JP2018532846A - 機能性ポリマーコームアームを有するイソブチレンコポリマー主鎖のコーム−ブロックコポリマー - Google Patents
機能性ポリマーコームアームを有するイソブチレンコポリマー主鎖のコーム−ブロックコポリマー Download PDFInfo
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Abstract
Description
この出願は2015年9月30日に出願された米国仮特許出願第62/235,138号(その開示が参考として本明細書に含まれる)の優先権を主張する。
関連出願の相互参照
この出願は“グラフェン及びグラファイトを分散させるための多環式芳香族炭化水素官能化イソブチレンコポリマー”という発明の名称の2015年9月30日に同時に出願された米国仮特許出願第62/235,116号(代理人書類番号2015EM287) (その開示が参考として本明細書に含まれる)と関連する。
本発明は原子移動ラジカル重合(ATRP)により製造された機能性ポリマー(例えば、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド及び/又はポリアクリロニトリル)コームアームを有するイソブチレンコポリマー主鎖を有するコーム−ブロックコポリマー(comb-block copolymer)、並びにタイヤトレッド添加剤として、ハロブチルゴムを含む弾性ナノ複合材料組成物中のナノ充填剤分散剤として、表面活性剤、シーラントとして、またラテックス配合物中の添加剤としてのこれらのコポリマーの使用に関する。
しかしながら、飽和炭化水素ポリマー、例えば、BIMSM の“不活性”、殆どのその他の材料とのそれらの低反応性及び不相溶性、並びにそれらを殆どのその他の材料に接着し、又はそれらを殆どのその他の材料と連係して使用することの難しさが、多くの領域におけるそれらの使用を制限していた。例えば、ハロブチルゴムは汎用ゴム、例えば、SBR (スチレン−ブタジエンゴム) 、NR (天然ゴム) 、及びBR (シスブタジエンゴム) と不相溶性であり; アクリル (ポリアクリレート及びポリメタクリレートを含む) と不相溶性であり; またそれらの固有の疎水性のためにグラフェン、グラファイト、カーボンブラック、及びシリカと不相溶性であり、この場合、それらのイソブチレン含量が95モル%より大きい。これらの不相溶性がBR/SBR タイヤトレッドコンパウンド (一層良好なダンピング及びけん引のため) 、アクリルラテックス被覆物 (一層良好な不透過性及び一層小さい水分感受性のため) 、及びナノ複合材料 (一層低い透過性及び一層良好な機械的性質のため) 中のそれらの使用を妨げる。
これらの欠点のために、エラストマーの化学変性、ブレンド成分の変性、及び付加的な相溶化ブレンド成分の使用が、試みられていた。米国特許第5,162,445 号は不飽和コモノマー及び/又は反応性官能基を有するコモノマーをイソブチレンと共重合することによりポリマーブレンド相溶性又はブレンド同時硬化性を改良する方法を開示している。米国特許第5,548,029 号は飽和エラストマーと不飽和エラストマーのブレンドを相溶性にするためのイソブチレン−p-メチルスチレンコポリマーのグラフトコポリマーを開示している。
米国特許第2006/0229404 号は表層剥離されたグラファイトとのエラストマーの組成物の製造方法を開示しており、この場合、ジエンモノマーが10 phr以上の表層剥離されたグラファイトの存在下で重合され、その結果、グラファイトがエラストマーで内位添加される。
米国特許第6,548,585 号は臭素化コポリマーゴム、例えば、BIMSM と無機層状化合物、例えば、グラファイト、リン酸ジルコニウム、カルコゲニド、タルク、カオリナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、マイカ、クロライト等のインナーチューブ組成物でつくられた冷媒用ホースを開示している。
コーム−ブロックコポリマーの製造方法はアクリレート、スチレン、アクリルアミド、及びアクリロニトリルから誘導された単位を有する一種以上のモノマー成分を原子移動ラジカル重合(ATRP)によりベンジルハライド部分を有するハロゲン化コポリマー開始剤を使用して重合することを含む。そのハロゲン化コポリマー開始剤は4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を含む。その重合は遷移金属錯体触媒の存在下で行なわれる。
更に、本発明はコーム−ブロックコポリマーを含む弾性ナノ複合材料組成物に関する。そのコーム−ブロックコポリマーは4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を有する少なくとも一種のハロゲン化コポリマーを含むポリマー主鎖、及びビニル末端C6-C20芳香族化合物から誘導された単位を有する少なくとも一種のモノマー成分を含む一つ以上のポリマーコームアームを有する。更に、そのナノ複合材料組成物は4〜7個の炭素を有するイソオレフィンから誘導された単位を含む少なくとも一種のエラストマー成分(好ましくは、そのエラストマー成分が少なくとも一種のマルチオレフィンから誘導された単位を含む)、及び少なくとも一種のナノ充填剤を含む。
本明細書に使用される“ポリマー”はホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等を表すのに使用されてもよい。同様に、コポリマーは必要によりその他のモノマーとともに、少なくとも2種のモノマーを含むポリマーを表してもよい。
“コーム−ブロックコポリマー”という用語はコームアームポリマー鎖が成長する二つ以上の分枝点を含む同定可能な主鎖ポリマー鎖を有するコポリマーを表す。コームアームポリマー鎖は主鎖ポリマー鎖とは化学的に区別される。
本明細書に使用されるように、ポリマーがモノマーを含むと言及される場合、そのモノマーはモノマーの重合された形態又はモノマーの誘導体形態でポリマー中に存在する。同様に、触媒成分が成分の中性の安定な形態を含むと記載されている場合、その成分のイオン形態がモノマーと反応してポリマーを生成する形態であることが当業者により良く理解されている。
本明細書に使用される“エラストマー”又は“エラストマー組成物”はASTM D1566の定義と合致するあらゆるポリマー又はポリマーの組成物(例えば、ポリマーのブレンド)を表す。
