JP2018514554A - 脂肪を低減させるための美容上の方法及び治療用途 - Google Patents

脂肪を低減させるための美容上の方法及び治療用途 Download PDF

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Abstract

本明細書では、脂肪を低減させる、具体的には、有意な発育毛及び/または追加的な発育毛なしに脂肪を低減させる方法、化合物、及び組成物を開示する。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2015年4月30日に提出された米国特許仮出願第62/154,926号に基づく利益を主張するものであり、この仮出願は、参照により、その全体が本明細書に援用されるとともに、本願における優先権及び/または利益の主張の基礎としての役割を果たす。
本開示は、概して、脂肪の低減方法に関し、具体的には、脂肪低減部位で、実質的な発育毛または追加的な発育毛を起こさずに、治療のために脂肪を低減させることと、美容のために脂肪を低減させることに関する。
個体の余分な脂肪は、多くの理由から、望ましくないことがある。いくつかの場合では、セルライト、ならびに外側から視認可能なその他の脂肪沈着(例えば、顎下、腹部、胴部及び大腿部領域の脂肪沈着など)の場合のように、余分な脂肪は、審美上不快である場合がある。別の場合では、余分な脂肪により、肥満になることがあり、肥満は、非常に多くの疾患及び状態(例えば、2型糖尿病、睡眠時無呼吸、心疾患、いくつかのタイプのがん、変形性関節炎など)を伴い、またそれらを患う可能性を高める場合がある。そのため、美容のために脂肪を低減する必要性と、治療のために脂肪を低減する必要性が存在する。
脂肪の低減方法の多くには概して、運動と食事制限が伴う。しかしながら、脂肪低減化合物の投与によって脂肪を低減させる方法には、簡潔であり、実施しやすく、全身の(例えば、個体の全身にわたる)脂肪沈着を標的にでき、かつ局所的な脂肪沈着を標的にできる(例えば、顎下の脂肪及び/またはセルライト沈着を直接標的とする)といった利点がある。具体的には、化合物のビマトプロストは、体重を減少させることが示されている化合物の1つである(例えば、米国特許出願公開第2014/0275272号及びUS2014/0308354を参照のこと)。しかしながら、ビマトプロストの投与により、発育毛が見られることがあり、その作用は、LATISSE(登録商標)という製品としてビマトプロスト製剤が市販されていることによって実証されている。このような発育毛は、必ずしも望ましいことではなく、実際、場合によっては、望ましくないことがある。
したがって、発育毛(脂肪の低減が望まれる部位における発育毛など)を伴わない、脂肪の低減方法に対する必要性が存在する。加えて、脂肪細胞の凍結、加熱、溶解または別段に、物理的または化学的手段を通介して、脂肪沈着部を破壊することに伴う傷みと炎症を実質的に起こすことなく脂肪沈着を低減させる方法または処置に対する必要性も存在する。
本明細書では、脂肪の低減方法、具体的には、脂肪低減部位で実質的な発育毛または追加的な発育毛を引き起こさない、脂肪の低減方法について説明する。
一態様においては、本明細書では、対象の体脂肪の低減方法であって、体脂肪を低減させる必要のある対象に、下記の式Iの化合物、下記の式IIの化合物またはこれらの混合物を有効量投与することを含む方法を開示する。
別の態様においては、式Iの化合物を有効量投与する。
別の態様においては、式IIの化合物を有効量投与する。
別の態様においては、脂肪低減部位で実質的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させるのに有効な量で、上記の化合物または化合物の混合物を投与する。
別の態様においては、脂肪低減部位で追加的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させるのに有効な量で、上記の化合物または化合物の混合物を投与する。
別の態様においては、約0.05mg/kg〜約5mg/kgの量で、上記の化合物または化合物の混合物を投与する。
別の態様においては、約0.3mg/kg〜約5mg/kgの量で、上記の化合物または化合物の混合物を投与する。
別の態様においては、上記の化合物または化合物の混合物を局所投与する、注射によって投与する、経皮投与する、または経口投与する。
