本発明の第1の態様によれば、油圧装置の1つ以上の性質を判定する方法が提供され、装置は、油圧機械と、油圧機械と油圧連通している油圧回路領域とを備え、油圧機械が、油圧流体のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように制御可能であり、当該方法は、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように、油圧機械を制御することと、1つ以上のパルスに対する、油圧装置の部品の応答の少なくとも1つの測定を行うことと、測定された応答から、油圧装置の1つ以上の性質を判定することと、を含む。
本発明は、油圧流体の1つ以上のパルスに対する油圧装置の部品の応答を用いて、装置の油圧回路領域または他の部品の関連する性質を測定する。油圧流体のパルスは、油圧回路領域、油圧回路領域によって駆動されるか油圧回路領域を駆動する部品に対して、そしてまた、油圧機械に結合された(例えば、油圧機械の回転可能な軸に結合された)部品に対して影響を与える。油圧流体のパルスは離散的であり、各々の影響を区別することが可能である。これらは既知容量のものであり、各々の影響を用いて油圧装置の性質の正確な測定を行うことを可能にする。油圧回路領域の中または外に変位された油圧流体のパルスは、それぞれ油圧回路領域内の圧力の増減に至り、持続効果(変化した圧力に起因する)と、インパルス効果(実際の圧力変化に起因する)との両方を有する。同様に、流体のパルスを変位させる作用は、油圧機械の回転可能な軸におけるトルクのパルスに至り、これは、接続された要素におけるインパルス効果(そして、また場合によっては、通常は高圧回路領域内の圧力に依存する油圧機械によって加えられる持続トルクの変化)に至る。
油圧装置は、例えば、再生可能電力の発電機(例えば、風力発電機または潮力発電機)もしくは車両、または再生可能電力の発電機もしくは車両の油圧トランスミッションであってもよい。油圧装置は、油圧機械、一般的には、射出成型機または油圧駆動ロボット等の工業用油圧機械であってもよい。
応答が測定される油圧装置の部品は、油圧回路領域であってもよい。例えば、少なくとも1つの測定は、油圧回路領域における圧力の測定であってもよい。応答が測定される油圧装置の部品は、油圧機械か、または油圧機械に結合される部品であってもよい。油圧機械は、通常は、回転可能な軸(使用時に回転する)を備え、その回転は、油圧機械による油圧流体の変位に結合される。応答が測定される油圧装置の部品は、回転可能な軸、または回転可能な軸を通して油圧機械に結合された部品、例えば、タービンの翼(例えば、潮力タービンまたは風力タービン)、エンジン(例えば、電動エンジン)、ギアボックス、クラッチ、発電機または回転可能な軸等を通して油圧機械に結合された他の部品であってもよい。
したがって、1つ以上の性質は、油圧回路領域の性質であってもよい。油圧装置の測定された応答は、油圧回路領域の部品の測定された応答、例えば、油圧回路領域内部の油圧流体の圧力であってもよい。
しかしながら、1つ以上の性質は、油圧機械の駆動軸等の油圧機械に結合された部品か、または駆動軸を通して油圧機械に結合された部品の性質であってもよい。油圧装置の測定された応答は、油圧機械の駆動軸または駆動軸を通して油圧機械に結合された部品の測定された応答であり得る。
少なくとも1つの測定は、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスの、油圧回路領域の中または外への変位に起因する、油圧回路領域における圧力変化に関するパラメータのものであり得る。
油圧流体の変位のパルスによって生じた圧力変化は、複数の異なる(例えば、圧力範囲全体にわたる)圧力で判定され得る。したがって、油圧回路領域内の(油圧流体の)圧力とともに変動する、加圧された油圧回路領域の1つ以上の性質を判定することが可能である。説明されるように、このことは、油圧回路領域の重要な性質が判定されることを可能にし、例えば、油圧回路領域を備える油圧回路が、より良好に監視されるまたは制御されることを可能にする。また、本発明は、油圧回路領域を駆動するかまたは油圧回路領域によって駆動される機械部品の1つ以上の性質の判定に及ぶ。
さらに、既知容量の油圧流体のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させる油圧機械を用いることによって、このことが、測定を容易にする、油圧回路領域内での段階的な圧力変化を提供する。これらの段階的な圧力変化の性質は、これらを、さもなければ正確な測定を無効にさせる可能性がある、油圧流体の漏れから生じる圧力変化と区別することができることを意味する。通常は、油圧回路領域は、油圧流体の少なくともいくらかの漏れの影響下にある。
本方法は、油圧回路領域内において複数の異なる圧力の各々で、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように油圧機械を制御することと、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスの、油圧回路領域の中または外への変位に起因する、油圧回路領域における圧力変化に関するパラメータを判定することと、を含み得る。測定がなされると、結果として得られるパラメータ(またはそこから導き出されたデータ)は、油圧回路領域における圧力(または圧力に関するパラメータ)を参照して、例えば表として記憶され得る。
油圧回路領域内の圧力変化に関するパラメータは、油圧回路領域内の圧力変化であり得る。測定は、油圧回路領域内の圧力の測定を含み得る。油圧回路領域は、ひいては油圧回路領域内部の油圧流体の圧力を測定するために用いられ得る圧力センサを備えてもよい。圧力センサは、油圧流体と直接接触していてもよい。圧力センサは、圧電圧力センサもしくは音響圧力センサまたは類似のものを備えてもよい。圧力センサは、圧力の機能である油圧回路領域の機械部品の変形を測定し得、例えば、圧力センサは、油圧回路領域の一部を画定する管の変形を測定するひずみゲージを備えてもよく、その変形は油圧回路領域内部の圧力の機能である。そのような圧力センサは、温度の変動を保証し得る。したがって、油圧回路領域内の圧力変化に関するパラメータは、既知容量の1つ以上の油圧流体のパルスの変位に起因する測定された圧力変化を表す数値(任意の適切な単位)であってもよい。
しかしながら、圧力変化に関するパラメータは、油圧回路領域内の圧力変化に関するが、圧力変化自体ではないパラメータであってもよく、例えば、油圧機械の回転軸の回転速度の、または回転軸に作用するトルクの変化は、通常は、油圧回路領域内の圧力に関し(油圧機械軸にかかるトルクは、圧力に比例する)、そのため、回転速度またはトルクの変化は、圧力変化に関するパラメータであり得る。このように、当該1つ以上の測定は、油圧機械の回転軸、または回転軸とともに回転する別の部品の回転速度、またはそれに作用するトルクの測定であり得る。
油圧回路領域内の圧力変化に関するパラメータの別の例は、油圧回路領域内の油圧流体によって駆動されるアクチュエータの位置変化、例えば、油圧流体によって駆動されるラムの位置変化である。
したがって、油圧回路領域内の圧力変化に関するパラメータ(油圧流体の1つ以上のパルスの変位に応じて)は、油圧機械の回転可能な軸に接続された機械部品の、またはさらなる油圧機械の回転速度の変化であり得る。そのようなパラメータを用いて、油圧回路領域内部の圧力と、変化油圧回路領域内部の圧力とを測定または推測し得る。例えば、測定は、油圧機械を駆動するかまたは油圧機械によって駆動される回転軸へのトルク及び/または回転軸の回転速度でなされてもよく、または回転軸によって油圧機械に結合された回転部品(例えば、回転軸を通して油圧機械を駆動するギアボックス軸もしくはモータ、または油圧機械によって駆動される車両のホイールもしくは発電機のロータ)でなされてもよい。当該測定は、回転速度センサによってなされてもよい。
異なる圧力での圧力変化に関するパラメータの測定は、油圧回路領域の油圧剛性が判定されることを可能にする。したがって、当該油圧装置の1つ以上の性質は、油圧回路領域の油圧剛性であり得る。油圧回路領域の1つ以上の油圧剛性は、油圧回路領域内部の油圧流体の所与の圧力での、油圧回路領域の中または外に流れる油圧流体の画定された容量の変位に応じた、油圧回路領域内部の油圧流体の圧力変化に関する1つ以上のパラメータ(例えば、測定値)を含み得るか、またはそれで構成され得る。
1つ以上の油圧剛性パラメータは、コンピュータ可読有形記憶媒体(例えば、メモリ)に保存されたデータ構造(例えば、表)を含み得る。剛性パラメータは、当該油圧流体の1つ以上のパルスの変位によって生じる測定された圧力変化に関する測定(例えば、その測定値)から算出され得る。また、剛性パラメータは、パルスが変位された圧力を表現する値(例えば、それぞれのパルスの前後の圧力の測定値、またはその標準値(例えば、平均値))から算出され得る。データ構造は、変位がそれぞれの圧力変化を生じさせた油圧流体の容量の測定値をさらに含み得る。しかしながら、このことは、例えば、変位された容量が常に同じである場合、必須ではない。
油圧回路領域の油圧剛性が測定される本発明の実施形態では、パルスは、複数の異なる圧力で作られる。しかしながら、油圧機械の回転可能な軸を通して伝達されたトルクパルスに対する、油圧装置の部品の応答の測定は、油圧回路領域内の圧力を変動させることなく行うことができる。例えば、油圧機械は、油圧流体のパルスの容量が、油圧回路領域内の圧力を調整するように選択される圧力制御モードで動作し得る。したがって、油圧機械に結合された部品、例えば油圧機械の駆動軸の、または駆動軸を通して油圧機械に結合された部品の性質は、油圧回路領域内の圧力が略一定に維持されるように調整されている間に作られ得る。
油圧回路領域の剛性性質は、例えば、油圧回路領域(油圧回路領域内の圧力とともに変動する)または油圧回路領域の機械部品の適合性の測定値であってもよい。そのような部品は、油圧回路領域との連続的または不連続的な機械的連通であってもよい。しかしながら、油圧回路領域の判定された性質はまた、油圧回路領域の剛性に影響を及ぼす油圧回路領域の部品の状態及びまたは様相、例えば、アキュムレータまたは圧力逃し弁への損傷があるか否かにかかわることができる。
本明細書及び添付の請求項においては、油圧適合性によって、我々は、油圧回路領域内部の油圧流体の所与の圧力についての、油圧回路領域内部に収容された油圧流体の容量の変化と、油圧回路領域内部の油圧流体の圧力変化との比率、例えばdV/dPに言及しており、ここで、Vは、油圧回路領域内部に収容された油圧流体の容量であり、Pは、油圧回路領域内部の油圧流体の圧力である。dV/dPは、油圧回路領域内の圧力とともに変動する。所与のPにおけるこれの逆数dP/dVは、油圧剛性と称される。油圧適合性は、油圧剛性の規模に基づいて述べられ得、油圧剛性は、油圧適合性の規模に基づく。事実上、これらは正反対であり、本明細書の文言を簡略にするために、我々は、主に油圧剛性を指すものとする。
油圧回路領域が完璧に堅固な壁によって画定された場合、油圧剛性の測定値は、油圧流体の圧縮率(「体積弾性率」)のみを反映する。油圧回路領域は、実際には、弾性のある機械部品によって画定され/封じ込められ/収容される。このように、油圧剛性もまた、油圧流体を保留し/封じ込め/収容する油圧回路領域に物理的に接続され/インターフェースされている機械部品の機械的性質(機械的剛性を含むがこれに限定されない)を反映する。
説明されるように、我々は、本発明が、各々が油圧流体の同じ連続体と接触している油圧回路領域の異なる機械部品の物性を、異なる圧力でなされた油圧回路領域内部の油圧流体の測定から個々に判定されることを可能にすることを発見した。
本方法は、判定された圧力変化(既知容量の油圧流体の変位と関連付けられる)と、異なる時点での油圧回路領域内の圧力の測定値とを処理して、油圧回路領域からの油圧流体の漏れ率に関するパラメータを算出することを含み得る。
本方法は、判定された圧力変化(既知容量の油圧流体の変位と関連付けられる)と、異なる時点での油圧回路領域内の圧力の測定値とを処理して、測定された油圧剛性パラメータに対する、油圧回路領域からの油圧流体の漏れの影響を考慮することを含み得る。
測定された圧力は、油圧流体のパルスの連続する変位間で、または連続する変位全体にわたって、一定期間監視され、それによって油圧回路領域からの油圧流体の漏れ率を測定してもよい。
本方法は、漏れ率に関するパラメータの測定値を提供すること、及び/または漏れ率に関するパラメータが閾値を超えているかを示すことを含み得る。漏れ率は、油圧回路領域内の圧力に依存し、そのため、漏れ率に関するパラメータは、圧力に依存するかまたは圧力に対して補正され得る。
本方法は、油圧回路領域の1つ以上の性質を続いて判定するときに、漏れ率の測定を用いることを含み得る。
油圧回路領域内の圧力の測定がなされ、そして、1つ以上の油圧流体のパルス群が、油圧回路領域の中または外に変位され、その後油圧流体は、油圧機械によって油圧回路の中または外に一定期間変位されず、さらにその後、油圧回路領域内の圧力が再度測定されて、圧力変化を判定してもよい。当該期間は、油圧回路領域内の圧力を実質的に安定させることを可能にする。さもなければ、圧力変化は、油圧流体の変位のパルスから結果として得られる油圧回路領域内の圧力の動的な及び/または振動する応答(「リンギング」)に起因して、不正確である場合がある。測定された油圧回路領域内の圧力は、安定した圧力であり、例えば振動性の応答または過渡圧力波ではないかもしれない。
圧力センサは、油圧回路部分における圧力を測定するために設けられている場合、油圧機械を離れるかまたは油圧機械に進入する場所の近くで油圧流体の圧力を測定するために、油圧機械の近位であってもよい。
好ましくは、油圧回路領域は、例えば周囲(大気)圧力と異なる圧力において加圧される。好ましくは、油圧回路領域は、任意には漏出を除いて、閉鎖されている。好ましくは、本(試験)方法中に油圧回路領域に進入するかまたは油圧回路領域を離れる油圧流体のみが、既知容量の流体のパルス、及び存在し得る任意の漏れである。通常は、油圧回路領域は、連続的な収容された油圧流体本体を備える(例えば、油圧機械は通常、油圧流体を油圧回路領域の中に導入するよう通すことができる排出弁を含むが、弁による中断がない)。通常は、油圧回路領域内部の油圧流体の静圧は、油圧回路領域全体を通してほぼ同じであるが、圧力波は、当該領域内部の動的変動に至り得る。