本明細書に使用される“イソブチレンをベースとするエラストマー”又は“イソブチレンをベースとするポリマー”又は“イソブチレンをベースとするゴム”は少なくとも70モル%のイソブチレンを含むエラストマー又はポリマーを表す。
本明細書に使用される“イソオレフィン”はオレフィン炭素に二つの置換を有する少なくとも一つのオレフィン炭素を有するあらゆるオレフィンモノマーを表す。
本明細書に使用される“マルチオレフィン”は二つ以上の二重結合を有するあらゆるモノマーを表し、例えば、マルチオレフィンは二つの共役二重結合を含むあらゆるモノマー、例えば、共役ジエン、例えば、イソプレンであってもよい。
本明細書に使用される“制御されたラジカル重合”はその重合方法において、鎖破断反応が連鎖成長反応と較べてわずかであり、得られるポリマーが分子量制御、狭い分子量分布、末端基制御及び更なる鎖延長の能力でもって生成されたことを意味する。
本明細書に使用される“溶媒”は別の物質を溶解することができるあらゆる物質を表す。溶媒という用語が使用される場合、それは特に明記されない限り少なくとも一種の溶媒又は2種以上の溶媒を表してもよい。溶媒は極性又は無極性であってもよい。
本明細書に使用される“溶液”は一種以上の物質(溶媒)中の一種以上の物質(溶質)の、分子レベル又はイオンレベルで一様に分散された混合物を表す。例えば、溶液方法はエラストマー及び変性された層状の充填剤の両方が同じ有機溶媒又は溶媒混合物中に留まる混合方法を表す。
本発明のコーム−ブロックコポリマーは実質的にハロゲン化コポリマー(これがコーム−ブロックコポリマー主鎖を形成する)、及びアクリレート、スチレン、アクリルアミド、及び/又はアクリロニトリルから誘導された単位を含む一種以上のモノマー成分(これらはコーム−ブロックコポリマーのコームアームを形成する)を含む出発物質からのATRP方法の生成物からなることが好ましい。ハロゲン化コポリマーのベンジルハライド部分が好適なATRP開始剤として機能し、それにより本発明のコポリマーの生成を可能にすることが発見された。
ポリマー化学における最近の開発が合成化学者に良く特定された、高度に機能性のビルディングブロックを調製するための広範囲の手段を与える。制御された“リビング”ラジカル重合 (CRP) が種々の構造の複雑さを有する有機/無機ハイブリッド材料の調製に適していることが示されていた。
制御されたラジカル重合 (CRP)が良く特定された有機ポリマーを調製するための融通性かつしっかりした方法であると判明した。過去10年間に、幾つかの技術が良く特定されたポリマーをラジカル重合により合成するのに開発されていた。通常のラジカル重合[即ち、アゾビス(イソブチロニトリル)又は過酸化物開始方法]とCRP の間の主要な差は反応の過程中の連鎖成長ラジカルの寿命である。通常のラジカル方法では、開始剤の分解により生成されたラジカルが1秒以内で成長反応及び2分子停止反応を受ける。対照的に、成長しているラジカルの寿命がCRP で数時間に延長でき、前もって特定されたモル質量、低い分子量分布、制御された組成、及び機能性を有するポリマーの調製を可能にする。
成長しているラジカルの寿命を延長するためにCRP 方法で関係するメカニズムは二つの状態間の迅速な交換による休止部位と活性部位の間の動的平衡を利用する。通常のラジカル方法と違って、CRP は連鎖成長ラジカルと反応するために持続性ラジカル(奪活剤)種、又は高度に活性の連鎖移動剤の使用を必要とする。これらの持続性ラジカル/連鎖移動剤はラジカルと反応(奪活反応又は連鎖移動反応)して休止種を生成する。逆に、鎖成長ラジカルは休止種から活性化反応により生成される。
従来のリビング重合に対する“リビング”ラジカル重合の主な利点は極性部分を含むものを含む、広範囲のモノマーを重合することができることである。更に、リビングアニオン重合(これは非常に厳しい条件−実際にゼロの水分、ゼロの空気、及び不純物なしを必要とする)と違って、これらのラジカル反応はそれ程厳しくない条件を使用して行ない得る。
原子移動ラジカル重合(ATRP)は正確に制御された構成及び機能性を有する良く特定された(コ)ポリマーを生じる制御された“リビング”ラジカル重合のための幾つかの技術の一つである。ATRPはイオンリビング重合に従来必要とされたよりも極めて激しくない条件下で幾つかのモノマーを重合するのに使用し得る。ATRPはCRP 方法の最も有効かつしっかりした方法の中にある。
ATRPは成長している鎖の可逆的活性化/奪活により遊離基重合を制御する。少量の鎖が反応中に活性に留まり、一方、鎖の大半が再活性化を待って休止にある。こうして、遊離基種の濃度が低く保たれ、その結果、停止プロセスが抑制される。最終生成物において制御された分子量及び低い多分散性、即ち、1.5 未満の分子量分布 (Mw/Mn)、更に好ましくは約1.2 の分子量分布を得るために、ATRP、及びその他の制御されたラジカル重合方法を助けるのは停止プロセス、特に化合反応の抑制である。平衡は遷移金属ハロゲン化物及び好適な配位子を含む遷移金属触媒錯体の存在により媒介されるアルキルハライド又はベンジルハライド開始剤の炭素ハロゲン結合の可逆的開裂により最も普通に維持される。その開裂が一層高い酸化状態の遷移金属錯体及び奪活、モノマー単位との連鎖成長を受け、又は不可逆的に停止するラジカルをもたらす(スキーム1)。
いずれかの実施態様において、本発明に従って生成されたコーム−ブロックコポリマーの主鎖を形成するハロゲン化コポリマーは下記の式を有する4〜7個の炭素原子を有するイソオレフィンとパラ−アルキルスチレンのコポリマーである。
これらの分子中のベンジルハライド部分中のC−X結合の開裂がアクリレート、スチレン、アクリルアミド、及び/又はアクリロニトリルのATRPを開始してポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、及び/又はポリアクリロニトリルのコームアームを有する主鎖としてのハロゲン化コポリマーを含むこれらのコーム−ブロックコポリマーを生成するのに今直ぐに使用し得る。コーム−ブロックコポリマー中のコームアームの数は開始剤の量に依存する。それ故、コーム−ブロックコポリマー中のコームアームの数はハロゲン化コポリマー中のベンジルハライド官能基のモル%の選択により調節し得る。好ましくは、ベンジルハライド官能基の量は0.30モル%から1.30モル%まで、更に好ましくは0.45モル%から1.25モル%まで、更に好ましくは0.47モル%から1.20モル%までの範囲である。
