〜7体積%の体積割合が用いられることが有利である。窒素の量は、燃焼除去段階の開始時の再生ガス混合物中の分子窒素の体積割合が有利には60〜90体積%、さらに好ましくは60〜65体積%になるように選択される。さらに、酸素含有再生ガス混合物は、炭化水素と酸化脱水素の反応生成物を含み得る。循環ガス部分流d2mの量は、燃焼除去段階の開始時の再生ガス混合物中の分子窒素の体積割合が、有利には10〜35体積%、さらに好ましくは30〜35体積%になるように選択される。一般的に、全循環ガス流d2とそれに対応する循環ガス部分流d2mは、6.5〜9体積%のOと、窒素、希ガス(特にアルゴン)および炭素酸化物(特にCO)から選択される87〜93体積%の不活性ガスとを含有する。さらに、共通の循環ガス流d2とそれに対応する循環ガス部分流d2mは、0〜2体積%の一酸化炭素、0〜1.5体積%の含酸素化合物、例えばアクロレイン、0〜0.5体積%の水蒸気および0〜0.1体積%の炭化水素を含み得る。炭化水素は、例えば、メタン、エタン、エテン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、n−ブタン、イソブタン、n−ブテン、イソブテン、n−ペンタンならびにジエン、例えば1,3−ブタジエンおよび1,2−ブタジエンなどの飽和および不飽和、分岐および非分岐の炭化水素を含み得る。含まれる含酸素化合物、炭化水素および一酸化炭素は、触媒の存在下における再生条件下での酸素の存在下に、反応性を有しないか、またはそれらが燃焼除去プロセスでも再酸化プロセスでも干渉しないような少量で含まれる。
本発明によれば、それぞれ2つの運転段階の間に再生段階が実施される。考慮される反応器は、触媒の失活が特定の所定値に達し、例えば、一定の反応温度での変換率が20%、好ましくは10%、特に好ましくは5%下がるまで、生成モード(運転状態)であり続けることができる。さらに、反応器全体の圧力損失が特定の所定値、例えば500mbar、好ましくは100mbar、特に好ましくは25mbar上昇するか、または運転段階の特定の所定期間、例えば2000時間、好ましくは1000時間が経過するまで、反応器は生成モードであり続けることができる。
有利には、再生段階の後に、工程vi)〜viii):
vi) 任意に、水蒸気流a3mを脱水素ゾーンに追加供給する工程;
vii) ブテン含有供給ガス流a1mを運転段階よりも低い体積流量で追加供給し、この体積流量を運転段階における供給ガス流a1mの体積流量の少なくとも50%に達するまで増加させる工程であって、ここで、反応器Rmを通る全ガス流は、運転段階の間の全ガス流の最大120%に相当する工程;
viii) 運転段階におけるブテン含有供給ガス流a1mの体積流量の少なくとも50%に達したら、運転段階よりも低い体積流量を有する酸素含有流a2mを追加供給し、運転段階における体積流量に達するまでガス流a1mおよびa2mの体積流量を増加させる工程であって、ここで、脱水素ゾーンを通る全ガス流は、運転段階の間の全ガス流の最大120%に相当する工程;
を有する始動段階が続く。
有利には、工程(vi)、(vii)および(viii)の間に脱水素ゾーンを通る、流a1m、a2m、d2mおよび場合によりa3mを含有する全ガス流は、実質的に一定であり、運転段階の間に脱水素ゾーンを通る全ガス流の90〜110体積%に相当する。
さらに好ましくは、工程vi)、vii)およびviii)の間の脱水素ゾーンにおける水蒸気の量は、0.5〜10体積%である。
一般的に、始動段階の間の反応器Rm中の圧力は、1〜5barである。
本発明による始動手順では、循環ガスは不活性ガスにより希釈されないため、国際公開第2015/104397号に記載の手順に比べて始動段階の開始時にも酸素リッチ条件が生じるという利点がある。それにより触媒のコーク化が抑制される。循環ガス流の負荷、ガス速度、滞留時間および組成に関する始動段階の間の条件は、運転段階の間の条件に相当する傾向にある。ガス速度は実質的に一定であるため、形成されるホットスポットが反応器内部を移動することはない。定常運転状態ならびに空時収率および選択率に関する触媒の最適な性能は、全体としてより素早く達成される。
工程vi)では、循環ガス流d2mを運転段階における全体積流量の90〜110%に調整することが有利である。全体積流量は、a1m、a2m、d2mおよび場合によりa3mの体積流量の合計である。特に好ましい実施形態では、循環ガス流d2mを運転段階における全体積流量の95〜105%に調整し、循環ガス流d2mを運転段階における全体積流量の100%に調整することが特に好ましい。調整した循環ガス流d2mは、後の工程vii)およびviii)において、脱水素ゾーンを通る全ガス流、すなわちa1m、a2m、d2mおよび場合によりa3mの流からの合計が、さらなる始動段階の間に、運転段階の間の全ガス流の少なくとも70%かつ最大120%、有利には少なくとも90%かつ最大115%になるように減少させる。有利には、始動段階の間の全ガス流は実質的に一定であり続け、最大で±10体積%、特に±5体積%変動し、つまり、始動段階の間に、有利には運転段階の間の全ガス流の90〜110体積%、特に95〜105体積%である。
ガス流d2’は、その酸素含有量が定常運転段階における循環ガス流d2の酸素含有量から最大で±2体積%異なる場合、運転段階における循環ガス流d2に相当する組成を有する。
工程vi)では、さらに水蒸気流a3mを反応器Rmに供給してもよい。一般的に、工程vi)〜viii)の間の水蒸気量は、0.5〜10体積%、好ましくは1〜7体積%である。これは湿分であってもよい。
工程vii)では、反応器の運転段階における体積流量の少なくとも50%に達するまで、ブテン含有供給ガス流a1mがさらに供給される。ここで、体積流量は段階的に、例えば運転状態における体積流量の10%で開始して、運転状態における体積流量の少なくとも50%に達するまで10%ずつ増加させることが一般的である。体積流量は、傾斜的に増加させてもよい。場合によりそれに応じて、循環ガス流d2は、反応器Rmを通る全ガス流が運転段階の間の全ガス流の最大120%に相当する程度まで減少させられる。
反応器Rmを通る全ガス流中のC炭化水素(ブテンおよびブタン)の含有量は、一般的に、工程vii)の終了時に7〜9体積%である。
