JP2018535186A - がん治療におけるウレイドマスチン(bo−1055)の使用 - Google Patents

がん治療におけるウレイドマスチン(bo−1055)の使用 Download PDF

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Abstract

【課題】がんを治療するためのウレイドマスチン(BO‐1055)の使用方法の提供。【解決手段】ヒト白血病(急性骨髄性白血病(ALL)や急性Bリンパ芽球性白血病(B‐ALL)など)、リンパ腫、小細胞肺がん(SCLC)、肉腫などの多様なタイプを含む群より選択される、がんの治療における、水溶性NDA架橋剤、ウレイドマスチン(BO‐1055)の使用方法である。【選択図】図1

Description

本発明はがん治療におけるウレイドマスチンの使用に関する。
1971年のニクソン大統領による「がんとの戦い」宣言以来、一連の思い込みが40年以上にわたりがん治療を支配してきた。がんとの戦いは、強力な示唆に富んだ表現であり、逆効果の、さらには潜在的に危険な細胞致死治療の枠組みの直接的な原因となっている(Oronsky et al.2015)。医薬業界は最大限かつ迅速な細胞致死を達成しようと、最大耐性量(MTD)を達成するために抗がん剤の開発をまだ続けている。
化学療法と放射線はがん細胞に対する究極の負荷試験であり、予期せぬ「最適者生存」反応を導いている。腫瘍を排除するはずの化学療法が、実際に逆効果となることがある。これは、通常不足する空間とリソースを奪い合うことで化学療法抵抗性の形態を抑制する抗癌剤感受性細胞が殺されてしまい、一方でがん性腫瘍がダーウィン的に環境に適応し、クローン性増殖と遺伝子多様化により進化するためである(Greaves & Maley 2012)。この淘汰圧の代価が獲得耐性の発生と治療不全であり、積極的治療が自滅的プロセスとなってしまう。
従って、非悪性組織に重篤な毒性をもたらすことがないがん治療の有効な方法が必要とされている。
アルキル化剤は一連の抗がん性化合物である。ウレイドマスチン(ureidomustine、BO‐1055とも呼ばれる)は、選択的アルキル化剤である。これは米国特許第8222297B2号で説明されており、次の構造式を有する。
ウレイドマスチンはこれまでに一部のがんに対する抗腫瘍剤として提示されているが、この化合物でその他のがんを治療する方法がまだ大いに必要とされている。
米国特許第8222297B2号明細書
本発明の目的は、必要とする患者においてがんを治療する方法を提供することにある。
一実施態様において、本発明の提供する必要とする患者においてがんを治療する方法は、前記患者にウレイドマスチンの治療有効量を投与する工程を含み、そのうち、前記がんが、白血病、リンパ腫、肺がん、小細胞肺がん(SCLC)、大腸がん、前立腺がん、腎がん、膠芽細胞腫、肉腫で構成される群より選択される。
ウレイドマスチン(ureidomustine、本出願でBO−1055とも呼ばれる)は、次の構造式を有する。
米国特許第8222297号ではウレイドマスチンについて、及びこの化合物を作製する工程についても説明されている。
用語「ウレイドマスチン」は、BO−1055の薬学的に許容可能な塩、この化合物の異性体、鏡像体、ラセミ混合物も含む。
好ましい実施態様において、前記がんは白血病、リンパ腫、SCLC、肉腫で構成される群より選択される。
一実施態様において、前記白血病は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性またはリンパ芽球性白血病(ALL、T細胞またはB細胞サブタイプ)、混合型白血病、慢性リンパ性白血病(CLL、T細胞またはB細胞サブタイプ)、慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
好ましい実施態様において、前記治療は、非悪性組織に重篤な毒性をもたらすことなく、治療上にがん細胞数の有意な減少を達成するために有効である。
ウレイドマスチンの投与量とヒト臍帯血(CB)造血前駆細胞(HPC/wk2‐CAFC)及び造血幹細胞(HSC/wk5‐CAFC)の関係を示す図である。 ウレイドマスチンの投与量と正常細胞型及びヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞系(MA‐10)の相対蛍光強度の関係を示す図である。 マウスへのウレイドマスチン(BO‐1055)、カルボプラチン、ドセタキセル、対照の投与42日後に撮影された異なる器官の病理学検査写真である。 ウレイドマスチンのDNA架橋ゲルシフトアッセイの写真である。 ウレイドマスチン治療後の非小細胞肺がんH1299細胞のフローサイトメトリー細胞周期分布を示す図である。 ウレイドマスチンのhERG受容体への結合のhERG蛍光偏光アッセイのグラフである。 血漿タンパクに結合したウレイドマスチンと時間の関係を示す図である。 さまざまな白血病細胞系と正常な臍帯血CD34+ HSC/HPCに対する72時間でのBO‐1055細胞毒性のアラマーブルー蛍光強度用量反応曲線図である。 ウレイドマスチン投与量と増殖因子依存性MA‐10‐W51細胞の相対蛍光強度の関係を示す図である。 1x10〜3x10のGFPルシフェラーゼ形質導入THP‐1 AML細胞が注射され、治療が行われなかった4匹のマウスのバイオイメージング写真パネルである。 1x10〜1x10のGFPルシフェラーゼ形質導入THP‐1 AML細胞が注射され、40日間にわたり1日当たり1ugのヒトGM‐CSFを放出する浸透圧ミニポンプが腫瘍注射時に皮下に埋め込まれた4匹のマウスのバイオイメージング写真パネルである。 マウス5匹ずつの6つのバイオイメージング写真パネルである。左側の3パネルはMV4‐11‐GFPルシフェラーゼ細胞のみが注射されたマウス、右側の3パネルはMV4‐11‐GFPルシフェラーゼ細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。 a)サイトカイン補助なし(左)及びb)ミニポンプ埋め込みによるヒトGM‐CSF投与あり(右)の、GFP/ルシフェラーゼを発現するMA10細胞が移植されたマウスのバイオイメージング写真である。 それぞれMA‐10‐W51‐GFPルシフェラーゼ細胞が移植された6匹のマウスのバイオイメージング写真であり、左側の3匹は対照注射を受け、右側の3匹はウレイドマスチン注射を受けた。 マウス5匹ずつの6つのバイオイメージング写真パネルである。左側の3パネルはAML‐2‐CD34+−GFPルシフェラーゼ細胞のみが注射されたマウス、右側の3パネルはAML‐2‐CD34+−GFPルシフェラーゼ細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。 ウレイドマスチン投与後の日数と初代(primary)患者由来AML‐2 CD34+細胞が生着した生存マウス数の関係を示す図である。 初代患者由来前駆B ALL白血病に対する72時間でのBO‐1055細胞毒性のアラマーブルー蛍光強度用量反応曲線図である。正常な臍帯血CD34+ HSC/HPCと比較された。 ウレイドマスチン治療後CD19及び(または)CD34を発現した前躯B‐ALL細胞のフローサイトメトリー分布図である。 マウス3匹ずつの4つのバイオイメージング写真パネルである。左側の3パネルは前躯B ALL CD34‐GFPルシフェラーゼ細胞と対照培地のみが注射されたマウス、右側の3パネルは前躯B ALL CD34‐GFPルシフェラーゼ細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。 ウレイドマスチンで治療された前躯B ALL細胞が生着したマウスと対照の生存分析図である。 マウス5匹ずつの8つのバイオイメージング写真パネルである。左側の4パネルはGFP‐Lu‐SCLC H526細胞と対照培地のみが注射されたマウス、右側の4パネルはSCLC H526細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。 図20のマウスにおけるGFP‐Lu‐SCLC H526細胞増殖の対数チャートである。 ウレイドマスチンまたはイリノテカンあるいはエトポシドの静脈注射後の平均腫瘍径とSCLC H526異種移植片(s.c.)を有するさまざまなマウスにおける腫瘍移植後日数との関係を示す図である。 同じマウスにおける平均体重と腫瘍移植後の日数の関係を示す図である。 GraphPad Prismにより取得された、ウレイドマスチンとドキソルビシン(DOXO)で治療されたDLBCL(ABCサブタイプ)OCY‐LY3がん細胞における増殖抑制曲線とIC50を示す図である。 GraphPad Prismにより取得された同じ細胞におけるFa‐Ciプロットである。 GraphPad Prismにより取得された同じ細胞におけるアイソボログラムである。左側のパネルはBO1055Cte + DOXO Var.、右側のパネルはDOXO Var + BO1055 Cteを示す。 マウス5匹ずつの6つのバイオイメージング写真パネルである。左側の3パネルはJEKO‐1‐GFP‐Lucマントル細胞リンパ腫細胞と対照培地のみが注射されたマウス、右側の3パネルはJEKO‐1‐GFP‐Lucマントル細胞リンパ腫細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。 ウレイドマスチン治療後のA673ユーイング肉腫とA204横紋筋肉腫細胞系のフローサイトメトリー 細胞周期分布を示す図である。 ウレイドマスチン治療後のアポトーシス及び死滅A673細胞の割合を示す図である。 ウレイドマスチン治療後のA673細胞におけるカスパーゼ活性のグラフである。 ウレイドマスチン治療後の死滅A673細胞の割合を表すグラフである。 ウレイドマスチン治療後のアポトーシスA673細胞の割合を表すグラフである。 多様な濃度のウレイドマスチンまたは4−ヒドロペルオキシシクロホスファミドでの治療後のメチルセルロース培養におけるA673ユーイング肉腫腫瘍スフィア形成の抑制を示すグラフである。 メチルセルロースにおける腫瘍スフィア形成を示す画像である。 ウレイドマスチンとトポテカンの併用で治療されたA673ユーイング肉腫細胞に対するGraphPad Prismにより取得されたアイソボログラムである。 ウレイドマスチンとSN‐38の併用で治療された同じ細胞のアイソボログラムである。 ウレイドマスチンとドキソルビシンの併用で治療された同じ細胞のアイソボログラムである。 ウレイドマスチンとPU‐H71(HSP90阻害剤)の併用で治療された同じ細胞のアイソボログラムである。 腫瘍体積と、A673ユーイング肉腫異種移植片を有し、異なる投与量のウレイドマスチンで治療されたNSGマウスの治療開始からの日数との関係を示すグラフである。 同じマウスにおけるカプランマイヤー生存率曲線を示す図である。 同じマウスの体重とウレイドマスチン治療の開始からの日数との関係を示すグラフである。 腫瘍サイズ体積と、A204横紋筋肉腫異種移植片を有し、ウレイドマスチンで治療されたNSGマウスの治療開始からの日数との関係を示すグラフである。 同じマウスの体重とウレイドマスチン治療の開始からの日数との関係を示すグラフである。 腫瘍サイズと、初代(primary)ユーイング肉腫異種移植片を有し、最初に1日3回のシクロホスファミド注射、続いて進行性腫瘍増殖後に4回のウレイドマスチン注射で治療されたNSGマウスの治療開始からの日数との関係を示すグラフである。
本明細書および特許請求の範囲において使用される単数形の「ある」、「一」、「その」などは、文脈上明確に記載されていない限り、複数形の意味を含む。したがって、例えば、「ある細胞」には、複数のそのような細胞および当業者の知るところである同等物が含まれる、というふうである。また、「1つの」(または「一」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」は互換的に使用されることがある。さらに、「含む」、「有する」といった用語も互換的に使用されることがある。
別途定義されている場合を除き、ここで使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。本発明の実施または試験において、ここで説明されたものに類似した、または相当する任意の方法と材料を使用することができるが、以下で好ましい方法と材料について説明する。ここで言及されるあらゆる刊行物はすべて、本発明に関連して使用されることがある、それら刊行物において報告されている薬品、細胞系、ベクター、動物、器具、統計分析及び方法について説明及び開示することを目的として、本明細書に参考として組み込まれる。本明細書における何ものも、本発明が先行発明によるそのような開示に先行する権利を与えられないという容認として解釈すべきでない。
一実施態様において、本発明は必要とする患者においてがんを治療する方法を提供し、前記方法が、前記患者にウレイドマスチンの治療有効量を投与する工程を含み、そのうち、前記がんが、白血病、リンパ腫、肺がん、小細胞肺がん(SCLC)、大腸がん、前立腺がん、腎がん、膠芽細胞腫、肉腫で構成される群より選択される。
好ましくは、ウレイドマスチンは医薬組成物中に調合される。
ウレイドマスチン(ureidomustine、本出願でBO‐1055とも呼ばれる)は、次の構造式を有する。
米国特許第8222297号ではウレイドマスチンについて、及びこの化合物を作製する工程についても説明されている。
用語「ウレイドマスチン」は、BO‐1055の薬学的に許容可能な塩、この化合物の異性体、鏡像体、ラセミ混合物も含む。本発明はまた、ウレイドマスチンの代謝物の投与を含む、異なるがんの治療方法も含む。「代謝物」という用語は、ウレイドマスチンから代謝または代謝過程によって産生されるあらゆる物質を指す。
好ましい実施態様において、前記がんは白血病、リンパ腫、SCLC、肉腫で構成される群より選択される。
一実施態様において、前記白血病は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性またはリンパ芽球性白血病(ALL、T細胞またはB細胞サブタイプ)、混合型白血病、慢性リンパ性白血病(CLL、T細胞またはB細胞サブタイプ)、慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
好ましい実施態様において、前記治療は、非悪性組織に重篤な毒性をもたらすことなく、治療上にがん細胞数の有意な減少を達成するために有効である。
一実施態様において、ウレイドマスチンの治療有効用量は、患者の体重1kg当たり約3〜約4mgである。
一部の実施態様において、本発明の方法はさらに、ウレイドマスチンで治療されている患者への別の抗がん活性薬剤の同時投与を含む。
本明細書において、「接触」とは、本発明で使用される抗腫瘍化合物が、試験管、フラスコ、組織培養皿、チップ、アレイ、プレート、マイクロプレート、キャピラリー等内の受容体を含有する試料に導入され、抗腫瘍化合物が受容体に結合するために充分な時間にわたってある温度で培養されることを指す。試料を抗腫瘍化合物またはその他特定の結合成分に接触させる方法は、当業者の知るところであり、実行されるアッセイプロトコルのタイプに基づき選択することができる。培養方法も標準的であり、当業者の知るところである。
別の実施態様において、「接触」という用語は、本発明で使用される抗腫瘍化合物が、治療を受ける患者に導入され、化合物の体内における接触を可能にすることを意味する。
本明細書で使用される「治療」という用語には、予防及び疾患寛解治療が含まれる。本明細書において、「減少」、「抑制」、「阻害」という用語は、少なくすることまたは減らすことというそれぞれの一般的に理解される意味を有する。本明細書において、「進行」という用語は、範囲または重篤度の増加、進行、成長または悪化を意味する。本明細書において、「再発」という用語は寛解後に疾患が戻ることを意味する。
本明細書において、「投与」という用語は患者、組織、器官または細胞を抗腫瘍化合物に接触させることを意味する。本明細書において、投与は、例えば試験管内などの体外で、または例えばヒトなどの生体の細胞または組織などの体内で、達成することができる。特定の実施態様において、本発明は、本発明において有用な化合物を患者または被験者に投与することを含む。本明細書において同等のものとして使用される「患者」または「被験者」とは、(1)ウレイドマスチンの投与によって治療可能な疾患を有する、または(2)ウレイドマスチンの投与によって予防可能な疾患にかかりやすい、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
本明細書において、「医薬組成物」とは、抗腫瘍化合物の治療有効量と適した希釈剤、防腐剤、溶解剤、乳剤、アジュバント(これらを集合的に「薬学的に許容可能な担体」と称する)。本明細書において、「有効量」及び「治療有効量」という用語は、毒性、炎症、またはアレルギー反応など過度の有害な副作用を生じることなく所望の治療的反応を生じさせるに足る活性治療薬の量を指す。具体的な「有効量」は、当然、治療される具体的な条件、患者の健康状態、治療を受ける動物の種類、治療期間、併用療法(あれば)の性質、使用される具体的な処方及び化合物またはその誘導体の構造などの要因によって異なる。この場合、(a)疾患(例:すい臓がん、乳がん)の予防、及び(b)それら疾患の好転または安定化、の1つ以上を示した場合、その量は治療的に有効であると見なされる。最適な有効量は、通常の実験を用いて当業者が容易に判断することができる。
