JP2018516227A - 非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物および関連製造方法 - Google Patents

非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物および関連製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018516227A
JP2018516227A JP2017563069A JP2017563069A JP2018516227A JP 2018516227 A JP2018516227 A JP 2018516227A JP 2017563069 A JP2017563069 A JP 2017563069A JP 2017563069 A JP2017563069 A JP 2017563069A JP 2018516227 A JP2018516227 A JP 2018516227A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amorphous calcium
calcium aluminate
molar ratio
lime
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017563069A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018516227A5 (ja
JP6937074B2 (ja
Inventor
ブリガンダ,ピエール
マヤウイ,ジャメル
エスティバル,ジャック
Original Assignee
ケルネオス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ケルネオス filed Critical ケルネオス
Publication of JP2018516227A publication Critical patent/JP2018516227A/ja
Publication of JP2018516227A5 publication Critical patent/JP2018516227A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6937074B2 publication Critical patent/JP6937074B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • C04B28/06Aluminous cements
    • C04B28/065Calcium aluminosulfate cements, e.g. cements hydrating into ettringite
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • C04B28/06Aluminous cements
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B7/00Hydraulic cements
    • C04B7/02Portland cement
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B7/00Hydraulic cements
    • C04B7/32Aluminous cements
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B7/00Hydraulic cements
    • C04B7/36Manufacture of hydraulic cements in general
    • C04B7/48Clinker treatment
    • C04B7/52Grinding ; After-treatment of ground cement
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/00034Physico-chemical characteristics of the mixtures
    • C04B2111/00215Mortar or concrete mixtures defined by their oxide composition

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

本発明は、下限(Ri)と上限(Rs)との間に広がる所定の範囲内の石灰対アルミナの最終モル比(RF)を有する非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物であって、前記下限(Ri)が上限(Rs)とは異なり、組成物中で前記非晶質カルシウムアルミネートが、少なくとも:− 前記所定の範囲の下限よりも厳密に小さい石灰対アルミナの第1モル比(R1)を有する第1非晶質カルシウムアルミネートと、− 前記所定の範囲の上限よりも厳密に大きい石灰対アルミナモル比の第2モル比(R2)を有する第2非晶質カルシウムアルミネートとの混合物であり、そして組成物中で前記混合物が、第1量の第1非晶質カルシウムアルミネートと、第2量の第2非晶質カルシウムアルミネートとを含み、前記第1および第2量が、前記第1および第2量で重み付けされた石灰対アルミナの第1および第2モル比の平均に相当する、非晶質カルシウムアルミネートの石灰対アルミナの最終モル比が前記所定の範囲に属するように決定される組成物に関する。本発明はまた、そのような組成物の製造方法に関する。

