以下、図面を参照しつつ実施例を結合して本発明を詳しく説明する。なお、衝突しない限り、本願の実施例及び実施例中の構成要件を組み合わせることができる。
なお、本発明の明細書及び特許請求の範囲並びに上記図面における「第1」、「第2」等の用語は、類似した対象を区別するためのものであり、特定した順番又は前後順序を説明するためのものではない。
本実施例において熱の制御方法が提供され、図1は、本発明の実施例による熱の制御方法のフローチャートであり、図1に示されるように、そのフローは、以下のステップS102〜ステップS104を含む。
ステップS102:端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物との間の距離を検出する。
ステップS104:端末の第1の領域において断熱処理を行い、この第1の領域は、所定の検出物からの距離が第1の所定閾値よりも小さい領域であり、及び/又は、端末の第2の領域において放熱処理を行い、この第2領域は、所定の検出物からの距離が第2の所定閾値よりも大きい領域である。
上記第1の所定閾値は、第2の所定閾値と等しいものであってもよいし、第2の所定閾値よりも小さいものであってもよい。上記ステップを通じて、端末を異なる領域に分割し、分割された領域に対して所定の検出物からの距離に応じた発熱処理を行い、所定の検出物から近い領域において断熱処理を行うことで、所定の検出物(例えば、人の顔)に温度上昇が著しく感じられることがないようにすることができ、また、所定の検出物から遠い領域において放熱処理を行うことで、体験を悪化させることがないし、端末製品から生じた熱をすぐに効果的に放散させることができ、端末製品の使用性能に影響を与えずにすむ。関連技術における、端末製品の発熱に効果的に対処できない問題を解決し、さらに、端末製品の発熱問題に効果的に対処する効果を達成しているとともに、ユーザ体験を効果的に向上させている。
ユーザ体験をさらに向上させるために、代替の一実施例において、断熱される領域において、所定の検出物からの距離に応じた断熱処理を段階的に行うこともでき、つまり、上記第1の領域のうち、所定の検出物から一番近い位置(所定の検出物が接する位置であってもよい)に対して最大限の断熱処理を行い、やや遠い位置に対して相対的に低い程度の断熱処理を行い、一番遠い位置に対して最小限の断熱処理を行うことができる。同様に、放熱処理も段階的に行われることができ、第2の領域のうち、所定の検出物から一番近い位置に対して最小限の放熱処理を行い、やや遠い位置に対して相対的に高い程度の放熱処理を行い、一番遠い場所に対して最大限の放熱処理を行うことができる。
上記端末のそれぞれの領域は、いずれも所定数のグリッドサブブロック(即ち、それぞれの領域はさらに複数のサブブロックに分割され、このサブブロックの形状が様々であり、例えば、正方形のサブブロック、又は長方形のサブブロック、又は六角形のサブブロックであることができる)に分割されることができ、それぞれの領域に対する断熱又は放熱処理は、実質上、それぞれのグリッドサブブロックを制御することであり、代替の一実施例において、上記第1の領域において、所定の検出物からの距離に応じた断熱処理を段階的に行うことは、第1の領域における各グリッドサブブロックをそれぞれ制御することにより、断熱処理を段階的に行うことを含み、この第1の領域は所定数のグリッドサブブロックを含み、グリッドサブブロックには熱を制御するための電極が配置されている(例えば、グリッドサブブロックの上下側にそれぞれ1つの電極が配置され、2つの電極間での電子移動による断熱又は放熱処理を行うことができる)。グリッドサブブロックに配置される電極間での電子移動の方向を制御することにより、断熱又は放熱の制御を実現することができるとともに、電極間での電子移動の速度を制御することにより、断熱又は放熱の程度を制御することができる。電子移動による断熱及び放熱処理は、処理方式の一種にすぎず、他の方式による断熱及び放熱処理も可能なことは言うまでもないことであり、ここではその説明を省略する。