工程vii)では、運転段階における体積流量の少なくとも60%に達するまで、ただし、せいぜい運転段階における体積流量の最大75%に達するまで、ブテン含有供給ガス流a1mの体積流量を増加させてもよい。
工程viii)では、運転段階におけるブテン含有供給ガス流a1mの体積流量の少なくとも50%かつ最大75%に達した場合、ブテン含有供給ガス流a1mに加えて、運転段階よりも体積流量が少ない酸素含有流a2mが脱水素ゾーンに供給され、運転段階における体積流量に達するまで、供給ガス流a1mおよびa2mの体積流量が増加させられる。一般的に、第1の工程では、運転段階における炭化水素に対する酸素の比率に相当する、炭化水素に対する酸素の比率に達するまで、酸素含有ガス流a2mの体積流量は1つ以上の段階で増加させられ、引き続き運転段階におけるガス流a1mおよびa2mの体積流量の100%にそれぞれ達するまで、体積流量a1mおよびa2mの双方が段階的に増加させられ、ここで、炭化水素に対する酸素の比率は実質的に一定であり続け、かつ運転段階における炭化水素に対する酸素の比率に相当する。これに関して、体積流量を、例えば運転状態におけるガス流a1mの体積流量の50%で開始して、例えば10%ずつ段階的に増加させることが一般的であり、ここで、ガス流a2mの体積流量を増加させる段階のステップは、運転状態における体積流量の100%に達するまで、炭化水素に対する酸素の比率が始動段階の間に実質的に一定であり続けるように選択される。
反応器Rmを通る全ガス流中のC炭化水素(ブテンおよびブタン)の含有量は、工程viii)の終了時に、一般的に7〜9体積%であり、酸素含有量は、一般的に12〜13体積%である。
一般的に、脱水素ゾーンにおける圧力は、始動段階の間、1〜5bar(絶対圧)、好ましくは1.05〜2.5bar(絶対圧)である。
一般的に、吸収ゾーンにおける圧力は、始動段階の間、2〜20bar、好ましくは5〜15barである。
一般的に、熱交換媒体の温度は、始動段階の間、220〜490℃、好ましくは300〜450℃、特に好ましくは330〜420℃である。
一般的に、始動段階の継続時間は、15〜2000分、好ましくは15〜500分、特に好ましくは20〜120分である。その後に、運転段階が開始される。
一般的に、工程C)は、工程Ca)およびCb):
Ca) 生成物ガス流bを少なくとも1回の冷却段階で冷却し、ここで、冷却は少なくとも1回の冷却段階において冷却剤と接触させることにより行い、少なくとも一部の高沸点副成分を凝縮する工程と、
Cb) 残留生成物ガス流bを少なくとも1回の圧縮段階で圧縮し、ここで、少なくとも1つの水性凝縮物流c1と、ブタジエン、n−ブテン、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流c2とを得る工程と
を含む。
一般的に、工程D)は、工程Da)およびDb):
Da) ブタジエンおよびn−ブテンを含有するC炭化水素を吸収剤に吸収させることで、酸素、低沸点炭化水素、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含む非凝縮性で低沸点のガス成分をガス流dとしてガス流c2から分離し、ここで、C炭化水素が負荷された吸収剤流と循環ガス流dとを得る工程と、
Db) 引き続き、負荷された吸収剤流からC炭化水素を脱着させ、ここで、C生成物ガス流d1を得る工程と
を含む。
有利には、引き続き、工程E)およびF):
E) C生成物流d3を、ブタジエンに対する選択溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンおよび選択溶媒を含有する物質流e1とn−ブテン含有物質流e2とに分離する工程と、
F) ブタジエンおよび選択溶媒を含有する物質流f2を蒸留して、実質的に選択溶媒からなる物質流g1とブタジエン含有物質流g2とにする工程と
が実施される。
一般的に、工程Da)で含まれているガス流dは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%が、工程B)において循環ガス流d2として返送される。
一般的に、冷却段階Ca)では、水性冷却剤または有機溶媒またはそれらの混合物が使用される。
有利には、冷却段階Ca)では有機溶媒が使用される。一般的に、これらはODH反応器の下流に配置された装置部分において堆積および閉塞をもたらし得る高沸点副生成物に対して、水またはアルカリ水溶液よりも非常に高い溶解性を示す。冷却剤として使用される好ましい有機溶媒は、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼンおよびメシチレンまたはそれらの混合物である。メシチレンが特に好ましい。
以下の実施形態は、本発明による方法の好ましいまたは特に好ましい変形例である:
段階Ca)は、段階Ca1)〜Can)の複数段階で、好ましくは2つの段階Ca1)とCa2)の二段階で実施される。ここで、第2の段階Ca2)を通過した後の少なくとも一部の溶媒を、第1の段階Ca1)の冷却剤として供給することが特に好ましい。
段階Cb)は、一般的に、少なくとも1回の圧縮段階Cba)と少なくとも1回の冷却段階Cbb)を含む。少なくとも1回の冷却段階Cbb)において、圧縮段階Cba)で圧縮されたガスを冷却剤と接触させることが好ましい。冷却段階Cbb)の冷却剤は、段階Ca)で冷却剤として使用されるものと同じ有機溶媒を含有することが特に好ましい。特に好ましい変形例では、少なくとも1回の冷却段階Cbb)を通過した後の少なくとも一部のこの冷却剤が、段階Ca)の冷却剤として供給される。
段階Cb)は、複数回の圧縮段階Cba1)〜Cban)および冷却段階Cbb1)〜Cbbn)、例えば4回の圧縮段階Cba1)〜Cba4)および4回の冷却段階Cbb1)〜Cbb4)を含むことが好ましい。
工程D)は、工程Da1)、Da2)およびDb):
Da1) ブタジエンおよびn−ブテンを含むC炭化水素を高沸点吸収剤に吸収させ、C炭化水素が負荷された吸収剤流とガス流dとを得る工程と、
Da2) 非凝縮性ガス流でストリッピングすることにより工程Da)からのC炭化水素が負荷された吸収剤流から酸素を除去する工程と、
Db) 負荷された吸収剤流からC炭化水素を脱着させ、実質的にC炭化水素からなり、かつ100ppm未満の酸素を含有するC生成物ガス流d1を得る工程と
を含むことが好ましい。
