JP2018514582A - B型肝炎ウイルスxタンパク質に対するポリペプチド薬物 - Google Patents

B型肝炎ウイルスxタンパク質に対するポリペプチド薬物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018514582A
JP2018514582A JP2017566181A JP2017566181A JP2018514582A JP 2018514582 A JP2018514582 A JP 2018514582A JP 2017566181 A JP2017566181 A JP 2017566181A JP 2017566181 A JP2017566181 A JP 2017566181A JP 2018514582 A JP2018514582 A JP 2018514582A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
amino acid
ttk001
hepatitis
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017566181A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6660966B2 (ja
Inventor
暁東 張
暁東 張
麗虹 葉
麗虹 葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tianjin Toptech Bio Science & Technology Co Ltd
Original Assignee
Tianjin Toptech Bio Science & Technology Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tianjin Toptech Bio Science & Technology Co Ltd filed Critical Tianjin Toptech Bio Science & Technology Co Ltd
Publication of JP2018514582A publication Critical patent/JP2018514582A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6660966B2 publication Critical patent/JP6660966B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K7/00Peptides having 5 to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K7/04Linear peptides containing only normal peptide links
    • C07K7/08Linear peptides containing only normal peptide links having 12 to 20 amino acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/04Peptides having up to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • A61K38/10Peptides having 12 to 20 amino acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • A61K39/29Hepatitis virus
    • A61K39/292Serum hepatitis virus, hepatitis B virus, e.g. Australia antigen
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/16Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for liver or gallbladder disorders, e.g. hepatoprotective agents, cholagogues, litholytics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/20Antivirals for DNA viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

本願発明は、B型肝炎ウイルスXタンパク質に対するポリペプチドおよびその医薬組成物を提供する。ポリペプチドは、D−アミノ酸を含み、B型肝炎ウイルスのDNA複製および関連抗原の発現を阻害し、B型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる肝炎、肝硬変および肝臓癌をさらに阻害することができる。