このようなハロゲン化コポリマーの最も有益なものはイソブチレンとアルキルスチレン、好ましくは p-メチルスチレンの弾性ランダムインターポリマーであり、0.5 モル%から20モル%までのアルキルスチレン、好ましくは p-メチルスチレンを含み、そのベンジル環に存在するメチル置換基の60モル%までが臭素原子又は塩素原子、好ましくは臭素原子を含む(p-ブロモメチルスチレン)。これらのインターポリマーが“ハロゲン化ポリ (イソブチレン共p-メチルスチレン) ”又は“臭素化ポリ (イソブチレン共p-メチルスチレン) ”と称され、名称EXXPROTM エラストマー (テキサス州ヒューストンにあるエクソンモービル・ケミカル社)として市販されている。“ハロゲン化”又は“臭素化”という用語の使用はコポリマーのハロゲン化の方法に限定されないが、イソブチレン誘導単位、p-メチルスチレン誘導単位、及びp-ハロメチルスチレン誘導単位を含み得るコポリマーの単なる記述的表現にすぎないことが理解される。
これらのハロゲン化コポリマーはそのポリマーの少なくとも95質量%がポリマーの平均p-アルキルスチレン含量の10%以内のp-アルキルスチレン含量を有するような実質的に均一の組成分布を有することが好ましい。更に好ましいポリマーはまた5未満、更に好ましくは3.5 未満、更に好ましくは2.5 未満の狭い分子量分布; 300,000 g/モルから750,000 g/モルまでの範囲の好ましい重量平均分子量; 及びゲル透過クロマトグラフィーにより測定して25,000から750,000 までの範囲の好ましい数平均分子量により特徴づけられる。そのムーニー粘度(1+8, 125℃, ASTM D1646, 改訂) は20MUから80MUまでである。
ハロゲン化コポリマーはルイス酸触媒を使用するモノマー混合物のスラリー重合、続いてハロゲン及びラジカル開始剤、例えば、熱及び/又は光及び/又は化学開始剤の存在下の溶液中のハロゲン化、好ましくは臭素化により調製し得る。
本発明のコポリマーの機能性コームアームを形成するのに適したモノマーはATRP方法中に連鎖成長ラジカルを安定化し得る置換基を有するものである。好ましくは、そのモノマーがエチレン性不飽和、更に好ましくはビニル末端である。例えば、好適なモノマーとして、ビニル置換複素環、例えば、ビニリピリジン及びビニルピロリドン、及びビニル末端C6-C20芳香族化合物が挙げられるが、線状アルファオレフィン又は共役ジエンを含まない。好ましくは、モノマーがスチレン、アクリレート、及びアクリレートの誘導体、例えば、アクリルアミド及びアクリロニトリルの少なくとも一種から誘導された単位を含む。好適なアクリレートとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、及び相当するメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。好適なスチレンはフェニル基の位置でヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)、ハロゲン(例えば、クロロ)、及びC1-C4-アルキル(例えば、メチル又はエチル)からなる群から選ばれた1〜3個の付加的な置換基により置換されていてもよい。好適なアクリルアミドとして、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノエチル)- アクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2-アミノエチルアクリルアミド、及び相当するメタクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
ATRP方法中に使用される触媒は典型的には遷移金属ハロゲン化物及び配位子を含む遷移金属錯体である。好適な遷移金属は一つの電子により分離された一層高い酸化状態と一層低い酸化状態の間の可逆的酸化還元反応を受けることができるもの、好ましくは銅(Cu)である。その他の好適な遷移金属として、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及びパラジウム(Pd)が挙げられる。
好適な配位子は重合媒体中で遷移金属錯体を可溶化し、錯体の酸化還元電位に影響することにより所望のレベルの触媒活性を与えることができるものである。好ましくは、配位子が窒素含有化合物であり、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス [(2-ジメチルアミノ)エチル] アミン、トリス [(2-ピリジル)メチル] アミン、シクラム、及び2位でイミンで置換されたピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。更に好ましくは、配位子が4,4-ジノニル-2,2'-ジピリジル (dNbpy)である。理想的には、遷移金属錯体が遷移金属ハロゲン化物としてのCu(I)Cl又はCu(I)Br及び配位子としてのdNbpy を含む。
触媒が10 ppmから10,000 ppm までの範囲の濃度(モノマーに関して)で存在することが好ましい。触媒が100ppmから1,000 ppm までの範囲の濃度で存在することが更に好ましい。
還元剤は典型的には遷移金属触媒を再生するためにATRP方法中に使用される。また、遷移金属触媒は電気化学手段により再生されてもよい。
好適な還元剤は遷移金属触媒が酸化状態である時にその酸化状態を還元することができるが、活性な連鎖移動種、有効なATRP触媒、又は有効なATRP開始剤を生成しないものである。還元剤がスズ(II) 2-エチルヘキサノエート (Sn(EH)2) 、アスコルビン酸、メチルアルミノキサン (MAO)、酸化第二銅 (Cu(II)O)からなる群から選ばれることが好ましい。還元剤がSn(EH)2 であることが最も好ましい。
使用される試薬の反応性及び重合条件に応じて、ATRP方法はモノマー、ハロゲン化コポリマー、触媒、及びコーム−ブロックコポリマー生成物の熱安定性により制限されるように約0℃から約200 ℃まで変化する温度で実施し得る。通常、約0℃〜約150 ℃の温度が好ましく、30℃から150 ℃までが最も好ましい。反応時間は数時間〜二三日の範囲であってもよい。