工程Da)で使用される高沸点吸収剤は、芳香族炭化水素溶媒、特に好ましくは工程Ca)で使用される芳香族炭化水素溶媒、特にメシチレンであることが好ましい。また、例えばジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンまたはこれらの物質を含有する混合物を使用してもよい。
本発明による方法の実施形態は、図1に図示されており、以下で詳細に説明される。
供給ガス流として、純粋なn−ブテン(1−ブテンおよび/またはシス−/トランス−2−ブテン)を使用しても、またブテン含有ガス混合物を使用してもよい。また、n−ブテン(1−ブテンおよびシス−/トランス−2−ブテン)を主成分として含有し、かつナフサ分解のC留分からブタジエンおよびイソブテンを分離することで得られた留分を使用してもよい。さらにまた、純粋な1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンまたはそれらの混合物を含み、かつエチレンの二量化によって得られたガス混合物を供給ガスとして使用してもよい。さらに、流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking、FCC)によって得られたn−ブテン含有ガス混合物を供給ガスとして使用してもよい。
本発明による方法の一実施形態では、n−ブタンの非酸化脱水素によってn−ブテン含有供給ガスが得られる。非酸化触媒による脱水素と、形成されたn−ブテンの酸化脱水素とを組み合わせることで、使用されたn−ブタンに対して高収率のブタジエンを得ることができる。非酸化触媒によってn−ブタンを脱水素する場合、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテンおよび未反応のn−ブタンの他に副成分を含有するガス混合物が得られる。通常の副成分は、水素、水蒸気、窒素、COおよびCO、メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペンである。第1の脱水素ゾーンから排出されるガス混合物の組成は、脱水素の手順に依存して大きく変動し得る。そのため、酸素およびさらなる水素を供給しながら脱水素を実施する場合、生成物ガス混合物は、水蒸気および炭素酸化物の含有量が比較的高い。酸素の供給を行わない手順の場合、非酸化脱水素の生成物ガス混合物は、水素の含有量が比較的高い。
工程B)では、n−ブテン含有供給ガス流および酸素含有ガスが少なくとも1つの脱水素ゾーン(1つ以上の並列運転式ODH反応器R)に供給され、ガス混合物中に含まれているブテンがオキシ脱水素触媒の存在下で酸化的に脱水素されてブタジエンが得られる。
分子状酸素含有ガスは、一般的に10体積%超、有利には15体積%超、さらにより好ましくは20体積%超の分子状酸素を含有する。これは空気であることが好ましい。分子状酸素の含有量の上限は、一般的に50体積%以下、有利には30体積%以下、さらにより好ましくは25体積%以下である。さらに、分子状酸素含有ガスには、任意の不活性ガスが含有されていてもよい。可能な不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、CO、COおよび水を挙げることができる。不活性ガスの量は、窒素の場合、一般的に90体積%以下、有利には85体積%以下、さらにより好ましくは80体積%以下である。窒素以外の成分の場合、不活性ガスの量は、一般的に10体積%以下、有利には1体積%以下である。
n−ブテンを完全に変換させて酸化脱水素を実施する場合、酸素:n−ブテンのモル比が少なくとも0.5であるガス混合物が好ましい。1.25〜1.6の酸素:n−ブテン比率で作業することが好ましい。この値を調整するために、供給ガス流を酸素または少なくとも1つの酸素含有ガス、例えば空気、および場合によりさらなる不活性ガスまたは水蒸気と混合してもよい。それから、得られた酸素含有ガス混合物をオキシ脱水素に供給する。
さらに、反応ガス混合物中には、不活性ガス、例えば窒素、およびさらに水(水蒸気として)が一緒に含有されていてもよい。窒素は、酸素濃度を調整し、かつ爆発性ガス混合物の形成を防止する役割を果たすことができ、同じことが水蒸気にも該当する。水蒸気はさらに、触媒の炭化を制御し、かつ反応熱を排出する役割を果たす。
オキシ脱水素に適した触媒は、一般的に、通常さらに鉄を含有するMo−Bi−O含有多金属酸化物系に基づく。一般的に、触媒は、さらなる追加の成分、例えば、カリウム、セシウム、マグネシウム、ジルコニウム、クロム、ニッケル、コバルト、カドミウム、スズ、鉛、ゲルマニウム、ランタン、マンガン、タングステン、リン、セリウム、アルミニウムまたはケイ素をさらに含有する。鉄含有フェライトも触媒として提案されていた。
好ましい実施形態では、多金属酸化物はコバルトおよび/またはニッケルを含有する。さらなる好ましい実施形態では、多金属酸化物はクロムを含有する。さらなる好ましい実施形態では、多金属酸化物はマンガンを含有する。
Mo−Bi−Fe−O含有多金属酸化物の例は、Mo−Bi−Fe−Cr−OまたはMo−Bi−Fe−Zr−O含有多金属酸化物である。好ましい触媒は、例えば米国特許第4,547,615号明細書(Mo12BiFe0.1NiZrCr0.2およびMo12BiFe0.1NiAlCr0.2)、米国特許第4,424,141号明細書(Mo12BiFeCo4.5Ni2.50.50.1+SiO)、西独国特許出願公開第2530959号明細書(Mo12BiFeCo4.5Ni2.5Cr0.50.1、Mo13.75BiFeCo4.5Ni2.5Ge0.50.8、Mo12BiFeCo4.5Ni2.5Mn0.50.1およびMo12BiFeCo4.5Ni2.5La0.50.1)、米国特許第3,911,039号明細書(Mo12BiFeCo4.5Ni2.5Sn0.50.1)、西独国特許出願公開第2530959号明細書および西独国特許出願公開第2447825号明細書(Mo12BiFeCo4.5Ni2.50.50.1)に記載されている。
適切な多金属酸化物およびそれらの製造は、米国特許第4,423,281号明細書(Mo12BiNiPb0.5Cr0.2およびMo12BiNiAlCr0.50.5)、米国特許第4,336,409号明細書(Mo12BiNiCdCr0.5)、西独国特許出願公開第2600128号明細書(Mo12BiNi0.5Cr0.5Mg7.50.1+SiO)および西独国特許出願公開第2440329号明細書(Mo12BiCo4.5Ni2.5Cr0.50.1)にさらに記載されている。
