JP2018520200A - 良性前立腺過形成の患者における手術の必要性を低減する方法 - Google Patents

良性前立腺過形成の患者における手術の必要性を低減する方法 Download PDF

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Abstract

本発明の実施形態は、小ペプチドに基づく化合物を付加的な活性剤と併用して、良性または悪性腫瘍などの細胞要素の除去または破壊を必要とする状態を治療する方法を含む。この方法には、必要な哺乳動物に化合物を筋肉内に、経口的に、静脈内に、髄腔内に、腫瘍内に、鼻腔内に、局所的に、経皮的に、単独でまたは担体と複合して投与することが含まれるが、これらには限定されない。この方法を実施すると、後の侵襲的外科的処置の必要性が予想外に低減する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第14/808,731号(出願日:2015年7月24日)に基づく優先権を主張するものであり、この米国特許出願の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
本発明の実施形態は、小ペプチドに基づく化合物を含有する組成物および薬学的に許容される担体を用いて、ヒトの良性または悪性腫瘍などの細胞要素の除去または破壊を必要とする状態を治療する方法を含む。この方法には、必要な患者に組成物を筋肉内に、経口的に、静脈内に、腹腔内に、脳室内に(柔組織内に)、脳室内に、病巣内に、眼内に、動脈内に、髄腔内に、腫瘍内に、鼻腔内に、局所的に、経皮的に、皮下に、または皮内に投与することが含まれるが、これらには限定されない。また、この投与を受けた患者は、後に侵襲的外科的処置を必要としない場合が多い。
多くの医療的治療および処置の本質は、有害なまたは不要な組織の除去または破壊を伴う。そのような治療の例には、癌性または前癌性の増殖物の外科的除去、化学療法を介する転移性腫瘍の破壊、および腺性(例えば前立腺)過形成の低減が含まれる。他の例には、不要な顔毛の除去、疣贅の除去、および不要な脂肪組織の除去が含まれる。有害なまたは不要な細胞および組織を破壊し、したがってそれらの除去を容易にするかまたはそれらの更なる成長を阻害する一方で、主に局所効果を有し全身毒性が最小限又は皆無である、有効な組成物が必要である。また、有効な組成物で治療した後であっても、侵襲的外科的処置の必要性を低減する必要がある。
有害なまたは不要な細胞および組織を破壊し、したがってそれらの除去を容易にするかまたはそれらの更なる成長を阻害する能力を有することが知られている薬剤は、2015年1月27日に出願された米国特許出願第14/606,683号(「細胞の破壊または除去を必要とする疾患を治療する方法」)、2015年6月12日に出願された米国特許出願第14/738,551号(「望ましくない細胞増殖の除去または破壊を必要とする疾患を治療するための配合組成物」)、米国特許出願公開第2007/0237780号(放棄済)、米国特許出願公開第2003/0054990号(現米国特許第7,172,893号)、米国特許出願公開第2003/0096350号(現米国特許第6,924,266号)、米国特許出願公開第2003/0096756号(現米国特許第7,192,929号)、米国特許出願公開第2003/0109437号(現米国特許第7,241,738号)、米国特許出願公開第2003/0166569号(現米国特許第7,317,077号)、および米国特許出願公開第2005/0032704号(現米国特許第7,408,021号)に開示されており、これらの開示内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
癌は、細胞の内部制御機構の異常であり、細胞の制御されない増殖および再生をもたらす。正常細胞は組織を構成するが、これらの細胞が特定の、制御され、調整された単位として行動する能力を失うと(脱分化)、その欠陥は細胞集団間で混乱を招く。これが起こると、腫瘍が形成される。
組織の良性の過増殖という異常に対しては、生物から細胞を除去することが望ましい。良性腫瘍は、身体全体に転移しないが、しかし病気の症状を引き起こす細胞増殖物である。そのような腫瘍は、脳などの器官のアクセス不能な領域に位置する場合、致死的であり得る。良性腫瘍ができるのは、肺、脳、皮膚、下垂体、甲状腺、副腎皮質および髄質、卵巣、子宮、精巣、結合組織、筋肉、腸、耳、鼻、喉頭、扁桃、口、肝臓、胆嚢、膵臓、前立腺、心臓、および他の臓器である。
多くの場合、手術はがんの治療の第一歩である。手術の目的は様々である。場合によっては、明らかな腫瘍のできるだけ多くを取り除くため、または少なくともそれを「減量」する(腫瘍の大部分を除去して、他の手段で治療する必要性がより少なくなるようにする)ために、手術が行われる。癌の種類や場所によっては、手術によって患者の症状が緩和される場合もある。例えば、外科医が拡大する脳腫瘍の大部分を取り除くことができる場合、頭蓋内の圧力が低下し、患者の症状が改善することが見込まれる。
すべての腫瘍が手術に適しているわけではない。完全に除去することが不可能となる体の部位に位置するものもある。そうした腫瘍の例は、脳幹(呼吸を制御する脳の部分)の腫瘍、または主要な血管の内部およびその周辺に成長した腫瘍である。これらの場合、腫瘍除去に伴う高い危険性のため手術の役割は限られている。
一部の症例では、単純に手術が必要でないという理由で、腫瘍組織を減量するために手術は行われない。その一例はホジキンリンパ腫であり、これは化学療法と放射線療法の組み合わせに非常によく反応するリンパ節の癌である。ホジキンリンパ腫では、治癒を達成するために手術はほとんど必要ないが、ほぼ常に診断の確立のために手術が行われる。
化学療法は、がん治療の別の一般的な形態である。本質的に、化学療法は、急速に分裂する細胞(腫瘍に見られるものなど)を体全体で特異的に攻撃する薬物(通常は口または注射によって与えられる)の使用を伴う。これにより、化学療法は、既に転移している癌や、血液およびリンパ系を通って広がる可能性が高いが、原発腫瘍から転移した明確な証拠がない腫瘍の治療に有用である。化学療法はまた、手術および放射線療法に対する限局性腫瘍の応答を向上するために使用され得る。これは、例えば頭頸部の癌の一部の場合である。
残念なことに、正常時において急速に分裂するヒトの体内の他の細胞(例えば、胃や髪の内層)も化学療法の影響を受ける。この理由のため、多くの化学療法剤は、悪心、嘔吐、貧血、脱毛または他の症状などの望ましくない副作用を誘発する。これらの副作用は一時的なものであり、これらの副作用の多くを緩和するのに役立つ薬剤が存在する。我々の知見が増え続けるにつれて、研究者らは、癌細胞を殺滅する能力がより優れているだけでなく、患者の副作用がより少ない、新しい化学療法剤を考案した。
化学療法は、様々な方法で患者に施される。丸剤を含むものや、静脈注射または他の注射によって投与されるものがある。注射可能な化学療法の場合、患者は治療のために医院または病院に行く。他の化学療法剤は、血流中への連続注入を1日24時間必要とする。これらのタイプの化学療法では、患者が着用する小型ポンプを埋め込むために、軽微な外科的処置が行われる。その後、ポンプは薬を徐々に投与する。多くの場合、恒久的なポートが患者の静脈内に配置され、繰り返し針を刺す必要性を排除する。
良性腫瘍および先天的異常は、外科手術、放射線療法、薬物療法、熱的または電気的切除、凍結療法などを含む様々な方法によっても治療することができる。良性腫瘍は転移しないが、大きく増殖し、再発する可能性がある。良性腫瘍の外科的摘出は手術の全般的な困難性および副作用を伴い、脳下垂体腺腫、脳の髄膜腫、前立腺肥大など一部の良性腫瘍に対して繰り返し行わなければならないことが多い。加えて、良性腫瘍によって引き起こされる症状を改善するために非外科的治療を受けている患者の一部は、依然としてその後の侵襲的外科的処置を必要とする。Leporによる「良性前立腺過形成の治療法」(泌尿器科レビュー、Vol.13、No.1、pp.20−33(2011))は、良性前立腺過形成を治療する際の薬物療法の有効性およびその後の侵襲的外科治療の必要性に関する様々な研究を開示している。
男性における前立腺過形成の進行におけるアンドロゲンの役割は十分に実証されている(Wilson、N. Engl.J. Med. 317:628−629、1987)。実際、良性前立腺過形成は精巣の非存在下では発症しない(Wendelら、J.Urol. 108:116−119、1972参照)。
外科的または医療的(LHRHアゴニスト)去勢による精巣アンドロゲン分泌の遮断は、前立腺サイズを減少させることが知られている(Auclairら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 76:855−862、1977年; Auclairら、Endocrinology 101:1890−1893、1977年; Labrieら、Int. J. Andrology、suppl 2 (V. Hansson編)、Scriptor Publisher APR、303−318頁、1978年; Labrieら、J. Andrology 1:209−228、1980; Tremblay and Belanger、Contraception 30:483−497, 1984年; Tremblayら、Contraception 30:585−598, 1984年; Dubeら、Acta Endocrinol. (Copenh) 116:413−417、1987年; Lacosteら、Mol. Cell. Endocrinol. 56:141−147, 1988年、 White, Ann. Surg. 22: 1−80, 1895年; Faureら、Fertil. Steril. 37:416−424, 1982年; Labrieら、Endocrine Reviews 7:67−74, 1986年; Huggins and Stevens, J. Urol. 43: 705−714, 1940年; Wendelら、J. Urol. 108:116−119、1972年; Peters and Walsh、N. Engl. J. Med. 317:599−604、1987年 ; Gabriloveら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 64:1331−1333、1987年)。
いくつかの研究では、抗アンドロゲン剤での処置も前立腺サイズを減少させることが示されている(Neriら、Endocrinology、82:311−317、1968年; Neriら、Investigative Urology、10:123−130、1972年; Tunnら、Acta Endocrinol. (Copenh.) 91:373−384、1979年; Seguinら、Mol. Cell. Endocrinol.、21:37−41,1981年; Lefebvreら、The Prostate 3:569−578,1982年; Marchetti and Labrie、J. Steroid Biochem、29:691− 698、1988年; Lacosteら、Mol. Cell. Endocrinol. 56:141−147、1988年; Tunnら、Invest. Urol. 18:289−292、1980年; Scott and Wade、J. Urol. 101: 81−85頁、1969年; Caineら、J. Urol. 114:564−568,1975年; Stoneら、J. Urol. 141:240A、1989年; Clejanら、J. Urol. 141:534A、1989年)。
米国特許第3,423,507号は、良性前立腺過形成の治療のための抗アンドロゲンシプロテロンアセテート(1α,2β−メチレン−6−クロロ−17α−アセトキシ−6−デヒドロプロゲステロン)の使用を開示している。純粋な抗アンドロゲン(米国特許第4,329,364号)は、テストステロン分泌の増加を引き起こし、エストロゲンへのより高い程度の芳香族化を生じ得る。これは、現在の知識から、前立腺過形成に負の効果を有すると予想される状況である(Jacobiら、Endocrinology 102 :1748−1755、1978年)。いくつかの研究は、化学去勢(LHRHアゴニスト)と抗アンドロゲンの併用による処置が、単独で使用されたいずれの処置よりも前立腺サイズのより大きな阻害を引き起こすことを示している(Seguinら、Mol. Cell. Endocrinol. 21:37−41,1981年; Lefebvreら、The Prostate 3:569−578,1982年; MarchettiおよびLabrie、J. Steroid Biochem。29:691−698,1988年)。
前立腺および他の多くの組織において、テストステロンは、5α−レダクターゼによって不可逆的により強力なアンドロゲンジヒドロテストステロンに変換される(BruchovskyおよびWilson、J. Biol. Chem. 243:2012−2021、1968年; Wilson、Handbook of Physiology 5 (第7節)、491−508頁、1975年)。5α−レダクターゼの阻害剤は、前立腺肥大を阻害することが判明している(Brooksら、Endocrinology 109:830,1981年; Brooksら、Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 169:67、1982年; Brooksら、Prostate 3:35,1982年; Wenderothら、Endocrinology 113,569−573,1983年; McConnellら、J. Urol. 141:239A、1989年); Stoner. E.、良性前立腺肥大における5α−レダクターゼ阻害剤の役割に関する講演、第84回AUA年次総会、ダラス、1989年5月8日)。
思春期前ラットにおける前立腺および精嚢の発達に対する5α−レダクターゼ阻害剤Merck L 652,931の阻害効果は、Proc. 71st Annual Meeting of Endocr. Soc.(abst. #1165, p. 314, 1989年)に記載されている。男性におけるジヒドロテストステロン形成に対するMK−906の阻害効果は、Gormleyら、Proc. 71st Annual Meeting of Endocr. Soc.(abst. #1225, p. 329, 1989年); Imperato−McGinleyら、Proc. 71st Annual Meeting of Endocr. Soc.(abst. #1639, p. 432, 1989年); GellerおよびFranson、Proc. 71st Annual Meeting of Endocr. Soc.(abst. #1640, p. 432, 1989年)、およびTenoverら、Proc. 71st Annual Meeting of Endocr. Soc.(abst. #583, p. 169, 1989年)に記載されている。5α−レダクターゼ阻害剤であるN、N−ジエチル−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド(4−MA)および6−メチレン−4−プレグネン−3,20−ジオン(LY 207320)の活性は、Toomeyら、Proc. 71st Annual Meeting of Endocr. Soc.(abst. #1226, p. 329, 1989年)に記載されている。
前立腺肥大に対するアンドロゲンの周知の効果に加えて、エストロゲンが前立腺肥大においても役割を果たすことを示す多くの研究が存在する(Walsh and Wilson、J. Clin. Invest. 57:1093−1097、1976年; Robinetteら、Invest. Urol. 15:425−432、1978年; Mooreら、J. Clin. Invest. 63:351−257、1979年)。さらに、エストロゲンは、イヌにおけるアンドロゲン誘発前立腺肥大を促進することが示されている(WalshおよびWilson、J. Clin. Invest. 57:1093−1097、1976年; Jacobiら、Endocrinology 102:1748−1755、1978年; Tunnら、Urol. Int. 35:125−140、1980年)。アンドロゲン誘導性前立腺肥大に対するエストロゲンのこの促進効果は、17β−エストラジオールがイヌ前立腺におけるアンドロゲン結合を増進させることが示されているという観察によって説明できる(Mooreら、J. Clin. Invest. 63:351−357、1979年)。
抗エストロゲン剤であるタモキシフェンは、イヌにおけるステロイド誘発性良性前立腺過形成を改善することが示されている(Funkeら、Acta Endocrinol. 100:462−472,1982年)。良性前立腺過形成を患う患者におけるステロイド性抗アンドロゲン・シプロテロン酢酸塩と合わせた抗エストロゲン・タモキシフェンの投与は、疾患の症状に対して有益な効果を示した(Di Silverioら、Ipertrofia Prostatica Benigna(F. Di Silverio、F.Neumann and M. Tannenbaum編)、Excerpta Medica、pp. 117−125、1986年)。米国特許第4,310,523号には、抗アンドロゲンと抗エストロゲンの組み合わせが良性前立腺過形成の予防および/または治療に有効であることが提案されている。しかしながら、タモキシフェンは、その有効性を制限する内因性エストロゲン活性を有する。
アンドロゲンの芳香族化から生じるエストロゲン形成は、いくつかの部位で起こる。男性では、アンドロゲンの芳香族化は、精巣、脂肪組織および筋肉組織、皮膚、肝臓、脳および前立腺において示されている(Schweikertら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 40:413−417、1975年; Folker and James, J. Steroid Biochem. 49: 687−690, 1983年; Longcopeら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 46:146−152、1978年; LacosteおよびLabrie、未発表データ; Stoneら、The Prostate、9:311−318,1986年; Stoneら、Urol. Res. 15:165−167、1987年)。良性前立腺過形成患者の前立腺組織におけるエストロゲン産生の増加の証拠がある(Stoneら、The Prostate 9:311−318、1986年)。このようなデータは、エストロゲンの局所形成が、循環エストロゲンによって予測される作用を超えて前立腺肥大を刺激する上で決定的な役割を果たす可能性があることを示している。
米国特許第4,472,382号は、抗アンドロゲンおよびLH−RHアゴニストとして作用する特定のペプチドによる良性前立腺過形成の治療を開示している。米国特許第4,596,797号は、前立腺過形成の予防及び/又は治療の方法としてのアロマターゼ阻害剤を開示している。米国特許第4,760,053号には、LHRHアゴニストと抗アンドロゲンおよび/または抗エストロゲンおよび/または少なくとも1つの性ステロイド生合成阻害剤を組み合わせたある種の癌の治療が記載されている。米国特許第4,775,660号は、卵巣分泌の外科的または化学的予防および抗アンドロゲンおよび抗エストロゲンの投与を含む併用療法で乳癌を治療する方法を開示している。
米国特許第4,659,695号は、精巣ホルモン分泌物が外科的または化学的手段によってブロックされているヒトを含む罹患可能性の高い男性動物における前立腺癌の治療方法を開示している。当該手段は、例えば、LHRHアゴニストの使用であり、抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミドを、性ステロイド生合成の少なくとも1つの阻害剤、例えば、アミノグルテチミドおよび/またはケトコナゾールと合わせて投与することを含む。上述の各特許(米国特許第4,472,382号、第4,596,797号、第4,760,053号、第4,775,660号、および第4,659,695号)の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
良性前立腺過形成は、アンドロゲンおよびエストロゲンの両方の活性の増加によって引き起こされる。このような良性前立腺過形成の2つの病因のために、提案されたホルモン療法は満足のいくものではなく、結果が予想できず、しばしば受け入れがたい副作用を引き起こしている。さらに、先行技術による治療は、約20〜30%を超える前立腺容積の減少をほとんどもたらさず、症候学に一貫した効果を与えることがなかった(Scott and Wade、J. Urol. 101:81−85,1969年; Caineら、J. Urol. 114: 564−568, 1975年; Peters and Walsh, New Engl. J. Med. 317: 599−604, 1987年; Gabriloveら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 64:1331−1333,1987年; Stoneら、J. Urol. 141: 240A, 1989年; Clejanら、J. Urol.141:534A、1989年; Stoner, E., 良性前立腺肥大症における5α−レダクターゼ阻害剤の役割に関する講演、第84回AUA年次総会、ダラス、1989年5月8日)。
