JP2018531303A6 - 車両の乗員を保護するためのエアバッグの防しわ性及び耐摩耗性を向上させるのに有用なシリコーン組成物及び方法 - Google Patents

車両の乗員を保護するためのエアバッグの防しわ性及び耐摩耗性を向上させるのに有用なシリコーン組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明の一般的な分野は、重付加又はヒドロシリル化反応によって架橋して、薄層としてのシリコーンエラストマーで被覆された支持体を製造することができる、特に二成分又は多成分型のシリコーン被覆組成物の分野である。これらのシリコーン組成物は、架橋されると、特に、例えば繊維、織物、編物又は不織支持体などの様々なテキスタイル基材の保護又は機械的補強のための被膜として好適である。本発明の目的は、架橋後に、密着性、薄さ、軽さ、防しわ性及び耐摩耗性の点で最適な特性を有するのみならず、良好な機械的特性も有する、不燃性安全バッグ又は車両用エアバッグ分野の用途に特に有用な、重付加反応によって架橋することのできるシリコーンエラストマー被覆組成物を提供することである。また、このシリコーン被覆組成物は、使用及び適用が容易でなければならない。

Description

本発明の一般的な分野は、重付加又はヒドロシリル化反応によって架橋して、薄層としてのシリコーンエラストマーで被覆された支持体を製造することができる、特に二成分又は多成分型のシリコーン被覆組成物の分野である。これらのシリコーン組成物は、架橋されると、特に、例えば繊維、織物、編物又は不織支持体などの様々なテキスタイル基材の保護又は機械的補強のための被膜として好適である。
このようなシリコーン被膜は、一般に、基材の被覆、次いで、オルガノポリシロキサンの不飽和(アルケニル、例えばSi−Vi)基の同一の又は別のオルガノポリシロキサンのヒドロシリル官能基に対する重付加により生じる硬化によって得られる。
これらのシリコーン化合物は、エアバッグとしても知られている車両乗員の個々の保護のためのバッグの製造に使用される織物、編物又は不織可撓性材料の被膜に重要であることが分かっている。本発明は、このような保護バッグの製造におけるこれらのシリコーン組成物の使用に関するものでもある。
歴史的には、保護バッグは、例えばポリアミド(ナイロン(登録商標))などの合成繊維製の布で形成され、その表面の少なくとも1つにはクロロプレン型のエラストマーの層が覆われている。衝撃事象の際にガス発生器によって放出されるガス(例えば、一酸化炭素、NOx)が極端に高熱であり、かつ、ナイロン(登録商標)バッグを損傷させる可能性のある白熱粒子を含むことにより、このような保護層又は保護被膜の存在が必要となる。エラストマー製の内部保護層は、高温及び機械的応力に対して抵抗性がなければならない。また、このエラストマー被膜が、合成布地製の支持体に完全に密着し、エアバッグの壁を形成する薄くて均一なフィルムの形態であることも重要である。
この用途では、クロロプレンからシリコーン組成物に容易に変更されてきた。というのは、クロロプレンは上記の要件を全て十分に満たしていないことが分かったからである。
機械的及び熱的にアグレッシブなガス発生器を使用することにより、エアバッグの継ぎ目にさらなる応力がかかる。エアバッグの展開に伴う物理的応力に加えて、これらの応力により、エラストマー被覆布地が引き裂かれ、これらの縫い目が開く可能性がある。これにより、発生器から発散して縫い目を通る高温ガスの逃げ場が生じ、特定のエアバッグの引き裂き、コーミング(ほつれ)又はさらには破裂の原因となる弱点が生じる。したがって、エアバッグ製造者は、織物、編物又は不織繊維支持体を被覆するのに有用であり、架橋後に支持体に対する優れた密着性を示し、それに最適な機械的性質、特に良好な耐摩耗性、防しわ性、耐引裂性及び耐コーミング性(被覆支持体がエアバッグの縫い目のコーミングに耐えることのできる能力)を付与するシリコーンエラストマーのための先駆シリコーン組成物を常に探し求めている。
用語「不織」とは、性質又は起源にかかわらず、繊維、連続フィラメント又は断糸などのテキスタイル材料からなり、任意の手段によってネットに形成され、糸を撚り合わせることを除く任意の手段によって結合された任意の構造を意味する。不織テキスタイルは、主として繊維からなり、紡績、織り、編み、又は結び以外のプロセスによって製造される多孔質テキスタイルの外観を有する製品である。
エラストマー被膜が被る別の制約は、耐老化性、すなわち熱的性質、機械的性質及び密着特性の経時的な保存である。この制約はいっそう深刻である。というのは、個人保護用のバッグは、事故の際に救命膨張を可能にする前に自動車内に折りたたまれた形態で保管されているからである。
しかし、現在では新たな制約が出現しており、新たな解決策が求められている。第1に、エアバッグの耐久性は、その制約がより不利な状況下で保証されなければならない。したがって、高温及び高湿度、例えば80℃及び95%相対湿度での老化よってシミュレートされる厳しい気候条件下であっても、得られるエアバッグが優れた耐摩耗性を示すことを保証するシリコーン被覆組成物を供給する要望がある。
第2に、欧州特許出願公開第617881号に記載されている、ポリアミド又はポリエステルなどの合成繊維製のエアバッグの製造用生地の製造方法は、混合繊維の製造、すなわち紡績及び製織、その後の様々な処理、例えば布地の洗浄、乾燥及び熱硬化などの様々な操作を含む。混合繊維の製造及び紡糸の間に、一般的にサイジング製品又はオイルを使用して繊維及び糸の滑りを促進させる。製織工程の前又は製織工程中に、繊維同士の結合を確実にし、糸の保護シースを形成して目に見える欠陥のない布地を製造し、破断やほつれを可能な限り防止するために、糸に仕上げ処理を施すことが多い。織機におけるニードル及び機械の効果的な潤滑のために製織中に他の潤滑剤が規則的に使用され、その結果、ニードルに巻き込まれた糸が潤滑剤の一部を運び、潤滑剤が布地に含まれることになる。特に、これらのサイジング又は仕上げ製品又はオイルと潤滑剤とを除去するために、布地が「直接オフルーム」(織機織りが使用する用語)されてからの製織工程後に、1回以上の洗浄工程が実施される。この洗浄工程の後に、布地を乾燥させる工程を行うが、これは、「熱硬化」とも呼ばれる熱処理工程と同時に実施される場合が多い。織布工場において、これらのサイジング又は仕上げ製品又はオイル及び潤滑剤を除去することを目的とする洗浄工程は、水性廃棄物に含まれる汚染水性流出物を生成することが知られている。その結果、エアバッグの製造について、製織後に、洗浄又は洗い工程も熱処理又は「熱硬化」工程も経ない「直接オフルーム」、「未加工」又は「織機状態」としても知られている製織直後に得られた布地を使用することができることに環境上の課題がある。国際公開第2007/065885号に記載されているように、これらのサイジング又は仕上げ製品又はオイル及び潤滑剤の存在が布地上のシリコーン被膜の密着性能を低下させる可能性があり、その結果、エアバッグ分野において有害となる可能性があることが知られている。薄くて均一なフィルムの形態のシリコーンエラストマー被膜が、製織後に洗浄又は熱硬化工程を経なかった織物又は編物繊維支持体に完全に密着することが重要である。
したがって、全てのタイプの織物及び編物繊維支持体、特に製織後に洗浄工程又は熱硬化工程を経ていない織物又は編物繊維支持体に対するシリコーンエラストマーの密着性を改善する要望が引き続き存在する。この密着性は、高温及び高湿度条件下であっても、全体にわたって維持されなければならない。
エアバッグに使用されるシリコーン組成物に使用される接着促進剤は広く検討されており、様々な解決策が当業者に知られている。
例えば、米国特許第5,877,256号には、接着促進剤として、エポキシ単位を含む有機ケイ素化合物を使用することが記載されている。これらの有機ケイ素化合物は、シラン又はシロキサンとすることができ、また、アルコキシ、SiH及びS−ビニル基から選択される他の官能基を含むこともできる。米国特許第5,789,084号には、上記米国特許第5,877,256号に記載された有機ケイ素化合物と、有機チタン化合物とを含む接着促進剤を使用することが記載されている。欧州特許出願公開第0681014号には、エポキシ単位を有する有機ケイ素化合物と、有機チタン化合物と、アルコキシ単位を有するシランとからなる接着促進剤を使用することが記載されている。さらに最近では、欧州特許出願公開第1623063号には、接着促進剤として、アルコキシ及びエポキシ官能基を有するシランと、チタン酸ブチルと、鎖中にビニル単位を有しかつジメチルヒドロキシシリル鎖末端を有するオルガノポリシロキサンとを含む混合物を使用することが記載されている。米国特許第7,153,583号には、(メタ)アクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物を含む接着促進剤系が記載されている。
エアバッグとも呼ばれる車両乗員の個々の保護用バッグの製造に使用される織物、編物又は不織可撓性材料上に薄層としてのシリコーンエラストマー被膜を製造するためのシリコーン被覆組成物であって、製織後に直接得られ、かつ、洗浄又は熱硬化工程を経ていない布地に満足に使用するのに十分な密着性能を有するものに対する要望が依然として存在する。これらのシリコーンエラストマー被覆組成物は、最適な機械的性質、特に良好な耐引裂性及び耐コーミング性(被覆された布がエアバッグの継ぎ目のコーミングに耐えることができる能力)を同時に示さなければならない。
例えば国際公開第2007/065885号又は米国特許第7,581,568号において解決手段が想起されているが、その解決手段は、依然としてある種の織物又は織機に固有のままである。現時点では、エアバッグ用途において、製織後に洗浄工程又は熱硬化工程を経ていない織物又は編物繊維支持体を使用することを可能にする十分な技術的解決手段は存在していない。
欧州特許出願公開第617881号明細書 国際公開第2007/065885号 米国特許第5,877,256号 米国特許第5,789,084号 欧州特許出願公開第0681014号 欧州特許出願公開第1623063号 米国特許第7,153,583号 米国特許第7,581,568号
本発明の目的は、架橋後に、密着性、薄さ、軽さ、防しわ性及び耐摩耗性の点で最適な特性を有するのみならず、良好な機械的特性も有する、車両用エアバッグ分野の用途に特に有用な、重付加反応によって架橋することのできるシリコーンエラストマー被覆組成物を提供することである。また、このシリコーン被覆組成物は、使用及び適用が容易でなければならない。