Description

本願発明は、ポリペプチド医薬の分野に関し、具体的には、D−アミノ酸を含むB型肝炎ウイルスXタンパク質に対するポリペプチドおよびその使用に関する。
肝臓癌は死をもたらし得る悪性腫瘍の1つである。その悪性度は高く、中国において、肝臓癌の死亡率は、胃癌の死亡率よりも低いのみで、2番目に高い。統計によると、中国において毎年新たに発症される肝臓癌患者は約30万人であり、毎年約11万人がこの疾患によって死亡する。B型肝炎ウイルス(HBV)感染は肝炎、肝硬変および原発性肝臓癌を引き起こし得る。中国において、肝臓癌患者の80%以上がHBV感染後に発症した肝臓癌を有し、これはB型肝炎後肝臓癌としても称される。
HBVは、約3.2Kbの長さを有するDNAウイルスであり、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、B型肝炎ウイルスコア抗原(HBcAg)、B型肝炎ウイルスポリメラーゼおよびB型肝炎ウイルスX抗原(HBxAg)(B型肝炎ウイルスXタンパク質、HBxとしても知られている)の転写および発現に関与する重複したオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、HBxはHBV DNA複製において不可欠な因子である。HBxがHBV DNA複製において不可欠な因子であるため、HBxの機能を阻害することは、HBV感染、ならびに後の肝炎および肝硬変の抑制をもたらし得る。
加えて、トランスアクチベーター因子として、HBxは肝臓癌の成長および増殖を促進することができ、したがって癌タンパク質としても知られている。分子レベル、細胞レベルおよび動物レベルでの研究は、HBxが肝臓癌細胞の増殖および移動を促進することにおいて強い効果を有することを示している。トランスジェニックマウス実験はまた、HBxが肝臓癌を引き起こし得ることを示した。多数の試験の結果はさらに、HBV感染の持続が、慢性肝炎を含む慢性肝疾患、肝臓組織における線維性結合組織の過形成および肝硬変を後に引き起こす反復慢性肝炎、および肝硬変に基づく多くの肝臓癌を引き起こし得ることを示した。HBxが(肝炎、肝硬変および肝臓癌を含む)慢性肝疾患の発症および進行において重要な役割を果たすことは十分に確立されている。結果として、HBxは肝疾患を予防および処置するための重要な標的となる。
現在、肝臓癌の処置は主に介入療法を補った手術によるものであり、化学療法は通常あまり有効ではない。臨床データは、肝臓癌組織において陽性に発現するHBsAgおよびHBxAgの発見率が80%以上、またはさらには90%以上であることを示す。HBxが肝臓癌の発生および発症において重要な病原因子であるため、その特異的な阻害剤を同定することは優れた理論的および臨床的意義を有するであろう。しかしながら、HBxの三次元構造分析の不完全性のために、HBxの三次元構造情報を通してその化学的阻害剤を設計することはむしろ困難である。
フラグメントポリペプチドは医薬として使用することができ、フラグメントポリペプチドは臨床診療においてすでに広範に使用されている。例えば、チモペプチド(thymopeptide)は、リンパ球の形質転換を促進し、マクロファージの食細胞活性を増強する機能を有するウシ胸腺から抽出されたチモペンチン(thymopentin)であり、種々の免疫不全疾患を処置するために使用することができる。ポリペプチド薬物の特性は、明確に定義された薬物動態効果、安全性、および製造の容易さを含む。しかしながら、ポリペプチド薬物はインビボでプロテアーゼによる影響を受けやすく、低い安定性および短い半減期を有するため、その有効性は通常理想的ではない。
アミノ酸は、左旋性(L−アミノ酸)および右旋性(D−アミノ酸)の立体配置において存在することができる。ヒトまたは動物の体内のすべての天然アミノ酸はD−アミノ酸を含まないL型である。D−アミノ酸に対するタンパク質分解酵素は生物体に存在しない。したがって、ポリペプチド薬物を製造するとき、L型天然アミノ酸をアミノ酸配列に影響を及ぼすことなく対応するD型で置換させると、血液中でのポリペプチド薬物の安定性もまた改善することができる。しかしながら、医薬的有効性を維持するようにポリペプチド薬物の結合特性を低減することなく分解耐性を改善する仕方は、ポリペプチド薬物の開発において重要な問題となる。
本願発明者らは、B型肝炎ウイルスXタンパク質を阻害する機能を有し、天然L−アミノ酸のみで構成されるポリペプチドを見いだした(詳細は中国特許番号ZL201110061840.5参照、この文献をその全体において出典明示により本願明細書に包含させる)。当該ポリペプチドは配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。当該ポリペプチドは、分子レベル、細胞レベルおよび動物レベルでHBx活性を阻害する機能を有し、B型肝炎ウイルス感染によって引き起こされる肝炎、肝硬変および肝臓癌の処置または予防において使用することができる。
本願発明は、B型肝炎ウイルスXタンパク質に対するポリペプチドおよびその使用に関する。当該ポリペプチドは、B型肝炎ウイルスXタンパク質を阻害する機能を有し、HBx活性を阻害し、分子レベル、細胞レベルおよび動物レベルでB型肝炎ウイルスのDNA複製および関連抗原(例えば、HBeAg)の発現を阻害し、肝炎およびB型肝炎ウイルス感染によって引き起こされる肝硬変および肝硬変に基づいて生じる肝臓癌をさらに阻害するD−アミノ酸を含むポリペプチドである。
1つの局面において、本願発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列もしくはその機能的フラグメントまたは当該アミノ酸配列もしくはその機能的フラグメントの機能的バリアントを含む単離されたポリペプチドであって、当該アミノ酸配列、当該機能的フラグメントまたは当該機能的バリアントのアミノ酸配列における1つ以上のL−アミノ酸は、D−アミノ酸によって置換されており、当該ポリペプチドは、B型肝炎ウイルスXタンパク質を阻害し、B型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患の発生および発症を阻害することができる機能を有する、単離されたポリペプチドを提供する。
好ましくは、本願発明のポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%(好ましい、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上)同一性を有する、アミノ酸配列を含む。
本願発明の特定の態様において、ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2−11に示されるアミノ酸配列のいずれかである。
本願発明において、B型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患は肝炎、肝硬変および肝臓癌を含む。
別の局面において、本願発明は、B型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患を処置および予防するための医薬の製造におけるポリペプチドの使用を提供する。具体的には、医薬はB型肝炎ウイルスに対する治療用ワクチンである。医薬は、任意の医薬担体を含んでよい本願発明のポリペプチドのいずれかを含む医薬組成物であり得る。
同一のアミノ酸配列を有し、L−アミノ酸でのみ構成されるポリペプチドと比較して、本願発明のポリペプチドは、良好な安定性を示すだけでなく、とりわけB型肝炎ウイルスのDNA複製および関連抗原(例えば、HBeAg)の発現を阻害する機能において、驚くべきことに顕著な医薬的効果もまた発揮する。したがって、ポリペプチドは、肝炎、肝硬変および肝臓癌を含むB型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患の予防および処置において広範に使用することができる。
精製された人工的に合成されたポリペプチドD−TTK001のHPLC分析結果。
Biacore 3000を使用して標的タンパク質HBxへの本願発明のポリペプチドのインビトロ結合の実験結果。
細胞レベルでHVB DNAと結合されている肝臓癌HepAD38細胞のHBeAg分泌レベルに対する本願発明のポリペプチドの効果の分析。結果は、用量依存性で0.1、1、10および100μMの人工的に合成されたポリペプチドD−TTK001またはL−TTK001(すなわち、抗−HBxP1#)で48時間処置後にHVB DNAと結合されている肝臓癌HepAD38細胞のHBeAg分泌レベルが阻害されたことを示した。D−TTK001の最小有効用量は0.1μMであり、L−TTK001の最小有効用量は10μMである。したがって、HBeAgに対するD−TTK001の効果は、HBeAgに対するL−TTK001の効果よりも良い。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
細胞レベルでHepG2.2.15細胞のHBeAg分泌レベルに対する本願発明のポリペプチドの効果の分析。結果は、用量依存性で0.1、1、10および100μMの人工的に合成されたポリペプチドD−TTK001またはL−TTK001(すなわち、抗−HBxP1#)で48時間処置後にHepG2.2.15細胞のHBeAg分泌レベルが阻害されたことを示した。D−TTK001の最小有効用量は0.1μMであり、L−TTK001の最小有効用量は10μMである。したがって、HBeAgに対するD−TTK001の効果は、HBeAgに対するL−TTK001の効果よりも良い。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
MTTアッセイによる細胞レベルでHVB DNAと結合されている肝臓癌HepAD38細胞の増殖に対する本願発明のポリペプチドの効果の分析。結果は、用量依存性で0.1、1、10および100μMの人工的に合成されたポリペプチドD−TTK001またはL−TTK001(すなわち、抗−HBxP1#)で48時間処置後にHepAD38 HVB DNAと結合されている肝臓癌細胞HepAD38の増殖が阻害されたことを示した。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
HBVトランスジェニックマウスに対する本願発明のポリペプチドD−TKK001の効果の分析。HBVトランスジェニックマウスを尾静脈内注射によってそれぞれ2.5mg/kgおよび5.0mg/kgの用量で2つの群において人工的に合成されたポリペプチドD−TKK001で処置した。ネガティブコントロール群は尾静脈内注射によってPBSで処置した。その後、HBVトランスジェニックマウスの血清中のHBV DNAのコピー数をリアルタイムPCRで測定した。結果は、HBVトランスジェニックマウスの血清中のHBV DNAのコピー数が、時間および用量依存性でD−TTK001によって明らかに低減されたことを示し、D−TTK001がHBV DNA複製を阻害する機能を有することを示唆する。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
HBVトランスジェニックマウスにおける肝炎に対する人工的に合成されたポリペプチドD−TKK001の処置効果の分析。左パネルはHBVトランスジェニックマウスの肝臓病理学的組織を示す。未処置コントロール群において10匹のHBVトランスジェニックマウスのうち6匹は、肝細胞の膨化変性のようなウイルス肝炎の典型的な病理学的特徴を示した。右パネルは、尾静脈内注射によってD−TTK001(5mg/kg)での3週間処置後の肝臓組織を示す。実験群において6匹のマウスは肝細胞の膨化変性を示さず、D−TTK001が肝臓組織において病理学的肝炎病変に対する明らかな処置効果を有することを示唆する。
肝臓癌を有するヌードマウスの生存率に対する人工的に合成されたポリペプチドD−TKK001の効果の分析。動物実験の結果は、HepG2−X細胞で接種された腫瘍を有するヌードマウスの生存率が0.1mg/kgまたは5.0mg/kgで人工的に合成されたD−TTK001ポリペプチドで処置された群において明らかに延長されたことを示し、D−TTK001がヌードマウスにおいてHepG2−X細胞接種腫瘍の悪性表現型を阻害する機能を有することを示唆する。Log−Rankを統計分析のために使用する、*P<0.5。
細胞レベルでHVB DNAと結合されている肝臓癌細胞HepAD38のHBeAg分泌レベルに対する本願発明のポリペプチドの効果の分析。結果は、用量依存性でそれぞれ10μMの人工的に合成されたポリペプチドD−TTK001または配列番号2−11に示されるポリペプチド(例えば、D−TTK001−1、D−TTK001−2、D−TTK001−3、D−TTK001−4、D−TTK001−5、D−TTK001−6、D−TTK001−7、D−TTK001−8、D−TTK001−9、D−TTK001−10)で48時間処置後にHVB DNAと結合されている肝臓癌細胞HepAD38のHBeAg分泌レベルが阻害されたことを示した。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
詳細な説明
明細書および特許請求の範囲を含む本願発明において、特記されない限り、以下の用語は以下の意味で使用される。
本願発明において、略語をL−アミノ酸およびD−アミノ酸を含むアミノ酸を記載するために使用する。略語を表1に列挙する。
本願発明において、ポリペプチドのアミノ酸配列において、記号「D−*」を、ポリペプチドの特定の位置において元のL−アミノ酸を置換するあらゆるD−アミノ酸を示すために使用する。
参考として、アミノ酸は、左旋性(L−アミノ酸)および右旋性(D−アミノ酸)の立体配置において存在することができる。L−アミノ酸は、自然界およびほとんどの生物学的システムにおいて天然に存在するアミノ酸である。加えて、天然に存在するポリペプチドはL−アミノ酸で構成され、したがってL−ポリペプチドと称することができる。D−アミノ酸は対応するL−アミノ酸の「鏡像」である。D−ポリペプチド(D−アミノ酸で完全に構成されるポリペプチド)は天然に存在しないが、三次元タンパク質構造を形成するようにこれらのポリペプチドを人工的に合成することができる。
「単離された」は、物質をその元の環境(例えば、それが天然に産生されるとき、その自然環境)から分離することを示す。例えば、生存動物に存在する天然に産生されたポリペプチドは、それが単離されていないことを意味するが、天然の系においてポリペプチドが通常共存する物質から部分的または完全に分離された同じポリペプチドは、単離されたことを意味する。かかるポリペプチドは、ベクターの一部または組成物の一部として存在し得る。ベクターおよび組成物は天然環境の成分ではないため、それらは常に単離されている。
