JP2018520455A - レドックスフロー電池用の有機電解質化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、レドックス電解質化合物に関する。本発明は、さらに、カソード液およびアノード液のいずれか一方または双方が、本発明のレドックス電解質化合物を含んでなる、レドックスフロー電池に関する。本発明は、さらに、前記レドックスフロー電池を制御する方法および前記レドックスフロー電池のエネルギー貯蔵のための使用に関する。

Description

本発明は、有機電解質化合物の分野、より詳細には、レドックスフロー電池に適した有機電解質化合物の分野に含まれる。
化石燃料を燃やすことによる環境への影響の懸念から、太陽光や風力などのエネルギー源から発生される再生可能エネルギーの使用が増大している。しかしながら、このような再生可能エネルギー源は間歇的であるという性質は、これらのエネルギー源を電力網および配電網に完全に統合することを困難にしている。この問題の解決策は、太陽光や風力のエネルギー源に由来する再生可能エネルギーの信頼性、電力品質および経済性を改善する効果的なアプローチであると広く認められている大規模な電気エネルギー貯蔵(EES)システムを採用することであった。最も有望な大規模EES技術の中にレドックスフロー電池がある。レドックスフロー電池は、メガワット時(MWhs)の電気エネルギーを繰り返し貯蔵し、このエネルギーを化学エネルギーに変換し、そして必要に応じて化学エネルギーを電気エネルギーに変換し戻す特別な電気化学システムである。
レドックスフロー電池における一般的な電気化学セル構成には、分離されたタンク内でイオン交換膜によって隔てられた正極および負極と、一般に「カソード液」および「アノード液」とそれぞれ呼ばれる2つの循環する電解質溶液である正極電解質および陰極電解質のフローストリームとが含まれる。電気エネルギーと化学ポテンシャルとの間のエネルギー変換は、電解質溶液がセルに流入すると直ちに電極で起こる。レドックスフロー電池の再充電は、レドックス液体の流れを逆転させ、電気化学リアクターに電流を印加することによって行うことができる。一般的なレドックスフロー電池は、アノード液としてFe3+/Fe2+塩を含み、カソード液としてCr2+/Cr3+を含むレドックス系に基づくものである。しかしながら、電極を隔てるイオン選択膜は、クロムカチオンに対して完全には不透過性でなく、操作時間がいくらか経過した後に、クロム種が鉄コンパートメント内に拡散し、その逆もあることから、レドックスフロー電池の寿命は短くなる。
そうであるとはいえ、レドックスフロー電池は、容量(エネルギー)と電流(電力)とを容易に切り離すことができ、ひいては容易にスケールアップすることができるため、好ましい大規模EES技術である。つまり、エネルギーは、タンクの数または大きさを増大させることによって増大させることができるのに対して、電力は、電解質リザーバの大きさを変更するのではなく、集電体の数および大きさを制御することによって制御される。しかしながら、双方のアプローチは、大型ポンプなどの、他のいくつかある問題の中でも、重くて巨大なタンクを使用すること意味する。それゆえ、電解質溶液中のレドックス対の溶解度を最大にする適切な化学作用を用いることによってレドックスフロー電池のエネルギーおよび電力を最適化するための広範な研究が開発されている。溶解度の向上が非常に重要なのは、還元および酸化されたイオン種の物質輸送を向上させることで、より高い電流密度(電力)でフロー電池において充放電が生じるのと、レドックスイオンの濃度が高いほど、セルのエネルギー密度が高くなるからである。レドックスフロー電池において広く用いられているバナジウムベースのレドックス化学作用は、約2mol/l(1.26V;25〜40Wh/Kg)の溶解度を示す。8mol/lのヨウ化亜鉛が、ポリヨウ化亜鉛電解質ベースの系に溶解することができるが、これらは、大型の電気化学リアクターに固体亜鉛の堆積が生じることから、完全にはレドックスフロー型ではない[B. Li et al., Nature Communications 6, 6303 (2015)]。似たような制限が、亜鉛臭素系(1.2V;80Wh/Kg)に適用される[M. Skyllas-Kazacos et al., J. Electrochem. Soc. 158 (8) R55-R79 (2011)]。
リチウムイオンベースの化学作用はまた、例えば、有機溶媒中のそれぞれカソード液およびアノード液として、高電圧および低電圧の高容量リチウムイオン層間化合物を含有する高密度スラリーを用いて、レドックスフロー電池におけるエネルギー密度を増大させることが証明されている[M. Duduta et al., Adv. Energy Mater. 1, 511-516 (2011)]。液体電解質中に可燃性有機溶媒を使用することに関する高い粘度および安全性の問題が、上記の系の顕著な欠点である。あるいは、金属性アルカリ金属(すなわち、LiまたはNa)からイオン伝導性固体(セラミック)電解質によって分離されたカソード液側にアルカリ金属レドックス活性イオンを含有する水系電解質を使用することが提案されている[Y. Lu et al., J. Mater. Chem. 21, 10113 (2011)]。しかしながら、セラミック電解質を通るリチウムイオンの低い伝導性を向上させる必要がある。したがって、バナジウムなどの水系レドックスフロー電池(VRB)は、依然としてレドックスフロー電池において最も広範な化学作用を有する。しかしながら、これらの水性レドックスフロー電池において使用される電気活性材料のいくつかは、高価で、リサイクルが難しく、希少で毒性がある(すなわち、バナジウムのような貴金属および濃硫酸のような非常に攻撃的な化学物質の存在)。
レドックス反応中にπ電子の非局在化を可能にする共役炭素−炭素骨格によって結合されたアクセプター(すなわちケト−カルボニル)基またはドナー(すなわち、エノール/アルコール、アミン−N−H、チオール)基を有するカルボニル化合物も代わりに提案されている。これらの有機レドックス対は、バナジウムイオンよりも少なくとも1桁高い速度定数を有する可逆的かつ複数のプロトン共役電子移動反応を受ける。しかしながら、アクセプターおよびドナー官能基を同時に有するためには、2つの異なる有機分子を使用する必要がある[B. Yang et al., J. Electrochem. Soc. 161, (9) A1371-A1380, (2014)]。さらに、これらの化合物は、水への溶解度が制限されている[P. Fanjul-Bolado et al., Electrochim. Acta 53, 3635-3642, 2008]。水へのこの低い溶解度は、単純な化学反応によって有機骨格にスルホン酸官能基またはヒドロキシル官能基を組み込むことによって克服することができる。化学置換基が存在することで、有機分子の標準還元電位を調整することや、場合によってはフローセルのエネルギー密度を大きくすることも可能である。近頃、アジズ(Aziz)とその同僚[B. Huskinson et al., Nature, 505, 195-198 (2014)]が、低コストのキノン−ジスルホン酸誘導体、より具体的には、酸化された9,10−アントラキノン−2,6−ジスルホン酸をアノード液としてハイブリッド有機無機セル中で用いることによって、金属不含の水系フロー電池における高エネルギー貯蔵効率を示していた。しかしながら、この系で臭素を酸化剤として用いることは、毒性および腐食性があるゆえに危険な問題である。近頃、全有機セルにおけるアノード液およびカソード液としてのアントラキノン−2,6−ジスルホン酸および1,2−ベンゾキノン−3,5−ジスルホン酸のそれぞれもまた出版されていた[B. Yang et al., J. Electrochem. Soc. 161, 9, A1371-A1380, 2014]。両文献において、2プロトン共役電子移動反応(two proton-coupled-electron transfer reaction)が、酸媒体中のキノン分子について1Mまでの最大溶解度で立証されていた。さらに、無機のペアに関しては、双方の有機部分に対して膜の完全な排除率がないことから、アノード液とカソード液とは最終的に互いに拡散し合い、それに応じてエネルギー密度が減少し、ひいては必要とされるタンクの大きさが増大することになる。