Description

本発明は、非晶質カルシウムアルミネートベースの組成物の分野に関する。
それはより具体的には、所定の範囲内で選択されてもよい、最終石灰対アルミナモル比の非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物に関する。
本発明はさらに、そのような組成物の製造方法に関する。
カルシウムアルミネートは、結合材、コンクリートまたはモルタル(建設化学モルタル、耐火性モルタルなど)を製造するために頻繁に使用されるアルミニウムセメントの主成分の1つである。
互いに特に区別されるべき2つの主なアルミニウムセメントクラス:それらの化学組成およびそれらの結晶相(鉱物相)の両方で特徴づけられる結晶性カルシウムアルミネートセメントと、それらの化学組成で特徴づけられる非晶質カルシウムアルミネートセメントとがある。
実際に、カルシウムアルミネートは、一部分において非晶質または一部分において結晶性であり、それらが含む非晶相および結晶相の比率に応じて、一クラスまたは他のクラスの中で分類される。
結晶相を大部分有するカルシウムアルミネートは、後で「結晶性カルシウムアルミネート」と言われ、非晶相を大部分有するカルシウムアルミネートは、後で「非晶質カルシウムアルミネート」と言われる。
ここでは、とりわけ、非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物に焦点が合わせられるであろう。これらは大部分、酸化カルシウムつまり石灰CaO(セメント表記法ではCとも記される)、アルミナAl23(セメント表記法ではAと記される)から、および任意選択的にシリカSiO2、酸化鉄Fe23、または原材料中に一般に含まれる他の不純物からなる。
非晶質カルシウムアルミネートは、より頻繁にC/A比(セメント工場省略形)と言われる、石灰(C)対アルミナ(A)のそれらのモル比またはそれらの重量比で特徴づけられ得ることが知られている。
実に、非晶質カルシウムアルミネートの特性、ならびにそれから結果として生じる用途は、C/Aモル比に非常に依存する。
例えば、そのC/Aモル比が1.8よりも高い非晶質カルシウムアルミネートを含有する結合材は、非常に速い、すなわち、最大でも約2、3分の凝結時間を有する。一方、そのC/Aモル比が1.8よりも低いものは、2〜3時間に広がり得る、より遅い凝結時間を有する。
例として、1.8よりも低いC/Aモル比の非晶質カルシウムアルミネートは、結合材が、比較的長い実行予定表および時間をかけたある施工性(オートレベリング土壌再舗装作業またはプレキャスト作業)で、期待される場合に選ばれるあろうし;または1.5〜1の範囲のC/Aモル比の非晶質カルシウムアルミネートは、結合材がスクリードまたは床材接着剤(2〜4時間の凝結時間)の製造での使用のために期待される場合に、選ばれるであろう。
一方、超速硬化性結合材が、湿った環境でモルタルまたはコンクリートの製造での使用のために、期待される場合には、1.8〜2の範囲のC/Aモル比(10〜20分の凝結時間)の非晶質カルシウムアルミネートが使用されるであろう。同様に、約2、3秒〜10分の凝結時間が必要とされるショットクリートまたは固着カプセルを製造するためには、2〜2.2の範囲のC/Aモル比の非晶質カルシウムアルミネートが選ばれるであろう。
したがって、それぞれの意図される用途向けに、使用される非晶質カルシウムアルミネートのC/Aモル比を正確に測定することおよびそれを最適化することが必要とされ、逆に、非晶質カルシウムアルミネートのC/Aモル比を正確に測定することは、それにとって好適な用途を選ぶことを可能にする。これの必然的帰結は、いったん用途が決定されると、使用される非晶質カルシウムアルミネートのモル比値が、用途によって要求される理想比にできるだけ近くに、典型的には±0.1の範囲に、理想的には±0.05、または±0.02の範囲にとどまるべきであるということである。
今日、非晶質カルシウムアルミネートはそれ故、意図される用途に応じて所定の石灰対アルミナモル比を有するように製造される。
実際には、所定のC/Aモル比を有するそのような非晶質カルシウムアルミネートは現在、いわゆる化学的方法によって、例えば、溶融プロセス、引き続く冷却によって得られ得る。公文書独国特許第3610586号明細書は、そのような非晶質カルシウムアルミネートの例を与えている。
所定のC/Aモル比のこの非晶質カルシウムアルミネートの化学反応による取得は、選択される、そして好適な割合で組み合わせられる反応剤と共に、所与の時間および温度条件によって達成される。
特に、この非晶質カルシウムアルミネートは現在、溶融法によって得られ得る。この溶融法は、好適な量の石灰石ブロック(CaCO3)と、好適な量の一水和物ボーキサイト(アルミナに富む、そして鉄およびシリカを可変量で含有する鉱物岩石)とを、これらの原材料の完全溶融を可能にする期間(約2〜10時間)垂直溶融炉中で、および非常に高い温度(1300℃〜2300℃)で加熱することにある。この工程後に、液体マスが、炉の下方部に置かれた出銑口を通して回収される。1300℃〜1600℃の範囲の温度を特に有する、液体マスは次に、その結晶化温度よりも下の温度(典型的には高くても1200℃、より慣例的には1000℃よりも低い)に劇的に急冷される。冷却されるとすぐに、クリンカーと呼ばれる生成物はその後、非晶質カルシウムアルミネートセメントとも呼ばれる、粉末の形態での非晶質カルシウムアルミネートを形成するために粉砕される。
しかし、この製造方法は、エネルギー要件および時間要件の両方に関して、制限的なおよび費用のかかる運転条件を必要とする。実に、かなりの期間、1300℃〜1600℃の範囲の、非常に高い温度の使用が、この化学的に誘導される非晶質カルシウムアルミネートを製造するために必要とされる。
その上、ボーキサイトブロックなどの原材料は、このようにして形成される非晶質カルシウムアルミネートの再現性におよびまた期待されるC/Aモル比の特異的決定に有害であり得る酸化物(酸化鉄、シリカ)を、様々な程度に含む。
さらに、各非晶質カルシウムアルミネートの意図される用途は、そのC/Aモル比に依存するので、工業上の複雑性を増加させる、特定の用途向けに好適なC/Aモル比をそれぞれ有する、多数の異なる非晶質カルシウムアルミネートを別々に製造することが適切である。
特に、各標的とされる石灰対アルミナモル比(C/A)について、実験条件、とりわけ、原材料の選択およびそれらのそれぞれの割合、硬化温度(高いアルミナ比率は、より高い硬化温度を必要とする)、硬化時間、ならびに最終冷却時間を最適化することが必要である。
さらに、結晶性カルシウムアルミネートは、長い間知られており、溶融プロセス、引き続く冷却によって、または焼結によって製造される。
それらは、例えば[非特許文献1](「Production Processes,Properties and Applications for Calcium Aluminate Cements」,Alumina Chemicals Science and Technology handbook,American Ceramic Society(1990),pp 171-181)に、Kopandaらによって記載されている。Kopandaらによって報告されている主な結晶相の中で、工業用途において最も一般にアップグレードされているものは、モノカルシウムアルミネート(CaO−Al23、もしくはセメント表記法ではCA)、ドデカ−カルシウムヘプタ−アルミネート((CaO)12−(Al237、もしくはセメント表記法ではC12A7)またはモノカルシウムジ−アルミネート((CaO)−(Al232、もしくはセメント表記法ではCA2)である。
結晶性カルシウムアルミネートを含有する異なる製品が商業的に入手可能であり、これらの製品を、それらのアルミナ比率によって、すなわち、乾燥製品の総重量を基準として、それらが含有するアルミナ重量:約40%(Kerneos CompanyのCiment Fondu(登録商標)における)、50%(Kerneos CompanyのSecar(登録商標)51における)、または70%(Kerneos CompanyのSecar(登録商標)71における)によって分類することが知られている。
水と混合された結晶性カルシウムアルミネートの溶解速度は、結晶性カルシウムアルミネートに含まれる各結晶相の性質および量に高度に依存することもまた知られている。
例えば、CA結晶相は、オープンタイムの制御、すなわち、その間に結晶性カルシウムアルミネートを、いったんそれが水と混合されてしまうと処理することが可能である時間の制御を必要とする用途向けに好適な溶解速度を有する。例としては、上記にて言及されたSecar(登録商標)71、Secar(登録商標)51セメントおよびCiment Fondu(登録商標)が挙げられる。
逆に、より多くの石灰、とりわけより多くの結晶相C12A7を含有する結晶性カルシウムアルミネートは、できるだけ速く水和(または水溶解)を必要とするある種の用途(例えばショットコンクリート)向けに使用することができる。例としては、Lafarge Fondu International Companyによって商標Shotax(登録商標)で過去に市場に出されていた製品が挙げられる。
したがって、様々な結晶性カルシウムアルミネートを組み合わせて結晶性カルシウムアルミネートの溶解速度を最適化することは公知である。
しかし、既知の全体化学組成、すなわち、既知のC/Aモル比をそれぞれ有する、2つの結晶性カルシウムアルミネートの水中での混合は、この混合から結果として生じた溶解した結晶性カルシウムアルミネートの最終C/Aモル比を予測しないことが分かった。
加えて、結晶性カルシウムアルミネートの化学組成の単なる知識は、その挙動を予測せず、その結果、C12A7の2、3百分率ポイント増加が、モルタルのオープンタイムの著しい減少をもたらし得るか、またはこのモルタルの即時凝結をもたらし得る。
例えば、当業者は、同じ微粉度(またはBlaineの比表面積)に粉砕された、2つの結晶性カルシウムアルミネート、1.7に等しいC/Aモル比の主に結晶相C12A7を含有するもの(Shotax(登録商標)などの)と、0.64に等しいC/Aモル比の結晶相CAおよびCA2を含有する他のもの(Secar(登録商標)71などの)との混合物であって、混合が結果として生じた結晶性カルシウムアルミネートについて1のC/Aモル比を提供するのに好適な割合で行われる混合物が、簡単なモルタルに調製される(標準EN 196−1に従って、しかし500gのセメント、1350gの砂および200gの水を使っての調製および組成)場合に、一瞬の(すなわち、約1分の)凝結をもたらすことを知っている。それにもかかわらず、この結晶性カルシウムアルミネート混合物に関係した挙動は、同じ試験条件で約3時間の凝結時間を有する、溶融または焼結法によって直接得られる、1に近いC/Aモル比の、CA結晶相の結晶性カルシウムアルミネートに関係した挙動とは非常に異なる。
したがって、その反応性が制御されるであろう、またはあらかじめ定められ得る結晶性カルシウムアルミネート混合物を設計するための一般的方法はまったくない。
さらに、所望の特性を有する最終カルシウムアルミネートを得るために、結晶性カルシウムアルミネートと非晶質カルシウムアルミネートとを混合することもまた公知である。
結晶性カルシウムアルミネートと非晶質カルシウムアルミネートとの粉末を所与の割合で混合することによって得られるカルシウムアルミネートは、例えば特開2014−129203号公報から公知である。
しかし、そのような方法によって得られる最終カルシウムアルミネートは、化学的に得られるカルシウムアルミネートよりも少ない非晶相を含み、その特性はそれ故、上述された化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートのそれらとは異なる。
特に、この方法によって得られるカルシウムアルミネート粉末のC/Aモル比の測定は、これらの粉末を水と接触させる時に溶液に実際に入る石灰およびアルミナの量に一致しない。結果として、そのような化合物のC/Aモル比を予測することは可能ではない。
Production Processes,Properties and Applications for Calcium Aluminate Cements」,Alumina Chemicals Science and Technology handbook,American Ceramic Society(1990),pp 171-181
したがって、所定の範囲内に含まれるC/A比の、そして今まで知られている非晶質カルシウムアルミネートと同じ反応性特性を少なくとも有する非晶質カルシウムアルミネートを含む新規組成物を開発することが真に必要とされている。さらに、それについて所望のC/Aモル比を選ぶことができ、そして実行するのが容易で、かつ、速いであろう非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物の少なくとも1つの製造方法を提供することが最先端技術において依然として必要とされている。
したがって、前に述べられた欠点を、少なくとも一部は、回避しながら、非晶質カルシウムアルミネートを含む新規組成物ならびにそのような組成物の新規製造方法を提供することが本発明の目的の1つである。
その目的に向けて、下限Riと上限Rsとの間に広がる、所定の範囲内に含まれる最終石灰対アルミナモル比Rfの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物であって、前記下限Riが上限Rsとは異なり、
ここで、前記非晶質カルシウムアルミネートが、少なくとも:
− 前記所定の範囲の下限Riよりも厳密に低い、第1石灰対アルミナモル比R1の第1非晶質カルシウムアルミネートと、
− 前記所定の範囲の上限Rsよりも厳密に高い第2石灰対アルミナモル比R2の第2非晶質カルシウムアルミネートと
からなる組み合わせであり、
そして前記組み合わせが、第1量の第1非晶質カルシウムアルミネートと、第2量の第2非晶質カルシウムアルミネートとを含み、前記第1および第2量が、前記第1および第2量で重み付けされた第1および第2石灰対アルミナモル比の平均に相当する、非晶質カルシウムアルミネートの最終石灰対アルミナモル比が前記所定の範囲内にあるように決定される組成物を提供することが本発明の目的である。
特に、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの前記第1および第2量は、これらの第1および第2非晶質カルシウムアルミネートによって形成される混合物の石灰対アルミナモル比が所望の最終石灰対アルミナモル比RFに等しいように決定される。
本明細書で用いるところでは、「組み合わせ」は、出発成分が、互いに反応して他の化合物を形成することなく密接に結び付けられている、すなわち、ここでは、組成物の枠組みにおいて、第1非晶質カルシウムアルミネートおよび第2非晶質カルシウムアルミネートが両方とも依然として存在する、混合物を意味することを意図する。言い換えれば、用語「組み合わせ」は、その後に出発成分が均一に混合された粉末の形態にある操作を意味することを意図する。これは、化学分析モードでの電子走査顕微鏡を用いて検証され得る。したがって、前記組み合わせの出発成分のそれぞれは、顕微鏡により互いに依然として区別することができる。
本明細書で用いるところでは、「石灰対アルミナモル比」は、非晶質カルシウムアルミネート中に含有される、モル単位で表される石灰材料量とアルミナ材料量との比を意味することを意図する。以下の説明において、前記石灰対アルミナモル比は多くの場合、C/Aモル比、またはまさにモル比と略記されるであろう。
以下の説明で理解できるように、所望の最終石灰対アルミナモル比RFは、本発明による組成物を使用することを意図する用途に応じて選択される。
有利には、本発明によれば、組成物は、非晶質カルシウムアルミネートセメントを形成するのに適している。
本説明の残りにおいて、「セメント」は、非晶質カルシウムアルミネートの粉末を意味することを意図する。
セメントは、「水硬性結合材」とも呼ばれる、「結合材」として使用され得る。本明細書で用いるところでは、「結合材」は、硬化して(または固くなって)骨材を互いに寄せ集め得るペースト状触感の材料を形成するために水と組み合わせられるのに適した、粉末、または粉末の組み合わせを意味することを意図する。
言い換えれば、本説明の残りにおいて、単語「結合材」または「水硬性結合材」は、水と混合されて、空気中でまたは水中で、いかなる他の反応性物体の添加もなしに、低温硬化(または固化)を受ける、材料を示すために用いられる。
前記「水硬性結合材」が水と組み合わせられ、そしてそれが水と接触するときに硬化する(または固くなる)場合に、それは凝結すると言われる。
本発明の枠組みの中で、凝結時間は、C/Aモル比に依存する:それが高ければ高いほど、凝結または硬化(固化)は速くなる。本発明による調製方法はしたがって、非晶質カルシウムアルミネートが、これらの組成物について予期される用途に応じて正確なC/Aモル比を有する、組成物を得ることを可能にする。
さらに、他の化合物が組成物に添加されてもよい。
例えば、ポルトランドセメント、硫酸カルシウム、またはそれらの組み合わせなどの結合材が組成物に添加されてもよい。
したがって、本発明によれば、組成物は有利にも、水硬性結合材を形成するのに適している。
いくつかの水硬性結合材は、砂および/または骨材などの細かい材料を寄せ集めてモルタルおよび/またはコンクリートを形成し得る。
したがって、いくつかの骨材が次にまた、組成物に添加されてもよく、組成物は次に有利には、そのような骨材の粒径の関数として、モルタルまたはコンクリートを形成するのに適している。
本明細書で用いるところでは、「モルタル」は、古典的には、水硬性結合材、砂または炭酸カルシウムなどの他の微細骨材、および任意選択的に混合剤を含む材料を意味することを意図する。それは、それが砂利を含まないという点においてコンクリートから区別することができる。それは、ペースト状触感を有するそして、互いに粘着した石またはコンクリートブロックを製造するために使用され得る、混合物である。それはまた、接着剤として働き得るし、例えば建築用石材間のスペースを満たすために使用され得る。モルタルは、さらに、そのようなものとして、およびそれ自体で塊として使用され得る。
本明細書で用いるところでは、「コンクリート」は、水硬性結合材を骨材と一緒に混合することによって形成され、そして任意選択的に混合剤を使って完成される建材を意味することを意図する。作業現場でまたは工場において塑性状態で使用される、そのような混合物は、それが成形可能であるので、様々な形態を取ってもよい。それは、徐々に硬化して最終的にコンクリートパネルを形成する。
本発明はさらに、下限(Ri)と上限(Rs)との間に広がる、所定の範囲内で選択される最終石灰対アルミナモル比Rfの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物の製造方法であって、前記下限Riが上限Rsとは異なり、ここで、
a)第1非晶質カルシウムアルミネートが、前記所定の範囲の下限(Ri)よりも厳密に低い、第1石灰対アルミナモル比R1で選ばれ、第2非晶質カルシウムアルミネートが、前記所定の範囲の上限Rsよりも厳密に高い、第2石灰対アルミナモル比R2で選ばれ、