本願明細書において使用される「精製された」なる用語は、純度において増加した状態を意味し、「純度」は相対的な用語であり、絶対的な純度として狭義に解釈されるべきではない。例えば、純度は、少なくとも約50%、または60%、70%、80%もしくは90%以上であり得、または100%に達することさえあり得る。
本願発明において使用されるとき、単離された物質はその元の環境から分離されている。生存細胞内に天然に存在されるポリペプチドは単離されていない。しかしながら、天然状態でポリペプチドと共存する物質から分離されている同じポリペプチドは、単離されたと見なされるべきであり、純度が改善されるとき、精製されている。
いわゆる「アミノ酸配列」または「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって互いに連結されているアミノ酸からなるペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質およびそれらの部分的なフラグメントを示す。本願発明においてアミノ酸配列が、天然に発生したタンパク質分子または記載の既知の人工的に合成されたポリペプチドのアミノ酸配列に関するとき、かかる天然に発生したタンパク質分子または既知のポリペプチドは、当該タンパク質分子または当該既知のポリペプチドの全体の天然アミノ酸配列についてのアミノ酸配列に限定されることを意味しない。本願発明のアミノ酸配列は、さらなるペプチド、例えば複数のヒスチジンタグ(His−tag)、またはMyc、FLAGなどのようなエピトープタグを含むことができる。本願発明のアミノ酸配列はまた、当該タンパク質分子または当該既知のポリペプチドのアミノ酸配列において1つ以上のL−アミノ酸を置換する人工的に合成されたD−アミノ酸を含むことができる。
本願明細書において使用されるポリペプチドの「機能的フラグメント」は、一部である元のポリペプチド(親ポリペプチド)の同様または同一の生物学的活性または機能を実質的に保持する本願発明のポリペプチドの一部または部分を示す。
本願明細書において使用されるポリペプチドの「機能的バリアント」は、例えば、1)1つ以上のアミノ酸欠失および/または1つ以上のアミノ酸付加を有する元のアミノ酸配列;または2)1つ以上の保存または非保存的アミノ酸によって置換されている元のアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸;または3)他の基によって置換されたアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸における基;または4)別の分子または化合物(例えば、糖、脂質、ポリエチレングリコールなど)と融合された元のアミノ酸配列;または5)さらなるポリペプチド配列(例えば、リーダー配列または分泌シグナル配列または精製する目的のために使用されるポリペプチド配列)と融合された元のアミノ酸配列;または6)元のアミノ酸配列のレトロインベルソ(retroinverso)アナログ;または7)上記の組合せ、を含むポリペプチドまたはアミノ酸配列の実質的に同様または同一の生物学的活性または機能を有するアミノ酸配列を示す。
本願明細書において、「欠失」は、アミノ酸配列からの1つまたは複数のアミノ酸の欠失を示す。
「挿入」または「付加」は、天然存在または変化前の分子と比較して、アミノ酸配列の変化によって引き起こされる1つまたは複数のアミノ酸の増加を示す。
「置換」は、異なるアミノ酸によって置換された1つまたは複数のアミノ酸を示す。
「1つまたは複数のアミノ酸の欠失、置換または付加」は、指向性突然変異誘発方法のような核酸を変異させる既知の方法を使用し、欠失、置換または付加が可能である程度でアミノ酸を欠失、置換または付加することを示す。上記の変異は、既知の方法によって人工的に誘導される変異に限定されず、分離および精製することができる核酸またはタンパク質において天然に生じる変異も含む。
アミノ酸配列の「相同性」または「同一性」のパーセントは、2つ以上のアミノ酸配列との比較における配列同一性または類似性のパーセントを示す。当業者において配列同一性のパーセントを決定するための多数の方法、例えばMEGALIGNプログラム(Lasergene Software Packages, DNASTA Inc., Madison, WI)がある。MEGALIGNプログラムは、Cluster Method(Higgins & Sharp, Gene 73:237-244 (1988)参照)のような種々のタイプの方法に基づいて2つ以上の配列を比較することができる。配列のそれぞれのセットは対間の距離をチェックすることによってクラスターによってアラインされ、次にクラスターは対または群によって割り当てられる。配列Aおよび配列Bの2つのアミノ酸配列の類似性のパーセントは以下の式によって計算することができる:
[(配列Aおよび配列B間の一致する残基の数)/(配列Aの残基の数−インターバルにおける配列Aの残基の数−インターバルにおける配列Bの残基の数)]×100%
本願発明において、「B型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患」は、慢性肝炎、反復肝炎によって引き起こされる肝臓組織における線維性結合組織の過形成後の肝硬変、および肝硬変に基づく肝臓癌を含む、B型肝炎ウイルス感染によって引き起こされる肝疾患を示す。
本願発明において、「処置」および「予防」およびそれらから派生する用語は、100%の、または完全に処置または予防を意味せず、当業者によって賛成される処置または予防の程度として同定することができる。本願発明において、「予防」は、疾患の発症またはその症状もしくは障害を遅延させることと理解することができる。
ポリペプチド
本願発明は単離または精製されたポリペプチドを提供する。当該ポリペプチドは、1つ以上の天然のL−アミノ酸が対応する人工的に合成されたD−アミノ酸で置換されているアミノ酸配列Gly−Ser−Ala−Val−Met−Phe−Ser−Ser−Lys−Glu−Arg−Gly(すなわち、本願明細書においてL−TTK001と称される配列番号1)を有するポリペプチドである。本願発明は、このようなポリペプチドが、HBxの活性を有意に阻害し、したがってB型肝炎ウイルスのDNA複製および関連抗原(例えば、HBeAg)の発現を阻害する機能を示し、B型肝炎ウイルス感染後の慢性肝疾患、とりわけ肝炎、肝硬変および肝臓癌の発生および発症をさらに阻害することができることを証明した。
本願発明において、L−TTK001ポリペプチドにおける任意の数のL−アミノ酸を対応するD−アミノ酸で置換することができ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のL−アミノ酸を置換することができる。
本願発明の1つの態様によると、本願発明のポリペプチドのアミノ酸配列は、グリシンを除く10個のL−アミノ酸が対応するD−アミノ酸で置換されているL−TTK001の配列(すなわち、Gly−D−Ser−D−Ala−D−Val−D−Met−D−Phe−D−Ser−D−Ser−D−Lys−D−Glu−D−Arg−Gly、本願明細書においてD−TTK001と称される配列番号2)である。
天然のペプチダーゼは基質としてD−アミノ酸を使用することができないため、対応するD−アミノ酸を使用してポリペプチドの1つ以上のL−アミノ酸を置換することによって、より高いインビボ安定性を有するポリペプチドを得ることができる。試験は、例えば、N−末端またはC−末端でのD−アミノ酸の存在がポリペプチドのインビボ安定性を増加させ得ることを示している(Powell et al., Pharm.Res.10: 1268-1273 (1993))。しかしながら、D−アミノ酸およびL−アミノ酸は異なるキラリティー、すなわち、異なる立体化学配置を有するため、「鏡像」構造が形成されるとき、D−アミノ酸を含むポリペプチドはいつも元のL−ポリペプチドと同じ結合能力または生物学的機能を有するとは限らない。したがって、同じアミノ酸配列を有するが異なるアミノ酸立体配置を有する2つのポリペプチド分子が同じ機能を有するか否かを予測することは困難である。したがって、D−アミノ酸を含む修飾されたポリペプチドについて実際の実験を行うことを除いて、D−アミノ酸を含むポリペプチドが元のポリペプチドと同じ有効性を有するか否かを決定することはできない。実質的には、L−アミノ酸を含む医薬的ポリペプチドをD−アミノ酸を含む医薬的ポリペプチドに修飾することを必要とするとき、その薬力学的機能を維持または増強するために、ポリペプチドを具体的に修飾する仕方、例えばどの1つ以上のアミノ酸に置換するかまたはどの位置を置換するかについて、当業者は多数の実験および継続的な最適化を行う必要がある。
一般的に、D−アミノ酸残基を含むポリペプチドにおいて、D−アミノ酸残基によって置換されたL−アミノ酸残基の数が少ないほど、ポリペプチドの結合能力における変化は少ない。多くのL−アミノ酸が置換されるとき、ポリペプチドの結合能力および生物学的有効性における変化が増加し、その全喪失さえ引き起こす。
しかしながら、本願発明者らは、実験を通して、ポリペプチドL−TTK001の1つ以上のL−アミノ酸がD−アミノ酸によって置換されたとき、当該置換されたポリペプチドは、細胞レベルおよび動物レベルでB型肝炎ウイルスの複製および発現を阻害すること、動物レベルで肝炎ウイルスによって引き起こされるウイルス肝炎を処置すること、およびその後の肝臓癌細胞の成長を阻害することを含む、L−TTK001ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能を維持することを見いだした。
本願発明者らはまた、L−TKK001の全てのL−アミノ酸が人工的に合成されたD−アミノ酸で置換されたときでさえ(すなわち、得られたポリペプチドはD−TTK001である)、HBxタンパク質への当該置換されたポリペプチドのインビトロ結合は有意に変化しないことを驚くべきことに見いだした。例えば、インビトロ結合分析結果によると、HBxへのL−ポリペプチドL−TTK001のインビトロ結合(8nM)は、HBxへのD−TTK001のインビトロ結合(35nM)と比較して有意な差異を示さなかった。
D−TTK001に含まれるアミノ酸は全てD−アミノ酸であるため、D−TTK001ポリペプチドもまた良い薬物動態学性能を有する。したがって、本願発明者らは、本願発明のポリペプチド、例えばD−TTK001が、L−TTK001よりもはるかに低い用量で、およびL−TTK001とは異なる投与方法で、例えば動物尾静脈内注射によって、有効な医薬的有効性をなし遂げることができることを見いだした。
これと関連して、本願発明者らは、本願発明のポリペプチドが、ポリペプチドの薬物動態学特性および安定性のために、HBVのDNA複製および関連抗原(例えば、HBeAg)の発現を阻害すること、およびB型肝炎ウイルス感染後の慢性肝疾患(肝炎、肝硬変および肝臓癌を含む)の、とりわけ肝炎に対する発生および発症をさらに阻害することについて、L−ポリペプチド(例えば、L−TTK001)よりもより顕著な効果を示すことを見いだした。例えば、HBeAg分泌レベルの阻害に対するD−ポリペプチドの有効用量は、L−ポリペプチドよりも数桁低い。一方、安定性における改善に基づいて、本願発明のポリペプチドはまた、L−アミノ酸で構成されるL−ポリペプチドよりも投与経路の選択においてより有利である。
本願発明はまた、本願発明のポリペプチドの種々の機能的フラグメントを提供する。当該機能的フラグメントは、親ポリペプチドと比較して、類似の程度によって、同じ程度によって、またはより高い程度によって、親ポリペプチドの生物学的活性、例えばHBx活性の阻害を保持することができる条件で、本願発明のポリペプチドの連続的なアミノ酸配列の任意のフラグメントであってよい。親ポリペプチドを基準にして、機能的フラグメントは、親ポリペプチドによって提供される活性の、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、105%、110%、120%、150%、200%またはさらに良い活性を有することができる。当該機能的フラグメントはまた、連続的なアミノ酸配列の種々のフラグメントのアミノ末端およびカルボキシル末端のいずれかまたは両方でさらなるアミノ酸、例えば、親ポリペプチドのアミノ酸配列と異なるアミノ酸を含むことができる。好ましくは、当該さらなるアミノ酸は、当該機能的フラグメントの生物学的機能、例えば、HBx活性の阻害、HBVウイルスの複製および発現の阻害、ならびに肝炎の発生および発症および肝臓癌の発症の有効な阻害を妨害しない。より望ましくは、当該さらなるアミノ酸は、親ポリペプチドの生物学的活性と比較したとき、増強された生物学的活性をもたらすことができる。好ましくは、本願発明のペプチドの機能的フラグメントのアミノ酸配列は、本願発明のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する。より好ましくは、本願発明のペプチドの機能的フラグメントのアミノ酸配列は本願発明のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも75%または80%または85%または90%または95%配列同一性を有する。
加えて、本願発明におけるポリペプチドおよびその機能的フラグメントの機能的バリアントはまた、本願発明の範囲内に含まれる。本願発明のポリペプチドおよびその機能的フラグメントの機能的バリアントは、親ポリペプチドまたはその機能的フラグメントと実質的に同様または同一の生物学的活性、例えば、HBx活性の阻害、HBVウイルスの複製および発現の阻害、HBVトランスジェニックマウスの動物レベルでHBVウイルスによって引き起こされるウイルス肝炎の処置、および肝臓癌細胞の悪性表現型の阻害を保持すべきである。本願発明のポリペプチドまたはその機能的フラグメントに関して、機能的フラグメントは、親ポリペプチドまたはその機能的フラグメントのアミノ酸配列と、例えば、約50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%配列同一性を有することができる。好ましくは、機能的フラグメントのアミノ酸配列は、本願発明のポリペプチドまたはその機能的フラグメントのアミノ酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する。さらに好ましくは、本願発明のポリペプチドおよびその機能的フラグメントの機能的バリアントは、親ポリペプチドまたはその機能的フラグメントと1−3個のみのアミノ酸によって異なる。より好ましくは、本願発明のポリペプチドおよびその機能的フラグメントの機能的バリアントは、親ポリペプチドまたはその機能的フラグメントと1個のみのアミノ酸によって異なる。
