JP2018531270A6 - ハイドロゲルコンポジットデポー製剤 - Google Patents

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Abstract

この発明は、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を組み込んだ生分解性シリカハイドロゲルコンポジットを含むデポー製剤であって、該シリカハイドロゲルコンポジットが、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を含み、≦1000μmの最大直径を有する該シリカ粒子を、そのまま、または懸濁液として、シリカゾルと混合することにより得られ、該ハイドロゲルコンポジットが、静置保管時には非流動性でかつ構造的に安定であり、注入によりずり応力が適用される場合にはずり流動化性であるデポー製剤に関する。本発明はまた、慢性ウイルス感染の治療および慢性ウイルス再感染の予防のためのデポー製剤の使用に関する。本発明は、さらに上記デポー製剤を含むプレフィルドシリンジに関する。

Description

本発明は、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を組み込んだ生分解性シリカハイドロゲルコンポジットを含むデポー製剤に関し、このデポー製剤は、薬物送達に適したものである。本発明はまた、そのデポー製剤を含むプレフィルドシリンジに関する。
本発明の背景を説明するために本明細書中において使用される刊行物およびその他の文献、およびとりわけ実施に関する追加的な詳細を提供するケースは、参考文献として組み込まれる。
いくつかのウイルス感染は、主要な世界規模の公衆衛生問題である。一部のウイルスは慢性感染症を引き起こし、未処置の慢性感染保持者では、肝不全やがんなどの長期の合併症を発症するリスクが増大する。毎年百万人を超える慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染症患者が、感染により生じた肝臓の合併症により亡くなっていると推定されている。インターフェロンならびに抗ウイルスヌクレオシドおよびヌクレオチドアナログが、治療のため、またはウイルスの複製活性を抑制して感染を不活性な状態に保持し、かつ合併症の進行を防ぐために使用されている。最も一般的な治療の選択肢には、毎日の傾向自己投与または毎日の注射(または数週毎の注射(several weekly injections))などがあげられる。長期間または一生の薬物療法のため、毎日の自己投与には、患者の強いコミットメントが必要とされる。これはまた、より長い治療期間により抗ウイルス薬耐性が促進され、抗ウイルス薬の抑制作用が除外された場合、再発が起こりやすくなるため、患者のコンプライアンスの観点からも一つの挑戦である。したがって、ウイルス感染の治療における長期デポー製剤、特に、比較的長期間の投与間隔を有する注入可能な製剤などの侵襲性の最も少ない製剤に関する要求は満たされていない。
シリカゲルは、制御された薬物送達のための担体材料として広く使用されており、それらは、種々の剤形に加工することができ、その種々の剤形を組み合わせて結果として特異的性質を有するシリカ−シリカコンポジットを生み出すことができる。カプセル化された薬物を有するゾル−ゲル誘導シリカマイクロ粒子は、シリカゾルと組み合わせて、抗ウイルス薬の制御された送達のための注入可能なハイドロゲルデポーコンポジットを形成することができる。
Jokinenらによる特許文献1は、カプセル化された薬剤を有する噴霧乾燥シリカマイクロ粒子とシリカゾルとから形成されるずり流動化複合ハイドロゲル組成物を開示している。
特許文献2は、エンテカビル被覆マイクロスフェアおよびその製造方法を開示している。
特許文献3は、エンテカビルマイクロスフェアおよびそれを含む非経口投与用医薬組成物を開示している。
近年、ジェネンテック/ロッシュにより、ペグ化したα−インターフェロンが開発され、慢性HBV感染症の1週間に1度の注射療法のために発売が開始された。しかしながら、インターフェロン治療は、しばしば全身性の副作用を伴い、非代償性肝機能の患者には投与することができない。
国際公開第2014/207304号 韓国公開特許第2012−0138908号公報 国際公開第2015/020240号
本発明の課題の1つは、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を組み込んだ生分解性シリカハイドロゲルコンポジットを含むデポー製剤を提供することである。
本発明のもう1つの課題は、治療に使用するためにそのデポー製剤を提供することである。
本発明は、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を組み込んだ生分解性シリカハイドロゲルコンポジットを含むデポー製剤であって、該シリカハイドロゲルコンポジットが、
a)ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を含み、≦1000μmの最大直径を有する該シリカ粒子を、そのまま、または懸濁液として、
b)シリカゾル
と混合することにより得られ、
i)前記シリカゾルの固形分が5wt%以下であり、
ii)前記シリカハイドロゲルコンポジットが85wt%以下の前記シリカ粒子を含み、そして
iii)前記ハイドロゲルコンポジットが、静置保管時には非流動性でかつ構造的に安定であり、注入によりずり応力が適用される場合にはずり流動化性である
デポー製剤を提供する。
本発明はまた、慢性ウイルス感染の治療および慢性ウイルス再感染の予防における使用のためのデポー製剤を提供する。
本発明は、さらに上記デポー製剤を含むプレフィルドシリンジを提供する。
ハイドロゲルコンポジットからのエンテカビルの累積放出およびシリカの溶出を示す図である。 ハイドロゲルコンポジットの平均複素弾性率(G*)を保管時間の関数として示す図である。 ハイドロゲルコンポジットについて種々のずり速度での動的粘度によりずり流動化特性を示す図である。 損失係数(tanδ=G''/G’)により注入前のハイドロゲルコンポジットの構造を示す図である。 損失係数(tanδ=G''/G’)により注入後のハイドロゲルコンポジットの構造を示す図である。 ハイドロゲルコンポジットでエンテカビルを投与された雄性ビーグル犬における血漿エンテカビル濃度を示す図である。 ハイドロゲルコンポジットでエンテカビルを投与された雌性ビーグル犬における血漿エンテカビル濃度を示す図である。
本発明者らは、驚くべきことに、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤がシリカマイクロ粒子に組み込まれ、シリカゲルに埋め込まれ、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を必要とする患者に送達するために注入可能なデポー製剤として卓越したパフォーマンスを示すシリカハイドロゲルコンポジットをもたらすということを証明した。
マイクロ粒子は、多種多様な方法により製造することができる。マイクロ粒子(たいていは球状粒子、マイクロスフェア)は、典型的にはマイクロメートル範囲(典型的には1μm〜1000μm)の直径を有する小さな粒子である。噴霧乾燥(サイクロンにおける遠心分離を伴うことが多い)、シングルエマルジョン、ダブルエマルジョン、重合、コアセルベーション相分離、および溶媒抽出法などの、制御された粒子サイズ分布を有するマイクロ粒子を調製または製造するために一般に使用されるいくつかの直接的な技術がある。これらの技術を用いることにより、サブミクロン粒子(通常0.5〜1.0μm)の少量の画分が得られる産物に誘導され得るが、その割合は通常非常に低く、たいてい1容量%未満である。したがって、それらの効果、例えば放出制御マイクロ粒子製剤における効果は小さい。キャスティングすることにより、またはより大きな構造をマイクロ粒子に破壊することによりマイクロ粒子を製造することも可能であるが、その場合、得られる粒子のサイズと形状は、大きく異なり得、転動や粒度測定などの追加の製造工程が必要とされる。
シリカ−シリカコンポジットのシリカマイクロ粒子は、薬物の放出制御に関与し、ハイドロゲル構造は、得られるコンポジットの安定性と注入可能性との両方を保証する。静置時、例えばプレフィルドシリンジ中で保管されている場合に安定であっても、ハイドロゲルコンポジット構造は非常にルースなので、ハイドロゲルコンポジットが即時使用シリンジから細い針を通して注入される際にずり流動化する。このような特性の組み合わせにより、侵襲性の最も少ないウイルス感染の長期治療が提供される。
用語
本願の文脈において「ゲル」とは、少なくとも1つの固相と1つの液相との均質な混合物、すなわち、コロイド分散液と解されるべきであり、例えばシリカ自体および/または部分的または完全に加水分解されたシリカなどの固相が連続相であり、例えば水、エタノールおよびシリカ前駆体の残部などの液相がその構造中に均質に分散されている。ゲルは粘弾性でかつ弾性が優勢であり、これは小角振動ずりのもとでのレオロジー測定により示される。弾性が優勢であり、その構造は損失係数(または損失正接)、tanδ=(G''/G’が1未満である場合流れない。弾性率G’および粘性率G''の複合効果は、複素弾性率(または複素せん断弾性率)の形式、G*=G’+iG''で表すこともできる。