医薬組成物は液体、または凍結乾燥或いはその他乾燥された製剤であり、かつさまざまなバッファー(例:トリス塩酸、酢酸、リン酸塩)の希釈剤、pH及びイオン強度、表面への吸収を防ぐためのアルブミンまたはゼラチン等の添加剤、洗剤(例:Tween(ポリソルベート)20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、溶解補助剤(例:グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例:アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例:チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、膨化物質または浸透張力調節剤(例:乳糖、マンニトール)、タンパク質へのポリエチレングリコールなどのポリマー共有結合、金属イオンとの錯体形成、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなど高分子化合物の粒子製剤内(または上)への、またはリポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単層または多層膜ベシクル、赤血球ゴースト、またはスフェロプラスト上への、材料組込みを含む。そのような組成物は、物理的状態、溶解性、安定性、生体内放出速度、生体内クリアランス速度に影響する。放出制御または徐放性の組成物には、脂溶性デポー(例:脂肪酸、ろう、油)内の製剤が含まれる。
本発明はまた、重合体(例:ポロキサマーまたはポロキサミン)で被覆された粒子組成物を投与する方法も含む。組成物のその他実施態様は、局所、非経口、肺内、経鼻、経口を含む多様な投与ルートのための微粒子構造、保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤または浸透促進剤が含まれる。一実施態様において、医薬組成物は非経口投与、経肺投与、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、脳室内投与、頭蓋内投与、腫瘍内投与により、投与される。
さらに、本明細書において、「薬学的に許容可能な担体」は、当業者が知るところのものであり、かつ0.01〜0.1M、及び好ましくは0.05Mリン酸緩衝剤、または0.9%生理食塩水を含むが、これらに限らない。加えて、そのような薬学的に許容可能な担体は、水溶液または非水溶液、懸濁液、エマルションであってもよい。非水溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルがある。水性担体は、生理食塩水及び緩衝剤を含む、水、アルコール/水溶液、エマルションまたは懸濁液を含む。
非経口のビークルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース、塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、不揮発性油を含む。静脈注射ビークルは、水分及び栄養補充薬、リンゲルデキストロースなどをベースとしたものなどの電解質補充薬を含む。防腐剤及び、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、コレート剤(collating
agent)、不活性ガスなどその他添加剤を含んでもよい。
本発明による放出制御または徐放性の投与可能な組成物には、脂溶性デポー(例:脂肪酸、ろう、油)内の製剤が含まれる。また本発明には、ポリマー(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)でコーティングされた粒子組成物及び組織特異的受容体、リガンドまたは抗原に対する抗体に結合した化合物または組織特異的受容体のリガンドに結合した化合物が含まれる。
本発明により投与される組成物のその他実施態様は、非経口、肺内、経鼻、経口を含む多様な投与ルートのための微粒子構造、保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤または浸透促進剤が含まれる。
本発明によるさらに別の方法において、医薬組成物は放出制御システムで送達されてもよい。例えば、薬剤は静脈内注入、埋込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、またはその他の投与形態を使用して投与することができる。一実施態様において、ポンプを使用してもよい(Langer、Sefton;CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald et al.、Surgery 88:507(1980);Saudek et al.、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照)。別の一実施態様において、ポリマー材料を使用してもよい。さらに他の実施態様において、放出制御システムは治療標的、例えば肝臓に近接して配置してもよく、この場合、必要な用量は全身用量のほんの一部となる(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、vol.2、pp.115〜138(1984)を参照)。その他の放出制御システムが、Langerの総説で論じられている(Science 249:1527〜1533(1990))。
医薬製剤は、抗腫瘍化合物を含む、またはさらに薬学的に許容可能な担体を含むことができ、かつ錠剤、粉末剤、カプセル剤、ペレット、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エマルション、ゲル、クリーム、または肛門座剤及び尿道座剤を含む座剤などの固形または液体の形態としてもよい。薬学的に許容可能な担体には、ガム、澱粉、糖、セルロース性材料、及びそれらの混合物が含まれる。抗腫瘍化合物を含有する医薬製剤は、例えば、ペレットの皮下埋込みによって患者に投与してもよい。さらなる一実施態様において、ペレットは抗腫瘍化合物の長期間にわたる放出制御を提供する。前記製剤はまた、液体製剤の静脈内、動脈内、または筋肉内注射、液体製剤または固形製剤の経口投与、または局所適用によって投与することができる。また投与は、肛門座剤または尿路座剤を使用して達成してもよい。
本発明の投与可能な医薬製剤は、既知の溶解、混合、顆粒化または錠剤形成プロセスにより作製してもよい。経口投与の場合、抗腫瘍化合物はこの目的のために慣用となっている、例えばビークル、安定化剤、または不活性希釈剤などの添加剤と混合してもよく、かつ通常の方法で、例えば錠剤、コーティング錠、硬または軟ゼラチンカプセル剤、水溶液、アルコール溶液、または油性溶液など、投与に適した形態に変換してもよい。適した不活性ビークルの例は、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンなどの結合剤、またはコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、アルギン酸などの崩壊剤、或いはステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と組み合わせた乳糖、スクロース、またはコーンスターチなど通常の錠剤基剤である。
適した油性ビークルまたは溶媒の例は、ヒマワリ油や魚肝油などの植物油または動物油である。製剤は、乾燥顆粒にも湿潤顆粒にも形成することができる。非経口投与(皮下、静脈内、動脈内または筋肉内注射)の場合、抗腫瘍化合物またはその塩、エステル、N−オキシドなどの生理学的に許容可能な誘導体は、必要に応じてこの目的のために慣用となっている、適した物質、例えば可溶化剤やその他補助剤と組み合わせ、溶液、懸濁液、またはエマルションに変換される。例えば、界面活性剤及びその他薬学的に許容可能なアジュバントを加えた、または加えない、水及び油などの無菌液である。油の例としては、例えば、ピーナツ油、大豆油または鉱油など、石油、動物油、植物油または合成由来のものである。一般に、水、生理食塩水、水性デキストロース及び関連糖溶液、及びプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールが、特に注射溶液用に好ましい液体担体である。
活性成分を含有する医薬組成物の製剤は、当業界でよく理解されている。そのような組成物は、鼻咽頭に送達させるエアロゾルとして、または注射液として、溶液或いは懸濁液のいずれかで調製することができるが、注射前に溶液または懸濁液にするために適した固形剤として調製してもよい。また製剤は乳化してもよい。活性治療成分は、薬学的に許容可能であり、かつ活性成分に適合する賦形剤と往々にして混合される。適した賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、またはそれらの組み合わせである。
さらに、組成物は湿潤剤または乳化剤、活性成分の有効性を高めるpH緩衝剤などの補助物質を微量含有してもよい。活性成分は、中性化された薬学的に許容可能な塩の形態として組成物に調合することができる。
薬学的に許容可能な塩には、例えば、塩酸若しくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成される酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基から形成される塩は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄などの無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2―エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導されてもよい。
クリーム、ゲル、滴剤などを使用した体表面への局所投与の場合、抗腫瘍化合物または塩、エステル、N−オキシドなどの生理学的に許容可能なそれらの誘導体は、医薬担体を有する、または有さない生理学的に許容可能な希釈剤中の溶液、懸濁液、またはエマルションとして調製される。
本発明による別の方法において、活性化合物はビークル、特にリポソームに入れて送達することができる(Langer、Science 249:1527〜1533(1990);Treat et al.Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer、Lopez―Berestein and Fidler(eds.)、Liss、New York、pp.353〜365(1989);Lopez―Berestein、同書、pp.317〜327;一般的に同書を参照)。
医薬における用途に、抗腫瘍化合物の塩は、薬学的に許容可能な塩とすることができる。但し、その他の塩は、本発明による化合物またはその薬学的に許容可能な塩の調製に有用な場合がある。該化合物の適した薬学的に許容可能な塩には、本発明の化合物の溶液を、例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの薬学的に許容可能な酸の溶液と混合して形成された酸付加塩が含まれる。
以下の実施例は本発明の例示として提供されるものであり、本発明のいかなる限定とも見なされてはならない。
[実施例1]
ウレイドマスチンの細胞毒性
ヒトとマウスの良性組織型の集団で判定したウレイドマスチン(BO‐1055)の毒性。
非悪性組織に対するBO‐1055の毒性を判定するため、発明者らはMTTとアラマーブルーアッセイを使用して(Hamid et al.2004)29の異なる正常なヒト、マウスまたは霊長類細胞及び組織型でIC50値を測定した(表1)。BO‐1055が全29の正常組織で評価された。そのうち、29中24は高耐性(IC50≧10.0〜≧100.0μm)で、5つは中度の耐性(IC50 8.80〜9.48μM)であった。後者の群には、血清代替培地中の卵管上皮細胞、胎児骨髄間質細胞、臍帯血CD34+造血幹/前駆細胞、CAFC第2週前駆細胞とCAFC第5週造血幹細胞が含まれた。
[表1]
生体外の多様なヒト、マウス、霊長類正常組織に対する水溶性ウレイドマスチン(BO‐1055)の細胞毒性*。72時間細胞毒性(IC50、μM)。
*表1で使用された良性細胞の説明。
MSC:Castro‐Malaspina et al 1980(ヒト間葉系幹細胞とその後代の最初の説明)。初期用語CFU‐F、現在の代替命名間葉系間質細胞(細胞集団のごく一部のみが自己複製幹細胞の機能を有するため)。BMEC‐hTERT:hTERT不死化ヒト骨髄微小血管内皮(Franco et al.2001)。MSC‐hTERT:ヒトhTERT不死化骨髄MSC(MacKenzie et al.2000)。MRC5:hTERTで不死化されたヒト胎児肺線維芽細胞(Franco et al 2001、Wen et al 2006)。肺基底上皮:hTERTまたはSV40で不死化(16HBE SV40+、BCI‐NSI hTERT、BEAS2B SV40 T、CCD‐33Lu、NL31‐PE)(Shaykhiev et al 2013, Walters et al 2013)。NOSE:正常ヒト卵巣上皮。HS5、HS27A:パピローマウイルスで不死化された成体ヒト骨髄間質細胞(Roecklein及びTorok‐Storb、1995)。
腎線維芽細胞はアフリカミドリザル(Cercopithecus aethiops)ラウス肉腫形質転換腎臓細胞系(CV1)より取得(Jensen et al.)。CB CD34+:ヒト臍帯血CD34+細胞(Mulloy et al 2003)。CB CFC:半固形コロニーアッセイでの臍帯血造血前駆細胞(CFC)(Chung et al 2005)。SVGp12:星状膠細胞SV40形質転換ヒト胎児グリア細胞系。
方法:
(i) CFCアッセイ
ヒト造血前駆細胞、コロニー形成細胞(CFC)に対するBO‐1055及びその他化合物の毒性が、1.2%のメチルセルロース、20ng/mlのヒトc―Kitリガンド(KL)、20ng/mlのヒトIL‐3、20ng/mlのヒトG‐CSF、6ユニット/mlのヒトEPO、80μMの2‐メルカプトエタノール、2mMのL‐グルタミン、50ユニット/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、0.125mMのヘミン(Sigma)、20%の血清代替品(Life Technology、Grand Island、NY)を含有するイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)1ml当たり500の精製(purified)ヒト臍帯血CD34+細胞を、異なる用量のBO‐1055あり、またはなしで、3連で培養して判定された。14日後、コロニーCFC当たり50細胞以上を含有するコロニーが顕微鏡下でCFCとして記録され、データは平均±S.D.、n=3として表された。
(ii) CAFCアッセイ:
生体外でヒト造血幹細胞(HSC)に対するBO‐1055の毒性が敷石状領域形成アッセイ(CAFC、cobblestones area forming assay)を使用して判定された(Breems et al.1994, Jo et al.2000)。12.5%のウシ胎児血清、12.5%のウマ血清、10‐4Mのモノチオグリセロール、10−6Mのヒドロコルチゾン、50μg/mlのゲンタマイシン、2mMのグルタミンを含有するMEMアルファ培地で、異なる用量の試験薬物あり、またはなしで、200の精製ヒト臍帯血CD34+細胞とMS‐5細胞(マウスストローマ細胞)の共培養が樹立された。3連で毎週培地の半分が新鮮な培地で入れ替えられた。5週間後、位相差顕微鏡で間質単層下の≧8の位相暗細胞領域として共培養のCAFC数が記録された。白血病幹細胞(LSC)の判定の場合、同じアッセイが使用されたが、培養物は2週間での敷石状領域について記録された。剥離された敷石状領域形成細胞の新鮮なストローマへの第二再継代を使用してHSCとLSC両方の自己複製能力が確認された。
(iii) 正常なヒト組織とヒトがん組織に対するBO‐1055の効果
2000〜4000の懸濁細胞または1000〜2000の付着(adherent)腫瘍細胞/ウェル(96ウェルまたは384ウェルプレート)が、3連で10%FCS含有IMDM培地を使用して、異なる用量のBO‐1055あり、またはなしで培養された。72時間後、培養物がアラマーブルーで一晩パルスされ、得られた培養物の蛍光強度がSynergy H1プレートリーダー(BioTek Inc)で測定された。懸濁細胞には精製CB CD34+細胞、初代ヒト白血病CD34+細胞、ヒト白血病及び小細胞肺がん細胞系が含まれる。付着細胞は正常なヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト骨髄内皮細胞(BMEC)、ヒト骨髄間葉系幹細胞、及び多様なヒト固形腫瘍細胞系であった。ヒトCD34+細胞が薬剤スクリーニングに使用されたとき、500〜1000細胞/ウェルが20ng/mlのKL、20ng/mlのIL‐3、20ng/mlのG‐CSF、6ユニット/mlのEPOとともに7〜10日間培養された後、アラマーブルーが添加された。
表1に示すように、ウレイドマスチンは正常なヒトとマウスの組織及び細胞型の集団に対する毒性が相対的に低い。集団には4つの気管支上皮細胞系が含まれ、そのうち3つはhTERTまたはSV40 T抗原の形質導入により不死化された(IC50>10.0〜40.0μM)。正常なヒトの卵巣表面上皮と卵管基底上皮から取得された上皮細胞系もBO‐1055に耐性があった(IC50≧10.0〜80.0μM)。内皮は骨髄微小血管内皮細胞系と、正常な臍帯由来血管内皮が用いられ、いずれもBO‐1055に耐性があった(IC50>10〜60.5μM)。間葉系間質/幹細胞(MSC)と筋線維芽細胞には14の細胞系が用いられた。マウスとヒトの胎児及び成体骨髄または肺由来MSC、胎児皮膚MSC、脂肪組織由来MSC、霊長類腎線維芽細胞は相対的にBO‐1055に耐性があった(IC50 8.48>100μM)。
パピローマウイルスで不死化された良性ヒト骨髄間質細胞系HS5とHS27Aも、BO‐1055細胞毒性に耐性があった(IC50>20〜35.3μM)。スクリーニングパネル中の正常なヒト造血細胞には、精製臍帯血CD34+細胞が無血清またはウシ胎児血清含有懸濁培地(IC50 9.01〜15.0μM)、または造血前駆細胞/HPC(CFU‐GM、BFUE、CFU‐Mix)用半固形培地コロニー形成アッセイ(IC50 19.0μM)のいずれかに含有された。敷石状領域形成アッセイ(Breems et al 1994、Jo et al 2000)を使用して第2週のCAFC(HPC)定量化が行われ、それらのBO‐1055に対する相対耐性(平均IC50 9.20μM、n=4独立臍帯血試料)が記録された。第5週CAFCアッセイの臍帯血造血幹細胞/HSCもBO‐1055に対して相対的に耐性があった(平均IC50 9.10μM、n=4独立臍帯血試料)。