例えば、本願発明は、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換に付された本願発明のポリペプチドまたはその機能的フラグメントのアミノ酸配列を含む。具体的には、本願発明のポリペプチドまたはその機能的フラグメントは、1、2、3、4、5個またはそれ以上の保存的アミノ酸置換に付されていてもよく、これらもまた本願発明の範囲に属する。あるいは、本願発明はまた、親ポリペプチドまたはその機能的フラグメントから少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換に付された本願発明のポリペプチドまたはその機能的フラグメントのアミノ酸配列を含む。具体的には、親ポリペプチドまたはその機能的フラグメントから2、3、4、5個またはそれ以上の非保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列が含まれる。これらの場合において、アミノ酸置換が本願発明のポリペプチドまたはその機能的フラグメントの生物学的活性を妨害または阻害しないことが好ましい。さらに好ましくは、アミノ酸置換は、本願発明のポリペプチドまたはその機能的フラグメントの生物学的活性をさらに増加させる。
保存的アミノ酸置換は当分野でよく知られており、特定の物理的および/または化学的特性を有する1つのアミノ酸が同じ化学的または物理的特性を有する別のアミノ酸で置換されているアミノ酸置換を意味する。当業者は、保存的アミノ酸置換がタンパク質の構造または機能において有意な変化を引き起こさないであろうことを理解する。例えば、典型的な保存的アミノ酸置換は、別の酸性アミノ酸で置換された酸性アミノ酸(例えば、AspまたはGlu)、非極性側鎖を有する別のアミノ酸で置換された非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、TrpまたはValなど)、別の塩基性アミノ酸で置換された塩基性アミノ酸(Lys、Argなど)、極性側鎖を有する別のアミノ酸で置換された極性側鎖を有するアミノ酸(Asn、Cys、Gln、Ser、ThrまたはTyrなど)、別の芳香族性アミノ酸で置換された芳香族性アミノ酸(Trp、PheまたはTyrなど)、などを含む。
(機能的フラグメントを含む)本願発明のポリペプチドおよびその機能的バリアントは、ポリペプチド(またはその機能的フラグメント)およびその機能的バリアントが親ポリペプチドの重要な生物学的活性、例えば、HBx活性の阻害、細胞レベルおよび動物レベルでHBVウイルスの複製および発現の阻害、および後期の肝臓癌細胞の成長を阻害することを含むHBVウイルスによって引き起こされるウイルス肝炎の処置を保持する限り、、あらゆる長さであってよい、すなわちあらゆる数のアミノ酸を含むことができる。例えば、(機能的フラグメントおよび機能的バリアントを含む)本願発明のポリペプチドは、4から2000個のアミノ酸長、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、300、400、500、700、800、1000個またはそれ以上のアミノ酸長であってよい。好ましくは、本願発明のポリペプチドは、6から20個のアミノ酸長であり、ポリペプチド薬物の薬物動態学および半減期についての必要条件を満たす。
1つの態様において、本願発明のポリペプチドおよびその機能的フラグメントの機能的バリアントは、配列番号1の親ポリペプチドと異なる1個のみのアミノ酸を有し、配列番号1の親ポリペプチドと同様の生物学的活性および機能、例えば、HBx活性の阻害、および癌細胞、好ましくは肝臓癌細胞、とりわけHBxを発現する肝臓癌細胞の有効な阻害を有する。
本願明細書に記載されている(機能的フラグメントを含む)本願発明のポリペプチドおよびその機能的バリアントはまた、細胞透過性ペプチド(CPP)を含み得る。かかるCPPは、本願発明のポリペプチドの細胞膜を横切る侵入および細胞への侵入を促進する。CPPは当分野で知られている。例えば、Deshayes et al., Cell. Mol. Life Sci. 62: 1839-1849 (2005); El-Andaloussi et al., Curr. Pharm. Design. 11: 3597-3611(2005)参照。本願明細書に記載されているCPPは当分野で知られているもののいずれかであってよい。
(機能的フラグメントを含む)本願発明のポリペプチドおよびその機能的バリアントは、例えば、脂質化(例えば、脂肪酸化)、グリコシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、エステル化、N−アシル化、ジスルフィド結合を介する環化、酸付加塩への変換、ダイマー化またはポリマー化、および/またはコンジュゲート化され得る。
脂肪酸誘導体のような誘導体を含む(機能的フラグメントを含む)本願発明のポリペプチドおよびその機能的バリアントは、モノマーペプチド、ダイマーペプチドまたはマルチマーペプチドであってよい。
(機能的フラグメントを含む)本願発明のポリペプチドおよびその機能的バリアントは、当分野で知られている方法によって得ることができる(例えば、Chan et al., Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis, Oxford University Press, Oxford, United Kingdom, 2005; Reid, R., Peptide and Protein Drug Analysis, Marcel Dekker Company, 2000;および米国特許第5,449,752号参照)。加えて、ポリペプチドは、標準組み換え方法を使用して組換え的に生産することができる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY 2001参照)。さらに、(機能的フラグメントおよび機能的バリアントを含む)本願発明のポリペプチドのいくつかは、供給源、例えば植物、細菌、昆虫、哺乳動物、例えば、ラット、ヒトなどから単離および/または精製することができる。単離および精製の方法は当分野でよく知られている。あるいは、(機能的フラグメントおよび機能的バリアントを含む)本願明細書に記載されているポリペプチドは、営利会社から合成または取得することができる。
コンジュゲート
本願発明はまた、(機能的フラグメントまたは機能的バリアントを含む)本願発明のポリペプチドまたはペプチド模擬物を含むコンジュゲート、例えば、バイオコンジュゲートを含む。コンジュゲートならびにコンジュゲートを合成する方法は、一般的に、当分野で知られている(例えば、Hudecz, F., Methods Mol Biol. 298: 209-223 (2005)およびKirin et al., Inorg Chem. 44(15): 5405-5415 (2005)参照)。
医薬組成物
(機能的フラグメントを含む)ポリペプチドおよびその機能的バリアントおよびコンジュゲートなどを含む上記本願発明の原料(以下、「本願発明の原料」と総称される)は、単離、精製、合成および/または再結合され得る。
本願発明の原料はまた、組成物、例えば医薬組成物に製剤化することができる。この点において、本願発明は、(機能的フラグメントおよび機能的バリアントを含む)ポリペプチドおよびペプチド模擬物のいずれか、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本願発明の原料のいずれかを含む本願発明の医薬組成物は、2つ以上の本願発明の原料、例えば、2つ以上の異なるポリペプチドを含むことができる。あるいは、医薬組成物は、別の活性な医薬的薬剤または薬物と組み合わせて原料を含むことができる。好ましくは、当該別の活性な医薬的薬剤または薬物は、例えば化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン(damiorabicin)、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどを含むことができる。
本願発明の好ましい態様において、医薬組成物は脂質と組み合わせて本願発明の原料を含む。当該脂質は、脂肪酸、リン脂質、ステロール、スフィンゴ脂質、テルペン、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、プレノール脂質、サッカロ脂質、ポリケチドなどを含むあらゆる脂質であってよい。かかる脂質は当分野で知られている。
医薬組成物について、薬学的に許容される担体は、慣用的に使用されているもののいずれかであってよく、化学物理的考察によって、例えば溶解度および活性化合物との反応性の欠如によって、および投与経路によってのみ限定される。本願明細書に記載されている薬学的に許容される担体、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤および希釈剤は、当業者によく知られており、容易に一般に入手可能である。好ましくは、薬学的に許容される担体は、活性剤に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用または毒性を有さない。
担体の選択は、一つには、本願発明の特定の原料によって、ならびに本願発明の原料を投与するために使用される特定の方法によって決定される。したがって、本願発明の医薬組成物の種々の適当な製剤が存在する。経口、エアロゾル、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、腹腔内、経直腸、および膣内投与のための製剤が典型的であるが、決して限定しない。2つ以上の経路を本願発明の原料を投与するために使用することができ、特定の状況において、特定の経路は別の経路よりもより即時のより効果的な応答を提供することができる。
本願発明の好ましい態様において、医薬組成物は局所製剤、静脈内製剤または皮下製剤である。本願発明の好ましい態様において、医薬組成物は局所製剤である。局所製剤は当業者によく知られている。かかる製剤は、本願発明が皮膚への適用のためのものである場合に特に適している。本願発明の局所製剤は、例えば、クリーム、ローション、軟膏、パッチ、油、ペースト、スプレー、例えばエアロゾルスプレー、ゲル、ロールオン液、固体スティックなどであり得る。好ましくは、本願発明の局所製剤は、クリーム、ローション、軟膏またはパッチである。
経口投与のために適切な製剤は、(a)水、生理食塩水またはオレンジジュースなどの希釈剤に溶解された有効量の本願発明の原料のような液体溶液;(b)固体または顆粒として予め決定された量の活性成分をそれぞれ含む、カプセル、錠剤およびドロップ;(c)粉末;(d)適当な液体中の懸濁液;および(e)適当なエマルジョンで構成することができる。液体製剤は、薬学的に許容される界面活性剤の添加の有無にかかわらず、水およびアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコールおよびポリエチレングリコールのような希釈剤を含むことができる。カプセル形態は、例えば、界面活性剤、滑剤および不活性増量剤、例えば、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウムおよびデンプン(com starch)を含む通常の硬質または軟質ゼラチンタイプであり得る。錠剤形態は、1つ以上のラクトース、スクロース、マンニトール、コーンデンプン、ポテトデンプン、アルギン酸、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、香味剤、および他の薬理学的に適合性の賦形剤を含むことができる。ドロップ形態は、香味剤、通常はスクロースまたはアカシア中で本願発明の原料を含むことができ、トローチは、不活性なマトリックス、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア、さらには当分野で知られている賦形剤を含むエマルジョン、ゲルなど中で本願発明の原料を含むことができる。
本願発明の原料は、単独でまたは他の適当な成分と組み合わせて、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤に製造することができる。これらのエアロゾル製剤は、加圧された許容される高圧ガス、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などに注入することができる。それらはまた、加圧されていない調製物として、例えばネブライザー(nebulizer)またはアトマイザー(atomizer)において製剤化され得る。かかるスプレー製剤はまた粘膜を噴霧するために使用され得る。
非経口投与のために適切な製剤は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性および非水性等張滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および防腐剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液を含む。本願発明の原料は、薬学的に許容される界面活性剤、例えばせっけんまたは洗浄剤、懸濁剤、例えばペクチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース、または乳化剤、および他の医薬的アジュバントの添加の有無にかかわらず、医薬担体における生理学的に許容される希釈剤中、例えば滅菌液体または液体の混合物中、例えば水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、アルコール、例えばエタノールまたはヘキサデシルアルコール、グリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、ケタール、例えば2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、エーテル、油、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはグリセリド、またはアセチル化脂肪酸グリセリド中で投与することができる。