「ハイドロゲル」とは、液相が水または水が50重量%(wt%)よりも多い水系であるゲルと解されるべきである。典型的には、ハイドロゲルの液相は、水を65wt%よりも多く、より典型的には90wt%よりも多く、最も典型的には95wt%よりも多く含む。液相はさらに、典型的には例えばエタノールなどの有機溶媒である、他の液体を含み得る。典型的には、例えばエタノールなどのこのような溶媒の濃度は、10wt%未満、より典型的には3wt%未満、最も典型的には1wt%未満である。本発明の文脈において本発明のコンポジットは、ハイドロゲルの基本的な基準を満たすことからハイドロゲルであると考えられる。したがって、本発明のハイドロゲルコンポジットを引用する場合、その引用は本発明のコンポジットへの言及に等しい。本発明の文脈において本発明のシリカハイドロゲルコンポジットは、好ましくは20〜80wt%、より好ましくは30〜70wt%、最も好ましくは40〜60wt%の水を含む。
「ゾル」とは、少なくとも1つの液相と1つの固相との均質な混合物、すなわち、コロイド分散液と解されるべきであり、例えば水、エタノールおよびシリカ前駆体の残部などの液相は連続相であり、例えばシリカおよび/または部分的または完全に加水分解されたシリカのコロイド粒子、および/またはこれら粒子の凝集体などの固相が、上述の液相中に均質に分散されており、ゾルは明らかな流動性を有し液相が優勢であることを特徴とする。「懸濁液」も、特に固体粒子が直径1μm未満のコロイド状である場合には「ゾル」と呼ばれることもある。しかしながら、本発明の文脈においては、ゾルという用語は、固体粒子が50nm未満であるコロイド分散液のことをいい、懸濁液という語は、固体粒子が50nmよりも大きい分散液のことをいう。
本願の文脈において「注入可能なゲルまたはハイドロゲル」とは、組成物のレオロジー特性である。例えば室温(20〜25℃)または冷蔵室内(3〜6℃)など、37℃度未満の温度でシリンジおよび/またはアルミニウム箔に保管されている注入前は、組成物はゲルであり、すなわち弾性率(小角振動ずりの下で測定)G’は粘性率G''よりも大きく、損失係数、tanδ=(G''/G’)が1未満である。ハイドロゲルコンポジットの構造は、ゲル様構造をとり、そのコンポジットの構造は、静置保管時には安定かつ非流動性なままであるが、そのゲル構造は、非常にルースなので、ずり応力が、例えばシリンジから針を通した注射の形態で、例えば25G針(0.50mm×25mm)を用いて印加されるとずり流動化する。
「注入可能な」とは、本発明の文脈においては、例えば針、カテーテルまたはそれらの組み合わせなどの外科的投与装置を介して投与可能であるということを意味する。
「ずり流動化性」とは、本願の文脈においては、組成物のレオロジー特性である。そのような組成物のずり応力またはずり速度が変更される場合はいつでも、組成物は徐々にその新たな平衡状態に向かって移動し、低いずり速度ではずり流動化性の組成物はより粘性が高く、高いずり速度では粘性が低い。ゆえにずり流動化性とは、流体の粘性、すなわち流体の流れに対する抵抗の測定値が、ずり応力の上昇率に伴い低下する作用のことをいう。
本願において言及される「デポー製剤」は、活性剤が長期間、即ち数日から数か月間、作用できかつ体内に放出されるように、徐放および段階的な吸収を可能とする持続作用薬(活性剤)製剤の投与であると定義される。デポー製剤は、非経口的に、皮下、筋肉内、腹膜、または眼内移植または注入のいずれかにより投与される。
用語「シリカ」は、好ましくはゾル−ゲル法により調製されるアモルファスSiOを意味する。ゾル−ゲル誘導シリカは、ゾル−ゲル工程により製造されたシリカのことをいい、シリカは、アルコキシド、アルキルアルコキシド、アミノアルコキシドまたは無機ケイ酸塩溶液などの液相前駆体であって、加水分解反応および縮合反応により、ゲルに変わるか安定なゾルを形成するゾルを形成する液相前駆体から製造される。安定なシリカゾル中の液体は蒸発され、典型的にはコロイド状のシリカ粒子からなる粉末を形成することができる。得られたゲル/粒子は、任意にはエージング、乾燥および熱処理されてもよく、熱処理される場合には、好ましくは700℃未満で熱処理される。700℃未満で製造されたゾル−ゲル誘導シリカは、一般に非晶質である。熱処理は、ゲルが薬物や活性医薬成分などの生物学的に活性な薬剤を含有する場合には省略される。形成されたゲルは、その後、典型的にはエージング(典型的には≦40℃で)および乾燥(典型的には≦40℃で)のみ行われる。ゾルは、形状付与のためにモールド中でゲルにされ得る。ゾル−ゲル誘導シリカは、ゲル化、エージング、乾燥および形状付与、例えば噴霧乾燥してマイクロ粒子にする、浸漬/排出/スピンコーティングしてフィルムにする、押出によりモノリシック構造にする、または紡糸により繊維にするなどにより、異なるモルフォロジーへ加工することによって製造することもできる。
用語「シリカゾル」は、懸濁液、すなわち液体(連続相)と固相(分散層)との混合物を意味し、固相はシリカ粒子および/または凝集したシリカ粒子を含み、そのシリカ粒子および/または凝集体の粒径は、通常1μm未満、すなわちシリカ粒子および/または粒子凝集体はコロイド状である。シリカゾルは、通常、加水分解により、部分的に加水分解されたシリカ種、または完全に加水分化された珪酸のいずれかを形成するアルコキシドまたは無機ケイ酸塩から製造される。液相は、通常、水およびエタノールなどの加水分解産物および縮合産物を含む。後続のSiOH−含有種の縮合反応は、シロキサン結合の増加した、より大きなシリカ種の生成をもたらす。これらの種は、ナノサイズのコロイド状粒子および/または粒子凝集体を形成する。条件に応じて、シリカゾルは、安定なコロイド状懸濁液のままでいるか、またはゲルに変化する。
用語「生分解」は、浸食、すなわちマトリクス材料、例えばシリカなどの体内における緩やかな分解を意味する。分解は、好ましくは体液への溶解により生じる。
「カプセル化された薬剤」は、ゾル−ゲル誘導シリカ材料内にある薬剤、活性医薬成分(API)および他の機能的、治療的および生物学的に活性な薬剤であると解されるべきである。
「ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤」は、HIV感染またはAIDSおよびB型肝炎の治療に使用される抗レトロウイルス薬の1つの分類を意味する。RTIsは、逆転写酵素、HIVおよび他のレトロウイルスの複製に必要とされるウイルス性DNAポリメラーゼの活性を阻害する。5’位でリン酸化されているヌクレオシドアナログは、しばしばヌクレオチドアナログと言われる。
「ゲル化点」は、流動性のゾルが粘弾性でありかつ弾性が支配的であるゲルへと変わる時点を意味するものと解されるべきであり、これは小角振動ずりのもとでのレオロジー測定において、弾性率G’が粘性率よりも大きく、損失係数が1未満であることにより示される。粘弾性質は一般に、レオメータ(ひずみ、ずり応力および時間の相関を決定するための測定装置)を用いて、ずり応力が小さい(ひずみ角度が小さい)振動ずりによって測定される。小振動ずりでの合計抵抗は、複素弾性率(G*)により表される。複素弾性率(または複素せん断率)は、2つの要素を含む(G*=G’+iG'')。1)弾性率G’、貯蔵率とも呼ばれ、物質が、固体物質に特徴的ないくらかの弾性性質を有することを示す。すなわち、ゲル系は、運動がゲル構造を破壊しない限りは振動動作からエネルギーを得る。このエネルギーは試料中に貯蔵され、弾性率により示される。2)粘性率G''、損失率とも呼ばれ、流動性質を示す。すなわち、シリカゾルなどの系は、例えば振動ずりにおいて粘性散逸として失われるエネルギーの部分を説明するゾルの成分間の運動を生じる。G*=G’のとき物質は弾性であり、G*=G''のとき物質は粘性である。ゲル化点で、弾性率G’が粘性率G''よりも大きくなる。G’がG''よりも大きい場合、粘弾性物質は半固体と呼ばれ、対してG''がG’よりも大きい場合、粘弾性物質は半液体と呼ばれる。弾性率および粘性率の大きさはずり応力に依存し、ずり応力は加えられるひずみ(小角ひずみ)および(振動ずりの)周波数に依存する。測定は、特定の測定系に対する適切なシグナルを確実にすることによって行われ、すなわち、レオメータ系に対する適切なシグナルおよび線形粘弾性領域を見つけるために、一般には一定の周波数でひずみ掃引が行われ、その後、実際の測定は、周波数を変えながら一定のひずみで行われる。周波数の変動が弾性率および粘性率の変動をもたらし、測定は、固相と液相のいずれが支配的であるかを示す。また、周囲条件が顕著に変わらない場合、弾性率はゲル化点後に速く上昇するということも典型的であり、例えば、ゲルに変わるpH=2でのR15ゾル(R=アルコキシドに対する水のモル比)など、室温に近い酸性ゾルから形成されたゲルでは、ゲル化点後数分でG’が100〜700倍増える。R150およびR400などのより大きなR値では、弾性率G’はゲル化点後も低いままであり、G’の増加は速くなく、これにより細い針で注入可能なままのゲル構造を有することが可能である。規定のゲル化点後のゲルの形状においては固体状態が優勢となるが、系は依然として可変量の液体を含み、材料は、典型的には乾燥前は柔らかく粘弾性で、十分に乾燥されると固く脆くなる。ゾルの形状においては、液体状態が優勢であるが、系は可変量の固相を含み、系は依然として流動性である。ゲル化点前は、動粘度および弾性率に急激な増加が観察されるのが典型的であって、これはゲル化点後も構造が発達するにつれて上昇し続ける。本発明の文脈において本発明のコンポジットのゲル化点は、本発明の注入可能なゲルを取得するよりも前に到達されている。