別の態様においては、対象の顎下領域、大腿部、腹部、または胴部のうちの少なくとも1つに、上記の化合物または化合物の混合物を投与する。
別の態様においては、上記の化合物または化合物の混合物を全身投与する。
別の態様においては、上記の化合物または化合物の混合物を脂肪沈着部に局所投与する。
本明細書では、別の態様においては、脂肪を低減させるのに用いる医薬組成物であって、有効量の下記の式Iの化合物、下記の式IIの化合物、またはこれらの混合物を有効量、及び1つ以上の製薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を説明する。
別の態様においては、この組成物は、式Iの化合物を有効量含む。
別の態様においては、この組成物は、式IIの化合物を有効量含む。
別の態様においては、この組成物は、脂肪低減部位で実質的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させる。
別の態様においては、この組成物は、脂肪低減部位で追加的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させる。
別の態様においては、この組成物は、上記の化合物または化合物の混合物を約0.05mg/kg〜約5mg/kgの量で含む。
別の態様においては、この組成物は、上記の化合物または化合物の混合物を約0.3mg/kg〜約5mg/kgの量で含む。
別の態様においては、この組成物は、局所投与、注射による投与、経皮投与、または経口投与に適する。
別の態様においては、この組成物は、対象の顎下領域、大腿部、腹部または胴部のうちの少なくとも1つに投与するのに適する。
別の態様においては、この組成物は、全身投与に適する。
別の態様においては、この組成物は、脂肪沈着部への局所投与に適する。
ヒト毛乳頭細胞のビマトプロストによるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞のビマトプロストによるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞のビマトプロストによるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞のビマトプロストによるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおける最高投与量のシグネチャートレースを示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおける最高投与量のシグネチャートレースを示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおけるトリプリケートインピーダンスアッセイでのアゴニスト応答の結果を示している。 ヒト毛乳頭細胞の、本明細書に記載されているような式IIの化合物によるインビトロ細胞誘電分光アッセイにおける最高投与量のシグネチャートレースを示している。 図4A及び図4Bは、式Iの化合物をビマトプロストと比較したインビボマウス再発育毛モデルの結果を示している。図4Aは、再発育毛の開始日を示している。これらは、デジタル写真によって評価する盲検形式で測定した。 図4A及び図4Bは、式Iの化合物をビマトプロストと比較したインビボマウス再発育毛モデルの結果を示している。図4Bは、完全な発育毛に至った日を示している。これらは、デジタル写真によって評価する盲検形式で測定した。 図5A及び図5Bは、式Iの化合物をラットに経口投与したときのラットの体重変化のグラフを示している。図5Aは、雄のラットの体重変化のグラフを示している。183日目以降、最長で30日間、薬物を投与せずに、ラットを元の状態に戻した。 図5A及び図5Bは、式Iの化合物をラットに経口投与したときのラットの体重変化のグラフを示している。図5Bは、雌のラットの体重変化のグラフを示している。183日目以降、最長で30日間、薬物を投与せずに、ラットを元の状態に戻した。 3T3−L1マウス前脂肪細胞を、ビマトプロスト、式I及びIIの化合物の存在下で3日間、示されている濃度で分化誘導させた前脂肪細胞分化アッセイの結果を示している。