特に好ましいモリブデンおよび少なくとも1種のさらなる金属を含有する触媒活性多金属酸化物は、一般式(Ia):
Mo12BiFeCoNiCr (Ia)
を有しており、前記式中、
=Si、Mnおよび/またはAl、
=Li、Na、K、Csおよび/またはRb、
0.2≦a≦1、
0.5≦b≦10、
0≦c≦10、
0≦d≦10、
2≦c+d≦10、
0≦e≦2、
0≦f≦10、
0≦g≦0.5、
y=電荷中性の条件下で(Ia)における酸素以外の元素の価数および存在度により求められる数である。
CoおよびNiの双方の金属の触媒活性酸化物材料が、Coのみを含有する(d=0)触媒が好ましい。XはSiおよび/またはMnであることが好ましく、Xは有利にはK、Naおよび/またはCsであり、X=Kであることが特に好ましい。主にCr(VI)不含の触媒が特に好ましい。
一般的に、オキシ脱水素の反応温度は、反応管の周囲に存在する熱交換媒体により制御される。そのような液状の熱交換媒体としては、例えば硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムおよび/または硝酸ナトリウムのような塩または塩混合物の溶融物、ならびにナトリウム、水銀および様々な金属の合金のような金属の溶融物が考えられる。しかしながら、イオン液体または熱媒油も使用可能である。熱交換媒体の温度は、220〜490℃、好ましくは300〜450℃、特に好ましくは330〜420℃である。
反応の進行による発熱を理由に、反応の間の反応器内部の特定部分における温度は、熱交換媒体の特定部分より高くてもよく、いわゆるホットスポットが形成される。ホットスポットの位置および高さは反応条件により定まるが、触媒層の希釈比率または混合ガスの貫流によっても調節可能である。ホットスポットの温度と熱交換媒体の温度との差は、一般的に1〜150℃、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは20〜80℃である。触媒床の端部における温度は、熱交換媒体の温度を、一般的に0〜100℃、有利には0.1〜50℃、特に好ましくは1〜25℃上回る。
オキシ脱水素は、従来技術から公知のあらゆる固定床反応器、例えば棚型炉、固定床管型反応器もしくは管束型反応器、またはプレート式熱交換反応器中で実施可能である。管束型反応器が好ましい。
有利には、酸化脱水素は、固定床管型反応器または固定床管束型反応器中で実施される。一般的に、反応管(管束型反応器のその他の要素も同様)は鋼製である。反応管の壁厚は、一般的に1〜3mmである。その内径は、通常(一様に)10〜50mmまたは15〜40mm、多くの場合20〜30mmである。管束型反応器に収容された反応管の数は、通常、少なくとも1000、または3000、または5000、有利には少なくとも10000である。多くの場合、管束型反応器に収容された反応管の数は、15000〜30000または40000または50000である。反応管の長さは、一般的に、通常であれば数メートルにわたり、1〜8m、多くの場合2〜7m、頻繁には2.5〜6mの反応管長さである。
さらに、1個または複数個のODH反応器R内に設置されている触媒層は、単独の層または2つ以上の層からなっていてもよい。これらの層は、純粋な触媒からなっていてもよいし、供給ガスと反応しないか、または反応生成物ガスからの成分と反応しない材料中で希釈されていてもよい。さらに、触媒層は中実活性材料(Vollmaterial)および/または担持されたシェル触媒からなっていてもよい。
酸化脱水素から排出される生成物ガス流は、一般的に、ブタジエンの他に、未反応の1−ブテンおよび2−ブテン、酸素、ならびに水蒸気を含有する。生成物ガス流は、一般的に、副成分として一酸化炭素、二酸化炭素、不活性ガス(主に窒素)、低沸点炭化水素、例えば、メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、ブタンおよびイソブタン、場合により水素、ならびに場合により酸素含有炭化水素、いわゆる含酸素化合物をさらに含有する。含酸素化合物は、例えばホルムアルデヒド、フラン、酢酸、無水マレイン酸、ギ酸、メタクロレイン、メタアクリル酸、クロトンアルデヒド、クロトン酸、プロピオン酸、アクリル酸、メチルビニルケトン、スチレン、ベンズアルデヒド、安息香酸、無水フタル酸、フルオレノン、アントラキノンおよびブチルアルデヒドであり得る。
反応器出口における生成物ガス流は、温度が触媒床の端部の温度に近いことを特徴とする。次いでこの生成物ガス流を、150〜400℃、好ましくは160〜300℃、特に好ましくは170〜250℃の温度にする。生成物ガス流が流れる導管を所望の範囲の温度に保つために、断熱するか、または熱交換器を使用することが可能である。この熱交換器系は、この系を用いて生成物ガスの温度を所望の水準に保つことができる限り任意である。熱交換器の例として、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管熱交換器、多重管熱交換器、タンクスパイラル式熱交換器、タンクジャケット式熱交換器、液・液接触熱交換器、空気熱交換器、直接接触熱交換器ならびにフィンチューブ熱交換器を挙げることができる。生成物ガスの温度が所望の温度に調節される間、前記生成物ガス中に含まれている高沸点副生成物の一部が沈殿することがあるので、熱交換器系は、有利には2個以上の熱交換器を有することが望ましい。ここで、設けられた2個または複数個の熱交換器が並列に配置されていることにより、得られた生成物ガスを熱交換器内で別々に冷却することができる場合、熱交換器内に沈殿する高沸点副生成物の量が減少するため、熱交換器の運転時間を延長することができる。上記の方法に対する代替法として、設けられた2個または複数個の熱交換器は並列に配置されていてもよい。生成物ガスは1個または複数個の熱交換器に供給されるが、すべての熱交換器に供給されるわけではなく、熱交換器は一定の運転時間後に別の熱交換器と交換される。この方法では、冷却を継続し、反応熱の一部を回収し、それと並行して熱交換器のうちの1個に沈殿した高沸点副生成物を除去することができる。上記の冷却剤としては、高沸点副生成物を溶解することができる限り、1種の溶媒を使用してもよい。例としては芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエンおよびキシレン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼンがある。メシチレンが特に好ましい。水性溶媒も使用することができる。水性溶媒は、酸性およびアルカリ性のどちらに調整してもよく、これは例えば水酸化ナトリウム水溶液である。