「静置保管時には非流動性かつ構造的に安定」とは、シリカハイドロゲル内にシリカ粒子を含む安定なコンポジットハイドロゲル構造を意味する。安定性は、小角振動ずりのもとでのレオロジー測定において、弾性率G’が粘性率よりも大きく、損失係数が1未満であることにより示される。弾性率が粘性率よりも大きく、損失係数が1未満である場合、その構造は非流動である。非流動性構造は、シリカ粒子の総分離を防ぐことにより、コンポジットハイドロゲル構造の安定性を確保する。言い換えれば、シリカ粒子はシリカハイドロゲルに埋まっており、それらは、例えばシリンジなどのハイドロゲルコンポジットが通常25℃以下で保管される容器の底に沈殿したり分離したりしない。コンポジットハイドロゲル構造は、例えばプレフィルド、即時使用シリンジにおける静置保管時に非流動性であるが、構造は非常にルースでずり流動化性であり、したがって、ずり応力が注入によりハイドロゲルコンポジットに適用されるので、細い針を通して注入可能である。
本発明の特徴
本発明、シリカハイドロゲルに包埋されたシリカマイクロ粒子(カプセル化された活性医薬成分を有する)を含む注入可能なシリカ−シリカコンポジットデポーは、マイクロ粒子に基づく薬物送達の典型的で実際的な課題に取り組むものである。ウイルス感染の長期治療において特に重要なものである他の課題、すなわち患者のコンプライアンスや切れ目のない抗ウイルス薬治療の重要性もまた、抗ウイルス療法に使用される任意の他の医薬品よりもより少ない頻度でシリンジから細い針を通してコンポジットを注入することが可能であることから侵襲性の最も少ないものである使いやすくかつすぐに使えるコンポジットを提供することによる本発明に見合ったものである。
マイクロ粒子(典型的なサイズ1μm〜1000μm)は、大きいため、例えば、連続相として水系溶液を用いる典型的なマイクロ粒子懸濁液は比較的速く不安定化するであろう。コロイド状粒子(サイズ1〜1000nm)は、ブラウン運動により影響を受け、比較的安定な懸濁液を形成しやすいが、その効果はマイクロ粒子にはほとんど影響を及ぼさない。相分離は、通常、マイクロ粒子の沈降により起こるか、またはマイクロ粒子密度が液体の密度よりも明らかに低い場合は、マイクロ粒子は表面上に浮くことも可能である。分離速度は、多くの因子;マイクロ粒子サイズ、マイクロ粒子および連続相(液体)の密度、液体におけるマイクロ粒子濃度および連続相の動的粘度などに依存する。粒子サイズ1μm付近で、水系懸濁液における典型的なポリマーまたはセラミック粒子は数日から数週間以内に分離し、粒子サイズが10μmより大きい場合、分離は、粒子間密度差および連続相(液体)の粘度により数分から数日以内に起こる。したがって、生理食塩水や緩衝液などの一般的な水系溶液で長持ちする安定なマイクロ粒子懸濁液を形成することは難しい。一般的な方法は、連続相(液体)の粘度を増加させて分離を遅らせることである。しかしながら、粘度を増加させたにもかかわらず、連続相が多かれ少なかれ常に流動性である液体の場合に長期保管における分離の危険性は常にある。長い保管寿命が期待される場合(薬物製剤に通常要求される)、これは、考慮すべき重要な課題である。
マイクロ粒子および液体が投与直前に組み合わされる系を設計することも可能であるが、これは投与前に成分を混合することに関連するリスクのため望ましい選択肢ではない。液体中へのマイクロ粒子の良好な混合は、安全性および注入可能性の両面について極めて重要である。懸濁液がよく混合されておらず、安定性が十分でない場合、懸濁液の正確な用量と注入可能性の両方が危険にさらされる。
本発明は、具体的に侵襲性の最も少ない投与のために設計されるため、ハイドロゲルコンポジットデポーは、即時使用製剤として設計される。液体の代わりに連続相としてハイドロゲルを使用する(シリカマイクロ粒子がハイドロゲルに包埋される)ことは、長期のコンポジット安定性、注入可能性および正確な用量を保証する。しかしながら、これは別の課題をもたらす。ハイドロゲルコンポジットは、安定性を確保するために、静置時(保管状態)にはその非流動性ゲル構造を保持しなければならないが、同時に注入可能でなければならない。例えば、シリンジから細い針を通してハイドロゲルコンポジットを注入できなければならない。ハイドロゲルコンポジットは、ずり応力が適用される場合、例えば注入により、ずり流動化(動的粘度(SI−単位Pas)は、レオメータの回転測定モードにおけるずり速度の増加とともに減少した。)されなければならない。
したがって、本発明は、静置時には非流動性であるが、ずり流動化性であり、ずり応力が適用されるとずり流動性となるシリカ−シリカハイドロゲルコンポジットを発表する。これは、十分にルースなハイドロゲル構造であるため可能であり、4〜25℃の保管温度で6〜24時間は安定な非流動性ゲル構造を保持するが、25G針(針の内径:0.50mm)などの針を通して容易に注入できる。25G針は、エンテカビルなどのヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤の主要な投与経路である皮下および筋肉内投与において侵襲性が最も少ない。
安定で非流動性のハイドロゲル構造(静置時、例えばプレフィルドシリンジ内では安定を保持する)を形成するシリカマイクロ粒子とシリカゾルとの複合組成物は、ずり流動化性であり、37℃でのずり(例えば、細い針を通しての注入による)および短い回復時間後、複合組成物は再び安定で非流動性のハイドロゲルに変化するか高い粘度のゆっくりとした流動性剤形に変化する。好ましい安定で非流動性のハイドロゲル構造は、シリカマイクロ粒子がハイドロゲル内において1つの三次元実体に堅く集まる状態を維持する構造により、バースト(初期の速い放出)の減少に良好な可能性を提供する。
微細粒子などの外来物質は、認識され、そして白血球の貪食により組織から排除される。典型的には、認識は、炎症反応にも関与し、例えば、薬物の皮下注射に用いられる制御された薬物放出システムにとって望ましいものではない。シリカハイドロゲルに包埋されているシリカマイクロ粒子は、シリカマイクロ粒子単独よりもヒト白血球により認識されることがより難しく、すなわち、シリカハイドロゲルは、シリカマイクロ粒により誘導されるヒト白血球の活性化を阻害する。したがって、シリカマイクロ粒子およびシリカゾルから製造される複合ハイドロゲル組成物は、組織に局所的に注入された場合のシリカデポー製剤の耐性および安全性に正の効果を有する。
本発明のシリカ−シリカハイドロゲルコンポジットにはまた別の恩恵もあり、それはシリカの低溶解性に基づく。ゾル−ゲル誘導シリカマイクロ粒子としてのアモルファスシリカと本発明のシリカハイドロゲルとは、中性の水で130〜150ppm(mg/L)(そして、例えば、pH5で約10〜20%だけ高い)の溶解性を有し、したがって、擬似体液でも体液でも同様である。これは、シリカマイクロ粒子が、ハイドロゲルの水相にごく少量しか溶解しないということを意味する。系に存在する任意の水相は、シリカで素早く飽和されシリカの溶解が停止する。カプセル化されるエンテカビルなどの活性医薬成分(API)のカプセル化効率は、本発明のシリカマイクロ粒子において良好である。すなわち、エンテカビルの放出は、主に溶出(水相への溶解による分解)に基づき、APIはシリカマイクロ粒子からシリカハイドロゲルの水相に、例えば保管中放出されないことを意味する。APIがわずかしか放出されないことは、水が遊離相としては存在せず、液相の制限された運動性を有する分散構造(ハイドロゲル)の一部として存在するという事実によってもさらに支持される。これは、シリカマイクロ粒子がAPIの組織における放出を制御することを保証する。組織では体液が流れ、したがって低い溶解性は問題ではなく、シリカハイドロゲルの主な役割は、長期安定性と取り扱いやすさ、および最少の侵襲性特性を保証することである。