代替の一実施例において、端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物との間の距離を検出した後、端末の各領域と所定の検出物との距離はいずれも第3の所定閾値よりも大きいと判定した場合、端末において均熱処理を行うことをさらに含む。この第3の所定閾値は、上記第2の所定閾値と等しいものであってもよいし、上記第2の所定閾値よりも大きいものであってもよい。具体的な応用において、端末の各領域と所定の検出物との距離はいずれも第3の所定閾値よりも大きい場合、所定の検出物(例えば、人の手又は人の顔)が端末にタッチしていない状態にあることができ、この際、端末のいずれの場所にて放熱させても、ユーザ体験を損ねることはない。このため、端末の各領域によって放熱の均等化を図ることができ、ユーザ体験を損ねることがないし、放熱効率を向上させることもできる。
上記実施例において、断熱、放熱処理を行う前に、まず最初に所定の検出物と端末との間の距離を検出してもよく、検出方式は様々であり、代替の一実施例において、端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物との間の距離を検出することは、近接センサーの変化した数値及び/又は容量式センサーの変化した数値によって、端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物との間の距離を決定することを含む。以下、容量式センサーにより端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物(例えば、人の顔であってもよい)との間の距離を検出することを例として説明する。電話を掛ける場合、人の顔が端末のタッチパネルに近接し(人の顔で覆われているタッチパネルの領域は、端末の1つの領域とされることができる)、この際、タッチパネルに近接する人の顔の領域が平面かのように思われることができ、人の顔がタッチパネルに近接する時に、タッチパネルにおける容量式センサーの数値が変化し、数値が最も変化する位置は、人の顔がタッチパネルに最も近い場所であり、数値がわずかに変化する位置は、人の顔がタッチパネルに最も遠い場所であり、これにより、人の顔の平面とタッチパネルの平面との間の距離の範囲を決定することができ、Xmm−Ymmであるとすると、Ymmが上記第1の所定閾値よりも小さい場合、人の顔で覆われている(接触しなくてもよい)タッチパネルの領域が、すべてこの第1の所定閾値よりも小さいことを示し、この領域において断熱処理を行う必要がある。Xmmが上記第2の所定閾値よりも大きい場合、人の顔で覆われている(接触しなくてもよい)タッチパネルの領域が、すべて上記第2の所定閾値よりも大きいこと、及び人の顔がタッチパネルから十分離れていることを示し、この領域において放熱処理を行うことができる。上記人の顔で覆われている(接触しなくてもよい)タッチパネルの領域は、断熱の必要のある領域だけでなく、放熱の必要のある領域をも含むことが可能であり、このように、このタッチパネルの領域に対して更なる領域分割を行い、分割後の領域に応じた断熱又は放熱処理を行うことができる。
以上の実施形態で説明したように、上記実施例による方法は、ソフトウェア及び必要な汎用ハードウェアフラップフォームを介して実現されることができ、もちろんハードウェアによって実現されることもできるが、多くの場合、前者がより適切な実施形態であることは、当業者にとって明らかである。このような理解に基づいて、本発明の技術案は、本質上、或いは、関連技術に貢献する部分が、ソフトウェア製品の形で体現されることができ、このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体(例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶され、端末機器(携帯電話、コンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイス等であってもよい)に本発明の各実施例の方法を実行させるための若干の命令を含む。
本実施例において熱の制御装置も提供され、上記実施例及び実施形態を実現するものであって、既に説明したものは省略される。以下で使用する用語「モジュール」とは、所定の機能を実現可能なソフトウェア及び/又はハードウェアの組み合わせである。以下の実施例に説明する装置をソフトウェアで実現することが好ましいが、ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現することも可能であり、そのことも構想されている。
