JP2018518522A - 癌を治療するための組成物及び方法 - Google Patents
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Abstract
それを必要とする対象において癌を治療する方法としては、対象に治療有効量のPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を投与することを含む。【選択図】図1
Description
関連出願
本出願は、その主題がその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年6月23日出願の米国特許仮出願第62/183,517号の優先権を主張する。
本出願は、その主題がその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年6月23日出願の米国特許仮出願第62/183,517号の優先権を主張する。
プロテインキナーゼは治療標的として承認を受け、パイプライン又は既に診療所にある何百もの阻害剤を用いて、腫瘍学における薬物開発の取り組みの主要な焦点となっている。一方、プロテインホスファターゼは、基質特異性が不十分であると評されており、かつ強力な活性部位阻害剤として発見された天然産物に関連する毒性のために、薬剤開発にあたってほとんど無視されている。
プロテインホスファターゼ2A(PP2A)は、4つの主要なセリントレオニンホスファターゼの1つであり、細胞増殖及び分裂の負の制御に関与している。PP2Aは、重要な癌遺伝子シグナル伝達タンパク質を脱リン酸化して腫瘍抑制因子として機能し得る。PP2Aプロテインホスファターゼは、広範な基質特異性及び多様な細胞機能を有し、遍在性であり、かつ保存されたホスファターゼである。狭い基質特異性を有するプロテインキナーゼとは対照的に、PP2Aは複数の基質と相互作用する。このため、PP2Aの活性化は、事実上、発癌性シグナル伝達経路など複数のシグナル伝達経路を協調的に阻害する併用療法である。PP2Aの標的の中には、Raf、MEK、AKT、ERK、及びFOXOなど、発癌性シグナル伝達カスケードのタンパク質がある。
本出願は、癌を治療するための組成物及び方法に関し、具体的には、それを必要とする対象において癌を治療するための、PP2A活性化剤及びキナーゼ阻害剤、並びに/又はそれらを含む医薬組成物の使用に関する。
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象において癌を治療する方法としては、対象に治療有効量のPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を投与することを含んでもよい。いくつかの態様では、対象はヒト対象であってもよい。他の態様では、癌は、PP2A発現が減少している癌細胞によって特徴付けられ得る。更に他の態様では、癌は、白血病、前立腺癌、子宮内膜癌、及び非小細胞肺癌からなる群から選択することができる。
いくつかの実施形態では、PP2A活性化剤としては、PP2A活性化を促進及び/又は誘導する小分子を挙げることができる。例えば、PP2A活性化剤は、三環式神経弛緩化合物又はその誘導体であってもよい。
いくつかの実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤は、MEK阻害剤、EGFR阻害剤、Her−2キナーゼ阻害剤、Src阻害剤、IKK阻害剤、Jak2阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、CHK1阻害剤、及びGSK−3阻害剤から選択される。
いくつかの実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤の量は、PP2A活性化剤の非存在下で投与される場合、治療量以下である。他の実施形態では、PP2A活性化剤の量は、プロテインキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される場合、治療量以下である。
別の実施形態において、それを必要とする対象における癌を治療するための方法としては、PP2A活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、及びその薬学的に許容可能な担体の共製剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与することが挙げられる。
本出願の前述の及び他の特徴は、添付の図面を参照して以下の説明を読むことにより本出願が関係する当業者には明らかになるであろう。
プロテインホスファターゼ2A(PP2A)がABCサブユニットから構成され、重要な発癌性シグナル伝達タンパク質を脱リン酸化して腫瘍抑制因子として機能することを示す概略図である。
放射性分解MSのフットプリント解析によって検出されたPP2A A−C二量体のコンフォメーション変化の視覚的表現を例解するモデルを示す図である。矢印の領域は、例示的化合物1での処理時に触媒サブユニットの高度に保護されているC末端尾部を示す。
化合物1によって誘導されたY307脱リン酸化及び標的結合の動力学を示すウエスタンブロット分析を示す図である。化合物1の用量を増加させると、c−Mycの非常に迅速な脱リン酸化が誘発され、その結果、同様の時間依存的様式でParpの切断が生じる。しかし、Y307の脱リン酸化は、最初のPP2A活性化に対する二次事象として起こり、化合物1が非常に短い時点でホスファターゼを活性化する必要はないことを示唆している。
MOLT4及びA549細胞株におけるSMAP化合物1及び化合物2とのダサチニブの組み合わせの効果を示す図である。A)ダサチニブを添加して、MOLT4細胞のアネキシン/PI陽性を増強する。B)ダサチニブを添加して、FACS分析によってA549細胞におけるSub−G1(アポトーシス)画分を有意に増加させる。C)化合物1及びダサチニブの組み合わせは、MOLT4におけるY307リン酸化を相乗的に減少させ、これによりPP2Aをより強く活性化し、かつc−Mycなどの発癌性基質を脱リン酸化/分解する。D)化合物2とのダサチニブの組み合わせは、A549においてより高い親和性によりY307を脱リン酸化することによってPP2Aを相乗的に活性化する。E)化合物2/ダサチニブ用量漸増組み合わせを用いたMTTアッセイは、この細胞株において化合物2のIC50をほぼ2倍低下させている。
MOLT4及びA549細胞株におけるSMAP化合物1及び化合物2とのダサチニブの組み合わせの効果を示す図である。A)ダサチニブを添加して、MOLT4細胞のアネキシン/PI陽性を増強する。B)ダサチニブを添加して、FACS分析によってA549細胞におけるSub−G1(アポトーシス)画分を有意に増加させる。C)化合物1及びダサチニブの組み合わせは、MOLT4におけるY307リン酸化を相乗的に減少させ、これによりPP2Aをより強く活性化し、かつc−Mycなどの発癌性基質を脱リン酸化/分解する。D)化合物2とのダサチニブの組み合わせは、A549においてより高い親和性によりY307を脱リン酸化することによってPP2Aを相乗的に活性化する。E)化合物2/ダサチニブ用量漸増組み合わせを用いたMTTアッセイは、この細胞株において化合物2のIC50をほぼ2倍低下させている。
MOLT4及びA549細胞株におけるSMAP化合物1及び化合物2とのダサチニブの組み合わせの効果を示す図である。A)ダサチニブを添加して、MOLT4細胞のアネキシン/PI陽性を増強する。B)ダサチニブを添加して、FACS分析によってA549細胞におけるSub−G1(アポトーシス)画分を有意に増加させる。C)化合物1及びダサチニブの組み合わせは、MOLT4におけるY307リン酸化を相乗的に減少させ、これによりPP2Aをより強く活性化し、かつc−Mycなどの発癌性基質を脱リン酸化/分解する。D)化合物2とのダサチニブの組み合わせは、A549においてより高い親和性によりY307を脱リン酸化することによってPP2Aを相乗的に活性化する。E)化合物2/ダサチニブ用量漸増組み合わせを用いたMTTアッセイは、この細胞株において化合物2のIC50をほぼ2倍低下させている。
MOLT4及びA549細胞株におけるSMAP化合物1及び化合物2とのダサチニブの組み合わせの効果を示す図である。A)ダサチニブを添加して、MOLT4細胞のアネキシン/PI陽性を増強する。B)ダサチニブを添加して、FACS分析によってA549細胞におけるSub−G1(アポトーシス)画分を有意に増加させる。C)化合物1及びダサチニブの組み合わせは、MOLT4におけるY307リン酸化を相乗的に減少させ、これによりPP2Aをより強く活性化し、かつc−Mycなどの発癌性基質を脱リン酸化/分解する。D)化合物2とのダサチニブの組み合わせは、A549においてより高い親和性によりY307を脱リン酸化することによってPP2Aを相乗的に活性化する。E)化合物2/ダサチニブ用量漸増組み合わせを用いたMTTアッセイは、この細胞株において化合物2のIC50をほぼ2倍低下させている。
抗癌剤の組み合わせを同定するために用いられるリン酸化プロテオミクス及びバイオインフォマティクスのワークフローの概要である。
MAPKの標準的なシグナル伝達を例解する図である。
時間経過によるリン酸化プロテオミクスのKSEAヒートマップ結果を示す図であり、図6の標準的なMAPK経路に関連するキナーゼのみを示す。
NCRヌードマウスにおけるH358異種移植片のウォーターフォールプロットを例解した図であり、種々の治療における試験の開始と終了との腫瘍体積(mm3)の差異を示す。
標準MAPK経路とは別個に作動するキナーゼであるSRCの産生のみを示す時間経過によるリン酸化プロテオミクスのKSEAヒートマップ結果を例解した図である。
異なる治療間でのH358異種移植片の腫瘍体積差のウォーターフォールプロットである。
異なる治療間でのH441異種移植片の腫瘍体積差のウォーターフォールプロットである。
異なる治療間でのH441異種移植片の腫瘍体積差のウォーターフォールプロットである。
従来の分子生物学技術を伴う方法は、本明細書に記載されている。このような技術は、当技術分野で一般的に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology、編、Ausubelら、Greene Publishing and Wiley−Interscience(New York、1992年)(定期的な更新を伴う)などの方法論全書に詳細が記述されている。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本出願に関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学用語の一般的に理解されている定義は、例えば、Riegerら、Glossary of Genetics:Classical and Molecular、第5版、Springer−Verlag:New York、1991年、及びLewin、Genes V、Oxford University Press:New York、1994年に見出すことができる。本明細書で提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、その用途の範囲を限定するものではない。
定義
定義
本明細書に記載される用語は、実施形態を説明するだけのためのものであり、本発明全体を限定するものとして解釈されるべきではない。特に明記しない限り、「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ」は同義に用いられる。さらに、本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、このような文脈を踏まえて禁止でない限り、複数形を含む。
用語「含む(comprising)」及びその変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に現れる場合に限定的な意味を有するものではない。
本明細書で使用されるとき、「治療」、「治療する」、又は「治療する」という用語は、これらに限定されないが、疾患の発症を阻止すること、疾患に関連する臨床症状の発現を阻止すること、及び/又は疾患に関連する症状を緩和することなど、対象における癌(例えば、白血病、前立腺癌、及び非小細胞肺癌)の任意の治療に関する。しかし、用語「治療する」及び「改善する」は、治療される対象を苦しめている癌の根底にある疾患経過の逆転又は停止を示唆することを必ずしも意味するものではない。このような用語は、治療されていない状態で起こるものに比べて、治療されている状態に関連する有害な徴候及び/若しくは症状が軽減若しくは減少されるか、又は進行若しくは転移の速度が減少することを示す。疾患の徴候若しくは症状の変化は、対象のレベル(例えば、対象の機能又は状態が評価される)で、又は組織若しくは細胞レベルで評価され得る。本発明によれば、細胞レベルでの治療の望ましいメカニズムとしては、これらに限定されないが、癌細胞過程の延長及び細胞移動の減少、アポトーシス、細胞周期の阻止、細胞分化、又はDNA合成の阻止のうちの1つ以上が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「予防」という用語は、臨床的に明らかな望ましくない細胞増殖の発生を全て予防するか、危険にさらされている個体における望ましくない急速な細胞増殖の前臨床的に明らかな段階の発生を予防することを含む。また、この定義に包含されることが意図されるのは、悪性細胞の転移の防止、又は悪性細胞の進行の阻止若しくは逆転である。これには、前癌及び癌を発症するリスクが高い患者の予防的治療を含む。リスクの上昇は、対象が癌を発症するであろう平均以上のリスクを表し、これは、例えば、家族歴又は癌発症の素因を引き起こす遺伝子の検出によって判定することができる。
本発明は、異性体(例えば、ジアステレオマー及びエナンチオマー)、互変異性体、塩、溶媒和物、多形体、プロドラッグなどを含む、これらの薬学的に許容される形態のいずれかで本明細書に記載の化合物を包含する。特に、化合物が光学活性である場合、本発明は、具体的には、化合物のエナンチオマーの各々及びそれらのエナンチオマーのラセミ混合物を含む。「化合物」という用語は、明示的に記載されているか否かにかかわらず(時には「塩」が明示されているが)、このような形態のいずれか又は全てを含むことを理解されたい。
本明細書中で使用されるとき、「薬学的に許容可能な」は、化合物又は組成物が、疾患の重症度及び治療の必要性を考慮して過度に有害な副作用なく、本明細書に記載の治療を達成するための対象への投与に適していることを意味する。