アントラキノン誘導体、特にアントラキノン−2−スルホナートの化合物が、NHまたはNH含有ガス混合物を検出するための電気化学ガスセンサー用の液体電解質の成分として使用されることも、国際公開第2015/032480号に開示されている。前記アントラキノン誘導体ならびにインジゴポリスルホナートが、レドックス中心と微生物燃料電池における作用電極との間の良好な平衡を保証するために、水性レドックス電解質中のレドックスメディエーターとしても使用されている(Kengo Inoue et al., Appl. Env. Microbiol., 2010, 76(12), 3999-4007)。
上記を考慮して、市場の必要性を満たすために、高い水溶性、速い反応速度および関連する可逆的かつ複数のプロトン共役電子移動レドックス反応を有し、一体的にアノード液および/またはカソード液として用いられることができ、ひいては膜漏出を低減させる、低コストかつ非毒性のレドックス電解質化合物を開発する必要がある。
本発明は、上記の先行技術の問題点および必要性を考慮して開発されたものである。それゆえ、本発明の目的は、高い水溶性および電気化学活性を有する金属不含のレドックス電解質化合物を提供することである。
本発明者らは、同じ分子中にアクセプターおよびドナー官能基を有するバット染料系化合物が、3つの酸化還元状態を示す高水溶性の化合物であることを見出した。それらは、市販のバット染料の誘導体であることから、現在使用されているレドックス電解質よりも環境に優しく、安価で、かつ商品化され易い。
これらのバット染料系化合物はまた、特定の置換パターンを有することを特徴としており、これにより、本明細書の実験の箇所で指摘しているように、分子中に異なる置換基を有する他の染料系化合物よりも良好な電気化学性能を有する前記化合物が提供される。
それゆえ、本発明の第一の態様は、以下の化合物群から選択される化合物、その塩またはその異性体を含んでなる、レドックス有機電解質:
Figure 2018520455
(式中、
〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO であり、
7〜R14は、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R7〜R14のうちの2つは、SO であり、
15およびR16は、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択され、そしてMは、H、Li、Na、1/2Mg++、1/2Ca++、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物から選択されるカチオンである)に関する。
第二の態様において、本発明は、以下の化合物群から選択される化合物、その塩またはその異性体:
Figure 2018520455
(式中、
〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO であり、
7〜R14は、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R7〜R14のうちの2つは、SO であり、
15およびR16は、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択され、そしてMは、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよびイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンである)に関する。
本発明の更なる態様は、カソードおよびカソード液を含むカソードセルと、アノードおよびアノード液を含むアノードセルと、カソードセルとアノードセルとの間に配置されたイオン交換膜とを備えてなるレドックスフロー電池に関し、ここで、カソード液またはアノード液のいずれか一方が、上記で定義されるレドックス有機電解質を含む。
本発明のレドックス電解質中に含まれる化合物は、同じ共役有機骨格中にドナー基とアクセプター基の双方を含むことから、レドックスフロー電池中のアノード液およびカソード液と同じ電解質を使用することが可能であり、系の価格、ひいてはエネルギーコストが下がる。さらに、前記化合物のいくつかは、非酸性条件を動作のために使用することを可能にし、例えばバナジウムベースの系により現在達成されているものよりも腐食性の低い媒体が使用可能になる、
それゆえ、更なる態様において、本発明は、カソードおよびカソード液を含むカソードセルと、アノードおよびアノード液を含むアノードセルと、場合により、カソードセルとアノードとの間に配置されたイオン交換膜とを備えてなるレドックスフロー電池に関し、ここで、カソード液およびアノード液の双方が、上記で定義されるのと同じレドックス有機電解質を含む。
さらに、本発明の別の態様は、エネルギー貯蔵における先に定義したレドックスフロー電池の使用に関する。
最後に、本発明の別の態様は、レドックスフロースーパーキャパシタ、エレクトロクロミックディスプレイおよび光化学セルを調製するための、上記で定義されるレドックス有機電解質の使用に関する。
本発明の単一成分レドックスフロー電池の略図である。 イオン交換を示す図である。(a)電気化学的に活性なTKEN化合物の合成中に得られた酸−塩基滴定曲線;ならびに(b)〜(d)H(実線)、TKEN(一点短鎖線)およびTKMP(破線)カチオンを有するインジゴ、アリザリンおよびキニザリンのスルホン化塩のIRスペクトル。 レドックス活性塩の溶解度を示す図である。室温での異なる水性媒体中の各カルボニル含有有機染料の最大濃度。(a)インジゴおよび(b)ビスキノン誘導体。 インジゴ誘導体の3電極セル測定を示す図である。異なるpHでの水溶液中のインジゴ誘導体のサイクリックボルタモグラムであって、(a)は、pH7のBR水性緩衝溶液中のインジゴおよびインジゴカルミンの最初のサイクルであり、(b)は、pH3および9(サイクル1および10)のBR中のプロトン化されたインジゴカルミンであり、(c)は、pH6.5の脱イオン水中およびpH7のBR中のプロトン化されたインジゴカルミンであり、(d)は、pH7のBR溶液中のインジゴ−TKEN(上方)およびインジゴ−TKMP(下方)であり(d)、かつ(e)は、インジゴカルミンとトリ−およびテトラスルホン化インジゴとの比較である。Ptを対極として用い、Ag/AgClを参照電極として用いた;掃引速度=200mVs−1 3電極セル構成を用いることによるビスキノン誘導体の電気化学特性評価を示す図である。0.1M HClOを含有する水溶液中でのサイクリックボルタモグラムであって、(a)は、キニザリンおよびキニザリン−SONaを指し、(b)は、アリザリンよびアリザリンSレッドを示し、(c)は、プロトン化および交換されたキニザリンを指し、(d)は、テトラヒドロキシル置換アンモニウムおよびホスホニウムカチオンでプロトン化および交換されたアリザリンSレッド(Alizarin S. Red)を指し、かつ(e)は、アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム塩およびアントラルフィン1,5−ジヒドロキシアントラキノンに対するアリザリンとキニザリンとの比較を指す。(Ptを対極として用い、Ag/AgClを参照電極として用いた;掃引速度=200mVs−1 TKEN誘導塩の示差走査熱量測定(DSC)を示す図である。(a)TKEN−Br、(b)インジゴカルミン−TKEN、(c)アリザリンSレッド−TKENおよび(d)キニザリン−SO−TKEN塩誘導体についての、最初の加熱−冷却サイクルに対応するDSCトレース。
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語および学術用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
レドックス有機電解質
本発明は、以下の化合物群から選択される化合物、その塩またはその異性体を含んでなる、レドックス有機電解質:
Figure 2018520455
(式中、
〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO であり、
7〜R14は、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R7〜R14のうちの2つは、SO であり、
15およびR16は、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択され、そしてMは、H、Li、Na、1/2Mg++、1/2Ca++、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物から選択されるカチオンである)に関する。
