JP2018535196A5 - - Google Patents

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本発明によれば、CH1/CLドメイン交差多重特異性抗体の非交差結合アーム中のCH1とCLの境界面において特定の位置に反対電荷を持つアミノ酸を導入することにより、多重特異性抗体の生産中に起こる望ましくない副生成物の形成を低減することができ、熱安定性(例えば凝集開始温度)を増加させることができる。これにより、所望の多重特異性抗体の純度および安定性、特にプロテインAおよびSEC精製後の純度を、増加させることができる。
[本発明1001]
a)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する第1の軽鎖および第1の重鎖と、
b)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する第2の軽鎖および第2の重鎖と
を含む多重特異性抗体であって、
第2の軽鎖では定常ドメインCLが第2の重鎖の定常ドメインCH1で置き換えられており、
第2の重鎖では定常ドメインCH1が第2の軽鎖の定常ドメインCLで置き換えられており、
i)第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、124番目および123番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、KおよびRから選択されるアミノ酸で互いに独立して置換されており、第1の重鎖の定常ドメインCH1において、147番目および213番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、EまたはDから選択されるアミノ酸で互いに独立して置換されている、
多重特異性抗体。
[本発明1002]
第2の重鎖の定常ドメインCLにおいて、124番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、EおよびDから選択されるアミノ酸で置換されている、
本発明1001の多重特異性抗体。
[本発明1003]
第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、124番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、Kで置換されている、
前記本発明のいずれかの多重特異性抗体。
[本発明1004]
第1の重鎖の定常ドメインCH1において、213番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、Eで置換されている、
前記本発明のいずれかの多重特異性抗体。
[本発明1005]
第1の重鎖の定常ドメインCH1において、147番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、Eで置換されている、
本発明1004の多重特異性抗体。
[本発明1006]
i)第1の軽鎖の可変ドメインVLにおいて、38番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、K、R、およびHから選択されるアミノ酸で置換され、
第1の重鎖の可変ドメインVHにおいて、39番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、EおよびDから選択されるアミノ酸で置換されており、かつ
ii)第2の重鎖の可変ドメインVLにおいて、38番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、EおよびDから選択されるアミノ酸(好ましい一態様ではE)で置換され、かつ、第2の軽鎖の可変ドメインVHにおいて、39番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、K、R、およびHから選択されるアミノ酸で(好ましい一態様ではKまたはRで、一態様ではKで)置換されている、
前記本発明のいずれかの多重特異性抗体。
[本発明1007]
第1の抗体に由来するCH3ドメインを含む第1の重鎖と第2の抗体に由来するCH3ドメインを含む第2の重鎖とを含み、第1の重鎖と第2の重鎖のヘテロ二量体化を促進するために、両CH3ドメインがアミノ酸置換によって改変されている、前記本発明のいずれかの多重特異性抗体。
[本発明1008]
抗体の三次構造において、第1の重鎖のCH3ドメインと第2の重鎖のCH3ドメインとが、それぞれの抗体CH3ドメインの間に位置する境界面を形成し、
第1の重鎖のCH3ドメインと第2の重鎖のCH3ドメインのそれぞれのアミノ酸配列は各々が、抗体の三次構造において該境界面内に位置する一組のアミノ酸を含み、
一方の重鎖のCH3ドメイン中の境界面に位置する前記一組のアミノ酸のうち、少なくとも1つのアミノ酸残基が、元のアミノ酸残基より大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換されており、それによって、突起を境界面内に生成しており、
該突起は、前記一方の重鎖のCH3ドメイン内に位置し、
該突起は、境界面内で他方の重鎖のCH3ドメイン中に位置するくぼみ内に配置され得、かつ
他方の重鎖のCH3ドメイン中の境界面に位置する前記一組のアミノ酸のうち、少なくとも1つのアミノ酸残基が、元のアミノ酸残基より小さな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換されており、それによって、くぼみを境界面内に生成しており、
該くぼみは、前記他方の重鎖のCH3ドメイン中に位置し、
該くぼみ中に、前記一方の重鎖のCH3ドメイン中に位置する境界面内の突起が配置され得る、
前記本発明のいずれかの多重特異性抗体。
[本発明1009]
元のアミノ酸残基より大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基がR、F、Y、およびWから選択され、かつ
元のアミノ酸残基より小さな側鎖体積を有するアミノ酸残基がA、S、T、およびVから選択される、
本発明1008の多重特異性抗体。
[本発明1010]
導入されたシステイン残基によって一方の重鎖のCH3ドメインと他方の重鎖のCH3ドメインとの間にジスルフィド架橋が形成されうるように、
一方の重鎖のCH3ドメイン中の境界面に位置する一組のアミノ酸のうち、第1のアミノ酸がシステインで置換され、かつ
他方の重鎖のCH3ドメイン中の境界面に位置する一組のアミノ酸のうち、境界面内で前記第1のアミノ酸に面している第2のアミノ酸がシステインで置換されている、
本発明1008または1009の多重特異性抗体。
[本発明1011]
