本発明の以下の詳細な記載は、添付の図面と組み合わせて読むと、より良く理解される。図面は、本発明の特定の実施形態を示すために与えられる。しかし、本発明は、示されている正確な配置、例および手段に限定されない。開示を明確にするためであり、限定としてではなく、本発明の詳細な記載は、本発明の特定の特徴、実施形態または用途を記載するか、または示す項に分けられる。
本発明は、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤との組み合わせを用いて血液癌を治療する方法を提供する。薬物耐性細胞の集団によって、治療に対する不完全な奏効、または疾患の再発が起こる場合がある。本発明は、AML細胞において、いずれかの薬物が独立して誘導し得るレベルよりも大きなレベルのアポトーシスを誘導するように相乗的に機能するテロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤との組み合わせを提供する。本発明は、血液癌細胞におけるアポトーシスを誘導する方法であって、前記細胞と、治療に有効な量のテロメラーゼ阻害剤と治療に有効な量のBcl−2阻害剤とを接触させることとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。いくつかの実施形態では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199である。いくつかの実施形態では、血液癌は、AMLである。
特定の場合には、この組み合わせは、いずれかの構成要素単独と比較して、高められた阻害効果を与える。ある場合には、この組み合わせは、これらの構成要素の組み合わせた効果または相加効果と比較して、相加効果を超える(supraadditive)効果または相乗効
果を与える。
いくつかの実施形態では、本方法は、血液癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法である。本主題の方法は、細胞と治療に有効な量のテロメラーゼ阻害剤とを接触させることと、前記細胞と治療に有効な量のBcl−2阻害剤とを接触させることとを含んでいてもよい。特定の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。いくつかの実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットナトリウムである。いくつかの実施形態では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199である。細胞とテロメラーゼ阻害剤とを接触させることは、細胞とBcl−2阻害剤とを接触させる前、接触させている間、および/または接触させた後に行われてもよい。細胞と、テロメラーゼ阻害剤およびBcl−2阻害剤とを接触させることは、同時に行われてもよく、または逐次的に行われてもよい。
ある実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、テロメラーゼ阻害活性を有するオリゴヌクレオチドであり、特に、ともに本明細書に参考として組み込まれるWO 2005/023994号および/またはWO 2014/088785号に定義されるようなオリゴヌクレオチドである。
一般に、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤の様々な組み合わせを、逐次的に、または同時に利用し、使用してもよい。例えば、複数回投薬のために、この2種類の薬剤を、直接的に交互に投薬してもよく、または1つの薬剤の2回以上の用量を、他の薬剤の1回用量で置き換えてもよい。両方の薬剤の同時投与は、個々の薬剤の投薬と交互にしてもよく、または他の方法で散在させてもよい。ある場合には、投薬の間の時間は、治療開始から約1〜6時間から約6〜12時間まで、約12〜24時間まで、約1〜2日間まで、約1〜2種間まで、またはもっと長い期間であってもよい。一連の治療の間に、計画した投薬を完結する必要性は、再評価されてもよい。
「アポトーシス」との用語は、その付随する細胞形態の変化および細胞生存性の消失を伴う、プログラムされた細胞死のプロセスを指す。一実施形態では、アポトーシスを誘導する方法は、脊椎動物生物の新生物障害を治療する方法を提供する。
この方法の関連で、「誘導する」との用語は、直接的または間接的な因果関係を意味する。したがって、特定の状態の存在および/または維持によって、誘導される結果を引き起こすか、または導く。
本明細書で使用される場合、「約」との用語は、測定可能な値(例えば、量、一時的な継続期間など)に言及される場合、その明記された値から±20%〜±0.1%、好ましくは±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらになお好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味する。このような変動は、開示されている方法を行うのに適切であるためである。
全体で使用される場合、「AML」は、急性骨髄性白血病を指す。
A.治療
本明細書で使用される場合、当該技術分野で十分に理解されるように、「治療」は、臨床的結果を含め、有益な結果または所望の結果を得るための手法である。本発明の目的のために、有益な臨床結果または所望の臨床結果としては、限定されないが、検出可能であるか、または検出不可能であるかによらず、1つ以上の症状の軽減または緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の広がりの予防、疾患の進行を遅らせるか、またはゆっくりにすること、疾患状態の緩和または一時的に抑えること、および寛解(部分的または完全)が挙げられる。「治療」は、治療を受けていない場合に予想される生存と比較して、生存時間が延びることも意味し得る。
本開示は、テロメラーゼ阻害剤イメテルスタットナトリウムの投与と、Bcl−2阻害剤ABT−199の投与とを組み合わせることを含む、治療(血液癌、例えば、急性骨髄性白血病のための)を提供する。本主題の治療方法は、さらに効果的であり得、いずれかの薬物を単独で用いて観察される場合よりも、AML患者における治療に対する応答を大きくし得る。一実施形態では、本治療方法は、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを組み合わせて、血液癌の治療が必要な被験体に投与することを含む。別の実施形態では、血液癌は、AMLである。別の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。特定の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットナトリウムである。別の実施形態では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199である。
いくつかの実施形態では、被験体に投与されるテロメラーゼ阻害剤の用量は、そのテロメラーゼ阻害剤が単独で使用されるときに疾患を治療するのに十分な量である。特定の実施形態では、被験体に投与されるテロメラーゼ阻害剤の用量は、テロメラーゼ阻害剤が単独で使用されるときに疾患を治療するのに十分な量より少ない。一実施形態では、テロメラーゼ阻害剤の用量は、AMLと既に診断されている被験体の治療において、ABT−199と組み合わせて使用される場合、減らされる。いくつかの実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。いくつかの実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットナトリウムである。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるBcl−2阻害剤の用量は、Bcl−2阻害剤が単独で使用されるときに疾患を治療するのに十分な量である。特定の実施形態では、被験体に投与されるBcl−2阻害剤の用量は、Bcl−2阻害剤が単独で使用されるときに疾患を治療するのに十分な量より少ない。
いくつかの実施形態では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199である。別の実施形態では、Bcl−2阻害剤の用量は、AMLと既に診断されている被験体の治療において、イメテルスタットと組み合わせて使用される場合、減らされる。さらに別の実施形態では、そのイメテルスタットとABT−199の用量は、AMLと既に診断されている被験体の治療において組み合わせて使用する場合、両方とも減らされる。
別の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤を用いた治療の長さは、血液癌を有する被験体の治療において、Bcl−2阻害剤と組み合わせて使用される場合、短くされる。別の実施形態では、イメテルスタットを用いた治療の長さは、血液癌を有する被験体の治療において、ABT−199と組み合わせて使用される場合、短くされる。別の実施形態では、ABT−199を用いた治療の長さは、血液癌を有すると診断されている被験体の治療において、イメテルスタットと組み合わせて使用される場合、短くされる。別の実施形態では、イメテルスタットとABT−199を両方とも用いた治療の長さは、血液癌を有すると診断されている被験体の治療において、組み合わせて使用される場合、短くされる。いくつかの実施形態では、血液癌は、AMLである。
本明細書に記載される薬物の組み合わせは、両方の薬物を含む組成物として被験体に投与されてもよく、または別個に投与されてもよい。本明細書に記載される薬物の組み合わせは、合わせられた薬物組成物で、例えば、静脈内投与によって投与されてもよく、または別個に投与されてもよい。
B.血液癌
本発明の方法は、任意の簡便な血液悪性腫瘍の治療に使用することができる。血液悪性腫瘍は、血液を作る組織(例えば、骨髄)の細胞内で、または免疫系の細胞内で始まる癌の形態である。血液癌の例は、急性および慢性の白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫および骨髄異形成症候群である。ある場合には、血液悪性腫瘍は、血液癌と呼ばれる。骨髄増殖性新生物、すなわちMPNは、骨髄において、新生物性造血性骨髄前駆体細胞(progenitor cell)、例えば、赤血球、血小板および顆粒球の前駆細胞(precursor cell)から
生じる血液新生物である。新生物性前駆体細胞の増殖は、疾患に応じて、白血球、赤血球および/または血小板の任意の組み合わせの過剰産生を引き起こす。これらの過剰産生した細胞は、異常なものもあり、さらなる臨床的な合併症を引き起こすことがある。様々な種類の慢性骨髄増殖性障害が存在する。骨髄増殖性新生物には、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、慢性骨髄性白血病、骨髄線維症、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病および急性骨髄性白血病が含まれる。骨髄異形成症候群(MDS)は、血液および骨髄の癌を含む症状群である。MDSとしては、限定されないが、不応性貧血、過剰なブラストを伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症および慢性骨髄単球性白血病(CML)が挙げられる。
目的の血液癌としては、限定されないが、AML、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)が挙げられる。
本発明の特定の治療レジメンは、AMLの治療に特に適している。本発明の特定の実施形態では、治療が投与される被験体は、AMLを有している。AMLの中で、化学療法不応性AML、例えば、ダウノルビシンまたはイダルビシンと組み合わせてシタラビンを用いた治療に不応性のAMLを、本明細書に開示する方法を用いて、例えば、ABT−199と組み合わせてイメテルスタットを投与することによって治療することができる。治療に対するAMLの応答は、当該技術分野で知られている。AML応答評価の一例を表1に示す。
本明細書に記載される薬物の組み合わせは、血液癌(またはそのサブタイプを含む)を含め、ここに述べられている疾患または障害の任意の1つの治療に使用するのに適している。薬物は、同時に投与されてもよく、または逐次投与されてもよい。
本明細書に記載される薬物の組み合わせは、血液癌細胞においてアポトーシスを誘導する際に使用するのに適している。薬物は、同時に投与されてもよく、または逐次投与されてもよい。
本明細書に記載される組成物は、血液癌(またはそのサブタイプを含む)を含め、ここに述べられている疾患または障害の任意の1つの治療に使用するのに適していることも明らかである。
C.被験体
被験体は、癌の治療が必要な哺乳動物である。一般的に、被験体は、ヒト患者である。本発明のいくつかの実施形態では、被験体は、非ヒト哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、動物モデル(例えば、医薬のスクリーニング、特性決定、評価に使用されるマウスおよびラットなどの動物)および他の哺乳動物であってもよい。本明細書で使用される場合、患者、被験体および個体との用語は、相互に置き換え可能に使用される。
D.抗癌薬剤
以下の章は、本発明の様々な実施形態で使用される薬物を記述する。これらの薬物はよく知られているため、簡単な論考のみを与える。この章に引用される刊行物は、医師の利益のために薬物の態様を説明することを意図している。しかし、この章または本開示の他の箇所での特定の刊行物の引用は、用量、組み合わせ、適応症を含め、いかなる観点でも本発明を限定することを意図していない。
