この説明は、本発明が実施されてもよいすべての異なる方法、又は本発明に加えることができるすべての特徴の詳細な列記であることが意図されるものではない。例えば、一実施形態に関して示される特徴が他の実施形態に組み込まれてもよく、特定の実施形態に関して示される特徴がその実施形態から削除されてもよい。したがって、本発明は、本発明の一部の実施形態において、本明細書中に記載される任意の特徴又は特徴の組合せが除かれても、又は省かれてもよいことを意図する。さらに、本開示に照らして、本明細書において示されるさまざまな実施形態に対する、本発明から逸脱しない多数の変形及び追加が、当業者には明らかと予想される。したがって、以下の説明は、本発明のいくつかの特定の実施形態を説明することが意図され、そのすべての変更、組合せ及び変形を網羅的に明記することは意図されない。
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において本発明の説明に使用される術語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定する意図はない。
本明細書中で引用されるすべての刊行物、特許出願、特許及びその他の参考文献は、参照文献が提示されている文及び/又は段落に関連する教示のためにそれらの全体が参照によって組み込まれる。本明細書において利用される技術に対する参考文献は、当業者に明らかになると予想されるそうした技術に対する変形又は同等の技術の代替物を含む当該技術分野において一般的に理解されるとおりの技術を言及することが意図される。
文脈が別のことを示さない限り、本明細書に記載されている本発明のさまざまな特徴は、任意の組合せで使用することができることが特に意図される。さらに、本発明はまた、本発明の一部の実施形態において、本明細書中に記載される任意の特徴又は特徴の組合せが除かれても、又は省かれてもよいことを意図する。説明するために、明細書が、組成物が構成成分A、B及びCを含むことを述べている場合、具体的にはA、B若しくはCのいずれか、又はそれらの組合せが、単独で、若しくは任意の組合せで省かれるか、又は放棄されてもよいことが意図される。
本発明の説明及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈が明らかに別のことを示していない限り、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は複数形も含むことが意図される。
本明細書中で使用される場合、「及び/又は」は、1又は2以上の関連する列挙された項目の任意の及びすべての可能な組合せを指し、それらを包含し、加えて、選択的に解釈される場合(「又は」)、組合せを含まない。
量又は期間及び同種のものなどの測定可能な値を言及するときの「約」という用語は、本明細書中で使用される場合、明記された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、又はさらに±0.1%の変動を包含する。
本明細書中で使用される場合、「X〜Yの間」及び「約X〜Yの間」などの語句は、X及びYを含むものと解釈されるべきである。本明細書中で使用される場合、「約X〜Yの間」などの語句は、「約X〜約Yの間」を意味し、「約X〜Y」などの語句は「約X〜約Y」意味する。
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含むこと」という用語は、本明細書中で使用される場合、述べた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成成分、及び/又はそれらの群の存在又は付加を除外しない。
本明細書中で使用される場合、移行語句「本質的に〜からなること」は、請求項の範囲が、請求項において列挙され明記される材料又はステップ及び特許請求される発明の基本的な新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものを包含すると解釈されるべきであることを意味する。したがって、「本質的に〜からなること」という用語は、本発明の請求項において使用される場合、「含むこと」と等しいと解釈されることは意図しない。
本発明は、タバコ中のTSNAの低減、より特には、NNKの低減を対象とする。ニコチンの化学的安定性を考えれば、ニコチン自体とは対照的に、1又は2以上のニコチンの酸化誘導体がNNKの直接のアルカロイド前駆体である可能性が高い。いくつかの既知の酸化ニコチン誘導体のうち、化合物PONがNNKに対する前駆体として働く可能性が最も高いものであり、これは、NNKと同一の構造を有するが、その第2級窒素に一酸化窒素基(ニトロソ化時に付加される単位)がない(図1)。PONが物理的にNNKに対する前駆体として働くことができることを議論することはほとんどないと予想されるが、PONはタバコ抽出物中に測定可能な量で存在することを明確に示すことができなかったため、初期の調査はインビボでのNNK形成におけるその関連性を調査した(例えば、tobaccodocuments.org/ahf/2023321204−1214.htmlのタバコレガシー文書を参照)。PONが3つの他の分子種:2’−ヒドロキシニコチン、N’−メチルミオスミン及びニコチン1’,2’−イミニウムイオンと釣り合って存在するという発見によりこの分野において重要な進歩があった(Wei, Studies on the biosynthesis and metabolites of pyridine alkaloids in Nicotiana species. Ph.D. Thesis. Univ. of Kentucky (2000))。分子種を急速に置き換えるPONの能力が、抽出過程における酸化に対するPONの高い感受性と相まって、タバコ組織から正確に精製し、量を計るのを特に難しくする。しかしながら、ニコチン1’,2’−イミニウムイオンを、シアン化カリウムを使用して捕捉し、2’−シアノニコチンを産生できることが確認され(Neurath et al. Med. Sci. Res. 20:853-858 (1992))、これからプロトコルが開発され、それにより、ガスクロマトグラフィー/質量分析を使用した2’−シアノニコチンの間接的な定量によりタバコ葉材料からPONレベルを正確に定量することができた(Wei, Studies on the biosynthesis and metabolites of pyridine alkaloids in Nicotiana species. Ph.D. Thesis. Univ. of Kentucky (2000))。この方法論を使用して、PONが実際に緑のタバコ及び乾燥したタバコの両方に存在することだけでなく、NNKに対するアルカロイド前駆体として働くのに十分な量で存在することも確認された。
したがって、一態様において、本発明は、プソイドオキシニコチン(PON)分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる1又は2以上の異種核酸分子を含む、タバコ植物、植物部位、及び/又は植物細胞を提供する。
本発明の別の態様は、タバコ植物及び/又は植物部位中のPON及び/又はNNK含有量を低減する方法であって、タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞にPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる1又は2以上の異種核酸分子を導入し、それにより、前記1又は2以上の異種核酸分子により形質転換されていないタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞と比較して、トランスジェニックタバコ植物及び/又は植物部位中のPON及び/又はNNK含有量を低減するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態において、PON含有量は、対照(例えば、野生型、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含まないタバコ植物)と比較して約10%〜約100%低減され得る。このように、例えば、本発明のタバコ植物及び/又は植物部位中のPON含有量は、対照と比較して、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%、又はその任意の範囲若しくは値だけ低減され得る。代表的な実施形態において、PON含有量は、対照と比較して、約10%〜約50%、約20%〜約50%、約20%〜約60%、約20%〜約80%、約20%〜約90%、約30%〜約60%、約30%〜約80%、約30%〜約95%などだけ低減され得る。本発明の追加の実施形態において、本発明のタバコ植物及び/又は植物部位中のNNK含有量は、対照(例えば、野生型、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含まないタバコ植物)と比較して約10%〜約100%低減され得る。このように、一部の実施形態において、NNK含有量は、対照と比較して、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%、又はその任意の範囲若しくは値だけ低減され得る。代表的な実施形態において、NNK含有量は、対照と比較して、約10%〜約50%、約20%〜約50%、約20%〜約60%、約20%〜約80%、約20%〜約90%、約30%〜約60%、約30%〜約80%、約30%〜約95%などだけ低減され得る。
本発明のさらなる態様は、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有する植物、植物部位、又は植物細胞を作製する方法であって、タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞にPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる1又は2以上の異種核酸分子を導入し、それにより前記1又は2以上の異種核酸分子により形質転換されていないタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞と比較して、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有するタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製するステップを含む、方法を提供する。
追加の態様において、本発明は、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有するタバコ製品を製造する方法であって、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1又は2以上の異種核酸分子を含む本発明のタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞から低減されたPON及び/又はNNK含有量を有するタバコ製品を製造するステップを含む、方法を提供する。
よりさらなる態様において、本発明は、PON及び/又はNNK含有量が低減されたタバコ製品を製造する方法であって、タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞にPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる1又は2以上の異種核酸分子を導入し、それにより、前記1又は2以上の異種核酸分子により形質転換されていないタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞と比較して、PON及び/又はNNK含有量が低減されたトランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製するステップ;及び前記トランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞からタバコ製品を製造するステップを含み、タバコ製品は、前記1又は2以上の異種核酸分子により形質転換されていない植物、植物部位及び/又は植物細胞から製造されるタバコ製品と比較して、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有する、方法を提供する。
一部の実施形態において、本発明のタバコ植物及び/又は植物部位から製造される製品のPON含有量は、対照(例えば、野生型、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含まないタバコ植物)と比較して、約10%〜約100%低減され得る。このように、例えば、PON含有量は、対照と比較して、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%、又はその任意の範囲若しくは値だけ低減され得る。代表的な実施形態において、PON含有量は、対照と比較して、約10%〜約50%、約20%〜約50%、約20%〜約60%、約20%〜約80%、約20%〜約90%、約30%〜約60%、約30%〜約80%、約30%〜約95%などだけ低減され得る。本発明の追加の実施形態において、本発明のタバコ植物及び/又は植物部位から製造される製品のNNK含有量は、対照(例えば、野生型、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含まないタバコ植物)と比較して、約10%〜約100%低減され得る。このように、一部の実施形態において、NNK含有量は、対照と比較して、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%、又はその任意の範囲若しくは値だけ低減され得る。代表的な実施形態において、NNK含有量は、対照と比較して、約10%〜約50%、約20%〜約50%、約20%〜約60%、約20%〜約80%、約20%〜約90%、約30%〜約60%、約30%〜約80%、約30%〜約95%などだけ低減され得る。
一部の態様において、PON分解酵素は、例えば、ニコチンを分解することが知られている細菌又は真菌から得られる微生物酵素であってもよい。特定の態様において、真菌の属は、アスペルギルス(Aspergillis)であってもよい。他の態様において、細菌の属は、アルスロバクター(Arthrobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)又はシュードモナスであってもよい。当該技術分野において十分に理解されると予想されるように、植物は、PON分解酵素をコードする2つ以上の異種核酸により形質転換され、それを発現してもよく、PON分解酵素は、同じ生物又は生物の任意の組合せ由来であってもよい(例えば、細菌、真菌、アスペルギルス、アルスロバクター、アグロバクテリウム、シュードモナス及び同種のもの)。
本発明の一部の態様において、PON分解酵素は、プソイドオキシニコチンアミンオキシダーゼ(PAO)であってもよい。代表的な実施形態において、PAOは、細菌由来でもよい。一部の実施形態において、細菌は、シュードモナスであってもよい。
このように、例えば、2012年に、Qiuらは、ニコチンを代謝することができるシュードモナス菌株(HZN6)の2つの新規の遺伝子の特徴づけに関して報告した(Appl. Environ. Microbiol. 78:2154-2160)。これらの遺伝子のうちの1つは、PONを3−スクシノイルセミアルデヒド−ピリジン及びメチルアミンに変換するプソイドオキシニコチンアミンオキシダーゼ(PAO)をコードすることが示された。本発明者らは、驚くべきことにタバコ植物におけるPAOの発現が重要なNNK前駆体のレベルを結果として低下させるPONの代謝につながることを発見した。一部の実施形態において、シュードモナス菌株HZN6由来のPAOをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる。さらに他の実施形態において、シュードモナス菌株HZN6由来のPAOをコードするヌクレオチド配列は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチドをコードする。別の例において、PON分解酵素は、別のニコチン分解菌株、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)S16由来であってもよい。P.プチダS16の全ゲノムは配列が決定され(Hongzhi, et al., 2011. J. Bacteriol. 193:5541-5542)、シュードモナス菌株HZN6由来のPAOと少なくとも79%の同一性を有する候補PAOが特定された(例えば、配列番号9のヌクレオチド配列、配列番号10のアミノ酸配列)。したがって、一部の実施形態において、PON分解酵素をコードする1又は2以上の異種核酸は、配列番号1若しくは9のヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなってもよく、或いは配列番号3若しくは10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなってもよい。
一部の態様において、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列は、タバコにおける発現のために最適化されたコドンであってもよい。
そのようなヌクレオチド配列改変の非限定的な例としては、所望の種(すなわち、タバコ)において一般に見られるG/C含有量により厳密に近づくよう改変されたG/C含有量、及び例えば、タバコにおいて変則的に見られるコドンの除去が挙げられる。
したがって、語句「コドン最適化」は、本明細書中で使用される場合、タバコ内でのコドン使用頻度に近い構造遺伝子又はそのフラグメント内での使用に適切なDNAヌクレオチドの選択を指す。したがって、最適化された遺伝子又は核酸配列とは、所望の種において統計学的に好適なコドン又は統計学的に有利なコドンを利用するために改変された天然又は天然に生じる遺伝子のヌクレオチド配列を指す。ヌクレオチド配列はDNAレベルで一般に調べられ、前記種における発現のために最適化されたコード領域は、任意の適した手順を使用して、例えば、Sardanaら(1996, Plant Cell Reports 15:677-681)に記載されているとおりに確認される(米国特許第8,513,488号明細書及び国際公開第1993/007278号パンフレットも参照)。この方法では、最初に高発現植物遺伝子のものに対する天然の遺伝子のそれぞれのコドンの使用頻度の二乗比例偏差を見つけ、続いて平均二乗偏差を算出することによって、コドン使用頻度の標準偏差、コドン使用頻度の偏りの程度を算出することができる。使用される式は、1 SDCU=n=1N[(Xn-Yn)/Yn]2/Nであり、Xnは高発現植物遺伝子におけるコドンnの使用の頻度を指し、Ynは所望の遺伝子におけるコドンnの使用の頻度を指し、Nは所望の遺伝子中のコドンの総数を指す(米国特許第8,513,488号明細書)。双子葉植物の高発現遺伝子のコドン使用頻度は、Murrayら(1989, Nuc Acids Res. 17:477-498)中に見出すことができる。
