現在使用されている細胞培養インキュベータは、細胞培養の成功に障壁を課している。例えば、多くの細胞培養インキュベータは、細胞培養培地の蒸発を防ぐために加湿環境を提供する。自動細胞培養システム(例えば、電子制御式機械部品を含む細胞培養インキュベータ)に関連して、インキュベータキャビネット内の加湿環境により、電子機器及び電子機器の絶縁体における微生物(例えば、かび、バイオフィルム形成細菌)の増殖による交差汚染を含む潜在的汚染物質に対する培養物の曝露が増加する。更に、加湿環境により生じる凝縮は、電子機器の錆及び不具合の原因となる。
本明細書中に記載されている非加湿インキュベータキャビネット内で哺乳動物の細胞を培養するための方法及び装置は、これらの課題を克服する。本明細書は、水蒸気に対して透過性でないガス透過性膜を含む細胞培養容器貯蔵隔室の開発に部分的に基づく。いくつかの実施形態では、記載されている隔室は、哺乳動物の細胞の培養のための加湿副環境を生成し、隔室を電子部品とともに非加湿インキュベータキャビネット内に配置することを可能にする。
選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵隔室
いくつかの態様では、本明細書は、細胞培養容器を密閉するためのコンテナを提供する。コンテナは、細胞培養容器を内部内に密閉するように構成された1つ以上の壁を有する隔室を含み、隔室の少なくとも1つの壁の一部分は、水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜を含む。
本明細書で使用する場合、「ガス透過性」は、O2、CO2、N2及び空気などの1種以上のガスをバリアの一方の側から他方の側に交換することを可能にする膜の機能を意味する。透過性膜がガスの通過を可能にする速度は、環境条件(例えば、温度、圧力)及び膜内を移動するガス(例えば、O2、CO2、N2)の種類などの要素に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜は、25℃及び1気圧(1atm)において約0.25モル/m2・日〜約1.5モル/m2・日の範囲の速度でガスを通過させる。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜は、25℃及び1気圧(1atm)において約0.2モル/m2・日〜約2.0モル/m2・日の範囲の速度でガスを通過させる。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜は、25℃及び1気圧(1atm)において2.0モル/m2・日を超える範囲の速度でガスを通過させる。ガス透過性膜におけるガスの移動は、当技術分野で周知の任意の適切な方法、例えば、PH応答性色素を使用した細胞培養物pHの測定によって測定することができる。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜は、O2及びCO2に対して透過性である。
ガス透過性膜の厚さは様々であり得る。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の厚さは、約0.1μm〜約200μmの範囲である。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の厚さは、約1μm〜約100μmの範囲である。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の厚さは、約10μm〜約50μmの範囲である。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の厚さは、約0.1μm〜約1μmの範囲である。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の厚さは、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、又は約1.0μmである。
任意の特定の理論に拘束されることを望むものではないが、ガス透過性膜の表面積は、コンテナ内で培養されている細胞の生存率を維持するのに十分な量(例えば、十分な流量で)のガス(例えば、O2、CO2)の通過を可能にするほど十分に広くなければならない。例えば、コンテナ内に収容された細胞培養物が25℃及び1atmで2.0モル/m2・日の交換を必要とする場合、コンテナのガス透過性膜の表面積は、25℃及び1atmで少なくとも2.0モル/m2・日の通過を可能にするのに十分でなければならない。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の表面積は、ガス透過性膜が配置されるコンテナの表面積(例えば、コンテナの総表面積)の比率として表される。ガス透過性膜の表面積は、コンテナの表面積の約0.5%〜約99.9%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の表面積は、コンテナの表面積の約1%〜約10%、約5%〜約20%、約10%〜約40%、約20%〜約80%、又は約50%〜約99%の範囲である。
いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の表面積は、膜と物理的に接続している壁(例えば、コンテナの一方の側)の表面積の比率として表される。ガス透過性膜の表面積は、膜と物理的に接続している壁(例えば、コンテナの一方の側)の表面積の約0.5%〜約99.9%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ガス透過性膜の表面積は、膜と物理的に接続している壁(例えば、コンテナの一方の側)の表面積の約1%〜約10%、約5%〜約20%、約10%〜約40%、約20%〜約80%、又は約50%〜約99%の範囲である。
本明細書で使用する場合、「水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜」とは、ガス(例えば、O2、CO2、N2等)を通過させるが、液体水又は水蒸気を実質的に通過させない物理的バリアを意味する。一般に、水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜は高分子材料で作製されている。高分子材料の例としては、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ポリ塩化ビニル、ポリビニリダインフルオリド(polyvinylidine fluoride)(PVDF)、天然ゴム、ジメチルシリコンゴム、ポリエーテルスルホン酸塩(polyethersulfonate)(PES)、及びフッ化エチレンプロピレン(FEP)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜は、疎水性である(例えば、負の表面電荷を有する)。任意の特定の理論に拘束されることを望むものではないが、疎水性膜は、水溶液(例えば、液体)の通過を妨げるが、ガスを通過させる。
いくつかの態様では、本発明は、水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜を含む細胞培養容器貯蔵コンテナにより、非加湿細胞培養インキュベータでの哺乳動物の細胞の培養が可能になるという認識に関する。本明細書で使用する場合、「水蒸気に対して選択的に不透過性の」膜とは、かなりの量の水(例えば、液体H2O)又は水蒸気が膜(例えば、ガス透過性膜)を流れることができないことを意味する。いくつかの実施形態では、水蒸気に対して選択的に不透過性の膜は、25℃及び1気圧(1atm)において5モル/m2・日以下を通過させる。いくつかの実施形態では、水蒸気に対して選択的に不透過性の膜は、25℃及び1気圧(1atm)において2.5モル/m2・日以下を通過させる。いくつかの実施形態では、水蒸気に対して選択的に不透過性の膜は、25℃及び1気圧(1atm)において0.25モル/m2・日以下を通過させる。
本明細書で使用する場合、「コンテナ」は、細胞培養容器を収容するように構成されたデバイスである。コンテナは、1つの壁、2つの壁、3つの壁、4つの壁、5つの壁、又は6つの壁を有し得る。いくつかの実施形態では、コンテナは7つ以上の壁を有する。コンテナの壁は、任意の適切な材料、例えば、プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン)、ガラス、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム)で又は前述の任意の組み合わせで作製され得る。
本明細書は、いくつかの実施形態では、低い水蒸気透過率(WVTR)を特徴とする材料で作製された壁を有するコンテナは、高いWVTR(例えば、特定のタイプのポリマー、例えば、ポリスチレンなどのプラスチック)を特徴とする壁を有するコンテナと比較して、コンテナの壁による水蒸気の吸収を低下させ、コンテナ内の環境条件(例えば、相対湿度)の調整の向上をもたらすという認識に部分的に基づく。特定の材料のWVTRの非限定的な例を、以下で表1に示す。
いくつかの実施形態では、コンテナの1つ以上の壁は、低いWVTRを有する材料で作製されている。いくつかの実施形態では、コンテナの1つ以上の壁は、金属、例えば、アルミニウム製である。いくつかの実施形態では、コンテナの1つ以上の壁は、多くのWVTRを有する材料でコーティングされている。例えば、いくつかの実施形態では、コンテナの1つ以上の壁は、アルミニウムなどの金属でコーティングされている。
いくつかの実施形態では、低いWVTRとは、約0(例えば、完全に水蒸気不透過性)〜約30g/m2日、約0(例えば、完全に水蒸気不透過性)〜約15g/m2日、約0(例えば、完全に水蒸気不透過性)〜約10g/m2日の範囲のWVTRを意味する。いくつかの実施形態では、低いWVTRとは、10g/m2日未満、9g/m2日未満、8g/m2日未満、7g/m2日未満、6g/m2日未満、5g/m2日未満、4g/m2日未満、3g/m2日未満、2g/m2日未満、又は1g/m2日未満、0.1g/m2日未満、0.01g/m2日未満、0.001g/m2日未満、又は0.0001g/m2日未満のWVTRを意味する。
いくつかの実施形態では、高いWVTRとは、約30g/m2日を超えるWVTRを意味する。いくつかの実施形態では、高いWVTRとは、約31g/m2日〜約10,000g/m2日のWVTRを意味する。いくつかの実施形態では、高いWVTRとは、約50g/m2日〜約6500g/m2日のWVTRを意味する。
壁は、中実であるか、連続する表面を有し得るか、又は通路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の通路は、水(例えば、液体又は蒸気)に対して選択的に不透過性のガス透過性膜によって覆われている。いくつかの実施形態では、コンテナの各壁は同じ大きさである(例えば、同一寸法を有する)。いくつかの実施形態では、コンテナの1つ以上の壁は同じ大きさではない(例えば、同一寸法を有しない)。例えば、いくつかの実施形態では、コンテナは立方体形状を有してもよい。
いくつかの実施形態では、コンテナ(例えば、立方体コンテナ)の1つの壁が、マイクロプレートを保持するように構成されたコンテナの底面を形成している(例えば、マイクロプレートが載置されてもよいコンテナの床を形成している)。いくつかの態様では、本明細書は、コンテナ内のマイクロプレートを適切に配置及び/又は固定するように構成された1つ以上のマイクロプレート保持デバイスを含むコンテナ床を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、コンテナ床は、「足」又は「位置決め具」を含む。本明細書で使用する場合、「足」(「位置決め具」又は「リブ」とも呼ばれる)は、マイクロプレートが載置される表面を提供する、コンテナの床に取り付けられた(例えば、接着された、成形された、はんだ付けされた等)構造体である。いくつかの実施形態では、足(又は位置決め具又はリブ)は、マイクロプレートがコンテナの床に接触するか又は載置されることを防ぐ。いくつかの実施形態では、コンテナは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はこれを超えるマイクロプレート保持デバイスを含む。
概して、マイクロプレート保持デバイス(例えば、足、位置決め具、リブ等)は、マイクロプレートがコンテナ床に接触することを防ぐ(例えば、マイクロプレートがコンテナ床に平坦に付いた状態で載ることを防ぐ)ことを可能にする任意の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、マイクロプレート保持デバイスは、コンテナ床の長さ又は幅にわたり延びる直線の長尺状構造体である(例えば、リブ)。いくつかの実施形態では、マイクロプレート保持デバイスは、90度の角度を有する1つ以上の(例えば、2つ、3つ、又は4つ)対向構造体(例えば、「L」字形の位置決め具)によって形成されている。
いくつかの実施形態では、コンテナの少なくとも1つの壁は、ガス透過性膜と物理的に接続するように構成されている。本明細書で使用する場合、「物理的接続部」とは、コンテナの2つ以上の構成要素(例えば、壁及びガス透過性膜、2つ以上の壁及び支持構造体、扉及びヒンジ等)を結合する1つ以上の接触点を意味する。物理的接続部は、物理的手段(例えば、圧力、クランプ、磁気)、化学的手段(例えば、共有結合又は非共有結合)、又は物理的手段と化学的手段との組み合わせによって形成するか又は安定(例えば、結合)させることができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の構成要素が接着剤、例えば、エポキシ、樹脂、グルー、又は溶接(例えば、1つ以上の構成要素が加熱によって互いに融着される)によって接合される場合に物理的接続部が形成される。いくつかの実施形態では、物理的接続部はガス不透過性(例えば、気密)である。物理的接続部は、永久的(例えば、化学結合など不可逆的)なものであっても一時的なものであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ガス透過性膜とコンテナの壁との間の物理的接続部は一時的なものである(例えば、膜は壁から取り除くことが可能であるか又は容易に取り外すことが可能である)。