1.テロメラーゼ阻害剤
テロメラーゼ阻害剤の例としては、限定されないが、イメテルスタット、具体的にはイメテルスタットナトリウムが挙げられる。ある場合には、血液悪性腫瘍を治療するために、1種類または1種類より多いテロメラーゼ阻害剤(例えば、2種類または3種類のテロメラーゼ阻害剤)を哺乳動物に投与してもよい。
イメテルスタットナトリウムは、イメテルスタットのナトリウム塩であり、合成的に脂質がコンジュゲートした13マーのオリゴヌクレオチドN3’→P5’−チオ−ホスホロアミデートである。イメテルスタットナトリウムの化学名は、DNA,d(3’−アミノ−3’−デオキシ−P−チオ)(T−A−G−G−G−T−T−A−G−A−C−A−A),5’−[O−[2−ヒドロキシ−3−(ヘキサデカノイルアミノ)プロピル]ホスホロチオエート],ナトリウム塩(1:13)(配列番号1)である。イメテルスタットおよびイメテルスタットナトリウムは、いずれかの箇所に記載されるように生成され、製剤化され、または得られてもよい(Asaiら、Cancer Res.、63(14):3931−3939(2003)、Herbertら、Oncogene、24:5262−5268(2005)およびGryaznov、Chem.Biodivers.、7:477−493(2010))。
イメテルスタットおよびイメテルスタットナトリウムは、テロメラーゼのRNAテンプレートを標的とし、様々な癌細胞株およびマウスの腫瘍異種移植片におけるテロメラーゼ活性と細胞増殖を阻害することが示されている。乳癌、非小細胞肺癌および他の固形腫瘍、多発性骨髄腫、または慢性リンパ性白血病の患者が関わる第1相試験は、薬物の薬物動態および薬力学についての情報を与え、体重1kgあたり9.4mgを確立するのに役立った(2時間の静注として与えられる)。本態性血小板血症患者が関わるその後の第2相試験は、JAK2 V617FおよびCALR変異体対立遺伝子の負荷を有意に減らすことに付随して、血小板を少なくする活性を示した。イメテルスタットナトリウムは、通常、静脈内投与される。本発明の実施において、他の投与経路(例えば、くも膜下腔内投与、腫瘍内注射、経口投与およびその他)も使用可能であることが想定される。イメテルスタットナトリウムは、一般的に臨床で利用される用量に匹敵する用量で投与され得る。好ましい実施形態では、イメテルスタットナトリウムは、本明細書のいずれかの場所に記載されるように投与される。
特定の実施形態は、イメテルスタットがイメテルスタットナトリウムに限定される、他の実施形態のいずれか1つに係るものである。
2.Bcl−2阻害剤ABT−199
ABT−199(ベネトクラックス)は、血小板を温存するファーストインクラスの選択的な傾向BCL−2阻害剤を表わす(図1B)。ABT−199は、BCL−2に対するナノモル濃度未満のアフィニティ(Ki<0.010nM)を示し、in vitroでの非ホジキンリンパ腫(NHL)およびCLLに対する抗腫瘍活性を有している。in
vivoマウス異種移植試験は、中悪性度(Myc+)リンパ腫および急性白血病に対して活性を示した。R/R NHLにおけるABT−199の第Ia相治験は、200〜900mgの連続的な毎日の投薬を使用した。7日目に1回分の用量を投与し、その後、2〜3週間かけて段階的に漸増させていく導入期間があった。単一薬剤ABT−199も、高リスクR/R AML患者と、集中的な化学療法に不適合であった未治療患者において、第2相の非盲検多施設治験で試験された。この試験は、患者が1週目(Wk)の1日目に20mgのABT−199を摂取したとき、患者内の用量漸増が可能であった。毎日の漸増は、6日目およびその後毎日の800mgの最終用量を目的として実施された。第1の計画された評価で(Wk4終了時)、完全奏効(CR)、または完全な血液学的回復を伴うCR(CRi)がないこれらの患者は、1200mgまで漸増することが可能であった。リツキシマブと組み合わせたABT−199の推奨される第2相の用量は、毎日400mgである。
E.医薬組成物
また、本発明は、テロメラーゼ阻害剤(例えば、イメテルスタット、特に、イメテルスタットナトリウム)とBcl−2阻害剤(例えば、ABT−199)とを含む医薬組成物に関する。一実施形態では、医薬組成物は、イメテルスタット、特にイメテルスタットナトリウム(imetelstat sodium)と、ABT−199とを含む。一実施形態では、医薬組成物は、イメテルスタット、特にイメテルスタットナトリウム(imetelstat−sodium)と、ABT−199とを含む。本明細書に記載される薬物の組み合わせは、両方の薬物を含む組成物として被験体に投与されてもよい。
担体または希釈剤は、組成物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害ではないという観点で、「許容される」ものでなければならない。
投与を容易にするために、本明細書に記載される薬物の組み合わせは、投与目的のための様々な医薬形態に製剤化されてもよい。本明細書に記載される薬物の組み合わせは、投与目的のための様々な医薬形態に製剤化されてもよい。適切な組成物として、通常は全身投与する薬物のために使用される、引用された全ての組成物が存在していてもよい。
本発明の医薬組成物を調製するために、本明細書に記載する薬物の有効な量の組み合わせを、薬学的に許容される担体との密な混合物として合わせ、担体は、投与に望ましい製剤の形態に依存して、多種多様な形態をしていてもよい。これらの医薬組成物は、特に、経口、直腸、経皮、非経口注射または吸入に適した単位剤形であることが望ましい。ある場合には、投与は、静脈内注射によってでもよい。例えば、経口剤形の組成物を調製する際に、例えば、経口液体製剤(例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、エマルションおよび液剤)の場合には水、グリコール、油、アルコールなど;または散剤・粉剤(powder)、丸薬、カプセル剤および錠剤の場合には、固体担体、例えば、デンプン、糖類、カオリン、希釈剤、滑沢剤、バインダー、崩壊剤などの任意の通常の医薬媒体を使用してもよい。投与の容易さのため、錠剤およびカプセル剤は、固体医薬担体が明らかに使用される場合には、最も有利な経口単位剤形を表す。非経口組成物の場合、担体は、通常は、滅菌水を少なくとも大部分に含むが、他の成分(例えば、溶解度を補助するための成分)が含まれていてもよい。注射可能な液剤は、例えば、担体が食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含むように調製されてもよい。注射可能な液剤は、例えば、担体が食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含むように調製されてもよい。本明細書に記載する薬剤の組み合わせを含む注射可能な液剤は、長期間作用するために油中に製剤化されてもよい。この目的のための適切な油は、例えば、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、大豆油、長鎖脂肪酸の合成グリコールエステル、およびこれらの油と他の油の混合物である。注射可能な懸濁剤は、適切な液体担体、懸濁化剤などが使用され得る場合には調製されてもよい。使用のすぐ前に液体形態の製剤に変換されることを意図した固体形態の製剤も含まれる。皮下投与に適した組成物において、担体は、必要に応じて、浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を含み、必要に応じて、少量の任意の性質を有する適切な添加剤と合わされ、添加剤は、皮膚に対して顕著に有害な影響を与えない。この添加剤は、皮膚への投与を促進してもよく、および/または所望の組成物を調製するのに役立ってもよい。これらの組成物は、様々な様式で、例えば、経皮パッチとして、スポットオン型として、軟膏として投与されてもよい。
投与を容易にし、投薬の均一性を容易にするために、上述の医薬組成物を単位剤形で製剤化するのが特に有利である。本明細書で使用する単位剤形は、単一投薬に適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含んでいる。このような単位剤形の例は、錠剤(割線入りのまたは被覆された錠剤を含む)、カプセル剤、丸薬、パウダーパケット、カシェ剤(wafer)、坐剤、注射用液剤または懸濁剤など、およびそれらを分離した複数個(segregated multiples thereof)である。
医薬組成物において本明細書に記載される組み合わせ中の薬物の溶解度および/または安定性を高めるために、α−、β−またはγ−シクロデキストリンまたはその誘導体、特に、ヒドロキシアルキル置換されたシクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスルホブチル−β−シクロデキストリンを使用することが有利な場合がある。また、アルコールなどの共溶媒が、医薬組成物中の本発明による化合物の溶解度および/または安定性を高める場合がある。
投与態様に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、さらにより好ましくは0.1〜50重量%の薬物を、本明細書に記載した組み合わせで含み、1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%、さらにより好ましくは50〜99.9重量%の薬学的に許容される担体を含み、全てのパーセントは、組成物の合計重量を基準としたものである。
投与頻度は、哺乳動物に対して顕著な毒性を与えることなく、血液悪性腫瘍の症状の重篤度を減らす(例えば、骨髄線維症を減らすか、または逆行させる)任意の頻度であってもよい。例えば、投与頻度は、2ヶ月ごとに約1回から1週間に約1回、または1ヶ月に約1回から1ヶ月に約2回、または6週間ごとに約1回から1ヶ月に約2回であってもよい。投与頻度は、一定のままであってもよく、または治療持続期間中に変動してもよい。1種類以上のテロメラーゼ阻害剤を含む組成物を用いた一連の治療は、休薬期間を含んでいてもよい。例えば、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを含む組成物は、3週間の期間、毎週投与され、その後、2週間の休薬期間があってもよく、このようなレジメンが複数回繰り返されてもよい。有効な量を用いる場合、様々な因子が、特定の用途に使用される実際の投与頻度に影響を与えることがある。例えば、有効な量、治療の継続期間、複数の治療薬剤の使用、投与経路、血液悪性腫瘍の重篤度が、投与頻度を上げるか、または下げるのに必要な場合がある。
テロメラーゼ阻害剤(例えば、イメテルスタットまたはイメテルスタットナトリウム)とBcl−2阻害剤(例えば、ABT−199)とを含む組成物を投与するための有効継続期間は、哺乳動物に顕著な毒性を与えることなく、血液悪性腫瘍の症状の重篤度を減らす(例えば、骨髄線維症を減らすか、または逆行させる)任意の継続期間であってもよい。したがって、有効継続期間は、1ヶ月から数ヶ月または数年まで、さまざまであってよい(例えば、1ヶ月から2年まで、1ヶ月から1年まで、3ヶ月から2年まで、3ヶ月から10ヶ月まで、または3ヶ月から18ヶ月まで)。一般的に、血液悪性腫瘍を治療するための有効継続期間は、2ヶ月から20ヶ月までの継続期間の範囲であってもよい。ある場合には、有効継続期間は、個々の哺乳動物が生きている限りずっとであってもよい。特定の治療に使用される実際の有効継続期間に、複数の因子が影響を与えることがある。例えば、有効継続期間は、投与頻度、有効な量、複数の治療薬剤の使用、投与経路、血液悪性腫瘍の重篤度によって変動してもよい。
特定の場合には、血液悪性腫瘍に関連する1つ以上の症状の一連の治療と重篤度をモニタリングしてもよい。血液悪性腫瘍の症状の重篤度が下がっているか否かを決定するために、任意の方法を使用してもよい。例えば、血液悪性腫瘍(例えば、骨髄線維症)の症状の重篤度は、生検技術を用いて評価することができる。
「医薬的に許容される塩」との用語は、患者、例えば、哺乳動物への投与のために許容される塩を意味する(所与の投薬レジメンのための許容される哺乳動物安全性を有する対イオンを含む塩)。このような塩は、薬学的に許容される無機または有機の塩基と、薬学的に許容される無機または有機の酸とから誘導されてもよい。「医薬的に許容される塩」は、ある化合物の医薬的に許容される塩を指し、塩は、当該技術分野でよく知られている種々の有機および無機の対イオンから誘導され、単なる例として、ナトリウムなどが挙げられ、この分子が塩基官能基を含む場合、有機または無機の酸の塩(例えば塩酸塩など)。目的の医薬的に許容される塩としては、限定されないが、アルミニウム、アンモニウム、アルギニン、バリウム、ベンザチン、カルシウム、コリン酸、エチレンジアミン、リシン、リチウム、マグネシウム、メグルミン、プロカイン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、N−メチルグルカミン、N,N'−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロプロ
カイン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ピペラジン、亜鉛、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンおよびトリエタノールアミンの塩が挙げられる。