用語「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される非毒性の酸又は塩基(無機酸及び塩基並びに有機酸及び塩基など)から調製される塩を指す。本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機及び有機酸など、薬学的に許容される非毒性の酸から調製されてもよい。本発明の化合物の薬学的に許容される酸付加塩の適切なものとしては、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシレート)、安息香酸、ホウ酸、酪酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、炭酸、クエン酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフチレンスルホン酸、硝酸、オレイン酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、ピバル酸、ポリガラクツロン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、テオクラチック(teoclatic)酸、p−トルエンスルホン酸の付加塩、など、が挙げられる。化合物が酸性側鎖を含む場合、本発明の化合物に適した薬学的に許容される塩基付加塩としては、これらに限定するものではないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛からなる金属塩、又はリシン、アルギニン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、及びプロカインから製造される有機塩が挙げられる。更に薬学的に許容される塩としては、適切な場合には、1〜20個の炭素原子を有するアルキルに結合した非毒性アンモニウムカチオン及びカルボキシレート、スルホネート及びホスホネートアニオンが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「有効量」という用語は、所望の効果を提供するのに十分な組み合わせである、PP2A活性化剤の量及びプロテインキナーゼ阻害剤の量を指す。例えば、「治療上有効量」は、対象における異常な細胞増殖又は細胞移動などの疾患又は障害を軽減又は阻止するのに有効な量をもたらす。その結果は、疾患若しくは障害の徴候、症状、若しくは原因、又は生物学的系の任意の他の所望の変化の減少及び/若しくは緩和であり得る。治療の有効性は、PP2A活性化剤とプロテインキナーゼ阻害剤との組み合わせの投与に応答する対象における腫瘍負荷若しくは腫瘍体積の減少、又は腫瘍増殖若しくは腫瘍細胞浸潤及び/若しくは移動の減少を評価することによって測定することができる。腫瘍負荷の減少は、質量の直接的な減少を表すことがあり、又は、腫瘍成長の遅延に関して測定され得る場合もあり、これは、治療を受けた腫瘍が同じ体積まで成長するのに必要な時間から特定の体積まで成長する対照腫瘍の平均時間を減算することによって求められる。腫瘍細胞転移の減少は、腫瘍細胞移動の直接的な減少を示し得るか、又は腫瘍細胞転移の遅延に関して、腫瘍細胞転移の減少が測定され得る。いずれの場合においてもPP2A活性化剤又はプロテインキナーゼ阻害剤の有効量は、通常の実験を用いて当業者によって決定され得る。
治療の目的のための用語「対象」は、望ましくない急速な細胞増殖を特徴とする障害を有する任意のヒト又は動物の対象を含む。このような障害には、これらに限定されないが、癌及び前癌が挙げられる。特定の実施形態では、対象とは、癌を有する疑いがあるか、又は癌と診断された任意のヒト又は動物の対象が挙げられる。予防方法では、対象は任意のヒト又は動物対象であり、好ましくは、癌などの望ましくない急速な細胞増殖を特徴とする障害を獲得する危険があるヒト対象である。対象は、発癌性物質に暴露され、望ましくない急速な細胞増殖などを特徴とする障害に遺伝的に罹患しやすいために危険にさらされる可能性がある。ヒトの治療に有用であることに加えて、本発明の化合物は、これらに限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、及びブタなどのペット及び家畜などの哺乳類の獣医学的治療にも有用である。好ましくは、対象はヒトを意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「癌と診断された対象」、「癌を有する対象」、又は「癌と同定された対象」は、癌を有するか又は癌を有する可能性があると同定される患者対象を指す。対象を癌と診断する非限定的例としては、病院認定病理学者によって行われる組織学的分析を用いる診断及び分子的アプローチに基づく診断試験が挙げられる。
本明細書に記載された実施形態は、癌を治療するための組成物及び方法に関し、特に、プロテインキナーゼ阻害剤及び同剤を含む医薬組成物と組み合わせたPP2A活性化剤の使用、それを必要とする対象において癌を治療する方法に関する。小分子化合物は、ヒト癌で多くの場合不活性化されるヘテロ三量体腫瘍抑制因子であるプロテインホスファターゼ2A(PP2A)に結合し、活性化し得ることが示されている。しかし、この小分子によるホスファターゼ活性化の根底にある分子メカニズムは未だ発見されていない。放射性分解質量分析法フットプリント解析を用いることで、PP2A複合体の構造変化が解明された(図2を参照されたい)。理論に束縛されるものではないが、PP2A活性化剤は、このホスファターゼを酵素的に活性化させ、細胞培養及びインビボモデルにおいて、c−Myc、Akt、MAPK、及びERKなど、その後の重要な発癌性シグナル伝達経路のダウンレギュレーションにより、他の薬物に見られる顕著な毒性がなく、抗癌作用を発揮するメカニズムとして、阻害性リン酸化からアミノ酸残基Y307を保護すると考えられている。これらの発癌性シグナル伝達経路は、PP2Aとプロテインキナーゼ阻害剤との抗癌剤の組み合わせを提供するために活用することができ、これにより、PP2Aの抗癌効果を増強又は相乗的に向上することができる。さらに、PP2A活性化剤と組み合わせて使用されるSRC阻害剤などの少なくともいくつかのプロテインキナーゼ阻害剤は、複数のインビトロ癌モデルにおいてY307を相乗的に脱リン酸化し、より強力にPP2Aを活性化できることが発見された。したがって、PP2A活性化剤の治療上有効量を、それを必要とする対象において癌を治療するためにプロテインキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与することができる。
PP2A活性化剤
PP2A活性化剤
PP2A活性化剤は、ホスファターゼを活性化し、かつ/又はPP2A複合体において有意なコンフォメーション変化を誘導し、その結果として、Y307残基において阻害性リン酸化が減少する、薬理学的化学種、複合体(例えば、金属錯体)、ペプチド剤、融合タンパク質、又はオリゴヌクレオチドなどの任意の薬物又は化合物であってもよい。
いくつかの実施形態では、PP2A活性化剤は、PP2Aの小分子活性化剤を含んでもよい。例えば、PP2A活性化剤としては、PP2A複合体のコンフォメーション変化を誘導し、その結果としてY307にて阻害性リン酸化を減少させ得る三環式神経弛緩化合物誘導体を挙げることができる。ある実施形態では、PP2A活性化剤は、GPCR又はモノアミントランスポーターの薬効薬理を有さない三環式神経弛緩化合物を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本発明における使用のための小分子三環式神経弛緩化合物誘導体PP2A活性化剤としては、式(I)の化合物を含むことができる:
式中:
Bは、直接結合、−O−、−(CH2−O)−、−(O−CH2)−、−C(=O)N(CH3)−、及び−N(CH3)C(=O)−からなる群から選択され、
Aは、N及びCHから選択され、
Tは、ベンゼン環、若しくは5又は6員複素芳香環であり、
Uは、ベンゼン環、若しくは5又は6員複素芳香環であり、
nは、0、1又は2であり、
R1、R2、R3及びR4は、H、OH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C1〜C3)アルキルアミノ、(C1〜C3)ジアルキルアミノ、(C1〜C3)アシルアミノ、(C1〜C3)アルキルスルホニル、(C1〜C3)アルキルチオ、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)ハロアルキル、(C1〜C3)ハロアルコキシ、−CC(=O)O(C1〜C3)アルキル、及び(C1〜C3)アルコキシから独立して選択され、R5及びR6は、H、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アジド、(C1〜C3)ハロアルキル、(C1〜C3)ハロアルコキシ、及び(C1〜C3)ハロアルキルチオから独立して選択される。
Bは、直接結合、−O−、−(CH2−O)−、−(O−CH2)−、−C(=O)N(CH3)−、及び−N(CH3)C(=O)−からなる群から選択され、
Aは、N及びCHから選択され、
Tは、ベンゼン環、若しくは5又は6員複素芳香環であり、
Uは、ベンゼン環、若しくは5又は6員複素芳香環であり、
nは、0、1又は2であり、
R1、R2、R3及びR4は、H、OH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C1〜C3)アルキルアミノ、(C1〜C3)ジアルキルアミノ、(C1〜C3)アシルアミノ、(C1〜C3)アルキルスルホニル、(C1〜C3)アルキルチオ、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)ハロアルキル、(C1〜C3)ハロアルコキシ、−CC(=O)O(C1〜C3)アルキル、及び(C1〜C3)アルコキシから独立して選択され、R5及びR6は、H、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アジド、(C1〜C3)ハロアルキル、(C1〜C3)ハロアルコキシ、及び(C1〜C3)ハロアルキルチオから独立して選択される。
C1〜C20炭化水素としては、アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。例としては、ベンジル、フェネチル、シクロヘキシルメチル、アダマンチル、カンファーリル、及びナフチルエチルが挙げられる。ヒドロカルビルは、唯一の元素構成成分として水素及び炭素からなる任意の置換基を指す。脂肪族炭化水素は、芳香族ではない炭化水素であり、飽和又は不飽和、環式、直鎖状又は分枝鎖状であってもよい。脂肪族炭化水素の例としては、イソプロピル、2−ブテニル、2−ブチニル、シクロペンチル、ノルボルニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン(フェニル)、ナフタレン(ナフチル)、アントラセンなどが挙げられる。
特記しない限り、アルキル(又はアルキレン)は、直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素構造及びこれらの組み合わせを含むことを意図する。アルキルは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子のアルキル基を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。
シクロアルキルは、炭化水素のサブセットであり、3〜8個の炭素原子の環状炭化水素基を含む。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、ノルボルニルなどが挙げられる。
別段の指定がない限り、用語「炭素環」は、環原子が全て炭素であるが任意の酸化状態である環系を含むことが意図される。したがって、(C3〜C10)炭素環は、シクロプロパン、ベンゼン及びシクロヘキセンなどの系を含む非芳香族系及び芳香族系の両方を指し、(C8〜C12)炭素ポリ環は、ノルボルナン、デカリン、インダン、及びナフタレンなどの系を指す。炭素環は、特に制限のない限り、単環、二環、及び多環を指す。
複素環は、1〜4個の炭素がN、O、及びSからなる群から選択されるヘテロ原子によって置換されている脂肪族又は芳香族炭素環残基を意味する。窒素及び硫黄ヘテロ原子は、任意で酸化されていてもよく、かつ窒素ヘテロ原子は、任意で四級化されていてもよい。特記しない限り、複素環は非芳香族(ヘテロ脂肪族)又は芳香族(ヘテロアリール)であってもよい。複素環の例としては、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(置換基として存在する場合、一般に、メチレンジオキシフェニルと称される)、テトラゾール、モルホリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。ヘテロシクリル残基の例としては、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル(歴史的にはチオフェニルとも称する)、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、及びテトラヒドロキノリニルが挙げられる。
アルコキシ又はアルコキシルは、酸素を介して親構造に結合した直鎖又は分枝鎖配置の炭素原子1〜20個、好ましくは炭素原子1〜10個、より好ましくは炭素原子1〜6個の基を指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどが挙げられる。低級アルコキシは、1〜4個の炭素を含む基を指す。本出願の目的のために、アルコキシ及び低級アルコキシとしては、メチレンジオキシ及びエチレンジオキシが挙げられる。
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。一実施形態では、ハロゲンはフッ素又は塩素原子であってもよい。
他に明記しない限り、アシルは、ホルミル、並びにカルボニル官能基を介して親構造と結合する、直鎖、分枝鎖、環状配置、飽和、不飽和及び芳香族、及びこれらの組み合わせの1、2、3、4、5、6、7及び8個の炭素原子の基を指す。例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリルなどが挙げられる。低級アシルは、1〜4個の炭素を含む基を指す。二重結合された酸素は、置換基自体と称されるとき、「オキソ」と称される。