上記概要及び下記概要はいずれも、例示的かつ説明的なものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。本明細書で使用する場合、特に別段の記載がない限り、単数形の使用には、複数形が含まれる。本明細書で使用する場合、別段の記載がない限り、「または」は、「及び/または」を意味する。さらに、「〜を含む(including)」という用語、ならびに他の形態(「〜を含む(includes)」及び「含まれる(included)」など)の使用は、限定的ではない。本明細書で用いられている、節の見出しは、構成上の目的のものに過ぎず、記載されている主題を限定するものと解釈すべきではない。
具体的な定義が示されている場合を除き、本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学及び無機化学の実験手順及び技法との関連で用いられている命名法は、当該技術分野において知られているものである。標準的な化学記号は、その記号によって表される正式名称と同義的に用いられている。したがって、例えば、「水素」及び「H」という用語は、同じ意味を有するものと理解する。化学合成、化学分析、及び調合には、標準的な技法を使用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法には、対象の体脂肪の低減方法であって、体脂肪を低減させる必要のある対象に、下記の式Iの化合物、下記の式IIの化合物またはこれらの混合物を有効量投与することを含む方法が含まれる。
「体脂肪」という用語は、本明細書で使用する場合、「脂肪組織」として知られている疎性結合組織を指す。体脂肪は、個体の全身にわたって、例えば、皮膚の下(皮下脂肪、例えばセルライト)、内蔵の周囲(内臓脂肪)、骨髄中(黄色骨髄)、乳房組織中(乳房脂肪)、胴部の周囲(胴部脂肪、例えば「脇腹の贅肉」)、顎下(顎下脂肪)、大腿部組織(大腿部脂肪)及び当業者であれば認識可能な体のその他の領域(例えば、HIV関連リポジストロフィー、眼窩脂肪など)に存在することができる。
個体の体脂肪量は、当業者であれば認識可能な様々な方法によって、割り出す、かつ/または推定することができる。例えば、体脂肪率(体脂肪質の重さを体重で除したもの)は、液中(水中)秤量、ホールボディー空気置換プレチスモグラフィー、近赤外インタラクタンス、二重エネルギーX線吸収測定法、平均体密度の測定(ブロゼックまたはシリーの式の使用を伴う)、生体電気インピーダンス法、身体計測法(例えば、皮下脂肪測定、超音波測定及び対象の体格指数に基づく推定)、核磁気共鳴画像法、コンピューター断層撮影法、及び当業者であれば認識可能なその他の方法など、当業者に知られている技法によって推定できる。加えて、体脂肪量の直接的な測定値ではないが、個体の体格指数(BMI)によっても、個体の体脂肪量を示すことができる。加えて、目視検査によっても、セルライトなどにおける蓄積体脂肪を明らかにすることができ、これは、セルライトの定量測定値の一部として使用できる(例えば、Smalls et al.J.Cosmet.Sci.2005,56,105−120を参照のこと)。体脂肪量を割り出すかつ/または推定するさらなる方法は、当業者であれば認識可能であろう。
「対象」という用語は、本明細書で使用する場合、ヒトまたはヒト以外の動物を指す。個体が、治療上の理由または美容上の理由のいずれかで、体脂肪を低減させることを所望する、体脂肪を低減するように助言される、またはさもなければ体脂肪を低減させる必要がある場合、その対象は「体脂肪を低減させる必要がある」。
例えば「体脂肪を低減させる」際の「低減させる」という用語は、本明細書で使用する場合、体脂肪の量、質量、または体積を減らすことを指す。体脂肪の低減は、本明細書に記載されている方法のうちの1つ以上に従って、本明細書に記載されている化合物(例えば、式IまたはIIの化合物)の投与前の初期時点に、脂肪の量を測定し、その後、様々な時点に(例えば、本明細書に記載されている化合物の投与期間中、及び投与中止後)、体脂肪量を測定することによって、測定して割り出すことができる。例えば、対象の体重は、本明細書に記載されている化合物による治療レジメンの開始前に測定し、その後、治療レジメンの実施中及び実施後に測定することができる。体重の減少は、体脂肪の低減を示すものである。同様に、体重測定とともに、皮下脂肪の測定、ならびに/またはその他の技法(例えば、核磁気共鳴画像法及び/もしくはコンピューター断層撮影)を行うことができ、これらの技法によって測定されるパラメーター(すなわち、体脂肪率)の低下は、脂肪の低減を示すものである。