以上で要約されたメカニズムの解明は、近年において良性前立腺過形成の進行を制御する、そして多くの場合、逆転させるための有効な薬剤の開発をもたらした。これらの薬剤の最前線には、Merck&Co.,Inc.の製品PROSCAR(登録商標)(フィナステリド)がある。この化合物の効果は、テストステロンを5α−ジヒドロテステロンに変換する酵素テストステロン5αレダクターゼを阻害し、結果として前立腺肥大率が減少し、多くの場合前立腺質量が減少することである。
PROSCAR(登録商標)のような薬剤の開発は、良性前立腺過形成の長期制御に有益である。しかしながら、症候群の長期にわたる進行から認められるように、その逆転も即時ではない。その間、良性前立腺過形成に罹患している男性は苦しみ続け、薬剤が十分に迅速に効いているという希望を失うことがある。
この問題に対する1つの解決策は、急性緩和を提供することにより遅効性治療薬を補完する薬学的に活性な化合物を同定することである。α1アドレナリン受容体に結合することにより、下部尿路組織の弛緩を誘発し、したがって疾患に起因するアドレナリン性緊張の増加を減少させる薬剤は、この活性の良好な候補であろう。したがって、そのような薬剤の1つはアルフゾシンである。この薬剤は、前立腺過形成の患者において排尿を誘発することが欧州特許第0204597号に報告されている。同様に、国際公開第92/00073号では、α1サブタイプのアドレナリン受容体に結合するテラゾシンのR(+)エナンチオマーの選択的能力が報告されている。さらに、国際公開第92/16213号には、Sα−レダクターゼ阻害化合物およびα1−アドレナリン受容体遮断薬(テラゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、ブナゾシン、インドラミン、アルルゾシン)の組み合わせが開示されている。しかし、これらの化合物のアルファ1d、アルファ1bまたはアルファ1aサブタイプ特異性に関する情報はこうしたデータとして提供されておらず、良性前立腺過形成の治療への関連性は知られていなかった。良性前立腺過形成の現在の治療法は、プラゾシン(Minipress、Pfizer)、Terazosin(Hytrin、Abbott)またはメシル酸ドキサゾシン(Cardura、Pfizer)などの既存の非選択的α1アンタゴニストを使用する。これらの非選択的アンタゴニストは、末梢血管系におけるα1d受容体およびα1b受容体の拮抗作用に関連する、低血圧および失神などの副作用がある。
ヒトα1αアドレナリン受容体(ATCC CRL 11140)のクローニングおよびクローン化ヒトα1a受容体を利用するスクリーニングアッセイの使用は、ヒトα1αアドレナリン受容体と特異的に相互作用する化合物の同定を可能にする。[1994年4月14日に公開された国際公開第94/08040号および1994年5月26日に公開された国際公開第94/10989号]。1996年5月23日に公開された国際公開第96/14846号は、広範なジヒドロピリミジン化合物を開示し、ヒトα1a受容体に対する選択的アンタゴニストとしてのそれらの使用を提案する。化合物は、クローニングされたヒトαアドレナリン受容体を用いてアッセイされ、そのようにアッセイされた化合物のいくつかは選択的α1aアンタゴニストであることが開示された。
不要な細胞要素を含む他の状態においては、選択的細胞除去が望ましい場合もある。例えば、心臓病および脳卒中は一般にアテローム性動脈硬化症によって引き起こされるが、この症状は、血管壁を歪ませ、内腔を狭窄させ、血流を抑制し、集中した血栓を生じやすく、最終的に閉塞および梗塞の原因となる線維脂肪および改変された平滑筋要素の増殖性病変である。アテローム性動脈硬化症には様々な治療法がある。例えば、バイパス移植片;人工移植片;再疎通、掻爬、放射線、レーザー、または他の除去法を用いた血管形成;脂質低下を介してアテローム性動脈硬化症を抑制する薬物療法;抗凝固療法;および食餌療法、運動療法、生活習慣療法といった一般的な方法がある。アテローム性動脈硬化病変を外科的処置のリスクおよび副作用なしに除去する方法が必要である。
選択的細胞除去が望ましい不要な細胞要素の他の例には、疣贅などのウイルス誘発性増殖が含まれる。別の例は、炎症状態に見られる肥大性炎症塊、および肥大性瘢痕またはケロイドである。さらに他の例は、例えば、顔面の真皮および結合組織における、又は四肢の真皮および結合組織における、美容目的のための不要な毛髪(例えば、顔毛)の除去、または不要な組織領域の収縮のような美容的状況において、見出される。
選択的細胞除去または細胞増殖の阻害が望ましい不要な細胞要素の他の例は、循環系における動脈、弁または管の狭窄および再狭窄を含む。これらは、弁(例えば、大動脈弁口の狭窄を伴う大動脈弁狭窄)、冠状動脈(例えば、冠状動脈口の狭窄を伴う冠状動静脈硬化症)、頸動脈および腎動脈を含むが、これらに限定されない。他の例には、狭窄または動脈瘤を治療するために血管内に、または尿路内および胆管内に配置または埋め込まれたステントのような医療器具の部分的または完全な閉塞を引き起こす不要な細胞増殖または蓄積の阻害または除去が含まれる。
さらに他の例は、当業者には明らかであろう。これらの例の全てまたは大部分において、従来の療法のリスクおよび副作用なしに不要な細胞要素を除去または破壊することができるか、または不要な細胞要素をより正確に除去することができる治療が必要である。
関連技術の前述の説明を含めて、本明細書に記載されたすべての公に入手可能な文書(すべての米国特許および公開特許出願を含む)は、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。上記された関連技術の説明は、いかなる形であれ、係属中の米国特許出願を含む上記された文書のいずれかが本開示の先行技術であることを認めるものではない。さらに、記載された製品、方法、および/または装置に関連する欠点についての本明細書上の記載は、いかなるものであれ、実施形態を限定するものではない。実際に、実施形態の態様は、記載された欠点による害を被ることなく、記載された製品、方法、および/または装置の特定の特徴を含むことができる。
当技術分野では、不要な細胞要素を治療するための新しく、毒性が低く、頻度が少ない(例えば、毎日または毎週薬剤を服用する必要性を回避する)治療の必要性が依然として存在する。また、当該技術分野では、後の侵襲的外科的処置の必要性を低減するような治療の必要性が依然として存在する。本発明の実施形態は、これらの必要性を満たす。
本開示は、アミノ酸配列Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leuによって記述される特定のペプチドを含む、特定のNTPペプチドが、哺乳類における不要な細胞増殖物を治療および/または死滅させることができる少なくとも1つの付加的な活性薬剤と組み合わせた場合、哺乳動物における不要な細胞増殖物を治療および/または死滅させることができる、という前提に部分的に基づいている。これらの不要な細胞増殖物には、とりわけ良性および悪性腫瘍、腺(例えば前立腺)過形成、不要な顔毛、疣贅、および不要な脂肪組織が含まれる。
本開示は、アミノ酸配列Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leuによって記述される特定のペプチドを含む、特定のNTPペプチドが、単独で、または哺乳類における不要な細胞増殖物を治療および/または死滅させることができる付加的な活性薬剤との組み合わせによって、後に外科的治療を受ける患者において予期せぬ改善をもたらす、という前提に部分的に基づいている。この改善は、未治療の患者、およびNTPペプチドを単独で、または追加の活性薬剤と組み合わせて、2回以上投与された患者では、より顕著である。
いくつかの実施形態は、不要な細胞増殖物(良性および悪性腫瘍、腺(例えば、前立腺)過形成、不要な顔毛、疣贅、および不要な脂肪組織)を罹患した患者における後の侵襲的外科的処置の必要性を低減する方法に関し、当該方法は、単独で、または哺乳動物における不要な細胞増殖物を治療および/または死滅させることができる少なくとも1つの付加的な活性剤と組み合わせて、NTPペプチドを含む組成物をそれを必要とする哺乳動物に治療有効量だけ投与することを含む。一実施形態では、治療される患者は、不要な細胞増殖の治療を以前に受けていない患者である。別の実施形態では、組成物は2回以上投与される。
組成物は、エアロゾル、注入、ボーラス注射、植え込み装置、徐放システムなどによって、筋肉内、経口、静脈内、腹腔内、脳室内(柔組織内)、脳室内、腫瘍内、病巣内、皮内、髄腔内、鼻腔内、眼内、動脈内、局所、経皮投与することができる。あるいは、NTPペプチドをインビボで発現させることもできる。そのためには、NTPペプチドを発現する遺伝子を投与する、そのような産生を誘発するワクチンを投与する、または遺伝子改変によりインビボでペプチドを発現する細胞、細菌またはウイルスを導入する、等の手段を用いる。
前述の一般的な説明および後述の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものであり、特許請求される実施形態のさらなる説明を提供することが意図されている。他の目的、利点および特徴は、以下の実施形態の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。
本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列、ペプチド、組成物、活性物質など、および方法を閲読する前に、本発明は、特定の方法論、プロトコル、細胞株、ベクターおよび試薬に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、専ら特定の実施形態を説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本実施形態の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
本明細書で使用される用語および語句は、他に指示されない限り、以下に示すように定義される。本明細書を通して、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別の意味に規定される場合を除き、複数の指示対象への言及を含む。したがって、例えば、「宿主細胞」への言及は、複数の宿主細胞を含み、「抗体」への言及は、1つまたは複数の抗体および当業者に知られているその均等物への言及である。
本明細書に記載されるアミノ酸およびアミノ酸残基は、以下の表に示される一般に認められた1文字または3文字のコードに従って参照され得る。
「NTPペプチド」という表現は、文脈によって別の意味を指示されない限り、神経突起タンパク質(Neural Thread Proteins)のアミノ酸配列の少なくとも一部に対応するアミノ酸配列または神経突起タンパク質のフラグメントに対応するアミノ酸配列を含むペプチドを指し、加えてそのようなペプチドの相同体、誘導体、変異体、融合タンパク質、およびペプチド模倣体を含む。また、「NTPペプチド」という表現は、米国特許出願公開第2007/0237780号(放棄済)、米国特許出願公開第2003/0054990号(現米国特許第7,172,893号)、米国特許出願公開第2003/0096350号(現米国特許第6,924,266号)、米国特許出願公開第2003/0096756号(現米国特許第7,192,929号)、米国特許出願公開第2003/0109437号(現米国特許第7,241,738号)、米国特許出願公開第2003/0166569号(現米国特許第7,317,077号)、および米国特許出願公開第2005/0032704号(現米国特許第7,408,021号)の1つ以上で請求されるペプチドまたは他の組成物を指す。これらの特許出願の開示内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。特定のペプチドを以下に列挙する。
1)配列ID番号1:MEFSLLLPRLECNGA または Met−Glu−Phe−Ser−Leu−Leu−Leu−Pro−Arg−Leu−Glu−Cys−Asn−Gly−Ala
2)配列ID番号2:GAISAHRNLRLPGSS または Gly−Ala−Ile−Ser−Ala−His−Arg−Asn−Leu−Arg−Leu−Pro− Gly−Ser−Ser
3)配列ID番号3:DSPASASPVAGITGMCT または Asp−Ser−Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Pro−Val−Ala−Gly−Ile−Thr−Gly−Met−Cys−Thr
4)配列ID番号4:MCTHARLILYFFLVEM または Met−Cys−Thr−His−Ala−Arg−Leu−Ile−Leu−Tyr−Phe−Phe−Leu−Val−Glu−Met
5)配列ID番号5:YFFLVEMEFLH または Tyr−Phe−Phe−Leu−Val−Glu−Met−Glu−Phe−Leu−His
6)配列ID番号6:VGQAGLELPTS または Val−Gly−Gln−Ala−Gly−Leu−Glu−Leu−Pro−Thr−Ser
7)配列ID番号7:DDPSVSASQSARYRTGH または Asp−Asp−Pro−Ser−Val−Ser−Ala−Ser−Gln−Ser−Ala−Arg−Tyr−Arg−Thr−Gly−His
8)配列ID番号8:TGHHARLCLANFCG または Thr−Gly−His−His−Ala−Arg−Leu−Cys−Leu−Ala−Asn−Phe−Cys−Gly
9)配列ID番号9:ANFCGRNRVSLMCPSWS または Ala−Asn−Phe−Cys−Gly−Arg−Asn−Arg−Val−Ser−Leu−Met−Cys−Pro−Ser−Trp−Ser
10)配列ID番号10:PELKQSTCLSLPKCWDYRR または Pro−Glu−Leu−Lys−Gln−Ser−Thr−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
11)配列ID番号11:LKQSTCLSLPKCWDYRR または Leu−Lys−Gln−Ser−Thr−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
12)配列ID番号12:STCLSLPKCWDYRR または Ser−Thr−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
13)配列ID番号13:LSLPKCWDYRR または Leu−Ser−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
14)配列ID番号14:KCWDYRRAAVPGL または Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Ala−Ala−Val−Pro−Gly−Leu
15)配列ID番号15:KCWDYRRAAVPGLFILFFL または Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Ala−Ala−Val−Pro−Gly−Leu−Phe−Ile−Leu−Phe−Phe−Leu
16)配列ID番号16:KCWDYRRAAVPGLFILFFLRHRCP または Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Ala−Ala−Val−Pro−Gly−Leu−Phe−Ile−Leu−Phe−Phe−Leu−Arg−His−Arg−Cys−Pro
17)配列ID番号17:KCWDYRRAAVPGLFILFFLRHRCPTLTQDEVQWCDHSS または Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Ala−Ala−Val−Pro−Gly−Leu−Phe−Ile−Leu−Phe−Phe−Leu−Arg−His−Arg−Cys−Pro−Thr−Leu−Thr−Gln−Asp−Glu−Val−Gln−Trp−Cys−Asp−His−Ser−Ser
18)配列ID番号18:WDYRR または Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
19)配列ID番号19:FILFFLRHRCPTL または Phe−Ile−Leu−Phe−Phe−Leu−Arg−His−Arg−Cys−Pro−Thr−Leu
20)配列ID番号20:FILFFLRHRCPTLTQDEVQWCDHSS または Phe−Ile−Leu−Phe−Phe−Leu−Arg−His−Arg−Cys−Pro−Thr−Leu−Thr−Gln−Asp−Glu−Val−Gln−Trp−Cys−Asp−His−Ser−Ser
21)配列ID番号21:HRCPTLTQDEVQWCDHSSLQPSTPEIKHP または His−Arg−Cys−Pro−Thr−Leu−Thr−Gln−Asp−Glu−Val−Gln−Trp−Cys−Asp−His−Ser−Ser−Leu−Gln−Pro−Ser−Thr−Pro−Glu−Ile−Lys−His−Pro
22)配列ID番号22:PASASQVAGTKDMH または Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Gln−Val−Ala−Gly−Thr−Lys−Asp−Met−His
23)配列ID番号23:DMHHYTWLIFIFIFNFLR または Asp−Met−His−His−Tyr−Thr−Trp−Leu−Ile−Phe−Ile−Phe−Ile−Phe−Asn−Phe−Leu−Arg
24)配列ID番号24:HYTWLIFIFIFNFLRQSLN または His−Tyr−Thr−Trp−Leu−Ile−Phe−Ile−Phe−Ile−Phe−Asn−Phe−Leu−Arg−Gln−Ser−Leu−Asn
25)配列ID番号25:SVTQAGVQWRNLGSLQPLPPGFKLFSCPSLLSSWDYRRPPRLANF または Ser−Val−Thr−Gln−Ala−Gly−Val−Gln−Trp−Arg−Asn−Leu−Gly−Ser−Leu−Gln−Pro−Leu−Pro−Pro−Gly−Phe−Lys−Leu−Phe−Ser−Cys−Pro−Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Pro−Pro−Arg−Leu−Ala−Asn−Phe
26)配列ID番号26:PGFKLFSCPSLLSSWDYRR または Pro−Gly−Phe−Lys−Leu−Phe−Ser−Cys−Pro−Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
27)配列ID番号27:FKLFSCPSLLSSWDYRRPPRLANF または Phe−Lys−Leu−Phe−Ser−Cys−Pro−Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Pro−Pro−Arg−Leu−Ala−Asn−Phe
28)配列ID番号28:FSCPSLLSSWDYRR または Phe−Ser−Cys−Pro−Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
29)配列ID番号29:SLLSSWDYRR または Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
30)配列ID番号30:SSWDY または Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr
31)配列ID番号31:SSWDYRR または Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
32)配列ID番号32:SSWDYRRPPRLANFFVFLVEMGFTM または Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Pro−Pro−Arg−Leu−Ala−Asn−Phe−Phe−Val−Phe−Leu−Val−Glu−Met−Gly−Phe−Thr−Met
33)配列ID番号33:FVFLVEMGFTM または Phe−Val−Phe−Leu−Val−Glu−Met−Gly−Phe−Thr−Met
34)配列ID番号34:MGFTMFARLILISGPCDLPASAS または Met−Gly−Phe−Thr−Met−Phe−Ala−Arg−Leu−Ile−Leu−Ile−Ser−Gly−Pro−Cys−Asp−Leu−Pro−Ala−Ser−Ala−Ser
35)配列ID番号35:ISGPC または Ile−Ser−Gly−Pro−Cys
36)配列ID番号36:DLPASASQSAGITGVSH または Asp−Leu−Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Gln−Ser−Ala−Gly−Ile−Thr−Gly−Val−Ser−His
37)配列ID番号37:GVSHHARLIFNFCLFEM または Gly−Val−Ser−His−His−Ala−Arg−Leu−Ile−Phe−Asn−Phe−Cys−Leu−Phe−Glu−Met
38)配列ID番号38:NFCLFEMESH または Asn−Phe−Cys−Leu−Phe−Glu−Met−Glu−Ser−His