本明細書中で使用されるとき、「任意で置換された」という用語は、「置換されていない又は置換された」と同義に使用され得る。用語「置換された」は、特定の基における1つ以上の水素原子の特定のラジカルへの置換を指す。例えば、置換アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルなどは、各残基内の1個以上のH原子が、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アシル、アルコキシアルキル、ヒドロキシ低級アルキル、カルボニル、フェニル、ヘテロアリール、ベンゼンスルホニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロアルコキシ、オキサアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル[−C(=O)O−アルキル]、アルコキシカルボニルアミノ、[HNC(=O)O−アルキル]、アミノカルボニル(カルボキサミドとしても公知)[−C(=O)NH2]、アルキルアミノカルボニル[−C(=O)NH−アルキル]、シアノ、アセトキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、(アルキル)(アリール)アミノアルキル、アルキルアミノアルキル(シクロアルキルアミノアルキルなど)、ジアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルコキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、スルホニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルアミノアルキル、アシルアミノアルコキシ、アシルアミノ、アミジノ、アリール、ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヒドロキシイミノ、アルコキシイミノ、オキサアルキル、アミノスルホニル、トリチル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、ベンジルオキシフェニル、及びベンジルオキシと置換されるアルキル、アリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリルを指す。「オキソ」はまた、「任意で置換された」と称される置換基にも含まれる。オキソは二価のラジカルであるので、置換基として適切ではない状況(例えば、フェニル上)が存在することは、当業者には理解されるであろう。一実施形態では、1、2又は3個の水素原子が特定のラジカルで置換されている。アルキル及びシクロアルキルの場合、3個超の水素原子がフッ素で置換されてもよく、実際に、利用可能な全ての水素原子をフッ素で置換することができる。好ましい実施形態では、置換基は、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノカルボニルオキサアルキル、カルボキシ、シアノ、アセトキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノアリールスルホニル、アリールスルホニルアミノ、及びベンジルオキシである。
以下に記載される実施形態において、化合物は、他に示されない限り、式I、II、IIIa又はIIIbの化合物であり得る。
上記の亜属(シクロヘキサノール、シクロペンタノール、又はシクロヘプタノール)のいずれかにおいて、好ましいシクロアルカノールは、相対配置が、アミン及び三環が両方ともアルコールに対してトランスであるようなものである。
このトランス:トランス亜群において、化合物は、単一のエナンチオマーIIIa及びIIIbのいずれか、又はその2つの混合物のいずれかであり得る。混合物の場合、混合物は最も一般的にはラセミ体であるが、必ずしもそうである必要はない。本明細書に記載されるような生物学的活性化合物の実質的に純粋な単一のエナンチオマーは、多くの場合、これらのラセミ混合物に優る利点を示す。
前述の亜属(シクロヘキサノール、シクロペンタノール、又はシクロヘプタノール)のいずれにおいても、Aは、N又はCHであってもよい。Nシリーズ及びCHシリーズの両方において、Bは直接結合、−O−、−(CH2−O)−、−(O−CH2)−、−C(=O)N(CH3)−又は−N(CH3)C(=O)−であってもよい。
いくつかの実施形態では、T及びUの少なくとも1つは、ピリジン、ピリミジン、ジアジン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、ピロール、又はフランなどの複素環である。いくつかの実施形態では、T及びUの1つはベンゼン環であり、T及びUの他方はピリジン、ピリミジン、及びチオフェンから選択される。他の実施形態では、T及びUは両方ともベンゼン環である。
いくつかの実施形態では、R2及びR4はHであり、R1及びR3は独立してH、OH、F、Cl、Br、CN、CO2CH3、CH3、CF3、OCF3及びOCH3から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3及びR4の全てがHである。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは、橋頭炭素から2つ離れた炭素に位置する。いくつかの実施形態では、R5はHであり、R6はH、F、Cl、CF3、OCF3、SCF3、N3及び−CNから選択される。多くの場合、R6はパラ位にある。
いくつかの実施形態では、本発明における使用のための小分子三環式神経弛緩化合物誘導体PP2A活性化剤としては、式(IV)の化合物を含むことができる:
式中:
Bは、−S−、−(CH2−CH2)−及び−CH=CH−からなる群から選択され、
Aは、N及びCHから選択され、
nは、0、1又は2であり、
X1は、−H、−F、−Cl、−CF3及び−CNから選択され、
X2は、−H、−F、−Cl、−CF3、及び−CNから選択され、かつ
Yは、−H、−F、−Cl、−(C1〜C3)ハロアルキル、−(C1〜C3)ハロアルコキシ、−(C1〜C3)アルコキシ、−C(=O)(C1〜C3)アルキル、−C(=O)H、−(C1〜C3)ヒドロキシアルキル、−(C1〜C3)ハロアルキルチオ、−N3、及び−CNからそれぞれ独立して選択される1又は2個の置換基を表す。
Bは、−S−、−(CH2−CH2)−及び−CH=CH−からなる群から選択され、
Aは、N及びCHから選択され、
nは、0、1又は2であり、
X1は、−H、−F、−Cl、−CF3及び−CNから選択され、
X2は、−H、−F、−Cl、−CF3、及び−CNから選択され、かつ
Yは、−H、−F、−Cl、−(C1〜C3)ハロアルキル、−(C1〜C3)ハロアルコキシ、−(C1〜C3)アルコキシ、−C(=O)(C1〜C3)アルキル、−C(=O)H、−(C1〜C3)ヒドロキシアルキル、−(C1〜C3)ハロアルキルチオ、−N3、及び−CNからそれぞれ独立して選択される1又は2個の置換基を表す。
このトランス:トランスサブグループにおいて、化合物は、単一のエナンチオマーVIa及びVIbのいずれか又はその2つの混合物のいずれかであり得る。混合物の場合、混合物は最も一般的にはラセミ体であるが、必ずしもそうである必要はない。本明細書に記載されるような生物学的活性化合物の実質的に純粋な単一のエナンチオマーは、多くの場合、これらのラセミ混合物に優る利点を示す。
以下に記載される実施形態において、化合物は、他に示されない限り、式IV、V、VIa、又はVIbの化合物であり得る。
いくつかの実施形態では、Bは−(CH2−CH2)−である。いくつかの実施形態では、Bは−S−である。いくつかの実施形態では、Bは−CH=CH−である。
いくつかの実施形態では、Aは、Nである。いくつかの実施形態では、AはCHである。
いくつかの実施形態では、nは0である。いくつかの実施形態では、nは1である。いくつかの実施形態では、nは2である。
いくつかの実施形態では、X1は−Hである。いくつかの実施形態では、X1は−Fである。いくつかの実施形態では、X1は−Clである。いくつかの実施形態では、X1は−CF3である。いくつかの実施形態では、X1は−CNである。
いくつかの実施形態では、X2は−Hである。いくつかの実施形態では、X2は−Fである。いくつかの実施形態では、X2は−Clである。いくつかの実施形態では、X2は−CF3である。いくつかの実施形態では、X2は−CNである。
いくつかの実施形態では、X1及びX2は両方とも−Hである。
いくつかの実施形態では、Yは−Hである。いくつかの実施形態では、Yは−Fである。いくつかの実施形態では、Yは−Clである。いくつかの実施形態では、Yは−(C1〜C3)ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、Yは−CF3である。いくつかの実施形態では、Yは、−CH2CF3又は−CF2CF3である。いくつかの実施形態では、Yは−(C1〜C3)ハロアルコキシである。いくつかの実施形態では、Yは−OCF3である。いくつかの実施形態では、Yは−OCHF2である。いくつかの実施形態では、Yは−(C1〜C3)アルコキシである。いくつかの実施形態では、Yは−OCH3である。いくつかの実施形態では、Yは−C(=O)(C1〜C3)アルキルである。いくつかの実施形態では、Yは−C(=O)CH3である。いくつかの実施形態では、Yは−C(=O)Hである。いくつかの実施形態では、Yは−(C1〜C3)ヒドロキシアルキルである。いくつかの実施形態では、Yは−C(CH3)2OHである。いくつかの実施形態では、Yは−(C1〜C3)ハロアルキルチオである。いくつかの実施形態では、Yは−SCF3である。いくつかの実施形態では、Yは−N3である。いくつかの実施形態では、Yは−CNである。いくつかの実施形態では、Yの一例は、H又はClであり、Yの別の例は、−H、−F、−Cl、−(C1〜C3)ハロアルキル、−(C1〜C3)ハロアルコキシ、−(C1〜C3)アルコキシ、−C(=O)(C1〜C3)アルキル、−C(=O)H、−(C1〜C3)ヒドロキシアルキル、−(C1〜C3)ハロアルキルチオ、−N3、及び−CNから選択される。いくつかの実施形態では、Yの一例はClであり、Yの別の例は−OCF3である。
いくつかの実施形態では、Yは、−H、−F、−Cl、−(C1〜C3)ハロアルキル、−(C1〜C3)ハロアルコキシ、−(C1〜C3)アルコキシ、−C(=O)(C1〜C3)アルキル、−C(=O)H、−(C1〜C3)ヒドロキシアルキル、−(C1〜C3)ハロアルキルチオ、−N3及び−CNから選択される。いくつかの実施形態では、Yは−H、−F、−Cl、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3−OCF3、−OCHF2、−OCH3、−C(=O)CH3、−C(=O)H、−C(CH3)2OH、−SCF3、−N3、及び−CNから選択される。いくつかの実施形態では、Yは−OCF3である。
本明細書に現れる任意の炭素−炭素二重結合の立体配置は、便宜上でのみ選択されており、特定の立体配置を示すことを意図するものではない。従って、本明細書において任意にトランスとして描写される炭素−炭素二重結合は、シス、トランス、又は任意の割合でのこれらの2つの混合物であってもよい。他に記載がない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体は、本発明の範囲内である。
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、従って、(R)−又は(S)−などの絶対立体化学に関して定義され得るエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じ得る。本発明は、こうした可能な異性体の全てを含むことを意味する。光学活性(R)−及び(S)−異性体は、ホモキラルシントン又はホモキラル試薬を用いて調製することができるか、又は従来の技術を用いて光学的に分割することができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン系二重結合又は他の幾何学的非対称中心を含み、他に特定しない限り、(E)−及び(Z)−幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性体が含まれることが意図されている。
本明細書中で使用されるラセミ体、アンビスケーリミック(ambiscalemic)及びスケーリミック(scalemic)的に、又はエナンチオマー的に純粋な化合物の図形表示は、Maehr J.Chem.編.62、114−120(1985年)の改変版であり、単線は立体化学に関する情報を呈示するものではなく、連結性のみを伝える。実線及び破線のくさび形は、キラル要素の絶対配置を示すために使用される。波線は、それが表す結合が生み出す可能性のあるいかなる立体化学的も意味しないことを示す。実線及び破線の太線は、示された相対的構成を示すが、必ずしもラセミ的性質を示すものではないことを示す幾何学的記述子である。くさび形の輪郭及び点線又は破線は、不確定である絶対配置のエナンチオマー的に純粋な化合物を示す。例えば、図形表現
は、任意の比率で、純粋なエナンチオマーからラセミ体まで、2つのトランス:トランスエナンチオマーのいずれか、又は両方を示す。
図形表現
は、未知の絶対立体化学の単一のエナンチオマーを示し、すなわち、実質的に純粋な単一のエナンチオマーとして、先の2つの構造のいずれかであり得る。最後に、図形表現
は、純粋な(1R、2R、6S)−2−アミノ−6−(C−結合三環系)シクロヘキサノールを示す。本開示の目的のために、「純粋」又は「実質的に純粋」なエナンチオマーは、エナンチオマーが示された立体配置の少なくとも95%であり、かつ他のエナンチオマーの5%以下であることを意味することを意図する。同様に、「純粋な」又は「実質的に純粋な」ジアステレオマーは、ジアステレオマーが示された相対配置の少なくとも95%及び他のジアステレオマーの5%以下であることを意味することを意図している。実施例の立体化学を記載した文章では、Chemical Abstractの慣習が用いられている。したがって、「(1R、2R、6S)−rel−」は、3つのキラル中心がその相対関係にあることを示し(実線太線と破線で構造図に描写される)、「rel」のない(1R、2R、6S)は、その絶対配置の単一のエナンチオマーを示す(実線及び破線のくさび形により構造図に描写される)。
本明細書に記載の方法において使用するためのPP2Aホスファターゼを活性化することができる追加の剤は、これらに限定されるものではないが、FTY720(フィンゴリモドとも称される)、フォルスコリン、1,9−ジデオキシフォルスコリン、C2−セラミドなどのセラミド(スフィンゴシンとも称される)、エトポシド(Eposin、Etopophos、Vepesid(商標)、VP−16(商標))などのトポイソメラーゼ阻害剤、メチル−3,5−ジヨード−4−(4’−メトキシプロポキシ)ベンゾエート(DIME又はDIPE)などのチューブリンポリメライザー(polymeriser)、パルミテートなどの脂肪酸、及びN−エチルマレイミド(NEM)などのチオールアルキル化剤からなる群から選択されてもよい。
本明細書に記載の癌の予防又は治療のためのPP2A活性を増加させる更なる剤としては、内因性PP2A活性化剤PTPA、PP2A、又は個々のPP2A遺伝子サブユニットの過剰発現構造体などの遺伝子分子が挙げられる。同様に、こうした剤は、内因性PP2A阻害剤SETに特異的なものなど、shRNA又はアンチセンス配列などのDNA/RNA阻害分子、又は個々のPP2A遺伝子サブユニット又はPP2A遺伝子の特異的領域(例えば、プロモーターなどの転写調節制御サブユニット)の形態をとってもよい。
候補PP2A活性化剤又は活性化剤は動物モデルで試験を行ってもよい。典型的には、動物モデルは癌の研究のためのモデルである。動物モデル(例えば、マウス)における様々な癌の研究は、ヒト癌の研究のために一般的に受け入れられている業務である。例えば、ヒト腫瘍細胞が動物に注入されるヌードマウスモデルは、多種多様な癌の研究に有用な一般的なモデルとして一般に承認されている(例えば、Polinら、Investig.New Drugs、15:99−108(1997年)を参照されたい)。結果は、典型的には、候補剤で治療した対照動物と治療を受けなかった対照同腹仔との間で比較される。トランスジェニック動物モデルも利用可能であり、ヒト疾患モデルとして一般に承認されている(例えば、Greenbergら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:3439−3443(1995年)を参照されたい)。候補剤がPP2A活性を活性化するか、例えば癌転移、癌細胞運動性、癌細胞浸潤性、又はこれらの組み合わせを含む、癌に関連する1つ以上の症状を減少させるかどうかを決定するために、候補剤をこれらの動物モデルにおいて使用することができる。