引き続き、冷却および圧縮により、大部分の高沸点副成分と水が生成物ガス流から分離される。冷却は冷却剤と接触させることにより行われる。以下では、この段階をクエンチQともいう。このクエンチは、一段階または複数段階からなっていてもよい。つまり、生成物ガス流は、有利には有機冷却媒体と直接接触させることにより冷却される。冷却媒体としては、水性冷却剤または有機溶媒が適しており、好ましくは芳香族炭化水素、特に好ましくはトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンもしくはメシチレン、またはそれらの混合物を使用する。ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる可能な異性体、ならびにそれらの混合物も使用することができる。
二段階のクエンチが好ましく、すなわち、段階Ca)は生成物ガス流bを有機溶媒と接触させる2回の冷却段階Ca1)およびCa2)を含む。
つまり、本発明の好ましい実施形態では、冷却段階Ca)は二段階で実施され、ここで、副成分が負荷された第2の段階Ca2)の溶媒が第1の段階Ca1)に送られる。第2の段階Ca2)から取り出された溶媒は、第1の段階Ca1)から取り出された溶媒よりも副成分の含有量が少ない。
n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、場合により酸素、水素、水蒸気、少量でメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、イソブタン、炭素酸化物、不活性ガスおよびクエンチで使用される溶媒の一部を含有するガス流が得られる。さらに、このガス流中に、クエンチにおいて定量的には分離されなかった痕跡量の高沸点成分が残留していてもよい。
溶媒のクエンチからの生成物ガス流を少なくとも1回の圧縮段階Kにおいて圧縮し、その後、冷却装置内でさらに冷却して少なくとも1つの凝縮物流が生じる。ブタジエン、1−ブテン、2−ブテン、酸素、水蒸気、場合により低沸点炭化水素、例えばメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、ブタンおよびイソブタン、場合により炭素酸化物、ならびに場合により不活性ガスを含有するガス流が残留する。さらに、この生成物ガス流はなお、痕跡量の高沸点成分を含有していてもよい。
ガス流の圧縮および冷却を、一段階または複数段階(n段階)で行ってもよい。一般的に、全体として1.0〜4.0bar(絶対圧)の範囲にある圧力から、3.5〜20bar(絶対圧)の範囲にある圧力に圧縮される。各圧縮段階の後に、ガス流を15〜60℃の範囲にある温度に冷却する冷却段階が行われる。したがって、凝縮物流は複数段階の圧縮において複数の流を含んでいてもよい。凝縮物流は、大部分の水と、場合によりクエンチで使用される有機溶媒とからなる。その他に、どちらの流(水相および有機相)も少量で副成分、例えば低沸点物質、C炭化水素、含酸素化合物および炭素酸化物を含有していてもよい。
ブタジエン、n−ブテン、酸素、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン)、場合により水蒸気、場合により炭素酸化物、ならびに場合により不活性ガス、および場合により痕跡量の副成分を含有するガス流が、排出流としてさらなる後処理に供給される。
工程D)では、酸素、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)、炭素酸化物および不活性ガスを含む非凝縮性で低沸点のガス成分が、吸収塔A内で、高沸点吸収剤におけるC炭化水素の吸収および引き続くC炭化水素の脱着によって、プロセスガス流からガス流として分離される。工程D)は、工程Da1)、Da2)およびDb):
Da1) ブタジエンおよびn−ブテンを含むC炭化水素を高沸点吸収剤に吸収させて、C炭化水素が負荷された吸収剤流とガス流とを得る工程と、
Da2) 工程Da)からのC炭化水素が負荷された吸収剤流から、非凝縮性ガス流でストリッピングすることにより酸素を除去して、C炭化水素が負荷された吸収剤流を得る工程と、
Db) 負荷された吸収剤流からC炭化水素を脱着させて、実質的にC炭化水素からなるC生成物ガス流を得る工程と
を含むことが好ましい。
さらに、吸収段階Da1)では、ガス流を不活性吸収剤と接触させ、C炭化水素を不活性吸収剤に吸収させて、C炭化水素が負荷された吸収剤と、その他のガス成分を含有する排ガスとが得られる。脱着段階では、C炭化水素が高沸点吸収剤から再び遊離させられる。
吸収段階は当業者に公知の適切なあらゆる任意の吸収塔内で実施可能である。吸収は単に生成物ガス流を吸収剤に導通させることにより行うことができる。しかしながら、吸収塔または回転型吸収装置中で吸収を行ってもよい。この場合、並流、向流または交差流で運転することができる。吸収は向流で実施されることが好ましい。適切な吸収塔は、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを有する棚段塔、規則充填物、例えば、100〜1000m/mの比表面積を有するシートメタル充填物を有する塔、例えば、Mellapak(登録商標)250Y、ならびに不規則充填塔である。しかしながら、トリクル塔(Rieseltuerme)および噴霧塔、グラファイトブロック吸収体、表面吸収体、例えば厚膜吸収体および薄膜吸収体、ならびに回転カラム、プレートスクラバ、クロスベールスクラバ(Kreuzschleierwaescher)およびロータリースクラバも考慮される。
一実施形態では、吸収塔の下側領域にブタジエン、n−ブテンおよび低沸点かつ非凝縮性のガス成分を含有するガス流が供給される。吸収塔の上側領域には高沸点吸収剤が供給される。