b)組み合わせられるべき前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのぞれぞれの量が、前記それぞれの量で重み付けされた、前記第1および第2石灰対アルミナモル比R1、R2の平均に相当する、非晶質カルシウムアルミネートの最終石灰対アルミナモル比Rfが前記所定の範囲内にあるように決定され;
c)前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが工程b)において決定された量に従って組み合わせられる
方法に関する。
本発明の製造方法の他の非限定的な、有利な特性は、次の通りである:
− 工程a)において、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが、粉末の形態で選ばれ、そして、工程c)において、これらの粉末が、前記非晶質カルシウムアルミネート含有組成物を得るために組み合わせられ;
− 工程a)において、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが、クリンカーの形態で選ばれ、そして、工程c)において、これらのクリンカーが、前記非晶質カルシウムアルミネート含有組成物を得るために同時粉砕によって組み合わせられる。
任意選択的に、粉砕剤または追加の特性を提供する他の添加剤をまた、工程a)か工程c)かのどちらかにおいて組み合わせることができる。
以下の説明において、そして特に明記しない限り、「X〜Y」の範囲のまたは「X〜Yに含まれる」として述べられる値は、値XおよびYを含むことを意図する。一方、「厳密にX〜Y」の範囲のまたは「X〜Yに厳密に含まれる」値は、値XおよびYを排除することを意図する。
本発明によれば、すべての重量百分率は、特に明記しない限り、組成物乾燥物質重量(結合材、モルタルまたはコンクリート)と比べて表される。
非限定的な例として与えられる、添付の図面を参照して次に来る説明は、本発明の内容およびそれが実行され得る方法をより良く説明するであろう。
第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの第1および第2モル比R1、R2を、本発明の組成物に含有される前記非晶質カルシウムアルミネートの最終C/Aモル比Rfと比べて、例示する略図であり、前記最終モル比Rfは、下限Riと上限Rsとの間に含まれている。 非晶質カルシウムアルミネートセメント(実施例1、2、3、5、6および8)を形成する本発明による6つの組成物の、ならびに化学的に得られる第1および第2非晶質カルシウムアルミネート(ACA1、ACA2)の発熱プロフィールを示す略図であり、前記発熱プロフィールは、水との混合後の分(min)単位での時間の関数としての摂氏度(℃)単位での温度発生を示すものである。 エトリング石結合材(LE2、LE4、LE7およびLE9)を形成する本発明による4つの組成物の、ならびに第1または第2の化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートをそれぞれ含むエトリング石結合材(LE−ACA1およびLE−ACA2)の発熱プロフィールを示す略図である。 図3で検討された6つのエトリング石結合材(LE2、LE4、LE7、LE9、LE−ACA1およびLE−ACA2)のメガパスカル(MPa)単位での機械的圧縮強度を示す略図である。 モルタル(M3、M4、M5、M6、M7、M8およびM9)を形成する本発明による7つの組成物の、比較モルタル(M−Transition)の、ならびに化学的に得られる第1または第2非晶質カルシウムアルミネートをそれぞれ含むモルタル(M−ACA1およびM−ACA2)のメガパスカル(MPa)単位での機械的圧縮強度を示す略図である。 比較非晶質カルシウムアルミネート(ACA−Transition)の、ならびに実施例5および6の非晶質カルシウムアルミネートを含む本発明による2つの組成物の発熱プロフィールを示す略図である。 比較モルタル(M−Transition)の、およびモルタルM6を形成する本発明の組成物の発熱プロフィールを示す略図である。
本出願人は、例えばモルタルまたはコンクリートにおいて、標的とされる用途に応じて、とりわけ加工物が構築されるための所望の水硬性凝結時間に応じてそのC/Aモル比が合わせられ得る非晶質カルシウムアルミネートを含む新規組成物を開発することに焦点を合わせた。
この目的に向けておよび図1を参照して、本発明は、下限Riと上限Rsとの間に広がる、所定の範囲内に含まれる最終石灰対アルミナモル比Rfの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物であって、前記下限Riが上限Rsとは異なり、
ここで、前記非晶質カルシウムアルミネートが、少なくとも:
− 前記所定の範囲の下限Riよりも厳密に低い、第1石灰対アルミナモル比R1の第1非晶質カルシウムアルミネートと、
− 前記所定の範囲の上限Rsよりも厳密に高い第2石灰対アルミナモル比R2の第2非晶質カルシウムアルミネートと
からなる組み合わせである
組成物に関する。
本出願人は意外にも、R1と記される、−比較的低い−第1C/Aモル比の第1非晶質カルシウムアルミネートと、R2と記される、第2の−より高い−C/Aモル比の第2非晶質カルシウムアルミネートとの組み合わせが、厳密にR1〜R2の範囲の正確なC/Aモル比の最終非晶質カルシウムアルミネートを形成し、そのような最終非晶質カルシウムアルミネートがそのとき、化学的に得られるであろう類似したC/Aモル比の非晶質カルシウムアルミネートと同じように挙動することを発見した。
したがって、組み合わせのために使用される第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、それらが別々に考えられる場合には、それらの第1および第2のそれぞれのモル比R1、R2が前記用途向けの適切なモル比RFから余りにもかけ離れているので、その最終モル比が意図される用途向けにそれぞれ好適ではないが、その最終モル比RFが意図される用途向けに好適である非晶質カルシウムアルミネートを容易に製造することが可能である。
意図される用途向けに好適なモル比は、前記第1および第2モル比R1、R2の間に含まれなければならない。言い換えれば、前記第1および第2モル比の1つは、所望の最終モル比RFよりも厳密に高く、他のものは、この最終モル比RFよりも厳密に低い。
以下の説明において詳述されるように、本発明の組成物は、とりわけ、セメント、エトリング石結合材またはモルタルを形成するために使用され得る。予想外にも、本出願人は、これらのセメント、エトリング石結合材またはモルタルの反応性または機械的特性が、同様なC/Aモル比の、既に公知の非晶質カルシウムアルミネートから形成されるセメント、エトリング石結合材またはモルタルのそれらに似ていることを発見した。
本明細書で用いるところでは、「最終非晶質カルシウムアルミネート」は、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの組み合わせを意味することを意図する。
「第1および第2カルシウムアルミネート」は、
− 大部分は、下に記載されるようなカルシウムアルミネートと、任意選択的に、
− 最小限に、不純物および/または加工剤、例えば、老化防止加工剤および/または粉砕剤などの他の化合物と
を含む2つの組み合わせを意味する。
原則として、カルシウムアルミネートは−第1非晶質カルシウムアルミネート、第2非晶質カルシウムアルミネートまたは最終非晶質カルシウムアルミネートの何であれ、それが、前記非晶質カルシウムアルミネートの総重量と比べて、重量で、少なくとも60%の非晶相、特に少なくとも70%、典型的には80%、または90%さえの非晶相を含む、すなわち、その結晶相比率がそれぞれ、40%、30%、20%または10%以下さえである場合に非晶質であると言われる。
本明細書で用いるところでは、「少なくとも60%の非晶相」は、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、82%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%さえの非晶相を含むことを意図する。
存在するならば、結晶相は、CaO.AI23(以下CAと記される)、CaO.2AI23(以下CA2と記される)、3CaO.Al23(以下C3Aと記される)、3CaO.3AI23+CaF2、11CaO.7Al23.CaF2、12CaO.7AI23(以下C12A7と記される)、4CaO.Al23.Fe23(以下C4AFと記される)、もしくは3CaO.3AI23+CaSO4(以下C4A3$と記される)またはそれらの組み合わせであってもよい。一般に、結晶相は、CaO.AI23、もしくは12CaO.7AI23またはそれらの組み合わせであってもよい。2CaO.AI23.SiO2(以下C2ASと記される)などの結晶相もまた見いだすことができる。
特に、最終非晶質カルシウムアルミネートを形成する前記組み合わせは、第1量の第1非晶質カルシウムアルミネートと、第2量の第2非晶質カルシウムアルミネートとを含み、前記第1および第2量は、前記第1および第2量で重み付けされた第1および第2石灰対アルミナモル比R1、R2の平均に相当する、前記最終非晶質カルシウムアルミネートの最終石灰対アルミナモル比RFが、前記所定の範囲内にあるように決定される。
例えば、この所定の範囲は、RF値を取り囲み、それについて同じ用途が実行されてもよいモル比の値をまとめる範囲に相当する。
言い換えれば、前記最終非晶質カルシウムアルミネートの最終石灰対アルミナモル比Rfは次の数式:
Rf=M1/(M1+M2)×R1+M2/(M1+M2)×R2
(式中、M1およびM2は、組み合わせ中の第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのそれぞれの重量である)
を有する。
より具体的には、実際に、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの重量M1、M2および最終非晶質カルシウムアルミネートの重量は、それらが含むカルシウムアルミネートの化合物の重量に近似しており、任意の不純物および/または任意の加工剤はマイノリティである。
特に有利には、最終非晶質カルシウムアルミネートのC/Aモル比は、したがって、組み合わせ内の第1対第2非晶質カルシウムアルミネートのそれぞれの割合に依存じて調整することができ、これは、化学的方法の使用を必要としない。
したがって、特定の用途に合った、すなわち、C/Aモル比がこの特定の用途向けに適切であろう各非晶質カルシウムアルミネートを製造するために化学的方法を用いることはもはや必要とされない。
この挙動は、それが結晶性カルシウムアルミネートに当てはまらない:2つの結晶性カルシウムアルミネートの組み合わせが、組み合わせられる2つの結晶性カルシウムアルミネートの反応性の関数として予測可能な反応性を有する最終結晶性カルシウムアルミネートを一般には提供しないので、だからこそ意外である。
実に、本明細書では、第1および第2モル比R1、R2の既知の正確な値に依存して、この非晶質カルシウムアルミネートの最終モル比RFが、下限および上限Ri、Rsによって画定される所定の範囲に含まれるように、最終非晶質カルシウムアルミネートを形成する組み合わせが含まなければならない前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのそれぞれの重量M1、M2を決定することが可能である。
特に、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの第1および第2モル比R1、R2を知ることによって、非晶質カルシウムアルミネートの最終モル比RFが、前記所定の範囲で選択される所定の値に等しいような方法で組み合わせられるべき前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのそれぞれの重量M1、M2を決定することが可能である。
好ましくは、前記組み合わせは、前記組み合わせの総重量と比べて重量で、99.9%〜0.01%、好ましくは5%〜95%、典型的には10%〜90%の第1非晶質カルシウムアルミネートと、0.01%〜99.9%、好ましくは5%〜95%、典型的には10%〜90%の第2非晶質カルシウムアルミネートとを含む。
実際には、最終モル比RFは、本発明の最終非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物が意図される用途に従って選択される。
したがって、所定の範囲(Ri、Rs)は、この所定の範囲内で選択されるモル比RFが何であれ標的とされる用途が実現可能であるように、最終モル比RFについて可能な値の範囲である。
所定の範囲はまた、一方では、特定の用途に関連した理想的な(または適切な)最終モル比RFが知られていることの見込まれる不確実性を考慮に入れ、他方では、この理想的な最終モル比RFを達成することができる正確さを考慮に入れている。とりわけ、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートに関連した、第1および第2モル比R1、R2の測定不正確さと、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネート重量M1、M2のそれぞれの秤量不正確さとは、非晶質カルシウムアルミネート組み合わせの最終モル比RFの達成における不正確さを生み出し得る。
実際には、前記所定の範囲の上限Rsと下限Riとの間の差は、0.02以上、好ましくは0.05以上、そして0.2以下、好ましくは0.1以下である。
一般に、前記「差」は、絶対的表現での差を意味することを意図する。本明細書で用いるところでは、下限および上限Ri、Rsの間の差は、したがって|Rs−Ri|に等しい。
特に、前記所定の範囲の上限Rsと下限Riとの間の差は、0.02;0.03;0.04;0.05;0.06;0.07;0.08;0.09;0.1;0.11;0.12;0.13;0.14;0.15;0.16;0.17;0.18;0.19;または0.2に等しくてもよい。
あるいはまた、所定の範囲は、様々な特定の用途向けに好適な最終モル比RFの多数の異なる値を含むようにより大きいと考えることもまた可能である。したがって、2つの第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの所与の一対から、異なる用途向けに好適な幾つかの最終非晶質カルシウムアルミネートであって、得られ得る各最終非晶質カルシウムアルミネートの最終モル比RFが所定の範囲内にあるカルシウムアルミネートを得ることが可能である。便利にも、したがって、どちらか一方が単独で取られる、第1非晶質カルシウムアルミネートも、第2非晶質カルシウムアルミネートも、これらの用途向けに好適ではないけれども、様々な特定の用途向けに好適な最終非晶質カルシウムアルミネートを得ることが可能である。
この実施形態によれば、前記所定の範囲の上限Rsと下限Riとの間の差は、0.05以上、特に、0.2以上、典型的には0.5以上である。
その上この実施形態によれば、前記所定の範囲の上限Rsと下限Riとの間の差は、20よりも厳密に低く、特に10よりも低い、典型的には5よりも低い。
特に、この実施形態によれば、最終モル比RFは、0.01よりも厳密に高く、そして20よりも厳密に低い、好ましくは0.5〜9、とりわけ1〜3、典型的には1.38〜2.15の範囲の値を有する。
本明細書で用いるところでは、0.05および次の値よりも高い範囲は、0.1;0.15;0.2;0.25;0.3;0.35;0.4;0.45;0.5;0.55;0.6;0.7;0.8;0.9;1;1.1;1.2;1.3;1.4;1.5;1.6;1.7;1.8;1.9;2;2.1;2.2;2.3;2.4;2.5;2.6;2.7;2.8;3;3.5;4;4.5;5;5.5;6;6.5;7;7.5;8;8.5;9;9.5、または10以上さえを含む。
さらに、本明細書で用いるところでは、20および次の値よりも厳密に低い範囲は、19;18;17;16;15;14;13;12;11;10;9;8;7;6;5;4.5;4;3.9;3.8;3.7;3.6;3.5;3.4;3.3;3.2;3.1;3;2.9;2.8;2.7;2.6;2.5;2.4;2.3;2.1;2;1.9;1.8;1.7;1.6;1.5;1.4;1.3;1.2;1.1;1;0.9;0.8;0.7以下を含む。
したがって、この実施形態によれば、前記上限および下限Rs、Riの間の差は、それが依然として前記第1および第2モル比R1、R2の間の差よりも厳密に低いままであるという了解の下で、少なくとも0.05である。
さらに、一般に、考えられる実施形態が何であれ、所定の範囲の下限Riと、第1非晶質カルシウムアルミネートの第1モル比R1との間の差Ri−R1は、少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.1、典型的には0.15〜0.3であることが好ましい。
同様に、所定の範囲の上限Rsと、第2非晶質カルシウムアルミネートの第2モル比R2との間の差R2−Rsは、少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.1、典型的には0.15〜0.3である。
したがって、標的とされる特定の用途向けに、別々に取られる場合に、好適ではない第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、しかしながら、この特定の用途向けに好適な最終非晶質カルシウムアルミネートを形成するのに適している。有利には、この特性は、所定の範囲が、1つの用途向けのみに好適である最終モル比RFを達成することが可能であるようなものである場合に、または所定の範囲が、異なる用途向けに好適であるのに十分に互いに異なる最終モル比RFを達成することが可能であるようなものである場合に両方で検証される。
今まで知られている非晶質カルシウムアルミネートはすべて、第1および/または第2非晶質カルシウムアルミネートとして好適に使用され得る。
原則として、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、非晶質カルシウムアルミネートを得るための最も伝統的な方法を示す、先行技術の説明において本明細書で上述されたように化学的に得ることができる。この方法は当業者に公知である。それ故、それは、本明細書でさらに詳述されない。
特に、この化学的方法によって得るのが比較的容易であるそのような第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが、好ましくは初期成分として使用されるであろう。
代案として、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの組み合わせによって形成される最終非晶質カルシウムアルミネートはまた、本発明による他の組成物を製造するための第1および/または第2非晶質カルシウムアルミネートとして好適であり得る。