「その塩(複数可)」との用語は、酸のプロトンがカチオン(例えば、金属カチオンまたは有機カチオンなど)で置き換えられたときに作られる化合物を意味する。好ましくは、塩は、医薬的に許容される塩である。例として、本発明の化合物の塩は、該化合物が無機酸または有機酸によってプロトン化され、該塩のアニオン性成分としての該無機酸または有機酸の共役塩基により、カチオンを生成する塩が挙げられる。目的の塩としては、限定されないが、アルミニウム、アンモニウム、アルギニン、バリウム、ベンザチン、カルシウム、セシウム、コリン酸、エチレンジアミン、リチウム、マグネシウム、メグルミン、プロカイン、N−メチルグルカミン、ピペラジン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、亜鉛、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ピペラジン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンおよびトリエタノールアミンの塩が挙げられる。ヌクレオチド間結合の骨格を含む本明細書に示される任意のオリゴヌクレオチド構造について、このようなオリゴヌクレオチドは、任意の従来の塩形態を含んでいてもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、酸性形態のヌクレオチド間結合が、単純化のために示されている。ある場合には、本主題の化合物の塩は、一価カチオン塩である。特定の場合には、本主題の化合物の塩は、二価カチオン塩である。ある場合には、本主題の化合物の塩は、三価カチオン塩である。「溶媒和物」は、溶媒分子と、溶質の分子またはイオンとの組み合わせによって作られる複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物、またはこれら両方の混合物であってもよい。溶媒のいくつかの例としては、限定されないが、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドおよび水が挙げられる。溶媒が水である場合、生成する溶媒和物は、水和物である。
「立体異性体(stereoisomer)」および「立体異性体(stereoisomers)」は、同じ原
子結合を有するが、空間内の原子配置が異なる化合物を指す。立体異性体は、例えば、cis−trans異性体、EおよびZ異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマーを含む。1つ以上の置換基を含む本明細書に開示される基のいずれかのように、もちろん、このような基が、立体的に実施不可能おであり、および/または合成的に実施不可能な任意の置換または置換パターンを含まないことが理解される。全ての立体異性体が、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
当業者は、本明細書に記載する基の他の互変異性の配置が可能であることを理解するだろう。主題化合物の全ての互変異性体形態は、具体的に示されていない場合であっても、その化合物の基の1つの可能な互変異性体配置が記載される構造によって包含されると理解される。
主題となる化合物の立体異性体の互変異性体の医薬的に許容される塩の溶媒和物を含むことが意図されている。これらは、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
F.投与および投与レジメン
血液癌の治療の場合、テロメラーゼ阻害剤(例えば、イメテルスタットまたはイメテルスタットナトリウム)とBcl−2阻害剤(例えば、ABT−199、ABT−263およびABT−737)とを組み合わせて、治療を必要とする被験体に投与してもよい。この方法で治療可能な癌の例は、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)(急性骨髄球性白血病(acute myelocytic leukemia)とも呼ばれる)、急性骨髄性白血病、急性顆粒球性白血病または急性非リンパ性白血病である。急性白血病において、白血病細胞は、急速に成長と分裂を行う未成熟な血液細胞(ブラストと呼ばれる)である。治療を行わないと、急性白血病患者の大部分は、わずか数ヶ月しか生存できないだろう。
本発明で使用されるテロメラーゼ阻害剤およびBcl−2阻害剤は、治療に有効な任意の用量(例えば、一般的に臨床的に使用される用量に匹敵する用量)で投与されてもよい。既知の承認されている抗癌剤の具体的な投薬レジメン(例えば、推奨されている有効な用量)は、医師には知られてり、例えば、PHYSICIANS’ DESK REFERENCE、2003、57th Ed.、Medical Economics Company、Inc.、Oradell、N.J.;Goodman & Gilman’s THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS" 2001、10th Edition、McGraw−Hill、New
Yorkに見出される製品の記載から与えられるか、および/またはFederal Drug Administrationから入手可能であるか、および/または医薬文献に記載されている。
ある態様では、被験体に投与されるテロメラーゼ阻害剤イメテルスタットナトリウムの用量は、約1.0mg/kg〜約13.0mg/kgである。別の態様では、テロメラーゼ阻害剤の用量は、約6.5mg/kg〜約11.7mg/kgである。いくつかの実施形態では、テロメラーゼ阻害剤の用量は、約6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7mg/kg、7.1mg/kg、7.2mg/kg、7.3mg/kg、7.4mg/kg、7.5mg/kg、7.6mg/kg、7.7mg/kg、7.8mg/kg、7.9mg/kg、8mg/kg、8.1mg/kg、8.2mg/kg、8.3mg/kg、8.4mg/kg、8.5mg/kg、8.6mg/kg、8.7mg/kg、8.8mg/kg、8.9mg/kg、9mg/kg、9.1mg/kg、9.2mg/kg、9.3mg/kg、9.4mg/kg、9.5mg/kg、9.6mg/kg、9.7mg/kg、9.8mg/kg、9.9mg/kg、10mg/kg、10.1mg/kg、10.2mg/kg、10.3mg/kg、10.4mg/kg、10.5mg/kg、10.6mg/kg、10.7mg/kg、10.8mg/kg、10.9mg/kg、11mg/kg、11.1mg/kg、11.2mg/kg、11.3mg/kg、11.4mg/kg、11.5mg/kg、11.6mg/kg、11.7mg/kg、11.8mg/kg、11.9mg/kg、12mg/kg、12.1mg/kg、12.2mg/kg、12.3mg/kg、12.4mg/kg、12.5mg/kg、12.6mg/kg、12.7mg/kg、12.8mg/kg、12.9mg/kgまたは13mg/kgのうち少なくともいずれかを含む。
いくつかの実施形態では、個体に投与されるテロメラーゼ阻害剤の有効な量は、約1mg/kg、2.5mg/kg、3.5mg/kg、5mg/kg、6.5mg/kg、7.5mg/kg、9.4mg/kg、10mg/kg、15mg/kgまたは20mg/kgのうち少なくともいずれかを含む。様々な実施形態では、個体に投与されるテロメラーゼ阻害剤の有効な量は、約350mg/kg、300mg/kg、250mg/kg、200mg/kg、150mg/kg、100mg/kg、50mg/kg、30mg/kg、25mg/kg、20mg/kg、10mg/kg、7.5mg/kg、6.5mg/kg、5mg/kg、3.5mg/kg、2.5mg/kg、1mg/kg、または0.5mg/kgのいずれかより少ないテロメラーゼ阻害剤を含む。
医薬組成物(例えば、テロメラーゼ阻害剤を含む医薬組成物、および/またはBcl−2阻害剤を含む医薬組成物)の例示的な投薬頻度としては、限定されないが、毎日;1日おき;週に2回;週に3回;中断なく毎週;4週間のうち3週間は毎週;3週間ごとに1回;2週間ごとに1回;3週間のうち2週間は毎週を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、おおよそ、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、6週間ごとに1回、または8週間ごとに1回投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、おおよそ、少なくとも、1週間に1回、2回、3回、4回、5回、6回または7回(すなわち、毎日)、または毎日3回、毎日2回投与される。いくつかの実施形態では、各投与間の間隔は、おおよそ、6ヶ月、3ヶ月、1ヶ月、20日間、15日間、12日間、10日間、9日間、8日間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日間または1日のいずれかより短い。いくつかの実施形態では、各投与間の間隔は、約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、8ヶ月または12ヶ月のいずれかより長い。いくつかの実施形態では、投与計画の中に中断はない。いくつかの実施形態では、各投与間の間隔は、約1週間を超えない。
テロメラーゼ阻害剤、例えば、イメテルスタットまたはイメテルスタットナトリウムは、任意の適切な方法を用いて投与されてもよい。例えば、テロメラーゼ阻害剤、例えば、イメテルスタットまたはイメテルスタットナトリウムは、ある期間にわたって(例えば、1時間、2時間、3時間、4時間または5時間)、4週間ごとに1回、静脈内投与されてもよい。一実施形態では、イメテルスタットは、週に1回、約2時間の期間に7〜10mg/kgが静脈内投与される。別の実施形態では、イメテルスタットは、3週間ごとに1回、約2時間の期間に2.5〜7mg/kgが静脈内投与される。さらに別の実施形態では、イメテルスタットは、4週間ごとに1回、約2時間の期間に0.5〜5mg/kgが静脈内投与される。別の実施形態では、イメテルスタットは、3週間ごとに1回、約2時間の期間に2.5〜10mg/kgが静脈内投与される。さらに別の実施形態では、イメテルスタットは、4週間ごとに1回、約2時間の期間に0.5〜9.4mg/kgが静脈内投与される。
このような場合に、Bcl−2阻害剤であるABT−199を用いて治療するとき、ABT−199の用量は、約400mg PO qDayまたはそれより少なくてもよい。例えば、血液悪性腫瘍を有すると特定されたヒトは、(a)20mg PO qday、(b)50mg PO qDay、(c)100mg PO qDay、(d)200mg PO qDay、または(e)400 mg PO qDayの用量のABT−199で治療されてもよい。別の実施形態では、ABT−199は、5週間にわたって、推奨される1日用量400mgまで毎週漸増していく計画に従い、1週目は20mg PO qDayで開始し、2週目は50mg PO qDay、3週目は100mg PO qDay、4週目は200mg PO qDay、および5週目とそれから先は400mg
PO qDayを投与する。別の実施形態では、ABT−199は、400mg PO
qDayで投与する。別の実施形態では、投薬は、疾患が進行するか、または受け入れられない毒性が出るまで続けられる。
癌治療は、時に、薬物投与の複数「回」または「サイクル」を含み、各サイクルが、特定の計画にしたがった1回以上の薬物投与を含むことが理解されるだろう(例えば、3週間ごとに連続した3日間、1週間に1回など)。例えば、抗癌薬物は、1〜8サイクル、またはさらに長い期間投与されてもよい。1種類より多い薬物(例えば、2種類の薬物)が被験体に投与される場合、それぞれは、それ自体の計画に従って投与されてもよい(例えば、毎週、3週間ごとに1回など)。薬物投与は、異なる周期で投与された場合であっても、両方の薬物が、少なくともいくつかの時間で同じ日に投与されるように調整することができ、または、あるいは薬物が、少なくともいくつかの時間で連続した日に投与されるように調整することができることは明らかである。
テロメラーゼ阻害剤(例えば、イメテルスタットまたはイメテルスタットナトリウム)とBcl−2阻害剤(例えば、ABT−199またはVeneteclax)が組み合わせて投与される治療レジメンでは、これらは任意の順序で投与されてもよい。特定の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、Bcl−2阻害剤の投与の1日前、1日後、または同じ日に投与される。医師によって決定されるように、他の計画を使用してもよいことが理解される。
当該技術分野で理解されるように、癌治療薬を用いた治療は、毒性が観察されたときに、患者の簡便さのために、本発明の範囲から逸脱することなく一時的に中断され、その後再開されてもよい。
G.組み合わせの投与
薬物が、同じ一連の治療の一部として投与される場合、2種類または3種類の薬物を被験体に「組み合わせて」投与する。一連の治療は、相加的に、相補的に、相乗的に、または他の様式で単一薬物の投与について予想されるよりも望ましい結果を与えるような、医学専門家が一緒に作用すると考える薬物の組み合わせの投与を指す。一連の治療は、1日または数日間であってもよいが、もっと多くは、数週間続く。
したがって、組み合わせた投与の例は、1日目から開始し、イメテルスタットを28日間ごとに1回、1〜4サイクル投与し、ABT−199を、1日目から開始し、7日間ごとに1回、4サイクル投与することである。ある実施形態では、ABT−199の投与は、1日目、−1日目、または2日目、またはそのサイクル内の別の日に開始する。ある実施形態では、組み合わせた投与の例は、1日目から開始し、イメテルスタットを28日間ごとに1回、1〜4サイクル投与し、ABT−199を、1日目から開始して28日間毎日1回、1〜4サイクル投与することである。
