参照による加入
本明細書において引用される全ての特許、刊行物、及び特許出願は、各個々の特許、刊行物、又は特許出願が具体的かつ個別に、全ての目的のためにその全体として参照により加入されると示されるように、本明細書において参照により加入される。
発明の詳細な説明
当然のことながら、本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を記載する目的のみのためのものであり、限定することを意図されない。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確にそうではないと指示していなければ、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「プライマー(a primer)」への言及は1つ又はそれ以上のプライマーを含み、「組み換え細胞(a recombinant cell)」への言及は1つ又はそれ以上の組み換え細胞を含み、「架橋剤(a cross-linking agent)」への言及は1つ又はそれ以上の架橋剤を含むなどである。
別の定義がなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様、又は等価である他の方法及び材料は、本発明の実施において使用することができるが、好ましい材料及び方法が本明細書に記載される。
本明細書の教示を考慮すれば、当業者は、例えば、以下の標準的な教科書により教示されるような、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクス、及び組み換えポリヌクレオチドの従来の技術を適用することができる:Antibodies:A Laboratory Manual、Second edition、E. A. Greenfield、2014、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ISBN 978-1-936113-81-1;Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique and Specialized Applications、6th Edition、R. I. Freshney、2010、Wiley-Blackwell、ISBN 978-0-470-52812-9;Transgenic Animal Technology、Third Edition:A Laboratory Handbook、2014、C. A. Pinkert、Elsevier、ISBN 978-0124104907;The Laboratory Mouse、Second Edition、2012、H. Hedrich、Academic Press、ISBN 978-0123820082;Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual、2013、R. Behringer、et al.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ISBN 978-1936113019;PCR 2:A Practical Approach、1995、M. J. McPherson、et al.、IRL Press、ISBN 978-0199634248;Methods in Molecular Biology (Series)、J.M. Walker、ISSN 1064-3745、Humana Press;RNA:A Laboratory Manual、2010、D. C. Rio 、et al.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ISBN 978-0879698911;Methods in Enzymology (Series)、Academic Press;Molecular Cloning:A Laboratory Manual (Fourth Edition)、2012、M. R. Green、et al.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ISBN 978-1605500560;Bioconjugate Techniques、Third Edition、2013、G. T. Hermanson、Academic Press、ISBN 978-0123822390;Methods in Plant Biochemistry and Molecular Biology、1997、W. V. Dashek、CRC Press、ISBN 978-0849394805;Plant Cell Culture Protocols (Methods in Molecular Biology)、2012、V. M. Loyola-Vargas、et al.、Humana Press、ISBN 978-1617798177;Plant Transformation Technologies、2011、C. N. Stewart、et al.、Wiley-Blackwell、 ISBN 978-0813821955;Recombinant Proteins from Plants (Methods in Biotechnology)、2010、C. Cunningham、et al.、Humana Press、ISBN 978-1617370212;Plant Genomics:Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology)、2009、D. J. Somers、et al.、Humana Press、ISBN 978-1588299970;Plant Biotechnology:Methods in Tissue Culture and Gene Transfer、2008、R. Keshavachandran、et al.、Orient Blackswan、ISBN 978-8173716164。
本明細書で使用され、そして以下に詳細に記載される、用語「sn-casPN」は、Cas9タンパク質に結合して複合体を形成することができる本発明のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチドを指す。本発明は、本明細書に記載されるsn-casPNに関し、そしていくつかの実施態様において、sn-casPNは、Cas9タンパク質と複合体化される。sn-casPNの1つの特徴的な特徴は、2つ又はそれ以上のsn-casPNの少なくとも2つがネクサスステムエレメントを形成する必要があるということである。「II型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系」は、2つ又はそれ以上のsn-casPNを指す。
本明細書で使用される用語「Casタンパク質」及び「CRISPR-Casタンパク質」は、CRISPR関連タンパク質を指し、これらとしては、限定されないが、Cas9タンパク質、Cas9オルソログによりコードされるCas9様タンパク質、Cas9様合成タンパク質、Cpf1タンパク質、Cpf1オルソログによりコードされるタンパク質、Cpf1様合成タンパク質、C2c1タンパク質、C2c2タンパク質、C2c3タンパク質、並びにそれらの変異体及び改変が挙げられる。好ましい実施態様において、Casタンパク質は、クラス2 CRISPR関連タンパク質、例えばクラス2 II型CRISPR関連タンパク質である。各野生型CRISPR-Casタンパク質は、1つ又はそれ以上の同族ポリヌクレオチド(最も典型的にはRNA)と相互作用して核タンパク質複合体(最も典型的にはリボ核タンパク質複合体)を形成する。
本明細書で使用される用語「Cas9タンパク質」は、II型CRISPR-Cas9系由来のCas9野生型タンパク質、Cas9タンパク質の改変、Cas9タンパク質の変異体、Cas9オルソログ、及びそれらの組み合わせを指す。本明細書で使用される用語「dCas9」は、「触媒的に不活性なCas9タンパク質」又は「酵素的に不活性なCas9」とも呼ばれる、ヌクレアーゼ不活性化Cas9タンパク質であるCas9タンパク質の変異体を指す。
本明細書で使用される「sn-casPN/Cas9タンパク質系」又は「II型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド/Cas9タンパク質系」は、少なくともsn-casPN及びCas9タンパク質又はsn-casPN及びCas9タンパク質の発現可能な形態又はsn-casPN及びCas9タンパク質並びにそれらの発現可能な形態の組み合わせを含む系を指す。sn-casPN/Cas9タンパク質系は、追加のCasタンパク質のようなさらなるCRISPR Cas成分を含み得る。
本明細書で使用される用語「同族」は、典型的には、Cas9タンパク質、及びCasポリヌクレオチドの1つに存在する標的核酸結合配列に相補的な標的核酸に部位特異的結合することができる核タンパク質複合体を形成することができるその関連する1つ又はそれ以上のCasポリヌクレオチド(例えば、Cas9タンパク質の同族RNA成分)を指す。
本明細書で使用される用語「野生型」、「天然に存在する」及び「非改変」は、典型的な(又は最も一般的な)形態、外観、表現型、又は天然に存在する系統を意味するために使用される;例えば、天然に存在し、かつ天然の供給源から単離することができるような、細胞、生物、特徴、ポリヌクレオチド、タンパク質、高分子複合体、遺伝子、RNA、DNA、又はゲノムの典型的な形態。野生型形態、外観、表現型、又は系統は、意図された改変前の元の親として役立つ。したがって、変異体、バリアント、操作された形態、組換え体及び改変された形態は野生型形態ではない。
本明細書で使用される用語「操作された」、「遺伝子操作された」、「組み換え体」、
「改変された」及び「天然に存在しない」は、交換可能であり、そして意図的な人の操作を示す。
本明細書で使用される用語「核酸」、「ヌクレオチド配列」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は交換可能である。全てヌクレオチドのポリマー形態を指す。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)でもリボヌクレオチド(RNA)でも、それらのアナログであってもよく、そしてそれらはどんな長さでもよい。ポリヌクレオチドは、いずれの機能を果たすものであってもよく、そしていずれの二次構造及び三次元構造を有していてもよい。これらの用語は、天然のヌクレオチドの既知のアナログ並びに塩基、糖及び/又はリン酸部分において改変されたヌクレオチドを包含する。特定のヌクレオチドのアナログは、同じ塩基対合特異性を有する(例えば、TとのA塩基対のアナログ)。ポリヌクレオチドは、1つの改変されたヌクレオチドを含んでいても複数の改変されたヌクレオチドを含んでいてもよい(例えば、多くの改変されたヌクレオチドは、TriLink(San Diego、CA)及びIntregrated DNA Technologies(Coralville、Iowa)のような商業的供給業者から入手可能である)。改変されたヌクレオチドの例としては、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチドアナログが挙げられる。ヌクレオチド構造は、ポリマーが組み立てられる前又は後に改変され得る。重合後に、ポリヌクレオチドは、例えば、標識成分又は標的結合成分との結合体化を介してさらに改変され得る。ヌクレオチド配列は、非ヌクレオチド成分を組み入れ得る。これらの用語はまた、(i)合成、天然に存在する、及び天然に存在せず、かつ(ii)参照ポリヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)と同様の結合特性を有する、改変された骨格残基又は連結を含む核酸を包含する。このようなアナログの例としては、限定されないが、ホスホロチオアート、ホスホラミダート、メチルホスホナート、キラル-メチルホスホナート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸、及びモルホリノ構造が挙げられる。
ペプチド-核酸(PNA)は、ポリヌクレオチドリン酸-糖骨格が可動性偽ペプチドポリマーにより置き換えられた核酸の合成ホモログである。核酸塩基はポリマーに連結される。PNAは、RNA及びDNAの相補的配列と高い親和性及び特異性でハイブリダイズする能力を有する。
ホスホロチオアート核酸において、ホスホロチオアート(PS)結合は、ポリヌクレオチドリン酸骨格における非架橋酸素を硫黄原子で置き換える。この改変は、ヌクレオチド間連結をヌクレアーゼ分解に対して抵抗性にする。いくつかの実施態様において、ホスホロチオアート結合は、エキソヌクレアーゼ分解を阻害するためにポリヌクレオチド配列の5’-又は3’-末端の最後の3-5ヌクレオチド間に導入される。オリゴヌクレオチド全体にわたるホスホロチオアート結合の配置は、エンドヌクレアーゼによる分解も減少させるのに役立つ。
トレオース核酸(TNA)は、人工遺伝子ポリマーである。TNA骨格構造は、ホスホジエステル結合により連結された反復トレオース糖を含む。TNAポリマーは、ヌクレアーゼ分解に抵抗性である。TNAは、塩基対水素結合により自己組織化して二本鎖構造になることができる。
連結反転は、「逆転ホスホラミダイト」の使用によりポリヌクレオチドに導入され得る(例えば、www.ucalgary.ca/dnalab/synthesis/-modifications/linkagesを参照のこと)。典型的には、このようなポリヌクレオチドは、5’-OH位置にホスホラミダイト基、及び3’-OH位置にジメトキシトリチル(DMT)保護基を有する。通常は、DMT保護基は5’-OH上にあり、そしてホスホラミダイトは3’-OH上にある。連結反転の最も一般的な使用は、3’-3’連結を、ホスホロチオアート骨格を有するポリヌクレオチドの末端に加えることである。3’-3’連結は、2つの5’-OH末端を有しかつ3’-OH末端を有さないオリゴヌクレオ
チドを生成することにより、ポリヌクレオチドをエクソヌクレアーゼ分解に対して安定化する。
ポリヌクレオチド配列は、本明細書において従来の5’から3’の方向で表示される。
本明細書で使用される用語「相補性」は、核酸配列が別の核酸配列と(例えば、伝統的なワトソン・クリック塩基対合を通して)水素結合を形成する能力を指す。相補性パーセントは、第二の核酸配列と水素結合を形成することができる核酸分子中の残基のパーセンテージを示す。2つのポリヌクレオチド配列が100%の相補性を有する場合、2つの配列は完全に相補性であり、すなわち、第一のポリヌクレオチドの連続した残基は、第二のポリヌクレオチド中の同じ数の連続した残基と水素結合する。
本明細書で使用される用語「配列同一性」は、一般的には、第一のポリヌクレオチド又はポリペプチドを第二のポリヌクレオチド又はポリペプチドと、様々な重み付けパラメーターを有するアルゴリズムを使用して比較した、ヌクレオチド塩基又はアミノ酸の同一性パーセントを指す。2つのポリヌクレオチド間又は2つのポリペプチド間の配列同一性は、GENBANK (www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)及びEMBL-EBI(www.ebi.ac.uk.)を含むワールドワイドウェブを介して利用可能な様々な方法及びコンピュータプログラム(例えば、BLAST、CS-BLAST、FASTA、HMMER、L-ALIGNなど)による配列アライメントを使用して決定され得る。2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチドの配列間の配列同一性は、一般的には、様々な方法又はコンピュータプログラムの標準的なデフォルトパラメーターを使用して計算される。2つのポリヌクレオチド間又は2つのポリペプチド間の本明細書で使用される高度の配列同一性は、典型的には約90%の同一性と100%の同一性との間であり、例えば約90%の同一性又はそれ以上、好ましくは約95%の同一性又はそれ以上、より好ましくは約98%の同一性又はそれ以上である。2つのポリヌクレオチド間又は2つのポリペプチド間の本明細書で使用される中程度の配列同一性は、典型的には約80%の同一性から約85%の同一性の間、例えば、約80%の同一性又はそれ以上、好ましくは約85%の同一性である。2つのポリヌクレオチド間又は2つのポリペプチド間の本明細書で使用される低度の配列同一性は、典型的には、約50%の同一性と75%の同一性との間、例えば、約50%の同一性、好ましくは約60%の同一性、より好ましくは約75%の同一性である。例えば、Casタンパク質(例えば、アミノ酸置換を含むCas9)は、参照Casタンパク質(例えば、野生型Cas9)に対して、その長さにわたって、中程度の配列同一性、又は好ましくは高度の配列同一性を有し得る。別の例として、Cas9関連ポリヌクレオチド(すなわち、Cas9タンパク質と複合体化することができるCas9関連ポリヌクレオチド)は、参照Casタンパク質と複合体化する参照野生型ポリヌクレオチド(例えば、Cas9と部位特異的複合体を形成するsgRNA)に対してその長さにわたって、中程度の配列同一性、又は好ましくは高度の配列同一性を有し得る。
本明細書で使用される「ハイブリダイゼーション」又は「ハイブリダイズする」又は「ハイブリダイズすること」は、2つの相補的な単鎖DNA又はRNA分子を組み合わせて、それらが水素塩基対合により単一の二本鎖分子(DNA/DNA、DNA/RNA、RNA/RNA)を形成することを可能にするプロセスである。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、典型的には、ハイブリダイゼーション温度及びハイブリダイゼーション緩衝液の塩濃度により決定され、例えば、高い温度及び低い塩は、高いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件をもたらす。異なるハイブリダイゼーション条件についての塩濃度範囲及び温度範囲の例は、以下のとおりである:高ストリンジェンシー、約0.01M〜約0.05Mの塩、ハイブリダイゼーション温度5℃〜10℃ Tm未満;中程度ストリンジェンシー、約0.16M〜約0.33Mの塩、ハイブリダイゼーション温度20℃〜29℃ Tm未満;低ストリンジェンシー、約0.33M〜約0.82Mの塩、ハイブリダイゼーション温度40℃〜48℃ Tm未満。二本鎖核酸のTmは、当該分野で周知の標準的な方法により計算される(Maniatis、T.、et al (1982) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York;Casey、J.、et al.、(1977) Nucleic Acids Res.、4:1539;Bodkin、D.K.、et al.、(1985) J. Virol. Methods、10:45;Wallace、R.B.、et al. (1979) Nucleic Acids Res. 6:3545)。Tmを見積もるためのアルゴリズム予測ツールも広く利用可能である。ハイブリダイゼーションについての高ストリンジェンシー条件は、典型的には、標的配列に対して相補性を有する核酸が主に標的配列とハイブリダイズし、かつ実質的に、非標的配列にはハイブリダイズしない条件を指す。典型的には、ハイブリダイゼーション条件は、中程度ストリンジェンシーのものであり、好ましくは高ストリンジェンシーの条件である。
本明細書で使用される「ステムループ構造」又は「ステムループエレメント」は、主に単鎖ヌクレオチドの領域(「ループエレメント」)により片側で連結された二本鎖領域(「ステムエレメント」)を形成することが知られているか形成すると予測されるヌクレオチドの領域を含む二次構造を有するポリヌクレオチドを指す。用語「ヘアピン」エレメントはまた、本明細書においてステムループ構造を指すために使用される。このような構造は当該分野で周知である。塩基対合は正確であり得る。しかし、当該分野では知られるように、ステムエレメントは正確な塩基対合を必要としない。したがって、ステムエレメントは1つ又はそれ以上の塩基むすマッチ又は非対合塩基を含み得る。
本明細書において使用される用語「組み換え」は、2つのポリヌクレオチド間の遺伝情報の交換のプロセスを指す。
本明細書で使用される用語「ドナーポリヌクレオチド」、「ドナーテンプレート」及び「ドナーオリゴヌクレオチド」は、交換可能に使用され、そしてその少なくとも一部が、選択された核酸標的部位に組み込まれることを意図された核酸配列を提供するポリヌクレオチドを指す。典型的には、ドナーポリヌクレオチドは、単鎖ポリヌクレオチド又は二本鎖ポリヌクレオチドである。例えば、本発明の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、ゲノムDNAにおけるDNA標的配列を改変するためにドナーDNAレンプレートと組み合わさせて使用され得、ここでゲノムDNAは、DNA標的配列においてドアーDNAテンプレートの少なくとも一部を含むように改変される。いくつかの実施態様において、ベクターは、ドナーポリヌクレオチド(例えば、標的ベクター)を含む。他の実施態様において、ドナーポリヌクレオチドはオリゴヌクレオチドである。
本明細書で使用される用語「相同組換え修復(homology-directed repair)(HDR)」は、例えばDNAにおける二本鎖切断の修復の間に、細胞において起こるDNA修復を指す。HDRは、ヌクレオチド配列相同性を必要とし、そしてドナーテンプレート(例えば、ドナーDNAテンプレート)又は二本鎖切断が発生した配列(例えば、DNA標的配列)を修復するためのドナーオリゴヌクレオチドを使用する。これは、例えば、ドナーテンプレートDNAからDNA標的配列への遺伝情報の転送を生じる。HDRは、ドナーテンプレートDNA配列又はオリゴヌクレオチド配列がDNA標的配列と異なり、かつドナーテンプレートDNAポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの一部又は全てがDNA標的配列に組み込まれる場合に、DNA標的配列の変更(例えば、挿入、欠失、変異)を生じ得る。いくつかの実施態様において、ドナーテンプレートDNAポリヌクレオチド全体、ドナーテンプレートDNAポリヌクレオチドの一部、又はドナーポリヌクレオチドのコピーが、DNA標的配列の部位に組み込まれている。
本明細書で使用される用語「非相同末端結合(NHEJ)」は、ドナーテンプレートDNAの必要なしに、切断の1つの末端の切断の他方の末端への直接結合によるDNAにおける二本鎖切断の修復を指す。ドナーテンプレートDNAの存在しないNHEJは、二本鎖切断の部位で無作為に挿入又は欠失された少数のヌクレオチド(「インデル」)を生じる。
用語「ベクター」及び「プラスミド」は、交換可能に使用され、そして本明細書で使用されて、細胞への遺伝子材料の導入を指す。ベクターは線状でも環状でもよい。ベクターは、宿主細胞の標的ゲノムに組み込まれ得るか、又は独立して宿主細胞において複製し得る。ベクターは、例えば、複製起点、マルチクローニング部位、及び/又は選択可能マーカーを含み得る。発現ベクターは、典型的には発現カセットを含む。ベクター及びプラスミドとしては、限定されないが、組み込みベクター、原核生物プラスミド、真核生物プラスミド、植物合成染色体、エピソーム、ウイルスベクター、コスミド、及び人工染色体が挙げられる。
本明細書で使用される用語「発現カセット」は、組み換えにより又は合成的に生成された、宿主細胞において選択されたポリヌクレオチドの発現を促進するように選択されたポリヌクレオチドに作動可能に連結された制御配列を含む、ポリヌクレオチド構築物である。例えば、制御配列は、宿主細胞における選択されたポリヌクレオチドの転写、又は宿主細胞における選択されたポリヌクレオチドの転写及び翻訳を促進することができる。発現カセットは、宿主細胞のゲノム中二組み込まれ得るか、又は発現ベクター中に存在し得る。
本明細書で使用される「標的化ベクター」は、標的遺伝子又は標的配列の決定的なエレメントに隣接するゲノムDNAに対して相同性のテーラード(tailored)DNAアームを典型的に含む組み換えDNA構築物である。標的遺伝子のエレメントは、欠失及び/又は挿入を含む多数の方法で改変され得る。欠損した標的遺伝子は、機能的標的遺伝子により置き換えられ得、又は別の方法では、機能的遺伝子がノックアウトされ得る。場合により、標的化ベクターは、標的遺伝子中に導入される選択可能マーカーを含む選択カセットを含む。標的遺伝子に隣接するか又は標的遺伝子内にあるときもある領域の標的化は、遺伝子発現の調節に影響を及ぼすために使用され得る。
本明細書で使用される用語「制御配列」、「制御エレメント」及び「調節エレメント」は、交換可能であり、そして発現させようとするポリヌクレオチド標的の上流(5’非コード配列)、ポリヌクレオチド標的内、又は下流(3’非翻訳配列)にあるポリヌクレオチド配列を指す。制御配列は、例えば、転写のタイミング、転写の量若しくはレベル、RNAプロセシング若しくは安定性、及び/又は関連する構造ヌクレオチド配列の翻訳に影響を及ぼす。制御配列は、活性化因子結合配列、エンハンサー、イントロン、ポリアデニル化認識配列、プロモーター、リプレッサー結合配列、ステムループ構造、翻訳開始配列、翻訳リーダー配列、転写終結配列、翻訳終結配列、プライマー結合部位などを含み得る。
本明細書で使用される用語「作動可能に連結された」は、互いに機能的関係で配置されたポリヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を指す。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、コード配列の調節、転写を制御するか、又はそれらに寄与する場合にコード配列に作動可能に連結される。制御配列をコードする作動可能に連結されたDNA配列は、典型的には、コード配列に隣接している。しかし、エンハンサーは、数キロベース又はそれ以上までプロモーターから離れている場合に機能することができる。したがって、いくつかのポリヌクレオチドエレメントは、作動可能に連結されるが連続的でないかもしれない。
本明細書で使用される用語「発現」は、例えば、mRNA又は他のRNA転写物(例えば、構造的又は足場のような非コードRNA)を生じる、DNAテンプレートからのポリヌクレオチドの転写を指す。この用語はさらに、それにより転写されたmRNAがペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写物及びコードされたポリペプチドは、「遺伝子産物」と集合的に呼ばれ得る。発現は、ポリヌクレオチドゲノムDNA由来である場合、真核生物細胞におけるmRNAのスプライシングを含み得る。
本明細書で使用される用語「遺伝子」は、そのような制御配列が遺伝子産物をコードするDNA領域に隣接していてもいなくても、遺伝子産物(例えば、RNA又はタンパク質)をコードするDNA領域、さらには遺伝子産物の産生を制御する全てのDNA領域を含む。例えば、遺伝子産物をコードするDNA領域に加えて、遺伝子は、プロモーター配列、終結配列、翻訳制御配列(例えば、リボソーム結合部位及び配列内リボソーム進入部位)、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界エレメント、複製起点、マトリックス付着部位、遺伝子座制御領域、及びそれらの組み合わせを含み得る。
本明細書で使用される用語「調節する」は、機能の量(quantity)、程度又は量(amount)の変化を指す。例えば、本明細書に開示されるsn-casPNs/Cas9タンパク質系は、プロモーターで又はプロモーター近傍で結合することによりプロモーター配列の活性を調節する。結合後に発生する作用に依存して、sn-casPNs/Cas9タンパク質系は、プロモーター配列に作動可能に連結された遺伝子を誘導、増強、抑制又は阻害し得る。したがって、遺伝子発現の「調節」は、遺伝子活性化及び遺伝子抑制の両方を含む。
調節は、標的遺伝子の発現により直接的又は間接的に影響を受けるいずれかの特徴を決定することにより検定され得る。このような特徴としては、例えば、RNA若しくはタンパク質のレベルの変化、タンパク質活性、生成物レベル、関連遺伝子発現、又はレポーター遺伝子の活性レベルが挙げられる。したがって、遺伝子の用語「発現を調節すること」、「発現を阻害すること」、及び「発現を活性化すること」は、遺伝子の転写を変化するか、活性化するか又は阻害するsn-casPNs/Cas9タンパク質系の能力を指す。
本明細書で使用される用語「アミノ酸」は、アミノ酸アナログ、修飾アミノ酸、ペプチド模倣薬、グリシン、及びD又はL光学異性体を含む、天然及び合成(非天然)のアミノ酸を指す。
本明細書で使用される用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、交換可能であり、そしてアミノ酸のポリマーを指す。ポリペプチドは、いずれの長さのものでもよい。分枝でも線状でもよく、非アミノ酸により中断されていてもよく、そして修飾アミノ酸を含んでいてもよい。これらの用語は、例えば、アセチル化、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、リン酸化、架橋、及び/又は(例えば、標識成分又はリガンドとの)結合体化により改変されたアミノ酸ポリマーを指すために使用され得る。ポリペプチド配列は、従来のN末端からC末端への方向で示される。
ポリペプチド及びポリヌクレオチドは、分子生物学の分野で慣用の技術を使用して製造され得る(例えば、上で考察された標準的テキスト)。さらに、本質的にいずれのポリペプチド又はポリヌクレオチドも商業的供給源から注文することができる。
本明細書で使用される「非天然」は、対応する天然(又は野生型)核酸配列又はポリペプチド配列において見出されない核酸配列又はポリペプチド配列を指す。非天然はまた、変異、挿入、欠失、又は他の改変を含む天然に存在する核酸又はポリペプチド配列を指し得る。非天然核酸配列又はポリペプチド配列は、キメラ核酸配列又はポリペプチド配列を生成するように遺伝子操作することにより、天然に存在する核酸配列又はポリペプチド配列に連結され得る。
本明細書で使用される「融合」は、1つ又はそれ以上の非天然配列を含むポリペプチド配列(「融合ポリペプチド」)及び/又は核酸配列(「融合ポリヌクレオチド」)を指す。融合はまた、ポリペプチド配列又は核酸配列への部分の結合を指し得、ここでこの部分は対応する核酸配列又はポリペプチド配列(すなわち、その部分を含まない対応する野生型核酸配列又はポリペプチド配列)に対して天然ではない。融合ポリペプチド又は融合ポリヌクレオチドの生成において有用であり得る配列及び部分の例としては: 細胞内局在化シグナル又はそのためのコード配列(例えば、核を標的とするための核局在化シグナル(NLS)、ミトコンドリアを標的とするためのミトコンドリア局在化シグナル、葉緑体を標的とするための葉緑体局在化シグナル、小胞体(ER)保留シグナルなど);ビオチン又は色素(例えば、alexa fluor色素、Cyanine3色素、Cyanine5色素)のような小分子;検出可能な標識、検出可能なシグナルを生じ得る部分(例えば、酵素、放射性同位体、特異的結合対のメンバー;フルオロフォア;蛍光タンパク質;量子ドットなど)を含む;FRET対のメンバー(ドナー/アクセプター)(例えば、EDANS/フルオレセイン、IAEDANS/フルオレセイン、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、フルオレセイン/Cy5、EDANS/DABCYL、フルオレセイン/QSY-7、フルオレセイン/LC Red 640、フルオレセイン/Cy 5.5及びフルオレセイン/LC Red 705);フルオロフォア/量子ドットドナー/アクセプター対;蛍光標識(例えば、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade BlueTM、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY(R) FL、LC Red 640、Cy 5、Cy 5.5、LC Red 705及びOregon green);酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼなど);蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、様々な蛍光性及び着色したタンパク質のいずれか);ナノ粒子(例えば、蛍光性又は発光性ナノ粒子、及び磁気ナノ粒子);量子ドット(QD)(QDは様々な異なる材料を含むコーティング層を塗布することにより水溶性にされ得る。例えば、QDは、両親媒性ポリマーを使用して可溶化され得る;QDは、コーティング層に直接的又は間接的に連結され得る多数の異なる官能基又は連結基のいずれかを介してポリペプチドに結合され得る);及び放射性同位体が挙げられる。
本明細書で使用される用語「結合すること」は、高分子の間(例えば、タンパク質とポリヌクレオチドとの間、ポリヌクレオチドとポリヌクレオチドとの間、及びタンパク質とタンパク質の間)の非共有結合相互作用を指す。このような非共有結合相互作用は、「会合すること(assocoiating)」又は「相互作用すること」(例えば、第一の高分子が第二の高分子と相互作用する場合に、第一の高分子が第二の高分子に非共有結合様式で結合する)とも呼ばれる。結合相互作用のいくつかの部分は、配列特異的であり得る;しかし、DNA骨格におけるリン酸残基とのタンパク質の接触点のような、結合相互作用の全ての成分が配列特異的である必要はない。結合相互作用は、解離定数(Kd)により特徴づけされる。「親和性」は、結合の強さを指す。増加した結合親和性はより低いKdと相関する。非共有結合の例は、塩基対間の水素結合形成である。
本明細書で使用される用語「エフェクタータンパク質」は、ポリヌクレオチド内のエフェクタータンパク質結合エレメントに選択的又は特異的に結合する機能的効果を有するいずれかのポリペプチドを指す。このようなエフェクタータンパク質結合エレメントは、単鎖ポリヌクレオチドでも二本鎖ポリヌクレオチドであもよい。例えば、エフェクタータンパク質は、酵素活性を含み得、生物学的分子を再構築し得(例えば、フォールディング・シャペロン)、又は足場タンパク質であってもよい。対応するエフェクタータンパク質結合エレメントに結合することに加えて、エフェクタータンパク質は、対応するエフェクター結合エレメント(例えば、切断、酵素修飾、転写改変)を含むポリヌクレオチドを改変し得る。あるいは、エフェクタータンパク質は、対応するエフェクタータンパク質結合エレメントにただ結合するだけでもよい。酵素活性を有するエフェクタータンパク質は、酵素的に不活性であるがエフェクタータンパク質結合エレメントに結合する能力を維持するように改変され得る。例えば、Csy4はCsy4二本鎖RNA結合エレメントに結合する。Csy4は通常は活性エンドリボヌクレアーゼであるが、Csy4はそのエンドヌクレアーゼ活性が除去されているバリアント(例えば、Csy4*)を有する。Cas7、Cas5、及びCas6はまた、エフェクタータンパク質の例でもある。エフェクタータンパク質の他の例としては、限定されないが、単鎖RNA結合タンパク質(例えば、p19 siRNA結合タンパク質)、単鎖DNA結合タンパク質(例えば、アデノウイルスDBP、非常に熱安定性の単鎖DNA結合タンパク質)、二本鎖RNA結合タンパク質(例えば、DICER)、二本鎖DNA結合タンパク質(例えば、亜鉛フィンガータンパク質)及び二本鎖RNA/DNAハイブリッド(例えば、リボヌクレアーゼH)が挙げられる。
本明細書で使用される用語「単離された」は、人の手により、その天然の環境から離れて存在し、したがって天然産物ではない核酸又はポリペプチドを指し得る。単離されたは、実質的に純粋であることを意味する。単離された核酸又はポリペプチドは、精製された形態で存在し得、かつ/又は例えば、組み換え細胞中のような非天然環境で存在し得る。
本明細書で使用される「生物」は、1つ又はそれ以上の細胞から構成される、細菌、原生生物、真菌、植物、又は動物のような生存している生物学的実体を指す。
本明細書で使用される「宿主細胞」は、一般的には、生物学的細胞を指す。細胞は、生物の基本的な構造的、機能的及び/又は生物学的な単位であり得る。細胞は、1つ又はそれ以上の細胞を有するいずれかの生物起源であり得る。宿主細胞の例としては、限定されないが:原核生物細胞、真核生物細胞、細菌細胞、古細菌細胞、単細胞真核生物の細胞、原虫細胞、植物由来の細胞(例えば、植物作物(大豆、トマト、砂糖大根、カボチャ、干し草、大麻、タバコ、オオバコ、ヤムイモ、サツマイモ、キャッサバ、ジャガイモ、小麦、ソルガム、大豆、米、小麦、トウモロコシ、オイルを産出するアブラナ属(Brassica)(例えば、オイルを産出する菜種及びキャノーラ)、綿花、サトウキビ、ヒマワリ、キビ、及びアルファルファ)、果実、野菜類、穀物、種子、顕花植物、針葉樹、裸子植物、シダ類、ヒカゲノカズラ類、ツノゴケ類、苔類、蘚類)由来の細胞、藻類細胞、(例えば、ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、ナンノクロロプシス・ガジタナ(Nannochloropsis gaditana)、緑藻クロレラ(Chlorella pyrenoidosa)、ヤツマタモク(Sargassum patens C. Agardh)など)、海藻(例えば、昆布)、真菌細胞(例えば、酵母細胞、キノコ由来の細胞)、動物細胞、無脊椎動物(例えば、ミバエ、刺胞動物、棘皮動物、線形動物など)由来の細胞、脊椎動物(例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)由来の細胞、哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯動物、ラット、マウス、非ヒト霊長類、ヒトなど)由来の細胞が挙げられる。さらに、細胞は幹細胞又は前駆細胞であり得る。
本明細書で使用される用語「トランスジェニック生物」は、組み換え的に導入されたポリヌクレオチドを含む生物を指す。
本明細書で使用される用語「トランスジェニック植物細胞」及び「トランスジェニック植物」は交換可能であり、そして組み換え的に導入されたポリヌクレオチドを含有する植物細胞又は植物を指す。用語トランスジェニック植物には、トランスジェニック植物の後代(任意の世代)又は種子が含まれ、その結果、後代又は種子は組み換え的に導入されたポリヌクレオチド又はそのフラグメントをコードするDNA配列を含む。
本明細書で使用される句「トランスジェニック植物細胞又は植物を生成すること」は、組み換えDNA方法及び技術を使用して、植物細胞又は植物を形質転換してトランスジェニック植物細胞又はトランスジェニック植物を生成するためのベクターを構築することを指す。
本明細書で使用される用語「添加剤」は、典型的には、本発明の医薬組成物の製剤化又は投与において使用されるいずれかの薬理学的に不活性な物質、例えば担体又はビヒクルを指す。本発明の実施において有用な添加剤の例は、本明細書に記載される。
本明細書に記載される用語「生理条件」は、生細胞に適合性の条件、例えば、温度、pH、塩分などの主に水性の条件を指す。
用語「治療組成物」、「医薬組成物」、「治療製剤」、及び「医薬製剤」は、本明細書において交換可能に使用され、そして被験体、典型的にはヒトへの適用又は投与に適した本発明の組成物を包含する。一般に、このような組成物は、安全で、無菌であり、かつ好ましくは被験体において望ましくない応答を誘発することができる混入物を含まない(すなわち、組成物を構成する化合物は薬学的に許容しうる)。組成物は、経口(すなわち、口腔又は消化管による投与)又は非経口(例えば、頬側、直腸、経皮、経粘膜、皮下、静脈内、腹腔内、皮内、気管内、くも膜下腔内、肺など)を含む多数の様々な投与経路によるそれを必要とする被験体への適用又は投与のために製剤化され得る。
本明細書で使用される用語「被験体」は、脊索動物(chordata)亜門のいずれかのメンバーを指し、これらとしては、限定されないが、ヒト並びにアカゲザル、チンパンジー及び他の類人猿及びサル種のような非ヒト霊長類を含む他の霊長類;畜牛、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマのような家畜;イヌ及びネコのような家畜化哺乳類;マウス、ラット及びモルモットのような齧歯糖物を含む実験動物;ニワトリ、シチメンチョウ及び他の家禽、アヒル、ガチョウのような家畜、野生及び狩猟用の鳥を含む鳥類などが挙げられる。この用語は特定の年齢を示さない。したがって、成体、若年及び新生の個体が網羅されることを意図される。
CRISPR-Cas系は、近年、5つの型及び16のサブタイプを含む2つのクラスに再分類された(Makarova、K.、et al.、Nature Reviews Microbiology、13、1-15 (2015))。この分類はCRISPR-Cas遺伝子座における全てのcas遺伝子を同定し、ついで各CRISPR-Cas遺伝子座における 特性遺伝子を決定し、最後にエフェクターモジュール、すなわち、干渉段階に関与するタンパク質をコードする遺伝子に基いてクラス1又はクラス2のいずれかに配置され得ることを決定することに基づく。近年、16番目のCRISPR-Cas系が同定された(Abudayyeh O.、et al. 「C2c2 is a single-component programmable RNA-guided RNA-targeting CRISPR effector」, Science、pii:aaf5573 [Epub] (June 2、2016))。
クラス1系は、多サブユニットcrRNA-エフェクター複合体を有し、一方クラス2系は、Cas9、Cpf1、C2c1、C2c2、C2c3のような単一のタンパク質、又はcrRNA-エフェクター複合体を有する。クラス1系は、I型、III型及びIV型の系を含む。クラス2系は、II型及びV型の系を含む。
I型系は全て、ヘリカーゼ活性及び切断活性を有するCas3タンパク質を有する。I型系は、7つのサブタイプにさらに分けられる(I-A〜I-F及びI-U)。各I型サブタイプは、特性遺伝子及びオペロン組織化の個別の特徴の規定された組み合わせを有する。例えば、サブタイプI-A及びI-Bは、2つ又はそれ以上のオペロンにおいて組織化されたcas遺伝子を有すると思われ、一方でサブタイプI-CからI-Fは、単一のオペロンによりコードされるcas遺伝子を有すると思われる。I型系は、CRISPR-Cas免疫系のプロセシング及び干渉段階に関与する多タンパク質crRNA-エフェクター複合体を有する。この他タンパク質複合体は、抗ウイルス防御についてCRISPR-関連複合体として知られる(カスケード)。サブタイプI-Aは、小さなサブユニットタンパク質をコードするcsa5及び分解された大きいサブユニット及び小さいサブユニットをコードする2つに分けられるcas8遺伝子を含み、分断cas3遺伝子も有する。サブタイプI-A CRISPR-Cas系を有する生物の例はアーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)である。
サブタイプI-Bは、cas1-cas2-cas3-cas4-cas5-cas6-cas7-cas8遺伝子配置を有し、そしてcsa5遺伝子を欠いている。サブタイプI-Bを有する生物の例は、クロストリジウム・クライベリ(Clostridium kluyveri)である。サブタイプI-Cはcas6遺伝子を有していない。サブタイプI-Cを有する生物の例はバチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)である。サブタイプI-Dは、Cas8の代わりにCas10dを有する。サブタイプI-Dを有する生物の例はシアノセイス種(Cyanothece spp.)である。サブタイプI-Eはcas4を有していない。サブタイプI-Eを有する生物の例はエシェリキア・コリ(Escherichia coli)である。サブタイプI-Fはcas4を有しておらず、そしてcas3に融合されたcas2を有する。サブタイプI-Fを有する生物の例は仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)である。サブタイプI-Uを有する生物の例はゲオバクター・スルフレデュセンス(Geobacter sulfurreducens)である。
全てのIII型系はcas10遺伝子を有し、これは多数の核酸ポリメラーゼ及びシクラーゼのコアドメインに相同であり、かつIII型crRNA-エフェクター複合体の最も大きなサブユニットであるPalmドメイン(RNA認識モチーフ(RRM)のバリアント)を含有する多ドメインタンパク質をコードする。全てのIII型遺伝子座はまた、小さなサブユニットタンパク質、1つのCas5タンパク質及び典型的にはいくつかのCas7タンパク質をコードする。III型は、4つのサブタイプIII-A〜III-Dにさらに分割され得る。サブタイプIII-Aは、小さなサブユニットをコードするcsm2遺伝子を有し、そしてまたcas1、cas2及びcas6遺伝子も有する。サブタイプIII-Aを有する生物の例は、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である。サブタイプIII-Bは、小さなサブユニットをコードするcmr5遺伝子を有し、そしてまた典型的にはcas1、cas2及びcas6遺伝子を欠いている。サブタイプIII-Bを有する生物の例はパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)である。サブタイプIII-Cは、不活性なシクラーゼ様ドメインを有するCas10タンパク質を有し、かつcas1及びcas2遺伝子を欠いている。サブタイプIII-Cを有する生物の例は、メタノサーモバクター・サームオートトロフィカス(Methanothermobacter thermautotrophicus)である。サブタイプIII-Dは、HDドメインを欠いたCas10タンパク質を有し、これはcas1及びcas2遺伝子を欠いており、かつcsx10として知られるcas5様遺伝子を有する。サブタイプIII-Dを有する生物の例はロゼイフレクサス種(Roseiflexus spp.)である。
IV型系は、部分的に分解された大きなサブユニット、Csf1、Cas5、Cas7、及びいくつかの場合は、推定小サブユニットを含む、最小多サブユニットcrRNA-エフェクター複合体をコードする。IV型系はcas1及びcas2遺伝子を欠いている。IV型系はサブタイプを有していないが、2つの異なるバリアントがある。1つのIV型バリアントはDinGファミリーヘリカーゼを有し、一方で第二のIV型バリアントはDinGファミリーヘリカーゼを欠いているが、小さなアルファ-らせんタンパク質をコードする遺伝子を有する。IV型系を有する生物の例はアシディチオバチルス・フェロオキシダンス(Acidithiobacillus ferrooxidans)である。
II型系はcas1、cas2及びcas9遺伝子を有する。cas9はcrRNA-エフェクター複合体の機能を標的DNA切断と組み合わせる多ドメインタンパク質をコードする。II型系はまたtracrRNAをコードする。II型系は、3つのサブタイプ、サブタイプII-A、II-B及びII-Cにさらに分割される。サブタイプII-Aは、さらなる遺伝子csn2を含有する。サブタイプII-A系を有する生物の例は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)である。サブタイプII-Bはcsn2を欠いているが、cas4を有する。ブタイプII-B系を有する生物の例はレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)である。サブタイプII-Cは細菌において見出される最も一般的なII型系であり、2つのタンパク質、Cas1、Cas2及びCas9を有する。サブタイプII-C系を有する生物の例はナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica)である。
V型系は、cpf1遺伝子並びにcas1及びcas2遺伝子を有する。cpf1遺伝子はCas9のそれぞれのドメインに相同であるRuvC様ヌクレアーゼを有するが、Cas9タンパク質に存在するHNHヌクレアーゼドメインを欠いているタンパク質Cpf1をコードする。V型系は、パルクバクテリア・バクテリウム(Parcubacteria bacterium)GWC2011_GWC2_44_17(PbCpf1)、ラクノスピラ菌(Lachnospiraceae bacterium)MC2017 (Lb3Cpf1)、ブチリビブリオ・プロテオクラスチクス(Butyrivibrio proteoclasticus)(BpCpf1)、ペレグリニバクテリア・バクテリウム(Peregrinibacteria bacterium)GW2011_GWA_33_10(PeCpf1)、アシダミノコッカス種(Acidaminococcus spp.)BV3L6 (AsCpf1)、ポルフィロモナス・マカカエ(Porphyromonas macacae)(PmCpf1)、ラクノスピラ菌(Lachnospiraceae bacterium)ND2006 (LbCpf1)、ポルフィロモナス・クレビオリカニス(Porphyromonas crevioricanis)(PcCpf1)、プレボテラ・ディシエンス(Prevotella disiens)(PdCpf1)、モラクセラ・ボーボクリ(Moraxella bovoculi)237(MbCpf1)、スミセラ種(Smithella spp.)SC_K08D17 (SsCpf1)、レプトスピラ・イナダイ(Leptospira inadai)(LiCpf1)、ラクノスピラ菌(Lachnospiraceae bacterium)MA2020 (Lb2Cpf1)、フランシセラ・ノビサイダ(Franciscella novicida)U112 (FnCpf1)、カンジダツス・メタノプラスマ・テルミツム(Candidatus methanoplasma termitum)(CMtCpf1)、及びユーバクテリウム・エリジェンス(Eubacterium eligens)(EeCpf1)を含むいくつかの細菌において同定された。近年、Cpf1がRNase活性も有し、かつプレ-crRNAプロセシングの原因であることが実証された(Fonfara、I.、et al.、「The CRISPR-associated DNA-cleaving enzyme Cpf1 also processes precursor CRISPR RNA」, Nature 28、532(7600):517-521 (2016))。
クラス1系において、発現及び干渉段階は、多サブユニットCRISPR RNA (crRNA)-エフェクター複合体を含む。クラス2系において、発現及び干渉段階は単一の大きなタンパク質、例えば、Cas9、Cpf1、C2c1、C2c1、又はC2c3を含む。
クラス1系において、プレ-crRNAは、多サブユニットcrRNA-エフェクター複合体に結合され、そして成熟crRNAへとプロセシングされる。I型及びIII型系において、これはRNAエンドヌクレアーゼ、例えばCas6を含む。クラス2 II型系において、プレ-crRNAはCas9に結合され、そしてRNase III及びtracrRNAを含む段階においてcrRNAへとプロセシングされる。しかし、少なくとも1つのII型CRISPR-Cas系、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のそれにおいて、成熟5'末端を有するcrRNAは、内部プロモーターに直接転写され、そしてcrRNAプロセシングは起こらない。
クラス1系において、crRNAはcrRNA-エフェクター複合体に結合され、そしてヌクレアーゼ活性をRNA-結合ドメインと組み合わせること、及びcrRNAと標的核酸との間の塩基対形成により干渉を達成する。
I型系において、crRNA及びcrRNA-エフェクター複合体の標的結合は、小さなサブユニットタンパク質に融合されたCas7、Cas5、及びCas8を含む。I型系の標的核酸切断はHDヌクレアーゼドメインを含み、これはスーパーファミリー2ヘリカーゼCas3に融合されるか、又は別の遺伝子cas3にコードされる。III型系において、crRNA及びcrRNA-エフェクター複合体の標的結合は、Cas7、Cas5、Cas10及び小さいサブユニットタンパク質を含む。III型系の標的核酸切断は、Cas7及びCas10タンパク質の、aCas10に融合された異なるHDヌクレアーゼドメインとの組み合わせた作用を含み、これが干渉の間に単鎖DNAを切断すると考えられる。
クラス2系において、crRNAは、単一のタンパク質と結合され、そしてヌクレアーゼ活性を、RNA結合ドメイン及びcrRNAと標的核酸との間の塩基対形成と組み合わせることにより干渉を達成する。
II型系において、crRNA及び標的結合は、標的核酸切断を行うようにCas9を含む。II型系において、Cas9のRuvC-様ヌクレアーゼ(RNase Hフォールド)ドメイン及びHNH (McrA様)ヌクレアーゼドメインはそれぞれ、標的核酸の鎖の1つを切断する。II型系のCas9切断活性はまた、crRNAがtracrRNAにハイブリダイズしてCas9によるcrRNA及び標的結合を促進する二本鎖を形成することを必要とする。
V型系において、crRNA及び標的結合は、標的核酸切断を行うようにCpf1を含む。V型系において、Cpf1のRuvC-様ヌクレアーゼドメインは、標的核酸の1つの鎖を切断し、そして推定ヌクレアーゼドメインは、ねじれ型構成で標的核酸の他の鎖を切断し、5’オーバーハングを生じ、これは平滑末端と対照的に、Cas9切断により生成される。これらの5’オーバーハングは、非相同末端結合法によりDNAの挿入を促進し得る。
V型系のCpf1切断活性もまた、crRNAがtracrRNAにハイブリダイズして二本鎖を形成することを必要とせず、むしろ、V型系のcrRNAは、内部二本鎖を形成するステムループ構造を有する単一のcrRNAを使用する。Cpf1は配列及び構造特異的な方法でcrRNAに結合し、これがステムループ及びステムループに隣接した配列、最も顕著には、標的核酸にハイブリダイズするスペーサー配列のヌクレオチド5’を認識する。このステムループ構造は、典型的には15〜19ヌクレオチド長の範囲である。このステムループ二本鎖を分離させる置換は切断活性を消失させ、一方でステムループ二本鎖を分離しない他の置換は、切断活性を消失させない。V型系において、crRNAは5'末端にステムループ構造を形成し、そして3'末端の配列は、標的核酸における配列に対して相補的である。
V型crRNA並びに標的結合及び切断に関連する他のタンパク質としては、クラス2候補1(C2c1)及びクラス2候補3(C2c3)が挙げられる。C2c1及びC2c3タンパク質は、Cas9及びCpf1タンパク質と同様の長さであり、約1,100アミノ酸から約1,500アミノ酸の範囲に及ぶ。C2c1及びC2c3タンパク質はまた、RuvC-様ヌクレアーゼドメインを含有し、そしてCpf1と類似した構造を有する。C2c1タンパク質は、最適な切断温度50℃を有すること以外は、標的結合及び切断のためにcrRNA及びtracrRNAを必要とする点においてCas9タンパク質と類似している。C2c1タンパク質はAT-リッチPAMを標的とし、これはCpf1と同様に、標的配列の5’である(例えば、Shmakov、S.、et al. Molecular Cell 60(3)、385-397 (2015)を参照のこと)。
クラス2候補2(C2c2)は、他のCRISPRエフェクタータンパク質に対する配列類似性を共有せず、そして近年、VI型系と同定された(Abudayyeh O.、et al.、「C2c2 is a single-component programmable RNA-guided RNA-targeting CRISPR effector」, Science、pii:aaf5573 [Epub] (June 2、2016))。C2c2タンパク質は2つのHEPNドメインを有しており、そしてssRNA-切断活性を示す。C2c2タンパク質は、標的結合及び切断のためにcrRNAを必要とするが、tracrRNAを必要としない点でCpf1タンパク質と類似している。またCpf1のように、C2c2タンパク質についてcrRNAは、C2c2タンパク質との結合の際に補助する安定なヘアピン又はステムループ構造を形成する。
クラス2 II型CRISPR Cas系に関して、多数のCas9オルソログが当該分野で知られており、それらの関連するポリヌクレオチド成分(tracrRNA及びcrRNA)も同様に知られている(例えば、「Supplementary Table S2. List of bacterial strains with identified Cas9 orthologs」, Fonfara、Ines、et al.、「Phylogeny of Cas9 Determines Functional Exchangeability of Dual-RNA and Cas9 among Orthologous type II CRISPR/Cas Systems」, Nucleic Acids Research 42(4)、2577-2590 (2014)、全ての補足データを含む;Chylinski K.、et al.、「Classification and evolution of II型CRISPR-Cas systems」, Nucleic Acids Research、42(10)、6091-6105 (2014)、全ての補足データを含む、を参照のこと)。