いくつかの実施形態では、コンテナは、支持構造体と物理的に接続している少なくとも1つの壁を含む。「支持構造体」とは、コンテナの構成要素の剛性の骨組を与える中実材料を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、支持構造体は、互いに物理的に接続してコンテナのフレームを形成している複数のロッドであり、得られるフレームは、1つ以上の壁と物理的に接続して、細胞培養容器を内部内に密閉するように構成された隔室を含むコンテナを形成している。いくつかの実施形態では、支持構造体は壁である。例えば、1つ以上の通路(例えば、1つ以上の穴)を有する壁は、ガス透過性膜と物理的に接続することにより、ガス透過性膜の支持構造体として機能することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書によって記載されるコンテナは、内部隔室への1つ以上の通路を含む。いくつかの実施形態では、内部隔室へのコンテナ通路は、任意の大きさのもの、例えば、物品をコンテナへと及びコンテナから送るのに好適な任意の大きさのものであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、コンテナ通路は、導管若しくはチューブをコンテナに送るのに好適であり得るか、又は細胞培養容器を通すほど十分に大きなものであり得る。コンテナ通路は、例えば、円形、楕円形、多角形、矩形等を含む任意の適切な形状のものであり得る。いくつかの実施形態では、コンテナ通路は、約500μm〜約5mm、約750μm〜約3mm、約1mm〜約2mm、約2cm〜約15cm、又は約10cm〜約25cmの範囲の直径、対角線又は他の断面寸法を有してもよい。いくつかの実施形態では、コンテナ通路は、0.25mm2〜25mm2、0.5mm2〜9mm2、1mm2〜4mm2、4cm2〜250cm2、100cm2〜600cm2、0.25mm2〜5cm2、5mm2〜15cm2、5mm2〜25cm2、又は0.25mm2〜600cm2の範囲の断面積を有してもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載されているコンテナは、コンテナ通路を開放及び閉鎖するように構成された可動構造体を更に含む。例えば、コンテナは、コンテナの1つの通路を覆う扉を含んでもよい。いくつかの実施形態では、可動構造体(例えば、扉)は、通路を取り囲むコンテナの表面と接続するように構成されたシールを含む。シールは、任意の適切な材料、例えば、グリース、及び/又はOリング、ガスケット、セプタ、KF、LF、QF、クイックカップリングなどの機械的要素、又は他の封止機構で作製することができる。いくつかの実施形態では、シールはガス不透過性及び液体不透過性である。いくつかの実施形態では、可動構造体(例えば、扉)はヒンジを含み、ヒンジは、隔室に接続されており(例えば、物理的に接続している)、可動構造体が開位置と閉位置との間で回転することを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、可動構造体は、遠隔制御ユニットからの入力信号に応じて開位置と閉位置との間で自動的に移行するように構成されている。
いくつかの実施形態では、可動構造体(例えば、扉)は、光学的に透明である。いくつかの実施形態では、1つ以上の壁のそれぞれは、光学的に透明である。任意の特定の理論に拘束されることを望むものではないが、移動可能構造体及び/又は壁に光学的に透明な材料を使用することで、コンテナ内の容器で培養されている細胞を、培養物をコンテナから取り出すことなく監視、観察又は撮像することが可能になる。例えば、細胞培養物のpHは、pH応答性培養培地の色を、隔室の光学的に透明な壁又は扉を通して観察することにより監視されてもよい。別の例では、光学的に透明な壁又は扉により、培養物をコンテナから取り出すことなく顕微鏡法(例えば、位相コントラスト顕微鏡法、蛍光顕微鏡法)によって細胞培養物を撮像することが可能になる。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載されているコンテナは、第2のコンテナと接続するように構成された少なくとも1つの外部部分を更に含む。例えば、コンテナは、2つのコンテナをモジュラー式に物理的に接合する(例えば、接続する)ことを可能にするさね継ぎシステムなどの1つ以上のタブ又はスロットを含んでもよい。コンテナ間の物理的接続部は、永久的又は一時的なものであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書により記載される複数のコンテナは、モジュラー式に物理的に接続されており、コンテナの「ラック」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、複数のコンテナは、2個〜100個のコンテナを含む。いくつかの実施形態では、複数のコンテナは、10個〜75個のコンテナを含む。いくつかの実施形態では、複数のコンテナは約15個〜25個のコンテナを含む。いくつかの実施形態では、複数のコンテナは約5個〜50個のコンテナを含む。いくつかの実施形態では、複数のコンテナは100個を超えるコンテナを含む。
細胞培養容器
本明細書で使用する場合、「細胞培養容器」は、ハウジングと、細胞を培養するための1つ以上のチャンバとを含むデバイスである。いくつかの実施形態では、ハウジングはフレームである。フレームは蓋に結合されていてもよい。1つ以上のチャンバは、1つ以上の膜を含む細胞培養培地を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、細胞の増殖を促進するための栄養素を含んでもよい。ある実施形態では、細胞培養容器は、1つ以上の細胞又はその群を完全に密封してもよい。細胞培養容器のハウジングは、細胞培養容器とその周囲環境との間におけるガスの移動を可能にするための1つ以上の通路を含んでもよい。ある実施形態では、細胞培養容器は、透明な又は光学的に透明な窓を含む。例えば、細胞培養容器のハウジングに結合された蓋は、例えば、顕微鏡又は他のイメージャによって細胞を観察するための光学的に透明な部分を含んでもよい。
種々のタイプの細胞培養容器を、本明細書中に記載されるコンテナとともに使用することができる。細胞培養容器は、ガラス、プラスチック、又はシリコーンなどの任意の非反応性の生体適合性材料から作製することができる。概して、細胞培養容器は、ボトル、フラスコ、バイアル、バッグ、管、又は培養プレートへと形成されている。いくつかの実施形態では、細胞培養容器はバイアルである。いくつかの実施形態では、細胞培養容器はボトル又はフラスコである。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は培養プレートである。いくつかの実施形態では、プレートは細胞培養皿である。いくつかの実施形態では、プレートはマルチウェル培養プレートである。概して、マルチウェルプレートは、96、384、又は1536ウェルのアレイを含む。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、実質的に非反射性の1つ以上の部分を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養容器にはバーコードが付されている。いくつかの実施形態では、インキュベータはバーコードリーダを含む。
細胞培養方法
一態様では、本明細書は、細胞を培養するための方法を提供する。この方法は、細胞培養容器内で細胞を培養することを含み、細胞培養容器は、コンテナ内に存在し、コンテナは、細胞培養容器を隔室内部内に密閉するように構成された1つ以上の壁を有する隔室を含み、隔室の少なくとも1つの壁の一部分は、水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜を含む。いくつかの実施形態では、コンテナは、細胞培養インキュベータ内に存在する。いくつかの実施形態では、細胞培養インキュベータは非加湿細胞培養インキュベータである。
本明細書で使用する場合、「細胞培養」とは、制御された条件下(例えば、生体外)で細胞を維持し且つ/又は増殖させるための手順を意味する。いくつかの実施形態では、細胞は、細胞増殖及び複製を促進するための条件、組換え産物の発現を促進するための条件、分化(例えば、1種以上の組織特有の細胞タイプへの)を促進するための条件、又はこれらの2つ以上の組み合わせの下で培養される。
本明細書で使用する場合、用語「哺乳動物細胞サンプル」とは、哺乳動物対象から得た任意の細胞を意味する。哺乳動物対象の非限定的な例としては、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウマ、イヌ、ネコ、及びモルモットが挙げられる。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞サンプルはヒトから得られる。
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、固形組織及び臓器が挙げられるがこれらに限定されない組織又は臓器(例えば、ヒト組織又は臓器)から単離される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、胎盤、臍帯、骨髄、肝臓、臍帯血を含む血液、又は任意の他の適切な組織から単離することができる。いくつかの実施形態では、患者個体別の細胞サンプルは、培養のために(例えば、細胞増殖及び任意選択的に分化のために)、及び後の同一患者又は異なる患者への再移植のために患者から単離される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるインキュベータ内で増殖させた細胞は、同種又は自家治療のために使用してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるインキュベータ内で増殖させた細胞は、免疫療法(例えば、キメラ抗原受容体治療(CAR−T)、又はCRISPR/Cas修飾細胞の送達)を提供する目的で遺伝子操作、増殖及び患者に再導入してもよい。
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書中に記載されるインキュベータ内における生体外培養のために組織又は生物学的サンプルから単離される。いくつかの実施形態では、細胞(例えば、白血球細胞)は血液から単離される。いくつかの実施形態では、細胞は、物理的破壊及び/又は酵素的破壊を用いて組織又は生物学的サンプルから剥離される。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼ、トリプシン又はプロナーゼなどの1種以上の酵素を使用して細胞外マトリックスを消化する。いくつかの実施形態では、組織又は生物学的サンプルを(例えば、物理的破壊又は酵素的破壊あり又はなしで)培地に入れ、剥離して培地中で増殖させた細胞を更なる培養のために単離することができる。
本明細書中に記載される方法は、種々の哺乳動物細胞タイプを培養するのに適している。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞サンプルは、自己細胞治療に有用な細胞である。本明細書で使用する場合、用語「自己細胞治療」とは、培養した細胞を、細胞を取得した個体に再び植込むか、移植するか、注入するか、又は移すことを意味する。例えば、対象の免疫応答を強化するために、癌を有する対象から免疫細胞を取得し、細胞培養物へと増殖させ、癌に対する抗原でプライミング処理し、患者に再導入してもよい。自己培養に有用な細胞の例としては、幹細胞(例えば、造血幹細胞、体性幹細胞、全能性幹細胞、多分化能幹細胞、胎児幹細胞、ES細胞、間葉系幹細胞、及び人工多能性幹細胞)、前駆細胞(例えば、衛星細胞、神経前駆細胞、骨髄間質細胞、膵前駆細胞、血管芽細胞、及び内皮前駆細胞)、免疫細胞(例えば、Tリンパ球、樹状細胞)、並びに分化細胞(上皮細胞、心筋細胞、線維芽細胞、及び軟骨細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるコンテナは、細胞培養物の増殖のための無菌環境を提供する。本明細書で使用する場合、用語「無菌環境」は、汚染物質のない環境を意味する。例えば、培養物の非無菌撮像によって細胞培養物に病原体又は他の汚染物質を導入する可能性があることから、細胞培養物は無菌環境で撮像されることが望ましい場合がある。汚染物質としては、細菌(例えば、病原菌及び非病原菌)、ウイルス(例えば、病原性ウイルス及び非病原性ウイルス)、かび、胞子、及び埃が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、汚染物質は細胞である。例えば、異なる対象から取得した細胞が同時に培養される場合、交差汚染(即ち、1つの培養物から異なる培養物への細胞又は培地の導入)が起こらないように、材料の無菌移動が必要である。
増殖及び操作中における細胞培養物の汚染を防止するか又は最小限にするために無菌技術が使用され得る。いくつかの実施形態では、細胞培養のために使用される機器(例えば、ピペット、流体ハンドリングデバイス、操作デバイス、他の自動化又はロボットデバイス等)は適切な技術を用いて滅菌される。非限定的な技術としては、本明細書中に記載される、熱曝露(例えば、高圧蒸気殺菌)、表面消毒(例えば、アルコール、漂白剤、又は他の消毒剤を用いる)、消毒ガス(例えば、オゾン、過酸化水素等)の照射及び/又は曝露が挙げられる。いくつかの実施形態では、培地は適切な技術を用いて滅菌される。非限定的な技術としては、熱曝露(例えば、高圧蒸気殺菌)、抗菌/抗ウイルス処理、ろ過及び/又は照射が挙げられる。
いくつかの実施形態では、細胞培養の操作は、無菌条件下、例えば、消毒され、空気をろ過して潜在的汚染物質を除去した(例えばインキュベータチャンバ内の)環境中で実施される。
いくつかの実施形態では、細胞培養物は、GMP準拠培地又はGMP準拠液体ハンドリング機器の使用を含むものを含む、GMP準拠条件下で増殖及び維持される。いくつかの場合、細胞培養物は、方法を標準作業手順(SOP)とともに実施することによって増殖及び維持される。
いくつかの態様において、本明細書は、光学的に透明な壁又は扉を含む細胞培養容器コンテナに関する。本明細書中に記載されるコンテナの1つ以上の側部の光学的透明性により、コンテナ内部の細胞培養物を無菌的に監視又は観察することが可能になる。いくつかの実施形態では、細胞培養物は汚染を検出するために監視及び/又は評価され得る。いくつかの実施形態では、異なる種類の生体の細胞による汚染を検出することができる。いくつかの実施形態では、マイコプラズマ、細菌、酵母、又はウイルスによる哺乳動物細胞培養物の汚染は任意の適切な技術を用いて検出することができる。いくつかの実施形態では、細胞培養物の汚染は、汚染(例えば、細菌又は酵母による)の特徴であり、培養で増殖している細胞(例えば、哺乳動物細胞)の特徴ではないpH、濁度等などの1つ以上の培養特性の変化又は変化率についてアッセイすることによって検出することができる。いくつかの実施形態では、1種以上の分子検出アッセイ(例えば、PCR、ELISA、RNAラベリング、又は他の酵素学的手法)又は細胞ベースアッセイを用いて、汚染(例えば、マイコプラズマ、細菌、酵母、ウイルス、又は他の汚染)を検出することができる。
いくつかの実施形態では、細胞培養物は、類似タイプの細胞による汚染(例えば、異なるヒト細胞又は異なる哺乳動物細胞によって汚染されたヒト細胞系)を検出するために監視及び/又は評価され得る。いくつかの実施形態では、細胞培養物及びその潜在的汚染は、DNAシーケンシング若しくはDNAフィンガープリント法(例えば、短鎖縦列反復配列−STR−フィンガープリント法)、アイソザイム分析、ヒトリンパ球抗原(HLA)判定、染色体分析、核型分析、細胞形態、又は他の手法を使用して評価することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるコンテナ又は方法を使用して産生される細胞は、凍結し、それらを後の使用及び/又は輸送のために保存することができる。いくつかの実施形態では、細胞は増殖及び/又は分化後並びに凍結前に凍結保存組成物と混合される。凍結保存組成物を細胞培養容器に添加することができ、又は細胞を凍結保存組成物とともに細胞培養容器から凍結保存容器に移すことができる。凍結保存組成物に含まれ得る凍結保護物質の非限定的な例としては、DMSO、グリセロール、PEG、スクロース、トレハロース、及びデキストロースが挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞培養物から単離された細胞の凍結を容易にするためにインキュベータの構成要素としてフリーザーを設けてもよい。例えば、1つ以上のフリーザーを内部チャンバ内に配置してもよく、及び/又はインキュベータキャビネットに(例えば、インキュベータキャビネットの壁に)組み込んでもよい。
いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、特定の目的、例えば、細胞増殖、細胞分化、細胞を特定の検定条件に曝す等のために所望される1種以上の試薬を予めキット化してもよい。いくつかの実施形態では、予めキット化された細胞培養容器は、実験前に、細胞培養において特定の実験を実施するために有用な試薬(例えば、細胞増殖培地、増殖因子、選択剤、標識剤等)を含む。予めキット化された細胞培養容器は、試薬の添加を必要としない細胞培養の準備が整った容器を提供することによって実験プロトコルを容易にしてもよい。例えば、自己細胞治療のために分化細胞の個体群を増殖する目的のため、細胞分化用の試薬が予めキット化された細胞培養容器に患者の前駆細胞を添加してもよい。予めキット化された細胞培養容器は、予めキット化された細胞培養容器内の試薬の推奨貯蔵パラメータによって決定される任意の適切な温度で貯蔵することができる。いくつかの実施形態では、予めキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用前に約−80℃〜約37℃の温度で貯蔵されている。いくつかの実施形態では、予めキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用前に約−80℃〜約−20℃の温度で貯蔵されている。いくつかの実施形態では、予めキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用前に約−20℃〜約4℃の温度で貯蔵されている。いくつかの実施形態では、予めキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用前に約4℃〜約37℃の温度で貯蔵されている。いくつかの実施形態では、予めキット化された細胞培養容器は使い捨てである。いくつかの実施形態では、予めキット化された細胞培養容器は再利用可能及び/又は再充填可能である。
いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、懸濁細胞の培養用に構成されている。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、付着細胞の培養用に構成されている。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、2D又は3D細胞培養用に構成されている。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、細胞増殖を支持するための1つ以上の表面又はマイクロキャリアを含む。いくつかの実施形態では、これらは、接着性を増加するため、並びに増殖及び分化のために必要な他のシグナルを与えるために、細胞外マトリックス成分(例えば、コラーゲン、フィブリン及び/又はラミニン成分)で被覆されている。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、細胞増殖を支持するために、ポリアクリルアミド又はポリエチレングリコール(PEG)ゲルなどの1種以上の合成ヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、栄養素(例えば、特定の細菌又は酵母培養のための例えばゲル又は寒天)を埋め込んだ固体支持体を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は液体培地を含む。
いくつかの実施形態では、増殖培地は細胞培養容器内に無菌的に導入される。本明細書で使用する場合、用語「増殖培地」とは、細胞の生存率を維持し、増殖を支持する栄養素を含む、細胞を培養するための培地を意味する。場合により、細胞を培養するための種々のパラメータ及び条件が使用され得る。増殖培地は以下の栄養素、即ち、塩、緩衝剤、アミノ酸、グルコース、又は他の糖、抗生物質、血清、又は血清置換物、及びペプチド増殖因子などの他の成分等のいずれかを適切な量及び組み合わせで含んでもよい。増殖培地は当技術分野で周知であり、天然培地又は人工培地として分類されてもよい。細胞培養培地の例としては、Minimum Essential Medium(MEM)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)、及びRoswell Park Memorial Institute Medium(RPMI)が挙げられるが、これらに限定されない。細胞を培養するための適切な培地を選択してもよい。
いくつかの実施形態では、細胞は任意の適切な培養培地のうちの1つで培養される。異なる範囲のpH、グルコース濃度、増殖因子、及び他のサプリメントを有する異なる培養培地は異なる細胞タイプ又は異なる用途に対して使用することができる。いくつかの実施形態では、特別仕様の細胞培養培地、又はDulbecco’s Modified Eagle Medium、Minimum Essential Medium、RPMI培地、HA若しくはHAT培地、若しくはLife Technologies若しくは他の商業的供給元から入手可能な他の培地などの市販の細胞培養培地を使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、血清(例えば、ウシ胎仔血清、子ウシ血清、ウマ血清、ブタ血清、又は他の血清)を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は血清を含まない。いくつかの実施形態では、細胞培養培地はヒト血小板溶解物(hPL)を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、1種以上の抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、アンピシリン、カルベニシリン、セフォタキシム、ホスミドマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン、ペニシリンストレプトマイシン、ポリミキシンB、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、若しくは任意の他の適切な抗生物質、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、1種以上の塩類(例えば、平衡塩類、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等)を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は炭酸水素ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は1種以上の緩衝剤(例えば、HEPES又は他の適切な緩衝剤)を含む。いくつかの実施形態では、1種以上のサプリメントが含まれる。サプリメントの非限定的な例としては、還元剤(例えば、2−メルカプトエタノール)、アミノ酸、コレステロールサプリメント、ビタミン、トランスフェリン、界面活性剤(例えば、非イオン界面活性剤)、CHOサプリメント、初代細胞サプリメント、酵母溶液、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、1種以上の増殖又は分化因子が細胞培養培地に添加される。増殖又は分化因子(例えば、WNT系タンパク質、BMP系タンパク質、IGF系タンパク質等)を個々に又は組み合わせて、例えば特定系統への分化を引き起こす異なる因子を含む分化混合物(differentiation cocktail)として添加することができる。増殖又は分化因子及び液体培地の他の態様は、本明細書中に記載されるインキュベータの一部として組み込まれた自動液体ハンドラを用いて添加することができる。
いくつかの実施形態では、生物学的材料は細胞培養容器内に無菌的に導入される。生物学的材料の例としては、増殖因子、核酸、及び発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。増殖因子は、細胞増殖、増殖、治癒及び/又は分化を刺激する天然物質である。概して、増殖因子はタンパク質又はステロイドホルモンである。哺乳動物細胞培養に関連して、増殖因子は、細胞周期を制御するために又は培養した細胞の増殖若しくは分化を誘発するために培養培地に導入してもよい。増殖因子の非限定的な例としては、アンジオポエチン、骨形態形成タンパク質(BMP)、表皮細胞成長因子(EGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インスリン様増殖因子(IGF)、神経成長因子(NGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、及び血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、生物学的材料は核酸又は発現ベクターである。例えば、体細胞は、遺伝物質コード化リプログラミングタンパク質因子(genetic material encoding reprogramming protein factors)及びマイクロRNAの導入により「リプログラミング」されて人工幹細胞になることができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法には、細胞培養容器への核酸又は発現ベクターの無菌導入が更に含まれる。いくつかの実施形態では、細胞培養物に核酸が導入される。核酸の例としては、DNA、RNA、siRNA、miRNA、ami−RNA、shRNA、及びdsRNAが挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞培養容器に発現ベクターが導入される。用語「発現ベクター」とは、異質遺伝物質を別の細胞に人為的に輸送し、この細胞の遺伝物質を発現させることが可能な組換え分子を意味する。発現ベクターは、一般に、トランスフェクションベクター及び形質導入ベクターとして分類することができる。トランスフェクションベクター(例えば、DNAベースのプラスミドベクター)は、一般に、遺伝物質を細胞にウイルスを媒介せずに転写するために使用される。形質導入ベクター(例えば、レンチバイタル(lentivital)ベクター、AAVベクター、rAAVベクター、及びレトロウイルスベクター)が一般に細胞への遺伝物質のウイルスを媒介した転写のために使用される。いくつかの実施形態では、発現ベクターは導入遺伝子を含む。発現ベクターの導入遺伝子配列の構成は得られるベクターの用途に依存する。例えば、あるタイプの導入遺伝子配列は、発現すると検出可能なシグナルを生成するレポーター配列を含む。別の例では、導入遺伝子は治療用タンパク質又は治療用機能的RNAをコード化する。
一部の態様では、本明細書は、細胞を制御された条件下(例えば、無菌条件及び/又は滅菌条件下)で監視するための方法に関する。一部の態様では、本明細書中に記載される方法は、細胞培養(例えば、組換えタンパク質発現のために細胞を増殖及び維持するため、又は移植などの治療的用途のために細胞を増殖させ且つ/若しくは分化するため)に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるインキュベータの内部の条件(例えば、環境)が監視される。いくつかの場合、インキュベータ内部の温度、湿度、二酸化炭素、酸素、及び他の気体成分を監視してもよい。いくつかの実施形態では、増殖培地の条件(例えば、温度、酸素、二酸化炭素、及びpH)が監視される。増殖培地の条件は、プローブ及びセンサによって直接、又は比色定量(例えば、培地はフェノールレッドを含む)若しくは撮像技術(例えば、赤外線若しくは熱撮像)により間接的に監視することができる。いくつかの実施形態では、増殖培地及び細胞の条件は、増殖培地及び細胞を含む一定分量を培養容器から無菌的に取り出し、この一定分量を培養容器の外部の場所で分析することによって監視される。いくつかの実施形態では、この一定分量は、増殖培地から細胞を分離するために例えば遠心分離によってろ過される。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるコンテナ及び方法は、培養培地を栄養物の枯渇、pH変化、温度変化、アポトーシス細胞若しくは壊死細胞の蓄積、及び/若しくは細胞密度に関して監視又はアッセイするために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるコンテナ及び方法は、培養培地若しくは条件を修正若しくは変更するために、及び/又は適宜、細胞培養を継代するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法は自動化される。
細胞培養システム
いくつかの態様では、本明細書は、インキュベータキャビネットを含む細胞培養システムに関する。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるインキュベータキャビネットは、非加湿インキュベータキャビネットである。任意の特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書中に記載される細胞培養容器コンテナは、非加湿インキュベータ内で哺乳動物の細胞を培養するための加湿副環境を提供する。本明細書で使用する場合、「非加湿インキュベータキャビネット」とは、加湿源(例えば、開放水源、加湿器等)のないインキュベータキャビネットを意味する。いくつかの実施形態では、非加湿インキュベータキャビネットは1つ以上の電子デバイスを含む。
本明細書で使用する場合、「インキュベータキャビネット」は、1つ以上の細胞培養容器を保持するように構成された1つ以上のチャンバを含むハウジングである。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、本明細書中に記載される1つ以上のコンテナを保持するように構成されている。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、本明細書中に記載されるコンテナのラックを保持するように構成されている。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、本明細書中に記載されるコンテナの2つ以上の多いラックを保持するように構成されている。