油圧回路領域は、機械部品、例えばアキュムレータを備え得る。油圧流体保留容量を有するアキュムレータ封入圧力(例えば、油圧流体保留容量内の油圧流体が周囲(大気)圧力であるときに選択的に設定された、ガス収容コンパートメントの最小圧力)を有する弾性コンパートメントと接触している。弾性コンパートメントは、流体収容コンパートメントであってもよく、例えば、ガスを収容し得る。弾性コンパートメントは、固体を収容するかまたは固体であってもよく、例えば、気泡を含み得るかまたは気泡であってもよい。
油圧回路領域は、油圧流体のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように制御可能である1つ以上のさらなる油圧機械と油圧連通していてもよい。本方法は、油圧回路領域内において複数の異なる圧力の各々で、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように、油圧機械の一方または両方を制御することを含み得る。また、本方法は、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスの、油圧回路領域の中または外への変位に起因する、油圧回路領域における圧力変化に関するパラメータを判定することを含む。
例えば、油圧回路領域は、油圧トランスミッションの一部であり、油圧機械(第1の油圧機械)とさらなるポンプ/モータ/ポンプモータ(第2の油圧機械)との間に、または2つ(またはそれ以上)の油圧機械間に延在する油圧ラインを含んでもよい。したがって、2つのそのような機械の場合、油圧ラインは、第1の油圧機械から第2の油圧機械に流体動力を伝達し得る。一方の油圧機械は、原動力、例えば電気モータまたは内燃モータ(例えば、車両内)に、またはタービン再生エネルギ源によって駆動されるタービン(例えば、風力タービン内)に結合され得る。他の機械が、負荷、例えばホイールまたは別のアクチュエータ(例えば、車両内)または電力発電機(例えば、風力タービン内)に結合されてもよい。一方の油圧機械は、油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路部内に変位させるように制御され、他方は、油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路部外に変位させるように制御されてもよい。例えば、一方の機械が、他方に流体を供給してもよい。2つのそのような機械を備えるトランスミッションの脈絡において、第1の機械は、第2の機械に高圧流体を供給し、一方で第2の機械は、続いて第1の機械に低圧流体を伝達する。
油圧機械は、通常は正の変位機械であり、通常は可変変位機械である。通常は、油圧流体パルスの容量は、可変である。ゼロ変位要因ストロークに交じって、完全変位要因ストロークを提供するという意味では可変であり得、また、要因ストロークが、選択された容量であるように制御され得るという意味でも可変であり得る。通常は、油圧流体パルスの容量が制御される。したがって、本方法は、油圧流体の1つ以上のパルスの容量を選択することを含み得る。油圧流体の複数のパルスがある場合、これらは、複数の異なる既知容量を有し得る。異なる既知容量は、例えば10%を超えて、または100%を超えて変動する場合がある。
油圧機械(及び、任意に、存在する場合は、さらなる油圧機械)は、通常は、回転可能な軸と、回転可能な軸の回転とともに周期的に変動する容量を有する1つ以上の作動室(例えば、使用中に内部でピストンが往復運動するシリンダ)とを備え、各作動室は、作動室と低圧ラインとの間の油圧流体の流れを調整する低圧弁と、作動室と高圧ラインとの間の油圧流体の流れを調整する高圧弁とを有する。このようなケースでは、少なくとも低圧弁は(及び、いくつかの実施形態では、高圧弁もまた)電子制御弁であり、本方法は、通常は、作動室容量のサイクルと位相関係にある電子制御弁を制御し、それによって、作動室容量の各サイクルにおける各作動室による油圧流体の正味の変位を判定することを含む。これらは、合成整流式油圧機械の一例である。
通常は、本方法は、作動室が油圧流体の正味の変位を(低圧ラインと高圧ラインとの間で、またはその反対で)作り出さない非能動的サイクルと、作動室が油圧流体の正味の変位を(低圧ラインと高圧ラインとの間で、またはその反対で)作り出す能動的サイクルとを選択するように、電子制御弁を制御することを含む。
能動的な制御によって、我々は、弁が能動的に開放され、能動的に閉鎖され、能動的に開放を保持され、または能動的に閉鎖を保持される可能性を含む。弁は、開放(常開)または閉鎖(常閉)に付勢されてもよい。また、能動的に制御される弁は、状況によっては受動的に動いてもよい。例えば、LPVは、シリンダ内の圧力が低圧マニホールド内の圧力を下回って低下したときに、能動的に閉鎖されるが、受動的に開放されてもよい。
電子制御弁の制御は、通常は制御部によって実行され、制御部は、コンピュータプログラムを記憶するソリッドステートメモリと電子通信しているプロセッサを備える。通常は、電子制御弁は作動室による正味の変位を要求に適合させるように制御され、これは、通常は使用中に変動する。
いくつかの実施形態では、流体作業機械は、同じ油圧回路領域に接続された複数の作動室を備える。同じ油圧回路に接続された複数の作動室は(例えば、それらの組み合わされた変位に関する要求に応えるように)ともに制御されてもよい。このように、パルスは、複数の作動室によって、油圧回路領域の中または外に変位される場合がある。
通常は、油圧回路領域は、高圧ラインまたは低圧ラインと流体連通している。よって、油圧機械は、通常は、油圧流体を油圧回路領域の中または外に変位させる。
そのような油圧機械は、油圧機械が、作動室から離散的パルスで油圧流体を変位させ、分注される流体の容量が、電子制御弁の能動的な制御のタイミングで、作動室容量のサイクル期間で(回転可能な軸の回転速度に依存する)判定されるため既知であるため、本発明に好適である。油圧流体の離散的部分の個々の作動室からの変位は、例えば、作動室間の位相差と、油圧機械が作動する最大変位率の割合とに依存して、離散的パルスを形成するように重複し得る。
そのような油圧機械はまた、油圧流体のパルスの変位のタイミングを、非常に正確に知ることができる(作動室容量のサイクルの位相と、電子制御弁の能動的な制御のタイミングとに依存するため)という利点を有する。このことは、油圧回路領域内の圧力の応答が、油圧回路領域内の圧力に対する漏れの影響から解明されることを可能にする。
そのような油圧機械の別の利点は、高圧弁及び低圧弁の能動的な制御に、特に高圧弁の(能動的または受動的な)ロバストな逆止め弁の性質に起因した、漏れ戻りの回避である。
油圧機械は、ポンプもしくはモータであってもよく、またはポンプもしくはモータのいずれかとして動作可能(いわゆる「ポンプモータ」)であってもよい。通常は、高圧弁もまた電子制御弁であり、電子制御弁を制御することは、高圧弁を制御することを含む。それにもかかわらず、ポンプとしてのみ動作可能な機械では、高圧弁は、受動的に開く逆止め弁であり得る。これは、機械の異なる部分で同時に機能を実行し得、特にいくつかのシリンダはポンピングし得るが、一方他のモータ、及び他のシリンダはアイドルであってもよい。
各パルスは、インパルス特性を有しかつ作り出し、明確な開始及び終了点(弁の開閉によって画定される)を有する。油圧流体パルスは、油圧機械の軸形成部品上の回転速度及び/またはトルクが増減すると、機械的パルス、具体的にはインパルスを作り出す。
通常は、能動的及び非能動的サイクルは、互いに散在する。通常は、油圧機械による最大変位率未満である、油圧機械による全ての変位率において、作動室容量の少なくともいくつかのサイクルは、全開モードの能動的サイクルであり、作動室が、所与の条件(例えば、圧力、温度等)での通常稼働中に作動室が変位させる最大量の油圧流体を変位させる能動的サイクルである。油圧機械は、通常は、作動室容量のサイクルの位相を判定するための位相センサ、例えば、回転可能な軸の角度位置を検知する軸位置センサを備える。
いくつかの実施形態では、油圧回路領域は、油圧トランスミッションの一部であり、油圧機械(第1の油圧機械)の高圧ラインと、さらなる油圧機械(第2の油圧機械)の高圧ラインとの間に延在する。また、油圧トランスミッションは、第1及び第2の油圧機械の低圧ライン間にも延在する。各油圧機械は、先に説明されたとおりであってもよく、各々が、回転可能な軸と、回転可能な軸の回転とともに周期的に変動する容量を有する1つ以上の作動室(例えば、シリンダ)とを備え、各作動室は、作動室と低圧ラインとの間の油圧流体の流れを調整する低圧弁と、作動室と高圧ラインとの間の油圧流体の流れを調整する高圧弁とを有する。少なくとも低圧弁は、電子制御弁であり、本方法は、作動室容量のサイクルと位相関係にある電子制御弁を制御し、それによって、作動室容量の各サイクルにおける各作動室による油圧流体の正味の変位を判定することを含む。
いくつかの実施形態では、第1の油圧機械の回転可能な軸は、再生可能エネルギ源からの(例えば、風または潮からの)エネルギを受信するためのタービンに結合され、第2の油圧機械の回転可能な軸は、発電機に結合される。
いくつかの実施形態では、第1の油圧機械の回転可能な軸は、電気モータに結合され、第2の油圧機械の回転可能な軸は、1つ以上のホイール、ラムまたは他のアクチュエータに結合される。
通常は、油圧回路領域の中または外に変位された油圧流体は、流量計によって測定されない。これは、このタイプの機械には必要とされない。
本方法は、試験手順(例えば、剛性試験)として実行されてもよい。本方法は、油圧装置が試験モードにある間に実行されてもよい。本試験手順は、油圧機械の起動によって始動され得る。本試験手順は、油圧装置が動作モードにないときに実行されてもよい。本試験手順は、油圧装置が動作モードに入る前に実行されてもよい。本試験手順は、油圧回路領域の構成の変化(例えば、油圧回路領域を油圧流体導管に接続する弁の開閉)があったことの判定に応答して実行されてもよい。本試験手順は、油圧機械が、油圧機械が静止状態にあること(例えば、油圧装置が車両トランスミッションである場合、車両が駐車されていること;油圧装置が、電気発電機を備える再生可能エネルギ発電機である場合、電気が生成されていないこと)の基準を含む、1つ以上の基準に適合するときに開始され得る。本試験手順は、必要に応じて、油圧回路領域内の圧力を、例えば閾値を下回るまで低減させるステップに先行されてもよく、及び/またはその後に続いてもよい。圧力低減手段が設けられてもよい。本試験手順は、必要に応じて、油圧回路領域内の圧力を、例えば閾値を上回るまで増大させるステップに先行されてもよく、及び/またはその後に続いてもよい。圧力増大手段が設けられてもよい。
油圧流体が(例えば、個々の試験中に)油圧回路領域の中に(または外に)変位される割合は、圧力とともに変動してもよい。油圧流体が(例えば、個々の試験中に)油圧回路領域の中に(または外に)変位される割合は、最初は比較的低くてもよく、当該割合は、油圧回路部の油圧剛性が、1つ以上の基準に適合する(例えば、閾値を下回る)ことの判定に応答して増大し得る。
油圧流体の既知容量の1つ以上のパルスは、最初は個々の作動室の最大ストローク容量未満、例えば個々の作動室の最大ストローク容量の50%未満または25%未満の油圧流体の単一のパルスを含んでもよく、油圧流体の1つ以上のパルスの総容量は、続いて、例えば個々の作動室の最大ストローク容量のより大きな割合の1つの油圧流体のパルスまで、または個々の作動室の1つのパルスの最大ストローク容量まで、もしくは個々の作動室の最大ストローク容量を上回る容量(2つ以上の異なる作動室からの油圧流体を必要とする量)まで増大し得る。
油圧流体の1つ以上のパルスの変位に起因する油圧回路領域の圧力変化は、通常は、(油圧回路領域の、または油圧流体自体の)異なる部分の異なる圧力での変形によって主に判定される。したがって、本方法は、圧力変化が主に異なる部品の変形によって判定される少なくとも2つまたは少なくとも3つの異なる圧力範囲に含まれる複数の圧力での圧力変化に関するパラメータを判定することを含み得る。通常は、異なる部品のうち少なくとも2つは、油圧流体領域を画定する部品である。しかしながら、部品のうちの少なくとも1つは、油圧流体自体または油圧流体内に存在するガス(例えば、ガス気泡/同伴ガス)であってもよい。このように、少なくとも2つ、または少なくとも3つの異なる部品の性質が判定され得る。当業者には、「ガス」に対する言及は、ガス混合物、例えば、さまざまな要素を含む空気を含むことが明らかである。
本方法は、複数の異なる圧力及び/または速度またはトルクでなされる測定を処理して、以下のうちの少なくとも1つ、通常は少なくとも2つまたは少なくとも3つを判定することを含み得る。
(a)油圧回路領域内の油圧流体内のガスの有無から生じる油圧流体の油圧剛性に関するパラメータ。この油圧剛性は、例えば、溶存ガスの、またはガス気泡/同伴ガスの存在に起因し得る。ガスは空気であってもよい。このパラメータは、油圧流体内のガスの濃度の測定値であってもよい。
(b)油圧回路領域の油圧流体保留部品(例えば、マニホールド、通路、管またはホース)の油圧剛性に関するパラメータ。
(c)油圧回路領域の部品であるアキュムレータの弾性コンパートメントの封入圧力に関するパラメータ。
(d)油圧回路領域の部品であるアキュムレータの弾性コンパートメントの油圧剛性に関するパラメータ。
(e)上回った場合に圧力逃し弁が開く(そして圧力を逃がす)圧力。
本方法は、油圧回路部内の圧力を増大させるように油圧流体を油圧回路部内に変位させることと、パラメータ(a)〜(d)のうち2つ以上を異なる圧力で測定することとを含み得る。本方法は、油圧回路部内の圧力を増大させるように油圧流体を油圧回路部外に変位させることと、パラメータ(a)〜(d)のうち2つ以上を異なる圧力で測定することとを含み得る。
本方法は、パラメータ(b)をパラメータ(a)よりも高い圧力で測定することを含み得る。本方法は、パラメータ(c)をパラメータ(b)よりも高い圧力で測定することを含み得る。本方法は、パラメータ(d)をパラメータ(b)よりも高い圧力で測定することを含み得る。