本発明の別の目的は、織物、編物又は不織繊維支持体の耐摩耗性を改善する方法を提供することである。この耐摩耗性は、困難な環境条件下、すなわち被覆された繊維支持体が高温及び高湿度条件にさらされる場合であっても最適でなければならない。
本発明の本質的な目的のうち別のものは、製織中に使用される潤滑組成物又はサイジング組成物を除去することを目的した洗浄工程又は熱硬化工程を経ずに、製織機から直接出て得られる織物又は編物繊維支持体の耐摩耗性を改善する方法を提供することである。
また、本発明は、エアバッグとも呼ばれる車両乗員の個々の保護用バッグの製造のために使用される織物、編物又は不織繊維支持体、及びこれらの織物、編物又は不織繊維支持体を得る方法に関するものでもある。
本発明に係る方法によって得られるこれらの繊維支持体は、密着性、薄さ、軽さ、防しわ性及び耐摩耗性の点で最適な特性を有するだけでなく、優れた耐コーミング性及び耐引裂性も有する、車両用エアバッグの製造に使用される。
本発明の別の目的は、上記シリコーン組成物で被覆された、又は上記方法に従って得られた繊維支持体である。さらに、本発明の最終的な目的は、上記シリコーン組成物で被覆された織物又は編物繊維支持体を備えるエアバッグである。
これらの目的は、特に、重付加によって架橋又は硬化することのできるシリコーンベースBを含むシリコーン組成物Aからなる本発明によって達成され、該シリコーン組成物Aは、少なくとも1種の有機チタン化合物Mと、次式を有するシロキシル単位(I.1)〜(I.3):
Figure 2018531303
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を含み、かつ、次式(I.4):
Figure 2018531303
の単位を含まない直鎖オルガノポリシロキサンである少なくとも1種の添加剤Xと、を含む接着促進剤系Dを含むことを特徴とし、上記式中、
・a=1であり、b=1又は2であり、
・d=1であり、e=1又は2であり、
・記号Yは、2〜20個の炭素原子及びエポキシ官能基を有する炭化水素基を含む、任意に酸素原子などの1個以上のヘテロ原子を有する基を表し、好ましくは、記号Yは、アルキルグリシジルエーテル、直鎖、分岐又は環状エポキシアルキル、直鎖、分岐又は環状エポキシアルケニル及びカルボン酸グリシジルエステルよりなる群から選択され、
・記号Z1、Z2及びZ3は、同一でも異なっていてもよく、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及び6〜12個の炭素原子を有するアリール基よりなる群から選択され、さらに好ましくはメチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニル基よりなる群から選択される、1〜30個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表し、
ただし、添加剤Xは、1分子当たり、エポキシ官能性炭化水素基を有する少なくとも2個のシロキシル単位(I.1)及びヒドロシロキシ基を有する少なくとも3個のシロキシル単位(I.3)を含むものとする。
複数回の試験後、出願人は、シリコーン組成物Aにおいて、少なくとも1種の有機チタン化合物M及び上記1種の添加剤Xを含む接着促進剤系Dを使用することにより、この組成物Aで被覆された繊維支持体の優れた耐摩耗性及び防しわ性を得ることが可能であることを実証することができた。
添加剤Xは、少なくとも3つのSi−H結合を有し、接着促進剤及び架橋剤として作用する。このオルガノポリシロキサンは、非常に具体的な基準によって定義される。それは、鎖中の全てのシロキシル単位がSi−H単位(I−3)又はSi−エポキシ単位(I−2)のいずれかで官能化された直鎖オルガノポリシロキサンであるというものである。
好ましくは、添加剤Xは、アルコキシ、ビニル、ヒドロキシル又はメタクリルオキシ官能基を含まない。
有利には、添加剤Xは、シロキシル単位の総数が7〜30、好ましくは7〜25、さらに好ましくは7〜15である。
添加剤Xは、被覆された繊維支持体上に所望の良好な特性を得ることを可能にする組成物A中の接着促進剤系として有機チタン化合物Mと併用される。
さらに、他の必要な特性、すなわちシリコーン被膜の硬度、機械的強度、表面均一性及び耐熱性を犠牲にしてまで、耐摩耗性及び防しわ性の改善は生じない。
本発明に係る組成物Aの別の利点は、製織中に使用される潤滑組成物又はサイジング組成物を除去することを目的した洗浄工程又は熱効果工程を経ずに、製織機から出て直接得られる織物又は編物繊維支持体を被覆するために使用できることである。
本発明の好ましい構成によれば、添加剤Xは、シロキシル単位(I.1)とシロキシル単位(I.3)とのモル比が0.5〜4、好ましくは0.8〜3、さらに好ましくは0.8〜2.5の間である。
好ましい一実施形態によれば、添加剤Xは、次式を有するシロキシル単位(I.1)〜(I.3)から選択されるシロキシル単位からなる:
Figure 2018531303
Figure 2018531303
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式中、
・a=1であり、b=1又は2であり、
・d=1であり、e=1又は2であり、
・記号Y、Z1、Z2及びZ3は、上で定義した通りである。
別の好ましい実施形態によれば、添加剤Xは、次式を有するシロキシル単位(I.1)〜(I.3)から選択されるシロキシル単位からなる:
Figure 2018531303
Figure 2018531303
Figure 2018531303
式中、
・a=1であり、b=1又は2であり、
・d=1であり、e=1であり、
・記号Y、Z1、Z2及びZ3は、上で定義した通りである。
添加剤Xは、先に記載したような単位(I.4)を含まない線状オルガノポリヒドロシロキサンによって、酸素原子を含む少なくとも1種の炭化水素系環を有する有機シントンをヒドロシリル化することによって得ることができる。これらのヒドロシリル化反応は、白金、特に欧州特許出願公開第0904315号に記載された炭素担持白金によって、又は欧州特許出願公開第1309647号に記載された白金とカルベン配位子との錯体によって触媒できる。好ましくは、使用される触媒は白金とカルベン配位子との錯体である。ヒドロシリル化反応がより良好に制御され、得られる添加剤Xの貯蔵安定性が改善されるからである。
好ましくは、添加剤Xは、シロキシル単位(I.1)の含有量が添加剤X100g当たり0.25モル以上、より好ましくは0.25〜0.45モル/添加剤X100gである。
さらに有利には、添加剤Xは、シロキシル単位(I.1)の含有量が添加剤X100g当たり0.25モル以上であり、シロキシル単位(I.3)の含有量が添加剤X100g当たり0.3モル以上である。
さらに有利な実施形態によれば、添加剤Xは、シロキシル単位(I.1)の含有量が0.25〜0.45モル/添加剤X100gであり、シロキシル単位(I.3)の含有量が0.3〜0.85モル/添加剤X100gである。
好ましくは、本発明に係る組成物A中の添加剤Xの含有量は、組成物Aの4重量%〜10重量%の間、さらに好ましくは5重量%〜9重量%の間である。
好ましくは、シロキシル単位(I.1)について、記号Yは、次式を有する炭化水素基(R−1)〜(R−6)よりなる群から選択される:
Figure 2018531303
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特に好ましい一実施形態によれば、シロキシル単位(I.1)において、記号Yは、次式を有する炭化水素基(R−4)である:
Figure 2018531303
接着促進剤系Dの他の成分に関して、有機チタン化合物Mはチタンキレート又は式Ti(OR)4(式中、Rは直鎖又は分岐C1〜C8アルキル基、アルコキシアルキル基又はアシル基から選択される)の金属アルコキシドである。
好ましくは、有機チタン化合物Mは、チタン酸ブチル、チタン酸イソプロピル、チタン酸メチル及びチタン酸オクチルなどのチタンアルキレートから選択される。より好ましくは、有機チタン化合物Mはチタン酸ブチルである。
本発明に係るシリコーン組成物A中の有機チタン化合物Mの含有量は、組成物Aの0.2重量%〜1.5重量%の間、好ましくは0.4重量%〜1重量%の間とすることができる。
別の実施形態によれば、組成物Aの接着促進剤系Dは、少なくとも1個のエポキシ基を含むオルガノシランGも含む。
好ましくは、オルガノシランGは、次の一般式(VII)に相当する生成物から選択される:
Figure 2018531303
式中、
・R6は直鎖又は分岐C1〜C4アルキル基であり、
・R7は直鎖又は分岐C1〜C4アルキル基であり、
・yは0、1、2又は3に等しく、
・Xは次式(VIII)によって定義される:
Figure 2018531303
式中、
・E及びDは、同一の又は異なる基であり、直鎖又は分岐C1〜C4アルキルから選択され、
・zは0又は1に等しく、
・R8、R9及びR10は、同一の又は異なる基であり、水素又は直鎖若しくは分岐C1〜C4アルキル基を表し、
・あるいはR8及びR9又はR10は、エポキシを有する2個の炭素と一緒になって、アルキル5〜7員環を形成してもよい。
特に好ましい一実施形態によれば、オルガノシランGは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(C1770)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン及びこれらの混合物よりなる群から選択される。
組成物A中に存在する場合には、組成物A中のオルガノシランGの0.5〜3重量%の含有量を有利に使用することができる。
本発明の好ましい構成によれば、組成物A中のエポキシ単位の濃度は、組成物A100g当たり10〜60mmol、好ましくは組成物A100g当たり15〜40mmolである。
組成物A中のエポキシ単位の濃度を変化させるために、組成物A中の添加物Xの濃度を変化させ、添加物Xの単位数(I.1)を変化させ、又は可変量のオルガノシランGを添加することが可能である。
好ましくは、シリコーンベースBは、
・1分子あたり、異なるケイ素原子にそれぞれ結合した少なくとも2個のC2〜C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンEと、
・異なるケイ素原子にそれぞれ結合したC2〜C6アルケニル基を0.1〜20重量%含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサン樹脂Fと、