39)配列ID番号39:SVTQAGVQWPNLGSLQPLPPGLKRFSCLSLPSSWDYGHLPPHPANF または Ser−Val−Thr−Gln−Ala−Gly−Val−Gln−Trp−Pro−Asn−Leu−Gly−Ser−Leu−Gln−Pro−Leu−Pro−Pro−Gly−Leu−Lys−Arg−Phe−Ser−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Gly−His−Leu−Pro−Pro−His−Pro−Ala−Asn−Phe
40)配列ID番号40:PPGLKRFSCLSLPSSWDYG または Pro−Pro−Gly−Leu−Lys−Arg−Phe−Ser−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Gly
41)配列ID番号41:FSCLSLPSSWDYGH または Phe−Ser−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Gly−His
42)配列ID番号42:LSLPSSWDY または Leu−Ser−Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr
43)配列ID番号43:SSWDYGHLPPHPANFCIFIRGGVSPYLSGWSQTPDLR または Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Gly−His−Leu−Pro−Pro−His−Pro−Ala−Asn−Phe−Cys−Ile−Phe−Ile−Arg−Gly−Gly−Val−Ser−Pro−Tyr−Leu−Ser−Gly−Trp−Ser−Gln−Thr−Pro−Asp−Leu−Arg
44)配列ID番号44:PGFFKLFSCPSLLSSWDYRR または Pro−Gly−Phe−Phe−Lys−Leu−Phe−Ser−Cys−Pro−Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
45)配列ID番号45:PELKQSTCLSLPKCWDYRR または Pro−Glu−Leu−Lys−Gln−Ser−Thr−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
46)配列ID番号46:PPGLKRFSCLSLPSSWDYG または Pro−Pro−Gly−Leu−Lys−Arg−Phe−Ser−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Gly
47)配列ID番号47:FSCLSLPSSWDYGH または Phe−Ser−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Gly−His
48)配列ID番号48:STCLSLPKCWDYRR または Ser−Thr−Cys−Leu−Ser−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
49)配列ID番号49:FSCPSLLSSWDYRR または Phe−Ser−Cys−Pro−Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
50)配列ID番号50:LSLPSSWDY または Leu−Ser−Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr
51)配列ID番号51:LSLPKCWDYRR または Leu−Ser−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
52)配列ID番号52:SLLSSWDYRR または Ser−Leu−Leu−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
53)配列ID番号53:LPSSWDYRR または Leu−Pro−Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
54)配列ID番号54:SSWDYRR または Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg
55)配列ID番号55:SSWDY または Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr
56)配列ID番号56:SSWDYRRFILFFL または Ser−Ser−Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Phe−Ile−Leu−Phe−Phe−Leu
57)配列ID番号57:WDYRRFIFNFL または Trp−Asp−Tyr−Arg−Arg−Phe−Ile−Phe−Asn−Phe−Leu
58)配列ID番号58:FNFCLF または Phe−Asn−Phe−Cys−Leu−Phe
59)配列ID番号59:FIFNFL または Phe−Ile−Phe−Asn−Phe−Leu
60)配列ID番号60:PASASPVAGITGM または Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Pro−Val−Ala−Gly−Ile−Thr−Gly−Met
61)配列ID番号61:PASASQVAGTKDM または Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Gln−Val−Ala−Gly−Thr−Lys−Asp−Met
62)配列ID番号62:PASASQSAGITGV または Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Gln−Ser−Ala−Gly−Ile−Thr−Gly−Val
63)配列ID番号63:PASASPVAG または Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Pro−Val−Ala−Gly
64)配列ID番号64:FFLVEM または Phe−Phe−Leu−Val−Glu−Met
65)配列ID番号65:SVTQAGVQW または Ser−Val−Thr−Gln−Ala−Gly−Val−Gln−Trp
66)配列ID番号66:IDQQVLSRIKLEIKRCL または Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu− Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu
67)配列ID番号67:LSRIKLEIK または Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys
68)配列ID番号68:GDHGRPNLSRLKLAIKYEVKKM または Gly−Asp−His−Gly−Arg−Pro−Asn−Leu−Ser−Arg−Leu−Lys−Leu−Ala−Ile−Lys−Tyr−Glu−Val−Lys−Lys−Met
69)配列ID番号69:QQSIAVKFLAVFGVSI または Gln−Gln−Ser−Ile−Ala−Val−Lys−Phe−Leu−Ala−Val− Phe−Gly−Val−Ser−Ile
70)配列ID番号70:GLLFPVFSVCYLIAPKSPLGL または Gly−Leu−Leu−Phe−Pro−Val−Phe−Ser−Val−Cys−Tyr−Leu−Ile−Ala−Pro−Lys−Ser−Pro−Leu−Gly−Leu
71)配列ID番号71:MMVCWNRFGKWVYFI または Met−Met−Val−Cys−Trp−Asn−Arg−Phe−Gly−Lys−Trp−Val−Tyr−Phe−Ile
72)配列ID番号72:SAIFNFGPRYLYHGV または Ser−Ala−Ile−Phe−Asn−Phe−Gly−Pro−Arg−Tyr−Leu− Tyr−His−Gly−Val
73)配列ID番号73:PFYFLILVRIISFLI または Pro−Phe−Tyr−Phe−Leu−Ile−Leu−Val−Arg−Ile−Ile−Ser−Phe−Leu−Ile
74)配列ID番号74:GDMEDVLLNCTLLKR または Gly−Asp−Met−Glu−Asp−Val−Leu−Leu−Asn−Cys−Thr−Leu−Leu−Lys−Arg
75)配列ID番号75:SSRFRFWGALVCSMD または Ser−Ser−Arg−Phe−Arg−Phe−Trp−Gly−Ala−Leu−Val−Cys−Ser−Met−Asp
76)配列ID番号76:SCRFSRVAVTYRFIT または Ser−Cys−Arg−Phe−Ser−Arg−Val−Ala−Val−Thr−Tyr− Arg−Phe−Ile−Thr
77)配列ID番号77:LLNIPSPAVWMARNT または Leu−Leu−Asn−Ile−Pro−Ser−Pro−Ala−Val−Trp−Met−Ala−Arg−Asn−Thr
78)配列ID番号78:MAQSRLTATSASRVQ または Met−Ala−Gln−Ser−Arg−Leu−Thr−Ala−Thr−Ser−Ala−Ser−Arg−Val−Gln
79)配列ID番号79:AILLSQPPKQLGLRA または Ala−Ile−Leu−Leu−Ser−Gln−Pro−Pro−Lys−Gln−Leu−Gly−Leu−Arg−Ala
80)配列ID番号80:PANTPLIFVFSLEAG または Pro−Ala−Asn−Thr−Pro−Leu−Ile−Phe−Val−Phe−Ser−Leu− Glu−Ala−Gly
81)配列ID番号81:FHHICQAGLKLLTSG または Phe−His−His−Ile−Cys−Gln−Ala−Gly−Leu−Lys−Leu−Leu−Thr−Ser−Gly
82)配列ID番号82:DPPASAFQSAGITGV または Asp−Pro−Pro−Ala−Ser−Ala−Phe−Gln−Ser−Ala−Gly− Ile−Thr−Gly−Val
83)配列ID番号83:SHLTQPANLDKKICS または Ser−His−Leu−Thr−Gln−Pro−Ala−Asn−Leu−Asp−Lys−Lys−Ile−Cys−Ser
84)配列ID番号84:NGGSCYVAQAGLKLLASCNPSK または Asn−Gly−Gly−Ser−Cys−Tyr−Val−Ala−Gln−Ala−Gly−Leu−Lys−Leu−Leu−Ala−Ser−Cys−Asn−Pro−Ser−Lys
85)配列ID番号85:MWTLKSSLVLLLCLT または Met−Trp−Thr−Leu−Lys−Ser−Ser−Leu−Val−Leu−Leu−Leu−Cys−Leu−Thr
86)配列ID番号86:CSYAFMFSSLRQKTS または Cys−Ser−Tyr−Ala−Phe−Met−Phe−Ser−Ser−Leu−Arg−Gln−Lys−Thr−Ser
87)配列ID番号87:EPQGKVPCGEHFRIR または Glu−Pro−Gln−Gly−Lys−Val−Pro−Cys−Gly−Glu−His−Phe−Arg−Ile−Arg
88)配列ID番号88:QNLPEHTQGWLGSKW または Gln−Asn−Leu−Pro−Glu−His−Thr−Gln−Gly−Trp−Leu−Gly−Ser−Lys−Trp
89)配列ID番号89:LWLLFAVVPFVILKC または Leu−Trp−Leu−Leu−Phe−Ala−Val−Val−Pro−Phe−Val−Ile−Leu−Lys−Cys
90)配列ID番号90:QRDSEKNKVRMAPFF または Gln−Arg−Asp−Ser−Glu−Lys−Asn−Lys−Val−Arg−Met−Ala−Pro−Phe−Phe
91)配列ID番号91:LHHIDSISGVSGKRMF または Leu−His−His−Ile−Asp−Ser−Ile−Ser−Gly−Val−Ser−Gly−Lys−Arg−Met−Phe
92)配列ID番号92:EAYYTMLHLPTTNRP または Glu−Ala−Tyr−Tyr−Thr−Met−Leu−His−Leu−Pro−Thr−Thr−Asn−Arg−Pro
93)配列ID番号93:KIAHCILFNQPHSPR または Lys−Ile−Ala−His−Cys−Ile−Leu−Phe−Asn−Gln−Pro−His− Ser−Pro−Arg
94)配列ID番号94:SNSHSHPNPLKLHRR または Ser−Asn−Ser−His−Ser−His−Pro−Asn−Pro−Leu−Lys−Leu−His−Arg−Arg
95)配列ID番号95:SHSHNRPRAYILITI または Ser−His−Ser−His−Asn−Arg−Pro−Arg−Ala−Tyr−Ile−Leu−Ile−Thr−Ile
96)配列ID番号96:LPSKLKLRTHSQSHH または Leu−Pro−Ser−Lys−Leu−Lys−Leu−Arg−Thr−His−Ser−Gln−Ser−His−His
97)配列ID番号97:NPLSRTSNSTPTNSFLMTSSKPR または Asn−Pro−Leu−Ser−Arg−Thr−Ser−Asn−Ser−Thr−Pro−Thr−Asn−Ser−Phe−Leu−Met−Thr−Ser−Ser−Lys−Pro−Arg
98)配列ID番号98:SSSLGLPKCWDYRHE または Ser−Ser−Ser−Leu−Gly−Leu−Pro−Lys−Cys−Trp−Asp−Tyr−Arg−His−Glu
99)配列ID番号99:LLSLALMINFRVMAC または Leu−Leu−Ser−Leu−Ala−Leu−Met−Ile−Asn−Phe−Arg−Val−Met−Ala−Cys
100)配列ID番号100:TFKQHIELRQKISIV または Thr−Phe−Lys−Gln−His−Ile−Glu−Leu−Arg−Gln−Lys−Ile−Ser−Ile−Val
101)配列ID番号101:PRKLCCMGPVCPVKI または Pro−Arg−Lys−Leu−Cys−Cys−Met−Gly−Pro−Val−Cys−Pro−Val−Lys−Ile
102)配列ID番号102:ALLTINGHCTWLPAS または Ala−Leu−Leu−Thr−Ile−Asn−Gly−His−Cys−Thr−Trp−Leu−Pro−Ala−Ser
103)配列ID番号103:MFVFCLILNREKIKG または Met−Phe−Val−Phe−Cys−Leu−Ile−Leu−Asn−Arg−Glu−Lys−Ile−Lys−Gly
104)配列ID番号104:GNSSFFLLSFFFSFQ または Gly−Asn−Ser−Ser−Phe−Phe−Leu−Leu−Ser−Phe−Phe−Phe−Ser−Phe−Gln
105)配列ID番号105:NCCQCFQCRTTEGYA または Asn−Cys−Cys−Gln−Cys−Phe−Gln−Cys−Arg−Thr−Thr−Glu−Gly−Tyr−Ala
106)配列ID番号106:VECFYCLVDKAAFECWWFYSFDT または Val−Glu−Cys−Phe−Tyr−Cys−Leu−Val−Asp−Lys−Ala−Ala−Phe−Glu−Cys−Trp−Trp−Phe−Tyr−Ser−Phe−Asp−Thr
107)配列ID番号107:MEPHTVAQAGVPQHD または Met−Glu−Pro−His−Thr−Val−Ala−Gln−Ala−Gly−Val−Pro−Gln−His−Asp
108)配列ID番号108:LGSLQSLLPRFKRFS または Leu−Gly−Ser−Leu−Gln−Ser−Leu−Leu−Pro−Arg−Phe−Lys−Arg−Phe−Ser
109)配列ID番号109:CLILPKIWDYRNMNT または Cys−Leu−Ile−Leu−Pro−Lys−Ile−Trp−Asp−Tyr−Arg−Asn−Met−Asn−Thr
110)配列ID番号110:ALIKRNRYTPETGRKS または Ala−Leu−Ile−Lys−Arg−Asn−Arg−Tyr−Thr−Pro−Glu−Thr−Gly−Arg−Lys−Ser
111)配列ID番号111:IDQQVLSRI または Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile
112)配列ID番号112:KLEIKRCL または Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu
113)配列ID番号113:VLSRIK または Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys
114)配列ID番号114:RIKLEIK または Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys
115)配列ID番号115:VLSRIKLEIKRCL または Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu、および
116)配列ID番号116:IDQQVLSRIKLEI または Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile
また、「NTPペプチド」という表現は、配列ID番号1から116のアミノ酸配列を含むことが好ましいが、これらには限定されない。
「フラグメント」という用語は、タンパク質またはペプチドのアミノ酸配列の連続した部分配列からなり、スプライス変異体などの天然に存在するフラグメントおよび天然に存在するインビボプロテアーゼ活性から生じるフラグメントを含むタンパク質またはポリペプチドを指す。こうしたフラグメントは、アミノ末端、カルボキシ末端、および/または内部(天然スプライシングによるなど)で、一部切除(truncated)されていてもよい。こうしたフラグメントは、アミノ末端メチオニンを伴いまたは伴わずに調製可能である。「フラグメント」という用語は、直接またはリンカーを介して連結される、共通の隣接アミノ酸配列を含む、または含ない、同じタンパク質またはペプチド由来の同一または異なる、フラグメントを含む。当業者は、本明細書に概説されたガイドラインおよび手順を用いて、過度の実験をすることなく、実施形態で使用するのに適したフラグメントを選択することができるであろう。
「変異体」という用語は、本明細書記載のタンパク質またはペプチドのアミノ酸配列に比較した際、1以上のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入が存在している、タンパク質またはポリペプチドを指し、該用語には、こうして記載されるタンパク質またはペプチドの天然に存在するアレル変異体または選択的スプライシング変異体が含まれる。「変異体」という用語には、類似のまたは相同のアミノ酸あるいは似ていないアミノ酸による、ペプチド配列中の1以上のアミノ酸の置換が含まれる。どのアミノ酸を類似または相同と認定可能であるかに関する多くの基準がある(Gunnar von Heijne, Sequence Analysis in Molecular Biology, p.123−39(Academic Press, ニューヨーク州ニューヨーク 1987年)。好ましい変異体には、1以上のアミノ酸位でのアラニン置換が含まれる。他の好ましい置換には、タンパク質の全体の正味電荷、極性、または疎水性に対してほとんどまたはまったく影響しない、保存的置換が含まれる。保存的置換を、以下の表2に示す。
表3は、アミノ酸置換の別のスキームを示す。
他の変異体は、より保存的でないアミノ酸置換からなることも可能であり、(a)例えばシートまたはらせんコンフォメーションとしての、置換領域のポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖の大きさの維持に対して、影響がより有意に異なる残基を選択することなどがある。一般的に、機能に対して、より有意な影響を有すると期待される置換は、(a)グリシンおよび/またはプロリンが別のアミノ酸に置換されるか、あるいは欠失されるかまたは挿入されるもの;(b)親水性残基、例えばセリルまたはスレオニルが、疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、またはアラニルに対して(またはこれらによって)置換されるもの;(c)システイン残基が任意の他の残基に対して(またはこれらによって)置換されるもの;(d)電気的陽性側鎖を有する残基、例えばリジル、アルギニル、またはヒスチジルが、陰性電荷を有する残基、例えばグルタミルまたはアスパルチルに対して(またはこれらによって)置換されるもの;あるいは(e)大きな側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンが、こうした側鎖を持たないもの、例えばグリシンに対して(またはこれらによって)置換されるものである。他の変異体には、新規グリコシル化部位および/またはリン酸化部位を生成するように設計されたもの、あるいは存在するグリコシル化部位および/またはリン酸化部位を欠失させるように設計されたもののいずれかが含まれる。変異体には、グリコシル化部位、タンパク質分解的切断部位および/またはシステイン残基での少なくとも1つのアミノ酸置換が含まれる。変異体にはまた、リンカーペプチド上のタンパク質またはペプチド・アミノ酸配列の前または後にさらなるアミノ酸残基を含む、タンパク質およびペプチドも含まれる。例えば、ジスルフィド結合形成によるペプチドの環化を可能にするため、NTPペプチドのアミノ末端およびカルボキシ末端両方に、システイン残基を付加することも可能である。「変異体」という用語はまた、NTPペプチドの3’端または5’端いずれかに隣接する、少なくとも1つで、そして25まで、またはそれより多いさらなるアミノ酸を持つNTPペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチドも含む。