特定の植物細胞型に対する好適なコドン使用頻度に従って核酸配列を最適化する別の方法は、いかなる追加の統計的計算も実施することなく、日本のNIAS(農業生物資源研究所)DNAバンク(http://www.kazusa.or.jp/codon/)によりコドン使用頻度データベースでオンラインにおいて提供されているものなどのコドン最適化表の直接使用に基づくものである。
このように、特定の実施形態において、PON分解酵素は、タバコにおける発現のために最適化されたPAOであってもよく、PAOをコードする最適化されたヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。
本発明者らは、さらにタバコ細胞におけるPON分解の効率が、PON分解酵素を液胞に導くことによって高められることを発見した。したがって、本発明の一部の態様において、PON分解酵素(例えば、ニコチンを分解することが知られている真菌若しくは細菌の属由来のPON分解酵素;プソイドオキシニコチンアミンオキシダーゼ(PAO);及び/又はシュードモナス菌株HZN6若しくはシュードモナス・プチダS16由来のPAO)をコードするヌクレオチド配列は、液胞標的配列に融合されていてもよい。液胞標的又は選別配列(VSS:Vacuolar targeting or sorting sequences)は、当該技術分野において周知であり、3つの異なるタイプ、N末端に位置するもの、C末端に位置するもの又はタンパク質内部のものを含んでもよい(例えば、Neuhaus and Rogers, Plant Mol Biol. 38:127-144(1998);Misaki et al. J. Biosci Bioengin 112(5):476-484(2011);Vitale and Raikhel Trends in Plant Sci 4(4):149-155(1999)を参照)。このように、本発明のPON分解酵素をタバコ植物の細胞の液胞に導くために、既知の又は後に発見される任意の液胞標的配列が使用されてもよい。本発明一部の実施形態において、液胞標的配列は、タバコ由来であってもよい。他の実施形態において、液胞標的配列は、タバコ以外の植物由来である。
いくつかの例となる液胞標的配列としては、ベルベリン架橋様酵素、サツマイモプロスポラミン、オオムギプロアリューレイン、オオムギレクチン、タバコキチナーゼ、タバコグルカナーゼ、タバコオスモチン、ブラジルナッツ及びエンドウ2Sアルブミン貯蔵タンパク質、トウゴマリシン、及び/又は一般的なマメファゼオリン由来の液胞標的配列が挙げられる。
代表的な実施形態において、PON分解酵素は、タバコベルベリン架橋様酵素由来の液胞標的又は選別配列を使用して液胞に導くことができる。タバコベルベリン架橋様酵素としては、BBLa、BBLb、BBLc及びBBLdが挙げられるが、これらに限定されるものではない(Kajikawa et al. Plant Physiol. 155:2010-2022(2011))。一部の実施形態において、BBLaのベルベリン架橋様酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列であってもよい。他の実施形態において、BBLaのベルベリン架橋様酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であってもよい。よりさらなる実施形態において、ベルベリン架橋様酵素由来の液胞標的配列は、配列番号8のヌクレオチド配列を含む。
一部の実施形態において、液胞標的配列に融合されたPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなり、PON分解酵素はシュードモナス菌株HZN6由来のPAOである。さらなる実施形態において、液胞標的配列に融合されたPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号7のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし、PON分解酵素はシュードモナス菌株HZN6由来のPAOであり、液胞標的配列はタバコベルベリン架橋様酵素(例えば、BBLa)である。
さらに、PON及びNNKの細胞外プールのレベルを低減するために、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列がアポプラストに運搬されるようにするのが有利である場合もある。このように、一部の実施形態において、PON分解酵素(例えば、ニコチンを分解することが知られている真菌又は細菌の属/種由来のPON分解酵素、プソイドオキシニコチンアミンオキシダーゼ(PAO)、及び/又はシュードモナス菌株HZN6若しくはシュードモナス・プチダS16由来のPAO)をコードするヌクレオチド配列は、アポプラストに導くことができる。タンパク質をアポプラストに導くことは、タンパク質のN末端側(例えば、PON分解酵素のN末端側)に切断可能なシグナル配列を配置することにより開始し、それを小胞体(ER)を通過させ、それによりタンパク質を分泌経路に導入することができる。液胞への局在化又はER若しくはゴルジ内での保持のいずれかを促進する付加的なシグナルの非存在下では、分泌経路を通して誘導されるタンパク質は、一般に「デフォルト経路」によってアポプラストに運搬される(Hood et al., In A. Altman and P.M. Hasegawa, eds. Plant Biotechnology and Agriculture. Chapter 3. Academic Press, pp. 35-54(2012))。したがって、一部の実施形態において、ER保持シグナルは存在しない。
このように、一部の実施形態において、アポプラストに誘導されるPON分解酵素は、ER標的シグナル配列に融合されていてもよい。ER標的シグナル配列は、当該技術分野において周知であり(例えば、Hood et al., In A. Altman and P.M. Hasegawa, eds. Plant Biotechnology and Agriculture. Chapter 3. Academic Press, pp. 35-54(2012)を参照)、既知の又は後に発見されるあらゆるER標的シグナル配列が、本発明のPON分解酵素をタバコ植物の細胞のアポプラストに導くために使用されてもよい。本発明一部の実施形態において、ER標的シグナル配列は、タバコ由来であってもよい。他の実施形態において、ER標的シグナル配列は、タバコ以外の植物由来であってもよい。
例となるER標的シグナル配列としては、エクステンシン、オスモチン、オスモチン様タンパク質、PR−S、PR1a、オオムギアルファアミラーゼ、セクロピン、キチナーゼA、E1エンドグルカナーゼ、及び/又はスポラミン由来のER標的シグナル配列が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一部の実施形態において、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも2つの異種核酸分子を含む、タバコ植物、植物部位、及び/又は植物細胞が提供され、前記少なくとも2つの異種核酸分子のうちの少なくとも1つは、液胞標的配列に融合されたPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含み、前記少なくとも2つの異種核酸分子のうちの少なくとも1つはER標的シグナル配列に融合されたPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
PON分解酵素をコードするポリヌクレオチドを含む本発明の核酸分子又は発現カセットが、1又は2以上の調節配列をさらに含んでもよい。それゆえに、一部の実施形態において、本発明は、5’から3’方向に植物細胞において機能可能なプロモーターと、前記プロモーターの下流に配置され、それと機能的に結合した本発明の核酸分子とを含む核酸構築物を提供する。他の実施形態において、調節配列は、プロモーター、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、終結配列、又はそれらの任意の組合せであってもよい。
本発明のさらなる実施形態は、本発明のトランスジェニック植物、植物部位又は植物細胞から産生される後代植物を提供し、前記後代植物は、プソイドオキシニコチン(PON)分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる1又は2以上の異種核酸分子を含む。さらに他の実施形態は、ゲノムにプソイドオキシニコチン(PON)分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1又は2以上の異種核酸分子を含む本発明のトランスジェニック植物又は後代植物由来の種子を提供する。さらなる実施形態は、本発明の種子から産生される植物を提供する。
本発明は、農地に集合的に植えられた複数の本発明のトランスジェニックタバコ植物を含む植物作物をさらに提供する。
追加の実施形態において、本発明は、トランスジェニックタバコ植物、植物部位、植物細胞、その後代植物及び/又はその作物から製造される、低減された量のPON及び/又はNNKを有するタバコ製品を提供する。タバコ製品は、本発明のタバコ植物、植物部位又は植物細胞を使用して製造されるいかなる製品であってもよい。したがって、タバコ製品は、葉タバコ、刻みタバコ、カットタバコ、粉砕タバコ、粉末タバコ、タバコ抽出物、ニコチン抽出物(例えば、例えば、電子タバコ若しくはニコチン補充療法用製品(例えば、ガム、トローチ、パッチ、及び同種のもの)に使用するための本発明のタバコから抽出されたニコチン)、無煙タバコ、湿性若しくは乾燥嗅ぎタバコ、クレテック、パイプタバコ、葉巻タバコ、シガリロタバコ、紙巻きタバコ、噛みタバコ、ビーディ、ビッツ、及びタバコ含有ガム、トローチ、又はそれらの任意の組合せであってもよい。他の実施形態において、タバコ製品は、シガリロ、非通気式リセスフィルターシガレット、通気式リセスフィルターシガレット、葉巻、嗅ぎタバコ、噛みタバコ、又はそれらの任意の組合せであってもよい。一部の実施形態において、本発明のトランスジェニックタバコ植物、植物部位又は植物細胞から生産されるタバコ抽出物は、電子タバコに使用されてもよい。
本明細書に記載されるとおり、本発明は、タバコ植物、部分及び/又は細胞並びにそれから製造される製品中のPONの低減のための方法及び組成物を対象とし、それにより前記タバコ植物、部分及び/又は細胞並びにそれから得られるタバコ製品中のPON及び/又はNNKの量を低減する。「タバコ」という用語は、本明細書中で使用される場合、ニコチアナ属のあらゆる植物を意味する。したがって、「タバコ」という用語は、以下に限定されるものではないが、ニコチアナL.、タバコ(N. tabacum)、ベンサミアナタバコ(N. benthamiana)、マルバタバコ(N. rustica)、ハナタバコ(N. alata)、N.シルウェストリス(sylvestris)、N.アクミナタ(acuminata)、N.ビゲロウィ(bigelovii)、N.オブツシフォリア(obtusifolia)、N.クアドリワルウィス(quadrivalvis)、アレチタバコ(N. trigonophylla)、N.アフィニス(affinis)、N.アテヌアタ(attenuata)、N.クレウェランディー(clevelandii)、N.エクケルシオール(excelsior)、N.フォルゲティアナ(forgetiana)、キダチタバコ(N. glauca)、N.グルチノサ(glutinosa)、N.ラングスドルフィー(langsdorffii)、N.ロンジフローラ(longiflora)、N.オブツシフォリア、アレチタバコ、N.パルメリ(palmeri)、N.パニクラタ(paniculata)、N.プルムバギニフォリア(plumbaginifolia)、N.クアドリワルウィス、N.レパンダ(repanda)、N.スアウェオレンス(suaveolens)、N.シルウェストリス、N.トメントサ(tomentosa)、N.ウェルチナ(velutina)などを挙げることができる。さらに、TSNAの低減、特に、NNKの低減が望ましいあらゆるタバコの品種が本発明に有用である。
本明細書中で使用される場合、タバコ「植物部位」には、以下に限定されるものではないが、生殖組織(例えば、花弁、萼片、雄蕊、雌蕊、花床、葯、花粉、花、果実、花芽、胚珠、種、胚、さく果);栄養組織(例えば、葉柄、茎、根、根毛、根端、髄、木、子葉鞘、軸、苗条、枝、樹皮、頂端分裂組織、腋芽、子葉、胚軸、根、根端、毛状突起、葉);維管束組織(例えば、師部及び木部);特殊化した細胞、例えば、表皮細胞、柔組織細胞、厚角細胞、厚壁細胞、気孔、孔辺細胞、クチクラ、葉肉細胞;カルス組織;並びに挿し穂が含まれる。「植物部位」という用語には、完全な植物及び/又は植物の一部である植物細胞を含む植物細胞、植物プロトプラスト、植物組織、植物器官、植物細胞組織培養物、植物カルス、植物塊なども含まれる。本明細書中で使用される場合、「苗条」とは、葉及び茎を含む地上部分を指す。本明細書中で使用される場合、「組織培養物」という用語は、組織、細胞、プロトプラスト及びカルスの培養物を包含する。
本明細書中で使用される場合、「植物細胞」とは、タバコ植物の構造的及び生理的単位を指し、これは、一般に細胞壁を含むが、プロトプラストも含む。本発明タバコ植物細胞は、単離された1つの細胞の形態であってもよく、又は培養細胞であってもよく、又は例えば、植物組織(カルスを含む)若しくは植物器官などの高等な組織化した単位の一部であってもよい。「プロトプラスト」は、細胞壁を含まないか、又は細胞壁の一部のみを含む単離植物細胞である。したがって、本発明の一部の実施形態において、本発明の核酸分子及び/又はヌクレオチド配列を含むトランスジェニック細胞は、以下に限定されるものではないが、根の細胞、葉の細胞、組織培養細胞、種の細胞、花の細胞、果実の細胞、花粉の細胞などを含む任意の植物又は植物部位の細胞である。
「植物細胞培養物」とは、例えば、プロトプラスト、細胞培養細胞、植物組織の細胞、花粉、花粉管、胚珠、胚嚢、接合子及び発生のさまざまな段階の胚などの植物単位の培養物を意味する。本発明の一部の実施形態において、本発明の核酸分子/ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック組織培養物又はトランスジェニック植物細胞培養物が提供される。
本明細書中で使用される場合、「植物器官」とは、根、茎、葉、花芽、又は胚などの別個の目に見える構造化及び分化した植物の部分である。
「植物組織」とは、本明細書中で使用される場合、構造的及び機能的単位に組織化した植物細胞の群を意味する。植物体又は培養物の植物のあらゆる組織が含まれる。この用語は、以下に限定されるものではないが、植物全体、植物器官、植物の種子、組織培養物並びに構造的及び/又は機能的単位に組織化した植物細胞のあらゆる群を含む。上で挙げたか、若しくは別にこの定義に包含される任意の特定のタイプの植物組織と併せて又はその非存在下におけるこの用語の使用は、あらゆる他のタイプの植物組織を除外することが意図されるものではない。
本明細書中で使用される場合、核酸分子及び/又はヌクレオチド配列(例えば、RNA若しくはDNA)に関する「発現する(express)」、「発現する(expresses)」、「発現される」又は「発現」という用語及び同種のものは、核酸分子及び/又はヌクレオチド配列が転写され、任意に翻訳されることを示す。したがって、核酸分子及び/又はヌクレオチド配列は、所望のポリペプチド又は機能性非翻訳RNAを発現してもよい。「機能性」RNAは、細胞において、例えば、遺伝子発現の調節などの生物学的機能を有するあらゆる非翻訳RNAを含む。そのような機能性RNAとしては、RNAi(例えば、siRNA、shRNA、アンチセンスRNA)、miRNA、リボザイム、RNAアプタマー、及び同種のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で使用される場合、「低減する」、「低減される」、「低減すること」、「低減」、「減らす」、「抑制する」、及び「低下させる」という用語(並びにその文法的変形)は、例えば、ゲノムにPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸分子を含まない対照植物、植物部位、又は植物細胞と比較した、ゲノムにPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む前記異種核酸分子を含むタバコ植物、植物部位、又は植物細胞中のPON及び/又はNNK含有量の低下を述べる。したがって、本明細書中で使用される場合、「低減する(reduce)」、「低減する(reduces)」、「低減される」、「低減」、「減らす」、「抑制する」、及び「低下させる」という用語並びに同様の用語は、対照(例えば、ゲノムにPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む前記異種核酸分子を含まない植物、植物部位、又は植物細胞)と比較した少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%,85%、90%、95%、100%以上など、又はその任意の範囲の低下を意味する。
「単離された」核酸分子、「単離された」ヌクレオチド配列又は「単離された」ポリペプチドとは、人の手によって、その天然環境から離れて存在する、したがって、天然物ではない核酸分子、ヌクレオチド配列又はポリペプチドである。単離された核酸分子、ヌクレオチド配列又はポリペプチドは、天然の生物又はウイルスの他の構成成分、例えば、細胞若しくはウイルスの構造的構成成分又はその他のポリペプチド若しくはポリヌクレオチドと関連することが一般にわかっている核酸の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離され、精製された状態で存在してもよい。代表的な実施形態において、単離された核酸分子、単離されたヌクレオチド配列及び/又は単離されたポリペプチドは、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上純粋である。