したがって、本発明は、(c)油圧回路領域の部品であるアキュムレータの弾性コンパートメントの封入圧力に関するパラメータを測定することを含み得る。このステップは、上回ると、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスの、油圧回路領域の中または外への変位に起因する圧力変化が、弾性コンパートメントの変形に起因して低下する圧力を判定することを含み得る。弾性コンパートメントが破損している場合(例えば、弾性コンパートメントがガス収容コンパートメントであり、ガスが漏出している)、上回ったときに圧力変化が弾性コンパートメントの変形に起因して減少する圧力が、実質的に低減される。
したがって、本発明は、(d)圧回路領域の部品であるアキュムレータの弾性コンパートメントの油圧剛性に関するパラメータを測定することを含み得る。このステップは、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスの、油圧回路領域の中または外への変位に起因する圧力変化の圧力による変動(例えば、勾配)が、弾性コンパートメントの変形に起因して低下することを判定することを含み得る。弾性コンパートメントが破損している場合(例えば、弾性コンパートメントがガス収容コンパートメントであり、ガスが漏出している)、圧力による油圧剛性の変化の勾配は、弾性コンパートメントが油圧剛性を判定する要因である圧力範囲内で増大する。
本発明は、流体パルスに応じてアキュムレータ内部で生じる圧力波の大きさ、期間または周波数スペクトルに関するパラメータを測定することを含み得る。これは、アキュムレータがピストンアキュムレータである場合に特に適切である。
本方法は、不具合が油圧回路領域内で生じていることを判定するステップと、不具合が生じていることを示すステップとをさらに含んでもよい。不具合は、測定(a)、(b)、(c)、(d)または(e)から判定され得る。例えば、不具合は、油圧回路領域内に漏れがあることか、または油圧回路領域内の漏れ量が閾値を超える((b)油圧回路領域のマニホールドまたはホースの油圧剛性に関するパラメータの測定から判定される)ことか、もしくはアキュムレータに不具合があること、例えば、封入圧力が過剰に高いかまたは低いことであってもよい。アキュムレータ封入圧力が低すぎる場合、このことは、アキュムレータの弾性コンパートメントの破損を示す。これによって、本発明は、アキュムレータの弾性コンパートメントの破損が、油圧回路領域からの油圧流体の漏れと区別されることを可能にする。
本方法は、油圧回路領域の(任意には、油圧流体を油圧回路領域に供給するか、または油圧回路領域から油圧流体を受ける部品の)応答のヒステリシスを測定することを含み得る。これは、油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路領域内に繰り返し変位させることによって発生する圧力変化に関するパラメータを判定し、油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路領域外に繰り返し変位させることによって発生する圧力変化に関するパラメータを判定し、二者を比較することによって実行することができる。そのようなヒステリシスは、例えば、ピストンアキュムレータ内の摩擦、または弾性の(通常は、ガスまたは気泡で充填された)コンパートメントを包含するアキュムレータ内の障害物または封鎖物に起因し得る。ヒステリシス測定は、例えば主に断熱して、最もよく素早く実行される。
本方法は、1つ以上の性質を記憶するステップをさらに含み得る。1つ以上の性質は、油圧回路領域を監視するために、繰り返し測定され得る。
本方法は、弁に開閉を(例えば、電子アクチュエータを用いて)命令することを含んでもよく、弁は、油圧流体の流れを油圧回路領域の中または外に調整する。そのような弁の開閉は、油圧剛性に影響を及ぼすはずであり、そのため、油圧剛性に生じることが予想される変化の不具合は、弁の不具合を示す。
したがって、本発明のいくつかの実施では、1つ以上のパルスに対する油圧回路領域内の圧力の応答を用いて、油圧回路領域の部品ではない油圧装置の部品、例えば一部がもしくはそれが油圧機械に結合されるか、または油圧回路領域によって駆動されるかもしくは油圧回路領域を駆動する部品の1つ以上の性質を判定する。
しかしながら、測定された応答は、油圧回路領域における圧力以外の何らかの応答を測定することによって検出され得る。例えば、応答は、機械的応答、例えば部品の位置変化であり得る部品の動き、部品の回転速度の変化、部品の振動の変化であり得る。部品は、例えば、油圧機械の回転可能な軸、または回転可能な軸を通して油圧機械に結合された部品、例えば、タービン、タービンの翼、電気モータ、電気発電機等であってもよい。部品は、油圧回路領域によって駆動されるかまたは油圧回路領域を駆動するアクチュエータまたはアクチュエータの部品、例えば、油圧回路領域と流体連通しているシリンダを有するラムであってもよい。
測定された応答は、軸に結合された部品の、油圧機械の回転可能な軸の回転速度の変化を含み得る。
位置センサ(例えば、アクチュエータの位置を検知する)、または速度センサ(例えば、回転可能な軸の回転速度を検知する)、もしくは振動センサまたは加速度計によって実行されてもよい。
応答は、電気的応答、例えば、電力発電機内の(例えば、電力発電機のコイル内部の)、または油圧機械によって(例えば、油圧機械の回転可能な軸を通して)油圧回路領域に結合された電力発電機によって発生した、電圧または電流(もしくは電力)の応答(例えば、大きさまたは位相)であってもよい。したがって、測定は、電圧、電流、電力及び/または電気信号の位相(負荷角度とトルクとの間の関係)の測定であってもよい。
本方法は、油圧モータの回転可能な軸に結合された部品間ですべりが生じる状況の1つ以上の性質、例えばすべりを生じさせることなく、ドライブトレーンを通して印加することができる最大トルクを判定することを含んでもよい。すべりは、油圧機械の回転可能な軸に結合された(そしてひいては、軸に同伴されるが、軸に直接接続されていない)クラッチ内部の、または回転可能な軸によって駆動されるかまたはそれを駆動するベルトの滑りであり得る。
油圧軸の回転速度は、油圧回路領域内の圧力に結び付けられ得るが、これは、例えば、圧力逃し弁が開放され、そのため油圧回路領域内の圧力が閾値まで制限されるか、または油圧機械が、高圧ライン内で所望の圧力を達成するために変位が動的に変動する圧力制御モードで操作される場合には当てはまらないことに留意すべきである。
本方法は、不具合を検出することを含んでもよい。不具合は、油圧回路領域における不具合であり得る。不具合は、油圧回路領域以外の機械の部品における不具合、例えば、油圧回路領域に結合された(そして通常は、それを駆動するかまたはそれによって駆動される)部品の不具合であり得る。不具合は、油圧回路領域の応答を測定することによって、例えば、油圧回路領域内の圧力変化に関するパラメータを測定することによって、検出され得る。
本方法は、以下のうちの1つ以上を検出すること(及び特定すること)、そして通常はまた、それらを区別することを含み得る。
−アキュムレータの壁の膨らみ(アキュムレータの充電が主に油圧剛性に影響を及ぼす圧力範囲での油圧剛性の低減に至る(以下の領域3));
−ホースの膨らみ(ホース及び管の弾性が主に油圧剛性に影響を及ぼす圧力範囲での油圧剛性の低減に至る(以下の領域2));
−疲労に起因するホースの剛性の低減;
−油圧回路領域内部の部分的または完全な遮断(油圧剛性の増大に至る)。
−命令に正しく応答するための弁の不具合(このことは、弁に開閉を命令し、油圧剛性が予想通りに応答するかを判定する付加的なステップを必要とする);
−圧力逃し弁の圧力設定点の変化(例えば、弁が開く圧力);
−特定の圧力を上回ったときのみ生じる漏れ(例えば、特定の封止からの漏れ)。これは、漏れ量を定量化することか、または漏れの発生を上回る圧力を判定することを含んでもよい。
−油圧回路領域からの油圧流体によって駆動されるアクチュエータの不具合(例えば、変位後に油圧回路領域によって駆動されて動く油圧ラムまたは油圧モータの不具合)。予想されるときに動くことに対するアクチュエータの不具合は、油圧剛性の増大から判定することができる。その移動範囲端に到達させることに対するアクチュエータの(例えば、ラムをその移動範囲端に到達させることに対する)不具合は、油圧剛性が予想されたように再度増大しないことから判定することができる。
−油圧回路領域からの油圧流体によって駆動されるアクチュエータの妨害(例えば、油圧回路領域からの油圧流体によって駆動される油圧ラムの動きが妨害された場合、これは、さもなければそうなっていた場合よりも、油圧回路領域において大きな油圧剛性に至る)。
−油圧流体とアキュムレータの空気側との間の破断(例えば、油圧流体内への空気の漏れは、油圧流体の圧縮率が主に油圧剛性を判定する圧力範囲の予想値と比較して低減された剛性から検出することができる(例えば、以下の領域1では、またはアキュムレータの空気側のオイルは、アキュムレータの弾性コンパートメントの弾性が、主に油圧剛性を判定する圧力範囲での予想された弁と比較して増大された剛性から検出することができる))。
−油圧流体の配合の誤差(例えば、不適切な液体が存在すること、または空気またはオイル内に汚染があること)。油圧流体の配合は、油圧剛性を主に比較的低圧で判定する。
不具合は、油圧回路領域内の圧力以外の何らかの応答を測定することによって検出され得る。本方法は、以下のうちの1つ以上を検出することを含み得る。
−バックラッシュ等に起因する、連結部、例えば油圧機械と別の部品(例えば、モータ、タービン、発電機)との間の連結部の破損。
−剛性を変化させる連結部の強度の低減。
−接続部上に位置するトルクを阻害する、クランプ接続部の不具合からのずれ。
−結合された負荷の慣性の変化による、ベルト等の機械的連結の不具合。
−部品の不具合に起因する、ギアセットのバックラッシュ、またはコギング。
−軸受の破損または行き詰まり。
−原動力の不具合、速度は、されるべきより詳細に調整されない。
−ドライブトレーンの過剰な摩擦。
−堅固に結合され係合されるべきであるクラッチのすべり、または切り離されることが意図される、クラッチにおける抗力の存在。
−ウィンチに接続されたケーブルの破損、または油圧機械に接続されたケーブルの絡まり。
−ブレーキの破損。これは、ブレーキによって減速されることになっているが、予想されるように応答していない車両の過剰な動きから判定することができる。
本方法は、ブレードの慣性の上昇または共振周波数の変化を生じさせる、ブレードの破損またはブレードの着氷による風力発電機の不具合を検出することを含み得る。これは、パルスを検知し、測定されたパラメータにおける応答(例えば、タービンの回転速度)を予想するほかに、異なる応答を検知する。
風力発電機の発電機のケースでは、本方法は、電気剛性(負荷角度及びトルクの関係)を判定する、発電機の磁界電流による不具合を判定することを含み得る。発電機が不具合の場合、その後、負荷の機械的負荷角度は、トルクのパルスに過剰に応答する。
油圧装置の性質のうちの1つ以上は、油圧流体の1つ以上のパルスに対する油圧回路領域の、または装置の別の部品の、時間領域における応答の性質であってもよい。1つ以上の性質は、油圧回路領域内の複数の異なる圧力での油圧流体の1つ以上のパルスに対する油圧回路領域の、または装置の別の部品の、時間領域における応答の性質であってもよい。時間領域における応答によって、我々は、経時的変動に言及し、油圧流体の1つ以上のパルスに対する油圧回路領域の応答の、または装置の別の部品の、周波数に伴う変動を含む。したがって、時間領域における応答の性質は、インパルス応答、周波数スペクトル伝達関数等を含み得る。
通常は、本方法は、油圧回路領域内の圧力で、時間領域における応答の性質の変動を判定することを含んでもよい。
応答は、例えば圧力センサによって測定されたような、油圧回路領域内の圧力の時間領域における応答であってもよい。したがって、1つ以上の性質は、油圧流体のパルスの油圧回路領域の中または外への変位に対する油圧回路領域内の圧力の時間領域における応答の性質であってもよい。
したがって、本発明は、油圧回路領域を備える油圧装置を動作させる方法に及び、油圧回路領域は、油圧流体のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように制御可能である油圧機械と油圧連通している。本方法は、試験モードにおいて、油圧流体のパルスの油圧回路領域の中または外への変位に対する、油圧回路領域内の圧力の周波数応答のパラメータを判定することを含み得る。次の動作モードでは、本方法は、油圧回路領域の中または外への既知容量の油圧流体のパルスの変位のタイミングまたは容量を(油圧機械または、任意には、これもまた油圧流体のパルスを油圧回路領域の中または外に変位するように制御可能なさらなる油圧機械によって)判定したときに、油圧回路領域内の圧力の周波数応答の判定されたパラメータを考慮することを含み得る。
周波数応答のパラメータを得るために、油圧回路領域内の圧力は、油圧流体の1つ以上のパルスの油圧回路領域の中または外への変位後、一定期間監視される。これは、通常は、油圧流体のパルスの複数の変位にわたって繰り返される。通常は、油圧流体のパルスのいくつかは、異なる容量を有する。
それにもかかわらず、応答の性質は、時間領域内においては、油圧回路領域以外の油圧装置の部品の応答の性質であってもよく、例えば、応答は、機械的応答、例えば部品の位置の変化、部品の回転速度の変化、部品の振動の変化であり得る部品の動きであってもよい。部品は、例えば、油圧機械のドラフト軸、または駆動軸を通して油圧機械に結合された部品、例えばタービン、タービンの翼、電気モータ、電気発電機等であってもよい。部品は、油圧回路領域によって駆動されるかまたは油圧回路領域を駆動するアクチュエータまたはアクチュエータの部品、例えば、油圧回路領域と流体連通しているシリンダを有するラムであってもよい。
測定される応答は、油圧機械の回転可能な軸の、または軸に結合された部品の回転速度の変化を含んでもよい。
少なくとも1つの測定は、位置センサ(例えば、アクチュエータの位置を検知する)、または速度センサ(例えば、回転可能な軸の回転速度を検知する)、もしくは振動センサまたは加速度計によって実行されてもよい。
応答は、電気的応答、例えば、電力発電機内の(例えば、電力発電機のコイル内部の)、または油圧機械によって(例えば、油圧機械の回転可能な軸を通して)油圧回路領域に結合された電力発電機によって発生した、電圧または電流(もしくは電力)の応答(例えば、大きさまたは位相)であってもよい。したがって、測定は、電圧、電流、電力及び/または電気信号の位相の測定であってもよい。