[実施例2]
ヒト及びマウスの正常組織型の集団で判定したアルキル化剤カルボプラチン、シスプラチン、テモゾロミド、メルファラン、ベンダムスチン、シクロホスファミド(活性代謝物4‐HC)の毒性。
BO化合物の細胞毒性を判定するために使用された19の良性組織型の集団が、6つの一般的に使用されるアルキル化剤、カルボプラチン、シスプラチン、テモゾロミド、メルファラン、ベンダムスチン、4‐HC(シクロホスファミドの活性代謝物)に対する細胞毒性のスクリーニングにも使用された(表2)。
カルボプラチンでスクリーニングされた7組織のうち1つは中度に感受性があった(IC50 1.70μM)。そして7のうち6つは高い耐性を示した(IC50 32.8〜>1000μM)。14のうち12の細胞系はシスプラチンに耐性があった(IC50≧20.0〜>100μM)、3つのうち2つの気管支細胞系は感受性があり(IC50 3.60〜4.10μM)、臍帯血造血前駆細胞も感受性があった(IC50 1.80μM)。
テモゾロミドは7組織に対して評価され、5組織が高い薬剤耐性(IC50 20.0〜>100.0μM)を示し、1つ、即ちマウスMS5ストローマ細胞系は耐性が低く(IC50 5.5μM)、もう1つ、即ちHUVEC内皮は中程度の感受性を示した。
またMS5はメルファラン(IC50 1.64μM)とベンダムスチン(IC50 2.24μM)を含む他のアルキル化剤に対しても相当の感受性を示し、これは試験を実施した他の13組織のメルファラン耐性(IC50 7.0〜320.0μM)と対照的であった。
ベンダムスチンはSV40不死化気管支上皮(16HBESV40+ IC50 3.55μM)及びマウス骨髄間質細胞(MS‐5 IC50 2.24μM)に対して細胞毒性があったが、試験を実施した他の10組織にはなかった(IC50 20.0〜400.0μM)。
4‐HC(シクロホスファミドの毒性代謝物)は2つの正常組織に対して中度の細胞毒性があり(IC50 0.30〜2.01μM)、5つは耐性があった(IC50 12.5〜47.0μM)。
[表2]
異なる正常なヒト、霊長類、マウス組織及びテロメラーゼまたはSV40不死化正常組織に対するアルキル化剤カルボプラチン、シスプラチン、テモゾロミド(TMZ)、メルファラン(Melp)、ベンダムスチン、4‐HC(シクロホスファミドの活性代謝物)の生体外72時間細胞毒性(IC50 μM)。
* 72時間アラマーブルーアッセイで判定されたIC50のアッセイ。ND=未検出(not determined)
スクリーニングされたすべての正常細胞系がカルボプラチンに対して耐性を有した(7/7 IC50 23.0〜1000.0)。
[実施例3]
正常な良性マウス細胞とヒト臍帯血CD34+細胞、造血前駆細胞(HPC)、造血幹細胞(HSC)のウレイドマスチン(BO‐1055)細胞毒性に対する耐性。
図1にヒトCB CD34+ HPC(第2週CAFCアッセイにより判定)及びHSC(第5週CAFCアッセイにより判定)の増殖に対するウレイドマスチンの効果を示す(IC50 7.5〜8.2μM)。試験が実施された独立したCB試料の間に感受性のばらつきがあり、平均IC50は第2週CAFC(前駆細胞)が9.20μM、第5週CAFC(HSC)が9.10μM)であった(表2)。
図2にヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞系と比較して、異なる正常細胞型の増殖に対するウレイドマスチンの効果を示す。
正常細胞:ヒト臍帯血CD34+細胞(hu‐CB‐CD34+)。この亜集団は造血前駆細胞(HPC〜30%)と造血幹細胞(HSC〜5%)が増強されている。骨髄由来内皮細胞(BMEC)。ヒト間葉系間質細胞(MSC)、マウスMS‐5(BM‐MSC)、マウスOP9(BM‐MSC)細胞。ヒトAML MA‐10細胞:(MLL‐AF9融合遺伝子で形質導入されたhu‐CB‐CD34細胞、サイトカイン依存性)。相対蛍光強度は、ウレイドマスチン存在時の蛍光強度をウレイドマスチン不存在時のそれで割ったものを表す。
図2にMLL‐AF9形質転換白血病細胞系と比較して、異なる正常なマウスとヒトの組織型で判定されたBO‐1055の段階希釈の細胞毒性を示す。ヒト骨髄内皮(BMEC)、ヒトMSC細胞、マウスMS‐5及びOP9骨髄間質細胞を含む正常の対照組織は、BO‐1055細胞毒性に耐性があり(IC50>10μM)、正常な臍帯血CD34+細胞も耐性があった(IC50>10μM)。この化学耐性は、MLL‐AF9白血病性転座遺伝子でレトロウイルス形質導入された正常な臍帯血CD34+細胞に由来するMA‐10細胞系で見られた化学的感受性(IC50 0.35μM)(Mulloy et al.2003,Wunderlich and Mulloy 2009)と対照的である。単一の白血病遺伝子の正常なHSC/HPCへの導入はBO‐1055の毒性を>30倍増加させた。
[実施例4]
生体内における正常なC57Bl/6マウスの末梢血の血液パラメータに対するBO‐1055治療の効果
BO‐1055が静脈内投与によりMTDの投与量(30mg/kg)と頻度(1日おき×5)で正常で健康なマウスに投与された。この薬剤投与の用量とスケジュールは、ヌードマウスとNSGマウスにおいて腫瘍細胞系異種移植片の退縮を生み出すことが分かった。評価された24中23の血液パラメータのいずれにおいても有意な抑制は見られなかった(表3)。好中球、赤血球、血小板の場合特に顕著で、アルキル化薬剤治療の臨床評価において見られる最も一般的な用量制限毒性のレベルであった。単球においては3〜4倍の増加が見られた。唯一の悪影響は、BO治療群における10日目の軽度リンパ球減少によるWBC数の若干の減少であった。
[表3]
健康なC57Bl/6マウスにおける全血球計算値。
対照PBS群n=4または1、3、5、8、10日目に30mg/kgの静脈注射でBO‐1055治療を受けた群。n=4。RBC値は10/μL、その他すべての値は10/μL
[実施例5]
前立腺22Rv/HL2腫瘍異種移植片を有し、BO‐1055での治療停止後回復したマウスの異なる組織の病理学的評価。
図3にウレイドマスチン(BO‐1055)、カルボプラチン、ドセタキセル治療を受けた、薬剤治療開始から42日後のマウスからの異なる器官の病理学的検査結果を示す。
発明者らは前立腺22Rv/HL2腫瘍異種移植片(ヌードマウスでの同所移植)を有するヌードマウスにおいてBO‐1055と2つの陽性対照化合物(カルボプラチン、ドセタキセル)の一次毒性(primary toxicity)を評価した。BO‐1055での治療停止後35〜40日目に回復した薬剤治療後のマウスの平均体重はウレイドマスチンの宿主に対する毒性が低いことを示した。また、これら治療を受けたマウスにおける病理学的変化も調べられた(図3)。
薬剤投与の開始から42日目に、病理学的検査のため、治療後のマウスの異なる器官が取り出され、固定かつ染色された。
心臓、肝臓、脾臓、肺、腎臓には対照群と薬剤治療群の間で顕著な病理学的変化は見られず、ウレイドマスチンと2つの陽性対照化合物(カルボプラチン、ドセタキセル)は宿主に対する毒性が非常に低く、治療を受けたマウスは薬剤治療停止後速やかに体重が回復した。
[実施例6]
前立腺細胞系22Rv/HL2の同所移植を受けたヌードマウスのBO‐1055治療(30m/kg、42日間1日おき)24時間後の血液化学及び全血球計算値
血液化学試験(表4)と全血球計算(表5)のため、前立腺22Rv/HL2(同所移植)を有するマウス(n=3)の最後の治療から24時間後に血液が採取された。結果、カルボプラチン、ドセタキセル、BO‐1055で治療されたすべてのマウスでAST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)の増加が示された(表4)。BO‐1055治療マウスで血中尿素窒素(BUN)が若干増加したが、血中の尿酸(UA)レベルに変化は見られなかった。
[表4]
血液化学試験結果:マウス(n=3)の最後の薬剤治療から24時間後に血液が採取された。
全血球計算値(表5)によれば、BO‐1055及び、カルボプラチンとドセタキセルの両方が白血球(WBC)、好中球(NEU)、血小板(PLT)数を減少させたことが示された。しかし、3つの化合物での治療による白血球減少の程度に有意差はない。
[表5]
ヒト前立腺がん細胞系22Rv/HL2の同所移植とBO‐1055、カルボプラチンまたはドセタキセルでの治療を受けたヌードマウスにおける全血球計算値。
(最後の薬剤治療から24時間後に血液が採取された。n=3)
*RBC値は10/μL、その他すべての値は10/μL
[実施例7]
BO‐1055の薬物動態プロファイル判定。
ウレイドマスチンの薬物動態(PK)が健康なオスのSprague Dawleyラットで単回のBO‐1055静脈内及び経口投与後に評価された(表6)。単回の静脈投与量が1.0mg/kgの投与量で頸静脈内の留置カテーテルから2匹のオスラットの群に投与された。製剤は蒸留水に10%w/vのクレモフォールと5.0%w/vのDMSOを含有する溶液として調製された。試験化合物、BO‐1055が別の2匹のオスラットの群に10mg/kgの投与量で強制経口投与により単回投与された。製剤は0.5%w/vのCMCを含有する蒸留水の溶液として調製された。群の中のすべての動物から投与後24時間まで頸静脈カテーテルにより連続血液試料が採取された。BO‐1055の血漿中濃度がバリデーション済みのLC‐MS/MSアッセイを使用して定量下限(LLOQ)2.5ng/mLで判定された。各用量レベルでLLOQを上回る血漿中濃度‐時間のデータがバリデーション済みのプログラムWinNonlin(登録商標)、バージョン5.2.1を使用したBO‐1055の薬物動態パラメータの計算に使用された。
薬物動態パラメータの概要を表6に示す。
この研究の毒性動態部分に関する主な観察は次のとおりである。(i)10mg/kgの経口投与後、BO‐1055のどのサンプリング時間でも定量化可能なレベルは検出されなかった(LLOQ:2.5ng/mL)。(ii)BO‐1055の経口投与後経口吸収は認められなかった。(iii)BO‐1055は低い血漿クリアランスを示した(平均CL:18.00mL/分/kg)。(iv)安定状態での平均見かけ分布容積は0.15L/kgであった。(v)ラットモデル(n=2)におけるBO‐1055の半減期はt1/2=0.58時間であった。
[表6]
ラットへの静脈内または経口投与後のBO‐1055(ウレイドマスチン)の薬物動態パラメータ概要(Chien et al 2013)。
ND:未検出(not determined)。
データは群のPKパラメータの判定に適していない。
発明者らはさらにBO‐1055のPKを試験した。
オスSprague―Dawleyラット(6週齢、5匹のオスラット)が大腿静脈からのボーラス注入(1分超)により0.9%生理食塩液(NS)中の10mg/kgの投与量でBO‐1055の単回静脈内投与として治療された。連続血液試料が投与から0、5、10、15、30、45、60、90、120、150、180、240、300、360分後に頸静脈から採取された。BO‐1055の血漿中濃度がバリデーション済みHPLCフォトダイオードアレイ検出アッセイ(Lin et al 2008)を使用して判定された。すべての薬物動態分析がWinNonlin Standard Edition Version 1.0(Scientific Consulting Inc.、米国ノースカロライナ州アペックス)を使用して実施された。結果、BO‐1055の平均見かけ排泄半減期(t1/2)は0.77時間(46.4分)であることが示された(表7)。曲線下の面積(AUC)、クリアランス(Cl)、最大濃度(Cmax)はそれぞれ、267±65.3分μg/mL、39.4±10.6mL/分/kg、13.4±6.17μg/mLであった。結果によれば、BO‐1055はラットにおいて分布が迅速で投与後の排泄が遅い(10mg/kg、静脈内注射)許容可能なPKプロファイルを有することが示された。10mg/kgの投与量での短い静脈内投与時間の後、ウレイドマスチンはラットのすべての器官に速やかに分布され、主に腎臓に蓄積され、限定的な量のみ脳で検出されることが示された(Chien et al.2013)。
[表7]
BO‐1055(ウレイドマスチン)の投与後薬物動態パラメータ(10mg/kg、ラット静脈内注射(n=5))(Chien et al.2013)
1/2:半減期;AUC:曲線下の面積;
Cl:クリアランス;Cmax:最大濃度
[実施例8]
ウレイドマスチンの作用機序
(i) ウレイドマスチンがDNA鎖間架橋を誘導する(Kapuriya et al 2011)
ウレイドマスチンの作用機序がアルカリ性アガロースゲルシフトアッセイにより調査され、アルキル化薬剤メルファランと比較された。ゲルはウレイドマスチンがDNA鎖間架橋を誘導できることを示し、DNA架橋がこの薬剤の主な作用機序である可能性が示唆された。
図4に、記載された異なる濃度でのウレイドマスチン(BO‐1055)の代表的DNA架橋ゲルシフトアッセイを示す。対照レーンは一本鎖DNA(SL)を示し、すべての試験レーンで示された架橋(CL)はDNA二本鎖架橋である。メルファラン(1及び10μM)が陽性対照として使用された。
(ii) ウレイドマスチンがG2Mアレストを誘導する(Kapuriya et al 2011)。
細胞周期分布に対するウレイドマスチンの阻害効果がヒト非小細胞肺がんH1299細胞で試験された。ウレイドマスチン治療はこれらの細胞で顕著なG2/Mアレストを誘導した。さらに、ウレイドマスチン治療後sub―G1ポピュレーション増加も発見された(図5)。
図5にヒト非小細胞肺腺がんH1299におけるウレイドマスチン治療による細胞周期の阻害を示す。
(iii) BO‐1055の吸収・分布・代謝・排泄(ADME)試験
ADME試験が実施され、概要は表8に示すとおりである。Caco‐2腸管細胞透過性試験によれば、化合物BO‐1055は腸管細胞を透過できず、薬物動態研究で薬剤は経口投与後に投与及び吸収できないことが示されている。薬剤/タンパク質結合率は高く(99%)、薬剤を蓄えて薬剤を徐放化できる可能性が示唆されている。ミクロソーム安定性試験は75%で、この化合物が肝代謝により除去可能であることが示されている。低いhERG結合は、試験した化合物が心毒性を産生しにくいことを示している。
[表8]
ウレイドマスチンの早期ADME試験概要
[実施例9]
ウレイドマスチン(BO‐1055)の前臨床生体内試験
(i) ICRマウスにおける静脈内注射後のウレイドマスチンの非GLP急性14日目毒性。
発明者らは腫瘍異種移植マウスの最大耐性量(MTD)を判定し、薬物治療条件(用量とスケジュール)を最適化するため、ICRマウスにおけるウレイドマスチンの急性静脈内注射14日目毒性を試験した。異なる投与量(二回蒸留水中50、60、70、80、100mg/kg)のウレイドマスチンとビークル対照群が1群当たり6匹のICRマウスに投与された。マウスは14日間観察され、死亡率と体重が記録され、かつレイドマスチンの半数致死量(LD50)が判定された(表9)。急性死亡率は最初に70mg/kg(1/6マウス)で薬物投与後<1時間で見られ、80mg/kgで全マウスが<1時間で死亡した。これらの正常なマウスにおけるBO‐1055のLD50は70mg/kgであった。
[表9]
正常なICRマウスにおけるウレイドマスチンの急性静脈内注射14日目毒性
aN/N:死亡したマウスの数/観察対象マウスの数。
投与後(時間)の行は薬物投与後最初の1時間以内またはその後の3時間に発生した死亡数を示す。SD=BO‐1055注射後の試験日数。
bLD50:半数致死量。LD50は58.8〜107.2mg/kgの95%信頼区間で70mg/kgとして計算された。
式はLog dose=1.73+0.0233 probit Kである。
ビークル:二回蒸留水
(ii) hERG阻害に関する試験とウレイドマスチンの早期ADME試験。
発明者らはhERG FPアッセイを使用してウレイドマスチンの心臓安全性を試験した(Deacon et al.2007)。ヒト急速活性型遅延整流カリウムチャネル遺伝子(hERG)は、心再分極に関与する、心臓内の内向き整流性電位依存性カリウムチャネル(IKr)をコードする。hERG電流の阻害はQT間隔延長を引き起こし、死に至る可能性がある心室頻脈につながる。数多くの薬物がこれら心毒性効果のために後期臨床試験で投与中止されている。このため、薬物送達の早期に阻害物質を特定することが重要である。
hERK阻害はhERG蛍光偏光アッセイを使用してウレイドマスチンのhERG受容体への結合を測定し、調べられた。アッセイは光信号に変化を生じるhERK受容体(PredictorTM hERG膜)からの蛍光トレーサーを表示する試験化合物の能力に基づいている。アッセイは黒い383ウェルアッセイプレートで、試験化合物と蛍光トレーサーの競合的結合から用量反応結合曲線を決定することにより、実施された。ウレイドマスチンによるhERG特異的結合のIC50は12.6±1.64μM(n=3)で、アステミゾール(IC50 0.007μM)と比較して、阻害が弱いまたはなく、不整脈の副作用の可能性がほとんどないことが示された。ウレイドマスチンの濃度反応曲線が図6に示されている。
図6はhERG阻害評価によるBO‐1055心臓毒性の評価結果を示す。BO‐1055による結合阻害(IC50 12.6μM)に基づき、既知の心臓毒性の用量制限毒性を有する薬物、ドキソルビシン(IC50 0.03±0.03)と比較して、BO‐1055が不整脈の副作用を示す可能性は低いと判断された。
[実施例10]
ウレイドマスチンによるCaco‐2透過性及びCaco‐2細胞単層におけるP糖タンパク質(P−gp)媒介排出に関する実験(表8)。
(i) Caco‐2細胞単層におけるP糖タンパク質(P−gp)媒介排出:
P糖タンパク質(P−gp、透過性糖タンパク質)は非常に研究が進んだ多剤耐性遺伝子(MDR)サブファミリーの排出ポンプである。P−gpは、数多くの薬剤の排出に関与し、薬剤の細胞内吸収を妨げる、エネルギー依存性トランスポータータンパク質である。Caco‐2細胞単層の透過性は薬剤候補のヒト透過性を予測するために使用され、詳細な機序と吸収の研究と、透過性に対するトランスポーターの効果及びトランスポーター媒介薬物対薬物の相互作用の研究が行われている。
Caco‐2透過性アッセイは生体内ヒト腸管透過性と経口投与薬剤バイオアベイラビリティの生体外予測の業界標準と見なされている。Caco‐2透過性アッセイは隣接するCaco‐2細胞単層での輸送速度を測定することによりGITでの治療化合物の吸収性を予測する確立済みの方法を使用する。細胞単層を透過した頂端側(apical)から側底側(basolateral)へ(A→B)と、側底側から頂端側へ(B→A)への輸送の測定は、排出比の計算を可能とし、化合物が能動排出するか否かを決定する。Caco‐2アッセイは、コンフルエントのCaco‐2単層が細胞壁を形成する多孔膜を介したドナーチャンバからアクセプターチャンバへの試験化合物の通路を測定する。
Caco‐2透過性アッセイの結果、A→B方向のBO‐1055のPapp係数は検出されなかった。B→A方向のPapp係数は7.05x10−6cm/秒であった。A→BとB→A方向におけるBO‐1055のマスバランスは<50%であった。>80%のマスバランスはPappの許容できる近似値を示す。BO‐1055の大部分が輸送実験中に消失し、低いマスバランスとなり、得られたPappは信頼性が低いものとなった。
この実験の結果は、ウレイドマスチンは透過性が非常に低い薬物であると見なされ、この薬剤は経口吸収性が低いことが示唆される。さらに、ウレイドマスチンのCaco‐2細胞単層におけるP−gp媒介排出の実験では、P−gp排出比(B→A/A→B)が≫2であり、この薬剤はP−gpを阻害しないことが示された。これらの実験により、ウレイドマスチンは経口投与に適していないことが示唆される。
(ii) ミクロソーム安定性
薬物代謝または生体異物の生体内変化は、クリアランス、半減期、経口バイオアベイラビリティに影響するため、創薬において重要な役割を担っている。肝臓は生体異物の代謝に関与する主たる器官である。肝ミクロソームは主にシトクロムP450酵素、フラビンモノオキシゲナーゼ、カルボキシルエステラーゼ、エポキシドヒドロラーゼを含有する小胞体で成る細胞内画分であり、このためフェーズI代謝の有用なモデルを提供する。第一相反応は酸化、還元及び(または)加水分解を含み、補因子としてNADPHを必要とする。従って、肝ミクロソームと潜在的薬剤候補のインキュベーションは、これら酵素に対するそれらの内在的代謝脆弱性の評価を提供できる。
ラット肝ミクロソーム(RLM)におけるBO‐1055の代謝安定性が陽性対照として7‐エトキシクマリン(7‐EC)で実験された。結果を表10に示す。表10には、RLMにおけるBO‐1055と7‐ECの見かけ半減期はそれぞれ29.7分と23.5分であることが示されている。BO‐1055はプールされたRLMにおいて7‐ECよりも安定していた。
[表10]
ラット肝ミクロソームで60分インキュベートされたBO‐1055と7‐エトキシクマリンの代謝安定性パラメータの概要。
MR:代謝率(MR (nmol/分/mgタンパク質)=λ*C0/Cタンパク質)
17‐EC:7‐エトキシクマリン。
2RLM:プールされたラット肝ミクロソーム。
[実施例11]
BO‐1055(ウレイドマスチン)の血漿中安定性とタンパク結合
創薬において、薬物‐血漿タンパク結合に関する情報は、薬剤候補の吸収・分布・代謝・排泄(ADME)関連の性質と薬物動態プロファイルを評価し、理解するために大切である。ラットの血漿タンパクへのBO‐1055の結合が、BO‐1055(20μM)をラットの血漿中にスパイクし、平衡が達成されるまで緩衝液に対して透析して調べられた。血漿タンパクに未結合の、または結合された薬物の割合を計算するために、血漿と緩衝液中のBO‐1055の濃度が判定された。
結果を図7と表11に示す。平均結合値は、公称スパイク濃度20μM、インキュベーション時間2、4、6、24時間でそれぞれ99.68、99.69、92.01、75.17%であった(図7と表11)。図7にマルチ平衡透析(multi−equilibrium dialysis)法の使用による、ラット血漿タンパクに結合したBO‐1055の平衡達成までの時間的経過を示す。
[表11]
ラット血漿中におけるBO‐1055の平均部分結合測定
[実施例12]
BO‐1055(ウレイドマスチン)は幅広い抗腫瘍活性を有する。
多様なヒト固形腫瘍、肉腫、白血病、リンパ腫細胞系に対するウレイドマスチンの細胞毒性が調べられた。表12に示すように、試験細胞系に対するウレイドマスチンのIC50値は30%でサブミクロンレンジであった。一方29の良性細胞型の集団ではIC50値<5.00μMはなく、27%がIC50値>20〜>100μMであった。
[表12]
細胞毒性評価に使用されたヒトがん細胞系集団、初代患者由来腫瘍試料と複数型の正常組織。各がんのタイプ/サブタイプの細胞系合計数と、個別の列にBO‐1055細胞毒性に対する高感受性(IC50<1.00μM)または中度の感受性(IC50 1.00〜4.99μM)、低耐性(IC50 5.00〜9.99μM)、高耐性(IC50≧10.0μM)の数を示す。
[実施例13]
生体外および生体内異種移植モデルにおけるヒトがん細胞系と初代ヒト腫瘍試料に対するBO‐1055細胞毒性(IC50μM)。
生体外でヒトがん細胞系の集団に対するBO‐1055の細胞毒性が評価された。他の治療的アルキル化剤および従来の化学療法剤と比較された。生体内実験で、データはヌードマウスまたはNSGマウスでの異種移植モデルを使用してBO‐1055治療ありまたはなしの腫瘍増殖動態として表される。
データは腫瘍タイプとサブタイプに基づきアルファベット順で示される。
[実施例13A]
白血病
2012年世界では352000の白血病症例によって265000人が死亡したと見積もられており、罹患率と死亡率は世界で異なっている。
1) 白血病のサブタイプ:
白血病は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性またはリンパ芽球性白血病(ALL、T細胞またはB細胞サブタイプ)、混合型白血病、慢性リンパ性白血病(CLL、T細胞またはB細胞サブタイプ)、慢性骨髄性白血病(CML)に分類できる。後者は慢性期と急性転化の両方を有する。慢性骨髄単球性白血病(CMML)は、異常なクローン骨髄増殖と急性骨髄性白血病(AML)への進行によって特徴付けられる骨髄異形成症候群として現れる別の異型である。CMMLのサブグループは、PDGFRβをets様遺伝子telに融合するt(5;12)(q33;p13)平衡的染色体転座(balanced chromosomal translocation)によって特徴付けられる(Golub et al 1994)。形態に基づくFAB分類は8つの白血病サブグループを認定しているが、より最近のサブ分類は分子の特徴に基づいている。
過去数十年間にわたり急性骨髄性白血病(AML)のほとんどの形態に対する有効な治療戦略の開発が求められている。これには、この疾患のかなりの不均一性と、異なる治療の臨床転帰と反応性の予測に使用できる分子マーカーの不足を含め、多くの理由がある。
発明者らは、ヒトT細胞白血病株CCRF‐CEM、タキソールに330倍耐性があるサブラインCCRF‐CEM/Taxol、ビンブラスチンに680倍耐性があるサブラインCCRF‐CEM/VBLに対するウレイドマスチンの細胞毒性を評価した。表13に示すように、BO‐1055はCCRF‐CEM/TaxolとCCRF‐CEM/VBLに対する細胞毒性をそれぞれわずか9.4倍または6.2倍低下させたのみであり、親CCRF‐CEM細胞系の対応するIC50と比較して、この薬剤はタキソールまたはビンブラスチンのどちらにも大きな交差耐性はないことが示唆された。またこのデータは、BO‐1055が膜多剤耐性輸送体(例えば、P糖タンパク質)によい物質ではなく、また変異したチューブリンと相互作用しないことを示す他のエビデンスも支持している。
[表13]
ヒトT細胞白血病細胞系CCRF‐CMとパクリタキセル耐性(CCRF‐CEM/Taxol)またはビンブラスチン耐性(CCRF‐CEM/VBL)サブラインに対するウレイドマスチン(BO‐1055)毒性(IC50μM)
a CCRF‐CEM/Taxは親細胞系CCRF‐CEMより330倍耐性がある;
b CCRF‐CEM/BVLは親細胞系CCRF‐CEMより980倍耐性がある;
c 角かっこ内の数字は親細胞系のIC50との比較により判定された交差耐性の倍率である。
2) MLL―AF9不死化ヒト造血細胞系の開発
MLL遺伝子の染色体再編成は高リスクの乳児、小児、成人、治療誘発性急性白血病に関連がある。これまでに、約80の異なる直接的MLL融合と約120の相互(reciprocal)MLL融合が分子レベルで特徴付けられている。MLL―AF9融合遺伝子は転座t(9;11)(p22;q23)に由来し、乳児では骨髄性とリンパ性両方の侵攻性白血病に関連付けられており、一方成人においてこの転座は主に急性骨髄性白血病に関連付けされている。外因性キュー(cue)に基づき、ヒト新生児CD34細胞はMLL―AF9発現で骨髄性またはリンパ性のいずれかに沿ってすぐに不死化し、免疫不全マウスにおいて主にリンパ性白血病を生じる。対照的に、成体骨髄CD34細胞の不死化は、MLL―AF9が精製造血幹細胞(HSC)中で発現されても、より達成が困難であり、骨髄系偏向(myeloid―biased)的である(Horton et al.2013)。MLL―AF9発現細胞においてトランスクリプトーム解析でHSCのエンリッチメントが発見されたが、前躯遺伝子特性は見られなかった。
成体細胞では観察されなかったものの、MLL―AF9を発現した新生児細胞は予後不良、化学療法剤に対する耐性、MYCシグナリングと関連付けられる遺伝子特性のエンリッチメントが見られた。これらの結果は、新生児細胞は本質的に成体細胞よりもMLL-AF9媒介不死化しやすいことを示唆している(Horton et al.2013)。Mulloyら(Wei et al 2008)は、ヒトCD34+細胞におけるMLL―AF9発現が免疫不全マウスにおいて急性骨髄性、リンパ性、または混合型白血病を誘発することを示した。一部の白血病幹細胞(LSC)は多能性で、マウスの増殖因子または受容体株のいずれかを改変することにより方向付けられる系統である可能性があり、微小環境キュー(cue)の重要性が示唆された。他のLSCは厳格に系列決定であり、MLL疾患における幹細胞コンパートメントの不均一性が示された。
薬理学的または遺伝子的手段によるRacシグナリング経路の標的化はMLL―AF9細胞の急速かつ特異的なアポトーシスを生じ、Racシグナリング経路はMLL再構成AMLにおける有効な治療標的である可能性が示唆された。不死化細胞で予想されたように、試験されたすべての細胞系がテロメラーゼ陽性である。
MLL‐AF9タンパク質がhTERT発現/活性自体を活性化するのか、または通常hTERTを発現する細胞増殖を促進するのかは、不明のままである。MLL t(9;11)はAML‐M5において他のMLLに関与する遺伝子変異と比較して予後良好であると考えられる。MLLは、遺伝子転写のグローバルな正調節因子とみなされているヒストンメチル化酵素である。このタンパク質はヒストン修飾酵素のグループに属し、転写促進ドメイン9aaTADを含み、転写記憶の後成的維持に関与している。
3) BO‐1055細胞毒性の評価に使用されたMLL‐AF9細胞系
a) 増殖因子依存性及び細胞密度増殖依存性細胞系。MLL‐AF9遺伝子で形質導入されたヒト臍帯血CD34+細胞:MA‐10、MA‐18。MLL‐AF9遺伝子で形質導入されたヒト骨髄CD34+細胞:MA‐23。MLL‐AF9及びN‐ras遺伝子で形質導入されたヒト臍帯血CD34+細胞:MA‐9.3、MA‐9.6。
b) 増殖因子依存性白血病性細胞系。Flt3 ITD(W51)で形質導入されたヒトMA‐10細胞が増殖因子なしの生体外増殖に馴化された(Moore Laboratory)。ヒトAML細胞系THP―1(MLL‐AF9;MOLM‐13(MLL‐AF9及びFlt3 ITD);Kasumi(AML1‐ETO);MV4;11(MLL‐AF4及びFlt3 ITD);Set2(Jak2 V617);HEL(Jak2 V617)。
4) BO‐1055は急性骨髄性白血病性細胞系に対して細胞毒性が高いが、突然変異JAK2Tを持つ白血病性細胞系に対してはそうではない。
表14と図8に示すように、BO‐1055は3/7AML細胞系に対して細胞毒性が高い(IC50 0.18〜0.45μM)が、1つには中程度の細胞毒性であり(IC50 1.50μM)、2つのJAK2 V617突然変異株は耐性が高く(IC50≧10μM)、1つのAML‐ETO AML株は耐性が高かった(IC50 80.0μM)。正常なCB CD34+細胞(MA10、MA18)または成体BM CD34+細胞(MA23)へのMLL‐AF9の形質導入により形成された細胞系は、BO‐1055に対する感受性がいずれも高かった(IC50 0.25〜0.40μM)(図8)。2つのがん遺伝子で形質導入された正常なCB CD34+細胞もBO‐1055に対する感受性が高かった(MLL‐AF9+Flt3ITD形質導入(IC50 0.40μM)またはMLL‐AF9+N‐RASmut(IC50 0.81〜2.91μM))。正常なCB CD34+に対する細胞毒性(IC50 9.9〜10.2μM)と比較すると、MLL‐AF9発がん性融合遺伝子の正常なCBまたはBM
CD34+細胞への導入はBO‐1055の細胞毒性を25〜40倍高めると結論付けることができる。第2のがん遺伝子(Flt3ITDまたはN‐Ras)の添加は、BO‐1055に対する感受性をMLL‐AF9のみの場合よりもさらに高めることはなかった。
5) BO‐1055は一部の分子サブタイプで急性骨髄性白血病幹細胞に対して細胞毒性が高いが、その他ではそうではない。
白血病幹細胞(LSC)に対するBO‐1055の細胞毒性が異なる分子サブタイプの6つの初代(primary)小児AML試料を使用して調べられた。LSCのアッセイはMS5共培養アッセイを使用して行われ、第2週の敷石状領域形成細胞が測定された(Schuringa et al 2004、Chung et al 2005、Moore et al 2007)。表14に示すように、3つの患者試料からのLSCはBO‐1055に対して非常に感受性が高かった(IC50 0.12〜0.90μM)。これらの例は予後不良分子サブタイプであり(Monosomy 7、MLL‐AF9、Flt3ITD)、BO‐1055は非常に予後が不良なこのグループのAMLにおける有効な治療である可能性を示唆している。del17と予後良好のNPM1変異及び逆位16は正常なHSCよりもBO‐1055に対してより感受性が高かった(IC506.25〜7.0μM)が、治療域(therapeutic window)は狭かった。
[表14]
AML、T‐ALL、及び異なる分子サブタイプのAMLとMLL‐AF9±NRASまたはFlt3ITDでの形質転換HSCの初代(primary)患者試料を含む27の白血病細胞系集団に対するBO‐1055、テモゾロミド
(TZM)、メルファランのIC50(μM)。
6) 正常なCB CD34+細胞とAML及びA.Mon.L細胞系とがん遺伝子形質導入CD34+細胞を比較したBO‐1055細胞毒性の用量反応解析。
図8と表14に示すように、正常な造血前駆細胞(CB CD34+FBSまたはSF)はBO‐1055に耐性があった(IC50 9.9〜10.2μM)。対照的に、A.Mon.L細胞系THP1とMOLM13は感受性が高かった(IC50 0.18〜0.45μM)。CB由来MLL‐AF9形質導入株MA‐10とMA‐18及びBM由来MLL‐AF9形質導入株MA‐23はBO‐1055細胞毒性に対する感受性が高かった(IC50 0.25〜0.40μM)。MA10 W51細胞系(CB MLL‐AF9+Flt3ITD)は増殖因子非依存性及び増殖因子(hGM‐CSFまたはhIL‐3)依存性サブラインとして維持された。BO‐1055細胞毒性に対する耐性は前者(IC50〜10μM)のほうが後者(IC50 0.28〜0.40μM)より高かった。MA‐9.3とMA‐9.6 CB MLL‐AF9+NRAS株はBO‐1055に対する感受性が異なり、前者は非常に感受性が高く(IC50 0.81μM)、後者はそれほどではなかった(IC50 2.91μM)。
図9に増殖因子依存性MA‐10‐W51細胞(MLL‐AF9融合遺伝子と変異Flt3ITDで形質導入された正常なCD34+)の増殖に対するBO‐1055の効果を示す。増殖因子依存性MA‐10‐W51細胞に対するBO‐1055とBO‐1978の用量漸増比較によれば、両方の化合物とも細胞毒性が高く、BO‐1978のほうがBO‐1055よりも高いことが示された。
7) 5つの正常なヒト組織と3つの悪性白血病(AML細胞系、初代AML、初代B‐ALL)に対するIC50の比較により判定されたBO‐1055、4つのアルキル化剤、微小管結合薬物、トポイソメラーゼ阻害剤、HSP90阻害剤、アントラサイクリン系抗腫瘍抗生物質の「治療域」。
MV4;11 AML細胞系と初代小児AML‐2及びB‐ALL細胞に対してBO‐1055で取得された治療域は、BO‐1055が正常な気管支上皮細胞(Bci‐NSI)、卵管上皮細胞(FTEC)、内皮細胞(HUVEC)、骨髄間葉系間質細胞(huMSC)、正常な臍帯血造血前駆細胞(CD34+細胞、CFC)に対する毒性を有さないことを強調している。これは白血病に対するBO‐1055の高い細胞毒性と対照的である(表15)。注目すべきは、アルキル化剤4‐HC(シクロホスファミドの活性代謝物)、ベンダムスチン、シスプラチン、トポイソメラーゼ阻害剤エトポシドとSN38、HSP90阻害剤PU‐H71、アントラサイクリン系抗腫瘍抗生物質(ドキソルビシン)と微小管結合アルカロイド(ビンクリスチン)で治療域がないことであるが、これは主にそれらの正常なCFCに対する毒性のためである。
