JP2018522580A - 安定性が増加されたヒト繊維芽細胞成長因子−2変異体及びその用途 - Google Patents

安定性が増加されたヒト繊維芽細胞成長因子−2変異体及びその用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子変異体及びその用途に関する。より詳細には、配列番号1のアミノ酸配列内の2個以上のアミノ酸がセリンに置換され、1個以上のアミノ酸がシステインで置換された、高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor、bFGF)変異体(mutant)、前記bFGF変異体をコードするDNA塩基配列、前記DNA塩基配列を含む発現ベクター、前記発現ベクターによって形質転換された形質転換体、前記bFGF変異体の生産方法、及びbFGF変異体を有効成分として含む組成物を提供する。本発明によれば、本発明のbFGF変異体は、熱安定性と水溶液の状態での安定性に優れて流通と保管の過程の中でも、既存の天然型bFGFの製品とは異なり活性を失わない機能性化粧品及び皮膚の炎症治療剤の生産が可能である。

Description

本発明は、高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子変異体及びその用途に関する。
成長因子は、細胞の成長、増殖、分化を調節する重要な役割を果たす。したがって、私たちの体は、傷、手術など内的及び外的要因による皮膚の損傷と老化に対して自然に修復するシステムが存在し、ここで重要な役割を担うのが成長因子である。各組織の機能を維持するために、様々な成長因子などが生成され、一定の濃度に維持されて機能を遂行している。加齢に応じて、皮膚などの各組織で成長因子の濃度は低くなり、細胞の再生及び分裂機能が弱くなり、しわが形成され、弾力性が減少するなど、老化が進む。
そのうちbFGF(Basic Fibroblast Growth Factor、FGF−2)は、154個のアミノ酸から構成されており、分子量17.123ダルトン(Dalton)のポリペプチドから構成されている。これは発生、血管生成そして傷の治癒に重要な役割を果たす。FGF−2は、マイトジェン(有糸分裂物質)と化学走化性因子として、傷の治癒、血管の生成、そして神経系の成長において強い媒体である。
しかし、このような血液及び組織に存在する成長因子の場合、その体内半減期が数分程度で非常に短いことが知られており、特にbFGFの場合、その構造上にジスルフィド結合を形成しない4つのシステイン残基を有することにより、その安定性に多くの影響を受けるという問題がある。
また、bFGFのようなタンパク質治療剤の生物学的利用度は、短いプラズマ半減期及びプロテアーゼに対する感受性によってしばしば制限されて、最大の臨床効能を妨害する。bFGFをさらに効果的に用途を開発するためには、体内での安定性に加え、体外での物理化学的安定性を向上させてこそ医薬部外品及びクリームなどの化粧品の製造、保管、流通過程での使用が増加する。
したがって、より安定し、かつ活性のある新規bFGF変異体の開発が必要である。
大韓民国公開特許第10−2009−0083062号公報
本発明者らは高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor、bFGF)変異体(mutant)を開発するために鋭意努力した。その結果、bFGFタンパク質の安定性を増加させ、二量体化(dimerization)を防止するために、タンパク質のアミノ酸配列に変形を与える方式の分子設計方式を適用して、熱安定性と水溶液の状態での安定性に優れた効果を確認することにより、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子変異体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、bFGF変異体をコードするDNA塩基配列を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、前記DNA塩基配列を含む発現ベクターを提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、前記発現ベクターによって形質転換された形質転換体を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子変異体を生産する方法を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、高安定性bFGF変異体を有効成分として含む皮膚状態の改善用化粧料組成物を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、高安定性bFGF変異体を有効成分として含む皮膚疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列内の2個以上のアミノ酸がセリンに置換され、1個以上のアミノ酸がシステインに置換され、表面のアミノ酸の1個がチロシンに置換された高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子変異体を提供する。
本明細書で使用される用語「塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)」又は「FGF−2」は、分子量約18kDaに達する塩基性タンパク質(pI9.58)であり、脳下垂体から主に分泌され、様々な中胚葉由来の細胞の成長を促進することが知られている。また、これは血管内膜細胞及び平滑筋細胞の成長を促進するタンパク質として外傷治療及び脈管形成に優れた効能を示し、コラーゲンとエラスチンの合成を増加させることで、皮膚の弾力を維持し、正常な細胞の成長を助け、傷からの回復を促進し、その治癒作用を行うことが知られている。
本発明の変異体は、bFGFの3次構造と種間の相同性アライメント(homology alignment)方法、及びコンピュータを用いたタンパク質の分子モデリングを通じ、bFGFの活性部位と関連のない部位を選定し、変異実験によって製造された変異体として、bFGFと他のbFGFがジスルフィド結合を形成するシステインのアミノ酸残基が類似する構造のセリン残基に置換されて表面のジスルフィド結合による沈殿に対して安定性が高められる。また、bFGF内のループに近い残基の1個をシステイン(cysteine)に置換させてジスルフィド結合をさらに生成させることで、ループエントロピーを減少させる方法で安定性が増加したことを特徴とする。また、bFGF内にHis残基をTyrに置換することにより、水素結合及びファンデルワールス相互作用(Van der waals interaction)を増加させ、タンパク質のキャビティ構造を安定させる方法で安定性が増加されたことを特徴とする。
本発明の好ましい実施例によれば、前記セリンに置換されたアミノ酸は、配列番号1のアミノ酸配列69番目のシステイン及び87番目のシステインである。
本発明の好ましい具現例によれば、前記システインに置換されたアミノ酸は、配列番号1のアミノ酸配列で26番目リジン;配列番号1のアミノ酸配列で34番目イソロイシン;配列番号1のアミノ酸配列で40番目バリン;配列番号1のアミノ酸配列で50番目ヒスチジン;配列番号1のアミノ酸配列で52番目リジン;配列番号1のアミノ酸配列で75番目アラニン;配列番号1のアミノ酸配列で76番目メチオニン;配列番号1のアミノ酸配列で117番目アラニン;配列番号1のアミノ酸配列で67番目グリシン;配列番号1のアミノ酸配列で68番目バリン;配列番号1のアミノ酸配列で70番目アラニン;配列番号1のアミノ酸配列で82番目ロイシン;配列番号1のアミノ酸配列で84番目アラニン;配列番号1のアミノ酸配列で108番目セリン;配列番号1のアミノ酸配列で136番目アラニン;配列番号1のアミノ酸配列で137番目イソロイシン;配列番号1のアミノ酸配列で138番目ロイシン;及び配列番号1のアミノ酸配列で144番目アラニンからなる群から選択された1種以上であり、より好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列で40番目バリン;配列番号1のアミノ酸配列で50番目のヒスチジン;配列番号1のアミノ酸配列で52番目リジン;配列番号1のアミノ酸配列で75番目アラニン;配列番号1のアミノ酸配列で76番目メチオニン;配列番号1のアミノ酸配列で117番目アラニンからなる群から選択された1種以上であり、最も好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列で75番目アラニンである。