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネット(例えば、非加湿インキュベータキャビネット)は、移動チャンバ及び内部チャンバを含み、この1つ又は両方は、1つ以上のコンテナを保持するように構成されている。いくつかの実施形態では、インキュベータは、1つ以上のガス源(例えば、ガスシリンダ又はオゾン発生器)、(例えば、水、蒸留水、脱イオン水、細胞培養培地、空気、二酸化炭素、オゾン、及び酸素などの1種以上の液体又はガスを運ぶための)管類、エアフロー機構(例えば、弁、放出弁、ピンホール、ガス調整器、及び質量流量調整器)、圧力機構(例えば、ドライスクロールポンプ、回転ポンプ、運動量輸送ポンプ、拡散ポンプ、又はダイアフラムポンプなどのポンプ、吸引管、真空システム、及び送風機)、環境監視及び制御部(例えば、二酸化炭素、酸素、及びオゾンなどのガスの濃度を検出し且つ/又は制御するためのガスセンサ及び/又はモニタ、熱源又はヒートシンク、温度監視部及び制御部、湿度監視部、ガススクラバ、エアフィルタ、粒子状物質を計測するための計器、圧力計、及びフローメータ)、扉(例えば、パネル)、窓(例えば、ガラス、プラスチック、複合材料、又はインキュベータキャビネット内部の領域を見るための他の実質的に透明な材料で作製された光学窓)、(例えば、1種以上のガス又は液体の導入又は除去を可能にするための)ポート、光源(例えば、ランプ、電球、レーザー、及びダイオード)、光学素子(例えば、顕微鏡対物レンズ、ミラー、レンズ、フィルタ、アパーチャ、波長板、窓、偏光子、ファイバー、ビームスプリッタ、及びビーム結合器)、撮像要素(例えば、カメラ、バーコードリーダ)、電気的要素(例えば、回路、ケーブル、電源コード、並びにバッテリー、発電機、及び直流又は交流電源などの電源)、コンピュータ、機械的要素(例えば、モータ、ホイール、ギヤ、ロボット要素、並びにアクチュエータ、例えば、空気式アクチュエータ、電磁アクチュエータ、カムを備えたモータ、圧電アクチュエータ、及びリードスクリューを備えたモータ)、並びに制御要素(例えば、スピンホイール、ボタン、キー、トグル、スイッチ、カーソル、スクリュー、ダイヤル、スクリーン、及びタッチスクリーン)などの1つ以上の他の要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの他の要素の1つ以上はインキュベータの一部であるが、インキュベータキャビネットの外部にある。いくつかの実施形態では、これらの他の要素の1つ以上はインキュベータキャビネット内に含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書は、細胞培養コンテナを含むインキュベータ(例えば、非加湿インキュベータ)、並びに細胞を制御された条件下(例えば、無菌条件及び/又は滅菌条件下)で培養、操作及び/又は監視するための方法に関する。いくつかの実施形態では、細胞培養インキュベータは、1つ以上の細胞培養容器内の細胞のインキュベーションのための内部チャンバを有するインキュベータキャビネットを含み、1つ以上の細胞培養容器のそれぞれは、本明細書中に記載されるコンテナ内に収容されている。いくつかの場合、移動チャンバから内部チャンバへの内部扉に加えて、インキュベータは、外部環境から直接内部チャンバへと開く少なくとも1つの外部扉(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上の外部扉)を含み、例えば、インキュベータが動作していない時間、例えばインキュベータの保守中における内部チャンバへの代替的なアクセスを提供する。いくつかの実施形態では、インキュベータは、内部チャンバ内において、1つ以上の細胞培養容器を貯蔵するための貯蔵場所を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネット(例えば、非加湿インキュベータ又はインキュベータキャビネット)は直方体様の形状である。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、1ft2〜16ft2の範囲の矩形設置面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、約1ft2、2ft2、3ft2、4ft2、5ft2、6ft2、7ft2、8ft2、9ft2、10ft2、11ft2、12ft2、13ft2、14ft2、15ft2、又は16ft2以下の矩形設置面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、1ft3〜100ft3の範囲のチャンバ総体積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、約1ft3、5ft3、10ft3、25ft3、50ft3又は100ft3以下のチャンバ体積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、0.09m2〜1.78m2の範囲の矩形設置面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、約0.1m2、0.2m2、0.3m2、0.4m2、0.5m2、0.6m2、0.7m2、0.8m2、0.9m2、1.0m2、1.1m2、1.2m2、1.3m2、1.4m2、1.5m2、1.6m2、又は1.7m2以下の矩形設置面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、0.03m3〜3m3の範囲のチャンバ総体積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書中で記載されるインキュベータ又はインキュベータキャビネットは、約0.03m3、0.1m3、0.3m3、1m3、又は3m3以下のチャンバ体積を有する。
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは単壁式である。いくつかの実施形態では、インキュベータは二重壁式である。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの二重壁間に絶縁材料が提供されており、キャビネットからの熱損失を制御し、キャビネット内の温度制御を容易にする。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの外壁は、薄板、例えば14〜20ゲージの冷間圧延鋼を含む。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの内壁(例えば、チャンバ表面)は電解研磨ステンレス鋼を含む。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの内壁(例えば、チャンバ表面)は、チタン、コバルト−クロム、タンタル、白金、ジルコニウム、ニオブ、ステンレス鋼、及びこれらの合金などの耐腐食性材料を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットのチャンバ表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの高分子材料、又はパリレンの商品名で知られる高分子材料を含む。いくつかの実施形態では、チャンバ表面は、高分子表面コーティングに導入された銅又は銀又は抗微生物化合物など、抗微生物性を有してもよい。
いくつかの実施形態では、インキュベータ(例えば、非加湿インキュベータ)はエアロック機構を含む。エアロック機構は、内部チャンバの外部環境への曝露又は外部環境の内部チャンバへの曝露の低減を促進するために使用してもよい。例えば、インキュベータキャビネットは、移動チャンバ及び内部チャンバに通じる外部扉を含んでもよく、移動チャンバと内部チャンバは内部扉を有する壁によって物理的に隔てられている。いくつかの実施形態では、エアロック機構を使用するために、一度に1つの扉が開かれる。例えば、オペレータは、外部扉を開いて移動チャンバへのアクセスを得てもよい。オペレータは、その後、ピペット先端部などの物品を移動チャンバ内に挿入してもよい。オペレータは、扉を直接操作することによって外部扉を操作してもよい。いくつかの実施形態では、オペレータは、例えば、扉の開放及び閉鎖を制御するように構成された自動化の使用により扉の動作を遠隔的に制御することによって扉を間接的に操作してもよい。いくつかの実施形態では、外部扉が開いている間、内部チャンバの扉は閉じたままである。いくつかの実施形態では、移動チャンバに物品が挿入された後、外部扉は閉じられる(例えば、オペレータによって直接的又は間接的に)。外部扉が閉じられると、移動チャンバ内の滅菌プロセスを使用し、挿入された物品を滅菌する。滅菌が完了すると、内部チャンバの扉を開き、滅菌された物品を移動チャンバから内部チャンバへと移動させる(例えば、1つ以上の移動デバイスによって)。
いくつかの実施形態では、移動チャンバ及び/又は内部チャンバは、例えば1つ以上の窓又は扉の周りに気密シール又はハーメチックシールを有してもよい。特定の実施形態では、グリースなどのシーラント及び/又はOリング、ガスケット、セプタ、KF、LF、QF、クイックカップリングなどの機械的要素、又は他の封止機構を使用して1つ以上の気密シールを確立してもよい。いくつかの実施形態では、溝、凹部、突起及び/又は成形プラスチック要素により、1つ以上の気密シールの確立を容易にしてもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータ(例えば、インキュベータキャビネットの内部チャンバ及び/又は移動チャンバ)は、(例えば、インキュベータの1つ以上のチャンバが滅菌された後に)閉じられると密閉されて無菌性を保持する1つ以上の窓及び/又は扉を含む。いくつかの実施形態では、インキュベータの各シールは閾値レベルの圧力以下(例えば、1atm以下)で気密である。いくつかの実施形態では、所望のレベルの密閉性能を確保するためにガスケットが提供される。一般に、「ガスケット」は、一般に、圧縮されている間の2つの物体間の漏れを防ぐために2つの物体間の空間を埋めるメカニカルシールと理解される。ガスケットは、一般に、ガスケットペーパー、ゴム、シリコーン、金属、コルク、フェルト、ネオプレン、ニトリルゴム、ガラス繊維、又はプラスチックポリマー(ポリクロロトリフルオロエチレンなど)などのシート材料を切断することによって作製される。多くの場合、ガスケットは、変形して、任意のわずかな不規則性を含むように設計されている空間を確実に埋めることができるように、ある程度の降伏を与える材料から作製されることが望ましい。いくつかの実施形態では、ガスケットは、適切に機能させるためにシーラントを直接ガスケット表面に取り付けて使用することができる。いくつかの実施形態では、ガスケット材料は、二酸化炭素又はオゾンと反応しない独立気泡ネオプレンフォームであり得る。
内部チャンバ
本明細書で使用する場合、「内部チャンバ」は、インキュベータキャビネット(例えば、非加湿インキュベータキャビネット)内に配置されたチャンバである。内部チャンバは、1つ以上の窓(例えば、ガラス、プラスチック、複合材料、又はインキュベータキャビネット内部の領域を見るための他の実質的に透明な材料で作製された光学窓)を含んでもよい。内部チャンバは、(例えば、内部チャンバへの又は内部チャンバからの物品の移動を可能にするための)少なくとも1つの扉を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの扉は内部チャンバと移動チャンバとの間に配置されてもよい。ある実施形態では、インターロックにより、望ましくないとき(例えば、インキュベータキャビネットの一部分が周囲環境へと開いているとき、汚染物質が内部チャンバに入ることができないように)に扉が開くことを防止してもよい。内部チャンバは任意の適切な大きさ及び幾何学的形状のものであってもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは2つ以上の内部チャンバを含んでもよい。他の実施形態では、内部チャンバは、内部チャンバの異なる領域を画定するために1つ以上の隔壁を含んでもよい。1つ以上の内部チャンバ又はその隔壁は異なる環境条件を有してもよい。内部チャンバ内部の環境(例えば、気圧、ガス含有量、温度、光、及び湿度)は、1つ以上の計器、モニタ、センサ、制御部、ポンプ、弁、アパーチャ及び/又は光源によって測定及び/又は制御されてもよい。いくつかの実施形態では、内部チャンバは、例えば1つ以上の窓又は扉の周りに気密シール又はハ一メチックシールを有してもよい。特定の実施形態では、グリースなどのシーラント及び/又はOリング、ガスケット、セプタ、KF、LF、QF、クイックカップリングなどの機械的要素、又は他の封止機構を使用して、1つ以上の気密シールを確立してもよい。いくつかの実施形態では、溝、凹部、突起及び/又は成形プラスチック要素により、1つ以上の気密シールの確立を容易にしてもよい。
内部チャンバは任意の有用な材料で作製してもよい。いくつかの実施形態では、内部チャンバは、1種以上のプラスチック、ポリマー、金属、又はガラスを含んでもよい。
本明細書で使用する場合、「扉」は、開いているときに2つ以上の環境又は領域間の連通を可能にし、閉じているときに2つ以上の環境又は領域間の連通を防止する要素である。扉は、スライドドア、ポケットドア、スイングドア、ヒンジドア、回転ドア、ピボットドア、又はフォールディングドアなどの任意の種類のものであってもよい。扉は手動で、機械的に、又は電気的に動作してもよい。例えば、オペレータは扉若しくはその要素(例えば、ハンドル)を手動で把持し、引き、押し、及び/又はそうでなければ扉若しくはその要素(例えば、ハンドル)と物理的に相互作用することにより、又は機械的制御部(例えば、ボタン、トグル、スピンホイール、キー、スイッチ、カーソル、スクリュー、ダイヤル、スクリーン、又はタッチスクリーン)を操作することにより扉を開放及び閉鎖してもよい。ある実施形態では、扉は、コンピュータなどによる電気又はデジタル制御によって制御してもよい。扉は自動的に開く扉であってもよい。例えば、扉は、扉が開いているか閉じているかを検出し、及び/又は扉がいつ開放及び閉鎖するかを制御する、圧力センサ、赤外線センサ、モーションセンサ又はリモートセンサなどのセンサを含んでもよい。扉は、機械的、空気的、電気的、又は他の手段によって開いてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の扉は1つ以上のロック機構を含んでもよい。特定の環境では、1つ以上の扉は、1つ以上の扉が望ましくないとき(例えば、1つ以上のチャンバが外部環境に対して開かれているとき)に開くことを防止するために、1つ以上のインターロック(例えば、ピン、バー、若しくはロックなどの機械的インターロック、又はスイッチなどの電気的インターロック)を含んでもよい。
1つ以上の物品を移動するための移動デバイスを使用して、移動チャンバと内部チャンバとの間で物品を移動してもよい。いくつかの実施形態では、移動デバイスは、コンベヤベルト又は物品を操作するための他の類似のデバイスを含む。移動デバイスによって移動させることができる物品の非限定的な例としては、細胞培養容器コンテナ(例えば、細胞培養容器コンテナのラック)、細胞培養容器、ピペット、コンテナ、シリンジ、並びに細胞の培養で用いられる他の材料及び器具が挙げられる。いくつかの実施形態では、2つ以上の移動デバイスが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、移動チャンバ及び/又は内部チャンバ内に1つ以上の移動デバイスが配置されている。いくつかの実施形態では、移動デバイスは1つ以上のロボット要素を含んでもよい。例えば、移動デバイスは、1つ以上の物品(例えば、ピペット)を把持し、持ち上げ、押し、つかみ、摺動させ、回転させ、並進させ、放し、上げ、下げ、及び/又は傾けることが可能な1つ以上のロボットアームを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、移動デバイスは細胞培養容器コンテナ移動デバイスである。本明細書で使用する場合、「細胞培養容器コンテナ移動デバイス」は、1つ以上の細胞培養容器コンテナを第1の場所から第2の場所へ移動することができるデバイスを意味する。いくつかの実施形態では、移動デバイスは内部チャンバ内に固定されている。ある実施形態では、移動デバイスは、1つ以上の物品をインキュベータキャビネット内の複数の場所へ、又はインキュベータキャビネット内の複数の場所から移動してもよい。例えば、細胞培養容器コンテナ移動デバイスを使用して、細胞培養容器コンテナを移動チャンバから内部チャンバへ、及び/又は貯蔵場所(例えば、細胞培養容器コンテナのラック)から撮像場所へ移動させてもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、1つ以上の物品を移動するための2つ以上の移動デバイス(例えば、チャンバ間及びチャンバ内で物品を移動するための別個の移動デバイス)を含む。細胞培養容器コンテナ移動デバイスは、弁(例えば、電磁弁又は空気弁)、ギヤ、モータ(例えば、電気モータ又はステッピングモータ)、ステージ(例えば、xyステージ又はxyzステージ)、ピストン、ブレーキ、ケーブル、ボールスクリューアセンブリ、ラックアンドピニオン機構、グリッパ、アーム、ピボットポイント、ジョイント、並進要素、又は他の機械的若しくは電気的要素などの1つ以上の要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細胞培養容器コンテナ移動デバイスは1つ以上のロボット要素を含んでもよい。例えば、細胞培養容器コンテナ移動デバイスは、1つ以上の細胞培養容器を把持し、持ち上げ、押し、つかみ、摺動させ、回転させ、並進させ、放し、上げ、下げ、及び/又は傾けることが可能なロボットアームを含んでもよい。好ましい実施形態では、細胞培養容器コンテナ移動デバイスは、1つ以上の細胞培養容器コンテナを選択的に且つ解放可能に把持する。ある実施形態では、細胞培養容器コンテナ移動デバイスは、機械的グリッパに結合されたアームを含んでもよい。例えば、アームは、一端に又はその近傍に、細胞培養容器コンテナを解放可能に把持するための機械的グリッパを含んでもよく、他端に又はその近傍においてインキュベータの表面又は要素に確実に結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、機械的グリッパがアームに結合する箇所であるピボットポイントと、アームに沿ったアームの一部分のフレキシブルな回転及び並進を可能にするための1つ以上のピボット及び/又は並進ジョイントとを含む。このようにして、ロボットアームは、インキュベータキャビネット内の(例えば、内部チャンバ内の貯蔵アレイ内の)異なる水平位置及び垂直位置にある1つ以上の細胞培養容器コンテナにアクセスしてもよい。