本発明の文脈において、「塩」という用語は、イオン形態におけるまたは対イオン(カチオンもしくはアニオン)に荷電および結合した上記で定義されるレドックス電解質化合物の任意の形態と理解されるべきである。適切な塩の非限定的な例は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。
本発明の文脈において、本明細書中で使用される「異性体」という用語は、構造異性体および双性イオン異性体を含む。
構造異性体は、互変異性体と呼ばれる。具体的には、「互変異性体」という用語は、平衡状態で存在し、ある異性体型から別の異性体型に容易に変換される化合物の2つ以上の構造異性体のうちの1つを指す。本発明において使用される化合物(i)および(ii)の特定のケースにおいては、ケト−エノール互変異性体対(ケト型とエノール型との間の平衡)が存在してもよい。構造異性体(互変異性体)への相互変換は、プロトンの移動および単結合と隣接する二重結合との調整を伴う分子内酸−塩基化学反応によって起こる。
さらに、本発明において使用される化合物は、双性イオン異性体として存在してもよい。本発明において使用される式(iii)の化合物の特定のケースにおいては、対応する双性イオン分子が存在していてよく、それらは電気的に中性であって、窒素原子および酸素原子のそれぞれに局在した正電荷および負電荷を含む。
本発明の文脈において、「C〜Cアルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素から誘導され、かつ1〜6つの炭素原子を有する一価の基を指す。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびヘキシルが含まれる。
本発明の文脈において、「少なくとも1つのハロゲン」とは、アルキル基の少なくとも1つの水素原子が、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素で置換されている基を指す。
本発明の文脈において、「アルキル鎖中の少なくとも酸素原子または窒素原子」とは、アルキル鎖中に挿入された、すなわち、アルキル基の2つの炭素原子間に位置する窒素原子または酸素原子を指す。
式(i)〜(iii)の有機化合物は、バット染料誘導体である。バット染料は、それらが適用される方法に基づきそのように分類される染料の一種である。バット染色は、容器またはバット中で行われる染色を指すプロセスである。最も一般的なバット染料は、インジゴ染料およびアントラキノンの誘導体(例えば、ハロゲン化またはメチル化誘導体)である。
式(i)および(ii)の化合物は、アントラキノンの誘導体である。アントラキノン染料(アントラセンジオンまたはジオキソアントラセンとも呼ばれる)は、式C14を有する芳香族有機化合物によって形成される染料である。いくつかの異性体が可能であり、その各々はキノン誘導体として見ることができる。しかしながら、アントラキノンという用語は、いつも決まって、ケト基が中心環に位置する1つの特定の異性体、9,10−アントラキノンを指す。合成染料は、この9,10−アントラキノンの異性体、例えばアリザリン(1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン)およびキニザリン(1,4−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン)からしばしば誘導される。
特に、式(i)の化合物は、アリザリンの誘導体であることから、分子の1位および2位に2つのヒドロキシル基を有し、さらに、他の任意の位置に少なくとも1つの置換基−SO 基を有することを特徴とする。
式(ii)の化合物は、キニザリンの誘導体であることから、分子の1位および4位に2つのヒドロキシル基を有し、さらに、他の任意の位置に少なくとも1つの置換基−SO 基を有することを特徴とする。
化合物(i)および(ii)における特定のパターン置換は、分子の他の位置にヒドロキシル置換基を有するアントラキノン誘導体と比較して、それらの電気化学性能の顕著な改善を損なうことを示していた。
インジゴ染料は、特徴的な青色(インジゴ)を有する、歴史的には、植物から抽出された有機化合物2,2‘−ビス(2,3−ジヒドロ−3−オキソインドリリデン)によって形成される染料であるが、今日生成されるほぼすべてのインジゴ染料は合成品である。
特に、式(iii)の化合物は、2つのスルホナート基を有するインジゴの誘導体である。
2つのスルホナート基を有する式(iii)のインジゴ誘導体はまた、2つよりも多くのスルホナート置換基を有するインジゴ誘導体と比較して、改善された電気化学性能を提供する。
下記に提供される実験データに従って、そして他のアントラキノンおよびインジゴ誘導体による結果とは対照的に、1,2位および1,4位にヒドロキシル置換基を有するスルホナートアントラキノン誘導体の使用ならびにジスルホナートインジゴ誘導体の使用により、ボルタンメトリー測定において2つの対称レドックスピークが得られ、したがって可逆的レドックス反応が生じる。
式(i)〜(iii)の化合物について、その分子構造中の共役結合によって結合された電子密度を供与する(ドナー)基(−OHまたは−NH−)および受容する(アクセプター)基(C=O)基は、外部刺激が加えられた後にハイブリッド共鳴種(hybrid resonant species)を生じる(クロミズム)。本発明において、電気化学ポテンシャルを適用することにより、式(i)〜(iii)の化合物は、可逆的に酸化および還元することの双方が可能であり、2組の高速2プロトン電子移動高可逆性レドックスピーク(スキーム1)を生ずる。双方のプロセスは、その分子構造中の広範な共役にわたる最適な電荷非局在化に基づき、約1Vだけ分離される。
Figure 2018520455
それゆえ、上記の分子骨格は、3つの酸化還元状態を有することを特徴としており、そのため以下の2つの2プロトン電子共役移動可逆反応が単一分子内で観察される:
QH⇔2e+2Q+2H(1)
2e+2H+QH⇔QH(2)
ここで、QHは、本発明において用いられる式(i)〜(iii)の任意の化合物を表す。
したがって、少なくとも2つの電子が、各々の酸化還元プロセスにおいて移動し、これは、同じ溶解度の場合、これらの化合物の容量が、バナジウム化合物をベースとする従来の電解質と比較して倍増していることを意味する。さらに、酸化と還元との間の電圧差は、バナジウム化合物をベースとする系では1.4Vではなく1Vにすぎず、これは、エネルギー密度の潜在的増大が約40%であることを意味する。
特定の態様では、式(i)および(ii)の化合物において、R〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OHおよびSO から選択され、ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO である。
別の特定の態様では、式(i)の化合物において、R1〜R5はいずれもHであり、かつR6は、SO3 -+であり、ここで、Mは、H、Li、Na、アンモニウムカチオンおよびホスホニウムカチオンから選択される。
より好ましくは、この特定の態様において、Mは、H、Li、Na、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。さらにより好ましくは、Mは、H、Li、Na、[N(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。
別の特定の態様では、式(ii)の化合物において、R1〜R5はいずれもHであり、かつR6は、SO であり、ここで、Mは、H、Li、Na、アンモニウムカチオンおよびホスホニウムカチオンから選択される。
より好ましくは、この特定の態様において、Mは、H、Li、Na、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。さらにより好ましくは、Mは、H、Li、Na、[N(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。
別の特定の態様では、式(iii)の化合物において、RおよびR12は、SO である。より好ましい態様において、R〜R、R10〜R11およびR13〜R14はいずれもHであり、かつRおよびR12は、SO であり、ここで、Mは、独立して、H、Li、Na、1/2Mg++、アンモニウムカチオンおよびホスホニウムカチオンから選択される。