プロテインキナーゼ阻害剤
プロテインキナーゼ阻害剤
癌遺伝子の活性化は、特定の増殖及び生存シグナル伝達経路を誘導するためにタンパク質をリン酸化するキナーゼの突然変異又は増幅を獲得することを特徴とする。マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼカスケードの活性化は、細胞増殖及び分化において重要な役割を果たすことが公知である。この経路は、成長因子がその受容体チロシンキナーゼに結合すると活性化することができる。この相互作用はRASのRAFとの会合を促進し、MEK(MAPキナーゼ)を介してERKへのリン酸化カスケードを開始する。MEKリン酸化のための唯一の既知の基質は、MAPキナーゼ、ERK1及びERK2である。MEKのリン酸化により、ERKに対する親和性及び触媒活性並びにATPの親和性が増す。MAPK経路の構成的活性化は、メラノーマ、膵癌、大腸癌、肺癌、腎癌、及び卵巣癌、特に膵癌、大腸癌、肺癌、腎癌及び卵巣癌など多くの疾患において見出されている。
これらのキナーゼの阻害は、いくつかの癌の形態の治療のための有望な戦略を呈し、多くのキナーゼ阻害剤の例は、ヒト疾患の治療に有用ないくつかの例を含む科学文献に記載されている(例えば、J.Zhangら、Targeting cancer with small molecule kinase inhibitors、Nature Reviews Cancer、第9巻、2009年、28−39を参照されたい)。PP2Aは、キナーゼ阻害剤と同じシグナル伝達経路の多くを負に又は正に調節することができ、したがって、PP2A活性化剤とプロテインキナーゼ阻害剤とを共投与することにより、いずれかのクラスの化合物の抗癌効果を相加的及び/又は相乗的に高めることができる。実施例2に示されるいくつかの実施形態では、特異的PP2A活性化剤及びキナーゼ阻害剤の組み合わせを設計するために、シグナル伝達経路(標準MAPKシグナル伝達など)におけるPP2A活性化及び選択的キナーゼ阻害の効果を決定することができる。
PP2A活性化剤とプロテインキナーゼ阻害剤との共投与の相乗効果を考慮すると、PP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤は、組み合わせて投与される場合、各化合物を単独で投与した場合に治療効果を達成するために必要とされる量又は用量よりも、実質的に少ない(すなわち、治療量以下の用量又は量)治療効果を達成する量又は用量であり得る。対象へのPP2A活性化剤及び/又はプロテインキナーゼ阻害剤の共投与はまた、単一の剤に対する耐性を軽減することができる。このような耐性により、より高い用量の薬物が必要となり、かつ/又は新たな症状がもたらされるかのいずれかである。したがって、対象が受けることができる量には実際的な上限がある。しかし、2つ以上の剤を併用すると、任意の単一の剤の用量を少なくすることができる。より少量の治療薬を使用することは一般に患者にとってより安全であるため、これは患者にとって有益である。したがって、本発明のいくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、治療量以下のレベルで対象に投与することができる。
いくつかの実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤の量は、PP2A活性化剤の非存在下で投与される場合、治療量以下である。他の実施形態では、PP2A活性化剤の量は、プロテインキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される場合、治療量以下である。更に他の実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤及びPP2A活性化剤の投与量は、プロテインキナーゼ阻害剤及びPP2A活性化剤を単独で投与する場合、治療量以下である。
いくつかの実施形態では、PP2A活性化剤と組み合わせて投与されるキナーゼ阻害剤は、MEK阻害剤である。用語MEK阻害剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)の活性を阻害する、少なくする、低下させる、又は減少させる化合物又は剤、例えば小分子を指す。次に、MEK酵素活性を阻害することは、MEKが基質ペプチド又はタンパク質をリン酸化する能力を減少させる。MEK1及びMEK2は、RAS−RAF−MEK−ERKシグナル伝達カスケードに関与するプロテインキナーゼである。したがって、用語「MEK阻害剤」は、その範囲内に、MEKを阻害することができる化合物を包含する。
PP2A活性化剤と組み合わせてMEK阻害剤を添加することにより、ERKシグナル伝達の有意な阻害となり得、その結果、癌細胞増殖の減少をもたらし得る。MEK阻害剤治療単独では、臨床上、用量制限毒性が導かれるため、PP2A活性化剤とMEK阻害剤との組み合わせは優れた治療戦略を示す。
MEK阻害剤の例は、AS703026(EMD Serono);MSC1936369B(EMD Serono);GSK1120212(GlaxoSmithKline);AZD6244(6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド;セルメチニブ;構造IV)(Memorial Sloan−Kettering Cancer Center);ARRY−438162(Array BioPharma);RDEA119(Ardea Biosciences、Inc.);GDC0941(Genentech);GDC0973(Genentech);TAK−733(Millennium Pharmaceuticals、Inc.);RO5126766(Hoffmann−La Roche);及びXL−518(Exelixis)U0126(1,4−ジアミノ−2,3−ジシアノ−1,4−ビス[2−アミノフェニルチオ]ブタジエン;ARRY−142886;構造V)である。MEK阻害剤の更なる非限定的例としては、PD−0325901、AZD2171、GDC−0973/XL−518、PD98059、PD184352、GSK1120212、RDEA436、RDEA119/BAY869766、AS703026、BIX02188、BIX02189、CI−1040(PD184352)、PD0325901、及びPD98059が挙げられる。これらの及び他のMEK阻害剤並びにこれらの製造方法の非限定的例は、米国特許第5,525,625号、同第6,251,943号、同第7,820,664号、同第6,809,106号、同第7,759,518号、同第7,485,643号、同第7,576,072号、同第7,923,456号、同第7,732,616号、同第7,271,178号、同第7,429,667号、同第6,649,640号、同第6,495,582号、同第7,001,905号、米国特許公開第2010/0331334号、同第2009/0143389号、同第2008/0280957号、同第2007/0049591号、同第2011/0118298号、国際特許出願公開第98/43960号、国際特許出願公開第99/01421号、国際特許出願公開第99/01426号、国際特許出願公開第00/41505号、国際特許出願公開第00/42002号、国際特許出願公開第00/42003号、国際特許出願公開第00/41994号、国際特許出願公開第00/42022号、国際特許出願公開第00/42029号、国際特許出願公開第00/68201号、国際特許出願公開第01/68619号、国際特許出願公開第02/06213号、及び国際特許出願公開第03/077914号に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、PP2A活性化剤と組み合わせて投与されるキナーゼ阻害剤は、IKK阻害剤である。IKK及び関連キナーゼは、その不活性な細胞質複合体をIκBによりリン酸化することによってNF−κBを正に調節し、転写活性である細胞核に移行するNF−κBを放出する。NF−κBは、調節不全及び過剰活性化が、例えば悪性黒色腫など、多くの癌の病因に関与している転写因子である(例えば、D.Melisi and P.Chaio、「NF−kB as a target for cancer therapy」Expert Opin.Ther.Targets(2007)11(2):133−144及びMichael Karinら、「THE IKK NF−κB SYSTEM:A TREASURE TROVE FOR DRUG DEVELOPMENT」Nature Reviews Drug Discovery第3巻2004年17−26を参照されたい)。PP2Aは、例えば、そのRel−Aサブユニットの脱リン酸化によって、NF−κBを負に調節する(J.Yangら、「Protein Phosphatase 2A Interacts with and Directly Dephosphorylates RelA」、第276巻、第51号、12月21日、pp.47828−47833、2001年及びX.Lu and W.Yarbrough、「Negative regulation of RelA phosphorylation:Emerging players and their roles in cancer」Cytokine&Growth Factor Reviews第26巻(2015年)7−13を参照されたい)。
NF−κB機能を抑制又は阻害するために、抗癌剤として、例えば、N−(6−クロロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール−8−イル)ニコチンアミド[PS−1145]、N1−(1,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−イル)エタン−1,2−ジアミン[BMS−345541]、1−((5−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)−3−メチル−1H−ピロール−2,5−ジオン[SPC−839]、N−(6−クロロ−7−メトキシ−9H−ピリド[3,4−b]インドール−8−イル)−2−メチルニコチンアミド[ML120B]、4−アミノ−[2,3’−ビチオフェン]−5−カルボキサミド[SC−514]、(E)−1−(6−(4−クロロフェノキシ)ヘキシル)−2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジン[CHS828(GMX1778)]、及び(Z)−3−(2,4−ジメチル−5−((2−オキソインドリン−3−イリデン)メチル)−1H−ピロール−3−イル)プロパン酸[SU6668]など、いくつかのIKK阻害剤が開発されている(D.Lee and M.Hung、「Advances in Targeting IKK and IKK−Related Kinases for Cancer Therapy」Clin Cancer Res 2008年;14(18)2008年9月15日を参照されたい)。したがって、PP2A活性化化合物とIKK阻害剤との共投与は、抗癌療法としていずれかの剤の有効性を高めることができる。
IKKキナーゼ阻害剤の非限定的例としては、N−(6−クロロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール−8−イル)ニコチンアミド;N1−(1,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−イル)エタン−1,2−ジアミン;1−((5−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)−3−メチル−1H−ピロール−2,5−ジオン;N−(6−クロロ−7−メトキシ−9H−ピリド[3,4−b]インドール−8−イル)−2−メチルニコチンアミド;4−アミノ−[2,3’−ビチオフェン]−5−カルボキサミド;(E)−1−(6−(4−クロロフェノキシ)ヘキシル)−2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジン;及び(Z)−3−(2,4−ジメチル−5−((2−オキソインドリン−3−イリデン)メチル)−1H−ピロール−3−イル)プロパン酸が挙げられる。
他の実施形態では、PP2A活性化剤と組み合わせて投与されるキナーゼ阻害剤は、Src又はJak2キナーゼ阻害剤である。PP2Aは、リン酸化による翻訳後修飾などのいくつかのレベルの調節を受ける(例えば、Maud Martinら、「Recent insights into Protein Phosphatase 2A structure and regulation:the reasons why PP2A is no longer considered as a lazy passive housekeeping enzyme」Biotechnol.Agron.Soc.Environ.2010年14(1)、243−252、及びV Jannsensら、「PP2A holoenzyme assembly:in cauda venenum(the sting is in the tail)」、Trends in Biochemical Sciences第33巻(2008年)第3号、113−121を参照されたい)。したがって、触媒サブユニットのチロシン307上のリン酸化は、ホスファターゼ活性を阻害又は減少させるように機能する。PP2A触媒サブユニットのチロシン307をリン酸化することが公知のキナーゼにはSrc(他はlck及びJak2である)があり、いくつかのSrcキナーゼ阻害剤がそれ自体の権利において抗癌剤として開発されている(例えば、L Kimら、「Src kinases as therapeutic targets for cancer」Nat.Rev.Clin.Oncol.6、587−595(2009年)を参照されたい)。したがって、本明細書に記載のPP2A活性化剤をsrc又はJak2キナーゼ阻害剤と共投与することにより、いずれかの剤の抗癌療法としての有効性が増強される。いくつかの実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤はsrc阻害剤である。Srcキナーゼ阻害剤の非限定的例としては、サルカチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びKX01が挙げられる。特定の実施形態では、Srcキナーゼ阻害剤はダサチニブである。
いくつかの実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤はJak 2阻害剤である。Jak 2阻害剤の非限定的例としては、ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387、レスタウルチニブ、パクリチニブ、及びTG101348が挙げられる。