時間領域における判定された応答のパラメータは、伝達関数を含み得る。時間領域における判定された応答のパラメータは、インパルス応答を含み得る。時間領域における判定された応答のパラメータは、周波数応答(応答対周波数の大きさ)を含み得る。時間領域における判定された応答のパラメータは、位相応答(位相シフト対周波数)を含み得る。
油圧機械(または、存在する場合は、さらなる油圧機械)によって生成された作動室容量の能動的及び非能動的サイクルのパターンは、固有振動数を生成し、これは、油圧ポンプまたはモータの軸速度、または能動的サイクルである作動室容量のサイクルの割合が変化すると、変化する。本方法は、作動室容量の能動的及び非能動的サイクルの時系列の固有振動数が、油圧回路領域の、または油圧装置の1つ以上の他の部品の、周波数応答の1つ以上のピーク(例えば、1つある場合は、共振周波数)に残留することを回避するように、油圧機械(または、さらなる油圧機械)によって実行される作動室容量の能動的及び非能動的サイクルの時系列を選択することを含み得る。これは、後に続く稼働中の振動(及び、共振振動から生じる破損の可能性)を低減させる。
本方法は、保存された1つ以上の性質を考慮して油圧装置を制御すること、例えば、油圧機械(及び/または存在する場合は、さらなる油圧機械)による油圧回路領域の中または外への油圧流体の変位を制御することをさらに含み得る。このように、測定された1つ以上の性質が考慮されて、油圧装置の次の動作モードにおいて、油圧装置(例えば、油圧機械)を制御し得る。
本方法は、測定された圧力と保存された1つ以上の性質との両方を考慮して、所望のトルクを得るように、機械の変位を制御することをさらに含み得る。所望のトルクは、油圧機械の回転可能な軸(及び/または、存在する場合は、さらなる油圧機械)の、または回転可能な軸に結合された部品(例えば、タービン、タービン翼、電気モータ、電力発電機、ホイール)のトルクであってもよい。
油圧回路領域が油圧トランスミッションの一部である場合、本方法は、保存された1つ以上の性質を考慮して、油圧トランスミッションの高圧マニホールドの圧力を制御することをさらに含み得る。
本発明は、第2の態様において、油圧流体のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように制御可能である油圧機械と流体連通している油圧回路領域を備える油圧装置を動作させる方法に及ぶ。第2の態様の方法は、試験モードにおいて、本発明の第1の態様の方法によって、当該領域の1つ以上の性質を判定することと、後に続く動作モードにおいて、判定された1つ以上の性質を考慮して、油圧回路領域の中または外への油圧流体の変位を制御することとを含む。
油圧領域は、油圧流体のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように制御可能である少なくとも2つの油圧機械と連通し得る。本方法は、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスを油圧回路領域の中または外に変位させるように、第1の油圧機械を制御し、それによってパラメータを判定することを含み得、続いて、判定された1つ以上の性質を考慮して、油圧流体の変位を油圧回路領域の中または外に制御することは、第2の油圧機械を制御することを含み得る。しかしながら、代替的に、または付加的に、動作モードでは、判定された1つ以上の性質を考慮して、油圧流体の変位を油圧回路領域の中または外に制御することは、第1の油圧機械を制御することを含んでもよい。
動作モードでは、油圧回路領域の中または外に(第1の及び/または第2の油圧機械によって適宜)変位された油圧流体の容量は、1つ以上の測定された性質を考慮して(例えば、目標油圧回路領域内の圧力を得るように、またはアクチュエータの目標の動きを得るように)選択され得る。
動作モードでは、作動室容量の個々のサイクル中に、油圧回路領域の中または外に(第1の及び/または第2の油圧機械によって適宜)変位された油圧流体の容量は、1つ以上の測定された性質を考慮に入れて算出され得る。個々の作動室に能動的サイクルまたは非能動的サイクルを経るようにさせるかの決定(制御部による)は、1つ以上の測定された性質を考慮して選択され得る。作動室容量の少なくともいくつかの個々のサイクル中、個々の作動室による正味の変位は、1つ以上の測定された性質を考慮に入れて選択され、それぞれの作動室による正味の変位でも最大正味の変位でもない場合がある。作動室容量の少なくともいくつかの個々のサイクル中に、作動室容量のサイクル内で、制御部の能動的な制御下での、作動室と関連付けられた低圧弁及び/または高圧弁の開閉のタイミングは、1つ以上の測定された性質を考慮して判定され得る。能動的サイクルである(例えば、油圧流体の非ゼロの正味の変位がある)作動室容量のサイクルの比率、または能動的サイクル中に変位された油圧流体の量は、油圧回路領域の油圧剛性に関する測定された性質によって示されるように、油圧剛性がより高い場合にはより低くなることがある。
動作モードでは、作動室容量の個々のサイクル中に、油圧回路領域の中または外に(第1の及び/または第2の油圧機械によって適宜)変位された油圧流体の容量は、油圧回路領域内の圧力が、試験モード中に判定された閾値圧力を上回るかまたは下回るかを、例えば、閾値圧力がアキュムレータの判定された封入圧力であり得ることを考慮に入れて算出され得る。例えば、作動室容量の個々のサイクルの正味の変位を選択するための第1のアルゴリズムは、油圧回路領域内の圧力が閾値圧力を下回ると使用され得、第2のアルゴリズムは、油圧回路領域内の圧力が閾値圧力を上回ると使用され得る。
試験モードでは、油圧装置の、例えば油圧機械の1つ以上の動作限界が判定され、動作モードでは、油圧装置、例えば油圧機械は、1つ以上の動作限界を超えることを回避するように制御され得る。1つ以上の動作限界は、超過すると不具合、例えば油圧機械の回転可能な軸に接続されたドライブトレーンのすべり(例えば、クラッチのすべり)が生じる最大トルクであり得る。
本方法は、例えば油圧装置または油圧機械の初期動作モード中に、油圧回路領域の1つ以上の既知でない性質を判定するため(例えば、アキュムレータの存在を検出するためか、または油圧回路領域の油圧剛性を測定するため)に実行され得る。このことは、油圧装置の動作パラメータ(例えば、圧力制御フィードバック信号)または油圧機械(例えば、弁タイミング)が較正され、また機械については、「自動チューニング」されることを可能にする。このことは、油圧機械が最初に新しい油圧回路領域とともに用いられるときに有用である。
本発明の例示の実施形態は、以下の図面を参照してここに例証される。
実施形態の詳細な説明
実施例1−風力発電機トランスミッションの油圧剛性
本発明を説明するために、まず図1〜5を参照して、油圧トランスミッションを有する風力発電機の通常動作について説明し、その後、図6〜15を参照して、試験モードを含む、本発明を実施するために必要とされる変更について論じる。
風力発電機構造及び通常動作機能
図1を参照すると、風力発電機1は、タワー4によって支持され、かつ複数の翼8が装着されたタービン6を有する、タワーナセル2を備える。
ナセルは、概して10として示される油圧トランスミッションを収容し、これは、駆動軸14を通ってタービンに連結される回転可能な軸を有する油圧ポンプ12を備える。トランスミッションはまた、発電機駆動軸20を通して発電機18に連結される回転可能な軸を有する油圧モータ16を含む。次に、発電機は、接触器22を通して電力網に連結される。
油圧トランスミッション内部では、オイルは、油圧流体として機能し、タンク24から、低圧油圧流体ライン26を通って、油圧ポンプの入力側に供給される。加圧されたオイルは、油圧ポンプの出力側から、オレオ式空圧アキュムレータ30と連通している高圧油圧流体ライン28を通って、油圧モータの入力側に送達される。高圧油圧流体ライン内の圧力は、圧力センサ29を用いて検知される。
ナセルはまた、トランスミッション制御部32を収容し、これは、油圧ポンプ及びモータに制御信号を送信することによって油圧トランスミッションを制御して、油圧ポンプ及び油圧モータの変位を調整する。制御信号(変位要求信号)は、最大変位の割合として表される、ポンプ及びモータによる変位を要求する(変位要求)。変位の絶対容量(油圧流体の容量/秒)は、最大変位の割合と、ポンプまたはモータの回転可能な軸の旋回ごとに変位され得る最大容量と、回転可能な軸またはモータの旋回速度(旋回/秒)との積である。このように、トランスミッション制御部は、駆動軸14を通して印加される、油圧ポンプの変位(容量/秒)と、高圧油圧流体ライン内の圧力とに比例するトルクを調整することができる。また、トランスミッション制御部は、油圧モータの変位量(容量/秒)と、高圧油圧流体ライン内の圧力とに依存する発電率を調整することができる。高圧油圧流体ライン内の圧力は、油圧ポンプがオイルを油圧モータよりも高い変位量(容量/秒)で変位させると増大し、油圧モータがオイルを油圧ポンプよりも低い変位量(容量/秒)で変位させると減少する。オレオ式空圧アキュムレータは、高圧側の総油圧流体量を変動させることを可能にする。代替の実施形態では、複数の油圧ポンプ及び/または複数の油圧モータが、高圧流体ラインと流体連通し、そのため各々の変位が考慮される必要がある。
トランスミッション制御部は、ポンプ及びモータの回転可能な軸の回転速度と、高圧油圧流体ライン内の圧力の測定値とを含む信号を、入力として受信する。また、風速計34からの風速信号、電力網からの情報、制御信号(例えば、突風に先立って、開始もしくは停止させるための、または圧油圧流体ライン圧力を増大もしくは減少させるための命令)、または必要に応じて他のデータを受信し得る。
また、トランスミッション制御部は、風力発電機内部の共振、例えば、タワー内に設置された加速度計36を用いて測定することができるタワー内の共振と、翼のうちの1つに装着された加速度計またはひずみゲージ38を用いて測定することができるタービン翼における振動とを考慮している。
トランスミッション制御部32は、稼働中に必要とされるプログラム及びデータを記憶する有形のコンピュータ可読媒体、例えばソリッドステートメモリを備えるデータ記憶装置42と電子通信している、単一のプロセッサ40を備える。ポンプ及びモータ内の機械制御部(図1に図示せず)は、その少なくとも一部が弁制御モジュールとして機能し、トランスミッション制御部から要求された変位に応答して、弁制御信号を生成する。それにもかかわらず、トランスミッションの制御は、その各々が制御機能性全体の一部を実装し得る複数の分散コンピューティング装置として、または単一の装置として、実装され得ることが、当業者には明らかであろう。
図2は、シリンダの内部表面によって画定された作業容量102を有する複数のシリンダ100と、偏心カム110によって回転可能な軸108から駆動され、シリンダ内部で往復運動してシリンダの作業容量を周期的に変動させるピストン106とを備える電子整流式油圧ポンプ/モータの形態の油圧モータ16を図示する。回転可能な軸は、発電機駆動軸20に強固に接続され、それとともに回転する。軸位置及び速度センサ112は、軸の瞬間的な角度位置及び回転速度を判定し、信号ライン114を通してモータの機械制御部116に通知し、このことは、機械制御部が、各シリンダのサイクルの瞬間的な位相を判定することを可能にする。
シリンダは各々、電子作動式面封止ポペット弁118の形態の低圧弁(LPV)と関連付けられ、当該弁は、各自の関連付けられたシリンダに向かって内側に向き、シリンダから低圧油圧流体ライン120に延在するチャネルを選択的に封鎖するように動作可能であり、低圧油圧流体ラインは、1つまたはいくつかのシリンダを、または実際にはここで示されるように全てを、WTGの低圧油圧流体ライン26に接続し得る。LPVは、例えば吸気ストローク中に、シリンダ内部の圧力が低圧油圧流体ライン内部の圧力以下となると受動的に開いて、シリンダを低圧油圧流体ラインと流体連通させるが、LPV制御ライン124を介した制御部の能動的な制御下で、シリンダが低圧油圧流体ラインと流体連通しないように選択的に閉鎖可能である、常開の電磁閉鎖弁である。代替の電子制御可能な弁、例えば常閉の電磁開放弁を使用してもよい。
シリンダは各々、圧力作動式送達弁の形態の高圧弁(HPV)126とさらに関連付けられる。HPVは、シリンダから外側に開き、シリンダから高圧油圧流体ライン122に延在するチャネルを封鎖するように動作可能であり、高圧油圧流体ラインは、1つまたはいくつかのシリンダを、または実際にはここで示されるように全てを、トランスミッション高圧油圧流体ライン28に接続し得る。HPVは、シリンダ内部の圧力が高圧油圧流体ライン内部の圧力を超えると受動的に開く、常閉の圧力開放逆止め弁として機能する。また、HPVは、ひとたびHPVが、関連付けられたシリンダ内部の圧力によって開放されると、制御部がHPV制御ライン132を介して選択的に開放を維持し得る、常閉の電磁閉鎖逆止め弁としても機能する。通常は、HPVは、高圧油圧流体ライン内の圧力に抗して制御部によって開放可能ではない。HPVは、付加的には、圧力が高圧油圧流体ライン内には存在するが、シリンダ内には存在しないときに、制御部の制御下で開放可能であってもよく、または、例えば弁がWO2008/029073またはWO2010/029358に開示されたタイプであり、それらに開示された方法によって操作される場合、部分的に開放可能であってもよい。