2種類の薬物が組み合わせて投与される場合、種々の計画が使用可能である。ある場合には、例えば、限定されないが、まず、薬物1が、薬物2の投与前に投与され、薬物1を用いた治療が、薬物2投与の経過の間ずっと続けられる。または、薬物2の治療を開始した後、または終了した後に薬物1が投与される。または、まず、他の癌治療の開始と同時期に、薬物1が、投与される。この状況で使用される場合、「同時期に」は、この2種類の薬物が同じ日に投与されるか、または連続した日に投与されることを意味する。
原則として、特定の薬物を一緒に製剤化してもよいが、一般的に、特定の薬物は、別個の組成物で投与する。同様に、特定の薬物は、同時に投与されてもよいが、さらに多くは(特に、注入によって投与される薬物の場合)、薬物は、同じ日の異なる時間、または連続した日に、または別の計画に従って投与される。
本発明は、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを含む組み合わせにも関する。特に、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。特に、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットナトリウムであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。
本発明は、医薬として使用するためのテロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを含む組み合わせにも関する。特に、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。特に、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットナトリウムであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。
H.診断
AMLの診断のために、May−Gruenwald−GiemsaまたはWright−Giemsa染色を用い、血液および骨髄の塗抹は、形態学的に試験される。血液塗抹標本に少なくとも200個の白血球、骨髄の塗抹に500個の有核細胞が計測されることが推奨され、後者は、スピクラを含むことが推奨される。AMLの診断のために、t(15;17)、t(8;21)、inv(16)またはt(16;16)を有するAMLおよび赤白血病の一部の症例を除き、骨髄または血液ブラストの計測数が20%以上であることが必要である。骨髄芽球、単芽球および巨核芽球がブラスト計測数に含まれる。単球性または骨髄単球性の分化を伴うAMLでは、単芽球および前単球が、異常な単球というわけではないが、ブラスト等価物として計測される。赤芽球は、稀な純粋な赤白血病の場合を除き、ブラストとして計測されない。
I.キット
本発明は、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを含むキットにも関する。血液癌を治療する際に使用するためのテロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを含むキットも提供される。このような治療は、ある場合には、テロメラーゼ阻害剤を投与する前、投与した後、または投与と同時に、Bcl−2阻害剤を被験体に投与することを含む。ある場合には、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。
関連する態様では、本発明は、被験体において癌細胞の増殖を阻害するのに有効な量の用量のテロメラーゼ阻害剤を含むキットを提供する。キットは、ある場合には、テロメラーゼ阻害剤の投与のための指示を含む添付文書を含む。添付文書は、Bcl−2阻害剤と組み合わせて上記阻害剤を使用するための1セットの指示をユーザに与えてもよい。ある場合には、Bcl−2阻害剤は、ABT−199である。
ある場合には、併用療法のための指示のセットは、(i)Bcl−2阻害剤と組み合わせて使用される場合、少ない用量のテロメラーゼ阻害剤、(ii)テロメラーゼ阻害剤と組み合わせて使用される場合、少ない用量のBcl−2阻害剤、および/または(iii)片方または両方の阻害剤について通常推奨されるものとは異なる投薬レジメンが推奨されてもよい。
この段落において、上のいくつかの場合には、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットであり、ある場合には、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットナトリウムであり、ある場合には、Bcl−2阻害剤はABT−199であることが明らかである。
J.例示的な実施形態
本発明の例示的な一実施形態は、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを組み合わせて、血液癌の治療が必要な被験体に投与することを含む治療方法である。特定の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。代替の実施形態では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199、ABT−263またはABT−737である。さらに別の実施形態では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199である。一実施形態では、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。
血液癌は、AML、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)であってもよい。一実施形態では、血液癌は、AMLである。
特定の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤イメテルスタットは、1、2、3、4、5、6、7、8、または8より多い投薬サイクルで投与され、各サイクルが、(a)約7〜10mg/kgのそのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与;(b)約7〜10mg/kgのイメテルスタットを、毎週1回を4週間静脈内投与;(c)約2.5〜7mg/kgのイメテルスタットを3週間ごとに1回静脈内投与;または(d)約0.5〜9.4mg/kgのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与を含む。イメテルスタットは、イメテルスタットナトリウムであってもよい。
特定の実施形態では、ABT−199は、(a)毎日、約50〜400mgのABT−199の用量で;(b)1日目に約2mgのABT−199の用量で、その後6日目に約800mgの最終用量になるまで毎日増量し、6日目以降は毎日その最終用量で;または(c)1日目に25mgのABT−199の用量で、その後5日目に約400mgの最終用量になるまで毎日増量し、5日目以降は毎日その最終用量で投与する。ABT−199の投与は、テロメラーゼ阻害剤の投与の1日前、1日後、または同じ日であってもよい。
本発明の別の実施形態は、血液癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法であって、前記細胞と治療に有効な量のテロメラーゼ阻害剤とを接触させることと、前記細胞と治療に有効な量のBcl−2阻害剤とを接触させることとを含む、方法である。本方法は、in vitroまたはin vivoで行われてもよい。一実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。別の実施形態では、イメテルスタットは、イメテルスタットナトリウムである。この方法では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199である。特定の実施形態では、血液癌細胞は、急性骨髄性白血病(AML)、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)の種類の癌に由来する細胞であってもよい。一実施形態では、血液癌細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。
本発明は、併用療法のためのキットも提供する。したがって、本発明の一実施形態は、キットであって、(a)投与されると、血液癌細胞においてアポトーシスを誘導するのに有効な量の用量のテロメラーゼ阻害剤と、(b)投与されると、血液癌細胞においてアポトーシスを誘導するのに有効な量の用量のBcl−2阻害剤とを含む、キットである。このキットの一実施形態では、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。
本発明の一実施形態は、血液癌の治療に使用するためのテロメラーゼ阻害剤(例えばイメテルスタット/イメテルスタットナトリウム)とBCL−2阻害剤(例えばABT−199)とを含む医薬組成物である。一実施形態では、医薬組成物は、イメテルスタット/イメテルスタットナトリウムとABT−199とを含む。
本発明の別の実施形態は、血液癌を治療する方法において使用するためのテロメラーゼ阻害剤であって、この方法が、治療を必要とする被験体に、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを組み合わせて投与することを含む、テロメラーゼ阻害剤である。本発明のさらに別の実施形態は、血液癌を治療する方法において使用するためのBcl−2阻害剤であって、この方法が、治療を必要とする被験体に、Bcl−2阻害剤とテロメラーゼ阻害剤とを組み合わせて投与することを含む、Bcl−2阻害剤である。本発明の代替の実施形態は、血液癌を治療する方法において使用するためのテロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤との組み合わせであって、この方法が、治療を必要とする被験体に、この組み合わせを投与することを含む、組み合わせである。これらの実施形態では、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤の組み合わせは、血液癌細胞のアポトーシスを誘導する。これらの実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットであってもよい。一実施形態では、イメテルスタットは、イメテルスタットナトリウムである。また、これらの実施形態では、Bcl−2阻害剤は、ABT−199であってもよい。イメテルスタットは、1、2、3、4、5、6、7、8、または8より多い投薬サイクルで投与するためのものであってもよく、各サイクルが、(a)約7〜10mg/kgのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与;(b)約7〜10mg/kgのイメテルスタットを、毎週1回を約4週間静脈内投与;または(c)約2.5〜7mg/kgのイメテルスタットを3週間ごとに1回静脈内投与;または(d)約0.5〜9.4mg/kgのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与を含む。ABT−199は、(a)毎日、約50〜400mgのABT−199の用量で;(b)1日目に約2mgのABT−199の用量で、その後6日目に約800mgの最終用量になるまで毎日増量し、6日目以降は毎日その最終用量で;または(c)1日目に約25mgのABT−199の用量で、その後5日目に400mgの最終用量になるまで毎日増量し、5日目以降は毎日その最終用量で投与するためのものであってもよい。特定の実施形態では、ABT−199の投与は、テロメラーゼ阻害剤の投与の1日前、1日後、または同じ日である。
テロメラーゼ阻害剤、Bcl−2阻害剤、または組み合わせの複数の実施形態では、血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)であってもよい。一実施形態では、血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)である。
本発明の代替の実施形態は、血液癌細胞におけるアポトーシスを誘導するin vitro方法であって、前記細胞と治療に有効な量のテロメラーゼ阻害剤とを接触させることと、前記細胞と治療に有効な量のBcl−2阻害剤とを接触させることとを含む、方法である。一実施形態では、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットである。イメテルスタットは、イメテルスタットナトリウムであってもよい。Bcl−2阻害剤は、ABT−199であってもよい。
このin vitro方法の特定の実施形態では、血液癌細胞は、急性骨髄性白血病(AML)、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)の種類の癌に由来する細胞である。このin vitro方法の一実施形態では、血液癌細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。
本発明のさらに別の実施形態は、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを含む組み合わせである。一実施形態では、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。別の実施形態では、テロメラーゼ阻害剤はイメテルスタットナトリウムであり、Bcl−2阻害剤はABT−199である。この組み合わせは、医薬として使用するためのものであってもよい。