より好ましくは、この特定の態様において、Mは、H、Li、Na、1/2Mg++、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。さらにより好ましくは、Mは、H、Li、Na、1/2Mg++、[N(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。
好ましい態様において、レドックス有機電解質は、以下の化合物:
Figure 2018520455
からなる群から選択される化合物を含んでなる。
特定の態様において、本発明のレドックス有機電解質は、液相であって、別個の溶媒を有するかまたは有さない。
好ましい態様において、本発明のレドックス有機電解質は、液相で存在し、電解質溶液を形成してなる。
本発明の文脈において、「電解質溶液」という用語は、液体媒体中に溶解した固体電解質を含む導電性の溶液を指す。
したがって、この特定の態様において、本発明のレドックス有機電解質は、上述の化合物(i)、(ii)および(iii)から選択される化合物と溶媒とを含んでなる。
溶媒の例は、水性溶媒、非水性溶媒、またはそれらの混合物を含むことができる。水性溶媒の例は、水、ならびにHClO、HBO、CHCOOH、CHSOH、CFSOH、HSO、KSO、NaSO、HPO、H、KHPO、NaPO、KPO、HNO、KNO、HCl、NaOH、KOHおよびNaNOから選択される少なくとも1種の化合物およびそれらの混合物の水溶液を含むことができる。非水性溶媒の例は、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン(「GBL」)、環状カルボナート(例えばプロピレンカルボナート(「PC」)、エチレンカルボナート(EC)、およびブチレンカルボナート、N−メチル−2−ピロリドン(「NMP」)、N,N−ジメチルホルムアミド(「DMF」)、N,N−ジメチルアセトアミド(「DMA」)、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルスルホン(DMSO2)、スルホラン、クロロベンゼン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、それらのモノ−またはジメチルエーテル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールおよびそれらの混合物を含む。
好ましい態様において、上記で定義される電解質溶液は、溶媒として水を含む。
実際、本発明の電解質中で使用される化合物中に、少なくとも1つの基SO 、特にカチオンMが存在することで、前記化合物の水溶性が改善される。それゆえ、有機化合物(i)〜(ii)において、R〜Rのうちの少なくとも1つが、スルホニル基SO であり、ここで、Mは、H、Li、Na、K、1/2Mg++、1/2Ca++、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物から選択されるカチオンであり、その一方で、有機化合物(iii)において、R7〜R14のうちの少なくとも2つが、スルホニル基SO であり、ここで、Mは、H、Li、Na、K、1/2Mg++、1/2Ca++、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物から選択されるカチオンである。
前記官能基SO は、アリザリン、キニザリンおよびインジゴの染料に組み込まれて、式(i)〜(iii)の化合物を、本明細書の実験の箇所で記載しているような当業者に知られている単純な化学反応によって得ることができる。
対カチオンMの最適な選択によって、本発明の電解質中で使用される化合物(i)〜(iii)の水溶性をさらに増大させることができる。
それに、可逆電荷移動および大きな電気化学ポテンシャル窓を維持しながら、水への式(i)〜(iii)の化合物の全溶解度をさらに1.5Mまで高めることができることも証明された。高水溶性の単一成分レドックスフローセルの利点は、エネルギー密度の増大および貯蔵タンクの大きさの減少である。
これらの知見はすべて大いに重要であり、なぜなら、同じ電解質を1Vのレドックスフローセル内のカソード液およびアノード液として使用することができ、同時に、水媒体中で非常に高い溶解度および化学安定性を示し、それゆえ、電解質および電極材料が、例えばレドックスフロー電池内でのように液状である、現行のエネルギー貯蔵技術を向上させることからである。
別の特定の態様において、本発明のレドックス有機電解質は、上述の化合物(i)、(ii)および(iii)から選択される化合物を溶融状態で含む。
本発明の別の態様は、式(i)〜(iii)の化合物のいくつかを指す。特に、本発明は、以下の化合物群から選択される化合物、その塩またはその異性体:
Figure 2018520455
(式中、
〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO であり、
7〜R14は、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
ただし、R7〜R14のうちの2つは、SO であり、
15およびR16は、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択され、そして
は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよびイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンである)に関する。
本発明の式(i’)〜(iii’)の化合物において定義されているような、非キレート性および吸湿性である有機カチオンMによって分子の構造に付加されたスルホン酸基からの負電荷を釣り合わせるプロトン(H)の交換が、周囲温度付近で溶融する水溶性塩の生成につながることがわかった。
特定の態様では、式(i’)および(ii’)の化合物において、R〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OHおよびSO から選択され、ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO である。
別の特定の実施態様では、式(i’)の化合物において、R1〜R5はいずれもHであり、かつR6は、SO であり、ここで、Mは、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよびイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンである。
別の特定の実施態様では、式(ii’)の化合物において、R1〜R5はいずれもHであり、かつR6は、SO であり、ここで、Mは、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよびイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンである。
別の特定の実施態様では、式(iii’)の化合物において、R9およびR12は、SO であり、さらにより好ましくは、R7〜R8、R10〜R11およびR13〜R14はいずれもHであり、かつR9およびR12は、SO であり、ここで、Mは、独立して、アンモニウムカチオンおよびホスホニウムカチオンから選択される。
特定の態様では、上記で定義される式(i’)、(ii’)および(iii’)の化合物において、Mは、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。さらにより好ましくは、Mは、[N(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択される。
レドックスフロー電池
本発明の別の態様は、カソードおよびカソード液を含むカソードセルと、アノードおよびアノード液を含むアノードセルと、カソードセルとアノードセルとの間に配置されたイオン交換膜とを備えてなるレドックスフロー電池に関し、ここで、カソード液またはアノード液のいずれか一方が、上記で定義されるレドックス有機電解質を含む。
特定の態様において、レドックスフロー電池は、カソード液タンクおよびアノード液タンクをさらに備えてなり、ここで、カソード液タンクおよびアノード液タンクは、それぞれカソードセルおよびアノードセルと流体連通してなる。