他の実施形態において、単離された核酸分子、ヌクレオチド配列又はポリペプチドは、例えば、組み換え宿主細胞などの非天然環境に存在してもよい。したがって、例えば、ヌクレオチド配列に対する「単離された」という用語は、それが天然に生じる染色体及び/又は細胞から分離されていることを意味する。ポリヌクレオチドは、それが天然に生じる染色体及び/又は細胞から分離され、その後、それが天然に生じない遺伝学的状況、染色体及び/又は細胞に挿入される場合、ポリヌクレオチドも単離される(例えば、自然に見られるのと異なる宿主細胞、異なる調節配列、及び/又はゲノムの異なる位置)。したがって、組み換え核酸分子、ヌクレオチド配列及びそれらのコードされるポリペプチドは、人の手によって、それらがそれらの天然環境から離れて存在する、したがって、天然物ではない点で「単離されている」が、一部の実施形態において、それらは、組み換え宿主細胞中に導入され、存在してもよい。
「異種」ヌクレオチド配列、核酸又はポリペプチドは、それが導入される宿主細胞と天然には関連しないヌクレオチド配列であり、天然に生じない複数のコピーの天然に生じるヌクレオチド配列又は非天然のゲノムの状況(例えば、異なる染色体、同じ染色体の異なる位置及び/又は異なる調節エレメントを含む)に導入される天然に生じるヌクレオチド配列が挙げられる。
「天然の」又は「野生型」核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列とは、天然に生じる又は内生的な核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列を指す。したがって、例えば、「野生型mRNA」は、生物において天然に生じるか、又はそれに対して内生的なmRNAである。「相同」核酸配列は、それが導入される宿主細胞とも天然に関連づけられるヌクレオチド配列である。
また、本明細書中で使用される場合、「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、同義に使用することができ、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、合成(例えば、化学合成された)DNA又はRNA並びにRNAとDNAのキメラを含むRNA及びDNAの両方を包含する。ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、又は核酸という用語は、鎖の長さを問わずヌクレオチドの鎖を指す。核酸は、二本鎖であっても、又は一本鎖であってもよい。一本鎖の場合、核酸は、センス鎖であっても、又はアンチセンス鎖であってもよい。核酸は、オリゴヌクレオチドアナログ又は誘導体(例えば、イノシン若しくはホスホロチオ酸ヌクレオチド)を使用して合成されてもよい。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、塩基対合能力が改変された、又はヌクレアーゼに対する耐性が増加した核酸を作製するために使用されてもよい。本発明は、本発明の核酸、ヌクレオチド配列、又はポリヌクレオチドの(完全な相補体又は部分的な相補体のいずれかであってもよい)相補体である核酸をさらに提供する。本明細書において提供される核酸分子及び/又はヌクレオチド配列は、本明細書では左から右に5’から3’方向で提示され、米国配列規則、連邦規則法典第37巻第1.821条〜第1.825条及び世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)標準ST.25に記載されているとおりのヌクレオチド記号を表すための標準符号を使用して表される。
相同性を有する異なる核酸又はタンパク質は、本明細書では「ホモログ」と呼ぶ。ホモログという用語は、同じ及び他の種の相同配列並びに同じ及び他の種のオーソロガスな配列を含む。「相同性」とは、位置的な一致のパーセントを単位とする2又は3以上の核酸及び/又はアミノ酸配列の間の類似性(すなわち、配列類似性又は同一性)のレベルを指す。相同性はまた、異なる核酸又はタンパク質の間の類似の機能特性の概念を指す。したがって、本発明の組成物及び方法は、本発明のヌクレオチド配列及びポリペプチド配列に対するホモログをさらに含む。「オーソロガスな」とは、本明細書中で使用される場合、種分化の間に共通の先祖遺伝子から生じた異なる種の相同ヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列を指す。本発明のホモログは、本発明のヌクレオチド配列に対して著しい配列同一性(例えば、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び/又は100%)を有する。
本明細書中で使用される場合、「配列同一性」とは、2つの最適にアライメントされたポリヌクレオチド又はペプチド配列が、構成成分、例えば、ヌクレオチド若しくはアミノ酸のアライメントウィンドウ全体にわたり変わらない程度を指す。「同一性」は、それらに限定されるものではないが、以下のものに記載されている方法を含む既知の方法によって容易に算出することができる:Computational Molecular Biology(Lesk, A. M., ed) Oxford University Press, New York(1988);Biocomputing: Informatics and Genome Projects(Smith, D. W.,ed) Academic Press, New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data, Part I(Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.) Humana Press, New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje, G.,ed) Academic Press(1987);及びSequence Analysis Primer(Gribskov, M. and Devereux, J., eds.) Stockton Press, New York(1991)。
本明細書中で使用される場合、「パーセント配列同一性」又は「パーセント同一性」とは、2つの配列が最適にアライメントされたときに試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補的な鎖)と比較して、参照(「問い合わせ」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補的な鎖)の線形のポリヌクレオチド配列中の一致するヌクレオチドの百分率を指す。一部の実施形態において、「パーセント同一性」は、アミノ酸配列中の一致するアミノ酸の百分率を指す場合がある。
本明細書中で使用される場合、2つの核酸分子、ヌクレオチド配列又はタンパク質配列と関連した「実質的に同一」という語句は、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用するか、又は視覚による検証によって求められる場合、最大一致のために比較され、アライメントされたときに少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有する2又は3以上の配列又は部分配列を指す。本発明の一部の実施形態において、実質的な同一性は、少なくとも約50残基から約150残基の長さの配列の領域にわたって存在する。したがって、本発明の一部の実施形態において、実質的な同一性は、少なくとも約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150以上の残基の長さの配列の領域にわたって存在する。いくつかの特定の実施形態において、配列は、少なくとも約150残基にわたって実質的に同一である。さらなる実施形態において、配列は、コード領域の全長にわたって実質的に同一である。さらに、代表的な実施形態において、実質的に同一のヌクレオチド又はタンパク質配列は、実質的に同じ機能(例えば、PONの分解又はPON含有量の低減)を果たす。
配列比較について、一般に1つの配列は試験配列が比較される参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。配列比較アルゴリズムが、その後、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較して試験配列に関するパーセント配列同一性を算出する。
比較ウィンドウをアライメントするための最適な配列のアライメントは、当業者に周知であり、Smith及びWatermanの局所相同アルゴリズム、Needleman及びWunschの相同アライメントアルゴリズム、Pearson及びLipmanの類似性検索法などのツールによって、並びに任意選択的にGCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc社、サンディエゴ、カリフォルニア州)の一部としてとして利用可能なGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTAなどのこれらのアルゴリズムのコンピュータによる実施によって行われてもよい。試験配列及び参照配列のアライメントされたセグメントに対する「同一性の割合」は、参照配列セグメント、すなわち、参照配列全体又は参照配列のより小さな画定された部分中の構成要素の総数で割ったアライメントされた2つの配列が共有する一致した構成要素の数である。パーセント配列同一性は、同一性の割合掛ける100と表される。1又は2以上のポリヌクレオチド配列の比較は、完全長ポリヌクレオチド配列若しくはその一部に対して、又はより長いポリヌクレオチド配列に対してであってもよい。本発明のために、「パーセント同一性」はまた、翻訳されたヌクレオチド配列に対してはBLASTXバージョン2.0及びポリヌクレオチド配列に対してはBLASTNバージョン2.0を使用して求められてもよい。
BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを介して公的に利用可能である。このアルゴリズムは、問い合わせ配列中に長さWの短いワードを特定することによる高スコア配列ペア(HSP:high scoring sequence pair)の最初の特定を含み、これは、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントされた場合にいくつかの正値の閾値スコアTと一致するか、又はこれを満たすかのいずれかである。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al., 1990)。これらの最初の隣接ワードヒットは、シードを含むさらに長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして働く。ワードヒットは、その後、累積アライメントスコアが増加できる限り、それぞれ配列に沿って両方向に伸長される。ヌクレオチド配列に関しては、パラメータM(一致残基のペアに対するリワードスコア、常に0を超える)及びN(不一致残基に対するペナルティスコア、常に0未満)を使用して累積スコアが算出される。アミノ酸配列に関して、累積スコアを算出するためにスコア行列が使用される。累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ減少する場合、1若しくは2以上の負のスコアリング残基アライメントの累積により累積スコアがゼロ以下になる場合、又はいずれかの配列の末端に達する場合に、それぞれ方向へのワードヒットの伸長は停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T及びXは、アライメントの感度及び速さを決定する。(ヌクレオチド配列用)BLASTNプログラムは、11のワードの長さ(W)、10の期待値(E)、100のカットオフ、M=5、N=−4、及び両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、3のワードの長さ(W)、10の期待値(E)、及びBLOSUM62スコア行列をデフォルトとして使用する(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915(1989)を参照)。
パーセント配列同一性を算出することに加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析も実施する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787(1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の基準の1つは、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の間の一致が偶然によって生じる確率の指標を提供する。例えば、参照ヌクレオチド配列に対する試験ヌクレオチド配列の比較の最小合計確率が約0.1未満〜約0.001未満である場合、試験核酸配列は参照配列と類似していると見なされる。したがって、本発明の一部の実施形態において、参照ヌクレオチド配列に対する試験ヌクレオチド配列の比較の最小合計確率は、約0.001未満である。
2つのヌクレオチド配列は、2つの配列がストリンジェントな条件下において互いにハイブリダイズする場合、実質的に相補的であると見なされる。いくつかの代表的な実施形態において、2つのヌクレオチド配列は、高度にストリンジェントな条件下において互いにハイブリダイズする場合に実質的に相補的であると見なされる。
サザン及びノーザンハイブリダイゼーションなどの核酸ハイブリダイゼーション実験と関連した「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」及び「厳しいハイブリダイゼーション洗浄条件」は配列依存的であり、異なる環境パラメータ下では異なる。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な手引きは、Tijssen Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2 “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays” Elsevier, New York(1993)に見出される。一般に、高度に厳しいハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、規定されたイオン強度及びpHにおいて特定の配列の熱的融解温度(Tm)よりも約5℃低く選択される。
Tmは、(規定されたイオン強度及びpH下において)標的配列の50%が完全に対をなすプローブとハイブリダイズする温度である。極めてストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmと等しく選択される。サザン又はノーザンブロットにおけるフィルター上に100を超える相補的な残基を有する相補的なヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションに対するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、42℃における1mgのヘパリンを含む50%ホルムアミドであり、ハイブリダイゼーションが一晩行われる。高度に厳しい洗浄条件の例は、72℃における約15分間の0.15MのNaClである。厳しい洗浄条件の例は、65℃における15分間の0.2×SSC洗浄である(Sambrook、後のSSCバッファーの説明について参照)。バックグラウンドプローブシグナルを排除するために低いストリンジェンシー洗浄が高いストリンジェンシー洗浄に先行する場合が多い。例えば、100を超えるヌクレオチドの二本鎖に対する中程度ストリンジェンシー洗浄の例は、45℃における15分間の1×SSCである。例えば、100を超えるヌクレオチドの二本鎖に対する低いストリンジェンシー洗浄の例は、40℃における15分間の4〜6×SSCである。短いプローブ(例えば、約10〜50ヌクレオチド)に対して、ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において一般に約1.0M未満のNaイオンの塩濃度、一般に約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(又はその他の塩)を含み、温度は一般に少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加により達成されてもよい。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて無関係なプローブに対して観察されたシグナル対ノイズよりも2倍(又はさらに高い)シグナル対ノイズ比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。ストリンジェントな条件下において互いにハイブリダイズしないヌクレオチド配列は、それがコードするタンパク質が実質的に同一である場合、やはり実質的に同一である。これは、例えば、ヌクレオチド配列のコピーが遺伝子コードによって許される最大のコドンの縮退を使用して作製された場合に生じる可能性がある。
以下のものは、本発明の参照ヌクレオチド配列と実質的に同一である相同ヌクレオチド配列をクローン化するために使用してもよいハイブリダイゼーション/洗浄条件のセットの例である。一実施形態において、参照ヌクレオチド配列は、50℃の2×SSC、0.1%のSDS中における洗浄を伴い、50℃の7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で「試験」ヌクレオチド配列とハイブリダイズする。他の実施形態において、参照ヌクレオチド配列は、50℃の1×SSC、0.1%のSDS中における洗浄を伴い、50℃の7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で、又は50℃の0.5×SSC、0.1%のSDS中における洗浄を伴い、50℃の7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で「試験」ヌクレオチド配列とハイブリダイズする。よりさらなる実施形態において、参照ヌクレオチド配列は、50℃の0.1×SSC、0.1%のSDS中における洗浄を伴い、50℃の7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で、又は65℃の0.1×SSC、0.1%のSDS中における洗浄を伴い、50℃の7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で「試験」ヌクレオチド配列とハイブリダイズする。