本発明の別の実施形態は、BCL阻害治療を受けている患者において血液癌を治療するためのイメテルスタットまたはイメテルスタットナトリウムの使用である。代替の実施形態は、テロメラーゼ阻害治療を受けている患者において、血液癌を治療するためのABT−199の使用である。本発明のさらに別の実施形態は、急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法で使用するためのイメテルスタットナトリウムであって、この方法が、イメテルスタットナトリウムとABT−199とを組み合わせて、治療を必要とする被験体に投与することを含む、イメテルスタットナトリウムである。さらなる実施形態は、急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法で使用するためのABT−199であって、この方法が、ABT−199とイメテルスタットナトリウムとを組み合わせて、治療を必要とする被験体に投与することを含む、ABT−199である。さらなる実施形態は、急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法で使用するためのイメテルスタットナトリウムとABT−199とを含む組み合わせであって、この方法が、この組み合わせを、治療を必要とする被験体に投与することを含む、組み合わせである。適用可能な場合、これらの実施形態では、イメテルスタットナトリウムは、1、2、3、4、5、6、7、8、または8より多い投薬サイクルの投与のためのものであり、各サイクルが、(a)約7〜10mg/kgのイメテルスタットナトリウムを4週間ごとに1回静脈内投与;(b)約7〜10mg/kgのイメテルスタットナトリウムを、毎週1回を4週間静脈内投与;または(c)約2.5〜7mg/kgのイメテルスタットナトリウムを3週間ごとに1回静脈内投与;または(d)約0.5〜9.4mg/kgのイメテルスタットナトリウムを4週間ごとに1回静脈内投与を含む。
さらに、これらの実施形態では、ABT−199は、(a)毎日、約50〜400mgのABT−199;(b)1日目に約2mgのABT−199の用量で、その後6日目に800mgの最終用量になるまで毎日増量し、6日目以降は毎日その最終用量で;または(c)1日目に約25mgのABT−199の用量で、その後5日目に400mgの最終用量になるまで毎日増量し、5日目以降は毎日その最終用量で投与するためのものであってもよい。これらの特定の実施形態では、ABT−199の投与は、イメテルスタットナトリウムの投与の1日前、1日後、または同じ日である。
本発明のさらに別の実施形態は、急性骨髄性白血病(AML)細胞におけるアポトーシスを誘導するin vitroでの方法であって、前記細胞と治療に有効な量のイメテルスタットナトリウムとを接触させることと、前記細胞と治療に有効な量のABT−199を接触させることとを含む、方法である。
上述の実施形態の全てにおいて、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットであってもよく、Bcl−2阻害剤は、ABT−199であってもよい。さらに特定的には、上述の実施形態の全てにおいて、テロメラーゼ阻害剤は、イメテルスタットナトリウムであってもよく、Bcl−2阻害剤は、ABT−199であってもよい。
本発明をさらに説明するが、以下の実施例によって限定されない。
実施例1:テロメラーゼ阻害剤イメテルスタットナトリウムをBCL−2阻害剤ベネトクラックスと組み合わせると、in vitroで、AML細胞株においてアポトーシスが高まる。
AML腫瘍細胞KG−1(ATCC番号CCL−246)およびMOLM−13(DSMZ番号ACC554)を、10%ウシ胎児血清(ThermoFisherカタログ番号16140−089)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質カクテル(ThermoFisherカタログ15140−122)を補充したRPMI−1640(ThermoFisherカタログ番号11875−085)中、約20,000細胞/ウェルの密度で96ウェルポリスチレンU底組織培養プレート(Corningカタログ番号353777)に蒔き、加湿した5%CO
2雰囲気下、37℃のインキュベータ内で成長させた。10%ウシ胎児血清を補充したRPMI−1640中で調製したイメテルスタットナトリウム(Janssen Biotech、Inc.)および/またはDMSO中1000倍ストックとして調製し、リン酸緩衝食塩水(PBS、ビヒクル;ThermoFisherカタログ番号20012−027)で1:100に希釈したABT−199(Selleckchemカタログ番号S8048)を用い、細胞をすぐに処理した。96時間の実験で、ABT−199およびイメテルスタットナトリウムが、両方とも48時間未満のin−vitro半減期を有しているため、第2の用量の化合物を、新しい培地を加えることなく、48時間に適用した(Shammas et al、Leukemia、22(7):1410−1418(2008))。イメテルスタットナトリウムを0〜50μΜで試験し、ABT−199を0〜500nMで試験した。表2に示されるコントロール非相補性オリゴヌクレオチドおよびミスマッチオリゴヌクレオチド(US
7,998,938号)は、効果がイメテルスタットナトリウムとABT−199の組み合わせに特異的であることを示すために、イメテルスタットナトリウムと同一の濃度で使用した。
48時間および96時間に、アネキシンV(内部細胞膜染色)とヨウ化プロピジウム(PI、DNAに結合する染料)フローサイトメトリーアッセイキット(BioLegendカタログ640914)を用い、健康な集団、初期アポトーシス集団およびアポトーシス集団について、細胞を測定した。アネキシンVは、緑色蛍光FITC染料にコンジュゲートした組換えアネキシンVを用いたアポトーシス細胞おけるホスファチジルセリンの外在化を検出しヨウ化プロピジウム(PI)を用いて死細胞を検出する。ヨウ化プロピジウムは、壊死細胞を赤色蛍光で染色する。両プローブを用いた処理の後、初期アポトーシス細胞は、緑色蛍光を示し、アポトーシス(死)細胞は、赤色と緑色の蛍光を示し、生細胞は、蛍光をほとんど示さないか、または全く示さない。簡単に言うと、細胞をペレット化し、PBSで2回洗浄した後、製造業者の示唆したプロトコルに従って、抗アネキシンV−FITCおよびヨウ化プロピジウムを比率1:2で含むアネキシンV結合バッファーに懸濁させた。細胞を暗所中、4℃で30分間染色し、その後、PBSで3回洗浄し、FACs Stain Buffer(BDカタログ554657)に懸濁した後、順方向の散乱、横方向の散乱、FITCおよびPEチャンネルについて、BD FACs Cantoフローサイトメーターで調べた。細胞集団を、Cytobankソフトウェアを用いて分析し、未治療の(イメテルスタットナトリウムまたはABT−199なし)条件と比較し、生細胞(いずれかのチャンネルで染色されない、すなわち、二重陰性集団)のゲーティングの境界を確立した。全ての実験について、フローサイトメトリーデータのドットプロットは、左下象限に生細胞の割合、左上象限に初期アポトーシス細胞(アネキシンV+/PI−)の割合、右上象限にアポトーシス(死)細胞(二重標識されたアネキシンV+/PI+)の割合を有する四象限(four quadrants)を示す。アポトーシス細胞(二
重標識されたもの)の割合を使用し、Highest Single Agent(HSA)とBliss相加モデルを両方とも使用する組み合わせ効果を計算した(J Tang et al.Frontiers in Pharmacology.2015;6(181))。
HSAモデルを用い、組み合わせにおけるそれぞれの用量について、組み合わせた状態(「C」)の細胞毒性効果を、それぞれの単一薬剤コントロール(「A」または「B」)によって生じる効果と比較した。
HSAを上回る過剰=C−A(A>Bの場合)またはC−B(A<Bの場合)。
Blissモデルは、同様の比較を行うが、単一薬剤の最大効果の代わりに、Blissモデルは、それぞれの単一薬剤の合計に等しい値の組み合わせから、その積を引き算する。
Blissを上回る過剰=C−[(A+B)−(A*B)]。
これらのモデルは、ある組み合わせにおける相加性または弱い相乗性を示すことができる。
AML細胞株治療の結果
イメテルスタットナトリウムおよび/またはABT−199を用いて48時間治療した後のKG−1細胞のフローサイトメトリーデータのドットプロットを図1Aに示し、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞(二重標識)%のグラフを図1Bに示す。KG−1は、48時間後にABT−199に対して低い感受性を示し(それぞれ100nMおよび500nMで約9%および約14%)、イメテルスタットナトリウムに対して最小限の感受性を示す。しかし、50μΜのイメテルスタットナトリウムの治療を、100nMまたは500nMのABT−199と組み合わせると、細胞死に対するさらに大きな効果が、観察される(100nMで約27%、500nMで約50%)。表3および表4は、KG−1細胞を48時間治療した場合のHSAモデルまたはBLISSモデルを用いた組み合わせ効果の計算結果を示す。負の値は、これらのモデルでは拮抗作用を示しているのではなく、単に相互作用がないことを示している。
イメテルスタットナトリウムおよび/またはABT−199を用いて96時間治療した後のKG−1細胞のフローサイトメトリーデータのドットプロットを図2Aに示し、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞(二重標識)%のグラフを図2Bに示す。KG−1は、96時間後にABT−199に対して低い感受性を示し(それぞれ100nMおよび500nMで約6%および約10%)、イメテルスタットナトリウムへのある程度の感受性も観察される(それぞれ10μΜ、20μΜおよび50μΜで5%、9%および16%)。しかし、25μΜまたは50μΜのイメテルスタットナトリウムの治療を、20〜500nMのABT−199と組み合わせると、細胞死に対するさらに大きな効果が、全ての濃度で観察される。表5および表6は、KG−1細胞を96時間治療した場合のHSAモデルまたはBLISSモデルを用いた組み合わせ効果の計算結果を示す。
ミスマッチオリゴヌクレオチドまたは非相補性オリゴヌクレオチドとABT−199とを用いて48時間(図3A)または96時間(図4A)治療した後の、KG−1細胞についてのフローサイトメトリーデータのドットプロットを示す。様々なオリゴヌクレオチド濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞(二重標識)%のグラフを48時間(図3B)または96時間(図4B)について示す。highest single−agentモデルを上回る過剰(表7および表8)およびBlissモデルを上回る過剰(表9および表10)は、オリゴヌクレオチドコントロールを用いてもなんの効果もないことを確認する。負の値は、これらのモデルでは拮抗作用を示しているのではなく、単に相互作用がないことを示している。
イメテルスタットナトリウムおよび/またはABT−199を用いて48時間治療した後のMOLM−13細胞のフローサイトメトリーデータのドットプロットを図5Aに示し、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞(二重標識)%のグラフを図5Bに示す。MOLM−13は、48時間後にABT−199に対してある程度の感受性を示し(それぞれ100nMおよび500nMで約19%および約30%)、イメテルスタットナトリウムに対してある程度の感受性を示す(50μΜで21.5%)。しかし、25μΜのイメテルスタットナトリウムをABT−199と組み合わせると、細胞死に対してさらに大きな効果が観察された(それぞれ100nMおよび500nMで約32%および約72%)。細胞死に対する最も大きな効果は、100nM(62%)および500nM(88%)のABT−199と組み合わせた50μΜのイメテルスタットナトリウムを用いて観察された。驚くべきことに、50μΜのイメテルスタットナトリウムと組み合わせると、ABT−199は、5nMおよび20nMの低い濃度で細胞死滅化に対する効果が観察された。表11および表12は、MOLM−13細胞を48時間治療した場合のHSAモデルまたはBLISSモデルを用いた組み合わせ効果の計算結果を示す。
イメテルスタットナトリウムおよび/またはABT−199を用いて96時間治療した後のMOLM−13細胞のフローサイトメトリーデータのドットプロットを図6Aに示し、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞(二重標識)%のグラフを図6Bに示す。MOLM−13は、96時間後にABT−199に対する感受性を示し(5、20、100および500nMで30%を超える細胞死)、イメテルスタットナトリウムに対する感受性を示す(10、25および50μΜで30%以上)。ABT−199とイメテルスタットナトリウムを組み合わせた治療の全ての濃度で、細胞死滅化が高められている。最高濃度のABT−199(500nM)と組み合わせたとき、最小濃度のイメテルスタットナトリウム(10μΜ)で、90%より大きな細胞死が観察された。ABT−199の100nMおよび500nMの濃度で、組み合わせたときにも、90%より大きな細胞死が観察された。最高濃度のイメテルスタットナトリウム(50μΜ)では、5、10、20、100、500nMのABT−199濃度で、ほぼ完全な細胞死が観察された。
表13および表14は、MOLM−13細胞を96時間治療した場合のHSAモデルまたはBLISSモデルを用いた組み合わせ効果の計算結果を示す。