・任意に、1分子当たり、異なるケイ素原子にそれぞれ結合した少なくとも2個の水素原子、好ましくは異なるケイ素原子にそれぞれ結合した少なくとも3個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノヒドロポリシロキサンHと、
・白金族の金属又は金属化合物である重付加触媒Cの有効量と、
・少なくとも1種の抑制剤Iと、
・任意に、少なくとも1種の充填剤Jと
を含む。
好ましい一実施形態によれば、シリコーンベースBは、少なくとも1種の充填剤Jを含む。
用途全体について、またシリコーン化学において広く知られている命名法に従って、MDTQシロキシル単位は、
・M=式R3SiO1/2のシロキシル単位
・D=式R2SiO2/2のシロキシル単位
・T=式RSiO3/2のシロキシル単位、及び
・Q=式SiO4/2のシロキシル単位
(式中、基Rは同一であっても異なっていてもよく、一価の基である。)
を表す。
本明細書において検討される全ての粘度は、25℃での「ニュートン」動粘度の大きさ、すなわち、ブルックフィールド粘度計により、測定された粘度が剪断速度勾配に依存しないように十分に低い剪断速度勾配でそれ自体公知の方法で測定される動粘度に相当する。
好ましい一実施形態によれば、オルガノポリシロキサンEは、
(i)式(E1)の少なくとも2個の単位:
abSiO(4-(a+b)/2 (E1)
(式中、
・Yは、少なくとも1個のアルケン官能基を有する2〜12個の炭素原子を含む一価基を表し、
・Zは1〜20個の炭素原子を含有し、かつ、アルケン官能基を含まない、一価基を表し、
・a及びbは整数を表し、aは1、2又は3であり、bは0、1又は2であり、(a+b)は1、2又は3である。);及び
(ii)任意に、式(E2)の他の単位:
cSiO(4-c)/2 (E2)
(式中、
・Zは上記と同じ意味を有し、
・cは0、1、2又は3の整数を表す。)
を含む。
上記式(E1)及び(E2)において、いくつかの基Y及びZが存在する場合には、これらの基は互いに同一であっても異なっていてもよいものとする。
式(E1)において、記号aは好ましくは1又は2、より好ましくは1であることができる。さらに、式(E1)及び(E2)において、Zは、好ましくは、少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよい1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される一価基を表すことができ、さらに好ましくは、Zは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニルよりなる群から選択される一価基を表すことができる。さらに、式(E1)において、Yは、有利には、ビニル、プロペニル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、9−デセニル、10−ウンデセニル、5,9−デカジエニル及び6,11−ドデカジエニルよりなる群から選択される基を表すことができる。好ましくは、上記式(E1)及び(E2)において、記号Yはビニルであり、記号Zはメチルである。
オルガノポリシロキサンEは、好ましくは、直鎖構造、任意に環状構造を有することができる。直鎖オルガノポリシロキサンである場合には、これらは、
・式Y2SiO2/2、YZSiO2/2及びZ2SiO2/2の単位から選択されるシロキシル単位「D」;
・式Y3SiO1/2、Y2ZSiO1/2、YZ2SiO1/2及びZ3SiO2/2の単位から選択されるシロキシル単位「M」
から本質的になることができる。
単位「D」の例としては、ジメチルシロキシ、メチルフェニルシロキシ、メチルビニルシロキシ、メチルブテニルシロキシ、メチルヘキセニルシロキシ、メチルデセニルシロキシ及びメチルデカジエニルシロキシ基が挙げられる。
単位「M」の例としては、トリメチルシロキシ、ジメチルフェニルシロキシ、ジメチルビニルシロキシ及びジメチルヘキセニルシロキシ基が挙げられる。
これらの直鎖オルガノポリシロキサンは、25℃で1mPa.s〜120,000mPa.sの間、より好ましくは10mPa.s〜100,000mPa.sの間の動粘度を有するオイルであることができる。
オルガノポリシロキサンが環状オルガノポリシロキサンである場合には、このものは、式Y2SiO2/2、YZSiO2/2及びZ2SiO2/2の単位から選択されるシロキシル単位「D」からなることができる。このような単位「D」の例は上記の通りである。この環状オルガノポリシロキサンは、25℃で1mPa.s〜5000mPa.sの間の動粘度を有することができる。
オルガノポリシロキサンEの例は次の通りである:
・ジメチルビニルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサン;
・ジメチルビニルシリル末端基を含むポリ(メチルフェニルシロキサン−コ−ジメチルシロキサン);
・ジメチルビニルシリル末端基を含むポリ(ビニルメチルシロキサン−コ−ジメチルシロキサン);
・トリメチルシリル末端基を含むポリ(ジメチルシロキサン−コ−ビニルメチルシロキサン);
・環状ポリメチルビニルシロキサン。
シリコーン樹脂Fは、ケイ素原子に結合したC2〜C6アルケニル基を0.1〜20重量%、好ましくは4〜20重量%含むシリコーン樹脂である。アルケニル基は、シロキシル単位M、D又はT上に位置することができる。これらの樹脂は、例えば、米国特許出願公開第26761820号に記載された方法に従って製造できる。好ましくは、アルケニル基は、ビニル、アリル及びヘキセニルから選択される。
例えば、シリコーン樹脂Fは、
・次式(F1)及び(F2)から選択される少なくとも2個の異なるシロキシル単位:
aZ’bSiO(4-(a+b))/2 (F1)
(式中、
・記号Wは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれC2〜C6アルケニル基を表し;好ましくはビニル基、アリル基及び/又はヘキセニル基を表し、さらに好ましくはビニル基を表し、
・記号Z’は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基などの1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基などのシクロアルキル基、並びにキシリル基、トリル基及びフェニル基などのアリール基から選択される一価炭化水素基を表し、
・記号aは1又は2、好ましくは1に等しく、記号bは0、1又は2に等しく、a+bの合計は1、2又は3に等しい。);及び
・任意に、次式を有する単位:
Z’cSiO(4-c)/2 (F2)
(式中、Z’は上記と同じ意味を有し、記号cは0、1、2又は3に等しい。)
を含むことができるが、ただし、単位(F1)又は(F2)の少なくとも1つは単位T又はQであるものとする。
本発明の好ましい一実施形態では、シリコーン樹脂Zは、少なくとも2個のビニル基を含み、かつ、次のシリコーン樹脂:
・MDViQ(ここで、ビニル基は単位Dに含まれる)、
・MDViTQ(ここで、ビニル基は単位Dに含まれる)、
・MMViQ(ここで、ビニル基は単位Mの一部に含まれる)、
・MMViTQ(ここで、ビニル基は単位Mの一部に含まれる)、
・MMViDDViQ(ここで、ビニル基は単位M及びDの一部に含まれる)、
・及びこれらの混合物
よりなる群から選択され、ここで、
・MVi=式(R2)(ビニル)SiO1/2のシロキシル単位であり、
・DVi=式(R)(ビニル)SiO2/2のシロキシル単位であり
R基は、同一であっても異なっていてもよく、メチル基、エチル基、プロピル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基などの1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、並びにキシリル基、トリル基及びフェニル基などのアリール基から選択される一価炭化水素基である。好ましくは、R基はメチルである。
好ましくは、シリコーン樹脂Fは、上記式MDViQ又はMMviQを有する。
本発明の一実施形態によれば、シリコーン樹脂Fは、組成物A中において、組成物Aの総重量に対して40重量%まで、好ましくは組成物Aの総重量に対して3重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜30重量%、さらに好ましくは10重量%〜30重量%存在する。
本発明に係るオルガノヒドロポリシロキサンHは、異なるケイ素原子にそれぞれ結合した少なくとも2個、好ましくは3個の水素原子を含む。好ましい一実施形態によれば、このオルガノヒドロポリシロキサンBは、
(i)少なくとも2個の式(H1)の単位、好ましくは少なくとも3個の式(H1)の単位:
deSiO(4-(d+e))/2 (H1)
(式中、
・Lは水素原子以外の一価基を表し、
・Hは水素原子を表し、
・d及びeは整数を表し、dは1又は2であり、eは0、1又は2であり、(d+e)は1、2又は3である。);及び
・任意に、式(H2)の他の単位:
fSiO(4-f)/2 (H2)
(式中、
・Lは上記と同じ意味を有し、
・fは0、1、2又は3の整数を表す。)
を含む。
なお、上記式(H1)及び(H2)において、いくつかの基Lが存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。式(H1)において、記号dは、好ましくは1に等しくてもよい。また、式(H1)及び式(H2)において、Lは、好ましくは、少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてもよい1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、及びアリール基よりなる群から選択される一価基を表すことができる。Lは、有利には、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニルよりなる群から選択される一価基を表すことができる。式(H1)の単位の例は、H(CH32SiO1/2、H(CH3)SiO2/2及びH(C65)SiO2/2である。
オルガノヒドロポリシロキサンHは、直鎖、分岐、環状又は網目構造を有することができる。直鎖オルガノヒドロポリシロキサンの場合には、これらは、
・式HLSiO2/2及びL2SiO2/2の単位から選択されるシロキシル単位「D」;及び
・式HL2SiO1/2及びL3SiO2/2の単位から選択されるシロキシル単位「M」
(記号Lは上記と同一の意味を有し、記号Hは水素原子を示す。)
から本質的になる。