本発明の一部の実施形態において、(例えば、PON分解酵素をコードする)本発明のヌクレオチド配列と著しい配列同一性を有するヌクレオチド配列が提供される。「著しい配列同一性」又は「著しい配列類似性」とは、別のヌクレオチド配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び/又は100%の同一性又は類似性を意味する。したがって、追加の実施形態において、「著しい配列同一性」又は「著しい配列類似性」とは、別のヌクレオチド配列との約70%〜約100%、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約81%〜約100%、約82%〜約100%、約83%〜約100%、約84%〜約100%、約85%〜約100%、約86%〜約100%、約87%〜約100%、約88%〜約100%、約89%〜約100%、約90%〜約100%、約91%〜約100%、約92%〜約100%、約93%〜約100%、約94%〜約100%、約95%〜約100%、約96%〜約100%、約97%〜約100%、約98%〜約100%、及び/又は約99%〜約100%の同一性又は類似性の範囲を意味する。したがって、一部の実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、配列番号1及び/又は配列番号2のいずれかのヌクレオチド配列と著しい配列同一性を有するヌクレオチド配列である。特定の実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、例えば、配列番号1及び/又は配列番号2のいずれかのヌクレオチド配列と少なくとも75%の配列の同一性を有するヌクレオチド配列であり、ポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列は、PON分解活性を含む。
一部の実施形態において、本発明のポリペプチドは、例えば、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも70%一致する、例えば、少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び/又は100%一致し、PON分解活性を含むアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる。
一部の実施形態において、本発明のポリペプチド又はヌクレオチド配列は、保存的に改変されたバリアントであってもよい。本明細書中で使用される場合、「保存的に改変されたバリアント」とは、配列中の1つのアミノ酸若しくはヌクレオチド又は小さなパーセンテージのアミノ酸若しくはヌクレオチドを変える、付加する、又は欠失させる個別の置換、欠失又は付加を含むポリペプチド配列及びヌクレオチド配列を指し、この場合、この変更は、化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換となる。機能的に類似したアミノ酸を示す保存的置換表は、当該技術分野において周知である。
本明細書中で使用される場合、ポリペプチドの保存的に改変されたバリアントは、生物学的に活性であり、ゆえに本明細書に記載されるとおり参照ポリペプチドの所望の活性(例えば、PON分解活性、植物中のPONの及び/又はNNK含有量を低減する)を持っている。このバリアントは、例えば、遺伝子多型又はヒトの操作の結果としてもたらされてもよい。参照ポリペプチドの生物学的に活性なバリアントは、本明細書中の別の場所に記載されている配列アライメントプログラム及びパラメータによって求められる場合、参照ポリペプチドに関するアミノ酸配列と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性又は類似性(例えば、約40%〜約99%以上の配列同一性又は類似性及びその任意の範囲)を有してもよい。活性なバリアントは、参照ポリペプチド配列とわずか1〜15アミノ酸残基、6〜10などのわずか1〜10、わずか5、わずか4、3、2、又さらに1アミノ酸残基だけ異なってもよい。
天然に生じるバリアントが集団内に存在してもよい。そのようなバリアントは、周知の分子生物学技術、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)、及び以下に記載されるようなハイブリダイゼーションを使用することによって特定することができる。本発明のポリペプチドを依然としてコードする合成的に誘導されたヌクレオチド配列、例えば、部位特異的変異誘発又はPCR媒介突然変異誘発によって形成された配列もバリアントとして含まれる。1又は2以上のヌクレオチド又はアミノ酸の置換、付加、又は欠失は、その置換、付加、又は欠失がコードされるタンパク質に導入されるように、本明細書中で開示されているヌクレオチド配列又はアミノ酸配列に導入されてもよい。付加(挿入)又は欠失(トランケーション)は、未変性タンパク質のN末端若しくはC末端、又は未変性タンパク質中の1又は2以上の部位において行われてもよい。同様に、1又は2以上のヌクレオチド又はアミノ酸の置換は、未変性タンパク質中の1又は2以上の部位において行われてもよい。
例えば、保存的なアミノ酸置換は、1又は2以上の予想される、好ましくは非必須アミノ酸残基において行われてもよい。「非必須」アミノ酸残基が生物学的活性を変えることなくタンパク質の野生型配列から変更され得る残基であるのに対し、「必須」アミノ酸は生物学的活性に必要とされる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似した側鎖を有するアミノ酸残基により置換される置換である。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において知られている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。そのような置換は、当該残基がタンパク質活性に必須である場合、保存されるアミノ酸残基に対して、又は保存されるモチーフ内に存在するアミノ酸残基に対しては行われないと予想される。
例えば、参照ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、その酵素をコードするヌクレオチド配列を突然変異させることによって作製することができる。得られた突然変異体は、組み換えで植物において発現させられ、本明細書に記載されるような標準的なアッセイ技術を使用してニコチン含有量の増加又は低減についてアッセイすることによって生物学的活性を保持する突然変異体がスクリーニングされてもよい。突然変異誘発及びヌクレオチド配列改変のための方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Kunkel(1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492;Kunkel et al.(1987) Methods in Enzymol. 154:367-382;及びTechniques in Molecular Biology(Walker & Gaastra eds., MacMillan Publishing Co. 1983)及びその中で挙げられている参考文献、並びに米国特許第4,873,192号明細書を参照のこと。明らかに、バリアントをコードするDNAにおいて行われる突然変異は読み枠を乱してはならず、好ましくは二次的なmRNA構造をもたらす可能性がある相補的な領域を作り出さない。欧州特許出願公開第75,444号明細書を参照のこと。所望のタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関する指針は、参照によって本明細書に組み込んだものとするDayhoff et al.(1978) Atlas of Protein Sequence and Structure(National Biomedical Research Foundation, Washington, D.C.)のモデルに見出すことができる。
本明細書に記載されているポリペプチドにおける欠失、挿入及び置換は、ポリペプチドの特徴(例えば、ポリペプチドの活性)に根本的な変更をもたらすことは予想されない。しかしながら、置換、欠失又は挿入を行う前にその正確な影響を予測するのが難しい場合、当業者は、その影響を、所望の特定のポリペプチド活性(例えば、PON含有量の低減)に関してスクリーニングすることができる通常のスクリーニングアッセイによって評価することができることを認識すると予想される。
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本ポリペプチドの活性フラグメントを含んでもよい。本明細書中で使用される場合、「フラグメント」は、植物中のニコチン含有量を増加又は低下させるポリペプチド活性を保持する参照ポリペプチドの一部を意味する。フラグメントはまた、参照ポリペプチドをコードする核酸分子の一部を意味する。ポリペプチドの活性フラグメントは、(例えば、インビトロにおける組み換え発現により)例えば、ポリペプチドのコードされたフラグメントをもたらすよう発現させられるポリペプチドをコードする核酸分子の一部を単離し、フラグメントの活性を評価することによって作製することができる。そのようなフラグメントをコードする核酸分子は、少なくとも約150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500の連続的なヌクレオチド、又は最大で完全長ポリペプチドをコードする核酸分子に存在するヌクレオチドの数であってもよい。したがって、ポリペプチドフラグメントは、少なくとも約50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500の連続的なアミノ酸残基、又は最大で完全長ポリペプチドに存在するアミノ酸残基の総数であってもよい。
したがって、一部の実施形態において、本発明のポリペプチドのバリアント若しくは機能的フラグメント又は本発明のポリペプチド配列(例えば、配列番号2、配列番号7)と実質的な同一性を有するバリアント若しくは機能的フラグメントは、トランスジェニック植物中で産生されると、前記ポリペプチドを産生するトランスジェニック植物のPON含有量を低減し、それにより、前記トランスジェニック植物から製造されるタバコ製品中のPON及び/又はNNKの量を低減する。
一部の実施形態において、本発明のヌクレオチド配列及び/又は核酸分子は、宿主細胞(例えば、植物細胞)中における発現のためにさまざまなプロモーターと機能可能に/機能するよう連結されてもよい。したがって、一部の実施形態において、本発明は、形質転換された宿主細胞及び形質転換された宿主細胞を含む形質転換された生物を提供し、宿主細胞及び生物は1又は2以上の本発明の核酸分子/ヌクレオチド配列により形質転換される。本明細書中で使用される場合、「と機能可能に連結される」とは、第2の核酸配列と機能可能に連結される第1の核酸配列を言及するとき、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係に置かれる場合の状況を意味する。例えば、プロモーターは、プロモーターがコード配列の転写又は発現をもたらす場合、コード配列と機能可能に結合されている。
ポリペプチドと関連して、「と機能可能に連結される」とは、第2のポリペプチド配列と機能可能に連結された第1のポリペプチド配列を言及するとき、第1のポリペプチド配列が第2のポリペプチド配列と機能的な関係に置かれる場合の状況を意味する。例えば、標的配列が細胞又は生物中の所望のポリペプチド配列の標的化/局在化をもたらす場合、所望のポリペプチド(例えば、PON分解酵素)は、標的配列(例えば、液胞標的配列又はER標的シグナル配列)と機能可能に連結されてもよい。
植物の細胞における転写の開始に有用な任意のプロモーターが、本発明の発現カセット中に使用されてもよい。「プロモーター」とは、本明細書中で使用される場合、プロモーターと機能可能に結合されたヌクレオチド配列(すなわち、コード配列)の転写を制御又は調節するヌクレオチド配列である。一般に、「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼIIに対する結合部位を含み、転写の開始を指示するヌクレオチド配列を指す。一般に、プロモーターは、対応するコード配列のコード領域の開始点に対して5’、又は上流に見られる。プロモーター領域は、遺伝子発現の調節因子として働くその他のエレメントを含んでもよい。こうしたものとしては、TATAボックスコンセンサス配列、及び多くの場合、CAATボックスコンセンサス配列が挙げられる(Breathnach and Chambon,(1981) Annu. Rev. Biochem. 50:349)。植物において、CAATボックスは、AGGAボックスによって置き換えられてもよい(Messing et al.,(1983) in Genetic Engineering of Plants, T. Kosuge, C. Meredith and A. Hollaender(eds.), Plenum Press, pp. 211-227)。
プロモーターとしては、組み換え核酸分子、すなわち、キメラ遺伝子の作製に使用するための、例えば、構成型、誘導型、一時的調節型、発生調節型、化学的調節型、組織優先型及び組織特異的プロモーターを挙げることができる。
プロモーターの選択は、発現のために時間的及び空間的要件により、さらに形質転換される宿主細胞により変化することになる。したがって、例えば、特定の組織又は器官における発現が望まれる場合、組織特異的プロモーター又は組織優先型プロモーターが使用されてもよい(例えば、根若しくは葉特異的/優先型プロモーター)。対照的に、刺激に応じた発現が望まれる場合、刺激又は化学薬品によって誘導可能なプロモーターが使用されてもよい。生物の細胞又は組織全体にわたって比較的一定のレベルで継続的な発現が望まれる場合、構成型プロモーターが選択されてもよい。
したがって、本発明に有用なプロモーターとしては、ヌクレオチド配列の発現を構成的に駆動するプロモーター、誘発されたときに発現を駆動するプロモーター及び組織又は発生特異的な様式で発現を駆動するプロモーターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。こうしたさまざまなタイプのプロモーターが当該技術分野において知られている。さらに、プロモーターは、形質転換される植物において特定され、それから単離された後、前記植物又は別の植物の形質転換に使用される発現カセットに挿入される。
構成型プロモーターの例としては、ケストルムウイルスプロモーター(cmp:cestrum virus promoter)(米国特許第7,166,770号明細書)、コメアクチン1プロモーター(Wang et al.(1992) Mol. Cell. Biol. 12:3399-3406;並びに米国特許第5,641,876号明細書)、CaMV 35Sプロモーター(Odell et al.(1985) Nature 313:810-812)、CaMV 19Sプロモーター(Lawton et al.(1987) Plant Mol. Biol. 9:315-324)、nosプロモーター(Ebert et al.(1987) Proc. Natl. Acad. Sci USA 84:5745-5749)、Adhプロモーター(Walker et al.(1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:6624-6629)、スクロースシンターゼプロモーター(Yang & Russell(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:4144-4148)、及びユビキチンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ユビキチンから得られる構成型プロモーターは、多くの細胞型において蓄積する。ユビキチンプロモーターは、トランスジェニック植物に使用するためのいくつかの植物種、例えば、ヒマワリ(Binet et al., 1991. Plant Science 79: 87-94)、トウモロコシ(Christensen et al., 1989. Plant Molec. Biol. 12: 619-632)、及びシロイヌナズナ属(Norris et al. 1993. Plant Molec. Biol. 21:895-906)からクローン化された。代表的な実施形態において、本発明のヌクレオチド配列(例えば、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列)は、本明細書に記載されるとおり構成型プロモーターと機能可能に連結されてもよい。