加えて、脂肪の低減は、治療レジメンの実施前、実施中、及び実施後の様々な時点に、全身または体の一部を撮影することなどによって、定性的に測定することができ、脂肪の低減は、画像の目視検査によって(例えば、顎下脂肪、胴部脂肪、セルライト及び容易に目視検査できるその他の形態の体脂肪などの特定の脂肪沈着のサイズ及び/または体積の視認可能な減少を見ることによって)割り出すことができる。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物によって実現する、体脂肪の低減は、脂肪低減部位での実質的な発育毛または追加的な発育毛なしに行うことができる。「発育毛」という用語は、本明細書で使用する場合、所定面積の皮膚における体毛数の増加、所定面積の皮膚にすでに存在していた体毛の太さの増大、及び所定面積の皮膚にすでに存在していた体毛の長さの増大、またはこれらの組み合わせを指す。具体的には、目視検査によって、TrichoScan(trichoscan.com/pages/english/home.php)のようなコンピューターによる方法を用いることによって、パンチ生検によって、及び当業者であれば認識可能なその他の方法によって、所定面積の皮膚の体毛数を計数して、特定の領域内の体毛の総数、全体の体毛密度(例えば、1平方センチメートル当たりの体毛数)、及び当業者であれば認識可能な、所定面積の皮膚における体毛数のその他の測定値を割り出すことができる(例えば、U.Blume−Peytavi et al.“Hair Growth Assestment Techniques”in Hair Growth and Disorders,U.Blume−Peytavi et al.,Eds.Springer:New York 2008,Chapter8を参照のこと)。同様に、目視検査によって、TrichoScanのようなコンピューターによる方法を用いることによって、パンチ生検によって、及び当業者であれば認識可能なその他の方法によって、所定面積の皮膚にすでに存在していた体毛の太さを測定して、体毛の太さ(例えば、体毛のμm単位の太さ)を割り出すこともできる。同様に、目視検査によって、TrichoScanのようなコンピューターによる方法を用いることによって、パンチ生検によって、または当業者であれば認識可能なその他の方法によって、所定面積の皮膚にすでに存在していた体毛の長さを測定して、体毛の長さ(例えば、体毛のmm単位の長さ及び/またはmm/日の単位の直線発育毛速度)を割り出すこともできる。さらに、体毛の太さと体毛の長さは分布として特徴づけることもでき、この場合体毛の部分によって、太さ及び/または長さが異なり得、この分布は、ヒストグラムとしてプロットでき、そのヒストグラムを用いて、体毛の太さ及び/または長さの平均、ならびに体毛の太さ及び/または長さの累積値などの測定値を求めることができる(例えば、R.Hoffmann“TrichoScan:a novel tool for the analysis of hair growth in vivo”J.Investig.Dermatol.Symp.Proc.2003,109−115を参照のこと)。
加えて、測定した発育毛量は、体毛の数、太さも、しくは長さの測定値、またはこれらを組み合わせた測定値かにかかわらず、フェリマン−ガルウェイ指数(Ferriman DM,Gallwey JD.Clinical assessment of body hair growth in women.J Clin Endocrinol 1961:21:1440−1447、hirsutism.com/hirsutism−biology/ferriman−gallwey−score.shtmも参照のこと)などの発育毛測定方法の一部として用いることができる。具体的には、フェリマン−ガルウェイ指数は、女性における男性型の発育毛を表すものとして用いることができ、19カ所の異なる身体領域、すなわち、上唇、顎、もみあげ、頸部、胸部、背中上部、背中下部、臀部、上腹部、下腹部、鼠径部、肛門周辺部、腕、前腕、大腿部、脚、足、足指及び手指における4つの異なる程度の重度を示すものであり、0(ゼロ)という値が、終毛のないことを表し、存在する体毛の量に応じて、19カ所の各領域に、1〜4の値を割り当てる(N.F.Goodman et al.“American Association of Clinical Endocrinologists Medical Guidelines for Clinical Practice for The Diagnosis and Treatment of Hyperandrogenic Disorders”Endocrine Practice 2001,7,102−134を参照のこと)。