いくつかの態様では、本明細書は、細胞培養コンテナ移動デバイスを提供し、この細胞培養コンテナ移動デバイスは、2つの水平対向平行アームに取り付けられた、直線状に移動するクランクスライダ機構を含む。各アームは1つ以上のグリッパを含む。いくつかの実施形態では、クランクスライダ機構は単一レールに沿って移動する。いくつかの実施形態では、クランクスライダ機構は2つの(例えば、2つの平行)レールに沿って移動する。いくつかの実施形態では、1つ以上のグリッパは、マイクロプレートに接触する(例えば、保持し、固定し、且つ/又は持ち上げる)ように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、細胞培養コンテナ移動デバイスの各グリッパは、細胞培養コンテナ(例えば、マイクロプレート)に確実に接触するための1つ以上の表面(例えば、パッド)を含む。マイクロプレートに接触するように構成された表面は、ゴム、金属(例えば、磁気)、又はプラスチックであり得る。いくつかの実施形態では、細胞培養コンテナ移動デバイスは、本明細書によって記載される選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナ内に又はその外に細胞培養コンテナを移動するように構成されている。
いくつかの態様では、本開示は、マルチウェル培養プレートを移動するためのデバイスを提供し、デバイスは、支持構造体と、支持構造体に取り付けられたモータであって、ロータと、支持構造体のガイドレールの長手方向軸線に沿って並進するように構成されたプレートホルダであって、ガイドレールの長手方向軸線に平行に延びている2つの対向するアームを含み、各アームは、マルチウェル培養プレートと係合するための1つ以上の接触面を含む、プレートホルダとを含むモータと、ロータに結合されている近位領域と、プレートホルダに結合されている遠位領域と、近位領域と遠位領域との間に配置されているエルボとを含むマニピュレータアームであって、ロータを介して与えられるトルクをプレートホルダに与えられる並進力に変換し、プレートホルダをガイドレールの長手方向軸線に沿って並進させるように構成されたマニピュレータアームとを含む。
いくつかの実施形態では、細胞培養容器コンテナ移動デバイスは自動移動デバイスである。例えば、自動移動デバイスはロボットアームであってもよく、ロボットアームは、インキュベータの内部チャンバ内の貯蔵場所からインキュベータの内部チャンバ内の撮像場所へと細胞培養容器コンテナを移動するようにプログラムされたコンピュータによって制御される。いくつかの実施形態では、細胞培養容器コンテナ移動デバイスは手動で操作される。例えば、細胞培養容器コンテナをインキュベータの内部チャンバ内の貯蔵場所(例えば、細胞培養容器コンテナのラック)からインキュベータの内部チャンバ内の撮像場所へと移動するために、インキュベータの内部チャンバ内に配置されたロボットアームは、インキュベータの内部チャンバの外部の位置からユーザが制御するジョイスティックによって操作されてもよい。
本明細書で使用する場合、「貯蔵場所」とは、1つ以上の細胞培養容器が貯蔵される(例えば、インキュベータキャビネット内の)場所を意味する。例えば、1つ以上の細胞培養容器コンテナ(例えば、細胞培養容器コンテナのラック)を貯蔵場所で貯蔵し、後に異なる場所(例えば、撮像場所)に移動させてもよい。貯蔵場所はインキュベータキャビネットの内部チャンバ内に配置されてもよい。貯蔵場所は、複数の細胞培養容器コンテナ(例えば、細胞培養容器コンテナのラック)を貯蔵するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所は、細胞培養容器コンテナを水平に貯蔵するように構成されてもよい一方、他の実施形態では、貯蔵場所は、細胞培養容器コンテナを垂直に貯蔵するように構成されてもよい。例えば、貯蔵場所は、互いに垂直に積み重ねられた細胞培養容器を受け入れるための複数のスロットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の細胞培養容器コンテナのそれぞれは、第2のコンテナと接続するように構成された少なくとも1つの外部部分を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養容器コンテナの自己支持ラックが形成されるように、複数の細胞培養容器コンテナは、モジュラー式に物理的に連結することができる。貯蔵場所(例えば、細胞培養容器コンテナのラック)は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、又は任意の他の個数の細胞培養容器コンテナを保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所は、100個超の細胞培養容器コンテナを保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所の各細胞培養容器は異なる被検者の細胞を収容している。いくつかの実施形態では、貯蔵場所には、1つ以上の貯蔵アレイ、ラック、棚、仕切り、分類棚、トレー、スロット、又は他の位置若しくは機構を移動するための機構を含んでもよい。例えば、貯蔵場所には、貯蔵ラックを内部チャンバ内の1つの位置から内部チャンバ内の別の位置へと移動して、例えば異なる位置に貯蔵された1つ以上の細胞培養容器コンテナへのアクセスを容易にするための1つ以上のモータと、可動ステージ(例えば、xyステージ又はxyzステージ)とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネット(例えば、非加湿インキュベータキャビネット)は、1つ以上の細胞培養容器コンテナを移動するための1つ以上の細胞培養容器コンテナ移動デバイスを含んでもよい。
貯蔵場所は、1つ以上の細胞培養容器コンテナを確実に保持するか又は受け入れるように構成されてもよい。例えば、貯蔵場所の1つ以上の構成要素は、1つ以上の粘着的、磁気的、電気的及び/又は機械的構成要素(例えば、スナップ、締結具、ロック、止め金、ガスケット、Oリング、セプタ、ばね、及び他の係合部材)を有する1つ以上のロック機構を含んでもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所及び/又は細胞培養容器コンテナは、1つ以上の溝若しくは凹部を含んでもよく、及び/又は成形プラスチック部品を含んでもよい。例えば、細胞培養容器コンテナは、貯蔵場所(例えば、細胞培養容器コンテナのラック)にある1つ以上の対応する溝、穴、又は凹部に挿入するための成形された1つ以上の突出特徴部(例えば、リム又はノブ)を含んでもよい。いくつかの場合、細胞培養容器コンテナは、貯蔵場所にある1つ以上の対応する突出特徴部に適合するように成形された1つ以上の溝、穴、又は凹部を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネット(例えば、非加湿インキュベータキャビネット)はイメージャを含む。本明細書で使用する場合、「イメージャ」は、光(例えば、送信光又は散乱光)、色、形態、又は要素の数などの他の検出可能なパラメータ、又はこれらの組み合わせを測定するための撮像デバイスを意味する。イメージャは撮像デバイスとも呼ばれる場合がある。ある実施形態では、イメージャは、1つ以上のレンズ、ファイバー、カメラ(例えば、電荷結合デバイスカメラ又はCMOSカメラ)、アパーチャ、ミラー、ファイラ、光源(例えば、レーザー又はランプ)、又は他の光学素子を含む。イメージャは顕微鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、イメージャは明視野顕微鏡である。他の実施形態では、イメージャはホログラフィックイメージャ又は顕微鏡である。他の実施形態では、イメージャは蛍光顕微鏡である。
本明細書で使用する場合、「蛍光顕微鏡」は、細胞又は他の生物学的実体の表面内及び/又は表面上のいずれかに存在する蛍光標識から放出される光を検出することができる撮像デバイスを意味し、前記標識は、異なる波長の光の吸収に応答して特定の波長の光を放出する。
本明細書で使用する場合、「明視野顕微鏡」は、サンプルを照明し、サンプルによって吸収される光に基づいて画像を生成するイメージャである。任意の適切な明視野顕微鏡を、本明細書中に記載されるインキュベータキャビネットと併せて使用してもよい。
本明細書で使用する場合、「ホログラフィックイメージャ」は、電磁放射の強度及び位相情報(例えば、波面)の両方を測定することによって物体(例えば、サンプル)に関する情報を提供するイメージャである。例えば、ホログラフィック顕微鏡は、サンプルを通過後に伝送される光と、サンプルを透過する光のビームを基準ビームと組み合わせることにより得られる干渉縞(例えば、位相情報)との両方を測定する。
ホログラフィックイメージャは、また、別個の基準ビームを妨げることなく、且つ実質的にコヒーレントな源と1つ又は複数の放射線検出器との間に任意の屈折又は反射光学素子を有して又は有さずに、1つ以上の放射線検出器により、撮像される物体によって直接回折又は散乱した、実質的にコヒーレントな源からの電磁放射のパターンを記録するデバイスであってもよい。
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネット(例えば、非加湿インキュベータキャビネット)は1つのイメージャを含む。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは2つのイメージャを含む。いくつかの実施形態では、2つのイメージャは同一種類のイメージャ(例えば、2つのホログラフィックイメージャ又は2つの明視野顕微鏡)である。いくつかの実施形態では、第1のイメージャは明視野顕微鏡であり、第2のイメージャはホログラフィックイメージャである。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは2つを超えるイメージャを含む。いくつかの実施形態では、細胞培養インキュベータは3つのイメージャを含む。いくつかの実施形態では、3つのイメージャを有する細胞培養インキュベータは、ホログラフィック顕微鏡、明視野顕微鏡、及び蛍光顕微鏡を含む。
本明細書で使用する場合、「撮像場所」は、イメージャが1つ以上の細胞を撮像する場所である。例えば、撮像場所は、光源の上方に及び/又は1つ以上の光学素子(例えば、レンズ、アパーチャ、ミラー、対物レンズ、及び光コレクタ)と垂直に位置合わせされて配置されてもよい。いくつかの実施形態では、撮像場所は、例えば、図9に示すように、ばね荷重式プッシャと、この場所にマイクロプレートを固定するように構成された2つの位置決め具とを含む。
本明細書で使用する場合、「基準マーク」は、1つ以上の構成要素の位置合わせを容易にする特徴を意味する。いくつかの実施形態では、基準マークは、蛍光培地上の1つ以上の穴アパーチャ又は印刷された若しくはエンボス加工された蛍光材料を含んでもよい。他の実施形態では、基準マークは格子、線、又は記号を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞培養容器は、1つ以上の細胞培養容器のイメージャとの位置合わせを容易にするための1つ以上の基準マークを含む。いくつかの実施形態では、基準マークは、移動デバイス及びロボットデバイスを含む可動部品と関連付けてもよい。
いくつかの実施形態では、細胞培養容器(例えば、本明細書中に記載される細胞培養容器コンテナ内に収容される細胞培養容器)は、イメージャと実質的に位置合わせされている。いくつかの実施形態では、細胞培養容器(例えば、本明細書中に記載される細胞培養容器コンテナ内に収容される細胞培養容器)は、少なくとも1つの基準マークの使用によってイメージャと実質的に位置合わせされている。本明細書で使用する場合、「実質的に位置合わせされている」という用語は、1つ以上の要素が互いに実質的に重なっており、同一であり、及び/又は列で並んでいることを意味する。1つ以上の位置(例えば、撮像場所)における1つ以上の細胞培養容器(例えば、本明細書中に記載される細胞培養容器コンテナ内に収容される細胞培養容器)の実質的な位置合わせにより、細胞培養容器の重なった画像の取得を可能にすることによってサンプルの分析を容易にしてもよい。例えば、細胞培養容器は第1の撮像場所において第1のイメージャにより撮像されてもよく、その後、第2の撮像場所において第2のイメージャにより撮像されてもよい。各イメージャの撮像領域が実質的に位置合わせされている場合、第1のイメージャによって記録された画像と第2のイメージャによって記録された画像とを分析のために組み合わせ(「つなぎ合わせ」)てもよい。1つ以上の細胞培養容器上にある1つ以上の基準マークによって実質的な位置合わせを容易にしてもよい。いくつかの場合、1つ以上の撮像場所又は他の場所(例えば、操作場所又は維持場所)にある1つ以上の基準マークによって実質的な位置合わせを容易にしてもよい。