吸収段階で使用される不活性吸収剤は、一般的に、分離すべきC炭化水素混合物がその他の分離すべきガス成分よりも著しく高い溶解度を有する高沸点非極性溶媒である。適切な吸収剤は、比較的非極性の有機溶媒、例えば脂肪族C〜C18アルカンであるか、芳香族炭化水素、例えばパラフィン蒸留からの中油留分、トルエンまたは嵩高い基を有するエーテルであるか、それらの溶媒の混合物であり、これらに、極性溶媒、例えば1,2−ジメチルフタレートを添加してもよい。さらに、適切な吸収剤は、安息香酸およびフタル酸と直鎖状C〜Cアルカノールとのエステル、ならびにいわゆる熱媒油、例えば、ビフェニルおよびジフェニルエーテル、それらのクロロ誘導体、ならびにトリアリールアルケンである。適切な吸収剤は、ビフェニルおよびジフェニルエーテルからの混合物、好ましくは共沸組成にある混合物、例えば市販で得られるDiphyl(登録商標)である。多くの場合、この溶媒混合物は、ジメチルフタレートを0.1〜25重量%の量で含む。
好ましい実施形態では、吸収段階Da1)において、冷却段階Ca)と同じ溶媒が使用される。
好ましい吸収剤は、少なくとも1000ppm(mg活性酸素/kg溶媒)の有機過酸化物に対して溶解性を有する溶媒である。芳香族炭化水素が好ましく、トルエン、o−キシレン、p−キシレンおよびメシチレンまたはそれらの混合物が特に好ましい。ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる可能な異性体、ならびにそれらの混合物も使用することができる。
吸収塔の塔頂部では、実質的に酸素、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)、炭化水素溶媒、場合によりC炭化水素(ブタン、ブテン、ブタジエン)、場合により不活性ガス、場合により炭素酸化物、および場合によりさらに水蒸気を含有するガス流dが取り出される。この物質流は、少なくとも部分的に循環ガス流d2としてODH反応器に供給される。したがって、例えばODH反応器の導入流を所望のC炭化水素含有量に調整することができる。場合によりパージガス流を分離した後に、少なくとも10体積%、好ましくは少なくとも30体積%のガス流dは、一般的に、循環ガス流d2として酸化脱水素ゾーンに返送される。
一般的に、返送流は、酸化脱水素B)に供給されたすべての物質流の合計を基準として、10〜70体積%、好ましくは30〜60体積%である。
パージガス流を熱または触媒による後燃焼に供してもよい。これは、特に発電所において熱的に利用可能である。
吸収塔の塔底部では、さらなる塔においてガスを用いた洗浄により吸収剤中に溶解した酸素の残分が排出される。残留する酸素割合は、脱着塔から排出されるブタン、ブテンならびにブタジエンを含有する流が酸素を最大でも100ppm含む程度となるように少ないことが望ましい。
工程Da2)における酸素のストリッピング除去は、当業者に公知の任意の適切な塔内で実施することができる。ストリッピングは、非凝縮性ガス、有利には吸収剤流において吸収されないか、またはそれほど吸収されないガス、例えばメタンを、単に負荷された吸収溶液に導通させることで行うことができる。ストリッピング除去されたC炭化水素は、ガス流をこの吸収塔に通してから戻すことで、塔の上側部分において吸収溶液に戻して洗浄される。これは、ストリッピング塔を配置し、かつ吸収塔の下方にストリッピング塔を直接設置することの両方によって行うことができる。ストリッピング塔部および吸収塔部における圧力は同じであるため、これらを直接連結することができる。適切なストリッピング塔は、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを有する棚段塔、規則充填物、例えば100〜1000m/mの比表面積を有するシートメタル充填物、例えば、Mellapak(登録商標)250Y、ならびに不規則充填塔である。しかしながら、トリクル塔および噴霧塔、ならびに回転塔、プレートスクラバ、クロスベールスクラバおよびロータリースクラバも考慮される。適切なガスは、例えば窒素またはメタンである。
本方法の一実施形態では、工程Da2)において、メタン含有ガス流でストリッピングが行われる。このガス流(ストリッピングガス)は特に90体積%超のメタンを含有する。
炭化水素が負荷された吸収剤流を熱交換器内で加熱し、引き続き脱着塔に通してもよい。一方法変形例では、水蒸気流により負荷された吸収剤の放圧およびストリッピングにより脱着工程Db)を実施する。
脱着段階で再生した吸収剤を熱交換器内で冷却することができる。冷却された流は、吸収剤のみならず、水も含有し、この水は相分離器内で分離される。
実質的にn−ブタン、n−ブテンおよびブタジエンからなるC生成物ガス流は、20〜80体積%のブタジエン、0〜80体積%のn−ブタン、0〜10体積%の1−ブテン、0〜50体積%の2−ブテンおよび0〜10体積%のメタンを含有することが一般的であり、ここで合計量は100体積%になる。さらに、少量のイソブタンが含有されていてもよい。
凝縮され、主にC炭化水素を含有する脱着塔の塔頂部排出物の一部を、塔頂部に返送し、塔の分離性能を高めることができる。
引き続き、凝縮器から排出される液状またはガス状のC生成物流は、ブタジエンに対する選択溶媒を用いた工程E)における抽出蒸留によって、ブタジエンおよび選択溶媒を含有する物質流と、ブタンおよびn−ブテンを含有する物質流とに分離される。
1個の反応器Rのみを考慮した実験の構成を概略的に示す図である。 運転段階(工程0および1)、停止段階(工程1〜4)、燃焼除去段階(工程4および5)ならびに再酸化段階(工程5および6)の各段階を有する反応器管に関する計量供給スキームを示す図である。 計量供給スキームの展開グラフを示す図である。 本発明による停止および再生プロセスの間のC炭化水素a1、酸素含有ガスa2、循環ガス流d2および不活性ガス流(窒素)a4の標準l/hの体積流量を示す図である。 図4に示される流に従った本発明による停止および再生プロセスの間の、クエンチ段階Qの出口で得られた残留酸素含有量(体積%)、塩浴温度SBTおよびホットスポット温度(℃)を示す図である。
実施例:
管型反応器(R)は、ステンレス鋼1.4571製であり、内径29.7mmおよび長さ5mを有しており、混合酸化物触媒(2500ml)で充填される。管の中心には、充填物における温度プロファイルを測定するために、内部に熱電対を有するサーモスリーブ(外径6mm)が組み込まれている。この管の周りに塩溶融物を流し、外壁温度を一定に保つ。この反応器に、ブテンおよびブタンからの流(a1)、水蒸気(a3)、空気(a2)および酸素含有循環ガス(d2)を供給する。さらに、この反応器に窒素(a4)を供給してもよい。