広範囲の溶媒及び/又は溶媒ブレンドが媒体(その中で重合が実施される)として使用されてもよい。重合媒体に特に適している溶媒として、水、アルコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド (DMF)、ジクロロメタン、及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、芳香族溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、及び嵩高のスチレンが一般にハロゲン化コポリマー主鎖及びモノマーに良好な溶媒であり、ATRP方法に有利な重合媒体を与える。一般に、或る芳香族性又はハロゲンを含む一層高いHildebrand溶解性パラメーター(例えば、8.6 cal1/2 cm-3/2 より大きい溶解性パラメーター) を有する溶媒が一層高いパラメチルスチレン含量を含む本発明の一層靭性の、一層高いTgのベースポリマーとの溶液反応に必要とされる。
本発明に従って生成されたコーム−ブロックコポリマーのポリマー主鎖は300,000 g/モルから750,000 g/モルまでの範囲の重量平均分子量(Mw)、及び100,000 g/モルから350,000 g/モルまでの範囲の数平均分子量(Mn)を有することが好ましい。コーム−ブロックコポリマーのそれぞれのポリマーのコームアームが2,000 g/モルから625,000 g/モルまでの範囲の重量平均分子量(Mw)、及び600 g/モルから350,000 g/モルまでの範囲の数平均分子量(Mn)を有することが好ましい。コーム−ブロックコポリマーの分子量分布は好ましくは1.2 から3.0 まで、更に好ましくは1.3 から2.5 までの範囲である。
好ましくは、コーム−ブロックコポリマーが10から550 まで、更に好ましくは15から500 までのコームアームを有する。上記されたように、コーム−ブロックコポリマー中のコームアームの最大数はハロゲン化コポリマー主鎖中のベンジルハライド開始剤の量に依存する。例えば、EXXPROTM 3035 (0.47 モル%のベンジル臭素官能基) をハロゲン化コポリマー主鎖として使用するコーム−ブロックコポリマーのコームアームの最大数は約22であり、一方、EXXPROTM 3745 (1.2 モル%のベンジル臭素官能基) を使用するコームアームの最大数は約535 である。立体的な束縛及び粘度上の束縛がまたコームアームの最大数を制限し得る。
上記されたコーム−ブロックコポリマーは種々の工業上の適用に、例えば、タイヤトレッド添加剤として、ハロブチルゴムを含む弾性ナノ複合材料組成物中のナノ充填剤分散剤として、またラテックス配合物中の添加剤として使用し得る。工業上の適用の特別な型についてのコーム−ブロックコポリマーの有益性はコームアームの組成に応じて変化する。
ポリスチレンコームアームを含むコーム−ブロックコポリマーは汎用ゴム、例えば、スチレン−ブタジエンゴム (SBR)とのそれらの相溶性のためにタイヤトレッド添加剤として使用し得る。ビニル末端C6-C20芳香族モノマー成分、好ましくはスチレンから形成されたコームアームを含むコーム−ブロックコポリマーは、HIIR (ハロブチル) 弾性ナノ複合材料組成物中のナノ充填剤分散剤として使用し得る。好ましくは,、これらのコポリマーが4〜7個の炭素を有するイソオレフィンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化エラストマー成分と、一種以上のナノ充填剤を更に含む弾性ナノ複合材料組成物を生成するのに使用し得る。好ましくは、ハロゲン化エラストマー成分がまた少なくとも一種のマルチオレフィンから誘導された単位を含む。理想的には、ハロゲン化エラストマー成分が塩素化ポリ (イソブチレン共イソプレン) (CIIR) 及び臭素化ポリ (イソブチレン共イソプレン)(BIIR)からなる群から選ばれる。好ましいナノ充填剤として、グラフェン、グラファイト、及びカーボンブラックが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、グラファイトがグラフェンであり、又はそれを含む。グラフェンはハニカム結晶格子中に稠密に充填されるsp2-結合された炭素原子の1原子厚さの平面シートである。グラフェン中の炭素間の結合長さは約1.42Åである。グラフェンはグラファイトを含むグラファイト材料の基本的構造要素である。何とならば、グラファイトがグラフェンの多層であると考えられるからである。グラフェン断片はグラファイトの化学変換により調製し得る。最初に、微結晶性グラファイトが硫酸と硝酸の強酸性混合物で処理される。次いでその物質が酸化され、表層剥離されて小さいグラフェン板(それらの端部にカルボキシル基を有する)をもたらす。これらが塩化チオニルによる処理により酸クロリド基に変換され、次に、それらがオクタデシルアミンによる処理により相当するグラフェンアミドに変換される。得られる物質 (5.3 Åの厚さの円形グラフェン層) はテトラヒドロフラン、テトラクロロメタン、及びジクロロエタンに可溶性である (Niyogiら著,グラファイト及びグラフェンの溶液特性, J.Am.Chem.Soc., 128(24), pp.7720-7721 (2006)を参照のこと)。
ポリアクリレートコームアームを含むコーム−ブロックコポリマーはラテックス被覆材及び/又は添加剤として使用し得る。好ましくは、これらのコポリマーが水系であってもよく、疎水性及び不透過性をラテックス被覆物に与えるためにラテックス配合物中に添加剤として使用し得る。これらのコーム−ブロックコポリマーはまたシリカ分散剤タイヤトレッド添加剤として使用し得る。アクリルモノマーがn-ブチルアクリレート (nBA)である場合、得られるコーム−ブロックコポリマーがシーラントとして使用し得る。アクリルモノマーがt-ブチルアクリレート (tBA)である場合、得られるコーム−ブロックコポリマーがスキーム3に従ってアクリル酸グラフトコポリマーに変換し得る。
このようなアクリル酸グラフトコポリマーは加硫を必要としなくてもよい。むしろ、これらの酸グラフトコポリマーはイオン会合により架橋されて熱可塑性エラストマーを得ることができる。
ポリ(メタ)アクリルアミドコームアームを含むコーム−ブロックコポリマーはそれらの両親媒性の性質のために表面活性剤として使用し得る。