本明細書で使用する場合、「細胞を操作するためのマニピュレータ」は、内部チャンバ内で細胞を操作するためのデバイスを意味する。マニピュレータは、1つ以上の針、キャピラリー、ピペット及び/又はマイクロマニピュレータを含んでもよい。例えば、マニピュレータは細胞ピッカーを含んでもよい。細胞を操作するためのマニピュレータは、第1の場所に存在する所望の細胞又はその群を所定の基準に基づいて検出し、この所望の細胞又はその群を第1の場所から第2の場所へ移動することにより動作してもよい。細胞ピッカーは、所望の又は所望でない(例えば、分化前の細胞排除(weeding))細胞又はその群を手動又は自動分析に基づいて検出、ピッキング及び/又は移動してもよい。いくつかの実施形態では、イメージャによって生成される情報を分析し、所望の又は所望でない細胞を検出してもよい。細胞ピッカーは、その後、所望の又は所望でない細胞を第2の場所に移動させてもよい。例えば、イメージャが細胞培養容器内又は細胞培養容器上の細胞を撮像場所において撮像してもよく、画像を使用して所望の又は所望でない細胞又はその群を同定する。細胞ピッカーは、その後、例えば、1つ又は複数の各所望の細胞に針、キャピラリー、ピペット、又はマイクロマニピュレータで接触し、細胞培養容器又は内部チャンバ内の別の場所内又は別の場所上において1つ又は複数の細胞のその第1の場所から第2の場所への移動を実施することにより、所望の又は所望でない細胞を移動させてもよい。いくつかの実施形態では、細胞の第1の場所は細胞培養容器内であっても細胞培養容器上であってもよい。特定の実施形態では、細胞ピッカーは、細胞培養容器内又は細胞培養容器上の第1の場所から同じ細胞培養容器上の第2の場所へ細胞を移動させる。他の実施形態では、細胞ピッカーは、第1の細胞培養容器内又は第1の細胞培養容器上の第1の場所から第2の細胞培養容器内又は第2の細胞培養容器上の第2の場所へ細胞を移動させる。特定の他の実施形態では、細胞ピッカーは、細胞培養容器内又は細胞培養容器上の第1の場所から細胞培養容器内又は細胞培養容器上ではない内部チャンバ内の第2の場所へ細胞を移動させる。
いくつかの実施形態では、マニピュレータは少なくとも1つの微小電極を含む。本明細書で使用する場合、用語「微小電極」とは、細胞に電気刺激を送達するために使用される電気伝導体を意味する。例えば、微小電極は、遺伝物質を電気穿孔法によって細胞内に送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、マニピュレータは少なくとも1つのマイクロインジェクタを含む。一般に、マイクロインジェクタはガラスマイクロピペットであり、ガラスマイクロピペットは引かれて、鋭利な中空構造体を形成する。鋭利な中空構造体は細胞の膜に穿孔することが可能であり、細胞内に遺伝物質を導入するための導管として機能する。いくつかの実施形態では、細胞培養物は、本明細書中に記載されるインキュベータ及び容器内で培養中、他の手法で操作される。例えば、細胞培養物は、核酸(例えば、DNA又はRNA)をトランスフェクトしてもよく、又はウイルス感染に曝露させてもよい(例えば、組換えウイルス粒子を用いてDNA又はRNAを送達する)。
いくつかの実施形態では、マニピュレータは流体ハンドリングデバイスを含む。例えば、マニピュレータは、ピペット先端部ホルダ又は細胞印刷デバイスなどの1つ以上の液体分与装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、流体ハンドリングデバイスは自動化されている。一部の態様では、インキュベータの内部チャンバの内部に配置された流体貯蔵容器から細胞培養容器に増殖培地を分与する自動流体ハンドリングシステムを有するマニピュレータが使用され得る。
いくつかの実施形態(例えば、付着細胞培養に関する)では、培養培地を吸引によって直接除去し、新しい培地と交換することができる。いくつかの実施形態(例えば、非接着/懸濁培養に関する)では、培地交換は、細胞培養物を遠心分離し、古い培養培地を除去し、これを新しい培地と交換することを含み得る。いくつかの実施形態では、遠心分離機がインキュベータの内部チャンバ内に配置されている。いくつかの実施形態では、培養容器は連続的な培地交換を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるインキュベータは、細胞を支持するために培養培地の異なる態様を処理、交換、供給及び/又は維持するために使用され得る1つ以上の構成要素を含んでもよい。インキュベータは、廃棄培地を含むリザーバ及び/又は新しい培地を含むリザーバを含んでもよい。このようなリザーバは(例えば、一時貯蔵のために)インキュベータ内の冷蔵庫又はインキュベータの冷蔵区域内にあってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のリザーバがインキュベータの外部に提供され、液体ハンドラユニット(例えば、吸引器を有する液体ハンドルユニット)又はインキュベータ内の一時リザーバから供給するか又は引くために、インキュベータの空間へ及びこの空間から配管が提供され、細胞フィーディング、培地交換、及び他の関連する要求を容易にする。懸濁細胞について、インキュベータ内に、廃棄培地から細胞を分離するためのデバイス(例えば、細胞分画を容易にするための1つ又は複数の遠心分離機)を提供し、本明細書中に記載されるインキュベータの一部として、自動化された培地交換を容易にしてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書は、細胞培養の最適な増殖のために細胞培養条件を自動的に監視及び調整することが可能である、コンピュータに接続された細胞培養インキュベータを含むシステムを提供する。
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書中に記載されるインキュベータ内で継代される。いくつかの実施形態では、細胞培養物が分割され、細胞培養物のサブセットが更なる増殖のために新しい培養容器に移される。いくつかの実施形態(例えば、付着細胞培養に関する)では、新しい培養容器に移される前に(例えば、例として穏やかなかき取りを用いて機械的に、及び/又は例えばトリプシンEDTA若しくは1種以上の他の酵素を用いて酵素的に)表面から細胞が剥離される。いくつかの実施形態(例えば、懸濁細胞培養に関する)では、少量の細胞培養物が新しい培養容器に移される。
いくつかの実施形態では、マニピュレータは手動で操作される。例えば、インキュベータキャビネットの内部チャンバ内に配置された流体ハンドリングシステムを有するマニピュレータは、インキュベータの内部チャンバキャビネットの外部に配置された、ユーザ命令式のジョイスティックに電子的に接続され、これにより制御されてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザ管理のジョイスティックはディスプレイデバイスに接続されている。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、インキュベータの内部チャンバキャビネット内において撮像デバイスにより捕捉された画像を示す。
いくつかの実施形態では、マニピュレータは自動化されている。例えば、インキュベータキャビネットの内部チャンバ内のマニピュレータは、インキュベータキャビネットの外部にある、マニピュレータに命令するコントローラに電子的に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータは特定の細胞培養容器がインキュベータ内のいずれにあるかを自動的に記憶する。いくつかの実施形態では、コンピュータはバーコード又は他の識別情報を使用して前記場所が適切に記憶されたことを確認する。
細胞を操作するためのマニピュレータの1つ以上の要素は、操作前に、例えば滅菌組成物又は方法(例えば、エタノール又はオゾンガス)を使用して滅菌されてもよい。
本明細書で使用する場合、「操作場所」とは、細胞を操作するためのマニピュレータ(例えば、細胞ピッカー)によって細胞が操作される場所を意味する。いくつかの実施形態では、操作場所は、例えば、図9に示すように、ばね荷重式プッシャと、この場所にマイクロプレートを固定するように構成された2つの位置決め具とを含む。ある実施形態では、操作場所は撮像場所と同一であってもよい。
一態様によれば、細胞培養インキュベータは、撮像場所及び操作場所を有するインキュベータキャビネットを含む。細胞培養容器の細胞は、撮像場所においてイメージャにより撮像され、操作場所においてマニピュレータにより操作される。いくつかの実施形態では、撮像場所及び操作場所は、インキュベータキャビネット内の2つの異なる位置である。細胞培養インキュベータは、細胞培養容器を撮像場所と貯蔵場所との間で移動する移動デバイスを含んでもよい。他の実施形態では、培養容器の細胞が操作場所において撮像されるように、撮像場所及び操作場所は同じである。
いくつかの実施形態では、イメージャはマニピュレータとともに使用してもよい。例えば、イメージャが細胞培養容器内又は細胞培養容器上の細胞を撮像場所において撮像してもよく、画像を使用して所望の細胞又はその群を同定する。マニピュレータは、その後、所望の細胞を移動してもよい。移動は、例えば、1つ又は複数の各所望の細胞に針、キャピラリー、ピペット又はマイクロマニピュレータで接触し、1つ又は複数の細胞の、その第1の場所から、細胞培養容器又は内部チャンバ内の別の場所内若しくは別の場所上の第2の場所への移動を実施することによる。いくつかの実施形態では、マニピュレータは、増殖培地、増殖因子、又は発現ベクターを細胞培養容器に無菌的に移動させる。
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネット(例えば、非加湿インキュベータキャビネット)内の1つの場所が撮像場所及び操作場所として機能してもよい。いくつかの実施形態では、撮像場所と操作場所は、インキュベータキャビネット内の異なる場所にある。一実施形態では、一実施形態では、細胞はそれらがマニピュレータによって操作される際に撮像される。
いくつかの実施形態では、インキュベータ又は細胞培養容器コンテナ内部の環境は制御システムによって制御される。制御システムは、インキュベータ内部(例えば、1つ以上の内部チャンバ内)の温度、湿度、二酸化炭素、酸素、及び他の気体成分((例えば、オゾン及び過酸化水素などの滅菌ガス))を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、制御システムは、各内部チャンバ内の環境条件(例えば、温度、湿度、二酸化炭素、酸素及び他の気体成分)を別々に制御する。例えば、繊細な機械的、電子的及び光学的構成要素を保護するために、内部チャンバの湿度は、貯蔵場所を有する内部チャンバよりも低い水準に維持してもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータ又は細胞培養容器コンテナは、既定のセンサを備えたモニタリングシステムが更に提供される。モニタリング機器の例としては、酸素モニタ、二酸化炭素モニタ、オゾンガス検出器、過酸化水素モニタ、及びマルチガスモニタが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、インキュベータは、有利には、細胞増殖に関連する種々のパラメータに応答する複数のセンサを含む。これらのパラメータは、温度、空気純度、汚染物質レベル、pH、湿度、N2、CO2、O2、及び光を含んでもよい。このモニタリングシステムにより、培養又は処理の継続時間にわたってセンサを使用し、インキュベータにおけるパラメータを測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中の他の箇所で記載されるように、センサによって測定されたパラメータは、更なる処理のために、モニタリングシステムにより、回線を介して、コンピュータ制御されたモニタリング及び制御システムに送信される。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるインキュベータ又は細胞培養容器コンテナとともに環境モニタリングシステムが使用され得る。いくつかの実施形態では、温度、空気の組成(例えば、CO2濃度、O2濃度等)、及び/又はシステムの湿度の測定値を提供する1つ以上のセンサをインキュベータ又は細胞培養容器コンテナと組み合わせることができる(例えば、インキュベータキャビネット内又は細胞培養容器コンテナ内に取り付けることができる)。いくつかの実施形態では、1つ以上のこのようなセンサは、インキュベータ又は細胞培養容器コンテナの一部として組み込む(例えば、インキュベータ又は細胞培養容器コンテナの内部壁又は扉に取り付けられるか、内蔵されるか、又はそうでなければ接続される)ことができる。いくつかの場合、1つ以上のセンサは、インキュベータキャビネットの外部又は内部の任意の適切な位置に配置することができる(例えば、移動チャンバ及び/又は内部チャンバ内、例えば、内部壁及び/又は上部若しくは下部内部表面に取り付けられる)。
いくつかの実施形態では、センサに接触するガス(例えば、キャビネット内のガス又は周囲空気)の濃度のリアルタイムの読取値をパーセント、百万分率、又は任意の他の標準単位で提供することができるガスセンサが提供される。本明細書中に記載される方法及びインキュベータで使用するためのガスセンサとしては、CO2センサ、O2センサ、N2センサ、オゾンガス検出器、過酸化水素モニタ、マルチガスモニタ、及びCOセンサが挙げられる。このようなセンサは多くの商業的供給元から入手可能である。いくつかの場合、インキュベータの環境は、本明細書中に記載されるセンサによって提供される情報に基づいて調整又は制御してもよい。例えば、望ましい濃度よりも低いCO2がインキュベータ内に存在することをCO2センサが表示すると、インキュベータ内のCO2のレベルが増加されてもよい。
いくつかの実施形態では、インキュベータ内の温度を制御する目的のため、1つ以上の加熱又は冷却要素をインキュベータ内に組み込むことができる(例えば、キャビネット若しくは扉の内部表面上、及び/又はキャビネットの壁及び/若しくは基部の1つ以上内に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、加熱要素は、液体、例えば、細胞培養培地又は他の試薬を解凍するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の空気若しくは酸素源、カーボンフィルタ、及び/又は1つ以上の脱湿システムがインキュベータに接続され、(例えば、インキュベータ内の又はインキュベータに取り付けられた1つ以上のセンサからの信号に応答して)インキュベータ内の酸素、二酸化炭素及び/又は湿度のレベルを制御するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のコントローラがセンサ及び他のシステムに取り付けられており、インキュベータの内部環境を制御する。
いくつかの実施形態では、インキュベータは1つ以上の光源(例えば、白熱電球、LED、UV又は他の光源)を含むことができる。これらはキャビネット内の領域を照明するためにインキュベータ内に配置され得る。いくつかの実施形態では、培養システムの動作は、インキュベータの内部若しくは外部に配置され得るカメラ又は他の感光デバイスを用いて監視される。いくつかの実施形態では、光源は殺菌光源である。例えば、UVランプを、本明細書中で提供されるインキュベータの移動チャンバ及び/又は内部チャンバ内に配置してもよい。
いくつかの実施形態では、インキュベータは透明な物体(例えば、窓)を含む。透明な物体は、インキュベータ内からの可視光又は他の光の波長を、インキュベータの外部に配置されたカメラ又は他の感光デバイスによって検出することを可能にする。
いくつかの実施形態では、インキュベータの1つ以上の扉が開いている場合(例えば、外部扉又は内部扉などのインキュベータキャビネット扉が開いている場合)に検出するために、センサ又は他の特徴が提供される。このような特徴は、無菌性を脅かす、産生を損なう、アッセイ又は実験を妥協すること等となり得る、インキュベータ(例えば、インキュベータキャビネット)の予定外又は無許可の開放をオペレータが常に把握するか又は警告を受けることを可能にすることから有用である。