図2は、本発明の実施例による熱の制御装置の構造ブロック図であり、図2に示されるように、この装置は、検出モジュール22と、第1の処理モジュール24と、第2の処理モジュール26と、を備え、以下、この装置について説明する。
検出モジュール22は、端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物との間の距離を検出し、第1の処理モジュール24は、上記検出モジュール22に接続され、端末の、所定の検出物からの距離が第1の所定閾値よりも小さい領域である第1の領域において断熱処理を行い、及び/又は、第2の処理モジュール26は、上記検出モジュール22に接続され、端末の、所定の検出物からの距離が第2の所定閾値よりも大きい領域である第2の領域において放熱処理を行う。
図3は、本発明の実施例による熱の制御装置における第1の処理モジュール24の構造ブロック図であり、図3に示されるように、この第1の処理モジュール24は処理ユニット32を含み、以下、この第1の処理モジュール24について説明する。
処理ユニット32は、第1の領域において、所定の検出物からの距離に応じた断熱処理を段階的に行う。
代替の一実施例において、上記処理ユニット32は、第1の領域における各グリッドサブブロックをそれぞれ制御することにより、断熱処理を段階的に行うことを含み、この第1の領域は所定数のグリッドサブブロックを含み、グリッドサブブロックには熱を制御するための電極が配置されている。
図4は、本発明の実施例による熱の制御装置のもう一つの構造ブロック図であり、図4に示されるように、この装置は、図2に示されるすべてのモジュールに加え、第3の処理モジュール42をさらに備え、以下、この装置について説明する。
第3の処理モジュール42は、上記検出モジュール22に接続され、端末の各領域と所定の検出物との距離はいずれも第3の所定閾値よりも大きいと判定した場合、端末において均熱処理を行う。
代替の一実施例において、上記検出モジュール22は、近接センサーの変化した数値及び/又は容量式センサーの変化した数値によって、端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物との間の距離を決定することを含む。
端末製品のモジュール化という設計思想から、ユーザ体験の向上という目標を目指し、「逃し」と「遮断」方法を結合して、本発明の実施例において、端末用のインテリジェント放熱装置も提供される。この装置は、均熱ユニット層と断熱・熱伝導ユニット層との2層に分けられる。均熱ユニット層は熱源に近く、断熱・熱伝導ユニット層は熱源から遠く離れ、この2層は密に結合されている。
以下、上記所定の検出物が端末操作員の手又は顔である場合を例として説明する。
均熱ユニット層は、熱容量よりも大きい物質の薄い層によって充填される(例えば、薄い層は0.16mm未満のものとされることができ、実際の応用に当たり、上記物質を0.05mmだけ充填することができる)。熱容量よりも大きい物質を用いるのは、この層の物質により多くの熱を吸収させ、温度上昇速度を遅らせるためであり、これにより、ユーザに温度上昇が著しく感じられることがなく、これはユーザ体験の向上に非常に寄与する。例を挙げると、端末が20分間で25℃の室温から50℃まで上昇する場合のユーザ体験は、10分間で25℃から50℃まで上昇する場合のユーザ体験より優れているに決まっている。また、メイン基板における熱源は決まった位置ではなく、温度が高い場所があるし、温度が低い場所もあり、例えば、オンラインゲームをする場合、メインチップがある位置は温度が高く、無線周波数パワーアンプチップがある位置は温度が高く、均熱ユニット層を用いることで、超高熱点による熱を均一に放散させることができ、超高熱点の形成を回避し、これはユーザ体験の向上にも非常に有利である。このため、均熱ユニット層を用いることで、温度上昇速度を効果的に遅らせることができるとともに、熱源温度を均一に放散させることができ、超高熱点の形成を回避する。