さらに変異体で75番目アラニンをシステインに置換した変異体にタンパク質表面に露出された残基であるヒスチジン50番残基をチロシンに置換した変異体が最も好ましい変異体である。
すなわち、本発明のbFGF変異体は、天然型ヒトbFGFアミノ酸配列(配列番号1)の69番目及び87番目のアミノ酸残基であるシステインがすべてセリンに置換され、50番目ヒスチジンのチロシンに置換され、75番目のアミノ酸残基であるアラニンがシステインにさらに置換されて、分子内ジスルフィド結合を形成し、残りのアミノ酸配列は、天然型のアミノ酸配列と同じヒトbFGFミューテイン(mutein)を提供する。
本発明のbFGF変異体は、タンパク質活性を維持しながら熱に対する安定性が天然型に比べて増加する。下記の実験例1〜3に示すように、bFGF変異体は、天然型と同等の活性を有しており、熱に対する安定性がやはり顕著に増加したことがわかる。bFGF変異体の中で69番と87番のアミノ酸をセリンに置換して、75番のアミノ酸をシステインに置換した後、ジスルフィド結合を誘導した本発明のK75(Stable basic Fibroblast Growth Factor、sbFGF)は対照群である天然型bFGF、69番と87番のアミノ酸をセリンに置換したbFGF変異体、75番アミノ酸をシステインに置換したbFGF変異体に比べて熱安定性が向上した。また、前記K75の50番ヒスチジンのチロシンに置換されたHsbFGFの場合、対照群である天然型及びK75より優れた熱安定性が向上した。
本発明の他の態様によると、本発明は、前記bFGF変異体をコードするDNA塩基配列(配列番号2)、及びこれを含む発現ベクターを提供する。
本発明の発現ベクターは、一般的な発現用ベクターにbFGFの遺伝子を挿入して製造することができる。本発明の好ましい実施例では、発現用ベクターとしてpET21aベクターを使用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、一般的に使用可能なすべての細胞発現用ベクターを使用することができる。本発明の好ましい実施例では、pET21aベクターにbFGF遺伝子を挿入したベクターを製造し、これを「pSSB−bFGF」と命名した(図1bに開示)。
本発明の他の態様によると、本発明は、前記発現ベクターによって形質転換された宿主細胞である形質転換体を提供する。
本発明のbFGF変異体は、部位特異突然変異誘導法等により製造されたbFGF変異体をコードする遺伝子を含有するベクターで宿主細胞を形質転換させ、bFGF変異体を発現させる方法で製造することができ、また、化学的アミノ酸合成方法によって製造することができる。
bFGF変異体をコードするDNAは、天然型bFGFの前記置換される部位のアミノ酸をコードするDNAである。bFGF変異体をコードするDNA配列として好ましいのは、69番目と87番目のコドンがセリンをコードするコドンに置換され、75番目のコドンがシステインをコードするコドンに置換されたものである。また、前記K75の50番ヒスチジンのチロシンに置換されたHsbFGFの場合、対照群である天然型及びK75より優れた熱安定性が向上した。
一方、コドンの縮退(degeneracy)によって1個のアミノ酸をコードするコドンが多数存在するため、同じアミノ酸配列をコードするDNAであっても、そのヌクレオチド配列が異なりうることは周知の事実である。
このようなbFGF変異体をコードするDNAは、化学的に合成するか、天然型bFGF cDNAを製造し、これを基に部位特異突然変異誘導法などの方法を用いて製造することもできる。
前記製造された本発明のbFGF変異体をコードするDNAは、当分野で公知の適切な原核又は真核発現システムのいずれかを用いて、これを発現させることができる(Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Habor Laboratory, Cold Spring Habor Laboratory Press, USA, 1989)。
発現は、糖化されていないbFGF変異体の場合、好ましくは大腸菌、例えば、大腸菌BL21(DE3)、大腸菌JM109(DE3)、大腸菌NM522などで行われ、大腸菌における発現のために使用することができる適切なベクターは、Sambrookなどの文献(同上)及びFiersなどの論文(“Proced.8th Int. Biotechnology Symposium”, Soc. Frac, de Microbiol., Paris,(Durand et al., eds.),pp.680-697, 1988)に言及されている。
上述したベクターによる宿主細胞の形質転換は、通常の方法のいずれかによって行うことができる(Sambrooketal., Molecular Cloning, ALaboratory Manual, 1989; Ito et al., J. Bacteriol. 153:263, 1983)。
大腸菌を形質転換させる場合には、DNAを吸収することができるコンピテントセル(competent cell)を準備し、続いて公知の方法などにより処理することができる。
本発明の他の態様によると、本発明は、次のステップを含む高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor、bFGF)変異体(mutant)の生産方法を提供する:
(a)前記形質転換体を培養するステップ;及び
(b)前記ステップ(a)で得られた培養液から変異体を分離するステップ。
本発明の好ましい具現例によれば、前記方法の(b)ステップは、
(c)前記形質転換体を細胞破砕し、凝集体を分離するステップ;
(d)前記分離された凝集体を除去するステップ;
(e)前記凝集体が除去された上清をイオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて分離精製するステップ;及び
(f)前記イオン交換樹脂後、高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子変異体をヘパリン親和クロマトグラフィーを用いて分離精製するステップを含む。
一般的に、目的発現ベクターを含有する宿主微生物は、目的タンパク質の生産を最大化する範囲で最適な成長条件で培養される。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を選択標識として含有するベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)細胞は、アンピシリンが含有されたLB培地で37℃で培養する。
形質転換された宿主細胞を培養した後、生産されたbFGF変異体の回収及び精製は、当該分野で公知の様々な方法又はそれらを組み合わせて使用することにより行うことができる。例えば、形質転換された大腸菌細胞から発現されたbFGF変異体は、細胞培養物から、又は細胞の破砕後にタンパク質化学系に公知された適切な方法によって抽出することにより、回収することができる。
好ましくは、bFGF変異体を精製するために、組換え大腸菌細胞の培養液を遠心分離して細胞を収穫し、収穫した細胞をリゾチームを添加した緩衝溶液に懸濁させ、超音波で破砕する。細胞破砕液を遠心分離して不溶性顆粒状の凝集体を分離し、前記分離された凝集体を除去する。前記凝集体が除去された上清をイオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて分離精製し、イオン交換樹脂の後、ヘパリン親和クロマトグラフィーを用いて分離精製して結果物である高安定性bFGF変異体を獲得する。
本発明の他の態様によると、本発明は、前記高安定性bFGF変異体を有効成分として含む皮膚疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