a)SEQ ID NO:26の可変重鎖ドメイン(VH)(<VH Ang2>)およびSEQ ID NO:27の可変軽鎖ドメイン(VL)(<VL Ang2>)を含み、かつ
b)SEQ ID NO:24の可変重鎖ドメイン(VH)(<VH VEGF>)およびSEQ ID NO:25の可変軽鎖ドメイン(VL)(<VL VEGF>)を含み、
ヒトアンジオポエチン-2およびヒトVEGFに特異的に結合する、前記本発明のいずれかの多重特異性抗体。
[本発明1012]
・a)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する、本発明1001〜1009のいずれかに定義する第1の軽鎖、
b)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する、本発明1001〜1009のいずれかに定義する第1の重鎖、
c)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する、本発明1001〜1009のいずれかに定義する第2の軽鎖、および
d)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する、本発明1001〜1009のいずれかに定義する第2の重鎖
をコードする核酸を含むベクターで宿主細胞を形質転換する工程、
・多重特異性抗体の合成を可能にする条件下で該宿主細胞を培養する工程、ならびに
・該宿主細胞培養から多重特異性抗体を回収する工程
を含む、本発明1001〜1011のいずれかの多重特異性抗体を調製するための方法。
[本発明1013]
a)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する本発明1001〜1011のいずれかに定義する第1の軽鎖をコードする核酸を含むベクター、
b)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する本発明1001〜1011のいずれかに定義する第1の重鎖をコードする核酸を含むベクター、
c)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する本発明1001〜1011のいずれかに定義する第2の軽鎖をコードする核酸を含むベクター、および
d)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する本発明1001〜1011のいずれかに定義する第2の重鎖をコードする核酸を含むベクター
を含む宿主細胞。
[本発明1014]
少なくとも1種類の薬学的に許容される担体と組み合わされた本発明1001〜1011のいずれかの多重特異性抗体を含む、薬学的組成物。
[本発明1015]
医薬として使用するための、本発明1001〜1011のいずれかの多重特異性抗体。
[本発明1016]
多重特異性抗体の凝集開始温度を改善するための方法であって、
該多重特異性抗体は、第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する第1の軽鎖および第1の重鎖と、第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する第2の軽鎖および第2の重鎖とを含み、第2の軽鎖では定常ドメインCLが第2の重鎖の定常ドメインCH1で置き換えられ、第2の重鎖では定常ドメインCH1が第2の軽鎖の定常ドメインCLで置き換えられており、
・定常ドメインCLにおいて、124番目および123番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、KおよびRから選択されるアミノ酸で互いに独立して置換されている、多重特異性抗体の修飾された第1の軽鎖を提供する工程、
・第1の重鎖の定常ドメインCH1において、147番目および213番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、EまたはDから選択されるアミノ酸で互いに独立して置換されている、多重特異性抗体の修飾された第1の重鎖を提供する工程、および
・修飾された第1の軽鎖、修飾された第1の重鎖、第2の軽鎖および第2の重鎖を含む、凝集開始温度が上昇している多重特異性抗体を提供する工程
を含む、方法。
[本発明1017]
定常ドメインCLにおいて、124番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、EおよびDから選択されるアミノ酸で置換されている、修飾された第2の重鎖を提供する工程
をさらに含み、
修飾された第1の軽鎖、修飾された第1の重鎖、第2の軽鎖および修飾された第2の重鎖を含む多重特異性抗体が提供される、
本発明1016の方法。
[本発明1018]
第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、124番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、Kで置換されている、本発明1016または1017の方法。
[本発明1019]
第1の重鎖の定常ドメインCH1において、213番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、Eで置換されている、本発明1016〜1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
第1の重鎖の定常ドメインCH1において、147番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、Eで置換されている、本発明1016〜1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
本発明1016〜1020のいずれかの方法によって得ることができる、多重特異性抗体。

Claims (11)

  1. a)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する第1の軽鎖および第1の重鎖と、
    b)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する第2の軽鎖および第2の重鎖と
    を含む、ヒトIgG1またはヒトIgG4サブクラスの多重特異性抗体であって、
    第2の軽鎖では定常ドメインCLが第2の重鎖の定常ドメインCH1で置き換えられており、
    第2の重鎖では定常ドメインCH1が第2の軽鎖の定常ドメインCLで置き換えられており、