「実質的な発育毛なしに」という用語は、本明細書において、本明細書に記載されている化合物を投与することによって実現する、脂肪の低減との関連で使用する場合、いくつかの実施形態では、以前から体毛が存在していなかった脂肪低減部位の皮膚領域で、実質的に発育毛がないことを指すことができる。加えて、「追加的な発育毛なしに」という用語は、本明細書において、本明細書に記載されている化合物を投与することによって実現する、脂肪の低減との関連で使用する場合、いくつかの実施形態では、少なくとも多少の体毛がすでに存在している脂肪低減部位の皮膚領域で、実質的に追加的な発育毛がないことを指すことができる。具体的には、追加的な発育毛がないことは、本明細書に記載されている化合物を投与しなくても見られることになる任意の正常な発育毛と対応する。例として、単位面積当たりの体毛数(例えば、目視検査及び/もしくはTrichoScanのような、コンピューターによる方法などの方法によって、または1以上のフェリマン−ガルウェイ指数値を求めることによって定めた場合)が特定の数である領域に、本明細書に記載されている化合物のうちの1つ以上を投与した場合、その後、投与部位で脂肪の減少が見られるが、化合物の投与前におけるその領域の状態と比べて、新たな体毛が実質的に存在しないとき(例えば、目視検査及び/もしくはTrichoScanのような、コンピューターによる方法などの方法によって見た場合に、体毛が存在しないとき、かつ/またはフェリマン−ガルウェイ指数値が、以前の値のままであるとみなされるとき)、あるいは、1つ以上の化合物を投与しなかった場合に予測される新たな体毛の正常な数を、新たな体毛の数が実質的に上回らないときに、任意の脂肪の低減(本明細書に記載されている脂肪低減判断方法によって測定)も、追加的な発育毛なしに実現したものとみなすことができる。したがって、いくつかの実施形態では、投与前から部位にすでに存在していた体毛の数に加えて、追加的な新たな体毛が計数されても、1つ以上の化合物を投与しなかった場合のその部位の体毛数の正常な増加率が、(元の体毛数と比べて)約1%〜約10%であると予測された場合には、1つ以上の化合物を投与した結果、発育毛が、(1つ以上の化合物の投与前から存在していた元の体毛の数と比べて)約1%〜約10%以下であったときには、その脂肪の低減は、追加的な発育毛なしに実現したものとみなすことができる。
同様に、別の例として、本明細書に記載されている化合物のうちの1つ以上を投与することにより実現する、脂肪の低減は、体毛の太さ(例えば、目視及び/もしくは本明細書に記載されているコンピューターによる方法によって求められるか、またはフェリマン−ガルウェイ指数の一部として求められるような太さの平均、太さの累積値、及び/または体毛の太さの分布)が、1つ以上の化合物の投与前における脂肪低減部位の体毛の太さと比べて実質的に変化していない状態で、脂肪が低減されたときに、追加的な発育毛なしに実現したものとみなすことができる。加えて、脂肪の低減は、1つ以上の化合物を投与しなかった場合に予測される体毛の太さの正常な変化を、体毛の太さの変化が実質的に上回らない場合に、追加的な発育毛なしに実現したとみなすことができる。したがって、いくつかの実施形態では、投与前におけるその部位の体毛の太さが増大しても、1つ以上の化合物を投与しなかった場合のその部位の体毛の太さの正常な増大率が、(元の体毛の太さと比べて)約1%〜約10%であると予測された場合には、1つ以上の化合物を投与した結果、体毛の太さの増大率が、(1つ以上の化合物を投与する前における元の体毛の太さと比べて)約1%〜約10%以下であったときには、追加的な発育毛なしに脂肪が低減されたものとみなすことができる。