本発明において、連続報またはフロー法および連続反応器(フロー反応器ともいう)、特に管状反応器における連続法は、シリカ加工やヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤などの活性医薬成分(API)のシリカへカプセル化を良好に制御するために、噴霧乾燥などの形状を与える前に利用される。典型的なケースでは、シリカゾルとカプセル化させるべきAPI(液体、通常pHを調整した水またはエタノール−水溶液に溶解または分散)を別々のフローとして2つのフローが組み合わされる反応器にポンプで入れる。シリカの前駆体、通常、テトラエトキシシラン(テトラエチルオルトシリケート、TEOSともいう)などのアルコキシシランまたは無機ケイ酸塩溶液、およびAPIを1つのフローにポンプで入れ、別のフローにpHを調整した水を入れるということも可能である。フローの組成物は、APIの安定性と良好なカプセル化を保証するためにAPIの性質に依存して調整される。連続反応器は、連続的に攪拌されるタンク反応器(CSTR)、例えば、一定の流入および流出または対応物を有する別個の撹拌もしくはアジテーターシステムを備えたビーカー、または混合の無い管状反応器、すなわち、層流(横方向の混合を伴わない流れ)もしくは対応物を備えたプラグ−フロー反応器(PFR)、または混合を備えた環状反応器(混合は、渦などの乱流(流れの方向に垂直な交差電流)生成により、または管状反応器に統合された別個の混合エレメントにより生じ得る)であり得る。連続反応器を使用することにより、非連続反応器、例えばバッチ式反応器(BR)よりもシリカ前駆体およびシリカ種の、種々の反応および凝集速度を良好に調整できる。BRでは、すべての反応が、通常撹拌下で生じるが、所望の反応が起こる前に供給(流入および流出)はない。本発明の典型的なケースでは、連続管状反応器は、シリカゾルとAPIとの接触時間を一定かつAPIの溶解性および/形状付与前にシリカ種の反応と凝集を所望の程度とするのに充分短く保つことを保証するために使用される。形状付与工程は時間がかかり、あるpHのシリカゾルが、別のpHのAPIとバッチ式反応器で混合され、その後噴霧乾燥などの形状付与工程に運ばれる場合、シリカゾルとAPIとの間の接触時間は、バッチ内で変化する。仮に噴霧乾燥法に30分かかる場合、最初に噴霧乾燥されたマイクロ粒子は、最後のマイクロ粒子よりもシリカゾルとAPIとの接触時間30分短く形成される。任意の物質の溶解性は、通常、pHに依存するが、接触時間も全系の安定性に影響する。なぜならシリカゾルにおけるシリカ種は時間とともに反応し、凝集するためである。シリカゾル(例えば、形状付与後、シリカ剤形の所望の生分解率について)とAPIの最適なpHは、しばしば互いに異なり、連続反応器は、これらの性質をよりよく適合させ、良好なカプセル化およびカプセル化されたAPIの所望の放出プロファイルをもたらす選択肢を提供する。
本発明のデポー製剤は、注入可能なハイドロゲルコンポジットを安定に保つためにシリンジに保管される。好ましいシリンジはハイドロゲルコンポジットの蒸気の漏れを防ぎ(高い防湿バリアを提供する)、保管のあいだハイドロゲルコンポジットの安定な注入可能性および放出特性を保証する。本発明のシリンジは、ガラス、プラスチック、またはコンポジット製であり、ガラスが好ましい。
好ましい実施形態
本発明の好ましいデポー製剤では、シリカハイドロゲルコンポジットは、注入によりずり応力が適用された後37℃で非流動性で構造的に安定なハイドロゲルである。
本発明の好ましいデポー製剤では、シリカゾルは、3wt%以下、好ましくは2wt%以下、最も好ましくは1wt%以下の固形分を有する。
本発明の好ましいデポー製剤では、シリカ粒子は、0.1〜70wt%、好ましくは0.3〜50wt%、最も好ましくは1〜15wt%の組み込まれたヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を含む。
通常、本発明のシリカ粒子は、0.5μm〜300μm、好ましくは0.5μm〜100μm、より好ましくは0.5μm〜30μm、最も好ましくは0.5μm〜20μmの直径を有するマイクロ粒子である。1μm未満の直径を有するシリカ粒子の体積分率は、通常、3%未満、好ましくは2%未満、最も好ましくは1vol%未満である。
本発明のデポー製剤のハイドロゲルコンポジットは、通常、80wt%以下、好ましくは10〜80wt%、最も好ましくは20〜60wt%のシリカ粒子を含む。
本発明のデポー製剤のコンポジットの固形分は、通常、10wt%〜75wt%、好ましくは15wt%〜60wt%、最も好ましくは25wt%〜55wt%である。
線形粘弾性領域における小角振動ずりのもとで測定される本発明のデポー製剤の複素弾性率は、2400kPa未満、好ましくは1200kPa未満、最も好ましくは600kPa未満である。
本発明のデポー製剤の損失係数、すなわち粘性率/弾性率は、通常、1未満、好ましくは0.8未満、最も好ましくは0.6未満である。
本発明のデポー製剤の測定された粘度は、通常、採用されるずり速度に依存する。典型的には、粘度は、10〜50s-1のずり速度で測定されて10〜50Pasであり、200〜210s-1のずり速度で測定されて0.4〜1.5Pasであり、600〜610s-1のずり速度で測定されて0.1〜0.4Pasである。
デポー製剤のシリカ粒子はヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を2つ以上含むことができる。
本発明のデポー製剤のシリカ粒子は、種々の方法で得ることができる。採用される方法は、通常、噴霧乾燥、シングルエマルジョン、ダブルエマルジョン、重合、コアセルベーション相分離および溶媒抽出法から選択され、好ましくは噴霧乾燥、最も好ましくはサイクロン分離器による連続粒子分離を備える噴霧乾燥である。
本発明のデポー製剤のシリカ粒子は、噴霧乾燥自体により得られたシリカ粒子、シリカ繊維片、および成型または鋳造されたシリカ・モノリスそのものまたはその粉砕物からなる群から選択することができる。
本発明のデポー製剤のシリカ粒子に含まれるヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤は、通常、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤とシリカゾルとが連続的に分離したフローとして供給され、反応器内で合わせられる管型反応器内で連続プロセスを用いてシリカ粒子内に組み込まれ、その後、該管型反応器の外に、サイクロン分離器による連続的粒子分離を伴う連続的噴霧乾燥プロセス内に供給される。
本発明のデポー製剤のシリカ粒子に含まれるヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤は、本発明のいくつかの実施形態において、ジデオキシヌクレオシドからなる群より選択される。
本発明のデポー製剤のシリカ粒子に含まれるヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤は、本発明のいくつかの実施形態において、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカルビル、エムトリシタビン、エンテカビル、テノホビル、アデホビル、アプリシタビン、エルブシタビン、アムドキソビルおよびラシビルからなる群より選択され、好ましくはエンテカビルである。
本発明のデポー製剤のシリカ粒子に含まれるヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤は、本発明のいくつかの実施形態において、デオキシグアノシンアナログであり、好ましくはヒドロキシメチル(メチレンシクロフェニル)プリン類およびピリミジン類からなる群より選択される。
本発明のデポー製剤は、通常、注入可能な製剤および移植可能な製剤からなる群より選択され、好ましくは注入可能な製剤である。
本発明のデポー製剤は、通常、非経口、好ましくは皮下、筋肉内、腹腔内、眼内投与からなる群より選択される。
本発明のデポー製剤は、通常、週1回から年1回、好ましくは月1回から6ヵ月に1回、より好ましくは、2ヵ月に1回から3ヵ月に1回、最も好ましくは3ヵ月に1回投与するためのものである。
本発明のデポー製剤は、通常、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤が0.1〜200mg、好ましくは20mg〜160mg、より好ましくは30mg〜120mg、最も好ましくは40mg〜100mgであるデポー用量の投与用である。
本発明のデポー製剤の使用は、通常、慢性ウイルス感染の治療および慢性ウイルス再感染の予防のためのものである。本発明のデポー製剤の好ましい使用は、B型肝炎およびHIV感染からなる群より選択されるウイルス感染、最も好ましくはB型肝炎感染からなる群のためのものである。最も好ましくは、慢性ウイルス感染の治療および慢性ウイルス再感染の予防に使用されるデポー製剤は、エンテカビルを含む。
本発明の好ましいプレフィルドシリンジにおいて、70℃で2週間保管後のシリンジの重量損失が、もとの重量の10wt%未満、好ましくは5wt%未満、より好ましくは3wt%未満である。
図面
図1は、25℃、相対湿度60%でアルミ箔の密封包装したプレフィルドシリンジにおいて3ヵ月保管後のハイドロゲルコンポジットからのエンテカビルの累積放出とシリカの溶出を説明する。
図2は、ハイドロゲルコンポジットに対する平均複素弾性率(G*)を保管(25℃/60%)時間の関数として説明する。
図3は、シリカマイクロ粒子R10−120 MP(エンテカビルの7%(w/w)負荷)およびシリカゾルR400(1mlのR400ゾル中に1gのR10−120 MP)から形成されるハイドロゲルコンポジットについての動的粘度を、ずり速度の関数として説明する(A=新鮮(=0ヵ月)、25℃、相対湿度60%でアルミ箔の密封包装したプレフィルドシリンジ内において、B=保管3ヵ月、およびC=保管6ヵ月)。