ミスマッチオリゴヌクレオチドまたは非相補性オリゴヌクレオチドとABT−199とを用いて48時間(図7A)または96時間(図8A)治療した後の、MOLM−13細胞についてのフローサイトメトリーデータのドットプロットを示す。様々なオリゴヌクレオチド濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞(二重標識)%のグラフを48時間(図7B)または96時間(図8B)について示す。highest single−agentモデルを上回る過剰(表15および表17)およびBlissモデルを上回る過剰(表16および表18)は、オリゴヌクレオチドコントロールを用いてもなんの効果もないことを確認する。負の値は、これらのモデルでは拮抗作用を示しているのではなく、単に相互作用がないことを示している。
実施例2:治療された細胞における、イメテルスタットナトリウムとABT−199の相互作用の機構に関する試験。
機構的に、イメテルスタットナトリウムは、主に、テロメラーゼ酵素複合体の活性部位を阻害することによって機能する。活性部位を阻害すると、酵素が作用するテロメア末端が、そのため、伸長されない。腫瘍細胞の迅速かつ繰り返しの細胞分裂により、時間経過とともに、それらは進行的なテロメアの短縮を起こしやすくなる。テロメア再生プロセスがブロックされると、細胞は、進行的に危機に近づき、最終的にアポトーシスを引き起こす(Bruedigam et al、Cell Stem Cell、15:775−790 (2014))。
Bcl−2およびその関連するファミリーメンバーは、腫瘍細胞への抗アポトーシスシグナルの送達に、役割を果たす。Bcl−2は、Baxを阻害することによって働く。Baxは、正常なプログラムされた細胞死をもたらすアポトーシス因子の放出をシグナル伝達する際に鍵となるメディエータである。これらのシグナル下、Baxは、ミトコンドリアに移行し、チトクロムcおよび他のアポトーシス因子を始動させ、カスパーゼカスケードを活性化し、固有の(すなわち、非受容体介在性−TRAIL,TNFaなど)経路によって細胞死を完結させる。Bcl−2は、Baxを直接的に阻害し得るため、Bcl−2の存在によって、これらのシグナルの妨害が起こる。Baxがなければアポトーシス因子は放出されず、細胞は、アポトーシスシグナルから開放される。
これらの2つの経路は、テロメラーゼの主なタンパク質構成要素hTERTとして集まり、これも、Bcl−2と交わる固有のアポトーシス経路において、補助的な役割を果たす。これに加え、Bcl−2は、hTERT発現と、その後のテロメラーゼ活性も高めることが知られており、腫瘍細胞におけるアポトーシスをさらに減らす。hTERTは、ミトコンドリアに到達し、アポトーシスシグナルのカスケードを始動させる前にBaxを妨害することができることが示されている。これに加えて、ミトコンドリア内で、hTERTは、Baxに対するBcl−2の阻害効果を高めることができる。治療された細胞において、イメテルスタットナトリウムとABT−199との間の相互作用の機構をさらに解明するために、RT−qPCRを用いて転写レベルを評価することによってhTERT発現を測定し、PCR系TRAPアッセイにおいて、溶解した細胞由来のタンパク質を用い、テロメラーゼ活性を評価した。
hTERT転写物レベル
細胞実験からのサンプル(および単一薬剤コントロール)を、分子分析のために集め、可能性のある作用機序に寄与する組み合わせの効果を評価した。AML細胞を、Falcon T25フラスコ(Corningカタログ353135)中、50μΜのイメテルスタットナトリウム、20nMのABT−199、50μΜのイメテルスタットナトリウムと20nMのABT−199または薬物なし、のいずれかを投薬した培地8mL中800万個の細胞のバッチで、以前の実験と同様に48時間および96時間成長させ、次いで、溶解、および核酸またはタンパク質のいずれか抽出のために、細胞ペレットとして集めた。まず、2−メルカプトエタノール(Sigmaカタログ番号63689−100ML−F)を補充した350μLのRLTバッファー(Qiagenカタログ番号1030963)を用いて細胞を溶解することによって、核酸を精製した。AllPrep RNA/DNA Mini Kit(Qiagenカタログ番号80204)を用いてRNAを精製し、High Capacity cDNAキット(ThermoFisherカタログ番号4368814)を用い、cDNAに逆転写し、前増幅させた後、TaqMan
PreAmp Master Mix(ThermoFisherカタログ番号4384557B)で分析した。ThermoFisher製ViiA7 Real−Time
PCRシステムを用い、組織内で開発したTaq−Man RT−qPCRアッセイを用いて生成物を分析し、hTERT転写レベルを測定した(TaqMan Universal PCR Master Mix−ThermoFisherカタログ番号4304437;以下のプライマーおよびプローブ配列)。
hTERT全長順方向:5’−TGTACTTTGTCAAGGTGGATGTGA−3’(配列番号4)
hTERT全長逆方向:5’−GCTGGAGGTCTGTCAAGGTAGAG−3’(配列番号5)
hTERT FAMプローブ:FAM 5’−CGCGTACGACACCAT−3’MGBNFQ(配列番号6)
ここで、FAMは、蛍光レポーターであり、MGBNFQは、クエンチャーである。
イメテルスタットナトリウムおよび/またはABT−199を用いた48時間および96時間の治療後のhTERT発現を示す棒グラフを図9に示す。RT−qPCRによって測定されるRNA発現レベルを、同じ曝露時間での未治療コントロールに対する割合として示す。結果は、KG−1細胞は、ABT−199治療によってhTERTのRNAレベルが最小限減少し(いずれかの時間点で、コントロールと比較して90〜95%)、MOLM−13細胞が、投薬96時間後にhTERT転写レベルのわずかな減少のみを示す(コントロールと比較して約69%)ことを示す。イメテルスタットナトリウム治療は、両細胞株について、RNAレベルのより大きな減少を示し、さらに長い治療時間では、さらに低い発現を伴う(48時間では、KG−1細胞はコントロールの72%、96時間ではコントロールの47%;MOLM−13細胞は、48時間では39%、96時間ではアッセイによって検出不可能)。イメテルスタットナトリウムとABT−199の組み合わせについて、KG−1におけるイメテルスタットナトリウム単一薬剤と比較して、hTERT発現は、変化しなかった。両方の時間点でのMOLM−13について、hTERTは、検出不可能であった。
hTERT酵素レベル
タンパク質分析についての上の章からのサンプルを、溶解およびタンパク質抽出のために1500Kで5分間の遠心分離処理によって、細胞ペレットとして集めた。改変された方法を利用するによって、2種類の主な供給源から合わせたタンパク質溶解物を分析した(Hou,et al.(2001)43(3) 519−524 および Nature Protocols(2006) 1 (3) 1583−1590)。80μlの10mM Tris−EDTA、1%のNP−40、10%のグリセロール、150mMのNaCl、1mMのMgCl2、250μΜのデオキシコール酸ナトリウム、100μΜのAEBSF、5mMの2−メルカプトエタノールバッファーを加え、氷上で30分間インキュベートすることによって、溶解物を作成した。溶解物を15分間、最大速度、4℃で遠心分離処理し、細胞片をペレット化した。澄明化した溶解物からのタンパク質の収量を、BCAアッセイ(ThermoFisherカタログ番号23252)を用いて定量し、ThermoFisher製ViiA7 Real−Time PCRシステムを用いてqPCR TRAP系アッセイを行い、相対的なテロメラーゼ活性を決定した(Power SYBR Green PCR Master Mix−ThermoFisher番号4367659)。このアッセイにおいて、タンパク質溶解物を、過剰なdNTPおよびSYBR緑色染料存在下、テロメア配列を模倣する合成オリゴヌクレオチドに曝露する。テロメラーゼの活性が大きいほど、合成プライマーの伸長が大きくなり、したがって、核酸の染色と、SYBR染料によって発生するシグナルが大きくなる。このシグナルを、コントロールタンパク質溶解物の標準曲線と比較し、サンプル間の相対的なテロメラーゼ活性を決定した。
順方向プライマー:5’−AATCCGTCGAGCAGAGTT−3’ (配列番号7)
逆方向プライマー:5’−GCGCGGCTTACCCTTACCCTTACCCTAACC−3’ (配列番号8)
分子相互作用の結果
イメテルスタットナトリウムおよび/またはABT−199を用いた48時間および96時間の治療後のテロメラーゼ活性を示す棒グラフを図10に示す。48時間で、ABT−199は、KG−1細胞およびMOLM−13細胞の両方において、単一薬剤として使用された場合、テロメラーゼ活性に対して何ら効果を示さない。96時間のABT−199治療で、テロメラーゼの活性は、KG−1において約80%に、および約70%に減少し、ABT−199が、テロメラーゼ活性に対してほとんど効果がないことを示していた。イメテルスタットナトリウムは、KG−1細胞株およびMOLM−13細胞株両方において、テロメラーゼ活性の減少を示した。MOLM−13細胞において、コントロールと比較した減少は、両時間点で匹敵するものであった(48時間で37%、96時間で44%)。しかし、KG−1は、96時間のイメテルスタットナトリウムの治療で、テロメラーゼ活性のさらに大きな減少を示した(48時間で64%、96時間で16%)。併用療法を用いると、KG−1は、イメテルスタットナトリウム単一薬剤からの最小限の差を示し、一方、MOLM−13では、テロメラーゼ活性の減少は、PCRアッセイによってほぼ検出不可能であった。
実施例3:組み合わせの相乗性を解明する
AML腫瘍細胞株MOLM−13モデルの治療を、以下のように変更しつつ、実施例1に記載した実験フォーマットで繰り返した。イメテルスタットナトリウム、コントロールミスマッチ化合物およびコントロール非相補性化合物を、0〜75μΜ(7種類の合計濃度)のさらに高い濃度で試験し、ABT−199を20pM〜1μΜ(9種類の合計濃度)で試験した。治療された細胞を、既に記載したようなアネキシンVおよびヨウ化プロピジウム染色について、フローサイトメトリーによって分析した。アポトーシス集団においてゲーティングされた事象(アネキシンV+/ヨウ化プロピジウム+)を使用し、この組み合わせマトリックスについての相乗性スコアを決定した。組み合わせデータの分析を、Horizon ChaliceTM Analyzer Software(Horizon Discovery Group、ケンブリッジ、UK)によって生成した。MOLM−13および細胞株HL−60を用いてさらなるin vitro実験を行い、この組み合わせに対して単一曝露したときのイメテルスタットナトリウムとABT−199の相乗性を評価した(すなわち、48時間で再投薬なし)。ABT−199用量範囲は、わずかに代えられ(500pM〜100nM、5種類の最終濃度)、48時間で、細胞に第2の時間投与された、上に記載した実験の等価なデータ点と比較した。ミスマッチコントロールおよび非相補性コントロールは、この実験では使用しなかった。
治療されたMOLM−13細胞において観察される効果を統計的に定性するために、ChouおよびTalalayの方法(Chou TC、Talalay P.、Adv Enzyme Regul 1984; 22:27−55)に従って、アイソボログラム分析の固定された投薬比率からの生データをまとめるHorizon’s ChaliceTM Analyzer Softwareのウェブアプリケーションを用い、投薬の組み合わせを評価した。組み合わせ条件にアイソボログラム分析を行い、組み合わせ指数を作成し、このアイソボログラムより下に入る相乗的な対およびそれより上に入る拮抗的な対の組み合わせの挙動をグラフに表す(相加的な組み合わせは、このライン上にあると予想される)。Horizon ChaliceTM Analyzer Softwareは、さらに、相乗性スコアを与え、1より大きな値は、相乗性を示している。
48時間治療について、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞%(二重標識)のグラフを図11に示す。表19は、48時間治療後のMOLM−13細胞についてのそれぞれの組み合わせでの、相加性を超える(Loeweモデル)計算結果を示す。0より大きな値は、表19の右上象限にみられ、一方、ABT−199の濃度は、20nM以上であり、イメテルスタットナトリウムの濃度は、25μM以上である。Horizon Chalice
TM Analyzer Softwareは、さらに、相乗性スコアを与え、1より大きな値は、相乗性を示している。イメテルスタットナトリウムで治療された細胞について、48時間後に、相乗性スコアは、5.12であると決定された。これを、ミスマッチコントロールおよび非相補性コントロールのスコア0.22および0.41のスコアとそれぞれ比較する(表20および表21)。48時間治療について、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞%(二重標識)のグラフを、それぞれミスマッチコントロールおよび非相補性コントロールについて、図12Aおよび12Bに示す。
96時間治療について、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞%(二重標識)のグラフを図13に示す。表22は、96時間治療後のMOLM−13細胞についてのそれぞれの組み合わせでの、相加性を超える(Loeweモデル)計算結果を示す。ゼロより大きな値は、表19の右上の対角線上に見出される。驚くべきことに、最小濃度のABT−199(0.04nMおよび0.2nM)でさえ50μΜのイメテルスタットナトリウムおよび75μΜのイメテルスタットナトリウムとそれぞれ、相乗性を示し、最小濃度のイメテルスタットナトリウム(1μΜおよび5μΜ)は、それぞれ500nMおよび100nMのABT−199との相乗性を示す。Horizon Chalice