非経口製剤において使用することができる油は、石油、動物油、植物油または合成油を含む。油の具体例は、ピーナッツ油、ダイズ油、ゴマ油、綿実油、オリーブ油、石油および鉱油を含む。非経口製剤における使用のために適切な脂肪酸は、オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸を含む。
非経口製剤における使用のために適当なせっけんは、脂肪酸アルカリ金属塩およびトリエタノールアミン塩を含み、適切な洗浄剤は、(a)陽イオン性洗浄剤、例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライドおよびアルキルピリジニウムハライド、(b)陰イオン性洗浄剤、例えば、アルキル、アリールおよびオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセリドサルフェートおよびスルホサクシネートなど、(c)非イオン性洗浄剤、例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミドおよびポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマーなど、(d)両性洗浄剤、例えば、アルキル−β−アミノプロピオネートおよび2−アルキル−イミダゾリン第4級アンモニウム塩、および(e)それらの混合物を含む。
非経口製剤は、一般的に、溶液中で約0.5%から約25%(容量対質量パーセント)の本願発明の原料を含む。防腐剤および緩衝剤が使用され得る。注射部位での刺激を最小限にするかまたは除去するために、かかる組成物は、親水性・親油性バランス(HLB)を有する1つ以上の非イオン性界面活性剤を含み得る。かかる製剤中の界面活性剤の量は、一般的に、約5%から約15%(容量対質量パーセント)の範囲である。適当な界面活性剤は、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成されるエチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物を含む。非経口製剤は、単回投与用または複数回投与用の密封容器中に存在することができ、使用直前に注射用の滅菌液体賦形剤、例えば水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件において保存することができる。即時注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および上記の種類の錠剤から調製することができる。
本願発明の原料または本願発明の原料を含む組成物は、注射可能な製剤に製造することができる。注射可能な組成物のために有効な医薬担体についての必要条件は当業者によく知られている。好ましくは、細胞、例えば樹状細胞に投与されるとき、細胞は注射を介して投与される。
さらに、本願発明の原料またはかかる原料を含む組成物は、種々の塩基、例えば、乳化塩基または水溶性塩基と混合することによって坐薬に製造することができる。膣内投与のために適切な製剤は、活性成分に加えて、適当であると当分野で知られているこのような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として存在することができる。
上記医薬組成物に加えて、本願発明の原料は、含有複合体、例えばシクロデキストリン含有複合体、またはリポソームとして製剤化することができることは、当業者によって理解される。
本願発明の目的のために、投与される本願発明の原料の量または用量は、妥当な時間枠にわたって対象または動物において、例えば、治療的または予防的応答を成し遂げるために十分であるべきである。例えば、本願発明の原料の用量は、投与時から、約2時間またはそれ以上、例えば、12から24時間またはそれ以上の期間、疾患細胞の増殖を阻害するため、または疾患(例えば、腫瘍または癌)を処置または予防するために十分であるべきである。1つの態様において、期間はさらに長くなり得る。用量は、本願発明の特定の原料の有効性および動物(例えば、ヒト)の状態ならびに処置される動物(例えば、ヒト)の体重によって決定される。投与される用量を決定するための多数のアッセイは当分野で知られている。本願発明の原料の用量はまた、特定の原料の投与に伴って起こり得る有害副作用の存在、性質および程度によって決定される。
本願発明の原料は、修飾を介して原料の治療的または予防的有効性を増加させるように、任意の数の方法で修飾させることができることを当業者は容易に理解する。例えば、原料は、標的部分に直接的に、またはリンカーを介して間接的にのいずれかでコンジュゲートすることができる。標的部分に化合物、例えば、本願発明の原料をコンジュゲートする方法は当分野で知られている。例えば、Wadwa et al., J. Drug Targeting 3: 111 (1995)および米国特許第5,087,616号参照。さらなる態様において、本願発明の原料は、原料が投与される体内に放出される様式が、体内の時間および位置に対して制御されるように、デポー形態に修飾することができる(例えば、米国特許第4,450,150号参照)。本願発明の原料のデポー形態は、例えば、本願発明の原料および多孔質または非多孔質原料、例えばポリマーを含む移植可能な組成物であって、本願発明の原料は、原料を通過して、および/または非多孔質原料の分解を介して拡散されるようにカプセル化される組成物であり得る。次に、デポーは体内の所望の位置に埋め込まれ、本願発明の原料は予め決定された速度でインプラントから放出される。
ポリペプチド(機能的フラグメントを含む)およびその機能的バリアントを含む本願発明の医薬組成物は、ウイルス肝炎を含むB型肝炎ウイルス感染誘発慢性肝疾患、および生じる肝硬変および肝臓癌を予防および阻害する方法において使用することができる。本願に記載されているB型肝炎ウイルスによって誘発される慢性肝疾患があらゆる宿主に存在し得ることは当業者が容易に理解するはずである。好ましくは、宿主は哺乳動物である。特に好ましくは、宿主はヒトである。
本願発明は、特定の実施例に関してさらに説明される。これらの実施例は、本願発明を記載するために使用されるのみであり、本願発明の範囲を限定しないと理解すべきである。以下の実施例に記載されている特定の条件のない実験方法は、一般的に慣用の条件下で行われ、特定の記載なしに使用される原料は、一般的な化学試薬会社から購入する。
実施例1:ポリペプチドの設計および調製
ポリペプチドD−TTK001のフラグメントの人工的合成:
アミノ酸配列Gly−D−Ser−D−Ala−D−Val−D−Met−D−Phe−D−Ser−D−Ser−D−Lys−D−Glu−D−Arg−Gly(配列番号1)(以下D−TTK001と称される)を有するポリペプチドは、人工的合成方法により合成される。ポリペプチドは、固相ペプチド合成方法を介して調製され、例えば、AAPPTEC Apex396 Peptide Synthesizer(Hong Kong Universal Analytical & Testing Instruments Ltd.から購入される)にて行われた。合成は、密閉された防爆性ガラス反応器中でアミノ酸を合成するように、配列番号1の配列にしたがってC−末端カルボキシル末端からN−末端アミノ末端まで行われた。これは、Gly−D−Ser−D−Ala−D−Val−D−Met−D−Phe−D−Ser−D−Ser−D−Lys−D−Glu−D−Arg−Glyのアミノ酸配列への付加される第1のアミノ酸モノマーはC−末端でのGly、次にD−Arg、次にD−Gluであり、N−末端での最後のD−SerおよびGlyまで加えられたことを示す。生じたペプチドは、付加、反応および合成を繰り返すことによって得られた。固相ペプチド合成は、各工程において生じたペプチドの精製における困難性を大きく減少させた。副反応を防止するために、反応に関与するアミノ酸の側鎖を保護した。末端カルボキシル基は、未結合(unbounded)であり、したがって反応前に活性化されなければならなかった。
人工的に合成されたポリペプチドD−TTK001は、(PLC Agela C18カラムを有する)HPLCにより分析した。図1は純度が97.2%であることを示した。
実施例2:
A.インビトロでの結合能力の測定
HBx遺伝子を発現する組み換えプラスミド(pET−30a−HBx)を自己構築して保存し(Zhang H, et al. J Biomed Biotechnol, doi:10.1155/2009/289068)、次に、HBxの発現および精製をインビトロでの結合能力の測定のための上記文献にしたがって行った。Biacore 3000 生体分子相互作用分析装置(GE Healthcare社製)を利用して、組換え的に発現されたHBxタンパク質へのポリペプチドD−TTK001のインビトロでの結合能力を測定した。異なる濃度でのポリペプチドを30μL/分の速度で180秒間注射した。解離段階において、HBS−EP緩衝剤を30μL/分の速度で900秒間注射し、次に30μL/分の速度で、2ショットの1mM NaOHを20秒間注射し、チップを再生した。全てのシグナルを、参照チャネルとしてチャネル1を使用して較正した。結合測定をそれぞれ2回行った。ここで、第1の測定において、HBXを、それぞれ0nM、10nM、50nM、100nM、500nMおよび600nMの濃度で、結合したポリペプチドのチャネルおよびブランクチャネルに注射した。結合時間は180秒であり、解離時間は400秒であった。チップ表面上に、1mM NaOHを再生のために30μL/分の速度で20秒間注射した。結果は、図2に示されるとおりソフトウェアによって動力学的に分析した。第2の測定において、HBXを、それぞれ0nM、10nM、50nM、588nM、1μMおよび2μMの濃度で、結合したポリペプチドのチャネルおよびブランクチャネルに注射した。結合時間は180秒であり、解離時間は400秒であった。チップ表面上に、1mM NaOHを再生のために30μL/分の速度で20秒間注射した。結果は、BIA Evaluation Softwareによって動力学的に分析した。
2つの結合測定の結果を表1に列挙する。
データは、HBxへのD−TTK001のインビトロ結合がL−ポリペプチド抗−HBxP1#よりも低かったが、桁の大きさに差はないことを示す。
B.インビトロでの有効性実験
1.細胞系:
2.主な試薬:
3.酵素免疫吸着法アッセイ(ELISA)を利用する肝臓癌細胞におけるHBeAg分泌に対するD−TTK001の機能の分析
(1)細胞培養
(i)バイオセーフティーキャビネットを30分間紫外線滅菌し、30分間パージした。15% ウシ胎児血清、HepAD38細胞(またはHepG2.2.15細胞)を含むDMEM/F12(1:1)培養培地を取り出し、75% アルコールで滅菌し、バイオセーフティーキャビネットに置いた。
(ii)無菌条件下で、古い培養培地を捨て、毎回3mL 1×PBSを加え、2回洗浄し、1mL 0.25% トリプシンを加え、顕微鏡で観察して細胞が丸くなるまで細胞を消化した。5mL培養培地を加え、細胞を分配し、血球計で計数し、培養培地で1〜2×10細胞/mLの細胞数に希釈した。
(iii)96−ウェルプレートに置く。無菌条件下で、古い培養培地を捨て、毎回3mL 1×PBSを加え、2回洗浄し、1mL 0.05% トリプシンを加え、顕微鏡で観察して細胞が丸くなるまで細胞を消化した。10mL培養培地を加え、細胞を分配し、血球計で計数し、DMEM/F12(1:1)培養培地で希釈し、100μL細胞懸濁液をそれぞれのウェルに1〜2×10細胞/mLの細胞数まで加えた。最も外側のウェルに細胞を加えない。細胞付着(通常12時間)および拡張まで培養した。後の試験は、細胞が良好な条件であるときに行うことができる。
(2)D−TTK001(またはL−TTK001、すなわち、抗−HBxP1#)を肝臓癌HepAD38細胞(またはHepG2.2.15細胞)に適用する
10mM D−TTK001(またはL−TTK001)母液を高濃度から低濃度まで連続希釈し、肝臓癌HepAD38細胞(またはHepG2.2.15細胞)培養液に加え、それぞれの群において0.1μM、1μM、10μMおよび100μMのD−TTK001(またはL−TTK001)の最終濃度を得た。ネガティブコントロール群について、10μLの滅菌ddHOを加え、37℃、5% CO インキュベーターにおいて72時間でインキュベートした。
(3)HepAD38細胞(またはHepG2.2.15細胞)培養培地中のHBeAg含有量を測定するためにELISAを適用する
(i)平衡化する:30分間で室温でHBeAgアッセイキットを置いた。
(ii)溶液を調製する:濃縮洗浄液を精製水で25回希釈した。
(iii)プレートを取り出す:実験条件にしたがって反応プレートを取り出した(ネガティブコントロールについて3ウェル、ポジティブコントロールについて1ウェル、およびブランクコントロールについて1ウェル)。
(iv)サンプルを加える:75μLの試験サンプルまたはネガティブ/ポジティブコントロールをそれぞれのウェルに加え、穏やかに振とうし、混合した。
(v)インキュベートする:マイクロプレートシーラーで密閉し、37℃で60分間インキュベートした。
(vi)酵素を加える:ブランクウェルを除けばそれぞれのウェルに50μLの酵素コンジュゲートを加え、穏やかに振とうし、混合した。
(vii)インキュベートする:マイクロプレートシーラーで密閉し、37℃で30分間インキュベートした。
(viii)プレートを洗浄する:マイクロプレートシーラーを注意深く除去し、手動で5回プレートを洗浄し、たたいて乾かした。
(ix)色を発生する:それぞれ50μLの発色薬剤AおよびB液体を加え、穏やかに振とうし、混合し、暗所で37℃で30分間発色させた。
(x)停止する:それぞれのウェルに50μLの停止溶液を加え、穏やかに振とうし、混合し、10分で結果を測定した。マイクロプレートリーダーの波長を450nMに設定し、ブランクウェルでゼロに設定した後、それぞれのウェルに対するOD値を測定した。
図3および図4に示されるとおり、D−TTK001(またはL−TTK001)は、用量依存性でHepAD38細胞(またはHepG2.2.15細胞)のHBeAg分泌レベルに対する阻害効果を示した。D−TTK001の最小有効用量は0.1μMである。L−TTK001の最小有効用量は10μMである。したがって、HBeAgに対するD−TTK001の効果は、HBeAgに対するL−TTK001の効果よりも良い。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