ポリアクリロニトリルコームアームを含むコーム−ブロックコポリマーはエンジン、ギヤボックス、及びガスケット中の耐油性シーラントとしてアンダー・フード適用に使用し得る。
主鎖コポリマーA及びBの調製
エクソンモービル・ケミカル社(テキサス州、ヒューストン)から得られる臭素化ポリ (イソブチレン共p-メチル-スチレン) の二つの銘柄を実施例1-4 のハロゲン化コポリマーのポリマー主鎖として使用した。第一の銘柄、EXXPROTM 3035 (以下“主鎖コポリマーA”)は5質量%のp-メチルスチレン単位、0.47モル%のベンジル臭素官能基、490,000 の分子量、及び45±5のムーニー粘度を有する。第二の銘柄、EXXPROTM 3745 (以下“主鎖コポリマーB”)は7.5 質量%のp-メチルスチレン単位、1.2 モル%のベンジル臭素官能基、490,000 の分子量、及び45±5のムーニー粘度を有する。
実施例1-4 の主鎖コポリマーA及びBを調製するために、これらのコポリマーの製造方法中に水スラリーを安定化するのに使用されたステアリン酸カルシウム (CaSt2) を、最初にカラム濾過を使用して除去した。
実施例1
主鎖コポリマーAからのn-ブチルアクリレート (nBA)のATRP
CuCl (Aldrich, 99.99%) (7.8 mg, 78.9 μモル) 及び4,4'-ジノニル-2,2'-ジピリジル (dNbpy, Aldrich, 97%) (67.3 mg, 159.8μモル) をサイドアームを備えた100 mLの丸底反応フラスコに添加した。次いでその反応フラスコをガラスストッパーでシールし、約1時間にわたってN2でパージした。
主鎖コポリマーAをクロロベンゼンに溶解して溶液を生成し、得られる溶液を約1時間にわたってN2でパージした。nBA (Aldrich, 99%)をアルミナカラム中に通して奪活剤を除去し、得られるモノマー溶液を約1時間にわたってN2でパージした。CuCl2 (Aldrich, 99.99%) (5.3 mg, 39.5μモル) をジメチルスルホキシド(DMSO) 0.2 mL に溶解した。次いでクロロベンゼン (0.8 mL)をそのDMSOに添加し、得られる混合物を10分間にわたってN2でパージした。
上記DMSO混合物約0.10 mL、nBA モノマー溶液2 mL (13.8 ミリモルのnBA)、及び主鎖コポリマーA/クロロベンゼン溶液 (246.6 mg の主鎖コポリマーA) 8.0 mL を反応フラスコに注入した。その反応フラスコを90℃のサーモスタット油浴に入れた。その反応溶液が褐色になった。Sn(EH)2 (31.20 mg, 77.0μモル) をクロロベンゼン1 mLに溶解し、30分間にわたってN2を吹き込んだ。反応120 時間で、Sn(EH)2 溶液0.1 mLをその反応フラスコに注入して重合を再開した。小量の反応溶液を種々の時間間隔でシリンジにより取り出した。これらのサンプルを1H-NMR (溶媒としてのCDCl3) により分析してモノマー転化率を測定し、またトリプル検出器GPC により分析してコーム−ブロックコポリマーの分子量及び分子量分布 (Mw/Mn) を測定した。222 時間後に、触媒を空気に暴露することによりその反応を停止した。その反応溶液が緑色になった。その反応溶液をテトラヒドロフラン (THF)で希釈し、メタノールに滴下して添加し、透明な粘着性固体を得た。
時間の関数としての主鎖コポリマーAからのnBA のATRPの進行を表1に示す。
また図1から見られるように、反応の終了時のコーム−ブロックコポリマーの重量平均分子量は主鎖コポリマーAのそれよりも1,049,267 g/モル大きかった。コーム−ブロックコポリマーが10のコームアームから22付近のコームアームまでの好ましい最小数(主鎖コポリマーAを使用するコームアームの最大数)の範囲のいずれかを含むんだと仮定して、分子量のこの増大は、平均で、それぞれのコームアームが約50,000g/モルから100,000g/モルまでの範囲の重量平均分子量を有したことを示す。
CuCl (Aldrich, 99.99%) (31.3 mg, 315.7 μモル) 及びdNbpy (Aldrich, 97%) (269.3 mg, 639.2μモル) をサイドアームを備えた100 mLの丸底反応フラスコに添加した。次いでその反応フラスコをガラスストッパーでシールし、約1時間にわたってN2でパージした。
主鎖コポリマーAをクロロベンゼンに溶解して溶液を生成し、得られる溶液を約1時間にわたってN2でパージした。tBA (Aldrich, 99%)をアルミナカラム中に通して奪活剤を除去し、得られるモノマー溶液を約1時間にわたってN2でパージした。CuCl2 (Aldrich, 99.99%) (21.2 mg, 157.8 μモル) をDMSO 0. 8 mL に溶解した。次いでクロロベンゼン (0.8 mL)をそのDMSOに添加し、得られる混合物を10分間にわたってN2でパージした。
上記DMSO混合物約0.10 mL、tBA モノマー溶液8 mL (55.24 ミリモルのtBA)、及び主鎖コポリマーA/クロロベンゼン溶液 (986.5 mg の主鎖コポリマーA) 32.0 mL を反応フラスコに注入した。その反応フラスコを90℃のサーモスタット油浴に入れた。その反応溶液が褐色になった。24時間後、(Sn(EH)2 )溶液(30分間にわたってN2を吹き込まれた、クロロベンゼン1 mL中319.75 mg) 0.1 mL をその反応フラスコに注入して重合を再開した。46時間後、触媒を空気に暴露することによりその反応を停止した。その反応溶液が緑色になった。その反応溶液をTHF で希釈し、メタノールに滴下して添加し、ゴム状の固体を得た。小量の反応溶液を1H-NMR (溶媒としてのCDCl3) により分析して反応転化率を測定した。46時間におけるモノマー転化率は18.3%であった。
主鎖コポリマー B (5 g)を100 ℃に保たれたホットプレート上の500 mLの丸底反応フラスコ中のトルエン100 g に溶解した。スチレンモノマーをアルミナカラムに通して抑制物質を除去することにより精製した。