さらに、Cas9様合成タンパク質が当該分野で知られている(米国特許出願第2014-0315985号(2014年10月23日公開)を参照のこと)。本発明の局面は、II型CRISPR Casタンパク質及びCas-タンパク質をコードするポリヌクレオチド(Cas9、Cas9様、Cas9オルソログによりコードされるタンパク質、Cas9様合成タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない)、並びにそのバリアント及び改変を使用するための、本明細書の指導に従って当業者により実施され得る。これらのCasタンパク質の同族RNA成分は、本明細書の指導に従って、当業者により本発明の実施における使用のために操作及び改変され得る。
II型CRISPR-Cas9系は、II-A (Csn2を含有する)及びII-B(Cas4を含有する)及びII-C型(Csn2もCas4もない、例えば、髄膜炎菌(N. meningitides))にさらに細分され得る。多数のCas9オルソログ、さらにはそれらの関連するtracrRNA及びcrRNA成分が当該分野で公知である(例えば、「Supplementary Table S2. List of bacterial strains with identified Cas9 orthologs」, Fonfara、Ines、et al.、「Phylogeny of Cas9 Determines Functional Exchangeability of Dual-RNA and Cas9 among Orthologous II型CRISPR/Cas Systems」, Nucleic Acids Research 42(4)、2577-2590 (2014)、全ての補足データを含む;Chylinski K.、et al.、「Classification and evolution of II型CRISPR-Cas systems」, Nucleic Acids Research、42(10)、6091-6105 (2014)、全ての補足データを含む;Kevin M Esvelt、K. M.、et al.、「Orthogonal Cas9 proteins for RNA-guided gene regulation and editing」, Nature Methods、10、1116-1121 (2013)を参照のこと)。
さらに、Cas9タンパク質の変異体及び改変は当該分野で公知である。米国特許出願公開第2014-0273226号(2014年9月18日公開)は、化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9遺伝子、Cas9タンパク質、宿主特異的コドン最適化Cas9コード配列を含むCas9タンパク質の変異体を考察する(例えば、¶¶ 0129-0137、米国特許出願公開第2014-0273226号(2014年9月18日公開)及びCas9融合タンパク質(例えば、¶¶233-240、米国特許出願公開第2014-0273226号(2014年9月18日)。米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)は、多数の例となる野生型Cas9ポリペプチドを教示する(例えば、配列番号1〜256、配列番号795〜1346、米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)、化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)由来のCas9の配列(配列番号8)、米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)が挙げられる)。Cas9タンパク質の改変及び変異体も考察される(例えば、¶¶504-608、米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開))。
本発明の局面は、II型CRISPR Casタンパク質及びCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド(限定されないが、Cas9、Cas9様、Cas1、Cas2、Cas3、Csn2、Cas4、Cas9オルソログによりコードされるタンパク質、Cas9様合成タンパク質を含む)、並びにそれらの変異体及び改変を使用するための本明細書の指導に従って当業者により実施され得る。これらのCasタンパク質の同族RNA成分は、本発明の実施における使用のために、本明細書の指導に従って当業者により操作及び改変され得る。
Cas9は、例となるII型CRISPR Casタンパク質である(化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9、配列番号127;ストレブトコッカス・サーモフィラス(S. thermophilus)CRISRP-1 Cas9、配列番号128)。Cas9は、tracrRNA/crRNAにより2つの異なるエンドヌクレアーゼドメイン(HNH及びRuvC/RNase H-様ドメイン)を使用して標的DNAを部位特異的に切断するようプログラムされ得るエンドヌクレアーゼである(米国特許出願公開第2014-0068797(2014年3月6日公開を参照のこと;Jinek M.、et al.、「A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity」, Science、337、816-21 (2012)も参照のこと)。II型CRISPR-Cas9系の2つのRNA成分は図1Aにおいて説明される。典型的には、各CRISPR-Cas9系は、tracrRNA及びcrRNAを含む。Cas9は、II型CRISPR-Cas9系に特徴的な特性タンパク質である。
crRNAは、潜在的DNA標的配列に相補性の領域及びtracrRNAと塩基対水素結合を形成して二次構造を形成する、典型的には少なくともステム構造を形成する第二の領域を有する。DNA標的に相補性の領域はスペーサーである。tracrRNA及びcrRNAは、多数の塩基対水素結合を通して相互作用し、例えば図1Bにおいて説明されるような、二次RNA構造を形成する。tracrRNA/crRNAとCas9タンパク質との間の複合体形成は、DNAへの結合、Cas9タンパク質のエンドヌクレアーゼ活性、及びエンドヌクレアーゼによるcrRNA先導型部位特異的DNA切断を促進するCas9タンパク質のコンホメーション変化を生じる。Cas9タンパク質/tracrRNA/crRNAリボ核タンパク質複合体がDNA標的配列に結合するか又は切断するために、DNA標的配列は、Cas9タンパク質/tracrRNA/crRNAリボ核タンパク質複合体に結合したプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に隣接する。
用語sgRNAは、典型的には、その3’末端で「ループ」配列を通してtracrRNAの5’末端に接続されたcrRNAを本質的に含む単一のガイドRNA(すなわち、単一の連続したポリヌクレオチド配列)を指す(例えば、米国特許出願公開第2014-0068797号(2014年3月6日公開)を参照のこと)。sgRNAは、tracrRNA/crRNAポリヌクレオチドについて本質的に記載されるように、上で考察されたように、同族Cas9タンパク質と相互作用する。crRNAと同様に、sgRNAは、二次構造、典型的にはステム構造(例えば、図2における、202、203、204、205)を形成する塩基対水素結合を形成する第二の領域に隣接した、DNA標的配列に相補性の領域であるスペーサーエレメント(図2、201)を有する。
sgRNA/Cas9タンパク質系を使用して、米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)、及び後に公開されたBriner、A. E.、et al.、「Guide RNA Functional Modules Direct Cas9 Activity and Orthogonality」, Molecular Cell Volume、56(2)、333-339 (2014)は、消耗性の特徴は機能的に最小のsgRNAを生成するために除去することができるということを実証した。これらの刊行物は、tracrRNA(crRNAではない)に対応し、切断活性をCas9に付与するsgRNAの部分に位置する「ネクサス」の重要性を考察する。ネクサスは、sgRNA又はtracrRNAのその同族cas9タンパク質に結合する能力を与え、そしてアポ酵素にハロ酵素(haloenzyme)構造変換の能力を与える。
ネクサスは、II型CRISPR-Cas9系における下部ステムのすぐ下流に位置する(すなわち、から3'方向に位置する)。ネクサスの相対位置の例は、図2、206において示されるsgRNAで説明される。米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)、及びBriner、A.E.らはまた、いくつかのsgRNA/Cas9ファミリーについて推定sgRNAのコンセンサス配列及び二次構造を開示する。これらの参考文献は、ネクサスまで及びネクサスを含む推定sgRNAにおける二次構造の全体的な配置が本明細書の図2に示されるものに対応するということを示す、すなわち、5’から3’の方向に、スペーサー、第一のステム、及びネクサス。図2は、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes) Cas9のsgRNAのエレメントについての概略及び命名を示す。図2と比較して、米国特許出願公開第2014-0315985号、及びBriner、A.E.らにおいて説明されるsgRNAにおけるネクサスの3'に位置するステム構造の数及び配置にバリエーションがある。
Fonfara、et al.、「Phylogeny of Cas9 Determines Functional Exchangeability of Dual-RNA and Cas9 among Orthologous type II CRISPR/Cas Systems」, Nucleic Acids Research、42(4)、2577-2590 (2014)(全ての補足データを含む、特にSupplemental Figure S11)は、8つのII型CRISPR-Cas9系のcrRNA/tracrRNA配列及び二次構造を示す。RNA二本鎖二次構造は、Vienna RNAパッケージのRNAcofoldを使用して予測された(Bernhart、S.H.、et al.、「Partition function and base pairing probabilities of RNA heterodimers」, Algorithms Mol. Biol.、1、3 (2006);Hofacker、I.L.、et al.、「Secondary structure prediction for aligned RNA sequences」, J. Mol. Biol.、319、1059-1066 (2002)及びRNAhybrid (bibiserv.techfak.uni-bielefeld.de/rnahybrid/))。ついで構造予測は、VARNA (Darty、K.、et al.、「VARNA:Interactive drawing and editing of the RNA secondary structure」, Bioinformatics、25、1974-1975 (2009))を使用して可視化された。Fonfara、I.らは、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)についてcrRNA/tracrRNA複合体が、図1B、105において説明されるバルジ領域を有していないが;しかし、本明細書における図1Bに示されるものに対応するネクサスまで及びネクサスを含む二次構造の一般的な配置、すなわち5’から3’方向に、スペーサー、第一のステム、及びネクサス、を保持しているということを示す。Ran、F.A.、et al.、「In vivo genome editing using Staphylococcus aureus Cas9」, Nature、9、520(7546)、186-291 (2015)(全ての追加データを含む)は、8つのII型CRISPR-Cas9系のcrRNA/tracrRNA配列及び二次構造を示す(Ran、F.A.らの追加データ図1を参照のこと)。予測されたtracrRNA構造は、制約生成RNAフォールディングモデル(Zuker、M.、「Mfold web server for nucleic acid folding and hybridization prediction」, Nucleic Acids Res.、31、3406-3415 (2003))に基づくものであった。Ran、F.A.らの図1に示される8つの細菌種についてのcrRNA/tracrRNA構造は、ネクサスまで及びネクサスを含む予測crRNA/tracrRNAにおける二次構造の一般的配置が、本明細書における図1Bに示されるものに対応する、すなわち5’から3’方向に、スペーサー、第一のステム及びネクサスということを示す。
上記及び本明細書の発明の背景において考察されるように、Jinek、M.、et al.、「A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity」, Science、337(6096)、816-21 (2012);Briner、A.、et al.、「Guide RNA Functional Modules Direct Cas9 Activity and Orthogonality」, Molecular Cell 56(2)、333-339 (2014);及びWright、A. V.、et al.、「Rational design of a split-Cas9 enzyme complex」, PNAS 112(10)、2984-2989 (2015)は全て、ガイドRNA/Cas9酵素複合体活性についてのネクサスヘアピンの重要性を示した。
しかし、これらの教示に反して、本発明を支持して行われた実験は、ネクサスヘアピン構造を中断及び改変することができ;したがって、新しい設計及び操作手段を本明細書に記載されるようなCRISPR技術にもたらすということを予期せず実証した。
第一の局面において、本発明は、Cas9タンパク質と複合体を形成して、Cas9タンパク質を、DNA標的配列を含む第一のDNA配列に、DNA標的結合配列を含まない第二のDNA配列と比較して優先的に結合させることができる、2つ又はそれ以上のポリヌクレオチド(sn-casPN)を含む操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系に関する。いくつかの実施態様において、複合体は、第一のDNA配列を切除する。系において、2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドの少なくとも2つは、ネクサスステムエレメントを形成するために必要である。第一のDNA配列に結合することに加えて、sn-casPNs/Cas9複合体は、Cas9タンパク質を、第一のDNA配列を結合及び切断するようにさせることができる。好ましい実施態様は、3つのsn-casPN(sn1-casPN、sn2-casPN、及びsn3-casPN;2つの例が図3A、図3Cに示される)を含み、ここでsn3-casPNは、スペーサーエレメント(すなわち、DNA標的結合配列)を含む。別の好ましい実施態様は、2つのsn-casPN(sn1-casPN、sn2-casPN;2つの例が図3B、図3Dに示される)を含み、ここでsn1-casPNは、スペーサーエレメント(すなわち、DNA標的結合配列)及びネクサスエレメントの第一の部分を含む。3つのsn-casPNの2つのバリエーションが図3F、図3Hに示される。4つのsn-casPNの2つのバリエーションが図3E、図3Gに示される。
本発明の第一の局面の一実施態様において、2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドは、第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301;図3C、327;図3E、301;図3G、327)及び第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチド(例えば、図3A、302;図3C、302;図3E、302;図3G、302)を含み、ここで(i)第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II及び第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと第二のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、そして
(ii)第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは、別々のポリヌクレオチドであり、それぞれ5’末端及び3’末端を含む。
本発明の第一の局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301;図3C、327)は、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第三のポリヌクレオチド(例えば、図3A、303;図3C、328)は、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここで第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができ、ここで第三のポリヌクレオチドは、5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである。
本発明の第一の局面の他の実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301)は、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメントヌクレオチド配列I、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第三のポリヌクレオチド(例えば、図3A、303)は、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、第一のステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここで上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成し、そして第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成する。
本発明の第一の局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3E、301;図3G、327)は、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、第三のポリヌクレオチド(例えば、図3E、330;図3G、333)は、第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、そしてスペーサーポリヌクレオチド(例えば、図3E、331;図3G、331)は、DNA標的結合配列を含み、ここで第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成する。この実施態様において、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、及びスペーサーポリヌクレオチドは別々のポリヌクレオチドであり、それぞれ5’末端及び3’末端を含む。
本発明の第一の局面のさらなる実施態様において、第一のポリヌクレオチド(図3E、301)は、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメント配列I、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、第三のポリヌクレオチド(図3E、330)は、5’から3’の方向に、第一の下部ステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、そしてスペーサーポリヌクレオチド(図3E、331)は、DNA標的結合配列を含み、ここで上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成し、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成する。
さらなる実施態様は、本発明の教示を考慮すれば当業者に明らかだろう。
本発明の第二の局面において、操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含む。2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドは、Cas9タンパク質と複合体を形成して、Cas9タンパク質を、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含有する標的DNA配列に、PAM配列を含まないDNA配列と比較して優先的に結合させるようにすることができるtracrエレメントを含む。いくつかの実施態様において、この複合体は、PAM配列を含有するDNA配列に優先的に結合し切除する。tracrエレメントは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301;図3C、327;図3E、301;図3G、327)、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチド(例えば、図3A、302;図3C、302;図3E、302;図3G、302)を含み、ここでネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、そして第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは、別々のポリヌクレオチドであり、それぞれ5’末端及び3’末端を含む。
本発明の第二の局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301;図3C、327)は、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第三のポリヌクレオチド(例えば、図3A、303;図3C、328)は、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここで第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができ、ここで第三のポリヌクレオチドは、5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである。
本発明の第二の局面の他の実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301)は、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメントヌクレオチド配列I、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第三のポリヌクレオチド(例えば、図3A、303)は、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、第一のステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここで上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成し、そして第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成する。
本発明の第二の局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3E、301;図3G、327)は、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、第三のポリヌクレオチド(例えば、図3E、330;図3G、333)は、第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、そしてスペーサーポリヌクレオチド(例えば、図3E、331;図3G、331)は、DNA標的結合配列を含み、ここで第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成する。この実施態様において、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、及びスペーサーポリヌクレオチドは別々のポリヌクレオチドであり、それぞれ5’末端及び3’末端を含む。
本発明の第二の局面のさらなる実施態様において、第一のポリヌクレオチド(図3E、301)は、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメント配列I、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、第三のポリヌクレオチド(図3E、330)は、5’から3’の方向に、第一の下部ステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、そしてスペーサーポリヌクレオチド(図3E、331)は、DNA標的結合配列を含み、ここで上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成し、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成する。
さらなる実施態様は、本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかである。
本明細書で使用される用語「tracrエレメント」に関して、この用語は、Cas9タンパク質と複合体を形成して、Cas9タンパク質を、PAM配列を含有するDNA配列に、PAM配列を含まないDNA配列と比較して優先的に結合するようにすることができる2つ又はそれ以上のsn-casPNを指す。Sternberg、S.H. et al.、「DNA interrogation by the CRISPR RNA-guided endonuclease Cas9」, Nature、507(7490)、62-67 (2014)は、tracrRNA/crRNA/CasについてのDNAとの全ての結合事象の一及び対応する寿命を調べるために、二重テザーDNAカーテンを使用する方法を教示する。本明細書の指導に従って、当業者は、2つ又はそれ以上のsn-casPNを含むtracrエレメントの存在を確認するために、PAM配列を含まないDNA配列に対するPAMを含有するDNA配列への例えばsn-casPNs/Cas9複合体の優先的な結合(より高い結合親和性)を評価するために、このような方法を適用することができる。
sn-casPNに関して、本明細書で使用される「スペーサー」又は「スペーサーエレメント」は、相補的な標的核酸配列に特異的にハイブリダイズすることができる標的結合配列を指し、そして「スペーサーポリヌクレオチド」は、スペーサーエレメントを含むポリヌクレオチド配列を指す。スペーサーエレメントは、相補的塩基対間(すなわち、対合した塩基)の水素結合を通して標的核酸配列と相互作用する。典型的には、スペーサーエレメント(DNA標的結合配列)は、選択されたDNA標的配列に結合する。スペーサーエレメントは、Cas9タンパク質部位特異的結合及びエンドヌクレアーゼ的切断の位置を決定する。スペーサーエレメントは、それらが関連するCas9タンパク質によって約17〜約84ヌクレオチド長の範囲に及び、そして平均36ヌクレオチド長を有する(Marraffini、L. A.、et al.、「CRISPR interference:RNA-directed adaptive immunity in bacteria and archaea」, Nature Reviews Genetics、11(3)、181-190 (2010))。スペーサーエレメントについての機能性の長さの変動性は当該分野で公知である(例えば、米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)。いくつかの実施態様におけるスペーサーポリヌクレオチドは、スペーサーエレメントに加えてポリヌクレオチド配列を有し、そしてこのようなポリヌクレオチド配列は、典型的にはスペーサーエレメントの5'末端、スペーサーエレメントの3’末端、スペーサーエレメントに対して内部、又はその組み合わせに位置する。
塩基対水素結合を通した2つのポリヌクレオチド間の二次構造の生成(例えば、ステムエレメント及びヘアピン)は、当業者に公知の多数の方法により決定され得る(例えば、X線結晶学、核磁気共鳴(NMR)分光法、低温電子顕微鏡法(Cryo-EM)、化学的/酵素的調査、熱変性(融解研究)、及び質量分析法;コンピュータ構造予測のような予測技術が挙げられるがこれらに限定されない実験技術;好ましい方法としては、化学的/酵素的調査、熱変性(融解研究)が挙げられる)。単鎖RNA又はDNA配列の二次構造を予測する方法は、当該分野で公知であり、例えば、「RNAfoldウェブサーバー」(rna.tbi.univie.ac.at/cgi-bin/RNAfold.cgi)は、単鎖RNA又はDNA配列の二次構造を予測する(例えば、Gruber、A.R.、et al.、「The Vienna RNA Websuite」, Nucleic Acids Res. July 1:36 (Web Server issue) (2008);Lorenz、R.、et al.、「ViennaRNA Package 2.0」, Algorithms for Molecular Biology、6、26 (2011)を参照のこと)。RNA二次構造を評価するための好ましい方法は、実験及びコンピューター複合SHAPE法(Low J.T.、et al.、「SHAPE-Directed RNA Secondary Structure Prediction」, Methods、52(2)、150-158 (2010))を使用することである。
本発明の第三の局面において、操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、それぞれ5’末端及び3’末端を含む第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドを含む2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含む。第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301;図3C、327;図3E、301;図3G、327)は、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iは、5’から3’の方向に、Nw-N1-N2-Nxを含み、ここでNwは第一の連結ヌクレオチド配列であり、ここでwは連結ヌクレオチド配列の長さであり、かつwは2に等しいか又はそれ以上であり、N1はヌクレオチドであり、N2はヌクレオチドであり、そしてNxは第一の補助ポリヌクレオチドであり、ここでxは第一の補助ポリヌクレオチドの長さであり、かつxは0に等しいか又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、Nwについて、wは0に等しいか又はそれ以上であり、好ましくは、wは1に等しいか又はそれ以上であり、より好ましくは、wは2に等しいか又はそれ以上である。第二のポリヌクレオチド(例えば、図3A、302;図3C、302;図3E、302;図3G、302)は、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、5’から3’の方向に、Ny-Nc2-Nc1-Nzを含み、ここでNyは、第二の補助ポリヌクレオチドであり、ここでyは第二の補助ポリヌクレオチドの長さであり、かつ0に等しいか又はそれ以上であり、Nc2は、N2に相補的なヌクレオチドであり、Nc1は、N1に相補的なヌクレオチドであり、そしてNzは、第二の連結ヌクレオチド配列であり、ここでzは、第二の連結ヌクレオチド配列の長さであり、かつzは0に等しいか又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、Nzについては、zは1に等しいか又はそれ以上であり、好ましくはzは2に等しいか又はそれ以上である。この局面において、第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列及び第二のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列は、少なくともN1/Nc1とN2/Nc2との間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、そして第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは別々のポリヌクレオチドである。
本発明の第三の局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301;図3C、327)は、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第三のポリヌクレオチド(例えば、図3A、303;図3C、328)は、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここで第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができ、ここで第三のポリヌクレオチドは、5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである。
本発明の第三の局面の他の実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3A、301)は、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメントヌクレオチド配列I、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第三のポリヌクレオチド(例えば、図3A、303)は、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、第一のステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここで上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成し、そして第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iとステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成する。
本発明の第三の局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチド(例えば、図3E、301;図3G、327)は、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、第三のポリヌクレオチド(例えば、図3E、330;図3G、333)は、第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、そしてスペーサーポリヌクレオチド(例えば、図3E、331;図3G、331)は、DNA標的結合配列を含み、ここで第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成する。この実施態様において、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、及びスペーサーポリヌクレオチドは別々のポリヌクレオチドであり、それぞれ5’末端及び3’末端を含む。
本発明の第三の局面のさらなる実施態様いおいて、第一のポリヌクレオチド(図3E、301)は、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメント配列I、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、第三のポリヌクレオチド(図3E、330)は、5’から3’の方向に、第一の下部ステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、そしてスペーサーポリヌクレオチド(図3E、331)は、DNA標的結合配列を含み、ここで上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成し、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成する。
さらなる実施態様は、本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかだろう。
本発明の第四の局面は、本発明の第一、第二、及び第三の局面の改変を含み、ここで、第一のポリヌクレオチドの5'末端及び第三のポリヌクレオチドの3’末端は、ループエレメントにより接続される。したがって、本発明の第四の局面において、「第三のポリヌクレオチド」は、「第一のヘアピンを含む第一のポリヌクレオチド」に包含されているので、存在しない。いくつかの実施態様において、この第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、第一のステムエレメント、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、ここで第一のステムエレメントは、第一のヘアピンを含む(例えば、図3D、329)。さらなる実施態様において、第一のステムエレメントは、下部ステムエレメント、バルジエレメント、及び上部ステムエレメントをさらに含み、ここで下部ステムエレメントはバルジエレメントに隣接し、バルジエレメントは上部ステムエレメントに隣接し、バルジエレメントは、下部ステムエレメントと上部ステムエレメントとの間に挿入され、そして上部ステムエレメントは、第一のヘアピン(例えば、図3B、326)を含む。いくつかの実施態様において、スペーサーエレメントは、第一のヘアピンを含む第一のポリヌクレオチド(例えば、図3F、332;図3H、334)と離れており、そしてスペーサーポリヌクレオチド(例えば、図3F、331;図3H、331)は、スペーサーエレメントを含む。第一のアクセサリーポリヌクレオチド又は第二のアクセサリーポリヌクレオチドを使用する以下に記載されるsn-casPNのバリエーションは、第一のヘアピンを含む第一のポリヌクレオチドを含むsn-casPNに適用されない。
さらなる実施態様は、本発明の教示を考慮すれば当業者に明らかだろう。
sn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系の成分は、図5A、図5B、及び図5Cにおいて説明される。sn1-casRNA/sn2-casRNAの例は、図3Bに示され、ここで第一のポリヌクレオチドはsn1-casRNA(図3B、326)であり、そして第二のポリヌクレオチドはsn2-casRNA(図3B、302)である。図5Aは、sn1-casRNA (図5A、502)との複合体におけるSpyCas9のα-らせんローブ(図5A、501)のモデルを示す。スペーサーエレメント(すなわち、核酸標的結合配列)に対応するsn1-casRNAの部分は、角括弧により示される(図5A、503)。5Bは、sn2-casRNA(図5B、507)との複合体におけるSpyCas9の触媒的ヌクレアーゼローブ(図5B、506)のモデルを示す。RuvCドメイン(図5B、510;RNase Hドメイン)及びHNHドメイン(図5B、511;HNHヌクレアーゼドメイン)の相対的位置が示される。図5Cは、構築されたsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質複合体の図を示す。sn2-casRNA(図5C 508)のsn1-casRNA分断ネクサスエレメント(図5C、505)の3’末端及び分断ネクサスエレメントの3’末端の相対的位置が示される。
本発明の第五の局面は、本発明の第一、第二、及び第三の局面の改変を含み、ここで、改変は、任意のアクセサリーポリヌクレオチドの第一のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、又は第一のポリヌクレオチド及び第三のポリヌクレオチドの両方に加えることである。本発明の第五の局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチドは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iの5’に位置する第一のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む。第一のポリヌクレオチドの第一のステムエレメントが、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメント配列I、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む場合、第一のアクセサリーポリヌクレオチドは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I(例えば、図4B、401、427〜428)の5’に位置する。
本発明の第五の局面の他の実施態様において、第三のポリヌクレオチドは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIの3’に第二のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む。第三のポリヌクレオチドの第一のステムエレメントは、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、第一のステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む場合、第二のアクセサリーポリヌクレオチドは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列II(例えば、図4B、435、429〜430)の3’に位置する。
アクセサリーポリヌクレオチドは、様々な部分を含み得、これらとしては、限定されないが、親和性タグ、リガンド、リガンド結合配列、リンカー配列、ヘアピン、親和性ヌクレオチド配列、エフェクター結合エレメント、融合エフェクタータンパク質、細胞内局在化シグナル又はコード配列、したがって;小分子、検出可能な標識、FRET対のメンバー、フルオロフォア/量子ドットドナー/アクセプター対、蛍光標識、酵素、蛍光タンパク質、ナノ粒子、量子ドットが挙げられる。
本発明の第六の局面は、sn-casPNの第二のポリヌクレオチドの改変に関する。一実施態様において、第二のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II及び第二のステムエレメントを含み、ここで第二のステムエレメントは、ヘアピンを含む。第二のポリヌクレオチドはまた、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II、第二のステムエレメント、及び第三のステムエレメントを含み得、ここで第三のステムエレメントはヘアピンを含む。さらに、第二のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II及び第二のステムエレメントを含み、ここで第二のステムエレメントは、ヘアピン及び第三のステムエレメントを含み、ここで第三のステムエレメントはヘアピンを含む(例えば、図3A、302)。
本発明の第六の局面の別の実施態様において、第二のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II、第二の連結配列、及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列I(例えば、図4A、402、406〜407)、そして第二のステムエレメントヌクレオチド配列II(図4A、403、409〜410)を含む第一の付属ポリヌクレオチドをさらに含み、ここで第二のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第二のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第二のステムエレメントを形成する。いくつかの実施態様において、第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIの5’末端及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列Iの3’末端は、ループエレメントにより接続された第二のヘアピンを生成する。
さらに、第一の付属ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、第二のステムエレメントヌクレオチド配列II及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列I(図4A、403、411〜412)を含み得、そして第二の付属ポリヌクレオチド(図4A、404)は、5’から3’の方向に、第三のステムエレメントヌクレオチド配列II(図4A、404、413〜414)を含み、ここで第三のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第三のステムエレメントを形成する。いくつかの実施態様において、第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIの5’末端及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iの3’末端は、ループエレメントにより接続されて第三のヘアピンを生成する。
他の実施態様において、第二のポリヌクレオチドの3’末端は、様々な部分を含み得る3’末端配列を含み、この部分としては、限定されないが、親和性タグ、リガンド、リガンド結合配列、リンカー配列、ヘアピン、親和性ヌクレオチド配列、エフェクター結合エレメント、融合エフェクタータンパク質、細胞内局在化シグナル又はコード配列、したがって;小分子、検出可能な標識、FRET対のメンバー、フルオロフォア/量子ドットドナー/アクセプター対、蛍光標識、酵素、蛍光タンパク質、ナノ粒子、量子ドットが挙げられる。
本発明の第七の局面は、第一のポリヌクレオチドの分断ネクサスの3’末端及び第二のポリヌクレオチドの分断ネクサスの5’末端の改変に関し、ここで改変は、任意の補助ポリヌクレオチドを、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、又は第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドの両方に加えることである。一実施態様において、第一のポリヌクレオチドは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと3’で隣接した第一の補助ポリヌクレオチドをさらに含む。別の実施態様において、第二のポリヌクレオチドは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIと5’で隣接した第二の補助ポリヌクレオチドをさらに含む。さらに別の実施態様において、第一のポリヌクレオチドは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと3’で隣接した第一の補助ポリヌクレオチドを含み、そして第二のポリヌクレオチドは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIと5’で隣接した第二の補助ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様に
おいて、リンカーエレメントポリヌクレオチドは、ネクサスエレメントヌクレオチド配列と補助ポリヌクレオチドとの間に挿入される。第一の補助ポリヌクレオチド及び/又は第二の補助ポリヌクレオチドは、単鎖RNA結合タンパク質のような単鎖ポリヌクレオチド結合タンパク質についての結合部位を含み得る。
本発明の第七の局面のさらなる実施態様において、第一のポリヌクレオチドネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと3’で隣接した第一の補助ポリヌクレオチドを含み、そして第二のポリヌクレオチドは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIと5’で隣接した第二の補助ポリヌクレオチドを含み、そして第一の補助ポリヌクレオチドは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第二の補助ポリヌクレオチドは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここでエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列I及びエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列IIは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとの間の塩基対水素結合によりエフェクター結合エレメントを形成することができる。したがって、エフェクタータンパク質が結合することができる二本鎖ポリヌクレオチドエフェクター結合エレメントを生じる。いくつかの実施態様において、二本鎖ポリヌクレオチドはRNAであり、そしてエフェクタータンパク質は、エフェクター結合エレメントに結合することができる二本鎖RNA結合タンパク質である。二本鎖RNA結合エフェクタータンパク質の例としては、Cas5、Cas6、及びCsy4が挙げられる。いくつかの実施態様において、エフェクター結合タンパク質は、触媒的に不活性であるが(例えば、Csy4*)、エフェクター結合エレメントになお結合する。
本発明の第七の局面のいくつかの実施態様において、第一の補助ポリヌクレオチド及び/又は第二の補助ポリヌクレオチドは、1つ又はそれ以上の第一の親和性ヌクレオチド配列をさらに含む。親和性ヌクレオチド配列は、ポリペプチドに共有結合で連結され得る。親和性ヌクレオチド配列はリガンドを含み得る。いくつかの実施態様において、親和性ヌクレオチド配列の1つはリガンドを含み、そして他の親和性ヌクレオチド配列は対応するリガンド結合部分を含む。
図4Aは、第一の補助ポリヌクレオチド(図4A、401、419〜424)を含む第一のポリヌクレオチド(図4A、401)の例を説明し、ここで第一の補助ポリヌクレオチドは、リンカーエレメントヌクレオチド配列I(図4A、401、419〜422)、親和性ヌクレオチド配列I(図4A、401、422〜423)、及びエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列I(図4A、401、423〜424)を含み、そして第二のポリヌクレオチド(図4A、402)は第二の補助ポリヌクレオチド(図4A、402、405〜418)を含み、ここで第二の補助ポリヌクレオチドは、リンカーエレメントヌクレオチド配列II(図4A、402、405〜416)、親和性ヌクレオチド配列II(図4A、402、416〜417)、及びエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列II(図4A、402、417〜418)を含む。
エフェクタータンパク質の使用の例はCsy4*であり、対応するエフェクタータンパク質結合エレメントはこの図を参照して示され得る。エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列I(図4A、401、423〜424)及びエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列II(図4A、402、417〜418)は、塩基対水素結合を通して二本鎖RNA構造を形成して、Csy4*二本鎖結合エレメントを形成する。二本鎖RNA結合エレメントの形成後に、Csy4*タンパク質は結合エレメントに結合し、そして第一の補助ポリヌクレオチドと第二の補助ポリヌクレオチドとの相互作用を安定化する。Csy4*及びその対応する結合エレメントは、実施例5及び実施例7に示されるCas9切断実験においてこの方法で使用される。
エフェクタータンパク質の使用の関連する例はCsy4*であり、対応するエフェクタータンパク質結合エレメントは2つのポリヌクレオチドのsn-casPNs/Cas9タンパク質系について図6A、図6B、及び図6Cに示される。この系は、分断ネクサスエレメント(図3B、326)の第一の部分を含む第一のポリヌクレオチド(sn1-casPN)及び分断ネクサスエレメント(図3B、302)の第二の部分を含む第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)に対応する。
4つの二本鎖DNA標的のsn-casRNAs/Cas9タンパク質切断を促進するCsy4*の能力は、実施例5において実証される。図9に示されるデータは、エフェクタータンパク質(ここではCsy4*)が、エフェクター結合エレメント(例えば、Csy4 RNA結合配列)を有する補助ポリヌクレオチドを含む本発明のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系による標的二本鎖DNAの切断を増強したということを実証する。二本鎖DNA標的のsn-casRNAs/Cas9タンパク質切断を促進するCsy4*の能力に関連するさらなるデータが実施例7に示される。
図6Aは、会合及びそれらの間の水素結合塩基対の形成前の、sn1-casRNA及びsn2-casRNAを示す。図6Bは、エフェクター結合エレメントを形成を説明するために、それらの間の水素結合塩基対の形成後の、第一の補助ポリヌクレオチドを含むsn1-casRNA及び第二の補助ポリヌクレオチドを含むsn2-casRNAを説明する。上部の破線枠(図6B、610)は、エフェクター結合エレメント、このじっし例ではCsy4* RNA結合エレメントの形成を示す。図6Cは、SpyCas9の触媒的ヌクレアーゼローブ(図6C、613)とのsn2-casRNAの結合及びSpyCas9のα-らせんローブ(図6C、614)とのsn1-casRNAの結合を説明する。エフェクタータンパク質Csy4*(図6C、615)も示され、これはエンドリボヌクレアーゼ活性を持たないCsy4のバリアントである。太い下向きの矢印は、SpyCas9のsn2-casRNA/触媒的ヌクレアーゼローブ(図6C、613)、SpyCas9のsn1-casRNA/α-らせんローブ(図6C、614)、及びCsy4*タンパク質(図6C、615)の複合体(図6C、618)の構築を示す。この例は、α-らせんローブを追加したsn1-casRNA及び触媒的ヌクレアーゼローブを追加したsn2-casRNAが変化した三元複合体を説明し、これはCsy4*タンパク質の結合によりさらに安定化されて、部位特異的DNA切断を触媒するCas9の活性を再現する。
本発明の第七の局面のさらなる実施態様において、エフェクタータンパク質は、少なくとも1つの亜鉛フィンガーを含む。
第一の補助ポリヌクレオチド及び/又は第二の補助ポリヌクレオチドは、1つ又はそれ以上のヘアピンも含み得る。図7Aは、第一の補助ポリヌクレオチドを含むsn1-casRNA(図7A、702〜703)及び第二の補助ポリヌクレオチドを含むsn2-casRNA(図7A、706〜707)を説明する。図面は、会合及びそれらの間の水素結合塩基対の形成の前のsn1-casRNA及びsn2-casRNAを示す。図面は、第一の補助ポリヌクレオチド(図7A、704)内の塩基間の水素結合塩基対合により形成されたヘアピンエレメント及び第二の補助ポリヌクレオチド(図7A、708)内の塩基間の水素結合塩基対合により形成されたヘアピンエレメントを示す。図7Bは、組み立てられてCas9との活性複合体となったsn1-casRNA/sn2-casRNAを説明する。