図1は、本発明によるレドックスフロー電池を模式的に示す図である。図1を参照すると、レドックスフロー電池は、カソードセル(X)およびアノードセル(Y)を含み、これらはイオン交換膜(Z)によって分割されている。カソードセル(X)およびアノードセル(Y)は、それぞれカソード(C)およびカソード液(C’)とアノード(A)およびアノード液(A’)を含む。カソードセル(X)は、カソード液(C’)を供給および排出するためのカソードタンク(B)に接続されている。同様に、アノードセル(Y)は、アノード液(A’)を供給および排出するためのアノードタンク(B’)に接続されている。イオン交換膜(Z)は、カソード液(C’)およびアノード液(A’)の活物質のイオンが相互に混ざることを防止する。
レドックスフロー電池は、電気負荷を有する外部回路に接続して電流を流出させることによって放電され、かつ外部電源に接続して電流を流入させることによって充電される。
イオン交換膜としては、典型的なレドックスフロー電池中で用いられるイオン交換膜を特に制限なく用いることができる。カチオン交換膜の非限定的な例は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーをスルホン化することによって得られたカチオン交換膜、基剤としてテトラフルオロエチレンとペルフルオロスルホニルエトキシビニルエーテルとのコポリマー(DuPontのNafion(登録商標)膜、旭硝子のFlemion(登録商標)膜)を用いることによってスルホン酸基または側鎖カルボン酸基を導入したカチオン交換膜、テトラフルオロエチレンと側鎖にカルボキシル基を有するペルフルオロビニルエーテルとのコポリマーから形成されたカチオン交換膜、または基剤として芳香族ポリエーテルスルホンコポリマーを用いることによってスルホン酸基を導入したカチオン交換膜を含む。
アニオン交換膜の非限定的な例は、基剤であるスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーにクロロメチル基を導入し、続けてアミノ化することによって得られたアニオン交換膜、ビニルピリジン−ジビニルベンゼンコポリマーの第四級ピリジニウム塩の形成によって得られたアニオン交換膜、または基剤である芳香族ポリスルホンコポリマーにクロロメチル基を導入し、続けてアミノ化することによって得られたアニオン交換膜を含む。商業的に入手可能なアニオン交換膜は、Astomにより製造されているNEO−SEPTA−AMEX、NEOSEPTA−AHA、NEOSEPTA−ACS、Lanxessにより製造されているCybron ionan MA3475、FuMa−atechにより製造されているFAS、FAN、FAB、FAA、FAD、およびPoly−merchemie Altmeierにより製造されているPC100D、PC200D、PC−SA、DuPontのNafion(登録商標)膜、旭硝子のFlemion(登録商標)膜、Dow ChemicalのDowex(登録商標)膜、およびRohm & HaasのAmberlite(登録商標)である。
本発明のレドックスフロー電池においては、同じレドックス有機電解質を、カソード液およびアノード液の双方で使用することができ、膜漏出を重要な問題にしない。実際、メンブレンレスレドックスフローバッテリーは、マイクロフルイディクスを使用して設計されることができる。さらに、イオン交換膜は、Celgard(登録商標)のような微多孔セパレーターまたはTonen(登録商標)と置き換えることができる。
それゆえ、本発明の別の態様は、カソードおよびカソード液を含むカソードセルと、アノードおよびアノード液を含むアノードセルと、場合により、カソードセルとアノードセルとの間に配置されたイオン交換膜とを備えてなるレドックスフロー電池に関し、ここで、カソード液およびアノード液の双方が、上記で定義されるのと同じレドックス電解質化合物を含む。
この特定の態様において、レドックスフロー電池は、さらに、流体を移送するためにカソードセルおよびアノードセルにそれぞれ接続されたカソード液タンクおよびアノード液タンクを備えることができる。
別の特定の態様は、カソード液およびアノード液のいずれか少なくとも一方がさらに支持電解質を含む、上記で定義されるレドックスフロー電池に関する。支持電解質は、溶解度を最大にする分子間結合を切断する、有機電解質分子と溶媒分子との間の相互作用を最適化することができ、同時に、pHの調整によって高速プロトン輸送機構が達成される。
支持電解質の例は、LiBF、LiPF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSONLiCSO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(CyF2y+1SO)(ここで、xおよびyは、0≦x,y≦4の範囲の整数である)、NaBF、NaPF、NaSO、TEAPF、TBAPF、TEABF、TBABF、鉱酸、例えば硫酸および過塩素酸、ならびに塩基、例えばKOH、ブリトン−ロビンソン緩衝液、酢酸ナトリウム、イミダゾールおよびメタンスルホンアミド緩衝液から選択される少なくとも1種であってよい。
好ましい態様において、上記で定義される支持電解質は、0.1Mおよび1Mの濃度である。
好ましい態様において、上記で定義されるレドックスフロー電池は、10〜60Wh/kgのエネルギー密度を有する。
好ましい態様において、上記で定義されるレドックスフロー電池は、10〜20000A/mの電流密度を有する。
本発明の別の態様は、上記で定義されるレドックスフロー電池のエネルギー貯蔵における使用である。
本発明のレドックスフロー電池は、再生可能エネルギーのエネルギー貯蔵だけでなく、携帯電話、ポータブルコンピューターおよび電気自動車にも適している。
さらに、式(i)、(ii)および(iii)の化合物を含んでなる、本発明の新規で環境に優しいレドックスフロー有機電解質は、レドックスフロー電池だけでなく、レドックスフロースーパーキャパシタ、エレクトロクロミックディスプレイおよび光化学セル(色素増感型太陽電池および光発生器セル)のような電気化学システムにも適用することができる。
材料および方法
減衰全反射フーリエ変換赤外線分光法(ATR−FTIR)スペクトルを、4000〜400cm−1の波長の範囲においてVertex 70分光計(Bruker)により記録した。示差走査熱量測定(DSC)を、−80℃〜100℃の温度範囲において5℃min−1の加熱速度で、シールされたAlパン内においてTA Instruments Q2000モデルにより実施した。サイクリックボルタンメトリー測定は、1平方ミリメートルの何分の一かの電気化学界面面積、および電解質のバルクに起因する無視し得る電圧落下を有する空洞微小電極(CME)において行い、高い掃引速度を使用することが可能であった[C. Cachet-Vivier et al.; Electrochim. Acta 47, 181-189 (2001)]。サンプルは、3電極構成セルを使用し、DI水および異なる支持電解質中で、対電極としての白金線、および媒体の酸性または塩基性pHのそれぞれに依存して参照電極としてのAg/AgClまたはHg/HgOを用いて、電気化学的に試験した。
実施例1〜6の調製
実施例1:スルホン化酸ナトリウム塩誘導体の調製
2g(8.4mmol)の市販のキニザリン(Sigma−Aldrich)を、亜硫酸ナトリウム(NaSO、5g、40mmol)および酸化銅(CuO、1g、12mmol)で、水との還流下に24時間、P.G.Marshall,J.Chem.Soc.3206−3208(1931)に開示された手順に従って処理した。溶液を希硫酸(HSO)で酸性化し、沸騰させながら濾過した。少量のNaClを、濾過した部分に添加した。冷却後、スルホン化有機ナトリウム塩を、オレンジ−赤色のニードルとプレートとの混合物として遠心分離(15分、10000rpm)によって抽出した。固体のスルホン化有機ナトリウム塩を70℃で48時間にわたり真空乾燥させた。得られる化合物は、1,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(キニザリン−SONaとも呼ばれる)である。
アリザリンSレッド−SONa(3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩)およびインジゴカルミンまたはインジゴカルミン−SONa(3,3’−ジオキソ−2,2’−ビス−インドリデン−5,5’−ジスルホン酸二ナトリウム塩)とそれぞれ命名される、アリザリンおよびインジゴのスルホン化酸ナトリウム塩誘導体を、Sigma Aldrichから商業的に購入した。
実施例2:スルホン化酸ナトリウム塩誘導体の水素イオン交換