下記の実施例で実証されたように、本発明の高安定性bFGF変異体は、天然bFGFと同じ活性を有し、非常に優れた熱安定性及び水溶液での安定性を有する。したがって、本発明の組成物は、皮膚疾患の予防又は治療に非常に有効である。
好ましくは、本発明の組成物は、皮膚の炎症、急性・慢性湿疹、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、慢性単純苔癬、間擦疹、剥奪皮膚炎、丘疹状蕁麻疹、乾癬、日光皮膚炎及びニキビなどの皮膚疾患の予防又は治療に使用される。
また、本発明の組成物は、創傷治療用組成物を提供することができる。
好ましくは、本発明の組成物は、閉鎖創(closed wound)及び開放創(open wound)の治療に使用される。閉鎖創の例は、挫傷(contusion or Burise)を含み、開放創の例は、擦り傷(abrasion)、裂傷(laceration)、剥離傷(Avulsion)、刺し傷(penetrated wound)及び銃傷(gun shot wound)を含む。
本発明の組成物は、(a)上述した本発明のbFGF変異体の薬学的有効量;及び(b)薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物である。
本明細書で使用される用語「薬学的有効量」は、上述したbFGF変異体の効能又は活性を達成するのに十分な量を意味する。
本発明の薬学的組成物に含まれる薬学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分に加えて潤滑剤、湿潤剤、甘味料、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。適切な薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
本発明の薬学的組成物は、経口又は非経口、好ましくは非経口投与することができ、非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、局所投与、経皮投与などで投与することがことができる。
本発明の薬剤学的組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食品、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性などの要因によって多様に処方することができる。一方、本発明の薬剤学的組成物の好ましい1日投与量は、0.001〜100mg/kgである。
本発明の薬剤学的組成物は、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法に従って、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することにより、単位容量形態で製造、又は多容量容器内に入れて製造することができる。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又はエマルジョンの形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又はゲル(例えば、ハイドロゲル)の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。
本発明の他の態様によると、本発明は、前記高安定性bFGF変異体を有効成分として含む皮膚状態の改善用化粧料組成物を提供する。
下記の実施例で実証されたように、本発明の高安定性bFGF変異体は、天然bFGFと同じ活性を有し、非常に優れた熱安定性及び水溶液での安定性を有する。したがって、本発明の組成物は、皮膚状態の改善に非常に有効である。
好ましくは、本発明の組成物は、しわ改善、皮膚の弾力改善、皮膚の老化防止、脱毛防止又は発毛促進、皮膚保湿の改善、シミの除去、又はニキビの治療のような皮膚状態の改善に用いられる。
本発明の組成物は、(a)上述した本発明のbFGF変異体の化粧品学的有効量(cosmetically effective amount);及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧料組成物である。
本明細書で使用される用語「化粧品的有効量」は、上述した本発明の組成物の皮膚改善効果を達成するために十分な量を意味する。
本発明の化粧品組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形でも製造することができ、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化することができるが、これに限定されるものではない。より詳細には、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー又はパウダーの剤形で製造することができる。
本発明の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などを用いることができる。
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート又はポリアミドパウダーを用いることができ、特にスプレーの場合には、さらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を含むことができる。
本発明の剤形が溶液又は乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、溶解剤又は油濁剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー又はトラカントなどを用いることができる。
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコール硫酸、脂肪族アルコールエーテル硫酸、スルホコハク酸モノエステル、イセチオン酸、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどを用いることができる。
本発明の化粧品組成物に含まれる成分は、有効成分としてのbFGF変異体と担体成分に加えて、化粧品組成物に通常的に用いられる成分を含み、例えば抗酸化剤、安定化剤、溶解剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤を含むことができる。
本発明の組成物は、上述した本発明の高安定性bFGF変異体を有効成分として含むため、この両者間に共通の内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
本発明によれば、本発明のbFGF変異体は、熱安定性と水溶液の状態での安定性に優れ、流通と保管の過程でも、既存の天然型bFGFの製品とは異なり、活性を失わない機能性化粧品の生産及び皮膚創傷被覆剤などに活用が可能である。
プラスミド及びpSSB−bFGFの組み立ての概要を示す。 プラスミド及びpSSB−bFGFの組み立ての概要を示す。 天然型bFGFと本発明のbFGF変異体の細胞破砕後のT(細胞破砕後の懸濁液)S(細胞破砕後の上清)P(細胞破砕後の不溶性凝集体)のSDS−PAGEの結果を示す。 天然型bFGFと本発明のbFGF変異体の細胞破砕後のT(細胞破砕後の懸濁液)S(細胞破砕後の上清)P(細胞破砕後の不溶性凝集体)のSDS−PAGEの結果を示す。 天然型bFGFと本発明のbFGF変異体の熱安定性の指標であるTM(融解温度)の差異の結果を示す。 天然型bFGFと本発明のbFGF変異体の活性の比較結果を示す。 天然型bFGFと、本発明のbFGF変異体の人体の状態に最も近いPBS(Phosphate buffer saline)状態で、25℃で20日間インキュベーションした後の安定性の比較結果を示す。 天然型bFGF(A)と本発明のbFGF変異体(K75)(B)の最終精製後のSDS−PAGEを用いた分析である。 天然型bFGFと本発明のsbFGF変異体及びHsbFGFの熱安定性の指標であるTM(融解温度、Melting temperature)の差異の結果を示す。 本発明のsbFGF変異体及びHsbFGFの人体の状態に最も近いPBS(Phosphate buffer saline)状態で、50℃で一週間インキュベーションした後の安定性の比較結果を示す。 天然型bFGFと本発明のsbFGF変異体及びHsbFGF人体の状態に最も近いPBS(Phosphate buffer saline)状態で、60℃で5日間インキュベーションした後の安定性の比較結果を示す。 天然型bFGFと本発明のsbFGF変異体及びHsbFGF人体の状態に最も近いPBS(Phosphate buffer saline)状態で、60℃で5日間インキュベーションした後のHPLC定量の比較結果を示す。 天然型bFGFと本発明のbFGF変異体のbFGF活性の比較結果を示す。