TM Analyzer Softwareは、さらに、相乗性スコアを与え、1より大きな値は、相乗性を示している。イメテルスタットナトリウムで治療された細胞について、96時間後に、相乗性スコアは、11.33であると決定された。これを、ミスマッチコントロールおよび非相補性コントロールのスコア0.03および0.06とそれぞれ比較する(表23および表24)。96時間治療について、様々なイメテルスタットナトリウム濃度でのABT−199濃度に対するアポトーシス細胞%(二重標識)のグラフを、それぞれミスマッチコントロールおよび非相補性コントロールについて、図14Aおよび14Bに示す。
単一用量の治療から96時間後のアポトーシス集団(二重標識)を、MOLM−13について示し(図17A)、AML細胞株HL−60について示す(図17B)。より少ない用量範囲のABT−199をこの実験に使用し、イメテルスタットナトリウム共治療の効能を評価した。表25は、それぞれのMOLM−13の組み合わせについてHorizon Chalice
TM Analyzer Softwareによって計算される相加性を超える(Loeweモデル)計算結果を示し、一方、表26は、HL−60についての計算結果を示す。両方の株で相乗性であるが、さらに低い(5μMおよび10μΜ)のイメテルスタットナトリウム濃度で、より大きなスコアと、アポトーシスに対する高められた効果によって実証されるように、MOLM−13において、より大きな相乗性が観察される。イメテルスタットナトリウムとの組み合わせは、ABT−199濃度を1〜5nM用量まで下げる見込みがあることを示す。
比較のために、図13にプロットされ、表22を作成するために使用されたデータを、図17Aおよび表25に使用される用量でのみ、Horizon Chalice
TM Analyzer Softwareを用いて再分析した。表27に示されるように、相乗性スコアは、ABT−199漸増曲線の上側レベルを除去すると、ほぼ半分である(11.33から6.06)。このスコアは、96時間の単一用量(表25)の条件のほぼ倍であり(3.24に対して6.06)、このことは、連続的に曝露すると、ABT−199とイメテルスタットナトリウムと合わせたとき、さらに大きな相乗性が誘導されることを示唆している。
実施例4:テロメラーゼ阻害剤イメテルスタットナトリウムをBCL−2阻害剤ベネトクラックスと組み合わせると、ex vivoで、AML患者サンプルにおいてアポトーシスが高まる。
急性骨髄性白血病(AML)は、化学療法以外の治療選択肢が限定された侵襲性の強い癌であり、そのため、この満たされていない必要性を満たす治癒薬剤が必要である。hTERT(テロメラーゼの触媒サブユニット)およびBCL−2(アポトーシス制御因子)の両方は、AMLで過剰発現し、これは、疾患の重篤度と、予後不良にそれぞれ相関している。イメテルスタットナトリウムは、血液悪性腫瘍において臨床的活性を有するテロメラーゼのファーストインクラスの競争阻害剤である。ベネトクラックス(ABT−199)は、17pを欠き、以前に少なくとも1つの治療を受けたCLL患者について承認されたBCL−2阻害剤であり、AML患者において、有望な臨床的便益を示している。この実施例での試験は、in vitroでの、AML細胞に対するイメテルスタットナトリウムまたはベネトクラックス単独、または組み合わせの効果を調査した。
AML細胞株(実施例1を参照)およびFicoll精製後にAML患者の全血から得られたAML患者末梢血単核細胞(「PBMC」)サンプルを、イメテルスタットナトリウムまたはベネトクラックス単独、または組み合わせで治療し、生存可能な細胞集団およびアポトーシス細胞集団をフローサイトメトリーによって評価した。テロメラーゼ活性、hTERT発現およびミトコンドリア機能不全が作用機序について調査された。AML患者のPBMCに、イメテルスタットナトリウム(0μΜ、25μΜおよび50μΜ)、ベネトクラックス(ABT−199)(0nM、20nMおよび100nM)または組み合わせを16時間または40時間投薬した。アポトーシスは、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムのフローサイトメトリー染色によって測定した。染色していない(すなわち、二重陰性)細胞は、治療後に残る生細胞を構成する。
具体的には、AML患者由来の全血(n=4)を、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcareカタログ番号17−1440−03)を用いて精製し、PBMCを精製した。Ficollを50mLのSepMate遠沈管(StemCell Technologiesカタログ番号85450)に入れ、患者の血液を、HyClone ウシ胎児血清(FBS)(ThermoFisherカタログ番号SH30070.02)の2%FBSを補充したリン酸緩衝食塩水(PBS; ThermoFisherカタログ番号20012−027)で1:1希釈し、その後にFicollの上部にロードした。血液を遠心分離処理し、赤血球細胞、顆粒球などからPBMCを分離し、残ったPBMCをPBS+2%FBSで2回洗浄した。細胞を、上述の10% HyClone FBSを補充したRPMI−1640(ThermoFisherカタログ番号11875−085)中、ウェルあたり約300,000個細胞の密度で96ウェルポリスチレンU底組織培養プレート(Corningカタログ353777)に蒔き、加湿した5%CO2下、37℃インキュベーターで成長させた。ex vivo PBMCでは抗生物質は使用しなかった。10%FBSを補充したRPMI−1640中で調製したイメテルスタットナトリウム(Janssen Biotech、Inc.)および/またはDMSO中1000倍ストックとして調製し、PBS(ビヒクル)で1:100に希釈したABT−199(Selleckchemカタログ番号S8048)を用い、細胞をすぐに処理した。イメテルスタットナトリウムを0〜50μΜで試験し、ベネトクラックス(ABT−199)を0〜100nMで試験した。
16時間および40時間の治療の後に、実施例1に記載するように、アネキシンV(内部細胞膜染色)とヨウ化プロピジウム(PI、DNAに結合する染料)フローサイトメトリーアッセイキット(BioLegendカタログ640914)を用い、健康な集団、初期アポトーシス集団およびアポトーシス集団について、細胞を測定した。さらに、PBMCを、以下の分化マーカーについて染色した。CD45(V500コンジュゲートしたもの;BDカタログ番号560777)およびCD34(Pacific Blueコンジュゲートしたもの;Biolegendカタログ番号343512)。まず、CD45陽性について事象をゲーティングし、次いで、CD34についてゲーティングした後、上の実施例1に記載するようにアネキシンV/ヨウ化プロピジウム評価した。CD45+(白血球)およびCD45+/CD34+(白血病幹細胞)の集団について、4患者の平均および標準偏差を決定した。
ex vivoでの治療結果
図15A〜15Dは、ex vivoでイメテルスタットナトリウムおよび/またはベネトクラックス(ABT−199)に曝露した4人のAML患者のPBMCサンプルの平均応答を示す。AML患者のCD45+白血球およびCD45+/CD34+白血病幹細胞を様々な濃度のベネトクラックス(ABT−199)および/またはイメテルスタットナトリウムで16時間治療した、治療後の生細胞%のグラフを図15A(CD45+白血球)および15B(CD45+/CD34+白血病幹細胞)に示す。AML患者のCD45+白血球およびCD45+/CD34+白血病幹細胞を様々な濃度のベネトクラックス(ABT−199)および/またはイメテルスタットナトリウムで40時間治療した、治療後の生細胞%のグラフを図15C(CD45+白血球)および15D(CD45+/CD34+白血病幹細胞)に示す。一般的に、AML患者由来のCD45+白血球の生存率は、16時間および40時間曝露した後、イメテルスタットナトリウム治療のみによっては影響を受けず、単一薬剤としてのベネトクラックスによっては中程度しか影響を受けない。しかし、イメテルスタットナトリウムをベネトクラックスと組み合わせて使用すると、細胞生存率の減少が観察された。CD45+/CD34+白血病幹細胞細胞集団について同様の結果が観察された。イメテルスタットナトリウムをベネトクラックスと組み合わせて使用する場合、両時間点で、細胞生存率の減少における用量依存性の活性が示され、40時間で最も顕著であった。
イメテルスタットナトリウムとベネトクラックスとを組み合わせたとき、複数のAML細胞株において、アポトーシス誘導における用量依存性の相乗的な活性が観察された(実施例1を参照)。例えば、MOLM−13細胞株において、単一薬剤イメテルスタットナトリウムおよびベネトクラックスは、48時間後に中程度のアポトーシス活性を有していた(それぞれ22%および30%)が、組み合わせは、48時間で88%、96時間でほぼ100%を達成した。同様の高められたアポトーシス活性が、4人のAML患者サンプルでも観察された。分子分析は、イメテルスタットナトリウムとベネトクラックスとを合わせると、hTERT発現が減少し、テロメラーゼ活性が、いずれかの薬剤単独よりも強くなることを示した。この例は、AMLにおいて、イメテルスタットナトリウムとベネトクラックスとを組み合わせると、in vitroで細胞株および患者サンプルにおけるアポトーシス誘導に対し、相乗効果を有することを示す。
実施例5:テロメラーゼ阻害剤イメテルスタットナトリウムをBCL−2阻害剤ベネトクラックスと組み合わせると、in vivoで、急性骨髄性白血病において生存が高まる。
実施例4に記載したように、急性骨髄性白血病(AML)は、化学療法以外の治療選択肢が限定された侵襲性の強い癌であり、そのため、治癒薬剤が必要である。実施例4では、テロメラーゼ阻害剤イメテルスタットナトリウムをBCL−2阻害剤ベネトクラックスと組み合わせると、in vitroでアポトーシスが高まることを示した。この実施例での試験は、イメテルスタットナトリウムまたはベネトクラックス単独、または急性骨髄性白血病のin vivoモデルでの組み合わせの効果を調査した。
方法
MOLM−13 AMLを播種したマウスモデルでのin vivo試験を行い、効能と生存を評価した。具体的には、試験0日目に、MOLM−13 AML腫瘍細胞をマウスに移植した。以下を用い、マウスを31日間治療した。(i)ビヒクル(MM+PEG400/Phosal50/ETOH);(ii)イメテルスタットナトリウム(30mg/kg)、(iii)ベネトクラックス(ABT−199)(100mg/kg)、(iv)MM(ミスマッチオリゴヌクレオチドコントロール)(30mg/kg)およびABT−199(100mg/kg);および(v)イメテルスタットナトリウム(30mg/kg)およびABT−199(100mg/kg)。マウスの生存率を時間(腫瘍細胞移植後の日数)の関数として評価した。
この試験は、合計108日間続いた(治療を停止してから77日間)。
50匹の雌SCIDベージュマウス(6週齢、Jackson Laboratory)に、100万個のMOLM−13細胞を静脈内注射し、5つの群に無作為に分けた。注射後1日目に、マウスを表28に列挙される5つの条件のいずれかで治療した。
マウスを毎日観察し、体重を週に2回測定した。各群のマウスの生存もフォローした。この試験は108日目に終了し、これは最後の治療から77日後であった。寿命の増加(「ILS」)を各群について評価し、ビヒクルコントロールに対するILS%を
ILS%=100×(T−C)/C
として計算し、ここで、Tは、治療群の生存中央値であり、Cは、コントロール群の生存中央値である。
in vivo試験の結果
AML播種性モデルMOLM−13の108日目のKaplan−Meier Survival Plotを図16に示す。特に、図16は、腫瘍細胞移植後の日数の関数としてマウスの生存率を示す。様々な治療群について計算した生存中央値および寿命増加率%(「ILS」)を表29に示す。この結果は、イメテルスタットナトリウム単一薬剤で治療されたマウスについての生存期間中央値が、26.5日間であったことを示しており、これはビヒクルと比較して、20.4% ILS(p=0.0009)に置き換えられる。ベネトクラックス(ABT−199)単一薬剤を用いて治療すると、生存期間中央値30日間、ILC 36.3%が得られた(p≦0.0001)。ミスマッチ(MM)オリゴコントロールと組み合わせると、ABT−199は、ABT−199単独と同様の効果を与えた。生存期間中央値31日間、ILS 40.9%(p≦0.0001)。イメテルスタットナトリウムとABT−199とを組み合わせると、最良の結果が得られ、生存期間中央値が37日間であり、68.1% ILS(p≦0.0001)の有意な効能が得られた。さらに、この併用療法群からの4匹のマウス(40%)は、長く生存し、108日間を超えて生き残り、このことは、生存便益が高められたことを示していた。
全てのマウスが、イメテルスタットナトリウムとベネトクラックスの組み合わせに忍容性であり、イメテルスタットナトリウム(39.6%、p=0.0011)またはベネトクラックス(23.3%、p=0.0001)単独と比較すると、寿命の増加が観察された。この組み合わせ群では、治療したマウスの40%が、治療を中断してから77日後に生きており、このことは、治癒の可能性を伴い、有意な生存便益を示していた。この実施例での結果は、実施例4と同様に、AMLにおいて、イメテルスタットナトリウムとベネトクラックスの組み合わせが、in vitroでの細胞株および患者サンプルにおけるアポトーシス誘導に対して相乗効果を有することを示し、このことは、長期間の生存および異種移植片モデルの治癒の可能性に置き換えられる。
等価物および参照による組み込み