図4は、注入前のシリンジ内での構造をシミュレートするR400シリカゾル1ml中の0.5gおよび1.0gシリカマイクロ粒子から調製される混合ハイドロゲル組成物についての注入後の構造をシミュレートする応力(一定ずり)後の損失係数(tanδ=G''/G’)を説明する。
図5は、R400シリカゾル1ml中の0.5gおよび1.0gシリカマイクロ粒子から調製される混合ハイドロゲル組成物についての注入後の構造をシミュレートする応力(一定ずり)後の損失係数(tanδ=G''/G’)を説明する。
図6は、R15−120マイクロ粒子とR400シリカゾルとのハイドロゲルコンポジット中の36mgのエンテカビルを投与された雄性ビーグル犬6匹における個々の血漿エンテカビル濃度(ng/ml)を時間ごとに説明する。
図7は、R15−120マイクロ粒子とR400シリカゾルとのハイドロゲルコンポジット中の36mgのエンテカビルを投与された雌性ビーグル犬6匹における個々の血漿エンテカビル濃度(ng/ml)を時間ごとに説明する。
以下の実験セクションにおいて、実施例を挙げて本発明を説明する。
実施例1
カプセル化されたエンテカビルを有する注入可能なハイドロゲルコンポジットの、シリカマイクロ粒子(MP)および種々のシリカゾル(SS)からの調製
ゾル−ゲル誘導シリカマイクロ粒子(MP)は、TEOS(テトラエチルオルトシリケート=テトラエトキシシラン、シグマ−アルドリッチ)をシリカの前駆体として使用して調製した。7wt−%のカプセル化したエンテカビルを有するシリカマイクロ粒子の調製は、初期ゾル(pH2で、モル比R=H2O/TEOS=3、10または15、HClをpH調整のために用いた)での調製により開始した。TEOSの加水分解は、連続的な混合下、室温(21〜23℃)で25〜30分間行った。次に、シリカゾルをゲル形成を回避するために0℃まで冷却した。シリカゾルおよびエンテカビル溶液(pHはNaOHを用いて9.7〜10.1に調製した)を、加水分解後75〜110分以内に初期ゾル(R3、R10またはR1)およびエンテカビル溶液を、混合したフローが噴霧乾燥機(GEA Mobile Minor)のノズルに達する前に、混合下の別れた容器にまたは円柱管にポンプで送り込むことにより混合した。フローの混合後、全ての製剤について、最終モル比 R=H2O/TEOSは120であり、pHは5.8〜6.0であった(エンテカビル溶液の水のため、モル比は増加した。したがって、最終製剤は、R3−120、R10−120およびR15−120と表した。)。シリカゾルおよびエンテカビル溶液は、ノズルに到達する前に約4〜6分接触した(例えば、R3−120と7%(w/w)エンテカビル(4分)またはR3−120と7%(w/w)エンテカビル(6分))。混合したフローを噴霧乾燥し、カプセル化したエンテカビルを7wt%有するシリカマイクロ粒子とした(噴霧乾燥機のパラメータ;GEAMobile Minor:流入温度:180〜182℃;排出温度:80〜83℃;アスピレータ:80kg/h(Nitrogen);噴霧化圧 1.5Bar、噴霧流11.0kg/h)。
併流二液ノズル:ノズル:1.0mm;ノズルキャップ:5.0mmおよびスペーサー:媒体;Buechi B−191:流入温度:120℃;排出温度:59〜67℃;アスピレータ32m3/h;供給流3.4ml/分;噴霧流:700L/h(空気))。
噴霧乾燥されたシリカマイクロ粒子と混合されるべきシリカゾル(SS)は、前駆体として、TEOS(テトラエチルオルトシリケート=テトラエトキシシラン、シグマ−アルドリッチ)を用いて調製した。シリカ約0.9wt%に相当するR=H2O/TEOS(モル比)=400のシリカゾルを調製し、計算し、全ての試料における初期pHがpH2であった(pHを調整するためにHClを使用した)。加水分解は、ゾルの冷却(0℃まで)とpH調整の前に連続的な混合下、室温(21〜23℃)で25〜65分間行った。連続撹拌下、pHを0.1M NaOHを添加することにより6.2まで上昇させた。pH調整の後、シリカゾルは、噴霧乾燥させたマイクロ粒子と5〜10分間以内で混合した。
シリカマイクロ粒子およびシリカゾルは、泡形成を避けるために軽く撹拌しながら混合した。シリカゾル(SS)におけるシリカマイクロ粒子(MP)の濃度は1.0g/mlであった。シリカマイクロ粒子とシリカゾルとから形成された懸濁液(流動性の形態での混合組成物)は、1mlまたは10mlの混合組成物のシリンジ(針を用いない)への直接吸引により、またはルアーロックアダプタを用いることにより、プラスチックまたはガラスシリンジ(BD Medical and Gerresheimer)に移され、起こり得る気泡を取り除いた。混合組成物は数分以内に、ある場合には充填後数時間以内にハイドロゲルに変化した。ゲル形成に数時間かかった場合、混合組成物は、回転式ミキサーにおいて穏やかに混合することにより安定に保持した。
実施例2
ハイドロゲルコンポジットおよび素シリカマイクロ粒子からのエンテカビルのインビトロ放出とシリカの溶出
カプセル化されたエンテカビル7%(w/w)とR400のシリカゾルを有するハイドロゲルコンポジットR10−120からのエンテカビルの放出(インビトロで)およびシリカの溶解を、20〜30mgのコンポジットを50mlの50mM Tris緩衝溶液(pH7.4、37℃)に浸漬することにより調べた。研究は、シンク(sink)条件、すなわち、c(SiO2)が30ppm未満、すなわち、同じ条件で特定のSiO2の溶解度の20%未満であるc(SiO2)で行われた。アルミホイルで密閉包装したプレフィルドシリンジ(ルアーロックを備えるガラスシリンジ、1ml、Gerresheimer)に保管されたハイドロゲルコンポジットについて、25℃および相対湿度60%で3ヵ月保管後の累積放出率を図1に示す。結果は、エンテカビルの放出率が約0.25%/hであり、これは約17日以内に100%に到達することを示している。これは、皮下、筋肉内および腹腔内投与において、シリカからの放出に関する共通インビボ−インビトロ相関係数が10であることが観察されているため、約170日間、すなわち5〜6ヵ月のインビトロでの放出率を予測する。エンテカビルのバースト(初期の速い放出)放出後、エンテカビルの放出とシリカの溶解は、ほぼ同じ速度で進み、エンテカビルがシリカ内に良好にカプセル化されていることを示す。
実施例3
噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(R10−120と7%(w/w)エンテカビル)の粒子サイズ分布
粒子サイズ分布は、ウェットセルキュベット(レンズ R3(0.5〜175μm);分散剤 エタノール;超音波処理時間 30秒(100%出力);光学密度 15〜20%;測定時間 20秒;撹拌速度 最大(1000))を備えたSympatec(HELOS H2296)を用いるか、またはCUVETTE分散機および0.5/0.9〜175μmのR3レンズを装備したSympatec HELOS H2370を用いて測定した。溶媒としてエタノールを用いてParticles in Liquid(PIL)法を採用した。数ミリグラムの試料を試料バイアルから採取し、約10〜20mlのエタノールの濃縮ストック懸濁液に分散した。CUVETTE分散機のチャンバーをエタノールでみたし、マグネチックスターラー(1000rpm)をキュベッとの底に設置した。参照ベースライン測定はエタノールのみで行った。測定において、適切な試料を体積ピペットでストック懸濁液から採取し、15〜25%の光学濃度を得るためにCUVETTE分離機に入れた。測定を開始する場合、試料を30秒間自動的に超音波処理し、測定開始時に停止した。測定を20秒間続け、粒径分布を生成する。3つの平行試料をストック溶液から採取し、上記方法により分析した。結果を表1にまとめる。
Figure 2018531270
実施例4
シリンジ内における安定なハイドロゲル構造とずり下でのずり流動化性挙動との両方を示す、注入可能なカプセル化されたエンテカビルを有するシリカマイクロ粒子およびシリカゾルのハイドロゲルコンポジットについてのレオロジー測定試験および注入可能性試験
レオロジー測定は、形状を測定するHPP20TCを備えた平行板を装備した単一回転式レオメータ(ThermoHaake RS 300)で行った(D=20mm)。このシステムは、全ての材料を測定するために使用した。0.3mmのギャップと25℃で0.1000 1/s〜1000 1/sのずり速度を有するCS/CR回転ランプ−プログラムを動的粘性を測定するために使用した。振動検査(損失因子および弾性率および粘性率について)は、25℃で0.4mmのギャップと周波数範囲0.01〜10Hzの周波数掃引により行った。さらに、検査は、振幅掃引プログラムで既に決定した0.002にひずみを設定した制御されたひずみのもとで行った。