第1実施形態によれば、使用される第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、粉末の形態にある。これらの粉末は、例えば、100マイクロメートル(μm)以下である、中央径d50を有する。特に、標準ISO 13320に従ってレーザー粒度分析によって測定されるような、粉末の中央径d50は、典型的には5μmと30μmとの間で変わってもよい。中央径d50は、検討される集団(ここでは、粉末粒子)の50重量パーセントがそれよりも下に存在する、直径に相当する。
特に、前記粉末は、2500cm2/g〜9000cm2/gの範囲の、標準NF EN196−6に従って測定されるような、比表面積(Blaine値)を有する。
別の実施形態によれば、使用される第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、クリンカーの形態にあってもよい。
本明細書で用いるところでは、「非晶質カルシウムアルミネートクリンカー」は、一般に約2、3ミリメートルの特徴的な直径の、硬質粒子の形態で現れる非晶質カルシウムアルミネートを意味することを意図する。これらの硬質粒子は、第1アルミナ源材料(ボーキサイトブロックまたはアルミナのような)のおよび第2酸化カルシウム源材料(石灰石または石灰のような)の、典型的には溶融炉でのまたは電気炉での、高温(典型的には約1300℃〜1600℃)での加熱処理によって、次にこれらの溶融材料の急冷によって生じる。非晶質カルシウムアルミネートクリンカーはしたがって、溶融炉によって処理された、そして急冷(1秒当たり15℃超の温度勾配での冷却)を受けた生成物である。そのようなクリンカーは、その後粉末を形成するために粉砕されてもよい。
原則として、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、それぞれ、互いに異なる、第1および第2の正確な石灰対アルミナモル比R1、R2を有する。実に、特に有利にも、前記第1および第2モル比R1、R2が互いに異なるので、だからこそ、所定の範囲内のどこでもある異なるモル比の最終非晶質カルシウムアルミネートが得られるであろう。
したがって、第1非晶質カルシウムアルミネートは好ましくは、その低い第1石灰対アルミナモル比R1で選ばれ、一方、第2非晶質カルシウムアルミネートは特に、その高い第2石灰対アルミナモル比R2で選ばれる。
有利には、前記第1および第2モル比R1、R2の間の差は、0.1以上、特は0.5以上、好ましくは0.8以上である。
本明細書で用いるところでは、「0.1および次の値以上の差」は、0.1;0.2;0.3;0.4;0.5;0.6;0.7;0.8;0.9;1;1.1;1.2;1.3;1.4;1.5;1.6;1.7;1.8;1.9;2;2.1;2.2;2.3;2.4;2.5;2.6;2.7;2.8;3;3.5;4;4.5;5;5.5;6;6.5;7;7.5;8;8.5;9;9.5、または10以上さえの差を意味することを意図する。
特に、前記第1および第2モル比R1およびR2間の差は、20以下、特に5以下である。
本明細書で用いるところでは、「20および次の値以下の差」は、20;19;18;17;16;15;14;13;12;11;10;9;8;7;6;5;4.5;4;3.9;3.8;3.7;3.6;3.5;3.4;3.3;3.2;3.1;3;2.9;2.8;2.7;2.6;2.5;2.4;2.3;2.1;2;1.9;1.8;1.7;1.6;1.5;1.4;1.3;1.2;1.1;1;0.9;0.8;0.7以下の差を意味することを意図する。
典型的には、前記第1および第2モル比R1およびR2の間の差は、0.1以上、好ましくは0.5以上、典型的には0.8以上、そして20以下、好ましくは9以下、典型的には5以下である。
前記第1非晶質カルシウムアルミネートの第1モル比R1は、例えば、0.01〜3、特に1〜2の範囲である。
本明細書で用いるところでは、「0.01〜3の範囲のモル比」は、例えば:0.01;0.02;0.03;0.04;0.05;0.06;0.07;0.08;0.09;0.10;0.11;0.12;0.13;0.14;0.15;0.16;0.17;0.18;0.19;0.20;0.21;0.22;0.23;0.24;0.25;0.26;0.27;0.28;0.29;0.30;0.31;0.32;0.33;0.34;0.35;0.36;0.37;0.38;0.39;0.40;0.41;0.42;0.43;0.44;0.45;0.5;0.6;0.7;0.8;0.9;1.0;1.1;1.2;1.3;1.4;1.5;1.6;1.7;1.8;1.9;2.0;2.1;2.2;2.3;2.4;2.5;2.6;2.7;2.8;2.9;3.0を含むことを意図する。
第2非晶質カルシウムアルミネートの第2モル比R2は、例えば、1.5〜15、好ましくは1.5〜10の範囲であり、特に1.8〜8、典型的には2〜3の範囲である。
本明細書で用いるところでは、「1.5〜20の範囲のモル比」は、例えば:1.5;1.6;1.7;1.8;1.9;2.0;2.1;2.2;2.3;2.4;2.5;2.6;2.7;2.8;2.9;3.0;4.0;4.5;5.0;5.5;6.0;6.5;7.0;7.5;8.0;8.5;9.0;9.5;10.0;10.5;11.0;11.5;12;13;14;15;16;17;18;19;20を含む。
上記にて言及されたように、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、シリカ、酸化鉄、任意選択的にホウ酸塩およびリン酸塩、またはこれらの第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの製造に使用された原材料からの任意の他の不純物などの、少量の不純物を含んでもよい。これらの不純物はその結果、最終非晶質カルシウムアルミネート中にも検出することができる。
好ましくは、シリカ、酸化鉄、ホウ酸塩およびリン酸塩は、第1および第2非晶質カルシウムアルミネート中に存在する場合、前記最終非晶質カルシウムアルミネートの総重量と比べて10重量%未満を示す。
さらに、最終非晶質カルシウムアルミネートを形成する前記組み合わせ内に含まれる第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの少なくとも1つは、少なくとも2つの親水性官能基および1つの疎水性鎖を持った有機化合物を含んでもよい。
そのような有機化合物は、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの老化防止剤として働く。
有機化合物は、それがその中へ組み込まれる第1または第2非晶質カルシウムアルミネートの総重量と比べて重量で0.025%〜5%、好ましくは0.05%〜2.5%、有利には0.1%〜1%を示す。
好ましくは、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは両方とも、そのような有機化合物を老化防止剤として含む。
結果として、最終非晶質カルシウムアルミネートを形成するための前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの組み合わせのせいで、前記最終非晶質カルシウムアルミネートはそれ自体、そのような有機化合物を含む。
したがって、本発明による組成物はそれ自体、老化防止剤を形成するそのような有機化合物を含む。
本明細書で用いるところでは、「親水性特性の官能基」は、含水媒体との相溶性を確保することを可能にする官能基を意味することを意図する。これらの親水性官能基はさらに、カチオンまたは金属元素と反応することができる。
本発明に好適に使用され得る、親水性官能基はとりわけ、カルボン酸、酸無水物、酸ハロゲン化物および第一級アミン官能基である。
本発明の好ましい親水性官能基は、酸官能基および酸無水物官能基である。
有機化合物の疎水性特性は、脂肪族、芳香族、アルキル芳香族またはアリール脂肪族炭化水素鎖によって提供される。特に、線状もしくは環状の、分岐もしくは置換脂肪族、アリール脂肪族鎖が好ましい。それらは有利には、2〜13個の炭素原子を含む。
例えば、次の有機化合物が老化防止剤として好適に使用され得る:ポリカルボン酸、例えばグルタル酸、コハク酸、アジピン酸、オクタン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸などのジカルボン酸などならびにそれらの酸無水物および酸ハロゲン化物、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはそれらの組み合わせのようなフタル酸。アジピン酸が、老化防止剤として非常にとりわけ好適に使用され得る。
組み合わせられた酸、より具体的にはアジピン酸、コハク酸およびグルタル酸の組み合わせもまた使用され得る。
有利には、そのような有機化合物を含む第1および第2カルシウムアルミネートは、湿気に対する感受性が低い。結果として、最終非晶質カルシウムアルミネートもまた湿気に対する感受性が低い。
さらに、本発明の組成物は有利にも、非晶質カルシウムアルミネートセメントを形成し得る。
したがって、本発明の組成物は、その総重量と比べて、重量で、少なくとも20%の前記最終非晶質カルシウムアルミネート、好ましくは少なくとも40%、典型的には少なくとも60%の前記最終非晶質カルシウムアルミネート、または100%までさえの前記非晶質カルシウムアルミネートを含んでもよい。
本明細書で用いるところでは、「少なくとも20%」は、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%を含むことを意図する。
非晶質カルシウムアルミネートセメントを形成する、本発明の組成物は、水と古典的に混合されてもよい。例えば、水は、セメント乾燥総重量と比べて35重量%を示してもよい。
本発明の組成物はさらに、硫酸カルシウム、ポルトランドセメント、またはそれらの組み合わせから選択される1つもしくは複数の他の化合物、および任意選択的に1つもしくは複数の添加剤を含んでもよい。
有利には、本発明の組成物は次に、水硬性結合材を形成するように適応させられる。
特に、本発明の組成物は、その乾燥総重量と比べて重量で、
− 35%〜75%、好ましくは35%〜50%の、前に定義されたような前記最終非晶質カルシウムアルミネートと;
− 25%〜65%、好ましくは50%〜65%の硫酸カルシウムと、
− 0%〜5%の1つもしくは複数の添加剤と
を含んでもよい。
硫酸カルシウムは、こうして、最終非晶質カルシウムアルミネートと、エトリング石結合材と呼ばれる、特に有利な結合材を形成する。
本明細書で用いるところでは、「エトリング石結合材」は、エトリング石、すなわち、硫酸カルシウムとアルミニウム水和物とからなる鉱物種を形成することができる水硬性結合材を意味することを意図する。
特に、硫酸カルシウムは、天然または合成起源の、無水石膏、石膏または半水和物の形態にある。
好ましくは、硫酸カルシウムは、無水石膏の形態にある。
例えば、それは、Francis Flower社によって市場に出されているものなどの合成無水石膏であってもよい。
ここで、硫酸カルシウムは、5マイクロメートルから50マイクロメートルまで、好ましくは20マイクロメートルから30マイクロメートルまで変わる中央径d50の無水石膏の粉末の形態にある。
代案として、本発明の組成物は、その乾燥総重量と比べて重量で、
− 2%〜30%、好ましくは4%〜20%の、前に定義されたような前記最終非晶質カルシウムアルミネートと、
− 4%〜40%、好ましくは10%〜28%の硫酸カルシウムと、
− 30%〜94%、好ましくは52%〜86%のポルトランドセメントと、
− 0%〜5%、好ましくは0.1%〜3%の添加剤と
を含んでもよい。
さらなる代案として、本発明の組成物は、その乾燥総重量と比べて重量で、
− 10%〜35%、好ましくは20%〜30%の、前に定義されたような前記最終非晶質カルシウムアルミネートと、
− 15%〜56%、好ましくは30%〜55%の硫酸カルシウムと、
− 2%〜30%、好ましくは4%〜20%のポルトランドセメントと、
− 0%〜5%の添加剤と
を含んでもよい。
ポルトランドセメントは、当業者から知られており、本発明においてさらに詳述されない。普通のポルトランドセメント、速硬化性ポルトランドセメント、超速硬化性ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントなどの、任意のポルトランドセメントを好適に使用することができる。セメントCEM Iがとりわけ使用され得る。
水硬性結合材を形成する本発明の組成物に任意選択的に添加される添加剤は、性質の点で異なってもよい。これらは、水硬性結合材用に古典的に使用される、添加剤である。
原則として、それらは、少ない割合で組成物に添加され、後者に興味深い特性を提供する。
添加剤は、例えば、当業者に公知の凝結促進剤および/または凝結遅延剤に相当してもよい。
本発明で好適に使用され得る、凝結促進剤は、公知の任意のタイプのものであってもよい。それらの使用は、得られる材料の施工性を調整することを可能にする。単独でか組み合わせてかのどちらかで使用される、ナトリウムアルミネート、ナトリウムシリケート、カリウムアルミネート、硫酸アルミニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、硫酸リチウムおよび炭酸リチウムなどのリチウム塩が、好適な例として挙げられるべきである。
特に有利な方法では、ポルトランドセメントおよび本発明によるエトリング石結合材と関連して、炭酸ナトリウムが、水と混合される組成物の凝結を促進する。これは、材料の初期機械的強度、すなわち水との混合後24時間以内の材料の機械的強度を向上させることを可能にする。
本発明での使用のための好適な凝結遅延剤は、公知の任意のタイプのものであってもよい。例えば、単独でか組み合わせてかのどちらかで使用されてもよい、クエン酸、酒石酸、グルコネート、ホウ酸およびそれらの塩が、とりわけ挙げられるべきである。
特に、凝結促進剤および凝結遅延剤から選択される凝結制御剤は、本発明の組成物総重量と比べて0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%を示してもよい。
添加剤はまた、セルロースエーテル、グアーエーテル、デンプンエーテル、会合性ポリマー、キサンタンゴム、ウェランガムなどのバイオ発酵によって得られるポリマーの系統から例えば選ばれる、保水剤およびレオロジー調整剤であってもよい。
添加剤はまた、例えば粉末の形態での、老化防止剤であってもよい。
本発明の組成物はさらに、骨材を含んでもよい。
特に、本発明の組成物はさらに、組成物総重量と比べて重量で、50%〜95%、好ましくは60%〜90%の骨材を含んでもよい。
有利には、本発明の組成物は次に、骨材サイズに応じてモルタルまたはコンクリートを形成するように適応させられる。
古典的には、モルタルにおいては、骨材は、例えば砂利の1つよりも低い、比較的小さい平均径を有する。本明細書で使用される骨材は、砂に相当する。
一方、コンクリートにおいては、骨材は、より高い平均径を有し;これらは、砂利または小さい砂利であってもよい。
本明細書で、「組成物総重量」は、前記骨材を含む組成物の重量を意味することを意図することが指摘されるべきである。
したがって、本発明によるモルタルは、乾燥モルタル総重量と比べて重量で、
− 10%〜50%、好ましくは20%〜40%の、前に記載された本発明による組成物のうちのいずれか1つ(セメントまたは水硬性結合材)、
− 50%〜90%、好ましくは60%〜80%の骨材
を含んでもよい。
特に、そのようなモルタルについての水混合比は、10%から50%まで、好ましくは20%から30%まで変わる。
同様に、本発明によるコンクリートは、乾燥コンクリート総重量と比べて重量で、
− 5%〜40%、好ましくは10%〜30%の前に記載された本発明による組成物のうちのいずれか1つ、
− 60%〜95%、好ましくは70%〜90%の骨材
を含んでもよい。
特に、そのようなコンクリートについての水混合比は、5%から30%まで、好ましくは5%から15%まで変わる。
本発明のモルタルおよびコンクリートは、当業者から知られる伝統的な方法であって、組成物に使用される成分および骨材がすべて別々に量り分けられ、次に水と組み合わせられる方法に従って製造される。
この方法は、当業者に知られているので、それは、本明細書で以下、さらに詳述されない。
本出願人は、それらの特性に関しては、所与の石灰対アルミナモル比の、前に記載された最終非晶質カルシウムアルミネートから調合されるモルタルが、同じ石灰対アルミナモル比を有する、化学的に得られた非晶質カルシウムアルミネートで調合されるモルタルのそれらに似た機械的特性および反応性を有することを有利にも実証した。
先行事項に従って、本発明の組成物は、非晶質カルシウムアルミネートセメントを、それが粉末化最終非晶質カルシウムアルミネートを主として含む場合に形成するために使用され得ることが明らかになる。
それはまた水硬性結合材を、それが最終非晶質カルシウムアルミネートの前記粉末と他の水硬性結合材とを含む場合に形成するために使用され得る。
最後に、モルタルまたはコンクリートを、それが最終非晶質カルシウムアルミネートの前記粉末ならびに/または他の水硬性結合材および骨材を含む場合に形成するために使用され得る。
本発明の組成物の好適な製造方法がこれから記載される。
特に、粉末の形態での最終非晶質カルシウムアルミネート、言い換えれば非晶質カルシウムアルミネートセメントを製造するために好適に用いることができる、方法が記載される。
原則として、最終非晶質カルシウムアルミネートは、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを単に混合することによって、または粉末を得るために前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのクリンカーを同時粉砕することによって得ることができる。
したがって、本発明は、下限(Ri)と上限(Rs)との間に広がる、所定の範囲内で選択される最終石灰対アルミナモル比Rfの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物の製造方法であって、前記下限Riが上点Rsとは異なり、
ここで、
a)第1非晶質カルシウムアルミネートが、前記所定の範囲の下限(Ri)よりも厳密に低い、第1石灰対アルミナモル比R1で、選ばれ、第2非晶質カルシウムアルミネートが、前記所定の範囲の上限Rsよりも厳密に高い、第2石灰対アルミナモル比R2で、選ばれ、
b)組み合わせられるべき前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのぞれぞれの量が、前記それぞれの量で重み付けされた、前記第1および第2石灰対アルミナモル比R1、R2の平均に相当する、非晶質カルシウムアルミネートの最終石灰対アルミナモル比Rfが前記所定の範囲内にあるように決定され;