断熱・熱伝導ユニット層は、平面層とインテリジェントな制御チップからなり、この平面層は若干のグリッドに分割されており、グリッドにおける物質を、断熱及び熱伝導属性間で変化させることができる。制御チップは、メインチップとの通信により、現在のユーザシーン情報を取得し、容量式パネルにおける容量値の変化及び近接センサーからの応答を取得し、インテリジェント製品を利用する操作員の位置(インテリジェント製品の操作員の位置は、操作員の手及び/又は顔の位置であることができ、以下、いずれも操作員の手及び/又は顔である場合を例として説明する)をスケッチし、そして、人の手及び人の顔の対応する位置に断熱性物質が充填され、それ以外の位置に熱伝導性物質が充填されることにより、熱の「逃し」と「遮断」を実現し、インテリジェント放熱を実現する。同時に、インテリジェントチップは、さらに、断熱・熱伝導ユニット層における温度の不均一に応じて断熱及び熱伝導ユニットグリッドを調整し、これにより、ユーザが感じる熱さを一致させ、最終的にユーザ体験の向上という最終の目標を実現する。以下、この断熱・熱伝導ユニット層について詳しく説明する。
断熱・熱伝導ユニット層の平面層は、一層の薄い層(例えば、薄い層は0.16mm未満のものとされることができ、実際の応用に当たり、この平面層の厚さが0.05mmであることができる)であり、縦横の仕切りによって若干のグリッドサブブロック(例えば、1mm*1mmであることができる)に分割され、制御チップは各サブブロックを制御することができ、各サブブロックを制御することにより、断熱及び熱伝導属性の変化を実現する。例を挙げると、断熱・熱伝導ユニット層は、一層の金属製平面層からなり、縦横の絶縁性仕切りによって若干のグリッドに分割され、それぞれのグリッドの上下側に2つの電極が配置され、2つの電極はそれぞれ制御チップに繋がり、制御される。固体物理学の金属による熱の伝導原理によると、熱の伝導の作用を担うのは、主に自由電子であり、自由電子はボルツマン方程式を満たすように温度場にて拡散して熱の伝達を行い、冷電子と熱電子とがエネルギーを交換し、熱を伝導する。金属グリッドを帯電させた後、自由電子は電流の逆方向に従って運動し、この自由電子の移動方向と熱の伝播方向とが一致する場合、この金属グリッドが熱の伝達を促し、反対に、この自由電子の移動方向と熱の伝播方向とが逆である場合、この金属グリッドが熱の伝達を阻害し、さらに、熱伝導・断熱属性の変化を実現する。もちろん、材料学の発展に伴い、断熱・熱伝導ユニット層の平面層の物質が多様化し、制御チップにより制御され、断熱及び熱伝導属性の変化を実現する物質であれば、この断熱・熱伝導ユニット層に応用されることができ、ここでは、その説明を省略する。
断熱・熱伝導ユニット層のインテリジェントチップは、メインチップ及びタッチパネルのチップとの通信を行う。メインチップのユーザシーン情報及びユーザの指又は顔による容量値の変化を取得することで、端末を人の手で持つ姿勢及び人の顔の位置を決定し、さらに、対応する場所にて断熱を行う。例を挙げて説明すると、インテリジェントチップは、メインチップから現在、通話シーンにあることが分かり、近接センサーが人の顔を検知した(制御チップはメインチップからこのセンサーの数値を読み取ることができる)ことを知り、タッチパネルのチップから容量値が大面積にわたって変化した(互いに近接し合う2つの帯電導体から容量が発生する原理に基づいて、人体も容量式パネル内部のインジウムスズ酸化物も帯電導体であるため、人の顔が容量式パネルに近づくと、タッチパネル上の各点で容量値が変化し、この値がタッチパネルのチップに記憶される)ことを知っていれば、人の顔に近いパネルの領域を決定することができる。さらに、通話シーン情報を結合して、制御チップは、人の手によるタッチ領域が端末後側の下半部にあると推定する。これらの位置を決定することで、断熱・熱伝導ユニット層の各サブブロックが断熱属性であるか、それとも熱伝導属性であるかを決め、人の手及び人の顔が対応する領域は断熱され、それ以外の領域は熱伝導され、これにより、「逃し」と「遮断」を実現する。