振動測定は、プレフィルドシリンジにおけるハイドロゲルコンポジット(7wt%のカプセル化されたエンテカビルを有するR10−120シリカマイクロスフェアとR400シリカゾル、シリカゾル1ml中に1gのマイクロスフェア)の安定性を、保管時間(0〜6ヵ月)の関数として示すために行い、製品の即時使用性を示した。レオロジー測定のための試料をシリンジ内の3つの異なる場所から採取した。振動測定における応力とずれが最少であるため、動的粘性測定は、振動測定において使用した同じ試料で、振動測定直後の動的粘性について回転ずりで継続することにより行った。すべての測定は25℃で行った。レオロジー測定は、新鮮なハイドロゲルコンポジット(0ヵ月)、および25℃、相対湿度60%で1、2、3および6ヵ月保管した後のアルミ箔の密封包装したプレフィルドシリンジ(ガラスシリンジ、1ml、Gerresheimer)に保管したハイドロゲルコンポジットについて行った。粘性率(G'')および弾性率(G’)の比、損失係数(損失正接、tanδ=G''/G’)および複素弾性率(G*)を表2および図2に示す。コンポジットのゲル様構造(弾性率が粘性率よりも大きく、損失係数が1未満である。)が分かる。粘弾材料については、1よりも大きい損失係数は、材料がより液体のようにふるまうことを示し、1未満の損失係数は、材料がより固体のように、たとえばゲルのようにふるまうことを示す。ハイドロゲルコンポジットについては、すべての損失係数は明らかに1未満である。ゲル様構造は、マイクロ粒子がシリンジ内に沈殿とならず、コンポジットが安定なままでいることを保証する。
Figure 2018531270
ハイドロゲルコンポジット構造はゲル様構造であり、保管時に安定なままであるが、下ゲル様構造は非常にルースであるため、表2に示すように内径0.50mmおよび0.55mmの細い針(24G:0.55mm×25mm、25G:0.50mm×25mm、テルモ)を通して注入することができる。これはまた、異なるずり速度での動的粘性測定において観察される明確なずり流動化挙動によって支持される(表3および図3)。ずり流動化挙動は、新鮮な試料(0ヵ月)についても、25℃、相対湿度60%で3および6ヵ月保管した後のアルミ箔の密封包装したプレフィルドシリンジで保管した試料についても明らかである。
Figure 2018531270
実施例5
細い針注入のためのシリカマイクロ粒子(MP)および種々のシリカゾル(SS)から調製される注入可能なハイドロゲルコンポジットの製造
プラセボ組成物(ハイドロゲルコンポジット)は、実施例1に記載された対応する方法により作製した。プラセボシリカマイクロ中止の製造は、初期ゾル(pH2で、モル比R=H2O/TEOS=10、HClをpH調整のために用いた)調製により開始した。加水分解後、初期シリカゾル(R10)およびエタノール(99%)を、混合したフローが噴霧乾燥機(GEA Mobile Minor)のノズルに達する前に、円柱管にポンプで送り込んだ。シリカゾルおよびエタノールをノズルに到達する前に4分間接触させた。フローの混合後、最終モル比はR=H2O/TEOS=50に対応した(すなわち、最終製剤はR10−50であり;初期R10からR50を得るために水が必要とされるので、同体積のエタノールを使用した)。プラセボ製剤を、シリカマイクロ粒子製剤R10−120+7wt%カプセル化エンテカビルに対して参照材料となるように、すなわちR10−120+7wt%カプセル化エンテカビルについてと同じ溶出(生分解)率を得るために設計した。
噴霧乾燥されたシリカマイクロ粒子と混合されるべきシリカゾル(SS)は、実施例1と同様の方法で製造した。シリカゾルのR=H2O/TEOS(モル比)は、R300〜400(R300、R350、R400)の間で変化し、全ての試料の初期pHはpH2であった(HClをpH調整のために用いた)。加水分解は、連続的な混合下、室温(21〜23℃)で25分間なされた。連続的な撹拌下、pHを0.1M NaOHを加えて6.2まで上げた。pH調整後、シリカゾルを5〜15分以内に噴霧乾燥されたマイクロ粒子と混合するか、または混合の前に40℃で3時間エージングした。
シリカマイクロ粒子とシリカゾルとを、泡形成を回避するために軽く攪拌しながら混合した。シリカゾル(SS)中のシリカマイクロ粒子(MP)の濃度は、0.15〜1.0g/mlの間で変化する。シリカマイクロ粒子とシリカゾルとから形成される懸濁液(流動形態の混合組成物)は、混合組成物を直接吸引することによりガラスシリンジに移され(針を用いないで)、起こり得る気泡を取り除いた。混合組成物は、充填後数時間以内にハイドロゲルに変化した。ゲル形成の前、混合組成物を回転式ミキサーにおいて穏やかに混合することにより安定に保持した。
0.5〜1.0g/mlの間で変化するシリカゾル(SS)中のシリカマイクロ粒子(MP)の濃度のみがハイドロゲルを形成した。0.5g/mlの濃度では、混合組成物を27G針(0.4×20mm)を通して注入することが可能であったが、ハイドロゲルコンポジットの構造は、部分的に崩壊した。最も良い結果である30G針(0.3×13mm)を通した注入が、R400シリカゾル(SS)中のシリカマイクロ粒子(MP)0.75g/mlで得られた。
実施例6
シリンジ内における安定なハイドロゲル構造、ずり下でのずり流動性挙動、およびずりおよび回復後の安定なハイドロゲルまたは流動構造の両方を示す、カプセル化されたエンテカビルを有するシリカマイクロ粒子とシリカゾルとから調製される注入可能なハイドロゲルコンポジットに関するレオロジー測定
7wt%のカプセル化されたエンテカビルを有するR3−120シリカマイクロ粒子とシリカマイクロ粒子と混合されるべきシリカゾルとは、実施例1に記載されたように製造した。R=H2O/TEOS(モル比)=400の新鮮な(エージングされていない)シリカゾルが使用され、そのシリカマイクロ粒子の濃度は、R400シリカゾル1ml中に0.5gおよび1.0gであった。R400シリカゾルにおけるシリカマイクロ粒子の混合組成物はなお流動性であるので、それらは、Gerresheimerの1mlルアーロックガラスシリンジに移された。混合組成物は、マイクロ粒子の沈降を回避するために24時間、回転式ミキサーにおいて穏やかな混合下に保持した。混合組成物は、回転式ミキサーにおける24時間のあいだハイドロゲルに変化した。
レオロジー測定は、形状を測定する平行板(D=20mm)および0.3mmのギャップを装備した単一回転式レオメータ(ThermoHaake RS 300)で行った。応力のかけられていない材料(シリンジ内の混合組成物)に対するレオロジー測定は25℃で、応力のかけられた(細い針を通した注入をシミュレートする一定のずり速度)材料に対しては37℃で行った。シリンジ内の安定なハイドロゲル構造を示すため、線形粘弾性領域(ひずみ0.002)内での振動検査(損失係数、弾性率および粘性率について)を、25℃で周波数範囲0.01〜10Hzの周波数掃引により行った。R400シリカゾル1ml中に0.5gおよび1.0gのシリカマイクロ粒子の混合組成物の両方について粘性率(G'')および弾性率(G’)の比、損失係数(損失正接、tanδ=G''/G’)は、明らかに1より小さく(図4に示された3つの平行測定の平均)、安定で非流動性のハイドロゲル構造を示す。
その後、混合組成物は、制御されたずり速度プログラム(均質化のため50 1/sを10秒間、その後注入をシミュレートするために5000 1/sを30秒間、その後回復のために1.0 1/sを10秒間)のもと応力がかけられた。回復の直後、線形粘弾性領域(ひずみ0.002)内での別の振動検査(損失係数、弾性率および粘性率について)を、37℃で周波数範囲0.01〜1.0Hzの周波数掃引により行った。R400シリカゾル1ml中に1.0gのシリカマイクロ粒子の混合組成物については損失係数は明らかに1より小さかったが、R400シリカゾル1ml中に0.5gのシリカマイクロ粒子の混合組成物については損失係数が1よりも大きかった(図5に示された3つの平行測定の平均)。R400シリカゾル1ml中に1.0gのシリカマイクロ粒子の混合組成物は、注入をシミュレートする応力(一定のずり)後も安定なハイドロゲル構造であるが、R400シリカゾル1ml中に0.5gのシリカマイクロ粒子の混合組成物は、粘度の高い流動性の組成物に変化する。
実施例7
シリカマイクロ粒子とシリカゾルとの混合組成物(ハイドロゲルコンポジット)からのインビボでのエンテカビルの放出
プレフィルドシリンジにおける、7%(w/w)のエンテカビルを有するR15−120のマイクロスフェアとR400シリカゾルとの混合組成物(ハイドロゲルコンポジット)(最終ハイドロゲルコンポジットに36mg/mlのエンテカビル)は、12匹(6匹の雄と6匹の雌)のビーグル犬に皮下投与された。充填容積1mlの即時使用シリンジを単回用量36mgエンテカビルの薬物動態を調べるために用いた。投与後、動物を91日間追跡した。頸静脈からの血液試料を動物から回収し、投与前、1日目には30分、1時間、2時間、4時間、8時間および24時間、および3日目、5日目、7日目、11日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、85日目および91日目に1回エンテカビルの血漿レベルを測定した。イヌK2−EDTA血漿試料はタンパク質沈殿およびリン脂質除去を行うことにより分析のために調製した。凍結血漿試料は、解凍し、室温まで上げられた。Phenomenex Phospholipids Removal Platesを試料の抽出のために使用した。血漿試料をピペッティングする前に、各ウェルを1mlのアセトニトリルで活性化した。アセトニトリルは真空により溶出した。次いで、200μlの血漿試料をウェルに移した。40μlの内部標準溶液(ラミブジン、100ng/ml)を加えた。次に、760μlのアセトニトリルを加え、プレートをパラフィルムで覆った。プレートを水平面で2分間振とうした。試料を真空により溶出し、抽出物を試料回収ウェルプレート内で、窒素の穏やかな気流下、50℃で蒸発乾固した。残渣を、0.1%ギ酸を含むDMSOおよび水の混合物(10:90、v/v)200μlに溶解した。プレートを水平に10分間振とうした。オートサンプラーバイアルのインサートに移した後、試料を微小遠心機において2000rpmで2分間遠心分離した。最後に、試料をHPLC−MS/MSシステムに注入した(10μl)。