いくつかの実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤は、オーロラキナーゼ阻害剤である。オーロラキナーゼは、癌の治療標的として同定されている(例えば、Katayama and Sen「Aurora kinase inhibitors as anticancer molecules」Biochimica et Biophysica Acta、1799、829−839(2010年)を参照されたい)。セリン/トレオニンキナーゼのオーロラキナーゼファミリーは、ヒト癌において多くの場合過剰発現され、癌細胞における染色体不安定性の発現などの発癌形質転換に関与している有糸分裂の重要な調節因子である。さらに、PP2Aはオーロラキナーゼを負に調節することが示されている(例えば、Hornら「Functional Interaction of Aurora−A and PP2A during Mitosis」Mo.Biol of the Cell、18、1233−1241(2007年)及びSugiyamaら「Aurora−B associated protein phosphatases as negative regulators of kinase activation」Oncogene、21、3103−3111(2002年)を参照されたい)。したがって、本明細書に記載のPP2A活性化剤をオーロラキナーゼ阻害剤と共投与することにより、いずれかの剤の抗癌療法としての有効性が増強される。本明細書に記載の方法で使用するためのオーロラキナーゼ阻害剤としては、オーロラA、B及び/又はCプロテインキナーゼ阻害剤を挙げることができる。オーロラキナーゼ阻害剤の非限定的例としては、ZM447439、VX−680(MK−0457)、ヘスペラジン、PHA−680632、PHA−739358、化合物677、JNJ−7706621、MLN8054、MLN8237、AZD1152、AS703569、PF−03814735、及びSNS−314が挙げられる。
更に他の実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤は、Chk1キナーゼ阻害剤であってもよい。PP2Aは、CIP2Aなどの内因性阻害タンパク質と相互作用し得る。CIP2Aなどの阻害タンパク質の発現が減少することにより、PP2A活性を促進する。Chk1キナーゼ阻害剤は、それ自体が抗癌剤として報告されており、更にChk1キナーゼ阻害は、CIP2A発現を減少させ、PP2A活性を促進することが示されている(A.Khannaら「Chk1 Targeting Reactivates PP2A Tumor Suppressor Activity in Cancer Cells」Cancer Res;73(22)2013年11月15日を参照されたい)。したがって、上記のPP2A活性化剤の共投与により、抗癌療法としてのChk1キナーゼ阻害剤の有効性を高めることができる。
Chk1キナーゼ阻害剤の例としては、(S)−5−(3−フルオロフェニル)−N−(ピペリジン−3−イル)−3−ウレイドチオフェン−2−カルボキサミド[AZD−7762]、(S)−1−(5−ブロモ−4−メチル−2−(モルホリン−2−イルメトキシ)フェニル)−3−(5−メチルピラジン−2−イル)尿素[LY2603618(Rabusertib)]、6−ブロモ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(ピペリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン[MK8776(Sch900776)]、(S)−3−(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−6−クロロ−4−(キヌクリジン−3−イルアミノ)キノリン−2(1H)−オン[CHIR−124]、及び(R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド[PF−477736]が挙げられる。
他の実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤は、GSK−3阻害剤であり得る。GSK−3は、その調節不全及び過剰活性化が癌などのいくつかの疾患の病理に関与しているプロテインキナーゼである(例えば、J.McCubreyら、「GSK−3 as potential target for therapeutic intervention in cancer」、Oncotarget、第5巻、第10号、2881−2911(2014年);及びA.Martinezら「Glycogen Synthase Kinase 3(GSK−3)Inhibitors as New Promising Drugs for Diabetes、Neurodegeneration、Cancer、and Inflammation」Medicinal Research Reviews、第22巻、第4号、373−384、2002年を参照されたい)。P.Cohen and M.Goedert、Nature Reviews Drug Discovery、第3巻、479−487(2004年)に報告されているように、GSK3及びそのアイソフォームのいくつかの阻害剤が開発され、これらの状態の治療として提案されている。3−((3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ)−4−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン[SB415286]、3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン[SB216763]、6−((2−((4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)アミノ)ニコチノニトリル[CHIR−99021(CT−99021)]、N2−(2−((4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)−5−ニトロピリジン−2,6−ジアミン[CHIR−98014]、1−(キノリン−4−イル)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)尿素[A1070722(AXON 1909)]、4−ベンジル−2−(ナフタレン−1−イル)−1,2,4−チアジアゾリジン−3,5−ジオン[Tideglusib(NP−12、NP031112)]、及び3−(9−フルオロ−2−(ピペリジン−1−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−ヒ]インドール−7−イル)−4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン[LY2090313]。さらに、GSK−3bは、その触媒サブユニットの阻害性PP2Aチロシン307のリン酸化を間接的に促進することによって、PP2Aを負に調節することが見出されている。したがって、GSK−3bの阻害により、インビトロ及びインビボでPP2Aチロシン307のリン酸化が減少し、このためPP2Aを活性化する。X.Yaoら「Glycogen synthase kinase−3β regulates Tyr 307 phosphorylation of protein phosphatase−2A via protein tyrosine phosphatase 1B but not Src」Biochem.J.(2011年)437、335−344を参照されたい。したがって、PP2A活性化剤とGSK−3阻害剤との共投与により、癌の治療におけるいずれかの化合物の有効性を増加させる。いくつかの実施形態では、GSK−3阻害剤は、3−((3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ)−4−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、6−((2−((4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)アミノ)ニコチノニトリル、N2−(2−((4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)−5−ニトロピリジン−2,6−ジアミン、1−(キノリン−4−イル)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)尿素、4−ベンジル−2−(ナフタレン−1−イル)−1,2,4−チアジアゾリジン−3,5−ジオン、及び3−(9−フルオロ−2−(ピペリジン−1−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−ヒ]インドール−7−イル)−4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオンである。
更に他の実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤は、EGFR阻害剤であり得る。表皮成長因子受容体(EGFR)は、細胞増殖、分化及び生存において重要な役割を果たす成長因子受容体の受容体チロシンキナーゼファミリーの1型サブグループのメンバーである。典型的には、受容体ファミリーメンバー間のヘテロ二量体化又はホモ二量体化となる特異的リガンド結合を介してこれらの受容体の活性化が生じ、続いてチロシンキナーゼドメインの自己リン酸化が生じる。EGFRに結合する特異的リガンドとしては、上皮増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子α(TGFアルファ)、アンフィレグリン、及びいくつかのウイルス増殖因子が挙げられる。EGFRの活性化は、細胞増殖(ras/raf/MAPキナーゼ経路)及び生存(PI3キナーゼ/Akt経路)の両方に関与する細胞内シグナル伝達経路のカスケードを引き起こす。EGFR及びHER2を含むこのファミリーのメンバーは、細胞形質転換に直接関与している。ヒト悪性腫瘍のいくつかは、EGFRの異常若しくは過剰発現及び/又はその特異的リガンドの過剰発現と関連している。Gullick、Br.Med.Bull.(1991年)、47:87−98;Modijtahedi&Dean、Int.J.Oncol.(1994年)、4:277−96;Salomonら、Crit.Rev.Oncol.Hematol.(1995年)、19:183−232。EGFRの異常又は過剰発現は、頭頸部癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌(例えば、NSCLC、腺癌及び扁平上皮肺癌)、卵巣癌、消化管癌(胃癌、大腸癌、膵癌)、腎細胞癌、膀胱癌、神経膠腫、婦人科癌、及び前立腺癌など、いくつかのヒト癌における予後不良と関連がある。場合によっては、腫瘍EGFRの過剰発現は、化学療法耐性及び予後不良の両方と相関している。Leiら、Anti−cancer Res.(1999年)、19:221−28;Vealeら、Br.J.Cancer(1993年);68:162−65。EGFRの突然変異は多くのタイプの癌にも関連している。例えば、EGFR変異は非粘液性BAC患者において非常に一般的である。Finbergら、J.Mol.Diagnostics.(2007年)9(3):320−26。一実施形態では、EGFR阻害剤は、Erbitutux(セツキシマブ、Imclone Systems Inc.)及びABX−EGF(パニツムマブ、Abgenix、Inc.)などの抗体である。別の実施形態では、EGFR阻害剤は、タルセバ(エルロチニブ、OSI Pharmaceuticals)、イレッサ(ゲフィチニブ、Astra−Zeneca)、チルホスチン(Dvirら(J Cell Biol.、113:857−865(1991年))によって記述)などのATPと競合する小分子、米国特許第5,679,683号に開示されている三環式ピリミジン化合物、化合物6−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(4−(2−ジエチルアミノエトキシ)フェニルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド(2,3−d)ピリミジン−7−オン(PD166285として公知)(Panekら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 283、1433−1444(1997年)に開示されている)である。
記載された方法による癌の治療に使用するための追加のプロテインキナーゼ阻害剤としては、小分子のアファチニブ、アパチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セルチニブ(certinib)、クレノラニブ、フォレチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、エベロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、リニファニブ、モトサニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、ラドチニブ、レゴラフェニブ、シロリムス、ソラフェニブ、スニチニブ、トファシチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、フォスタマチニブ、ムブリチニブ、SU6656、モノクローナル抗体ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、トラスツズマブ、及びRNAアプタマーペガプタニブを挙げることができる。
癌治療方法
癌治療方法
本明細書に記載のPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤は、対象における癌を治療する方法において使用することができる。この方法は、治療上有効量の少なくとも1つのPP2A活性化剤を、上記の少なくとも1つのプロテインキナーゼ阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩形態と組み合わせて対象に投与することを含むことができる。
「癌」又は「悪性腫瘍」は同義語として用いられ、細胞の制御されない異常増殖、罹患した細胞の局所的又は血流及びリンパ系を介する身体の他の部分への拡散能力(すなわち、転移する)、並びにいくつかの特徴的な構造的及び/又は分子的特徴のうちのいずれかを特徴とするいくつかの疾患のいずれかを指す。「癌細胞」は、多段階新生物進行の早期、中期又は進行段階を経験する細胞を指す。癌細胞は、「過形成細胞」、すなわち悪性進行の初期段階の細胞、「形成異常細胞」、すなわち新生物進行の中間段階の細胞、及び「新生細胞」、すなわち進行した細胞新生物の進行の段階を含む。
いくつかの実施形態では、癌は、PI3K−AKT−FOXOシグナル伝達経路、MAPKシグナル伝達経路、及び/又はKRASシグナル伝達経路の調節不全を特徴とする。癌は、卵巣癌、膵癌、腎細胞癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、肝細胞癌、神経膠腫、白血病、リンパ腫、大腸癌、及び肉腫からなる群から選択することができる。