これらの直鎖オルガノヒドロポリシロキサンは、25℃で1mPa.s〜100000mPa.sの間、好ましくは1mPa.s〜5000mPa.sの間、さらに好ましくは1mPa.s〜2000mPa.sの間の動粘度を有するオイルとすることができる。
環状オルガノヒドロポリシロキサンである場合には、これらは式HLSiO2/2及びL2SiO2/2の単位から選択されるシロキシル単位「D」又は式HLSiO2/2のみのシロキシル単位からなることができる。式L2SiO2/2の単位は、特に、ジアルキルシロキシ単位又はアルキルアリールシロキシ単位であることができる。これらの環状オルガノヒドロポリシロキサンは、25℃で1mPa.s〜5000mPa.sの間の動粘度を有することができる。
オルガノヒドロポリシロキサンBの例は次の通りである:
・ヒドロジメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサン;
・トリメチルシリル末端基を含むポリ(ジメチルシロキサン−コ−ヒドロメチルシロキサン);
・ヒドロジメチルシリル末端基を含むポリ(ジメチルシロキサン−コ−ヒドロメチルシロキサン);
・トリメチルシリル末端基を含むポリヒドロメチルシロキサン;
・環状ヒドロメチルポリシロキサン。
分岐又は網目オルガノヒドロポリシロキサンである場合には、これらのものは、
・式HSiO3/2及びLSiO3/2の単位から選択されるシロキシル単位「T」;
・式SiO4/2のシロキシル単位「Q」
(Hは水素原子を示し、Lは上記と同一の意味を有する。)
を含むことができる。
組成物Aにおいて、オルガノポリシロキサンE及び樹脂Fのアルケニル基数に対するオルガノヒドロポリシロキサンH及び添加剤X中のケイ素に結合した水素原子数のモル比は、0.5〜8の間、好ましくは1〜6の間、さらに好ましくは1〜5の間である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、組成物Aにおいて、添加剤X及びオルガノヒドロポリシロキサンH(存在する場合)によって与えられるSiH単位と添加剤X及びオルガノシランG(存在する場合)によって与えられるエポキシ単位とのモル比は1〜3の間である。
本発明に有用な重付加触媒Cとしては、当業者に周知の白金族に属する金属の化合物を挙げることができる。白金族の金属は、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムの他に、プラチノイド(総称)として知られているものである。白金及びロジウムの化合物が好ましく使用される。特に、米国特許第3,159,601号、同3,159,602号及び同3,220,972号並びに欧州特許出願公開第0057459号、同0188978号及び同0190530号に記載される白金と有機生成物との錯体、並びに米国特許第3,419,593号に記載された白金とビニルオルガノシロキサンとの錯体を使用することができる。一般に好ましい触媒は白金である。例としては、白金黒、塩化白金酸、アルコールで変性された塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコールとの錯体などが挙げられる。米国特許第3,775,452号に記載されているようなKarstedt溶液又は錯体、塩化白金酸六水和物又はカルベン配位子を含む白金触媒が好ましい。
好ましくは、シリコーン組成物中の白金濃度は5〜80重量ppmの間、さらに好ましくは10〜50重量ppmの間である。
本発明に有用なヒドロシリル化反応抑制剤Iは、α−アセチレンアルコール、α,α’−アセチレンジエステル、エン−イン共役化合物、α−アセチレンケトン、アクリロニトリル、マレエート、フマレート及びそれらの混合物から選択できる。ヒドロシリル化抑制剤機能を果たすことができるこれらの化合物は、当業者に周知である。これらのものは、単独で又は混合物として使用できる。
α−アセチレンアルコール型の抑制剤Iは、次式(Ia)の化合物から選択できる:
(R1)(R2)C(OH)−C≡CH (Ia)
式中、
・R1基は、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、
・R2基は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、
・又は、R1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1回以上置換されていてもよい脂肪族5、6、7又は8員環を形成する。
式(D1)によれば、
・用語「アルキル」とは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を含む飽和炭化水素鎖を意味するものとする。アルキル基は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、イソブチル、n−ブチル、n−ペンチル、イソアミル及び1,1−ジメチルプロピルよりなる群から選択できる。
・本発明によれば、用語「シクロアルキル」とは、3〜20個の炭素原子、好ましくは5〜8個の炭素原子を含む飽和単環式又は多環式、好ましくは単環式又は二環式の炭化水素基を意味するものとする。シクロアルキル基が多環式である場合には、複数の環状核は、共有結合及び/又はスピラン原子を介して互いに結合でき、及び/又は互いに融合できる。シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンタン及びノルボルナンよりなる群から選択できる;
・用語「(シクロアルキル)アルキル」は、本発明によれば、上で定義したアルキル基に結合した上記シクロアルキル基を意味するものとする;
・用語「アリール」とは、本発明によれば、5〜18個の炭素原子を含む単環式又は多環式の芳香族炭化水素基を意味するものとする。アリール基は、フェニル、ナフチル、アントラセニル及びフェナントリルよりなる群から選択できる;
・用語「アリールアルキル」とは、本発明によれば、上で定義したアルキル基に結合した上記アリール基を意味するものとする。
好ましい一実施形態によれば、式(Ia)において、R1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換の脂肪族5、6、7又は8員環を形成する。別の好ましい実施形態によれば、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、互いに独立して、C1〜C12、好ましくはC1〜C6の一価アルキル基を表す。
本発明に有用なα−アセチレンアルコールである抑制剤Iは、次の化合物よりなる群から選択できる:
1−エチニル−1−シクロペンタノール;1−エチニル−1−シクロヘキサノール(ECHとも呼ばれる);1−エチニル−1−シクロヘプタノール;1−エチニル−1−シクロオクタノール;3−メチル−1−ブチン−3−オール(MBTとも呼ばれる);3−メチル−1−ペンチン−3−オール;3−メチル−1−ヘキシン−3−オール;3−メチル−1−ヘプチン−3−オール;3−メチル−1−オクチン−3−オール;3−メチル−1−ノニン−3−オール;3−メチル−1−デシン−3−オール;3−メチル−1−ドデシン−3−オール;3−メチル−1−ペンタデシン−3−オール;3−エチル−1−ペンチン−3−オール;3−エチル−1−ヘキシン−3−オール;3−エチル−1−ヘプチン−3−オール;3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール;3−イソブチル−5−メチル−1−ヘキシン−3−オール;3,4,4−トリメチル−1−ペンチン−3−オール;3−エチル−5−メチル−1−ヘプチン−3−オール;3,6−ジエチル−1−ノニン−3−オール;3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール(TMDDOとも呼ばれる);1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール;3−ブチン−2−オール;1−ペンチン−3−オール;1−ヘキシン−3−オール;1−ヘプチン−3−オール;5−メチル−1−ヘキシン−3−オール;4−エチル−1−オクチン−3−オール及び9−エチニル−9−フルオレノール、並びにそれらの混合物。
α,α’−アセチレンジエステル型の抑制剤Iは、次式(Ib)の化合物から選択できる:
Figure 2018531303
式中、基R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はシリル基を表す。
用語「シリル」とは、本発明によれば、式−SiR3(それぞれのRは、独立して1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を含むアルキル基を表す)の基を意味するものとする。シリル基は、例えば、トリメチルシリル基とすることができる。
特定の一実施形態によれば、式(Ib)において、R3及びR4は同一でも異なっていてもよく、独立してC1〜C12、好ましくはC1〜C6のアルキル基又はトリメチルシリル基を表す。本発明に有用なα,α’−アセチレンジエステルである抑制剤Iは、次の化合物よりなる群から選択することができる:ジメチルアセチレンジカルボキシレート(DMAD)、ジエチルアセチレンジカルボキシレート、t−ブチルアセチレンジカルボキシレート及びビス(トリメチルシリル)アセチレンジカルボキシレート。
エン−イン共役化合物型の抑制剤Iは、次式(Ic)の化合物から選択できる:
Figure 2018531303
式中:
・R5、R6及びR7基は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、
・又は、R5、R6及びR7基のうちの少なくとも2つの基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1回以上置換されていてよい脂肪族5、6、7又は8員環を形成する。
特定の一実施形態によれば、R5、R6及びR7基は、互いに独立して、水素原子、C1〜C12、好ましくはC1〜C6アルキル基又はアリール基を表す。本発明に有用なエン−イン共役化合物である抑制剤Iは、次の化合物よりなる群から選択できる:3−メチル−3−ペンテン−1−イン;3−メチル−3−ヘキセン−1−イン;2,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン;3−エチル−3−ブテン−1−イン;及び3−フェニル−3−ブテン−1−イン。別の特定の実施形態によれば、R5、R6及びR7基から選択される2つの基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換の脂肪族5、6、7又は8員環を形成し、残りの第3基は、水素原子又はC1〜C12、好ましくはC1〜C6アルキル基を表す。本発明に有用なエン−イン共役化合物である抑制剤Iは、1−エチニル−1−シクロヘキセンとすることができる。