[表15]
5つの正常なヒト組織型に対する毒性(IC50 μM)をAML細胞系(MV4;11)、初代AML(AML‐2)、初代B‐ALLに対する毒性と比較したBO‐1055、アルキル化剤及びその他化学療法薬の治療域判定。
8) 外来性hGM‐CSF投与有りと無しのTHP‐1単球性白血病の異種移植における腫瘍幹細胞数の判定。
生着の確約に必要な白血病細胞の数を判断するために、NSGマウスの静脈注射により1x10〜3x10のGFPルシフェラーゼ形質導入THP‐1 AML細胞が8匹のNSGマウスに注射された。
4匹の生着マウスには治療が行われず(図10A)、4匹は腫瘍注射時に1日当たり1μgのヒトGM‐CSFを40日間にわたって放出する浸透圧小型ポンプ(Alzet)が腹腔内に移植された(図10B)。両群のマウスについて7週目にバイオイメージングが行われた。
図10Aと図10Bに示すように、外来性ヒトGM‐CSFなしの場合生着は最高用量のTHP‐1細胞(3x10)でのみ検出された。hGM‐CSFで治療されたマウスでは1x10と1x10の両方で生着の増加が認められ、この細胞系での腫瘍幹細胞の検出において30倍の増加となった。
9) ヒトMLL‐AF9転座AML細胞系MV4;11が移植されたNSGマウスのBO‐1055治療
MSGマウスに10 MV4;11‐GFP/ルシフェラーゼ形質導入細胞が静脈注射で移植され、10匹のオス12週齢NSGマウスにそれぞれ注射された。BO‐1055の細胞毒性(14日目から開始し、隔日で30mg/kgを5回)が5匹のNSGマウスで判定され、5匹の対照マウスは培地のみが与えられた。
図11にこの実験の結果を示す。左側の3パネルはMV4‐11‐GFPルシフェラーゼ細胞のみが注射されたマウス、右側の3パネルはMV4‐11‐GFPルシフェラーゼ細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。
図11に示すように、5匹中4匹の対照マウス(左側パネル)は28日目までに腫瘍の急速な成長を示し、1匹は生着が低かった。この時点でのBO‐1055治療群(右側パネル)は、2匹のマウスでは腫瘍が検出されず、3匹のマウスで非常に小さな腫瘍が残っていた1週間前と比較して、腫瘍生着の非常に大幅な減少があった。28日目までに、5匹のBO‐1055治療マウスのいずれにおいても顕著に検出可能な腫瘍はなくなった。この時点で対照群では大きな腫瘍のために2匹のマウスが安楽死させられ、残りのマウスは28日目のイメージング後まもなく安楽死が必要な大きい腫瘍があった。
10) GFP/ルシフェラーゼ発現ヒトMA10細胞が移植されたNSGマウスのBO‐1055治療
MA10は、正常なヒトCD34+造血幹細胞と前駆細胞へのMLL‐AF9融合がん遺伝子のレトロウイルス形質導入とFlt3変異(FltITD)活性化により形成されたhGM‐CSF依存性AML細胞系である。NSGマウスにおいて生体外または生体内のGM‐CSFがない場合、MA10細胞は増殖しなかった。GM‐CSFは種限定的であり、ヒトサイトカインはマウスで活性がなく、マウスGM‐CSFはヒト細胞では活性がない。
発明者らは、MA10細胞が移植されたNSGマウスへのヒトGM‐CSF 1μgの毎日の腹腔内投与がその生着と拡大をサポートすることを示した(データは示さない)。発明者らはまた、1日当たり1μgのヒトGM‐CSFを42日間にわたって放出する浸透圧小型ポンプ(Alzet)の皮下移植がMA10細胞の継続的な拡大を維持することを示した。
図12に、NSGマウスにおけるGFP/ルシフェラーゼを発現した100万個のMA10細胞の静脈内移植結果を示す。左側がサイトカインのサポートなし、右側が小型ポンプ移植によるヒトGM‐CSF投与ありである。バイオイメージングは28日目に行われた。
図12に、100万個の細胞の静脈内注射18日後における、小型ポンプありまたはなしでのMA10生着の比較を示す。18〜25日目までに、ルシフェラーゼバイオイメージングではGM‐CSFありの場合(右側の2匹のマウス)のみ顕著な白血病の生着を示し、hGM‐CSFなしでは生着がなかった(左側の2匹のマウス)。BO‐1055単剤治療に対するこのヒト白血病異種移植片の劇的な反応は、ヌードマウス異種移植片とは対照的に、化学療法剤による薬物腫瘍減量後に腫瘍根絶を促進できる機能的NK細胞または残留するTまたはB細胞機能がなかったため、特に注目すべきである。
11) MLL‐AF9と構成的に活性のあるFlt3遺伝子内の縦列重複(W51)で形質導入されたMA‐10‐W51臍帯血CD34+細胞を移植し、BO‐1055単回用量で治療されたNSGマウスにおけるBO‐1055の異種移植実験。
NSGマウス(6匹)にhGM‐CSFを産生する小型ポンプが腹腔内に移植され、静脈内にMLL‐AF9とFlt3ITDがん遺伝子での臍帯血CD34+細胞の形質導入により形成された予後不良白血病を表す10 MA‐10‐W51細胞が注射された。白血病細胞注射後10日目にBO‐1055単回用量30mg/kgが半分のマウスに投与され、残りには培地のみが注射された。
図13に示すように、この白血病はゆっくりと成長したが、50日目までにすべての対照マウスで生着し(左側)、一方でBO‐1055治療マウス(右側)では未検出またはせいぜいぎりぎり生着したのみであった。この腫瘍抑制効果は、単回用量30mg/kgのBO‐1055のみで得られたため、特に注目すべきである。
12) 初代(MLL‐AF9+)小児AMLに対するBO‐1055の生体外及び生体内細胞毒性。
MLL‐AF9+ AML小児患者からの骨髄試料が診断時に取得され、GFP/ルシフェラーゼ融合遺伝子を発現するレンチベクター(lentivector)で形質導入された。GFP+CD34+細胞がFACSにより単離され、10細胞が6匹の12週齢NSGマウスにそれぞれ静脈注射された。マウスは間隔をあけてイメージングされ、最初の生着後35日目に、マウスの半数にBO‐1055治療(隔日で30mg/kgを5回)が開始され、残りの半数には対照培地が与えられた。
図14に示すように、治療を受けたマウスでは白血病が検出されず。一方で対照マウスのすべてに進行性の白血病増殖が見られた。治療群のうち1匹のマウスが治療開始から24時間後に死亡したが、治療とは無関係であった。BO‐1055治療マウスは腫瘍が退縮し、47日目(最後の薬物治療から4日後)までに検出可能な腫瘍はなくなった。
13) 二代継代MLL‐AF9+AML‐2が生着したNSGマウスのカプランマイヤー生存解析。
図15に示すように、MLL‐AF9+白血病小児患者の初代AML試料からの6x10細胞が静脈注射されたNSGマウスは160日目までに全部死亡したが、白血病細胞注射7日後に開始されたBO‐1055治療(30mg/kgのQ10D2x)群は48日長く生存した。この反応は、注射された白血病細胞数が比較的大きい、及び白血病の予後不良表現型という視点で特に重要である。
14) 初代小児B‐ALLに対するBO‐1055の生体外及び生体内細胞毒性。
B-ALL小児患者からの骨髄試料が0.001〜20.0μmの用量範囲で漸増されたBO‐1055ありまたはなしで生体外培養された。
用量反応曲線がFBS含有培地または無血清培地で維持された正常な臍帯血CD34+細胞を使用して得られたものと比較された(図16)。BO‐1055はB‐ALL細胞に対して細胞毒性が非常に高く(IC50 0.30μM)、一方正常な臍帯血CD34+細胞はFCS含有培地または無血清培地(添加物含有「血清代替品」培地)のどちらでもBO‐1055の毒性に対して比較的耐性があった(IC50 8.5〜10.5μM)。その後B‐ALL細胞がGFP/ルシフェラーゼ融合遺伝子発現レンチウイルスベクターで形質導入され、GFP+ CD34+細胞がFACSにより選択された(図17)。
15) 初代B‐ALLのFACS分析。
図17に、初代B‐ALL細胞がFicoll密度勾配により分離され、CD34アフィニティーカラムにより低密度の細胞が選択された後、FACSでCD34とCD19の発現について分析した実験の結果を示す。
FACS分析におけるCD34とB細胞マーカーCD19を足した一次試料中19.3%の細胞がCD34であった。これらCD34細胞のほとんどはCD34+CD19+二重陽性であった。アフィニティーカラム分離後、100%がCD34+で、98.4%がCD34+CD19+二重陽性であった(図17)。
16) NSGマウス移植後の初代小児B‐ALL細胞の器官分布。
200万個のCD34+ B‐ALL細胞または200万個の未分離細胞のいずれかがNSGマウスに移植された。生着後、ヒトCD34とヒトCD19に対するモノクローナル抗体を使用してFACS分析により器官分布が判定された(表16)。脾臓細胞性の3.1億〜4億個の細胞の巨大な脾腫大が見られ、細胞性で正常なNSGマウスと比較して30〜40倍の増加であった。この増加の63〜74%がヒトCD19+細胞の拡大のためであり、そのうち50〜54%がCD34+ B‐ALL細胞であった。生着細胞も大腿骨当たり3700〜5600万個の細胞で骨髄に広範に浸潤し、そのうち92〜96%がヒトCD19+、68〜81%がヒトCD34+CD19+であった。B‐ALL細胞は末梢血においても存在した(1%ヒトCD34+CD19+と2%CD34−CD19+細胞)。
[表16]
NSGマウスにおける移植後のヒト初代B-ALL細胞生着及び組織分布。
*:#1〜#3は200万個のCD34+細胞、#4〜#5は200万個の結合していない細胞をそれぞれ受け入れた。
17) 静脈注射で初代Pre‐B‐ALL‐GFP‐Lu細胞が移植されたNSGマウスに対するBO‐1055の効果
図19で使用された、初代Pre‐B‐ALL細胞が移植された6匹のマウスでは、急速な腫瘍増殖と、BO‐1055治療(Q10D2x 7日目に開始)の開始から7日以内に腫瘍増殖の抑制が見られた(図18)。
図18はマウス3匹ずつの4つのバイオイメージング写真パネルである。左側の3パネルは前躯B ALL CD34‐GFPルシフェラーゼ細胞と対照培地のみが注射されたマウス、右側の3パネルは前躯B ALL CD34‐GFPルシフェラーゼ細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。
71日目までに、対照マウスは主に脊椎と頭蓋の骨髄内に広範な腫瘍の浸潤が生じ、一方2匹の生存したBO‐1055治療マウスのうち1匹は検出可能な腫瘍がなく、もう1匹は主に大腿骨頭と上腕骨頭に小さな白血病巣があった。3匹目のマウスは腫瘍形成または治療と無関係の原因で死亡した。このデータは、BO‐1055治療マウスでの腫瘍増殖の大幅な2の対数(2 log)の減少を示している。
異種移植実験における、BO‐1055治療ありまたはなしの初代B‐ALL腫瘍を有するマウスについて算出されたカプランマイヤー生存率曲線を図19に示す。このBO‐1055のスケジュールは腫瘍を有するマウスの全体的生存に対して非常に顕著な効果があり、薬物治療群は対照群と比較して最大100日長く生存した。
[実施例13B]
肺がん
2014年の世界における肺がん症例数は160万件であった。米国では新規症例が224210件あり、159260人が死亡、5年生存率は16.8%であった。初期ステージ(IA)で診断された場合の5年生存率は49%であるが、ステージIVでは1%である。
(1) 肺がんのサブタイプ
肺がんは大きく、非常に多様な悪性腫瘍ファミリーである。50を超える異なる組織学的異型が2004年版の世界保健機関(WHO)タイピングシステムで明確に認識されている(Brambilla et al.2001)。肺がんは組織学的型により非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分類される。
(2) 非小細胞肺がん(NSCLC)
NSCLCはさらに腺がん、大細胞がん、扁平上皮がんに分類することができる。腺がんは最も多く(全肺がんの40%)、次に扁平上皮がん(30%)、小細胞がん(13〜15%)、大細胞がん(9〜10%)と続く(Travis et al.2004)。希少なサブタイプには巨細胞がん、肉腫様がん、横紋筋様がん、乳頭管状腺がんがある。細気管支肺胞上皮がんは腺がんのサブタイプであり、女性の非喫煙者がより罹患しやすく、予後良好である。これらのサブタイプから数多くの細胞系が取得され、腺扁平上皮細胞系など一部の株は2つ以上のサブタイプの特徴を有する。K‐Rasがん原遺伝子における突然変異が肺腺がんの10〜30%の原因であり、非小細胞肺がんの約4%がEML4‐ALKチロシンキナーゼ融合遺伝子に関係がある(Sasaiki et al 2010)。上皮増殖因子受容体(EGFR)の突然変異と増幅がNSCLCで一般的であり、EGFR阻害剤による治療の基盤となっている。Her2/neuはあまり影響を受けない(Dempke et al.2010)。他の突然変異または増幅されることが多い遺伝子は、c‐MET、NKX2‐1、LKB1、PIK3CA、BRAFである(Dempke et al.2010、Dela Cruz et al.2011)。
(3) 4つのアルキル化剤と比較した43のNSCLC細胞系集団に対するBO‐1055の細胞毒性。
形態学的サブタイプを網羅するため、腺がん(30株)、腺扁平上皮がん(4株)、扁平上皮がん(9株)を含む包括的なNSCL株の集団が用意された。
表17に、非小細胞肺腺がん、扁平上皮がん、及び腺扁平上皮と扁平上皮の混合形態を示す細胞系を代表する45のヒト細胞系集団に対する、他の4つのアルキル化化学療法剤(アルキル化白金製剤カルボプラチンとシスプラチン、アルキル化剤メルファランとBCNU(ベンダムスチン)と比較したBO‐1055のIC50値を示す。そのうち、38株がBO‐1055の細胞毒性について評価された。18が耐性を示し(IC50≧10μM)、6つが若干の耐性を有し(IC50 5.0〜9.9μM)、13がやや感受性を備え(IC50 1.0〜4.9)、1つのみ感受性が高かった(IC50<1.0μM)。腺がん群26中9株は中程度〜高いBO‐1055化学感受性群に属し、EGFR、KRAS(x2) HER2/4、EML4‐ALK(x2)、TP53、BRAFの突然変異、及びSMARCA4欠失を有する株が含まれた。扁平上皮と腺扁平上皮群の12中5株はBO‐1055に対して中程度の感受性を有し、12中7株は中程度〜高い耐性を示した。中程度の感受性群でアップレギュレーションまたは突然変異が生じたがん遺伝子には、PIK3C、KRAS、FGFR、CDKN2A、TP53が含まれた。
これらの観察から、同じ突然変異の細胞系が感受性を有したり、耐性を有したりするため、BO‐1055の細胞毒性はがんの突然変異の状態によってはっきりと判断することはできないと結論付けることができる。肺がん細胞系のBO‐1055に対する感受性の差異についての分子的基盤は未確定である。
[表17]
4つのアルキル化剤(カルボプラチン、シスプラチン、メルファラン、BCNU)と比較した、30のNSCLC腺がん、4つの肺腺扁平上皮細胞系、9つの肺扁平上皮がん細胞系に対するBO‐1055の細胞毒性(IC50 μM)。
*COSMIC(Catalogue of Somatic Mutations in Cancer)
(4) 大細胞肺がん(LCLC)。
非小細胞肺がんのうち、このタイプは通常遅いステージで発見される。LCLCは迅速に増殖し、付近のリンパ節、胸壁へと広がる傾向がある。また、肺の中の腫瘍が比較的小さくても、より遠くの器官にも広がる可能性がある。米国では年間約2万件の新規症例がある。
LCLCの臨床的に重要なサブタイプの1つは、神経内分泌細胞に由来すると考えられている「大細胞神経内分泌がん」(LCNEC)である。さらに、「混合型大細胞神経内分泌がん」(c‐LCNEC)と呼ばれるサブバリアントが新しいWHOの分類で認識されている。c‐LCNECとして指定するには、腫瘍が少なくとも10%のLCNEC細胞と、少なくとも10%の別の形態のNSCLCを含む必要がある。
(5) 4つの大細胞肺がん細胞系に対する42のBO化合物の細胞毒性。
発明者らは4つの大細胞肺がん細胞系(H1299、H299、H460、SHP77)に対する42のBO‐1055の細胞毒性を調べた。表18に示すように、試験した細胞系はBO‐1055に対して中程度〜高い化学感受性を有した。
[表18]
4つの大細胞肺がん細胞系に対するBO‐1055の細胞毒性(IC50 μM)。(注意:SHP77はSCLCの誘導体または混合型SCLC/LCLCと見なされている)
(6) 小細胞肺がん(SCLC)。
この肺がんは細気管支の神経上皮細胞または神経内分泌細胞に由来し、CD44を発現することがある。細胞は高密度の神経分泌顆粒を含むため、この腫瘍は内分泌/腫瘍随伴症候群に関連付けられる。多くの症例はより大きな気道で発生し、急速に増殖して疾患経過の早期に広がり、診察時に60〜70%で転移が見られる。
(7) 混合型小細胞肺がん(c‐SCLC)。
現行のWHO肺腫瘍分類スキームで、これはCLCの異型と見なされている。SCLCの要素と、混合された1つ(または2つ以上の)NSCLC要素を含む、多相肺がんである。c‐SCLCの真の発生率は不明であるが、症例集積ではSCLC全症例の25%〜30%、全肺がん症例の4%〜6%を占める可能性が示唆されている。「純」SCLCでEGFR突然変異は非常に稀である(<5%)が、c‐SCLCではずっと多い(約15%〜20%)。これらの陽性腫瘍はEGFR‐TKIでの治療に反応しやすい。c‐SCLCは、乳がんに似て、症例の高い割合(50%〜67%)で女性ホルモン(例:エストロゲン及び(または)黄体ホルモン)受容体を発現する傾向がある。
しかし、これら受容体の阻害がc‐SCLCの増殖に影響するか否かは現時点では不明である。
(8) 小細胞肺がん細胞系の異型に対するBO‐1055の細胞毒性。
NCI細胞系H82、H211、H526により3つのSCLC異型例が提供された。表19に示すように、2つの細胞系はBO‐1055に対して感受性が高く(IC50 0.34〜0.39μM)、1つは中程度の感受性(IC50 2.00μM)であった。
[表19]
3つの異型小細胞肺がん細胞系に対するBO‐1055の細胞毒性(IC50 μM)(IC50 μM±S.D.)