実施例1で得られたスルホン化有機ナトリウム塩を、樹脂Amberlyst(登録商標)15水素型(Sigma−Aldrich)を含むカラムに3回通してフラッシングし、それらをプロトン酸類似体に変換した。カラムの出口からの溶液のpHが7になるまで、Amberlyst(登録商標)樹脂に、初めに250mlの0.1M HSOおよび次に脱イオン水(DI−HO)(約250ml)を通薬することによって予めコンディショニングした。その後、約1gのナトリウム塩を含有する100mlの水溶液をカラム中に導入した。全工程(コンディショニング+DI洗浄+Na塩通薬)を繰り返した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、収集した固体を70℃で48時間にわたり真空乾燥させた。得られる化合物は、キニザリン−SOHと呼ばれる。
ナトイウムイオンを、市販のアリザリンおよびインジゴのスルホン化酸ナトリウム塩誘導体からも上記と同じ手順に従って除去し、アリザリン−SOH(アリザリンSレッド−Hとも呼ばれる)およびインジゴ−SOH(インジゴカルミン−Hとも呼ばれる)の化合物がそれぞれ生じた。
実施例3:テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド[N(CH CH OH) 4+ ,Br ](TKEN−Br)の合成
トリエタノールアミン(1g、6.77mmol)を、シリコン浴を備えたホットプレートを用いて50℃で5日間撹拌しながら、25mlのバイアル中で2−ブロモエタノール(0.84g、6.77mmol)と混合した。その後、マグネチックスターラーを反応バイアルから取り出して、バイアルを70℃のオーブンにさらに5日間入れた。高温の状態で液体生成物を冷却し、次いで臭化アンモニウム塩、N(CHCHOH)4+,Brをワックス様の白色固体に固化した。この固体を使用するまで冷蔵庫に8℃で保管した。
実施例4.ヒドロキシド交換によるテトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド[N(CH CH OH) 4+ ,OH ](TKEN−OH)の合成
ヒドロキシドアニオンによる臭素の化学交換を、強塩基性樹脂(Dowex−Chloride 1x8、Sigma−Aldrich)を含有するカラム交換を用いることにより行った。塩基性樹脂を、初めに250mlの0.1M KOH水溶液で活性化し、続けて250mlのDI水250mlで活性化した。次いで1.5gの[N(CHCHOH)4+,Br](実施例3)を含有する水溶液を、事前にそのつど活性化したカラムに通して3回フラッシングした。交換後、溶媒を回転蒸発によって減圧除去し、次いでTKEN−OH塩を70℃で48時間にわたり真空乾燥させた。この塩を使用するまで冷蔵庫に8℃で保管した。TKEN−OHの乾燥工程中、温度が100℃を超えると熱分解する可能性があるため、特別注意が必要である[Doumaux, JR. A. R., Barnes, R. K. Reactions of Hydroxide Tetrakis(2-hydroxyethyl)ammonium. Journal of Organic Chemistry 38, 3630-3632 (1971)]。
実施例5.酸−塩基反応(滴定)によるTKENベースのレドックス塩の合成
TKEN有機カチオンを含む高水溶性の化学量論的中性塩の調製は、スルホン化有機化合物(実施例2のキニザリン−SOH、アリザリン−SOHおよびインジゴ−SOH)の塩基性TKEN−OH塩(OH型)と酸型(H型)との単純な滴定反応によって行った。酸ベースの反応合成中のpH発生に続けて、対イオン溶液を滴下添加しながら、0.1Mのカチオン(OH型)またはアニオン(H型)の水溶液にpHメーターを浸した。反応の副生成物は水であった。溶媒を減圧除去して、固体塩を70℃で48時間にわたり真空乾燥させた。その後、減圧蒸留により溶媒を除去して、TKENベースの塩を70℃で真空乾燥させた。
したがって、得られる生成物は、キニザリン−SO−TKEN;アリザリンSレッド−TKENおよびインジゴカルミン−TKENである。
実施例6.カチオン交換によるTKMPベースの中性塩の合成
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド塩を用いてTKMP類似体塩の合成を、以下のステップで行った:i)市販のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド(HO中80%、Sigma−Aldrich)の水溶液0.5mlを、酸性交換樹脂Amberlyst(登録商標)15水素型(Sigma−Aldrich)を含むカラムに通してフラッシング。樹脂中の水素イオンとホスホニウムカチオンとの間で化学交換が起こり、続いて塩酸が形成される。ii)pH=7になるまで250mlのDI水をカラムに通して樹脂を洗浄。iii)過剰量の実施例1のスルホン酸ナトリウム塩(キニザリン−SONa、アリザリン−SONaおよびインジゴ−SONa)を含有する水溶液100mlをカラムに2回通しフラッシングして、固定されたホスホニウムベースのカチオンと有機アニオンとの間で反応の広がりを可能な限り最大にする。
したがって、得られる生成物は、キニザリン−SO−TKMP;アリザリンSレッド−TKMPおよびインジゴカルミン−TKMPである。
実施例7.特性試験
図2aは、キニザリン−SO−TKEN(Q−TKEN)、アリザリンSレッド−TKEN(A−TKEN)およびインジゴカルミン−TKEN(I−TKEN)の合成に対応する酸−塩基滴定曲線の対を示す。滴定曲線は、塩基性ヒドロキシドアンモニウム塩の開始水溶液(0.01〜0.02M)に対応する塩基性pHにより、次いでプロトン化有機染料の水溶液(0.01〜0.02M)をpH7まで滴下するか、またはその逆を行った。興味深いことに、双方の方法体系は、それぞれの塩についてpH7で同じ[カチオン/アニオン]比をもたらし、これは、合成が完了したとみなされるpHである。
プロトン化されたTKENおよびTKMPインジゴ−SO誘導体、アリザリン−SO誘導体およびキニザリン−SO誘導体の赤外分光法による対応する特性も図2(b〜d)に示されている。水分子(結晶水)が存在する結果としての分子間水素結合の存在に起因する−OH振動に対応する3300〜2000cm−1の範囲の広いバンドが、3つのプロトン化された化合物ではっきりと観察される。さらに、1640〜1615cm−1での水分子の−OH振動に同じく対応する共通の明らかに目立つ弱いバンドも証明される。TKENを含有する塩のIRスペクトル(一点鎖曲線)は、典型的にはアルコールの分子内結合による−OH振動に対応する約3500〜3100cm−1の範囲の鋭いバンドを示す。さらに、3つのTKENベースの塩の水分子の結晶化に起因する−OH振動に対応する1640〜1615cm−1での弱いが鋭いバンドの消失もはっきりと証明される。TKMP塩の場合、−OH部分の分子内振動に対応する振動バンドは、A−TKMPについてはあまり顕著ではなく、Q−TKMPについては無視できる程度でさえある。しかしながら、より狭い振動バンド(3200〜2200cm−1)、1640〜1615cm−1での比較的弱くて鋭い−OH振動の消失ならびにA−TKMPおよびQ−TKMP塩の双方について弱くてより広いピークの出現は、おそらく水分子の異なる分子間配位(数および環境)に対応して証明される。I−TKMP塩(図2b)については、結晶化水分子からの−OHの振動バンドに対応するビスキノン対応物(3200〜2200cm−1)と同じ範囲の広いバンドが観察される。1640cm−1での弱くて鋭い−OH振動は位置を変えなかったが、少しばかり広がった。
実施例8.溶解度試験
これらの試験は、25ml容量のガラスバイアル中で行い、そこで約15〜30mgの範囲の有機電解質化合物の量を、DI水および異なる支持電解質にも溶解した。この手順は、以下のステップで実施した:固体の添加後、マイクロピペットを用いて少量(通常は25μlから開始)を加え、この懸濁液を、バイアル全体(底部および壁)における媒体の完全な均質化が観察されるまで手で激しく振った。その後、バイアルを一晩放置する。翌日、バイアルの底部における沈殿の可能性を評価した。いくらか固体が現れた場合、より多くの量の溶媒および/または支持電解質を、固体が完全に消失するまで添加し続けた。次いで、バイアルを一晩回転させながら混合して、一定の量について完全な溶解が達成されるようにした。最終濃度値は、数週間後に安定した溶液を示すサンプルについてのみ計算した。