さらに、第一の補助ポリヌクレオチド及び/又は第二の補助ポリヌクレオチドはまた、1つ又はそれ以上のG4構造(G-quadraplexes)(G4-DNAとも呼ばれる)も含み得る。G4構造は、グアニンリッチ配列により核酸において形成される構造である。典型的には、4つのグアニン塩基がフーグスティーン水素結合を通して会合し、平面四角形構造(グアニン四つ組)を形成する。2つ又はそれ以上のグアニン四つ組が積み重なる場合、それらはG4構造を形成する。G4構造の形成のための例となる反復配列は(GGN)nであり、ここでnは典型的には4又はそれ以上である。1つ又はそれ以上の四重構造は、例えば、第一の補助ポリヌクレオチド及び/又は第二の補助ポリヌクレオチド内の配列により分子内で形成され得る。G4構造はまた、2つ又はそれ以上の分子間相互作用を通して形成し得、例えば、第一の補助ポリヌクレオチド上の2つの反復は、第二の補助ポリヌクレオチド上の2つの異なる反復とフーグスティーン水素結合を通して四重構造(quadruplex)を形成する。さらに、1つ又はそれ以上の四重構造は、第一の補助ポリヌクレオチドと第二の補助ポリヌクレオチドの配列間で形成され得る。四重構造は、カチオン、例えばナトリウム又はカリウムの存在によりさらに安定化され得る。このようなカチオンは、通常、四つ組の各対間の中心チャネルを占める。いくつかの実施態様において、G4構造形成は、G4構造に結合することができる分子の導入により誘導及び/又は安定化され得る。多数のこのような分子、小分子及びタンパク質の両方が、当業者に公知である。
本発明の全ての局面は、Cas9タンパク質(又は必要に応じてCas9タンパク質をコードする核酸)又はCas9融合物(又は必要に応じてCas9融合物をコードする核酸配列)を含み得る。
本明細書で使用される用語「親和性タグ」は、1つのsn-casPNの別のsn-casPN及び/又はCas9タンパク質に対する結合親和性を増加させる1つ又はそれ以上の部分を指す。本発明のいくつかの実施態様は、「親和性配列」を使用しこれは1つ又はそれ以上の親和性タグを含むポリヌクレオチド配列である。第一のsn-casPNを改変するために使用され得る親和性配列の例としては、MS2結合配列、U1A結合配列、ステムループ配列、eIF4A結合配列、転写活性化因子様エフェクター(TALE)結合配列(Valton、J.、et al.、「Overcoming Transcription Activator-like Effector (TALE) DNA Binding Domain Sensitivity to Cytosine Methylation」, J Biol Chem.、287(46)、38427-38432 (2012))、又は亜鉛フィンガードメイン結合配列(Font、J.、et al.、「Beyond DNA:zinc finger domains as RNA-binding modules」, Methods Mol Biol.、649、479-91 (2010);Isalan、M.、et al.、「A rapid、generally applicable method to engineer zinc fingers illustrated by targeting the HIV-1 promoter」, Nat Biotechnol.、19(7)、656-660 (2000))の使用が挙げられる。他のsn-casPN及び/又はCas9タンパク質コード配列は、対応する親和性タグ:それぞれ、MS2コード配列、U1Aコード配列、ステムループ結合タンパク質コード配列、eIF4Aコード配列、TALEコード配列、又は亜鉛フィンガードメインコード配列を含むように改変され得る。
多種多様なタグが米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)に開示されている。
本明細書で使用される用語「リガンド」及び「リガンド結合部分」は、1つのsn-casPNの別のsn-casPN又はCas9タンパク質への結合を促進する部分を指す。リガンド及びリガンド結合部分は対応する親和性タグである。
リガンド部分の使用の一実施態様は、リガンド結合部分をCas9タンパク質中に形成すること又はリガンド結合部分を第一のsn-casPNに結合させ、そして異なるsn-casPNのポリヌクレオチド配列をリガンドを含有するように改変することである。本発明の実施において有用なリガンド/リガンド結合部分は、アビジン又はストレプトアビジン/ビオチンである(例えば、Livnah、O.、et al.、「Three-dimensional structures of avidin and the avidin-biotin complex」, PNAS、90(11)、5076-5080 (1993);Airenne、K.J.、et al.、「Recombinant avidin and avidin-fusion proteins」, Biomol. Eng.、16(1-4)、87-92 (1999)を参照のこと)。リガンド結合部分を有するCas9タンパク質の一例は、ビオチン化sn-casPNに結合するよう設計されたリガンドアビジン又はストレプトアビジンに融合されたCas9タンパク質であり、ここでsn-casPNは、ビオチンが結合されたポリヌクレオチド配列を含む。ビオチンは、アビジン又はストレプトアビジンタンパク質に対する高親和性かつ高特異性のリガンドである。アビジン又はストレプトアビジンポリペプチド鎖をCas9タンパク質に融合することにより、Cas9タンパク質は、ビオチン化されたsn-casPN-ビオチンに対して高親和性および特異性を有する。
ビオチン化は、好ましくはsn-casPNの5’末端又は3’末端にごく近接している。sn-casPNの配列及びビオチンの位置は、sn-casPN-ビオチンの合成のための商業的製造者らに提供される。sn-casPN及びCas9タンパク質のリガンド結合を改変されたの切断パーセンテージ及び特異性の変化は、例えば、実施例3、実施例4、及び/又は実施例9に記載されるように評価される。
同様に使用することができる他のリガンド及びリガンド結合部分の例としては、限定されないが、以下が挙げられる(リガンド/リガンド結合部分):エストラジオール/エストロゲン受容体(例えば、Zuo、J.、et al.、「Technical advance:An estrogen receptor-based transactivator XVE mediates highly inducible gene expression in transgenic plants」, Plant J.、24(2)、265-73 (2000)を参照のこと)、ラパマイシン/FKBP12、及びFK506/FKKBP(例えば、B. Setscrew、et al.、「A split-Cas9 architecture for inducible genome editing and transcription modulation」, Nature Biotechnology、33、139-142 (2015);Chiu M.I.、et al.、「RAPT1、a mammalian homolog of yeast Tor、interacts with the FKBP12/rapamycin complex」, PNAS、91(26)、12574-78) (1994)を参照のこと)。
リガンド及びリガンド結合部分の別の例は、Cas9タンパク質の選択された領域に対する高い親和性及び結合特異性を有するsn-casPNのポリヌクレオチド配列において1つ又はそれ以上のアプタマー又は改変されたアプタマーを提供することである。一実施態様において、リガンド結合部分は、アプタマーを含むポリヌクレオチドである(例えば、Navani、N.K.、et al.、「In vitro Selection of Protein-Binding DNA Aptamers as Ligands for Biosensing Applications」, Biosensors and Biodetection、Methods in Molecular Biology、504、399-415 (2009);A. V. Kulbachinskiy、「Methods for Selection of Aptamers to Protein Targets」, Biochemistry (Moscow)、72(13)、1505-18 (2007))。アプタマーは、対応するリガンド認識能力を有する単鎖機能的核酸である。典型的には、アプタマーはsn-casPNの5’末端又は3’末端に位置する。本発明の実施において、リガンドの一例はcasPN/Cas9複合体である。
別の実施態様において、リガンド結合部分は、改変されたポリヌクレオチドを含み、ここで非天然官能基が、改変されたポリヌクレオチドの塩基の水素結合面から離れた方向を向いた位置、例えばピリミジンの5位及びプリンの8位に導入される(遅い解離速度の改変されたアプタマー又はSOMAmer、例えば、Rohloff、J.C.、et al.、「Nucleic Acid Ligands With Protein-like Side Chains:Modified Aptamers and Their Use as Diagnostic and Therapeutic Agents」, Molecular Therapy Nucleic Acids、3、e201 (2014)を参照のこと)。Cas9タンパク質に対して高い特異性及び親和性を有するアプタマーは、アプラマーライブラリのインビトロ選択及びスクリーニングにより得ることができた。
さらに別の実施態様において、確立されたアプタマー結合配列/アプタマーは、アプタマー結合領域をCas9タンパク質に導入することにより使用される。例えば、ビオチン結合アプタマーは、sn-casPNに導入され得、そしてCas9タンパク質は、選択的にビオチン化されてビオチン結合アプタマーのための対応する結合部位を形成し得る。
Cas9タンパク質上の選択されたリガンドのための高親和性結合部位の生成は、本明細書の指導を考慮して当業者に公知のいくつかのタンパク質操作方法を使用して達成することができる。このようなタンパク質操作方法の例としては、合理的タンパク質設計、ライブラリのための異なる選択及びスクリーニング方法を使用した指向進化(問えば、ファージディスプレイ)、DNAシャッフリング、コンピューターにより方法(例えば、ROSETTA、www.rosettacommons.org/software)、又は既知の高親和性リガンドのCas9への導入が挙げられる。これらの方法により得られたライブラリーは、例えば、ファージデイスプレイアッセイ、細胞生存アッセイ、又は結合アッセイを使用して、Cas9タンパク質高親和性結合剤について選択するためにスクリーニングされ得る。
本発明の別の局面において、sn-casPNの少なくとも1つは環状ポリヌクレオチドである。
本発明のさらに別の局面において、少なくとも1つの線状sn-casPNは、5’末端配列及び/又は3’末端配列を含み、そして少なくとも1つの5’末端配列及び/又は3’末端配列は、5’末端配列及び/又は3’末端配列と結合したエクソヌクレアーゼ抵抗部分を含む。エクソヌクレアーゼ抵抗性部分の例としては、限定されないが、末端配列におけるヘアピン、単鎖ポリヌクレオチドが結合する単鎖ポリヌクレオチド結合配列、及び連鎖逆位が挙げられる。
本発明の一局面は、本発明のsn-casPNを製造する方法に関する。一実施態様において、製造方法は、sn-casPNの1つ又はそれ以上を化学的に合成することを含む。いくつかの実施態様において、sn-casPNは、RNA塩基、DNA塩基、又はRNA塩基とDNA塩基との組み合わせを含む。さらに、ホスホジエステル骨格以外又はホスホジエステルに加えて核酸塩基骨格を、例えば、核酸、ペプチド-核酸トレオース核酸、又はそれらの組み合わせを使用して合成することができる。いくつかの実施態様において、製造方法は、インビトロ転写により1つ又はそれ以上のsn-casPNを産生することを含む。
一局面において、本発明は、2つ又はそれ以上のsn-casPN及び/又はCas9タンパク質の配列をコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットに関する。本発明の発現カセットは、少なくとも、本発明のsn-casPNをコードするポリヌクレオチドを含む。本発明の実施において有用な発現カセットは、 Cas9タンパク質コード配列をさらに含む。一実施態様において、発現カセットは、sn-casPNコード配列を含む。別の実施態様において、1つ又はそれ以上の発現カセットは、sn-casPNコード配列及び同族Cas9タンパク質コード配列を含む。発現カセットは、典型的には、以下の1つ又はそれ以上に関与する制御配列を含む:転写の制御、転写後制御、及び翻訳の制御。発現カセットは、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、及び植物細胞を含む多種多様な生物に導入され得る。発現カセットは、典型的には、それらが導入されている宿主細胞又は生物に対応する機能的制御配列を含む。
本発明の一局面は、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質についての配列をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクターを含むベクターに関する。本発明の実施体に有用なベクターとしては、プラスミド、ウイルス(ファージを含む)、及び組み込み可能なDNAフラグメント(例えば、相同組み換えにより宿主ゲノムに組み込み可能なフラグメント)が挙げられる。ベクターは、宿主ゲノムと独立して複製し、そして機能し、又はいくつかの例では、ゲノム自体に組み込まれる。適切な複製するベクターは、意図された発現宿主細胞と適合性の種に由来するレプリコン及び制御配列を含有する。ベクターは、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質についての配列をコードするポリヌクレオチドの1つ又はそれ以上の発現カセットを含み得る。ベクターとしては、限定されないが、細菌ベクター、酵母ベクター、藻類ベクター、昆虫細胞ベクター、哺乳動物ベクター、及びウイルスベクターが挙げられる。
形質転換した宿主細胞は、組み換えDNA技術を使用して構築されたベクターを用いて形質転換又はトランスフェクトされた細胞である。
発現ベクターの構築のための一般的方法は当該分野で公知である。大部分の宿主細胞の発現ベクターは、市販されている。例えば、細菌細胞における細菌形質転換及び遺伝子発現のために細菌プラスミド、酵母及び他の真菌における細胞形質転換及び遺伝子発現のために酵母プラスミド、藻類細胞における使用のために藻類発現系、昆虫細胞における昆虫細胞形質転換及び遺伝子発現のために昆虫細胞ベクター、哺乳動物細胞又は哺乳動物における哺乳動物細胞形質転換及び遺伝子発現のために哺乳動物ベクター、細胞形質転換及び発現のためのウイルスベクター(レトロウイルス、レンチウイルス、及びアデノウイルスベクターを含む)のような適切なベクター及びその構築物、並びにこのようなポリヌクレオチドのクローニングを容易に可能にする方法の選択を容易にするように設計されたいくつかの市販のソフトウェア製品がある。例えば、SnapGeneTM (GSL Biotech LLC、Chicago、Ill.;snapgene.com/resources/plasmid_files/your_time_is_valuable/)は、ベクター、個々のベクター配列、及びベクターマップ、さらには多くのベクターについての商業的供給源の大規模なリストを提供する。
発現ベクターはまた、タンパク質タグ(例えば、ポリ-Hisタグ、赤血球凝集素タグ、蛍光タンパク質タグ、生物発光タグ)をコードするポリヌクレオチドも含み得る。このようなタンパク質タグのコード配列は、Cas9タンパク質コード配列に融合され得、又は例えば、標的化ベクターにおける発現カセット中に含まれ得る。
いくつかの実施態様において、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、誘導性プロモーター、抑制プロモーター、又は構成的プロモーターに作動可能に連結される。
本発明の局面は、原核細胞又は真核細胞におけるsn-casPN及びCas9タンパク質の発現のための1つ又はそれ以上のベクターを含むベクター系に関する。あるいは、sn-casPN及びCas9タンパク質は、例えば、T7プロモーター制御配列及びT7ポリメラーゼを使用してインビトロで転写され得る。Cas9タンパク質の翻訳もまたインビトロで行われ得る。
sn-casPNを含むベクター(場合により、Cas9タンパク質コード配列を含む)は、原核生物に導入され得、そして原核生物において増殖され得る。原核生物ベクターは当該分野で周知である。典型的には、原核生物ベクターは、標的宿主細胞に適した複製起点(例えば、大腸菌由来のoriC、pBR322由来のpUC、サルモネラ(Salmonella)由来のpSC101)、15A起点(p15A由来)及び細菌性人工染色体)を含む。ベクターは選択可能なマーカー(例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、及びカナマイシンに対する耐性をコードする遺伝子)を含み得る。ZeocinTM (Life Technologies、Grand Island、NY)は、細菌、真菌(酵母を含む)、植物及び哺乳動物細胞株における選択として使用され得る。したがって、ベクターは、多数の生物における選択作業のために、Zeocinに対する薬物抵抗性を1つだけ保有するように設計され得る。有用なプロモーターは、原核生物におけるタンパク質発現について公知である、例えば、T5、T7、ラムノース(誘導性)、アラビノース(誘導性)、及びPhoA(誘導性)。さらに、T7プロモーターは、T7 RNAポリメラーゼもコードするベクターにおいて広く使用される。原核生物ベクターはまた、様々な強度、及び分泌シグナルのリボソーム結合部位を含み得る(例えば、mal、sec、tat、ompC、及びpelB)。さらに、ベクターは、sn-casRNAの発現のためのRNAポリメラーゼプロモーターを含み得る。原核生物RNAポリメラーゼ転写終結配列も周知である(例えば、化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)由来の転写終結配列)。
原核生物の安定な形質転換のための組み込みベクターも当該分野で公知である(例えば、Heap、J. T.、et al.、「Integration of DNA into bacterial chromosomes from plasmids without a counter-selection marker」, Nucleic Acids Res.、40(8)、e59 (2012))を参照のこと。
原核生物におけるタンパク質の発現は、典型的には大腸菌(Escherichia coli)において、融合又は非融合タンパク質のいずれかの発現を誘導する構成的又は誘導性のプロモーターを含有するベクターを用いて行われる。
sn-casRNA及びCas9タンパク質の発現に適した多種多様なRNAポリメラーゼプロモーターが原核生物において利用可能である(例えば、Jiang、Y.、et al.、「Multigene editing
in the Escherichia coli genome via the CRISPR-Cas9 system」, Environ Microbiol.、81(7)、2506-14 (2015);Estrem、S.T.、et al.、「Bacterial promoter architecture:subsite structure of UP elements and interactions with the carboxy-terminal domain of the RNA polymerase alpha subunit」, Genes Dev.,15、13(16)、2134-47 (1999)を参照のこと)。
融合ベクターは、それらにおいてコードされるタンパク質に(例えば、組み換えタンパク質のアミノ末端に)多数のアミノ酸を加える。このような融合ベクターは、1つ又はそれ以上の目的に役立つ。例としては、限定されないが、以下が挙げられる:(i)組み換えタンパク質の発現を増加させるため;(ii)組み換えタンパク質の可溶性を増加させるため;及び(iii)親和性精製におけるリガンドとして作用することにより組み換えタンパク質の精製において補助するため。融合-発現ベクターにおいて、タンパク質分解性切断部位は、融合部分及び組み換えタンパク質の接合部に導入されることがある。これは、融合タンパク質の精製後に融合部分から組み換えタンパク質分離することを可能にする。このような酵素、及びそれらの対応するタンパク質分解性切断部位としては、第Xa因子、トロンビン及びエンテロキナーゼが挙げられる。融合-発現ベクターの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:それぞれグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、又はプロテインAを標的組み換えタンパク質に融合する、pGEX、pMAL、及びpRIT5。適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例としては、限定されないが、pTrc及びpET 11dが挙げられる。
いくつかの実施態様において、ベクターは、sn-casPNを含む酵母発現ベクターである。発現ベクターはまた、Cas9タンパク質のためのコード配列を含み得る。出芽酵母(Saccharomyces cerivisae)における発現のためのベクターの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:pYepSec1、pMFa、pJRY88、pYES2、及びpicZ。酵母細胞における遺伝子発現の方法は当該分野で公知である (例えば、Methods in Enzymology、Volume 194、「Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology、Part A」, Christine Guthrie and Gerald R. Fink (eds.)、Elsevier Academic Press、San Diego、Calif. (2004)を参照のこと)。典型的には、酵母における遺伝子をコードするタンパク質の発現は、目的のコード領域に作動可能に連結されるプロモーター、及び転写ターミネーターを必要とする。様々な酵母プロモーターを使用して、酵母における遺伝子の発現のために発現カセットを構築することができる。プロモーターの例としては、限定されないが、以下の酵母タンパク質をコードする遺伝子のプロモーターが挙げられる:アルコール脱水素酵素1(ADH1)又はアルコール脱水素酵素2(ADH2)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH;TDH3、又はトリオースリン酸脱水素酵素としても知られる)、ガラクトース-1-リン酸 ウリジル-トランスフェラーゼ(GAL7)、UDP-ガラクトースエピメラーゼ(GAL10)、チトクロムci(CYCl)、及び酸性ホスファターゼ(PHO5)。ADH2/GAPDH、CYC1/GAL10及びADH2/GAPDHプロモーターのようなハイブリッドプロモーター(これは、低い細胞グルコース濃度、例えば約0.1パーセント〜約0.2パーセント)もまた使用され得る。分裂酵母(S. pombe)において、適切なプロモーターとしては、チアミン抑圧nmtlプロモーター及びpTL2Mにおける構成的サイトメガロウイルスプロモーターが挙げられる。
酵母RNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、5S、U6又はRPR1遺伝子由来のプロモーター)さらにはポリメラーゼIII終結配列が当該分野で公知である(例えば、www.yeastgenome.org;Harismendy、O.、et al.、「Genome-wide location of yeast RNA polymerase III transcription machinery」, EMBO J.、22(18)、4738-4747 (2003)を参照のこと)。
タンパク質発現プロモーターは、誘導性でも構成的でもよい。いくつかの実施態様において、好ましいプロモーターは、発現のない場合に高いコピー数が達成され得るように、しっかりと制御された誘導性プロモーターである。例としては、限定されないが、通常は多様なGAL1p及びGAL10pプロモーターが挙げられ、これらはグルコース培地においてしっかりと抑制され、そしてカタボライト抑制がグリセロール又はラクテートのような非抑制炭素源での増殖により緩和された後にガラクトースにより高度に誘導される。ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームは、GAL1pベクター中に挿入され得る(例えば、Cartwright、et al.、「Use of β-lactamase as a secreted reporter of promoter
function in yeast」, Yeast、10、497 (1994);及びHarley、et al.、「Transmembrane
Protein Insertion Orientation in Yeast Depends on the Charge Difference across Transmembrane Segments、Their Total Hydrophobicity、and Its Distribution」, J. Biol. Chem.、273、24963 (1998)を参照のこと)。使用され得る他のベクター及びプロモーターとしては、PAP1502系統におけるYep URA3 leu2dベクターpPAP1488におけるハイブリッドGALl-CYCpプロモーターが挙げられる(例えば、Pedersen、et al.、 「Expression in High Yield of Pig α1β1 Na,K-ATPase and Inactive Mutants D369N and D807N in Saccharomyces cerevisiae」, J. Biol. Chem.、271、2514-222 (1996)を参照のこと)。この系統は、Trpl遺伝子座に組み込まれたプラスミドpPAP1488を有する。これは、GAL10プロモーターにより駆動されるGAL4遺伝子のさらなるコピーを生じ、そしてGAL発現が誘導される場合、高レベルのGal4p陽性活性化因子が産生される。
このベクター系において、ウラシルの存在しない場合の増殖は、2-ミクロン複製機能により決定して、15〜20のベクターコピー数を生じる。ベクターのコピー数は、欠損leu2d対立遺伝子と結合した非常に弱いプロモーターのために、ロイシンを欠失した培地中で酵母細胞を培養することにより、少なくとも10倍さらに増加され得る。GAL1p駆動発現における比例的増加は、組み入れられたPAP1488プラスミドによりPAP1502系統において生じるGal4p活性化因子の高いガラクトース誘導レベルを必要とする。このプラスミドが挿入されるいずれの他のura3 leu2 GaI+ 出芽酵母(S. cerevisiae)株もPAP1502の代わりに使用され得る。
使用され得る別の酵母プロモーターは、グリセロール-3-リン酸脱水素酵素遺伝子(GPD1)のプロモーターである。GPD1プロモーターを使用するポリペプチドの発現は、発酵媒体中のグルコース又はスクロースの高レベルの存在(抑制)又は不在(抑制解除)により制御され得る。あるいは、エタノール又はグリセロールのような非抑制性炭素源が、発酵媒体に加えられ得る(例えば、米国特許第5,667,986号)。
プラスミドコピー数の制御は、RNAポリメラーゼIIIプロモーターから発現されたRNA産物のレベルに対するいくらかの制御を提供し得る。さらに、RNAポリメラーゼIII転写は、酵母において制御され得る(Dingermann、T.、et al.、 「RNA polymerase III catalysed
transcription can be regulated in Saccharomyces cerevisiae by the bacterial tetracycline repressor-operator system」, EMBO J.、11(4)、1487-92 (1992))。
プロモーターに加えて、いくつかの上流活性化配列(UAS)(エンハンサーとも呼ばれる)は、ポリペプチド発現を増強するために使用され得る。酵母における発現のための例となる上流活性化配列としては、これらのタンパク質をコードする遺伝子のUASが挙げられる:CYCl、ADH2、GALl、GAL7、GAL10、及びADH2。酵母における発現のための例となる転写終結配列としては、α-因子、CYCl、GAPDH、及びPGK遺伝子の終結配列が挙げられる。1つ又は複数の終結配列を使用することができる。
酵母細胞において発現されるいずれのタンパク質コード領域も、当該分野で周知であるように、特定の宿主酵母細胞における発現が操作されるようにコドン最適化され得る。
適切なプロモーター、ターミネーター、及びコード領域は、E. coli-酵母シャトルベクター中にクローン化され、そして酵母細胞中に形質転換され得る。これらのベクターは、酵母及びE. coli株の両方で系統増殖を可能にする。典型的には、ベクターは、選択可能なマーカー及び各宿主における自律増殖又は染色体組み込みを可能にする配列を含有する。典型的に酵母において使用されるプラスミドの例は、シャトルベクターpRS423、pRS424、pRS425、及びpRS426(American Type Culture Collection、Manassas、VA)である。これらのプラスミドは、複製の2ミクロン起点、E. coli複製起点(例えば、pMB1)、及び選択可能マーカーを含有する。
実施例15は、sn-casPNを使用した出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)におけるゲノム操作の説明を示す。Cas9ベクター及び2つのsn1-casRNA/sn2-casRNAベクター対は、酵母のゲノムの改変に使用される。このプロトコルは、sn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系が、酵母における標的化された内在性ゲノム遺伝子座での特定のRNAが媒介するエンドヌクレアーゼ活性をもたらすということを実証するためのデータを提供する。sn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系が、酵母における標的化された内在性ゲノム遺伝子座での特定のRNAが媒介するエンドヌクレアーゼ活性をもたらし、そしてドナーDNAを使用してこのような遺伝子座において相同性組み換え事象を刺激し得るということを実証するために、構築物も実験において使用される。出芽酵母(S. cerevisiae)における他の染色体遺伝子座は、適切なスペーサー配列及びドナーオリゴヌクレオチドの選択により改変のために同様に標的化され得る。機能性遺伝子は、出芽酵母(S. cerevisiae)ゲノム中に内在性遺伝子の分裂なしに導入され得る。さらに、内在性標的遺伝子への選択可能マーカーの導入は、標的遺伝子の選択可能ノックアウト変異を生じるために使用され得る。
組み込みベクターはまた、酵母の安定した形質転換のために広く利用可能である(Stearns T.、et al.、「Manipulating yeast genome using plasmid vectors」, Methods Enzymol.、185、280-97 (1990))。
RNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、Dieci、G.、et al.、「Eukaryotic snoRNAs:A paradigm for gene expression flexibility」, Genomics、94(2)、83-88 (2009)を参照のこと)を含めて、藻類細胞におけるsn-casPNの使用のための、適切なベクター及び発現制御配列は、当該分野で周知である(例えば、Hallmann、A.、 「Algal Transgenics and Biotechnology」, Transgenic Plant Journal、1(1)、81-98 (2007);Oey、M.、et al.、「Gateway-Assisted Vector Construction to Facilitate Expression of Foreign Proteins in the Chloroplast of Single Celled Algae」, DOI:10.1371/journal.pone.0086841 (2013)を参照のこと)。さらに、藻類発現系は市販されている(藻類発現及び操作製品、ThermoFisher Scientific、Grand Island、NY)。発現ベクターはまた、Cas9タンパク質についてのコード配列を含み得る。
昆虫又は昆虫細胞におけるsn-casPNの使用のために、適した発現制御配列は当該分野で周知である。いくつかの実施態様において、発現制御配列が、構成的プロモーターを含むことが望ましい。適切な強力なプロモータの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:piOについてのバキュロウイルスプロモーター、ポリへドリン(polh)、p 6.9、カプシド、UAS(Gal4結合部位を含有する)、Ac5、カテプシン様遺伝子、カイコ(B. mori)アクチン遺伝子プロモーター;キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)hsp70、アクチン、α-1-チューブリン又はユビキチン遺伝子プロモーター、RSV又はMMTVプロモーター、コピアプロモーター、ジプシープロモーター、及びサイトメガロウイルスIE遺伝子プロモーター。使用され得る弱いプロモーターの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:iel、ie2、ieO、etl、39K(pp31としても知られる)、及びgp64遺伝子のためのバキュロウイルスプロモーター。弱いプロモーターからの遺伝子発現の量を増加させることが望ましい場合、バキュロウイルスエンハンサーエレメント、hr5のようなエンハンサーエレメントが、プロモーターと合わせて使用され得る。発現ベクターはまた、Cas9タンパク質のコード配列も含み得る。
いくつかの実施態様において、発現制御配列は、器官特異的又は組織特異的プロモーターを含む。多くのこのような発現制御配列。例えば、昆虫の絹糸腺における発現を方向づける適切なプロモーターとしては、カイコ(Bombyx mori)p25プロモーター[これは後部絹糸腺における器官特異的発現を方向づける]、及び絹フィブロイン重鎖遺伝子プロモーター[これは、中部絹糸腺における遺伝子の特異的発現を方向づける]が挙げられる。
昆虫の制御可能発現制御配列の例(例えば、誘導性プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントを含む)としては、限定されないが、以下が挙げられる:ショウジョウバエ(Drosophila)hsp70プロモーター、ショウジョウバエ(Drosophila)メタロチオネインプロモーター、エクジソン制御プロモーター、及び他の周知の誘導性の系。Tet-調節性分子スイッチは、いずれかの構成的プロモーターと併せて(例えば、CMV-IEプロモーター又はバキュロウイルスプロモーターと併せて)使用され得る。別の種類の誘導性プロモーターは、バキュロウイルスによる感染後のみ活性化されるバキュロウイルス後期又は最晩期プロモーターである。
昆虫におけるsn-casPNの発現のために、RNAポリメラーゼIIIプロモーターが当該分野で公知である、例えばU6プロモーター。昆虫におけるRNAポリメラーゼIIIプロモーターの保存された特徴も知られている(例えば、Hernandez、G.、「Insect small nuclear RNA gene promoters evolve rapidly yet retain conserved features involved in determining promoter activity and RNA polymerase specificity」, Nucleic Acids Res.、35(1)、21-34 (2007)を参照のこと)。
トランスジェニック昆虫を生成するために適した構築物を設計及び製造するための方法又は昆虫の感染のためのベクターは従来のものである。昆虫細胞株の形質転換、培養、及び操作のための方法もまた従来のものである。昆虫細胞株の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:ヤママユガ亜科(Antheraea)細胞、Tn-368、ショウジョウバエS2細胞、High FiveTM細胞(Life Technologies、Grand Island、NY)、Sf21細胞、及びSf9細胞。昆虫細胞株は、例えばアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(Manassas、VA)から市販されている。
様々な不死化された鱗翅目(lepidopteran)昆虫細胞株は、本発明のsn-casPNs/Cas9タンパク質を含むベクター/構築物による感染に適している。本発明のベクター/構築物による感染に適した不死化された鱗翅目(lepidopteran)昆虫細胞株の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:Sf9及びTn 5B1-4。
別の実施態様において、ベクターはトランスポゾンベースのベクターである。1つのトランスポゾンベースのベクターは、その間に目的の遺伝子がクローン化される適切なトランスポゾンの逆位末端反復をさらに含むウイルスベクターである。1つ又はそれ以上の遺伝子は、適切な発現制御配列の制御下で、トランスポゾンベースのベクター中にクローン化される。いくつかの系において、トランスポゾンベースのベクターは、それ自身のトランスポサーゼを保有する。しかし、典型的には、トランスポゾンベースのベクターは、適切なトランスポサーゼをコードしない。この場合、ベクターは、トランスポサーゼを提供するヘルパーウイルス又はプラスミドを用いて昆虫(例えば、昆虫幼虫)に同時感染される。組み換えベクターは、一般的にはヘルパーを用いて、従来の方法(例えば、微量注入法)により卵又は初期胚に導入される。導入遺伝子は、昆虫ゲノムにおいてトランスポゾン部位(例えば、トランスポゾンの逆位末端反復に対応する配列)に組み込まれる。適切な種類のトランスポゾンベースのベクターとしては、限定されないが、以下が挙げられる:Minos、マリナー、Hermes、眠れる森の美女(sleeping beauty)、及びpiggyBac。
TTAA特異的な、短い反復エレメントは、類似した構造及び移動特性を有する一群のトランスポゾン(クラスII移動エレメント)である。piggyBacベクターは、これらの昆虫エレメントのうち最も広く研究されている。piggyBacは、2.4 kb長であり、そして13bp完全逆位反復で集結し、さらなる内部19bp逆反復が末端に対して非対称的に位置する。piggyBacベクターは、それ自身の移動を促進するトランス作用性トランスポサーゼをコードし得る。あるいは、トランスポサーゼコード配列は削除され得、そしてこの機能はヘルパープラスミド又はウイルスで供給され得る。いくつかのpiggyBacベクターは、大きな挿入物のクローニングを促進するために必須ではない遺伝子を削除した。15 kB程度の大きさの挿入物は、特定のpiggyBacベクターにクローン化され得る。例えば、これは、約6又は7つの遺伝子をそれらの発現制御配列とともに挿入することを可能にする。例えば、一群のsn-casPNが、単一のトランスポゾンベクターを介して昆虫ゲノム中の単一の部位に一緒に導入され得る。
いくつかのpiggyBacベクターは、昆虫遺伝子組換えのために開発されてきた。2つの構築物が、トランスポゾンの境界内及び外側の欠失変異の分析により開発された。このような構築物を使用して、ベクターのサイズを最小にすることにより、piggyBacトランスポサーゼにより移動される遺伝子材料の量を増加させることが可能である。移動のための最少要件は、5’末端及び3’末端反復ドメイン並びに付き添いTTAA標的配列を含む。エレメントの最少50塩基離れたTTAA標的部位が、典型的には効率的な移動のために必要とされる。
piggyBacエレメントは、マーカー遺伝子を保有しながら昆虫細胞において転移することができ、そしてpiggyBacエレメントの移動は、それが起源とする種と遠く関連した鱗翅目(lepidopteran)種由来の細胞で起こり得る。例えば、piggyBacは、キイロショウジョウバエ(D. melanogaster)、カリブミバエ(Anastrepha suspena)(東洋ミバエ)、ミカンコミバエ(Bactrocera dorsalis)、カイコ(Bombyx mori)、ワタアカミムシガ(Pectinophora glossypiella)、トリボリウム・カステラニ(Tribolium castellani)、及びいくつかの蚊種を形質転換することが示された。少なくとも3つの鱗翅目(lepidopteran)種、ワタアカミムシガ(P. gossypiella)、イラクサギンウワバ(T. ni)及びカイコ(B. mori)が、piggyBacエレメントを使用して首尾よく形質転換された。
典型的には、トランスポサーゼを発現するヘルパーウイルス又はプラスミドは、トランスポゾンベースのベクターと同時感染される。トランスポサーゼの発現は、試験される昆虫系についてのプロモーターの選択により決定される。鱗翅目(lepidopteran)形質転換に有用なプロモーター駆動ヘルパー構築物の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:ショウジョウバエ(Drosophila)hsp70、バキュロウイルスielプロモーター、及びショウジョウバエ(Drosophila)アクチン5Cプロモーター。バキュロウイルスバースのベクターの使用に関するさらなる指導についは、例えば、PCT特許出願公開第WO/2005/042753号(2005年5月12日公開)を参照のこと。
トランスジェニック昆虫を生成するための方法は従来のものである。例えば、導入しようとする1つ又はそれ以上の遺伝子は、適切な発現制御配列の制御下におかれ、そしてベクターにクローン化される(例えば、弱毒化バキュロウイルスベクター又は標的昆虫に対して感染性ではない非許容ウイルスベクター)。昆虫に導入しようとする配列は、昆虫由来のゲノム配列に隣接する。次いで構築物は、昆虫卵に導入される(例えば、微量注入法
により)。次いで導入遺伝子は、隣接配列の相同組み換えにより昆虫ゲノム中の相補的配列に組み込まれる。
構築物を胚に導入してトランスジェニック昆虫を生成するための方法(例えば、微量注入による)は公知である。微量注入された胚について生存率は典型的に高い(75%まで)。一般に、前胞胚葉(pre-blastoderm)卵は、プラスミドDNA及び/又は組み換えウイルスの溶液を保持するガラス毛細管で穿刺される。ウイルス注入した卵から孵化したG0幼虫を、トランスフェクトされた遺伝子の発現についてスクリーニングする。トランスジェニックG1昆虫を通常昆虫ともに飼育することによりメンデル遺伝を生じる。
導入遺伝子が昆虫卵又は初期胚のゲノムに安定に組み込まれると、従来の方法を使用して、トランスジェニック昆虫を生成することができ、ここでは導入遺伝子は、昆虫の体細胞及び生殖細胞の全てに存在する。ホモ接合トランスジェニック昆虫を製造するための方法(例えば、適切な戻し交配を使用する)は従来のものである。
各々の遺伝子に適切な発現制御配列を選択することにより、sn-casPN及びCas9タンパク質遺伝子のゲノムに組み込まれたコピーを含む多重トランスジェニック昆虫は、遺伝子が適切なレベルで、昆虫増殖の間の望ましい時間に発現されるように設計され得る。
別の局面において、sn-casPNは、哺乳動物細胞における使用のための哺乳動物ベクター中に組み込まれる。発現ベクターはまた、Cas9タンパク質についてのコード配列を含み得る。本発明のsn-casPNとの使用に適した多数の哺乳動物ベクターは市販されている(例えば、Life Technologies、Grand Island、NY;NeoBiolab、Cambridge、MA;Promega、Madison、WI;DNA2.0、Menlo Park、CA;Addgene、Cambridge、MAから)。
哺乳動物ウイルス由来のベクターは、哺乳動物細胞において本発明のsn-casPN及びCas9タンパク質を発現させるために使用され得る。これらとしては、アデノウイルス、パポウイルス(papovirus)、ヘルペスウイルス、ポリオーマウイルス、サイトメガロウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス及びサルウイルス40(SV40)のようなウイルス由来のベクターが挙げられる(例えば、Kaufman、R. J.、「Overview of vector design for mammalian gene expression」, Molecular Biotechnology、16(2)、151-160 (2000);Cooray S.、et al.、「Retrovirus and lentivirus vector design and methods of cell conditioning」, Methods Enzymol.、507、29-57 (2012)を参照のこと)。sn-casPNs/Cas9成分に作動可能に連結された制御配列は、活性化因子結合配列、エンハンサー、イントロン、ポリアデニル化認識配列、プロモーター、抑制因子結合配列、ステムループ構造、翻訳開始配列、翻訳リーダー配列、転写終結配列、翻訳終結配列、プライマー結合部位などを含み得る。一般的に使用されるプロモーターは、構成的哺乳動物プロモーターCMV、EF1a、SV40、PGK1(マウス又はヒト)、Ubc、CAG、CaMKIIa、及びベータ-Act、及び当該分野で公知の他のものである(例えば、Khan、K. H.、「Gene Expression in Mammalian Cells and its Applications」, Advanced Pharmaceutical Bulletin、3(2)、257-263 (2013)を参照のこと)。さらに、本発明のsn-casPNの発現のために、H1及びU6を含む哺乳動物RNAポリメラーゼIIIプロモーターが使用される。
アデノウイルスは、アデノウイルス科ファミリーのメンバーである。アデノウイルスベクターはアデノウイルス由来である。アデノウイルスは中型のサイズの、非外被正二十面体ウイルスである。ヌクレオカプシド、及びクローニングベクターとして使用され得る二本鎖線状DNAゲノムから構成される。アデノウイルス転写制御に関する広範な知識およびデータは、挿入される遺伝子の発現のために改変されたアデノウイルスベクターの操作を支持した。この目的のために、初期領域E1及びE3を削除し、したがってウイルスを複製不能にし、宿主細胞がこの機能をトランスで生じることを必要とする。タンパク質コード配列を含む発現カセット(例えば、Cas9タンパク質)は、典型的には、削除されたE1領域を置き換えるように挿入される。カセットにおいて、遺伝子は、さらなる主要後期プロモーターの制御下又はサイトメガロウイルス若しくは選択された制御可能プロモーターのような外因性プロモーターの制御下におかれる。
アデノウイルスのゲノムは、通常の溶解サイクルを介して複製するアデノウイルスの能力を同時に不活化しながら、目的の遺伝子産物をコードし、発現するような方法で操作され得る。いくつかのこのようなアデノウイルスベクターとしては、アデノウイルス株Ad 5型 dl324又は他のアデノウイルス株(例えば、Ad2、Ad3、及びAd7)が挙げられる。特定の状況において、組み換えアデノウイルスは、それらが非分裂細胞に感染することができないため有利であり、そしてこれらは、上皮細胞及び様々な他の細胞型に感染するために使用され得る。さらに、ウイルス粒子は比較的安定であり、精製及び濃縮を行いやすい。外来DNAについてのアデノウイルスゲノムの運搬脳は約8キロベースまでであり、これは他の遺伝子送達ベクターと比較して大きい。Thr大きな二本鎖DNAアデノウイルスは、ゲノム中に組み込まれず、一過性のエピソーム発現に使用が限られる。これは宿主細胞のゲノムに組み込まれないので(レトロウイルスDNAと異なり)、挿入変異のような潜在的問題が回避される。
パルボウイルス科(Parvoviridae)ファミリーの単鎖DNAメンバーであるアデノ随伴ウイルス(AAV)は、天然で複製欠損ウイルスである。アデノウイルスと同様に、これは非分裂細胞に感染することができる;しかし、これは組み込み受容能(integration competence)という利点を有する。AAVベクターは、ウイルスベクターの中でも、遺伝子治療に最も頻繁に使用される。AAVの12のヒト血清型(AAV血清型1[AAV-1]〜AAV-12)及び非ヒト由来の100より多くの血清型が知られている。多数の因子が、遺伝子治療適用のための送達ビヒクルとしてのAAVの能力を増加させ、これには、ウイルスが病原性を欠いていること、ウイルスの残存性、及び多くの利用可能な血清型が含まれる。AAVは、線状単鎖DNAゲノムを含む小さな(25-nm)非外被ウイルスである。AAVによる増殖性感染は、典型的にヘルパーウイルス、例えば、アデノウイルス又はヘルペスウイルスの存在下でのみ起こる。ヘルパーウイルスの存在しない場合、AAV(血清型2)は、ヒト染色体19q13.4(遺伝子座AAVS-1)に組み込まれることにより不顕性になり得る(例えば、Daya、S.、et al.、「Gene Therapy Using Adeno-Associated Virus Vectors」, Clinical Microbiology Reviews、21(4)、583-593 (2008)を参照のこと)。
ワクシニアウイルスは、ポックスウイルスファミリーのメンバーである。枠シニアベクターはワクシニアウイルス由来である。ワクシニアウイルスゲノムは、ほぼ200,000bpの二本鎖DNAから構成される。これは宿主細胞の細胞質において複製する。ワクシニアウイルスに感染した細胞は、細胞あたり5000までのウイルス粒子を産生し、コードされた遺伝子産物の高レベルの発現をもたらす。ワクシニア系は、HIV-1 rgp160及びヒトプロトロンビンを含むいくつかのタンパク質を製造するための非常に大規模な培養(1000 L)において効率的に使用されてきた。
レトロウイルスはレトロウイルス科ファミリーのメンバーである。レトロウイルスベクターはレトロウイルス由来である。レトロウイルスは、二本鎖DNA中間体を介して複製するRNAウイルスである。ベクターとしてレトロウイルスを使用する1つの利点は、大部分のレトロウイルスが宿主を殺傷しないが、代わりに、無限の期間にわたって子孫ウイルスを生じることである。したがって、レトロウイルスベクターは、(i)安定に形質転換された細胞株を作製するために使用され得る、(ii)強力なプロモーターにより駆動されるウイルス遺伝子発現をもたらし、これは導入遺伝子の発現を制御するために絶滅され得る;及び(iii)広い宿主範囲を有するレトロウイルス由来のものを含み(例えば、マウス白血病ウイルス(MLV)の両種指向性株)、したがって多くの細胞型のトランスフェクションを可能にする。
レトロウイルスベクターに基づく外来性遺伝子発現系もまた、安定な高発現哺乳動物細胞株を生成するための方法である。
レンチウイルスはレトロウイルス科ファミリーのメンバーである。単鎖RNAウイルス、これは分裂及び非分裂細胞の両方に感染し得、さらにはゲノムへの組み込みにより安定な発現をもたらす。レンチウイルスの安全性を増加させるために、ウイルスベクターを製造するために必要な成分は、複数のプラスミドにわたって分断されている。導入ベクターは、典型的には複製不能(replication incompetent)であり、そしてさらに3’LTRにおける欠失を含有し得、これがウイルスを組み込み後に「自己不活化」(SIN)する。パッケージング及び外被プラスミドは、典型的には導入ベクターと組み合わせて使用される。例えば、パッケージングプラスミドは、Gag、Pol、Rev、及びTat遺伝子をコードし得る。導入プラスミドは、ウイルスLTR及びpsiパッケージングシグナルを含み得る。通常は、1つ又はそれ以上の適切なプロモーターが、発現させようとする遺伝子(例えば、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質コード配列)に作動可能に連結され、5’LTRは弱いプロモーターなので、発現を活性化させるためにTatの存在を必要とする。外被プラスミドは、外被タンパク質を含む(その感染性範囲のために通常はVSVG)、
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に基づくレンチウイルスベクターは、細胞分裂の存在しない場合に組み込みを可能にするさらなるアクセサリータンパク質を有する。HIV-1ベクターは、多数の安全性の懸念に対処するために設計された。これらは、複製可能なウイルスの生成をもたらす組み換え事象を防止するためにトランスでの(in trans)ウイルス遺伝子の別々の発現を含む。さらに、自己不活化(SIN)ベクターの発生は、隣接する遺伝子のトランス活性化の可能性を減少させ、そして遺伝子発現を特定の細胞型に標的化させる制御エレメントの組み込みを可能にする(例えば、Cooray、S.、et al.、「 Retrovirus
and lentivirus vector design and methods of cell conditioning」, Methods Enzymol.、507、29-57 (2012)を参照のこと)。
いくつかの実施態様において、組み換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型における核酸の発現を優先的に方向づけることができる(例えば、ポリヌクレオチドを発現させるために組織特異的制御エレメントを使用して)。組織特異的制御エレメントは当該分野で公知であり、そしてこれらとしては、限定されないが、アルブミンプロモーター、リンパ特異的プロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター)、膵臓特異的プロモーター、乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター)、並びに特にT細胞受容体及び免疫グロブリンのプロモーターが挙げられる。発生的に制御されたプロモーターもまた包含される(例えば、マウスhoxプロモーター及びアルファ-フェトプロテインプロモーター)。
哺乳動物細胞における使用のための多数のベクターが市販されている、例えば:pcDNA3
(Life Technologies、Grand Island、NY);カスタマイズ可能な発現ベクター、一過性ベクター、安定ベクター、及びレンチウイルスベクター(DNA 2.0、Menlo Park、CA);並びにpFN10A (ACT) Flexi(R)ベクター(Promega、Madison、WI)。さらに、以下のエレメントが、哺乳動物細胞における使用のためのベクターに組み込まれ得る: Cas9コード配列に作動可能に連結されたRNAポリメラーゼIIプロモーター;sn-casRNAのコード配列に作動可能に連結されたRNAポリメラーゼIIIプロモーター;選択可能マーカー(例えば、G418、ゲンタマイシン、カナマイシン及びZeocinTM (Life Technologies、Grand Island、NY))。核標的化配列もまた、例えばCas9タンパク質コード配列に付加され得る。
制御エレメントはまた、時間依存性の様式で発現を方向づけてもよく、これはまた、組織特異的でも細胞型特異的でもよい(例えば、細胞周期依存性又は発生段階依存性様式で)
。いくつかの実施態様において、ベクターは、1つ若しくはそれ以上のRNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、sn-casPNコード配列に作動可能に連結される)、1つ若しくはそれ以上のRNAポリメラーゼIIプロモーター(例えば、Cas9タンパク質コード配列に作動可能に連結される)、1つ若しくはそれ以上のRNAポリメラーゼIプロモーター、又はそれらの組み合わせを含む。上で示されたように、哺乳動物RNAポリメラーゼIIIプロモーターの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:U6及びH1プロモーター。RNAポリメラーゼIIプロモーターの例は上で考察された。RNAポリメラーゼIプロモーターは当該分野で周知である。
HEK 293(ヒト胎児由来腎臓)及びCHO (チャイニーズハムスター卵巣)を含めて多数の哺乳動物細胞株が遺伝子産物の発現のために利用されてきた。これらの細胞株は、標準的な方法(例えば、リン酸カルシウム若しくはリエチレンイミン(PEI)の使用、又はエレクトロポレーション)によりトランスフェクトされ得る。他の典型的な哺乳動物細胞株としては、限定されないが:HeLa、U2OS、549、HT1080、CAD、P19、NIH 3T3、L929、N2a、ヒト胎児由来腎臓293細胞、MCF-7、Y79、SO-Rb50、Hep G2、DUKX-X11、J558L、及びベビーハムスター腎臓細胞(BHK)細胞が挙げられる。
本発明のsn-casPNs/Cas9タンパク質系は、製造のための哺乳動物細胞バイオプロセスを操作するために使用され得る。CHO細胞及びマウス骨髄腫細胞(Sp2/0及びNS0細胞を含む)は、最も広く使用される宿主哺乳動物細胞である。CHO細胞株の2つの派生物、CHO-K1及びCHO pro-3は、現在のバイオプロセスにおいて2つの最も広く使用される細胞株、DG44及びDUKX-X11を生じた(これらの細胞株の両方が、ジヒドロ葉酸還元酵素活性が不足するように操作された)。