一部の実施形態において、組織特異的/組織優先型プロモーターが使用されてもよい。組織特異的又は優先型発現パターンとしては、緑の組織特異的又は優先型、根特異的又は優先型、茎特異的又は優先型、及び花特異的又は優先型が挙げられるが、これらに限定されるものではない。緑の組織における発現に適したプロモーターとしては、光合成に関与する遺伝子を調節するものの多く並びに単子葉植物及び双子葉植物の両方からクローン化されたものの多くが挙げられる。一実施形態において、本発明に有用なプロモーターは、ホスホエノールカルボキシラーゼ遺伝子からのトウモロコシPEPCプロモーターである(Hudspeth & Grula, Plant Molec. Biol. 12:579-589(1989))。組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、種子貯蔵タンパク質(例えば、β−コングリシニン、クルシフェリン、ナピン及びファゼオリン)、ゼイン若しくは油体タンパク質(例えば、オレオシン)、又は脂肪酸生合成に関与するタンパク質(アシルキャリアタンパク質、ステアロイルACPデサチュラーゼ及び脂肪酸デサチュラーゼ(fad2−1)を含む)をコードする遺伝子と関連づけられるもの、及び胚発生時に発現されるその他の核酸(例えば、Bce4、例えば、Kridl et al.(1991) Seed Sci. Res. 1:209-219;並びに欧州特許第255378号明細書を参照)が挙げられる。植物における本発明のヌクレオチド配列の発現に有用な組織特異的又は組織優先的プロモーターとしては、根、髄、葉又は花粉において発現を指示するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのようなプロモーターは、例えば、国際公開第93/07278号パンフレットにおいて開示されており、この文及び/又は段落と関連する教示のためにその全体を参照によって本明細書に組み込んだものとする。本発明に有用な組織特異的又は組織優先型プロモーターのその他の非限定的な例としては、米国特許第6,040,504号明細書に開示されているコットンルビスコプロモーター;米国特許第5,604,121号明細書に開示されているコメスクロースシンターゼプロモーター;de Framondによって記載されている根特異的プロモーター(FEBS 290:103-106(1991);Ciba-Geigy社の欧州特許0452 269号明細書);(Ciba-Geigy社の)米国特許第5,625,136号明細書に記載されており、トウモロコシtrpA遺伝子の発現を駆動する茎特異的プロモーター;及び国際公開第01/73087号パンフレットに開示されているケストルムイエローリーフカーリングウイルスプロモーターが挙げられ、すべての文献は、この文及び/又は段落と関連する教示のためにそれらの全体が参照により組み込まれる。
組織特異的/組織優先型プロモーターのさらなる例としては、根特異的プロモーターRCc3(Jeong et al. Plant Physiol. 153:185-197(2010))及びRB7(米国特許第5459252号明細書)、レクチンプロモーター(Lindstrom et al.(1990) Der. Genet. 11:160-167;及びVodkin(1983) Prog. Clin. Biol. Res. 138:87-98)、コーンアルコールデヒドロゲナーゼ1プロモーター(Dennis et al.(1984) Nucleic Acids Res. 12:3983-4000)、S−アデノシル−L−メチオニンシンテターゼ(SAMS)(Vander Mijnsbrugge et al.(1996) Plant and Cell Physiology, 37(8):1108-1115)、トウモロコシ光収穫複合体プロモーター(Bansal et al.(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3654-3658)、トウモロコシ熱ショックタンパク質プロモーター(O'Dell et al.(1985) EMBO J. 5:451-458;及びRochester et al.(1986) EMBO J. 5:451-458)、エンドウ小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモーター(Cashmore, “Nuclear genes encoding the small subunit of ribulose-l,5-bisphosphate carboxylase” pp. 29-39 In: Genetic Engineering of Plants(Hollaender ed., Plenum Press 1983;及びPoulsen et al.(1986) Mol. Gen. Genet. 205:193-200)、Tiプラスミドマンノピンシンターゼプロモーター(Langridge et al.(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:3219-3223)、Tiプラスミドノパリンシンターゼプロモーター(Langridge et al.(1989)、上記)、ペチュニアカルコンイソメラーゼプロモーター(van Tunen et al.(1988) EMBO J. 7:1257-1263)、マメグリシンリッチタンパク質1プロモーター(Keller et al.(1989) Genes Dev. 3:1639-1646)、トランケート型CaMV 35Sプロモーター(O'Dell et al.(1985) Nature 313:810-812)、ジャガイモパタチンプロモーター(Wenzler et al.(1989) Plant Mol. Biol. 13:347-354)、根細胞プロモーター(Yamamoto et al.(1990) Nucleic Acids Res. 18:7449)、トウモロコシゼインプロモーター(Kriz et al.(1987) Mol. Gen. Genet. 207:90-98;Langridge et al.(1983) Cell 34:1015-1022;Reina et al.(1990) Nucleic Acids Res. 18:6425;Reina et al.(1990) Nucleic Acids Res. 18:7449;及びWandelt et al.(1989) Nucleic Acids Res. 17:2354)、グロブリン−1プロモーター(Belanger et al.(1991) Genetics 129:863-872)、α−チューブリンcabプロモーター(Sullivan et al.(1989) Mol. Gen. Genet. 215:431-440)、PEPCaseプロモーター(Hudspeth & Grula(1989) Plant Mol. Biol. 12:579-589)、R遺伝子複合体関連プロモーター(Chandler et al.(1989) Plant Cell 1:1175-1183)、及びカルコンシンターゼプロモーター(Franken et al.(1991) EMBO J. 10:2605-2612)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの特定の実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、根優先型プロモーターと機能的に結合している。
種子特異的な発現に特に有用なのはエンドウビシリンプロモーター(Czako et al.(1992) Mol. Gen. Genet. 235:33-40)及び米国特許第5,625,136号明細書に開示されている種子特異的プロモーターである。
成葉における発現に有用なプロモーターは、シロイヌナズナ(Arabidopsis)由来のSAGプロモーターなどの老化の始まりに切りかわるプロモーターである(Gan et al.(1995) Science 270:1986-1988)。代表的な実施形態において、老化誘導型プロモーターは、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列と機能可能に連結されてもよい。老化誘導型プロモーターのさらなる例は、CYP82E4遺伝子由来のプロモーターである(Chakrabarti et al. Plant Mol. Biol. 66: 415-427(2008)。CYP82E4遺伝子のプロモーターは、自然老化の過程で活性化されるだけでなく、制御された老化の状態である空気乾燥の間でも極めて活性である。TSNA形成は、乾燥中に大幅に促進されるため、この期間に本発明のヌクレオチド配列(例えば、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列)が発現されるのが有利である場合もある。
さらに、プラスチドにおいて機能的なプロモーターが使用されてもよい。そのようなプロモーターの非限定的な例としては、米国特許第7,579,516号明細書に開示されているバクテリオファージT3遺伝子9 5‘UTR及びその他のプロモーターが挙げられる。本発明に有用なその他のプロモーターとしては、S−E9小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモーター及びクリニッツトリプシンインヒビター遺伝子プロモーター(Kti3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一部の実施形態において、誘導型プロモーターが使用されてもよい。このように、例えば、外来性の化学的調節因子の適用により、植物における遺伝子の発現を調節するために、化学的調節型プロモーターが使用されてもよい。化学的に調節されるプロモーターによる本発明のヌクレオチド配列の発現の調節は、作物植物が誘発化学物質を用いて処理されるときにのみ本発明のポリペプチドが合成されるのを可能にする。目的により、プロモーターは、化学的誘導型プロモーターであってもよく、この場合、化学物質の適用が遺伝子発現を誘導する、又は化学的抑制型プロモーターであってもよく、この場合、化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する。
化学的誘導型プロモーターは、当該技術分野において知られており、ベンゼンスルホンアミド除草剤毒性緩和剤によって活性化されるトウモロコシIn2−2プロモーター、発芽前処理用除草剤として使用される疎水性求電子化合物によって活性化されるトウモロコシGSTプロモーター、及びサリチル酸(例えば、PR1a系)によって活性化されるタバコPR−1プロモーター、ステロイド反応型プロモーター(例えば、Schena et al.(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 10421-10425及びMcNellis et al.(1998) Plant J. 14, 247-257のグルココルチコイド誘導型プロモーターを参照)及びテトラサイクリン誘導型及びテトラサイクリン抑制型プロモーター(例えば、Gatz et al.(1991) Mol. Gen. Genet. 227, 229-237、並びに米国特許第5,814,618号明細書及び同第5,789,156号明細書を参照)、Lacリプレッサー系プロモーター、銅誘導型系プロモーター、サリチレート誘導型系プロモーター(例えば、PR1a系)、グルココルチコイド誘導型プロモーター(Aoyama et al.(1997) Plant J. 11:605-612)、並びにエクジソン誘導型系プロモーターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
誘導型プロモーターのその他の非限定的な例としては、ABA及び膨圧誘導型プロモーター、オーキシン結合タンパク質遺伝子プロモーター(Schwob et al.(1993) Plant J. 4:423-432)、UDPグルコースフラボノイドグリコシルトランスフェラーゼプロモーター(Ralston et al.(1988) Genetics 119:185-197)、MPIプロテイナーゼインヒビタープロモーター(Cordero et al.(1994) Plant J. 6:141-150)、及びグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(Kohler et al.(1995) Plant Mol. Biol. 29:1293-1298;Martinez et al.(1989) J. Mol. Biol. 208:551-565;及びQuigley et al.(1989) J. Mol. Evol. 29:412-421)が挙げられる。ベンゼンスルホンアミド誘導型(米国特許第5,364,780号明細書)及びアルコール誘導型(国際公開第97/06269号パンフレット及び同第97/06268号パンフレット)系並びにグルタチオンS−トランスフェラーゼプロモーターも含まれる。同様に、Gatz(1996) Current Opinion Biotechnol. 7:168-172及びGatz(1997) Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 48:89-108に記載されている任意の誘導型プロモーターを使用することができる。植物における本発明のヌクレオチド配列の発現を指示するために有用なその他の化学的誘導型プロモーターは、その全体を参照によって本明細書に組み込んだものとする米国特許第5,614,395号明細書に開示されている。遺伝子発現の化学的誘導はまた、(Ciba-Geigy社の)欧州特許出願公開第0332104号明細書及び米国特許第5,614,395号明細書に詳述されている。一部の実施形態において、化学的誘導のためのプロモーターは、タバコPR−1aプロモーターであってもよい。
本明細書中で使用される場合、「発現カセット」は、所望のヌクレオチド配列を含む核酸分子(例えば、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列)を意味し、前記ヌクレオチド配列は、少なくとも調節配列(例えば、プロモーター)と機能的に結合している。このように、本発明の一部の実施形態は、本発明のヌクレオチド配列を発現させるために設計された発現カセットを提供する。この手法では、例えば、生物又はその細胞(例えば、植物、植物部位及び/又は植物細胞)における発現のための発現カセット中に、PON分解酵素をコードする1又は2以上のヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、配列番号2、及び/又は配列番号6、並びに/或いは配列番号3若しくは配列番号7のアミノ酸配列を有する1又は2以上のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列)と機能的に結合した1又は2以上の植物プロモーターが提供される。
所望のヌクレオチド配列を含む発現カセットはキメラであってもよく、これは、少なくとも1つの構成成分が少なくとも1つのその他の構成成分に対して異種であることを意味する。発現カセットは、天然に生じるものでもよいが、異種発現に有用な組み換え型として得られたものでもよい。しかしながら、一般に、発現カセットは宿主に対して異種であり、すなわち、発現カセットの特定の核酸配列は宿主細胞では本来生じないものであり、形質転換事象によって宿主細胞又は宿主細胞の祖先に導入されなければならない。
本発明のヌクレオチド配列と機能可能に連結されたプロモーターに加えて、本発明の発現カセットは、その他の調節配列も含んでもよい。本明細書中で使用される場合、「調節配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、その内部又は下流(3’非コード配列)に位置するヌクレオチド配列を意味し、これは、関連するコード配列の転写、RNAプロセシング若しくは安定性又は翻訳に影響を与える。調節配列としては、プロモーター、エンハンサー、イントロン、5’及び3’非翻訳領域、翻訳リーダー配列、終結シグナル、並びにポリアデニル化シグナル配列が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のために、調節配列又は領域は、植物、植物部位及び/又は植物細胞に固有の/それと類似のものであってもよく、並びに/或いは調節配列は、他の調節配列に固有の/類似のものであってもよい。或いは、調節配列は、植物(及び/又は植物部位及び/又は植物細胞)に対して、並びに/或いは互いに(すなわち、調節配列)異種のものであってもよい。このように、例えば、プロモーターは、プロモーターがポリヌクレオチドを得た種と異なる種由来のポリヌクレオチドと機能するよう連結される場合、異種のものであってもよい。或いは、プロモーターはまた、プロモーターがポリヌクレオチドを得たのと同じ/類似の種由来であるが、一方若しくは両方(すなわち、プロモーター及び/又はポリヌクレオチド)がそれらの元の形態及び/又はゲノムの位置から実質的に改変されている場合、並びに/或いはプロモーターが機能可能に連結されたポリヌクレオチドに対して固有のプロモーターではない場合、選択されたヌクレオチド配列と異種であってもよい。
ウイルスから得られる多くの非翻訳リーダー配列は、遺伝子発現を向上させることが知られている。具体的には、タバコモザイクウイルス(TMV:Tobacco Mosaic Virus、「ω−配列」)、トウモロコシ退緑斑紋ウイルス(MCMV:Maize Chlorotic Mottle Virus)及びアルファルファモザイクウイルス(AMV:Alfalfa Mosaic Virus)由来のリーダー配列が発現を向上させる際に効果的なことが示された(Gallie et al.(1987) Nucleic Acids Res. 15:8693-8711;及びSkuzeski et al.(1990) Plant Mol. Biol. 15:65-79)。当該技術分野において知られているその他のリーダー配列としては、ピコルナウイルスリーダー、例えば、脳心筋炎(EMCV)5’非コード領域リーダー(Elroy-Stein et al.(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6126-6130);ポティウイルスリーダー、例えば、タバコエッチウイルス(TEV:Tobacco Etch Virus)リーダー(Allison et al.(1986) Virology 154:9-20);トウモロコシ萎縮モザイクウイルス(MDMV:Maize Dwarf Mosaic Virus)リーダー(Allison et al.(1986)、上記);ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)リーダー(Macejak & Samow(1991) Nature 353:90-94);AMVのコートタンパク質mRNA由来の非翻訳リーダー(AMV RNA 4;Jobling & Gehrke(1987) Nature 325:622-625);タバコモザイクTMVリーダー(Gallie et al.(1989) Molecular Biology of RNA 237-256);及びMCMVリーダー(Lommel et al.(1991) Virology 81:382-385)が挙げられる、これらに限定されるものではない。Della-Cioppa et al.(1987) Plant Physiol. 84:965-968も参照のこと。