(9) 他のアルキル化剤及び化学療法剤の毒性と比較したSCLC細胞系集団に対するBO‐1055の細胞毒性。
SCLCの典型(classic)と異型を含む11のSCLC細胞系が、アラマーブルーアッセイを使用してBO‐1055の72時間細胞毒性について評価された(表20)。3つの典型と3つの異型を含む6つの細胞系は感受性が非常に高く(IC50 0.05〜0.39μM)、治療係数(TI)範囲は25〜200であった。1つは中程度に感受性があり(IC50 2.00μM)、TIは5で、2つの典型と2つの異型を含む4つは耐性があり(IC50 20〜40μM)、TIは0.4〜1.6であった。3つのアルキル化剤(シスプラチン、メルファラン、BCNU(カルムスチン))も一部の細胞系に対して高い細胞毒性を示し、別の一部は耐性があった。
シスプラチン治療では、19のうち3つの感受性が高く(IC50<1.0μM)、19のうち14は中程度の感受性(IC50 1.0〜4.9μM)で、19のうち2つは高い耐性(IC50>10.0μM)を示した。
同様に、メルファランでは、16のうち4つの感受性が高く、5つは中程度の感受性、2つは中程度の耐性、5つは高い耐性を示した。試験したすべての細胞系はBCNU/カルムスチンに対して体制が高かった。アントラサイクリン系抗腫瘍抗生物質ドキソルビシンは試験を実施した17すべての細胞系に対して細胞毒性が高かった。ドキソルビシンはSCLC併用化学療法のどの主要なプロトコルの構成要素にもなっておらず、これは特に心毒性をはじめとする重篤な潜在的副作用を反映している可能性がある。ビンクリスチンは17のうち16の細胞系に対して細胞毒性が高く、1つは中程度の感受性であった。VP‐16/エトポシドの毒性は混合パターンを示し、16のうち6つの細胞系は感受性が高く、5つは中程度の感受性、2つは中程度の耐性、そして3つは高い耐性を示した。アルキル化剤とBO‐1055間に交差耐性のエビデンスはなかった。例えば、H82株はBO‐1055に対する感受性が非常に高いが、シスプラチン、メルファラン、BCNU、さらにエトポシドに対しては高い耐性を示し、試験されたすべての細胞系の中でドキソルビシンに対する耐性が最も高かった。
[表20]
典型と異型の例を含む21のSCLC細胞系集団に対してスクリーニングされた、3つのアルキル化剤(シスプラチン、メルファラン、BCNU/カルムスチン)、アントラサイクリン系抗腫瘍抗生物質(ドキソルビシン/アドリアマイシン)、ビンカアルカロイドチューブリン結合剤及び胞周期抑制因子(ビンクリスチン/オンコビン)、トポイソメラーゼII阻害剤(VP‐16/エトポシド)と比較した、BO‐1055の細胞毒性(IC50 μM)。
(x) 他のアルキル化剤及び化学療法剤と比較した、SCLC細胞系H526におけるBO‐1055の治療域の判定。
「治療域」(TW)が悪性細胞系(この例(表20)ではSCLC異型株H526)に対するBO‐1055の生体外細胞毒性の判定(IC50値)から算出され、正常なヒト組織集団に対する該化合物の細胞毒性と比較された。良性組織には、(a) 内皮細胞の新生児源としてのヒト臍帯(HUVEC);(b) 成体ヒト骨髄間葉細胞(huMSC);(c) hTERTのレトロウイルス形質導入により不死化された正常なヒト肺気管支上皮(Bci‐NSI);(d) hTERTのレトロウイルス形質導入により不死化された正常なヒト卵管基底上皮(FTEC);(e) 赤血球、顆粒球/単球、巨核球、Bリンパ系細胞の造血幹細胞(HSC 5%)と造血前駆細胞(CFC 95%)で構成された集団、ヒト臍帯血由来CD34+造血細胞が含まれた。
BO‐1055については、H526に対するその毒性と、スクリーニングされた正常組織集団に対する毒性のなさの間に100〜533倍の優れた治療域があった。アルキル化剤4−ヒドロペルオキシシクロホスファミド(4‐HC)、ベンダムスチン、メルファラン、シスプラチン、及びトポイソメラーゼ阻害剤エトポシド、SN38、HSP90阻害剤PUH71、微小管結合アルカロイドビンクリスチンを含むその他薬物との比較で見られたずっと小さな治療域と極めて対照的であった。
[表21]
正常な上皮、内皮、間葉系間質、正常な造血前駆細胞(CFC)に対する毒性のなさと比較した、H526異型SCLC細胞系に対して取得されたBO‐1055での治療域(TW)。データはH526について1.00の値に正規化。
(11) BO‐1055で治療されたNSGマウス小細胞肺がん細胞系H526異種移植の生体内実験
GFP/ルシフェラーゼ標識H526の異種移植が12週齢のNSGオスマウス10匹の群で5万個の腫瘍細胞の皮下注射により樹立された。12日目にルシフェラーゼバイオイメージングが実施され、その後5匹のマウスに30mg/kgのBO‐1055が、また対照としての5匹のマウスに培地がそれぞれ静脈注射された。BO‐1055または対照の培地注射は12日目から30日目まで隔日で繰り返し行われ、バイオイメージングは12日目開始時と、薬物治療21、26、30日目に実施された。
図20にマウス5匹ずつの8つのバイオイメージング写真パネルを示す。左側の4パネルはGFP‐Lu‐SCLC H526細胞と対照培地のみが注射されたマウス、右側の4パネルはSCLC H526細胞が注射され、さらにウレイドマスチンで治療されたマウスをそれぞれ示す。
図20から分かるように、進行性腫瘍増殖が12日目から30日目まで対象マウス5匹のうち4匹で見られた(1匹のマウスは生着下腫瘍が開始時にあったが、進行性の腫瘍増殖を示さなかった)。BO‐1055治療マウスでは、26日目まで検出可能な腫瘍がなく、30日目では5匹中3匹の治療マウスにまだ腫瘍はなかった。
データは図21でトータル光子放射として表され、20日目と30日目の間には治療マウスと対照マウス間のトータル光子放射において2の対数(2 log)の差があった。
(12) SCLC H526異種移植片を有し、BO‐1055で治療したヌードマウスの生体内実験。
発明者らはまた、SCLC H526異種移植片を有するヌードマウスでもBO‐1055の治療効果を評価した。4匹のマウスが2日おきに4回、40mg/kgのBO‐1055静脈内注射で治療された。イリノテカン(30mg/kg、毎日1回を6回静脈内注射、n=4)とエトポシド(30mg/kg、2日に1回を6回静脈内注射、n=4)が陽性対照として使用された。図22Aと図22Bに示すように、BO‐1055はイリノテカンまたはエトポシドよりも効果的である。
腫瘍があるマウスは腫瘍体積が 2000mmよりも大きくなったときに犠牲にされた。対照と陽性対照マウスは47日目に犠牲にされ、BO‐1055治療マウス(n=4)は4匹中3匹が±28日目に完全寛解(CR)、32日目に4匹中2匹がCR、77日目に4匹中1匹がCRとなった。
[実施例13C]
リンパ腫
リンパ腫はリンパ系の腫瘍であり、全癌の3〜4%を占め、成人においては7番目、小児では3番目に一般的ながんである。2012年には世界で566000の症例があり、305000人が死亡している。
リンパ腫には数十のサブタイプがあり、一部は治癒可能であると考えられているが、多くは非常に予後不良である。治療オプションには化学療法、放射線治療、標的療法、外科手術の併用が含まれる。
以下でこれら複数のサブタイプについて説明する。
(1) ホジキンリンパ腫(HL)
この形態のリンパ腫はリードシュテルンベルグ細胞の存在によって特徴付けられる。ホジキンリンパ腫には2つの主要なタイプがあり、若年成人で多く見受けられる結節硬化型が最も一般的である。次に多いサブタイプが混合細胞型で、男性に多く、進行したステージで診断される傾向がある。これら症例の70%にエプスタインバーウイルスが関与している。
(2) 非ジキンリンパ腫(NHL)
2014年に米国では70,800件のNHL新規症例があり、そのうち10%がT細胞リンパ腫、90%がB細胞リンパ腫であった。B細胞NHLには予後と治療反応が異なる複数のサブタイプがある。
(3) 濾胞性リンパ腫
これは2番目に多いリンパ腫の型であり、2014年には米国と欧州で14160の新規症例があった。より高齢の成人に発生し、通常リンパ節、骨髄、脾臓に関係しており、t(14;18)転座に関連付けられ、Bcl‐2を過剰発現する。往々にして無痛であり、非常にゆっくりと増殖する。既知の治療法はないが、85%以上の患者が診断後5年以上生存し、50%が12年以上生存している。ベンダムスチン(Treanda(登録商標))及びレナリドミド(レブラミド(登録商標))などの薬物が、通常リツキシマブとの併用で、このサブタイプに効果を示しており、第一選択療法の一部として使用することができる。徐々に、濾胞性リンパ腫はDLBCLに変化することがあり、その場合より積極的な治療を要する。
(4) 初代縦隔B細胞リンパ腫
このリンパ腫は主に10代から30代前半の人が罹患する。多くの患者が化学療法と放射線療法の併用で治癒する。しかし、この治療でも約20%の患者が進行性疾患となる。
(5) 末梢T細胞性リンパ腫非特定型
これは最も一般的なT細胞性リンパ腫であり、通常不規則な核輪郭を持つ小〜大CD3+リンパ系細胞の混合として現れる。いくつかの希少異型にさらに分類できるが、すべて往々にして播種性で、通常進行が早い腫瘍である。
(6) 菌状息肉症
これは最も一般的な皮膚リンパ性悪性疾患であり、局所的またはより全身性の皮膚リンパ様細胞浸潤を呈し、通常無痛である。より悪性度の高い異型であるセザリー症では皮膚紅斑と末梢血浸潤 がある。全体の5年生存率は75%である。
(7) びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
これは最も多いリンパ腫の型である。北米でNHLの最大35%、全進行性症例の60%を構成する。2014年に米国では21,240件の新規症例があった。DLBCLは胚中心B細胞(GCB)由来のものと、活性化B細胞(ABC)由来のものに分類することができる。DLBCLは、約40%の確率でリンパ節以外の器官に関与するNHLの進行性の型である。
(8) ABCおよびGBCサブグループを代表するヒトDLBCL細胞系を含むリンパ腫細胞系集団の樹立;ヒトマントル細胞リンパ腫細胞系とマウスB細胞リンパ腫。
a)細胞系及び方法:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞系LY1、Ly8、Ly10、Ly18がIMDM培地で培養され、Ly3、Ly19、SUDHL‐4、SUDHL‐6、Pfeifer、Farage、Toledo、Karpas‐422、HBL1、U2932がRPMIで培養された。マントル細胞リンパ腫(MCL)細胞系JEKO‐1、Mino、Granta‐519、NECB‐1、Z‐138、REC‐1、HBL2がRPMI培地で常套的に培養された。すべての培地に10%FBS、1%L‐グルタミン、1%ペニシリン、ストレプトマイシンが添加された。細胞系は、American Type Culture Collection(ATCC、米国バージニア州マナサス)から、またはGRCF DNA Services(ジョンズホプキンズ大学、メリーランド州ボルチモア)でのプロファイリングキット(PowerPlex 16HS)を使用したSTRプロファイリングによる認証後MSKCC研究員から取得された。
b)自然なマウスB細胞リンパ腫。また、ヌードマウスで自然発生したCD19+ B細胞リンパ腫も、腹腔内または皮下注射とマトリゲルまたは静脈注射のいずれかの後のNSGマウスにおける繰り返し継代により維持した。この原発性リンパ腫はヒトDLBCLに類似しており、リンパ腫細胞の長期的な生体外維持に必要なマウスMS5ストローマ細胞ありまたはなしで、生体外治療でのBO化合物の細胞毒性を判定するために使用された。
(9) びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞系の表現型と分子的特徴。
表25に示すように、BO‐1055細胞毒性の評価に用いられた12のヒト非ホジキンリンパ腫細胞系は、胚中心B細胞(GCB)または活性化B細胞(ABC)の由来に基づきさらにサブタイプに分類できるDLBCLの例であった。
8つの細胞系はTP53突然変異を有し、7つはBCL2 t(14;18)転座を有した。この転座は最大70%の濾胞性リンパ腫、及び最大30%のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に存在する。BCL2遺伝子再編成または増幅の他のタイプが2つの細胞系で見つかり、3つは野生型(wt)BCL2を有した。BCL6遺伝子は10中5つが野生型で、3つで増幅、1つで転座、1つで欠失されていた。
BCL6遺伝子状態が各細胞系により産生されるBCL6タンパク質のレベルに照合された(matched)。Mycが12中4つの系で増幅または再編成された。
また表22では、細胞系産生のために細胞が取得された時点の患者の臨床状態も示されている。初回診断で5つ、再発で7つの系が取得された。細胞系の細胞遺伝学的試験では、3つが染色体の正常数を有し、5つが高2倍体、3つがほぼ4倍体または高4倍体であったことが示された。
[表22]
胚中心B細胞(GCB)サブタイプまたは活性化B細胞(ABC)サブタイプのびまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞系の由来と分子的特徴。
Mut=変異遺伝子、Wt=野生型遺伝子、Amp=増幅遺伝子、Rea=再編成、Del=欠失遺伝子、Trans=転座、Dx=診断時、Rel=再発時、nd=未検。
(10) リンパ腫細胞系に対するBO‐1055の細胞毒性。
生体外BO‐1055の細胞毒性が、(a)16のヒトDLBCL細胞系、うち12がGCBサブグループ、4つがABCサブグループ;(b)7つのヒトマントル細胞リンパ腫細胞系、(c)支持間質(supportive stromal)単層ありまたはなしの1つの初代マウスB細胞リンパ腫について調べられた(表23)。
評価した21〜25の細胞系によれば、3つのリンパ腫サブグループとマウスB細胞リンパ腫は全体的薬物反応性において大きな違いはなかった。
[表23]
ヒトDLBCLサブタイプGBCとABC、マントル細胞リンパ腫、自然発生マウスB細胞リンパ腫の例を含む24のリンパ腫系に対してスクリーニングされたBO‐1055の細胞毒性(IC50 μM)の比較。
データはBO‐1055についてのIC50 μMを表示。
≧8.00μMの値は灰色で強調。
(11) 40種類のリンパ腫細胞系に対してスクリーニングされた、BO‐1055と、経路標的薬、HSP90及びHSP70阻害剤、プロテアソーム阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、ボルテゾミブを含む33種類の化学療法剤の細胞毒性の比較。
BO‐1055の細胞毒性(IC50 μM)が、経路標的薬、HSP90及びHSP70阻害剤、プロテアソーム阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ.を含む抗がん剤化合物集団の細胞毒性と比較された。表24に示すように、それらはヒトDLBCL GBCとABCサブタイプ、マントル細胞リンパ腫を含む、多様なリンパ腫細胞系に対する細胞毒性について評価された。
この表では、公開されているアクセス可能なサイト(Broad Institute、Sanger Institute)で利用可能なデータ(IC50 μM)と、台湾中央研究院のDr.T.L.Su及びDr.Leeと、MSKCCのDr. M.A.S.Mooreとその共同研究者によって生成されたデータが示されている。
(a) 表24でBO‐1055との細胞毒性比較で評価された化合物の性質。
ARN:ARN‐231卵巣がん幹細胞阻害剤(Moore MA未公開)。
TT46 HSP70阻害剤(Kang et al 2014)。
PUH71:HSP90阻害剤(Ambati et al.2014a、Jhaveri et al.2014)。
17‐AAG/タネスピマイシン:HSP90阻害剤(Jhaveri et al.2014)。
Bort:ボルテゾミブ/ベルケイド(登録商標):プロテアソーム阻害剤。
Cisp:シスプラチンアルキル化白金製剤。
Doxo:ドキソルビシン、アントラサイクリン系抗腫瘍抗生物質。
TK:TKI258、ドビチニブ、EGFR、FGFR1、PDGFRbeta、VEGFR‐1、KDR阻害剤。フェーズ3ノバルティス。
AEW:AEW541、IGFR阻害剤、非臨床、ノバルティス。
SOR:ソラフェニブ/ネクサバール(登録商標)、Flt3、c‐KIT、PDGFRβ、RET、RafキナーゼB、RafキナーゼC、VEGFR‐1、KDR、FLT4阻害剤、2005年FDA認可。バイエル
TOPO:トポテカン/ハイカムチン、トポイソメラーゼ1阻害剤。1996年FDA認可。グラクソ・スミスクライン。
(B) 異なる腫瘍サブグループを代表する多様なヒトリンパ腫細胞系の集団に対する(8)(a)で説明された多様な化合物の細胞毒性
10の細胞系は感受性が高く(IC50 0.11〜0.87μM)、6つは中程度の感受性(IC50 1.95〜4.14μM)、6つは中程度の耐性(IC50 5.06〜8.95μM)、1つのみ高耐性(IC50 12.5μM)であった。