α−アセチレンケトン型の抑制剤Iは、次式(Id)の化合物から選択できる:
Figure 2018531303
式中、R8は、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、該アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール又はアリールアルキル基は塩素、臭素又はヨウ素原子で1回以上置換されていてよいものとする。
好ましい一実施形態によれば、R8は、塩素又は臭素原子で1回以上置換されていてよいC1〜C12、好ましくはC1〜C6の一価アルキル基を表し、又はシクロアルキル基、又はアリール基を表す。本発明に有用なα−アセチレンケトンである抑制剤Iは、次の化合物よりなる群から選択できる:1−オクチン−3−オン、8−クロロ−1−オクチン−3−オン、8−ブロモ−1−オクチン−3−オン、4,4−ジメチル−1−オクチン−3−オン、7−クロロ−1−ヘプチン−3−オン、1−ヘキシン−3−オン、1−ペンチン−3−オン、4−メチル−1−ペンチン−3−オン、4,4−ジメチル−1−ペンチン−3−オン、1−シクロヘキシル−1−プロピン−3−オン、ベンゾアセチレン及びo−クロロベンゾイルアセチレン。
アクリロニトリル型の抑制剤Iは、次式(Ie)の化合物から選択できる:
Figure 2018531303
式中、R9及びR10は、互いに独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、ここで、該アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール又はアリールアルキル基は、塩素、臭素又はヨウ素原子で1回以上置換されていてもよい。本発明に有用なアクリロニトリルである抑制剤Iは、次の化合物よりなる群から選択できる:アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロアクリロニトリル;クロトノニトリル及びシンナモニトリル。
マレエート又はフマレート型の抑制剤Iは、次式(If)及び(Ig)の化合物から選択できる:
Figure 2018531303
Figure 2018531303
式中、R11及びR12は、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、アルキル基又はアルケニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、該アルキル、アルケニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール及びアリールアルキル基は、アルコキシ基で置換されていてもよい。
用語「アルケニル」とは、本発明によれば、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を含み、少なくとも1個の二重不飽和を含む飽和炭化水素鎖を意味するものとする。アルケニル基は、ビニル又はアリルよりなる群から選択できる。
式(If)又は(Ig)によれば、用語「アルコキシ」とは、酸素原子に結合した上記アルキル基を意味するものとする。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシよりなる群から選択できる。
特定の一実施形態によれば、R11及びR12は、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、C1〜C6アルコキシ基で置換されていてよいC1〜C12、好ましくはC1〜C6アルキル又はアルケニル基を表す。
本発明に有用なマレエート又はフマレートである抑制剤Iは、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル及びマレイン酸ビス(メトキシイソプロピル)よりなる群から選択できる。
α−アセチレンアルコール、α,α’−アセチレンジエステル、エン−イン共役化合物、α−アセチレンケトン、アクリロニトリル、マレエート及びフマレートから選択される抑制剤Iは市販されている。特に、BASF社製の1−エチニル−1−シクロヘキサノール(ECHとも呼ばれる)、DMS社製のマレイン酸ジメチル及びCity Chemical社製のジメチルアセチレンジカルボキシレートが挙げられる。
これらの抑制剤Iは、シリコーン組成物Aの重量に対して1〜50,000ppm、特に10〜10000ppm、好ましくは20〜2000ppmの重量で添加される。
充填剤Jとしては、平均粒径が0.1μm未満の非常に細かく分割された製品である無機充填剤を使用することができる。これらの無機充填剤は、ケイ質材料から選択できる。強化ケイ質充填剤は、コロイドシリカ、ヒュームドシリカの粉末及び沈降シリカの粉末、又はそれらの混合物から選択される。これらの粉末は、一般に平均粒径が0.1μm未満であり、BET比表面積が50m2/gを超える、好ましくは150〜350m2/gである。これらのシリカは、未変性の形態で、又はこの目的のために通常使用される有機ケイ素化合物で処理された後に配合できる。これらの化合物としては、メチルポリシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルポリシラザン、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、クロロシラン、例えば、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、アルコキシシラン、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシランが挙げられる。珪藻土又は粉砕石英などの半強化ケイ質充填剤も使用することができる。
補強用シリカに加えて又は補強用シリカの代わりに、半強化又は増量用無機充填剤を添加してもよい。単独で又は混合物として使用できるこれらの非ケイ質充填剤の例は、有機酸又は有機酸エステルで表面処理されていてよい炭酸カルシウム、焼成クレー、ルチル型の酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、様々な形態のアルミナ(水和又は非水和)、窒化ホウ素、リトポン、メタホウ酸バリウム、硫酸バリウム及びガラスマイクロビーズである。これらの充填剤は、より粗いものであり、一般に、0.1μmを超える平均粒径及び一般に30m2/g未満の比表面積を有する。これらの充填剤は、この目的のために通常使用される様々な有機ケイ素化合物で処理することによって表面改質されたものであってもよい。
存在する場合には、組成物A中における充填剤Jの存在量は、組成物Aの総重量に対して5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、さらにより好ましくは10重量%〜30重量%である。
また、組成物Aは、特にアルケニル又はヒドロシリル官能基を含まない、非官能化オルガノポリシロキサンKを含むこともできる。好ましくは、非官能化オルガノシロキサンKは、直鎖状又は実質的に直鎖状である。好ましくは、ケイ素原子に結合した有機基がメチル基及びフェニル基から選択されるジオルガノシロキシ単位から本質的に形成される、少なくとも10mPa.sの粘度を有するα,ω−ビス(トリオルガノシロキシ)ジオルガノポリシロキサン重合体である。これらの重合体の粘度は、25℃で1000万mPa.sに達することができる。したがって、これらの重合体としては、流動体〜粘性の外観のオイル及びガムが挙げられる。これらのオルガノポリシロキサンは、例えばブルースター・シリコーンズ・フランス社製のBluesil(登録商標)47V類の製品(例えば、47V50、47V100、47V500、47V500、47V12500又は47V30000)であり、技術文献にはこれらの構造及び合成について幅広く開示されている。これらがガムである場合には、粘度は少なくとも600000mPa.sに等しい。
用語「ガム」は、260,000g/モルを超える分子量に相当する600000mPa.sを超える粘度を通常有する有機ケイ素化合物のために使用される。ガムの濃度又は針入度は、標準化された条件下でシリンダーヘッドをサンプルに適用することを可能にするPNR12タイプ又は均等のモデルの針入度計を用いて25℃で決定される。ガムの針入度は、較正されたシリンダーが1分間にわたってサンプルに浸入する10分の1ミリメートルで表される深さである。可塑剤として作用するこれらの重合体は、シリコーン組成物A100重量部当たり40重量部以下、好ましくは1〜20重量部の割合で導入できる。
組成物Aは、その安定性を改善するために安定化添加剤を含むこともできる。例えばリン酸シリルエステルなどのリン酸のシリル化誘導体を挙げることができる。
また、本発明に係る組成物Aは、着色添加剤又は着色ベースを含むこともできる。
また、組成物Aは、耐火性を改善するための添加剤を含むこともできる。耐火性を向上させるための添加剤としては、例えば、(第2級又は第3級)アミノ基で置換されたフェニル基を含む化合物を挙げることができる。このような添加剤の例は、米国特許第5,516,938号に記載されている。このような添加剤の有用な量は、一般に組成物の総量に対して0.01〜1重量部である。
別の実施形態によれば、組成物Aはビニルトリメトキシシランを含まない。
別の態様によれば、本発明は、混合して組成物Aを形成することを目的とした2つの別個の部分A1及びA2中にある、上記本発明に係る組成物A用の2成分前駆体系であって、これらの部分の一方が触媒Cを含有すると共に、他方の部分が添加剤X及びオルガノヒドロポリシロキサンHを含有することを特徴とする2成分前駆体系に関する。
この前駆体系のさらなる特徴は、樹脂Fを部分A1若しくは部分A2又は2つの部分A1及びA2に使用できることである。触媒Cは、添加剤X及びオルガノヒドロポリシロキサンHを含有する部分A1又はA2に存在してはならない。
成分A1及び成分A2並びにそれらの混合物の粘度は、成分の量を調節し、かつ、粘度の異なるオルガノポリシロキサンを選択することによって調節できる。部分A1及びA2は、混合されたら、塗布、転写、エッチング又は含浸によって繊維支持体に塗布することができる即時使用可能なシリコーン組成物Aを形成する。好ましくは、シリコーン組成物Aは、任意の好適な被覆手段、例えばスクレーパ又はロールで被覆することによって、繊維支持体に塗布される。25〜300μm、特に50〜200μmの架橋後の最終堆積厚さが一般的に目標とされる。本発明に係る組成物は、熱的に及び/又は電磁放射線によって架橋される。