より具体的には、本明細書に記載の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌としては、これらに限定されないが、例えば、肉腫(例えば、血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、及び脂肪肉腫)などの心臓癌;粘液腫;横紋筋腫;線維腫;脂肪腫及び奇形腫;例えば、気管支原性癌(例えば、扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、及び腺癌)などの肺癌;肺胞及び細気管支癌;気管支腺腫;肉腫;リンパ腫;軟骨腫性過誤腫;並びに中皮腫;例えば食道癌(例えば、扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、及びリンパ腫)などの消化管癌;胃癌(例えば、癌腫、リンパ腫、及び平滑筋肉腫);膵癌(例えば、膵管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、及びビポーマ);小腸癌(例えば、腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、及び線維腫);大腸癌(例えば、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、及び平滑筋腫);例えば、腎癌などの泌尿生殖器癌(例えば、腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫、及び白血病);膀胱及び尿道癌(例えば扁平上皮細胞癌、移行上皮癌及び腺癌);前立腺癌(例えば、腺癌及び肉腫);精巣癌(例えば、セミノーマ、奇形腫、胎生癌、奇形癌腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、及び脂肪腫);例えば、肝細胞腫などの肝癌(例えば、肝細胞癌);胆管癌;肝芽細胞腫;血管肉腫;肝細胞腺腫;並びに血管腫;骨癌(例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫など);例えば、頭蓋癌を含む神経系癌(例えば、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、及び変形性骨炎);髄膜癌(例えば、髄膜腫、髄膜性肉腫、及び神経膠腫症);脳癌(例えば、星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体)、多形神経膠芽細胞腫、乏突起膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽腫、及び先天性腫瘍);並びに脊髄癌(例えば、神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、及び肉腫);例えば、子宮癌などの婦人科癌(例えば、子宮内膜癌);子宮頸部癌(例えば子宮頸部癌、及び前腫瘍の子宮頸部異形成);卵巣癌(例えば、漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜莢膜細胞腫、セルトリライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫及び悪性奇形腫などの卵巣癌);外陰部癌(例えば、扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、及び黒色腫);膣癌(例えば、透明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、及び胎児性横紋筋肉腫);並びに卵管癌(例えば、癌腫);例えば、血液の癌などの血液癌(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、及び骨髄異形成症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)、並びにワルデンストレームマクログロブリン血症);皮膚癌(例えば、悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異型性母斑(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬など);並びに例えば、神経芽腫などの副腎腺癌などが挙げられる。
癌は、転移性であっても又は転移性でなくてもよい固形腫瘍であってもよい。癌は、白血病の場合のように、びまん性の組織としても生じ得る。特定の実施形態では、癌は、白血病、前立腺癌、子宮内膜癌、及び非小細胞肺癌から選択することができる。
本明細書に記載の方法から潜在的に恩恵を受ける対象としては、ヒト、非ヒト霊長類、及び非霊長類哺乳動物などの哺乳類の雌雄の対象が挙げられる。他の哺乳類対象としては、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ)又はペット(例えば、イヌ、ネコ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象としては、脳細胞の望ましくない急速な細胞増殖を特徴とする障害を有する任意のヒト又は動物対象を挙げることができる。こうした障害としては、これらに限定されないが、癌及び前癌細胞(例えば、上に記載したものなど)が挙げられる。予防方法では、対象としては任意のヒト又は動物対象を挙げることができ、好ましくは、癌などの望ましくない急速な細胞増殖を特徴とする障害を得る危険があるヒト対象である。対象は、発癌性物質に暴露され、望ましくない急速な細胞増殖などを特徴とする障害に遺伝的に罹患しやすいために危険にさらされる可能性がある。
ある実施形態では、治療前に、患者は、特定の癌を有するか、又は特定の癌の危険性があるために選択される。癌の存在は、臨床医によく知られた手段によって判定することができる。癌の初期評価は、患者が提示した症状に基づく。更に、これらに限定されないが、PETスキャン、CATスキャン、生検、及びバイオマーカー評価などのフォローアップ診断手順がある。
投与及び処方治療剤
投与及び処方治療剤
PP2A活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、又はPP2A活性化剤とプロテインキナーゼ阻害剤との組み合わせ、又はそれらの薬学的に許容される塩形態、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む、癌の治療のための医薬組成物もまた本明細書に提供される。
本明細書に記載の治療用化合物を未処理の化学物質として投与することは可能である可能性があるが、これらを医薬組成物として提示することが好ましい。本明細書に記載の医薬組成物は、PP2A活性化剤及び/又はプロテインキナーゼ阻害剤を、これらの1種以上の薬学的に許容される担体及び任意で1種以上の他の治療成分と一緒に含むことができる。担体(複数可)は、製剤の他の成分と混合可能であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。
製剤には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、及び関節内など)、直腸及び局所(皮膚、頬、舌下、及び眼内など)投与に適したものを含む。最も適切な経路は、レシピエントの状態及び障害に依存し得る。製剤は、単位剤形で提供するのが好都合であり得、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。全ての方法は、1種以上の副成分を構成する担体と、上記の1種以上の治療用化合物又はその薬学的に許容可能な塩(「有効成分」)を会合させるステップを含む。一般に、製剤は、1種以上の活性成分を液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要に応じて生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
したがって、ある実施形態では、PP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて生成物を所望の製剤に成形することによって製剤を調製し、これにより、本明細書に記載の方法において使用するためのPP2A活性化剤とキナーゼ阻害剤の共製剤が得られる。
経口投与に使用可能な製剤は、予め定められた量の活性成分をそれぞれ含むカプセル、カシェ剤、若しくは錠剤などの別個の単位として提供することができ、粉末又は顆粒として、水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型液体エマルジョン若しくは油中水型液体エマルションとして提供し得る。活性成分はまた、ボーラス、舐剤又はペーストとして提供されてもよい。
錠剤は、任意で1種以上の補助成分と共に、圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、粉剤又は顆粒などの自由流動性形態の活性成分を、任意で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑剤、界面活性剤、又は分散剤と混合して適切な機械で圧縮することによって調製されてもよい。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、任意でコーティング又は分割されてもよく、その中の有効成分の持続放出、遅延放出、又は制御放出をもたらすように製剤化されてもよい。
非経口投与のための製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射液が挙げられる。非経口投与のための製剤としてはまた、懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、例えば密閉アンプル及びバイアルなどの複数用量容器の単位用量で提供することができ、使用直前に滅菌液体担体、例えば生理食塩水、リン酸緩衝食塩水(PBS)などの添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze−dried)(凍結乾燥(lyophilized))状態で保存し得る。即時注射液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
いくつかの実施形態では、上記のPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤は、対象に対して全身投与(すなわち、経腸又は非経口投与)が可能である。経口投与に適した調製物は、有効量の剤又はその薬学的に許容可能な塩を、水、生理食塩水、又はオレンジジュースなどの希釈剤に溶解して調製した溶液、有効量の1種以上の治療剤を固体又は顆粒形態で含むカプセル、サシェ、又は錠剤、有効量の活性成分を適切な分散剤に懸濁させることによって調製された懸濁液、有効量の有効成分の溶液を適切な分散剤に分散乳化させて調製したエマルションなどである。
非経口投与(例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、肺投与など)に適した調製物として、水性及び非水性等張滅菌注射液が利用可能であり、これらには抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、等張化剤などを含んでもよい。懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤などを含んでもよい水性及び非水性滅菌懸濁液も挙げることができる。調製物は、アンプル又はバイアルなどの容器に、単位用量又は数回に分けた用量で含まれてもよい。活性成分及び薬学的に許容される担体はまた、凍結乾燥され、使用直前に適切な滅菌媒体に溶解又は懸濁され得る状態で保存され得る。液体注射に加えて、吸入剤及び軟膏も許容可能である。吸入剤の場合、凍結乾燥状態の有効成分を微小化し、適切な吸入装置を用いて吸入投与する。吸入剤は、必要に応じて、従来使用されている界面活性剤、油脂、調味料、シクロデキストリン又はその誘導体などと適宜配合することができる。いくつかの実施形態では、PP2A活性化剤及び/又はプロテインキナーゼ阻害剤は、徐放性調製物及び装置に組み込むことができる。
対象に投与されるPP2A活性化剤及び/又はプロテインキナーゼ阻害剤の用量は、活性成分(複数可)の種類及び活性、疾患の重症度、投与対象である動物種、投与対象の薬物耐性、体重、年齢などに依存して異なることもあり、成人の1日あたりの活性成分の量に基づく通常の用量は、約0.0001〜約100mg/kg、例えば、約0.0001〜約10mg/kg、好ましくは約0.005〜約1mg/kgであり得る。特定の実施形態では、用量は約10mg/kgであり得る。1日の用量は、例えば毎日個々に1〜4回投与する典型的なレジメンで投与することができる。他の好ましい投与方法としては、体重1kgあたり約0.01mg〜約100mgの関節内投与が挙げられる。有効量に達する際の種々の考察は、例えば、Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press、1990年;及びRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1990年に記述されている。
別の実施形態では、この方法を追加の治療と組み合わせて実施することが想定される。追加の治療としては、従来の化学療法、放射線療法、又は固形腫瘍に向けた手術、及び転移の確立を制御するための療法を挙げることができる。例えば、本明細書に記載されているPP2A活性化剤とプロテインキナーゼ阻害剤との組み合わせの治療上有効な量の投与は、化学療法、放射線療法、又は外科手術の前、間、又は後に行うことができる。
「併用療法」という語句は、PP2A活性化剤とプロテインキナーゼ阻害剤との組み合わせの投与、及び/又はこれらの治療剤の共作用から有益な効果を提供することを意図した特定の治療レジメンの一部としての更なる追加の療法を包含する。これらの治療剤の併用投与は、典型的には、所定の時間(通常、選択された組み合わせに応じて数分、数時間、数日又は数週間)にわたって実施される。「併用療法」は、これらの治療剤の投与を順次、すなわち、各治療剤が異なる時間に投与すること、並びに、これらの治療剤の投与、又は少なくとも2種の治療剤(すなわちPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤)を実質的に同時の様式で投与することを含むことを意図している。実質的に同時投与は、例えば、対象に、PP2A活性化剤とキナーゼ阻害剤との共製剤(各治療剤の固定比率を有する)を含む単一のカプセルを投与することによって、又は、治療剤の各々の単一カプセルで複数投与することによって達成し得る。これらに限定されないが経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を介する直接吸収など、任意の適切な経路によって、各治療剤の連続的投与又は実質的に同時投与を行うことができる。治療剤は、同じ経路又は異なる経路によって投与することができる。例えば、選択された組み合わせの第1の治療剤は、静脈内注射によって投与され得、その組み合わせの他の治療剤は、経口投与され得る。あるいは、例えば、全ての治療剤を経口投与するか、又は全ての治療剤を静脈内注射によって投与してもよい。狭義には、治療剤が投与される順序は重要ではない。「併用療法」はまた、他の生物学的に活性な成分(例えば、これらに限定されるものではないが、第3の異なる治療剤)及び非薬物療法(例えば、これらに限定されるものではないが、手術又は放射線治療)と更に組み合わせて上記の治療剤を投与することを包含し得る。併用療法が放射線治療を更に含む場合、治療剤の組み合わせと放射線治療の相互作用により有益な効果が達成される限り、放射線治療は、任意の適切な時間に行われてもよい。例えば、適切な場合には、放射線治療が治療薬の投与から一時的に、おそらく数日又は数週間外される場合、有益な効果が依然として達成される。