実施例14は、産業上の利用のためのCHO細胞の改変を記載する。この実施例は、CHO細胞のゲノムを改変するための本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPN)の使用を記載する。産業上の利用(例えば、抗体の製造)における将来の使用のためのsn-casPN改変された細胞の配列検証及び選択のための実感も記載される。これらの方法は、sn-casPNに適切なスペーサー配列の選択によるCHO細胞内の染色体遺伝子座の改変を提供する。選択は、特定の遺伝子標的に対して特異的であり、実施例に概要を示される手順は、他の遺伝子標的のために当業者により容易に改変可能である。
ポリヌクレオチド(例えば、発現ベクター)を宿主細胞に導入する方法は、当該分野で公知であり、そして典型的には宿主細胞の種類に基づいて選択される。このような方法としては、例えば、ウイルス又はバクテリオファージ感染、トランスフェクション、結合体化、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈降、ポリエチレンイミン媒介トランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、リポフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、粒子銃技術、直接微量注入、及びナノ粒子媒介送達が挙げられる。
本発明のいくつかの実施態様において、sn-casPN及びCas9タンパク質を含む複合体のための全ての成分を宿主細胞において発現させることが有用である。宿主細胞におけるsn-casRNA及びCas9タンパク質をコードする配列の発現は、上記のような発現カセットの使用により達成され得る。しかし、標的細胞におけるsn-casDNAの発現は、標準的なクローニングベクターの使用では達成されない。細胞内で単鎖DNA分子を生成することができる単鎖DNA発現ベクターが開発された(Chen、Y.、et al.、「Intracellular production of DNA enzyme by a novel single-stranded DNA expression vector」, Gene Ther.、10(20)、1776-80 (2013);Miyata S.、et al.、「In vivo production of a stable single-stranded cDNA in Saccharomyces cerevisiae by means of a bacterial retron」, Proc Natl Acad Sci USA、89、5735-39 (1992);Mirochnitchenko、O.、et al.、「Production of single-stranded DNA in mammalian cells by means of a bacterial retron」, J Biol Chem、269、2380-2383 (1994);Mao J.、et al.、「Gene regulation by antisense DNA produced in vivo」, J Biol Chem、270、19684-87 (1995))。典型的には、これらの単鎖DNA発現ベクターは、逆転写酵素及びRNaseHの基質であるRNA転写物を形成して宿主細胞において選択された単鎖DNAを生成するために、選択された単鎖DNA配列の転写に依存する。例えば、単鎖DNA発現ベクターの成分は、逆転写酵素コード配列(例えば、マウスモロニー白血病ウイルス逆転写酵素遺伝子)、逆転写酵素プライマー結合部位(PBS)、さらには逆転写開始に必須のプロモーターの領域、目的のコード配列(例えば、sn-casDNAコード配列)、逆転写反応の終結のために設計されたステムループ構造、及び宿主細胞における使用に適したRNA転写プロモーター(前の成分を含むmRNAテンプレートを生成するために使用される)をしばしば含む。細胞において発現された逆転写酵素は、プライマーとして内在性tRNAproを使用する。逆転写後に、単鎖DNAは、テンプレートmRNAが内在性RNase H又は尺転写酵素のRNase H活性により分解された場合に放出される(Chen、Y.、et al.、「Expression of ssDNA in Mammalian Cells」, BioTechniques、34、167-171 (2003))。このような発現ベクターは、宿主細胞における本発明のsn-casDNAの発現のために使用され得る。
本発明はまた、本明細書に記載されるsn-casPNs/Cas9タンパク質系を使用して、疾患、障害及び状態を予防又は処置するための遺伝子治療方法を包含する。一実施態様において、遺伝子治療方法は、本発明のsn-casPN及びCas9タンパク質成分の発現を達成して標的機能の改変をもたらすために、生物又は生物(例えば、患者)の細胞中への核酸配列の導入を使用する。例えば、生物由来の細胞は、エクスビボで、(i)sn-casPN及びCas9タンパク質を発現する発現カセットを含むベクターの導入、(ii)sn-casPN(例えば、sn-casPN:DNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、RNA/DNAハイブリッドポリヌクレオチド、代替の骨格と接続される核酸塩基、又はそれらの組み合わせ)及びCas9タンパク質の直接導入、又は(iii)これらの成分の組み合わせの導入により操作され得る。操作された細胞は、処置しようとする生物(例えば、患者)に提供される。
遺伝子治療及び送達技術の例は当該分野で公知である(例えば、Kay、M.A.、「State-of-the-art gene-based therapies:the road ahead」, Nature Reviews Genetics、12、316-328 (2011);Wang、D.、et al.、「State-of-the-art human gene therapy:part I. Gene delivery technologies」, Discov Med.、18(97)、67-77 (2014);Wang、D.、et al.、「State-of-the-art human gene therapy:part II. Gene therapy strategies and clinical applications」, Discov Med.、18(98)、151-61 (2014);「The Clinibook:Clinical Gene Transfer State of the Art」, Odile Cohen-Haguenauer (Editor)、EDP Sciences、ISBN-10:2842541715、(2012)を参照のこと)。
実施例11は、ヒトゲノムDNAに存在する標的を改変し、そしてそれらの部位での切断活性のレベルを測定するために、本発明のsn-casRNAの使用を説明する。標的部位は、最初にゲノムDNAから選択され、次いでsn-casRNAは、それらの選択された配列を標的とするように設計される。次いで、起こった標的切断のレベルを決定するために測定を行う。切断パーセンテージデータ及び特異性データは、様々な適用の選択の基礎となる基準を提供する。例えば、いくつかの状況において、sn-casRNAの活性は、最も重要な因子であり得る。他の状況において、切断部位の特異性は、切断パーセンテージよりも比較的より重要である。
いくつかの局面において、本発明の成分は、ナノスケール送達系を使用して送達される。送達しようとする成分としては、限定されないが、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチド、sn-casPN及び/又はCas 9タンパク質を含む発現カセット、sn-casPN、Cas 9タンパク質、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本発明の成分は、ナノ粒子として製剤化され得る。異なるサイズ、形状及び材料一式から構成され、そして様々な化学的及び表面特性を含むナノ粒子の広範囲のライブラリが広く利用可能である。バイオテクノロジー及びナノ医療において特に有用なナノ粒子の例としては: フラーレン類(例えば、バッキーボール及びカーボンチューブ);液晶;リポソーム;シリカ及びケイ素ベースのナノ粒子(例えば、メソ多孔性シリカナノ粒子;ナノシェル;ナノロッド;金属及び金属酸化物ナノ粒子(例えば、球状核酸、金コアを取り囲んだ密に充填されたポリヌクレオチド);ポリカチオン;及びカチオン性シクロデキストリンが挙げられる。
ナノ粒子形成の一例としては、自己集合してナノ粒子となり、コロイド状粒子を形成することができるカチオン性シクロデキストリン類の使用が挙げられる(Draz、M. S.、et al.、「Nanoparticle-Mediated Systemic Delivery of siRNA for Treatment of Cancers and Viral Infections」, Theranostics、4(9)、872-892 (2014))。実施例18は、Cas9タンパク質及びsn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA成分の製造を記載する。これらのsn-casRNA及びCas9タンパク質成分は、リボヌクレオタンパク質に形成され、そしてまたSC12CDClickpropylamineベクターを含む粒子として製造される。SC12CDClickpropylamineベクターは、siRNAとの使用について記載された(例えば、O’Mahony、A. M.、et al.、「Cationic and PEGylated Amphiphilic Cyclodextrins:Co-Formulation Opportunities for Neuronal Sirna Delivery」, PLOSONE 8(6)、e66413 (2013)を参照のこと)。SC12CDClickpropylamineベクター sn-casRNAs/Cas9タンパク質粒子の特徴づけが実施例18に記載される。
カチオン性シクロデキストリン類としては、限定されないが、カルボキシエチル-β-シクロデキストリン、両親媒性シクロデキストリン類(例えば、ヘプタキス[2-(ω-アミノ-オリゴ(エチレングリコール))-6-デオキシ-6-ヘキサデシルチオ]-β-シクロデキストリン及びヘプタキス[2-(ω-アミノ-オリゴ(エチレングリコール))-6-デオキシ-6-ドデシルチオ]-β-シクロデキストリン);及びカチオン性マルチアームα-シクロデキストリン(α-CD):PEGポリロタキサンが挙げられる。
リポソームは、ナノ粒子形成の別の例である。本発明のsn-casPN又はsn-casPN及びCas9タンパク質を含む複合体は、リポソームに封入され得る。sn-casPNとともに使用するためのリポソームは、典型的にはカチオン性脂質を含む。カチオン性脂質の例としては、DODA(塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム)、DOTMA (N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウム)、DDAB (臭化ジドデシルアンモニウム)、DOTAP (1,2-ジオレオイルオキシ-3-トリメチルアンモニオプロパン)、DC-Chol (3-ベータ-N-(N’,N’,-ジメチル-アミノエタン)-カルバモル(carbamol) コレステロール)、DMRIE (1,2-ジミリストイルオキシプロピル-3-ジメチルヒドロキシエチル アンモニウム)、DOSPA (2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパナミヌム(propanaminum) トリフルオロアセテート)、DSTAP (1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウム プロパン)、DODAP (ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン)、DOGS (ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン)などが挙げられる。単一の種類のカチオン性脂質が単独で使用されても、2種又はそれ以上のカチオン性脂質の組み合わせが使用されてもよい。カチオン性脂質は、典型的には他の脂質(例えば、リン脂質及びコレステロール)と組み合わされてリポソームを形成する。
リポソーム形成のリン脂質の例としては、限定されないが、以下が挙げられる: ホスファチジルコリン;L-α-ホスファチジルコリン(卵ホスファチジルコリン(EPC)、又は水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC));1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC);1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC);ホスファチジルセリン(PS);ホスファチジルイノシトール(PI);ホスファチジルグリセロール(PG);ホスファチジルエタノールアミン(PE);ジオレイル ホスファチジルグリセロール(DOPG);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(又はジオレオイルホスファチジルコリン)(DOPC);ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS);1,2-ジレオイル(dileoyl)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DOPA);1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MSPC);1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール) (DPPG);1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール) (DMPG);1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール) (DSPG);1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC);ジアシルホスファチジルコリン;ジアシルホスファチジン酸;N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン:N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン:N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン:リシルホスファチジルグリセロール;スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴミエリン);及びそれらの混合物。
様々なステロール類及びその誘導体(例えば、コレステロール)が、リポソームを安定化するために使用され得る。コレステロールは、長鎖脂肪酸、アミノ酸、アミノ酸誘導体、タンパク質、糖タンパク質、オリゴ糖、ホルモン、改変されたタンパク質などのような、特定の器官又は細胞型により認識されるように設計されたリガンドを用いて化学的に修飾され得る。このような修飾されたコレステロールを含有するリポソームは、特定の器官又は細胞型に標的化されるために適している(例えば、米国特許第4,544,545号を参照のこと)。
ポリエチレングリコール(PEG)及び他のポリエトキシル化ポリマーのような親水性ポリマーは、リポソームの循環半減期を増大させるためにリポソームを保護するために使用され得る。このような親水性ポリマーは、リポソームと非共有結合で会合され得るか、又はリポソームの特定の成分に結合体化されるか若しくは共有結合で連結され得る(例えば、PEG-誘導体化脂質;例えば1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000] (アンモニウム塩)(mPEG-DSPE)、及びステアリル化PEG2000)。さらrなる例となる親水性ポリマーとしては、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリグリセロール、ポリアクソズリン(polyaxozlines)、ポリアミノ酸(PAA)、及びそれらの混合物が挙げられる。
リポソーム組成物の製造のための方法は、薄膜水和法により形成されるリポソームを含み、ここで再水和は、本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質系を含む水溶液を使用する(例えば、実施例18を参照のこと)。
実施例18は、カチオン性分子を含む非ウイルス性送達ベクターにおけるsn-casRNA/Cas9タンパク質複合体を記載する。実施例において、Cas9 mRNA及びsn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA成分の製造が記載される。次いでこれらの成分は、リボ核タンパク質複合体、さらにはリボ核タンパク質/ SC12CDClickpropylamine粒子に形成される。複合体及び粒子はリポソームに封入される。これらのリポソームは、インビボ活性を含む多数の基準を使用して特徴づけされる。実施例は、本発明のsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体の封入のために最適なリポソーム組成を、それらの利点及び制限に従って選択するための基準を確立する。
他の実施態様において、リポソームは、脂質溶液注入法により形成され、ここで脂質溶液は、本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質系の成分を含む水溶液中に注入される。脂質は、典型的には、溶媒、例えば有機溶媒(例えばアルコール;例えばエタノール)に溶解され、続いてsn-casPN/Cas9タンパク質系を含む水溶液中に撹拌しながら注入される。リポソーム小胞は、水溶液への注入の際に形成され、少量の水溶液を小胞の内部水性区画に捕捉する。この方法の1つの利点は測定可能であることである。
リポソーム中に封入され得る本発明のsn-casPNを含む実施態様の例としては、限定されないが、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチド、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質を含む発現カセット、sn-casPN、sn-casPN及びCas9タンパク質の複合体、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の局面は、限定されないが、以下を含む:sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む1つ又はそれ以上の発現カセット;sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む1つ又はそれ以上のベクター(発現ベクターを含む);sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードする発現カセットを含むポリヌクレオチドの製造を含む、発現カセットを製造する方法;sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターの製造を含む、ベクター(発現ベクターを含む)を製造する方法;sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、選択された宿主細胞中に導入することを含む、1つ又はそれ以上の発現カセットを導入する方法;sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを選択された宿主細胞中に導入することを含む、1つ又はそれ以上のベクター(発現ベクターを含む)を導入する方法;sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む1つ又はそれ以上の発現カセットを含む宿主細胞(組み換え細胞);sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、1つ又はそれ以上のベクター(発現ベクターを含む)を含む宿主細胞(組み換え細胞);sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含む宿主細胞(組み換え細胞);sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドの産物を発現する宿主細胞(組み換え細胞);インビトロ転写によりsn-casPNを製造すること及び/又はインビトロ翻訳によりCas9タンパク質を製造することを含む、sn-casPNを製造するための方法;並びにsn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードする1つ又はそれ以上のぽリヌクレオチドの産物を発現する宿主細胞(組み換え細胞)からsn-casPN及び/又はCas9タンパク質を単離することを含む、sn-casPN及び/又はCas9タンパク質を製造するための方法。
本発明の別の局面は、遺伝的に改変された非ヒト生物を生成するための方法に関する。一般的に、これらの方法において、sn-casPN及びCas9タンパク質のポリヌクレオチド配列を含む発現カセット、さらに標的化ベクターが、接合体細胞に導入されて、ゲノム中のDNA標的配列に選択されたポリヌクレオチド配列をl部位特異的に導入し、ゲノムDNAの改変を生じる。選択されたポリヌクレオチド配列は、標的化ベクター中に存在する。ゲノムDNAの改変としては、典型的には、ポリヌクレオチド配列の挿入、ポリヌクレオチド配列の欠失、又はポリヌクレオチド配列の変異、例えば、遺伝子修正、遺伝子置換、遺伝子タグ化、導入遺伝子挿入、遺伝子破壊、遺伝子変異、遺伝子制御配列の変異などが挙げられる。遺伝的に改変された非ヒト生物を生成するための方法の一実施態様において、生物はマウスである。本発明のこの局面の一実施態様は、遺伝的に改変されたマウスの生成である。
トランスジェニックマウスを生成することは、5つの基本的な工程を含む(Cho、A.、et
al.、「Generation of Transgenic Mice」, Current Protocols in Cell Biology;Chapter.Unit-19.11 (2009))。最初に、トランスジェニック構築物(例えば、sn-casPN及びCas9タンパク質のポリヌクレオチド配列を含む発現カセット、さらに標的化ベクター)の精製。第二に、ドナー接合体を収集する。第三に、トランスジェニック構築物のマウス接合体への微量注入。第四に、微量注入された接合体の偽妊娠レシピエントマウスへの移植。第五に、樹立マウスにおいて樹立されたゲノムDNAの改変の遺伝子型同定及び分析を行う。
実施例17は、非ヒト動物においてゲノム改変を生成するための、本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPN)の使用を記載する。実施例は、2つのsn-casRNA(sn1-casRNA及びsn2-casRNA;例えば、図3Bを参照のこと)を使用するトランスジェニックマウスの生成を記載する。Cas9 mRNA及びsn1-casRNA/sn2-casRNAの製造が記載される。mRNAは1細胞胚注入のための使用である。実施例は、二重遺伝子変異体マウスの生成、さらにはsn-casRNAs/Cas9タンパク質系のインビボオフターゲット効果の評価を記載する。さらに、実施例は、sn-casRNA及びCas9タンパク質とともにドナーオリゴヌクレオチドを使用したインビボ遺伝子修復の評価を含む。これらの分析結果は、複数の遺伝子においてゲノム修復改変を有するマウスが、本明細書に記載されるsn-casPN及びCas9タンパク質の複合体を使用して生成され得るということを実証することである。
遺伝的に改変された非ヒト生物を生成するための方法の別の実施態様において、生物は植物である。本明細書に記載されるsn-casPN/Cas9タンパク質系は、有効な、費用効率的な遺伝子編集及び植物細胞における操作を達成するために使用される。非特異的位置において植物ゲノムに機能的組み換えDNAを挿入することが一般的に好ましい。しかし、特定の例において、組み換えDNA構築物をゲノムに導入するために部位特異的組み込みを使用することが有用であるかもしれない。組み換えDNAの植物へのこのような導入は、本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質系を使用して促進される。植物における使用のための組み換えベクターは当該分野で公知である。ベクターは、例えば、足場付着領域(SAR)、複製起点、及び/又は選択可能マーカーを含み得る。
sn-casPN及び/又はCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドが植物を形質転換するために使用される実施態様のために、その特定の植物種においてコード配列の発現を駆動する能力を示すプロモーターが選択される。様々な植物種において効率的に使用され得るプロモーターもまた、当該分野で周知である。誘導性、ウイルス、合成又は構成的プロモーターが、ポリペプチドの発現のために植物において使用され得る。空間的に制御され、時間的に制御され、かつ時空的に制御されたプロモータも有用であり得る。好ましいプロモーターのリストとしては、限定されないが、FMV35Sプロモーター、増強されたCaMV35Sプロモーター、CaMV 35Sプロモーター、オピンプロモーター、単子葉プロモーター、植物ユビキチンプロモーター(Ubi)、コメアクチン1プロモーター(Act-1)、トウモロコシアルコール脱水素酵素1プロモーター(Adh-1)が挙げられる。
どの制御配列を組み換え構築物において使用べきかという因子としては、限定されないが、所望の発現レベル、及び細胞優先又は組織優先発現、誘導性、効率、及び選択性が挙げられる。当業者は、コード配列と比較して制御配列を選択及び位置づけすることによりコード配列の発現を調節することができる。
適切な制御配列は、特定の細胞型において主に転写を、又は転写のみを開始する。植物ゲノムDNAにおいて制御配列を同定及び特徴づけするための方法は公知である。米国特許出願公開第2011-0177228号(2011年7月21日公開)は、多数のこのような制御配列を記載する。
根活性プロモーターは、根組織、例えば、根維管組織、根表皮、又は根内皮における転写をもたらす。いくつかの根活性プロモーターは、根優先プロモーターであり、主に根組織において優先的に転写をもたらす。根優先プロモーターの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:PT0625、PT0660、PT0683、PT0758、YP0128、及びYP0275。他の値優先プロモーターとしては、PT0613、PT0672、PT0688、及びPT0837が挙げられ、これらは、主に根組織において転写を促進するが、ある程度まで胚珠及び/又は種子においても転写を促進する。他の根優先プロモーターは、CaMV 35Sプロモーター及びタバコRD2プロモーターの根特異的サブドメインを含む。
いくつかの実施態様において、成熟胚乳において特異的に活性であるプロモーターが使用され得る。成熟胚乳プロモーターからの転写は、一般的には受精の後に始まり、そして主に種子発達の間に胚乳組織において起こる。転写は、一般的には、細胞膜形成期の間に最も高い。発現ベクター構築物において使用され得る成熟胚乳プロモーターの例としては、限定されないが、napinプロモーター、ダイズトリプシン阻害剤プロモーター、ベータ-コングリシニンプロモーターのダイズa’サブユニット、Arcelin-5プロモーター、ACPプロモーター、ファゼオリンプロモーター、ステアロイル-ACP不飽和化酵素プロモーター、オレオシンプロモーター、ゼインプロモーター(例えば、15 kD、16 kD、19 kD、22 kD、及び27 kDゼインプロモーター)、コメグルテリン-1遺伝子由来のOsgt-1プロモーター、ベータ-アミラーゼプロモーター、及びオオムギホルデインプロモーターが挙げられる。他の成熟胚乳プロモーターとしては、PT0676、PT0708及びYP0092プロモーターが挙げられる。
子房組織において活性なプロモーターの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:ポリガラクツロニダーゼプロモーター、バナナTRXプロモーター、メロンアクチンプロモーター、YP0396、及びPT0623。さらに、主に胚珠において活性なプロモーターの例としては、YP0007、YP0008、YP0028、YP0039、YP0092、YP0103、YP0111、YP0115、YP0119、YP0120、YP0121、及びYP0374が挙げられる。
胚嚢/初期胚乳における発現を達成するために、極核及び/若しくは中心細胞、又は極核に対する前駆体において活性であるが、卵細胞又は卵細胞の前駆体において活性ではない制御配列が使用される。極核から初期胚乳発生に広がる転写パターンはまた、胚嚢/初期胚乳優先プロモータでも見出され得る(転写は典型的に細胞膜形成期の間及び後に後期胚乳発生において有意に減少するが)。接合体又は発生中の胚における発現は、典型的には、胚嚢/初期胚乳プロモーターでは存在しない。このようなプロモーターの例としては、以下の遺伝子由来のものが挙げられ、限定されないが、以下が挙げられる:シロイヌナズナ属胎生(Arabidopsis viviparous)-1、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)atmycl、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)FIE、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)MEA、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)FIS2、FIE 1.1、トウモロコシMAC1、及びトウモロコシCat3。さらなるシロイヌナズナ属(Arabidopsis)プロモーターとしては、YP0039、YP0101、YP0102、YP0110、YP0117、YP0119、YP0137、DME、YP0285、及びYP0212が挙げられる。コメプロモータの例としては、p530c10、pOsFIE2-2、pOsMEA、pOsYp102、及びpOsYp285が挙げられる。
受精後の接合体細胞における転写を優先的に駆動する制御配列は、胚優先発現をもたらし得る。胚優先プロモーターの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:オオムギ脂質輸送タンパク質(Ltpl)プロモーター、YP0088、YP0097、YP0107、YP0143、YP0156、PT0650、PT0695、PT0723、PT0740、PT0838、及びPT0879。
光合成組織において活性なプロモーターは、葉及び茎のような緑色組織において転写をもたらす。光合成組織プロモーターの例としては、リブロース-1,5-二リン酸カルボキシラーゼ(RbcS)プロモーター、例えばアメリカカラマツ(eastern larch)(Larix laricina)由来のRbcSプロモーター、マツcab6プロモーター、コムギ由来Cab-1プロモーター、スピナッチ由来CAB-1プロモーター、コメ由来cab1Rプロモーター、トウモロコシ由来ピルビン酸リン酸ジキナーゼ(PPDK)プロモーター、タバコLhcbl*2プロモーター、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)SUC2スクロース-H+共輸送体プロモーター、ホウレンソウ由来チラコイド膜タンパク質プロモーター(psaD、psaF、psaE、PC、FNR、atpC、atpD、cab、及びrbcS)、並びにPT0668、PT0886、YP0144、YP0380、及びPT0585プロモーターが挙げられる。
維管束において高いかまたは優先的な活性を有するプロモーターの例としては、YP0022、YP0080、YP0087、YP0093、及びYP0108が挙げられる。他の維管束組織優先プロモーターとしては、グリシンリッチ細胞壁タンパク質GRP 1.8プロモーター、コメリナイエローモットル(Commelina yellow mottle)ウイルス(CoYMV)プロモーター、及びイネツングロ病ウイルス(rice tungro bacilliform virus)(RTBV)プロモーターが挙げられる。
誘導性プロモーターは、化学薬剤または環境刺激のような外部刺激に応じて転写をもたらす。例えば、誘導性プロモーターは、ジベレリン酸(giberellic acid)若しくはエチレンのようなホルモンに応じて、または日照若しくは渇水に応じて転写をもたらし得る。渇水誘導性プロモーターの例としては、PD0901、PD1367、PT0710、PT0848、YP0286、YP0337、YP0356、YP0374、YP0377、YP0380、YP0381、YP0384、YP0385、YP0388、YP0396、PT0633、及びPT0688が挙げられる。窒素誘導性プロモーターの例としては、PT0863、PT0829、PT0665、及びPT0886が挙げられる。日陰誘導性プロモーターの例としては、PRO924及びPT0678が挙げられる。塩により誘導されるプロモーターの例はrd29Aである。
茎プロモーターは、1つ若しくはそれ以上の茎組織に特異的であっても、茎及び他の植物部分に特異的であってもよい。茎プロモーターは、例えば、表皮及び外皮、維管束形成層、前形成層、または木部において高いかまたは優先的な活性を有し得る。茎プロモーターの例としては以下が挙げられる:YP0018、CryIA(b)、及びCryIA(c)。
プロモーターの他のクラスの例としては、苗条優先的、カルス優先的、トリコーム細胞優先的、PT0678のような孔辺細胞優先的、塊茎優先的、柔組織優先的、及び老化優先的プロモーターが挙げられる。いくつかの実施態様において、プロモーターは、生殖組織における発現を優先的に駆動し得る。
5’非翻訳領域(UTR)はベクター構築物に含まれ得る。5’UTRは転写されるが、翻訳されず、そして転写の開始部位と翻訳開始コドンとの間にあり、そして+1ヌクレオチドを含み得る。3’UTRは、翻訳終結コドンと転写の末端との間に位置づけられ得る。UTRは、mRNA安定性を増加させることまたは翻訳を減衰することのような特定の機能を有し得る。3’UTRの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列(例えば、ノパリン構成酵素終結配列)。
さらなる制御配列は、米国特許出願公開第2011-0177228号(2011年7月21日公開)に記載される。
sn-casPNの発現のために植物ベクターにおいて使用され得るRNAポリメラーゼIIIプロモーターとしては、7SL、U6(例えば、U6 snoRNAプロモーター)及びU3(例えば、U3 snoRNAプロモーター)が挙げられる。
任意の形質転換実験において、DNAは、わずかな比率の標的細胞にしか導入されない。選択可能なマーカーをコードする遺伝子は、トランスジェニックDNA構築物を受け取ってそれらのゲノムに組み込む場合に安定に形質転換される細胞を同定する際に有用でありかつ効率的である。好ましいマーカー遺伝子は、抗生物質または除草剤のような選択剤に対する抵抗性を付与する選択マーカーを提供する。植物が抵抗性であり得るいずれかの除草剤は、選択マーカーのために有用な薬剤である。
選択可能マーカーを使用して、本発明のsn-casPN及び/又はCas9タンパク質を含むベクターを含有する植物または植物細胞を選択することができる。選択可能マーカーは、植物細胞に選択可能な表現型を与え得る。例えば、マーカーは、抗生物質(例えば、カナマイ
シン、G418、ブレオマイシン、またはハイグロマイシン)に対する抵抗性、除草剤(ビアラホス抵抗性をコードするbar遺伝子;グリホサート抵抗性をコードする変異体EPSP合成酵素遺伝子;ブロモキシニルに対するを付与するニトリラーゼ遺伝子;イミダゾリノンまたはスルホニル尿素抵抗性を付与する変異体アセト乳酸合成酵素遺伝子(ALS))またはメトトレキサート(メトトレキサート抵抗性DHFR遺伝子)に対する抵抗性を与え得る。発現ベクターはまた、発現されるポリペプチドの検出または操作を促進するように設計されたタグ配列を含み得る。タグ配列は、一般的に、コードされるポリペプチドとの融合物として発現され得る。タグ配列の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:ルシフェラーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ(GUS)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、ポリヒスチジン、c-myc、赤血球凝集素、またはエピトープ(例えば、FLAG(R)エピトープ、Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)。このようなタグは、カルボキシル末端またはアミノ末端を含む、ポリペプチド内のいずれかの箇所に挿入され得る。
形質転換される可能性のある細胞を選択剤に曝露し、そして生存細胞の中に、抵抗性付与遺伝子が組み込まれ、そして細胞生存のために十分なレベルで発現される細胞がある。細胞は、外因性DNAの安定な組み込みを裏付けるためにさらに試験され得る。
スクリーニング可能な(screenable)マーカーは、発現をモニタリングするために使用され得、本発明の組み換えベクターまたは構築物にも含まれ得る。スクリーニング可能なマーカーとしては、限定されないが、様々な発色性基質が知られている酵素をコードするベータ-グルクロニダーゼまたはuidA遺伝子(GUS);植物組織におけるアントシアニン色素(赤色)の産生を制御する産物をコードするR遺伝子座遺伝子;ベータ-ラクタマーゼ遺伝子、様々な発色性基質が知られている酵素をコードする遺伝子(例えば、PADAC、発色性セファロスポリン);ルシフェラーゼ遺伝子;発色性カテコール類を変化し得るカテコールジオキシゲナーゼをコードするxylE遺伝子;β-アミラーゼ遺伝子;チロシンをDOPA及びドパキノンへと酸化し、それが次にメラニンへと縮合する酵素をコードするチロシナーゼ;及び発色性β-ガラクトース基質を触媒するβ-ガラクトシダーゼが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、植物細胞に、永続的にまたは一時的に、他の遺伝エレメント、例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロン、及び未翻訳リーダー配列と一緒に導入され得る。
Xing、H. L.、et al.、「A CRISPR/Cas9 toolkit for multiplex genome editing in plants」, BMC Plant Biology、14、327 (2014)は、双子葉類及び単子葉類におけるCRISPR-Cas9系の発現のためのモジュールベクターを記載した。二種の骨格を有するバイナリーベクターが利用される;第一のpGreenに基づくベクター(Hellens、R.P.、et al.、「pGreen:a versatile and flexible binary Ti vector for agrobacterium-mediated plant transformation」, Plant Mol. Biol.、42、819-832 (2000));及び第二のpCAMBIAに基づくベクター。pGreen様ベクターは、比較的小さく、標的部位の有効性を試験するために一過性Cas9及びsn-casRNA発現にそれらを使用することを可能にする。これらのベクターは、プロトプラストにおける血漿後にトランスジェニック植物の生成に直接使用することができる。アグロバクテリウム(Agrobacterium)において、pGreen様ベクターは、増殖についてそれらのpSa起点に依存し、そしてそれらは複製タンパク質(RepA)を生じるためにヘルパープラスミドを必要とする。pSoupヘルパープラスミドを含有するアグロバクテリウム(Agrobacterium)は、pGreen様ベクターのための宿主として使用され得る。
pCAMBIA由来バイナリーベクターの中で、選択可能マーカとしてハイグロマイシン抵抗性遺伝子を有するものはpCAMBIA1300由来であり、一方、カナマイシン抵抗性遺伝子を有するものはpCAMBIA2300由来であり、そしてBasta抵抗性遺伝子を有するものはpCAMBIA3300由来である。ベクターpCAMBIA1300/2300/3300 (Curtis、M.D.、et al.、「A gateway cloning vector set for high-throughput functional analysis of genes in plants」, Plant Physiol.、133、462-469 (2003);Lee、L. Y.、Gelvin、 S. B.、「T-DNA binary vectors and systems」, Plant Physiol.、146、325-332 (2008))及びそれらの誘導体(Gateway適合性pMDCシリーズを含む)は、様々な植物種のために最も広く使用されるバイナリーベクターのいくつかであり、そしていくつかの植物形質転換プロトコルは、これらのベクターに基いて特に最適化された。
このようなバイナリーベクター系は、本発明の発現カセットとともに使用されて、例えば、多重ゲノム編集のための複数のsn-casRNAをもたらし得る。例えば、3つのポリヌクレオチドのII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系において、sn1-casRNA及びsn2-casRNA DNAコード配列は、第一のベクターにおいてRNAポリメラーゼIIIプロモーターの制御下におかれる。それぞれが異なるDNA標的配列を含む複数のsn3-casRNAは、それぞれRNAポリメラーゼIIIプロモーターの制御下におかれ、そして同じベクターにクローン化される。選択された植物における発現のために最適化されたCas9タンパク質コード配列もまたベクターに含まれる。
好ましい植物形質転換ベクターの中には、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプラスミド由来のものがある(Lee、L.Y.、et al.、「T-DNA Binary Vectors and Systems」, Plant Physiol.、146(2)、325-332 (2008))。アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)プラスミドもまた有用であり、当該分野で公知である。植物細胞形質転換及び植物における遺伝子発現に適した植物プラスミド、及びこのようなポリヌクレオチドのクローニングを容易に可能にする方法の選択を容易にするように設計されたいくつかの市販のソフトウェア製品がある。例えば、SnapGeneTM (GSL Biotech LLC、Chicago、Ill.;www.snapgene.com/resources/plasmid_files/your_time_is_valuable/)は、個々のベクター配列及びベクターマップを含む植物ベクターの広範囲のリスト、さらには多くのベクターの商業的供給源を提供する。
組み換えDNA構築物を植物ゲノムに導入することにより植物を形質転換するための方法及び組成物は、当該分野で公知の多くの方法のいずれかを含む。形質転換された植物を構築するための1つの方法は微粒子銃である。アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換は、形質転換された植物を虎竹するための別の方法である。あるいは、他の非アグロバクテリウム(non-Agrobacterium)種(例えば、根粒菌(Rhizobium))及び植物細胞に感染して異種ヌクレオチド配列を感染した植物細胞のゲノム中に導入することができる他の原核生物細胞が使用され得る。さらなる形質転換方法としては、エレクトロポレーション、リポソーム、花粉若しくはウイルスを使用した形質転換、遊離DNA取り込みを増加させる化学物質、または微粒子銃を用いた遊離DNA送達が挙げられる。本発明のDNA構築物は、当該分野で周知の従来の形質転換技術を使用して植物宿主のゲノム中に導入され得る(例えば、Narusaka、Y.、et al.、「Methods to Transfer Foreign Genes to Plants」, 「Transgenic Plants - Advances and Limitations」, ISBN 978-953-51-0181-9、7 March 2012を
参照のこと)。
典型的に、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換法を使用して形成されたトランスジェニック植物は、1つの染色体に挿入された1つの単純な組み換えDNA配列を含有する;これはトランスジェニック事象と呼ばれる。このようなトランスジェニック植物は、挿入された外来配列のためにヘテロ接合性である。単一の外来遺伝子配列を含有する独立した分離個体トランスジェニック植物、例えば、F0植物をそれ自身に対して性的に交配する(すなわち、自家受粉)ことにより、F1種子を形成することにより、導入遺伝子に関してホモ接合体であるトランスジェニック植物を形成することが可能である。F1種子を発芽させることにより形成される植物は、ヘテロ接合性について試験され得る。典型的な接合状態アッセイとしては、限定されないが、ホモ接合体とヘテロ接合体とを区別する一塩基多型アッセイ及び熱増幅アッセイが挙げられる。
植物の直接形質転換に組み換えDNA構築物を使用することの代替として、トランスジェニック植物は、組み換えDNA構築物を用いて形質転換されている第一の植物を、構築物を欠く第二の植物と交雑させることにより形成され得る。例として、遺伝子抑制のために組み換えDNA構築物が導入された第一の植物系統は、第二の植物系統と交雑されて、組み換えDNAを第二の植物系統に遺伝子移入し得、このようにしてトランスジェニック植物系統を形成する。
本発明のsn-casPNは、植物育種家に変異を誘導する新しいツールを提供する。したがって、当業者は、ゲノム供給源を分析し、そして所望の特質または特徴を有する目的の遺伝子(例えば、除草剤抵抗性遺伝子)を同定し、そして本発明のsn-casPNを使用してこのような遺伝子を、それらの遺伝子を欠いた植物変種に導入することができる;この結果は、以前の変異誘発剤を使用することによりものよりも高い制度で達成され得、それにより植物育種プログラムを加速し増強することができる。
実施例16は、3部分からなるsn-casRNA II型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系(sn1-casRNA、sn-2-casRNA、及びsn3-casRNA)を使用して植物においてゲノム改変を生じる、トウモロコシ(Zea mays)における標的化変異誘発を記載する。3つの異なるトウモロコシゲノム標的配列は切断のために標的化される。sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質系の発現カセットを含むベクターが記載される。標的化部位における変異の生成を使用して、本明細書に記載されるsn-casPN及びCas9タンパク質の複合体がトウモロコシ染色体DNAを切断し、そしてゲノム変異を生成するために使用され得るということを実証する。
本発明の別の局面は、sn-casPN及びCas9タンパク質を使用してDNAを改変する方法を含む。一般に、DNAを改変する方法は、標的DNAをsn-casPNs/Cas9タンパク質複合体(「標的化複合体」)と接触させることを含む。いくつかの場合には、Cas9タンパク質成分は、二本鎖DNA標的の両方の鎖を、sn-casPNにおけるDNA標的結合配列に相補的である二本鎖DNA中の部位で切断するヌクレアーゼ活性を示す。ヌクレアーゼ活性II型Cas9タンパク質を用いて、標的DNAの部位特異的切断は、(i)sn-casPNにおけるDNA標的結合配列と標的DNAとの間の塩基対相補性、及び(ii)標的DNAに存在するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)により決定される部位で起こる。ヌクレアーゼ活性は、標的DNAを切断して二本鎖切断を生じる。細胞において、二本鎖切断は、細胞機構により修復され、これらとしては、限定されないが:非相同末端結合(NHEJ)、及び相同組換え修復(HDR)が挙げられる。
NHEJによる二本鎖切断の修復は、切断末端を直接互いに連結することにより起こる。典型的には、新しいポリヌクレオチド配列は二本鎖切断の部位に挿入されない;しかし、挿入または欠失は、少数のヌクレオチドが二本鎖切断の部位に無作為に挿入されるかまたは欠失される場合に起こり得る。さらに、2つの異なるDNA標的配列を標的とするDNA標的結合配列を含む2つの異なるsn-casPNを使用して、介在するDNA配列(すなわち、2つのDNA標的配列感のDNA配列)の除去を生じる。介在配列の除去は、NHEJが2つの切断されたDNA標的配列を互いに再連結する場合に起こる。同様に、NHEJは、例えば、適合性のオーバーハングを含有するドナーテンプレートDNAを使用して、ドナーテンプレートDNAまたはその部分の挿入を方向づけるために使用され得る。したがって、本発明の一実施態様は、標的DNA部位に挿入及び/又は欠失を導入することによりDNAを改変する方法を含む。
HDRによる二本鎖切断の修復は、切断される標的DNA配列に対して相同性を有するドナーポリヌクレオチド(ドナーテンプレートDNA)またはオリゴヌクレオチドを使用する。ドナ
ーテンプレートDNAまたはオリゴヌクレオチドは、標的DNA配列における二本鎖切断の修復に使用され、DNAにおける二本鎖切断の部位でドナーテンプレートDNAまたはオリゴヌクレオチドから遺伝情報(すなわち、ポリヌクレオチド配列)の移動を生じる。したがって、新しい遺伝情報(すなわち、ポリヌクレオチド配列)は、標的DNA部位で挿入またはコピーされ得る。
本発明の一局面は、核酸標的結合配列(例えば、DNA)を改変する方法に関し、該方法は、核酸標的結合配列(例えば、DNAポリヌクレオチドにおけるDNA標的配列)を、本発明のsn-casPNを含む複合体(例えば、sn1-casPN/sn2-casPN/Cas9タンパク質複合体(例えば、図3B、sn1-casPN、図3B、326、及びsn2-casPN、図3B、302;または図3A sn1-casPN、図3A、301、sn2-casPN、図3a、302、及びsn3-casPN、図3A、303に示される))と接触させることを含み、ここで、sn-casPNs/Cas9タンパク質は、核酸標的配列(例えば、DNA標的配列)に結合して切除する複合体を形成し、標的核酸(例えば、DNA標的配列を含むDNAポリヌクレオチド)の改変を生じる。この方法は、インビトロまたはインビボで行われ得る。この方法は、例えば、生物から単離された細胞(例えば、真核細胞)に由来するDNAを改変するために使用され得る。さらに、いくつかの実施態様において、この方法は、ゲノムDNA中のDNA標的配列をドナーDNAテンプレートと接触させることを含み、ここでゲノムDNAは、DNA標的配列において組み込まれたドナーDNAテンプレートの少なくとも一部を含むように改変される。
ドナーポリヌクレオチドを標的核酸中の二本鎖切断部位の近傍に持っていくための方法は、米国特許出願公開第2014-0315985号(2014年10月23日公開)に記載される(例えば、¶0121、¶¶0851-0860を参照のこと)。
実施例1は、本発明の例となるsn-casPN成分の製造を記載する。実施例2は、Cas9切断アッセイにおける使用のための二本鎖DNA標的領域の製造を記載する。実施例3及び実施例7は、本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質の複合体(sn1-casRNA/sn2-casRNA)を使用してDNAを改変する方法のインビトロでの例を提供する。実施例6は、異なるsn-casPN(sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA)を使用してDNAを改変し、選択された二本鎖DNA標的配列と比較して選択されたsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質複合体の切断パーセントを評価及び比較する方法のインビトロでの例を提供する。さらに、実施例4において示されたデータは、真核細胞における標的改変の検出のためのディープシーケンシング解析のための、本発明のsn-casPNs/Cas9タンパク質の使用を示す。
実施例19は、本発明のsn-casPNs/Cas9タンパク質複合体(例えば、sn1-casPN/sn2-casPN/Cas9タンパク質複合体)を使用する、真核細胞における標的改変の検出のためのディープシーケンシング解析の使用を記載する。実施例において、2つの分断ネクサスポリヌクレオチド(sn1-casRNA及びsn2-casRNA)を使用して、ヒト細胞において6つの選択された二本鎖DNA標的配列を改変した。ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CRISPR-Cas sgRNA/Cas9複合体を対照として使用した。sn1-casRNA/sn2-casRNA/Casタンパク質核タンパク質複合体の細胞での活性について表22に示されるデータは、真核細胞における標的改変の検出のためのディープシーケンシングデータの解析により得られた。データは、本明細書に記載されるCasタンパク質/sn1-casPN/sn2-casPN構築物が、細胞において標的二本鎖核酸のCas媒介部位特異的切断を促進するということを示す。これらのデータは、ta support that the 本発明のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系が細胞においてゲノム遺伝子座のCas媒介部位特異的切断を促進するということを支持する。
実施例20は、選択された核酸標的配列と比較して、sn-casPN/Cas9タンパク質複合体のインビトロで切断パーセントを評価及び比較するための代替のsn-casPN設計の使用を説明する。この実施例において、sn1-casRNA/sn2-casRNA II型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系のネクサスエレメントは多数の異なる位置で分断されていた(すなわち、ネクサスエレメントヌクレオチド配列の骨格が中断されれていた)。表25は、代替のsn1-casRNA/sn2-casRNA設計を使用したCas9切断アッセイの結果を示し、ここで各sn1-casRNA/sn2-casRNAにおけるネクサス分断は、ネクサスエレメント中の異なる位置であった。データは、ネクサスエレメントの異なる位置に中断を含むsn-casPNが、核酸標的配列のインビトロでのCas9タンパク質媒介部位特異的切断を促進するということを実証する。
本発明のいくつかの方法において、細胞は、活性RuvC及びHNHヌクレアーゼドメインを含むsn-casPN及びCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。これらのポリヌクレオチド配列の発現は、1つまたはそれ以上の誘導性プロモーターの制御下におかれる。sn-casPNのDNA結合配列が、sn-casPN及びCas9タンパク質の発現を誘導する際に、例えば遺伝子のプロモーターにおいてDNA標的に対して相補的である場合、遺伝子からの発現は遮断される(sn-casPNs/Cas9タンパク質複合体によるプロモーター配列の切断の結果として)。sn-casPN及びCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、細胞ゲノムに組み込まれても、ベクターに存在しても、またはそれらの組み合わせであってもよい。
本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質複合体を使用した標的DNAを改変する方法において、NHEJ及び/又はHDRのいずれかによる二本鎖切断の修復は、例えば、遺伝子修正、遺伝子置換、遺伝子タグ化、遺伝子破壊、遺伝子変異、導入遺伝子挿入、またはヌクレオチド欠失をもたらし得る。ドナーテンプレートDNAと組み合わせて本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質複合体を使用する、標的DNAを改変する方法は、DNA標的配列においてポリヌクレオチド配列を挿入若しくは置換するため、例えば、タンパク質若しくは機能的RNA(例えば、siRNA)をコードするポリヌクレオチドを導入するため、タンパク質タグを導入するため、遺伝子の制御配列を改変するため、または制御配列を遺伝子に導入するため(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列内リボソーム進入部位、開始コドン、終止コドン、局在化シグナル、またはポリアデニル化シグナル)、核酸配列を改変する(例えば、変異を導入する)などのために使用され得る。