以下、実施例は、ただ本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に基づいて、本発明の範囲がこれら実施例により制限されないことは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。
実験方法及び材料
DNAコンストラクション(construction)
タンパク質の発現ベクターであるpET21a(図1)と発現用E.coli菌株ではBL21(DE3)、Rosetta(DE3)をNovagenから購入し、クローニング用E.coli菌株はTop10を用いた。遺伝子組換え時に使用された制限酵素はすべてNEB(New England Biolabs)の製品であり、リガーゼはRoche社のT4 DNAリガーゼである。PCR時に使用されたEx taq DNAポリメラーゼはTakara社の製品であり、点突然変異に使用されたpfuUltraTMHF DNAポリメラーゼは、Agilent社の製品である。DNAゲル抽出キット、プラスミドミニプレップキットは(株)コスモジンテックの製品である。また、プライマーは(株)コスモジンテックで製作し、DNAシーケンシングも(株)コスモジンテックに依頼して行った。
タンパク質発現(Protein expression)
発現誘導体であるIPTG(isopropyl−1−thio−β−D−galactopyranoside)と抗生剤として用いられたアンピシリンとクロラムフェニコールはすべてSigma社から購入した。E.coli培養LB培地を作製するときに使用したバクトトリプトン、酵母エキスはBD(Becton Dicknson)社から購入し、NaClはトクヤマ製品を使用した。
タンパク質精製(Protein purification)
精製過程で使用される試薬は、可能な限り純度の高い製品を使用し、精製過程で使用した試薬は、以下の通りである。一塩基性リン酸ナトリウム(Sigma)、二塩基性リン酸ナトリウム(Sigma)、塩化ナトリウム(Sigma)である。FPLCで使用されたカラムはGE healthcareのSP−sephrose、ヘパリン親和性カラムを使用した。
FPLC
FPLCはGE UPC−800を使用した。
CD(円偏光二色性、Circular dichroism)
CDはJasco社J−810 spectropolarimeterを使用した。
相同性モデリング(Homology modeling)
相同性モデリングはモデラー(Andrej Sali lab)を用いた。
エネルギーミニマイゼーション(Energy minimization)
エネルギーミニマイゼーションはキメラに含まれるAmber 99FF force filedを使用した。
ジスルフィド結合予測(Disulfide predict)
ジスルフィド結合の形成による予測は、YASARA Web serverを用いた。
ジスルフィド結合距離測定
ジスルフィド結合が可能な距離を測定するploting programはProtein contact map visualization(Andreas Viklund.)を用いた。
タンパク質の構造
PDBに登録された4FGF、1BLA 1BLDを用いた。
ベクターシステム(Vector system)
変異体bFGFを生産するための発現ベクターとしてpET21aベクター(Novagen)を使用した。天然型(wild type)bFGF遺伝子は(株)PnP biopharmから得、これを下記プライマーを用いてPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を介して、天然型を増幅させた。このように得られたPCR産物をpET21aベクターに制限酵素であるNdeI,XhoIを処理した後、挿入して接合させた。
点突然変異(Point mutation)
bFGFの安定性を増加させるために、タンパク質の構造(PDB:4FGF)と分子モデル方法を通じて変化させるアミノ酸部分を探し、下記プライマー(下記実施例4)を使用してpfu UltraTMDNAポリメラーゼを用いてQuikchange突然変異誘発法を用いて増幅させた。使用した天然型bFGF鋳型を除去するためにDpnI反応を進行してTop10に形質転換(transformation)させ、シーケンスを通じて変異体(mutant)を確認した。
天然型及び変異体bFGFの発現
bFGFが挿入された組換えベクターをE.coli BL21(DE3)に熱ショック法で形質転換させた。このE.coli菌株を50ug/mlアンピシリンを含む500ml LB培地に接種してO.D600値が0.6になるまで37℃で育てた。その後0.5mM IPTG(isopropyl−1−thio−β−D−galactopyranoside)を入れて4時間培養した後O.D600値が2.0以上になると8000rpmで10分間遠心分離してcellを取った。
細胞破砕
bFGFタンパク質を発現させたE.colilからタンパク質を得るために、細胞を破砕した。収集した細胞に20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁し、4℃で超音波破砕機で破砕した。この後、13000rpmで15分間、4℃で遠心分離して不溶性物質(inclusion body)を除去した後、上清を取ってSDS−PAGEで確認した。
形質転換体(transformation)の精製
超音波処理によって破砕された細胞溶解液を4℃で13000rpmで15分間遠心分離した。上清をとって0.45umフィルターを用いてフィルタリングをし、この溶液をFPLC(Fast performance liquid chromatography)SPカラムとヘパリンカラムを用いて精製した。このとき、精製条件は、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に100mM NaCl溶液Aと20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に1M NaCl BをSPカラムに2ml/分の速度で0%Aから100%Bまで直線勾配で流して溶出させた後、約18KDaサイズのbFGFタンパク質を含む画分を集めた。その後、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に500mM NaCl溶液Aと20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に2M NaCl Bをヘパリン親和性カラムに2ml/分の速度で0%Aから100%Bまで直線勾配で流して溶出させた後、約18KDaサイズのbFGFタンパク質を含む画分を集めた。このとき、bFGFを含む画分をSDS−PAGE分析法で確認した後、定量を行った。
分子モデリング(Molecular modeling)
PDBに登録されたタンパク質の構造である1BLA(NMR)を用いて、ジスルフィド結合が可能な候補群を設定した。タンパク質接触マップ可視化(Protein contact map visualization)プログラムを用いて、2個のアミノ酸のC−alpha炭素の距離が7Å以下、C−beta炭素の距離が5Åである残基をプロット(plot)を用いて分析した。その後Yasara energy minimization serverを用いて、ジスルフィド結合の生成の有無を分析し、キメラのAMBER force filed FF99を用いて、エネルギーミニマイゼーションを行った。その後、生成されたタンパク質の構造を天然型のbFGF整列(align)させてRMSDを測定0.5以下の値を有する構造を実験で行った。
CD(Circular dichroism)