分離は、統合Waters XSelect(登録商標) HSS T3 2.1×10mmガードカートリッジを備えたWaters XSelect(登録商標) HSS T3 2.1×150mm(3.5μm)カラムで行った。2つの溶離液からなる移動相:Aは、水中0.1%ギ酸であり、Bは、メタノール中0.1%ギ酸であった。グラジエントでのクロマトグラフィーの実行が使用された:0分→1分 Aが92.5%(アイソクラチック);1分から2分 Aは92.5%から5%まで減少、2分から3分 Aは5%(アイソクラチック);3分から4分 Aは5%から92.5%まで増加;最後 Aは4分から7分まで92.5%で一定に保った。カラムオーブンは、+25℃に設定した。質量分析検出は、Turbo Ion Spray(TIS)陽イオン化および多重反応モニタリング(MRM)モードを備えたAPI Sciex 4000 QTrap質量分析計を用いて実施した。TIS温度は+505℃であった。ネブライザーガス(ガス1)設定は50、ターボガス(ガス2)設定は50であった。TIS電圧設定は4900Vであった。デクラスタリング電位はエンテカビルに対して60V、内部標準に対して59Vであった。入口電位は両分子に対して10Vに設定した。コリジョンエネルギーはエンテカビルに対して25V、内部標準に対して24Vであった。カーテンガス(窒素)は、値10に設定し、コリジョンガス(窒素)は、値5.0に設定した。前駆体イオン−検出されたフラグメントイオン対は、エンテカビルについてm/z278.1−152.0であり、内部標準についてm/z230.0−111.9であった。両分子の滞在時間は250msecであった。HPLC−MS/MS分析からのデータは、Applied Biosystems Analyst 1.6.1ソフトウェアを用いて集めた。ピーク積分、較正曲線および定量は、同じソフトウェアで作製した。統計は、Microsoft Excel 2010ソフトウェアで計算した。標準曲線は重み付け(1/x2)線形回帰を用いて作製した。血漿濃度データは、非区画分析を用いてPhoenix WinNonlin 6.4ソフトウェア(Certara Pharsight)でモデル化された。
時間に対する個々の濃度の曲線を図6および7に記す。エンテカビルの注入部位からの初期の吸収は、シリカデポー製剤として投与した場合急速で、Cmaxは注入後30〜60分で観察された。その後、血漿エンテカビル濃度は、平均29日で1ng/mlレベル付近まで減少した。この時点後、明らかな持続放出相が次の2ヵ月間(91日まで)、血漿エンテカビル濃度を徐々に減少させながら観察された。
実施例8
カプセル化されたエンテカビルを有するシリカマイクロ粒子とシリカゾルから調製される注入可能なヒドロゲルコンポジットを安定に保つプレフィルドシリンジ
R400シリカゾル1mlにおける7wt%のカプセル化されたエンテカビルを有するシリカマイクロ粒子(R3−100)1.0gの混合組成物と、R400シリカゾルそのものの安定性は、2つの異なる種類のシリンジ系において調べた。形成された注入可能なハイドロゲルコンポジットは、アルミ箔の密封包装したプレフィルドシリンジ(ルアーロックとゴムの別のプランジャストッパーを備えたガラスシリンジ、1ml、ClearJectシリンジ、Gerresheimer Buende GmbH)に(4℃、25℃/60%および40℃/65%)で6ヵ月保管した(一般的な構造(視覚観察)、注入およびエンテカビル放出特性をわずかに変化した)。同じハイドロゲルコンポジットを、アルミ箔の密封包装したプレフィルドプラスチックシリンジ(BD 1ml プラスチックのMonoject(商標) Syringe Tip CapsでシールしたSyringe Luer−Lok(商標)Tip,Coviden IIc)に(40℃/65%)で2ヵ月間保存した場合、ハイドロゲルコンポジットは、シリンジ内で乾燥し、細い針を通して物質を注入することは不可能であった。
一連の別の試験において、500マイクロリットルのR400シリカゾルを3つの異なる種類のシリンジ系に注入した:
−ガラスシリンジ:ClearJect 1mlシリンジ、Gerresheimer Buende GmbH
−プラスチックシリンジ:Plajex(商標) 1mlシリンジ、テルモ
−プラスチックシリンジ:BD 1ml Syringe Luer−Lok(商標)Tip、Monoject(商標) Syringe Tip Caps,Coviden IIc
シリンジを強化された条件、70℃で2週間で保持し、シリンジ質量を時間の関数としてモニターし、上記がシリンジから外に漏れないか調べた。2週間後、Gerresheimerのガラスシリンジは、もとの質量の98%を保持しており、テルモのプラスチックシリンジは96.8%であり、BDのプラスチックシリンジは83.5%であった。結果は、Gerresheimerのガラスシリンジなどのより少ない蒸気の漏れ(高い湿度バリア)を有するシリンジは、シリカマイクロ粒子とシリカゾルとを含む注入可能なハイドロゲルコンポジットの安定性を確保するために重要である。
実施例9
シリカハイドロゲルは、シリカマイクロ粒子によるヒト白血球活性化を阻害する
ヒト末梢血白血球とシリカマイクロ粒子との相互作用を調べた。シリカプラセボマイクロ粒子は、実施例1および5に記載されたように製造した。末梢血は、健康な成人ドナーから抗凝固剤としてEDTAを用い、静脈穿刺により得た。白血球画分は、デキストラン沈殿(9ml血液中に6%デキストリン1ml)を用いて室温で分離した。白血球の多い血漿層は、0.1%ゼラチンを補足したCa2+およびMg2+不含HBSS−緩衝液(CMF−HBSS)で2回洗浄し、最後に約1mlのCMF−HBSSに再懸濁した。ブルカーチャンバーおよび顕微鏡を用いて白血球濃度を測定した。ルミノール強化化学発光(CL)法を用いて白血球とシリカマイクロ粒子間の反応を調べた。CL応答をVictor2マルチラベルカウンタを用いて、96ウェルブラックプラスチックプレートにおいて37℃で60分間、425nmで測定した。通常、反応混合物は300000個の白血球と0.2mlのゲル−HBSS緩衝液中の0.5mMルミノールとを、シリカマイクロ粒子の有無いずれかで含む。シリカマイクロ粒子は、白血球において明確に用量依存的CL応答を誘導する。最も高い活性化は、シリカマイクロ粒子濃度1〜10mg/mlで見られ、典型的には、活性化の刺激なない同じ細胞のCL応答よりも100〜1000倍高かった。
シリカマイクロ粒子誘導白血球CLに対するシリカハイドロゲルの効果を調べるために、R400シリカハイドロゲルを実施例1に記載されているように製造し、7日間エージングさせ、その後、最分散させ、そしてシリカマイクロ粒子との混合を行った。CL反応混合物における25%濃度でのR400ハイドロゲルは、1.25および6.25mg/mlのシリカマイクロ粒子により誘発された白血球CL応答を平均30〜40%阻害したことが分かった。
実施例10
シリカハイドロゲルがヒト白血球によるシリカマイクロ粒子の取り込みを阻害する
ヒト白血球によるシリカマイクロ粒子の貪食を調べるため、末梢血を健康な成人ボランティアから採取し、白血球を実施例9に記載のように単離した。シリカマイクロ粒子の貪食を測定するために、実施例9に記載されているように製造したマイクロ粒子は、フルオレセインを載せた。フルオレセインは、488nmレーザー光で誘発させた場合、530nmの蛍光を発光する。白血球(300000細胞個)を1.25mg/mlのフルオレセイン搭載シリカマイクロ粒子と0.5mlのゲル−HBSS緩衝液において37℃で60分までインキュベートし、種々の時点で氷浴で試料を素早く冷却して貪食反応を停止させた。試料はFACSCaliburフローサイトメトリーを用いて分析した。多形核白血球画分を、Fcガンマ3型受容体を発現する食細胞白血球を認識する、フィコエリトリン標識抗−CD16モノクローナル抗体の助けをかりてゲートした。CD16陽性細胞のみを貪食について分析した。各試料について、10000個の細胞を回収し、シリカマイクロ粒子中のフルオレセイン由来の蛍光シグナルを分析した。通常、フルオレセインシリカマイクロ粒子との60分間のインキュベーション後、分析した細胞の40%超がマイクロ粒子を結合していた。
実施例9に記載されたように調製したR400シリカハイドロゲルが貪食反応混合物中に加えられ(1.56%濃度)、細胞に結合するマイクロ粒子の割合は、約20%まで減少し、シリカマイクロ粒子を認識する細胞においては約50%の減少であることを示す。これは、R400シリカハイドロゲルが、ヒト白血球によるシリカマイクロ粒子の認識を妨げることができるということを示す。それにより、組織に局所的に注入した場合のシリカデポー製剤の耐性および安全性に正の効果を有する。