「誘導体」という用語は、プロセシングおよび他の翻訳後修飾などの天然プロセスによるだけでなく、例えば1以上のポリエチレングリコール分子、糖、ホスフェート、および/または他のこうした分子が、野生型タンパク質またはNTPペプチドに天然に付着していない場合に、こうした分子を付加するなどの、化学的修飾技術によって化学的に修飾されている、化学的修飾タンパク質またはポリペプチドを指す。誘導体には塩が含まれる。こうした化学的修飾は、基本的教科書に、そしてより詳細なモノグラフに、並びに多量の研究文献によく記載され、そしてこれらは当業者に周知である。同じ種類の修飾が、所定のタンパク質またはポリペプチドのいくつかの部位に同じ度合いでまたは異なる度合いで存在してもよいことが認識されるであろう。また、所定のタンパク質またはポリペプチドが、多くの種類の修飾を含有してもよい。修飾は、タンパク質またはポリペプチドのどの部位で生じることも可能であり、そうした部位には、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシ末端が含まれる。修飾には、例えば、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシ化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、ホスホリル化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質付着、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ−カルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP−リボシル化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのトランスファーRNAが仲介するタンパク質へのアミノ酸の付加、およびユビキチン化が含まれる。例えばProteins−−Structure And Molecular Properties, 第2版, T.E. Creighton, W.H. Freeman and Company, ニューヨーク(1993年)およびWold, F., “Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects,” Posttranslational Covalent Modification Of Proteins中, 1〜12ページ, B.C. Johnson監修, Academic Press, ニューヨーク(1983年); Seifterら, Meth. Enzymol. 182:626−646(1990年)およびRattanら, “Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging,” Ann. N.Y. Acad. Sci. 663:48−62(1992年)を参照されたい。「誘導体」という用語には、分枝する、あるいは分枝して環状に、または分枝せずに環状になる、タンパク質またはポリペプチドを生じる化学的修飾が含まれる。環状、分枝および分枝環状タンパク質またはポリペプチドは、翻訳後天然プロセスから生じる可能性があり、そしてまた、完全に合成的な方法で作成することも可能である。
「相同体」という用語は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位における類似性を比較するのに一般的に用いられる標準法によって決定されるように、NTPペプチドのアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるタンパク質を指す。2つのタンパク質の間の類似性または同一性の度合いは、限定されるわけではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.監修, Oxford Unversity Press, ニューヨーク, 1988年; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.監修, Academic Press, ニューヨーク, 1993年; Computer Analysis of Sequence Data, 第I部, Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.監修, Humana Press, ニュージャージー州, 1994年; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987年; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.およびDevereux, J.監修, M Stockton Press, ニューヨーク, 1991年;ならびにCarillo H.およびLipman, D., SIAM, J. Applied Math., 48:1073(1988年)に記載されるものを含む、既知の方法によって、容易に計算可能である。同一性を決定する好ましい方法は、試験する配列間で最大のマッチを生じさせるように設計される。同一性および類似性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに体系化されている。
2つの配列間の同一性および類似性を決定する際に有用な好ましいコンピュータプログラム法には、限定されるわけではないが、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J.ら, Nucleic Acids Research, 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、およびFASTA、Atschul, S.F.ら, J. Molec. Biol., 215:403−410(1990)が含まれる。BLAST Xプログラムは、NCBIおよび他の供給源から公的に入手可能である(BLAST Manual, Altschul, S.ら, NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul, S.ら, J. Mol. Biol., 215:403−410(1990))。例えば、GAP(ウィスコンシン大学遺伝子コンピュータグループ、ウィスコンシン州マディソン)などのコンピュータアルゴリズムを用いて、配列同一性パーセントを決定しようとする2つのタンパク質またはポリペプチドを、各々のアミノ酸が最適にマッチするように、並列させる(アルゴリズムに決定されるような「マッチしたスパン」)。
ギャップオープニングペナルティ(平均対角の3倍として計算;「平均対角」は、用いる比較マトリックスの対角の平均であり;「対角」は、特定の比較マトリックスによる、各完全アミノ酸マッチに割り当てられたスコアまたは数字である)およびギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップオープニングペナルティの1/10)、ならびにPAM250またはBLOSUM62などの比較マトリックスを、アルゴリズムと組み合わせて用いる。標準比較マトリックス(PAM250比較マトリックスに関しては、Dayhoffら: Atlas of Protein Sequence and Structure, vol.5, supp.3を参照されたい;BLOSUM62比較マトリックスに関しては、Henikoffら, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89:10915−10919を参照されたい)もまた、アルゴリズムに使用可能である。次いで、アルゴリズムによってパーセント同一性が計算される。相同体は、場合によって、対応するタンパク質またはペプチドと比較した際、典型的には、1以上のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を有するであろう。
「融合タンパク質」という用語は、一つ以上のペプチドが、抗体、またはF.sub.abフラグメントまたは短鎖Fvのような抗体フラグメントなどの(これに制限されるわけではない)タンパク質に組換え融合しているまたは(共有結合および非共有結合を含めた)化学的に複合している(conjugated)タンパク質を意味する。「融合タンパク質」という用語は、更に、ペプチドの多量体(すなわち、二量体、三量体、四量体およびそれより多い多量体)を意味する。このような多量体は、一つのペプチドを含むホモマー多量体;二つ以上のペプチドを含むヘテロマー多量体;および少なくとも一つのペプチドおよび少なくとも一つの他のタンパク質を含むヘテロマー多量体を含む。このような多量体は、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合の会合、結合またはリンクの結果であってもよく、リンカー分子を用いた架橋結合によって形成されてもよく、または間接的に、例えば、リポソーム形成によって連結されていてもよい。
「ペプチド模倣体(mimetic)」または「模倣体」という用語は、ペプチドまたはタンパク質の生物学的活性を模倣するが、もはや化学的性質はペプチド性でない、すなわちもはやペプチド結合(すなわちアミノ酸間のアミド結合)をまったく含有しない、生物学的活性化合物を指す。本明細書において、ペプチド模倣体という用語は、より広い意味で用いられ、事実上、もはや完全にペプチド性でない分子、例えば偽ペプチド、半ペプチドおよびペプトイドなどが含まれる。この、より広い意味でのペプチド模倣体の例(ペプチドの一部が、ペプチド結合を欠く構造と交換されている場合)を以下に記載する。完全な非ペプチドであれ、また部分的な非ペプチドであれ、本発明の実施形態のペプチド模倣体は、そのペプチド模倣体の基となるペプチドの活性基の三次元配置を緊密に真似る、反応性化学部分の空間的配置を提供する。活性部位の幾何学的形状がこのように類似である結果、ペプチド模倣体は、ペプチドの生物学的活性に似た、生物学的系に対する影響を有する。
本発明の実施形態のペプチド模倣体は、好ましくは、三次元形状および生物学的活性両方において、本明細書記載のペプチドに実質的に類似である。当該技術分野に知られるペプチドを構造的に修飾してペプチド模倣体を生成する方法の例には、D−アミノ酸残基構造を導く、主鎖キラル中心の反転が含まれ、D−アミノ酸残基構造は、特にN末端で、不都合に影響を及ぼす活性を伴わずに、タンパク質分解的分解に対して、増進した安定性を導く。この例は、論文“Tritriated D−ala1−Peptide T Binding”, Smith C.S.ら, Drug Development Res., 15, pp.371−379(1988年)に記載される。第二の方法は、NからCの鎖間イミドおよびラクタムなどの、安定性のための環状構造の改変である(Edeら, SmithおよびRivier(監修)“Peptides: Chemistry and Biology”, Escom, Leiden(1991年)中, pp.268−270)。この例は、その開示が本明細書に全体として援用される、米国特許第4,457,489号(1985年)、Goldstein, G.らに開示されるものなどの、コンフォメーション的に制限されたチモペンチン様化合物に提供される。第三の方法は、ペプチド内のペプチド結合を、タンパク質分解に耐性を与える偽ペプチド結合によって置換することである。
ペプチド構造および生物学的活性に概して影響を与えない、いくつかの偽ペプチド結合が記載されている。このアプローチの1つの例は、逆反転(retro−inverso)偽ペプチド結合で置換することである(“Biologically active retroinverso analogues of thymopentin”, Sisto A.ら, Rivier, J.E.およびMarshall, G.R.(監修)“Peptides, Chemistry, Structure and Biology”, Escom, Leiden(1990年)中, pp.722−773、およびDalpozzoら(1993年), Int. J. Peptide Protein Res., 41:561−566、本明細書に援用される)。この修飾にしたがって、ペプチドのアミノ酸配列は、1以上のペプチド結合が、逆反転偽ペプチド結合と交換されていることを除いて、上述のペプチドの配列と同一であってもよい。好ましくは、最もN末端のペプチド結合が置換されており、これはこうした置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対して、耐性を与えるであろうためである。アミノ酸の化学基を類似構造の他の化学基で置換することによってさらに修飾することもできる。生物学的活性をまったく損失させないか、またはほとんど損失させずに、酵素的切断に対する安定性を増進させることが知られる、別の適切な偽ペプチド結合は、還元アイソスター偽ペプチド結合である(Couderら(1993年), Int. J. Peptide Protein Res., 41:181−184、本明細書にその全体が援用される)。
したがって、これらのペプチドのアミノ酸配列は、1以上のペプチド結合が、アイソスター偽ペプチド結合によって交換されていることを除いて、ペプチドの配列と同一であることも可能である。好ましくは、最もN末端のペプチド結合が置換されており、これはこうした置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対して、耐性を与えるであろうためである。1以上の還元アイソスター偽ペプチド結合を持つペプチドの合成が当該技術分野に知られる(Couderら(1993年)、上記引用)。他の例は、ケトメチレン又はメチルスルフィド結合の導入によるペプチド結合の置換などである。
本明細書記載のペプチドのペプトイド誘導体は、生物学的活性に重要な構造的決定基を保持するが、ペプチド結合が取り除かれ、それによってタンパク質分解に対する耐性が与えられた、別の種類のペプチド模倣体に相当する(Simonら, 1992年, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:9367−9371、本明細書にその全体が援用される)。ペプトイドは、N−置換グリシンのオリゴマーである。いくつかのN−アルキル基が記載されており、各々は天然アミノ酸の側鎖に対応する(Simonら(1992年)、上記引用)。ペプチドのアミノ酸のいくつかまたはすべてを、交換されるアミノ酸に対応するN−置換グリシンと交換することが可能である。
「ペプチド模倣体」または「模倣体」という用語にはまた、以下に定義するような、逆Dペプチドおよび鏡像異性体も含まれる。
「逆Dペプチド」という用語は、ペプチドのL−アミノ酸配列に比較した際、逆の順に配置されたD−アミノ酸からなる、生物学的活性タンパク質またはペプチドを指す。したがって、L−アミノ酸ペプチドのカルボキシ末端残基は、D−アミノ酸ペプチドのアミノ末端になるなどである。例えば、ペプチドETESHは、Hdddddになり、ここで、Ed、Hd、Sd、およびTdは、それぞれ、L−アミノ酸、E、H、S、およびTに対応するD−アミノ酸である。
「鏡像異性体」という用語は、あるペプチドのアミノ酸配列中の一つ以上のL−アミノ酸残基が、対応するD−アミノ酸残基で置き換えられている生物学的に活性なタンパク質またはペプチドを意味する。
本明細書中で用いられる「組成物」は、挙げられたペプチドまたはアミノ酸配列、および場合によっては付加的な活性剤を含有するいずれかの組成物を広く意味する。その組成物は、乾燥配合物、水溶液または滅菌組成物を含むことができる。ペプチドを含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。それらプローブは、凍結乾燥された形で貯蔵することができ、また、炭水化物などの安定剤と会合させることができる。ハイブリダイゼーションの場合、プローブは、塩類、例えば、NaCl;界面活性剤、例えば、硫酸ドデシルナトリウム(SDS);および他の成分、例えば、デンハート溶液、脱脂乳、サケ精子DNA等を含有する水溶液中に配置することができる。
付加的な活性剤がNTPペプチドとともに使用される別の実施形態では、「活性剤」という表現は、不要な細胞増殖物および/または組織増殖物を除去することができる任意の薬剤を示すために使用される。適切な活性剤には、(i)抗癌活性剤(アルキル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、RNA/DNA代謝拮抗剤、および有糸分裂阻害剤など)、(ii)良性増殖を治療するための活性剤、例えば、抗ニキビおよび抗疣贅活性剤、(iii)抗アンドロゲン化合物(酢酸シプロテロン(1α、2β−メチレン−6−クロロ−17α−アセトキシ−6−デヒドロプロゲステロン)タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤)、(iv)α1−アドレナリン受容体遮断薬(タムスロシン、テラゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、ブナゾシン、インドラミン、アルフゾシン、シロドシン)、(v)5α−レダクターゼ阻害剤(フィナステリド、デュタステリド)、(vi)ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤(タダラフィル)およびそれらの組み合わせ、が含まれ得るが、これらに限定されない。
本発明の実施形態は、不要な細胞増殖物(良性および悪性腫瘍、腺(例えば、前立腺)過形成、不要な顔毛、疣贅、および不要な脂肪組織)を罹患した患者における後の侵襲的外科的処置の必要性を低減する方法に関し、当該方法は、単独で、または哺乳動物における不要な細胞増殖物を治療および/または死滅させることができる少なくとも1つの付加的な活性剤と組み合わせて、NTPペプチドを含む組成物をそれを必要とする哺乳動物に治療有効量だけ投与することを含む。一実施形態では、治療される患者は、不要な細胞増殖の治療を以前に受けていない患者である。別の実施形態では、組成物は2回以上投与される。本明細書の記載を通して、BPHのための「侵襲的外科的処置」または「外科的処置」という表現は、前立腺の経尿道的切除、気化、核形成、切除および他のレーザー処置などのレーザーアブレーション処置、マイクロ波処置、経尿道的針アブレーション、ステント留置、およびBPHを治療するための他の侵襲的外科的処置を含むが、これらには限定されない。
細胞死を引き起こすのに有効な薬剤であることが判明したNTPペプチド由来の他のペプチド配列もまた、本明細書に記載のNTPペプチドと組み合わせて付加的な活性剤として使用することができる。当業者は、本明細書中に提供されるガイドラインを使用して、他の有効なペプチド配列を同定するために、そのタンパク質のアミノ酸配列全体にわたる有効なペプチドのフラグメントを過度の実験なしに合成することができる。
本発明者は、不要な細胞成分の除去または破壊を必要とする哺乳動物の治療においてNTPペプチドを使用すると、未治療の哺乳動物における後の侵襲的外科的処置の必要性が、以前に治療を受けた哺乳動物(以前に治療を受けたが失敗に終わった哺乳動物(「治療失敗」)を含む)と比較して、予想外に優れた低下を示した。「未治療」という用語は、本明細書において、その特定の細胞要素の除去のための治療を以前に受けていない哺乳動物の最も重要な治療または治療を意味するために使用される。例えば、疣贅の除去のために以前に治療された哺乳動物は、膵臓癌細胞の除去のための治療については「未治療」の哺乳動物であると考えられる。さらに、以前に乳癌の治療を受けた哺乳動物は、前立腺癌の治療については「未治療」の哺乳動物であると考えられる。治療失敗患者は、好ましくは、本明細書に記載のNTPペプチド以外の薬剤で特定の細胞要素を除去または破壊するために以前に治療を受けたものの、再度症状が発生した患者(治療直後から効果がなかった場合と、一定期間効果があったが症状が再発した場合とを含む)を含む。
本発明者はまた、不要な細胞要素の除去または破壊を必要とする哺乳動物を治療するためにNTPペプチドを含む組成物を2回以上投与すると、後の侵襲的外科的処置の必要性が、NTPペプチドを含む組成物を1回のみ投与した哺乳動物と比較して、予想外に優れた低下を示すことを発見した。本発明者らは、NTPペプチドを投与すると、プラセボを投与した哺乳動物と比較して、後の外科的処置が約15〜100%減少することを発見した。一部の実施形態では、減少率が改善され、約25%〜約75%、または約30%〜約50%、または約31%〜約35%の範囲内である。
発明者は、NTPペプチドを2回以上投与した哺乳動物において、後の外科的処置の減少率の改善が、さらに顕著であることを発見した。本発明者らは、NTPペプチドを2回以上投与すると、NTPペプチドを1回投与した哺乳動物と比較して、後の外科的処置が約45〜100%減少することを発見した。一部の実施形態では、減少率が改善され、約50%〜約80%、または約60%〜約75%、または約65%〜約70%の範囲内である。本発明者らはさらに、NTPペプチドを2回以上投与すると、プラセボを投与した哺乳動物と比較して、後の外科的処置が約60〜100%減少することを発見した。一部の実施形態では、減少率が改善され、約70%〜約95%、または約75%〜約90%、または約77%〜約85%の範囲内である。