本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質系のいくつかの実施態様において、Cas9タンパク質の変異形態が使用される。Cas9タンパク質の改変されたバージョンは、単一の不活性触媒性ドメイン(すなわち、不活性RuvCまたは不活性HNH)を含有し得る。このような改変されたCas9タンパク質は、標的DNAを1つだけ切断し、したがって単鎖中断を生じる。単一の不活性触媒性ドメインを有する改変されたCas9タンパク質は、sn-casPN付与特異性に基づいてDNAに結合し得る;しかし、これは二本鎖DNA鎖の1つを切除するのみである。例として、化膿性連鎖球菌由来のCas9タンパク質において、RuvCドメインは、D10A変異により不活化され得、そしてHNHドメインは、H840A変異により不活化され得る。本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質複合体における単一の不活性触媒性ドメインを有する改変されたCas9タンパク質を使用する場合、NHEJが単鎖切断部位において起こる可能性は低い。
Cas9タンパク質の他の改変されたバージョンにおいて、両方の触媒性ドメインが不活性である(すなわち、不活性RuvC及び不活性HNH;「dCas」)。このようなdCas9タンパク質は、実質的なヌクレアーゼ活性を有していない;しかし、これらは、sn-casPN付与特異性に基づいてDNAに結合することができる。例として、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のCas9タンパク質において、D10A変異及びH840A変異は、実質的なヌクレアーゼ活性を有していないdCas 9タンパク質を生じる。
本発明はまた、本明細書に記載されるsn-casPN/Cas9タンパク質複合体を使用してインビトロまたはインビボで転写を調節する方法を含む。一実施態様において、sn-casPN/Cas9タンパク質複合体は、sn-casPN/Cas9タンパク質複合体のDNA標的結合を遺伝子のプロモーター領域に方向づける場合に、転写を妨げることにより遺伝子発現を抑制し得る。転写を減少させるためのsn-casPN/Cas9タンパク質複合体の使用はまた、dCas9タンパク質が標的遺伝子(例えば、リプレッサーポリペプチド)の既知の下方調節因子に融合されている複合体を含む。例えば、遺伝子の発現は、リプレッサーポリペプチドが結合することができる制御配列の制御下にある。sn-casPNは、sn-casPN/Cas9タンパク質-リプレッサータンパク質複合体の結合がリプレッサータンパク質を制御配列との差号可能に接触させるように、制御配列をコードするかまたは制御配列に隣接するDNA配列に、casPN/Cas9タンパク質-リプレッサータンパク質複合体のDNA標的結合を方向づけることができる。これは、標的遺伝子の発現の抑制を生じる。同様に、dCas9は、活性化因子ポリペプチドに融合して、活性化因子ポリペプチドが結合し得る制御配列の制御下で遺伝子の発現を活性化または増加させる。
一局面において、本発明は、転写制御エレメントを含む遺伝子の発現を調節する方法に関し、該方法は、遺伝子中のDNA標的配列を、本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質複合体と接触させることを含み、ここでsn-casPN及びCas9タンパク質は、DNA標的配列に結合する複合体を形成し、遺伝子の発現の調節をもたらす。一実施態様において、Cas9タンパク質は、ヌクレアーゼ欠損したCas9である。他の実施態様において、sn-casPN/Cas9複合体は、融合タンパク質をさらに含む。
実施例13は、ヒト細胞における内在性遺伝子の抑制または活性化のための、本発明のsn-casPNの使用を記載する。変異D10A及びH840Aを有するヌクレアーゼ欠損化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9(dCas9)が使用された。sn1-casRNA-CD71配列は、sn-casRNA/Cas9タンパク質複合体を、トランスフェリン受容体CD71の上流非翻訳領域へと方向づける20ヌクレオチドのスペーサー配列を含む。dCas9-VP64トランスフェクトサンプルにおけるCD71発現の活性化を、FACSソーティングにより検出して、HeLa細胞のトランスフェクトされていない対照集団の測定された蛍光と比較して、検出された蛍光の増加により測定された。dCas9-KRABトランスフェクトサンプルにおけるCD71発現の抑制は、FACSソーティングにより検出して、HeLa細胞のトランスフェクトされていない対照集団の測定された蛍光と比較して、検出された蛍光の減少により測定された。この手順は、本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質系が、内在性遺伝子の活性化または抑制において使用され得るということを検証するためのデータを提供する。
いくつかの実施態様において、非天然配列は、融合タンパク質に新しい機能を付与する。Cas9タンパク質及び他の制御または機能性ドメインを含む 融合タンパク質の例としては、限定されないが、ヌクレアーゼ、トランスポサーゼ、メチラーゼ、転写因子リプレッサーまたは活性化因子ドメイン(例えば、KRAB及びVP16)、コリプレッサー及び活性化補助因子ドメイン、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンでアセチラーゼ、及びDNA切断ドメイン(例えば、エンドヌクレアーゼFokI由来の切断ドメイン)が挙げられる。さらなる例としては、限定されないが、以下が挙げられる:メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、脱アミノ活性、ジスムターゼ活性、アルキル化活性、脱プリン活性、酸化活性、ピリミジン二量体形成活性、インテグラーゼ活性、トランスポサーゼ活性、リコンビナーゼ活性、ポリメラーゼ活性、リガーゼ活性、ヘリカーゼ活性、光回復酵素活性、グリコシラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、脱アセチル酵素活性、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、ユビキチンリガーゼ活性、脱ユビキチン活性、アデニル化活性、脱アデニル化活性、SUMO化活性、脱SUMO化活性、リボシル化活性、脱リボシル活性、ミリストイル化活性、リモデリング活性、プロテアーゼ活性、酸化還元酵素活性、転移酵素活性、加水分解酵素活性、リアーゼ活性、異性化酵素活性、シンターゼ活性、シンテターゼ活性、脱ミリストイル活性、及びそれらのいずれかの組み合わせ。
別の局面において、本発明のsn-casPNは、ハイスループット機能性ゲノムスクリーニングのための方法において使用される。順遺伝学スクリーニング(Forward genetic screens)は、遺伝要素の発見及び機能アノテーションのための強力なツールである(例えば、Gilbert、et al.、「CRISPR-Mediated Modular RNA-Guided Regulation of Transcription in Eukaryotes」, Cell 18、154(2)、442-51 (2013)を参照のこと)。sn-casPN/Cas9タンパク質複合体は、不偏表現型スクリーニングのためのsn-casPNのゲノムスケールライブラリを生成するために使用され得る。ゲノムスケールスクリーニングのためのアプローチは、ゲノム遺伝子座を不活化するノックアウトアプローチ及び転写活性を調節するアプローチが挙げられる。ノックアウトスクリーニングにおいて、sn-casPN/Cas9タンパク質複合体により媒介される機能変異の喪失は、二本鎖切断誘導及びNHEJ媒介修復により生じる。ノックアウトスクリーニングは、必須遺伝子機能、例えば、薬物及び毒物感受性に関連する遺伝子機能を同定するために有用である。このような機能性ゲノムスクリーニングの一例は、実施例12に示される。実施例において、2部分sn-casRNA(sn1-casRNA及びsn2-casRNA)II型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、sn1-casRNAのレンチウイルスライブラリーを作成するために使用される。ライブラリーは、薬物処置に対する抵抗性において重要な候補遺伝子を同定するためにノックアウト法において使用される。この手順は、本発明のsn-casPN/Cas9タンパク質複合体が、ゲノムワイドスケールでの遺伝子機能を問い合わせするために機能性スクリーニングにおいて使用され得るということを検証するためのデータを提供する。
本発明の別の方法は、ゲノムDNA(gDNA)の領域を単離または精製するためのsn-casPN/dCasタンパク質系の使用である。この方法の実施態様において、dCas9タンパク質は、エピトープ(例えば、FLAG(R)エピトープ、Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)に融合され、そしてsn-casPNは、sn-casPNs/dCas9タンパク質-エピトープ複合体のDNA標的結合を、単離または精製しようとするゲノムDNAの領域内のDNA配列へと方向づける。親和性薬剤は、エピトープ及びsn-casPNs/dCas9タンパク質-エピトープ複合体に結合した関連gDNAを結合するために使用される。
さらなる局面において、本発明は、sn-casPNまたはsn-casPNをコードするポリヌクレオチド及び指示書を含むキットを含む。キットは、以下の1つまたはそれ以上を含み得る:sn-casPN及び同族Cas9タンパク質;sn-casPN及び同族タンパク質をコードするポリヌクレオチド;sn-casPNを含む組み換え細胞;sn-casPN及び同族タンパク質を含む組み換え細胞など。本発明のいずれかのキットは、溶液、緩衝液、基質、細胞、指示書、ベクター(例えば、標的化ベクター)などのような他の構成要素をさらに含み得る。
本発明はまた、選択された二本鎖DNA標的配列と比較して、sn-casPN/Cas9タンパク質複合体のインビボでの切断パーセントを評価及び比較するするためのT7E1アッセイの使用を含む(実施例9)。
本発明の局面はまた、トランス活性化CRISPR RNAの同定及びスクリーニングのための方法を含み(実施例8)、これは、本発明のsn-casPN及び方法における使用のために改変され得る。さらに、本発明は、例えば、当該分野で公知であるか又は実施例8において記載される方法により同定されたcrRNA/tracrRNAに基づいて、tracrRNAsにおける分断ネクサス改変を生成及び試験する方法を含む(実施例10)。
本発明はまた、sn-casPN/Cas9タンパク質複合体、又はsn-casPN及びCas9タンパク質をコードする1つ若しくはそれ以上のポリヌクレオチドを含む医薬組成物を含む。医薬組成物、例えば上記のsn-casPNを含むナノ粒子組成物は、薬学的に許容しうる添加剤をさらに含み得る。
医薬組成物は、本明細書に記載されるsn-casPNと、他の成分、例えば、添加剤(例えば、担体、安定剤、希釈剤、懸濁化剤、増粘剤、及び本明細書に記載される他のもの)のいずれかの組み合わせを含み得る。組成物は、例えば、sn-casPN/Cas9タンパク質複合体の被験体への投与を容易にする。医薬組成物は、例えば、静脈内、皮下、又は吸入を含む様々な形態及び毛色により治療有効量で投与され得る。
sn-casPNを含む医薬組成物の製造のための方法は、1つ又はそれ以上の不活性な薬学的に許容しうる添加剤とともにそれらを製剤化することを含み得る。例えば、医薬組成物は、液体溶液又は懸濁液であり得る。本発明の実施において有用な典型的な添加剤としては、限定されないが、以下が挙げられる:担体又はビヒクル(例えば、水又は緩衝化水溶液);緩衝系(例えば、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩、及びそれらの混合物を含む);抗酸化剤(例えば、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、システイン、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオソルビトール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び没食子酸プロピル、及びそれらの混合物);等張性を維持するための薬剤(例えば、塩化ナトリウム、糖類、多価アルコール(糖アルコール)、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、及びそれらの混合物);1つ又はそれ以上の糖(例えば、トレハロース、マルトース、スクロース、ラクトース、マンノース、デキストロース、フルクトースなど)又は糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、グリセロールなど)、アルコール(例えば、エタノール、t-ブタノールなど);並びに保存料(アルコール、安息香酸、サリチル酸、フェノール及びその誘導体(例えば、クレゾール、p-クレゾール、m-クレゾール及びo-クレゾール)、セトリミド、BHA(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール);並びにそれらの混合物)。
本発明のsn-casPNの利点としては、限定されないが、以下が挙げられる。多成分sn-casPN/Cas9タンパク質系の使用は、インビボ系のための活性の改善された制御を可能にする。sn-casPN/Cas9タンパク質系の全ての部分の発現制御は、例えばsgRNA/Cas9タンパク質系と比較して、機能性sn-casPN/Cas9タンパク質系を構成するために必要とされる特定の成分の集合にさらなる制御の層をもたらす。
本発明のsn-casPNの分断ネクサスエレメント、アクセサリー、補助、及び付属ポリヌクレオチドは、機能性部分(例えば、ポリペプチド、小分子、標識など)を付加し、かつ/又は係留するためのさらなる部位(crRNA/tracrRNA/Cas9及びsgRNA/Cas9複合体と比較して)を提供する。
本発明のいくつかの実施態様、例えば、3つのポリヌクレオチドの操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系において、より短い長さのsn-casPN(より長い長さのcrRNA/tracrRNA及びsgRNAと比較して)は、sn-casPNのより高い質及びより速い化学合成を可能にする。さらに、より短い長さのsn-casPNは、ウイルスベースのベクターへのパッケージングを容易にする。
さらに、本発明の3つのポリヌクレオチドの操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系(例えば、図3Aにおいて説明される)を使用して、急速な活性化をかのうにするためにインビボ系において部分的に予め形成されたCas9複合体を提供することができる。例えば、sn1-casRNA、sn3-casRNA、及びCas9タンパク質は、細胞において発現される。これらの成分は、sn1RNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質複合体を形成し、これは標的の結合又は切断については活性ではない。sn2成分が細胞で発現されるか又は細胞中に導入される場合、sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質複合体は急速に活性化され、これは部位特異的標的化に対する時間的制御を可能にする。
本発明のさらなる利点は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者に明らかだろう。
一局面において、本発明は、Cas9タンパク質と複合体を形成して、DNA標的結合配列を含まない第二のDNA配列と比較して優先的に、DNA標的配列を含む第一のDNA配列にCas9タンパク質を結合させるようにすることができる3つの操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチドに関する。3つのポリヌクレオチドのうちの少なくとも2つがネクサスステムエレメントを形成するために必要である。いくつかの実施態様において、操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、Cas9タンパク質又はCas9タンパク質をコードするDNA配列をさらに含む。さらなる実施態様において、本発明は、Cas9タンパク質との複合体である3つのポリヌクレオチドに関する。
一実施態様において、本発明の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、別々のポリヌクレオチドである第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドを含み、それぞれ5’末端及び3’末端を含む。
5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド(sn1-casPN)。ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)、ここでネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができる。5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチド(sn3-casPN)、ここで第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができる。
別の実施態様において、本発明の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、別々のポリヌクレオチドであり、それぞれ5’末端及び3’末端を含む、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドを含む。5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメントヌクレオチド配列I、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド(sn1-casPN)。ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)、ここでネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができる。5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、下部ステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチド(sn3-casPN)、ここで上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成することができ、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成することができる。
さらなる実施態様において、第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)は、第一及び/又は第二の付属ポリヌクレオチドを含む。第二のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列I、並びに第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第一の付属ポリヌクレオチドをさらに含み得る。第二のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第二のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第二のステムエレメントを形成することができる。いくつかの実施態様において、第一の付属ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、ループエレメントヌクレオチド配列及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIをさらに含み、ここでループエレメントヌクレオチド配列の5’末端は、第二のステムエレメントヌクレオチド配列Iの3'末端に共有結合で結合され、したがってヘアピンを形成する。さらなる実施態様において、第一の付属ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、第二のステムエレメントヌクレオチド配列II及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第二の付属ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む。第三のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第三のステムエレメントを形成することができる。いくつかの実施態様において、第二の付属ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、ループエレメントヌクレオチド配列及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIをさらに含み、ここでループエレメントヌクレオチド配列の5’末端は、第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iの3’に共有結合で結合される。
本発明のさらなる実施態様は、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと3’で隣接した第一の補助ポリヌクレオチドをさらに含む第一のポリヌクレオチド(sn1-casPN)、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIと5’で隣接した第二の補助ポリヌクレオチドをさらに含む第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)、又はそれぞれ補助配列を含む第一のポリヌクレオチド(sn1-casPN)及び第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)の両方を含む。
本発明のいくつかの実施態様において、第一の補助ポリヌクレオチドは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第二の補助ポリヌクレオチドは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列IIを含む。エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列I及びエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列IIは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとの間の塩基対水素結合によりエフェクター結合エレメントを形成することができる。エフェクター結合エレメントは、例えば二本鎖RNAであり得、そしてエフェクタータンパク質は、エフェクター結合エレメントに結合することができる二本鎖RNA結合タンパク質である。選択された実施態様において、エフェクタータンパク質は、Cas5、Cas6、及びCsy4からなる群より選択されるタンパク質の触媒的に不活性なバリアントである。
さらなる実施態様において、第一の補助ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、リンカーエレメントヌクレオチド配列I及び エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、そして第二の補助ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列II及びリンカーエレメントヌクレオチド配列IIを含む。リンカーエレメントヌクレオチド配列I及びリンカーエレメントヌクレオチド配列IIは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとの間の塩基対水素結合によりリンカーエレメントを形成することができる。
さらなる実施態様において、第一の補助ポリヌクレオチド、第二の補助ポリヌクレオチド、又は第一の補助ポリヌクレオチドと第二の補助ポリヌクレオチドの両方が、それぞれヘアピンを含む。さらに、第一の補助ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、リンカーエレメントヌクレオチド配列I及びヘアピンをさらに含み得、第二の補助ポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、ヘアピン及びリンカーエレメントヌクレオチド配列IIを含み、又は両方とも第一の補助ポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、リンカーエレメントヌクレオチド配列I及びヘアピンを含み、かつ第二の補助ポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、ヘアピン及びリンカーエレメントヌクレオチド配列IIを含む。リンカーエレメントヌクレオチド配列I及びリンカーエレメントヌクレオチド配列IIは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとの間の塩基対水素結合によりリンカーエレメントを形成することができる。
さらに別の局面において、本発明の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、3つのポリヌクレオチドを含む。第一のポリヌクレオチド(sn1-casPN)は、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメントヌクレオチド配列I、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む。第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)は、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II、ヘアピンを含む第二のステムエレメント、及びヘアピンを含む第三のステムエレメントを含む。ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができる。第三のポリヌクレオチド(sn3-casPN)は、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、下部ステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む。上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成することができ、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成することができる。操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、Cas9タンパク質又はCas9タンパク質をコードするDNA配列をさらに含み得る。
本発明のこの局面のいくつかの実施態様において、第一のポリヌクレオチド(sn1-casPN)は、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと3’で隣接した第一の補助ポリヌクレオチドをさらに含み、及び第二のポリヌクレオチド(sn2-casPN)は、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIと5’で隣接した第二の補助ポリヌクレオチドをさらに含む。
本発明の好ましい実施態様が本明細書に示され記載されてきたが、このような実施態様が例としてのみ提供されるということは当業者に明らかだろう。上の記載及び以下の実施例から、当業者は、本発明の必須の特徴を確認することができ、そしてその精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の変更、置換、変形、及び改変を行って、それを様々な利用及び状態に適合させることができる。このような変更、置換、変形、及び改変もまた、本開示の範囲内であることが意図される。
本発明の局面は、以下の実施例においてさらに説明される。使用される数値(例えば、量、濃度、パーセント変化など)に関して正確さを確実にする努力がなされたが、いくらかの実験誤差及び偏差が占めるはずである。そうではないと示されていなければ、温度は摂氏度であり、そして圧力は大気圧又は大気圧付近である。当然のことながら、これらの実施例は、本発明のいくつかの実施態様を示すが、説明のためにのみ示されるものである。
以下の実施例は、発明者らが本発明の様々な局面とみなすものの範囲を制限することを意図されない。
材料及び方法
オリゴヌクレオチド配列(例えば、図13に示されるプライマー配列)は、合成のために市販の製造者に提供された(Integrated DNA Technologies、Coralville、IA;又はEurofins、Luxembourg)。
sn-casPNは、sn-casPNに対応するDNA配列を含有する3’オーバーラッププライマーを使用してPCRにより構築された。さらに、sn-casPNをコードするDNA配列は、sn-casPN配列の増殖及びその後の単離のために適切なベクターにクローン化され得る(例えば、ベクターの制限酵素切断を使用してsn-casPNを得る)。
実施例1
sn-casRNA成分の製造
この実施例は、3つのポリヌクレオチドのII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系(例えば、図3Aにおいて説明される系と同様)の製造を記載した。
RNA成分を、インビトロ転写により(例えば、T7 Quick High Yield RNA Synthesis Kit、New England Biolabs、Ipswich、MA)、DNA配列の5’末端にT7プロモーターを組み込んだ二本鎖DNAテンプレートから製造した。
実施例において使用された、特定のsn2-casRNA成分のための二本鎖DNAテンプレート(本明細書でsn2-casRNAEXと呼ばれる)を、sn2-casRNAEX成分に対応するDNA配列を含有する3'オーバーラッププライマーを使用してPCRにより構築した。構築において使用されたオリゴヌクレオチドを表8に示す。
DNAプライマーは、それぞれ2nMの濃度で存在した。T7プロモーターに対応する2つの外側DNAプライマー(順方向プライマー:オリゴヌクレオチドA、表8)、及びRNA配列の3’末端(逆方向プライマー:オリゴヌクレオチドC、表8)を、増幅反応を駆動するために640nMで使用した。PCR反応を、Q5ホットスタート高正確性2Xマスターミックス(New England Biolabs、Ipswich、MA)を製造者の指示に従って使用して行った。PCRアセンブリ反応を、以下の熱サイクル条件を使用して行った:98℃2分間;98℃で15秒、62℃で15秒、72℃で15秒の35サイクル;そして72℃で2分間の最終伸長。DNA品質を、アガロースゲル電気泳動により評価した(1.5%、SYBR(R) Safe、Life Technologies、Grand Island、NY)。
実施例において使用された特定のsn1-casRNA及びsn3-casRNA成分のための二本鎖DNAテンプレートを、2つの相補的オリゴヌクレオチド配列(sn1-casRNAEX及びsn3-casRNAEXと呼ばれる)を複合体化することにより構築した。アセンブリに使用されたオリゴヌクレオチドを表9に示す。
DNAプライマーはそれぞれ10μMの濃度で存在し、各プライマー10uLを一緒に混合し、そして2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り出し、そして室温まで平衡化させた。
各sn-casRNA成分について0.25〜0.5μgの間のDNAテンプレートを、T7高収量RNA合成キット(New England Biolabs、Ipswich、MA)を使用して約16時間37℃で転写させた。転写反応混合物をDNAse I(New England Biolabs、Ipswich、MA)で処理し、そしてGeneJet RNA精製及び濃縮キット(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して精製した。RNA収量を、NanodropTM 2000システム(Thermo Scientific、Wilmington、DE)を使用して定量化した。転写されたRNAの質を、アガロースゲル電気泳動(2%、SYBR(R) Safe、Life Technologies、Grand Island、NY)により検査した。sn-casRNA配列を表10に示す。
sn1-casRNAEX、sn2-casRNAEX、及びsn3-casRNAEXの製造のためのこの方法は、本明細書に記載される他のsn-casRNAの製造に適用され得る。
実施例2
Cas9切断アッセイにおける使用のための二本鎖DNA標的領域の製造
インビトロCas9切断アッセイにおける使用のための標的二本鎖DNAを、ゲノムDNAから標的領域のPCR増幅を使用して製造した。
生化学アッセイのための二本鎖DNA標的領域(例えば、AAVS-1)を、フェノール-クロロホルム調製ヒト細胞株K562(American Type Culture Collection、Manassas、VA)ゲノムDNA(gDNA)からPCRにより増幅した。PCR反応を、Q5ホットスタート高正確性2Xマスターミックス(New England Biolabs、Ipswich、MA)を用いて製造者の指示に従って行った。最終体積
25μl中20ng/μL gDNAを使用して、以下の条件下で選択された標的領域を増幅した:98℃2分間;98℃で20秒、60℃で20秒、72℃で20秒の35サイクル;そして72℃で2分間の最終伸長。PCR産物を、Spin SmartTM PCR精製チューブ(Denville Scientific、South Plainfield、NJ)を使用して精製し、そしてNanodropTM 2000 UV-Vis分光光度計(Thermo Scientific、Wilmington、DE)を使用して定量化した。
gDNAからの選択された標的化配列の増幅のために使用された順方向及び逆方向プライマーは以下のとおりであった: AAVS-1、オリゴヌクレオチドH及びI(図13)。AAVS-1についての増幅された二本鎖DNA標的は495bpであった。
他の適切な二本鎖DNA標的領域は、本質的に同じ方法を使用して得られる。。非ヒト標的領域については、選択された生物(例えば、植物、細菌、酵母、藻類)由来のゲノムDNAを、ヒト細胞由来のDNAの代わりに使用した。さらに、ゲノムDNA以外のポリヌクレオチド源を使用することができる(例えば、ベクター及びゲル単離DNAフラグメント)。
実施例3
Cas9切断アッセイ
この実施例は、選択された二本鎖DNA標的配列と比較して、選択されたsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体の切断パーセントを評価及び比較するためのインビトロCas9切断アッセイにおける、本発明の3つのポリヌクレオチドのII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の使用を説明する。
二本鎖DNA標的配列の切断を、実施例2のsn-casRNAEX成分について、二本鎖DNA標的(AAVS-1;実施例2)について決定した。
当モル量の3つのsn-casPNEX成分を全てアニーリング緩衝液(1.25mM HEPES、0.625mM MgCl2、9.375mM KCl pH7.5)中で混合し、2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り出し、そして室温まで平衡化させた。3つのsn-casRNAsEXのうちの2つのさらなる組み合わせを、図8に示されるデータを参照して以下に記載されるように試験した。II型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の2つの成分のみが使用された場合、第三のsn-casRNAEX成分の代わりに水を加えた。
sn-casRNAsEXをCas9反応混合物に加えた。Cas9反応混合物は、反応緩衝液(20mM HEPES、100mM KCl、5mM MgCl2、1mM DTT、及び5% グリセロール pH7.4)中で最終濃度200μMに希釈されたCas9タンパク質を含んでいた。反応混合物において、各sn-casRNAEXの最終濃度は、各反応混合物中500nMであった。各反応混合物を37℃で10分間インキュベートした。切断反応を、標的DNAを最終濃度15nMまで加えることにより開始した。サンプルを混合し、そして短時間遠心分離した後、15分間37℃でインキュベートした。切断反応を、プロテイナーゼK(Denville Scientific、South Plainfield、NJ)を最終濃度0.2μg/μLまで、及び0.44μg/μl RNase A溶液(SigmaAldrich、St. Louis、MO)を加えることにより終結させた。
サンプルを25分間37℃で、そして25分間55℃でインキュベートした。総反応混合物12 μLを、アガロースゲル電気泳動(2%、SYBR(R) Gold、Life Technologies、Grand Island、NY)により切断活性について評価した。AAVS-1二本鎖DNA標的について、約316bp及び約179bpでのDNAバンドの外観は、標的DNAの切断が起こったことを示していた。100bp DNAラダーを分子量標準として使用した(New England Biolabs、Ipswich、MA)。切断パーセンテージを、各切断フラグメント及び標的DNAについてFIJI (ImageJ;オープンソースJava(登録商標)画像処理プログラム)により計算された曲線値下面積を使用し、そして切断フラグメントの合計を切断フラグメント及び評定DNAの両方の合計で割って計算した。
図8は、AAVS-1標的二本鎖DNAを使用したCas9切断アッセイの結果を示す。図面において、3つの複製がsn-casRNAsEXの各組み合わせについて示される。各パネルの上部に、アッセイにおいて使用されたsn-casRNAsEXの図式表示がある。図8、パネルAは、sn1-casRNAEX、sn2-casRNAEX、sn3-casRNAEX-AAVS1の生化学的活性を示す。図8、パネルBは、sn1-casRNAEX及びsn2-casRNAEXの生化学的活性を示す。図8、パネルCは、sn2-casRNAEX及びsn3-casRNAEX-AAVS1の生化学的活性を示し、図8、パネルDは、sn1-casRNAEX及びsn3-casRNAEX-AAVS1の生化学的活性を示す。図8、パネルDの最後のレーンは分子量標準を含有する。切断パーセンテージを各レーンの下部に示す。図8におけるデータからわかるように、sn1-casRNAEX、sn2-casRNAEX、及びsn3-casRNAEX-AAVS1は、平均切断パーセント46.9%(標準偏差0.3%)を有していた。2つのsn-casRNAEX成分しか存在していない全ての反応について(例えば、図8、パネルB、図8、パネルC、図8、パネルD)、切断活性は観察されなかった(LODと示されるレーンについて、いずれの切断活性も検出限界より低かった)。
図8に示されるデータは、本発明のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系が、標的二本鎖DNAのCas9媒介部位特異的切断を促進するということを実証する。データはまた、3つのsn-casRNA成分全てが、Cas9媒介部位特異的切断活性を支持するために必要であるということを示す。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例において記載されるCas9切断アッセイは、限定されないが、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わせたCas9及びCas9融合物を含む他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例4
真核細胞における標的改変の検出のためのディープシーケンシング分析
この実施例は、選択された二本鎖DNA標的配列と比較して、選択されたsn-casRNA/Cas9タンパク質複合体のインビボでの切断パーセントを評価及び比較するためのディープシーケンシングの使用を説明する。
A. sn1-casRNAEX、sn2-casRNAEX、sn3-casRNAEX-AAVS1及びCas9タンパク質のRNP複合体の形成
化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9は、C末端で2つの各局在化配列(NLS)でタグ化され、そしてE. coliで組み換え発現された。リボ核タンパク質(RNP)複合体は、2つの濃度、50pmol Cas9:150pmol sn-casRNAsEX及び200pmol Cas9:600pmol sn-casRNAsEXで三連で設定された。等モル量の3つのsn-casRNAsEX (sn1-casRNAEX、sn2-casRNAEX、sn3-casRNAEX-AAVS1)成分を全て、アニーリング緩衝液(1.25mM HEPES、0.625mM MgCl2、9.375mM KCl pH7.5)中で混合して最終体積5μL所望の濃度にし(150pmol又は600pmol)、2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り出して室温まで平衡化させた。Cas9タンパク質を結合緩衝液(20mM HEPES、100mM KCl、5mM MgCl2、1mM DTT、及び5% グリセロールpH7.4)中で最終体積5μLで適切な濃度まで希釈し、そして熱変性sn-casRNAs EX 5μLと混合し、続いて37℃で30分間インキュベートした。
B. sn-casRNAsEX/Cas9タンパク質RNPを使用した細胞トランスフェクション
RNP複合体をK562細胞(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関、Manassas、VA)に、Nucleofector(R) 96ウェルShuttleシステム(Lonza、Allendale、NJ)を使用してプロトコルに従ってトランスフェクトした。RNP複合体を、10μL最終体積で 96ウェルプレートの個々のウェルに分配した。培地に懸濁されたK562細胞を、培養フラスコから50mLコニカルチューブに移した。細胞を3分間200 x gでの遠心分離によりペレット化し、培養培地を吸引し、そして細胞をカルシウム及びマグネシウムを含まないPBSで1回洗浄した。次いでK562細胞を、3分間200 x gでの遠心分離によりペレット化し、PBSを吸引し、そして細胞ペレットを、カルシウム及びマグネシウムを含まないPBS 10mL中に再懸濁した。
細胞をCountess(R) II自動化細胞計数器(Life Technologies、Grand Island、NY)により計数した。2.2 x 107個の細胞を50mlチューブに移してペレット化した。PBSを吸引し、そして細胞NucleofectorTM SF(Lonza、Allendale、NJ)溶液に1x 107細胞/mLの密度まで再懸濁した。次いで細胞懸濁液20μLを、RNP複合体10μLを含む個々のウェルに加え、そして全体積を96ウェルNucleocuvetteTMプレート(Lonza、Allendale、NJ)のウェルに移した。プレートをNucleofectorTM 96ウェルShuttleTM (Lonza、Allendale、NJ)上にロードし、そして細胞を96-FF-120 NucleofectorTMプログラム(Lonza、Allendale、NJ)を使用してヌクレオフェクトした(nucleofected)。ヌクレオフェクション後に(Post-nucleofection)、10% FBS (Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)、ペニシリン及びストレプトマイシン(Life Technologies、Grand Island、NY)を追加した70μL Iscove改変ダルベッコ培地(IMDM;Life Technologies、Grand Island、NY)を各ウェルに加え、そして細胞懸濁液50μLを、150μL予熱したIMDM完全培地を含有する96ウェル細胞培養プレートに移した。次いでプレートを組織培養インキュベーターに移し、そして37℃で5% CO2中48時間維持した。
C. ディープシーケンシングのための標的二本鎖DNA精製
gDNAを、RNPトランスフェクションの48時間後に、1ウェルあたり50μL QuickExtract DNA抽出溶液(Epicentre、Madison、WI)を使用してK562細胞から単離し、続いて反応を止めるために37℃で10分間、65℃で6分間、そして95℃で3分間インキュベートした。次いで単離されたgDNAを水50μLで希釈し、そしてサンプルを-80℃で貯蔵した。
単離されたgDNAを使用して、第一のPCRを、1x濃度のQ5ホットスタート高正確性2Xマスターミックス(New England Biolabs、Ipswich、MA)、それぞれ0.5μMのプライマー(図13、オリゴヌクレオチドH及びI)、最終体積10L中3.75μL gDNAを使用して行い、そして98℃で1分間、98℃で10秒、60℃で20秒、72℃で30秒の35サイクル、そして72℃で2分間の最終伸長で増幅した。PCR反応混合物を水で1:100希釈した。
「バーコーディング」PCRを、多重配列決定を容易にするために各サンプルについて固有のプライマーを使用して設定した。プライマー対を表11に示す。
バーコーディングPCRを、1x濃度のQ5ホットスタート高正確性2Xマスターミックス(New England Biolabs、Ipswich、MA)、それぞれ0.5μMのプライマー(表11)、1:100希釈された第一のPCR 1μLを、最終体積10μLで使用して行い、そして98℃で1分間;98℃で10秒、60℃で20秒、72℃で30秒の12サイクル;そして72℃で2分間の最終伸長で増幅した。
D. SPRIselectクリーンアップ
PCR反応混合物を、配列決定のための増幅産物のSPRIselect(Beckman Coulter、Pasadena、CA)ビーズベースのクリーンアップのための単一微量遠心管にプールした。
プールされた増幅産物に、0.9x体積のSPRIselectビーズを加え、混合し、そして室温(RT)で10分間インキュベートした。微量遠心管を磁気チューブスタンド(Beckman Coulter、Pasadena、CA)上に溶液が透明になるまえ置いた。上清を除去して廃棄し、そして残りのビーズを1体積の85%エタノールで洗浄し、そしてRTで30秒間インキュベートした。インキュベーション後に、エタノールを吸引し、そしてビーズをRTで10分間風乾した。次いで微量遠心管を磁気スタンドから取り出し、そして0.25x体積のQiagen EB緩衝液(Qiagen、Venlo、Netherlands)をビーズに加え、激しく混合し、そして2分間室温でインキュベートした。微量遠心管を磁気に戻し、溶液が透明になるまでインキュベートし、そして精製された増幅産物を含有する上清を、きれいな微量遠心管に分配した。精製された増幅産物ライブラリーを、NanodropTM 2000システム(Thermo Scientific、Wilmington、DE)を使用して定量化し、そしてライブラリーの質をFragment AnalyzerTMシステム(Advanced Analytical Technologies、Inc.、Ames、IA)及びDNF-910二本鎖DNA試薬キット(Advanced Analytical Technologies、Inc.、Ames、IA)を使用して分析した。
E. ディープシーケンシング設定
増幅産物ライブラリーを、Nanodrop値及び増幅産物のサイズから計算して4 nモル濃度に正規化した。ライブラリーをMiSeqシーケンサー(Illumina、San Diego、CA)でMiSeq試薬キットv2 (Illumina、San Diego、CA)を用いて300サイクルの間、2つの151サイクルペアエンドランと2つの8サイクルの指標読み取りデータを用いて分析した。
F. ディープシーケンシングデータ解析
配列解析データにおける産物のアイデンティティを、PCRのバーコードラウンドで増幅産物に適合された指標バーコード配列に基づいて決定した。以下のタスクを実行することによりMiSeqデータを処理するために計算スクリプトを使用した:
・ Bowtie (bowtie-bio.sourceforge.net/index.shtml)ソフトウェアを使用してヒトゲノム(ビルドGRCh38/38)に読み取りデータを整列させた。
・ 整列させた読み取りデータを、期待された野生型AAVS-1遺伝子座配列と比較し、AAVS-1遺伝子座といずれの部分も整列しない読み取りデータは破棄した(表12、「その他」)。・ 野生型AAVS-1配列(表12、「WT」)とマッチする読み取りデータを記録した。
・ インデル(塩基の挿入又は欠失)を含む読み取りデータをインデル型により分類し、そして記録した(表12、「インデル」)。
・ 総インデル読み取りデータを、野生型読み取りデータの合計で割、そしてインデル読み取りデータにより変異した読み取りデータのパーセントが得られた。
この分析の結果を表12に示す。
表12において複製物にわたって測定されたインデルから見られるように、sn-casPN/Cas9タンパク質系は、標的遺伝子座のインビボ改変をすることができる。さらに、トランスフェクトされたsn-casPNs/Cas9の増加した濃度の結果として増加したインデル頻度は、用量依存性のsn-casPN/Cas9タンパク質系媒介切断を示す。表12に示されるデータは、本発明のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系が、ゲノム遺伝子座のCas9媒介部位特異的切断をインビボで促進するということを実証する。
本明細書の及び実施例の指導にしたがって、この実施例に記載される分析は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチドと組み合わせたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない、他のII型CRISPR用いたCas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例5
Csy4*はsn-casRNA/Cas9タンパク質切断を促進した
この実施例は、本発明のsn-casRNA及びエフェクタータンパク質、H29A変異を有するヌクレアーゼ欠損緑膿菌(P. aeruginosa)Csy4タンパク質(Csy4*)の、Csy4 RNA結合配列を増強した2つのsn-casRNAの使用を説明する。
A. sn-casRNA成分の生成
Csy4結合配列を含む特定のsn-casRNAEXCsy成分のための二本鎖DNAテンプレートを、sn-casRNAEXCsy成分に対応するDNA配列を含有する3’オーバーラッププライマーを使用するPCRにより構築した。アセンブリにおいて使用されるオリゴヌクレオチドを表13に示す。
DNAプライマーはそれぞれ2nMの濃度で存在していた。T7プロモーターに対応する2つの外側DNAプライマー(順方向プライマー:オリゴヌクレオチドA、表13)及びRNA配列の3’末端(逆方向プライマー:オリゴヌクレオチドT、AC、又はW、表13)を、増幅反応を駆動するために640nMで使用した。PCR及び転写を本明細書に記載される実施例1に記載されるように行った。転写されたsn- casRNAEXCsy配列を表14に示す。
B. 生化学的アッセイのための二本鎖DNA標的の生成
インビトロCas9切断アッセイにおける使用のための標的二本鎖DNAを、本明細書における実施例2に記載されるようにPCR増幅を使用して製造した。gDNAからの増幅のために使用される順方向及び逆方向プライマーは以下のとおりであった: AAVS-1オリゴヌクレオチドはJ及びK(図13)であり、AAVS-1についての増幅された二本鎖DNA標的は288bpであった;CD34 (造血前駆細胞抗原)オリゴヌクレオチドはAD及びAEであり(図13)、CD34について増幅された二本鎖DNA標的は258bpであった;CD151(血小板-内皮細胞テトラスパニン抗原)オリゴヌクレオチドはAF及びAG(図13)であり、増幅されたCD151二本鎖DNA標的は272bpであった;そして、JAK-1 (ヤヌスキナーゼ1)オリゴヌクレオチドはAH及びAIであり(図13)、増幅されたJAK-1二本鎖DNA標的は298bpであった。
C. Csy4*はCas9切断生化学アッセイを支持した
sn-casRNAEXCsyを、Cas9を加える前に、Csy4*タンパク質250nMを反応混合物に加え、そしてsn-casRNAsEXCsy及びCsy4*を37℃で5分間インキュベートした点を改変して、本明細書における実施例3に記載されるように生化学アッセイにおける使用のために製造した。インキュベーション後に、Cas9を加え、そして生化学的反応を実施例3に記載されるように行った。無Csy4*対照が含まれた。
図9は、Csy4*タンパク質及びsn-casRNAEXCsyを使用するCas9切断アッセイの結果を示す。切断アッセイは、図3Bに示されるシステムの変形である2つの異なる、2つのポリヌクレオチドのII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系を使用した。第一の系において、sn1-casRNAEXCsyは、Csy4結合エレメントヌクレオチド配列Iを含む第一の補助ポリヌクレオチド(sn1-casRNAEXCsy-Csy)をさらに含み、そしてsn2-casRNAは、Csy4結合エレメントヌクレオチド配列II(sn2-casRNAEXCsy-Csy)を含む第二の補助ポリヌクレオチドを含んでおり、ここで第一の補助ポリヌクレオチド及び第二の補助ポリヌクレオチドは、結合してCsy4 RNA結合エレメントを形成する(sn1-casRNA/sn2-casRNA/Csy4RNA)。第二の系において、sn1-casRNAは、リンカーエレメントヌクレオチド配列I及びCsy4結合エレメントヌクレオチド配列Iを含む第一の補助ポリヌクレオチド(sn1-casRNAEXCsy-lnkCsy)をさらに含んでおり、そしてsn2-casRNAは、リンカーエレメントヌクレオチド配列II及びCsy4結合エレメントヌクレオチド配列IIを含む第二の補助ポリヌクレオチド(sn2-casRNAEXCsy-lnkCsy)を含んでおり、ここで第一の補助ポリヌクレオチド及び第二の補助ポリヌクレオチドは、結合してリンカーエレメント及びCsy4 RNA結合エレメントを形成する(例えば、図6A及び図6Bにおける全体像)。2つの系はそれぞれ、4つの異なる標的に切断を標的化するために使用され、この場合、sn-casRNAEXCsyはそれぞれ、4つの標的:AAVS-1、CD-34、CD-151、及びJAK-1(上の表13を参照のこと)のうちの1つに相補的なスペーサーを含んでいた。図面において、切断活性は、各レーンの下部に示される(レーン1及び10を除く、これらは分子量標準である)。LODと示されるレーンについては、いずれの切断活性も検出限界未満であった。Cas9切断アッセイ反応の各々において使用される系を表5/図9(図面の簡単な説明を参照のこと、図9)。
AAVS-1二本鎖DNA標的について、約174bp及び約114bpにおけるDNAバンドの外観は、標的DNAの切断が起こったことを示していた。CD34二本鎖DNA標的については、約105bp及び約153bpでのDNAバンドの外観は、標的DNAの切断が起こったことを示していた。CD151二本鎖DNA標的については、約109bp及び約163bpでのDNAバンドの外観は、標的DNAの切断が起こったことを示していた。JAK-1二本鎖DNA標的について、約204bp及び約94bpでのDNAバンドの外観は、標的DNAの切断が起こったことを示していた。。100bp DNAラダーを分子量標準として使用した(New England Biolabs、Ipswich、MA)。
図9におけるデータから分かるように、Csy4*の添加は、複数の二本鎖DNA標的配列についてsn-casRNAEXCsy系の切断活性を増強した: AAVS-1については、それぞれレーン2/3(Csy4*タンパク質無し)をレーン4/5を比較のこと;CD-34にちいては、レーン6/7(Csy4*タンパク質無し)をレーン8/9と比較のこと;CD-151については、レーン11/12(Csy4*タンパク質無し)を13/14と比較のこと;そして、JAK-1については、レーン15/16(Csy4*タンパク質無し)をレーン17/18と比較のこと。
図9に示されるデータは、エフェクタータンパク質(ここではCsy4*)が、エフェクター結合エレメント(ここではCsy4 RNA結合配列)を有する補助ポリヌクレオチドを含む本発明のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系により標的二本鎖DNAの切断を増強したということを実証する。