4.MTTアッセイ
(1)細胞を置く:10% FBSを有するRPMI1640培地において対数期でHepAD38細胞を懸濁し、ウェルあたり100μLで96−ウェルプレートに4000−5000細胞を置いた。
(2)細胞を培養する:培養細胞の付着のために12時間以内、実施例1からの異なる濃度の合成されたD−TTK001(またはL−TTK001)ポリペプチド(0.1μM、1μM、10μMおよび100μM)をそれぞれの濃度について8ウェルに加え、一般的な条件下で48時間インキュベートした。
(3)着色:それぞれのウェルに対して20μLのMTT溶液(PBS緩衝剤(pH7.4)中5mg/mL MTT)を加えた。
(4)4時間インキュベートし、ウェルから上清を注意深く吸引した。150μLのDMSOをそれぞれのウェルに加え、結晶が溶解するまで10分間振とうした。
(5)比較:それぞれのウェルについて吸光度を測定するために、490nmでELISAリーダーで読んだ。結果はスチューデントt検定を使用して計算した。
図5に示されるとおり、D−TTK001(またはL−TTK001)は、用量依存性でHepAD38細胞の成長および増殖に対する明らかな阻害効果を示した。D−TTK001およびL−TTK001の最小有効用量は両方10μMである。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
実施例3:インビボでのポリペプチドの有効性実験
1.HBVトランスジェニックマウスにおけるHBV DNAに対するD−TTK001の効果
(1)HBVトランスジェニックマウスの起源と特性(Guangzhou Junketaite Pharmaceutical Technology Co., Ltd.)
HBVトランスジェニックマウスは、Guangzhou Junketaite Pharmaceutical Technology Co., Ltdから購入した。動物モデルは、Guangzhou Junketaite Pharmaceutical Technology Co., Ltdによる微量注入方法を使用して確立される1.3コピー高発現複製形態HBV全ゲノムトランスジェニックマウスTg(HBV1.3ゲノム)Swbである。血清HBsAgおよびHBeAgは一般的なELISAキットで分析することができる。93.93%ポジティブトランスジェニックマウスの血清HBV DNAは10〜10コピー/mLである。免疫組織化学において肝臓組織は、HBsAg(細胞質型)およびHBcAg(核型)発現を有する。性別、月齢または1日の時間のいずれも有意な効果はなく、これは安定な発現を意味する。高い血清HBV DNAポジティブ割合は長期間維持することができ(39月齢までトランスジェニックマウスにおいて試験される)、性別は有意な効果を示さない。これは、抗HBV薬物の評価に使用されるべきトランスジェニックモデルについて良い基礎を作る。
(2)HBVトランスジェニックマウスにおける尾静脈内投与(D−TTK001)方法および血液サンプリング方法
無菌的にD−TTK001を調製した。50μLの容量の尾静脈内注射を介してマウス体重ベースの2.5mg/kg(10マウス)または5.0mg/kg(42マウス)を投与した。50μLの滅菌PBSをブランクコントロール群(10マウス)に投与した。マウスは6−8月齢であり、オスが半分であり、メスが半分である。3週間(合計21日間)毎日注射した。マウス血液中のHBV DNA含有量の将来の測定のために、投与前にマウスの尾から動脈血を採取し、T0群として記録した。投与の1週間(T1+群)、2週間(T2+群)および3週間(T3+群)後に、マウスの尾から動脈血を採取した。投与を停止して1週間後に血液を採取する(T4群)。血液サンプルを室温で2−4時間放置し、血清を調製した。マウス血液中のHBV DNA含有量の将来の測定のために、サンプルを−80℃の冷蔵庫に保存した。
(3)リアルタイムPCRアッセイでのHBV DNAのコピー数の測定
(i)試験サンプルの調製:−80℃の冷蔵庫から試験サンプルを取り出した。平衡のためにそれを室温に置いた。試験サンプル、ネガティブコントロールサンプルおよび参照サンプルの数による比率によって対応する量の反応液、酵素混合物および内部標準(1回あたり反応液38μL+1回あたり酵素混合物2μL+1回あたり内部標準0.2μL)を取り、PCR−mixとして十分に混合した。サンプル処理(ネガティブコントロール、ポジティブコントロール定量参照および試験サンプルを同時に処理する)。それぞれのPCR反応チューブに5μLの細胞核放出剤を加え、次にそれぞれのチューブに5μLの試験サンプルを加え、3−5回前後吸い上げ(absorb)、混合した。10分以上後に、それぞれのチューブに40μLのPCR−mixを加え、キャップでチューブを閉じ、2000rpmで30秒間遠心した。
(ii)PCR増幅
以下のとおり製造業者の指示にしたがってSun Yat-sen University Daan Gene Co., Ltdによって製造されたリアルタイムPCR HBV DNAアッセイキットを利用した。PCR装置のサンプルセルにPCR反応チューブを置き、対応する順序でネガティブコントロール、ポジティブコントロール、定量参照A〜Dおよび試験サンプルを設定し、次にサンプル名および定量参照の濃度を設定した。蛍光検出チャネルの選択。例えば、ABI 7300装置において、i)HBV−DNAを検出するためにFAMチャネル(レポーター:FAM、クエンチャー:なし)を選択し、ii)HBV−内部標準を検出するためにHEX/VICチャネル(レポーター:HEX/VIC、クエンチャー:なし)を選択し、iii)ROXとしてパッシブ参照を設定した。
サイクルパラメーターを以下のとおり設定する。
(iii)結果分析:
分析条件の設定:分析される画像にしたがって開始値、ベースラインの停止値および閾値の値(Value of Threshold)を調整し(ユーザーによって実際のニーズに応じて任意に調整可能、開始値は1〜10であってよく、停止値は5〜10であってよく、Valueは0.01〜0.2であってよい)、「Std curve」ウィンドウで標準曲線を最適化した、すなわち−1.0〜−0.97間の相関関係。自動結果分析のために「Analysis」メニューの「Analyze」を選択した。「Tray」ウィンドウの未知の変数の値(C)を記録した。「C」はサンプルの濃度または含有量を示す。
(iv)品質管理:
ネガティブQCサンプル:Ct値なし;HBV内壁検査はポジティブである(Ct値40)。
ポジティブQCサンプル:1.26×10〜1.26×10IU/mL間の濃度を測定した。
4つのポジティブ定量的参照:全てのポジティブは0.98|r|1の線形相関係数を有する。
1つの実験において、上記の全ての要件を満たさなければならず、そうでない場合、実験は無効であり、再実行する必要がある。
HBVトランスジェニックマウスの血清中のHBV DNAのコピー数をリアルタイムPCRで測定した。2.5mg/kg群の結果:有効な割合は明らかな時間依存性にて1週間(T1+群)から30%(10匹のマウスのうち3匹)である。5.0mg/kg群において、有効な割合は54.8%(42匹のマウスのうち23匹)である。有効な割合は1週間(T1+群)から46.2%(39匹のマウスのうち18匹)であり、時間依存的に減少する有効な割合は30.4%(23匹のマウスのうち7匹)である。図6に示されるとおり、2.5mg/kg群の3匹のマウスおよび5.0mg/kg群の7匹のマウス間の時間依存的な有効性の減少の比較によって、HBVトランスジェニック動物レベルでのHBV複製に対するD−TTK001の阻害の薬理学的機能は用量依存的であったことを示唆した。
2.D−TTK001処置後のHBVトランスジェニックマウスの肝臓組織の病理学的観察
HBVトランスジェニックマウスに対する上記実験が終了後、マウスを殺し、肝臓組織を取り出し、ホルマリンで固定し、慣用の方法で包埋し、組織生検を作製し、次に病理学的観察を行った。
HBVトランスジェニックマウスにおいて肝炎に対する人工的に合成されたポリペプチドD−TKK001の処置効果を図7に示す。左パネルはHBVトランスジェニックマウスの肝臓病理学的組織を示す。未処置コントロール群において10匹のHBVトランスジェニックマウスのうち6匹は肝細胞の膨化変性のようなウイルス肝炎の典型的な病理学的特徴を示した。右パネルは尾静脈内注射によるD−TTK001(5mg/kg)での3週間処置後の肝臓組織を示す。実験群において6匹のマウスは肝細胞の膨化変性を示さず、D−TTK001が肝臓組織において病理学的肝炎病変に対する明らかな処置効果を有することを示唆した。
3.接種された腫瘍を有するヌードマウスに対するD−TTK001の効果
トリプシンで処理することにより対数期でのHepG2−X細胞を懸濁し、細胞の数を数え、滅菌生理食塩水で1×10細胞/mLに希釈し、次に氷水中で保存した。4〜6週齢の2匹のメスBALB/Cマウスを取り出し:i)コントロール群において1匹のマウスに、それぞれのマウスの右前肢の腋窩に0.2mlの上記希釈細胞を注射し、次に0.5mLの滅菌蒸留水のみ(ポリペプチド薬物なし)を注射し;ii)実験群において1匹のマウスに10mg/kg体重の投与用量で注射した。それぞれのマウスの右前肢の腋窩に0.2mlの上記希釈細胞を注射し、注射の20日後に、無菌的に腫瘍組織を取り出し、小さな組織片に切断し、全18匹の4〜6週齢のメスBALB/Cマウスに接種させ戻した。腫瘍容量(V=L×W×0.5)が100mmに達した後、18匹のマウスをそれぞれ6匹のマウスを有する3群に分けた。第1群はコントロール群であり、滅菌PBSを尾静脈内注射した。第2群は実験群であり、0.1mg/kgのD−TTK001を尾静脈内注射した。第3群は実験群であり、0.5mg/kgのD−TTK001(0.5mL滅菌蒸留水に溶解された凍結乾燥されたポリペプチド)を尾静脈内注射した。30日間毎日注射し、それぞれの注射前にマウスの体重および腫瘍容量を測定し、ヌードマウスの生存時間を観察した。マウスが死んだ後、生存曲線をプロットするためにKaplan−Meier方法を使用する分析を行い、統計分析のためにLog−Rankを使用する。
図8に示されるとおり、実験結果は、HepG2−X細胞で接種された腫瘍を有するヌードマウスの生存時間が、0.1mg/kgまたは5.0mg/kgで人工的に合成されたD−TTK001ポリペプチドで処置された群において明らかに長期であったことを示し、D−TTK001がヌードマウスにおいて腫瘍を接種されたHepG2−X細胞の悪性表現型を阻害する機能を有することを示唆した。統計分析のためにLog−Rankを使用する、*P<0.5。
実施例4:ポリペプチドの機能的フラグメントおよび機能的バリアント
本願発明はまた、ポリペプチドの機能的バリアントおよびその機能的フラグメントの役割を研究する。以下の表に示される配列は、L−TTK001(すなわち、抗−HBxP1#)に基づいて人工的に合成されたD−アミノ酸置換された配列である。ポリペプチドフラグメントは、配列にしたがって人工的に合成され(上記方法)、次に、ポリペプチドの機能変化を観察するために上記ELISA方法を使用した。
図9に示されるとおり、10μMのそれぞれのD−TTK001−1、D−TTK001−2、D−TTK001−3、D−TTK001−4、D−TTK001−5、D−TTK001−6、D−TTK001−7、D−TTK001−8、D−TTK001−8、D−TTK001−9、D−TTK001−10は、種々の程度にHepAD38細胞のHBeAg分泌レベルを阻害し、D−TTK001が最も有意な効果を有し、したがって、人工的に合成されたD−アミノ酸での個々の置換が、L−TTK001(すなわち、抗−HBxP1#)ポリペプチドの構造を変化させ、種々の程度でその生物学的活性に影響することを示唆する。加えて、ポリペプチドの安定性は、D−アミノ酸置換の数の増加とともに増強される。D−TTK001およびL−TTK001の生物学的活性が互いに類似しており、対称異性体がHBxタンパク質を標的とする結合能力を維持することを示唆する。スチューデントt検定を統計分析のために使用する、*P<0.05、**P<0.01。
実施例5:ラットにおけるポリペプチド薬物のインビボ薬物動態学実験
6匹の実験動物に、3.6mg/kgのD−TTK001溶液(マウスにおいて5mg/kgに相当)を静脈内注入した。血液サンプルを回収し、血液回収時間によってヘパリン添加試験チューブに置いた。ラットにおけるD−TTK001の血漿濃度をTriple−TOF質量分析計によって測定した。
6匹のラットにおける3.5mg/kgのD−TTK001の静脈内注射後の主要な薬物動態パラメータを表3に示した。半減期は55.27分であった。
表3。6匹のラットにおける3.5mg/kgのD−TTK001の静脈内注射後の主要な薬物動態パラメータ
実施例6:ポリペプチド薬物の急性毒性試験
コントロール群および実験群はそれぞれ、10匹のKunming白色マウスからなり、それぞれの群において5匹のメスおよび5匹のオスを有する。実験群に、尾静脈内注射によって500mg/kgの濃度(0.8mLの滅菌蒸留水に溶解された10mgの凍結乾燥されたポリペプチド)でポリペプチドD−TTK001を注入した。コントロール群に、0.8mLの滅菌蒸留水を注入した。注射後24時間、マウスを連続して観察した。
ポリペプチド薬物の急性毒性試験は、マウスが、コントロール群と比較して、異常行動および異常な体重変化を有さないことを示した。
本願明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含むすべての文献は、本願明細書に組み込まれ、その全体が本願明細書に包含される。本願明細書において提供されるあらゆるおよび全ての実施例または模範的な用語(例えば、「など、例えば」)の使用は、単に本願発明をより良く説明することを意図し、特記されない限り、本願発明の範囲を限定するものではない。本願発明を実施するために本願発明者らに知られている最良の様式を含む本願発明の好ましい態様が本願明細書に記載されている。これらの好ましい態様の変形は、前記説明を読んで当業者に明らかになるであろう。本願発明者らは、適当なとき当業者がかかる変形を適用することを予期しており、本願発明者らは、本願発明が本願明細書に具体的に記載されている発明と別に実施される発明も意図している。本願発明は、本願明細書に他に記載のない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、適用できる法律によって認められているとき、添付の特許請求の範囲に記載された対象の全ての修飾および均等を含む。