本発明を、その具体的な実施形態を参照しつつ記載してきたが、様々な変更がなされてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、等価物に置き換えることができることが当業者によって理解されるべきである。これに加え、特定の状況、材料、物質組成、プロセス、単数または複数のプロセスステップに適応するように、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明によって与えられる利益を達成するために、多くの改変がなされてもよい。このような全ての改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されている。
本明細書に引用されるあらゆる刊行物および特許文書は、このような各刊行物または文書が、具体的にかつ個々に本明細書に参照により組み込まれるように示されているかのように、本明細書に参照により組み込まれる。刊行物および特許文書の引用は、任意のこのような文書が、関連する従来技術であることを示すことを意図したものではなく、これらの内容または日付に関する承認を構成するものでもない。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
血液癌を治療する方法であって、治療を必要とする被験体に、テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを組み合わせて投与することを含む、方法。
(項目2)
前記血液癌が、急性骨髄性白血病、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記血液癌が、急性骨髄性白血病である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記テロメラーゼ阻害剤がイメテルスタットである、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
イメテルスタットが、1、2、3、4、5、6、7、8、または8より多い投薬サイクルで投与され、各サイクルが、
(a)約7〜10mg/kgのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与;
(b)約7〜10mg/kgのイメテルスタットを週に1回を4週間静脈内投与;
(c)約2.5〜10mg/kgのイメテルスタットを3週間ごとに1回静脈内投与;または
(d)約0.5〜9.4mg/kgのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記イメテルスタットがイメテルスタットナトリウムである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記Bcl−2阻害剤がABT−199である、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
ABT−199が、
(a)毎日、約50〜400mgのABT−199の用量で;
(b)1日目に約2mgのABT−199の用量で、その後6日目に約800mgの最終用量になるまで毎日増量し、6日目以降は毎日その最終用量で;または
(c)1日目に約25mgのABT−199の用量で、その後5日目に約400mgの最終用量になるまで毎日増量し、5日目以降は毎日その最終
用量で投与される、項目7に記載の方法。
(項目9)
ABT−199の投与が、前記テロメラーゼ阻害剤の投与の1日前、1日後、または同じ日である、項目8に記載の方法。
(項目10)
血液癌細胞におけるアポトーシスを誘導する方法であって、該細胞と治療に有効な量のテロメラーゼ阻害剤とを接触させることと、該細胞と治療に有効な量のBcl−2阻害剤とを接触させることとを含む、方法。
(項目11)
前記テロメラーゼ阻害剤がイメテルスタットである、項目10に記載の方法。
(項目12)
イメテルスタットがイメテルスタットナトリウムである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記Bcl−2阻害剤がABT−199である、項目10〜12のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記血液癌細胞が、急性骨髄性白血病、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)の種類の血液癌から選択される細胞である、項目10に記載の方法。
(項目15)
前記血液癌細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞である、項目10に記載の方法。
(項目16)
キットであって、
(a)投与されると、血液癌細胞においてアポトーシスを誘導するのに有効な量の用量のテロメラーゼ阻害剤と、
(b)投与されると、血液癌細胞においてアポトーシスを誘導するのに有効な量の用量のBcl−2阻害剤とを含む、キット。
(項目17)
前記テロメラーゼ阻害剤がイメテルスタットであり、前記Bcl−2阻害剤がABT−199である、項目16に記載のキット。
(項目18)
急性骨髄性白血病を治療する方法であって、イメテルスタットとABT−199とを、急性骨髄性白血病を有する被験体に投与することを含む、方法。
(項目19)
急性骨髄性白血病(AML)細胞においてアポトーシスを誘導するin vitroでの方法であって、該細胞と治療に有効な量のイメテルスタットナトリウムとを接触させることと、該細胞と治療に有効な量のABT−199を接触させることとを含む、方法。
(項目20)
イメテルスタットとABT−199とを含む医薬組成物。
(項目21)
前記イメテルスタットがイメテルスタットナトリウムである、項目20に記載の医薬組成物。
(項目22)
前記組成物が、急性骨髄性白血病の治療のために製剤化される、項目20に記載の医薬組成物。
(項目23)
BCL阻害治療を受けている患者において、血液癌を治療するためのイメテルスタットまたはイメテルスタットナトリウムの使用。
(項目24)
テロメラーゼ阻害治療を受けている患者において、血液癌を治療するためのABT−199の使用。
(項目25)
血液癌を治療する方法において使用するためのテロメラーゼ阻害剤であって、この方法が、治療を必要とする被験体に、該テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを組み合わせて投与することを含む、テロメラーゼ阻害剤。
(項目26)
血液癌を治療する方法において使用するためのテロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤とを含む組み合わせであって、この方法が、治療を必要とする被験体に、この組み合わせを投与することを含む、組み合わせ。
(項目27)
前記血液癌が、急性骨髄性白血病(AML)、本態性血小板血症、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、全身性肥満細胞症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症、過剰なブラストを伴う不応性貧血(1型)、過剰なブラストを伴う不応性貧血(2型)、単独5番染色体長腕(5q)の欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)、分類不能型MDS、慢性骨髄単球性白血病(CML)、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、分類不能型骨髄増殖性/骨髄異形成症候群、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、移植後のリンパ増殖性障害、HIVに関連するリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫および孤立性形質細胞腫(孤立性の骨および髄外)である、項目25に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目26に記載の使用のための組み合わせ。
(項目28)
前記血液癌が、急性骨髄性白血病である、項目25に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目26に記載の使用のための組み合わせ。
(項目29)
前記テロメラーゼ阻害剤がイメテルスタットである、項目25に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目26に記載の使用のための組み合わせ。
(項目30)
前記テロメラーゼ阻害剤がイメテルスタットナトリウムである、項目29に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目29に記載の使用のための組み合わせ。
(項目31)
イメテルスタットが、1、2、3、4、5、6、7、8、または8より多い投薬サイクルの投与のために投与され、各サイクルが、
(a)約7〜10mg/kgのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与;
(b)約7〜10mg/kgのイメテルスタットを週に1回を4週間静脈内投与;もしくは
(c)約2.5〜7mg/kgのイメテルスタットを3週間ごとに1回静脈内投与;もしくは
(c)約0.5〜9.4mg/kgのイメテルスタットを4週間ごとに1回静脈内投与を含む、項目29に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目29に記載の使用のための組み合わせ。
(項目32)
前記Bcl−2阻害剤がABT−199である、項目25に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目26に記載の使用のための組み合わせ。
(項目33)
前記ABT−199が、
(a)毎日、50〜400mgのABT−199の用量で;
(b)1日目に2mgのABT−199の用量で、その後6日目に800mgの最終用量になるまで毎日増量し、6日目以降は毎日その最終用量で;
(c)1日目に25mgのABT−199の用量で、その後5日目に400mgの最終用量になるまで毎日増量し増加、5日目以降は毎日その最終
用量で投与されるためのものである、項目32に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目32に記載の使用のための組み合わせ。
(項目34)
ABT−199の前記投与が、前記テロメラーゼ阻害剤の投与の1日前、1日後、または同じ日である、項目25に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目26に記載の使用のための組み合わせ。
(項目35)
テロメラーゼ阻害剤とBcl−2阻害剤との前記組み合わせが、血液癌細胞のアポトーシスを誘導する、項目25に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤または項目26に記載の使用のための組み合わせ。
(項目36)
急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法で使用するためのイメテルスタットナトリウムであって、この方法が、イメテルスタットナトリウムとABT−199とを組み合わせて、治療を必要とする被験体に投与することを含む、イメテルスタットナトリウム。
(項目37)
急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法で使用するためのABT−199であって、この方法が、ABT−199とイメテルスタットナトリウムとを組み合わせて、治療を必要とする被験体に投与することを含む、ABT−199。
(項目38)
急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法で使用するためのイメテルスタットナトリウムとABT−199とを含む組み合わせであって、この方法が、この組み合わせを、治療を必要とする被験体に投与することを含む、組み合わせ。
(項目39)
イメテルスタットナトリウムが、1、2、3、4、5、6、7、8、または8より多い投薬サイクルの投与のためのものであり、各サイクルが、
(a)約7〜10mg/kgのイメテルスタットナトリウムを4週間ごとに1回静脈内投与;
(b)約7〜10mg/kgのイメテルスタットナトリウムを週に1回を4週間静脈内投与;
(c)約2.5〜7mg/kgのイメテルスタットナトリウムを3週間ごとに1回静脈内投与;もしくは
(d)約0.5〜9.4mg/kgのイメテルスタットナトリウムを4週間ごとに1回静脈内投与を含む、項目36に記載の使用のためのテロメラーゼ阻害剤、項目37に記載の使用のためのABT−99、または項目38に記載の使用のための組み合わせ。
(項目40)
前記ABT−199が、
(a)毎日、約50〜400mgのABT−199の用量で;
(b)1日目に約2mgのABT−199の用量で、その後6日目に約800mgの最終用量になるまで毎日増量し、6日目以降は毎日その最終用量で;
(c)1日目に約25mgのABT−199の用量で、その後5日目に約400mgの最終用量になるまで毎日増量し、5日目以降は毎日その最終用量で投与されるためのものである、項目36に記載の使用のためのイメテルスタットナトリウム、項目37に記載の使用のためのABT−99、または項目38に記載の使用のための組み合わせ。
(項目41)
ABT−199の前記投与が、イメテルスタットナトリウムの前記投与の1日前、1日後、または同じ日である、項目36に記載の使用のためのイメテルスタットナトリウム、項目37に記載の使用のためのABT−99、または項目38に記載の使用のための組み合わせ。