本明細書及び実施例における指導に従って、本実施例に記載されるようにヌクレアーゼ欠損 緑膿菌(P. aeruginosa)Csy4タンパク質との、Csy4 RNA結合配列を含む2つのsn-casRNAの結合を増加させることは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族のポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない、他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。さらに、本明細書における指導及び実施例を考慮すれば、当業者は、Csy4*タンパク質/Csy4 RNA結合配列により本明細書で例示される他のエフェクタータンパク質/エフェクター結合配列の組み合わせを使用することができる。
実施例6
sn1-CasRNA/sn2-casRNA/Cas9切断活性
この実施例は、選択された二本鎖DNA標的配列と比較して、選択されたsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質複合体の切断を評価及び比較するためのインビトロCas9切断アッセイにおける、本発明の2つのポリヌクレオチドのII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の使用を説明する。
本実施例において使用されるsn-casRNAEX2成分のための二本鎖DNAテンプレートを、sn-casRNAEX2成分に対応するDNA配列を含有する3’オーバーラッププライマーを使用してPCRにより構築した。sn-casRNAEX2成分の図式表示を図10に示す。構築に使用されたオリゴヌクレオチドを表15に示す。
RNA転写のための二本鎖DNAの生成を本明細書における実施例1に記載されるように行った。転写されたsn-casRNAsEX2配列を表16に示す。
インビトロCas9切断アッセイにおける使用のための標的二本鎖DNAを、本明細書の実施例2に記載されるようにPCR増幅を使用して製造した。gDNAからの増幅のために使用した順方向及び逆方向プライマーは以下のとおりであった: AAVS-1オリゴヌクレオチドはJ及びK(図13)であり、AAVS-1についての増幅された二本鎖DNA標的は288bpであり;CD151オリゴヌクレオチドはAF及びAGであり(図13)、増幅されたCD151二本鎖DNA標的は272bpであり;そして、JAK-1オリゴヌクレオチドはAH及びAIであり、増幅されたJAK-1二本鎖DNA標的は298bpであった。インビトロ切断を、本明細書の実施例3に記載されるように行った。
図10は、上記のsn1-casRNAsEX2及びsn2-casRNAEX2を使用したCas9切断アッセイの結果を示す。切断パーセンテージを、分子量標準であるレーン1を除いて各レーンの下部に示した。図10、レーン2は、sn1- casRNAEX2-AAVS1及びsn2- casRNAEX2系についての切断結果を示し、これは97.6%の切断活性を示した。図10、レーン3は、sn1- casRNAEX2-CD151及びsn2- casRNAEX2系についての切断結果を示し、これは48.8%の切断活性を示した。図10、レーン4は、sn1- casRNAEX2-JAK1及びsn2- casRNAEX2系についての結果を示し、これは60.0%の切断活性を示した。
図10に示されるデータは、本明細書に記載されるsn1-casRNA及びsn2-casRNA構築物が、二本鎖DNA標的のインビトロCas9媒介部位特異的切断を促進するということを実証した。
本明細書及び実施例の指導に従って、本実施例に記載されるCas9切断アッセイは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わせたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない、他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例7
sn1-CasRNA EX3Csy /sn2-casRNA EX3Csy /Cas9切断活性
この実施例は、選択された二本鎖DNA標的配列と比較して、それらのパーセント切断活性を評価及び比較するための、本発明の2つの異なる2つのポリヌクレオチドのII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチドの使用を説明する。
2つの異なる、2つのポリヌクレオチドのII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系は、以下のとおりであった:1つは図7Aにおいて説明される系であり(sn1-casRNAEX3Csy-Csy-AAVS1/ sn2-casRNAEX3Csy-Csy);そして2つめは図7Aに示される系のバリアントであった。第二の系において、sn1-casRNAEX3Csy-lnkCsy-AAVS1は、5’から3’に、分断ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I、第一の補助ポリヌクレオチド(リンカーエレメントヌクレオチド配列I及びヘアピン形成ポリヌクレオチドを有する)を含んでおり、そしてsn2-casRNAEX3Csy-lnkCsy-AAVS1は、5’から3’に、第二の補助ポリヌクレオチド(ヘアピン形成ポリヌクレオチド及びリンカーエレメントヌクレオチド配列IIを有する)及び分断ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含んでいた。2つの系をそれぞれ使用してAAVS-1標的の切断を標的化し、ここでsn1-casRNAEX3Csy-AAVS1及びsn1-casRNAEX3Csy-lnkCsy-AAVS1は、それぞれAAVS-1に対して相補的なスペーサーを含んでいた。
この実施例において使用されたsn-casRNAEX3-Cys成分のための二本鎖DNAテンプレートを、sn-casRNAEX3-Cys成分に対応するDNA配列を含有する3'オーバーラッププライマーを使用してPCRにより構築した。構築に使用されたオリゴヌクレオチドを表17に示す。
RNA転写のための二本鎖DNAテンプレートの生成を、実施例1に記載されるように行った。転写されたsn-casRNAEX3-Cys配列を表18に示す。
インビトロCas9切断アッセイにおける使用のための標的二本鎖DNAを、実施例2に記載されるPCR増幅を使用して製造した。gDNAからの増幅のために使用した順方向及び逆方向プライマーは以下のとおりであった: AAVS-1、オリゴヌクレオチドH及びI(図13)。AAVS-1についての増幅された二本鎖DNA標的は495bpであった。インビトロ切断を、実施例3に記載されるように行った。
図11は、上記のsn-casRNAを使用したCas9切断アッセイの結果を示す。図面において、切断活性は、各レーンの下部に示される(レーン1及び10を除く、これらは分子標準である)。LODと示されるレーンについては、いずれの切断活性も検出限界未満であった。Cas9切断アッセイ反応のそれぞれにおいて使用された系を表6に示す(図面の簡単な説明、図11を参照のこと)。
図11に示されるデータから分かるように、sn1-casRNAEX3Csy-Csy-AAVS1及びsn2-casRNAEX3Csy-Csy (図11、レーン2及び3)又はsn1-casRNAEX3Csy-lnkCsy-AAVS1及びsn2-casRNAEX3Csy-lnkCsyの両方が、検出可能切断活性に必要である(図11、レーン6及び7)。さらに、増強された切断は、リンカーエレメントヌクレオチド配列が分断ネクサスエレメントの間に導入された場合に検出可能であった(図11、レーン4と比較したレーン8)。さらに、Csy4*タンパク質が導入される場合、増強された切断が、sn1-casRNAEX3Csy-lnkCsy-AAVS1及びsn2-casRNAEX3Csy-lnkCsyで観察されたが(図11、レーン8と比較してレーン9)、リンカー配列の存在しない場合は観察されなかった(sn1-casRNAEX3Csy-Csy-AAVS1及びsn2-casRNAEX3Csy-Csy;図11、レーン4と比較してレーン5)。
図11に示されるデータは、本明細書に記載されるsn1-casRNA及びsn2-casRNA構築物が、二本鎖DNA標的のインビトロCas9媒介部位特異的切断を促進するということを実証する。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載されるCas9切断アッセイは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例8
トランス活性化CRISPR RNAの同定及びスクリーニング
この実施例は、CRISPR-Cas9 II型系を有する種のトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNAs)が同定され得る方法を説明する。ここで示される方法は、Chylinski、et. al.、「The tracrRNA and Cas9 families of type II CRISPR-Cas immunity systems」, RNA Biol.、10(5)、726-37 (2013)から適合される。以下の工程の全てがスクリーニングに必要というわけではなく、工程の順序が示された通りでなくてはならないということもない。
A. CRISPR-Cas9 Type-II系を含有する種を同定する
Basic Local Alignment Search Tool (BLAST、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を使用して、様々な種のゲノムの検索を行い、Cas9又はCas9様タンパク質を同定した。CRISPR-Cas9系は、種にわたる配列において高い多様性を示すが、Cas9オルソログは、中央HNHエンドヌクレアーゼドメイン及び分断RuvC/RNase Hドメインの保存されたドメイン構造を示す。一次BLAST結果を同定されたドメインについてフィルタリングした;不完全又は短縮された配列は破棄され、そしてCas9オルソログを同定した。
Cas9オルソログが種において同定された場合、Cas9オルソログコード配列に隣接する配列は、CRISPR-Cas9遺伝子座に属する全ての配列を同定するために、他のCasタンパク質及び関連する反復-スペーサーアレイについて精査される。非常に近い種は類似したCRISPR-Cas9遺伝子座構造(すなわち、Casタンパク質組成、サイズ、配向、アレイの位置、tracrRNAの位置など)を示すということが分かっているので、これは、パブリックドメインにおいて既に知られている他のCRISPR-Cas9 II型に整列させることにより行われ得る。tracrRNAエレメントは、典型的にはCRISPR-Cas9 II型遺伝子座内に含有され、そして反復−スペーサーアレイ(tracr抗反復(anti-repeat)配列)に対するその配列相補性により容易に同定される。
Cas9オルソログについてCRISPR-Cas9遺伝子座の配列が種について同定されると、コンピューターでの予測スクリーニングを使用して、関連tracrRNAを同定するために抗反復配列を抽出する。推定抗反復を、例えば以下のようにスクリーニングする。
反復配列が公知の種由来である場合、それは、CRISPRdbデータベース(crispr.u-psud.fr/crispr/)において同定され、そして読み出される。反復配列が種と関連すること知られていない場合、反復配列は、CRISPRfinderソフトウェア(crispr.u-psud.fr/Server/)を使用して、上記のように種についてCRISPR-Cas9 II型遺伝子座を使用して推定される。
種について同定された反復配列を使用して、CRISPR-Cas9遺伝子座を高反復配列について精査する(例えば、BLASTpアルゴリズムなどを使用して)。検索は、典型的にはCRISPR-Cas9遺伝子座の遺伝子間領域に限定される。
同定された抗反復領域を、同定された反復配列に対する相補性について検証した
推定抗反復領域は、Rho-独立転写終結因子(TransTerm HP、transterm.cbcb.umd.edu/)について推定抗反復の5’及び3’を精査される。
このようにして同定された、抗反復エレメント及びRho独立転写終結因子を含む配列は、所定の種の推定tracrRNAであると決定される。
B. RNA-Seqライブラリーの製造
コンピュータで同定された推定tracrRNAを、RNA配列決定(RNAseq)を使用してさらに検証する。
推定tracrRNAが同定された種由来の細胞を、商業的リポジトリ(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関、Manassas、VA;DSMZ、Braunschweig、Germany)から入手する。
細胞を対数中期まで増殖させ、そして総RNAをトリゾール試薬(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を使用して準備し、そしてDNaseI(Fermentas、Vilnius、Lithuania)で処理した。
総RNA 10ugを、Ribo-Zero rRNA除去キット(Illumina、San Diego、Ca)で処理し、そして残りのRNAをRNA Clean and Concentrators (Zymo Research、Irvine、CA)を使用して精製した。
次いでライブラリーを、TruSeq Small RNAライブラリ製造キット(Illumina、San Diego、CA)を使用して製造者の指示に従って製造し、それによりcDNAに関連するアダプター配列の存在が得られる。
得られたcDNAライブラリーを、MiSeq配列決定装置(Illumina、San Diego、CA)を使用して配列決定する。
C. 配列決定データの処理
cDNAライブラリーの配列決定読み出しを、以下の方法を使用して処理する。
アダプター配列を、cutadapt 1.1 (pypi.python.org/pypi/cutadapt/1.1)を使用して除去し、そして読み出しの質を改善するために読み出しの3'末端から15ntを切り取る。
読み出しを、2ヌクレオチドのミスマッチ許容量(mismatch allowance)で、それぞれの(推定tracrRNAが同定された)種のゲノムに整列し戻す。
読み出し範囲を、BedTools (bedtools.readthedocs.org/en/latest/)を使用して計算する。
Integrative Genomics Viewer (IGV、www.broadinstitute.org/igv/)を使用して、読み出しの開始(5’)及び終止(3’)位置をマッピングする。推定tracrRNAについて検索される読み出し合計を、アライメントのSAMファイルから計算する。
RNA-seqデータを使用して、推定tracrRNAエレメントがインビボで活発に転写されることを検証する。コンピューターによるものとRNA-seqスクリーニングの複合からの確認されたヒットを、同定されたtracrRNA配列及びその同族crRNAの、二本鎖DNA標的のCas9媒介切断を支持する機能的能力について、本明細書に概略が記される方法を使用して検証する(実施例1、2、及び3を参照のこと)。
本明細書及び本明細書における実施例の指導に従って、新規なtracrRNA配列の同定は、当業者により実施され得る。
実施例9
真核細胞における標的改変の検出のためのT7E1アッセイ
この実施例は、選択された二本鎖DNA標的配列と比較して、sn-casPNs/Cas9タンパク質系のインビボでの切断パーセントを評価及び比較するためのT7E1アッセイの使用を説明する。
A. Cas ポリヌクレオチド成分を使用した細胞トランスフェクション
sn-casPNを、構成的にSpyCas9-GFP融合物(HEK293-Cas9-GFP)を発現するHEK293細胞に、Nucleofector(R) 96ウェルShuttleシステム(Lonza、Allendale、NJ)及び以下のプロトコルを使用してトランスフェクトした。当モル量のCas ポリヌクレオチド成分を、アニーリング緩衝液(1.25mM HEPES、0.625mM MgCl2、9.375mM KCl pH7.5)中で調製し、2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り出し、室温まで平衡化させ、そして10μL最終体積で96ウェルプレートに分配した。培地をHEK293-Cas9-GFP細胞から吸引し、そして細胞をカルシウム及びマグネシウムを含まないPBSで1回洗浄し、次いでTrypLE (Life Technologies、Grand Island、NY)を加えることによりトリプシン処理し、次いで37℃で3〜5分間インキュベートした。トリプシン処理された細胞を、穏やかにピペットで上下して単細胞懸濁液を形成させ、そして10% FBS (Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)を含有し、ペニシリン及びストレプトマイシン(Life Technologies、Grand Island、NY)を追加したDMEM培地(Life Technologies、Grand Island、NY)から構成されるDMEM完全培地に加えた。
次いで細胞を、3分間200 x gでの遠心分離によりペレット化し、培地を吸引し、そして細胞をPBSに再懸濁した。細胞を。Countess(R) II自動化細胞計数器(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して計数した。2.2 x 107細胞を50mlチューブに移し、そしてペレット化した。PBSを吸引し、そして細胞をNucleofectorTM SF (Lonza、Allendale、NJ)溶液に再懸濁して密度1x107細胞/mLとした。次いで細胞懸濁液20μLを、Casポリヌクレオチド成分10uLを入れた個々のウェルに加え、そして全体積を96ウェルNucleocuvetteTMプレート(Lonza、Allendale、NJ)のウェルに移した。プレートをNucleofectorTM 96ウェルShuttleTM (Lonza、Allendale、NJ)にロードし、そして細胞を96-CM-130 NucleofectorTMプログラム(Lonza、Allendale、NJ)を使用してヌクレオフェクトした。ヌクレオフェクション後に、70μL DMEM完全培地を各ウェルに加え、そして細胞懸濁液50μLを、予熱した150μL DMEM完全培地を入れたコラーゲン被覆96ウェル細胞培養プレートに移した。次いでプレートを組織培養インキュベーターに移し、そして37℃で5% CO2に48時間維持した。
B. T7E1アッセイのための標的二本鎖DNA生成
gDNAを、HEK-293-SpyCas9細胞から、Cas ポリヌクレオチド成分のトランスフェクションから48時間後に、1ウェルあたり50μL QuickExtract DNA抽出溶液(Epicentre、Madison、WI)を使用して単離し、続いて37℃で10分間、65℃で6分間、そして95℃で3分間インキュベートして反応を停止させた。次いでgDNAを水150μLで希釈し、そしてサンプルを-80℃で保存した。
T7E1のためのDNAを、単離されたgDNAからの標的二本鎖DNA配列(例えば、AAVS-1)のPCR増幅により生成した。PCR反応を、テンプレートとして8μL gDNAを使用してKAPA HiFiホットスタートポリメラーゼを用いて、ポリメラーゼ0.5U、1x反応緩衝液、0.4mM dNTP並びに標的二本鎖DNA(例えば、AAVS-1、オリゴヌクレオチドK及びL(図13))に特異的な300nM順方向及び逆方向プライマーを総体積25μL中に含有するように設定した。標的DNAを、以下の条件を使用して増幅した:95℃で5分間;98℃で20秒、70℃で20秒で4サイクル、−2℃/サイクル、72℃で30秒;続いて98℃で15秒、62℃で20秒、72℃で20秒の30サイクル;そして72℃で1分間の最終伸長。
C. T7E1アッセイ
T7E1アッセイのためのPCR増幅された標的二本鎖DNAを、95℃で10分間変性し、次いで25℃に-0.5℃/秒でサーマルサイクラーにて冷却することにより再アニーリングさせた。再アニーリングしたDNAを、0.5μL T7エンドヌクレアーゼIとともに1x NEBuffer 2緩衝液(New England Biolabs、Ipswich、MA)中で総体積15μLで25分間37℃にてインキュベートした。T7E1反応を、Fragment AnalyzerTMシステム(Advanced Analytical Technologies、Inc.、Ames、IA)及びDNF-910二本鎖DNA試薬キット(Advanced Analytical Technologies、Inc.、Ames、IA)を使用して分析した。Fragment AnalyzerTMシステムにより、各切断フラグメントの濃度、及び切断後に残留している標的二本鎖DNAの濃度が得られた。
標的二本鎖DNAの切断パーセンテージを、各切断フラグメント及び切断が起こった後もそのままである標的二本鎖DNAの濃度から以下の式を使用して計算した:
式1において、「frag1」及び「frag2」濃度は、二本鎖DNA標的のCas9切断フラグメントの濃度に対応し、そして「parent」は、切断が起こった後も残っている標的二本鎖DNAに対応する。
真核細胞における標的改変の検出のためのT7E1アッセイにより、本明細書に記載されるsn-casPNs/Cas9タンパク質系が、標的二本鎖DNAのCas9媒介部位特異的インビボ切断を促進するということを実証するためのデータが得られた。sn-casPNと同じDNA標的結合配列を有するsgRNA及び/又はtracrRNA/crRNAポリヌクレオチドもまた、構築物間のCas9媒介部位特異的切断パーセンテージを比較するためのアッセイに含まれ得る。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載されるT7E1アッセイは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例10
同定されたtracrRNAの分断ネクサス試験
この実施例は、例えば、当該分野で公知であるか又は実施例8に記載の方法により同定されたcrRNA/tracrRNAに基づく、tracrRNAにおける分断ネクサス改変の生成及び試験を記載する。
tracrRNA配列及びその同族crRNA配列は、5’から3’への方向性を維持し、sgRNAを生成するためのリンカー配列を含む、tracrRNA配列の5'に配置されたcrRNA配列と接合される。適切なリンカー配列は5’-GAAA-3’である。
sgRNAは、公開で利用可能なRNAフォールディングソフトウェアを使用して二次構造モチーフについて分析された。1つのこのようなソフトウェアはRNAstructure (rna.urmc.rochester.edu/RNAstructureWeb/Servers/Predict1/Predict1.html)である。
sgRNAの二次構造を、伝統的に、5’から3’の方向に、第一のステムエレメント、第二のステムエレメントを含むヘアピンエレメント(本明細書でネクサスエレメントと呼ばれる)、及びネクサスエレメントの3'に0、1、又は2つのヘアピンエレメントを含む、Cas9により方向付けられた切断活性を支持する既知のsgRNAに類似した二次構造について分析した。
次いでsgRNAを、ネクサスエレメントで少なくとも2つのポリヌクレオチドに分断する:5’から3’の方向に、選択されたDNA標的化結合配列、第一のステムエレメント、及びネクサスの第一の部分(すなわち、分断ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I)を含む第一のポリヌクレオチド(例えば、sn1-casPN、図3B);並びに5’から3’の方向に、ネクサスの第二の部分(すなわち、分断ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II)、及び0、1、又は2つの3’ヘアピンを含む第二のポリヌクレオチド(例えば、sn2-casPN、図3B)。
第一のポリヌクレオチド配列及び第二のポリヌクレオチド配列のライブラリーは、本明細書の実施例1に記載される方法を使用して構築され、ここで、sgRNAのネクサスにおける分断は、天然ネクサスを含む配列の各ヌクレオチド位置で作製される。
次いでライブラリーを、各分断ネクサス第一のポリヌクレオチド配列及びその同族分断ネクサス第二のポリヌクレオチド配列が、選択された二本鎖DNA標的のCas9媒介切断を支持する能力について、本明細書の実施例2から実施例4に記載される方法に従って試験した。
様々な種由来の既知のtracrRNA配列の推定分断ネクサス配置を図12に示す。図面において、第一のカラムは、細菌種の識別番号であり(図12、表7、図面の簡単な説明を参照のこと)、第二のカラムは、sn1-casRNA/sn2-casRNAの配列である。本発明の化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)sn1-casRNA/sn2-casRNAの分断ネクサスを参照のために示す(図12、行1)。
単一の種が同じ型の1つより多くのCRISPR遺伝子座、又は異なる型の1つより多くのCRISPR遺伝子座(例えば、I型及びII型)を有し得ることは公知である。典型的には、1つのCRISPR遺伝子座の反復エレメントは、同じCRISPR遺伝子座内に含有される抗反復エレメント(及びしたがってtracrRNA配列)を同定するためにのみ使用可能である。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される試験は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例11
DNA標的結合配列を含む複数のsn-casRNAのスクリーニング
この実施例は、ヒトゲノムDNAに存在する標的を改変し、そしてそれらの部位での切断活性のレベルを測定するための本発明のsn-casRNAの使用を説明する。標的部位は、最初にゲノムDNAから選択され、次いでsn-casRNAを、それらの選択された配列を標的化するように設計する。次いで、起こった標的切断のレベルを決定するために測定を行う。以下の工程の全て全てのスクリーニングに必要なわけではなく、工程の順序が示されるとおりでなくてはならないということもなく、そしてスクリーニングは他の実験と連結されても、より大きな実験の一部を形成してもよい。
A. ゲノムDNAからDNA標的領域を選択する
選択されたゲノム領域内の全てのPAM配列(例えば、「NGG」)を同定する。
PAM配列と5’で隣接した1つ又はそれ以上の20ヌクレオチド配列長の配列(標的DNA配列)を同定及び選択する。
選択基準としては、限定されないが、以下を挙げることができる:ゲノム中の他の領域に対する相同性;G-C含有パーセント;融解温度;スペーサー内のホモポリマーの存在;及び当業者に公知の他の基準。
適切なsn-casRNA配列(例えば、sn1-casRNA、スペーサー配列を除いて図3Bに説明される)を、同定された標的DNA配列(sn-casRNA-DNAtbs (DNA標的結合配列))の3’末端に付加する。sn-casRNA-DNAtbs構築物は、典型的には商業的製造者により合成されるか、又は実施例1に記載されるようにインビトロ転写により製造される。
本明細書に記載されるsn-casRNA-DNAtbsは、同族Cas9タンパク質との使用のためにsn-casRNA系(例えば、sn1-casRNA-DNAtbs/sn2-casRNA 2つのポリヌクレオチド分断ネクサス系)を完成させるために同族sn-casRNAとともに使用される。
B. 切断パーセンテージ及び特異性の決定
sn-casRNA-DNAtbs/sn-casRNA系に関連するインビトロ切断パーセンテージ及び特異性を、例えば、以下のような、実施例3のCas9切断アッセイを使用して比較した:
(a) 単一の標的DNA配列のみが同定されるか又は選択される場合、DNA標的領域に対する切断パーセンテージ及び特異性が決定される。それが望まれる場合、切断パーセンテージ及び/又は特異性は、さらなる実験において、RNAを改変すること、エフェクタータンパク質/エフェクタータンパク質結合配列又はリガンド/リガンド結合部分を導入することを含むがこれらに限定されない本発明の方法を使用して変更される。
(b) 切断アッセイから得られた切断パーセンテージデータ及び部位特異性データは、最良の切断パーセンテージ及び最高の特異性を有する標的DNA配列を同定するために、標的結合配列を含む異なるDNA間で比較される。切断パーセンテージデータ及び特異性データは、さまざまな適用についての選択が基づく基準を提供する。例えば、いくつかの状況において、sn-casRNAの活性は、最も重要な因子であり得る。他の状況では、切断部位の特異性は、切断パーセンテージよりも比較的より重要であり得る。そのように望まれる場合、切断パーセンテージ及び/又は特異性は、さらなる実験において、RNAを改変すること、エフェクタータンパク質/エフェクタータンパク質結合配列又はリガンド/リガンド結合部分を導入することを含むがこれらに限定されない本発明の方法を使用して変更される。
場合により、又はインビトロ分析の代わりに、sn-casRNA-DNAtbs/sn-casRNA系に関連するインビボ切断パーセンテージ及び特異性が、例えば、以下のような、実施例4の真核細胞における標的改変の検出のためのディープシーケンシング分析を使用して比較される:
(a) 標的DNA配列のみが同定される場合、DNA標的領域についての切断パーセンテージ及び特異性が決定される。それが望まれる場合、切断パーセンテージ及び/又は特異性は、さらなる実験において、RNAを改変すること、エフェクタータンパク質/エフェクタータンパク質結合配列又はリガンド/リガンド結合部分を導入することを含むがこれらに限定されない本発明の方法を使用して変更される。
(b) 切断アッセイから得られた切断パーセンテージデータ及び部位特異性データは、異なる標的DNA間で、最も高い切断パーセンテージ又は標的DNA及び標的DNAにに対する最も高い特異性を生じたsn-casRNA配列を同定するために比較される。切断パーセンテージデータ及び特異性データは、様々な適用の選択が基づく基準を提供する。例えば、いくつかの状況において、sn-casRNAの活性は、最も重要な因子である。他の状況において、切断部位の特異性は、切断パーセンテージより比較的より重要であり得る。それが望まれる場合、切断パーセンテージ及び/又は特異性は、さらなる実験において、RNAを改変すること、エフェクタータンパク質/エフェクタータンパク質結合配列又はリガンド/リガンド結合部分を導入することを含むがこれらに限定されない本発明の方法を使用して変更される。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載されるスクリーニングは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例12
機能ゲノミクススクリーニング
この実施例は、本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPN)の、機能スクリーニング法及び配列データを利用して遺伝子の機能的役割を同定するための使用を記載する。
2部分sn-casRNA(sn1-casRNA及びsn2-casRNA)系(例えば、図3Bを参照のこと)を、連続的配列を有する単一ガイドRNAを使用した、Shalem、et al.、「Genome-scale CRISPR-Cas9 knockout screening in human cells」, Science、3、343(6166)、84-87 (2014)及びZhou、et al.、「High-throughput screening of a CRISPR/Cas9 library for functional genomics in human cells」, Nature、509、487-491 (2014)に記載される方法の改変で使用される。本明細書に記載されるスクリーニングは、A375黒色腫細胞株の薬物ベメラフェニブ(vemerafenib)に対する脆弱性を避けて設計されている;ベムラフェニブ(vemurafenib)で処理される場合、細胞増殖は停止される。A375細胞を、sn1-casRNAのライブラリーを用いて形質導入し、その後これらの細胞をベメラフェニブで処理する。ベメラフェニブに対するA375の感受性について重要な遺伝子のsn1-casRNAノックアウトは、生存細胞集団において濃縮され、そして配列決定及び同定され得る。
適切なベクター、培地、培養条件などの例が記載される。これらの成分及び条件の改変は、本明細書の教示を考慮して当業者により理解されるだろう。
A. レンチウイルスライブラリー及びCas9構築物
sn1-casRNAのウイルスライブラリーを、レンチウイルス産生のための転移プラスミドにクローン化するための普遍的タグ配列に付けられた設計されたスペーサー配列を含有するオリゴヌクレオチドを合成することにより生成する(例えば、pD2107-CMV -DNA 2.0、Menlo Park、CA)。オリゴヌクレオチドライブラリーを、プログラム可能なマイクロアレイ上に合成し、そしてアレイ製造者によりマイクロアレイから切断する(例えば、Agilent Technologies、Santa Clara、CA)。全長オリゴヌクレオチドを、Q5ポリメラーゼ(NEB)及び普遍的タグ配列を含有するDNAを増幅するように設計されたプライマーを使用してPCRにより増幅する。転移ベクターへのクローン化を、当業者に公知の標準的な技術を使用して行う。一例は、単鎖オーバーハングを明らかにするためにII型制限酵素(例えば、BsbI)でベクターを消化すること、アルカリホスファターゼ(Fermentas)で処理すること、及び切除されたベクターを未切除のものからゲル精製により精製することを含む。オリゴヌクレオチドライブラリーを、適合性の末端を明らかにするために制限酵素で消化し、そしてDNAリガーゼ(Fermentas)を使用してベクターに連結する。
転移ベクターは、伸長因子-1α短プロモーター(EFS)プロモーターの制御下にSV40核局在化シグナルでN末端及びC末端でタグ化されたヒトコドン最適化化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9遺伝子を含む。このNLS-Cas9-NLS配列は、2A自己切断ペプチド及び哺乳動物細胞に適した選択マーカー(すなわち、ピューロマイシン)に接合される。
あるいは、Cas9は、別々のウイルスベクターで細胞に送達され得るか、又はCas9を恒常的に発現する安定細胞株を生成することができる。次いでウイルスベクター発現sn1-casRNAライブラリーを使用して、Cas9を発現している細胞株を形質導入することができる。
B. レンチウイルス産生及び精製
HEK293T細胞を約40%コンフルエンスでトランスフェクションの24時間前に10%ウシ胎仔
血清(FBS)を追加したDMEM(Life Technologies、Grand Island、NY)中にて播種した。細胞を血清低減OptiMEM (Life Technologies、Grand Island、NY)中に移し、そしてリポフェクタミン2000及びPlus試薬を製造者の指示に従って使用してトランスフェクトした。トランスフェクションのために、レンチウイルス転移ベクターを、Lenti-XTM HTXパッケージング系(Takara Clontech、Mountain View、CA)のようなレンチウイルスパッケージングのためのプラスミドと、製造者の指示に従って混合した。
60時間後、培地を取り出し、そして3000 rpmで遠心分離して細胞片を除去した。上清を0.45um低タンパク質結合メンブレン(例えば、Millipore Steriflip HV/PVDF)に通してろ過した。プールされたライブラリーを、超遠心分離法により濃縮することができ、次いで10% FBS及び1% BSA (Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を追加したDMEMに再懸濁した。
C. 細胞培養
A375 (ATCC CRL-1619)細胞を、American Type Cell Culture (Manassas、VA)から入手し、そして10% FBS (Life Technologies、Grand Island、NY)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)、20 mM HEPES (Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を追加したR8758培地(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)で培養した。
D. レンチウイルス形質導入
ウイルスベクターライブラリーについての感染多重度(MOI)を、所定のウイルス量を有する細胞の形質導入に基づいて標準的な方法を使用して決定した。約3x106のA375細胞を、8 μg/mlポリブレン(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を追加した適切な培地で12ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を所定のウイルス量と混合し、0.3〜0.5の間の感染多重度(MOI)を同定した。プレーティングした細胞を、2,000 rpmで2時間37℃で遠心分離し、その後、培地を吸引し、そして各細胞型にポリブレンを含まない新鮮な培地を加えた。細胞を24時間37℃、5% CO2でインキュベートした。非形質導入対照が含まれる。
24時間後、細胞を剥離して計数し、約2.5x106の細胞を、「選択ウェル」及び「非選択ウェル」の両方に再プレーティングした。選択ウェルをレンチウイルスライブラリー構築物に特定の選択下において(すなわち、ピューロマイシン、Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)。非選択ウェルはピューロマイシンで処理しなかった。非形質導入対照において選択下に置かれた生存細胞が残らなくなるまで細胞をインキュベートした。細胞を計数し、そして「選択ウェル」における細胞数を、対応する非選択ウェルにおける細胞数で割って100を掛けてMOIを得た。0.4に近いMOIを理想値である。
E. 薬物抵抗性スクリーニング
試験した各条件について1ウェルあたり2x106の細胞をプレーティングした。各ウェルの細胞を、30%の形質導入効率に達するまでライブラリー10ulで形質導入した(ライブラリーにおける1クローンあたり最少3〜400細胞)。ピューロマイシンを、形質導入の24時間後にウェルに加え、そして細胞を7日間維持した。複製ウェルあたり最少2x 107の細胞で薬物条件で二連で細胞を分割した。1つのウェルに2uM薬物化合物(例えばPLX4032、Thermo Fisher Scientific、South San Francisco、CA)を追加し、そして他方はDMSO(Thermo Fisher Scientific、South San Francisco、CA)を用いた。細胞を37℃、5% CO2で14日間インキュベートし、そして必要に応じてPLX4032又はDMSOのいずれかを追加した新鮮な培地に2〜3日毎に継代した。14日後に、ゲノムDNA(gDNA)を、製造者の指示通りにQuickExtract DNA抽出溶液(Illumina、San Diego、CA)を使用して細胞から調製した。
F. gDNA配列決定
PCRプライマーを、ゲノムDNAからレンチウイルスsn1-casPN標的配列を増幅するように
設計した。単離されたgDNAを使用して、第一のPCRを、ヘラクレスII融合DNAポリメラーゼ(Agilent、Santa Clara、CA)を使用して、アダプター配列及びレンチウイルスsn1-casPNカセットに特異的な配列を含むプライマーを用いて行った。第二のPCRを、第二のPCR反応体積の20分の1で第一ラウンドの増幅物を使用して行った。第二のPCRは、以下を含む第二のプライマーセットを使用した:第一のプライマー対の普遍的アダプター配列に相補的な配列、各サンプルに独特のバーコードインデックス配列、及びフローセルアダプター配列。各形質導入サンプルの300x配列決定範囲を確実にするためにPCR反応混合物をプールした。プールしたPCR反応混合物を、2% TBEゲルで分析し、期待される増幅産物サイズのバンドを、QIAEX IIゲル抽出キット(Qiagen、Venlo、Netherlands)を使用してゲル精製した。精製された増幅産物の濃度を、dsDNA BRアッセイキット及びQubitシステム(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して評価し、そしてライブラリー品質をAgilent DNA100Chip及びAgilentバイオアナライザ2100システム(Agilent、Santa Clara、CA)を使用して決定した。プールされたライブラリーをMiSeq 2500 (Illumina、San Diego、CA)で配列決定した。
G. 配列決定データの処理及び解析
生配列決定読み出しを、sn1-casPNカセット配列のみを含有するように処理した。sn1-casPN読み出しを、レンチウイルススクリーニングライブラリ内に含まれる標的配列に整列させ、そして独特な標的配列の数をそれぞれ計数した。標的配列あたりの計数された読み出しを、標的あたりの読み出しをサンプル中の術tネオ標的についての整列された読み出しの合計でわって106を掛けて1を加えることにより正規化した。
薬物処理サンプルにおいて同定された正規化した標的読み出しを、DMSO対照処理サンプルにおいて同定された正規化標的読み出しと比較した。DMSO対照処理サンプルには存在しない化又は低減される、薬物処理サンプル中に存在する高い読み出しカウントを有する標的を、薬物処理に対する抵抗性において重要な候補遺伝子としてさらに評価することができる。
sn1-casRNAライブラリーを使用した他の機能性ゲノムスクリーニング及び本明細書で概略を示されるスクリーニング方法を使用して、それらのスクリーニングにいて重要な候補遺伝子を同定することができる。
この手順により、本発明のsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系を機能スクリーニングにおいて使用して、ゲノム全体の(genome-wide)スケールで遺伝子機能を調べることができるということを検証するためのデータが得られる。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載されるスクリーニングは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例13
抑制/活性化
この実施例は、ヒト細胞における内在性遺伝子の抑制又は活性化のための、本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPN)の使用を記載する。
2部分sn-casRNA (sn1-casRNA及びsn2-casRNA)系(例えば、図3Bを参照のこと)は、連続的配列を有する単一ガイドRNAを使用したGilbert et al.、「CRISPR-Mediated Modular RNA-Guided Regulation of Transcription in Eukaryotes」, Cell、154(2)、442-51、doi:10.1016/j.cell.2013.06.044 (2013)に記載される方法の改変において使用される。
適切なベクター、培地、培養条件などの例を記載する。これらの成分及び条件の改変は、本発明の教示を考慮すれば当業者により理解されるだろう。
A. dCas9活性化因子及びリプレッサー構築物
変異D10A及びH840Aを有するヌクレアーゼ欠損化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9(dCas9)を、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化し、そしてSV40各局在化シグナル及びクルッペル関連ボックス(Kruppel Associated box)(KRAB)抑制ドメイン(dCas9-KRAB)又は転写活性化因子VP16の4つのコピー(dCas9-VP64)のいずれかでC末端をタグ化する。dCas9-KRAB及びdCas9-VP64の両方を、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのような適切な哺乳動物プロモーターに隣接させてベクターに挿入する。1つのこのようなベクター、pJ607-03 (DNA2.0、Menlo Park、CA)が市販されている。
B. sn-casPN構築
sn1-casRNA-CD71配列は、トランスフェリン受容体CD71の上流未翻訳領域(UTR)に対して標的化された20ヌクレオチドのスペーサー配列を含む。sn1-casRNA-CD71配列を、独立したsn2-casRNA配列も含む適切なベクター中に構築した。各配列は、RNAポリメラーゼIIIによる転写を方向づけるヒトU6プロモーターによる独立した制御下にある。1回、sn1-casRNA及びsn2-casRNA配列の発現のために適切なベクター骨格はpRSFDuet-1ベクター(Novagen、Merck、Darmstadt、Germany)である。
C. 細胞培養
HeLa (ATCC CCL-2)細胞を、American Type Cell Culture (Manassas、VA)から入手し、そして10% FBS (Life Technologies、Grand Island、NY)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)、2 mMグルタミン(Life Technologies、Grand Island、NY)を加えたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Life Technologies、Grand Island、NY)で培養し、37℃、5% CO2で培養した。
D. トランスフェクション及びFACS選別
HeLa細胞を、等質量のCas9含有プラスミド及びsn1-casRNA-CD71ベクターを用いてTransIT-LT1 (Mirus、Madison、WI)を使用して一過性トランスフェクトした。非トランスフェクト対照が含まれた。トランスフェクションの72時間後に、細胞をトリプシン処理し(Life Technologies、Grand Island、NY)、そして10nM EDTA-PBS(Lonza、Allendale、NJ)を用いて解離させた。FITCフルオロフォア(eBioscience、San Diego、CA)に結合された抗ヒトCD71特異的抗体の存在下でフローサイトメトリー染色緩衝液(eBioscience、San Diego、CA)中にて細胞をインキュベートした。トランスフェクトされた細胞の蛍光活性化細胞選別(FACS)を、CD71-FITC抗体の検出のためにブルーレーザー(励起488nm)の使用及びLSR IIフローサイトメーター(BD Biosciences、Franklin Lakes、NJ)を使用して行った。
dCas9-VP64トランスフェクトサンプルにおけるCD71発現の活性化を、FACS選別により検出してHeLa細胞の非トランスフェクト対照集団の測定された蛍光と比較して、検出された蛍光(a.u. Log10)の増加により測定した。
dCas9-KRABトランスフェクトサンプルにおけるCD71発現の抑制を、FACS選別により検出してHeLa細胞の非トランスフェクト対照集団の測定された蛍光と比較して、検出された蛍光(a.u. Log10)の減少により測定した。
他の遺伝子は、本発明のsn-casPN及び本明細書に概略を示される方法を使用して同様に活性化又は抑制された。当業者には明らかなように、他の活性化及び抑制ドメインは、本明細書に記載される方法と同様の結果を達成するためにdCas9に融合され得る。
この手順により、本発明のsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系が、内在性遺伝子の抑制の活性化において使用され得るということを検証するためのデータが得られる。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される抑制/活性化アッセイは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例14
産業上の利用のためのCHO細胞の改変
この実施例は、CHO細胞のゲノムを改変するための本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPN)の使用を記載する。産業上の利用における将来の使用(すなわち、抗体の製造)のためのsn-casPN改変細胞の配列検証及び選択についての概略も本実施例に含まれる。
2部分sn-casRNA (sn1-casRNA及びsn2-casRNA)系(例えば、図3Bを参照のこと)を、単一のガイドRNAを使用したRonda et al.、「Accelerating genome editing in CHO cells using CRISPR Cas9 and CRISPy、a web-based target finding tool」, Biotechnology and Bioengineering、111(8)、1604-1616、(2014)に記載される方法の改変において使用した。
適切なベクター、培地、培養条件などの例が記載される。これらの成分及び条件の改変は、本明細書の教示を考慮すれば当業者に理解されるだろう。
A. プラスミド構築
化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9配列を、CHO細胞における発現のためにコドン最適化し、そしてSV40核局在化シグナルでC末端をタグ化し、そしてサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのような適切な哺乳動物プロモーターに隣接させてベクターに挿入した。1つのこのようなベクター、pJ607-03 (DNA2.0、Menlo Park、CA)は市販されている。
sn1-casRNA-FUT8配列は、20ヌクレオチドのFUT8スペーサー配列を含む。sn1-casRNA-FUT8配列を、独立したsn2-casRNA配列も含む適切なベクター中に構築した。各配列は、RNAポリメラーゼIIIによる転写を方向づけるU6プロモーターによる独立した制御下にある。sn1-casRNA及びsn2-casRNA配列の1つの適切なベクター骨格はpRSFDuet-1ベクター(Novagen、Merck、Darmstadt、Germany)である。
B. 細胞培養
CHO-K1細胞を、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関 (Manassas、VA)から入手し、そしてCHO-K1 F-12K培地(American Type Culture Collection、Manassas、VA)、10% FBS (Life Technologies、Grand Island、NY)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)で培養した。CHO-K1細胞を、等質量のCas9含有プラスミド及びsn1-casRNA-FUT8/sn2-casRNAを含むベクターを用いて、Nucleofector 2b装置(Lonza、Allendale、NJ)及びAmaxa細胞株NucleofectorキットV(Lonza、Allendale、NJ)を製造者の推奨のようにトランスフェクトした。細胞を、30℃、5% CO2で最初の24時間インキュベートし、次いで37℃、5% CO2でさらに24時間インキュベートした。
C. FUT8ノックアウト細胞の選択
Cas9ベクター及びsn1-casRNA-FUT8のトランスフェクションの5日後に、50 μg/mL レンズ豆(Lens culinaris)アグルチニン(LCA、Vector Laboratories、Burlingame、CA)を加えることによりFUT8ノックアウト細胞を選択した。細胞をLCAで7日間の選択にかけ、細胞を継代し、そして2〜3日ごと又は必要に応じてLCAを含む新鮮な培地を加えた。Fut8遺伝子にsn-casPN系によって生じた分裂を有する細胞のみがLCAに対する抵抗性を有する。
FUT8ノックアウトを確認するため、選択された細胞を、LCAを含まない完全培地に再播種し、そして48時間インキュベートした。再播種した後、ゲノムDNA (gDNA)をDNA抽出溶液(Illumina、San Diego、CA)を製造者の指示に従って使用して準備した。
D. Cas9改変及びMiseqライブラリー構築の配列検証
150bp〜200bpの間の増幅産物の配列決定を、sn1-casRNA-FUT8標的部位にわたるように設計した。以前に単離されたgDNAを使用して、第一のPCRを、ヘラクレスII融合DNAポリメラーゼ(Agilent、Santa Clara、CA)を使用して、アダプター配列及びFUT8標的部位に隣接する領域に特異的な配列を含むプライマーを用いて行った。第二のPCRを、第PCR反応体積の20分の1の体積で一回目のPCRの増幅産物をテンプレートして使用して行った。第二のPCRは、第一のプライマー対のアダプター配列に相補的な配列、各サンプルに独特なバーコードインデックス配列、及びフローセルアダプター配列を含む第二のセットを使用した。増幅産物をプールし、そして2% TBEゲル上で分析し、期待される増幅産物サイズのバンドを、QIAEX IIゲル抽出キット(Qiagen、Venlo、Netherlands)を使用してゲル精製した。精製された増幅産物の濃度を、二本鎖DNA BRアッセイキット及びQubitシステム(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して評価し、そしてライブラリー品質を、Agilent DNA100Chip及びAgilent バイオアナライザー2100システム(Agilent、Santa Clara、CA)を使用して決定した。ライブラリー品質の検証後に、ライブラリーを、MiSeqベンチトップシーケンサー(Illumina、San Diego、CA)でMiSeq試薬キットv2 (300サイクル、Illumina、San Diego、CA)を用いて製造者の指示に従って151bpペアエンド読み出しについて配列決定した。
E. ディープシーケンシングデータ解析
配列決定データにおける産物のアイデンティティを、PCRの第二ラウンドにおいて増幅産物上に適応させたインデックスバーコード配列に基づいて分析した。コンピュータスクリプトを使用して、以下のタスクを実行することによりMiSeqデータを処理した:
1. fastq-join (Aronesty 2011:code.google.com/p/ea-utils)を用いてペアエンド読み出しを結合する
2. fastx_barcode_splitter(hannonlab.cshl.edu/fastx_toolkit/index.html)を使用して読み出し配列の5’末端及び3’末端の両方に存在する適切なプライマー配列について配列読み出しの検証。両末端に正確なプライマー配列を欠いている読み出しを廃棄する。
3. 読み出し配列を、期待される野生型FUT8配列と比較し、同一の読み出し配列を、同じインデル改変を有するとして分類する。
CHO細胞内の他の染色体遺伝子座を、sn1-casRNAに適切なスペーサー配列の選択により同様に改変する。選択は特定の遺伝子標的に特異的であり、そしてこの実施例において概略を示される手順は、他の遺伝子標的について当業者により容易に改変される。
この手順は、本発明のsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系が配列特異的RNA特異的エンドヌクレアーゼ活性をCHO細胞において標的化された遺伝子座において生じるということを検証するデータを提供し、そして上記の改変されたCHO細胞の継続した使用のための選択のための方法の概略を示す。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載されるアッセイは、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例15
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)におけるゲノム操作
この実施例は、本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPN)の、出芽酵母(S. cerevisiae)のゲノムを改変するための使用を記載する。
2部分sn-casRNA(sn1-casRNA及びsn2-casRNA)系(例えば、図3Bを参照のこと)を、連続的配列を有する単一のガイドRNAを使用したDiCarlo、et al.、「Genome engineering in Saccharomyces cerevisiae using CRISPR-Cas systems」, Nucleic Acids Res.、41(7)、4336-43 (2013)の方法の改変において使用した。