本発明者は、後の外科的処置の減少率の改善が、以前に付加的な活性薬剤を服用していない未治療の哺乳動物(または当該状態の治療を以前に受けていない哺乳動物)においてさらに顕著であることを発見した。本発明者らは、未治療の哺乳動物にNTPペプチドを投与することにより、プラセボを投与した未治療の哺乳動物と比較して、後の外科的処置が約70〜100%減少することを発見した。一部の実施形態では、減少率が改善され、約75%〜約95%、または約80%〜約90%、または約85%〜約90%の範囲内である。本発明者らはさらに、未治療の哺乳動物にNTPペプチドを投与すると、やはりNTPペプチドを投与した治療失敗哺乳動物と比較して、後の外科的処置が約60〜100%減少することを発見した。一部の実施形態では、減少率が改善され、約75%〜約95%、または約80%〜約90%、または約85%〜約90%の範囲内である。本発明者らはさらに、未治療の哺乳動物にNTPペプチドを投与することにより、プラセボを投与した治療失敗哺乳動物と比較して、後の外科的処置が約75〜100%減少することを発見した。一部の実施形態では、減少率が改善され、約80%〜約98%、または約85%〜約97%、または約90%〜約95%の範囲内である。
本発明の実施形態は、不要な細胞増殖物の除去または破壊を必要とする状態に罹患している哺乳動物を治療する方法であって、当該哺乳動物が当該状態の治療を以前に受けたことがある場合とない場合とのいずれにおいても、当該方法は、NTPペプチドを単独で、または付加的な活性剤の投与と組み合わせて、哺乳動物に1回または2回以上投与することを含む。この方法には、NTP−ペプチドを筋肉内に、経口的に、静脈内に、腹腔内に、脳室内に(柔組織内に)、脳室内に、病巣内に、眼内に、動脈内に、髄腔内に、腫瘍内に、鼻腔内に、局所的に、経皮的に、皮下に、または皮内に、単独で、または担体に複合された形で投与することが含まれるが、これらには限定されない。不要な細胞増殖物には、とりわけ良性および悪性腫瘍、腺(例えば前立腺)過形成、不要な顔毛、疣贅、および不要な脂肪組織が含まれる。好ましいNTPペプチドは以下のうちの1つ以上を含む。
配列ID番号66:IDQQVLSRIKLEIKRCL Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu
配列ID番号111:IDQQVLSRI Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile
配列ID番号115:VLSRIKLEIKRCL Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu
配列ID番号116:IDQQVLSRIKLEI Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile
いかなる哺乳動物も本発明の使用により利益を得ることができる。哺乳動物には、ヒト、マウス、ウサギ、イヌ、ヒツジおよび他の家畜、さらには獣医師、動物園の飼育係、野生動物保護作業員によって治療されたまたは治療可能な任意の哺乳動物が含まれる。好ましい哺乳動物は、ヒト、ヒツジ、およびイヌである。本明細書の記載を通して、哺乳動物および患者の語は互換的に使用される。
当業者には、上記NTPペプチドの他のより小さなフラグメントを、これらのペプチドが同じ又は類似の生物活性を有するように選択しうることは明白であろう。当業者は、NTPペプチドの他のフラグメントも、これらのペプチドが同じ又は類似の生物活性を有するように選択することができる。本発明のNTPペプチドはこれらの他のフラグメントも包含する。一般に、本発明のペプチドは少なくとも4個のアミノ酸、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸、更に好ましくは少なくとも6個のアミノ酸を有する。
また、本発明の実施形態は、2つ以上のNTPペプチドを連結してなるNTPペプチドを含む組成物を付加的な活性剤とともに投与することを含む、不要な細胞増殖物の除去または破壊を必要とする哺乳動物(または患者)を治療する方法を包含する。1個のNTPペプチドが所望の生物活性を有する限り、2個のそのようなNTPペプチドも、所望の生物活性を有することになろう。
本発明の実施形態に包含されるNTPペプチド、並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体、相同体、融合タンパク質、及び模倣体は、当業者に公知の方法を用いて製造できる。例えば、組換えDNA技術、タンパク質合成、及び天然のペプチド、タンパク質、AD7c−NTPタンパク質、並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体、及び相同体の単離などの方法を用いることができる。
NTPペプチド、並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体、相同体、融合タンパク質、及び模倣体は、当業者に公知の方法を用いて他のペプチド、タンパク質、並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体、及び相同体から製造することができる。そのような方法は、ペプチドまたはタンパク質を切断して所望のNTPペプチドにするプロテアーゼの使用を含むが、それに限定されない。
NTPペプチドは、周知の組換えDNA技術による方法を用いて製造できる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)、Cold Spring Harbor Laboratory Press,コールドスプリングハーバー、ニューヨーク及び/又はAusubelら編、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学におけるカレントプロトコル),Green Publishers Inc.及びWiley and Sons、ニューヨークに記載されているような方法である。
NTPペプチドをコードする遺伝子又はcDNAは、例えばゲノム又はcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、又はPCR増幅によって得ることができる。ライブラリーのスクリーニングに有用なプローブ又はプライマーは、例えば他のペプチド又はタンパク質に見出される保存モチーフなどの、同じ又は関連ファミリーの遺伝子由来の他の公知遺伝子又は遺伝子フラグメントに関する配列情報に基づいて生成することができる。また、NTPペプチドをコードしている遺伝子が確認されている場合、その遺伝子の全部又は一部をプローブとして使用して相同遺伝子を同定することができる。該プローブ又はプライマーを使用すれば、NTPペプチドの遺伝子を発現すると考えられる様々な組織源由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることができる。典型的には、高度にストリンジェントな条件をスクリーニングに適用し、スクリーニングから得られる偽陽性の数を最小限にする。
NTPペプチドをコードする遺伝子を作製する別の手段は、当業者に周知の、例えばEngelsらがAngew.Chem.Intl.Ed.,28:716−734に記載している方法のような化学合成法の使用である。これらの方法に含まれるのは、とりわけ、核酸合成のためのホスホトリエステル法、ホスホロアミダイト法、及びH−ホスホネート法である。そのような化学合成に好適な方法は、標準的ホスホロアミダイト化学を用い、ポリマーを支持体とする合成法である。通常は、ペプチドまたはタンパク質をコードするDNAは、数百ヌクレオチドの長さになるであろう。約100ヌクレオチドを超える核酸はこれらの方法を用いるといくつかのフラグメントとして合成できる。次に該フラグメントを繋ぎ合わせれば全長のペプチド又はタンパク質が作製できる。通常、タンパク質のアミノ末端をコードするDNAフラグメントはメチオニン残基をコードするATGを持つ。このメチオニンは、宿主細胞で産生されるタンパク質が該細胞から分泌されるように設計されているかどうかによって、成熟形のタンパク質又はペプチドに存在する場合と存在しない場合とがある。
NTPペプチドをコードする遺伝子、cDNA、又はそのフラグメントは、標準の連結技術を用いて適当な発現又は増幅ベクターに挿入することができる。ベクターは典型的には用いられる特定の宿主細胞で機能を発揮するように選ばれる(すなわち、ベクターは宿主細胞の機構に適合し、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の発現を起こすことができる)。NTPペプチドをコードする遺伝子、cDNA、又はそのフラグメントは、原核、酵母、昆虫(バキュロウィルス系)及び/又は真核宿主細胞で増幅/発現されうる。宿主細胞の選択は、部分的には、NTPペプチドがグリコシル化及び/又はリン酸化されるかどうかによって決まるであろう。その場合、酵母、昆虫、又は哺乳動物の宿主細胞が好ましい。
典型的には、いずれかの宿主細胞で使用されるベクターは、少なくとも5’フランキング配列(プロモーターとも言われる)及び他の調節エレメントも含有する。例えば、エンハンサー、複製起点エレメント、転写終結エレメント、供与及び受容スプライス部位を含有する完全イントロン配列、シグナルペプチド配列、リボソーム結合部位エレメント、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、及び選択マーカーエレメントなどである。これらの各エレメントは以下で説明する。場合により、ベクターはタグ配列、すなわち、タンパク質又はペプチドをコードする配列の5’又は3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有することもある。該オリゴヌクレオチド分子は、ポリHis(例えばヘキサHis)、又はFLAG、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウィルス)もしくはmyc(これらに対する抗体は市販されている)のような他のタグをコードする。このタグは、通常、ポリペプチドの発現時にポリペプチドに融合され、タンパク質又はペプチドの宿主細胞からのアフィニティー精製の手段としての役割を果たすことができる。アフィニティー精製は、例えば、タグに対する抗体をアフィニティーマトリックスとして用いるカラムクロマトグラフィーによって達成できる。場合により、タグはその後、精製されたタンパク質又はペプチドから、ある種のペプチダーゼを用いるといった様々な手段によって除去することができる。
ヒト免疫グロブリンのヒンジ部とFc領域は、当業者であれば、NTPペプチドのN末端又はC末端のいずれかに融合させることができる。その結果のFc−融合タンパク質は、プロテインAのアフィニティーカラムを用いて精製できる。Fcはインビボで長い薬物動態半減期を示すことが知られているので、Fcに融合したタンパク質は、融合していないものよりインビボでの半減期が実質的に長くなることがわかっている。また、Fc領域への融合は、一部の分子の生物活性にとって有用となりうる分子の二量体化/多量体化を可能にする。
5’フランキング配列は、同種(すなわち宿主細胞と同じ種/系統由来)、異種(すなわち宿主細胞の種又は系統以外の種由来)、ハイブリッド(二つ以上の供給源由来の5’フランキング配列の組合せ)、合成であっても、又は天然のタンパク質もしくはペプチド遺伝子の5’フランキング配列であってもよい。従って、5’フランキング配列の供給源は、5’フランキング配列が宿主細胞の機構の中で機能的であり、該機構によって活性化されうるならば、いずれの単細胞原核又は真核生物、いずれの脊椎又は無脊椎動物、あるいはいずれの植物であってもよい。
本発明のベクターに有用な5’フランキング配列は、当該技術分野で周知のいくつかの方法のいずれかから得ることができる。典型的には、本発明で有用な、タンパク質又はペプチド遺伝子のフランキング配列以外の5’フランキング配列は、マッピング及び/又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって予め確認されているであろうから、適当な制限エンドヌクレアーゼを用いて適当な組織源から単離することができる。場合によっては、5’フランキング配列の全ヌクレオチド配列がわかっていることもある。ここでは、5’フランキング配列は、核酸合成又はクローニングについて前述した方法を用いて合成されうる。5’フランキング配列のすべて又は一部のみがわかっている場合、5’フランキング配列は、PCRを用いて及び/又は適切なオリゴヌクレオチド及び/又は同種又は別種由来の5’フランキング配列のフラグメントを用いてゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。
5’フランキング配列が不明の場合、5’フランキング配列を含有するDNAのフラグメントを、例えばコード配列又は別の遺伝子までも含有していると思われる大きなDNAフラグメントから単離すればよい。単離は、適切なDNAフラグメントを単離するために注意深く選んだ一つ以上の酵素を用いて、制限エンドヌクレアーゼ消化によって達成できる。消化後、所望のフラグメントは、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラム又は当業者に公知の他の方法によって単離できる。この目的を達成するための適切な酵素の選択は当業者には容易にわかるであろう。
複製起点エレメントは、典型的には市販されている原核発現ベクターの一部であり、宿主細胞におけるベクターの増幅に役割を果たす。ベクターをある複製数に増幅することは、場合によってはタンパク質又はペプチドの最適発現のために重要であり得る。選択したベクターが複製起点部位を含有していなければ、公知配列に基づいて化学的に合成し、ベクターに連結すればよい。転写終結エレメントは、典型的にはタンパク質又はペプチドをコードする配列の3’末端に位置し、タンパク質又はペプチドの転写を終結させる役割を果たしている。通常、原核細胞中の転写終結エレメントは、ポリT配列の前のG−Cに富むフラグメントである。エレメントは、ライブラリーからクローン化しても、ベクターの一部として市販品を購入してもよいが、前述のような核酸合成法を用いて容易に合成することもできる。
選択マーカー遺伝子エレメントは、選択的培地で成長した宿主細胞の生存及び成長に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核宿主細胞に抗生物質又は他の毒素、例えばアンピシリン、テトラサイクリン、又はカナマイシンに対する耐性を付与する、(b)細胞の栄養要求性欠乏を補完する、又は(c)複合培地からは得られない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。好適な選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。
一般的にシャイン・ダルガーノ配列(原核生物)又はコザック配列(真核生物)と呼ばれているリボソーム結合エレメントは、通常mRNAの翻訳開始に必要である。該エレメントは典型的には、プロモーターの3’側、及び合成されるタンパク質又はペプチドのコード配列の5’側に位置する。シャイン・ダルガーノ配列は多様であるが、典型的にはポリプリン(すなわちA−Gの含有量が高い)である。多くのシャイン・ダルガーノ配列は同定されており、それぞれは上記の方法を用いて容易に合成でき、原核ベクターに使用できる。
NTPペプチドが宿主細胞から分泌されるのが望ましい場合、シグナル配列を用いて、NTPペプチドを、それが合成される宿主細胞の外に出るように誘導することができる。そして、タンパク質のカルボキシ末端部分を削除し、膜に係留されないようにすればよい。典型的には、シグナル配列は、NTPペプチドの遺伝子又はcDNAのコード領域に、又はNTPペプチドの遺伝子のコード領域の5’末端に直接位置する。多くのシグナル配列が同定されており、選択した宿主細胞で機能的なシグナル配列はいずれも、NTPペプチドの遺伝子又はcDNAと共に使用できる。従って、シグナル配列はNTPペプチドの遺伝子又はcDNAに対して同種又は異種であってよく、NTPペプチドの遺伝子又はcDNAに対して同種又は異種であり得る。さらに、シグナル配列は前述の方法を用いて化学合成することもできる。ほとんどの場合、シグナルペプチドの存在を介しての宿主細胞からのポリペプチドの分泌は、該ポリペプチドからアミノ末端のメチオニンを除去することになるだろう。
多くの場合、NTPペプチドの遺伝子又はcDNAの転写は、ベクターに1個以上のイントロンが存在することによって増大しうる。このことは、NTPペプチドが真核宿主細胞、特に哺乳動物の宿主細胞で産生される場合、特にそうである。使用されるイントロンは、NTPペプチドの遺伝子内に天然に存在しうる。特に、使用される遺伝子が全長ゲノム配列又はそのフラグメントの場合はそうである。イントロンが遺伝子内に天然に存在しない場合(ほとんどのcDNAの場合)、イントロンは別の供給源から得ることができる。フランキング配列及びNTPペプチドの遺伝子に関するイントロンの位置は、イントロンが有効であるように転写されなければならないので、一般的に重要である。従って、発現ベクターに挿入されたNTPペプチドの遺伝子がcDNA分子の場合、イントロンの好適な位置は、転写開始部位の3’側、及びポリA転写終結配列の5’側である。好ましくは、NTPペプチドのcDNAの場合、イントロン(1個又は複数個)は、cDNAの一方の側又は他方の側(すなわち5’又は3’)に位置しているのでこのコード配列を妨害しない。任意のウィルス、原核及び真核生物(植物又は動物)などいかなる供給源のいかなるイントロンも、それが挿入される宿主細胞と適合する限り、本発明の実施に使用できる。また合成イントロンも本発明に包含される。場合により、1より多くのイントロンがベクターに使用されうる。
使用されるベクターに前述のエレメントの一つ以上がまだ存在していない場合、それらを個々に得てベクターに連結することができる。各エレメントを得るのに使用される方法は当業者に周知であり、また前述の方法とほぼ同等である(すなわち、DNAの合成、ライブラリースクリーニングなど)。
本発明の実施に使用される最終ベクターは、市販のベクターのような出発ベクターから構築されうる。そのようなベクターは、完成したベクターに包含されるべきエレメントの一部を含有することもしないこともある。出発ベクターに所望のエレメントが全く存在しない場合、各エレメントを個々にベクターに連結すればよい。その方法は、ベクターを適当な制限エンドヌクレアーゼで切断し、連結されるエレメントの末端とベクターの末端とを連結に適合するようにする。場合によっては、十分な連結を得るために、一緒に連結される末端を平滑化するのが必要なこともある。平滑化は、クレノウDNAポリメラーゼ又はT4 DNAポリメラーゼを用い、全4種類のヌクレオチドの存在下で、(一本鎖の)「付着末端」をまず補充することによって達成される。この方法は当該技術分野では周知であり、例えばSambrookら(上記)に記載されている。あるいは、ベクターに挿入される二つ以上のエレメントを最初に一緒に連結し(互いに隣接して配置されることになる場合)、それからベクターに連結することもできる。
ベクターを構築する別の方法は、各種エレメントのすべての連結を一つの反応混合物中で同時に実施することである。この場合、エレメントの不適切な連結や挿入のために、無意味な又は機能しない多くのベクターが生じることになろう。しかしながら、機能するベクターは、制限エンドヌクレアーゼ消化によって確認及び選択することができる。
本発明の実施に好適なベクターは、細菌、昆虫、及び哺乳動物の宿主細胞と適合性のあるものである。そのようなベクターは、とりわけ、pCRII、pCR3、及びpcDNA3.1(Invitrogen Company、カリフォルニア州サンジエゴ)、pBS II(Stratagene Company、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)、pET15b(Novagen、ウィスコンシン州マディソン)、PGEX(Pharmacia Biotech、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、pEGFP−N2(Clontech、カリフォルニア州パロアルト)、pETL(BlueBacII;Invitrogen)、及びpFastBacDual(Gibco/BRL、ニューヨーク州グランドアイランド)などである。
ベクターが構築され、全長の又は切断されたタンパク質又はペプチドをコードする核酸分子がベクターの適正な部位に挿入された後、完成したベクターを増幅及び/又はポリペプチド発現のために適切な宿主細胞に挿入できる。宿主細胞は、原核宿主細胞(例えば大腸菌E. coli)又は真核宿主細胞(例えば、酵母細胞、昆虫細胞、又は脊椎動物細胞)であり得る。宿主細胞は適当な条件下で培養されると、タンパク質又はペプチドを合成できるので、次にそれを培地から採集するか(宿主細胞がそれを培地に分泌する場合)、又はそれを産生している宿主細胞から直接採集すればよい(分泌されない場合)。