生成物ガス(b)をクエンチ装置(Q)内で45℃に冷却し、ここで、高沸点副生成物を分離する。この流を圧縮器段階(K)において10barに圧縮し、再び45℃に冷却する。冷却器内で凝縮物流(c1)を排出する。ガス流(c2)を吸収塔(A)に供給する。メシチレンを使用して吸収塔を運転する。吸収塔から、有機生成物を豊富に含有する液状流と、ガス状流(d)とを、吸収塔の塔頂部で取得する。全体の後処理は、水と有機成分とが完全に分離されるように設計されている。流(d)の一部を循環ガス(d2)として反応器に返送する。
例1
図1は、1個の反応器Rのみを考慮した実験の構成を概略的に示している。定常運転状態における循環ガスd2の酸素濃度は7.5体積%である。定常運転状態では、反応器に以下のものを供給する:
・ 流a1であって、ブテン85体積%およびブタン15体積%からなり、516標準l/hの流量
・ 流a2であって、この場合は空気であり、2431標準l/hの流量
・ 流a3であって、水蒸気であり、275標準l/hの流量および
・ 循環ガス流d2であって、2278標準l/hの流量。
これにより、定常運転状態における全ガス流量は5500標準l/hになる。
停止段階の開始は、10分間にわたって流a2を遮断し、流a1を172標準l/hに、流a3を175標準l/hに調節し、875標準l/hの流a4を有する不活性ガスを送り込むことによって行う。
それから、10分間にわたって、不活性ガス流a4を2175標準l/hに増加させ、循環ガス流d2を1150標準l/hに調節し、流a1を86標準l/hに調節する。
それから、流a1を遮断する。反応器の入口で、酸素2.5体積%の最終値が得られ、ここで、酸素は循環ガス流d2に由来する。
それから、不活性ガス流a4を遮断し、循環ガス流d2を3325標準l/hに増加させる。
図2は、運転段階(工程0および1)、停止段階(工程1〜4)、燃焼除去段階(工程4および5)ならびに再酸化段階(工程5および6)の各段階を有する反応器管に関する計量供給スキームを示している。
図3は、計量供給スキームの展開グラフを示している。
図4は、本発明による停止および再生プロセスの間のC炭化水素a1、酸素含有ガスa2、循環ガス流d2および不活性ガス流(窒素)a4の標準l/hでの体積流量を示している。供給流中のO濃度は、循環ガス流d2中のO濃度をシミュレートするために、最初は12.3体積%である。
図5は、図4に示される流に従った本発明による停止および再生プロセスの間の、クエンチ段階Qの出口で得られる残留酸素含有量(体積%)、塩浴温度SBTおよびホットスポット温度(℃)を示している。供給流中のO濃度は、循環ガス流d2中のO濃度をシミュレートするために、最初は12.3体積%である。ホットスポットは、停止の間に徐々に減少し、短時間で大幅に増加することも大幅に減少することもない。停止の開始直前に、反応器の下流の酸素濃度は6.0体積%であり、循環ガス中では7.5体積%である。停止の間、反応器の下流の値は減少する。コークまたは炭素含有化合物が燃焼除去されるため、この値は、反応器の入口で一時的に設定される酸素濃度2.5体積%を下回る。窒素流を遮断し、循環ガス流を再び増加させた後、酸素濃度は、反応器の下流で、水蒸気で希釈されるため、クエンチと吸収塔との間で、かつ循環ガス中で7.1体積%または7.5体積%に上昇する。空気の供給を遮断した後、酸素濃度は、反応器の上流と下流、およびクエンチ塔と吸収塔との間で循環ガス中での値を超えることはできない。したがって、安全で、かつ触媒の損傷を抑えるような停止が保証される。
、R、R 並行して運転されるn個の反応器
a1、a2、a3、a1、a2、a3、a1、a2、a3 個々の反応器に割り当てられた物質流a1、a2、a3
d2合計 全循環ガス流
d2、d2、d2 個々の反応器に割り当てられた循環ガス部分流
d3 補償流
、b、b 個々の反応器に割り当てられた生成物ガス部分流
b 合一されたブタジエン含有C生成物ガス流
Q クエンチ段階
K 圧縮段階
c1 水性凝縮物流
c2 ブタジエン含有C生成物ガス流
A 吸収段階
d1 ブタジエン含有C生成物ガス流
d パージ流を分離する前の全循環ガス流
p パージ流
、q、q 個々の反応器に割り当てられた排出物流

Claims (15)

  1. 並行して運転されるn個の反応器R1〜Rnにおいてn−ブテンからブタジエンを製造する方法であって、前記並行して運転される複数の各反応器は、運転段階および再生段階を経るものであり、該方法は、前記n個の反応器における反応器Rmの運転段階において、以下の工程
    A) n−ブテン含有供給ガス流a1mを準備する工程と、
    B) 前記n−ブテン含有供給ガス流a1m、酸素含有ガス流a2mおよび酸素含有全循環ガス流d2の部分流d2mを前記反応器の酸化脱水素ゾーンに供給して、n−ブテンを酸化脱水素してブタジエンを形成し、ブタジエン、未反応のn−ブテン、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、高沸点副成分、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有する生成物ガス部分流bmを得る工程と、
    C) 前記生成物ガス部分流bmとさらなる生成物ガス部分流とを合一して全生成物ガス流bを形成し、前記全生成物ガス流bを冷却および圧縮し、前記高沸点副成分の少なくとも一部を凝縮し、少なくとも1つの水性凝縮物流c1と、ブタジエン、n−ブテン、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流c2とを得る工程と、
    D) 前記ガス流c2を吸収ゾーンに供給し、ブタジエンおよびn−ブテンを含むC炭化水素を吸収剤に吸収させることによって、酸素、低沸点炭化水素、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含む非凝縮性で低沸点のガス成分を、前記ガス流c2からガス流dとして分離して、C炭化水素が負荷された吸収剤流d1および循環ガス流d2を得て、場合によりパージガス流pを分離した後に、前記全循環ガス流d2の部分流d2mを前記反応器Rmに返送する工程と
    を含み、前記反応器Rmの前記再生段階の間、別の反応器は前記運転段階にあり、前記反応器Rmの前記再生段階は、