適切なベクター、培地、培養条件などの例が記載される。これらの成分及び条件の改変は、本明細書の教示を考慮して、当業者により理解されるだろう。
A. 部位特異的ゲノム変異
酵母細胞における発現のためにコドン最適化された化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9遺伝子を、SV40核局在化シグナルでC末端でタグ化し、そして誘導性プロモーター、例えば、GalLプロモーター配列に隣接する低コピー数ベクターに挿入する。ベクターはまた、URA3選択可能マーカーのような選択可能マーカーも含有する。1つのこのようなベクターであるp415-GalL-Cas9-CYC1t (Addgene、Cambridge、MA)は市販されている。Cas9遺伝子の発現は、GalLプロモーターの誘導性制御下にある。
sn1-casRNA-CAN1.Y配列は、20ヌクレオチドのCAN1.Yスペーサー配列を含む。sn1-casRNA-CAN1.Zは、20ヌクレオチドのCAN1.Zスペーサー配列を含む。それぞれsn1-casRNA、SNR52プロモーター、及びSUP4 30隣接配列を含む発現カセットを構築した。各発現カセットを、2ミクロン複製起点及び選択可能マーカー、例えばp426を含むベクター中に構築した。sn1-casRNA発現カセットをコードするDNA配列を、HIS3選択可能マーカーを含有するベクター中に挿入した。sn2-casRNA発現カセットをコードするDNA配列を、LEU2選択可能マーカーを含有するベクター中に挿入した。sn-casRNAコード配列に適切な1つの骨格ベクターはp426 GPD (アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関、Manassas、VA)であり、ここでURA3コード配列は変異されるか又は欠失されており、適切な選択可能マーカーが挿入される。sn-casRNA配列の発現は、RNAポリメラーゼIIIによる転写を方向づけるSNR52プロモーターの構成的制御下にある。
Cas9ベクター及び各sn1-casRNA/sn2-casRNAベクター対を、標準的方法を使用してATCC 200895 (MATa his3delta200 leu2delta0 met15delta0 trp1delta63 ura3delta0) (アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関、Manassas、VA)に形質転換し、そしてベクターの存在を、ウラシルも、ヒスチジンもロイシンも含まないSCドロップアウト培地を使用して選択した。ネガティブコントロール酵母株もまた、sn1-casRNA-CAN1.Y、sn1-casRNA-CAN1.Z、sn2-casRNA、及びCas9を含む個々のベクターのATCC 200895への形質転換により構築した。適切な選択培地を各ベクターに使用する。
Cas9及びsn1-casRNA/sn2-casRNAを含む細胞を、ウラシル、ヒスチジン及びロイシンを含まず2%ガラクトース及び1%ラフィノースを含有する液体SCドロップアウト培地中で培養した。細胞を約16時間増殖させ、ペレット化して60 mg/ml L-カナバニン(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)、及び100 mg/mlチアリジン(S-2-アミノエチル-l-システイン、Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を含有するSC-リジンを含有するYPAD、SC-ウラシル-ヒスチジン-ロイシンプレートにプレーティングした。約107〜108細胞を、カナバニン及びチアリジン含有培地にプレーティングし、そして細胞を濃縮培地にプレーティングするために適切に希釈した。
各培養についてカナバニン又はリアリジンプレートでのコロニー数の比を濃縮培地(YPAD)プレートでのコロニー数で割ったものを、変異頻度の尺度として使用した。ネガティブコントロール株を同様に培養してプレーティングした。
潜在的なゲノム全体の変異誘発物表現型について制御するために、非標的化内在性LYP1遺伝子、リジンパーミアーゼの変異頻度を、毒性リジンアナログであるチアリジンを使用してlyp1変異体について選択することによりモニタリングした。
LYP1及びCAN1遺伝子は別々の染色体上にある。したがって、各遺伝子座における局所変異頻度は、ゲノム全体の変異誘発物が存在しない場合には独立しているはずである。
sn1-casRNA-CAN1.Y/sn2-casRNAは、Cas9エンドヌクレアーゼ活性を、CAN1遺伝子の開始コドンの207bp下流に位置する標的部位に方向づける。sn1-casRNA-CAN1.Z/sn2-casRNAは、Cas9エンドヌクレアーゼ活性を、CAN1遺伝子のATG開始コドンの58bp下流に位置する標的部位に方向づける。
Cas9の発現がガラクトースにより誘導される場合、YPAD培地に対して60 mg/ml L-カナバニンを含有するSC-ウラシル-ヒスチジン-ロイシンプレートでの細胞生存率の減少は、CAN1遺伝子におけるより高い変異頻度を示す。LYP1遺伝子における変異率は、バックグラウンド変異率の指標を提供する。LYP1遺伝子変異率が、全ての株にわたって一定のままである場合、sn1-casRNA/sn2-casRNA及びCas9系がゲノム全体にわたるランダム変異を誘導しないということを示唆する。変異がsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系により引き起こされているということをさらに検証するために、そしてカナバニン抵抗性集団からCAN1遺伝子を単離し配列決定することができる。次いで配列を整列させて、sn1-casRNAに存在する標的結合配列(すなわち、スペーサー配列)と比較してCAN1遺伝子における変異の位置及び型を同定する。
出芽酵母(S. cerevisiae)における他の染色体遺伝子座は、sn1-casRNAについての適切なスペーサー配列の選択により改変のために同様に標的化される。
この分析により、本発明のsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系が、酵母における標的化された内在性ゲノム遺伝子座における特定のRNA標的化エンドヌクレアーゼ活性を生じるということを検証するためのデータが得られる。
B. ドナーDNAを用いる部位特異的相同組み換え
KanMXオリゴヌクレオチド配列は、CAN1遺伝子座に対する50bpの相同性アームを用いてpFA6a-KanMX6プラスミドからPCR増幅され、これは酵母において遺伝子ノックアウトを生成するために一般的に使用されるものである。KanMXはドナーDNAとして使用される。KanMXオリゴヌクレオチドはG418抵抗性を付与し、そしてCAN1.Y関連PAM配列を分裂させるように設計される。組み込みの際に、このドナーDNAは、カナバニン抵抗性及びG418抵抗性を生じる。
sn1-casRNA-CAN1.Y、sn2-casRNA、Cas9発現ベクターを含有する細胞を、ウラシル、ヒスチジン及びロイシンを含まないSCドロップアウト培地で飽和まで増殖させた。この培養物を使用して、ウラシル、ヒスチジン及びロイシンを含まない液体SC培地に播種し、そして培養物を約OD600 1.8まで増殖させた。さいぼう遠心分離により集め、そしてドナーオリゴヌクレオチドをエレクトロポレーションにより細胞に形質転換した。電気穿孔した細胞を2%ガラクトース及び1%ラフィノースを含有するSC-ura-his-leu培地に移し、そして約12時間増殖させた。ネガティブコントロール株を、ドナーオリゴヌクレオチドが与えられなかった事以外は同様に処理した。
約106〜107細胞を選択培地にプレーティングし、そして細胞を濃縮培地において適切に希釈した。ネガティブコントロール株は同様に培養及びプレーティングされた。
プラスミドを含有するコロニーをカナバニン培地、さらにG418を含む濃縮培地ににレプリカプレーティング(replica plated)して、KanMX組み込み事象について選択した。選択プレートにおけるコロニー数(すなわち、カナバニン及びG418の両方に抵抗性であるコロニー)の、濃縮プレートにおけるコロニー数に対する比を、sn1-casRNA/sn2-casRNA誘導切断の部位におけるKanMX配列の相同組換えを示唆する正確な頻度の尺度として使用した。組み込み事象が、sn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系により方向付けられるということをさらに検証するために、組み込まれたKanMX配列を含むCAN1遺伝子をカナバニン/G418抵抗性集団から単離して配列決定することができる。次いで配列を、sn1-casRNA中に存在する標的結合配列(すなわち、スペーサー配列)と比較して、CAN1遺伝子における濃集の位置及び型を同定するために整列させた。
出芽酵母(S. cerevisiae)における他の染色体遺伝子座は、sn1-casRNAに適切なスペーサー配列及びドナーオリゴヌクレオチドの選択による改変のために同様に標的化される。機能性遺伝子は、出芽酵母(S. cerevisiae)ゲノム中に内在性遺伝子を分裂すること無く導入され得る。また、選択可能マーカーの内在性標的遺伝子への導入は、標的遺伝子の選択可能ノックアウト変異を生じるために使用され得る。
この分析は、本発明のsn1-casRNA/sn2-casRNA/Cas9タンパク質系が、酵母における標的化された内在性ゲノム遺伝子座において特異的RNA誘導エンドヌクレアーゼ活性を生じ、そしてドナーDNAを使用してこのような遺伝子座での相同組換え事象を刺激し得るということを検証するためのデータを提供し得る。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される方法は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例16
トウモロコシにおける標的化変異誘発
この実施例は、植物においてゲノム改変を生じるための本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPN)の使用を記載する。2成分sn-casRNA ポリヌクレオチド系が記載されるが、本発明の他の実施態様も同様に使用され得る(例えば、3成分sn-casRNA ポリヌクレオチド系)。
3成分sn-casRNA (sn1-casRNA、sn-2-casRNA及びsn3-casRNA)系(例えば、図3Aを参照のこと)を、それぞれ連続的配列を有するガイドRNAを使用したCigan、A. M.、et al.、「Genome modification using guide polynucleotide/cas endonuclease systems and methods of use」、米国特許出願公開第2015-0059010号(2015年2月26日公開)の方法の改変において使用される。
適切なベクター、培地、培養条件などの例が記載される。これらの成分及び条件の改変は、本明細書の教示を考慮すれば当業者に理解されるだろう。
A. 発現カセット
化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)M1 GAS (SF370)由来のCas9を、当該分野で公知の標準的技術に従ってトウモロコシコドン最適化した。ジャガイモST-LS1イントロンを、E. coli及びアグロバクテリウム(Agrobacterium)におけるその発現を排除するために導入した。トウモロコシ細胞におけるCas9タンパク質の核局在化は、それぞれCas9オープンリーディングフレームのアミノ末端及びカルボキシル末端に組み込まれたサルウイルス40(SV40)単節型(monopartite)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)双節型(bipartite)VirD2 T-DNA境界エンドヌクレアーゼ核局在化シグナルにより促進され得る。Cas9遺伝子を、トウモロコシ構成性(例えば、植物ユビキチンプロモーター)又は調節されたプロモーターに、標準的な分子生物学的技術により作動可能に連結した。
sn1-casRNA、sn2-casRNA、及びsn3-casRNAの発現のための発現カセットは、the sn-casRNA DNAコード配列に標準的な分子生物学技術を使用して作動可能に連結された、トウモロコシU6ポリメラーゼIIIプロモーター(各sn-casRNAのコード配列の5’)及びトウモロコシU6ポリメラーゼIII終結因子(各sn-casRNAのコード配列の3’)を利用して、sn-casRNA発現カセットを生成する。図3Aに示されるように、sn3-casRNAは、DNA標的(VTドメイン)に相補的な20スペーサー領域を含む。PAM配列の上流の標的領域は、標的部位認識及び切断のために選択される。
Cas9タンパク質及びsn-casRNAのための発現カセットは、標準的な分子生物学技術を使用して、(例えば、Belhaj、K.、et al.、「Plant genome editing made easy:targeted mutagenesis in model and crop plants using the CRISPR/Cas system」, Plant Methods、9(1)、39 (2013);Weber E.、et al.、「A Modular Cloning System for Standardized Assembly of Multigene Constructs」, PLoS ONE 6(2)、e16765 (2011)により記載されるように)適切な骨格ベクターに配置され得る。
B. 変異の生成
3つの異なるトウモロコシゲノム標的配列を、sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質系を使用する切断のために標的化する。3つの標的配列は、LIG遺伝子座(Liguleless 1遺伝子開始コドンの約600bp上流)に位置し、変異の存在についてディープシーケンシングにより試験される。各標的部位(LIGCas-1、LIGCas-2、及びLIGCas3)についてのスペーサー配列は、米国特許出願公開第2015-0059010号(2015年2月26日公開)に記載されるとおりである(米国特許出願公開第2015-0059010号(2015年2月26日公開)の表1に列挙されるトウモロコシゲノム標的配列のアンチセンス鎖に相補的なVTドメインを参照のこと)。得られたsn-casRNAは以下の通りである:sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA-LIGCas-1;sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA-LIGCas-2;及びsn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA-LIGCas-3。
3成分sn-casRNA系を含む発現カセット及びCas9発現カセットは、粒子媒介送達により60-90 Hi-II未熟トウモロコシ胚に同時送達される(codelivered)。Hi-IIトウモロコシ胚は、切断のためにLIGCas-3ゲノム標的部位を標的とするCas9及び長ガイドRNA発現カセットで形質転換され(米国特許出願公開第2015-0082478号(2015年3月19日公開)に記載されるとおり)、ポジティブコントロールを生じる。Cas9発現カセットのみで形質転換されたHi-IIトウモロコシ胚はネガティブコントロールを生じる。
トウモロコシ雌穂の外皮を剥ぎ、そして表面を滅菌し、そして滅菌水で2回すすいだ。未熟胚を単離し、そして560Y培地上にプレートあたり25の胚で胚軸側を下にして(胚盤側を上)4時間置き、次いで照射のための準備で2.5-cm標的帯内に整列させた。
sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質系を含むベクターを、発生遺伝子O
DP2(胚珠発生タンパク質2、AP2ドメイン転写因子;例えば、米国特許出願公開第2009-0328252号(2009年12月31日公開);米国特許出願公開第2011-0167516号(2011年7月7日公開)を参照のこと)を含有するベクターを用いて同時照射した(co-bombarded)。
各sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質系について、対応するベクターを、水溶性カチオン性脂質トランスフェクション試薬を使用して0.6 μm(平均直径)金ペレット上に沈降させた。DNA溶液を、sn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9ベクター並びに発生遺伝子ODP2及びWushelを含有するプラスミドを使用して氷上で調製した。調製された金粒子を予め混合されたDNAに加えた。水溶性カチオン性脂質トランスフェクション試薬を水に加え、そして注意深く混合した。金粒子を微量遠心管でペレット化し、上清を除去した。得られたペレットを、ペレットを再懸濁することなくエタノール(EtOH)で注意深くすすぎ、そしてEtOHすすぎ液を注意深く除去した。100% EtOHを加え、そして粒子を短い超音波処置により再懸濁させた。次いで、各マクロキャリア(macrocarrier)の中央にこの混合物の斑点を付け、そして照射前に約2分間乾燥させた(Kikkert J.R.、et al.、「Stable transformation of plant cells by particle bombardment/biolistics」, Methods Mol Biol.、286、61-78 (2005))。
胚を含むプレートを、Helios(R)遺伝子銃システム(Bio-Rad、Hercules CA)を用いてレベル#4で照射した。全てのサンプルは製造された粒子/DNA 450 PSIの単発照射を受けた。照射後に、胚を維持培地で12〜48時間、26℃〜37℃の範囲の温度でインキュベートし、次いで26℃に置いた。
7日後、各処理から約30の最も均一に形質転換された胚をプールし、そして総ゲノムDNAを抽出した。意図された標的部位の周囲の領域を、Phusion(R)高正確性PCRマスターミックス(New England Biolabs、Ipswich、MA)を用いてPCR増幅した。PCR増幅を、増幅産物特異的バーコード及びIllumnia配列決定プライマー(Illumina、San Diego、CA)を加えるためにも使用した。得られたPCR増幅産物を、PCR精製スピンカラム(Qiagen、Venlo、Netherlands)で精製し、濃度をHoechstの色素ベースの蛍光分析アッセイで測定し、当モル比で混合し、そしてシングルリード100ヌクレオチド長ディープシーケンシングを、MiSeqパーソナルシーケンサー(Illumina、San Diego、CA)で行った。
対応する遺伝子座を標的とする単一長ガイドRNA/Cas9エンドヌクレアーゼ系と比較して、LIGCas標的を標的とする3つのsn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質系についてのディープシーケンシングにより回収されるNHEJ変異の頻度を決定した。これらのデータは、本明細書に記載されるsn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNA/Cas9タンパク質系がトウモロコシ染色体DNAを切断し、そしてNHEJ媒介変異を生じるとうことを実証するためのものである。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される方法は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例17
トランスジェニックマウスの生成
この実施例は、動物においてゲノム改変を生じるための、本発明の分断ネクサスポリヌクレオチド(sn-casPNs)の使用を記載する。
2部分sn-casRNA (sn1-casRNA及びsn2-casRNA)系(例えば、図3Bを参照のこと)を、それぞれが連続した配列を有する単一ガイドRNAを使用したWang、et al.、「One-step generation of mice carrying mutations in multiple genes by CRISPR/Cas-mediated genome engineering」, Cell、153(4)、910-918 (2013)の方法の改変において使用する。
適切なベクター、培地、培養条件などの例が記載される。これらの成分及び条件の改変は、本明細書の教示を考慮して当業者により理解されるだろう。
A. Cas9 mRNA及びsn1-casRNA/sn2-casRNAの製造
T7プロモーターを、哺乳動物発現について最適化されたCas9コード領域に加えた(例えば、Cas9コード配列は、pX330-U6-Chimeric_BB-CBh-hSpCas9;Addgene、Cambridge、MAからPCR増幅され得る)。T7プロモーターはPCR増幅により加えられる。T7-Cas9 PCR産物をゲル精製し、そしてmMESSAGE mMACHINE T7 ULTRAキット(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用するインビトロ転写のためのテンプレートとして使用する。Cas9-mRNAを、MEGAclearキット(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して精製し、そしてRNase非含有水で溶出した。
sn1-casRNA及びsn2-casRNAをコードするDNA配列(例えば、図3Bを参照のこと)を化学的に合成した。sn1-casRNAについての20ヌクレオチドのスペーサー配列は以下のとおりである: sn1-casRNA-Tet1、GGCTGCTGTC AGGGAGCTCA (配列番号89);及びsn1-casRNA-Tet 2、GAAAGTGCCA ACAGATATCC (配列番号90) (Wang、et al.、Cell、153(4)、910-918 (2013)の図1Aを参照のこと)。T7プロモーターを、PCR増幅によりsn1-casRNA及びsn2-casRNAテンプレートの各々に加えた。T7-sn-casRNA PCR産物をゲル精製し、そしてMEGAshortscript T7キット(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用するインビトロ転写のためのテンプレートしてい使用した。sn-casRNAを、MEGAclearキット(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して精製し、そしてRNase非含有水で溶出した。
B. 単細胞胚注入
全ての動物手順を、国立保健研究所(NIH)のガイドラインに従って行った。B6D2F1 (C57BL/6 X DBA2)雌性マウスを胚ドナーとして使用した。ICRマウス系統を代理母マウスとして使用した。過排卵した7〜8週齢の雌性B6D2F1マウスを、B6D2F1雄性マウスと交配させた。受精させた胚を卵管から集めた。Cas9 mRNA(約20 ng/ml〜約200 ng/mlの範囲にわたって個々の胚に投与される)、sn1-casRNA/sn2-casRNA (20 ng/ml〜50 ng/mlの範囲にわたって個々の胚に投与される)を、M2培地(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)中の受精した胚(十分に認識される前核を有する)の細胞質に注入した。
ドナーオリゴヌクレオチドも注入されているとき、sn-casPN/Cas9タンパク質系成分の濃度は以下のとおりであった: Cas9 mRNA (約100 ng/ml)、sn1-casRNA/sn2-casRNA (50 ng/ml)、及びドナーオリゴヌクレオチド(100 ng/ml)。成分を混合し、そして前核段階の接合体に注入した。注入された接合体を、PrimeQTM KSOM胚培養培地において、アミノ酸及びフェノールレッド(MTI-GlobalStem、Gaithersburg、MD)とともに37℃で空気中5% CO2下にて約3.5日間(胚盤胞段階まで)培養した。15〜25の胚盤胞を偽妊娠ICR雌の子宮に交尾約2.5日後に移した。
C. 二重遺伝子変異体マウス
sn1-casRNA-Tet1/sn2-casRNA and sn1-casRNA-Tet2/sn2-casRNAを、上記のように接合体に同時注入した。子のゲノムDNAをRFLP (制限フラグメント長多型解析)、サザンブロット分析、及び配列解析により評価して、Tet1及びTet2遺伝子の4つの対立遺伝子全てで標的化変異を保有するマウスを同定した。これらの分析の結果は、2つの異なる遺伝子(すなわち、Tet1及びTet2遺伝子)において両アレル変異を保有する生後マウスが効率的に生成され得るということを実証するためのものである。
インビボオフターゲット効果もまた評価される。細菌及び培養ヒト細胞における以前の研究は、プロトスペーサー隣接モチーフ配列NGG及びスペーサー配列の8〜12塩基の「シード配列」が、DNA切断特異性を決定するために重要であるということを示唆する(Cong、L.、et al.、「Multiplex genome engineering using CRISPR/Cas systems」, Science 339、819-82 (2013);Jiang、W.、et al.、「RNA-guided editing of bacterial genomes using CRISPR-Cas systems」, Nat. Biotechnol.、31、233-239 (2013);およびJinek、M.、et al.、「A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity」, Science、337、816-821 (2012))。この規則を使用して、Wangらは、3つのTet1及び4つのTet2のみの潜在的オフターゲット部位がマウスゲノムに存在するということを同定した。オフターゲット効果は、Surveyorアッセイ(Guschin、D.Y.、et al.、「A rapid and general assay for monitoring endogenous gene modification」, Methods Mol. Biol.、649、247-256 (2010))を使用して評価される。オフターゲット効果の数は、sn1-casRNA/sn-2-casRNA/Cas9タンパク質複合体のインビボ標的化精度の見積もりを提供する。
D. インビボ遺伝子修復改変
sn1-casRNA及びsn2-casRNA系を使用したインビボ遺伝子修復を評価するために、ドナーオリゴヌクレオチドを使用してTet1を標的化し、SacI制限部位の2つの塩基対を、EcoRI部位を生じるように変更した(Tet1オリゴヌクレオチド;126bp、配列については、Wangらの図3Aを参照のこと)。第二のドナーオリゴヌクレオチドを使用してTet2を標的化し、EcoRV部位の2つの塩基対をEcoRI部位に変更した(Tet2オリゴヌクレオチド;126bp、配列については、Wangらの図3Aを参照のこと)。胚盤胞は、Cas9 mRNA、sn1-casRNA-Tet1/sn2-casRNA、及びTet1オリゴヌクレオチド、Cas9 mRNA、sn1-casRNA-Tet2/sn2-casRNA、及びTet2オリゴヌクレオチド、並びにCas9 mRNA、sn1-casRNA-Tet1/sn2-casRNA、Tet1オリゴヌクレオチド、sn1-casRNA-Tet2/sn2-casRNA、及びTet2オリゴヌクレオチドを注入した接合体由来であった。
Cas9 mRNA、sn1-casRNA-Tet1/sn2-casRNA、及びTet1オリゴヌクレオチド胚盤胞からDNAを単離し、増幅し、そしてEcoRIで消化して、オリゴヌクレオチド媒介遺伝子修復事象を検出した。Cas9 mRNA、sn1-casRNA-Tet2/sn2-casRNA、及びTet2オリゴヌクレオチド胚盤胞からDNAを単離し、増幅し、そしてEcoRIで消化して、オリゴヌクレオチド媒介遺伝子修復事象を検出した。Cas9 mRNA、sn1-casRNA-Tet1/sn2-casRNA、Tet1オリゴヌクレオチド、sn1-casRNA-Tet2/sn2-casRNA、及びTet2オリゴヌクレオチド胚盤胞からDNAを単離し、増幅し、そしてEcoRIで消化して、オリゴヌクレオチド媒介遺伝子修復事象を検出した。胚盤胞由来のゲノムDNAを、RFLP、サザンブロット分析、及び配列決定解析により評価して、Tet1及びTet2遺伝子の改変された制限部位を有する胚盤胞を同定した。これらの分析の結果は、マウス遺伝子(すなわち、Tet1及びTet2遺伝子)のインビボ修復が効率的に行われ得るということを実証するためのものである。
SacI及びEcoRV切断を使用してそれぞれTet1及びTet2遺伝子座を評価するRFLP分析を使用して、選択されたCas9 mRNA、sn1-casRNA-Tet1又はTet2/sn2-casRNA、及びオリゴヌクレオチド(上で列挙された組み合わせのそれぞれ)により標的化されていない対立遺伝子は影響を受けないということを実証する。
さらに、二重オリゴヌクレオチド注入を有する胚盤胞を、代理母マウス(foster mothers)に移植した。得られた子由来のゲノムDNAを、RFLP、サザンブロット分析、及び配列決定解析により評価して、Tet1及びTet2遺伝子の改変された制限部位を保有する胚盤胞を同定した。これらの分析の結果は、複数の遺伝子におけるゲノム修復改変を有するマウスが生成され得るということを実証するためのものである。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される方法は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例18
カチオン性分子を含む送達ベクターにおけるsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体
A. Cas9 mRNA及びsn1-casRNA/sn2-casRNA/sn3-casRNAの製造
哺乳動物発現のために最適化され、そして2つの核局在化配列(NLS)でC末端でタグ化されたCas9コード領域に、T7プロモーターを加える。T7プロモーターはPCR増幅により加えられる。T7-Cas9 PCR産物をゲル精製し、そして無細胞タンパク質発現のためのベクターにクローン化する(例えば、無哺乳動物細胞タンパク質発現のためのpT7CFE1-NFtagベクター、Life Technologies、Grand Island、NY)。Cas9タンパク質を発現させ、そして無細胞タンパク質発現系(例えば、1工程CHO 高収量 IVTキット、Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して単離し、そして無RNase水中に懸濁させる。
sn1-casRNA、sn2-casRNA、及びsn3-casRNA-AAVS-1をコードするDNA配列を、実施例1に記載されるように製造した。T7-sn-casRNA PCR産物をゲル精製し、そしてT7高収量RNA合成キット(New England Biolabs、Ipswich、MA)を使用してインビトロ転写のためのテンプレートして使用した。sn-casRNAを、GeneJet RNA精製及び濃縮キット(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して精製し、そして無RNase水で溶出した。
B. リボ核タンパク質複合体の形成
リボ核タンパク質(RNP)複合体を、2つの濃度で製造した、50pmol Cas9:150pmol sn-casRNA及び200pmol Cas9:600pmol sn-casRNA。当モル量の3つのsn-casRNA成分全てをアニーリング緩衝液(1.25mM HEPES、0.625mM MgCl2、9.375mM KCl pH7.5)で混合して、最終体積5μLで所望の濃度(150pmol又は600pmol)にし、2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り外し、そして室温まで平衡化させた。Cas9タンパク質を、結合緩衝液(20mM HEPES、100mM KCl、5mM MgCl2、1mM DTT、及び5% グリセロールpH7.4)中最終体積5μLで適切な濃度に希釈し、そして熱変性sn-casRNA 5μLと混合し、続いて37℃で30分間インキュベートしてsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体を形成した。
C. SC12CDClickpropylamineベクターsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体の製造
SC12CDClickpropylamine (カチオン性ベータシクロデキストリン;O’Mahony A.M.、et
al.、「Cationic and PEGylated Amphiphilic Cyclodextrins:Co-Formulation Opportunities for Neuronal Sirna Delivery」, PLoS ONE 8(6)、e66413 (2013))を量り取り、そしてクロロホルム(約1 mg/ml)に溶解し、次いで適切な体積で一緒に混合して、カチオン性対PEG化シクロデキストリンのモル比を得た(米国特許出願公開第2014-0079770号(2014年3月20日公開)。溶媒を窒素気流下で除去して、乾燥シクロデキストリン(CD)組成物を得た。
CD組成物を結合緩衝液(最終濃度約1 mg/ml)で再水和させ、そして1時間室温で超音波処理し、続いて結合緩衝液中のsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体を素早く加えた。結合緩衝液中のsn-casRNA/Cas9タンパク質複合体を等体積で加えた。この溶液を混合し、そして20〜30分間室温でインキュベートして、sn-casRNA/Cas9タンパク質複合体(CD-sn-casRNA/Cas9タンパク質)を含むCD組成物を得た。
D. リポソーム封入sn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体の製造
リポソームをcasRNA/Cas9タンパク質複合体を用いずに形成してネガティブコントロール(空リポソーム)を得た。
適切なサイズの丸底フラスコにおいて、リポソーム成分を加え、そして適切な溶媒又は溶媒混合物中で可溶化する。例のリポソーム成分は以下のとおりである:
リポソーム1:EPC (EtOH 溶液)及びコレステロール(EtOH溶液)を70/30のモル比で調製する。
リポソーム1-PEG:ステアリル化PEG2000(EtOH溶液)を加えて、リポソーム1の総脂質量(EPC+コレステロール)に対して5 mol%とする。
リポソーム2:DOTMA (EtOH溶液)、コレステロール(EtOH溶液)、及びEPC (EtOH溶液)を30/40/30のモル比で調製する。
リポソーム2-PEG:ステアリル化PEG2000(EtOH溶液)を加えて、リポソーム2の総脂質量(DOTMA+コレステロール+EPC)に関して5 mol%とする。
リポソーム3:DODAP (EtOH溶液)、コレステロール(EtOH溶液)、及びEPC (EtOH溶液)を30/40/30のモル比で加える。
リポソーム3-PEG:ステアリル化PEG2000 (EtOH溶液)を加えて、リポソーム3の総脂質量(DODAP+コレステロール+EPC)に対して5 mol%とする。
全ての成分を可溶化する量のEtOHを加える。フラスコを50〜100 rpmで回転するロータリーエバポレーターに取り付け、そして使用した脂質の最も高いゲル-液晶相転移(Tc)温度より高く設定された水浴に浸す。このフラスコを水浴で約1分間回転して平衡化させる。<10 Torrほどの低真空に吸引して、沈殿物なしにフラスコの壁に薄い乾燥膜を得る。残留溶媒を除去するために、室温で数時間又は終夜高真空にかける。
sn-casRNA/Cas9タンパク質複合体又はCD-sn-casRNA/Cas9タンパク質のいずれかの溶液を加えて、約2mM〜約0.5mMの間の最終脂質濃度を得た。脂質再水和を、室温で15分又はそれ以上行う。リポソームを約1分間超音波処理することにより製造した。
上の方法の手順により表19に示される粒子組成物及びリポソーム組成物が得られる。
E. 粒子組成物及びリポソーム組成物の特徴づけ
以下のような標準的方法を使用して、上記の粒子組成物及びリポソーム組成物を特徴づけした(例えば、Laouini、A.、et al.、「Preparation、Characterization and Applications of Liposomes:State of the Art」, Journal of Colloid Science and Biotechnology、1、147-168 (2012))。
(i) サイズ分析
粒子及びリポソームのサイズを標準的な技術により評価する。いくつかの技術が、リポソームサイズ及びサイズ分布を評価するために利用可能であり、これらとしては、顕微鏡技術、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、フィールドフローフラクショネーション及び静的又は動的光散乱が挙げられる。さらに、粒子サイズは、非変性アガロースゲル(例えば、1.5%アガロース、SYBR(R) Safe、Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して評価することができる。様々なサイズの粒子及びリポソームが様々な適用、例えば、培養での細胞トランスフェクション又は動物への治療的投与に有用である。
(ii) 電荷測定
粒子及びリポソームの平均サイズ及び電荷は、動的光散乱(DLS)を使用してZetasizer Nano ZS (Malvern、Westborough、MA)を用いて測定される。懸濁液中の全ての粒子が大きな負の又は大きな正のゼータ電位を有する場合、それらは互いに反発する傾向がある。したがって、凝集の傾向を低減又は排除する。しかし、低いゼータ電位値を有する粒子は、粒子の凝結を防止する力を有していない。
(iii) 形態学
組成物の形態は、透過電子顕微鏡法(TEM)、例えば、JEOL 2000 FXII透過電子顕微鏡(Jeol Ltd.、Tokyo、Japan)を使用して評価される。一般に、均一な粒子又はリポソーム形態を有する組成物が最も望ましい。
(iv) 凝集研究
粒子及びリポソームの凝集に対する塩含有培地及び血清の効果を、Opti-MEM(R)トランスフェクション培地(Life Technologies、Grand Island、NY)又はウシ胎仔血清のいずれか中で24時間37℃にて複合体をインキュベートすることにより評価する。サイズ測定を、Zetasizer Nano ZSを使用して行う。凝集が存在しないことは、しばしば望ましい品質である。しかし、いくつかの適用(例えば、トランスフェクション実験)では、いくらかの凝集は望ましいかもしれない。
(v) 封入効率
リポソーム調製物は、封入及び非封入CD-sn-casRNA/Cas9タンパク質又はsn-casRNA/Cas9タンパク質フラクションの混合物である。HPLC及びフィールドフローフラクショネーションを含むいくつかの技術は、封入効率の測定について知られている。典型的には、封入パーセントは、同じ初期濃度での参照標準に対する非封入ピーク面積の比として表される。この方法は、リポソームが製造後にいずれの精製も受けない場合に適用することができる。一般的な高度の封入効率は、治療適用におけるリポソームについての重要なパラメーターである。低封入効率は、非封入複合体を除去するために封入後の分離工程の組み込みを必要とする(例えば、透析、サイズ排除クロマトグラフィー又は限外濾過)。典型的には、45%より高い、より好ましくは80%より高い、そして最も好ましくは95%より高い封入効率が望ましい。
(v) インビボ活性
sn1-casRNA、sn2-casRNA、及びsn3-casRNA-AAVS-1を含む粒子組成物及びリポソーム組成物を、遺伝子修復のためにsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体を細胞中に送達するそれらの相対的能力について評価する。この実験のために、ドナーDNA分子を、粒子組成物及びリポソーム組成物のそれぞれの製造に含める。ドナーDNAは、AAVS1ポジティブコントロールEGIP 293Tレポーター細胞株(System Biosciences、Mountain View、CA)とともに使用するためのEGFPフラグメントである。他のレポーター系は、この分析における使用に適している。リポソーム組成物は、必要に応じて標準的技術を使用して濃縮される。
粒子組成物及びリポソーム組成物を細胞にトランスフェクトする。トランスフェクションの1日後に、抗生物質を含まない増殖培地に細胞をプレーティングする。細胞は、トランスフェクション時にコンフルエンスであるべきである。粒子組成物及びリポソーム組成物を、血清を含まないOpti-MEM(R) I培地(Life Technologies、Grand Island、NY)中に希釈して、一定範囲の濃度のsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体を得る。典型的に、体積約200 μlのこれらの懸濁液を、マルチウェルプレート中の細胞に適用する。細胞及び懸濁液を、プレートを前後に揺らすことにより穏やかに混合する。細胞を37℃でCO2インキュベーターにて5〜24時間インキュベートする。後日、完全増殖培地を細胞に加える。細胞を37℃でCO2インキュベーターにて試験の前24〜48時間細胞をインキュベートする。
遺伝子修復を、AAVS1ポジティブコントロールEGIP 293Tレポーター細胞株を使用して、EGFPドナーDNAのHDR効率をモニタリングするために評価する。sn3-casRNA-AAVS1 RNA配列は、sn-casRNA/Cas9タンパク質複合体を、高感度緑色蛍光阻害タンパク質(Enhanced Green Fluorescent Inhibited Protein)(EGIP)レポーター細胞株に組み込まれた53bp AAVS1配列を標的化して切断するように誘導する。EGIPは、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)の発現を不活化する終止コドンを中央に含む。活性sn-casRNA/Cas9タンパク質複合体の存在下で、EGFPドナーDNAは、標的部位で組み替えられ、そして相同組み換えによりEGFP遺伝子のオープンリーディングを修復する。AAVS1遺伝子座を標的化するsn-casRNAs/Cas9タンパク質複合体の切断効率は、Surveyorアッセイを使用して測定される。EGFP発現の修復の効率は、蛍光顕微鏡を使用してモニタリングされる。結果は、粒子組成物(sn-casRNA/Cas9タンパク質及びCD-sn-casRNA/Cas9タンパク質)及び空のリポソーム組成物と比較して、EGFP遺伝子発現のパーセントとして表される。インビボ活性研究の結果は、最適な粒子及び/又はリポソーム成分及び組成物の選択のための助言を提供する。
総合すれば、これらのデータは、本発明のsn-casRNA/Cas9タンパク質複合体の封入についてそれらの利点及び制限に従って最適なリポソーム組成物を選択するための基準の確立を可能にする情報を提供する。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される方法は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例19
真核細胞における標的改変の検出のためのさらなるディープシーケンシング分析
この実施例は、ヒト細胞において6つの選択された二本鎖DNA標的配列を改変するための、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CRISPR-Cas9 sgRNA及び2つの分断ネクサスポリヌクレオチド(本開示のsn1-casRNA及びsn2-casRNA)の使用を記載する。
A. 標的選択及びsn-casRNA試薬生成
6つの標的配列を、ヒトゲノムから編集のために選択した。標的部位は20ヌクレオチド長であり、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)CRISPR1/Cas9 PAM配列(5’ - NNAGAAW - 3’)の5’に存在し、ここで「N」は任意のヌクレオチドであり、そして「W」はアデニン、チミン、又はウラシル塩基である。選択された標的及びヒトゲノム座標(「Genome Reference Consortium」, National Center for Biotechnology Information、reference assembly GRCh37/hg19と比較して)を表20に示す。
標的配列を使用して、ストレプトコッカス・サーモフィルスsgRNA(sgRNAS.th)、ストレプトコッカス・サーモフィルスsn1-casRNA(sn1-casRNAS.th)及び付随するストレプトコッカス・サーモフィルスsn2-casRNA (sn2-casRNAS.th)についてスペーサーエレメントを設計した。二本鎖DNAテンプレート及びRNA成分を、本質的に以前に記載されるように(実施例1)製造した。sgRNA及びsn-casRNA配列を表21に列挙する。
C. sn1-casRNA/sn2-casRNA/Casタンパク質の複合体の形成
A NLS-タグ化ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)Cas9タンパク質を、細菌発現ベクターから大腸菌(E. coli)(BL21 (DE3))において発現させて、そしてアフィニティイオン交換及びサイズ排除クロマトグラフィーを使用してJinek、M.、et al.、(Science、337、816-21 (2012)に記載される方法に従って精製した。Cas9タンパク質のコード配列を、2つの核局在化配列(NLS)をC末端に含むように設計した。複合体を、三連で40pmol Cas9及びsgRNAS.th又はsn1-casRNAS.th/sn2-casRNAS.th 120pmolで構築した。sn1-casRNAS.th及びsn2-casRNAS.th成分を等モル量で混合して最終体積2.5μLで所望の濃度とし(120pmol)、2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り出して、室温まで平衡化させた。対照sgRNAsS.thを最終濃度(120pmol)に最終体積2.5μLで希釈し、2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り外し、そして室温まで並行化させた。Cas9タンパク質を結合緩衝液(20mM HEPES、100mM KCl、5mM MgCl2、1mM DTT、及び5% グリセロールpH7.4)中で適切な濃度に最終体積2.5μLで希釈し、そしてそれぞれ熱変性sgRNAS.th 又はsn1-casRNAS.th/sn2-casRNAS.th 2.5μLずつと混合し、続いて37℃で30分間インキュベートした。
D. sgRNAS.th/Cas9タンパク質及びsn1-casRNAS.th/sn2-casRNAS.th/Cas9タンパク質核タンパク質複合体を使用した細胞トランスフェクション及びディープシーケンシング
sgRNAS.th/Cas9タンパク質又はsn1-casRNAS.th/sn2-casRNAS.th/Cas9タンパク質核タンパク質複合体を、were transfected into HEK293細胞(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関、Manassas、VA)に、Nucleofector(R) 96ウェルShuttleシステム(Lonza、Allendale、NJ)を使用してトランスフェクトした。標的改変の検出のためのNucleofection及びディープシーケンシングを、本質的に以前に記載されるように(実施例4)行った。
6つの標的部位についてsgRNAS.th/Cas9及びsn1-casRNAS.th/sn2-casRNAS.th/Cas9編集について検出されたインデルを表2に示す。値は3つの技術的反復の平均である。
真核細胞における標的改変の検出のためのディープシーケンシングデータにより評価されたsn1-casRNA/sn2-casRNA/Casタンパク質核タンパク質複合体の細胞での活性について表22に示されたデータは、本明細書に記載されたCasタンパク質/sn1-casPN/sn2-casPN構築物が、細胞において標的二本鎖核酸のCas媒介部位特異的切断を促進するということを実証するデータを提供する。これらのデータは、本発明のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系が、細胞においてゲノム遺伝子座のCas媒介部位特異的切断を促進するということを支持する。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される方法は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
実施例20
代替のsn-casPN設計
この実施例は、選択された核酸標的配列と比較して、sn-casPN/化膿性連鎖球菌(S. pyogenese)Cas9タンパク質系のインビトロでの切断パーセントを評価及び比較するための代替のsn-casPN設計の使用を説明する。代替のsn-casPN設計の各々についてネクサスエレメントにおける異なる位置にネクサス骨格中の独特の分裂を有する 3つのsn-casPNを作製した。3つのsn-casPN設計を、生化学的切断活性を3つのヒトゲノムDNA標的に方向づけるそれらの能力について試験紙た。
標的二本鎖DNAを、以前に記載されたように(実施例2)製造した。3つ全ての標的配列を含む単一ゲノム領域を、ヒトゲノムDNA(gDNA)から増幅した。gDNAからの670bp標的化配列の増幅のために使用した順方向及び逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを表23に示す。
RNAについての二本鎖DNAテンプレートを以前に記載されたように(実施例1)製造した。670bpの標的化配列の切断は、標的-1について375bp及び295bp、標的-2について312bp及び359bp、並びに標的-3について215bp及び457bpのフラグメントサイズを生じた。この実施例について、sn-casRNA設計を、v2.2、v2.3、及びv2.4と名付ける。標的はtgt1 (標的-1)、tgt2 (標的-2)、及びtgt3 (標的-3)と示される。sgRNA及びsn-casRNA配列を表24に記載する。
各標的について対になったsn1-casRNA及びsn2-casRNA成分(表24)を、等モル量のアニーリング緩衝液(1.25mM HEPES、0.625mM MgCl2、9.375mM KCl pH7.5)中で混合し、2分間95℃でインキュベートし、サーモサイクラーから取り出し、そして室温まで平衡化させた。ポジティブコントロールsgRNAをアニーリング緩衝液中で適切な濃度まで希釈した。ネガティブコントロールsn1-casRNAのみの成分をアニーリング緩衝液中で適切な濃度に希釈した。
Cas9切断反応を行い、そして本質的に以前に記載されたように(実施例3)分析した。sn1-casRNA、sn2-casRNA、及びsgRNA成分は、反応において最終濃度 500nMであった。
表25は、代替のsn1-casRNA/sn2-casRNA設計を使用したCas9切断アッセイの結果を示し、ここでネクサス骨格の分裂が、ネクサスエレメント中の異なる位置に作製された。sn1-casRNA成分のみが存在した全てのネガティブコントール反応については、切断活性は観察されなかった(すなわち、検出限界未満)。
表25に示されるデータは、異なるsn1-casRNA/sn2-casRN対[ここで、各対は、ネクサスエレメント内の分断の異なる位置を表す]が、二本鎖DNA標的のインビトロCas9タンパク質媒介部位特異的切断を促進するということを実証する。
本明細書及び実施例の指導に従って、この実施例に記載される方法は、分断ネクサスエレメントを含むように本明細書に記載されるように改変されたそれらの同族ポリヌクレオチド成分と組み合わされたCas9及びCas9融合物を含むがこれらに限定されない他のII型CRISPR Cas9タンパク質を用いて当業者により実施され得る。
本発明の実施態様としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
1. Cas9タンパク質と複合体を形成し、DNA標的結合配列を含まない第二のDNA配列と比較して、DNA標的配列を含む第一のDNA配列に、Cas9タンパク質を優先的に結合させることができる2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含み、ここで2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドの少なくとも2つは、ネクサスステムエレメントを形成するために必要である、操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
2. Cas9タンパク質と複合体を形成し、DNA標的結合配列を含まない第二のDNA配列と比較して、DNA標的配列を含む第一のDNA配列をCas9タンパク質が優先的に切除するようにすることができる2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含み、ここで2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドの少なくとも2つは、ネクサスステムエレメントを形成するために必要である、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
3. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドが:
第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド及び第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチドを含み、ここで(i) 第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと第二のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、そして(ii) 第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは、それぞれ5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである、
実施態様1又は2に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
4. Cas9タンパク質と複合体を形成して、DNA標的結合配列を含まない第二のDNA配列と比較して、DNA標的配列を含む第一のDNA配列にCas9タンパク質を優先的に結合させることができる3つのポリヌクレオチドを含み、ここで3つのポリヌクレオチドの少なくとも2つは、ネクサスステムエレメントを形成するために必要である、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
5. Cas9タンパク質と複合体を形成し、DNA標的結合配列を含まない第二のDNA配列と比較して、DNA標的配列を含む第一のDNA配列をCas9タンパク質に優先的に切除させることができる3つのポリヌクレオチドを含み、ここで2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドの少なくとも2つは、ネクサスステムエレメントを形成するために必要である、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
6. 5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド、並びに
ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチド
[ここで、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができる];並びに
5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチド、[ここで、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができる];
を含み、
ここで、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドは、それぞれ5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである、