同時に、端末に近づく人の手も人の顔もない場合、インテリジェントチップは、さらに、断熱・熱伝導ユニット層自体の温度差に応じて、断熱及び熱伝導ユニットグリッドの分布を動的に調整することができ、これにより、端末温度の一致性を実現し、差が大きすぎてユーザ体験を損ねる現象の発生を回避する。端末製品には、メインチップ、充電管理チップ、無線周波数パワーアンプ等が主な発熱部材であり、それらの位置において温度が高くなるに決まっており、均熱ユニット層によって均熱されることで、一定の拡散機能があるが、しかし、均熱ユニット層を通った熱は完全に均一な温度に達していないため、断熱・熱伝導ユニット層は、その温度差に応じて断熱及び熱伝導ユニットの分布を動的に調整し、熱源付近の位置に断熱ユニットが適当に分布され、熱源でない位置に熱伝導ユニットが配置され、ユーザが感じる温度の一致性を達成する。続いて、通話シーンを結合して分析すると、通話時の人の手及び人の顔が対応する領域は断熱されるため、熱を伝達することができなくなったり伝達量が減ったりし、通話が終了した後、断熱属性のユニットは必然的に温度が熱伝導属性のユニットよりも低くなり、ユーザが感じる人の手及び人の顔が対応する領域とそれ以外の領域との温度差によるユーザの不良体験を回避するために、この時、インテリジェントチップは、温度分布によって通話時の熱伝導属性のグリッド部分を断熱属性のグリッドに変化させるように制御し、これにより、温度の高い領域の温度が緩やかに上昇する一方、人の手及び人の顔が対応する領域は完全に断熱属性から熱伝導属性へ変更し、熱の急速放散を実現し、最終的に端末の表面温度の均等化を実現する。
図5は、本発明の実施例によるインテリジェント放熱装置の構造を示す図であり、図5に示されるように、この新規な端末用のインテリジェント放熱装置は、均熱ユニット層52、断熱・熱伝導ユニット層54及び断熱・熱伝導ユニット層の制御チップ56を備える。
均熱ユニット層52は熱源面の近くにあり、断熱・熱伝導ユニット層54はユーザ接触面の近くにある。
均熱ユニット層52は、熱容量よりも大きい一層の物質で充填され、熱の吸収を実現することができ、熱容量よりも大きい特性によって温度上昇速度を遅らせると同時に、熱の分布を均等化することができ、超高熱点の形成を回避する。
断熱・熱伝導ユニット層54は、若干の縦横に分割されたグリッドから薄い層となり、それぞれのグリッドは制御チップ56によって制御されることができ、制御チップの制御により、グリッドを熱伝導と断熱属性との間で変化させることができ、熱の「逃し」と「遮断」を実現する。
図6は、本発明の実施例による断熱・熱伝導ユニット層の制御を示す図であり、以下、図6を結合しながら本発明の実施例の断熱・熱伝導ユニット層を詳しく説明する。
断熱・熱伝導ユニット層54は、縦横の仕切りによって若干のグリッドに分割され、縦横の仕切りの間隔が1mmである(又は他の間隔である)ことが好ましく、それぞれのユニットグリッドの上下側に正負電極が配置され、電気の作用により、このグリッドの属性は断熱と熱伝導との間で変化することができる。
インテリジェント制御チップ56は、それぞれのユニットグリッドの上下側の電極を接続し、各ユニットグリッドを帯電させ、さらに、グリッドの断熱及び熱伝導の属性を制御する。断熱・熱伝導ユニット層54の制御チップ56とホストのCPU62とが通信を行い、現在のアプリケーションシーン、タッチパネルの容量変数及び近接センサーのデータを取得し、制御チップ56がこれらのデータを分析し、人の手及び人の顔の位置を決定し、さらに対応するユニットグリッドの属性を制御し、熱を伝達するか否かを制御する。近づく人の手も人の顔もない場合、断熱・熱伝導ユニット層54の温度差に応じて、断熱及び熱伝導ユニットグリッドの分布をインテリジェントに調整し、温度の均等化を実現することにより、インテリジェント放熱を実現し、ユーザ体験を向上させる。
図7は、本発明の実施例による断熱・熱伝導ユニット層のグリッドサブブロックの物理的接続を示す図であり、図7は図6の一部を拡大したものであり、このグリッドサブブロックが金属製ブロックであり、上面及び下面が制御チップに繋がり、固体による熱の伝導原理によると、熱の伝導の作用を担うのは、主に自由電子であり、冷電子と熱電子とがぶつかって、熱の伝達を実現し、自由電子を帯電させることで、自由電子の流動を制御し、さらに熱の伝達を制御し、断熱及び熱伝導の属性変化を実現する。断熱が必要である場合、即ち、下面の熱が上面に伝達されることができなければ、自由電子は上面から下面に伝達される必要があり、下面を正に帯電させる一方、上面を負に帯電させる必要があり、電流が下から上へ運動し、これにより、自由電子が上から下へ運動する(電流方向と自由電子の運動方向とが逆である)。熱伝導が必要である場合、自由電子は下から上へ運動し、電流が上から下へ運動することが必要となり、即ち、制御チップによって上面を正に帯電させる一方、下面を負に帯電させる必要がある。