図3は、DI水中のインジゴカルミン−TKEN(I−TKEN)および0.1M HClO中のインジゴ系列(これらは比較目的のために含められる)を除いて、可逆的レドックス活性を達成する有機化合物の溶解性を示す。図3aは、異なる水系支持電解質中でのインジゴ化合物の溶解特性を示す。溶解性の向上が、スルホン化型の対イオンの交換によって明らかに証明される。純粋なDI水およびpH=7(BR−7)の水性BR緩衝液に溶解したI−TKENについては0.76Mまでの最大濃度が得られ、これは高い溶解性が中性媒体中で達成され得ることを意味する。比較のために、0.1M HClO中での溶解度値も図3aにプロットした。図3bは、0.1M HClOに溶解したビスキノンサンプルについての溶解度結果を示す。約1.5Mの高い値が、プロトン化されたアリザリンSレッド(A−H)およびテトラヒドロキシル−ホスホニウムカチオンA−TKMPと交換された類似体の双方について得られた。しかしながら、驚くべきことに、アリザリン誘導体(オルト対パラ位に−OH基がある点でのみ異なる)と比較して、キニザリン誘導体については異なる溶解度が得られた。さらに、その高水溶性中性塩を含有するすべての溶液中で、それらの調製から6ヶ月後にも沈殿は観察されなかった。
本レドックス分子中で起こる2電子プロトンプロセスを考慮すると、塩のグラム量が一定である場合、最終濃度の最適化により、電解質溶液中の有機化合物の分子量と充填密度との間でバランスがとられることになる。最大濃度値および本システムにおいて貯蔵されるその後の化学−電気エネルギー密度は、分子の充填密度が高くなるにつれて、そしてその分子量が低くなるにつれて達成されることになるだろう。レドックス中性塩を含有する本溶液の実験密度を測定した。HO中で1.23MのアリザリンSH、HO中で1.17MのアリザリンSHおよび0.1M HClO中で1.46MのアリザリンSHのそれぞれの溶液について、1.04g/ml、1.00g/mlおよび0.95g/mlの密度を測定した。達成される溶解度値は、バナジウムレドックスセル中で約1.5Mである標準バナジウム電池の濃度と比較して有意である。
実施例9.サイクリックボルタンメトリー測定
マイクロキャビティを、めのう乳鉢に対し圧力を印加することにより活物質(50重量%)と炭素(super C−65)(50重量%)との均質な混合物で充填した。実験の間に電極を超音波浴中のエタノールに浸漬することによりキャビティを洗浄した。CMEの場合、約1桁大きい掃引速度を、従来のセルで通常見られる歪みなしに使用することができる[R. Lin et al., J. Electrochem. Soc. 1, A7-A12 (2009)]。信頼性を確認するために、CMEを用いたすべての実験を同じサンプルに対して3回行った。得られた全ての結果は、完全に再現可能であることが判明した。サイクリックボルタンメトリー実験は、マルチチャンネルポテンショスタット/ガルバノスタット(VMP3、Biologic)を用いて10mV/s〜1V/sで行った。異なるサンプル間で直接比較するために、すべての電流値を、純粋な容量性挙動領域で測定した電流値に正規化した。これを行うことによって、電極サイクリックボルタモグラム全体の線形領域を、50%の炭素から生じるはずの同じ容量に正規化し、次いで比較可能な相対電流を、異なる電解質中の各有機化合物のファラデー反応(プロトン−電子共役移動)から生じるものとして得た。
インジゴ誘導体
図4は、異なるpHでの非緩衝DI水および水性BR緩衝液媒体中で測定したインジゴファミリー化合物のCEMを示す。図4aは、pH=7のBR緩衝液中でサイクルさせたインジゴ(連続線)についての、Ag/AgCl参照電極に対する陽性電位(0.31V)および陰性電位(−0.44V)における2つの還元ピークを示す。双方のピークの対は、スルホン酸基の電子吸引特性の結果として、インジゴカルミン−Na(不連続線)について約80mVでアノードシフトした。興味深いことに、より良好な充電効率がスルホン化型について得られた。図4cは、pH=7のBR緩衝液(一点鎖線)および純粋なDI水(連続線)中でのプロトン化されたインジゴカルミン−H(I−H)についてのサイクリックボルタモグラムを示す。双方のサンプルとも、約1Vのピーク分離、高いレドックス可逆性、およびpH=7のBR緩衝液中で約0.4Mおよび純粋なDI水中で約0.6Mの比較的高い溶解度値を示すレドックス塩のほぼ完全な電気化学的性質を表す2つのレドックスピーク間に対称的に位置する開回路電圧を示す。DI水中で証明された約170mVのアノードシフトは、わずかに酸性寄りのpH約6に主に起因していた。図4bに示すサイクリックボルタンメトリー試験から、インジゴカルミン−HのpH依存性を確認した。pH=3(不連続線)のBR緩衝液中でのI−Hの電気化学的サイクルは、約0.75Vだけ分離された一対の可逆還元ピークを明示していたが、pH=9(連続線)では、高電位での波は、最初の数サイクル中に擬可逆挙動を示し、次いでサイクル中に低電位にシフトしてより可逆的になり、かつサイクル10で約0.8Vだけ分離された双方のピークをもって安定化する。このような波電位の変化の理由は、サイクル中に酸性I−H塩の溶解が増大する結果として近傍電極界面で段階的に塩基性化し得るからである。pH=3およびpH=9でサイクルさせたI−Hのピーク電流強度は、水性BR緩衝溶液中で中性pHにてサイクルさせたときよりも小さい。図4dは、pH=7の水性BR緩衝溶液中で記録したインジゴカルミン−TKEN(上方)およびインジゴカルミン−TKMP(下方)のサイクリックボルタンメトリーの1回目および10回目のサイクルを示す。図4cに示すプロトン化されたIH相と比較して、ピーク強度はわずかに減少し、過電圧はより高いが、双方の新規レドックス塩のサイクリックボルタモグラムは、1Vだけ分離された2組の可逆レドックスピークからなっていた。インジゴカルミン−TKENの濃度値は0.76Mまでと判明し、これらの良好な電気化学特性が加わることで、これらの塩が中性pHで作動する電気化学システムにおいて低コストの検体として使用するのに非常に望ましい材料となることを指摘しておくことが重要である。酸化還元プロセスとVRBの1.4Vとの間には1Vの電圧差があるため、より低コストの有機塩の、約2分の1の濃度の電解質溶液と、中性pHで安定する、より安価な膜とを使用しながら、インジゴカルミン−TKENによりバナジウムレドックス種と同じエネルギー密度を達成することができるであろう。
さらに、比較目的のために、3つおよび4つのスルホナート置換基を有するインジゴ誘導体のサイクリックボルタモグラムも試験した。特定の化合物は:
Figure 2018520455
であった。
図4(e)に示すように、トリスルホナートおよびテトラスルホナートインジゴ誘導体は、還元ピークが2つのピークに分かれているジスルホン化(インジゴカルミン)誘導体のような対称的な高電圧ピークを示さなかった。
アントラセン誘導体
図5は、0.1M HClOの水溶液中のビスキノン(キニザリンおよびアリザリン誘導体)の電気化学的活性を示す。双方とも高い電荷移動可逆性を示したが、元となるキニザリン(非スルホン化)(図5a、連続線)の相対ピーク強度は、対称性の低い等電子異性体アリザリン(図5b、連続線)の約2倍であった。双方のキノンのスルホン化(図5aおよび5b、不連続線)は、強度の低下を引き起こし、かつ2つの電子プロトン反応が起きるレドックス電位をシフトさせ、これによりキニザリンのスルホン化が成功したことが確かめられる。キニザリンおよびアリザリンのそれぞれについて、元となる分子と比較して、低い酸化状態では約100mVおよび約50mVのシフトが観察され、一方で、高い酸化状態ではそれぞれ約15mVおよび約35mVだけシフトが観察される。電子求引性基の存在は、インジゴカルミン分子について示されるように、双方の酸化還元段階(分子がより酸化的になる)に対応する還元電位を増大させる。スルホン化ビスキノンのピークの強度の低下は、ヒドロキシル基のα位におけるスルホナート基の存在が影響する分子内水素結合の変化に関連している可能性がある。分子内水素結合は、電子プロトン共役移動の制限の中で決定的に重要な役割を果たし、残りの水素原子とカルボニル酸素との相互作用のために入ってくるプロトンとの間の競合を誘発する分子内の2つのヒドロキシル基の位置の重要性を表す。
すべてのスルホナート化キニザリン塩においては、カチオンが電荷を釣り合わせるにもかかわらず電気化学的性質はほとんど変化しなかったが(図5c)、スルホン化アリザリンのカチオンの変化時には酸化還元プロセスの強度に大きな変化がある(図5d)。アリザリン化合物において観察される中間レドックスピーク(図5d)は、キンヒドロン型の2つ以上の平坦な分子(π型相互作用およびドナー/アクセプター)と、酸化状態でのキノン捕捉に起因する約0.4Vでのシャープなカソードピークとの間の関連性に起因するものと考えられる。