    i)第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、124番目および123番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、KおよびRから選択されるアミノ酸で互いに独立して置換されており、第1の重鎖の定常ドメインCH1において、147番目および213番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、EまたはDから選択されるアミノ酸で互いに独立して置換されており、かつ
    ii)第2の重鎖の定常ドメインCLにおいて、124番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、EおよびDから選択されるアミノ酸で置換されており、かつ
    一方の重鎖のCH3ドメインにおいて、366番目のアミノ酸TがWで置換されており、他方の重鎖のCH3ドメインにおいて、366番目のアミノ酸TがSで置換されており、368番目のアミノ酸LがAで置換されており、407番目のアミノ酸YがVで置換されている(CH3ドメインのナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)、
    多重特異性抗体。
  2. 第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、124番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、Kで置換されている、
    求項1に記載の多重特異性抗体。
  3. 第1の重鎖の定常ドメインCH1において、213番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、Eで置換されている、
    前記請求項のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
  4. 第1の重鎖の定常ドメインCH1において、147番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)が、Eで置換されている、
    請求項3に記載の多重特異性抗体。
  5. i)第1の軽鎖の可変ドメインVLにおいて、38番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、K、R、およびHから選択されるアミノ酸で置換され、
    第1の重鎖の可変ドメインVHにおいて、39番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、EおよびDから選択されるアミノ酸で置換されており、かつ
    ii)第2の重鎖の可変ドメインVLにおいて、38番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、EおよびDから選択されるアミノ酸(好ましい一態様ではE)で置換され、かつ、第2の軽鎖の可変ドメインVHにおいて、39番目のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、K、R、およびHから選択されるアミノ酸で(好ましい一態様ではKまたはRで、一態様ではKで)置換されている、
    前記請求項のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
  6. 366番目にWを含む重鎖のCH3ドメインにおいて、356番目のアミノ酸Eまたは354番目のアミノ酸Sのどちらか一方が、Cで置換されており、かつ他方の重鎖のCH3ドメインにおいて、349番目のアミノ酸Yが、Cで置換されている、前記請求項のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
  7. a)SEQ ID NO:26の可変重鎖ドメイン(VH)(<VH Ang2>)およびSEQ ID NO:27の可変軽鎖ドメイン(VL)(<VL Ang2>)を含み、かつ
    b)SEQ ID NO:24の可変重鎖ドメイン(VH)(<VH VEGF>)およびSEQ ID NO:25の可変軽鎖ドメイン(VL)(<VL VEGF>)を含み、
    ヒトアンジオポエチン-2およびヒトVEGFに特異的に結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
  8. ・a)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する、請求項1〜7のいずれか一項に定義する第1の軽鎖、
    b)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する、請求項1〜7のいずれか一項に定義する第1の重鎖、
    c)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する、請求項1〜7のいずれか一項に定義する第2の軽鎖、および
    d)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する、請求項1〜7のいずれか一項に定義する第2の重鎖
    をコードする核酸を含むベクターで宿主細胞を形質転換する工程、
    ・多重特異性抗体の合成を可能にする条件下で該宿主細胞を培養する工程、ならびに
    ・該宿主細胞培養から多重特異性抗体を回収する工程
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多重特異性抗体を調製するための方法。
  9. a)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する請求項1〜7のいずれか一項に定義する第1の軽鎖をコードする核酸を含むベクター、
    b)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する請求項1〜7のいずれか一項に定義する第1の重鎖をコードする核酸を含むベクター、
    c)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する請求項1〜7のいずれか一項に定義する第2の軽鎖をコードする核酸を含むベクター、および
    d)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体に由来する請求項1〜7のいずれか一項に定義する第2の重鎖をコードする核酸を含むベクター
    を含む宿主細胞。
  10. 少なくとも1種類の薬学的に許容される担体と組み合わされた請求項1〜7のいずれか一項に記載の多重特異性抗体を含む、薬学的組成物。
  11. 医薬として使用するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
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