精製されたスチレンモノマー (9.3 g) 、CuBr2 (Acros, 99%) (0.1 g)、dNbpy (Aldrich, 97%) (0.4 g, 900μモル) 及びクロロベンゼン (0.1 g) をその後にその反応フラスコに添加した。そのフラスコをゴム栓でシールし、100 ℃に保ちながら30分間にわたってN2でパージした。次いでSn(EH)2 (180 mg, 440μモル) を添加して反応を開始した。4時間後、その溶液が非常に濃厚かつゲル状になった。18時間後、触媒を空気に暴露することによりその反応を停止し、ゴム状のゲル反応生成物を得た。小量の反応生成物を1H-NMR (溶媒としてのCDCl3) により分析して反応転化率を測定した。18時間におけるモノマー転化率はほぼ100 %であった。
グローブボックス内で、撹拌棒を備えた50 mL のクリンプトップボトルに主鎖コポリマーA/ジクロロベンゼン溶液 (3.5 g) 、続いて触媒溶液 (0.05 mL)、スチレン (2.1 g)、及びSn(EH)2 溶液 (0.05 mL)を仕込んだ。そのボトルを栓でシールし、ホットプレート上で90℃に加熱し、4日間撹拌し、その時点で反応混合物を冷却し、空気に暴露し、トルエンで希釈し、メタノール中で沈澱させ、白色の固体を得た。小量の反応生成物を1H-NMR (溶媒としてのCDCl3) により分析して反応転化率を測定し、かつ示差屈折率 (DRI) により分析して分子量を測定した。
最終コーム−ブロックコポリマーは168,958 g/モルの数平均分子量(Mn)、885,772 g/モルの重量平均分子量(Mw)、及び5.24の分子量分布を有していた。比較するに、出発物質主鎖コポリマー (コポリマー A) は236,029 g/モルの数平均分子量(Mn)、602,838g/モルの重量平均分子量(Mw)、及び2.55の分子量分布を有していた。予想されたように、コーム−ブロックコポリマーの平均分子量は主鎖コポリマーのそれより大きかった。しかしながら、コーム−ブロックコポリマーの分子量分布は主鎖コポリマーのそれより高く、一方、分子量分布の減少が予想された。DRI 分析はコーム−ブロックコポリマーが双峰性の分子量分布を示すことを示した。分子量分布のこの双峰性の性質に基づいて、分子量分布の増大はおそらくベンジルハライド部分の不完全な開始又は高い溶液粘度のための重合の終了時のモノマーとり込みの異なる比率のためであった。
分子量(数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw))を、オンライン示差屈折率 (DRI)検出器、光散乱(LS)検出器、及びビスコメーター (VIS)検出器を備えたPolymer Laboratoriesモデル220 高温GPC-SEC (所謂GPC-3D、ゲル透過クロマトグラフィー-3検出器)を使用して測定する。それは0.54 ml/分の流量及び300 μLの公称注入容積を使用する分離のための三つのPolymer Laboratories PLgel 10 m Mixed-B カラムを使用する。検出器及びカラムは135 ℃に維持されたオーブン中に含まれる。サイズ排除クロマトグラフィー (SEC)カラムから現れる流れがminiDAWN (Wyatt Technology, Inc.) 光学フローセル次いでDRI 検出器に送られる。DRI 検出器はPolymer Laboratories SECの一体化部分である。ビスコメーターはDRI 検出器の後に配置される、SEC オーブン内にある。これらの検出器の詳細だけでなく、ポリスチレンを基準とするそれらの較正が、例えば、T.Sun 、P.Brant 、R.R.Chance、及びW.W.Graessley により34(19) Macromolecules, 6812-6820, (2001)に記載されている。
グラフェン及びグラファイトを分散するための本発明の多環式芳香族炭化水素官能化イソブチレンコポリマーの種々の局面を記載し、示したので、下記の実施態様が番号付きパラグラフにここに記載される。
P1. (i) 100,000 g/モルから350,000 g/モルまでの範囲の数平均分子量を有するポリマー主鎖(そのポリマー主鎖は4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化コポリマーを含む)、及び(ii)少なくとも一種の機能性ポリマー(その機能性ポリマーは少なくとも一つの芳香族部分及び/又は少なくとも一つのヘテロ原子含有部分を含み、好ましくはその機能性ポリマーはアクリレート、アクリルアミド、及びアクリロニトリルの少なくとも一種から誘導された単位を含む)を含む一つ以上のポリマーコームアームを含むコーム−ブロックコポリマー。
P2. 機能性ポリマーがスチレンから誘導された単位を更に含む、先の番号付きパラグラフ1のコーム−ブロックコポリマー。
P3. ポリマー主鎖が300,000 g/モルから750,000 g/モルまでの範囲の重量平均分子量を有し、かつ一つ以上のポリマーコームアームのそれぞれが2,000 g/モルから400,000g/モルまでの範囲の重量平均分子量を有する、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマー。
P5. コーム−ブロックコポリマーが10から550 までのポリマーコームアームを有する、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマー。
P6. ハロゲン化コポリマーが臭素化ポリ (イソブチレン共p-メチルスチレン) (BIMSM)である、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマー。
P7. 機能性ポリマーがアクリレートから誘導された単位を含む、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマーを含むラテックス被覆材及び/又は添加剤。
P8. 機能性ポリマーがアクリレートから誘導された単位を含む、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマーを含むシリカ分散剤タイヤトレッド添加剤。
P9. 機能性ポリマーがn-ブチルアクリレート (nBA)から誘導された単位を含む、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマー。
P10. 先の番号付きパラグラフ9のコーム−ブロックコポリマーを含むシーラント。