可溶性の低いキニザリン誘導体(0.4M未満)の非常に明確に定義された酸化還元プロセスと比べて、アリザリンSレッド−HおよびアリザリンSレッド−TKMP(1.6M)の最も可溶性のサンプルにおいては、酸化還元プロセスはあまり顕著に観察されなかった。電気化学的測定が、固体状態の導電性炭素と混合された粉末状サンプルを用いたマイクロキャビティ電極において行われたという事実を考慮すると、ピークの鋭さは、高可溶性サンプルにおける緩やかな電子移動の影響を受けている可能性がある。それゆえ、このような条件では、1Vのフローセルが、アリザリンSレッド−HまたはアリザリンSレッド−TKENの2つの1.6M溶液で機能することができる。溶解度はバナジウムベースのレドックス電池(VRB)のそれと類似しているので、電圧はVRBの1.4Vに対してより小さい1Vであるが、活性種当たりの電子数は2倍であり、1.4倍以上のエネルギー密度をこのセル内に貯蔵することができ、これはpH1の酸性媒体中でも作用するが(pH7のBR中で等しく溶解するにもかかわらず、電気化学的に活性ではない)、安価な選択肢であり得る。さらに、縮小された電圧窓により、充電状態における電解質の分解が回避される。
比較目的のために、ヒドロキシル基が存在しないかまたは本発明のものとは異なる位置にヒドロキシル基を有するアントラキノン誘導体のサイクリックボルタモグラムも試験した。特定の化合物は:
Figure 2018520455
であった。
図5(e)に示すように、前記比較アントラキノン誘導体は、本発明で使用される誘導体とは対照的に、2つの対称レドックスピークを生じなかった。
実施例10.示差走査熱量測定(DSC)分析
図6は、いくつかのTKEN含有塩の示差走査熱量測定(DSC)分析を示す。興味深いことに、これらのうち、インジゴカルミン−TKEN(上から2つ目の曲線)およびアリザリンSレッド−TKEN(上から3つ目の曲線)のように室温(RT)付近で溶融するものがある。レドックス活性イオン液体の使用は、レドックス活性検体のみが溶媒を必要とせずに使用される場合、システムのエネルギーを高めることができる。

Claims (15)

  1. 以下の化合物群から選択される化合物、その塩またはその異性体を含んでなる、レドックス有機電解質:
    Figure 2018520455
    (式中、
    〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
    ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO であり、
    7〜R14は、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
    ただし、R7〜R14のうちの2つは、SO であり、
    15およびR16は、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択され、そして
    は、H、Li、Na、1/2Mg++、1/2Ca++、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物から選択されるカチオンである)。
  2. 前記式(i)の化合物において、R1〜R5はいずれもHであり、かつR6はSO であり、ここで、Mは、H、Li、Na、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択されるものである、請求項1に記載のレドックス有機電解質。
  3. 前記式(ii)の化合物において、R1〜R5はいずれもHであり、かつR6はSO であり、ここで、Mは、H、Li、Na、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択されるものである、請求項1に記載のレドックス有機電解質。
  4. 前記式(iii)の化合物において、R〜R、R10〜R11およびR13〜R14はいずれもHであり、かつRおよびR12は、SO であり、ここで、Mは、独立して、H、Li、Na、1/2Mg++、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択されるものである、請求項1に記載のレドックス有機電解質。
  5. 以下の化合物:
    Figure 2018520455
    からなる群から選択される化合物を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレドックス有機電解質。
  6. 液相で存在し、電解質溶液を形成してなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレドックス有機電解質。
  7. 前記レドックス有機電解質溶液が、請求項1〜5のいずれか一項に定義される式(i)、(ii)および(iii)の化合物から選択される化合物と溶媒とを含んでなる、請求項6に記載のレドックス有機電解質。
  8. 前記溶媒が水である、請求項7に記載のレドックス有機電解質。
  9. 以下の化合物から選択される化合物、その塩またはその異性体:
    Figure 2018520455
    (式中、
    〜Rは、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
    ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、SO であり、
    7〜R14は、独立して、水素、C〜Cアルキルであって、少なくとも1つのハロゲンで場合により置換されていてもよく、および/または、酸素原子および窒素原子のうちの少なくとも1つをアルキル鎖中に場合により有していてもよいC〜Cアルキル、COH、OH、NR1516およびSO から選択され、
    ただし、R7〜R14のうちの2つは、SO であり、
    15およびR16は、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択され、そして
    は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよびイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンである)。
  10. が、[N(CHCHOH)、[CHN(CHCHOH)、[(CHN(CHCHOH)および[P(CHOH)から選択されるものである、請求項9に記載の化合物。
  11. カソードおよびカソード液を含むカソードセルと、アノードおよびアノード液を含むアノードセルと、前記カソードセルと前記アノードセルとの間に配置されたイオン交換膜とを備えてなり、ここで、前記カソード液または前記アノード液のいずれか一方が、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレドックス有機電解質を含むものである、レドックスフロー電池。
  12. カソード液タンクおよびアノード液タンクをさらに備えてなり、ここで、前記カソード液タンクおよび前記アノード液タンクは、それぞれ前記カソードセルおよび前記アノードセルと流体連通してなる、請求項11に記載のレドックスフロー電池。
  13. カソードおよびカソード液を含むカソードセルと、アノードおよびアノード液を含むアノードセルと、場合により、前記カソードセルと前記アノードセルとの間に配置されたイオン交換膜とを備えてなるレドックスフロー電池であって、ここで、前記カソード液および前記アノード液の双方が、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレドックス有機電解質を含むものである、レドックスフロー電池。
  14. 請求項11〜13のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池の、エネルギー貯蔵における使用。
  15. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のレドックス有機電解質の、レドックスフロースーパーキャパシタ、エレクトロクロミックディスプレイおよび光化学セルを調製するための使用。
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