例えば、内容がここに参照により本明細書に組み入れられる、EP0361927、EP0494236、及びEP1537333に記載された通常動作モードでは、モータ制御部は、関連付けられたシリンダのサイクルにおける最小容量点の直前で、LPVのうちの1つ以上を能動的に閉鎖することによって、油圧モータによる高圧油圧流体ラインからの流体の正味の変位率を選択し、低圧油圧流体ラインへの経路を閉鎖してシリンダ内の流体を残りの縮流ストロークによって圧縮させる。関連付けられたHPVは、その全体にわたる圧力が均一にされると開き、少量の流体が、関連付けられたHPVを通して外に向けられる。そして、モータ制御部は、通常は、関連付けられたシリンダのサイクルにおける最大容量近くまで、関連付けられたHPVの開放を能動的に維持し、高圧油圧流体ラインからの流体を許容し、回転可能な軸にトルクを印加する。任意のポンピングモードでは、制御部は、通常は、関連付けられたシリンダのサイクルにおける最大容量点の近くで、LPVのうちの1つ以上を能動的に閉鎖することによって、油圧モータによる高圧油圧流体ラインからの流体の正味の変位率を選択し、低圧油圧流体ラインへの経路を閉鎖し、それによって後に続く縮流ストロークにおいて、関連付けられたHPVを通して流体を外に向かわせる(しかし、HPVの開放を能動的に保持しない)。制御部は、LPVの閉鎖及びHPVの開放の数及び順序を選択し、選択された正味の変位率を満たすような流れを引き起こすかまたは軸トルクまたは電力を作り出す。LPVを閉鎖するかまたは開放を維持するか否かをサイクルごとに判定することに加えて、制御部は、変動するシリンダ容量に対してHPVの閉鎖の精密な位相調整を変動させ、それによって高圧から低圧油圧流体ラインへの、またはその反対の流体の正味の変位率を選択するように動作可能である。
ポート122上の矢印28は、モータリングモードにおける流体の流れを示し、ポンピングモードにおいて、流れは反対になる。圧力逃し弁128は、油圧モータを破損から保護し得る。
図3は、モータの機械制御部116の概略図である。ポンプ制御部の構造が対応する。プロセッサ150、例えばマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラは、バス152を通して、メモリ154及び入出力ポート156と電子通信している。メモリは、シリンダ作業容量の各サイクルにおける各シリンダによって変位される油圧流体の正味の容量を判定するための変位判定アルゴリズムの実行を実装するプログラム158に加えて、蓄積された変位誤差値を保存する1つ以上の変数199を保存し、メモリはまた、各シリンダに関するデータ、例えば、各シリンダ163の角度位置及びシリンダが(例えば、破損していることに起因して)停止していないか否か164を記憶するデータベース162を保存する。いくつかの実施形態では、データベースは、各シリンダが能動的サイクルを経た回数165を記憶する。いくつかの実施形態では、プログラムは、1つ以上の望ましくない周波数範囲を算出する共振判定モジュールとして機能するプログラムコード159を含む。
制御部は、変位要求信号34と、軸位置(例えば方位)信号166及び通常は高圧ライン内の圧力168の測定値と、さらなる入力信号170とを受信する。回転可能な軸の回転速度は、軸位置の変化率と、回転可能な軸の回転速度としての関数とから判定される。制御部からの出力は、高圧弁制御ライン126を通した高圧弁制御信号と、低圧弁制御ライン118を通した低圧弁制御信号とを含む。制御部は、シリンダからの総変位を、変位要求に時間とともに整合させることを意図している。軸位置は、弁制御信号が、シリンダ作業容量のサイクルと位相関係で生成されることを可能にするために必要とされる。圧力の測定は、変位された油圧流体の正確な量の判定に、または他の算出に用いられることができる。また、制御部は、シリンダが壊れており、そのため動作不能のはずであることを示し、それに応じてデータベース162が更新されることを可能にするための信号を受信し得る。
油圧ポンプは、上述のポンピングモードで動作し、通常は規模がより大きいことを除き、概ね油圧モータに対応する。単一ローブ偏心機構に代えて、マルチローブリングカムの場合には、さらに存在してもよい。高圧弁は、制御部によって能動的に制御される必要はなく、逆止め弁を含んでもよい。
図4のプロセスによる油圧トランスミッションの稼働中、油圧トランスミッション制御部156は、タービン6の回転速度(これは、二者が結合されているとき、油圧ポンプの回転可能な軸の回転速度と同じであるか、またはそのギア比である)、及び加圧された流体油圧流体ライン12内の圧力に加えて、風速を含む入力信号(166、168、170)を受信する200。次に、トランスミッション制御部は、複数の異なる風速での理想目標トルク及び軸回転速度をまとめているルックアップテーブル204を参照して、油圧ポンプによってタービンに印加される目標トルクを判定する202。いったん目標トルクが判定されると、トランスミッション制御部はその後、目標トルクを得るために必要とされる油圧ポンプの変位を算出する206。これはその後、ポンプによって受信される変位要求信号として、油圧ポンプに送信される。油圧流体の容量及び変位率は、任意の好適な単位で算出され得る。この変位要求は、例えば、回転可能な軸の旋回ごとに可能である油圧ポンプの最大変位の割合として表すことができる。この例では、変位は、回転可能な軸の旋回ごとの平均最大出力率として表される。これが表現する実際の変位率は、流体容量/秒として表され、両方の変位要求と、シリンダにより変位可能な最大容量と、シリンダの数と、ポンプの回転可能な軸の回転速度との積である。結果として得られるトルクは、この変位と、高圧油圧流体ライン内の圧力とに比例する。
いったんポンプ変位が算出されると、モータ変位もまた、算出することができる。通常は、モータ変位は、加圧された流体ライン内の所望の圧力を維持するように算出される。算出された変位は、モータに送信され、モータの要求変位信号として受信される。しかしながら、多くの他の要因が考慮されてもよい。例えば、モータ変位要求は、高圧油圧流体ライン内の圧力を変動させるために変動させることができ、圧力は、モータ変位が油圧ポンプによる変位(容量/秒で)未満である場合に増大し、油圧モータの変位が油圧ポンプの変位を(容量/秒で)上回る場合に減少する。他の要因があってもよい。例えば、風損を最小限にし、発電の効率を最大にするために、発電機の一方または両方が、略一定のトルクで駆動されることと、スイッチオフされることとの間で切り替えられることが望ましい場合がある。
この例示の実施形態では、油圧モータは、図2の構成を有し、ピストンを駆動するカムが単一のローブを有し、そのため油圧モータの回転可能な軸の回転ごとに、シリンダ作業容量の1サイクルがある。
図5は、不所望の周波数が生成されたことが判定されなかったときに、デフォルト動作手順(第1の手順)において、各シリンダによる正味の変位を順次判定するために油圧モータによって実行される手順を図示する。手順は300で始まり、ここで、保存された可変アルゴリズミックアキュムレータが0に設定される302。「アルゴリズミックアキュムレータ」は、コンピュータサイエンスにおいては「アキュムレータ」としてより一般的に知られているが、しかしながら、全く異なる概念の油圧アキュムレータと区別するために、ここでは異なる用語が用いられる。可変アルゴリズミックアキュムレータは、変位要求によって表現される油圧流体変位量と、実際に変位した量との間の差を記憶する。
そして、油圧モータの回転可能な軸は、個々のシリンダについての判断点に到達する304まで回転する。図2に示された例については、8個のシリンダがあり、そして、各判断点は、回転可能な軸の回転45度ごとに分離される。したがって、判断点間に生じる実際の期間は、回転可能な軸が45度回転するために必要とされる期間であり、これは、回転可能な軸の回転速度に反比例する。
各判断点において、モータ制御部は、トランスミッション制御部から受信されたモータ変位要求を読み取る306。そして、制御部は、アルゴリズミックアキュムレータ+要求された変位に等しい可変アルゴリズミックサムを算出する308。次に、考慮されているシリンダの状況を確認する310。このことは、シリンダデータのデータベース162、164を参照して実行される。シリンダが(例えば、破損していることに起因して)停止していることが分かった場合、シリンダに対してさらなる処置は取られない。そして、いったん判断点が次のシリンダに達すると、本方法は、ステップ304を繰り返す。
代替的に、シリンダが動作不能ではなかったことが分かった場合、その後アルゴリズミックサムが閾値と比較される312。この値は、考慮されている唯一の選択肢が、シリンダによる油圧流体の最大変位が選択される正味の変位または全変位の能動的サイクルのない非能動的サイクルである場合、シリンダによって変位された油圧流体の単なる最大容量であり得る。しかしながら、閾値は、より高いかまたはより低い場合がある。例えば、シリンダの最大変位のうち一部のみが変位される、部分的なサイクルを実行することが所望される場合、個々のシリンダによる最大変位未満である場合がある。
アルゴリズミックサムが、閾値以上である場合、その後、シリンダが能動的サイクルを経ることが判定される。代替的に、アルゴリズミックサムが閾値以上ではない場合、その後、シリンダが、そのシリンダ作業容量の次のサイクルで非能動的になり、正味の変位0を有することが判定される。
そして、制御信号は、判定されたように、シリンダを能動的サイクルまたは非能動的サイクルを経るようにさせることが考慮されているシリンダのための低圧弁及び高圧弁に送られる。(ポンピングの場合、高圧弁は電子制御されておらず、制御信号は低圧弁にのみ関与する場合がある)。
このステップは、変位要求信号によって表現される変位要求と、変位要求信号によって表現される先の変位制御部によって判定された先の正味の変位との間の差(このようなケースでは、保存された誤差の形式)を事実上考慮しており、その後、アルゴリズミックサムが閾値と等しいかまたはそれを超える場合、シリンダによる油圧流体の時間平均された正味の変位を、シリンダを、油圧流体の正味の変位を作り出す能動的サイクルを経るようにさせることによる変位要求信号によって表現される時間平均された変位と突き合わせる。そのようなケースでは、誤差の値は、SUMからシリンダによる変位を引いて設定される。代替的に、アルゴリズミックサムが閾値と等しくないかまたはそれを超えない場合、その後、シリンダは非能動的になり、アルゴリズミックサムは変更されない。
本手順は、判断点が次のシリンダに達すると、ステップ304から再度始まる。
したがって、アルゴリズミックアキュムレータが、要求されている変位と、実際に起こっている変位との間の差の記録を保持することが理解される。各サイクルにおいて、要求された変位は、変位誤差値に加算され、実際に選択された変位は減算される。アルゴリズミックアキュムレータは、要求された変位ともたらされた変位との間の差を有効に記録し、この蓄積された差が閾値を超えるたびに、能動的サイクルが行われる。
当業者においては、この変位判定アルゴリズムの効果が、いくつかの方法で得られ得ることが明らかであろう。例えば、アルゴリズミックアキュムレータ変数から、選択された変位を減算するのではなく、ある期間にわたって、要求されている変位と、送達された変位とを合計し、二者が等しく一致したまま維持させるように、個々のシリンダの変位を選択することが可能である。
代替の実施形態では、シリンダ作業容量の各サイクル全体を通して同相で動作するシリンダのセットがあってもよい。例えば、これは、カムが多数のローブを有する場合、または多数の軸方向に離間したシリンダ群がある場合になされ得る。このようなケースでは、各判断点において、能動的サイクルまたは非能動的サイクルの選択は、セット内の各シリンダに対して同時になされ得る。
試験モード
図6は、風力発電機が上述の動作モードに入る前に実行される試験モードでの風力発電機の制御部の制御下で実行されるステップのフローチャートである。これらのステップは、高圧ライン28、アキュムレータ30、及び加圧された流体とともにトランスミッションの高圧側に保留される任意の他の管、ホース及びマニホールドによって形成される油圧回路領域の油圧剛性を測定する。この試験は、油圧システムが静止状態に(少なくとも瞬間的に)あるときに実行され、(この例では)高圧ライン28内の圧力は、最初は低圧ラインの圧力に近いレベルにある。高圧ライン内の油圧流体圧力は、圧力センサ29を用いて測定される400。油圧ポンプ12は、回転軸14を通してタービンによって駆動される。
ポンプは、最初は非能動的サイクルのみを実行し、油圧ライン内への油圧流体正味の変位はない。そして、ポンプは、1つ以上の能動的サイクルを実行し、油圧流体410の離散的パルスを高圧ライン28内へ変位させる。結果として、高圧ライン内の圧力が増大する。しかしながら、初期の圧力オーバーシュート過渡に続いて、例えば高圧ライン内の油圧流体の流れにおける共振に起因して、一定期間継続するいくらかの圧力の振動がある。したがって、待機機能が実行されて420、油圧流体の導入に起因する圧力を落ち着かせるために十分な時間を提供する。待機機能が完了した後、圧力が測定され保存される430。代替的に、圧力は、繰り返し測定され得、圧力測定が集中している圧力の値は、これらの測定から判定され得る。例えば、図7では、結果として得られる圧力変化を見ることができ、図の左手側において、油圧流体は、4つの離散的パルスに導入され、オーバーシュートに至り、その後測定された圧力における振動(リンギング)を減衰させる。左手側のパルスごとに、ポンプは、ポンピングストロークを実行し、油圧流体源としての役割を果たし、それによって、圧力が各パルス後に増大する。パルスは、圧力が各パルス間で確定されることを可能にするために十分に時間的離間し、それによって、安定した圧力測定を行うことができる。関連付けられた流体パルスサイズは、外来の漏れ圧力損失とは明確に区別され得る圧力の急上昇を提供するために十分に大きいように選定される。
タービン制御部は、図8に示される、以下のパルスごとのデータの表を生成し保存する440:パルス前の高圧ライン内の圧力;パルス後の圧力、パルスの結果としての圧力変化及び中心圧力(それぞれのパルスの前後の圧力の平均値)。
次に、制御部は、予め較正された変位/圧力較正表、または図9に示された、所与の圧力について、パルスを作り出すシリンダ容量の能動的サイクルごとに、高圧マニホールドの中または外に変位された油圧流体の正味の容量を特定する機能を検索する450。これは、パルスごとの容量変化dVを与える。このステップは支援となるが、これは、変位された油圧流体の容量が、例えば油圧流体の圧縮率、圧力とともに増大する可能性がある油圧機械内の空き容量の影響、または最大変位をより高い圧力で低減させて高信頼の動作を保証する、ソフトウェア制御された弁タイミングの変動に起因して、シリンダの所与の容量についての圧力とともに変動し得るためである。
シリンダの位相は、軸位置センサを用いて詳細に監視され、LPV(及び、必要であればHPV)弁制御信号は、この測定された位相を参照して正確に時間調整され、それによって、油圧流体の各パルスの開始及び終了の精密なタイミングを正確に判定することができる。