採集後、NTPペプチドは、分子ふるいクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの方法を用いて精製できる。タンパク質又はペプチドの産生にふさわしい宿主細胞の選択は、一部は、NTPペプチドがグリコシル化されるのか又はリン酸化されるのか(この場合は真核宿主細胞が好ましい)ということと、生物活性を有するNTPペプチドによって生物学的に活性なタンパク質が製造されるように、宿主細胞がNTPペプチドをその天然の三次構造(例えばジスルフィド結合の正しい配向など)に折りたたむことができるやり方によるであろう。NTPペプチドは、合成後、以下に記載するような適当な化学条件を用いて折りたたむことができる。適切な細胞又は細胞系は、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒト胎性腎(HEK)293、293T細胞、又は3T3細胞であろう。適切な哺乳動物宿主細胞の選択及び形質転換、培養、増幅、スクリーニング及び生成物産生、並びに精製の各方法は、当該技術分野で公知である。他の適切な哺乳動物細胞系は、サルCOS−1及びCOS−7細胞系、並びにCV−1細胞系などである。哺乳動物宿主細胞の更なる例は、霊長類細胞系及び齧歯類細胞系で形質転換細胞系も含む。正常二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養物由来の細胞株、並びに一次外植片も適切である。候補の細胞は、選択遺伝子に遺伝子型的欠陥があっても、又は優性に作用する選択遺伝子を含有していてもよい。他の適切な哺乳動物細胞系は、マウス神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、Swiss、Balb−c又はNIHマウス由来の3T3系、BHK又はHaKハムスター細胞系などであるが、これらに限定されない。
本発明に適切な宿主細胞として同様に有用なのは細菌細胞である。例えば、大腸菌の様々な株(例えば、HB101、DH5.α.、DH10、及びMC1061)は、宿主細胞としてバイオテクノロジーの分野でよく知られている。様々な系統の枯草菌(B.subtilis)、シュードモナス属(Pseudomonas spp.)、他のバシラス属(Bacillus spp.)、ストレプトミセス属(Streptomyces spp.)なども本方法に使用できる。当業者に公知の多くの系統の酵母細胞も、本発明のポリペプチドの発現用宿主細胞として利用できる。
さらに、所望であれば、昆虫細胞系も本発明の方法に利用できる。そのような系は、例えばKittsら、(Biotechniques,14:810−817)、Lucklow(Curr.Opin.Biotechnol.,4:564−572)及びLucklowら(J.Virol.,67:4566−4579)に記載されている。好適な昆虫細胞はSf−9及びHi5(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)である。
ベクターの選択宿主細胞への挿入(形質転換又はトランスフェクションとも言われる)は、塩化カルシウム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、又はDEAE−デキストラン法のような方法を用いて達成できる。選択される方法は、一部は使用される宿主細胞の種類によって決まることになろう。これらの方法及び他の適切な方法は当業者に周知であり、例えば上記Sambrookらによる文献に記載されている。
ベクターを含有する(すなわち形質転換又はトランスフェクトされた)宿主細胞は、当業者に周知の標準培地を用いて培養できる。培地は通常、細胞の成長と生存に必要なすべての栄養素を含有している。大腸菌の培養に適切な培地は、例えばルリアブロス(Luria Broth, LB)及び/又はテリフィックブロス(Terrific Broth, TB)である。真核細胞の培養に適切な培地は、RPMI 1640、MEM、DMEMで、いずれも培養されている特定の細胞系の必要に応じて血清及び/又は成長因子を補充してもよい。昆虫培養に適切な培地は、必要に応じてイーストレート(yeastolate)、ラクトアルブミン加水分解物(lactalbumin hydrolysate)、及び/又はウシ胎仔血清を補充したグレース(Grace)の培地である。典型的には、形質転換細胞のみの選択的成長に有用な抗生物質又は他の化合物をサプリメントとして培地に加える。使用される化合物は、宿主細胞が形質転換を受けたプラスミド上に存在する選択マーカーエレメントによって決定されることになろう。例えば、選択マーカーエレメントがカナマイシン耐性の場合、培地に添加される化合物はカナマイシンになる。
宿主細胞で産生されるNTPペプチドの量は、当該技術分野で公知の標準法を用いて評価できる。そのような方法は、ウェスタンブロット分析、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、HPLC分離、質量分析、免疫沈降法、及び/又はDNA結合ゲルシフト法のような活性アッセイなどであるが、これらに限定されない。
タンパク質又はペプチドが宿主細胞から分泌されるように設計されている場合、大部分のタンパク質又はペプチドは細胞培養の培地に見出すことができる。このようにして製造されたタンパク質は通常アミノ末端のメチオニンを持たない。細胞から分泌されるときに除去されるからである。しかしながら、タンパク質又はペプチドが宿主細胞から分泌されない場合、細胞質及び/又は細胞核内(真核宿主細胞の場合)、又はサイトゾル内(グラム陰性菌の宿主細胞の場合)に存在することになり、アミノ末端のメチオニンを有しうる。
宿主細胞の細胞質及び/又は細胞核内にあるNTPペプチドについては、典型的には、まず宿主細胞を機械的に又は界面活性剤で破壊し細胞内の内容物を緩衝溶液中に放出させる。その後、この溶液からNTPペプチドを単離することができる。
溶液からのNTPペプチドの精製は各種の技術を用いて達成できる。NTPペプチドが、ヘキサヒスチジン(例えばペプチド/ヘキサHis)又はFLAG(Sigma−Aldritch、ミシガン州セントルイス)もしくはカルモジュリン結合ペプチド(Stratagene、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)のような他の小ペプチドなどのタグをカルボキシル又はアミノ末端のいずれかに含有するように合成されている場合、溶液をアフィニティーカラムに通すことによりワンステッププロセスで本質的に精製できる。アフィニティーカラムは、カラムマトリックスがタグに対して又は直接タンパク質に対して(すなわちペプチドを特異的に認識するモノクロナール抗体)高親和性を有しているカラムである。例えば、ポリヒスチジンは、ニッケル、亜鉛及びコバルトに非常に親和的かつ特異的に結合する。従って、ニッケルベースのアフィニティー樹脂(QiagenのQIAexpress system又はInvitrogenのXpress Systemに使用されている)又はコバルトベースのアフィニティー樹脂(BD Bioscience−CLONTECHのTalon systemに使用されている)を採用している固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーを使用すれば、ペプチド/ポリHisの精製ができる(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology,Section 10.11.8,John Wiley & Sons、ニューヨーク参照)。
NTPペプチドがタグを結合せずに製造され、利用できる抗体もない場合、他の周知の精製法が使用できる。そのような方法は、イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、HPLC、ゲル溶離と組み合わせた非変性ゲル電気泳動、及び分取用等電点電気泳動(Isoprime machine/technique,Hoefer Scientific)などであるが、これらに限定されない。場合により、これらの二つ以上の技術を組み合わせることで純度向上を達成できることもある。
NTPペプチドが主として細胞内に見出されると考えられる場合、細胞内物質(グラム陰性菌の場合の封入体も含む)は、当業者に公知の任意の標準技術を用いて宿主細胞から抽出できる。例えば、宿主細胞を、フレンチプレス、ホモジナイズ、及び/又は超音波処理とその後の遠心分離によって溶解し、ペリプラズム/細胞質の内容物を放出させればよい。NTPペプチドがサイトゾル内で封入体を形成している場合、該封入体は内側及び/又は外側の細胞膜に結合できることが多いので、主として遠心分離後のペレット物質中に見出されるであろう。次に、該ペレット物質を、両極端のpHで、又はアルカリ性pHのジチオトレイトールもしくは酸性pHのトリスカルボキシエチルホスフィンのような還元剤の存在下、界面活性剤、グアニジン、グアニジン誘導体類、尿素、又は尿素誘導体類のようなカオトロープ剤で処理すると、封入体を放出、分断、及び可溶化することができる。次に、可溶性の形態になったNTPペプチドは、ゲル電気泳動、免疫沈降法などを用いて分析できる。NTPペプチドの単離が所望であれば、単離は、以下及びMarstonらによるMeth.Enz.,182:264−275に記載のような標準法を用いて達成できる。
場合によって、NTPペプチドが単離時に生物学的に活性でないことがありうる。ポリペプチドをその三次構造にリフォールディング又は変換し、ジスルフィド結合を生じさせる種々の方法を使用すれば、生物活性を回復させることができる。そのような方法は、可溶化ポリペプチドを、特定濃度のカオトロープの存在下、通常7を超えるpHに暴露することを含む。カオトロープの選択は、封入体の可溶化に使用した選択とほとんど同じであるが、通常はそれより低い濃度で、また必ずしも可溶化に使用したのと同じカオトロープでなくてもよい。ほとんどの場合、リフォールディング/酸化溶液は、還元剤又は還元剤とある特定比のその酸化形も含有し、ある特別の酸化還元(レドックス)電位を生じるであろうから、タンパク質のシステインブリッジ形成時にジスルフィドのシャッフリングが起こることが可能になる。よく使用されるレドックスカップルをいくつか挙げると、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオトレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)などである。多くの場合、リフォールディングの効率を上げるために共溶媒が必要であり、この目的のためによく使用される試薬は、グリセロール、種々の分子量のポリエチレングリコール、及びアルギニンを含む。
NTPペプチドの封入体が宿主細胞にあまり形成されていない場合、NTPペプチドは、主として細胞ホモジネートの遠心後の上清中に見出されうる。該NTPペプチドは、以下に記載のような方法を用いて上清から単離できる。
NTPペプチドの部分的又は完全単離が好ましい状況においては、精製は当業者に周知の標準法を用いて達成できる。そのような方法は、電気泳動による分離とその後のエレクトロエルーション、各種クロマトグラフィー(免疫アフィニティー、分子ふるい、及び/又はイオン交換)、及び/又は高速液体クロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない。場合により、完全な精製のためにこれらの方法の複数を使用するのが好ましいこともある。
組換えDNA技術を用いるNTPペプチドの製造及び精製法のほか、NTPペプチド、並びにそれらのフラグメント、変異体、相同体、融合タンパク質、ペプチド模倣体、及び誘導体は、当該技術分野で公知の技術を用いる化学合成法(例えば固相ペプチド合成)によって製造することもできる。例えば、Merrifieldら、J.Am.Chem.Soc.,85:2149、Houghtenら、Proc Natl Acad.Sci.USA,82:5132、及びStewartとYoung、Solid Phase Peptide Synthesis(固相ペプチド合成),Pierce Chemical Co.,イリノイ州ロックフォードに記載のような技術である。そのようなポリペプチドは、アミノ末端にメチオニンを持つようにも持たないようにも合成できる。化学合成されたNTPペプチドは、これらの文献に記載の方法を用いて酸化され、ジスルフィド結合を形成することができる。該NTPペプチドは、組換え製造された、又は天然源から精製されたNTPペプチドに匹敵する生物活性を有すると考えられるので、組換え又は天然NTPペプチドと互換的に使用できる。
NTPペプチドがポリマーに連結されている化学修飾されたNTPペプチド組成物も、本発明の範囲に包含される。選択されるポリマーは、ポリマーが結合しているタンパク質が生理的環境のような水性環境中で沈殿しないように、典型的には水溶性である。選択されるポリマーは、通常1個の反応基、例えばアシル化のための活性エステル又はアルキル化のためのアルデヒドを有するように修飾されているため、本方法で提供されているように重合度が制御できる。ポリマーはいかなる分子量のものでもよく、また枝分かれしていてもいなくてもよい。ペプチドポリマーの範囲にはポリマー混合物も含まれる。
場合によっては、天然のNTPペプチドの核酸及び/又はアミノ酸変異体を製造するのが望ましいこともある。核酸変異体は、部位特異的突然変異誘発、PCR増幅、又は他の適切な方法を用いて製造できる。その場合、プライマーは所望の点変異を有する(突然変異誘発技術の解説については上記Sambrookら、及び上記Ausubelら参照)。Engelsら(上記)による方法を用いる化学合成を利用してもそのような変異体が製造できる。当業者に公知の他の方法も同様に使用できる。
好適な核酸変異体は、NTPペプチドの産生に使用される宿主細胞においてコドン選択に関わるヌクレオチド置換を含有するものである。そのようなコドンの最適化は、ウィスコンシン州マディソンのGenetics Computer GroupによるUniversity of Wisconsin Package Version 9.0によって提供されているような、高度に発現された細菌遺伝子のコドン選択を求めるEcohigh.Codのようなコドン頻度表を組み込んだコンピュータアルゴリズムによって決定できる。他の有用なコドン頻度表は、Celeganshigh.cod、Celeganslow.cod、Drosophilahigh.cod、Humanhigh.cod、Maizehigh.cod、及びYeasthigh.codを含む。他の好適な変異体は、野生型と比較して前述のように保存的アミノ酸変化(例えば、天然アミノ酸側鎖の電荷又は極性が、異なるアミノ酸置換によって実質的に変化しない)をコードするもの、及び/又は新規のグリコシル化及び/又はリン酸化部位を生じるように設計されたもの、又は既存のグリコシル化及び/又はリン酸化部位を削除するように設計されたものである。
NTPペプチド、そのフラグメント、相同体、変異体、融合タンパク質、ペプチド模倣体、誘導体及び塩は、当業者に公知の従来のペプチド合成技術を用いて製造することもできる。これらの技術は、化学カップリング法(Wunsch,E:“Methoden der organischen Chemie(有機化学の方法)”,Volume 15,Band 1+2,Synthese von Peptiden,thime Verlag,シュトゥットガルト(1974年)、及びBarrany,G.;Marrifield,R.B.:“The Peptides(ペプチド)”、編者E.Gross,J.Meienhofer,Volume 2,Chapter 1,pp.1−284,Academic Press(1980年)参照)、酵素カップリング法(Widmer,F.Johansen,J.T.,Carlsberg Res.Commun.,Vol.44,pp.37−46(1979年);Kullmann,W.:“Enzymatic Peptide Synthesis(酵素的ペプチド合成)”,CRC Press Inc.フロリダ州ボカラトン(1987年);及びWidmer,F.,Johansen,J.T.“Synthetic Peptides in Biology and Medicines(生物学及び医学における合成ペプチド)”、編者Alitalo,K.,Partanen,P.,Vatieri,A.,pp79−86,Elsevier,アムステルダム(1985年)参照)、又は化学及び酵素法の組合せ(これがプロセス設計及び経済にとって好都合な場合)などである。本明細書中に提供したガイドラインを用いて、当業者は、NTPペプチドのペプチド配列を変えて、もとの又は天然のNTPペプチドと同じ又は類似の生物活性を有する相同体を製造することができる。
所定のNTPペプチドの模倣体を使用する方が該ペプチド自体を使用するより好都合である。一般に、ペプチド模倣体の方が天然のタンパク質及びペプチドよりも生体内利用性が高く、作用期間が長く、そして安価に製造できる。
NTPペプチドのペプチド模倣体は、コンビナトリアルケミストリー技術及び当該技術分野で公知の他の技術を用いて開発できる(例えば、Proceedings of the 20th European Peptide Symposium(第20回欧州ペプチドシンポジウム会報)、編者G.Jung,E.Bayer,pp289−336及びそれに収載されている参考文献参照)。ペプチド模倣体を製造するために当該技術分野で知られているペプチドの構造修飾法の例は、骨格のキラル中心の反転によるD−アミノ酸残基構造への変換などである。この構造は、活性に悪影響を及ぼすことなく特にN末端でのタンパク質分解に対する安定性を増大させうる。一例が、論文“Tritiated D−ala.1−Peptide T Binding(トリチウム化D−ala.1−ペプチドT結合)”,Smith C.S.ら、Drug Development Res.,15,pp.371−379(1988年)に記載されている。
第二の方法は、NからCの鎖間イミドおよびラクタムなどの、安定性のための環状構造の改変である(Edeら, SmithおよびRivier(監修)“Peptides: Chemistry and Biology”, Escom, Leiden(1991年)中, pp.268−270)。これの一例は、Goldstein,G.らによる米国特許第4,457,489号(1985年)に開示されているようなコンフォメーション的に制約されたチモペンチン様化合物に示されている。前記特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
第三の方法は、NTPペプチド内のペプチド結合を、タンパク質分解に耐性を与える偽ペプチド結合によって置換することである。ペプチド構造および生物学的活性に概して影響を与えない、いくつかの偽ペプチド結合が記載されている。このアプローチの1つの例は、逆反転(retro−inverso)偽ペプチド結合で置換することである(“Biologically active retroinverso analogues of thymopentin”, Sisto A.ら, Rivier, J.E.およびMarshall, G.R.(監修)“Peptides, Chemistry, Structure and Biology”, Escom, Leiden(1990年)中, pp.722−773、およびDalpozzoら(1993年), Int. J. Peptide Protein Res., 41:561−566、本明細書に援用される)。この修飾にしたがって、ペプチドのアミノ酸配列は、1以上のペプチド結合が、逆反転偽ペプチド結合と交換されていることを除いて、上述のペプチドの配列と同一であってもよい。好ましくは、最もN末端のペプチド結合が置換されており、これはこうした置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対して、耐性を与えるであろうためである。
1個以上の還元型逆反転偽ペプチド結合を有するペプチドの合成は当該技術分野で知られている(Sisto(1990)及びDalpozzoら(1993)、上記)。このように、ペプチド結合は非ペプチド結合で置き換えることができ、それによってペプチド模倣体が元のペプチドと類似の構造、従って類似の生物活性を取ることが可能になる。アミノ酸の化学基を類似構造の他の化学基で置換することによってさらに修飾することもできる。生物活性をほとんどないし全く喪失せずに酵素切断に対する安定性を増大させることが知られている別の適切な偽ペプチド結合は、還元アイソスター偽ペプチド結合である(Couderら(1993),Int.J.Peptide Protein Res.,41:181−184、引用によってその全体を本明細書に援用する)。したがって、これらのペプチドのアミノ酸配列は、1以上のペプチド結合が、アイソスター偽ペプチド結合によって交換されていることを除いて、ペプチドの配列と同一であることも可能である。好ましくは、最もN末端のペプチド結合が置換されており、これはこうした置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対して、耐性を与えるであろうためである。1以上の還元アイソスター偽ペプチド結合を持つペプチドの合成が当該技術分野に知られる(Couderら(1993年)、上記引用)。他の例は、ケトメチレン又はメチルスルフィド結合の導入によるペプチド結合の置換などである。
本明細書記載のNTPペプチドのペプトイド誘導体は、生物学的活性に重要な構造的決定基を保持するが、ペプチド結合が取り除かれ、それによってタンパク質分解に対する耐性が与えられた、別の種類のペプチド模倣体に相当する(Simonら, 1992年, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:9367−9371、本明細書にその全体が援用される)。ペプトイドは、N−置換グリシンのオリゴマーである。いくつかのN−アルキル基が報告されており、それぞれ天然アミノ酸の側鎖に対応する(Simonら(1992年)、上記、引用によってその全体を本明細書に援用する)。ペプチドの一部又はすべてのアミノ酸が、置換されるアミノ酸に対応するN−置換グリシンで置換されている。