Claims (7)

  1. 配列番号1に示されるアミノ酸配列もしくはその機能的フラグメントまたは当該アミノ酸配列もしくはその機能的フラグメントの機能的バリアントを含む単離されたポリペプチドであって、当該アミノ酸配列、当該機能的フラグメントまたは当該機能的バリアントのアミノ酸配列における1つ以上のL−アミノ酸は、D−アミノ酸によって置換されており、当該ポリペプチドは、B型肝炎ウイルスXタンパク質を阻害し、B型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患の発生および発症を阻害することができる機能を有する、単離されたポリペプチド。
  2. ポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%(好ましくは、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上)同一性を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. ポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号2−11に示されるアミノ酸配列のいずれかである、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 当該B型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患が肝炎、肝硬変および肝臓癌を含む、請求項1−3のいずれかに記載のポリペプチド。
  5. B型肝炎ウイルス感染に起因する慢性肝疾患を処置および予防するための医薬の製造における、請求項1−3のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
  6. 当該使用がB型肝炎ウイルスに対する治療用ワクチンを製造するためである、請求項5に記載の使用。
  7. 請求項1−4のいずれかに記載のポリペプチドおよび任意の医薬担体を含む医薬組成物。
JP2017566181A 2015-03-13 2015-10-16 B型肝炎ウイルスxタンパク質に対するポリペプチド薬物 Active JP6660966B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN201510111013.0 2015-03-13
CN201510111013.0A CN104744564B (zh) 2015-03-13 2015-03-13 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
PCT/CN2015/092132 WO2016145840A1 (zh) 2015-03-13 2015-10-16 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018514582A true JP2018514582A (ja) 2018-06-07
JP6660966B2 JP6660966B2 (ja) 2020-03-11