P11. 機能性ポリマーがt-ブチルアクリレート (tBA)から誘導された単位を含む、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマー。
P12. 先の番号付きパラグラフ11のコーム−ブロックコポリマーから得られたアクリル酸グラフトコポリマー。
P13. 機能性ポリマーがメタクリルアミドから誘導された単位を含む、先の番号付きパラグラフのいずれか一つのコーム−ブロックコポリマーを含む表面活性剤。
P15. 機能性ポリマーがスチレンから誘導された単位を含み、かつ添加剤がスチレン−ブタジエンゴム (SBR)と相溶性である、先の番号付きパラグラフ2から6ののいずれか一つのコーム−ブロックコポリマーを含むタイヤトレッド添加剤。
P16. (a) (i) 4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化コポリマーを含むポリマー主鎖及び(ii)少なくとも一種の機能性ポリマー(その機能性ポリマーはビニル末端C6-C20 芳香族モノマーから誘導された単位を含む)を含む一つ以上のポリマーコームアームを含むコーム−ブロックコポリマー; (b) 4〜7個の炭素を有するイソオレフィンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化エラストマー成分; 及び(c) 少なくとも一種のナノ充填剤(そのナノ充填剤はグラフェン、化学的に変換されたグラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、カーボンブラック、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる)を含む弾性ナノ複合材料組成物。
P17. ハロゲン化エラストマー成分が塩素化ポリ (イソブチレン共イソプレン) (CIIR)、臭素化ポリ (イソブチレン共イソプレン) (BIIR)、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、先の番号付きパラグラフ16のナノ複合材料組成物。
P19. コーム−ブロックコポリマーの製造方法であって、その方法がベンジルハライド部分を有するハロゲン化コポリマー開始剤を使用してアクリレート、アクリルアミド、及びアクリロニトリルの少なくとも一種から誘導された単位を含む一種以上のモノマー成分を原子移動ラジカル重合(ATRP)により重合することを含み、そのハロゲン化コポリマー開始剤が4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を含み、かつその重合が30℃から150 ℃までの範囲の温度で遷移金属錯体触媒の存在下で行なわれる、前記方法。
P20. 遷移金属がCu、Ti、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Rh、Co、Ni、Pd、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、先の番号付きパラグラフ19の方法。
P21. 遷移金属がCuであり、かつ遷移金属錯体がジノニル-2,2'-ジピリジル (dNbpy)配位子を更に含む、先の番号付きパラグラフ20の方法。
P22. 銅がスズ(II) 2-エチルヘキサノエートを使用してCu(II)からCu(I) に還元される、先の番号付きパラグラフ21の方法。
P23. ハロゲン化コポリマー開始剤が臭素化ポリ (イソブチレン共p-メチルスチレン) (BIMSM) である、先の番号付きパラグラフ19から22のいずれか一つの方法。
P24. コーム−ブロックコポリマーを4〜7個の炭素を有するイソオレフィンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化エラストマー成分、及び少なくとも一種のナノ充填剤とブレンドして弾性ナノ複合材料組成物を得ることを更に含み、そのモノマー成分がビニル末端C6-C20芳香族モノマーから誘導された単位を更に含む、先の番号付きパラグラフ19から23のいずれか一つの方法。
P25. ナノ充填剤がグラフェン、化学的に変換されたグラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、カーボンブラック、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、先の番号付きパラグラフ24の方法。
本明細書に引用された全ての特許、試験操作、及びその他の書類(優先権書類を含む)は、このような開示が不一致ではない程度に、かつこのような組み入れが許される全ての司法権について参考として充分に含まれる。
本明細書に開示された例示の形態が特殊性でもって記載されたが、種々のその他の変更がその開示の精神及び範囲から逸脱しないで当業者に明らかであり、また直ぐになし得ることが理解されるであろう。従って、特許請求の範囲は本明細書に示された例及び記載に限定されることは意図されないが、むしろ特許請求の範囲は全ての特徴(これらはこの開示か関係する当業者により均等物として処理されるであろう)を含む、本明細書にある特許性の新規性の全ての特徴を含むと見なされることが意図されている。
数的下限及び数的上限が本明細書にリストされる場合、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図される。“含むこと(comprising) ”という用語は“含むこと(including)”という用語と同義である。同様に、組成物、要素又は成分の群が“含むこと(comprising)”という移行句で先行される時はいつでも、本発明者らはまた組成物、成分、又は複数の成分の言及に先行する“実質的に・・からなること“、“・・からなること”、“・・からなる群から選ばれる”又は“・・である”という移行句でもって同じ組成物又は成分の群を意図しており、その逆もまた真であることが理解される。
“言及による組み入れ”の教義が適用される全ての司法権につき、試験方法、特許刊行物、特許及び参考文献の全てが言及によりそのまま含まれ、又はそれらが言及される妥当な部分について本明細書に含まれる。
Claims (25)
- (a) 100,000 g/モルから350,000 g/モルまでの範囲の数平均分子量を有するポリマー主鎖であって、4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化コポリマーを含む、ポリマー主鎖、及び