また、本発明は、上記本発明に係るシリコーン組成物Aを架橋及び/又は硬化させることによって得ることができるシリコーンエラストマーに関するものでもある。
本発明に係るシリコーン組成物は、可撓性支持体、特に織物、編物又は不織繊維テキスタイル支持体、好ましくは合成繊維、有利にはポリエステル又はポリアミド製の織物又は編物支持体を覆う又は被覆するために使用できる。
また、本発明は、シリコーンエラストマーで被覆された繊維支持体の製造方法であって、次の工程:
(a)上記本発明に係るシリコーン組成物Aを準備し、
(b)工程(a)で準備したシリコーン組成物Aの少なくとも10g/m2を繊維支持体の1つ又は2つの面に塗布し、及び
(c)工程(b)で形成された付着物を、例えば電磁放射線又は熱風の作用により210℃に達することができる温度で加熱することにより架橋させてエラストマーを形成させること
を含む方法に関するものでもある。
一般に、ここでの対象の被膜は、繊維支持体の面の少なくとも一つに対する単層の被着に相当することができる(一次被膜)。しかしながら、これは、既に被覆された繊維支持体の表面の少なくとも1つに対して第2層又は任意に第3層を被着させて(二次被覆)、全体として可能な限り最良の性能を確保する所望の厚さを得ることもできる。
本発明の方法の工程(b)において、シリコーン組成物Aは、任意の好適な被覆手段、例えばスクレーパ又はロールを用いて塗布できる。好ましくは、工程(b)において、繊維支持体の10〜150g/m2、好ましくは10〜100g/m2、さらにより好ましくは10〜60g/m2の組成物Aの量が塗布される。
本発明に係る方法の工程(c)において、繊維支持体上に塗布された組成物の架橋は、熱及び/又は電磁放射線、好ましくは赤外線照射によって行うことができる。架橋温度は、例えば、5分未満の時間にわたって120〜200℃である。
本発明の繊維支持体は、天然、人工及び/又は合成起源のものであってもよい。このものは、織物、編物又は不織繊維支持体とすることができる。織物又は編物繊維支持体、すなわち織物又は編物である場合には、糸は、有利には熱可塑性重合体をベースとするものである。例として、本発明に適した熱可塑性(共)重合体としては、ポリオレフィン、ポリエステル、アルキレンポリオキシド、ポリオキシアルキレン、ポリハロアルキレン、ポリ(アルキレン−フタレート又はテレフタレート)、ポリ(フェニル又はフェニレン)、ポリ(フェニレンオキシド又はスルフィド)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリビニルニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリシロキサン、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体、ポリアクリレート又はメタクリレート、天然重合体、すなわちセルロース及びその誘導体、合成エラストマーなどの合成重合体、又は上記重合体に含まれる単量体のいずれか1つと同一の少なくとも1種の単量体を含む熱可塑性共重合体、並びにこれら全ての(共)重合体のブレンド及び/又はアロイが挙げられる。
繊維支持体が熱可塑性重合体からなる場合には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、これらの共重合体及びこれらの混合物などのポリエステル、又は、ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド4、ポリアミド1.1、ポリアミド1.2、ポリアミド4−6、6−10、6−12、6−36、12−12、これらの共重合体及びこれらのブレンドなどのポリアミドからなる。糸は、熱可塑性重合体又は熱可塑性共重合体のブレンドをベースとするものであることができる。
エアバッグ分野では、織物又は編物を形成する糸の全体の力価は、通常、100〜950デシテックス又はdtexである。好ましくは、織物又は編物を形成する糸の全力価は350〜750dtexである。本発明の基本的な織物又は編物は、有利には、被覆前の重量が150〜250g/m2である。したがって、これらの特性を有する470dtexのポリアミド織物を挙げることができる。なお、テキスタイル基材、特に、工業用テキスタイル繊維、すなわち標準的な繊維と比較して改善した特性、例えば増大した堅牢性を有するテキスタイル繊維から形成された繊維を使用して、被覆された支持体又は布地の塗布の作用として特定の又は強化された特性を付与することもできる。
上記の布地は、エアジェット、ウォータージェット又はレピア織機で織ることができる。これらの布地は、製織後に洗浄工程を経ることなく得られることが好ましく、これは布地を得る方法を簡略化し、そのコストを低減する。
さらに、これらの布地は、製織後に熱処理工程を経ることなく得ることもできる。実際に、寸法安定性を付与する目的で、一般に布地に熱処理工程が施される。この熱処理工程は、布地を乾燥させる工程と同時に行うことができ、該乾燥工程は、布地に洗浄工程を施した場合に必要である。本発明において、洗浄工程が省略される場合には、乾燥工程はもはや必要ではない。
好ましい一実施形態によれば、本発明に係る方法は、繊維支持体が製織後に洗浄工程を経なかったことを特徴とする。
別の実施形態によれば、本発明の方法は、繊維支持体が製織後に熱処理工程を経なかったことを特徴とする。
また、本発明は、上記本発明に係る方法によって得ることができるシリコーンエラストマーで被覆された繊維支持体に関するものでもある。このものは、上記本発明に係る方法に従って得られる又は上記本発明に係るシリコーン組成物Aを架橋することによって得られる少なくとも1種の被膜を含むことを特徴とする、織物、編物又は不織繊維支持体である。
最後に、本発明は、本発明に係るシリコーンエラストマー又は上記本発明に係る繊維支持体を備えるエアバッグに関する。
また、本発明は、本発明に係る架橋性シリコーン被覆組成物Aの、織物、編物又は不織繊維支持体を被覆するための使用に関するものでもある。好ましくは、これらの被覆繊維支持体は、乗員の保護用のエアバッグを形成することを目的とするものであるが、テント布地、パラシュート布地などの製造に使用することもできる。
したがって、本発明は、本発明に係るシリコーン組成物Aの、車両の乗員の保護を目的としたエアバッグを被覆するための使用に関するものでもある。
組成物を製造し及び本発明の方法に従って布地被膜として適用する次の実施例は、本発明をより明確に理解することを可能にするものである。
(1)成分の定義:
・オルガノポリシロキサンE1:60,000mPa.sの粘度を有する、(CH32ViSiO1/2単位によって鎖末端のそれぞれがブロックされたポリジメチルシロキサンオイル。
・樹脂F1:1.1重量%のビニル基を含有する式MMViQのオルガノポリシロキサン。
・触媒C1:Karstedt触媒として知られている、10重量%の白金金属を含む有機金属錯体の状態で導入された白金金属。
・オルガノヒドロポリシロキサンH1:25mPa.sの粘度を有し、かつ、100gのオイル当たり0.7molのSi−H官能基を含有する、ポリ(ジメチル)(ヒドロメチル)シロキサンオイル。
・抑制剤I1:1−エチニル−1−シクロヘキサノール又はECH。
・充填剤J1:2μmの平均等価直径を有する未処理の沈降炭酸カルシウム。
接着促進剤として試験した成分:
・グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)、
・チタン酸ブチルTi(OBu)4(TBT)
・以下に詳細に説明する各種添加剤K1〜K11(表1参照)。
(2)添加剤K1〜K11の合成
次の単位からなる様々な添加剤を合成した:
・nYCH3SiO2/2単位
・mHCH3SiO2/2単位
・p(CH32SiO2/2単位
・2R1(CH32Si1/2単位(R1=CH3又はH)
ここで、Yは次式のエポキシ基である:
Figure 2018531303
添加剤K1:
181.0gのトルエンを1リットル反応器に窒素下で導入する。媒体を撹拌し、85℃に加熱する。この温度に達したら、Umicore HS432(登録商標)という商品名でUmicore社が販売する白金・カルベン錯体10.2mgを導入する。次いで、アリルグリシジルエーテル(AGE)(236.8g、2.07mol)と9個の(CH3)HSiO2/2単位及び2個の(CH33SiO1/2末端単位を有するポリメチルヒドロシロキサンH2(363.2g、SiH=4.77mol)との混合物を4時間かけて滴下した。周囲温度に戻した後、反応媒体を25〜30℃、0〜3mbarで30分間脱揮し、続いて85℃(設定値)、1mbarで3時間脱揮して、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=9;[SiH]=586mmol/100g;[エポキシ]=291mmol/100g;粘度=32mPa.sを有する官能化シリコーンオイルを得る。
添加剤K2:
181.92gのトルエンを1リットル反応器に窒素下で導入する。媒体を撹拌し、85℃に加熱する。この温度に達したら、Umicore HS432(登録商標)という商品名でUmicore社が販売する白金・カルベン錯体10.3mgを導入する。次いで、アリルグリシジルエーテル(AGE)(280.3g、2.46mol)とポリメチルヒドロシロキサンH2(320.6g、SiH=4.25mol)との混合物を7時間かけて滴下した。周囲温度に戻した後、反応媒体を25〜30℃、0〜3mbarで30分間脱揮し、続いて85℃(設定値)、1mbarで3時間脱揮して、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=9;[SiH]=433mmol/100g;[エポキシ]=347mmol/100g;粘度=67mPa.sを有する官能化シリコーンオイルを得る。
添加剤K3:
トルエン1733.9g及びUmicore HS432(登録商標)という商品名でUmicore社が販売する白金・カルベン錯体のトルエン溶液2.7gを10リットル反応器に窒素下で導入する。この混合物を撹拌し、77℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(390.5g、3.42mol)と20個の(CH3)HSiO2/2単位及び2個の(CH33SiO1/2末端単位を有するポリメチルヒドロシロキサンH3(5599.5g、SiH=82.23mol)との混合物を54分かけてポンプにより添加する。添加が終了したら、加熱を1時間にわたって維持する。その後、加熱を終了し、周囲温度に戻した後、反応媒体を40℃、5mbarで1時間脱揮し、続いて温度を4時間かけて徐々に85℃にまで上昇させる。温度を85℃で1時間にわたって維持して、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=20;[SiH]=1.30mol/100g;[エポキシ]=37.7mmol/100g;粘度=12.3mPa.sを有する官能化シリコーンオイル(7727.8g)を得る。
添加剤K4:
142.0gのトルエンを1リットル三つ口フラスコに窒素下で導入する。媒体を磁気撹拌し、85℃に加熱する。この温度に達したら、1.1910gのPt/Cを導入する。次いで、アリルグリシジルエーテル(AGE)(180.6g、1.58mol)とポリメチルヒドロシロキサンH3(420.0g、SiH=6.27mol)との混合物を16時間かけて滴下した。周囲温度に戻した後、反応媒体をろ過し、処理し、そしてろ過し、その後25〜30℃、0〜3mbarで30分間脱揮し、続いて90℃(設定値)、1mbarで3時間脱揮して、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=20;[SiH]=892mmol/100g;[エポキシ]=198mmol/100g;粘度=103mPa.sを有する官能化シリコーンオイルを得る。
添加剤K5:
トルエン100.1g及びUmicore HS432(登録商標)という商品名でUmicore社が販売する白金・カルベン錯体10mgを500mlの丸底フラスコに窒素下で導入する。この混合物を磁気撹拌し、85℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(150.2g、1.32mol)とポリメチルヒドロシロキサンH3(349.0g、SiH=5.21mol)との混合物を3時間かけて滴下する。添加が終了したら、滴下漏斗を30gのトルエンですすぎ、加熱を2時間にわたって維持する。周囲温度に戻した後、反応媒体を92℃、1mbarで3時間脱揮して、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=20;[SiH]=999mmol/100g;[エポキシ]=189.7mmol/100g;粘度=101mPa.sを有する官能化シリコーンオイル(455.0g)を得る。
添加剤K6:
トルエン105.1g及びUmicore HS432(登録商標)という商品名でUmicore社が販売する白金・カルベン錯体11mgを500mlの丸底フラスコに窒素下で導入する。この混合物を磁気撹拌し、85℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(249.2g、2.18mol)とポリメチルヒドロシロキサンH3(302.6g、SiH=4.52mol)との混合物を3時間かけて滴下する。添加が終了したら、滴下漏斗を45.4gのトルエンですすぎ、加熱を2時間にわたって維持する。周囲温度に戻した後、反応媒体を92℃、1mbarで3時間脱揮して、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=20;[SiH]=568mmol/100g;[エポキシ]=324.3mmol/100g;粘度=186mPa.sを有する官能化シリコーンオイル(449.0g)を得る。
添加剤K7:
トルエン107.1g及びUmicore HS432(登録商標)という商品名でUmicore社が販売する白金・カルベン錯体13.3mgを500mlの丸底フラスコに窒素下で導入する。この混合物を磁気撹拌し、85℃に加熱する。アリルグリシジルエーテル(AGE)(333.8g、2.92mol)とポリメチルヒドロシロキサンH3(291.1g、SiH=4.35mol)との混合物を3時間かけて滴下する。添加が終了したら、滴下漏斗を30gのトルエンですすぎ、加熱を2時間にわたって維持する。周囲温度に戻した後、反応媒体を92℃(設定点)、1mbarで3時間脱揮して、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=20;[SiH]=376.7mmol/100g;[エポキシ]=380.7mmol/100g;粘度=610mPa.sを有する官能化シリコーンオイル(534.0g)を得る。
添加剤K8:
アリルグリシジルエーテル(AGE)469.7g(4.11mol)及びUmicore HS432(登録商標)という商品名でUmicore社が販売する白金・カルベン錯体14.3mgを500mlの丸底フラスコに窒素下で導入する。この混合物を磁気撹拌し、85℃に加熱する。ポリメチルヒドロシロキサンH3(205.4g、SiH=3.01mol)を5時間かけて滴下する。90℃の発熱が観察される。添加が終了したら、加熱を3時間にわたって維持する。周囲温度に戻した後、反応媒体を90℃、1mbarで3時間脱揮して、20個のYCH3SiO2/2単位及び2個の(CH33Si1/2単位から構成され、次の特性:[SiH]=0mmol/100g;[エポキシ]=537mmol/100g;粘度=929mPa.sを有する官能化シリコーンオイルを得る。
添加剤K9:
178.2gのトルエンを1リットルの三つ口フラスコに窒素下で導入する。媒体を磁気撹拌し、85℃に加熱する。この温度に達したら、0.6280gのPt/Cを導入する。次いで、アリルグリシジルエーテル(AGE)(77.6g、0.68mol)と16個の(CH3)HSiO2/2単位、18個の(CH32SiO2/2単位及び2個の(CH32HSiO1/2末端単位を有するポリメチルヒドロシロキサンH4(522.9g、SiH=6.80mol)との混合物を8時間かけて滴下した。周囲温度に戻した後、反応媒体をろ過し、処理し、そしてろ過し、次いで25〜30℃、0〜3mbarで30分間脱揮し、続いて90℃、1mbarで2時間脱揮して、18個の(CH32SiO2/2単位、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個のH(CH32Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=16;[SiH]=519mmol/100g;[エポキシ]=102mmol/100g;粘度=64mPa.sを有する官能化シリコーンオイルを得る。
添加剤K10:
188.9gのトルエンを1リットルの三つ口フラスコに窒素下で導入する。媒体を磁気撹拌し、85℃に加熱する。この温度に達したら、0.6504gのPt/Cを導入する。次いで、アリルグリシジルエーテル(AGE)(136.3g、1.19mol)とポリメチルヒドロシロキサンH4(465.7g、SiH=2.77mol)との混合物を8時間かけて滴下した。周囲温度に戻した後、反応媒体をろ過し、処理し、そしてろ過し、次いで25〜30℃、0〜3mbarで30分間脱揮し、続いて90℃(設定点)、1mbarで2時間脱揮して、18個の(CH32SiO2/2単位、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個のH(CH32Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=16;[SiH]=347mmol/100g;[エポキシ]=171.2mmol/100g;粘度=90.4mPa.sを有する官能化シリコーンオイルを得る。
添加剤K11:
104.0gのトルエンを1リットルの三つ口フラスコに窒素下で導入する。媒体を磁気撹拌し、80℃に加熱する。この温度に達したら、887mgのPt/Cを導入する。次いで、アリルグリシジルエーテル(AGE)(171.5g、1.50mol)と27個の(CH3)HSiO2/2単位、7個の(CH32SiO2/2単位及び2個の(CH32HSiO1/2末端単位を有するポリメチルヒドロシロキサンH5(250.0g、SiH=3.16mol)との混合物を6時間かけて滴下した。周囲温度に戻した後、反応媒体をろ過し、次いで25〜30℃、0〜3mbarで30分間脱揮し、続いて90℃(設定点)、1mbarで1時間脱揮して、7個の(CH32SiO2/2単位、nYCH3SiO2/2単位、mHCH3SiO2/2単位及び2個のH(CH32Si1/2単位から構成され、次の特性:n+m=27;[SiH]=517mmol/100g;[エポキシ]=293mmol/100g;粘度=140mPa.sを有する官能化シリコーンオイルを得る。
以下の表1は、様々な合成直鎖オルガノポリシロキサンK1〜K11の詳細を示す。
Figure 2018531303
(3)被覆繊維支持体の製造
(a)二成分前駆体からの組成物の製造:
2成分系のA部100重量部とB部10重量部とを周囲温度で混合することによって組成物を得(表2の組成物を参照)、
(b)この混合物を、選択された布地に対して、繊維支持体の約30〜36g/m2の付着重量でスクレーパ又はロールを用いて層を形成するように被覆し、
(c)得られた層を、Mathisオーブン内において190℃で60秒間にわたって架橋させてエラストマーを得る。
(4)被覆された布地で実施した試験
様々な布地に対するシリコーンエラストマーの密着性能を測定するために、様々な被覆布地について、以下に詳述する「スクラブ」試験を行った。
「スクラブ」試験と呼ばれる防しわ性及び耐磨耗性試験は、繊維支持体に対するシリコーンエラストマーの良好な密着性を特徴付ける。これは、EN ISO 5981規格−方法Aに従って実施される。この試験は、一方では、50mm×100mmの寸法を有する被覆テキスタイル支持体の試験片に対して、試験片の対向する2つの縁部を締め付けかつ互いに交互に移動させる2個のジョーを用いた剪断運動を施し、他方では試験片に5Nの力を加える移動支持体又はスケートと接触させるによる摩耗を施すことからなる。この試験を、被覆の24時間後又は80℃及び95%相対湿度で7日間の加速老化後に実施する。500回の折り目付与操作後に、被覆された布地を確認する。被膜が剥離していない場合には、耐磨耗性は満足のいくものであり、布地の状態を確認する前にさらに500回の折り目付与操作を実施する。この試験は、被覆された布地の状態が満足できるものでないときに完了する。
以下の表2に詳細に記載されたシリコーン組成物を、エアバッグ布地を被覆するための組成物として評価した。
Figure 2018531303