c)前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが工程b)において決定された量に従って組み合わせられる
方法を提供する。
有利には、本発明による方法は、少ない工程を有し、実施するのが容易である。したがって、本発明の組成物は、調製するのが容易である。
本発明の方法のおかげで、非晶質カルシウムアルミネートの最終モル比RFが、前記所定の範囲において選択される所定の値に等しいように、組み合わせられるべき第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのそれぞれの量を決定することが可能である。
本発明の方法は、オペレーターによって達成され得る、幾つかの工程を実行する。
本方法を実行する前に、オペレーターは、前記組成物の標的とされる用途に応じて、組成物に含有される非晶質カルシウムアルミネートの最終モル比Rfを決定する。
言い換えれば、オペレーターは、前記所定の範囲中で達したい最終モル比値Rfを決定する。
前記最終モル比RFはしたがって、下限および上限Ri、Rsによって画定されるような所定の範囲内にある。
前に説明されたように、特定の用途に関連した前記最終モル比RFは、不確実性を考慮に入れて達することができる。例えば、そのような不確実性は、達成されるように努められる最終モル比RFの5%、または10%を占める。
したがって、所定の範囲の下限Riは、最終モル比Rfマイナス前記不確実性以下である。同様に、所定の範囲の上限Rsは、最終モル比Rfプラス前記不確実性以上である。
不確実性が最終モル比Rfの5%を占める場合に戻って、所定の範囲の下限Riは、最終モル比Rfの95%以下であり、所定の範囲の上限Rsは、最終モル比Rfの105%以上である。
工程a)において、オペレーターは、組み合わせられるべき第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを選択する。
その目的に向けて、オペレーターは、第1モル比R1と呼ばれる、そのモル比が、所定の範囲の下限Riよりも厳密に低いように第1非晶質カルシウムアルミネートを選択する。
同様に、オペレーターは、第2モル比R2と呼ばれる、そのモル比が、所定の範囲の上限Rsよりも厳密に高いように第2非晶質カルシウムアルミネートを選択する。
これらの第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、市場で見いだされてもよいしまたは、例えば化学的方法を用いて、オペレーターによって製造されてもよい。
例えば、本明細書で上述された第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが完全に好適である。
前に記載された実施形態によれば、その最終モル比RFが比較的大きいオープンの所定の範囲に、例えば所定の範囲]1.34;2.2[に厳密に属する、最終非晶質カルシウムアルミネートを得るために、1.34の第1モル比R1および2.2の第2モル比R2をそれぞれ有する、それぞれが関係のあるパラメータで調整される化学的に再現可能な方法に従って得られる第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを選択することができる。
製造方法の第1実施形態によれば、工程a)において、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、粉末の形態で選ばれる。
特に、オペレーターは、粉末の形態で市場に出ている第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを入手することができる。
代案として、オペレーターは、粉末形態での第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを化学的に製造してもよい。
さらなる代案として、オペレーターは、クリンカーの形態での第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを購入してもよいし、またはクリンカーの形態での第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを製造してもよい。オペレーターは次に、クリンカーが、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのそれぞれの粉末を得るために別々に粉砕されなければならない、工程a)のサブ工程を実施する。前記クリンカーのそれぞれの粉砕は、当業者に公知である条件下での伝統的なボールミルで達成され得る。
製造方法の第2実施形態によれば、工程a)において、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートは、クリンカーの形態で選ばれる。
これらのクリンカーは典型的には、化学的に得られる。それらはまた、商業的に入手され得る。
選択される実施形態が何であれ、工程b)において、オペレーターは、期待される量の最終非晶質カルシウムアルミネートを得るために、組み合わせられるべき第1および第2非晶質カルシウムアルミネートについての前記それぞれの量を、古典的な重心計算に従って、計算する。
一般に、第1非晶質カルシウムアルミネートの、第2非晶質カルシウムアルミネートのおよび最終非晶質カルシウムアルミネートの前記量は、グラム単位での、質量として計算される。
前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートならびに最終非晶質カルシウムアルミネートの重量は、それらが含む唯一の非晶質カルシウムアルミネート化合物の重量に本明細書では近似しており、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートにならびに最終非晶質カルシウムアルミネートに含まれる任意の不純物および/または任意の加工剤はマイノリティである。
したがって、次の計算法が、組み合わせられるべき第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの第1および第2質量M1、M2を計算するために用いられてもよい:
(M1+M2)×RF=M1×R1+M2×R2。
例えば、本出願人は、40重量%の、1.34に等しい第1モル比R1の非晶質カルシウムアルミネートと、60重量%の、2.2に等しい第2モル比R2の非晶質カルシウムアルミネートとを組み合わせることによって、最終非晶質カルシウムアルミネートが1.81の最終モル比RFを有するのに対して;割合35%/65%または45%/55%で同じ第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを組み合わせることによって、1.85または1.77の最終モル比RFがそれぞれ得られることを示した。
工程c)において、オペレーターは、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートを混ぜ合わせる。
本方法の第1実施形態によれば、工程c)において、非晶質カルシウムアルミネート粉末は、粉末の形態での最終非晶質カルシウムアルミネートを形成するためにそのまま混合される。
言い換えれば、工程c)において、前記粉末は、非晶質カルシウムアルミネートを含む前記組成物を得るために混合される。
これらの粉末は、好適な混合装置で混合される。粉末に適合した任意のタイプのミキサー、例えばLoedige(登録商標)ミキサーが好適であり得る。
一般に、混合工程継続時間は、30秒〜30分、好ましくは1分〜10分の範囲である。
この混合工程は、大抵の場合、室温で、すなわち50℃よりも低い温度で、一般に15℃〜25℃の範囲の温度で遂行される。
代案として、前記粉末の組み合わせは、有機添加剤によって生じた非晶質カルシウムアルミネートへの特別な処理の遂行に特有の混合温度で達成され得る。この場合には、特有の混合温度は、使用される有機添加剤の溶融温度に対応する。
本方法の第2実施形態によれば、工程c)において、粉末の形態での最終非晶質カルシウムアルミネートを形成するために、第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのクリンカーは同時粉砕される、すなわち、それらは同時に粉砕され、混合される。
言い換えれば、工程c)において、前記クリンカーは、非晶質カルシウムアルミネートを含む前記組成物を得るために同時粉砕によって組み合わせられる。
第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが、クリンカーの形態で選ばれる場合、この第2方法実施形態は、それが2つの工程(粉砕および組み合わせ)を単一工程(同時粉砕)で遂行することを可能にするので、時間を節約することを可能にする。
特に、本方法のこの第2実施形態によれば、工程c)において、非晶質カルシウムアルミネートの第1および第2クリンカーは、2秒〜30分、特に1分〜10分の範囲の期間同時粉砕される。
もちろん、クリンカーに適した任意のタイプのミキサー、例えばボールミルが、本発明の方法を実施するために好適に用いられ得る。
同時粉砕は一般に、いかなる特有の温度制御もなしに、すなわち、典型的には、室温および、80℃、または100℃もしくは160℃さえに達することができる、粉砕操作によって自然に達する温度の範囲の温度で行われる。
代案として、前記クリンカーの同時粉砕は、有機添加剤によって生じた非晶質カルシウムアルミネートへの特別な処理の遂行のための制御された混合温度で行われてもよい。この場合には、特有の混合温度は、使用される有機添加剤の溶融温度に対応する。
もちろん、本方法に従って調製された組成物は、本発明の組成物のそれらと同じ特性を有する。これらは既に記載されているので、それらは本明細書で以下にさらに詳述されない。
この方法の工程c)において得られる最終非晶質カルシウムアルミネートセメント(または粉末)は一般に、100μm以下、好ましくは75μm以下、典型的には50μm以下の中央径d50を有することがまさに明記されるであろう。典型的には、前記非晶質カルシウムアルミネートセメントの中央径d50は、レーザー粒度分析によって測定されるように、5μmから30μmまで変わる。
特に、非晶質カルシウムアルミネートセメントは、2500cm2/g〜9000cm2/gの範囲の、標準NF EN196−6に従って測定される、比表面積(Blaine値)を有する。
任意選択的に、工程c)において、オペレーターは、硫酸カルシウム、ポルトランドセメント、またはそれらの組み合わせから選択される1つもしくは複数の化合物、および任意選択的に、典型的にはまた粉末の形態で見いだされる、1つもしくは複数の添加剤を添加する決心をしてもよい。
このようにして得られた組成物は次に、本発明による結合材を形成し、水と一緒に混合されてもよい。
本発明の本明細書にて上述された方法をベースとする、簡略化方法は、その最終モル比RFが正確には選ばれていないが、簡単に所与の範囲に含まれている非晶質カルシウムアルミネートセメントを調製するために実施され得ることが指摘されるべきである。
この簡略化方法によれば、オペレーターは、工程a)およびc)を行うにすぎない。
この簡略化方法によれば、異なるモル比の2つの非晶質カルシウムアルミネートを組み合わせることによって、そのモル比が必然的に、出発第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの第1および第2モル比R1、R2によって定められる範囲内に厳密に含まれる非晶質カルシウムアルミネートを含む、組成物が得られる。
一般的に言えば、記載される本発明は、多くの利点を有する。
それは、とりわけ、複数の最終非晶質カルシウムアルミネートを、たった2つの初期非晶質カルシウムアルミネートから、そしてこれが、ただ組成物内の各成分の割合を変えることによって得ることができるので、最終非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物を調製することに大きい柔軟性を提供する。言い換えれば、組み合わせ内の第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのそれぞれの量を変えることによって、すべて所定の範囲内の、非常に多くの様々な最終モル比RFが得られ得る。
それ故、この特定のモル比が、既知の非晶質カルシウムアルミネートの第1および第2モル比R1、R2の間に含まれる瞬間に、意図される用途にマッチするべく特定の石灰対アルミナモル比の非晶質カルシウムアルミネートを得るために化学的方法を用いることはもはや必要とされない。
その上、本発明による方法は、少ない工程を有するにすぎず、かつ、すべてのこれらの工程が実施するのに容易であるので、非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物の調製を簡単にする。
その上、本発明の製造方法は再現可能である。
さらに、本発明の製造方法は、前記出発第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが化学的方法または任意の他の同等の方法によって容易に得られるので、だからこそ最終非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物の調製について簡略化される。
他の点では、本発明のおかげで、化学的方法によって製造するための非晶質カルシウムアルミネートの数が減少し、それは、在庫管理を容易にし、調製または粉砕中の移行による製造ロスを限定する、などである。
さらに、最終非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物を得るために必要とされる時間は、非晶質カルシウムアルミネートを化学的に製造するために必要とされる時間と比べて実質的に短縮される。
その上、および実験の部において示されるように、本発明の非晶質カルシウムアルミネートセメントは意外にも、同等のC/Aモル比で、化学的に製造された非晶質カルシウムアルミネートセメントのそれらに似ている、反応性特性を有する。
実に、それらの特性に関しては、所与の石灰対アルミナモル比の、本発明による非晶質カルシウムアルミネートセメントから調合された水硬性結合材は、近い石灰対アルミナモル比の、化学的に得られた非晶質カルシウムアルミネートから調合されたそれらの水硬性結合材に似た反応性を有する。これは、化学的に得られた非晶質カルシウムアルミネートから調合された水硬性結合材のそれらとは異なる反応性特性を有する、結晶性カルシウムアルミネートと非晶質カルシウムアルミネートとを混合することによって得られたカルシウムアルミネートから調合された水硬性結合材には当てはまらない(先行技術の記載を参照されたい)。
有利にも、本発明による非晶質カルシウムアルミネートセメントは、それらの最終石灰対アルミナモル比RFが高いので、だからこそ、実に、より反応性が高い。
これは、前記最終石灰対アルミナモル比RFに依存して、非晶質カルシウムアルミネートセメントが様々な用途向けに使用され得ることを考えると特に有利である。
有利には、本発明のおかげで、最終非晶質カルシウムアルミネートの最終石灰対アルミナモル比RFは調整することができ、それは、それらを組み込んだ材料(結合材、モルタル、コンクリート)の反応性を制御することを可能にする。
先行技術の説明に述べられているように、1.8よりも高い最終モル比RFの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物は、それらが水と接触してしまった後約10秒〜約10分内にそれらが発熱様式で反応する限りにおいて超反応性であると言われる。
したがって、1.8〜2.0の範囲の最終モル比RFの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物は一般に、10から20分まで変わる凝結時間を有し、そして速硬化性モルタルを調製するために使用され得る。
2.0〜2.2の範囲の最終モル比RFの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物は、約2、3秒からおおよそ10分まで変わる凝結時間を有し、そしてショットクリートまたは固着カプセルを調製するために使用され得る。
一方、1.8よりも低い最終モル比RFの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物は、それらが、水と接触してしまって時として2〜3時間後に、それらが発熱様式で反応する限りにおいて反応性が低い。
したがって、例えば、1.5よりも低い石灰対アルミナモル比RFの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物は、2時間から4時間まで変わる凝結時間を有し、そして床材接着剤またはスクリードを調製するために使用され得る。
1.5〜1.8の範囲の最終モル比RFの非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物は、20分から2時間まで変わる凝結時間を有し、そして特定の材料を使ったオートレベリング土壌再舗装作業またはプレキャスト作業のために使用され得る。
以下の実施例は、本発明を例示するが、それを限定しない。
第一部において、予備試験は、結晶性および非晶質カルシウムアルミネートが水と組み合わせられる場合に異なる挙動を、意外にも、有することを実証するために示される。
第二部において、本発明による非晶質カルシウムアルミネートならびに化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートの例が調製された。それらは、セメント、エトリング石結合材またはモルタルさえをそれぞれ形成するために組成物に組み込まれた。これらの組成物の反応性および機械的強度が測定され、比較された。
第一部−予備試験
実験プロトコル:
非晶質または結晶性の、様々なカルシウムアルミネートを化学的に得る。この目的のために、慣例的に、酸化カルシウム源(例えば石灰石)およびアルミナ源(例えばボーキサイトブロック)を溶融炉に導入する。これらの原材料を、それらの溶融を可能にする最低温度で、それらの完全な溶融を可能にする期間溶融炉において加熱処理する。
溶融生成物を次に非常にゆっくり冷却して結晶性カルシウムアルミネートクリンカーを形成する。一方、溶融生成物をその結晶化温度よりも下で急冷して(2、3秒で)非晶質カルシウムアルミネートクリンカーを形成する。
各結果として生じたクリンカーを次に、約4000cm2/gの比表面積(Blaine値)に粉砕する。
このようにして得られた粉末を、攪拌しながら、100g/L(1リットル当たりのグラム)の濃度で水に懸濁させる。
5分間攪拌後に、溶液試料を取り、濾過する。
誘導結合プラズム質量分析(ICP−MS)法を次に、濾過溶液中のカルシウムイオンおよびアルミニウムイオン濃度を測定するために実施する。
これらの濃度の比を、C/Aモル比に換算する。
以下の予備表は、化学的に得られる非晶質または結晶性カルシウムアルミネートクリンカーのC/Aモル比、およびそれらが接触させられた溶液のC/Aモル比を示す。