Family

ID=53584887

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017566181A Active JP6660966B2 (ja) 2015-03-13 2015-10-16 B型肝炎ウイルスxタンパク質に対するポリペプチド薬物

Country Status (7)

Country Link
US (1) US10570176B2 (ja)
EP (1) EP3269727B1 (ja)
JP (1) JP6660966B2 (ja)
KR (1) KR102017973B1 (ja)
CN (1) CN104744564B (ja)
ES (1) ES2819238T3 (ja)
WO (1) WO2016145840A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104744564B (zh) * 2015-03-13 2017-07-28 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
CN106519004B (zh) * 2016-11-03 2019-03-19 吉林大学 一种能降解乙型肝炎病毒x蛋白的特异性多肽

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08500829A (ja) * 1992-08-27 1996-01-30 ディーキン・リサーチ・リミテッド 逆向き、鏡像体および逆向き鏡像体合成ペプチド類似物
JPH09509182A (ja) * 1994-02-25 1997-09-16 デイーキン リサーチ リミテッド 合成逆転またはレトロ逆転t細胞エピトープ
CN1546668A (zh) * 2003-12-12 2004-11-17 南开大学 乙型肝炎病毒x蛋白转导系统表达载体及其构建
WO2007110098A1 (en) * 2006-03-29 2007-10-04 Institut National De La Sante Et De La Recherche Medicale HBx PEPTIDES, CAPABLE OF ELICITING A PROMISCUOUS IMMUNODOMINANT CD4+ RESPONSE DIRECTED AGAINST HBV
CN102675422A (zh) * 2011-03-15 2012-09-19 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
CN102675424A (zh) * 2011-03-15 2012-09-19 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
CN102675423A (zh) * 2011-03-15 2012-09-19 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
CN103992388A (zh) * 2011-03-15 2014-08-20 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5141851A (en) * 1990-04-18 1992-08-25 Board Of Regents, The University Of Texas System Isolated farnesyl protein transferase enzyme
DK53291D0 (da) * 1991-03-25 1991-03-25 Carlbiotech Ltd As Smaa peptider og peptidrelaterede stoffer samt farmaceutiske praeparater indeholdende saadanne forbindelser
EP0673387B1 (en) * 1992-12-11 1999-09-22 University Of Florida Materials and methods for control of pests
CN104744564B (zh) * 2015-03-13 2017-07-28 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08500829A (ja) * 1992-08-27 1996-01-30 ディーキン・リサーチ・リミテッド 逆向き、鏡像体および逆向き鏡像体合成ペプチド類似物
JPH09509182A (ja) * 1994-02-25 1997-09-16 デイーキン リサーチ リミテッド 合成逆転またはレトロ逆転t細胞エピトープ
CN1546668A (zh) * 2003-12-12 2004-11-17 南开大学 乙型肝炎病毒x蛋白转导系统表达载体及其构建
WO2007110098A1 (en) * 2006-03-29 2007-10-04 Institut National De La Sante Et De La Recherche Medicale HBx PEPTIDES, CAPABLE OF ELICITING A PROMISCUOUS IMMUNODOMINANT CD4+ RESPONSE DIRECTED AGAINST HBV
CN102675422A (zh) * 2011-03-15 2012-09-19 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
CN102675424A (zh) * 2011-03-15 2012-09-19 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
CN102675423A (zh) * 2011-03-15 2012-09-19 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物
CN103992388A (zh) * 2011-03-15 2014-08-20 天津托普泰克生物科技有限公司 抗乙型肝炎病毒x蛋白多肽药物

Also Published As

Publication number Publication date
KR102017973B1 (ko) 2019-09-03
CN104744564A (zh) 2015-07-01
ES2819238T3 (es) 2021-04-15
KR20180080127A (ko) 2018-07-11
US20180334478A1 (en) 2018-11-22
EP3269727A1 (en) 2018-01-17
CN104744564B (zh) 2017-07-28
JP6660966B2 (ja) 2020-03-11
EP3269727A4 (en) 2018-07-25
EP3269727B1 (en) 2020-07-08
US10570176B2 (en) 2020-02-25
WO2016145840A1 (zh) 2016-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7248247B2 (ja) Wt1抗原ペプチドコンジュゲートワクチン
US6602510B1 (en) HLA class I A2 tumor associated antigen peptides and vaccine compositions
EP2552470B1 (en) Peptides for promoting angiogenesis and an use thereof
JP2002530273A (ja) 脈管形成および腫瘍増殖の新規インヒビター
AU2015305299B2 (en) Disintegrin variants and pharmaceutical uses thereof
KR20180123064A (ko) 질환의 요인이 되는 생체내 단백질을 표적으로 하는 컨쥬게이트 백신
EA006423B1 (ru) Олигопептид, обладающий биологической активностью модулятора рецептора тромбопоэтина, и способы его применения
JP6660966B2 (ja) B型肝炎ウイルスxタンパク質に対するポリペプチド薬物
JP4254972B2 (ja) 癌、関節炎および網膜症の治療用抗脈管形成薬
US20210113685A1 (en) Polypeptide drug against hepatitis b virus protein
KR20200116394A (ko) CP2c 표적 펩티드 기반 항암제
JP7380999B2 (ja) 環状ペプチド
EP3970801A1 (en) Ras inhibitory peptide
EP2963053A1 (en) Peptides for promoting angiogenesis and an use thereof
CN117756909A (zh) 改进的抗衰老化合物及其在癌症治疗中的用途
CN112236162A (zh) 用于裂解选择性癌细胞的组合物
CN113395976A (zh) 良性肿瘤的预防或治疗药
KR20130060846A (ko) 암세포 특이적 세포괴사 유도 및 암 소멸 효과를 나타내는 세포사 유도 융합 펩타이드
WO2019045025A1 (ja) ワクチン組成物
US20230203107A1 (en) Peptide for treating sepsis derived from rv3364c protein of mycobacterium tuberculosis
WO2020001495A1 (zh) 一类新的Bcl10聚合抑制剂及其应用
US20140147490A1 (en) Hla class i a2 tumor associated antigen peptides and vaccine compositions
KR20230170884A (ko) 결핵균의 Rv2626c 단백질에서 유래한 패혈증 치료용 펩타이드
CN116135873A (zh) 试剂盒、靶向p53的多肽及其在制备用于治疗癌症的药物中的应用
JP2021035925A (ja) Eml4−alk阻害ペプチドおよびこれを含む肺がん治療薬

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190611

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6660966

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250