100重量部のA部と10重量部のB部とを混合して被覆組成物を得る。これらの組成物を2種類のポリエステル布地:洗浄及び加熱硬化ポリエステル布地及び非加熱硬化織機状態ポリエステル布地上に被覆し、次いで架橋させた。シリコーン被膜の密着性及び耐摩耗性を評価するためのスクラブ試験の結果を以下の表3に示す。
Figure 2018531303
接着促進剤としてSiH官能化及びSiエポキシ官能化オルガノポリシロキサンK1及びチタン酸ブチルを含む本発明の組成物I1で被覆されたPET布地は、24時間後及び80℃、相対湿度95%で7日間にわたる老化後に非常に良好な耐摩耗性を示す。これは、洗浄及び加熱硬化されたPET布地のみならず、洗浄も加熱硬化もされていない織機状態PET布地でも確認される。チタン酸ブチルの非存在下では(組成物C2)、織機状態PETに対する24時間後に得られた密着性は満足のいくものではない。
比較例C3及びC4は、接着促進剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)とTBOTとエポキシ単位を含まない架橋SiHオイルとを使用することによってシリコーン組成物中において同一のエポキシ及びSiH単位濃度が得られる場合に、熱硬化又は織機状態被覆PET布地の耐摩耗性が満足のいくものではないことを示す。
比較として、接着促進剤としてGLYMO、VTMO及びTBOTを含む従来技術のEP0681014に係る組成物C1は、被覆された布地が織機状態PETである場合に、湿潤老化後に良好な耐磨耗性を得ることができない。
SiH及びSi−エポキシ単位を含み、かつ、接着促進剤及び架橋剤として作用する添加剤K1は、PETに対するシリコーン被膜のより良好な密着性を得ることを可能にする。
オルガノポリシロキサンK2〜K11を、表2に詳細に記載されたI1のようなシリコーン組成物中におけるK1の代わりの接着促進剤として試験した。接着促進剤K2〜K11の量を、シリコーン組成物中のエポキシ官能基の濃度が20〜22mmol/100gとなり、組成物のSiVi単位に対するSi−H単位のモル比(H/Vi比)が2〜5を維持する(この用途に最適である)ように調節する。その後、接着促進剤が少ないSiH単位と多くのエポキシ単位とを有する場合には、架橋性オルガノヒドロポリシロキサンH1を添加して網目中のSiH濃度を一定に維持する。これは、組成物C1、C8及びI5の場合である。一方、試験された接着促進剤が多くのSiH単位を有する場合には、H/Vi比を5未満に維持するために、シリコーン組成物中のエポキシ濃度は、20mmol/シリコーン組成物100g未満である。シリコーン被覆組成物のSiH単位及びエポキシ単位の濃度並びにH/Vi比を、以下の表4に詳細に記載する。
Figure 2018531303
これらの組成物を、ポリエステル若しくはポリアミド製の布地上又はその両方の上に被覆し、次いで架橋させた。結果を以下の表5及び表6に示す。
表5は、2種類のポリエステル布地:洗浄及び加熱硬化されたポリエステル布地及び加熱硬化されていない織機状態ポリエステル布地に対するシリコーン被膜の密着性及び耐摩耗性を評価するためのスクラブ試験の結果を示す。
Figure 2018531303
100gの組成物当たり10mmol未満のエポキシ単位を有するシリコーン組成物を生じさせる≧4のSiH/エポキシ単位比を有する接着促進剤を含むシリコーン組成物C5、C6、C7及びC9は、耐摩耗性が十分ではない。
Si(CH322/2で官能化されていない単位Dを含むシリコーン組成物C10及びC11は、SiH/エポキシ単位比が<4であり、かつ、組成物中のSiH及びエポキシ単位の濃度がI1に匹敵するにもかかわらず、織機状態ポリエステル生地での耐摩耗性が乏しい。
エポキシ単位のみを含み、かつ、架橋性オルガノポリシロキサンH1の添加によってI1に匹敵する組成物中のSiH及びエポキシ単位濃度を有する接着促進剤K8を含む組成物C8も良好な耐磨耗性を与えない。したがって、SiH及びSi−エポキシ単位を含み、かつ、接着促進剤及び架橋剤として作用する添加剤Xは、密着性を改善するために必須である。
表6は、2種類のポリアミド織物:洗浄されかつ熱硬化されたポリアミド布地及び熱硬化されていない織機状態ポリアミド布地に対するシリコーン被膜の密着性及び耐摩耗性を評価するスクラブ試験の結果を示す。
Figure 2018531303
本発明に係る組成物の被覆及び架橋後に、被覆された布地は、エアバッグ用途に必要とされるものに従う耐コーミング性及び耐引裂性の値を達成することが確認された。

Claims (17)

  1. 重付加によって架橋又は硬化することのできるシリコーンベースBを含むシリコーン組成物Aであって、該シリコーン組成物Aは、少なくとも1種の有機チタン化合物Mと、次式を有するシロキシル単位(I.1)〜(I.3):
    Figure 2018531303
    Figure 2018531303
    Figure 2018531303
    を含み、かつ、次式(I.4):
    Figure 2018531303
    の単位を含まない直鎖オルガノポリシロキサンである少なくとも1種の添加剤Xと、を含む接着促進剤系Dを含むことを特徴とし、上記式中、
    ・a=1であり、b=1又は2であり、
    ・d=1であり、e=1又は2であり、
    ・記号Yは、2〜20個の炭素原子及びエポキシ官能基を有する炭化水素基を含む、任意に酸素原子などの1個以上のヘテロ原子を有する基を表し、好ましくは、記号Yは、アルキルグリシジルエーテル、直鎖、分岐又は環状エポキシアルキル、直鎖、分岐又は環状エポキシアルケニル及びカルボン酸グリシジルエステルよりなる群から選択され、
    ・記号Z1、Z2及びZ3は、同一でも異なっていてもよく、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基及び6〜12個の炭素原子を有するアリール基よりなる群から選択される、さらに好ましくはメチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニル基よりなる群から選択される、1〜30個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表し、
    ただし、添加剤Xは、1分子当たり、エポキシ官能性炭化水素基を有する少なくとも2個のシロキシル単位(I.1)及びヒドロシロキシ基を有する少なくとも3個のシロキシル単位(I.3)を含むものとする、シリコーン組成物A。
  2. 前記添加剤Xは、シロキシル単位の総数が7〜30である、請求項1に記載のシリコーン組成物A。
  3. 前記添加剤Xがアルコキシ、ビニル、ヒドロキシル又はメタクリルオキシ官能基を含まない、請求項1に記載のシリコーン組成物A。
  4. 前記添加剤Xは、シロキシル単位(I.1)とシロキシル単位(I.3)とのモル比が0.5〜4、好ましくは0.8〜3、さらに好ましくは0.8〜2.5の間である、請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン組成物A。
  5. 前記接着促進剤系Dが少なくとも1個のエポキシ基を含むオルガノシランGをさらに含む、請求項1に記載のシリコーン組成物A。
  6. 前記エポキシ単位の濃度が組成物A100g当たり10〜60mmol、好ましくは組成物A100g当たり15〜40mmolである、請求項1に記載のシリコーン組成物A。
  7. 前記シリコーンベースBが、
    ・1分子あたり、異なるケイ素原子にそれぞれ結合した少なくとも2個のC2〜C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンEと、
    ・異なるケイ素原子にそれぞれ結合したC2〜C6アルケニル基を0.1〜20重量%含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサン樹脂Fと、
    ・任意に、1分子当たり、異なるケイ素原子にそれぞれ結合した少なくとも2個の水素原子、好ましくは異なるケイ素原子にそれぞれ結合した少なくとも3個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノヒドロポリシロキサンHと、
    ・白金族の金属又は金属化合物である重付加触媒Cの有効量と、
    ・少なくとも1種の抑制剤Iと、
    ・任意に、少なくとも1種の充填剤Jと
    を含む、請求項1に記載のシリコーン組成物A。
  8. 混合して前記組成物Aを形成することを目的とした2つの別個の部分A1及びA2中にある、請求項7に記載の組成物A用の2成分前駆体系であって、これらの部分の一方が前記触媒Cを含有すると共に、他方の部分が前記添加剤X及び前記オルガノヒドロポリシロキサンHを含有することを特徴とする2成分前駆体系。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のシリコーン組成物Aを架橋及び/又は硬化してなるシリコーンエラストマー。
  10. シリコーンエラストマーで被覆された繊維支持体の製造方法であって、次の工程:
    (a)請求項1〜7のいずれかに記載のシリコーン組成物Aを準備し、
    (b)工程(a)で準備したシリコーン組成物Aの少なくとも10g/m2を繊維支持体の1つ又は2つの面に塗布し、及び
    (c)工程(b)で形成された付着物を、例えば電磁放射線又は熱風の作用により210℃に達することができる温度で加熱することにより架橋させてエラストマーを形成させること
    を含む方法。
  11. 前記繊維支持体がポリアミド又はポリエステル製である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記繊維支持体が製織後に洗浄工程を経なかったことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  13. 前記繊維支持体が製織後に熱処理工程を経なかったことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載の方法によって得ることができるシリコーンエラストマーで被覆された繊維支持体。
  15. 請求項9に記載のシリコーンエラストマー又は請求項14に記載の繊維支持体を備えるエアバッグ。
  16. 請求項1〜7のいずれかに記載のシリコーン組成物Aの、織物、編物又は不織繊維支持体を被覆するための使用。
  17. 請求項1〜7のいずれかに記載のシリコーン組成物Aの、車両の乗員の保護を目的としたエアバッグを被覆するための使用。
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