実施態様4又は5に記載された操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
7. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含み、2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドは、
Cas9タンパク質と複合体を形成し、PAM配列を含まないDNA配列と比較して、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含有するDNA配列に、Cas9タンパク質を優先的に結合させることができるtracrエレメントを含み、tracrエレメントは
(i) ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチドを含み、ここで、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、かつ(ii)第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは、それぞれ5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
8. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含み、2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドは、
Cas9タンパク質と複合体を形成し、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含まないDNA配列と比較して、PAM配列を含有するDNA配列を、Cas9タンパク質優先的に結合させそして切除させることができるtracrエレメントを含み、tracrエレメントは、
(i)ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチドを含み、ここでネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、かつ(ii)第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは、それぞれ5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
9. Cas9タンパク質と複合体を形成し、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含まないDNA配列と比較して、PAM配列を含有するDNA配列に、Cas9タンパク質を優先的に結合させることができるtracrエレメントを含み、tracrエレメントは、
5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド、並びに
ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチド、
[ここで、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができる];並びに
5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチド、[ここで、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができる]を含み;
ここで、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドは、それぞれ5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
10. Cas9タンパク質と複合体を形成し、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含まないDNA配列と比較して、PAM配列を含有するDNA配列を、Cas9タンパク質に優先的に切除させることができるtracrエレメントを含み、tracrエレメントは、
5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のポリヌクレオチド、並びに
ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第二のポリヌクレオチド
[ここで、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができる];並びに
5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチド、[ここで、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができる]を含み;
ここで、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドは、それぞれ5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
11. 5’末端及び3’末端を含む第一のポリヌクレオチド、[第一のポリヌクレオチドはネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iは、5’から3’の方向に、Nw-N1-N2-Nxを含み、ここでNwは第一の連結ヌクレオチド配列であり、ここでwは連結ヌクレオチド配列の長さであり、そしてwは2より大きいか又は2に等しく、N1はヌクレオチドであり、N2はヌクレオチドであり、そしてNxは第一の補助ポリヌクレオチドであり、ここでxは第一の補助ポリヌクレオチドの長さであり、そしてxは0より大きいか0に等しい];
5’末端及び3’末端を含む第二のポリヌクレオチド、[第二のポリヌクレオチドはネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、5’から3’の方向に、Ny-Nc2-Nc1-Nzを含み、ここでNyは第二の補助ポリヌクレオチドであり、ここでyは第二の補助ポリヌクレオチドの長さであり、そしてyは0より大きいか0に等しく、Nc2はN2に相補的であるヌクレオチドであり、Nc1はN1に相補的なヌクレオチドであり、そしてNzは第二の連結ヌクレオチド配列であり、ここでzは第二の連結ヌクレオチド配列であり、そしてzは0より大きいか又は0に等しい];
を含む2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含み、
ここで、(i)第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列及び第二のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列は、少なくともN1/Nc1とN2/Nc2との間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、かつ(ii)第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは別々のポリヌクレオチドである、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
12. 5’末端及び3’末端を含む第一のポリヌクレオチド、[第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iは、5’から3’の方向に、Nw-N1-N2-Nxを含み、ここでNwは第一の連結ヌクレオチド配列であり、ここでwは連結ヌクレオチド配列の長さであり、そしてwは2より大きいか2に等しく、N1はヌクレオチドであり、N2はヌクレオチドであり、そしてNxは第一の補助ポリヌクレオチドであり、ここでxは第一の補助ポリヌクレオチドであり、そしてxは0より大きいか又は0に等しい];
5’末端及び3’末端を含む第二のポリヌクレオチド、[第二のポリヌクレオチドは、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、5’から3’の方向に、Ny-Nc2-Nc1-Nzを含み、ここでNyは第二の補助ポリヌクレオチドであり、ここでyは第二の補助ポリヌクレオチドの長さであり、そしてyは0より大きいか又は0に等しく、Nc2はN2に相補的なヌクレオチドであり、Nc1はN1に相補的なヌクレオチドであり、そしてNzは第二の連結ヌクレオチド配列であり、ここでzは第二の連結ヌクレオチド配列の長さであり、そしてzは0より大きいか又は0に等しい];並びに
5’末端及び3’末端を含み、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチド
を含み;
ここで、(i)第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、少なくともN1/Nc1とN2/Nc2との間の塩基対水素結合によりネクサスステムエレメントを形成することができ、(ii)第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基
対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができ、かつ(iii)第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドは別々のポリヌクレオチドである、
操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
13. 第一のポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、第一のステムエレメント、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、ここで第一のステムエレメントが第一のヘアピンを含む、実施態様3、7、8、又は11のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
14. 第一のステムエレメントが、下部ステムエレメント、バルジエレメント、及び上部ステムエレメントをさらに含み、
ここで下部ステムエレメントはバルジエレメントに隣接しており、
バルジエレメントは上部ステムエレメントに隣接しており、
バルジエレメントは、下部ステムエレメントと上部ステムエレメントとの間に挿入され、そして
上部ステムエレメントは第一のヘアピンを含む、
実施態様13に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
15. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドが、
5’から3’の方向に、DNA標的結合配列及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチドをさらに含み、そして
第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、
ここで、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができ、そして
第三ポリヌクレオチド、第一のポリヌクレオチド、及び 第二のポリヌクレオチドは、それぞれ5’末端及び3’末端を含む別々のポリヌクレオチドである、
実施態様3、7、8、又は11のいずれか1項に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
16. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドが、
5’から3’の方向に、DNA標的結合配列、下部ステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチドをさらに含み、そして
第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメントヌクレオチド配列I、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、
ここで、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成することができ、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成することができる、
実施態様3、7、8、又は11のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
17. 第三のポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、DNA標的結合配列;下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第一のステムエレメントヌクレオチド配列II;バルジエレメントヌクレオチド配列II;及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み;そして
第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I;バルジエレメントヌクレオチド配列I;下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のステムエレメントヌクレオチド配列I;及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み;
ここで、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成することができ、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成することができる、
実施態様6、9、10、又は12のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
18. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドは、
DNA標的結合配列を含むスペーサーポリヌクレオチドをさらに含み、そして
第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、下部ステムエレメントヌクレオチド配列I、バルジエレメントヌクレオチド配列I、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I、ループエレメントヌクレオチド配列、上部ステムエレメントヌクレオチド配列II、バルジエレメントヌクレオチド配列II、下部ステムエレメントヌクレオチド配列II、及び第一のネクサスステムエレメントヌクレオチド配列をさらに含み、
ここで、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成することができ、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成することができる、
実施態様3、7、8、又は11のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
19. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドは、
DNA標的結合配列を含むスペーサーポリヌクレオチド、
第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチドをさらに含み、そして
第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含み、
ここで、第一のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第一のステムエレメントを形成することができる、
実施態様3、7、8、又は11のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
20. 2つ又はそれ以上のポリヌクレオチドが、
DNA標的結合配列を含むスペーサーポリヌクレオチド、
5’から3’の方向に、下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第一のステムエレメントヌクレオチド配列II;バルジエレメントヌクレオチド配列II;及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第三のポリヌクレオチド;
をさらに含み
第一のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I;バルジエレメント配列I;下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iを含む第一のステムエレメントヌクレオチド配列I;及びネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、
ここで、上部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により上部ステムエレメントを形成することができ、そして下部ステムエレメントヌクレオチド配列I及び下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIは、下部ステムエレメントヌクレオチド配列Iと下部ステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により下部ステムエレメントを形成することができる、
実施態様3、7、8、又は11のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
21. 第一のポリヌクレオチドが、第一のステムエレメントヌクレオチド配列Iの5’に位置する第一のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様6、9、10、12、15、又は19のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
22. 第三のポリヌクレオチドが、第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIの3’に位置する第二のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様21に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
23. 第三のポリヌクレオチドは、第一のステムエレメントヌクレオチド配列IIの3’に位置する第二のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様6、9、10、12、15、又は19のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
24. 第一のポリヌクレオチドが、上部ステムエレメントヌクレオチド配列Iの5’に位置する第一のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様16、17、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
25. 第三のポリヌクレオチドが、上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIの3’に位置する第二のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む、実施例24に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
26. 第三のポリヌクレオチドが、上部ステムエレメントヌクレオチド配列IIの3’に位置する第二のアクセサリーポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様16、17、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
27. 第二のポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II及び第二のステムエレメントを含み、ここで第二のステムエレメントはヘアピンを含む、実施態様3、又は6〜26のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
28. 第二のポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌ
クレオチド配列II、第二のステムエレメント、及び第三のステムエレメントを含み、ここで第三のステムエレメントはヘアピンを含む、実施態様27に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
29. 5’から3’の方向に、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列II及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列Iをさらに含む第二のポリヌクレオチド、並びに
第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含む第一の付属ポリヌクレオチド
をさらに含み、ここで第二のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第二のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第二のステムエレメントを形成することができる、実施態様3、又は6〜26のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
30. 第一の付属ポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、ループエレメントヌクレオチド配列及び第二のステムエレメントヌクレオチド配列IIをさらに含み、ここでループエレメントヌクレオチド配列の5’末端は、第二のステムエレメントヌクレオチド配列Iの3’末端に共有結合で結合される、実施態様29に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
31. 第一の付属ポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、第二のステムエレメントヌクレオチド配列II及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして
第二の付属ポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIを含み、ここで第三のステムエレメントヌクレオチド配列I及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIは、第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iと第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIとの間の塩基対水素結合により第三のステムエレメントを形成することができる、
実施態様29又は30に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
32. 第二の付属ポリヌクレオチドが、5’から3’の方向に、ループエレメントヌクレオチド配列及び第三のステムエレメントヌクレオチド配列IIをさらに含み、ここでループエレメントヌクレオチド配列の5’末端は、第三のステムエレメントヌクレオチド配列Iの3’末端に共有結合で結合される、実施態様31に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
33. 第一のポリヌクレオチドが、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iと3’で隣接した第一の補助ポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様3、又は6〜32のいずれかに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
34. 第二のポリヌクレオチドが、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIと5’で隣接した第二の補助ポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様33に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
35. 第二のポリヌクレオチドが、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIと5’で隣接した第二の補助ポリヌクレオチドをさらに含む、実施態様3、又は6〜32のいずれか1つに記載される操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
36. 第一の補助ポリヌクレオチドが、単鎖ポリヌクレオチド結合タンパク質の結合部位を含む、実施態様33に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
37. 単鎖ポリヌクレオチド結合タンパク質が、単鎖RNA結合タンパク質である、実施態様36に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
38. 第二の補助ポリヌクレオチドは、単鎖ポリヌクレオチド結合タンパク質の結合部位を含む、実施態様34又は35に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
39. 単鎖ポリヌクレオチド結合タンパク質が、単鎖RNA結合タンパク質である、実施態様38に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
40. 第一の補助ポリヌクレオチドがエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iを含み、そして第二の補助ポリヌクレオチドがエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列IIを含み、そしてエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列I及びエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列IIは、エフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとエフェクター結合エレメントヌクレオチド配列Iとの間の塩基対水素結合によりエフェクター結合エレメントを形成することができる、実施態様34に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
41. エフェクター結合エレメントが、二本鎖ポリヌクレオチドである、実施態様40に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
42. エフェクタータンパク質は、エフェクター結合エレメントに結合することができる、実施態様41に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
43. エフェクター結合エレメントは二本鎖RNAであり、そしてエフェクタータンパク質は、エフェクター結合エレメントに結合することができる二本鎖RNA結合タンパク質である、実施態様42に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
44. エフェクタータンパク質は、Cas5、Cas6、及びCsy4からなる群より選択されるタンパク質の触媒的に不活性なバリアントである、実施態様43に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
45. エフェクタータンパク質が、少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインを含む、実施態様43に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
46. 第一の補助ポリヌクレオチドがヘアピンを含む、実施態様3、又は6〜32のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
47. 第二の補助ポリヌクレオチドがヘアピンを含む、実施態様46に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
48. 第二の補助ポリヌクレオチドがヘアピンを含む、実施態様3、又は6〜32のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
49. 第一の補助ポリヌクレオチドが、第一の親和性ヌクレオチド配列をさらに含む、実施態様33又は34に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
50. ポリペプチドが、第一の親和性ヌクレオチド配列に共有結合で連結される、実施態様49に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
51. 第一の親和性ヌクレオチド配列がリガンドを含む、実施態様49に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
52. リガンドが、第一の親和性ヌクレオチド配列に共有結合で連結される、実施態様51に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
53. 第一の親和性ヌクレオチド配列がリガンド結合部分を含む、実施態様49に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
54. リガンド結合部分が第一の親和性ヌクレオチド配列に共有結合で連結される、実施態様53に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
55. 第二の補助ポリヌクレオチドが、第二の親和性ヌクレオチド配列をさらに含む、実施態様34又は35に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
56. ポリペプチドが第二の親和性ヌクレオチド配列に共有結合で連結される、実施態様55に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
57. 第二の親和性ヌクレオチド配列がリガンドを含む、実施態様55に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
58. リガンドが第二の親和性ヌクレオチド配列に共有結合で連結される、実施態様57に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
59. 第二の親和性ヌクレオチド配列がリガンド結合部分を含む、実施態様55に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
60. リガンド結合部分が、第二の親和性ヌクレオチド配列に共有結合で連結される、実施態様59に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
61. (i)ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iが2つの連続したヌクレオチドを含み、そしてネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIが、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iの2つの連続したヌクレオチドに相補的な2つの連続したヌクレオチドを含み、そして(ii)ネクサスステムエレメントが、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iの2つの連続したヌクレオチドとネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIの2つの連続したヌクレオチドとの間に塩基対水素結合を含む、実施態様3、6、7、8、9、又は10のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
62. ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iの2つの連続したヌクレオチドが、プリン塩基を含むヌクレオチド及びプリン塩基を含むヌクレオチド、ピリミジン塩基を含むヌクレオチド及びピリミジン塩基を含むヌクレオチド、並びにプリン塩基を含むヌクレオチド及びピリミジン塩基を含むヌクレオチドからなる群より選択される、実施態様61に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
63. ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列Iは2つの連続したヌクレオチドを含み、第一のヌクレオチド(N1)は第二のヌクレオチド(N2)に連続しており、ここでN2はN1の3’であり、そして
ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIは、2つの連続したヌクレオチドを含み、第一のヌクレオチド(Nc1)は第二のヌクレオチド(Nc2)と連続しており、ここでNc1はNc2の3’であり、
ここでネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IのN1-N2は、ネクサスステムエレメントヌクレオチド配列IIのNc1-Nc2に対して相補的である、
実施態様3、6〜10、又は13〜60のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
64. N1がプリン塩基を有し、N2がプリン塩基を有し、Nc1がピリミジン塩基を有し、そしてNc2がピリミジン塩基を有する、実施態様11、12、又は63のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
65. N1のプリン塩基がアデニンであり、N2のプリン塩基がアデニンであり、Nc1のピリミジン塩基がチミン又はウラシルであり、そしてNc2のピリミジン塩基がチミン又はウラシルであり、ここでNc1のピリミジン塩基及びNc2のピリミジン塩基は同じである、実施態様64に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
66. N1のプリン塩基はグアノシンであり、N2のプリン塩基はグアノシンであり、Nc1のピリミジン塩基はシトシンであり、そしてNc2のピリミジン塩基はシトシンである、実施態様64に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
67. N1はピリミジン塩基を有し、N2はピリミジン塩基を有し、Nc1はプリン塩基を有し、そしてNc2はプリン塩基を有する、実施態様11、12、又は63のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
68. N1のピリミジン塩基がチミン又はウラシルであり、N2のピリミジン塩基がチミン又はウラシルであり、Nc1のプリン塩基がアデニンであり、そしてNc2のプリン塩基がアデニンであり、ここでN1のピリミジン塩基及びN2のピリミジン塩基は同じである、実施態様67に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
69. N1はピリミジン塩基を有し、N2はプリン塩基を有し、Nc1はプリン塩基を有し、そしてNc2はピリミジン塩基を有する、実施態様11、12、又は63のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
70. N1はプリン塩基を有し、N2はピリミジン塩基を有し、Nc1はピリミジン塩基を有し、そしてNc2はプリン塩基を有する、実施態様11、12、又は63のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
71. 第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは、RNA塩基、DNA塩基、又はRNA塩基及びDNA塩基の組み合わせを含む、実施態様3、7、8、11、13、14、又は18のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
72. 第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドは、RNA塩基、DNA塩基、又はRNA塩基及びDNA塩基の組み合わせを含む、実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
73. 操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの少なくとも1つは、RNA塩基、DNA塩基、又はRNA塩基及びDNA塩基の組み合わせを含む、実施態様1〜70のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
74. 第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドはRNAを含む、実施態様3、7、8、11、13、14、又は18のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
75. 第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドはRNAを含む、実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
76. 操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドはRNAを含む、実施態様1〜70のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
77. 少なくとも1つの操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドは5’末端配列及び/又は3’末端配列を含み、そして5’末端配列、3’末端配列、又は5’末端配列及び3’末端配列は、エキソヌクレアーゼ抵抗性部分を含む、実施態様1〜76のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
78. 第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドが、ホスホロチオアート核酸、ペプチド-核酸、トレオース核酸、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様3、7、8、11、13、14、又は18のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
79. 第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドが、ホスホロチオアート核酸、ペプチド-核酸、トレオース核酸、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
80. 少なくとも1つの操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドは、ホスホロチオアート核酸、ペプチド-核酸、トレオース核酸、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様1〜70のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
81. 第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドの少なくとも1つが環状である、実施態様3、7、8、11、13、14、又は18のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
82. 第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドの少なくとも1つが環状である、実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
83. 第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、及びスペーサーポリヌクレオチドの少なくとも1つが環状である、実施態様19又は20に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
84. Cas9タンパク質をさらに含み、ここで第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドがRNAを含み、そして第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドがCas9タンパク質と複合体を形成している、実施態様3、7、8、11、13、14、又は18のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
85. Cas9タンパク質をさらに含み、ここで第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドはRNAを含み、そして第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドは、Cas9タンパク質と複合体を形成している、実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
86. Cas9タンパク質をさらに含み、ここで操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの少なくとも1つがCas9タンパク質と複合体を形成している、実施態様1〜83のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
87. Cas9タンパク質コード配列をさらに含む、実施態様1〜83のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
88. Cas9タンパク質をさらに含む、実施態様1〜83のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
89. 操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系のポリヌクレオチドと複合体を形成しているCas9タンパク質をさらに含む、実施態様88に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系。
90. 実施態様3、7、8、11、13、14、又は18のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系を製造する方法であって、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、又は第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドの両方を化学的に合成することを含む、上記方法。
91. 実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系を製造する方法であって、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、又はそれらのいずれかの組み合わせを化学的に合成することを含む、上記方法。
92. 実施態様1〜89のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系を製造する方法であって、操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの少なくとも1つを化学的合成することを含む、上記方法。
93. 実施態様76に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの1つ又はそれ以上をコードする1つ又はそれ以上のDNA配列に作動可能に連結された転写プロモーター
を含む、1つ又はそれ以上の発現カセット。
94. Cas9タンパク質コード配列に作動可能に連結された転写プロモーター及び翻訳制御配列を含むDNA配列を含む発現カセットをさらに含む、実施態様93に記載の1つ又はそれ以上の発現カセット。
95. 実施態様75に記載の第一のポリヌクレオチドをコードする第一のDNA配列に作動可能に連結された転写プロモーター、実施態様75に記載の第二のポリヌクレオチドをコードする第二のDNA配列に作動可能に連結された転写プロモーター、及び実施態様75の第三のポリヌクレオチドをコードする第三のDNA配列に作動可能に連結された転写プロモーターを含む、1つ又はそれ以上の発現カセット。
96. Cas9タンパク質コード配列に作動可能に連結された転写プロモーター及び翻訳制御配列を含む第四のDNA配列を含む、実施態様95に記載の1つ又はそれ以上の発現カセット。
97. 実施態様93に記載の1つ又はそれ以上の発現カセットを含む、組み換え細胞。
98. 実施態様95の1つ又はそれ以上の発現カセットを含む、組み換え細胞。
99. 操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの少なくとも1つがDNA配列から転写される、実施態様97に記載の組み換え細胞。
100. 第一のポリヌクレオチドは第一のDNA配列から転写され、第二のポリヌクレオチドは第二のDNA配列から転写され、そして第三のポリヌクレオチドは第三のDNAから転写される、実施態様98に記載の組み換え細胞。
101. 実施態様94に記載の1つ又はそれ以上の発現カセットを含む、組み換え細胞。
102. 実施態様96の1つ又はそれ以上の発現カセットを含む、組み換え細胞。
103. 操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの少なくとも1つがDNA配列から転写され、そしてCas9タンパク質が組み換え細胞において発現される、実施態様101に記載の組み換え細胞。
104. 第一のポリヌクレオチドが第一のDNA配列から転写され、第二のポリヌクレオチドが第二のDNA配列から転写され、第三のポリヌクレオチドが第三のDNAから転写され、そしてCas9タンパク質が組み換え細胞において発現される、実施態様102に記載の組み換え細胞。
105. 細胞が、植物細胞、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞、藻類細胞、又は哺乳動物細胞である、実施態様97〜104のいずれか1つに記載の組み換え細胞。
106. 細胞が、モロコシ、ダイズ、コメ、コムギ、トウモロコシ、油を産出するアブラナ属、ワタ、サトウキビ、ヒマワリ、アワ(millet)、及びアルファルファからなる群より選択される植物の植物細胞である、実施態様105に記載の組み換え細胞。
107. 1つ又はそれ以上の発現カセットの少なくとも1つの発現カセットが、組み換え細胞のゲノムDNA中の部位に組み込まれている、実施態様97〜106のいずれか1つに記載の組み換え細胞。
108. 第二のポリヌクレオチドをコードする第二のDNA配列を含む発現カセットが、組み換え細胞のゲノムDNA中の部位に組み込まれており、そしてCas9タンパク質コード配列に作動可能に連結される転写プロモーター及び翻訳制御配列を含むDNA配列を含む発現カセットが、組み換え細胞のゲノムDNA中の部位に組み込まれている、実施態様107に記載の組み換え細胞。
109. 発現ベクターが、1つ又はそれ以上の発現カセットの少なくとも1つを含む、実施態様107に記載の組み換え細胞。
110. 発現ベクターが、1つ又はそれ以上の発現カセットの少なくとも1つを含む、実施態様97〜106のいずれか1つに記載の組み換え細胞。
111. 実施態様76に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの1つ又はそれ以上をコードする1つ又はそれ以上のDNAを含む、組み換え細胞。
112. 実施態様75に記載の第一のポリヌクレオチドをコードする第一のDNA配列、実施態様75に記載の第二のポリヌクレオチドをコードする第二のDNA配列、及び実施態様75に記載の第三のポリヌクレオチドをコードする第三のDNA配列を含む、組み換え細胞。
113. 実施態様76に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系及びCas9タンパク質を含み、ここで操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドの1つ又はそれ以上及びCas9タンパク質が複合体を形成している、組み換え細胞。
114. 実施態様75に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系、及びCas9タンパク質を含み、ここで第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、及びCas9タンパク質が複合体を形成している、組み換え細胞。
115. 組み換え細胞から、操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドを単離することを含む、実施態様99に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチドを製造する方法。
116. 第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチドを組み換え細胞から単離することを含む、実施態様100に記載の第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドを製造する方法。
117. 実施態様1〜83のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の1つ又はそれ以上の操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチド、及び操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の使用についての指示書を含むキット。
118. Cas9タンパク質をさらに含む、実施態様117に記載のキット。
119. 実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、及び第三のポリヌクレオチド、並びに操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の使用についての指示書を含むキット。
120. Cas9タンパク質をさらに含む、実施態様119に記載のキット。
121. 実施態様93、94、95、又は96に記載の1つ又はそれ以上の発現カセット、及び操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系の使用についての指示書を含むキット。
122. 発現ベクターが、1つ又はそれ以上の発現カセットの少なくとも1つを含む、実施態様121に記載のキット。
123. Cas9タンパク質;実施態様76に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系[ここで、操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系ポリヌクレオチドの1つ又はそれ以上が、Cas9タンパク質と複合体を形成している];及び薬学的に許容しうる添加剤
を含む、医薬組成物。
124. Cas9タンパク質;実施態様75に記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系、[ここで、第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチドは、Cas9タンパク質と複合体を形成している];及び薬学的に許容しうる添加剤
を含む、医薬組成物。
125. 実施態様93、94、95、96のいずれか1つに記載の1つ又はそれ以上の発現カセット;及び薬学的に許容しうる添加剤
を含む、医薬組成物。
126. 実施態様1〜83のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系、及びCas9タンパク質と、DNA標的配列を接触させることを含む、
DNAを改変する方法であって、
ここで、操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチド及びCas9タンパク質は複合体を形成し、該複合体が、DNA標的配列に結合して切除し、DNAの改変を生じる、上記方法。
127. 真核細胞においてゲノムDNAを改変するインビボでの方法である、実施態様126に記載の方法。
128. 生物から単離された真核細胞においてゲノムDNAを改変するエクスビボでの方法である、実施態様126に記載の方法。
129. ゲノムDNA中のDNA標的配列を、ドナーDNAテンプレートと接触させることをさらに含み、ここで、改変が、ドナーDNAテンプレートの少なくとも一部をDNA標的配列に組み込むことを含む、実施態様126〜128のいずれか1つに記載の方法。
130. 標的化ベクターがドナーDNAテンプレートを含む、実施態様129に記載の方法。
131. DNA中のDNA標的配列を、実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系、及びCas9タンパク質と接触させることを含み、
ここで、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリヌクレオチド、及びCas9タンパク質は複合体を形成し、該複合体がDNA標的配列に結合して切除し、DNAの改変を生じる、
DNAを改変する方法。
132. 真核細胞においてゲノムDNAを改変するインビボでの方法である、実施態様131に記載の方法。
133. 生物から単離された真核細胞においてゲノムDNAを改変するエクスビボでの方法である、実施態様131に記載の方法。
134. ゲノムDNA中のDNA標的配列を、ドナーDNAテンプレートと接触させることをさらに含み、ここで、改変が、ドナーDNAテンプレートの少なくとも一部をDNA標的配列に組み込むことを含む、実施態様131〜133のいずれか1つに記載の方法。
135. 標的化ベクターがドナーDNAテンプレートを含む、実施態様134に記載の方法。
136. 転写制御エレメントを含む遺伝子の発現を調節する方法であって:
遺伝子中のDNA標的配列を、実施態様1〜83のいずれか1つに記載の操作されたII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系、及びCas9タンパク質と接触させることを含み、
ここで、操作されたII型CRISPR-Cas9ポリヌクレオチド及びCas9タンパク質は複合体を形成し、該複合体はDNA標的配列に結合して遺伝子の発現の調節を生じる、上記方法。
137. Cas9タンパク質がヌクレアーゼ欠損Cas9である、実施態様136に記載の方法。
138. 複合体が融合タンパク質をさらに含む、実施態様136又は137に記載の方法。
139. 転写制御エレメントを含む遺伝子の発現を調節する方法であって:
遺伝子中のDNA標的配列を、実施態様6、9、10、12、15、16、17、19、又は20のいずれか1つに記載のII型CRISPR-Cas9関連分断ネクサスポリヌクレオチド系、及びCas9タンパク質と接触させることを含み、
ここで、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチド、第三のポリペプチド及びCas9タンパク質は複合体を形成し、該複合体は、DNA標的配列に結合して遺伝子の発現の調節を生じる、上記方法。
140. Cas9タンパク質がヌクレアーゼ欠損Cas9である、実施態様139に記載の方法。
141. 複合体がCas9融合タンパク質をさらに含む、実施態様139又は140に記載の方法。
142. いずれか1つ又は実施態様93、94、95、若しくは96の1つ又はそれ以上の発現カセットを含む、ベクター。
143. ベクターが、細菌ベクター、酵母ベクター、藻類ベクター、昆虫細胞ベクター、哺乳動物ベクター、及びウイルスベクターからなる群より選択される、実施態様142に記載のベクター。
当業者に明らかなように、上の実施態様の様々な改変及び変形が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得る。このような改変及び変形は本発明の範囲内である。