次に、制御部は、油圧回路領域からの(例えば、油圧ライン、アキュムレータ、コネクタ等からの)漏れを推定する460。これは、例えば各パルス間で測定された圧力の低減、または油圧流体が高圧マニホールドの中または外に変位されない休止期間において測定された圧力の低減から判定することができる。この漏れ値を用いて、漏れに起因する任意の圧力変化を減算することによって、測定された圧力変化dPを補正する(図10)。漏れは、多数のパルスの各々の後に、または長時間にわたって測定された圧力の勾配を測定し、異なる圧力での漏れに起因する圧力損失の相対的比率に関する較正曲線を考慮することによって、より良好に推定することができる(図11)。この曲線(異なる圧力での圧力損失の相対的比率)は、例えば、油圧回路領域が加圧され、例えば、既知の断面の既存の漏れ経路または弁もしくは絞り弁を通した漏れを許容した、膨張圧力リークダウン試験中に得られた可能性がある。
結果として得られた漏れ補正された圧力変化総dPを用いて、所与のパルスについての容量変化dVに対する圧力変化率dPを算出し、この比率(油圧回路の剛性の測定値である)を保存する。結果として得られ保存された剛性データ(dP/dV)値は、続いて処理されて480、油圧回路領域の異なる圧力での剛性の測定値を得る。実施例のデータが、図13に示され、図12に図表化されている。
我々は、驚くべきことに、圧力に伴う油圧剛性の変動を用いて、油圧回路領域の、油圧領域の機械部品の、そして油圧領域に接続された機械部品のさまざまな異なる性質を検査し測定することができることを発見した。これは、異なる部品の剛性が、主に、異なる圧力範囲で測定された油圧剛性(gross dP/dV)に影響を及ぼすことによる。
図14は、圧力が大気圧1バールから徐々に増大する試験における、圧力に伴う剛性(gross dP/dV)の変動を示す。代替的に、圧力は、4つの領域間で3つの遷移点を見出すために、圧力逃し弁のクラック圧から大気圧1バールまで徐々に減少してもよい。代替的に本システムの特徴付けは、部分的であってもよく、1つ以上の遷移点を特定し特徴を明らかにし、2つ以上の領域間での圧力低下または圧力増大を必要とする。油圧回路領域は、最初に、導入された油圧流体によって加圧されるため(以下、図表の第1の領域)、圧力に伴う剛性の曲線は、油圧流体の見かけの圧縮率に対する溶存ガス及びガス気泡/同伴ガスの影響の測定値を与える。図14上の矢印は、どのようにしてガス濃度の剛性に対する影響がガス濃度とともに減少するかを示す。ゼロガス含有率については、剛性は、圧力と略線形である(ライン490)。多くの油圧装置内に空気が見られ、空気の影響は、主に、低圧(例えば、1バール〜20バールの間)での流体パルスに対する高圧ライン内の圧力の応答を判定する。実際のところ、低圧におけるパルスは、高圧ラインを通した比較的少ない嵩の油圧流体の流れに至り得、大部分は油圧流体の圧縮に至り得る。
圧力が増大すると、ガスの量はもはや影響を有さず(あらゆるガスがその当初の容量の割合まで圧縮されると、容量はさらに減少し、はるかに大きい圧力増大を必要とするためであり、いくつかが、やがては高圧に起因して溶解するためである)、第2の領域では、測定された剛性は、油圧回路領域内の油圧流体を保留する容器(ホース、管及びマニホールド)の剛性を反映する。この第2の領域では、それぞれのアキュムレータは、その封入圧力を下回る(ガスを包含するブラダが変形するのを上回る)。圧力がさらに増大すると、アキュムレータ内のガスブラダが圧縮し始め(第3の領域)、剛性が低下し、その後アキュムレータがさらに高加圧にされると再度徐々に増大する。第2の領域と第3の領域との間の境界を画定する、剛性が低下する圧力は、アキュムレータの封入圧力である。最終的に、第4の領域では、圧力は、圧力逃し弁が開き、剛性が単に圧力放出弁の特性を示す低レベルまで低下するように十分に高い。この剛性の低下が生じる圧力は、圧力放出弁作動圧力である。
この第1の領域では、通常は、油圧剛性と圧力との間に非線形の関係がある。油圧剛性と圧力との間の関係が非線形(曲線形)から略線形への遷移を作り出す圧力は、圧力に抗する剛性の変化率と同じように著しくこの点を上回りかつ下回る。両者を用いて、ガス含有率(ガス気泡/同伴ガス、または溶存)を示し得る。これらの特性を付加的に用いて、不具合を判定し得る。この領域内の流体パルスのサイズは、概して小さく、例えば1つのシリンダのストローク容量未満である。パルスが小さいほど、より多くのパルスが領域1内で行われ、ひいては領域の特徴を示すためにより多くの圧力測定が行われる。圧力領域1内の圧力による油圧剛性の高度に詳細な解析によって、オイルの空気混入性または他の点に関して引き出された結論は、より高信頼であるものと考えられる。領域1を作り上げる圧力範囲の最下端において、圧力の倍増は、概して、ガス気泡/同伴ガスの容量の半減に至り、これは、領域1を占める非線形のガス圧縮の、領域2までの遷移を加速させる。この倍増に至るために必要とされる変位は、存在するガス気泡/同伴ガスの容量の良好な指標をもたらす。圧力範囲1〜20バールは、通常は領域1全体を画定し得るが、特に重要なサブ領域は、1〜2バールの間に収まり得る。大気から領域1の上方レベルまでの加圧は、初期加圧と称される場合がある。
領域2では、ホース、マニホールド、及び容量に収容された油圧液の適合性は、主に油圧剛性に影響を及ぼす。油圧液の体積弾性率は、油圧剛性から判定することができる。通常は、この領域は、線形性(直線関係)によって特徴付けられ、下端は、領域1の非線形性への過渡期である。上端は、アキュムレータが「能動的になる」ことによる剛性の急低下を特徴とする。以下のとおり、より支配的ではないアキュムレータを有する他のシステムは、はるかに小さな剛性の低下を呈し得、上端を示すような剛性の低下を示さない場合がある。このようなケースでは、領域2の曲線は、領域3に融合し、その場合、領域2から領域3への遷移を示すような著しい点がないことがあり、当該領域は実質上、主に領域3の特性(以下に説明する)を呈する1つの領域と考えられ得る。領域2が消滅し、2+3が実質上領域3になることが考えられ得る。
第3の領域では、アキュムレータの油圧剛性は、油圧剛性に対して支配的な影響を有する。アキュムレータは、エネルギストアとして存在し、また、エネルギ流の平滑化を可能にするために有用であることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、アキュムレータ容量は小さく、その機能は、主に脈動を吸収することに関し(適度なエネルギ保存能力のみを有する)、このようなケースでは、この領域は、アキュムレータによってあまり明確には支配され得ず、ラインの特性は、アキュムレータ以外の油圧機械の他の部品(例えば、管/ホース等)の状況または欠陥の有無を示し得る。この領域の下端は、アキュムレータ封入の等化によってマークされ、この点を下回って、いったんシステム圧力がアキュムレータブラダ容量に一致すると、アキュムレータブラダは、その最大限の容量にあり、そのためブラダ容量は、圧力が増大すると減少し始める。実際に、アキュムレータ封入圧力を下回ると、アキュムレータは非能動的である。いったんシステム圧力が封入圧力に一致すると、アキュムレータは能動的になり、ブラダの大容量が、油圧剛性に寄与する。したがって、この遷移点において、当該図表は、アキュムレータが「能動的」になると、剛性の大きな低下を示す。
領域4では、油圧剛性は、圧力逃し弁の特性を示す。いくつかの実施形態では、圧力逃し弁は、圧力が上昇するたびに、油圧ライン内の圧力を閾値より下に戻すために開く。代替の圧力逃し弁設計では、圧力は、元の閾値を上回る新しくさらに高いレベルに設定され、このケースでは、圧力は、一次圧力逃し弁設定値を上回るたびに上昇する。
これらの領域の各々は、特徴付けられ得、特定の油圧剛性を示す特性からの偏差は、個々の部品の状態(例えば、状況、摩耗、不具合等)を判定するために用いられ得る。対象となる特性は、下端及び上端と関連付けられる圧力、ラインの勾配、関係の線形性または非線形性、ラインの連続性または不連続性、または剛性と圧力との間の関係を特徴付ける任意の他の特性を含むが、これらに限定されない。トレース/データは、予想されるトレース/データ、例えばステップが生じるべき点、これらのステップ点間の勾配、及び任意の他の特性と比較される。
4つの離散した領域として簡略化されているが、当業者には、説明された関係が完全ではなく、多数の要因が、図表化された「理想/予想」曲線からの偏差を生じさせることが理解されよう。例えば、図16の油圧剛性対圧力の図表は、さまざまな空気濃度の全てのラインを領域2に統合して示しているが、当業者には、ラインは、この領域内で単によく一致しているが、実際には等しくないことが理解されよう。
概して、圧力は、油圧流体のパルスを繰り返し導入することによって、この剛性測定プロトコルを通して増大されるが、油圧流体のパルスを繰り返し取り除くことによって、剛性測定プロトコルを通して圧力を減少させることが可能であり、例えば図7の右手側のように、油圧機械がモータリングサイクルを実行し、それによって油圧流体用のシンクの役割を果たし、各パルスは、油圧回路領域内の圧力を低減させる。図15を参照すると、油圧回路領域の中または外に変位された総容量が増大すると、測定された圧力は、上述の4つの領域を示す可変勾配とともに変動する。図14と同様に、油圧剛性は、ガス気泡/同伴ガスが存在しない場合490、低圧で圧力と略線形である。
したがって、本発明のこの実施形態を用いて、さまざまなシステム及び構成要素の性質を、それらを区別する能力によって判定することができる。
1.油圧流体の圧縮率に対する、油圧流体内の溶存ガス/ガス気泡/同伴ガス/空気混入の影響及びレベルを、最低圧力レベル(第1の領域の内部)での油圧剛性から特定し、レベル判定することができる。
2.油圧流体自体の圧縮率を、ガス気泡/同伴ガスがほとんど溶存している第2の領域内部のgross dP/dVにおける変動から測定することができる。
3.油圧回路領域内の油圧流体を保留する壁の剛性を、第2の領域内のgross dP/dVの曲線の状から判定することができる。
4.アキュムレータ内の封入圧力を、圧力が増大するとシステムの剛性が低下する圧力から(または、圧力が減少するとシステムの剛性が上昇する圧力から)(例えば、領域2から領域3への遷移がある圧力)測定することができる。封入圧力が、予想されたよりも著しく高いかまたは低い場合、このことは、不具合を示す可能性がある。例えば、アキュムレータがガスを充填された弾性コンパートメントを備え、ガスが部分的に漏出している場合、この急速な圧力変化が生じる圧力は、減少する。
5.アキュムレータの健全性は、(例えば、領域3では)圧力によるgrossdP/dVの曲線から判定することができる。例えば、アキュムレータ内部の弾性コンパートメントに欠陥があった場合、これは、通常は、圧力による勾配の増大(grossdP/dV)に至る。例えば、アキュムレータが、機械的または熱的な不具合に見舞われた気泡充填コンパートメントを備える場合、剛性の変化がある。油圧流体が弾性コンパートメントの中に、または弾性コンパートメントを有するアキュムレータの中に、または空気側のピストンアキュムレータの中に漏れている場合、油圧剛性が増大する。ピストンアキュムレータのケースでは、ピストンが摺動して通過する壁に摩耗または他の破損があった場合、ピストンは、例えば不連続に動き、検出される可能性があるかまたは適所に留まり得る圧力波に至り、油圧剛性の増大に至る場合がある。
6.圧力逃し弁が動作する圧力は、圧力が第4の領域に達するとgrossdP/dVが低い値に低下する圧力から判定することができる。
7.漏れは、測定された圧力変化率(所与の圧力での)と、油圧流体のパルス流入または流出のみに起因して生じる圧力変化率との間の差から特定され定量化することができる。
したがって、これらの剛性測定を用いて、油圧回路領域のさまざまな機械的構成要素の状態を監視し、それらの欠陥を調べることができる。比較的短い期間の油圧流体のパルスは、油圧流体の制御された変位に起因する圧力変化が、漏れと容易に区別されることを可能にする。
この例では、圧力によるgrossdP/dVの変動が測定されて、異なる構成要素の性質を判定するために用いられているが、既知容量の油圧流体の1つ以上のパルスの油圧回路領域の中または外への変位に起因する油圧回路領域における圧力変化に関する他のパラメータにおいて、圧力による変動を分析すると、同じ領域が識別できる。
この例では、油圧流体が油圧回路領域内に導入されたパルスから発生した圧力変化が測定された。しかしながら、本発明は、代替的に(または付加的に、例えば交互に)、例えば図7の右手側に示されるように、油圧流体が油圧回路領域外に変位されたパルスから生じた圧力変化を用いてもよい。
この例では、漏れは、パルス間の圧力損失を監視することによって判定されている。しかしながら、漏れが制限されること(例えば、車両トランスミッションにおける高圧ラインから低圧ラインへの漏れ)が予想される場合、これは、パルスが漏れを最小限にするように素早く連続して実行されるために十分であり得るが、それは、これらが、オーバーシュート及び振動後の平衡圧力が判定されるために十分に離間している場合に限る。
有利には、上述のタイプの合成整流式油圧ポンプまたはモータと好適に設置された圧力センサとをすでに含む油圧システムについては、多数の部品の剛性パラメータを測定する能力は、さらなる物理的部品を追加する必要なく、制御部のプログラミングを通して得ることができ、これによって、コストの利点が提供される。
測定された性質の稼働中の使用
油圧回路領域の部品の剛性性質の測定は、部品の正しい機能を監視し診断するために、それら自体が有用であるが、これらの測定は、後続の風力発電機の制御に用いられることができる。したがって、説明された試験モードの後、結果として得られた測定稼働中に用いられ、能動的サイクル中のシリンダ容量の能動的または非能動的サイクルまたは低圧弁及び/または高圧弁の精密な開閉時間の選択を制御する。
自動チューニング