発現カセットはまた、植物において機能的な転写及び/又は翻訳終結領域(すなわち、終結領域)を含んでもよい。発現カセットに使用するためにさまざまな転写ターミネーターが利用可能であり、所望の異種のヌクレオチド配列を超えた転写の終結及び正確なmRNAポリアデニル化に関与する。終結領域は、転写開始領域に固有のものであってもよく、機能可能に連結された所望のヌクレオチド配列に固有のものであってもよく、植物宿主に固有のものであってもよく、又は別の供給源から得られてもよい(すなわち、プロモーター、所望のヌクレオチド配列、植物宿主、又はそれらの任意の組合せに対して外来性又は異種)。適した転写ターミネーターとしては、CaMV 35Sターミネーター、tmlターミネーター、ノパリンシンターゼターミネーター及び/又はエンドウrbcs E9ターミネーターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の発現カセットはまた、選択マーカーのためのヌクレオチド配列を含んでもよく、これは、形質転換された植物、植物部位及び/又は植物細胞を選択するために使用することができる。本明細書中で使用される場合、「選択マーカー」とは、発現すると、マーカーを発現する植物、植物部位及び/又は植物細胞に異なる表現型をもたらし、それにより、そのような形質転換された植物、植物部位及び/又は植物細胞を、マーカーを有していないものから区別することを可能にするヌクレオチド配列を意味する。そのようなヌクレオチド配列は、マーカーが選択剤(例えば、抗生物質、除草剤、又は同種のもの)を使用することによってなど化学的手段によって選択可能な形質を与えるか、又はマーカーが単にスクリーニングすることによってなど観察又は試験により特定することができる形質(例えば、R座位形質)であるかに応じて、選択マーカー又は選別マーカーのいずれかをコードしてもよい。当然、適した選択マーカーの多くの例が当該技術分野において知られており、本明細書に記載されている発現カセットに使用することができる。
選択マーカーの例としては、カナマイシン、G418、及び同種のものに対する耐性を与えるneo若しくはnptIIをコードするヌクレオチド配列(Potrykus et al.(1985) Mol. Gen. Genet. 199:183-188);ホスフィノトリシンに対する耐性を与えるbarをコードするヌクレオチド配列;グリホセートに耐性を与える改変された5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェート(EPSP:5-enolpyruvylshikimate-3-phosphate)シンターゼをコードするヌクレオチド配列(Hinchee et al.(1988) Biotech. 6:915-922);ブロモキシニルに対する耐性を与えるクレブシエラ・オザエナエ(Klebsiella ozaenae)由来のbxnなどニトリラーゼをコードするヌクレオチド配列(Stalker et al.(1988) Science 242:419-423);イミダゾリノン、スルホニルウレア若しくはその他のALS阻害化学物質に対する耐性を与える改変されたアセト乳酸シンターゼ(ALS:acetolactate synthase)をコードするヌクレオチド配列(欧州特許出願公開第154204号明細書);メトトレキセート耐性ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR:dihydrofolate reductase)をコードするヌクレオチド配列(Thillet et al.(1988) J. Biol. Chem. 263:12500-12508);ダラポンに対する耐性を与えるダラポンデハロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列;マンノースを代謝する能力を与えるマンノース−6−リン酸イソメラーゼ(ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI:phosphomannose isomerase)とも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列(米国特許第5,767,378号明細書及び同第5,994,629号明細書);5−メチルトリプトファンに対する耐性を与える改変されたアントラニル酸シンターゼをコードするヌクレオチド配列;及び/又はハイグロマイシンに対する耐性を与えるhphをコードするヌクレオチド配列が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者は、本発明の発現カセットに使用するのに適した選択マーカーを選択することができる。
さらなる選択マーカーとしては、さまざまな発色基質の既知の酵素をコードするβ−グルクロニダーゼ若しくはuidA(GUS)をコードするヌクレオチド配列;植物組織におけるアントシアニン色素(赤色)の産生を調節する生成物をコードするR座位ヌクレオチド配列(Dellaporta et al., “Molecular cloning of the maize R-nj allele by transposon-tagging with Ac,” pp. 263-282 In: Chromosome Structure and Function: Impact of New Concepts, 18th Stadler Genetics Symposium(Gustafson & Appels eds., Plenum Press 1988));さまざまな発色基質の既知の酵素、β−ラクタマーゼをコードするヌクレオチド配列(例えば、PADAC、発色性セファロスポリン)(Sutcliffe(1978) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:3737-3741);カテコールジオキシゲナーゼをコードするxylEをコードするヌクレオチド配列(Zukowsky et al.(1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:1101-1105);チロシンを後に縮合してメラニンを形成するDOPA及びドパキノンに酸化することができる酵素、チロシナーゼをコードするヌクレオチド配列(Katz et al.(1983) J. Gen. Microbiol. 129:2703-2714);発色基質がある酵素、β−ガラクトシダーゼをコードするヌクレオチド配列;生物発光検出を可能にするルシフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(lux)(Ow et al.(1986) Science 234:856-859);カルシウム感受性生物発光検出に利用することができるエクオリンをコードするヌクレオチド配列(Prasher et al.(1985) Biochem. Biophys. Res. Comm. 126:1259-1268);又は緑蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列(Niedz et al.(1995) Plant Cell Reports 14:403-406)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者は、本発明の発現カセットに使用するのに適した選択マーカーを選択することができる。
本発明の発現カセットはまた、その他の所望の形質をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。そのような所望の形質は、病気及び/又は昆虫耐性、除草剤耐性、非生物的ストレス耐性又は抵抗性並びに同種のものなどの農学上望ましいさまざまな形質を与えるその他のヌクレオチド配列であってもよい。そのようなヌクレオチド配列は、所望の表現型を有する植物、植物部位又は植物細胞を作り出すためにヌクレオチド配列の任意の組合せと重ねられてもよい。重ねられる組合せは、任意の従来の方法論による植物の異種交配を含むが、それらに限定されるものではない任意の方法によって、又は遺伝学的形質転換によって作り出されてもよい。植物を遺伝学的に形質転換することによって重ねられる場合、付加的な所望の形質をコードするヌクレオチド配列は、任意の時期に任意の順序で組み合わされてもよい。例えば、1又は2以上の所望の形質を含むトランスジェニック植物は、その後の形質転換によってさらなる形質を導入する標的として使用されもよい。発現カセットの任意の組合せによってもたらされる追加のヌクレオチド配列は、共形質転換において本発明のヌクレオチド配列、核酸分子、核酸構築物、及び/又は組成物と同時に導入されてもよい。例えば、2つのヌクレオチド配列が導入される場合、それらは、個別のカセット(トランス)に組み込まれてもよく、又は同じカセット(シス)に組み込まれてもよい。ヌクレオチド配列の発現は、同じプロモーターによって、又は異なるプロモーターによって駆動されてもよい。ヌクレオチド配列は、部位特異的な組み換え系を使用して所望のゲノム位置に重ねられてもよいことがさらに認識される。例えば、国際公開第99/25821号パンフレット、同第99/25854号パンフレット、同第99/25840号パンフレット、同第99/25855号パンフレット及び同第99/25853号パンフレットを参照のこと。
発現カセットに加えて、本明細書に記載されている核酸分子及びヌクレオチド配列は、ベクターとともに使用することができる。「ベクター」という用語は、核酸(若しくは核酸)を細胞に移行、送達又は導入するための組成物を指す。ベクターは、移行、送達又は導入対象のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。植物及びその他の生物の形質転換に使用するためのベクターは、当該技術分野において周知である。ベクターの一般的なクラスの非限定的な例としては、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミド、フォスミド、バクテリオファージ、又は人工染色体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ベクターの選択は、好適な形質転換技術及び形質転換の標的の種により決まることになる。したがって、さらなる実施形態において、本発明の組み換え核酸分子が組み換えベクター内に含まれてもよい。ベクターのサイズは、(例えば、分子スタッキングのため)ベクターが1つの又は複数の発現カセットを含むかどうかにより大幅に変化する可能性がある。それにより、ベクターサイズは、約3kb〜約30kbの範囲になる場合がある。このように、一部の実施形態において、ベクターのサイズは、約3kb、4kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、11kb、12kb、13kb、14kb、15kb、16kb、17kb、18kb、19kb、20kb、21kb、22kb、23kb、24kb、25kb、26kb、27kb、28kb、29kb、30kb、40kb、50kb、60kb、及び同種のもの又はその間の任意の範囲である。いくつかの特定の実施形態において、ベクターのサイズは、約3kb〜約15kbであってもよい。
本発明は、植物におけるPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の少なくとも1つの単離された核酸分子又は核酸構築物の発現が、前記分離された核酸分子若しくは核酸構築物を含まない植物と比較して、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有する植物をもたらすことができるという発見に部分的に導かれる。このように、本発明の一部の実施形態において、トランスジェニック植物細胞を作製する方法であって、植物細胞に本発明の単離された核酸分子/構築物を導入し、それにより、前記核酸分子/構築物を含まない植物細胞から再生された植物と比較して、低減したPON及び/又はNNK含有量を有するトランスジェニック植物を再生することができるトランスジェニック植物細胞を作製するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態において、本トランスジェニック植物細胞は、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の本発明の核酸分子/ヌクレオチド配列を含む。このように、本発明の一部の態様において、本トランスジェニック植物、又はその部位は、1又は2以上の本発明の単離された核酸分子/コンストラクトを含み、発現させ、それにより、前記植物細胞及び再生されたトランスジェニック植物において低減されたPON及び/又はNNK含有量をもたらす本発明の1又は2以上のポリペプチドを産生し、前記再生されたトランスジェニックタバコ植物から得られるタバコ製品は、低減されたPON及び/又は低減されたNNK含有量を有する。
所望のヌクレオチド配列(例えば、本発明の核酸分子/構築物/発現カセット)と関連した「導入すること」とは、ヌクレオチド配列が細胞の内側へ到達するような様式で所望のヌクレオチド配列を植物、植物部位、及び/又は植物細胞に与えることを意味する。2つ以上のヌクレオチド配列が導入される場合、これらのヌクレオチド配列は、1つのポリヌクレオチド若しくは核酸構築物の一部として、又は個別のポリヌクレオチド若しくは核酸構築物として構築されてもよく、同じか、又は異なる形質転換ベクターに配置されてもよい。したがって、これらのポリヌクレオチドは、植物細胞に1つの形質転換事象で、個別の形質転換事象で、又は例えば、育種プロトコルの一部として導入されてもよい。このように、「形質転換」という用語は、本明細書中で使用される場合、異種核酸の細胞への導入を指す。細胞の形質転換は、安定であってもよく、又は一過性であってもよい。このように、一部の実施形態において、本発明の植物、植物部位又は植物細胞は、本発明の核酸分子により安定して形質転換される。他の実施形態において、本発明の植物、植物部位又は植物細胞は、本発明の核酸分子により一時的に形質転換される。
ポリヌクレオチドと関連した「一過性の形質転換」とは、ポリヌクレオチドが細胞に導入されるが、細胞のゲノムには組み込まれないことを意味する。
細胞に導入されるポリヌクレオチドと関連した「安定して導入すること」又は「安定して導入される」とは、導入されたポリヌクレオチドが細胞のゲノムに安定して組み込まれ、それにより、細胞がポリヌクレオチドにより安定して形質転換されることが意図される。
「安定した形質転換」又は「安定して形質転換される」とは、本明細書中で使用される場合、核酸が細胞に導入され、細胞のゲノムに組み込まれることを意味する。したがって、組み込まれた核酸がその後代によって、より特には、複数の後に続く世代の後代によって受け継がれ得る。「ゲノム」は、本明細書中で使用される場合、核及びプラスチドゲノムも含み、ゆえに、核酸の例えば、クロロプラストゲノムへの組込みを含む。安定した形質転換は、本明細書中で使用される場合、染色体外に、例えば、ミニ染色体として保持される導入遺伝子を指す場合もある。
一過性の形質転換は、例えば、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)又はウェスタンブロットによって検出することができ、これは、生物に導入された1又は2以上の導入遺伝子によってコードされるペプチド又はポリペプチドの存在を検出することができる。細胞の安定した形質転換は、例えば、生物(例えば、植物)に導入された導入遺伝子のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸配列を有する細胞のゲノムDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションアッセイによって検出することができる。細胞の安定した形質転換は、例えば、植物又はその他の生物に導入された導入遺伝子のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸配列を有する細胞のRNAのノーザンブロットハイブリダイゼーションアッセイによって検出することができる。細胞の安定した形質転換はまた、例えば、導入遺伝子の標的配列とハイブリダイズし、結果として導入遺伝子配列が増幅される特異的なプライマー配列を使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は当該技術分野において周知である他の増幅反応によって検出することができ、これは、標準的な方法に従って検出することができる。形質転換はまた、当該技術分野において周知の直接的配列決定及び/又はハイブリダイゼーションプロトコルによって検出することができる。
本発明の核酸分子(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号6の1又は2以上のヌクレオチド配列或いは配列番号3、配列番号7のいずれか1つのアミノ酸配列を有する1又は2以上のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む)は、当業者に知られている任意の方法によって細胞に導入されてもよい。
本発明の一部の実施形態において、細胞の形質転換は、核形質転換を含む。他の実施形態において、細胞の形質転換は、プラスチド形質転換(例えば、クロロプラスト形質転換)を含む。
植物を形質転換するための手順は、当該技術分野において周知であり、定型化されており、文献全体をとおして記載されている。植物の形質転換のための方法の非限定的な例としては、細菌が媒介する核酸送達(例えば、アグロバクテリウムにより)、ウイルスが媒介する核酸送達、炭化ケイ素若しくは核酸ウィスカーが媒介する核酸送達、リポソームが媒介する核酸送達、マイクロインジェクション、微粒子銃による形質転換、リン酸カルシウムによる形質転換、シクロデキストリンが媒介する形質転換、エレクトロポレーション、ナノ粒子が媒介する形質転換、超音波処理、浸透、PEGが媒介する核酸取り込み、並びに植物細胞への核酸の導入をもたらすそれらの任意の組合せを含む任意のその他の電気的、化学的、物理的(機械的)及び/又は生物学的メカニズムが挙げられる。当該技術分野において知られている各種植物形質転換方法に対する一般的な手引きとしては、Mikiら(“Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants” in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Glick, B. R. and Thompson, J. E., Eds.(CRC Press, Inc., Boca Raton, 1993), pages 67-88)及びRakowoczy-Trojanowska(Cell. Mol. Biol. Lett. 7:849-858(2002))が挙げられる。