BO‐1055でスクリーニングされた27の細胞系のうち、11は感受性が高く(IC50<1μMと定義)、IC50 0.12〜0.84μMであった。14の細胞系は中程度の感受性(IC50 1.00〜4.99μMと定義)であり、IC50は1.08〜4.90μM(TI 2.04〜9.03)であった。2つの細胞系は耐性があった(IC50>10.0μM)。DLBCL細胞系のABC及びGBCタイプへの亜分類に対するBO‐1055の細胞毒性評価は有意差が見られなかった。4つの細胞系のABC群では、1つが非常に高感受性(IC50<1.0μM)で、3つが中程度の感受性であった(IC50 1.0〜4.9μM)。
10の細胞系のGBC群では、BO‐1055に対して4つが非常に高感受性で、4つが中程度の感受性、1つが中程度の耐性、1つが高耐性であった。TP53の状態は、TP53突然変異を有する8つの細胞系がIC50値の範囲(0.29〜4.90μM)を有し、4つのTP53野生型細胞系(IC50 0.12〜7.02μM)も同様であったため、BO‐1055感受性を決定付けるものではないようであった。BCL2突然変異状態も同様に、WT Bcl2の細胞系がIC50範囲0.12〜>10.0μMを有し、突然変異/再編成/増幅BCL2細胞系も類似の範囲(IC50 0.29〜4.9μM)を有したため、BO‐1055の毒性を決定付けるものではなかった。
[表24]
ヒトDLBCL GBCサブタイプとABCサブタイプ、マントル細胞リンパ腫を含む多様なリンパ腫細胞系に対してスクリーニングされた、経路標的薬、HSP90、HSP70阻害剤、プロテアソーム阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、ボルテゾミブを含む多様な抗がん剤と比較したBO‐1055の細胞毒性(IC50 μM)。
nd=未検出(not determined)≧8.00μMの値は灰色で強調。*NOD‐SCID‐IL2Rγ欠損マウスに由来する自然発生B細胞リンパ腫。間質支持(stromal support)なしのリンパ腫細胞で判定された細胞毒性。照射MS5ストローマとの共培養でBO‐1055の細胞毒性(IC50))は0.80μM、シスプラチンの細胞毒性は>10.0μM *BO‐1055に関するデータはMSKCCのDr.M.A.S Mooreと台湾中央研究院のDr.T.L.Suにより生成されたものである。ARNに関するデータはMSKCCのDr.M.A.S.Mooreとその共同研究者によって生成された。TT46とPUH71に関するデータはMSKCCのDr.G.Chiosisと、Dr.M.A.S.Moore、E Caldasからのものである。MSKCCのDr.S Danishefsky及び共同研究者らによって合成されたisofludaloneに関するデータは、MSKCCのDr.MAS Mooreと共同研究者らによって生成された。MSKCCで最初に開発されたSAHAに関するデータは複数のソースからのものである。
(12) DLBCL(ABCサブタイプ)細胞系OCY‐LY3に対するBO‐1055とドキソルビシンの併用の細胞毒性。
併用係数(CI)>1が拮抗作用、CI=1が相加作用、CI<1が相乗作用を示すとするChou‐Talalay法(ChouおよびTalaley 1984)を使用して併用係数(CI)が算出された。複数の研究でChou‐Talalay分析が薬物相互作用に適用可能であることが確立されている(Chou 2010)。単剤または薬物併用として薬物濃度を高めながら(20μM〜0.02μMの8倍段階希釈)OCY‐LY3細胞が72時間培養された(各薬物についてCteはIC50に対応)。治療後、細胞はアラマーブルーで評価された。
図23A:GraphPad Prismにより取得された増殖抑制曲線とIC50。DLBCL(ABCサブタイプ)細胞系OCI‐LY3に対する単剤治療として、または併用でのBO‐1055またはドキソルビシンの細胞毒性を示す。
図23B:GraphPad Prismにより取得された増殖抑制曲線とIC50。C.正規化。Fa―Ciプロット:効果主導。
図23C:BO‐1055とドキソルビシンの併用に関するアイソボログラム:左:BO1055 Cte+DOXO Var。右:DOXO Var+BO1055 Cte (Chou 2010)。用量主導‐そのうちCI<1=相乗作用;CI=1=相加作用;CI>1=拮抗作用。値はCompuSynソフトウェアにより計算(Chou and Talalay 1984、Chou 2010)。
アイソボログラム:
(13) DLBCL(GBC)細胞系に対して判定されたBO‐1055とHSP阻害剤(PUH71、TT46)、ボルテゾミブ、ドキソルビシンの併用効果の細胞毒性。
IC50のBO‐1055と併用して薬物が7〜9つの異なる濃度で漸増された、または薬物がそれぞれのIC50に対応する用量で添加され、7〜9つの異なる濃度のBO‐1055と組み合わされた。標的細胞系はGBCサブグループの12のヒトDLBCL細胞系であった。
1) BO‐1055とHSP90阻害剤PUH71;及び2) BO‐1055とHSP70阻害剤TT46の併用を使用した、DLBCL(GBC)細胞系に対する併用実験の結果を表25に示す。この表は単剤治療における各薬物のIC50データと併用治療の併用係数を示し、そのうち、1つの薬物はそのIC50μMで使用され、その他の薬物は8段階の希釈で漸増された(Chou 2010)。
Comb‐1では、BO‐1055が変数であり、HSP阻害剤はそのIC50μMの用量で用いられている。Comb‐2では、PUH71またはTT46が変数であり、BO‐1055はそのIC50μMの用量で用いられている。表25の上部はPUH71に関するデータを示し、表25の下部はTT46に関するデータを示す。
BO‐1055とPUH71の11の評価可能なデータセットのうち、PUH71はZ‐138に対して両方の組み合わせでBO‐1055と相乗的であったが、対照的に、TT46は同じ細胞系に対して両方の組み合わせで拮抗的であった。PUH71はGRANTAに対してどちらでも拮抗的であったが、一方TT46はGRANTAに対してcombo‐1では相乗的、combo‐2では拮抗的であった。どちらのHSP阻害剤もBO‐1055との両方の組み合わせでREC‐1に対して拮抗的であった。PUH71はMINOに対してBO‐1055とどちらの組み合わせでも相乗的であったが、TT46はこの細胞系に対してBO‐1055とcombo‐1でのみ相乗的で、combo‐2では拮抗的であった。PUH71とTT46の両方ともNECB1に対してcombo‐1ではBO‐1055と相乗的であり、combo‐2では拮抗的であった。
[表25]
DLBCL(GBC)細胞系に対して判定された、B0‐1055、及びPUH71、TT46、ボルテゾミブ、ドキソルビシンの潜在的な相加的または相乗的細胞毒性。
(14) マントル細胞リンパ腫(MCL)
MCLは最も珍しい非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つであり、NHL症例の約6%を占める(2014年新規症例数4960)。60歳以上の人に最も多く見られ、4:1の割合で女性より男性に多い。現在米国では最大15000人のMLC患者がいる。
正常なリンパ節胚中心濾胞周囲のマントル帯内のCD5陽性抗原ナイーブマントル帯B細胞の悪性化に起因する。ヒトでは、CD5遺伝子は染色体11の長腕にある。CD5はBCRからの活性化シグナルを緩和し、正常な組織タンパク質ではなく、非常に強い刺激(細菌タンパク質など)によってのみB‐1細胞が活性化されるようにする。MCL細胞は他のリンパ節や、骨髄、肝臓、胃腸管などの組織に転移可能である。MCLはt(11;14)(q13;q32)での転座によるサイクリンD1タンパク質の過剰発現により特徴づけられる。さらにp53経路に関わる遺伝子異常が疾病の発症と進行に重要である(表25を参照)。MCLは治療が難しく、治癒と見なされることはほとんどない。生存期間の中央値は約3年間であるが、新規患者については現在6年間に接近していると見積もられている。
(15) マントル細胞リンパ腫細胞系に対するBO‐1055、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセル、パノビノスタットの細胞毒性
表26に示すように、多様なMCL細胞系に対するBO‐1055の平均IC50±SD(μM)値は次のとおりである。
JEKO−1 (0.266±0.27)、
Z−138 (0.182±0.15)、
HBL2 (0.161±0.34)。
発明者らの結果では、BO‐1055がヒトB細胞リンパ腫と多様な正常ヒト細胞型に対するその毒性の間に大きな治療域(50〜100倍)を有することが示唆された。BO‐1055での治療は、S期での細胞蓄積とDNA修復に関与するタンパク質(MRE11、p‐P95/NBS1(ser343)、RAD50、p‐ATR(ser428))の上方制御を生じ、一方で重要なB細胞リンパ腫バイオマーカーであるBcl‐6は下方制御された。
[表26]
7つのヒトマントル細胞リンパ腫細胞系集団に対するBO‐1055の細胞毒性(IC50μM)。比較のため、ドキソルビシン(DNA挿入アントラサイクリン系薬物)、パクリタキセル(微小管結合薬物)、シスプラチン(アルキル化白金製剤)、パノビノスタット(HDAC阻害剤)についての細胞毒性データが示されている。
(16) 5つの正常組織と比較した、MCL細胞系JEKO‐1に対するBO‐1055、4つのアルキル化剤、4つの他の化学療法剤の治療域の測定。
良性組織とMCL細胞系JEKO‐1の集団に対する11の化合物で取得された72時間細胞毒性(IC50 μM)を示す表26のIC50データより治療域(TW)が算出された。
表27に各化合物について算出された治療域を示す。表27の上部は5つの正常なヒト組織とMCL細胞系JEKO‐1に対する10の化合物のIC50 μM値を示す。表の下部はJeko‐1でのIC50と比較した良性組織間のIC50値の倍差としてデータを示す。
BO‐1055は、正常造血細胞毒性が潜在的用量制限毒性の決定要因として用いられたとき、スクリーニングされたすべての薬物で最高のTWを有する。MCLデータを非造血正常組織と比較したTWはさらに、優れた選択性を備え、かつ悪性細胞に対して高い毒性を有する用量で正常組織への損傷が最小限の高活性抗腫瘍薬としてのBO‐1055の位置付けを支持している。その他良性組織とMCL細胞系を比較したときに観察されたBO‐1055のTWも、正常な上皮、内皮、間葉系間質に対する重大な毒性がないため、優れている。
アルキル化剤4‐HC、ベンダムスチン、シスプラチン、及びエトポシド、HSP90阻害剤PU‐H71とトポイソメラーゼ阻害剤SN38では、正常な造血前駆細胞に対するこれら薬物の毒性のため、治療域がなかった。
IC50(μM)が臍帯血造血前駆(CD34+細胞、CFC)、内皮(HUVEC)、骨髄間葉系幹細胞(huMSC)、ヒト肺気管支(Bci‐NSI)と卵管(FTEC)のヒトhTERT不死化上皮で判定された。
[表27]
ドキソルビシン、エトポシド、PUH71、SN‐38、ビンクリスチン、4つのアルキル化剤のTWと比較した、MCL細胞系JEKO‐1に対するBO-1055の治療域(TW)測定。
表27(下パネル)に示されるデータは悪性細胞に対して毒性があるが、試験した正常細胞に対しては毒性がない薬物用量間の治療域(TW)を特定している。BO‐1055についての30〜296倍の範囲はスクリーニングされた11の薬物のうち骨髄毒性が最も低かった。
シクロホスファミドの活性代謝物である4‐HCも、Cd34+細胞、及び正常な上皮と間葉細胞に対する毒性が高かった。
ベンダムスチンとメルファランは正常な上皮、内皮、間充織に対して高いTW値を有したが、CD34+細胞に対して評価されたときの域は限られていた(1.60〜6.36倍)。
シスプラチンの治療域は上皮と間充織で限定的(1.6〜8.0)、内皮では中程度(50倍)であったが、造血毒性によって著しく制限された。
トポイソメラーゼII阻害剤エトポシドもCD34+細胞に対する高い毒性によって制限され、これは記録にあるように、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肺がん、精巣がん、リンパ腫、骨髄性白血病、多形性膠芽細胞腫などのがんの化学療法で使用されたときの骨髄機能抑制副作用(Hande 1998)によって確認されている。また、骨髄または血液幹細胞移植の前治療においても使用されている。
SN‐38は天然アルカロイドカンプトテシンの半合成類似体、イリノテカンの活性代謝物であり、強力な(イリノテカン自体よりも1000倍高活性)トポイソメラーゼ1阻害剤である。生体外細胞毒性アッセイによれば、イリノテカンに相対するSN‐38の効力は2〜2000倍のばらつきが示されている(Pommier et al.2010)。SN‐38のTWは、非造血組織の場合250〜2500であるが、CD34+細胞ではわずか8.75であり、イリノテカン投与を受けた患者の最大25%に生じる下痢、骨髄抑制、極度の免疫抑制の症状をSN‐38代謝物が引き起こすという観察に一致している。
HSP90阻害剤PUH71のTW判定は、造血及び血管内皮毒性問題の可能性を示唆しているが、後者は腫瘍血管新生を選択的に阻害できる場合プラスの側面となり得る。
ビンカアルカロイドビンクリスチンは微小管構造のアセンブリを阻害し、分裂中期の複製を阻止するチューブリン結合剤である。非ホジキンリンパ腫の場合CHOP化学療法レジメンの一部として、またホジキンリンパ腫の場合MOPP、COPP、BEACOPPの一部として治療に用いられる。また複数の骨髄腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、腎芽細胞腫の治療にも用いられている。さらに、ALLにおいてデキサメタゾンと及びL−アスパラギナーゼと寛解をもたらすためにも使用され、プレドニゾンとの併用で小児白血病の治療にも用いられる。慢性突発性血小板減少性紫斑病の治療において免疫抑制剤としても使用されている。造血細胞と内皮細胞両方でのTWは、薬物の骨髄抑制及び血管損傷可能性を示唆している。主要な副作用は、進行性かつ不可逆的な可能性がある化学療法誘発性末梢神経障害である。治療患者の20〜75%に脱毛症が発生し、また骨髄抑制的で白血球減少と血小板減少症を誘発する。
(17) BO‐1055とボルテゾミブ、ドキソルビシン、HSP90及びHSP‐70阻害剤のマントル細胞リンパ腫細胞系に対する薬物併用細胞毒性実験。
BO‐1055とボルテゾミブ/ベルケイド、ドキソルビシン、及び熱ショックタンパク質阻害剤PUH71(HSP90阻害剤)とTT46(HSP70阻害剤)の併用の潜在的な相加または相乗的細胞毒性作用が、Jeko‐1、HBL2、Z‐138、REC‐1、Granta、Mino、NECB1で代表されるヒトマントル細胞リンパ腫(MLC)細胞系集団に対して判定された。これらのデータは図28と図29に示されている。
BO‐1055を単剤として細胞系に対して判定されたそのIC50に対応する単一濃度に維持することにより1つのデータセットが取得され、その後、BO‐1055を各薬物の漸増濃度(薬物濃度の7〜9倍範囲)と72時間併用し、細胞毒性/代謝活性の阻害(IC50)をアラマーブルーアッセイで判定することで、相互作用的細胞毒性について評価された。
単剤としてそのIC50に維持された1つの薬物を、用量の7〜9倍範囲にわたって漸増したBO‐1055と併用し、72時間でIC50判定を行うことにより、第2のデータセットが取得された。
5つの評価可能な細胞系で、BO‐1055とベルケイドは両方の組み合わせて2つの細胞系(Z‐138、MINO)に対して相乗的細胞毒性を示し、1つの細胞系(REC‐1)に対しては両方の組み合わせで拮抗的、combo‐1では相乗的、combo‐2では2つの細胞系(RANTA、NECB1)に対して拮抗的であった。BO‐1055とドキソルビシンでは、両方の組み合わせが2つの細胞系(Z‐138、mino)に対して相乗的であり、両方の組み合わせが1つの細胞系(REC‐1)に対して拮抗的、2つの細胞系(RANTA、NECB1)がcombo‐1で相乗的、combo‐2に対しては拮抗的であった。
従って、個々のMCL系は薬物併用に対する反応において顕著な変動を示したが、ベルケイドとボルテゾミブに対する反応は同じであった。対照的に、MCL細胞系の同じ集団が、HSP70阻害と比較して、HSP90阻害に異なる反応を示した(表29)。PUH71はZ‐138に対して両方の組み合わせでBO‐1055と相乗的であったが、対照的に、TT46は同じ細胞系に対して両方の組み合わせで拮抗的であった。PUH71はGRANTAに対してどちらでも拮抗的であったが、一方TT46はGRANTAに対してcombo‐1では相乗的、combo‐2では拮抗的であった。どちらのHSP阻害剤もBO‐1055との両方の組み合わせでREC‐1に対して拮抗的であった。PUH71はMINOに対してBO‐1055とどちらの組み合わせでも相乗的であったが、TT46はこの細胞系に対してBO‐1055とcombo‐1でのみ相乗的で、combo‐2では拮抗的であった。PUH71とTT46の両方ともNECB1に対してcombo‐1ではBO‐1055と相乗的であり、combo‐2では拮抗的であった。
[表28]