ペプチド模倣体の開発は、元のペプチドの三次構造を、NMR分光法、結晶学及び/又はコンピュータ支援分子モデリングによって決定することによって支援することができる。これらの技術は、元のペプチドより高い有効性及び/又は高い生体内利用性及び/又は高い安定性を有する新規組成物の開発に役立つ(Dean(1994年)、BioEssays,16:683−687;Cohen及びShatzmiller(1993年),J.Mol.Graph.,11:166−173;Wiley及びRich(1993年),Med.Res.Rev.,13:327−384;Moore(1994年),Trends Pharmacol.Sci.,15:124−129;Hruby(1993年),Biopolymers,33:1073−1082;Buggら(1993年),Sci.Am.,269:92−98、いずれも引用によってその全体を本明細書に援用する)。
可能性あるペプチド模倣体化合物が確認されたら、合成し、以下の実施例に概要を記載した方法を用いて検定してその活性を評価することができる。上記方法によって得られ、ペプチドの生物活性及び類似の三次元構造を有するペプチド模倣体化合物は本発明に包含される。当業者には、ペプチド模倣体は、前述の一つ以上の修飾を有するペプチドのいずれからも作製できることは容易に理解されよう。また、本発明のペプチド模倣体は、治療用化合物としての用途のほかに、さらに強力な非ペプチド化合物の開発にも利用できることは明白であろう。
本明細書中に記載のペプチドを合成できる機関が今日いくつかある。例えば、NTPペプチドの配列が与えられると、そうした機関で該ペプチドを合成し、合成したペプチドを文書とペプチドの同定証明書を添付して発送してくれる。
本発明は、良性および悪性腫瘍、腺(例えば前立腺)過形成、不要な顔毛、疣贅、および不要な脂肪組織などの、細胞の除去を必要とする状態を有する哺乳動物を治療する方法、またはステントの狭窄などの不要な細胞増殖を阻害または防止する方法に関する。そのような方法は、単独で、または付加的な活性剤と組み合わせて、その必要のある哺乳動物に治療上有効量のNTPペプチドを投与する、又はステントのような器具を治療上有効量のNTPペプチドで被覆することを含む。好ましくは、この方法は2回以上実施され、及び/又は未治療の哺乳動物に実施され、またこの方法は、1回のみ治療を受けた哺乳動物、プラセボを投与された哺乳動物、および同じ治療を受けたかプラセボで治療された治療失敗哺乳動物と比較して、後の侵襲的外科的処置の必要性に予想外に優れた低下をもたらす。
付加的な活性剤として、以下から選択される1つ以上の活性剤を使用できる。(i)抗癌活性剤(アルキル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、RNA/DNA代謝拮抗剤、および有糸分裂阻害剤など)、(ii)良性増殖を治療するための活性剤、例えば、抗ニキビおよび抗疣贅活性剤(サリチル酸)、(iii)抗アンドロゲン化合物(酢酸シプロテロン(1α、2β−メチレン−6−クロロ−17α−アセトキシ−6−デヒドロプロゲステロン)タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤)、(iv)α1−アドレナリン受容体遮断薬(タムスロシン、テラゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、ブナゾシン、インドラミン、アルフゾシン、シロドシン)、(v)5α−レダクターゼ阻害剤(フィナステリド、デュタステリド)、(vi)ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤(タダラフィル)およびそれらの組み合わせ。好ましくは、付加的な活性剤は、タムスロシン、フィナステリド、テラゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タダラフィル、アルフゾシン、シロドシン、デュタステリド、デュタステリドとタムスロシンの組み合わせ、及びこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
該状態は、例えば、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、リンパ節及びリンパ系、並びに他の器官の腫瘍であり得る。
本明細書中で使用している「悪性腫瘍」という用語は、分化不良の、中等度に分化した、及びよく分化した形態で発生するすべての形態のヒトのがん、肉腫及び黒色腫を包含するものとする。
本発明は、良性腫瘍を手術のリスクと望まざる副作用を減らして除去できる治療法を求める当該技術分野の需要に応える。手術が危険な体内の深部に位置するような領域(例えば、脳、心臓、肺、及びその他)における良性腫瘍の除去法は特に求められている。
治療される状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選択される組織の過形成、肥大、又は過成長であり得る。
本発明の方法を用いて治療できる他の状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選ばれる組織のウィルス性、細菌性、又は寄生虫性変化である。
治療される状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選ばれる組織の奇形又は障害であってもよい。
特に、治療される状態は、扁桃肥大、前立腺過形成、乾癬、湿疹、皮膚病又は痔であり得る。治療される状態は、アテローム性動脈硬化又は動脈硬化のような血管疾患、又は静脈瘤、動脈又はステントの狭窄又は再狭窄のような血管障害であり得る。また治療される状態は、皮膚、眼、耳、鼻、咽頭、口、筋肉、結合組織、毛髪、又は乳房組織のような組織に対する美容修正であってもよい。
NTPペプチドの治療用組成物は、治療上有効量のNTPペプチドを製薬学的に許容しうる担体と混合して含む。一部の代替的な実施形態において、付加的な活性剤はNTPペプチドと同じ組成物に含ませて投与してもよく、また他の実施形態において、NTPペプチドを含む組成物は注射として投与され、一方で付加的な活性剤は経口薬剤(ゲル、カプセル、錠剤、液体など)の形態で処方される。担体材料は、注射用の水、好ましくは哺乳動物への投与用溶液に通常含まれている他の材料を補充した水であり得る。典型的には、治療用のNTPペプチドは、精製されたペプチドと一つ以上の生理学的に許容しうる担体、賦形剤又は希釈剤とを共に含む組成物の形態で投与されることになろう。中性緩衝生理食塩水又は血清アルブミンを混合した生理食塩水は適当な担体の例である。好ましくは、製品は適当な賦形剤(例えばショ糖)を用いて凍結乾燥物として処方される。所望であれば他の標準的担体、希釈剤、及び賦形剤を含んでもよい。本発明の組成物は、当業者に公知の適当な範囲のpH値を有する緩衝液、例えばpH約7.0〜8.5のトリス緩衝液、又はpH約4.0〜5.5の酢酸緩衝液も含みうる。これにさらにソルビトール又はその適切な代替物が加わってもよい。
不要な細胞要素を標的にするために、抗体、抗体フラグメント、抗体様分子、又は特異的腫瘍マーカー(例えば細胞受容体、シグナルペプチド又は過剰発現酵素)に対して高親和性を有する分子と複合又は連結又は結合させたNTPペプチドの使用も本発明の範囲に包含される。抗体、抗体フラグメント、抗体様分子、又は特異的腫瘍マーカーに対して高親和性を有する分子は、NTPペプチド複合体(conjugate)を、特定の細胞又は組織標的を標的にするために使用される。例えば、独特の表面抗原又は発現抗原を有する腫瘍は、抗体、抗体フラグメント、又は抗体様結合分子の標的となり得るので、腫瘍細胞をNTPペプチドで殺すことができる。抗体ターゲティングを用いるこのような手法は、用量の低減、標的細胞による結合と取込みの可能性の増大、並びに転移腫瘍及び顕微鏡サイズの微小腫瘍を標的にする及び治療するための有用性の増大、といった利点が期待される。
本発明は、組成物を形成するためのタンパク質又は他の分子に複合又は連結又は結合させたNTPペプチドの使用も包含する。すなわち、該組成物は、腫瘍又は他の不要細胞の部位もしくはその近辺で、腫瘍特異的又は部位特異的酵素もしくはプロテアーゼによって、又は腫瘍もしくは他の不要細胞を標的にする抗体複合体によって分解されると、該腫瘍又は他の不要細胞の部位もしくはその近辺でNTPペプチドを放出する。
本発明はまた、組成物を形成するためのタンパク質又は他の分子に複合又は連結又は結合させたNTPペプチドの使用も包含する。すなわち、該組成物は、治療される組織を光(レーザー療法又は他の光力学もしくは光活性化療法におけるような)、他の形態の電磁放射線照射、例えば赤外線照射、紫外線照射、X線又はγ線照射、局在熱、α又はβ線照射、超音波放射、又は他の局在エネルギー源に暴露すると、NTPペプチド又はNTPペプチドの何らかの生物活性フラグメントを放出する。
本発明は、デンドリマー、フラーレン、並びに他の合成分子、ポリマー及び巨大分子を用いるNTPペプチドの治療用組成物も包含する。すなわち、NTPペプチド及び/又はその対応するDNA分子が、単独で又は腫瘍特異的マーカーのような他の分子種と共に、該分子、ポリマー又は巨大分子に複合、結合又は封入されている組成物である。例えば、米国特許第5,714,166号「生物活性及び/又は標的指向デンドリマー複合体(Bioactive and/or Targeted Dendrimer Conjugates)」は、とりわけ、標的誘導物を有する少なくとも一つのデンドリマーとそれに結合した少なくとも一つの生物活性薬で構成される樹状ポリマー複合体の製造法及び使用法を提供している。米国特許第5,714,166号の開示はその全体を引用によって本明細書に援用する。
本発明はまた、NTPペプチド及び/又は遺伝子と、脂質エマルジョン、ミセルポリマー、ポリマーミクロスフェア、電気活性ポリマー、ヒドロゲル及びリポソームのような薬物送達ビヒクルとの治療用組成物を付加的な活性剤と組み合わせて用いて、哺乳動物を治療する方法を包含する。
哺乳動物における不要な細胞に伝達されるNTPペプチド又は関連遺伝子又は遺伝子等価物の使用も本発明に包含される。腫瘍内でのNTPペプチドの過剰発現は、腫瘍内の細胞の死を誘発し、ひいては腫瘍細胞数を削減するのに使用できる。不要な細胞要素を治療するためにNTPペプチドの遺伝子又は遺伝子等価物を伝達することは、低用量で済む、標的細胞要素の細胞子孫に継代される、従って治療頻度が少なくて済む、及び総体的治療が低減されるといった利点を持つと期待される。本発明はまた、NTPペプチドを含有する融合タンパク質をコードする遺伝子を不要細胞又は隣接細胞に伝達することも包含する。この場合、遺伝子の発現と融合タンパク質の産生及び/又は分泌の後、該融合タンパク質が天然酵素もしくはプロテアーゼによって又はプロドラッグによって分解され、NTPペプチドが不要細胞の中、その部位又はその近辺に放出される。
未治療の哺乳動物に投与するための、クローン組換えペプチド−抗体複合体、クローン組換えペプチド−抗体フラグメント複合体、及びクローン組換えペプチド−抗体様タンパク質複合体の使用も本発明に包含される。ターゲティング複合体(例えば抗体、抗体フラグメント、抗体様分子、又はがん特異的受容体もしくは他の腫瘍マーカーに対する親和性の高い分子)と結合させたクローンNTPペプチドの利点は、そのような分子が、前述のターゲティングの利点とクローン複合体分子の製造及び標準化産生の利点を合わせ持っているということである。
本発明はまた、NTPペプチド又はNTP遺伝子又は遺伝子等価物の治療用組成物を、不要細胞の増殖又は蓄積を除去、阻害又は防止するためにステントのような医療器具のコーティング成分として、付加的な活性剤と組み合わせて使用することも包含する。
経口投与用の固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、散剤及び顆粒剤を含むが、これらに限定されない。そのような固体剤形の場合、活性化合物は以下の少なくとも一つと混合される:(a)クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムのような1またはそれより多くの不活性賦形剤(又は担体);(b)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、及びケイ酸のような充填剤又は増量剤;(c)カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及びアカシアのような結合剤;(d)グリセロールのような保湿剤;(e)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤;(f)パラフィンのような溶液凝固遅延剤;(g)第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;(h)アセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;(i)カオリン及びベントナイトのような吸着剤;及び(j)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウム、又はそれらの混合物のような滑沢剤。カプセル、錠剤、及びピルの場合、剤形は緩衝剤も含みうる。
経口投与用の液体剤形は、製薬学的に許容しうるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルを含む。液体剤形は、活性化合物のほかに、当該技術分野で通常使用されている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤を含みうる。乳化剤の例は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類、例えば綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類、ソルビタンの脂肪酸エステル類、又はこれらの物質の混合物などである。
そのような不活性希釈剤のほかに、該組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、風味料及び着香料などのアジュバントを含むこともできる。
本発明の組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の組成物及び投与法にとって所望の治療的応答を得るのに有効な量のNTPペプチドおよび付加的な活性剤を得るために、変動しうる。従って、選択される用量レベルは、所望の治療効果、投与経路、所望の治療期間、及び他の要因によって決まる。
ヒトを含む哺乳動物の場合、体表面積に基づいて有効量を投与できる。様々な大きさ、種の動物、及びヒトに関する用量の相互関係(mg/M2体表面積に基づく)は、E.J.Freireichらによって、Cancer Chemother.Rep.,50(4):219(1966年)に報告されている。体表面積は、個体の身長及び体重からおよそ決定できる(例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,ニューヨーク州アーズリー、pp537−538(1970年)参照)。
宿主に投与されるNTPペプチドおよび付加的な活性剤の総日用量は、1回量でも分割量でもよい。用量単位組成物は、1日量を構成するのに使用されてもよいようにその量の約数に相当する量を含有しうる。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間及び経路、投与薬物の効力、吸収及び排出速度、他の薬物との組合せ、及び治療される特定の疾患の重症度などの様々な要因によって異なるであろうことは理解されよう。組成物は注射または注入の形態で1回のみ投与されることが好ましく、また他の好ましい実施形態においては、組成物は2回投与される。この実施形態において、組成物の投与の間隔は、2カ月から10年まで、または8カ月から4年まで、または約1年超(例えば、1年から2年の間)の範囲で変動しうる。
本発明にかかるNTPペプチド組成物を投与する方法は、当該化合物を、エアロゾル、注入、ボーラス注射、植え込み装置、徐放システムなどによって、筋肉内、経口、静脈内、腹腔内、脳室内(柔組織内)、脳室内、腫瘍内、病巣内、皮内、髄腔内、鼻腔内、眼内、動脈内、局所、経皮投与することを含むが、これには限定されない。
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、経皮(transdermal)または経皮(transcutaneous)経路による方法である。付加的な活性剤はNTPペプチドとともに用いられてもよく、上述のように別途投与されてもよく、またはまったく投与されなくてもよい。そのような態様の一例はパッチの使用である。特に、パッチは、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)又はDMSOと綿実油の混合物中に細かく懸濁させたNTPペプチドの微細懸濁液を用いて製造でき、腫瘍を持つ哺乳動物の皮膚と、腫瘍部位から離れた皮膚ポーチ(skin pouch)内で接触させる。他の溶媒及び固体支持体を用いた他の媒体又はその混合物も同等に機能するであろう。該パッチは、溶液又は懸濁液の形態のNTPペプチド化合物を含有できる。次にパッチを患者の皮膚に適用するが、その手段は、例えば患者の皮膚を折りたたみ、縫合糸、クリップ又は他の保持装置で皮膚を保持することによって形成した皮膚ポーチ内に該パッチを挿入する方法を取る。このポーチは、哺乳動物に妨害されずに皮膚との連続接触を確保するような様式で使用されるべきである。皮膚ポーチの使用以外にも、皮膚と接触しているパッチを確実に固定する任意のデバイスが使用できる。例えば絆創膏を用いてパッチを皮膚の適所に保持するなどである。
NTPペプチドおよびそれと任意に組み合わせられる付加的な活性剤は徐放性製剤の形態で投与してもよい。適切な徐放性製剤の例は、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスなどである。徐放性マトリックスは、ポリエステル類、ヒドロゲル類、ポリラクチド類(U.S.3,773,919、EP58,481)、L−グルタミン酸とγ−L−グルタミン酸エチルのコポリマー類(Sidmanら、Biopolymers,22:547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277及びLanger,Chem.Tech.,12:98−105)、エチレン酢酸ビニル(Langerら、上記)又はポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)などである。徐放性組成物はリポソームも含みうる。リポソームは当該技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって製造できる(例えば、Eppsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688−3692;EP36,676;EP88,046;及びEP143,949)。
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、NTPペプチドを治療すべき腫瘍又は他の組織に直接又は間接的に注入することによる。そのような態様の一例は、NTPペプチドを治療すべき腫瘍又は他の組織に直接注射することである。該治療法は、1回注射、一時に複数回注射、又は数時間、数日もしくは数ヶ月にわたる一連の注射からなるが、治療される腫瘍又は他の組織の退縮又は破壊は、生検、画像化又は他の組織成長モニター法によってモニターされる。治療される腫瘍又は他の組織への注射は、鼻、口、耳、膣、直腸又は尿道のような開口部に挿入したデバイスによるか、又はインビボの腫瘍又は組織に到達するために切開を通じてなされるが、適当な注射部位を確認するために超音波又は光ファイバースコープのような画像化又は光学システムと組み合わせて実施されうる。そのような態様の別の例は、NTPペプチドを組織に時間をかけて一定注入できるデバイスの使用である。
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、除去又は破壊が必要とされる又は求められる腫瘍又は他の組織又は細胞要素を物理的に切除、剥離、又はそうでなければ殺滅もしくは破壊するために用いられる外科的又は同様の処置との組合せである。その場合、本発明のNTPペプチドは、腫瘍又は他の組織が除去された領域に直に接している周辺領域に投与され、処置によって除去又は破壊されなかった腫瘍細胞又は他の細胞要素があればその成長を破壊又は妨害する。
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、治療される腫瘍又は他の組織内にデバイスを移植することによる。この態様において、付加的な活性剤は通常、NTPペプチドとは異なる経路で投与される。そのような態様の一例は、NTPペプチドを含有するウェハを治療される腫瘍又は他の組織に移植し、付加的な活性剤を経口投与することである。該ウェハは、組織に治療量のNTPペプチドを時間をかけて放出する。あるいは又はさらに、NTPペプチドを吸収させた膜、スポンジ、又は他の適切な材料を患部に移植することによって組成物を局所投与することもできる。移植デバイスが使用される場合、該デバイスは任意の適切な組織又は器官に移植でき、NTPペプチドの送達はデバイスを通じて、ボーラスにより、又は連続投与により、又はカテーテルを用いる連続注入により直接的になされうる。