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネット内における1つ以上のデバイス(例えば、信号を検出し、この信号を使用してデバイスの位置を特定することができるセンサを有するデバイス)の位置を特定するために使用され得る高周波ビーコン又は他の信号源がインキュベータ内(例えば、インキュベータキャビネット内)に配置されている。いくつかの実施形態では、デバイスは信号源を有することができ、センサはインキュベータキャビネットのチャンバのうちの1つ以上の内部に配置することができる(例えば、内部チャンバの内部表面に配置される)。
いくつかの実施形態では、光信号又はレーザー(例えば、レーザー信号のグリッド)を使用して、インキュベータキャビネット内の1つ以上のデバイス又は構成要素の位置及び/又は識別を特定することができる。このような情報は、例えば、有線又は無線で外部のコンピュータ又は監視ステーションに通信することができる。この情報を用いて、インキュベータキャビネット内の移動デバイス、例えばロボットアームの動作を制御し、移動デバイスがインキュベータキャビネット内のデバイス又は物品を適切に把持、操作、又は操縦することができるようにし得る。
いくつかの実施形態では、コンテナ又は容器がインキュベータキャビネット内に運ばれる前、ユーザは、インキュベータキャビネット内に挿入されている特定のコンテナ、容器、原料、又は細胞に基づいて自動化システムプロトコルを選択することができる。インキュベータ及び/又は1つ以上のインキュベータ構成要素、並びに増殖される細胞に関する関連情報は、データシステムに入力することができる。例えば、バーコード(例えば、1次元又は2次元バーコード)などの1つ以上の識別子をコンテナ又は容器に配置することができ、コンテナの種類、コンテナの内容物、及びどのようなアッセイ又は操作がコンテナ内のサンプルに対して実施されるかなどの他の重要な情報を明記することができる。いくつかの実施形態では、インキュベータシステム及び/又は細胞に関する情報を1つ以上のバーコードに、別個のデータシステムに、又はこれらの組み合わせに収容することができる。ユーザは、また、容器若しくは他のコンテナの次元(例えば、高さ、直径)を特定する情報を入力してもよく、又はシステム自体が、容器又は他のコンテナの高さを判定し、測定する。この情報を使用して、分析モジュールが、容器内で増殖させた細胞に対してアッセイ若しくは他の操作を実施する準備が整ったとき、又はアッセイ若しくは操作の実施を完了したときなど、ロボットアームは特定のコンテナを移動するように要求されてもよい。
コンピュータ及び制御装置
本明細書中に記載されるインキュベータは、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、又は他のコントローラの指示でともに動作してもよいセンサ、環境制御システム、ロボット等を含むいくつかの構成要素を含む。構成要素は、例えば、移動デバイス(例えば、ロボットアーム)、液体ハンドリングデバイス、培養容器若しくは細胞培養容器コンテナ又は他の構成要素をインキュベータキャビネットに又はインキュベータキャビネットから送達するための送達システム、インキュベータキャビネットの温度及び他の環境態様を制御するための環境制御システム、扉動作システム、撮像又は検出システム、及び細胞培養アッセイシステムを含んでもよい。
いくつかの場合、細胞培養インキュベータ及び/又は細胞培養インキュベータ内に設けられるか、又は細胞培養インキュベータに接続する構成要素の制御動作などの動作は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせを用いて実施してもよい。ソフトウェアで実施する場合、ソフトウェアコードは、単一構成要素内に設けられるか複数の構成要素に分配されるかを問わず、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの集合体において実行され得る。このようなプロセッサは、集積回路として実装されてもよく、集積回路構成要素内に1つ以上のプロセッサを有する。プロセッサは回路を用いて任意の適切なフォーマットで実装してもよい。
コンピュータは、ラックマウント式コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はタブレットコンピュータなどの多くの形態のうちのいずれかにおいて具現化してもよい。加えて、コンピュータは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、又はインキュベータ自体を含む任意の他の適切なポータブル、モバイル又は固定電子デバイスを含む、一般にコンピュータとは考えられないが適切な処理性能を備えるデバイス内に組み込まれてもよい。
いくつかの場合、コンピュータは、1つ以上の入カデバイス及び出力デバイスを有してもよい。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインタフェースを提示するために使用され得る。ユーザインタフェースを提供するために使用され得る出力デバイスの例としては、出力を視覚的に提示するためのプリンタ又はディスプレイスクリーン、及び出力を聴覚的に提示するためのスピーカ又は他の音声発生デバイスが挙げられる。ユーザインタフェースに使用され得る入力デバイスの例としては、キーボード、及びマウスなどのポインティングデバイス、タッチパッド、及びディジタイジングタブレットが挙げられる。他の例では、コンピュータは入カ情報を、音声認識を通じて、又は他の可聴フォーマットで、可視ジェスチャを通じて、触覚入カによって(例えば、振動、触覚及び/又は他の力を含む)、又はこれらの任意の組み合わせで受信してもよい。
1つ以上のコンピュータは、エンタープライズネットワーク若しくはインターネットなどのローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークを含む任意の適切な形態の1つ以上のネットワークによって相互接続してもよい。このようなネットワークは任意の適切な技術に基づいてもよく、任意の適切なプロトコルに従って動作してもよく、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバネットワークを含んでもよい。
本明細書中に概説した種々の方法又はプロセスは、種々のオベレーティングシステム又はプラットフォームの任意の1つを用いる1つ以上のプロセッサで実行可能なソフトウェアとしてコード化してもよい。このようなソフトウェアは、多くの適切なプログラミング言語及び/又はプログラミング若しくはスクリプトツールのいずれかを使用して記述されてもよく、実行可能な機械語コード、又はフレームワーク若しくは仮想マシンにおいて実行される中間コードとしてコンパイルされてもよい。
本明細書中に記載される方法又はプロセスを制御するための1つ以上のアルゴリズムは、1つ以上のコンピュータ又は他のプロセッサ上で実行されると、本明細書中に記載される種々の方法又はプロセスを実施する方法を実施する1つ以上のプログラムをエンコードした、可読ストレージ媒体(又は複数の可読媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイスにおける回路構成、又は他の有形ストレージ媒体)として具現化してもよい。
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピュータ実行可能命令を非一時的な形態で提供するほど十分な時間にわたって情報を保持してもよい。1つ又は複数のこのようなコンピュータ可読ストレージ媒体は、媒体上に記憶された1つ又は複数のプログラムを1つ以上の異なるコンピュータ又は他のプロセッサにロードして、本明細書中に記載される方法又はプロセスの種々の態様を実施することができるように可搬式とすることができる。本明細書で使用する場合、用語「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、製造物(例えば、製品)又はマシンとみなされ得るコンピュータ可読媒体のみを含む。或いは又は加えて、本明細書中に記載される方法又はプロセスは、伝播信号など、コンピュータ可読ストレージ媒体以外のコンピュータ可読媒体として具現化してもよい。
本明細書中において用語「プログラム」又は「ソフトウェア」は、本明細書中に記載される方法又はプロセスの種々の態様を実施するために、コンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために用いられ得る任意の種類のコード又は実行可能命令のセットを指す一般的な意味で使用される。加えて、本実施形態の一態様によれば、実行されると本明細書中に記載される方法又はプロセスを実施する1つ以上のプログラムは1つのコンピュータ又はプロセッサに常駐している必要はなく、いくつかの異なるコンピュータ又はプロセッサ間にモジュラー形式で分散され、種々の手続き又は演算を実施してもよいことを理解すべきである。
実行可能命令は、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールなどの多くの形態であってもよい。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか又は抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。通常、種々の実施形態では、プログラムモジュールの機能は必要に応じて組み合わせても分散させてもよい。
また、データ構造は、コンピュータ可読媒体に任意の適切な形態で格納してもよい。データストレージの非限定的な例としては、構造化ストレージ、非構造化ストレージ、ローカルストレージ、分散ストレージ、短期ストレージ及び/又は長期ストレージが挙げられる。データを通信するために使用され得るプロトコルの非限定的な例としては、専用プロトコル及び/又は業界標準プロトコル(例えば、HTTP、HTML、XML、JSON、SQL、ウェブサービス、テキスト、スプレッドシート等、又はこれらの任意の組み合わせ)が挙げられる。説明の簡略化のため、データ構造はデータ構造内の位置を通じて関連付けられたフィールドを有するように示される場合がある。このような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体中の位置をフィールドのストレージに割り当てることによって達成してもよい。しかしながら、ポインタ、タグ、又はデータ要素間の関係を確立する他の機構の使用によるものを含む任意の適切な機構を使用して、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立してもよい。
いくつかの実施形態では、インキュベータの動作に関連する情報(例えば、温度、湿度、ガス組成、画像、細胞培養条件等、又はこれらの任意の組み合わせ)は、インキュベータに関連付けられた1つ以上のセンサ(例えば、インキュベータキャビネット内に位置するか、又はインキュベータ内ではあるがインキュベータキャビネットの外部に位置する)から取得することができ、細胞培養インキュベーション中の状況に関する情報を提供するためにコンピュータ可読媒体内に保存することができる。いくつかの実施形態では、可読媒体はデータベースを含む。いくつかの実施形態では、前記データベースは、1つのインキュベータからのデータを含む。いくつかの実施形態では、前記データベースは、複数のインキュベータからのデータを含む。いくつかの実施形態では、データは改ざんが防止される状態で保存される。いくつかの実施形態では、器具(例えば、インキュベータ)によって生成された全てのデータは保存される。いくつかの実施形態では、データのサブセットが保存される。
いくつかの実施形態では、構成要素(例えば、コンピュータ)は、インキュベータ内で実施される種々のプロセスを制御する。例えば、コンピュータは制御機器(例えば、マニピュレータ、イメージャ、流体ハンドリングシステム等)に指示してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータは、細胞培養の撮像、細胞のピッキング、細胞の除去(例えば、細胞凝集体の除去)、細胞培養条件の監視、細胞培養条件の調整、インキュベータ内の細胞培養容器の動きの追跡、及び/又は前述のプロセスのいずれかのスケジューリングを制御する。
図を参照すると、図1A〜図1Cは、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの例示的な実施形態の概略図である。図1Aは、隔室(101)を含む選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナ(100)の例示的な実施形態の概略図を示す。いくつかの実施形態では、コンテナの少なくとも1つの壁(102)は、水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜(103)を含む。ガス透過性膜と壁との接続について図7に更に詳細に記載する。少なくとも1つの壁(102)は支持構造体(104)と物理的に接続している。いくつかの実施形態では、支持構造体は、隔室内部(101)への通路(106)を有するコンテナ(105)の表面と接続している。いくつかの実施形態では、コンテナは、通路を開放及び閉鎖するように構成された可動構造体(107)を含む。いくつかの実施形態では、移動可能構造体(107)は、通路(106)を取り囲むコンテナの表面と接続するように構成されたシール(108)を含む。移動可能構造体は、ヒンジ(109)を介して表面と接続してもよい。いくつかの実施形態では、移動可能構造体(107)は、光学的に透明な表面(110)を有する。図1Bは、基部(112)及び細胞培養ウェル(113)を含む細胞培養容器(111)の例示的な実施形態の概略図を示す。6ウェルプレートとして示されているが、当業者であれば、任意の適切な細胞培養プレートを本明細書中に記載されるコンテナ内に収容し得ることを認識する。例えば、細胞培養容器は、細胞培養皿(例えば、5cmプレート、10cmプレート、又は25cmプレート)とすることも、マルチウェル培養プレート(例えば、6ウェルプレート、12ウェルプレート、24ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレート、1536ウェルプレート)とすることもできる。図1Cは、細胞培養容器の基部(112)がコンテナ(114)の底面と接続している、細胞培養容器(111)を収容している選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナ(100)の例示的な実施形態の概略図を示す。参照番号は付されていないが、図1Cにはコンテナの上壁及び側壁が示されており、細胞培養容器(111)がコンテナ(100)の隔室(101)内に収容されていることを示す。
図2は、「ラック」(120)内に配置された複数の選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの例示的な実施形態の概略正面図である。いくつかの実施形態では、複数のコンテナのそれぞれのコンテナは、第2のコンテナと接続するように構成された少なくとも1つの外部部分を含む。例えば、図2の(1151)及び(1152)は、コンテナ間に形成された2つの別個の接続部を示す。
図3は、ラック(120)内に配置された複数の選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの例示的な実施形態の概略斜視図である。いくつかの実施形態では、複数のうちの各コンテナは、水蒸気に対して選択的に不透過性の別個のガス透過性膜(103)を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、複数のコンテナの全ては、水蒸気に対して選択的に不透過性の単一のガス透過性膜を共有している。例えば、単一のガス透過性膜は、ラック(120)の後壁(121)全体を覆っていてもよい。