したがって、有効量のPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤、又はそれらの薬学的に許容される塩形態を対象に投与することを含む癌を治療する方法が更に提供され、この方法では、治療有効量の1種以上の追加の癌化学療法剤が患者に投与される。いくつかの実施形態では、PP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤又はそれらの薬学的に許容される塩形態を投与することにより、1種以上の化学療法剤に対する耐性が発現した患者において、1種以上の化学療法剤に対する感受性を回復させることができる。
追加の癌化学療法剤療法の目的のために、商業的使用、臨床評価、及び前臨床開発において利用可能な多数の抗新生物剤が存在し、これは癌又は細胞の急速な増殖を特徴とする他の障害の併用薬物化学療法による治療のために選択することができる。こうした抗新生物剤は、いくつかの主要カテゴリー、すなわち、抗生物質系剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン系剤、及びその他の剤のカテゴリーに分類される。併用療法において使用され得る適切な剤は、当業者によって認識されるであろう。
例示的化学療法剤としては、アルキル化系抗増殖剤を挙げることができる。アルキル化剤は、グアニン及びおそらくDNA中の他の塩基をアルキル化し、かつ架橋し、細胞分裂を阻止することによって作用すると考えられている。典型的なアルキル化剤としては、窒素マスタード、エチレンイミン化合物、アルキル硫酸塩、シスプラチン、及び種々のニトロソ尿素が挙げられる。これらの化合物の欠点は、これらが悪性細胞を攻撃するだけでなく、骨髄、皮膚、胃腸粘膜、及び胎児組織など、自然に分裂している他の細胞も攻撃することである。本発明で使用され得るアルキル化系抗増殖剤の例としては、これらに限定されないが、シオノギ254−S、アルド−ホスファミド類似体、アルトレタミン、アナキシロン、ベーリンガーマンハイムBBR−2207、ベストラブシル、ブドチタン、ワクナガCA−102、カルボプラチン、カルムスチン(BiCNU)、キノイン−139、キノイン−153、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、アメリカンシアナミドCL−286558、サノフィCY−233、サイプラテート(cyplatate)、ダカルバジン、デグッサD−19−384、Sumimoto DACHP(Myr)2、ジフェニルスピロスムチン、二白金細胞増殖抑制剤、Erbaジスタマイシン誘導体、Chugai DWA−2114R、ITI E09、エルムスチン、Erbamont FCE−24517、リン酸エストラムスチンナトリウム、リン酸エトポシド、フォテムスチン、Unimed G−6−M、キノインGYKI−17230、ヘプスルファム、イホスファミド、イプロプラチン、ロムスチン、マホスファミド、ミトラクトール、ミコフェノレート、Nippon Kayaku NK−121、NCI NSC−264395、NCI NSC−342215、オキサリプラチン、Upjohn PCNU、プレドニムスチン、Proter PTT−119、ラニムスチン、セムスチン、SmithKline SK&F−101772、チオテパ、Yakult Honsha SN−22、スピロムスチン、Tanbe Seiyaku TA−077、タウロムスチン、テモゾロミド、テロキシロン、テトラプラチン、及びトリメラモールが挙げられる。
いくつかの実施形態では、放射線療法のための当業者に公知の放射線防護剤は、対象における癌の治療のためのPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与され得る。放射線療法には、電離放射線、特に一般的に使用される線形加速器又は放射性核種によって照射されるガンマ線が含まれ得る。放射性核種による放射線療法は、外部又は内部で達成し得る。放射線治療としては、近接照射療法、放射性核種療法、外部ビーム放射線療法、温熱療法(冷凍アブレーション温熱療法)、放射線手術、荷電粒子放射線療法、中性子放射線療法、及び光線力学的療法などを挙げることができる。
線形加速器を用いて患部にX線や電子線を照射することにより、放射線治療を実施することができる。X線条件は、腫瘍の進行の程度及びその大きさなどによって異なるが、通常の線量は、週2〜5回、好ましくは週4〜5回、1週間〜5週間の期間にわたって、1.5〜3Gy、好ましくは約2Gyであり、総線量20〜70Gy、好ましくは40〜70Gy、より好ましくは50〜60Gyである。電子線条件は、腫瘍の進行の程度及びその大きさなどによっても異なるが、通常の線量は、週1〜5回、好ましくは週2〜3回、1週間〜5週間の期間にわたって、2〜5Gy、好ましくは約4Gyであり、総線量30〜70Gy、好ましくは40〜60Gyである。
本明細書に記載の治療は、臨床シナリオ及び所望の結果に応じて、ホルモン療法、プロトン療法、凍結手術、及び高強度集束超音波(HIFU)などの治療と組み合わせることもできる。
本発明を以下の実施例により説明する。特定の実施例、材料、量、及び手順は、本明細書に記載された本発明の範囲及び趣旨に従って広く解釈されるべきであることを理解されたい。
実施例
実施例1
実施例
実施例1
プロテインホスファターゼ2A(PP2A)は、機能の欠損により癌の発達及び進行を媒介するヘテロ三量体セリン/トレオニンホスファターゼである。PP2Aは、白血病、前立腺癌、及び非小細胞肺癌など、広範囲の悪性腫瘍に関与するいくつかの発癌タンパク質(図1)の脱リン酸化を介してその腫瘍抑制特性を発揮する。しかし、そのホスファターゼ活性は、突然変異、そのサブユニットの発現の減少、及び内在性PP2A阻害剤のアップレギュレーションを介して、無数の癌において多くの場合阻害される。SETタンパク質などの阻害剤によって媒介されるPP2A不活性化の背景にあるメカニズムは詳細に記述されていないが、SRCなどの多くの発癌性キナーゼはチロシン307(Y307)での触媒サブユニットのリン酸化を介してPP2Aヘテロ三量体形成を阻害することが示されている。Y307は、複合体のC末端尾部上の主要の阻害性リン酸化部位であり、この部位の構成的にリン酸化された突然変異体は、PP2A A−C二量体へのBサブユニットの結合及びその結果としての基質脱リン酸化を有意に阻害することが示されている。
逆に、リン酸化欠損突然変異体により、ヘテロ三量体形成及びホスファターゼ活性化が増加していることが示され、これは、このチロシン部位でリン酸化が減少することにより、PP2Aが活性化され、その腫瘍抑制特性を増強する可能性がある標的であり得ることを示唆している。これらの知見は、組み合わせて、薬理学的アプローチによりY307にて阻害性リン酸化を減少させることによってPP2Aを最大限に活性化する新規方法を特定することは、PP2Aが不活性である癌細胞において、アポトーシスを誘発するための新規メカニズムとして機能し得ることを示唆している。
本発明者らは、PP2A触媒サブユニット上の主要な阻害部位の脱リン酸化を防止し得る医薬的に扱いやすい最高クラスのPP2A活性化剤シリーズを開発した。本実施例では、このY307残基をFDA承認SRC阻害剤との新規の薬理学的併用療法で最大限に脱リン酸化することにより、PP2Aをますます活性化することができ、その結果、生物学的相乗作用をもたらすことについて初めて記述する。
本発明者らは、PP2Aが不活性化される癌の治療においてこのアプローチが幅広い意味を持ち、有望な一連の小分子活性化剤を臨床での活性の増加に導くことができると考えている。
本発明者らはまた、親薬物の抗増殖特性を保持するが、好ましくない中枢神経系薬効薬理を含まない三環式神経弛緩剤の新規誘導体シリーズを開発した。TRCシリーズ(以下の化合物1及び化合物2)のこれらの再設計された三環式化合物は、細胞株及び異種移植モデルにおいて抗癌剤として研究されており、これらの親化合物と同様に、PP2Aの活性化によって生物学的効果をもたらす。このため、本発明者らは新規の剤をPP2Aの小分子活性化剤(SMAP)と呼んでいる。これらのSMAPは、複数のインビボモデルにおける単独療法として有望であることが示されているが、PP2Aを調節する十分に研究された分子機構に基づいて組み合わせを利用することにより、臨床適用性が広がり、潜在的に本シリーズ外の抗癌活性が増大する可能性がある。これらの研究で同定された新規組み合わせにより、本発明者らは様々な癌モデルにおいてPP2Aを最大限に活性化させ、その抗癌効果を増強するための新しい薬理学的アプローチを実証したと考えている。
化合物1は、PP2A A−C二量体において有意なコンフォメーション変化を誘導し、Y307を阻害性リン酸化から保護する。
SMAPによって誘導されるPP2Aのコンフォメーション変化を解明するために、本発明者らは、PP2Aなどの複合体の構造変化を探るための新規アプローチである放射性分解MSフットプリント解析を用いて構造質量分析を行った。これらの実験では、ヒドロキシルラジカルがX線ビームによって生成され、溶媒暴露されたアミノ酸側鎖を酸化的修飾する。溶媒に接近できないタンパク質の領域は、これらの修飾を受けることなく、保護領域とみなすことができる。PP2A A−C二量体単独と比較して、化合物1を添加することにより、A及びCサブユニットの両方における溶媒暴露の有意な変化を誘導し、コンフォメーション変化を示した(図2)。注目すべきことに、触媒サブユニットのC末端尾部は、対照と比較して、化合物1処理の存在下で溶媒の接近可能性が12倍低下したことを示した(表1)。このタンパク質のC末端尾部には、リン酸化された場合にヘテロ三量体の形成を妨げるPP2A上の主要な阻害性リン酸化部位であるY307が含まれ、化合物1がこのホスファターゼを酵素的に活性化する機構として阻害性リン酸化からこの部位を保護していることを示唆する。
表1:化合物1処理に4倍超の保護因子を有する触媒サブユニット上のペプチド配列。ハイライトしたペプチドは、ベースラインで高度に溶媒暴露されるC末端尾部を示すが、化合物1を二量体に添加した場合、暴露は12倍少なく、SMAP処理が、ホスファターゼ活性化を媒介する潜在的手段としてCサブユニットのこの領域を保護していることを示している。
化合物1媒介Y307の脱リン酸化が、標的結合及びインビトロ活性より前に行われることはない。
化合物1媒介Y307の脱リン酸化が、標的結合及びインビトロ活性より前に行われることはない。
SMAP媒介ホスファターゼ活性化の状況におけるY307脱リン酸化の動態を評価するためにc−Myc駆動T−ALL細胞株MOLT4において様々な時点で化合物1の用量を増加させて経時的経過研究を行った。PP2Aは、プロテオソーム媒介分解のプライミング事象としてセリン62での脱リン酸化を介してc−Myc癌原遺伝子を脱リン酸化するために十分に確立されており、研究室での以前の研究により、c−Mycによる疾患のインビトロモデルにおいて、化合物1がc−Mycタンパク質分解を媒介することが確認されている。
しかし、ウエスタンブロット分析では、c−Mycの脱リン酸化及びその後の分解並びにこの細胞株におけるParpの切断によって示される生物学的効果がY307脱リン酸化に先行することを示している(図3)。これらの結果は、このチロシン部位の調節が、化合物1によって誘導されるPP2Aの初期活性化には必要ではなく、より長期の時点でホスファターゼ活性及び基質脱リン酸化を保持するために必要であり得ることを示唆する。
化合物1は、SRCキナーゼ阻害剤と組み合わせた場合、生物学的活性及び標的結合が増加することを示す。
化合物1は、SRCキナーゼ阻害剤と組み合わせた場合、生物学的活性及び標的結合が増加することを示す。
本発明者らは、PP2Aを活性化させる新規機構としてY307脱リン酸化について記述している多くのこれまでの報告、及びにY307脱リン酸化がインビトロにおいてPP2Aの活性化に先行しないことを示唆するデータに基づいて、本発明者らは、組み合わせアプローチを用いてこのチロシン部位を最大に脱リン酸化することにより、化合物1により誘発されたアポトーシスを増強させ得ると仮定した。癌原遺伝子SRCはPP2Aを不活性化する手段としてこの部位をリン酸化することが確認されているため、化合物1とグリベック耐性CMLを治療するために現在FDA承認されているSRCキナーゼ阻害剤であるダサチニブとを組み合わせた。これらの組み合わせアプローチは、MOLT4 T−ALL及びA549 NSCLC細胞におけるSMAP誘導アポトーシスを有意に増強し、治療用量以下の化合物1を治療的に活性化させ、すでに有効な用量の活性を増加させた(図4A、B)。特に、ダサチニブを添加することにより、SMAPと組み合わせた場合、Y307脱リン酸化の有意な減少を誘導し、これらの細胞株の分子ドライバのホスファターゼ活性化及び脱リン酸化が増加した(図4C、D)。さらに、並行して両方の薬物の用量を漸増することにより、化合物2のGI50濃度をほぼ2倍減少させた(図4E)。まとめると、これらの結果は、ダサチニブとSMAPとの組み合わせにより、Y307を相乗的に脱リン酸化させ得、より強くPP2Aを活性化でき、かつこれにより複数の癌インビトロモデルにおいて生物学的活性の増加を誘導し得ることを示唆している。
実施例2
方法
リン酸化プロテオミクス試料の調製
実施例2
方法
リン酸化プロテオミクス試料の調製
H358細胞(ATCC)を、10%FBS及び0.5%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地を用いて37℃及び5%CO2で培養した。条件により、2000万個の細胞を適切な試薬で処理し、記載された時点で採取した。以下の用量を用いる:DT−061 17.5μM、AZD6244 1μM、及びMK2206 0.25μM。次いで、細胞ペレットを短期間、−80℃で保存した。タンパク質を抽出するために、氷上及びプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤の存在下において2%SDS緩衝液中で細胞をパルス超音波処理した。次いで、システインアミノ酸残基を還元し、アルキル化した。次いで、1試料あたり800μgのタンパク質を37℃で一晩Lys−C及びトリプシンで消化した。その後、二酸化チタンカラムを用いてホスホペプチド富化を行った。
リン酸化プロテオミクスのデータ処理
リン酸化プロテオミクスのデータ処理
リン酸富化されたペプチドは、nanoAcquity(商標)超高圧液体クロマトグラフィーシステム(Waters、MA)を備えたLTQ−Orbitrap Velos質量分析計(Thermo Scientific、CA)を用いてLC−MS/MSによって分析した。ペプチドの分離及び検出は、コア標準法を用いて行った。x−calibur(Thermo Scientific、2.2 SP1)を用いてLC−MS/MS生データを取得した。Rosetta Elucidator(商標)及びMascotプログラムによって、LC−MS/MSの生ファイルをインポートして、分析し、ペプチドの配列決定を行い、親タンパク質を同定した。