油圧回路領域の剛性を用いて、稼働中に、油圧ポンプ及び/または油圧モータ(作業流体のパルスを油圧回路領域外に変位させるように制御可能である)によって変位された油圧流体の容量をチューニングする。測定は、油圧回路領域に結合された油圧ポンプによって実行されてもよいが、結果として得られる油圧剛性情報は、これもまた同じ油圧回路領域に結合された油圧モータの動作を制御するために同じように有用である。(それに応じて、試験モードは、油圧モータによって実行されてもよく、結果として得られる剛性データ油圧ポンプまたは油圧モータのいずれかまたは両方を制御するために用いられる)。
例えば、図5を参照して上述され例示されたアルゴリズムを参照すると、アルゴリズミックサムが比較される閾値312は、油圧剛性(grossdP/dV)の圧力との測定された変動に依存して圧力とともに変動し得る。剛性が比較的高い場合、閾値は比較的低い場合がある。
油圧ポンプまたはモータによってシリンダ容量の個々のサイクル中に変位された油圧流体量は、油圧回路部内の現在の圧力と、grossdP/dVの測定値とを考慮して選択することができる。これは、少なくともいくつかの能動的サイクルについては、油圧ポンプまたはモータが、油圧流体のゼロの正味の変位も作り出さず、油圧ポンプまたはモータが作り出すことが可能である最大変位も作り出さないが、最大変位の割合を作り出す部分的モードサイクルを実行しているときに関連し、それぞれのシリンダの少なくとも低圧弁の、またいくつかのケースでは高圧弁の能動的な制御によって割合が選択される。部分的モードサイクルは、EP1537333に教示され、その内容は、参照により本明細書に組み入れられる。例えば、ポンピング時に部分的モードサイクルが実行されると、変位された油圧流体量は、縮流ストロークの早期に低圧弁を閉鎖することによって増大することができ、また縮流ストロークの後期に低圧弁を閉鎖することによって低減することができる。部分的モードサイクルには、通常は非能動的サイクルまたは全モードサイクル(油圧流体の最大変位が作り出される)が点在し、効率を向上させている。
油圧トランスミッションを制御するために、油圧回路領域の中または外に変位された油圧流体量は、風力タービン制御部によって、測定された油圧流体の漏れと圧力による漏れ率の変動(図13のとおり)とに依存して判定され、油圧ライン内での目標圧力を達成することを確実にすることができる。したがって、油圧回路領域の中または外への油圧流体の正味の変位は、漏れによって補償される。
油圧回路領域の中または外に変位された油圧流体量は、風力タービン制御部によって、圧力による油圧剛性の測定された変動に依存して判定され得る。したがって、測定されたgrossdP/dVが第1の圧力において第2の圧力よりも高い場合、より低い容量の油圧流体が変位されて、第1の圧力において第2の圧力に比して所与の所望の目標圧力の変化を達成する。これもまた、目標圧力が油圧回路領域内の圧力によって可能な限り整合されることを可能にすることを助けることができる。
またさらには、合成整流式油圧機械の低圧弁または高圧弁の開放及び/または閉鎖のタイミングは、試験モードでなされた測定に依存して調整され得る。例えば、ガス気泡/同伴ガスの性質は、第1の圧力領域におけるgrossdP/dVの測定値から判定することができる。ガス気泡/同伴ガスの1つの効果は、高圧弁が閉鎖された後、モータリングサイクルの膨張ストローク中のシリンダの減圧を緩めることである。このことは、その時に油圧流体内に溶存しているガスが、溶液外に出るためであり、純粋な油圧流体が膨張した場合よりも高い圧力に至る。高圧弁が閉鎖された後、シリンダ内の圧力を、低圧弁を開放することができる程度に十分に低く低下させることが重要である。したがって、試験モードでなされた測定が、比較的大量のガス気泡/同伴ガスがあることを示す場合、高圧弁の閉鎖のタイミングを比較的早期になるように調整して、シリンダ内の圧力を、低圧弁を開放することができる点まで低減させるために十分な時間を与えることができる。
結合部品の動きの検出
図1に図示された風力発電機では、油圧ポンプが油圧流体のパルスを低圧マニホールドから高圧マニホールド内に変位させるときはいつでも、駆動軸14を通してポンプの回転可能な軸に、ひいてはタービンロータ及び翼に送達されるインパルスがある。
したがって、油圧流体のパルスの変位に対するこれらの部品(駆動軸、タービン、翼)の動きの応答もまた測定することができる。したがって、風力タービン制御部は、駆動軸の回転速度(これは、回転速度が適用可能なギア比に関連付けられている場合に存在する伝送装置がある場合を除き、タービンの回転速度と同じである)と、翼の加速度計及びひずみゲージ38とを監視する。
同様に、油圧モータが油圧流体のパルスを高圧マニホールドから低圧マニホールド内に変位させるときはいつでも、モータの回転可能な軸に、ひいては電気発電機18に送達されるインパルスがある。モータの回転可能な軸の動きの応答と、電気発電機によって出力された電気の現在の性質(例えば、電流、電圧、電気出力、位相)またはフィールドコイル(例えば)の電気の現在の性質もまた、測定することができる。
これらの測定は、例えば風力タービン翼の破損、タービン翼上の氷の堆積、発電機の破損、駆動軸とともに回転する部品の回転に抗する過剰な摩擦等の欠陥が検出されることを可能にする。部品の予想された応答を測定された応答と比較することによって、不具合を判定することができる。
これらの測定は、次に続く動作中に風力発電機を制御するために再度使用することができる。例えば、タービンがより高いトルクを与えるようなより高い慣性を有している場合、油圧ポンプの変位が増大する場合がある。高圧ライン内の油圧モータの圧力または変位(その各々が油圧モータのトルクに影響を及ぼす)は、電気をより効率的に生成するように、または電気発電機に対する破損を回避するように、油圧モータによって生成された電気の測定された性質に依存して適合され得る。
実施例2−工業用油圧機械
第2の実施例は、図16を参照して例証され、汎用の工業用機械、例えば油圧回路領域として機能する高圧ライン510を有する射出成形機械500に関する。高圧ラインは、図2に例証されるタイプの、タンク508に延在する低圧ライン506から高圧ライン内に油圧流体を変位させるように(ポンピング動作モードにおいて)、または高圧ラインから低圧ラインに油圧流体を変位させるように(モータリング動作モードにおいて)動作可能な油圧ポンプモータ502と電子通信している。流体作業機械502は、エンジン504、例えば、バッテリによって電力供給され得る(そして、いくつかの実施形態では、バッテリを充電することが可能であり得る)電気エンジンによって駆動される(そして、いくつかの実施形態では、電気エンジンを駆動する)。
高圧ライン510は、負荷512、例えば(射出成形機のケースでは)油圧作動式プレス機を駆動する。負荷は、別のタイプの油圧作動式アクチュエータ、例えば油圧ラムまたは油圧式電気発電機であってもよい。異なる負荷または負荷の異なる部品(例えば、複動式ラムのシリンダの対向する端)を高圧ラインに選択的に接続するために、複数の負荷及び弁があってもよい。高圧ラインは、圧力センサ514を有する。制御部516は、本発明を実行するために、油圧ポンプモータ502を制御している間に圧力センサによって測定された圧力を処理するコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読メモリ(図示せず)と電子通信している少なくとも1つのプロセッサを備える。
また、図6〜15を参照して上述された試験手順は、高圧ライン510によって形成され、負荷の収容チャンバ、例えば、ラムを形成するように内部に装着されたピストンを有するシリンダ内部に接続された油圧回路領域の油圧剛性を測定するために実行される。
この例では、流体アキュムレータは設けられないため、図14及び15の領域3は存在しない。しかしながら、負荷の剛性性質、例えばラムの動きに対する抵抗、負荷の慣性等を判定することが可能である。ラム上の摩耗した封止は、例えば摩擦を生じさせ、それによって、ラムを動かすために必要とされる圧力レベルと剛性とを増大させる場合があり、したがって、剛性の測定値はワークシールを示す場合がある。当業者には、剛性に一体的に関連付けられ得るさまざまな他の負荷性質を予測期待することが可能であろう。
概して図6に示される構造を有する工業用油圧システムは、例えば製造機械及びロボットを含み、著しい漏れ(高圧側、例えば高圧ライン510から、低圧側、例えばタンク508または低圧ラインへ)の量に遭遇する場合がある。例えば、本発明の機械は、工業用システムに接続され、比較的高い漏れを被る一連のギアモータを備える油圧電力パック内部で用いられてもよい。したがって、そのようなシステムにおける流体漏れの測定値を得ることは特に有用であり、これを用いて、次の動作中に油圧ポンプモータによる油圧流体の変位を、アクチュエータに供給される油圧液の容量及び/または圧力を正確に調整するように制御することができる。
したがって、本発明の方法は、過剰な漏れ、またはアキュムレータの破損、もしくは場合によっては1つ以上の負荷の予想外の剛性の点検を行うための動作の前に用いられることができる。測定された剛性パラメータが所定の範囲外である場合、警報が発され得るか、またはシステムが動作不能になり得る。例えば、過剰な漏れが判定された場合、アキュムレータ封入圧力が通常動作のためにはあまりにも低く、場合によっては安全ではないと考えられる(例えば、20バールの「最低安全レベル」を下回る)場合、システムは、動作を阻止して、機械及び/またはユーザを保護する。
しかしながら、漏れが通常動作範囲内で発見された場合、機械は動作する。測定された漏れは、次の動作中に、例えば、負荷(例えば、射出成形機械のプレス機、掘削機またはロボットのアーム)として機能するアクチュエータの所与の動きを得るために、高圧ライン510の中または外に変位された油圧流体量を判定するために用いられ得る。
特に工業用システムでは、それら自体が異なる圧力で油圧システムに対する異なる剛性を提供する1つまたは複数の負荷512があり得る。全体として変位された油圧流体の所与の容量の結果と見なされる負荷に起因する圧力変化の推定値であるパラメータ、すなわちdP負荷が算出される。流体吸込み装置/吸込み源と関連付けられる一次機械を考慮すると、これは、システムを離れたいくつかの他の容量(例えば、油圧回路に延在し、容量を増大させるラム)の推定値を包含する。この推定は、一定の負荷以外の全切替え(一定の状態で完全に隔離される)を考慮している。このように、負荷の性質(例えば、アクチュエータの剛性)は、測定された油圧回路領域の剛性性質から判定することができる。
実施例3−車両トランスミッション
図17に示される別の実施例では、車両トランスミッションの形態のさらなる油圧装置が、2つの油圧回路領域を有し、その各々に対して本発明の方法を実行することができる。第1の油圧回路領域は、アキュムレータ520と流体連通している高圧ライン510を備える、本車両トランスミッションの高圧側にある。また、高圧ライン510は、制御部516に信号を送る圧力センサ514を有する。第2の油圧回路領域は、同じ制御部と電子通信し、低圧での使用が意図されるアキュムレータ522とも連通しているさらなる圧力センサ514を有する低圧ライン511を備える低圧側にある。高圧及び低圧側アキュムレータ520及び522は、封入圧力による加圧ガスサックを各々包含する。高圧側アキュムレータに対する封入圧力は、低圧側アキュムレータに対するものを上回る。油圧機械502は、または、駆動軸503を通して動力源(例えば、エンジン)504を駆動するか、またはそれによって駆動される。動力源504は、差動装置530を通してホイール526を駆動する駆動軸528に結合される。ギアボックス525と関連付けられた位置センサ524は、駆動軸503が静止しているか、及び車両がパーキングモードにあるかを判定し、この信号を制御部516に送りかえす。ホイールを駆動することに加えて、油圧機械502は、回生制動モードでホイールによって駆動することができることに留意されたい。
図2を参照して上述されたタイプの油圧ポンプモータを、車両内で用いる油圧ハイブリッドシステムは、高圧側510から低圧側511への油圧流体の軽度の漏れのみを被る可能性がある。油圧アキュムレータの不具合は、通常の動作サイクル中に油圧ハイブリッド車両の安全性、耐久性等に影響する場合があり、一例では、そのような車両の制御システムは、自己検査を周期ベースで実行するように設定される。
構成要素剛性検査(「自己試験」)は、以下の要件を満たす車両においてのみ開始される。
ギアボックス信号「駐車」状態、及び
原動力速度が「アイドル」状態、及び
システム制御部が「安全」状態を示し、及び
センサチェックが「okay」を示す(例えば、センサからの読み取り値が、通常機能基準、例えば範囲チェックを満たす)。
上記の要件のうちの1つ以上は、省略することができる。
上記の要件に加えて、構成要素剛性検査の実行は、以下のうちの1つ以上に依ることができる。
−「低温始動」及び/または「通常始動」ならびに/もしくは「任意始動」を経ているか。
−ユーザによって要求されているか(手動要求/オーバライド)。
−最後の構成要素剛性検査から経過した時間が、閾値(例えば、>1週間)を超えるか。
−油圧システムに新しい不具合が(例えば、別の検知または監視システムによって)検出されたか。
−保守モードに入ったか。
車両については、剛性検査の主要な目的は、低圧及び/または高圧側でのアキュムレータ封入を判定すること、及びまた、油圧流体の(ここでも低圧及び/または高圧側のいずれかからの)漏れを検出することである。
減圧ステップ
本発明のいくつかの実施形態では、油圧回路領域内部の圧力は、油圧剛性検査を実行する前に意図的に低減される。このことは、圧力が、異なる部品の性質が主に油圧剛性を判定する圧力領域を通って減少されることを可能にする。圧力は、パルスによって減少するのみであり、作業流体は、パルスによって油圧回路領域内に変位されるのみであって、そのため、圧力は各パルスに起因して上昇するが、通常はいくらかの油圧漏れと、その結果として起こるパルス間での(普通は軽微な)圧力損失とがある。
これを可能にするために、圧力は、油圧回路領域内の油圧流体を用いてモータ(前記の油圧機械であってもよい)を駆動することによって低減され得る。例えば、油圧流体によって駆動されるホイールモータを有する車両では、ホイールモータは、圧力を低減させるために駆動され得る。代替的に、圧力低減手段が設けられてもよく、例えば、加圧流体が高圧ラインの外に(低圧ラインまたはタンクに向かって)流れることを可能にするように作動可能である電子作動弁(圧力ダンプ弁)が設けられてもよい。また、減圧は、変位する油圧流体を高圧側から低圧側に変位させるように合成整流式油圧機械の弁を制御することによっても達成され得る。また、剛性検査が完了した後に、油圧システムが次の動作のために好適な状態になる(「準備状態」)ように、同様の減圧手順を実行してもよい。