「デルタ」列は、クリンカーの形態でのこのカルシウムアルミネートのC/Aモル比を基準とする、クリンカーの形態で取られたまたは溶液で取られた同じカルシウムアルミネートのC/Aモル比間の差を示す。
Figure 2018516227
結果:
この予備実験は、溶液中の結晶性カルシウムアルミネートのC/Aモル比が、結晶性カルシウムアルミネートクリンカーのC/Aモル比と非常に異なることを実証する。
さらに、溶液中のカルシウムアルミネートのC/Aモル比と、クリンカーのC/Aモル比との間の差は、結晶性カルシウムアルミネートごとに一定ではない。
本出願人は結晶性カルシウムアルミネートの溶液の調製時のC/Aモル比の差を説明しようと試みたが、本出願人は意外にも、この差が非晶質カルシウムアルミネートについて非常に小さく、それは、溶解が一致と呼ばれ、すなわち、溶液に入る化学種のC/Aモル比がクリンカーのC/Aモル比と実質的に同じものであり、したがって本発明を可能にすることを見いだした。
実に、非常に意外にも、クリンカーの形態で取られたまたは溶液で取られた非晶質カルシウムアルミネートのC/Aモル比は非常に似ており、そして検討された非晶質カルシウムアルミネートが何であれ、これである。
結晶性カルシウムアルミネートの場合には、最初の粉末混合物のC/Aモル比に関与する石灰のおよびアルミナの一部は、非常に低いまたはまったくなしさえの流出度を有する結晶相中に閉じ込められ、それが、クリンカーにおいて測定されたモル比と溶液において測定されたものとの間の差を説明できると思われる。
第二部
実施例を例示する表1、2および3において、ACAは、非晶質カルシウムアルミネートを表す。
A/検討される生成物の調製
A1−第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの調製
本明細書では以下、ACA1と呼ばれる、第1非晶質カルシウムアルミネートは、最終工程が特有の冷却にあることを除いて、Kerneos社によって市場に出されているカルシウムアルミネートSecar(登録商標)51の公知の製造方法に従って得られる。
具体的には、ACA1は、以下の工程:
− 酸化カルシウム源としての石灰石(40重量%)と、アルミナ源としてのボーキサイトブロック(60重量%)とを溶融炉へ導入する工程;
− 組成物の溶融を可能にする最低温度での、すなわち1550℃での溶融炉において、原材料の完全溶融を達成することを可能にする時間、すなわち、10時間、加熱処理する工程;
− 前記液体カルシウムアルミネートをまさしく炉出口で回収する工程;
− 非晶質カルシウムアルミネートクリンカーを得るために、その結晶化温度よりも下の温度にその温度を急に下げる、すなわち、1秒当たり15℃の勾配で冷却するように、前記液体カルシウムアルミネートを加熱処理後に冷却する工程;
− 第1非晶質カルシウムアルミネートACA1のセメントと呼ばれる、第1非晶質カルシウムアルミネートACA1の粉末を得るために非晶質カルシウムアルミネートクリンカーを粉砕する工程
を含む方法に従って得られた。
第1非晶質カルシウムアルミネートACA1は、80%以上の非晶相の比率を有し、その石灰対アルミナモル比R1は1.34である。
さらに、それは、10μmの中央径d50を有する。
本明細書で以下ACA2と呼ばれる、第2カルシウムアルミネートは、最終工程が特有の冷却にあることを除いて、Kerneos社によって市場に出されているカルシウムアルミネートLDSF(登録商標)RGの公知の製造方法に従って得られる。
具体的には、ACA2は、以下の工程:
− 酸化カルシウム源としての石灰石(60重量%)と、アルミナ源としてのボーキサイトブロック(40重量%)とを溶融炉へ導入する工程;
− 組成物の溶融を可能にする最低温度での、すなわち1450℃での溶融炉において、原材料の完全溶融を達成することを可能にする時間、すなわち、10時間、加熱処理する工程;
− 前記液体カルシウムアルミネートをまさしく炉出口で回収する工程;
− 非晶質カルシウムアルミネートクリンカーを得るために、その結晶化温度よりも下の温度にその温度を急に下げる、すなわち、1秒当たり15℃の勾配で冷却するように、前記液体カルシウムアルミネートを加熱処理後に冷却する工程;
− 第2非晶質カルシウムアルミネートACA2のセメントを得るために非晶質カルシウムアルミネートクリンカーを粉砕する工程
を含む方法に従って得られた。
非晶質カルシウムアルミネートACA2は、90%以上の非晶相の比率を有し、その石灰対アルミナモル比R2は約2.20である。
さらに、それは、10μmの中央径d50を有する。
A2−本発明によるカルシウムアルミネートセメントのおよび比較セメントの調製
セメントを形成する本発明の組成物を調製するために、ACA1とACA2とを、以下の表1にまとめられる様々な量で5分の期間、Loedige(登録商標)ミキサーで組み合わせた。
さらに、非晶質カルシウムアルミネートセメントACA−Transitionが比較例として働く。
この非晶質カルシウムアルミネートセメントACA−Transitionは、ACA1およびACA2についてのものと似ている方法に従って得られる。この方法は、以下に存する工程:
− 酸化カルシウム源としての石灰石(52重量%)と、アルミナ源としてのボーキサイトブロック(48重量%)とを溶融炉へ導入する工程;
− 10時間、1500℃での溶融炉において、これらの材料を加熱処理する工程;
− 前記液体カルシウムアルミネートをまさしく炉出口で回収する工程;
− 非晶質カルシウムアルミネートクリンカーを得るために、前記液体カルシウムアルミネートを加熱処理後に冷却する、すなわち、1秒当たり15℃の勾配で冷却する工程;
− 非晶質カルシウムアルミネートセメントACA−Transitionを得るために非晶質カルシウムアルミネートクリンカーを粉砕する工程
を含む。
様々なセメントについての石灰対アルミナモル比は、非晶質カルシウムアルミネート粉末に関する、蛍光X線と呼ばれる、古典的な結晶学的解析によって評価した。注として、これらのモル比は、ACA1についてはR1、ACA2についてはR2、および本発明によるセメントについてはRfと言われる。RTは、比較非晶質カルシウムアルミネートセメントACA−Transitionに対応するモル比である。
本明細書の以下の表1は、検討される様々な非晶質カルシウムアルミネートを示す。百分率(%)は、非晶質カルシウムアルミネート総量と比べて所与の化合物の重量を表す。
Figure 2018516227
A3−エトリング石結合材:非晶質カルシウムアルミネートセメント+硫酸カルシウムの調製
エトリング石結合材を形成する本発明による様々な組成物を調製した。
それらはそれぞれ、非晶質カルシウムアルミネートセメントと硫酸カルシウムとを含む。
具体的には、本発明によるこれらのエトリング石結合材(本明細書で下の表2におけるLE2、LE4、LE7、LE9)を、表1の非晶質カルシウムアルミネートセメントのいくつかから調製した。
2つの他の比較エトリング石結合材(LE−ACA1およびLE−ACA2)をまた、2つの初期非晶質カルシウムアルミネートACA1およびACA2(化学プロセスによって得られた)から調製した。
ここで使用される硫酸カルシウムは、Francis Flower社から購入することができる、合成無水石膏である。
本明細書の以下の表2は、これらの様々なエトリング石結合材粉末の組成を示す。
Figure 2018516227
A4−モルタルの調製
モルタルを形成する本発明による様々な組成物を調製した(本明細書の以下の表3のM3、M4、M5、M6、M7、M8およびM9)。
それらはそれぞれ、表1の非晶質カルシウムアルミネートセメントと、ポルトランドセメントと、硫酸カルシウムと、砂と、添加剤とを含む。これらの組成物を、表3に示される量の水と混ぜ合わせた。
比較モルタルは、初期非晶質カルシウムアルミネート(M−ACA1、M−ACA2)と、化学的に得られる比較非晶質カルシウムアルミネート(M−Transition)とから調製した。
使用されるポルトランドセメントは、Lafarge社から購入され得るCEM Iである。砂は、Normensand社から購入され得る。本砂は0/2mmの大きさである。
使用される硫酸カルシウムは、Francis Flower社から購入され得る、合成無水石膏である。
本明細書の以下の表3は、検討される様々なモルタルの組成を示す。
この表3において、百分率(%)は、乾燥モルタル総重量(すなわち、水がまったくなし)と比べて表される。
Figure 2018516227
B/特性化試験
B−発熱プロフィール
表1の非晶質カルシウムアルミネートセメント、表2のエトリング石結合材および表3のモルタルの反応性を、発熱プロフィールを検討することによって解析した。
その目的に向けて、非晶質カルシウムアルミネートセメントおよびエトリング石結合材を、以下の手順に従って水と混合した。
それぞれ、50グラムの非晶質カルシウムアルミネートセメント、エトリング石結合材を量り分けた。それぞれ、非晶質カルシウムアルミネートセメント、エトリング石結合材をプラスチックビーカーへ導入し、木の舌圧子を用いて混合した。
別のプラスチックビーカーに、水が粉末総重量と比べて35重量%を表すように好適な水量、すなわち、17.5グラム水をここに量り分けた。
粉末に、このように量り分けた水を添加し、混合を30秒間、木の舌圧子を用いて遂行した。
モルタルは、表3に示される粉末、水および添加剤の割合で製造する。
このようにして形成された非晶質カルシウムアルミネートセメント、エトリング石結合材およびモルタルの反応性を、水との30秒混合後直ちに追跡する。
発熱プロフィールを作るために、混合物(水と混ぜ合わせられたセメント、水と混ぜ合わせられたエトリング石結合材、またはモルタル)を含有するプラスチックビーカーを、カバーレベルで穴付きの、等温ポリスチレンボックスに入れた。熱電対と呼ばれる、温度プローブを次に、等温ボックス中へ挿入した。この熱電対は材料と接触せず、それは、等温ボックス内の温度を測定することをまさに可能にした。摂氏度(℃)単位での温度をこのようにして、分(min)単位での時間の関数として、追跡した。
試験継続時間すべてについて、外部温度は約23℃のものであり、相対湿度は50%であった。
B2−圧縮試験
圧縮中の機械抵抗の測定は、エトリング石結合材に関して、ならびにモルタルに関して乾燥中に行った。
その目的に向けて、それらが、乾燥エトリング石結合材総重量と比べて重量で、0.3%のクエン酸を含んだことを除いて、表2に示される組成のエトリング石結合材を使用した。
これらのエトリング石結合材を、B1−発熱プロフィールセクションに記載されているプロトコルに従って水と混合した。エトリング石結合材をその後、25ミリメートル(mm)高さおよび25mm直径の円筒プリズムを形成するために成型した。
これらのプリズムの機械的圧縮強度を、23℃で、50%の相対湿度下に7日乾燥後に評価した。
同様に、表3に示される組成のモルタルを、4センチメートル(cm)×4cm×16cmのサイズのプリズムを形成するために成型した。
これらのプリズムの機械的圧縮強度を、4時間乾燥後に、次に24時間乾燥後に評価した。
これらの様々な材料についての機械的圧縮強度は、次の通り修正された標準EN 196−1に従って評価した:外部温度は試験の間ずっと23℃であり、相対湿度は50%であり、プリズムは、圧縮試験の前にいかなる湿気硬化も受けなかった。
C/結果
C1−反応性
図2で、本発明による、水と混合される非晶質カルシウムアルミネートセメント(実施例1、2、3、5および8)、または化学的に得られる(ACA1およびACA2)の、短時間、すなわち、0分〜2時間の範囲の発熱プロフィールは、これらの非晶質カルシウムアルミネートセメントの反応性がそれらのC/Aモル比に密接に関係していることを示した。
実に、反応は、1.6よりも高いモル比の非晶質カルシウムアルミネートセメント(実施例5、8およびACA2)について、他のもの(実施例1、2および3、ならびにACA1)についてよりも発熱性であることを観察することができた。
さらに、最終モル比Rfが高ければ高いほど、より速く発熱反応が水との混合後に起こる。したがって、そのモル比が1.6よりも高い非晶質カルシウムアルミネートについては、温度の上昇は、試験がスタートした後約10秒以内に(ACA2)および試験がスタートした後約10分以内に(実施例5)起こった。
その上、これらの非晶質カルシウムアルミネートの起始部での傾斜は非常に急である。
一方、1.6よりも低いモル比の非晶質カルシウムアルミネートについては、発熱反応は、より遅く、かつ、より穏やかであると思われる。
最後に、本発明による非晶質カルシウムアルミネートセメント(実施例1〜3、5、6および8)の反応性は、化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートセメント(ACA1およびACA2)の反応性に直接比べられ得ることが指摘されるべきである。
とりわけ、本発明による非晶質カルシウムアルミネートセメントの反応時間は、化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートセメント(ACA1およびACA2)の反応時間の中間にある。
図3で、短時間の、すなわち、0分〜50分の範囲の発熱プロフィール、本発明による、エトリング石結合材(実施例LE2、LE4、LE7およびLE9)または比較例(LE−ACA1およびLE−ACA2)は、非晶質カルシウムアルミネートセメントに関して観察された反応性を裏付けた。
したがって、非晶質カルシウムアルミネートセメントのC/Aモル比が高ければ高いほど、それらが形成するエトリング石結合材はより反応性である、すなわち、それらと水との混合後のこれらのエトリング石結合材の反応はより発熱する(発熱性である)。
特に、本発明のエトリング石結合材の反応性(ここでは発熱性)は、2つの比較エトリング石結合材(LE−ACA1およびLE−ACA2)のそれら間の中間にある。
したがって、水和反応によって一般に発生する熱を証明する、曲線下面積は、比較エトリング石結合材LE−ACA1についてその最大に、エトリング石結合材LE−ACA2についてその最小に、本発明によるエトリング石結合材(LE2、LE4、LE7およびLE9)について中間にある。
とりわけ、本発明によるエトリング石結合材の組成物中の化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートセメントACA2の割合がより高く増加すればするほど、より高く本発明による前記エトリング石結合材の反応は発熱性になる(発熱性が増加し、曲線下面積は増加する)ことを指摘することができる。
したがって、図2および3から、非晶質カルシウムアルミネートセメントのC/Aモル比は、水硬性結合材の、特にエトリング石結合材の反応性を制御するために制御されるべき重要なパラメータであると結論され得る。
本発明は、そのような制御を、それが非晶質カルシウムアルミネートセメントのC/Aモル比を正確に制御することを可能にする限りにおいて、提供する。
C2−機械的強度
図4で、エトリング石結合材の機械的圧縮強度が、使用される非晶質カルシウムアルミネートセメントのC/Aモル比に依存することを観察することができる。
したがって、C/Aモル比が高ければ高いほど、形成されるエトリング石結合材の機械的強度はより高くなる。
本発明のエトリング石結合材の機械的強度は、本明細書では、比較エトリング石結合材(LE−ACA1およびLE−ACA2)の機械的強度間の中間にある。
とりわけ、本発明のエトリング石結合材の組成物中で化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートセメントACA2の割合がより高く増加すればするほど、本発明のエトリング石結合材の強度はより高くなることを指摘することができる。
図5で、モルタルが、使用される非晶質カルシウムアルミネートセメントの石灰対アルミニウムモル比C/Aにそれ自体依存する、それらの機械的圧縮強度に応じて、様々なカテゴリーに分類され得ることを指摘することができる。
具体的には、モルタル組成物に使用される非晶質カルシウムアルミネートセメントのC/Aモル比は、早期に、すなわち、水との混合の終わり4時間後にモルタルの機械的圧縮強度に影響を及ぼす。
図5は、本発明による非晶質カルシウムアルミネートをベースとするモルタルの挙動がC/Aモル比の関数として予測可能であることを示す。
したがって、本発明のおかげで、水と混合の4時間または24時間後に所望の機械的圧縮強度を得るために非晶質カルシウムアルミネートのC/Aモル比を容易に調整することが可能である。
これは、結晶性カルシウムアルミネートでは可能ではない。
ここで再び、これらの結果は、非晶質カルシウムアルミネートセメントのモル比を正確に制御できることが重要であることを実証している。本発明は、そのような制御にとって特に有用である。
C3−2つの非晶質カルシウムアルミネート間の比較
最後に、様々な結果は、本発明の非晶質カルシウムアルミネートセメントが化学的に得られる非晶質カルシウムアルミネートセメントのそれらと少なくとも似ている特性を有するという事実を強調している。
例えば、それらの反応性に関しては、本発明の非晶質カルシウムアルミネートセメントは、化学的に得られる、比較非晶質カルシウムアルミネートセメントと同じ挙動を示す。
実に、図6は、実施例5および6の非晶質カルシウムアルミネートセメント(RF=1.72およびRF=1.77)が、比較非晶質カルシウムアルミネートセメントACA−Transition(RT=1.76)のそれと比べて完全に似た反応性を有することを示す。
反応時間は、2、3分〜最大20分の範囲であり、温度は、実施例6のセメントについてはほぼ100℃に、または実施例5のセメントおよび比較セメントACA−Transitionについては140℃さえに上昇する。
さらに、図6の3つの曲線の起始部での傾斜は似ており(3つの曲線はすべて非常に急であり)、ACA−Transitionによって達せられるピーク温度に近づくことが可能である。
その上、図7は、本発明のセメントから(実施例6から)得られるモルタルが、化学的に得られる比較セメントACA−Transitionを使用するモルタルのそれと非常に似た反応性を有することを証明する。実に、それらの発熱プロフィールは非常にそっくりであり、水と混合されてしまった約30分後に、それらの温度は5℃だけ異なるにすぎない。
他の点では、図5は、実施例5および6の本発明による2つのセメントまたは比較セメントACA−Transitionの1つをそれぞれ含むモルタルの機械的圧縮強度がまた似ていることを示す。実に、それらはすべて、凝結遅延剤または促進剤などの、他の実験パラメータは最適化されていないけれども、匹敵する機械的強度を有する。
したがって、上述された結果は、本発明の方法に従って得られる、本発明による非晶質カルシウムアルミネートの特性が、組み合わせられる非晶質カルシウムアルミネートの特性に基づいて予測可能であることを示す。
さらに、本発明の方法に従って得られる、本発明による非晶質カルシウムアルミネートの特性は、化学的方法によって得られる非晶質カルシウムアルミネートのそれらと、同等のC/Aモル比で、似ている。