図8は、本発明の実施例による断熱・熱伝導ユニット層の動作フローチャートであり、図8に示されるように、そのフローは、以下のステップS802〜ステップS808を含む。
ステップS802:制御チップとメインチップとが通信を行い、現在のアプリケーション情報、タッチパネルの容量値の変化量、及び近接センサーの変化量を含む現在のシーン情報を取得する。
ステップS804:制御チップは、取得された上記情報を分析し、人の手及び人の顔が近付いているか否かを判定し、人の手及び人の顔の位置を判定する。人の手及び人の顔が近付いていると判定されていれば、ステップS808に移行し、そうでなければ、ステップS806に移行する。
ステップS806:制御チップが、断熱・熱伝導ユニット層の温度分布を分析する。
ステップS808:制御チップは、制御シーケンス(制御信号)を出力し、各グリッドの断熱及び放熱を制御し、これにより、熱のインテリジェント伝達を実現し、ユーザ体験を向上させる。
以下、具体的なシーンを結合して本発明を説明する。
図9は、本発明の実施例による通話アプリケーションシーンでのフローチャートであり、インテリジェントマシンのメイン基板の両側にそれぞれ本発明の装置を配置することができる。メイン基板に近い側は均熱ユニット層であり、メイン基板から離れた側は断熱・熱伝導ユニット層である。図9に示されるように、そのフローは以下のステップS902〜ステップS908を含む。
ステップS902:制御チップはメインチップから、現在シーンが通話シーンであることを知る。
ステップS904:制御チップは近接センサーのデータを取得し、近接センサーが物体の近接を検出したと判定し(制御チップは、メインチップから近接センサーの数値変化を取得することができる)、ユーザが端末を手で持って音声通話を行っていると判定することができ、人の顔が容量式パネルに近づくと、容量値の変化を起こす(2つの近接する帯電導体間で容量が発生する原理に基づく)。
ステップS906:制御チップとタッチパネルのチップとが通信を行い、容量変化値を取得する。
ステップS908:制御チップは、容量変化値からこの領域における容量値の変化を知っていれば、人の顔が近付く領域はどの領域であるか確定することができる。制御チップは、さらに通話シーンを結合して、人の手がバックカバーに投影する領域を推定することができ、人の顔が近付く領域も、人の手がバックカバーに投影する領域も、断熱ユニットで充填される領域になるため、制御チップは、制御信号を出力し、断熱及び熱伝導領域を変化させるように調整し、これにより、ユーザの手及び顔が近付く領域の温度を制御し、ユーザ体験を向上させる。
通話が終了した後、近付く人の顔も人の手もない場合、制御チップは、断熱・熱伝導ユニット層の温度分布を収集し、ある領域が熱くなっていれば、断熱ユニットを増加して温度上昇を制御し、温度が低い領域に対して、熱伝導ユニットを増加したりすべてオンにしたりすることで、熱の急速放散を実現し、端末のユーザが感じる温度の一致性を実現する。
図10は、本発明の実施例によるゲームアプリケーションシーンでのフローチャートであり、インテリジェントマシンのメイン基板の両側にそれぞれ本発明の装置を配置することができる。メイン基板に近い側は均熱ユニット層であり、メイン基板から離れた側は断熱・熱伝導ユニット層である。図10に示されるように、そのフローは以下のステップS1002〜ステップS1008を含む。
ステップS1002:制御チップはメインチップから、現在シーンがゲームシーンであることを知る。
ステップS1004:制御チップは、加速度の変化量を結合して、このゲームが横向きゲームか、縦向きゲームか判定する。
ステップS1006:制御チップは、ゲームソフトウェアとのインタラクション及び容量式パネルにおける指による容量値の変化から、現在のゲームが、片手でのゲームか両手でのゲームかを知ることができる。
ステップS1008:指が容量式パネルにおける容量値を変化させ、制御チップはこれらの情報を取得し、容量値の変化に基づいて指の位置及び形状を判定し、さらに、この指が左手の指か右手の指か推定し、そのうえ、人の手で持つ領域を推定し、断熱の必要のある領域を決定し、制御チップは、制御シーケンスを出力し、断熱及び熱伝導領域を変化させるように調整し、これにより、インテリジェント熱伝達を達成する。ゲームが終了した後、近付く人の手も人の顔もない場合、制御チップは、同様に、温度分布によって断熱及び熱伝導ユニットの分布をインテリジェントに調整し、これにより端末の表面温度の一致性を実現する。