天然型bFGFと変異体の構造分析及びTM測定のために、それぞれbFGFを20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)に溶かし、最終濃度が0.2mg/mlとなるように一定にする。そして0.1cm cellに入れ190nm〜250nmの領域にバンド幅1nm、応答0.25秒、データピッチ0.1nm、スキャン速度20nm/分、セル長1cm、蓄積(accumulation)8回、温度は20℃の条件で構造を分析した。温度安定度を分析するために融解温度は、20℃と95℃での205nmの波長で0.1cm cellに0.2mg/mlの濃度で行った。条件は、1℃/分の条件で、20℃〜95℃まで測定した。
ジスルフィド結合が可能な残基(Residue number)と予測結果を表1に示した。
細胞増殖分析(Cell proliferation assay)
作製された天然型bFGFと変異体が実際に活性を示すか否かを確認するために、細胞増殖能力を用いた実験を(株)ジェネウェルに依頼して行った。実験に使用したNIH−3T3 cellは10%熱不活性化されたウシ胎児血清、100units/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシンを含むDMEM完全培地を用いて維持した。96well培養プレートに2x10 cells/wellのNIH−3T3 cellを分株(seeding)した。24時間培養したNIH−3T3 cellは無血清DMEM培地で飢餓(starvation)させた後、0.5%FBSを含むDMEM培地にサンプル溶液をそれぞれの濃度別に処理し、72時間培養した。培養後、10ulのMTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド]溶液を添加し、2時間反応させた後に用いて100ulのDMSOにホルマザン結晶を溶解させた。吸光度は分光光度計を用いて540nmの波長で測定した。薬剤に対する感受性は、薬剤を処理していないwell(対照群)の吸光度に対する薬剤処理wellでの割合で比較した。
インキュベーションテスト(Incubation test)
室温で保管程度を確認するために、天然型bFGFと変異体のインキュベーションテストを行った。1XPBS(pH7.3)で、それぞれの天然型FGF−2と変異体を0.5mg/mlに溶かした後、37℃、50℃と60℃water bathでインキュベーションを行った。24時間単位でサンプリング(sampling)して13000rpmで15分間、4℃で遠心分離して上清のみを得てNano dropによる定量及びHPLC分析を行った。
<実施例1:ヒトbFGF cDNAを含むpSSB−bFGFプラスミドの構築>
ヒト単核細胞cDNAライブラリーを鋳型にしてプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応によりbFGFをコードするDNAを準備した。使用したプライマーの塩基配列は、以下の通りである:
センスプライマー5’−GGCGGGCATATGCCCGCCTTGCCCGAGG−3’(配列番号3)及び
アンチセンスプライマー3’−TGATGAGGATCCTCATCAGCTCTTAGCAGACAT−5’(配列番号4)。
図2のbFGF部分を前記に記載のプライマーを用いて増幅し、増幅されたDNA切片1ugを50ul TE(pH8.0)溶液に溶かした後、2単位のNdeI(NEB社)と2単位のBamHI(NEB社)と混合した後、37℃で2時間反応させて5’−末端にNdeI制限酵素部位と3’−末端にBamHI制限酵素部位を有するようにした。DNA精製キット(GeneAll社)を用いてDNAのみを精製した後、このDNA切片20ngを同じ方法でNdeIとBamHIでそれぞれ処理して準備した20ngのpET21a(+)プラスミド(Novagen社)と共に10ulのTE(pH8.0)溶液に混ぜた後、1単位のT4 DNAリガーゼ(NEB社)を添加して16℃で4時間反応させて接合させた。こうして作られたプラスミドをpSSB−bFGFと命名した。
<実施例2:ヒトbFGFの大腸菌形質転換体の製造>
発現プラスミドpSSB−bFGFでE.coli BL21(DE3)に熱ショックで形質転換させた。形質転換後、固体培地に生じる、アンピシリンに耐性のあるコロニーを選別して、10mlのLB培地(LB/アンピシリン)に接種した。37℃で12時間培養した後、100%グリセロール(glycerol)と1:1で混ぜて−70℃にストックを保管した。
<実施例3:ヒトbFGFの精製>
実施例2で作製したストックを10mlのLB培地(LB/アンピシリン)に接種した後、12時間以上培養した。その後、500mlのLB培地(LB/アンピシリン)に移し、600nmで吸光度がO.D0.4〜0.5のときにIPTG(isopropyl−1−thio−β−D−galactopyranoside)を最終濃度が0.5mMになるように入れた。37℃で4時間、200rpmの速度で振とう培養した後、8000rpmで10分間遠心分離して大腸菌ペレット(pellet)を得た。このペレットを25mlの20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に懸濁させた後、超音波処理方法で細胞を破砕した。
超音波処理によって破砕された細胞溶解液を4℃で13000rpmで15分間遠心分離した。上清をとって0.45umフィルターを用いてフィルタリングし、この溶液をFPLC(Fast performance liquid chromatography)とSPカラムとヘパリンカラムを用いて精製した。このとき、精製条件は、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に100mM NaCl溶液Aと、条件は、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に2M NaCl BをSPカラムに2ml/分の速度で0%Aから50%Bまで直線勾配で流して溶出させた後、約18KDaサイズのbFGFタンパク質を含む画分を集めた。その後20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に100mM NaCl溶液Aと20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液に2M NaCl BをSPカラムに2ml/分の速度で50%Aから100%Bまで直線勾配に流して溶出させた後、約18KDaサイズのbFGFタンパク質を含む画分を集めた。このとき、bFGFを含む画分をSDS−PAGE分析法で確認した後、定量を行い、10mgのbFGFを獲得した。
<実施例4:pSSB−bFGF変異体プラスミドの構築>
天然型のpSSB−bFGFプラスミドを鋳型としてpfuUltraTMHF DNAポリメラーゼを用いて、それぞれの変異体に該当する二つの相補的なプライマーを用いてPCRによりpSSB−bFGF変異体プラスミドを作製した。そしてDpnIを用いて、鋳型であった天然型のpSSB−bFGFプラスミドを切断した後、E.coli Top10に熱ショックで形質転換させた。形質転換後、固体培地に生じるアンピシリンに耐性のあるコロニーを選別して、10mlのLB培地(LB/アンピシリン)に接種した。37℃で16時間培養した後、DNA prepを実施して得られたDNAをシーケンシングを通してpSSB−bFGF変異体プラスミドを確認した。このとき使用したプライマーの塩基配列は、以下の通りである:
69番目のシステインのコドンであるTGTがセリンのコドンであるTCTで置換時センスプライマー5’−TCT ATC AAA GGA GTG TCT GCT AAC CGT TAC CTG−3’(配列番号5)及びアンチセンスプライマー3’−CAG GTA ACG GTT AGC AGA CAC TCC TTT GAT AGA−5’(配列番号6);
87番目のシステインのコドンであるTGTがセリンのコドンであるTCTで置換時センスプライマー5’−TTA CTG GCT TCT AAA TCT GTT ACG GAT GAG TGT−3’(配列番号7)及びアンチセンスプライマー3’−ACA CTC ATC CGT AAC AGA TTT AGA AGC CAG TAA−5’(配列番号8);