(b) 少なくとも一種の機能性ポリマーを含む一つ以上のポリマーコームアームであって、前記機能性ポリマーはアクリレート、アクリルアミド、及びアクリロニトリルの少なくとも一種から誘導された単位を含む、一つ以上のポリマーコームアーム
を含むコーム−ブロックコポリマー。 - ポリマー主鎖が300,000 g/モルから750,000 g/モルまでの範囲の重量平均分子量を有し、かつ一つ以上のポリマーコームアームのそれぞれが2,000 g/モルから400,000 g/モルまでの範囲の重量平均分子量を有する、請求項1記載のコーム−ブロックコポリマー。
- コーム−ブロックコポリマーが1.2 から3.0 までの範囲の分子量分布 (Mw/Mn)を有する、請求項1記載のコーム−ブロックコポリマー。
- コーム−ブロックコポリマーが10から550 までのポリマーコームアームを有する、請求項1記載のコーム−ブロックコポリマー。
- ハロゲン化コポリマーが臭素化ポリ (イソブチレン共p-メチルスチレン) (BIMSM)である、請求項1記載のコーム−ブロックコポリマー。
- 請求項1記載のコーム−ブロックコポリマーを含むラテックス被覆材及び/又は添加剤であって、機能性ポリマーがアクリレートから誘導された単位を含む、ラテックス被覆材及び/又は添加剤。
- 請求項1記載のコーム−ブロックコポリマーを含むシリカ分散剤タイヤトレッド添加剤であって、機能性ポリマーがアクリレートから誘導された単位を含む、シリカ分散剤タイヤトレッド添加剤。
- 機能性ポリマーがn-ブチルアクリレート (nBA)から誘導された単位を含む、請求項1記載のコーム−ブロックコポリマー。
- 請求項8記載のコーム−ブロックコポリマーを含むシーラント。
- 機能性ポリマーがt-ブチルアクリレート (tBA)から誘導された単位を含む、請求項1記載のコーム−ブロックコポリマー。
- 請求項10記載のコーム−ブロックコポリマーから得られたアクリル酸グラフトコポリマー。
- 請求項1記載のコーム−ブロックコポリマーを含む表面活性剤であって、機能性ポリマーがメタクリルアミドから誘導された単位を含む、表面活性剤。
- 請求項1記載のコーム−ブロックコポリマーを含む物品であって、機能性ポリマーがアクリロニトリルから誘導された単位を含み、かつ物品が耐油性シーラントである、物品。
- 機能性ポリマーがスチレンから誘導された単位を更に含む、請求項1記載のコーム−ブロックコポリマー。
- 請求項14記載のコーム−ブロックコポリマーを含むタイヤトレッド添加剤であって、機能性ポリマーがスチレンから誘導された単位を含み、かつ添加剤がスチレン−ブタジエンゴム (SBR)と相溶性である、タイヤトレッド添加剤。
- (a) (i) 4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化コポリマーを含むポリマー主鎖及び (ii) 少なくとも一種の機能性ポリマーを含む一つ以上のポリマーコームアームであって、前記機能性ポリマーはビニル末端C6-C20 芳香族モノマーから誘導された単位を含む、一つ以上のポリマーコームアーム
を含むコーム−ブロックコポリマー;
(b) 4〜7個の炭素を有するイソオレフィンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化エラストマー成分; 及び
(c) グラフェン、化学的に変換されたグラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、カーボンブラック、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、少なくとも一種のナノ充填剤
を含む弾性ナノ複合材料組成物。 - ハロゲン化エラストマー成分が塩素化ポリ (イソブチレン共イソプレン) (CIIR)、臭素化ポリ (イソブチレン共イソプレン) (BIIR)、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項16記載のナノ複合材料組成物。
- 請求項16記載のナノ複合材料組成物を含むタイヤインナーライナー。
- コーム−ブロックコポリマーの製造方法であって、
ベンジルハライド部分を有するハロゲン化コポリマー開始剤を使用してアクリレート、アクリルアミド、及びアクリロニトリルの少なくとも一種から誘導された単位を含む一種以上のモノマー成分を原子移動ラジカル重合(ATRP)により重合することを含み、
前記ハロゲン化コポリマー開始剤は4〜7個の炭素を有するイソオレフィン及びパラ−アルキルスチレンから誘導された単位を含み、かつ
前記重合は30℃から150 ℃までの範囲の温度で遷移金属錯体触媒の存在下で行なわれる、前記方法。 - 遷移金属が、Cu、Ti、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Rh、Co、Ni、Pd、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項19記載の方法。
- 遷移金属がCuであり、かつ遷移金属錯体がジノニル-2,2’-ジピリジル (dNbpy)配位子を更に含む、請求項20記載の方法。
- 銅がスズ(II) 2-エチルヘキサノエートを使用してCu(II)からCu(I) に還元される、請求項21記載の方法。
- ハロゲン化コポリマー開始剤が臭素化ポリ (イソブチレン共p-メチルスチレン) (BIMSM) である、請求項19記載の方法。
- コーム−ブロックコポリマーを
(i) 4〜7個の炭素を有するイソオレフィンから誘導された単位を含む少なくとも一種のハロゲン化エラストマー成分、及び
(ii)少なくとも一種のナノ充填剤とブレンドして弾性ナノ複合材料組成物を得ることを更に含み、前記モノマー成分がビニル末端C6-C20芳香族モノマーから誘導された単位を更に含む、請求項19記載の方法。 - ナノ充填剤が、グラフェン、化学的に変換されたグラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、カーボンブラック、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項24記載の方法。
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