高い形質転換効率及び多くの異なる種に対するその広い有用性のため、アグロバクテリウムが媒介する形質転換は、一般的に植物、特に、双子葉植物を形質転換するために使用される方法である。アグロバクテリウムが媒介する形質転換は、一般に所望の外来DNAを持つバイナリーベクターの適したアグロバクテリウム菌株への移行を含み、バイナリーベクターは、共在するTiプラスミドに、又は染色体のいずれかで宿主アグロバクテリウム菌株が持つvir遺伝子の補完に依存する場合もある(Uknes et al.(1993) Plant Cell 5:159-169)。組み換えバイナリーベクターのアグロバクテリウムへの移行は、組み換えバイナリーベクターを持つ大腸菌(Escherichia coli)、組み換えバイナリーベクターを標的アグロバクテリウム菌株に動員することができるプラスミドを持つヘルパー大腸菌株を使用した三親接合法によって達成することができる。或いは、組み換えバイナリーベクターは、核酸形質転換によってアグロバクテリウムに移行されてもよい(Hofgen & Willmitzer(1988) Nucleic Acids Res. 16:9877)。
組み換えアグロバクテリウムによる植物の形質転換は、一般に植物の外植体とのアグロバクテリウムの共存培養を含み、当該技術分野において周知の方法に従う。対のプラスミドT−DNAボーダーの間に抗生物質又は除草剤耐性マーカーを持つ形質転換された組織は、選択培地において再生される。
植物、植物部位及び/又は植物細胞を形質転換するための別の方法は、植物組織及び細胞において不活性又は生物学的に活性な粒子を挿入することを含む。例えば、米国特許第4,945,050号明細書、同第5,036,006号明細書、及び同第5,100,792号明細書を参照のこと。一般に、この方法は、植物細胞において不活性又は生物学的に活性な粒子を細胞の外側表面に浸透させ、その内側へ取り込ませるのに効果的な条件下で挿入することを含む。不活性粒子が利用される場合、ベクターは、所望の核酸を含むベクターで粒子をコーティングすることによって細胞に導入されてもよい。或いは、ベクターが粒子に続いて細胞に運ばれるように1つ又は複数の細胞がベクターによって取り囲まれていてもよい。生物学的に活性な粒子(例えば、それぞれが導入されようとする1又は2以上の核酸を含む乾燥した酵母菌細胞、乾燥した細菌又はバクテリオファージ)もまた、植物組織に挿入されてもよい。
したがって、本発明の特定の実施形態において、植物細胞は、当該技術分野において知られている任意の方法によって、本明細書に記載されるとおりに形質転換されてもよく、さまざまな既知の任意の技術を使用して形質転換されたこうした細胞から完全な植物を再生することができる。植物細胞、植物組織培養物及び/又は培養プロトプラストからの植物再生については、例えば、Evansら(Handbook of Plant Cell Cultures, Vol. 1, MacMilan Publishing Co. New York(1983));及びVasil I. R.(ed.)(Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants, Acad. Press, Orlando, Vol. I(1984), and Vol. II(1986))に記載されている。形質転換されたトランスジェニック植物、植物細胞及び/又は植物組織培養物を選択する方法は、当該技術分野において定型化されており、本明細書において提供される本発明の方法に利用されてもよい。
同様に、上記の本発明のトランスジェニックの種子、植物、植物部位、及び/又は植物細胞に操作して入れた遺伝的特性は、有性生殖又は栄養生長によって遺伝することが可能で、その結果、後代植物に保持及び伝播され得る。一般に、維持及び繁殖は、収穫、播種又は耕耘などの特定の目的に適合させるよう開発された既知の農業法を利用する。
したがって、ヌクレオチド配列は、当該技術分野において周知のいくつの方法でタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞に導入されてもよい。本発明の方法は、1又は2以上のヌクレオチド配列を植物に導入するための特定の方法に依存せず、それは、1又は2以上のヌクレオチド配列が、植物の少なくとも1つの細胞の内側へのアクセスを得るに過ぎない。2つ以上のヌクレオチド配列が導入される場合、これらは、1つの核酸構築物の一部として、又は個別の核酸構築物として構築されてもよく、同じか、又は異なる核酸構築物に配置されてもよい。したがって、ヌクレオチド配列は、所望の細胞に1つの形質転換事象で、個別の形質転換事象で、又は例えば、植物における育種プロトコルの一部として導入されてもよい。
このように、追加の実施形態において、本発明は、低減されたPON含有量及び/又は低減されたNNK含有量を有するタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製する方法であって、本発明の前記タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞に1又は2以上の核酸分子を導入して、トランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製するステップを含み、トランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞は、本発明の前記核酸構築物をそのゲノムに含み、それにより、前記核酸構築物を含まない対照タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞と比較して、低減されたPON含有量及び/又は低減されたNNK含有量を有するタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製する、方法を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、低減されたPON含有量及び/又は低減されたNNK含有量を有するタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製する方法であって、タバコ植物細胞に本発明の核酸分子を導入し、本発明の前記核酸構築物をそのゲノムに含むトランスジェニックタバコ植物細胞を作製するステップ、及び前記トランスジェニックタバコ植物細胞をタバコ植物及び/又は植物部位に再生して、前記核酸構築物を含むトランスジェニックタバコ植物及び/又は植物部位を作製し、それにより、前記核酸構築物を含まない対照タバコ植物及び/又は植物部位と比較して、低減されたPON含有量及び/又は低減されたNNK含有量を有するタバコ植物及び/又は植物部位を作製するステップを含む、方法を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞中のPON及び/又はNNK含有量を低減する方法であって、タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞に1又は2以上の本発明の核酸構築物を導入して、前記核酸構築物を含むトランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製し、それにより、前記核酸構築物により形質転換されていない対照タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞と比較して、前記トランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞中のPON及び/又はNNK含有量を低減するステップを含む、方法を提供する。
追加の実施形態において、タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞中のPON及び/又はNNK含有量を低減する方法であって、タバコ植物細胞に本発明の核酸構築物を導入して、前記核酸構築物を含むトランスジェニックタバコ植物細胞を作製するステップ、及び前記トランスジェニックタバコ植物細胞を再生して、前記核酸構築物を含むトランスジェニックタバコ植物を作製し、それにより、前記核酸構築物により形質転換されていない対照タバコ植物と比較して、前記トランスジェニックタバコ植物中のPON及び/又はNNK含有量を低減するステップを含む、方法が提供される。
よりさらなる態様において、本発明は、PON及び/又はNNK含有量が低減されたタバコ製品を製造する方法であって、タバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞にPON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1又は2以上の異種核酸分子を導入し、それにより、前記1又は2以上の異種核酸分子により形質転換されていないタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞と比較して、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有するトランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞を作製するステップ、及び前記トランスジェニックタバコ植物、植物部位及び/又は植物細胞からタバコ製品を製造するステップを含み、タバコ製品は、前記1又は2以上の異種核酸分子により形質転換されていない植物、植物部位及び/又は植物細胞から製造されたタバコ製品と比較して、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有する、方法を提供する。
PON含有量及びNNK含有量を測定するための手順は周知であり、当該技術分野において定型化されており、文献全体をとおして記載されている。PON含有量を測定するための方法の非限定的な例としては、Wei(Studies on the biosynthesis and metabolites of pyridine alkaloids in Nicotiana species. Ph.D. Thesis. Univ. of Kentucky(2000))において提供されているようなような方法が挙げられる。その他の方法は、legacy.library.ucsf.edu/tid/zcx53d00/pdfの「レガシー文書」に記載されている。Hechtらは、(アミノケトンと称される)PONを分析するさらなる方法を提供している(Proc. Natl. Acad. Sci. 97(23):12493-12497(2000))。
NNKを含むTSNA含有量を測定するための方法は当該技術分野において周知であり、例えば、ガスクロマトグラフィー・質量分析に基づくアッセイ及び液体クロマトグラフィー・質量分析に基づくその他のアッセイを含む(例えば、Lewis et al.(Plant Biotech. J. 6:346-354(2008)を参照)。
本発明のさらなる態様は、1又は2以上の本発明の異種核酸分子及び/又は(例えば、PON分解酵素をコードする)ヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む形質転換された非ヒト宿主細胞及び形質転換された非ヒト細胞を含む形質転換された非ヒト生物を提供する。一部の実施形態において、形質転換された非ヒト宿主細胞としては、以下に限定されるものではないが、形質転換された細菌細胞、及び/又は形質転換された植物細胞が挙げられる。したがって、一部の実施形態において、形質転換された非ヒト宿主細胞を含む形質転換された非ヒト生物としては、以下に限定されるものではないが、形質転換された細菌、及び/又は形質転換された植物が挙げられる。
いくつかの特定の実施形態において、本発明は、本発明の核酸分子を含むトランスジェニック植物細胞及び/又は前記トランスジェニック植物細胞から再生されたトランスジェニック植物を提供する。したがって、本発明の一部の実施形態において、低減されたPON及び/又はNNK含有量を有するトランスジェニック植物が提供され、前記トランスジェニック植物は、少なくとも1つの本発明の単離された核酸分子/核酸構築物を含むトランスジェニック植物細胞から再生される。
本発明の追加の態様は、本発明のトランスジェニック植物及び/又はその部位から産生された収穫産物、並びに前記収穫産物から製造された加工製品(例えば、タバコ製品)を含む。収穫産物は、植物全体であっても、又は任意の植物部位であってもよく、前記収穫産物は、本発明の組み換え核酸分子/構築物を含む。したがって、一部の実施形態において、収穫産物の非限定的な例としては、種子、果実、花若しくはその一部(例えば、葯、柱頭、及び同種のもの)、葉、茎、前記植物及び/又は植物部位からの抽出物、並びに同種のものが挙げられる。
「タバコ製品」とは、ニコチアナ植物によって産生された材料を含む製品を指す。一部の実施形態において、タバコ製品としては、以下に限定されるものではないが、本発明のタバコ植物から生産された乾燥したタバコ葉(例えば、PON分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含むタバコ植物)が挙げられる。乾燥した葉の異なるタイプの非限定的な例としては、熱風乾燥、空気乾燥、直火乾燥及び天日乾燥したものが挙げられる。他の実施形態において、タバコ製品は、発酵したタバコ製品であってもよい。発酵したタバコ製品としては、無煙製品(例えば、トローチ、パッチ、ガム、電子タバコ、及び同種のもの)に使用されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
タバコ製品のさらなる非限定的な例としては、禁煙のためのニコチンガム及びパッチ、膨張され(膨らませ)再構成されたタバコを含む紙巻きタバコ、葉巻タバコ、パイプタバコ、シガレット、葉巻、並びに噛みタバコ、嗅ぎタバコ、スヌース及びトローチなどの無煙タバコのすべての形態が挙げられる。「シガレット」としては、電子タバコ及びタバコを燃焼させるのではなくタバコを加熱するシガレット様デバイスである「加熱式」製品が挙げられる。
このように、追加の実施形態において、本発明は、トランスジェニックタバコ植物、植物部位、植物細胞、及び/又はその後代植物から製造された、低減された量のPON及び/又はNNKを有するタバコ製品を提供する。タバコ製品は、本発明のタバコ植物、植物部位又は植物細胞を使用して製造されたあらゆる製品であってもよい。したがって、タバコ製品は、葉タバコ、刻みタバコ、カットタバコ、粉砕タバコ、粉末タバコ、タバコ抽出物、無煙タバコ、湿性若しくは乾燥嗅ぎタバコ、クレテック、パイプタバコ、葉巻タバコ、シガリロタバコ、紙巻きタバコ、噛みタバコ、ビーディ、ビッツ、及びタバコ含有ガム、トローチ、又はそれらの任意の組合せであってもよい。他の実施形態において、タバコ製品は、シガレット(電子タバコを含む)、シガリロ、非通気式リセスフィルターシガレット、通気式リセスフィルターシガレット、葉巻、嗅ぎタバコ、噛みタバコ、又はそれらの任意の組合せであってもよい。一部の実施形態において、本発明のトランスジェニックタバコ植物、植物部位又は植物細胞から産生されるタバコ抽出物であって、そのような抽出物から精製されたニコチンを含むタバコ抽出物が電子タバコに使用されてもよい。
ここで、本発明を以下の実施例を参照して記載する。これらの実施例は、本発明に対する請求項の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ特定の実施形態の具体例であることが意図されることが理解されるべきである。例示された方法の当業者が考えつくあらゆる変形は、本発明の範囲内にあることが意図される。
[実施例]
PAO構築物の生成
シュードモナスHZN6 PAOヌクレオチド配列をタバコにおける発現のために最適化された様式で委託合成した(GenScript社、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)。例えば、タバコに好ましいコドンに最適化する、隠れたスプライシング部位及び未成熟なポリA部位を除去する、全体的なGC含有量を最適化する、並びにRNA不安定モチーフを除去するために遺伝子全体にわたってヌクレオチド置換を行った。さらに、5’及び3’非翻訳領域(UTR)に見られる調節及び/又はmRNA安定モチーフが原核生物と真核生物の間で大きく異なるならば、転写安定性及び機能をさらに向上させるために、タバコCYP82E10遺伝子由来の5’及び3’UTR配列を含むようPAO配列も操作した(Lewis et al., Phytochemistry 71:1988-1998(2010))。このベクター内のGUSレポーター遺伝子を、最適化したPAOヌクレオチド配列で置き換えることによって、最適化したPAOヌクレオチド配列を植物発現ベクターpBI121にクローン化し、それにより、それをカリフラワーモザイクウイルス(CaMV:Cauliflower Mosaic Virus)の強力な構成型35Sプロモーターの転写制御下に置く、転写終結及びポリアデニル化はアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のノパリンシンターゼ遺伝子由来のnos終結モチーフによって媒介される(Chen et al. Mol. Breed. 11:287-293(2003))。35S:PAOと呼ぶこの構築物の設計は、細胞のサイトゾル内におけるPAO酵素の合成を促進することが予想される。
PONの細胞内局在は知られていないが、主なタバコアルカロイドであるニコチンは主に大きな中央液胞内に貯蔵される。PONの大部分が液胞中に隔離される場合、その結果、PAOのこの細胞小器官への標的化は、酵素のサイトゾル局在よりも好ましい場合もある。PAOの液胞への移行をもたらすために、BBLaの最初の50アミノ酸をコードする配列がPAOの5’末端に融合された追加の構築物を作製した。BBLaは、タバコアルカロイド生合成の遅い段階に関与する液胞に局在するベルベリン架橋様酵素であるが、その触媒特性がさらに定義された(Kajikawa et al. Plant Physiol. 155:2010-2022(2011))。Kajikawaらによるこの同じ報告において、BBLaの最初の50アミノ酸のGFPレポータータンパク質との連結がGFPをタバコ細胞の液胞に輸送するために十分であることが示された。BBLa N末端/PAO融合タンパク質をコードする配列をpBI121にクローン化し、その構築物を35S:BBLvac−PAOとした。35S:PAOと同様に、35S:BBLvac−PAO構築物の3’−UTR配列はCYP82E10に由来したが、5’−UTRは天然のBBLa遺伝子のものに対応する。最後に、BBLaの完全長cDNAもpBI121にクローン化し、35S:BBLaとした。この研究に使用した構築物のそれぞれのヌクレオチド配列及び予想されるタンパク質配列を付属書類に示す。