75番目のアラニンのコドンであるGCTがシステインのコドンであるTCTで置換時センスプライマー5’−GCT AAC CGT TAC CTG TGC ATG AAG GAA GAT GGA−3’(配列番号9)及びアンチセンスプライマー3’−TCC ATC TTC CTT CAT GCA CAG GTA ACG GTT AGC−5’(配列番号10);
26番目リジンのコドンであるAAAがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−AAG CGG CTG TAC TGC TGC AAC GGG GGC TTC TTC−3’(配列番号11)及びアンチセンスプライマー3’−GAA GAA GCC CCC GTT GCA GCA GTA CAG CCG CTT−5’(配列番号12);
34番目イソロイシンのコドンであるATCがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−GGC TTC TTC CTG CGC TGC CAC CCC GAC GGC CGA−3’(配列番号13)及びアンチセンスプライマー3’−TCG GCC GTC GGG GTG GCA GCG CAG GAA GAA GCC−5’(配列番号14);
40番目バリンのコドンであるGTTがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−CAC CCC GAC GGC CGA TGC GAC GGG GTC CGG GAG−3’(配列番号15)及びアンチセンスプライマー3’−CTC CCG GAC CCC GTC GCA TCG GCC GTC GGG GTG−5’(配列番号16);
50番目のヒスチジンのCACがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−GAG AAG AGC GAC CCT TGC ATC AAG CTA CAA CTT−3’(配列番号17)及びアンチセンスプライマー3’−AAG TTG TAG CTT GAT GCA AGG GTC GCT CTT CTC−5’(配列番号18);
52番目リジンのコドンであるAAGがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−AGC GAC CCT CAC ATC TGC CTA CAA CTT CAA GCA−3’(配列番号19)及びアンチセンスプライマー3’−TGC TTG AAG TTG TAG GCA GAT GTG AGG GTC GCT−5’(配列番号20);
76番目メチオニンのコドンであるATGがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−AAC CGT TAC CTG GCT TGC AAG GAA GAT GGA AGA−3’(配列番号21)及びアンチセンスプライマー3’−TCT TCC ATC TTC CTT GCA AGC CAG GTA ACG GTT−5’(配列番号22);
117番目のアラニンのコドンであるGCAがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−ACC AGT TGG TAT GTG TGC CTG AAG CGA ACT GGG−3’(配列番号23)及びアンチセンスプライマー3’−CCC AGT TCG CTT CAG GCA CAC ATA CCA ACT GGT−5’(配列番号24);
67番目グリシンのコドンであるGGAがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−GTT GTG TCT ATC AAA TGC GTG TCT GCT AAC CGT−3’(配列番号25)及びアンチセンスプライマー3’−ACG GTT AGC AGA CAC GCA TTT GAT AGA CAC AAC−5’(配列番号26);
68番目バリンのコドンであるGTGがシステインのコドンであるTGCで置換センスプライマー5’−GTG TCT ATC AAA GGA TGC TCT GCT AAC CGT TAC−3’(配列番号27)及びアンチセンスプライマー3’−GTA ACG GTT AGC AGA GCA TCC TTT GAT AGA CAC−5’(配列番号28);
70番目のアラニンのコドンであるGCTがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−ATC AAA GGA GTG TCT TGC AAC CGT TAC CTG GCT−3’(配列番号29)及びアンチセンスプライマー3’−AGC CAG GTA ACG GTT GCA AGA CAC TCC TTT GAT−5’(配列番号30);
第82ロイシンのコドンであるTTAがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−AAG GAA GAT GGA AGA TGC CTG GCT TCT AAA TCT−3’(配列番号31)及びアンチセンスプライマー3’−AGA TTT AGA AGC CAG GCA TCT TCC ATC TTC CTT−5’(配列番号32);
84番目のアラニンのコドンであるGCTがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−GAT GGA AGA TTA CTG TGC TCT AAA TCT GTT ACG−3’(配列番号33)及びアンチセンスプライマー3’−CGT AAC AGA TTT AGA GCA CAG TAA TCT TCC ATC−5’(配列番号34);
108番目セリンのコドンであるTCAがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−TAC AAT ACT TAC CGG TGC AGG AAA TAC ACC AGT−3’(配列番号35)及びアンチセンスプライマー3’−ACT GGT GTA TTT CCT GCA CCG GTA AGT ATT GTA−5’(配列番号36);
136番目のアラニンのコドンであるGCTがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−GGA CCT GGG CAG AAA TGC ATA CTT TTT CTT CCA−3’(配列番号37)及びアンチセンスプライマー3’−TGG AAG AAA AAG TAT GCA TTT CTG CCC AGG TCC−5’(配列番号38);
137番目イソロイシンのコドンであるATAがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−CCT GGG CAG AAA GCT TGC CTT TTT CTT CCA ATG−3’(配列番号39)及びアンチセンスプライマー3’−CAT TGG AAG AAA AAG GCA AGC TTT CTG CCC AGG−5’(配列番号40);
138番目ロイシンのコドンであるCTTがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−GGG CAG AAA GCT ATA TGC TTT CTT CCA ATG TCT−3’(配列番号41)及びアンチセンスプライマー3’−AGA CAT TGG AAG AAA GCA TAT AGC TTT CTG CCC−5’(配列番号42);と
144番目のアラニンのコドンであるGCTがシステインのコドンであるTGCで置換時センスプライマー5’−TTT CTT CCA ATG TCT TGC AAG AGC TGA TGA−3’(配列番号43)及びアンチセンスプライマー3’−TCA TCA GCT CTT GCA AGA CAT TGG AAG AAA−5’(配列番号44)。
50番目のヒスチジンのコドンであるCACがチロシンのコドンであるTATで置換時センスプライマー5’−GAG AAG AGC GAC CCT TAT ATC AAG CTA CAA CTT −3’(配列番号45)及びアンチセンスプライマー3’−AAG TTG TAG CTT GAT ATA AGG GTC GCT CTT CTC−5’(配列番号46)。