代替の投与法は、NTPペプチドをコードする遺伝子の1またはそれより多くのコピーを標的細胞に導入し、必要であれば、該遺伝子のコピーに、NTPペプチドの細胞内での産生開始を誘発する。この態様において、付加的な活性剤は通常、NTPペプチドとは異なる経路で投与される。遺伝子療法が適用できる一つの方法は、NTPペプチドをコードする遺伝子(NTPペプチド(又はそのフラグメント、変異体、相同体もしくは誘導体)をコードするゲノムDNA、cDNA、及び/又は合成DNA)の使用で、これを構成又は誘発プロモーターに機能可能に連結し、遺伝子療法のDNA構成体を形成させればよい。プロモーターは、該構成体が挿入される細胞又は組織型で活性であれば、内因性のNTPペプチドコード遺伝子と同種でも異種でもよい。遺伝子療法のDNA構成体の他の成分は、場合により、必要に応じて、部位特異的組込み用に設計されたDNA分子(例えば相同的組換えに有用な内因性フランキング配列)、組織特異的プロモーター、エンハンサー、又はサイレンサー、親細胞に優る選択的利点を提供できるDNA分子、形質転換細胞を確認する標識として有用なDNA分子、負の選択システム、細胞特異的結合剤(例えば細胞ターゲティング用)、細胞特異的インターナリゼーション(細胞内取込み)因子、及びベクターによる発現を増強する転写因子並びにベクターの製造を可能にする因子を含みうる。
インビボ又はエクスビボで細胞又は組織に遺伝子を送達する手段は、裸のDNAの直接注入、弾道法(ballistic methods)、リポソーム介在型伝達、受容体介在型伝達(リガンド−DNA複合体)、エレクトロポレーション、及びリン酸カルシウム沈殿などである(これらに限定されない)。米国特許第4,970,154号、WO96/40958、米国特許第5,679,559号、米国特許第5,676,954号、及び米国特許第5,593,875号参照。前記各特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。また、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、ポックスウィルス、レンチウィルス、パピローマウィルス又は単純ヘルペスウィルスのようなウィルスベクターの使用、DNA−タンパク質複合体の使用、及びリポソームの使用も含まれる。遺伝子療法のベクターの使用については、例えば米国特許第5,672,344号、米国特許第5,399,346号、米国特許第5,631,236号、及び米国特許第5,635,399号に記載されている。前記各特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
NTPペプチドをコードする遺伝子は、本明細書中に記載のような方法を用いて、NTPペプチド、又はそのフラグメント、変異体、相同体、もしくは誘導体を発現及び分泌するようにエクスビボで遺伝子工学的に操作されたある種の細胞を患者に移植することによって送達することもできる。そのような細胞は、動物又はヒトの細胞で、患者自身の組織由来かヒト又はヒト以外の別の供給源由来でありうる。場合により、該細胞は不死化細胞又は幹細胞であり得る。しかしながら、免疫反応の機会を減らすために、該細胞を被包して周囲組織の浸潤を回避するのが好適である。被包材料は、典型的には、タンパク質生成物は放出させるが、患者の免疫系又は周囲組織の他の有害因子による細胞の破壊は防止する生体適合性、半透性のポリマー性エンクロージャー又は膜である。膜による細胞の被包化に使用される方法は当業者には周知であり、被包化細胞の製造と患者へのその移植は、必要以上の実験をせずとも達成できる。例えば、米国特許第4,892,538号;5,011,472号;及び5,106,627号参照。前記各特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。生細胞の被包化システムは、PCT WO91/10425に記載されている。他の各種の持続又は制御送達手段、例えばリポソーム担体、生腐食性粒子又はビーズの製剤化技術も当業者には公知であり、例えば、米国特許第5,653,975号に記載されている。前記特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。被包の有無にかかわらず、細胞は患者の適切な体組織又は器官に移植されうる。
ある実施形態において、本発明はBPH(良性前立腺過形成)に罹患した哺乳動物における後の侵襲的外科的処置の必要性を低減する方法を提供し、該方法は、BPHに罹患した哺乳動物に対して、配列ID番号66のアミノ酸配列(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)を含む治療有効量のNTPペプチド、特に単離されたペプチドを少なくとも1回投与する工程を含む。他の実施形態において、本発明はBPH(良性前立腺過形成)に罹患した哺乳動物における後の侵襲的外科的処置の必要性を低減する方法を提供し、該方法は、BPHに罹患し、以前にBPHの治療を受けていない哺乳動物(例えば、未治療の哺乳動物)に対して、配列ID番号66のアミノ酸配列(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)を含む治療有効量のNTPペプチド、特に単離されたペプチドを少なくとも1回投与する工程を含む。
ある実施形態において、配列ID番号66のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドは、以下の(1)−(40)からなる群から選択される少なくとも1つの活性剤と組み合わせて投与される。(1)5α−レダクターゼ阻害剤及び/又は抗エストロゲン、(2)5α−レダクターゼ阻害剤及び/又はアロマターゼ阻害剤、(3)5α−レダクターゼ阻害剤及び/又は17β−HSD阻害剤、(4)5α−レダクターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(5)5α−レダクターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(6)5α−レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(7)5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、及び抗エストロゲン、(8)5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(9)5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(10)5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(11)5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、アロマターゼ阻害剤、及び17β−HSD阻害剤、(12)5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(13)17β−HSD阻害剤、及び抗エストロゲン、(14)17β−HSD阻害剤、及びアロマターゼ阻害剤、(15)17β−HSD阻害剤、アロマターゼ阻害剤、及び抗エストロゲン、(16)17β−HSD阻害剤、抗アンドロゲン、及び抗エストロゲン、(17)17β−HSD阻害剤、抗アンドロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(18)17β−HSD阻害剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(19)抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(20)抗エストロゲン、アロマターゼ阻害剤、及び抗アンドロゲン、(21)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、及び抗エストロゲン、(22)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、及びアロマターゼ阻害剤、(23)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、及び17β−HSD阻害剤、(24)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(25)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(26)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(27)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、及び抗エストロゲン、(28)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(29)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(30)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(31)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、アロマターゼ阻害剤、及び17β−HSD阻害剤、(32)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、5α−レダクターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及び17β−HSD阻害剤、(33)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、17β−HSD阻害剤、及び抗エストロゲン、(34)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、17β−HSD阻害剤、及びアロマターゼ阻害剤、(35)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、17β−HSD阻害剤、アロマターゼ阻害剤、及び抗エストロゲン、(36)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、17β−HSD阻害剤、抗アンドロゲン、及び抗エストロゲン、(37)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、17β−HSD阻害剤、抗アンドロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(38)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、17β−HSD阻害剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、(39)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、抗エストロゲン、及びアロマターゼ阻害剤、及び(40)LHRHアゴニスト又はアンタゴニスト、抗エストロゲン、アロマターゼ阻害剤、及び抗アンドロゲン。
以下の実施例は本発明を説明するために提供する。しかしながら、本発明はこれらの実施例中に記載されている特定の条件又は詳細に制限されないことは理解されるべきである。本明細書全体を通じて、米国特許を含む公的に入手可能な文献へのいずれか又はすべての参照は、引用によって特に本明細書に援用する。特に、本発明の実施形態は、係属中の2015年1月27日に出願された米国特許出願第14/606,683号(「細胞の破壊または除去を必要とする疾患を治療する方法」)、2015年6月12日に出願された米国特許出願第14/738,551号(「望ましくない細胞増殖の除去または破壊を必要とする疾患を治療するための配合組成物」)、米国特許出願公開第2003/0054990号(放棄済)、米国特許出願公開第2007/0237780号(放棄済)、米国特許出願公開第2003/0054990号(現米国特許第7,172,893号)、米国特許出願公開第2003/0096350号(現米国特許第6,924,266号)、米国特許出願公開第2003/0096756号(現米国特許第7,192,929号)、米国特許出願公開第2003/0109437号(現米国特許第7,241,738号)、米国特許出願公開第2003/0166569号(現米国特許第7,317,077号)、および米国特許出願公開第2005/0032704号(現米国特許第7,408,021号)に記載された実施例を参照により明示的に組み入れる。これらの各々は、その中で特定されたあるペプチドが、正常な齧歯類の筋肉組織、皮下結合組織、真皮及びその他の組織においてインビボで細胞死を発生させるのに有効な薬剤であることを開示している。
実施例1
中等度から重度の症候性良性前立腺過形成(BPH)に罹患した645人の患者(グループ#1)を、1回のNX−1207またはプラセボ(生理食塩水媒体単独)の注射による治療に無作為に割り当て、それらの患者の臨床的BPH徴候および症状は毎週、毎月、3ヶ月ごとまたはそれ以上の間隔で、数ヶ月から5.5年の期間にわたって評価された。これらの患者のいずれも、以前にBPH状態を治療するために侵襲的外科的処置を受けていなかった。患者のBPH状態を治療するための外科的処置(すなわち、後の侵襲的外科的処理)の必要性の予防または遅延のためのNX−1207による治療の有用性を判定するために、基準時点から2年以上後にすべての可能な被験者について、プロスペクティブ評価を実施した。プラセボを投与され薬物治療を受けていない患者は、その7.65%が基準時点から2年以内に侵襲的外科的処置を受けるに至った。比較として、NX−1207の注射を1回受けた患者は、その5.1%が基準時点から2年以内に侵襲的外科的処置を受けるに至った。このことは、プラセボと比較すると、2年以内に侵襲的外科的処置を受けた患者の割合が33.3%減少したことを示している。
実施例2
無作為に抽出され、実施例1のグループ#1と同時にNX−1207またはプラセボで無作為に治療された352人の患者(グループ#2)に、最初の無作為抽出後1年以上経過した後に、最初の治療に加えて、NX−1207の第2の注射を実施した。これらの患者のいずれも、以前にBPH状態を治療するために侵襲的外科的処置を受けていなかった。患者のBPH状態を治療するための侵襲的外科的処理の必要性の予防または遅延のためのNX−1207による治療の有用性を判定するために、基準時点から2年以上後にすべての可能な被験者について、プロスペクティブ評価を実施した。驚くべきことに、NX−1207の2回目の注射は、侵襲的外科処置の必要性がわずか1.6%まで劇的に減少することにつながった。この減少した侵襲的外科処置の必要性は、プラセボ(7.65%、p<.001)より有意に低く、また、1回のNX−1207の注射による治療(5.1%、p<.01)よりも有意に低かった。
この実施例によれば、NTPペプチドを患者に2回投与すると、1回のみ注射を受けた患者と比較して、後の侵襲的外科的処置の必要性が約69%低減した。さらに、NTPペプチドを患者に2回投与すると、プラセボを投与された患者と比較して、後の侵襲的外科的処置の必要性が約80%低減した。
実施例3
実施例1および2の患者は、従来の経口薬による以前の治療失敗(すなわち、「治療失敗」)があったかどうか、BPH状態の治療のために従来の経口薬を以前に投与されなかったかどうか(すなわち「治療未経験」)によって特徴付けられていた。患者のBPH状態を治療するための後の侵襲的外科的処理の必要性の予防または遅延のためのNX−1207による治療の有用性を判定するために、基準時点から2年以上後にすべての可能な被験者について、プロスペクティブ評価を実施した。驚くべきことに、NX−1207を投与された未治療の患者は、侵襲的外科的処理の必要性(0.9%)が、プラセボによる対照(7.5%,p<.01)と比較して予想外に低減した。この後の侵襲的外科的処理の必要性の低減は、NX−1207を投与された以前の治療失敗患者(6.1%,p<.01)またはプラセボを投与された以前の治療失敗患者(10.4%,p<.01)よりも有意に低かった。
この実施例によれば、NTPペプチドを未治療の患者に投与すると、プラセボを投与された患者と比較して、後の侵襲的外科的処置の必要性が約88%低減した。また、NTPペプチドを未治療の患者に投与すると、NTPペプチドを投与された治療失敗患者と比較して、後の侵襲的外科的処置の必要性が約85%低減した。また、NTPペプチドを未治療の患者に投与すると、プラセボを投与された治療失敗患者と比較して、後の侵襲的外科的処置の必要性が約91%低減した。
上述の実施例から得られた結果は、不要な細胞増殖物の除去または破壊を必要とする状態を有する哺乳動物において、後の侵襲的外科的処置の必要性を低減させる上での、NTPペプチドの予想外に優れた効果を示している。当業者には、本発明の方法及び組成物において、本発明の精神又は範囲に反することなく多様な修飾および変形が可能であることは明白であろう。

Claims (17)

  1. 不要な細胞増殖物の除去または破壊を必要とする状態を有する哺乳動物において後の侵襲的外科的処置の必要性を低減させる方法であって、配列ID番号66のアミノ酸配列(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)を含む治療有効量の単離されたペプチドを前記哺乳動物に投与する工程を含み、前記方法は不要な細胞増殖物を除去または破壊し、プラセボを投与した哺乳動物と比較して約60%から100%の範囲内で後の侵襲的外科的処置の必要性を低減させる、方法。
  2. 請求項1に記載されたペプチドの少なくとも一つと担体を治療有効量投与する工程を含む、請求項1に記載された方法。
  3. 前記単離されたペプチドは2回以上投与される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記哺乳動物が未治療の哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
  5. 請求項1に記載されたペプチドの少なくとも一つ、および請求項1の前記単離されたペプチドのN末端またはC末端のいずれかに隣接する少なくとも1個から最大25個までの付加的なアミノ酸を治療有効量投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ペプチドを、経口、皮下、皮内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、髄腔内、鼻腔内、腫瘍内、局所、および経皮投与からなる群から選択される方法によって投与する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記方法は、外科的切除、移植(transplantation)、移植(grafting)、化学療法、免疫療法、ワクチン接種、熱的または電気的切除、凍結療法、レーザー療法、光線療法、遺伝子療法、および放射線療法からなる群から選択される治療法を用いた前記哺乳動物の治療の前、最中、または後に、当該哺乳動物に対して実施される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選択される組織の良性または悪性の腫瘍である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選択される組織の過形成、肥大、又は過成長である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選択される組織のウィルス性、細菌性、又は寄生虫性変化である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選択される組織の奇形である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記状態が良性前立腺過形成(BPH)である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記方法は、後の侵襲的外科的処置の必要性を、前記単離されたペプチドを用いて哺乳動物を1回治療することによって見出される改善と比較して、約60%から約75%低減させる、請求項3に記載の方法。
  14. 前記方法は、後の侵襲的外科的処置の必要性を、プラセボを投与された哺乳動物における後の侵襲的外科的処置の必要性と比較して、約75%から約90%低減させる、請求項3に記載の方法。
  15. 前記方法は、後の侵襲的外科的処置の必要性を、プラセボを投与された哺乳動物における後の侵襲的外科的処置の必要性と比較して、約80%から約90%低減させる、請求項4に記載の方法。
  16. 前記方法は、後の侵襲的外科的処置の必要性を、前記単離されたペプチドを投与された治療失敗哺乳動物における後の侵襲的外科的処置の必要性と比較して、約80%から約90%低減させる、請求項4に記載の方法。
  17. 前記方法は、後の侵襲的外科的処置の必要性を、プラセボを投与された治療失敗哺乳動物における後の侵襲的外科的処置の必要性と比較して、約85%から約97%低減させる、請求項4に記載の方法。
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