図4は、外部扉(140)及び選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナのラック(120)を有する内部チャンバ(135)を含むインキュベータキャビネットを含む、細胞培養システムの例示的な実施形態の概略図である。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの内部チャンバは非加湿環境である。
図5は、外部扉(140)と、細胞培養容器コンテナ移動デバイス(145)と、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナのラック(120)とを有する内部チャンバ(135)を含むインキュベータキャビネットを含む、細胞培養システムの例示的な実施形態の概略図である。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの内部チャンバは非加湿環境である。
図6は、外部扉(140)と、2つの移動デバイス(1451及び1452)と、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵デバイスのラック(120)と、イメージャ(150)とを有する内部チャンバ(135)を含むインキュベータキャビネットを含む、細胞培養システムの例示的な実施形態の概略図である。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの内部チャンバは非加湿環境である。
図7は、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの壁(102)と水蒸気に対して選択的に不透過性のガス透過性膜(103)との間の接続部(矢印によって示される)の例示的な実施形態の概略図である。いくつかの実施形態では、コンテナの壁(102)は、ガス透過性膜(103)によって覆われるように構成された少なくとも1つの通路(160)を含む。
図8Aは、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの底面(114)上の足及び位置決め具(例えば、参照番号170)の上に載置されているマイクロプレートを示す。図8Bは、2つの選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの非限定的な実施形態を示し、上のコンテナはコンテナの底面(114)上に足(170)を含み、下のコンテナは足(170)及びリブ(180)を含む。いくつかの実施形態では、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの床に配置されたリブにより、細胞培養容器がコンテナの底面に直接接続すること(例えば、触れること)を移動デバイス(例えば、グラバー等)が防ぎ得る。側部結合ジョイントの非限定的な実施形態も図8Bに示される。
図9は、ばね荷重式プッシャ(191)及び位置決め具(192)を含む、撮像場所又は操作場所などの場所(190)の例示的な実施形態の概略図である。いくつかの実施形態では、プッシャ及び位置決め具は、操作(例えば、細胞のピッキング)又は撮像中にマイクロプレートが動かないように、これらの場所にマイクロプレートを固定するように構成されている。
図10は、通信デバイス(例えば、センサ、環境制御システム、ロボット等)の例示的な実施形態の概略図である。簡潔に、酸素センサ、データロガーセンサ、パルス幅変調(PWM)デバイスコントローラ、及び1−wireデバイスバスの例が示されている。
図11A〜図11Gは、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの組み立ての非限定的な例を提供する。第1の扉フレームに扉シールを取り付ける(図11A)。次いで、第2の扉フレームに選択的に透過性の膜を取り付けられる(図11B)。次いで、細胞培養貯蔵コンテナの壁に扉を取り付ける(図11D)前に第1の扉フレームと第2の扉フレームとを組み立てる(図11C)。次いで、膜フレームにエポキシを配置し(図11E)、図11Dに示したコンテナに取り付ける(図11F)。組み立て後の選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの内部にマイクロプレートを配置してもよい(図11G)。
図12は、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナの前部/後部結合ジョイントの例示的な実施形態の概略図である。2つの異なる実施形態の側面図が提供されている。一実施形態(例えば、ビーハイブボックス1)は、扉の下の1mmの隙間及び3mm(直径)のOリングシールを含む。第2の実施形態(例えば、ビーハイブボックス2)は、扉の下に2mmの隙間、1/8”フラットガスケットシール、及び支持構造体(例えば、コンテナの壁)に対する扉フレームの結合を向上するための突起を含む。
図13Aは、支持構造体(301)と、支持構造体(301)に取り付けられたモータ(302)であって、ロータ(303)を含むモータ(302)と、支持構造体(301)のガイドレール(305)の長手方向軸線に沿って並進するように構成されたプレートホルダ(304)であって、ガイドレール(305)の長手方向軸線に平行に延びている2つの対向するアーム(306)を含み、各アームは、マルチウェル培養プレート(111)(図示せず)と係合するための1つ以上の接触面(307)を含む、プレートホルダ(304)とを含む移動デバイスの後面/側面角図を示す。
図13Bは、図13Aに記載されている移動デバイスの、前面/側面角からの図を示す。マニピュレータアーム(308)は、ロータに結合されている近位領域(309)と、プレートホルダ(304)に結合されている遠位領域(310)と、近位領域(309)と遠位領域(310)との間に配置されているエルボ(311)とを含み、マニピュレータアーム(308)は、ロータを介して与えられるトルクをプレートホルダ(304)に与えられる並進力に変換し、プレートホルダ(304)をガイドレール(305)の長手方向軸線に沿って並進させるように構成されている。
図13Cは、図13Aに記載されている移動デバイスの、前面/側面角からの図を示す。マニピュレータアーム(308)は、ロータに結合されている近位領域(309)と、プレートホルダ(304)に結合されている遠位領域(310)と、近位領域(309)と遠位領域(310)との間に配置されているエルボ(311)とを含み、マニピュレータアーム(308)は、ロータを介して与えられるトルクをプレートホルダ(304)に与えられる並進力に変換し、プレートホルダ(304)をガイドレール(305)の長手方向軸線に沿って並進させるように構成されている。
図13Dは、選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵コンテナ(100)の内部チャンバ(101)にアクセスしている移動デバイス(例えば、図13Aに記載されるような)の例示的な実施形態の概略図である。移動デバイスのアーム(306)は、コンテナの扉(107)を、ヒンジ(109)を介して押し開き、アーム(306)はコンテナの底面上のマイクロプレート(111)を移動させる。いくつかの実施形態では、マルチウェル培養プレートは、複数の細胞培養ウェルを収容している矩形立方体本体を含み、移動デバイスの接触面(307)の組は、矩形立方体本体の対向する垂直面(312)と接続し、マルチウェル培養プレートを保持するように構成されている。
上記態様及び実施形態は任意の適切な組み合わせで用いてもよく、本発明はこの点で限定されない。
本発明の態様は、特定の例証的実施形態及び図を参照して本明細書中に記載されていることを理解すべきである。本明細書中に記載される例証的実施形態は本発明の全ての態様を必ずしも示すことを意図せず、むしろ、いくつかの例証的実施形態を説明するために使用される。したがって、本発明の態様は、例証的実施形態に鑑みて狭く解釈されるものではない。加えて、本発明の態様は単独で又は本発明の他の態様との任意の適切な組み合わせにおいて使用してもよいと理解すべきである。
本発明の少なくとも一実施形態のいくつかの態様をこのように記載したが、当業者には種々の変更形態、修正形態及び改良形態が容易に想到されることは理解すべきである。このような変更形態、修正形態及び改良形態は本開示の一部であり、本発明の趣旨及び範囲内であるものとする。したがって、前述の記載及び図面は単なる例である。
本発明のいくつかの実施形態を本明細書中に記載及び図示してきたが、当業者であれば、機能を実施し且つ/若しくは結果を得るための種々の他の手段及び/若しくは構造、並びに/又は本明細書中に記載される利点の1つ以上を容易に想定するであろう。このような変形形態及び/又は修正形態は、それぞれ本発明の範囲内と考えられる。より一般には、当業者であれば、本明細書中に記載される全てのパラメータ、寸法、材料及び構成は例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成は本発明の教示が用いられる1つ又は複数の特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、単なる通常の実験を用いて、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を理解し、又は確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は単に例として提示され、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内において、具体的に記載及び特許請求される以外の手法で本発明を実施してもよいと理解すべきである。本発明は、本明細書中に記載されるそれぞれ個々の特徴、システム、物品、材料及び/又は方法を対象とする。加えて、2つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料及び/又は方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
本明細書において、不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、特に明確に指示のない限り、「少なくとも1つの」を意味するものと理解すべきである。
本明細書において、「及び/又は」という語句は、本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、結合した要素、即ち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味するものと理解すべきである。特に明確に指示のない限り、具体的に特定される要素に関連する又は関連しないに関わらず「及び/又は」節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む」などのオープンエンドの語とともに使用される場合における「A及び/又はB」への言及は、一実施形態では、AはあるがBはなく(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、BはあるがAはなく(任意選択的にA以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)等を意味し得る。
本明細書の明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「又は」は、上で定義した「及び/又は」と同一の意味を有するものと理解すべきである。例えば、リスト内の物品を分ける場合、「又は」又は「及び/又は」は、包含的、即ち、要素の数又はリストの少なくとも1つを含むだけでなく、2つ以上及び任意選択的に追加のリストにない物品も含むものと解釈される。「〜のうちの1つのみ」又は「〜のうちのちょうど1つ」などの明確に指示された用語のみ、又は特許請求の範囲で使用される場合の「からなる」は、要素の数又はリストのうちのちょうど1つの要素を含むことを意味する。概して、用語「又は」は、本明細書で使用する場合、「いずれか」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、又は「〜のうちのちょうど1つ」などの排他的な用語に続く場合、排他的な選択肢(即ち、「1つ又はその他であり両方ではない」)を示すものと単に解釈される。「実質的に〜のみからなる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有する。
本明細書において、1つ以上の要素のリストに関する「少なくとも1つの」という語句は、本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、要素のリスト内の要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するものと理解すべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙された各要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを排除しない。この定義は、また、具体的に明記された要素に関連する又は関連しないに関わらず、語句「少なくとも1つの」が指す要素のリスト内に具体的に明記される要素以外の要素が任意選択的に存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は均等に「A又はBの少なくとも1つ」、又は均等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のAを含み、Bが存在せず(及び任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のBを含み、Aが存在せず(及び任意選択的にA以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のAを含み、且つ少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のBを含む(及び任意選択的に他の要素を含む)等を意味し得る。
特許請求の範囲及び上記明細書では、「含む」、「包含する」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」等などの全ての移行句は、オープンエンド、即ち、含むが限定されないことを意味するものと理解されるべきである。米国特許庁米国特許審査便覧第2111.03節の記載のように、移行句「〜からなる」及び「実質的に〜のみからなる」のみがそれぞれクローズド又はセミクローズド移行句である。
特許請求の範囲における、クレーム要素を修飾するための「第1の」、「第2の」、「第3の」等などの順序を表す用語の使用は、それ自体が1つのクレーム要素の別の要素に対するいかなる優先順位若しくは順位、又は方法の行為が実施される時間的順序を暗示的に意味するものではなく、クレーム要素を区別するために、特定の名称を有する1つのクレーム要素を、(順序を表す用語の使用以外には)同じ名称を有する別の要素と区別するためのラベルとして単に使用される。
特に明確に指示のない限り、2つ以上の工程又は行為を含む、本明細書中で特許請求される任意の方法において、方法の工程又は行為の順序は、方法の工程又は行為が列挙される順序に必ずしも限定されないことも理解すべきである。