<実施例5:bFGF変異体の生産及び精製>
前記bFGF変異体の発現プラスミドのそれぞれに、実施例2と同じ方法でE.coli BL21(DE3)に形質転換させ、ストックを作製し、LB培地(LB/アンピシリン)500mlに培養して、実施例3と同じ方法で精製して、それぞれ約18KDaの大きさのbFGFを得た。このとき得られた変異体の量は、変異体によってその差があり、変異体によって約4〜12mgのbFGFを得ることができ、純度は98%以上であった。
前記各bFGF変異体は、以下の通りである。
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、34番目イソロイシン及び67番目グリシンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、34番目イソロイシン及び70番目のアラニンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、34番目イソロイシン及び84番目のアラニンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、40番目バリン及び82番目ロイシンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、40番目バリン及び84番目のアラニンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、50番目のヒスチジン及び69番目のシステインがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、52番目のリジン及び68番目バリンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、76番目のメチオニン及び108番目セリンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、117番目のアラニン及び136番目のアラニンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、117番目のアラニン及び137番目イソロイシンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、26番目のリジン及び87番目のシステインがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、138番目ロイシンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、52番目のリジン及び144番目のアラニンがシステインに置換された変異体
配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインに置換され、50番目のヒスチジンがチロシンに置換された変異体
天然型と変異体の精製は、SP−sephroseとヘパリン親和性カラムを介して精製が可能である。二種のいずれもSPカラムから約400mM NaCl濃度で溶出され、ヘパリンカラムの場合1.5M NaClで溶出された。最終ヘパリン親和性カラム精製を行った後、SDS Page分析を行った。
図8に示すように、天然型の場合、ダイマー(Dimer)とトリマー(trimer)が観察されるのに対し、変異体の場合、モノマー(monomer)サイズに単一バンド形態で存在することが確認できた。これは活性のないダイマー、トリマーが完全に除去され、モノマーの状態で存在することがわかった。
図8に、最終精製後、天然型(A)と変異体(B)のSDS−PAGEの結果を示した。
<実験例1:天然型と変異体bFGFの円偏光二色性を用いた構造分析>
J−810分光計(JASCO)を使用して円偏光二色性分析を通じて、実施例5の精製されたbFGF変異体の構造と熱安定性を測定した。天然型bFGFは、実施例3で精製されたbFGFを使用した。構造分析のために、それぞれのbFGFを20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)に溶かし、最終濃度が0.1mg/mlになるように一定にする。そして0.1cm cellに入れ190nm〜250nmの領域にバンド幅1nm、応答0.25秒、データピッチ0.1nm、スキャン速度20nm/min、セル長1cm、蓄積(accumulation)8回、温度は20℃の条件で構造を分析した。
熱安定性を分析するためにTm(融解温度)は、20℃と95℃でのfar−UVを比較分析して208nmの波長を決定し、0.1cm cellに0.1mg/mlの濃度で行った。条件は、1℃/分の条件で、20℃〜95℃まで測定した。その結果は、表2に示した。
表2は、天然型bFGFとbFGF変異体の構造変化の程度と熱安定性の測定実験である円偏光二色性分析中208nmの波長で温度別ほどけ構造の割合(fraction unfolded)を測定した結果を示した値である。折り畳み−ほどけ現象が起こるときには208nm付近の区間で構造の変化を見せるが、これを用いて20〜95℃の範囲内でTm(融解温度)を測定し、正確なTm値を分析した。
前記bFGF変異体は、配列番号1の69番目及び87番目のシステインをセリンに置換した後、さらに、それぞれの該当位置の残基をシステインに置換して、分子内ジスルフィド結合を誘導させた変異体である。
その結果、構造変化ではほとんどが天然型bFGFと同じ構造を示して変化がほとんどなく、ジスルフィド結合を追加した変異体で特別な構造を持たなかった。熱安定性を示すTmは58℃である天然型bFGFと比較してほとんどがbFGF変異体と同一であり、そのうちK75変異体で62℃まで熱安定性が改善されたことを確認できた。これはアミノ酸1個をシステインに置換させてジスルフィド結合を人為的に追加することにより熱安定性が増加したことを意味する。
一方、本発明の特定位置の配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインにさらに置換されたK75変異体の顕著性を確認するために、配列番号1の天然型bFGF、配列番号1の69番目及び87番目のシステインのみがセリンに置換されたbFGF変異体(Cys→Ser変異体)、配列番号1の75番目のアラニンのみがシステインに置換されたbFGF変異体(天然型+ジスルフィド結合)及びK75変異体(Cys→Ser変異体+ジスルフィド結合、配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインに置換されたbFGF変異体)の熱安定性を比較して確認した。
その結果、図5に示すように、天然型bFGFのTMは、約57.5度、Cys→Ser変異体のTMは58℃、天然型+ジスルフィド結合のTMは61.5℃、K75変異体(Cys→Ser変異体+ジスルフィド結合)のTMは62℃と確認され、これはK75変異体の熱力学的安定性が増加したことを意味する。
さらに実験で配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインにさらに置換されたK75変異体に、50番目のヒスチジンがチロシンに置換されたHsbFGFの熱安定性を示すTmは58℃の天然型bFGFと62℃K75変異体と比較して65℃まで熱安定性が向上されたことを確認できた。これは、表面に存在するアミノ酸1個をチロシンに置換させて、タンパク質の内部のキャビティの安定化をもたらして新たに形成された水素結合とファンデルワールス相互作用による熱安定性が増加したことを意味する。
その結果、図9に示すように、天然型bFGFのTMは約57.5℃、K75変異体(Cys→Ser変異体+ジスルフィド結合)のTMは62℃と確認され、HsbFGF(K75+His→Tyr)TMは65℃で変異体の熱力学的安定性が増加したことを意味する。
<実験例2:天然型と変異体bFGFの細胞増殖検定>