Claims (13)

  1. 下限(Ri)と上限(Rs)との間に広がる、所定の範囲内に含まれる最終石灰対アルミナモル比(RF)の非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物であって、前記下限(Ri)が前記上限(Rs)とは異なり、
    前記非晶質カルシウムアルミネートが、少なくとも:
    − 前記所定の範囲の前記下限(Ri)よりも厳密に低い、第1石灰対アルミナモル比(R1)の第1非晶質カルシウムアルミネートと、
    − 前記所定の範囲の前記上限(Rs)よりも厳密に高い、第2石灰対アルミナモル比(R2)の第2非晶質カルシウムアルミネートと
    からなる組み合わせであること、
    そして前記組み合わせが、第1量の前記第1非晶質カルシウムアルミネートと、第2量の前記第2非晶質カルシウムアルミネートとを含み、前記第1および第2量が、前記第1および第2量で重み付けされた前記第1および第2石灰対アルミナモル比(R1、R2)の平均に相当する、非晶質カルシウムアルミネートの前記最終石灰対アルミナモル比(RF)が前記所定の範囲内にあるように決定されることを特徴とする組成物。
  2. 前記第1および第2石灰対アルミナモル比(R1,R2)の差が、0.1以上、特に0.5以上、好ましくは0.8以上である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記第1非晶質カルシウムアルミネートの前記第1石灰対アルミナモル比(R1)が、0.01〜3、特に1〜2の範囲である、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
  4. 前記第2非晶質カルシウムアルミネートの前記第2石灰対アルミナモル比(R2)が、1.5〜15、好ましくは2〜3の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートの少なくとも1つが、少なくとも2つの親水性官能基および1つの疎水性鎖を含む有機化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 硫酸カルシウム、ポルトランドセメント、またはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの化合物と、任意選択的に1つもしくは複数の添加剤とをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. その乾燥総重量と比べて重量で:
    − 35%〜75%、好ましくは35%〜50%の、請求項1〜5のいずれか一項により定義されたような前記非晶質カルシウムアルミネートと;
    − 25%〜65%、好ましくは50%〜65%の硫酸カルシウムと、
    − 0%〜5%の添加剤と
    含む、請求項6に記載の組成物。
  8. その乾燥総重量と比べて重量で:
    − 2%〜30%、好ましくは4%〜20%の、請求項1〜5のいずれか一項により定義されたような前記非晶質カルシウムアルミネートと、
    − 4%〜40%、好ましくは10%〜28%の硫酸カルシウムと、
    − 30%〜94%、好ましくは52%〜86%のポルトランドセメントと、
    − 0%〜5%の添加剤と
    含む、請求項6に記載の組成物。
  9. その乾燥総重量と比べて重量で:
    − 10%〜35%、好ましくは20%〜30%の、請求項1〜5のいずれか一項により定義されたような前記非晶質カルシウムアルミネートと、
    − 15%〜56%、好ましくは30%〜55%の硫酸カルシウムと、
    − 2%〜30%、好ましくは4%〜20%のポルトランドセメントと、
    − 0%〜5%の添加剤と
    含む、請求項6に記載の組成物。
  10. 組成物総重量と比べて重量で、50%〜95%、好ましくは60%〜90%の骨材をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 下限(Ri)と上限(Rs)との間に広がる、所定の範囲内で選択される最終石灰対アルミナモル比(RF)の非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物の製造方法であって、前記下限(Ri)が前記上限(Rs)とは異なり、ここで、
    a)第1非晶質カルシウムアルミネートが、前記所定の範囲の前記下限(Ri)よりも厳密に低い、第1石灰対アルミナモル比(R1)で、選ばれ、第2非晶質カルシウムアルミネートが、前記所定の範囲の前記上限(Rs)よりも厳密に高い、第2石灰対アルミナモル比(R2)で、選ばれ、
    b)組み合わせられるべき前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートのぞれぞれの量が、前記それぞれの量で重み付けされた、前記第1および第2石灰対アルミナモル比(R1、R2)の平均に相当する非晶質カルシウムアルミネートの前記最終石灰対アルミナモル比(RF)が前記所定の範囲内にあるように決定され;
    c)前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが工程b)において決定された量に従って組み合わせられる
    方法。
  12. 工程a)において、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートが粉末の形態で選ばれ、工程c)において、これらの粉末が前記非晶質カルシウムアルミネート含有組成物を得るために組み合わせられる、請求項11に記載の方法。
  13. 工程a)において、前記第1および第2非晶質カルシウムアルミネートがクリンカーの形態で選ばれ、工程c)において、これらのクリンカーが前記非晶質カルシウムアルミネート含有組成物を得るために同時粉砕によって組み合わせられる、請求項11に記載の方法。
JP2017563069A 2015-06-03 2016-06-03 非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物および関連製造方法 Active JP6937074B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR1555036 2015-06-03
FR1555036A FR3037061B1 (fr) 2015-06-03 2015-06-03 Composition comprenant un aluminate de calcium amorphe et procede de fabrication associe
PCT/FR2016/051337 WO2016193642A1 (fr) 2015-06-03 2016-06-03 Composition comprenant un aluminate de calcium amorphe et procédé de fabrication associé