キナーゼ基質富化分析(KSEA)
キナーゼ基質富化分析(KSEA)
Rプログラミング言語を使用して、データ及びヒートマップを作成した。KSEAアプローチ(Casadoら、Sci Signal.、2013年)は、同定された基質の集団的リン酸化状態を評価することによりキナーゼの相対活性産出を推定する。キナーゼ−基質の関係は、PhosphoSitePlusデータベースから決定した。各キナーゼに関して、記録されたキナーゼのリン酸部位の基質についてはいずれも、リン酸化プロテオミクスデータセットを検索した。次いで、同定されたそれぞれのヒットについてのfold change(FC)は、ペプチド強度中央値をDMSOで除算し、治療によるペプチド強度の中央値を求めることによって計算した。次いで、この比をlog変換した。次いで、キナーゼあたりの富化スコアを計算するために、全てのlog変換したFCを平均化し、データセット中の全てのリン酸部位の平均logFCの絶対値で除算した。その結果、陽性(陰性)値は、治療時に産出が増加(減少)しているキナーゼを表す。次いで、このスコアは、重み付けzスコアに変換することによって標準化した。そこから、このスコアの統計的富化は、実際のzスコアよりも高いスコアを有する確率を決定することによって評価された。全ての結果をヒートマップにまとめ、視覚化を容易にした。活性の産生の減少又は活性の産生の増加について、各キナーゼスコアを色分けした。
異種移植研究
異種移植研究
H441の500万個の細胞及びH358の1000万個の細胞を、雄のBALB/c nu/nuマウス(6−8週齢)の右脇腹に注射した。腫瘍体積は、キャリパー測定によって評価した。腫瘍が約200mm3に達すると、マウスを治療群に無作為化し、研究を開始した。以下は、条件に応じた用量である:PP2A活性化剤5mg/kg、DT−061、(BID)、AZD6244 25mg/kg(BID)、ダサチニブ25mg/kg(QD)、AZD6244 24mg/kgとMK2206 6mg/kgとの組み合せ(BID)、DT−061 5mg/kgとAZD6244 25mg/kgとの組み合わせ(BID)、及びDT−061 5mg/kg(BID)とダサチニブ25mg/kg(QD)との組み合せ。マウスの腫瘍体積を1日おきに測定し、体重を週に1回記録した。次いで、研究の最後に、マウスを犠牲にした。血液、肝臓、及び腫瘍試料を採取し、薬力学及び薬物動態分析のために処理した。
結果
結果
図5は、合理的な抗癌剤の組み合わせを設計するためにPP2A活性化によって誘導される時間的シグナル伝達の進化を利用するための、リン酸化プロテオミクス及びバイオインフォマティクスのワークフローの概要を例解する。各キナーゼの産生は、同定された基質の集合的なリン酸化状態からのものであった。
図7は、時間経過によるリン酸化プロテオミクスのKSEAヒートマップ結果を示す図であり、図6の標準的なMAPK経路に関連するキナーゼのみを示す。KSEAは、既知の基質のリン酸化状態における集合的なfold changeの変動に基づいて、キナーゼ活性の産生を推定する。青色(赤色)の色は、同じ時点でのDMSOと比較して、所与の条件下で活性の産生が減少した(増加した)キナーゼを表す。注:EGFR及びMEK2は検出された4つ未満の基質を有した。RASは、記録されたリン酸化基質を有さず、灰色に着色されている。アスタリスクは、複数の仮説検定のために調整された基準P<0.05を満たすキナーゼスコアを示す。DT−061によるERK産生の抑制が制限されることにより、MEK阻害剤との併用療法が抗腫瘍効果を高め得ることを示唆している。
図8は、NCRヌードマウスにおけるH358異種移植片のウォーターフォールプロットを例解した図であり、種々の治療における試験の開始と終了との腫瘍体積(mm3)の差異を示している。各棒グラフは個々の腫瘍を表す。AZD6244+DT−061による治療は、垂直方向の経路の阻害の組み合わせをモデル化している。
図9は、標準MAPK経路とは別個に作動するキナーゼであるSRCの産生のみを示す時間経過によるリン酸化プロテオミクスのKSEAヒートマップ結果を例解した図である。注釈は図7と同じである。DT−061によるSRC産生の変化が最小であることは、SRC阻害剤との併用療法が抗腫瘍効果を増強し得ることを示唆している。
図10は、異なる治療間でのH358異種移植片の腫瘍体積差のウォーターフォールプロットである。図8と同じプロットパラメータが適用される。SRC阻害剤であるダサチニブ及びDT−061による治療は、水平方向の経路の阻害の組み合わせをモデル化している。
図11は、異なる治療間でのH441異種移植片の腫瘍体積差のウォーターフォールプロットである。AZD6244+DT−061による治療は、垂直方向の経路の阻害の組み合わせをモデル化している。
図12は、異なる治療間でのH441異種移植片の腫瘍体積差のウォーターフォールプロットである。AZD6244+DT−061による治療は、垂直方向の経路の阻害の組み合わせをモデル化している。図11と同じプロットパラメータが適用される。SRC阻害剤であるダサチニブ及びDT−061による治療は、水平方向の経路の阻害の組み合わせをモデル化している。
全ての特許、特許出願、及び刊行物、及び本明細書に引用された電子的に入手可能な資料の完全な開示は、参考として援用される。前述の詳細な説明及び実施例は、理解を明確にするためにのみ示したものである。そこから不必要な制限が理解されるべきではない。本発明は、図示され説明された正確な詳細に限定するものではなく、当業者に自明の変化形態が特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれる。
Claims (24)
- それを必要とする対象において癌を治療するための方法であって、前記対象に治療有効量のPP2A活性化剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を投与することを含む方法。
- 前記対象に前記PP2A活性化剤と前記プロテインキナーゼ阻害剤との共製剤を含む医薬組成物を投与する、請求項1に記載の方法。
- 前記共製剤は、固定比率の前記PP2A活性化剤及び前記プロテインキナーゼ阻害剤を含む、請求項2に記載の方法。
- 前記癌が、PP2Aが低下した活性を有する癌細胞によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
- 前記癌が、白血病、前立腺癌、子宮内膜癌、及び非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記PP2A活性化剤が小分子である、請求項1に記載の方法。
- 前記PP2A活性化剤が三環式神経弛緩化合物又はその誘導体である、請求項6に記載の方法。
- 前記PP2A活性化剤が、GPCR又はモノアミントランスポーター薬効薬理を有さない三環式神経弛緩化合物である、請求項1に記載の方法。
- プロテインキナーゼ阻害剤の前記量が、前記PP2A活性化剤の非存在下で投与される場合、治療量以下である、請求項1に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、MEK−1阻害剤、EGFR阻害剤、Her−2キナーゼ阻害剤、Src阻害剤、IKK阻害剤、Jak2阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、CHK1阻害剤、及びGSK−3阻害剤から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、トラメチニブ、セルメチニブ、及びコビメチニブからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、及びイコチニブから選択されるEGFR阻害剤である、請求項10に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、サルカチニブ、ダサチニブ、及びボスチニブからなる群から選択されるSrc阻害剤である、請求項10に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、N−(6−クロロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール−8−イル)ニコチンアミド;N1−(1,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−イル)エタン−1,2−ジアミン;1−((5−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)−3−メチル−1H−ピロール−2,5−ジオン;N−(6−クロロ−7−メトキシ−9H−ピリド[3,4−b]インドール−8−イル)−2−メチルニコチンアミド;4−アミノ−[2,3’−ビチオフェン]−5−カルボキサミド;(E)−1−(6−(4−クロロフェノキシ)ヘキシル)−2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジン;及び(Z)−3−(2,4−ジメチル−5−((2−オキソインドリン−3−イリデン)メチル)−1H−ピロール−3−イル)プロパン酸からなる群から選択されるIKK阻害剤である、請求項10に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、Jak2阻害剤ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387、レスタウルチニブ、パクリチニブ、及びTG101348である、請求項10に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、ZM447439、VX−680(MK−0457)、ヘスペラジン、PHA−680632、PHA−739358、化合物677、JNJ−7706621、MLN8054、MLN8237、AZD1152、AS703569、PF−03814735、及びSNS−314からなる群から選択されるオーロラキナーゼ阻害剤である、請求項10に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、(S)−5−(3−フルオロフェニル)−N−(ピペリジン−3−イル)−3−ウレイドチオフェン−2−カルボキサミド、(S)−1−(5−ブロモ−4−メチル−2−(モルホリン−2−イルメトキシ)フェニル)−3−(5−メチルピラジン−2−イル)尿素(ラブセルチブ)、6−ブロモ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(ピペリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、(S)−3−(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−6−クロロ−4−(キヌクリジン−3−イルアミノ)キノリン−2(1H)−オン、及び(R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドからなる群から選択されるCHK1阻害剤である、請求項10に記載の方法。
- 前記プロテインキナーゼ阻害剤は、3−((3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ)−4−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、6−((2−((4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)アミノ)ニコチノニトリル、N2−(2−((4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)−5−ニトロピリジン−2,6−ジアミン、1−(キノリン−4−イル)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)尿素、4−ベンジル−2−(ナフタレン−1−イル)−1,2,4−チアジアゾリジン−3,5−ジオン、及び3−(9−フルオロ−2−(ピペリジン−1−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−ヒ]インドール−7−イル)−4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオンからなる群から選択される、GSK−3阻害剤である、請求項10に記載の方法。
- 前記PP2A活性化剤は、式(I)の化合物を含み:
Bは、−S−、−(CH2−CH2)−及び−CH=CH−からなる群から選択され、
Aは、N及びCHから選択され、
nは、0、1又は2であり、
X1は、−H、−F、−Cl、−CF3及び−CNから選択され、
X2は、−H、−F、−Cl、−CF3、及び−CNから選択され、かつ
Yは、−H、−F、−Cl、−(C1〜C3)ハロアルキル、−(C1〜C3)ハロアルコキシ、−(C1〜C3)アルコキシ、−C(=O)(C1〜C3)アルキル、−C(=O)H、−(C1〜C3)ヒドロキシアルキル、−(C1〜C3)ハロアルキルチオ、−N3、及び−CNからそれぞれ独立して選択される1又は2個の置換基を表す、請求項1に記載の方法。 - 前記PP2A活性化剤は、式(IV)の化合物であって、
Bは、直接結合、−O−、−(CH2−O)−、−(O−CH2)−、−C(=O)N(CH3)−、及び−N(CH3)C(=O)−からなる群から選択され、
Aは、N及びCHから選択され、
Tは、ベンゼン環、若しくは5又は6員複素芳香環であり、
Uは、ベンゼン環、若しくは5又は6員複素芳香環であり、
nは、0、1又は2であり、
R1、R2、R3及びR4は、H、OH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C1〜C3)アルキルアミノ、(C1〜C3)ジアルキルアミノ、(C1〜C3)アシルアミノ、(C1〜C3)アルキルスルホニル、(C1〜C3)アルキルチオ、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)ハロアルキル、(C1〜C3)ハロアルコキシ、−CC(=O)O(C1〜C3)アルキル、及び(C1〜C3)アルコキシから独立して選択され、
R5及びR6は、H、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アジド、(C1〜C3)ハロアルキル、(C1〜C3)ハロアルコキシ、及び(C1〜C3)ハロアルキルチオから独立して選択される、化合物を含む、請求項1に記載の方法。 - 前記対象はヒトである、請求項1に記載の方法。
- それを必要とする対象において癌を治療するための方法であって、
前記対象に、PP2A活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、及びそれらの薬学的に許容される担体の共製剤を含む、治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法。
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