作製された天然型bFGFと変異体のうち可溶性と円偏光二色性を用いた構造とTmの結果の分析を通じて、良い結果をbFGFを選定して、細胞増殖検定を実施した。細胞増殖検定は、(株)ジェネウェルに依頼してbFGFの敏感な皮膚細胞であるNIH3T3細胞株をもって行った。実験方法としては、NIH−3T3 cellを10%熱不活性化されたウシ胎児血清、100units/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシンを含むDMEM完全培地を用いて維持した。96well培養プレートに2×10cells/wellのNIH−3T3 cellを播種した。24時間培養したNIH−3T3 cellは無血清DMEM培地で飢餓させた後、0.5%FBSが含まれたDMEM培地にサンプル溶液をそれぞれの濃度別に処理し、72時間培養した。培養後、10ulのMTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド]溶液を添加し、2時間反応させた後に用いて、100ulのDMSOにホルマザン結晶を溶解させた。吸光度は分光光度計を用いて540nmの波長で測定した。薬剤に対する感受性は、薬剤を処理していないwell(対照群)の吸光度に対する薬剤処理wellでの割合で比較した。図6及び図12に示すようにbFGF変異体が天然型bFGFと同様の細胞増殖能力を示している。
<実験例3:天然型と変異体bFGFのインキュベーションによるタンパク質の定量分析>
天然型bFGFと変異体[配列番号1の69番目及び87番目のシステインのみがセリンに置換されたbFGF変異体(Cys→Ser変異体)、配列番号1の75番目のアラニンのみがシステインに置換されたbFGF変異体(天然型+ジスルフィド結合)及びK75変異体(Cys→Ser変異体+ジスルフィド結合、配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインに置換されたbFGF変異体)の安定性を確認するために、37℃短期間インキュベーションテストを行った。人体の状態に最も近いPBS(Phosphate buffer saline)状態で天然型bFGFと変異体を0.5mg/mlに溶かした後、37℃であるwater bathでインキュベーションした。48時間、7日、10日単位でサンプリングして13000rpmで15分間、4℃で遠心分離して上清のみを得、Nano dropを用いて、タンパク質を定量した。時間が経つにつれ、天然型bFGFと変異体の濃度を定量し、天然型bFGFが変異体に比べてより大きな減少を示した。前記の結果を表3に示した。
また、前記結果を基に、熱安定性が増加したK75変異体を用いて、人体の状態に最も近いPBS(Phosphate buffer saline)状態で天然型bFGFと比較してK75変異体が長期間保存安定性を有するか否かを確認した。まず、PBS(Phosphate buffer saline)状態に天然型bFGFとK75変異体を同じ濃度で溶かした後、20日間、25℃でインキュベーションした。そして遠心分離して上清のみをもってHPLCを用いて定量分析した。
その結果、図7に示すように、インキュベーションのうちK75変異体が天然型bFGFに比べ安定性が格段に高く、これは本発明のK75変異体の優秀性を示す結果である。
<実験例4:天然型と変異体bFGFの50、60℃インキュベーションによるHPLC分析>
天然型bFGFとK75変異体(Cys→Ser変異体+ジスルフィド結合、配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインに置換されたbFGF変異体)及びHsbFGF K75変異体(Cys→Ser変異体+ジスルフィド結合、配列番号1の69番目及び87番目のシステインがセリンに置換され、75番目のアラニンがシステインに置換されて、50番目のヒスチジンがチロシンに置換されたbFGF変異体)の安定性を確認するために、50℃で1週間、60℃で5日間インキュベーションテストを行った。PBS(Phosphate buffer saline)でそれぞれの天然型bFGFと変異体を0.5mg/mlに溶かした後、50℃、60℃のwater bathでインキュベーションした。日付によるサンプリングをして13000rpmで15分間、4℃で遠心分離して上清のみを得てHPLC及びUV分光計を用いてタンパク質を分析した。
その結果、図10に示すようにuv分光計を用いた定量では、5日後から天然型bFGFは、定量をすることができず、K75変異体の場合、7日後38%残っており、hsbFGFの場合は72%を維持することが示された。
また、図11に示すように60℃UV分光計を用いた定量で天然型bFGFの場合、3日後からはほぼ確認できず、K75の場合、5日後22%のみが残っており、HsbFGFの場合、5日後40%を維持することが示された。
図12に示されている結果を用いてHPLCの分析で7日後、天然型bFGFの場合、HPLCで定量することができず、K75の場合30%、HsbFGFの場合60%以上残っていることが確認できた。

Claims (12)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列内の2個以上のアミノ酸がセリンに置換され、1個以上のアミノ酸がシステインに置換された、高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子(stable basic fibroblast growth factor、bFGF)変異体(mutant)。
  2. 前記変異体は、配列番号1の69番目及び87番目システインをセリンに置換した後、さらに他の残基をシステインに置換して、分子内ジスルフィド結合を誘導させた、請求項1に記載の変異体。
  3. 前記システインに置換されたアミノ酸は、配列番号1のアミノ酸配列で26番目リジン、34番目イソロイシン、40番目バリン、50番目ヒスチジン、52番目のリジン、75番目アラニン、76番目メチオニン、117番目アラニン、67番目グリシン、68番目バリン、70番目アラニン、82番目ロイシン、84番目アラニン、108番目セリン、136番目アラニン、137番目イソロイシン、138番目ロイシン及び144番目アラニンからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の高安定性bFGF変異体。
  4. 前記変異体は、配列番号1の69番目及び87番目システインがセリンに置換され、75番目アラニンがシステインに置換され、50番目ヒスチジンがチロシンに置換された、請求項1に記載のbFGF変異体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の変異体をコードする遺伝子。
  6. 前記遺伝子は、配列番号2のDNA塩基配列からなることを特徴とする、請求項5に記載の遺伝子。
  7. 請求項5に記載のDNA塩基配列を含む、発現ベクター。
  8. 請求項6に記載の発現ベクターによって形質転換された、形質転換体。
  9. 次のステップを含む高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor、bFGF)変異体(mutant)の生産方法:(a)請求項8に記載の形質転換体を培養するステップ;及び(b)前記ステップ(a)で得られた培養液から変異体を分離するステップ。
  10. 前記(b)ステップは、(c)前記形質転換体を細胞破砕し凝集体を分離するステップ;(d)前記分離された凝集体を除去するステップ;(e)前記凝集体が除去された上清をイオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて分離精製するステップ;及び(f)イオン交換樹脂後に高安定性塩基性繊維芽細胞成長因子変異体をヘパリン親和クロマトグラフィーを用いて分離精製するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の高安定性bFGF変異体を有効成分として含む皮膚状態の改善用化粧料組成物。
  12. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の高安定性bFGF変異体を有効成分として含む皮膚疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
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