代わりに、油圧システムは、動作前に(例えば、合成整流式油圧ポンプを動作させる油圧流体を油圧回路領域内に変位させることによって)加圧することができ、その後、剛性試験に、既知容量の油圧流体を油圧回路領域外に変位させることを含めてもよい。
油圧回路部内の変動する圧力
油圧流体が油圧回路領域の中に(または外に)変位される比率は、圧力とともに変動し得る。いったん油圧剛性(例えば、溶存ガス、ホース及び管の剛性、またはアキュムレータの封入圧力)に影響を及ぼす特定の物性を測定するために十分なデータ点(grossdP/dVの測定値)が得られると、圧力はその後、異なる物性(例えば、ホース及び管の剛性、またはアキュムレータの封入圧力、もしくは圧力逃し弁が開く圧力)が測定される範囲に達するまで、さらに急速に増大(または減少)し得、その後、変化率は再度減少し得る。油圧流体が油圧回路領域の中に(または外に)変位される比率は、能動的サイクルを実行する作動室のサイクルの割合を変化させることによって、さもなければ、油圧流体のパルスの変位の頻度を、または容量を変化させることによって変動させることができる。
いくつかの実施形態では、油圧回路領域の剛性性質は、部分的または全体的に分かっていなくてもよい。あまりにも大きな容量の油圧流体が最初に変位された場合、油圧回路領域内の圧力は、剛性の有用な測定がなされ得る圧力範囲のいくらか、例えば領域1及び/または2を素早く通過するか、あるいはバイパスし得る。そのようなケースでは、システムを加圧するために本発明の一部として導入された離散的容量は、保守的な方法で加圧され始める。少ない容量を有するシステム内でフルポンピングストロークを行うと、結果として、おそらくは領域3内のどこかに(アキュムレータ封入レベルを上回る)低い大気圧から直接システム圧力が遷移し得る。したがって、第1のパルスサイズは、「部品ストローク」動作モードを用いることによって、非常に小さく設定することができ、それによって、作動室容量の1つのサイクル中の作動室による最大変位のうちのわずか(これは、例えば20%未満または10%未満等の小さな割合であってもよい)のみが提供される。これは、小容量を有する堅固なシステムに大容量の流れがもたらされる可能性を回避し、かくして領域1及び2をバイパスする。
一例では、圧力が領域1及び2を通過している間の測定を有用にするために、流体パルスサイズは、個々の作動室の最大ストローク容量の15%に設定される。圧力を異なる部品の物性を測定するために必要とされるレベルまで引き上げるために、200を超えるそのようなパルスが必要とされると判定された場合、次のパルス(同じ試験またはその次の試験の中で)については、試験手順は、代わりに作動室容量のフル(最大)ストロークサイクルを用いることができる。当業者には、部品ストロークと、より大きな容量の部品ストロークまたはフルストロークとの間で起こり得る遷移のタイミングは、無数の方法で判定することができることが理解される。非常に堅固なシステムは、圧力が上昇する前にポンピングされる容量をほとんど必要とせず、本発明は、おそらくは、数多くの小部品のポンプが設けられる油圧的にソフトなシステムを、極度に長期間にわたって待機させる必要性を回避することができる。圧力を中間レベル程度まで引き上げるためにあまりにも多いパルスを要する場合、システムはその後、現在の方策を中止し、代わりに流体パルスのより長い部分あるいは全体を選択することができる。さらに、パルスサイズまたはそのパルスと関連付けられる変位のサイズは、観察された剛性に基づいて選定することができる。
本発明のこれらの実施形態は、ポンプ(またはモータ)がアプリケーションエンジニアによって「標準仕様品」として取り上げられる工業的環境に特に適用可能であり、新しく、場合によっては以前に未使用であり、特に以前に特徴付けられていない油圧システムに適合する。
周波数応答の特徴付け
本発明はまた、圧力センサによって測定されたような、油圧回路部の中または外への油圧流体の変位のパルスに対する、油圧回路部における圧力の周波数領域応答を判定するために使用されることもできる。油圧システムでは、各々のラインは、各自の長さ及び剛性を有する。したがって、流体部分の変位に対する測定された圧力の応答は、特定の時間後の単純な圧力変化よりもさらに複雑である。通常は、油圧流体のパルスの導入に対する圧力の応答は、初期のパルスと、それに続く、反射によって生じるリンギングとで構成される。長いホース及び圧力ラインは、そのような反射源の例である。
本発明は、入力(離散的油圧流体のパルスの変位)と出力(測定された圧力)との間の関係を指定する伝達関数への、インパルス応答の変換を含む。この変換プロセスは、固有共振周波数及び特性エコー時間の両方を判定することを包含する。
必要とされるステップは、以下のとおりである。
−複数の個々の油圧流体のパルスが、油圧回路領域に変位される。これは、油圧回路領域における油圧流体の容量の段階的変化に至る。
−油圧回路領域内の圧力が、頻繁にサンプリングされて記憶され、それによって、油圧流体の容量のこの段階的変化に対する圧力の応答を記憶する。
−圧力測定の時系列が、流体パルスが送達及び解析されて、油圧流体のパルスの個々の変位に対する油圧回路領域内の圧力のインパルス応答をもたらすように、既知の時間を用いて並べられる。解析を容易にするために、パルスの開始及び終了精密なタイミングが、正確に測定される。これは、例えば、油圧機械の回転可能な軸の位置のセンサを用いて測定された作動室サイクルの位相と、作動室容量の個々のサイクルにおいて能動的または非能動的サイクルを経るかに関する決定の解析と、弁開閉信号の精密なタイミングの測定(または記録)とから判定することができる。このステップは、生成されている弁開放信号または閉鎖信号と、結果としての実際の弁の開閉との間の時間差を考慮することを含み得る。
−そして、伝達関数(システムシグネチャ応答)が、インパルス応答から、例えばラプラス変換を用いて導き出される。
−その後、伝達関数を用いて、システムの共振周波数を判定し、そしてひいては特性反映時間等を判定することができる。反映は、インピーダンスの変化、例えばホース径の変化等に起因する。
−結果として得られる周波数解析は、異なる周波数成分の相対強度及び異なる周波数成分の相対位相を設定するデータ構造の形態で記憶され得る。
このことは、油圧回路領域内の圧力の応答が、時間領域内で特徴付けられることを可能にする。この時間領域解析は、油圧回路領域に対する損害を特定するために、例えば、予想外の共振(または、予想される共振の欠如)を特定するために、有用である。また、時間領域解析は、油圧装置の次の動作を調整するためにも有用である。
油圧ポンプまたはモータによって生成された作動室容量の能動的及び非能動的サイクルのパターンは、固有振動数を生成し、これは、油圧ポンプまたはモータの軸速度によって、または能動的サイクルが変化する作動室容量のサイクルのうちのわずかによって変化する。したがって、能動的及び非能動的サイクルのパターンは、能動的及び非能動的サイクルのパターンの特徴的な周波数が、共振周波数または油圧回路領域の周波数応答の他の比較的強力な成分に留まることを回避するように変動させることができる。
油圧流体のパルスは、異なる期間を有していてもよい。例えば、部分的モードストローク(容量サイクルにおける、作動室による油圧流体の最大変位の非ゼロかつ1ではない端数)は、フルモードストローク(油圧流体の最大変位が選択される)よりも短い期間を有する。これらは、より高い周波数成分の割合を有するより急激な流体パルスを提供する。これは、油圧回路領域の時間応答のより詳細な特徴付けを可能にする。
結合された部品の時間領域解析
時間領域解析はまた、油圧回路領域以外の油圧システムの部品の応答に関する情報を提供することができる。油圧回路領域外のいくつかの部品の時間領域応答は、油圧回路領域内の圧力の時間応答から測定することができるが、油圧回路領域外のいくつかの部品の時間領域応答は、他のセンサ、例えば、加速度センサ、位置センサ、ひずみゲージ、または軸速度センサを用いて測定することができる。
例えば、油圧機械がベルトによってエンジンに結合された実施形態では、ベルトは、油圧機械によって生成された流体パルスに対する、油圧機械の回転可能な軸の回転速度のインパルス応答から判定することができる固有振動数を有する。
測定されたデータの後の使用
試験モード中に測定されたデータは、数々の用途で用いられることができる。
別の例示の実施形態は、EP0361927及びEP0494236(各々の内容は、ここでの参照により本明細書に組み入れられる)に開示された圧力制御アルゴリズムの変動を用いる。これらの公報は各々、作動室容量の各サイクルにおいて能動的または非能動的サイクルを経るかについて、高圧ラインで(例えば、ポンプの出力時またはモータの入力時に)測定された圧力と目標圧力とを比較し、能動的または非能動的サイクルのどちらでも、測定された圧力を目標圧力に最もよく整合させる法を選択することによって、決定を行う。このように、高圧側の油圧流体の圧力は、目標に整合するように調整される。非能動的サイクルに代えて能動的サイクルが選択されるために必要とされる、測定された圧力と目標圧力との間の差は、その圧力について測定された油圧剛性(grossdP/dV)に依存する圧力とともに変動し得る。通常は、圧力制御アルゴリズムは、フィードバック制御(例えば、負フィードバック)を用いて実施され、フィードバック制御のパラメータ(例えば、ゲイン)は、測定された油圧剛性(grossdP/dV)の、圧力との変動に依存して、圧力とともに変動し、それによって、調整された圧力を平滑化するか、またはオーバーシュートまたは振動を最小限にすることができる。このように、作動室容量の各サイクルにおいて能動的または非能動的サイクルを選択するアルゴリズムは、測定された油圧剛性を考慮し得る。
別の実施形態では、第1のアルゴリズムを用いて、圧力が閾値圧力を下回ったときに、作動室容量の各サイクルにおいて能動的または非能動的サイクルを選択し、第2のアルゴリズムを上述と同じ目的で閾値圧力に用い、閾値圧力は、測定された剛性性質に依存し、例えば閾値圧力は、アキュムレータの測定された封入圧力であり得る。同様に、閾値は、存在するガス(溶存ガスまたはガス気泡)の影響を考慮に入れるように適用され得る。存在するガスがより多量であると、所与の弁開閉タイミングで各能動的サイクル中に変位された油圧流体の実際の容量が低減する。存在するガスの影響は、低圧でのgrossdP/dV曲線の形状から判定することができ、これを用いて、閾値を変更するか、そうでなければ各サイクルにおける各シリンダによる油圧流体の正味の変位を選択するアルゴリズムに適用することができる。また、部分的モードサイクル中にシリンダによってなされた最大変位の割合は、存在するガスの判定された影響を考慮して選択することができる。
既知でないシステムの解析
図6〜15を参照して上述された試験方法は、既知でない性質の、例えば、既知でない容量の、既知でない剛性(例えば、ホース、管等の)の油圧回路領域に取り付けられた油圧ポンプまたはモータについての動作パラメータの設定を可能にするためにもまた有用であり、油圧回路領域は、アキュムレータを有していてもよく、またはそうでなくてもよく、これは、存在する場合、既知でない性質(剛性、封入圧力)を有していてもよく、または既知でない油圧流体がある状態であってもよい。試験方法を実行することによって、油圧ポンプまたはモータが取り付けられた油圧回路領域のこれらの性質を判定することができ、油圧ポンプまたはモータ及び油圧回路領域を備える油圧システムの次の動作を容易にする。したがって、油圧ポンプまたはモータが最初に動作されたときに、試験を初期動作モードで実行し得る。
すべり解析
本発明の1つの用途は、例えば、図17による車両トランスミッションの油圧機械504に結合されたドライブトレーン(524、525、528、530、526)の、または図1の風力発電機の油圧ポンプ12に結合されたブレード側ドライブトレーン(6、8、14)もしくは油圧モータに結合された発電機側ドライブトレーン(18、20、22)のクラッチで、すべりが生じる状況を測定することである。すべりを検出するために、油圧機械は、離散的油圧流体のパルスの変位(車両トランスミッションの例では高圧ラインから低圧ラインへの、風力発電機のブレード側ドライブトレーンの例もしくは第2の風力発電機の例では、低圧ラインから高圧ラインへの、発電機側ドライブトレーンの例では高圧ラインから低圧ラインへの)を作り出し、その各々は、ほぼ同じ大きさの離散的パルス及び変位を有する。しかしながら、高圧ライン内の圧力は漸増し、そのため各パルスによって生成されたトルクが増大する。したがって、油圧機械(14)の回転軸または油圧機械回転軸(例えば、駆動軸528)に結合された他のドライブトレーン部品の測定された速度は、各パルスによってより大きくなる。通常モードでは、すべりがなく、各々のそのようなパルスと関連付けられるわずかな速度低下がある。しかしながら、生成されたトルクが、結合部の(例えば、クラッチの)すべりを生じさせるために十分高い場合、速度低下は、予想されたものを上回る。合成整流式油圧機械は、通常は、取り付けられるドライブトレーンと比較して比較的低い慣性を有し、そのため、その速度は、すべりが生じると著しく低下する。この増大された軸速度の低減を検出し、トルクすべりが生じ始めたときを判定するために用いる。
これを用いて、使用時に、及び油圧装置の次の稼働中に、油圧装置によって生成されるべきトルクの過渡限度を算出することができる。油圧機械の変位は、油圧機械がこれらの過渡限度を超えることによって生成されるトルクを回避するように制御することができる。同様に、油圧機械に取り付けられた原動力が油圧機械(特に、車両トランスミッションでは原動力に同伴されたポンプとして組み入れられる)によって生成されたトルクに応答する速度を測定して、次の制御で用いることができる。同様に、車両トランスミッションでは、ホイールが油圧機械によって(機械がモータであるときは加速中に、または機械がポンプであるときは制動中に)生成されたトルクの変化に応答する速度を測定して、次の制御で(おそらくは、回生制動、アンチロック制動、油圧モータリングまたはけん引制御戦略の部品として)用いることができる。