上記実施例において、モジュール化の思想を用いて、熱の「逃し」と「遮断」を結合して、端末のインテリジェント放熱を実現する。均熱ユニット層により温度上昇速度を遅らせ、高熱点を均等化し、超高熱点の形成を回避する。一方、断熱・熱伝導ユニット層のインテリジェントチップは、メインチップ、タッチパネルのチップと通信し、ユーザが使用しているシーンの情報を取得し、さらに人の手及び人の顔の位置を推定することができ、断熱材料を充填するか、それとも熱伝導材料を充填するか制御することで、熱のインテリジェント伝達を実現する。近付く人の顔及び人の手がなければ、インテリジェントチップは、断熱及び熱伝導ユニット層の温度差に応じて断熱及び熱伝導ユニットをインテリジェントに調整し、これにより、ユーザ体験を大幅に向上させる。
なお、上記各モジュールはソフトウェア又はハードウェアによって実現されることができ、後者の場合、以下の方式で実現されることができるが、これには限定されない。上記モジュールは、すべて同一のプロセッサに位置するか、それぞれ複数のプロセッサに位置する。
本発明の実施例において記憶媒体がさらに提供される。オプションとして、本実施例において、上記記憶媒体は、以下のステップS1〜S2を実行するためのプログラムコードを記憶するように構成されてもよい。
S1:端末の1つ又は複数の領域と所定の検出物との間の距離を検出する。
S2:端末の、所定の検出物からの距離が第1の所定閾値よりも小さい領域である第1の領域において断熱処理を行い、及び/又は、端末の、所定の検出物からの距離が第2の所定閾値よりも大きい領域である第2の領域において放熱処理を行う。
オプションとして、本実施例において、上記記憶媒体は、Uディスク、リードオンリーメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、携帯型ハードディスク、磁気ディスク又は光ディスク等、プログラムコードを記憶可能な様々な媒体を含むことができるが、これには限定されない。
オプションとして、本実施例における具体例は、上述の実施例及び代替の実施形態に説明される例を参照することができるが、本実施例においてここではその説明を省略する。
上記本発明の各モジュール又は各ステップはすべての放熱分野に応用されることができ、本発明は、全体として端末製品に使用されることができれば、個別に使用されたり、組み合わせて使用されたりすることもできると当業者が理解されるべきであることはいうまでもない。例を挙げると、LCDの金属製バックプレート又はグラファイト熱伝導層を均熱層として用いる一方、断熱・熱伝導ユニット層を単独に用いることができる。例を挙げると、組み合わせて使用することができ、例えば、インテリジェントマシン製品の場合、本発明の装置をLCDとメイン基板との間に配置すること、及び本発明の装置をメイン基板とバックカバーとの間に配置することができ、もちろん、制御チップを1つとなるようにまとめて統括制御することができる。このように、本発明は、如何なる特定した構造の組み合わせには限定されない。そして、上述の本発明の各モジュール又は各ステップは汎用の計算装置によって実現されることができ、単独の計算装置に集成させることができれば、複数の計算装置から構成されるネットワークに分布させることもでき、オプションとして、計算装置で実行可能なプログラムコードによって実現してもよいので、それらを記憶装置に格納して計算装置によって実行することができ、そして場合によって、示した又は説明したステップを上述と異なる手順で実行することができ、それぞれ集積回路モジュールに製作したり、これらのうち複数のモジュール又はステップを単独の集積回路モジュールに製作したりして実現することができる。このように、本発明は、如何なる特定したハードウェアとソフトウェアの結合には限定されない。
以上は、本発明の実施例に過ぎず、本発明を限定することは意図していない。当業者にとって、本発明に様々な変更や変形が可能である。本発明の思想や原則内の如何なる修正、均等の置き換え、改良なども、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。