形質転換
構築物35S:PAO、35S:BBLvac−PAO、及び35S:BBLaをアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌株GV3101に移行させ、それを、その後、標準的なアグロバクテリウムが媒介する形質転換プロトコルを使用してバーリー(TN90 SRC)及び熱風乾燥した(K326 SRC)タバコ栽培変種の両方に導入した(Horsch et al., 1985)。ベクター対照として、これらの同じタバコ系統も、同じpBI121ベクター骨格内の老化誘導型プロモーターの転写制御下でGUSレポーター遺伝子を含む構築物により形質転換した(E4:GUS)。T0世代トランスジェニック植物を、PONを代謝する能力をアッセイする前に7〜10葉の段階(約5〜6インチの高さ)まで土壌で栽培した。
PON分析
研究室環境で栽培した若いタバコ植物は、商業的栽培下において大きな畑で栽培した植物よりもはるかに少ないアルカロイドしか産生しない。したがって、これらの材料中の内在性PONを検出し、定量するには、商業的栽培植物に使用される方法と異なる方法が必要とされる。それゆえに、導入遺伝子のいずれかがタバコ細胞の環境内で発現したときにPONを代謝することができる酵素を産生できるかどうかを判定するための代替的方法として切断葉アッセイを使用した。切断葉アッセイでは、安定な同位元素である重水素で標識したPON[4−(メチル−d3−アミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン;Toronto Research Chemicals社]を蒸散流により葉に導入した。さまざまな独立したT0トランスジェニック植物の1〜4gの範囲の生体重の個々の葉を葉柄の基部でカミソリの刃により切り取り、10mMのリン酸バッファー中のd3−PONの0.4mM溶液を1ml(pH7.4)入れてある円錐形の容器に直ちに移した。その切断葉を室温において光の下で、大半の溶液が取り込まれるまで(一般に1.5〜2.5時間の間)インキュベートした。その後、75mlのリン酸バッファーを添加し、さらに24時間のインキュベーション時間を続けた。それぞれの葉を、その後、65℃で一晩乾燥し、微細な粉末に粉砕し、Weiのプロトコル(Studies on the biosynthesis and metabolites of pyridine alkaloids in Nicotiana species. Ph.D. Thesis. Univ. of Kentucky(2000))に従ってd3−PONについて分析した。
切断葉アッセイの結果を下の表1に示す。d3−PONの取り込みが100%の効率だっただと仮定すれば、それぞれ葉は100μgのd3−PONを取り込んだことになる。実験の終了までの対照E4:GUS構築物を含む植物の葉のd3−PON含有量は、14.0〜48.5μgのd3−PONに及び、平均してK326 SRCバックグラウンドで32.9μg及びTN90 SRCで20.2μgであった。同様に、35S:BBLa構築物を含む葉は17.9〜45.0μgの間のd3−PONに保持され、平均してK326 SRCで28.5μg及びTN90 SRCで35.1μgであった。35S:PAO導入遺伝子を持つ葉は、特に広い範囲のd3−PONレベルを示し、4つの植物がベクター対照及び35S:BBLa植物のレベルと同様のd3−PONレベルを示しており(679/35S:PAO−#5、679/35S:PAO−#3、678/35S:PAO−#6及び678/35S:PAO−#12)、残りの6つは、最も少ない量のd3−PONを有する対照植物で観察されたよりも低いd3−PONレベルを含む。すべての独立したT0個体にわたって、35S:PAO構築物を含む植物は、K326 SRCで平均14.0μgのd3−PON及びTN90 SRCで10.6μgのd3−PONであった。驚くべきことに、35S:BBLvac−PAO構築物を含むすべての9つのT0植物の葉は、最も低い対照又は35S:BBLa植物よりも低いd3−PONレベルを有しており、9つの葉のうちの8つが0.7μg未満のd3−PONを含んでいた。対照的に、葉が対照よりも少ないd3−PONを含んでいた6つの35S:PAO植物のうち、1つだけが0.7μg未満のd3−PONを有していた(679/35S:PAO−#16)。全体的に、K326 SRCトランスジェニックのものの葉におけるd3−PONの量は、平均1.8μgであった一方で、TN90 SRCにおける平均はわずか0.2μgであった。35S:BBLvac−PAOトランスジェニックタバコ植物の観察された結果は、ゲノムの挿入部位(位置効果)及び導入遺伝子コピー数などの要素変動のため独立したT0植物が一般に広い範囲の導入遺伝子の転写表現型を示すことを考えれば特に注目すべきである。本発明者らの結果は、35S:BBLvac−PAO遺伝子産物の活性が容易に飽和状態にされること、及び有効であるためにこの構築物が高レベルで発現される必要はないことを示唆する。
これらの実施例から、タバコの細胞環境内でシュードモナス菌株HZN6のPAO遺伝子を発現させることが、こうした植物中のPONの分解につながる可能性があることは明らかである。PAOの液胞への局在化を促進するために設計された構築物を使用することが、PAOが媒介するPON代謝の効率を高めることも明らかである。本発明のいかなる特定の理論によっても限定されることを望まないが、この観察結果の2つの真実味のある説明としては、以下が挙げられる:(1)、液胞に局在するPAOがおそらくこの細胞小器官に貯蔵される化合物であるPONのすぐ近くにこの酵素を置く;及び/又は(2)、サイトゾルに局在する場合よりも液胞内(例えば、タンパク質分解のターンオーバーを受けにくい)におけるPAO酵素自体の安定性が大きい可能性もある。最後に、緑のタバコ葉及び乾燥したタバコ葉が、乾燥した葉で見られるNNKに相当する十分な量のPONを有するという観察結果と結びつけて、PONがNNKの生成において直接のアルカロイド前駆体として働く可能性があることを考えれば(Wei, Studies on the biosynthesis and metabolites of pyridine alkaloids in Nicotiana species. Ph.D. Thesis. Univ. of Kentucky(2000))、ここで記載したPAOを発現するトランスジェニック植物は、乾燥した葉において従来のタバコ植物と比較して、実質的に低減されたNNK表現型を示すはずである。
T0トランスジェニック植物の分析
PAOをコードする構築物の発現が乾燥したタバコ葉中におけるNNKの生成を減少させることができることを立証するために、K326 SRCバックグラウンドの追加のT0個体を畑に移植した。導入遺伝子の発現が35S CaMVプロモーターによって駆動された表1に示した構築物に加えて、CYP82E4(E4)プロモーターの転写制御下のPAOを発現するトランスジェニック植物及びBBLvac−PAO構築物もこの研究に含まれた。自然老化及び乾燥の両方の過程においてE4プロモーターは強力に誘導されるため、35Sプロモーターを使用して可能と予想されるよりも、TSNA生成が生じるときにさらに近い時期にさらに高いレベルの導入遺伝子の発現をもたらす可能性があると予想される(Chakrabarti et al, 2008 Plant Mol. Biol. 66: 415-427)。すべての構築物を、少なくとも6つの個々のT0植物によって表した。E4:GUSレポーターにより形質転換された植物を対照とした。植物が栽培される畑は、標準的な産業実務に従って肥料を施し、追肥した。完全に生長したとき、それぞれの植物の中間の軸より上の位置の2つの葉を切り取り、約3日間熱風乾燥した。乾燥過程におけるTSNA生成の不確定性及び変動性のため、TSNA産生を促進するために乾燥期間中にNOxガスを乾燥チャンバーに加えた。
実地研究のニコチン及びTSNA分析の結果を図3に示す。PAO構築物を持つそれぞれの遺伝子型群のNNK濃度は、対照遺伝子型と比較して、有意に低下した(P<0.05)。E4:GUS対照植物は平均してNNKが0.115μg/gであったのに対し、PAO遺伝子を含む遺伝子型は平均してNNKが0.052〜0.083μg/gの間であり、これは、対照植物において観察されたものから55%〜28%の範囲でNNKが低減したことを示す。対照的に、E4:GUS対照遺伝子型とPAO構築物を含む遺伝子型群のいずれかの間のニコチン又はNAT含有量に統計学的に有意差はなかった。NNN濃度も、35S:BBLvac−PAO構築物を含む植物を除くすべての遺伝子型の間で類似していた。理由は明らかでないが、この群のNNNは予想外に低かった。NAB測定はこれらのサンプルの検出のレベルちょうど又はそれより低かったため提示しない。累積的に、図3に示した結果は、PAO導入遺伝子が、乾燥した葉中におけるNNK生成の特異的な低減をもたらすことができることを示唆する。
PONの細胞外マトリックス結合プールを標的とするタバコ植物の生成
表1に示した切断葉アッセイの結果は、サイトゾル及び/又は液胞におけるPAOの発現は、蒸散流により外因的に供給されたd3−PONを代謝することができることの有力な証拠を提供する。さらに、実地研究の結果(図3)は、この手法でのPAOの発現が熱風乾燥した葉中のNNKの低減につながる可能性があることを示唆する。
Lang及びVuarnozの最近の原稿(J. Nat. Prod. 78(1):85-92 (2015))において、葉のNNK及びそのアルカロイド前駆体(PONであると推測される)の大きな割合が細胞壁ときつく結合していることを発見したことが報告された。Lang及びVuarnozは、具体的に細胞壁のリグニン部分を「マトリックス結合NNK」及びその前駆体の場所として関係づけた。アッセイした空気乾燥したバーリータバコ中において、葉のNNKの77%が細胞外マトリックスと結合していることがわかり、熱風乾燥したタバコ中のこの割合は53%であった(Lang and Vuarnoz, 2015)。両方の場合において、残りのNNKは可溶性であり、細胞内部分に相当する可能性があった。
サイトゾル又は液胞を標的としたPAO酵素は可溶性のPONの細胞内プールを代謝することができる可能性があるが、(アポプラストとも呼ばれる)細胞外空間に局在するPONのプールにアクセスし、それを分解することができることは予想されないと予想される。PAO活性をアポプラストに向け直すことにより、マトリックス結合PON部分に酵素がアクセスするのを可能にし、それにより、PAOをサイトゾル及び/又は液胞に導くことによって達成され得るよりもNNK合成を低下させるさらなる手段となると予想される。タンパク質をアポプラストに導くことは、タンパク質のN末端側に切断可能なシグナル配列を配置することにより起こし、そのタンパク質の小胞体(ER)の通過を指示することができ、それにより、タンパク質を分泌経路に導入する。液胞への局在化又はER若しくはゴルジ内での保留のいずれかを促進する付加的なシグナルの非存在下では、分泌経路を通して誘導されるタンパク質は、一般に「デフォルト経路」によってアポプラストに運搬される(Hood et al., In A. Altman and P.M. Hasegawa, eds. Plant Biotechnology and Agriculture. Chapter 3. Academic Press, pp. 35-54 (2012))。N末端シグナル配列は、一般に20〜30アミノ酸長であり、ERの内腔へのタンパク質の同時翻訳挿入をもたらす。数々のシグナル配列が特定され、植物細胞において外来性タンパク質の細胞外輸送を促進することが示された。外来性タンパク質を、分泌系を通して、アポプラストに送達するために使用されてきたタバコ遺伝子から得られるシグナル配列の例としては、エクステンシン、PR−S及びオスモチンから得られるものが挙げられる(Hood et al., 2012)。
アポプラストにPAO酵素を発現するタバコ植物は、ER指向シグナル配列がPAO酵素のN末端側に融合された構築物を操作することによって生成することができる。タンパク質が比較的小さく、可溶性の場合、アポプラストに分泌されたタンパク質は、一般に多孔質の細胞壁空間全体にわたって自由に通過する。Tepfer及びTaylor(Science 213: 761-763 (1981))は、植物細胞壁内の孔が約4nmであると推定し、これは、理論的に60kDaの大きさのタンパク質の自由拡散を可能にするはずである。PAO酵素の予想される分子量は54kDaであり、これは、提示した60kDaの限界値内に入る。さらに、以前の刊行物は、同様のサイズのタンパク質、ラッカーゼ(55kDa)及びセロビオヒドロラーゼ(52.5kDa)の植物細胞壁への標的化を報告している(Hood et al., Plant Biotech. J. 1: 129-140 (2003);Hood et al. Plant Biotech. J. 5: 709-719 (2007))。したがって、PAO又は任意のその他のPON分解酵素に融合されたER標的ポリペプチドを使用することにより、細胞壁マトリックス全体にわたって自由に動くPON酵素がもたらされるはずであり、それにより、細胞壁結合PONにアクセスし、それを分解することになる。最後に、最大のPON分解及びNNK低減は、PAOをサイトゾル又は液胞のいずれかに誘導する構築物と組み合わせてアポプラスト標的化構築物を含むトランスジェニック植物(例えば、それぞれ35S:PAO及び35S:BBLvac−PAO)の生成により達成されるはずである。この手法で生成された植物は、PONの細胞内可溶性プール、並びに細胞外マトリックスに存在するPONプールの両方を低減することができ、それにより、NNKの両方の別個の対応するプールの生成も低減するはずである。
前述のものは、本発明の説明のためのものであり、その限定として解釈されるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、請求項の等価物はそれに含まれる。
T2トランスジェニック植物の分析
高いd3−PON代謝活性を示した表1のT0個体に対してサザンブロット分析を行った。ハイブリダイゼーションプローブとしてPAO遺伝子を使用して、本発明者らは、PAO導入遺伝子が植物678/35S:PAO#3、678/35S:PAO#11、及び678/35S:BBLvac−PAO#3中に単一コピーとして存在すると結論づけた。これらの植物のそれぞれは、TN90 SRCバーリーのバックグラウンド内にある。3つの単一コピーPAO T0個体を自家受粉して、T1世代植物を作製した。それぞれの系統からのいくつかのT1植物を完全な生長まで栽培し、多数のT2後代の遺伝子型を特定して、PAO導入遺伝子がホモ接合型のT1個体を判定した。3つの元のT0事象のそれぞれに関して固定された種子の組みからの合計30のT2植物、並びにTN90 SRC対照植物をバーリータバコに対する標準的な産業実務に従って畑で栽培した。それぞれの植物は、完全に生長したとき軸を収穫し、10週間空気乾燥した。乾燥期間の終わりに、上から4番目の葉を完成まで乾燥し、微細な粉末まで乾燥し、アルカロイド及びTSNA含有量について分析した。対照とトランスジェニック系統の間のアルカロイド組成及び含有量に有意差は確認されなかった。図4に示されるとおり、TN90 SRC対照のNNKは、合計TSNAプールの約4.7%に相当した。対照的に、系統35S:PAO#11(P=0.0084)、35S:PAO#3(P=0.0550)、及び35S:BBLvac−PAO#3(P=0.0537)のNNKは、それぞれ合計TSNAのわずか2.0%、2.8%、及び2.7%に相当した。これらの結果は、液胞局在化シグナル有り又は無しのいずれかのPAO導入遺伝子は、空気乾燥したバーリー品種における葉の合計TSNAのパーセンテージとしてNNKの量を低減することができることを示唆する。
前述のものは、本発明の説明のためのものであり、その限定として解釈されるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、請求項の等価物はそれに含まれる。
付属書類
ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列
A.シュードモナス菌株HZN6(GenBank受託番号JN391188)に見られるとおりのプソイドオキシニコチンアミンオキシダーゼ(PAO)遺伝子のヌクレオチド配列。開始コドン及び終止コドンは下線で示される。
配列番号1
B.タバコ栽培品種K326 SRC及びTN90 SRCを形質転換するために使用したPAO遺伝子のヌクレオチド配列。タバコにおける発現のために最適化されたシュードモナスHZN6 PAO配列を黒で示し、タバコCYP82E10遺伝子から得た5’及び3’UTR配列を太字で示し、クローニングを容易にするための制限部位を作り出すために操作されたヌクレオチドをイタリック体で示す。開始コドン及び終止コドンは下線で示される。
配列番号2
C.PAOの予想されるアミノ酸配列
配列番号3
D.タバコBBLa遺伝子のヌクレオチド配列(GenBank受託番号AB604219)。開始コドン及び終止コドンは下線で示される。
配列番号4
E.BBLaの予想されるアミノ酸配列
配列番号5
F.BBLvac−PAO融合コンストラクトのヌクレオチド配列。黒のイタリック体の配列は、BBLa 5’隣接配列及び液胞局在化シグナルを含む最初の50コドンに対応し、黒の標準フォントの配列は、最適化されたシュードモナスHZN6 PAO配列を表し、タバコCYP82E10遺伝子から得た3’UTR配列は太字で示され、クローニングを容易にするための制限部位を作り出すために操作したヌクレオチドを小文字で示す。開始コドン及び終止コドンは下線で示される。
配列番号6
G.BBLvac−PAO融合タンパク質の予想されるアミノ酸配列。BBLaから得たアミノ酸はより明るいフォントで示した最初の50アミノ酸であり、黒で示した残基はPAOに対応し、太字の下線を引いたアラニン残基は融合コンストラクトの作出の結果として生じた。
配列番号7
H.BBLaの液胞標的配列
配列番号8
I.シュードモナス・プチダS16由来の推定上のPAO遺伝子のヌクレオチド配列。
配列番号9
J.シュードモナス・プチダS16由来の推定上のPAO遺伝子の予想されるタンパク質配列:
配列番号10