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018516227A true JP2018516227A (ja) 2018-06-21
JP2018516227A5 JP2018516227A5 (ja) 2019-07-04
JP6937074B2 JP6937074B2 (ja) 2021-09-22

Family

ID=53524904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017563069A Active JP6937074B2 (ja) 2015-06-03 2016-06-03 非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物および関連製造方法

Country Status (12)

Country Link
US (1) US10577283B2 (ja)
EP (1) EP3303250B1 (ja)
JP (1) JP6937074B2 (ja)
KR (1) KR20180015644A (ja)
CN (1) CN107667081B (ja)
BR (1) BR112017025965B1 (ja)
DK (1) DK3303250T3 (ja)
ES (1) ES2858303T3 (ja)
FR (1) FR3037061B1 (ja)
HR (1) HRP20210253T1 (ja)
PL (1) PL3303250T3 (ja)
WO (1) WO2016193642A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11655190B2 (en) * 2016-06-28 2023-05-23 Taiheiyo Cement Corporation Hydraulic composition for additive manufacturing device, and process for producing casting mold

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3610586A1 (de) * 1984-09-21 1987-12-03 Denki Kagaku Kogyo Kk Bindemittel fuer ein feuerfestes material und dieses bindemittel enthaltendes feuerfestes produkt
JP2009073679A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント組成物
JP2010052983A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Taiheiyo Materials Corp カルシウムアルミネート
JP2011219302A (ja) * 2010-04-08 2011-11-04 Denki Kagaku Kogyo Kk 急結剤、吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法
JP2014129203A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Taiheiyo Material Kk カルシウムアルミネート系超速硬剤

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2849440B1 (fr) * 2002-12-27 2005-07-15 Lafarge Aluminates Accelerateur de prise liquide pour composition comprenant du ciment portland.
CN100349800C (zh) * 2003-01-21 2007-11-21 电气化学工业株式会社 含有氧自由基的铝酸钙膜的制造方法和层压体
WO2011108065A1 (ja) * 2010-03-01 2011-09-09 電気化学工業株式会社 セメント混和材及びセメント組成物
JP6047795B2 (ja) * 2012-11-12 2016-12-21 日東電工株式会社 アンテナモジュール
JP6061421B2 (ja) * 2012-12-28 2017-01-18 太平洋マテリアル株式会社 膨張性物質および膨張性組成物
FR3021046B1 (fr) * 2014-05-16 2016-06-10 Kerneos Ciment a prise ultra-rapide a base d'aluminate de calcium amorphe comprenant un traitement de surface

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3610586A1 (de) * 1984-09-21 1987-12-03 Denki Kagaku Kogyo Kk Bindemittel fuer ein feuerfestes material und dieses bindemittel enthaltendes feuerfestes produkt
JP2009073679A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント組成物
JP2010052983A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Taiheiyo Materials Corp カルシウムアルミネート
JP2011219302A (ja) * 2010-04-08 2011-11-04 Denki Kagaku Kogyo Kk 急結剤、吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法
JP2014129203A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Taiheiyo Material Kk カルシウムアルミネート系超速硬剤

Also Published As

Publication number Publication date
FR3037061B1 (fr) 2019-09-13
DK3303250T3 (da) 2021-02-22
CN107667081A (zh) 2018-02-06
KR20180015644A (ko) 2018-02-13
US10577283B2 (en) 2020-03-03
BR112017025965A2 (pt) 2018-08-14
FR3037061A1 (fr) 2016-12-09
US20180127315A1 (en) 2018-05-10
CN107667081B (zh) 2021-08-06
HRP20210253T1 (hr) 2021-04-02
EP3303250A1 (fr) 2018-04-11
EP3303250B1 (fr) 2020-11-25
JP6937074B2 (ja) 2021-09-22
PL3303250T3 (pl) 2021-05-31
ES2858303T3 (es) 2021-09-30
BR112017025965B1 (pt) 2023-04-11
WO2016193642A1 (fr) 2016-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kastiukas et al. Effects of lactic and citric acid on early-age engineering properties of Portland/calcium aluminate blended cements
DK3142985T3 (en) Ultra-fastening cement based on amorphous calcium aluminate
JP6488340B2 (ja) 急硬材及び急硬性セメント組成物
JP5783625B2 (ja) 低温用急硬性セメント混和材及び低温用急硬性セメント組成物
JP6718551B1 (ja) 粉体急結剤
JP5577651B2 (ja) 急硬性セメント
JP7037879B2 (ja) 二次製品用早強混和材および二次製品用早強コンクリート
JP5794333B2 (ja) セメント組成物
JP2012025635A (ja) セメントクリンカー及びセメント組成物
JP6937074B2 (ja) 非晶質カルシウムアルミネートを含む組成物および関連製造方法
JP6090401B2 (ja) セメント組成物の製造方法
CN112601726A (zh) 用于以预拌混凝土方式出货的快硬混凝土的硬化剂、以预拌混凝土方式出货的快硬混凝土材料、以预拌混凝土方式出货的快硬混凝土组合物及其调制方法
WO2020203490A1 (ja) セメント組成物及びセメント組成物の製造方法
WO2012175660A1 (en) Hydraulic composition submitted to a thermal treatment
US20220204405A1 (en) Hydraulic binder composition
JP2010052983A (ja) カルシウムアルミネート
Paul Application of the Rietveld method in the cement industry
JP2019112276A (ja) コンクリートおよびその製造方法
FR2941449A1 (fr) Liant hydraulique a base de clinker sulfoalumineux et d'additions minerales
PL243928B1 (pl) Cement zawierający żużel, beton, sposób wytwarzania cementu zawierającego żużel, sposób wytwarzania betonu i zastosowanie żużla pochodzącego z produkcji żelazostopów
JP7037878B2 (ja) 二次製品用早強混和材および二次製品用早強コンクリート
JPH08109050A (ja) セメント
AU2021242720A1 (en) Cement clinker, cement composition, and cement clinker production method
TAHER Influence of thermally treated phosphogypsum on the properties of Portland slag cement
JPH1171142A (ja) 超速硬セメント

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190530

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190530

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190830

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6937074

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150