他の好ましい実施形態
当然のことながら、本発明のコンポジットおよび方法は、様々な実施形態で具体化することが可能であり、本明細書に開示されているのはそのうちの数例のみに過ぎないことが理解されるだろう。例えば、コンポジットおよび方法の実施形態がそれぞれに、対応する方法およびコンポジットを有することは当業者にとって明らかである。この分野の当業者にとって、他の実施形態が存在し、そして本発明の意図から逸脱することがないことは明らかである。ゆえに、記載された実施形態は、例示的であって、限定的であると解釈されるべきではない。

Claims (28)

  1. ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を組み込んだ生分解性シリカハイドロゲルコンポジットを含むデポー製剤であって、該シリカハイドロゲルコンポジットが、
    a)ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を含み、≦1000μmの最大直径を有する該シリカ粒子を、そのまま、または懸濁液として、
    b)シリカゾル
    と混合することにより得られ、
    i)前記シリカゾルの固形分が5wt%以下であり、
    ii)前記シリカハイドロゲルコンポジットが85wt%以下の前記シリカ粒子を含み、そして
    iii)前記ハイドロゲルコンポジットが、静置保管時には非流動性でかつ構造的に安定であり、注入によりずり応力が適用される場合にはずり流動化性である
    デポー製剤。
  2. シリカハイドロゲルコンポジットが、注入によりずり応力が適用された後37℃で非流動性で構造的に安定なハイドロゲルである請求項1記載のデポー製剤。
  3. シリカゾルが、3wt%以下、好ましくは2wt%以下、最も好ましくは1wt%以下の固形分を有することを特徴とする請求項1または2記載のデポー製剤。
  4. シリカ粒子が、0.1〜70wt%、好ましくは0.3〜50wt%、最も好ましくは1〜15wt%の組み込まれたヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  5. シリカ粒子が、0.5μm〜300μm、好ましくは0.5μm〜100μm、より好ましくは0.5μm〜30μm、最も好ましくは0.5μm〜20μmの直径を有するマイクロ粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  6. 1μm未満の直径を有するシリカ粒子の体積分率が3%未満、好ましくは2%未満、最も好ましくは1vol%未満であることを特徴とする請求項5記載のデポー製剤。
  7. ハイドロゲルコンポジットが、80wt%以下、好ましくは10〜80wt%、最も好ましくは20〜60wt%のシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  8. コンポジットの固形分が、10wt%〜75wt%、好ましくは15wt%〜60wt%、最も好ましくは25wt%〜55wt%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  9. 線形粘弾性領域において小角振動ずりのもとで測定される複素弾性率が、2400kPa未満、好ましくは1200kPa未満、最も好ましくは600kPa未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  10. 損失係数、すなわち粘性率/弾性率が1未満、好ましくは0.8未満、最も好ましくは0.6未満であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  11. 粘度が、10〜50s-1のずり速度で測定されて10〜50Pasであり、200〜210s-1のずり速度で測定されて0.4〜1.5Pasであり、600〜610s-1のずり速度で測定されて0.1〜0.4Pasであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  12. デポー製剤のシリカ粒子がヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤を2つ以上含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  13. シリカ粒子が、噴霧乾燥、シングルエマルジョン、ダブルエマルジョン、重合、コアセルベーション相分離および溶媒抽出法から選択される方法、好ましくは噴霧乾燥、最も好ましくはサイクロン分離器による連続粒子分離を備える噴霧乾燥で得られることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  14. シリカ粒子は、噴霧乾燥自体により得られたシリカ粒子、シリカ繊維片、および成型または鋳造されたシリカ・モノリスそのものまたはその粉砕物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  15. シリカ粒子に含まれるヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤が、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤とシリカゾルとが連続的に分離したフローとして供給され、反応器内で合わせられる管型反応器内で連続プロセスを用いてシリカ粒子内に組み込まれ、その後、該管型反応器の外に、サイクロン分離器による連続的粒子分離を伴う連続的噴霧乾燥プロセス内に供給される請求項13または14記載のデポー製剤。
  16. ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤がジデオキシヌクレオシドからなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  17. ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカルビル、エムトリシタビン、エンテカビル、テノホビル、アデホビル、アプリシタビン、エルブシタビン、アムドキソビルおよびラシビルからなる群より選択され、好ましくはエンテカビルであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  18. ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤が、デオキシグアノシンアナログであり、好ましくはヒドロキシメチル(メチレンシクロフェニル)プリン類およびピリミジン類からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  19. 注入可能な製剤および移植可能な製剤、好ましくは注入可能な製剤からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  20. 製剤が、非経口、好ましくは皮下、筋肉内、腹腔内、眼内投与からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  21. 製剤が、週1回から年1回、好ましくは月1回から6ヵ月に1回、より好ましくは2ヵ月に1回から3ヵ月に1回、最も好ましくは3ヵ月に1回投与するためのものであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  22. 製剤が、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤が0.1〜200mg、好ましくは20mg〜160mg、より好ましくは30mg〜120mg、最も好ましくは40mg〜100mgであるデポー用量の投与用である請求項1〜21のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  23. 慢性ウイルス感染の治療および慢性ウイルス再感染の予防における使用のための請求項1〜22のいずれか1項に記載のデポー製剤。
  24. B型肝炎およびHIV感染からなる群より選択されるウイルス感染の治療およびウイルス再感染の予防における使用のための請求項23記載のデポー製剤。
  25. ウイルス感染がB型肝炎感染であることを特徴とするウイルス感染の治療およびウイルス再感染の予防における使用のための請求項24記載のデポー製剤。
  26. エンテカビルを含むことを特徴とするウイルス感染の治療およびウイルス再感染の予防における使用のための請求項25記載のデポー製剤。
  27. 請求項1〜22のいずれか1項に記載のデポー製剤を含むことを特徴とするプレフィルドシリンジ。
  28. 70℃で2週間保管後のシリンジの重量損失が、もとの重量の10wt%未満、好ましくは5wt%未満、より好ましくは3wt%未満である請求項27記載プレフィルドシリンジ。
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