マントル細胞リンパ腫細胞系のBO‐1055とドキソルビシンまたはベルケイド(ボルテゾミブ)併用治療の効果
IC50(μM)値は各単剤または薬物併用治療を参照。
相乗作用:CI<0.9、相加作用:0.90≦CI≦1.10、拮抗作用:CI>1.10
[表29]
BO‐1055とHSP90阻害剤PUH71またはHSP70阻害剤TT46でのマントル細胞リンパ腫細胞系の併用治療効果
IC50(μM)値は各単剤または薬物併用治療を参照。
相乗作用:CI<0.9、相加作用:0.90≦CI≦1.10、拮抗作用:CI≧1.10
(18) マントル細胞リンパ腫の異種移植モデルとBO‐1055による腫瘍抑制
Jako‐1マントル細胞リンパ腫細胞系がGFP/ルシフェラーゼで標識され、50万個の細胞が12週齢のNSGメスマウス10匹にそれぞれ静脈注射された。
IVISルシフェリンバイオイメージングが15日目に実施され、この時点で5匹のマウスにBO‐1055(30mg/kg)が1日おきに10日間静脈注射され、5匹のマウスが類似のスケジュールでプラセボ(培地)の投与を受けた。動物は図24に示す間隔でイメージングされた。
対照群は腫瘍移植後7週まで進行性腫瘍増殖を示した(この対照群の1匹は32日目までに死んだが、この死亡は腫瘍と無関係であったようである)。BO‐1055治療マウスは腫瘍増殖の顕著な抑制を示し、7週目(薬物治療終了の25日後)までに5匹のマウスのいずれにおいても肉眼で観察可能な腫瘍はなくなった。41日目から、治療群で高感度バイオイメージングにより腫瘍の漸進的再発が検出された(図24)。すべての対照マウスが腫瘍量のため7週目で安楽死された。BO‐1055治療マウスは研究が終了された75日目時点ですべて生存していた。
[実施例14C]
肉腫
2013/2014年世界では60000件の肉腫症例があり、米国では年間3020件の新規症例、1460件の死亡数が見積もられており、5年生存率は66.6%である。肉腫発症の生涯リスクは0.1%である。組織学的肉腫サブタイプは70以上ある。特定の肉腫の進行と予後はサブタイプと悪性度に依存する。2つの腫瘍な下位区分は骨肉腫(症例の20%)と軟部組織肉腫(症例の80%)である。
(1) 骨肉腫。
これは原始的間葉細胞から発生する進行の早い悪性腫瘍で、骨芽細胞分化と悪性類骨産生を示す。骨肉腫は小児患者における全悪性腫瘍の2.4%、全原発性骨がんの約20%を構成する。小児がんで8番目に多い形態であり、小児及び若年成人の原発性骨がの最も多い組織学的形態である。年間罹患者数が欧州と米国で約1000人しかいないまれな病態であり、年間約300人が死亡している。
(2) 滑膜肉腫。
この肉腫は通常若年成人に発生し、関節に近い腕または脚に発生することが最も多いが、関節自体を侵すことは稀である。最も発生しやすい部位は膝付近である。他の軟部組織肉腫と異なり、滑膜肉腫は往々にして痛みを伴う。治療には通常、放射線と化学療法、または切断術と化学療法の組み合わせによる根治的切除が含まれる。
(3) 横紋筋肉腫。
これら横紋筋または骨格筋のがん性腫瘍は軟部組織肉腫の最も多いタイプの1つであり、小児において診断される軟部組織肉腫の約半数を占める。腕または脚に最も多く発生するが、頭部または頚部、あるいは泌尿器または生殖器にも発生することがある。多形性肉腫、胞状肉腫、胎児性肉腫、ブドウ状肉腫など、いくつかの異なるタイプがある。
(4) 平滑筋肉腫及び子宮肉腫
これらの肉腫は平滑筋のがん性腫瘍である。(消化管及び子宮などの)器官で最も多く発生する。患者の平均年齢は60歳である。消化管で発生する腫瘍の61%が胃、29%が小腸、10%が結腸で発生する。消化管または子宮平滑筋肉腫の症状は多量の出血と痛みである。半数以上の患者で転移が起こる。転移は通常肺で発生するが、胃腸の腫瘍では往々にして肝臓に転移する。子宮平滑筋肉腫の治療は腹式子宮全摘出術である。
(5) 消化管間質腫瘍(GIST)として知られる胃腸肉腫。
GISTは胃及び腸のストローマで形成され、c‐Kit突然変異の活性化により特徴付けられる。Gleevec(登録商標)で治療される。
(6) カポジ肉腫。
カポジ肉腫はがん細胞が皮膚下組織または口腔、鼻腔、肛門の粘膜に見つかる疾患である。カポジ肉腫には3群の患者がいる。第1群には一般にユダヤ人、イタリア人、または地中海人種の高齢男性が含まれる。このタイプのカポジ肉腫は通常10〜15年にわたってゆっくりと進行する。患者の多くは下肢前面に青みがかった病変が形成され、通常複数の病変へと広がる。時間がたつと、この疾患は他の器官に広がることがある。カポジ肉腫の第2群は臓器移植を受けた患者に発生する。移植後の免疫抑制治療によって、患者の免疫系が弱められ、感染しやすくなる。カポジ肉腫の第3群はエイズ患者に見られる。この群は流行性カポジ肉腫と呼ばれる。HIVウイルスによって引き起こされる免疫系の機能低下によって、感染やカポジなどその他の疾病が身体を侵すことがある。エイズ患者におけるカポジ肉腫はより速く広がり、体の多くの部位で見つかる。放射線治療がカポジの通常の治療であるが、病変が器官に広がった場合は化学療法も往々にして用いられる。
(7) 脂肪肉腫。
これは最も多く診断される軟部組織腫瘍であり、報告される肉腫の最大カテゴリの1つである。これらの腫瘍は通常深部脂肪組織内に形成される。大腿部、膝の裏側、鼠径部、臀部領域または後腹膜に最も多く発生する。脂肪肉腫は通常悪性で、非がん性腫瘍である既存の脂肪種から生じることは稀である。30〜60歳の成人に最も多く見られ、女性より男性にやや多い。リンパ節への転移が約10%の症例で発生する。
(8) 軟骨肉腫。
これらの腫瘍は軟骨細胞から形成される。
(9) ユーイング肉腫(ES)。
ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)は主に青少年と若年成人に起こる骨または軟部組織の肉腫であり、発生ピークは10〜20歳の間である(Burchill 2008)。ESは遺伝子的にユーイング肉腫ブレークポイント領域1(EWSR1)遺伝子に関わる染色体転座により特徴付けられる。染色体22から染色体11へのEWSR1の転座が85%のES症例で起こり、融合タンパク質産物EWS‐FLI1が形成される(de Alava & Gerald 2000)。さらに、融合産物EWS‐ERGが10%の症例で見つかっている。EWSR1ブレークポイントは遺伝子転座のホットスポットのようであり、明細胞肉腫、骨外粘液様軟骨肉腫など他の肉腫サブタイプ内の他のC末端遺伝子に見境なく結合することができる。FLI1、ERG、及び他のETS遺伝子は、DNA結合ドメインを含み、EWS‐FLI1タンパク質がESへの悪性転換を調節する異常な転写因子として作用する。転移性ユーイング肉腫に罹患した患者の予後は不良で、全身療法の発展に関わらず、5年生存率は通常30%を超えない(Jiang et al.2015)。
(10) 平滑筋肉腫。
これらの腫瘍は腹部及び骨盤内臓器と血管内の平滑筋から発生する。28のヒト肉腫細胞系集団におけるBO‐1055の細胞毒性DNA架橋剤は小児肉腫の化学療法において重要な一部であり続けている。現在の研究において、発明者らはBO‐1055が生体外及び腫瘍異種移植モデルで多様な肉腫細胞系の細胞増殖に対する重大な細胞毒性を阻害することを発見した。発明者らはユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、線維形成性小細胞腫瘍(DSRCT)細胞系におけるBO‐1055媒介細胞毒性の効果を判定し、テモゾロミド、メルファラン、ドキソルビシンのそれと比較した。(表30)(Ambati et al.2014a,b)。
BO‐1055は9つのうち8つのユーイング細胞系に対して毒性が高く(IC50 0.14〜0.61μM)、9つのうち1つには中程度の毒性であった(IC50 1.04μM)。同様に、BO‐1055は5つ中4つの横紋筋肉腫細胞系に対して毒性が高い(IC50 0.08〜0.40μM)が、1つの細胞系(SMS‐CTR胎児型)に対しては耐性が高かった(IC50≧10.0μM)。2つの線維形成性小細胞腫瘍細胞系はBO‐1055に対する感受性が中程度(IC50 2.41〜3.74μM)であった。対照的に、5つのうち3つの骨肉腫細胞系はBO‐1055に対する耐性が高かった(IC50≧10.0〜≧100.0μM)。1つの細胞系は高感受性(IC50 0.45μM)で、1つは中程度の感受性(IC50 2.67μM)であった。
テモゾロマイド(TMZ)の毒性が9つの細胞系で判定され、そのうち、3つがユーイング肉腫で耐性が高く(IC50 245.0〜405.0μM)、6つのうち5つの横紋筋肉腫細胞系もそうであった(IC50 191.0〜>1,000.0μM)。RH30(肺胞型)横紋筋肉腫細胞系は、TMZに対して中程度の耐性(IC50 9.0μM)であったが、BO‐1055に対しては高感受性(IC50 0.24μM)であった。メルファランは試験された8つのユーイング及び横紋筋肉腫細胞系に対して細胞毒性が高かった(IC50 0.0001〜0.020μM)。
ドキソルビシンはスクリーニングされたすべての細胞系に対して、3つのユーイング肉腫を含め、細胞毒性が高かった(IC50 0.005〜0.38μM)。BO‐1055に対する耐性が高かった2つの骨肉腫細胞系はドキソルビシンに対して感受性が高く(IC50 0.025〜0.090μM)、試験された1つの横紋筋肉腫細胞系も同様であった(IC50 0.011μM)。結果によると、試験された肉腫細胞系の細胞増殖に対して、BO‐1055はTMZよりも細胞毒性が高いが、メルファラン及びドキソルビシンほど強力ではない。
[表30]
BO‐1055細胞毒性活性が4つの腫瘍サブタイプ:線維形成性小細胞腫瘍(DSRCT)n=2、ユーイングn=11、骨肉腫n=5、横紋筋肉腫n=9を代表する28のヒト肉腫細胞系集団で判定された。
1DSRCT=線維形成性小細胞腫瘍;2TMZ=テモゾロミド、2Melph=メルファラン、2Doxo=ドキソルビシン。3ND=未検出;4結合組織と軟部組織、線維芽の混合
(11) BO‐1055がA673ユーイング肉腫細胞とA204横紋筋肉腫細胞においてG2/M期での細胞周期停止を誘導する
A673ユーイング肉腫細胞系とA204横紋筋肉腫細胞系においてBO‐1055により誘導された細胞周期阻害とアポトーシスがフローサイトメトリーにより判定された(図25A)。図25Aは、示されたBO‐1055の濃度で12、24、48、72時間目に7‐AAD(生存試験用とアネキシンV‐APC(アポトーシ用)染色を使用したA673細胞系のフローサイトメトリー分析の結果を示している。結果によれば、BO‐1055が両方の細胞系において用量依存的かつ時間依存的にG2/M期で細胞周期停止を誘導したこが分かった。
図25BはBO‐1055治療後の異なる時間点におけるアポトーシス細胞と死細胞の割合を図示している。
図25CはA673細胞におけるBO‐1055治療48時間及び72時間後のカスパーゼ3/7活性を示す。
図25Dは異なる用量のBO‐1055が投与された12、24、48、72時間後の死亡A673細胞の割合を図示している。
図25Eは異なる用量のBO‐1055が投与された12、24、48、72時間後のアポトーシスA673細胞の割合を図示している。
(12) BO‐1055がメチルセルロース培養腫瘍スフィア形成アッセイでA673ユーイング肉腫を阻害
発明者らは腫瘍スフィア形成アッセイによりメチルセルロース培養におけるA673ユーイング肉腫の阻害を試験した(図26Aと図26B)。
図26Aは多様な濃度のBO-1055または4−ヒドロペルオキシシクロホスファミドでの治療後のメチルセルロース培養におけるA673ユーイング肉腫腫瘍スフィア形成の抑制を示す。1.00μMの4‐HCと<0.10μMのBO‐1055でスフィア形成の50%阻害が見られた。
図26Bはメチルセルロースにおける腫瘍スフィア形成を示す。結果によると、BO‐1055は陽性対照として用いられた4−ヒドロペルオキシシクロホスファミドより細胞毒性が高いことが示された。
(13) 異なる化学療法剤の併合におけるA673ユーイング肉腫細胞系に対する生体外BO‐1055の相乗的細胞毒性。
発明者らは、トポテカン、SN‐38、ドキソルビシン、PU‐H71など異なる化学療法剤とBO‐1055の併用を用いてA673ユーイング肉腫細胞系に対するBO‐1055の細胞傷害効果を評価した。
図27A〜Dに示すように、試験した異なる化学療法剤との併用により、A673ユーイング肉腫細胞系に対してBO‐1055は相乗的な細胞毒性があった。
具体的には、異なる濃度のBO‐1055と第2の薬物が96ウェルプレート内に格子形式で同時に適用され、アラマーブルー細胞増殖アッセイを使用して細胞毒性が定量化された。その後、各併用についてFa併用係数(CI)プロットと正規化されたアイソボログラムがCompusynソフトウェアで生成された。
図27AはBO‐1055とトポテカンの併用のアイソボログラムを示す。
図27BはBO‐1055とSN‐38の併用のアイソボログラムを示す。
図27CはBO‐1055とドキソルビシンの併用のアイソボログラムを示す。
図27DはBO‐1055とPU‐H71の併用のアイソボログラムを示す。
この併用は生体外のユーイング肉腫細胞に対する相乗作用を示している。
(14) BO‐1055はNSGマウスにおけるユーイング肉腫腫瘍異種移植片に対して強力な治療効果を示す。
ユーイング肉腫異種移植片を有するNSGマウスにおけるBO‐1055の治療効果が調べられた。図31A〜Eに示すように、BO‐1055はヌードマウスにおいて尾部静脈注射による用量30mg/kgの4回投与で腫瘍増殖の完全寛解を生じた。治療群における腫瘍の完全寛解が記録された。
約100mmのサイズのA673ユーイング肉腫異種移植片を有するNSGマウス(1群当たりn=5)に、BO‐1055が10mg/kg、20mg/kg、30mg/kgの用量で尾部静脈注射により5回投与された。結果を図28A〜Cに示す。
図28Aは週2回測定された腫瘍体積のプロットを示している。
図28Bにマウスにおけるカプランマイヤー生存率曲線図を示す。
図28Cは治療マウスの体重のプロットを示している。
A204横紋筋肉腫異種移植片を有するヌードマウス(1群当たりn=5)がBO‐1055で治療され、30mg/kgの用量で尾部静脈注射により1日おきに5回BO‐1055が投与された。結果を図28Dと図28Eに示す。
図28Dは腫瘍サイズのプロットを示している。
図28Eは治療マウスの体重のプロットを示している。
治療群で腫瘍の完全寛解が記録された。
(15) BO‐1055がNSGマウスにおいてユーイング肉腫異種移植片、シクロホスファミド耐性異種移植片を効果的に抑制した
NSGマウスの皮下に移植されたユーイング肉腫初代患者由来腫瘍試料のシクロホスファミド耐性異種移植片に対してBO‐1055が使用された。NSGマウスの腫瘍が100mmに達したとき、マウスは対照群と薬物治療群に無作為に分けられた。対照群のマウスにはPBSが注射され、薬物治療群のマウスにはMTD用量のシクロホスファミド(70mg/kg)が腹腔内注射で1日おきに3回投与された(図29の短いほうの矢印で示す)。シクロホスファミドで治療したマウスでは腫瘍増殖が抑制されなかった。腫瘍が≧500mmになったとき、BO‐1055での治療が30mg/kgの用量で開始され、静脈内注射により1日おきに4回投与された(長いほうの矢印で示す)。BO‐1055での治療を受けたシクロホスファミド難治性腫瘍の寛解が記録された。
結果を図29に示す。見て分かるように、BO‐1055はNSGマウスにおいて樹立された、再発したユーイング肉腫を有し、先行治療として2つのアルキル化剤で治療された患者からの、シクロホスファミド耐性種移植片(二代継代)を抑制した。
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Claims (8)

  1. 必要とする患者においてがんを治療する方法であって、前記方法が、前記患者にウレイドマスチン(ureidomustine)の治療有効量を投与する工程を含み、そのうち、前記がんが、白血病、リンパ腫、小細胞肺がん(SCLC)、膠芽細胞腫、肉腫で構成される群より選択されることを特徴とする、がんを治療する方法。
  2. 前記がんが白血病であることを特徴とする、請求項1に記載のがんを治療する方法。
  3. 前記がんがリンパ腫であることを特徴とする、請求項1に記載のがんを治療する方法。
  4. 前記がんが小細胞肺がんであることを特徴とする、請求項1に記載のがんを治療する方法。
  5. 前記がんが肉腫であることを特徴とする、請求項1に記載のがんを治療する方法。
  6. 前記方法が、非悪性組織に重篤な毒性をもたらすことなく、治療上に前記がん細胞数の有意な減少を達成するために有効であることを特徴とする、請求項1に記載のがんを治療する方法。
  7. 前記ウレイドマスチンが医薬組成物として調製されることを特徴とする、請求項1に記載のがんを治療する方法。
  8. さらに前記患者に別の抗がん活性薬剤を投与する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のがんを治療する方法。
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