    i) 前記n−ブテン含有供給ガス流a1mおよび前記酸素含有ガス流a2mを低減し、不活性ガス流a4mを前記反応器Rmに供給する工程であって、前記反応器Rmを通る全ガス流は、前記運転段階の間に前記反応器Rmを通る全ガス流の55〜75%%に相当する工程と、
    ii) 前記反応器Rmの酸素含有量が2〜3体積%になるまで、前記n−ブテン含有供給ガス流a1mを0までさらに低減し、前記循環ガス部分流d2mを低減し、かつ前記不活性ガス流a4mを増加させる工程であって、前記反応器Rmを通る全ガス流は、前記運転段階の間に前記反応器Rmを通る全ガス流の55〜75%%に相当する工程と、
    iii) 2〜3体積%の酸素含有量で炭素含有堆積物を燃焼除去させることによって触媒を再生する工程と、
    iv) 前記反応器Rmの酸素含有量が4〜10体積%になるまで、前記不活性ガス流a4mを低減し、かつ前記循環ガス部分流d2mを増加させて、前記反応器Rmを通る全ガス流は、前記運転段階の間の全ガス流の60〜120%に相当する工程と、
    v) 4〜10体積%の酸素含有量で前記触媒を再酸化する工程と
    をi)〜v)の順序で含む、方法。
  2. 工程i)の間、酸素:n−ブテンの比率が、前記運転段階における比率の0.7〜1.0倍であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記反応器Rmの前記酸素含有量を、工程i)の間、3〜7体積%に低減することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記n−ブテン含有ガス流a1mを、工程i)の間、前記運転段階の間の前記ガス流の25〜50%に低減することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 工程ii)の間、前記n−ブテン含有ガス流a1mを、前記運転段階の間の前記ガス流の12.5〜25%に低減し、それに対応して前記ガス部分流d2mを低減することで、酸素:n−ブテンの比率が、前記運転段階における比率の0.7〜1.0倍となり、引き続き前記n−ブテン含有ガス流a1mを0に減少させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 工程iii)を、5〜60分の期間にわたって実施することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 工程v)を、12〜96時間の期間にわたって実施することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 前記運転段階における酸素:炭化水素の比率が、前記供給ガス流a1のn−ブテン含有量が50〜100体積%の場合、1.3:1〜1.65:1であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記運転段階および前記再生段階の間の前記反応器Rmの圧力が1〜5barであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 前記再生段階の後に、工程vi)〜viii):
    vi) 任意に、水蒸気流a3mを前記脱水素ゾーンに追加供給する工程;
    vii) 前記ブテン含有供給ガス流a1mを前記運転段階よりも低い体積流量で追加供給し、この体積流量を前記運転段階における前記供給ガス流a1mの体積流量の少なくとも50%に達するまで増加させる工程であって、前記反応器Rmを通る全ガス流は、前記運転段階の間の全ガス流の最大120%に相当する工程;
    viii) 前記運転段階における前記ブテン含有供給ガス流a1mの体積流量の少なくとも50%に達したら、前記運転段階よりも低い体積流量を有する前記酸素含有流a2mを追加供給し、前記運転段階における体積流量に達するまで前記ガス流a1mおよびa2mの体積流量を増加させる工程であって、前記脱水素ゾーンを通る全ガス流は、前記運転段階の間の全ガス流の最大120%に相当する工程;
    を有する始動段階が続くことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記工程(vi)、(vii)および(viii)の間に前記脱水素ゾーンを通る、前記流a1m、a2m、d2mおよび場合によりa3mを含有する全ガス流が実質的に一定であり続け、前記運転段階の間に前記脱水素ゾーンを通る全ガス流の90〜110体積%に相当することを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. 前記工程vi)、vii)およびviii)の間の前記脱水素ゾーンにおける前記水蒸気量が0.5〜10体積%であることを特徴とする、請求項10または11記載の方法。
  13. 前記始動段階の間の前記反応器Rmの圧力が1〜5barであることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 前記工程D)は、工程Da)およびDb):
    Da) 前記ブタジエンおよびn−ブテンを含有するC炭化水素を吸収剤に吸収させることで、酸素、低沸点炭化水素、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含む非凝縮性で低沸点のガス成分をガス流d2として前記ガス流c2から分離して、C炭化水素が負荷された吸収剤流d1と前記循環ガス流d2とを得る工程と、
    Db) 引き続き、前記負荷された吸収剤流d1から前記C炭化水素を脱着させ、ここで、C生成物ガス流d3を得る工程と
    を含むことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 追加の工程:
    E) 前記C生成物流d3を、ブタジエンに対する選択溶媒を用いた抽出蒸留によって、ブタジエンおよび選択溶媒を含有する物質流e1とn−ブテン含有物質流e2とに分離する工程と、
    F) 前記ブタジエンおよび前記選択溶媒を含有する物質流f2を蒸留して、実質的に前記選択溶媒からなる物質流g1とブタジエン含有物質流g2とにする工程と
    を有する、請求項14記載の方法。
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