同様に、別の例として、本明細書に記載されている化合物のうちの1つ以上を投与することにより実現する、脂肪の低減は、体毛の長さ(例えば、目視及び/もしくは本明細書に記載されているコンピューターによる方法によって求められるか、またはフェリマン−ガルウェイ指数の一部として求められるような長さの平均、長さの累積値及び/または体毛の長さの分布)が、1つ以上の化合物の投与前における脂肪低減部位の体毛の長さと比べて実質的に変化していない状態で、脂肪が低減されたときに、追加的な発育毛なしに実現したものとみなすことができる。加えて、脂肪の低減は、1つ以上の化合物を投与しなかった場合に予測される体毛の長さの正常な変化を、体毛の長さの変化が上回らない場合に、追加的な発育毛なしに実現したものとみなすことができる。したがって、いくつかの実施形態では、投与前におけるその部位の体毛の長さが増大しても、1つ以上の化合物を投与しなかった場合のその部位の体毛の長さの正常な増大率が、(元の体毛の長さと比べて)約1%〜約10%であると予測された場合、1つ以上の化合物を投与した結果、体毛の太さの増大率が、(1つ以上の化合物を投与する前における元の体毛の太さと比べて)約1%〜約10%以下であったときには、追加的な発育毛なしに脂肪が低減されたものとみなすことができる。
発育毛は、体毛数、体毛の太さ、及び体毛の長さの増大を組み合わせたものであり得ることは、当業者であれば分かるであろう。すなわち、本明細書に記載されている化合物を投与することによって実現する、脂肪の低減は、体毛数、体毛の太さ、もしくは体毛の長さのような1つ以上のパラメーターが実質的に増大していないとき、及び/または本明細書に記載されているように、その1つ以上のパラメーターの変化が、1つ以上の化合物を投与しなかった場合に通常予測される変化を上回らないときには、追加的な発育毛なしに実現できる。
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている1つ以上の化合物を投与することにより実現する、脂肪の低減は、脂肪を低減させるが、発育毛も起こし得る他の化合物(例えばビマトプロスト)を投与したときに見られる発育毛よりも、発育毛(例えば、体毛数、体毛の太さ、及び/または体毛の長さ)が少ない状態で実現できる。例として、本明細書に記載されている化合物の投与は、同程度の量の脂肪を低減させる他の化合物(例えば、他の化合物が低減させる脂肪の量との差が約0〜20%以内である量の脂肪を低減させる)を投与したときに見られる発育毛の0〜15%、0〜10%または0〜5%の発育毛が脂肪低減部位で見られる状態で脂肪が低減される場合、追加的な発育毛なしに実現したとみなすことができる。
「投与」という用語は、本明細書で使用する場合、物質(例えば、本明細書に記載されている式I及びIIの化合物)を対象の体内に導入すること、及び/または特定の経路によって、物質を対象の体に適用することを指す。投与経路は、当業者であれば認識可能であり、例えば、経口投与、非経口投与(例えば、皮下注射、筋内注射、及び静脈内注射)、舌下投与、口腔内投与、直腸投与、眼局所投与、耳内投与、吸入経路(例えば、口または鼻を通じて、当該物質を含む霧状物質を吸入する)、局所投与、経皮投与(例えば、経皮パッチ経由)、埋め込み器具による投与、ならびに当業者であれば認識可能なその他の経路が含まれる。
体の特定の局所領域に化合物を投与して、投与部位に近いその領域のみが化合物に暴露されるときに(例えば、対象の体の特定領域への局所適用または皮下適用)、投与は「局所」投与であることができる。
同様に、化合物を投与して、対象の全身がその化合物に暴露されるようにするとともに、投与部位から離れた1つ以上の領域でその化合物が確認できる(例えば、化合物を経口または静脈内投与すると、その化合物が、血中、ならびに様々な組織及び/または身体領域にわたって分布するようになり、その結果、それらの組織及び/または領域の脂肪が低減される)ときには、投与は「全身」投与であることができる。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、医薬組成物を対象に投与することによって、投与することができる。この医薬組成物は、本明細書に記載されている化合物を少なくとも1つ、その製薬学的に許容可能な担体中に含むことができ、いくつかの実施形態では、製薬学的に許容可能な賦形剤を1つ以上含むことができる。「製薬学的に許容可能な」という語句は、その製剤の他の成分と適合するとともに、その製剤の被投与者にとって有害でない担体、希釈剤または賦形剤を意味する。
本明細書に記載されている化合物の医薬組成物は、固体、溶液、乳剤、分散液、パッチ、ミセル、リポソーム、及び当業者であれば認識可能なその他の形態で用いることができ、得られる組成物は、本明細書に記載されている化合物を1つ以上、有効成分として、経腸または非経口投与に適する有機担体、無機担体、有機賦形剤または無機賦形剤との混合体で含む。本明細書に記載されている化合物は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル剤、座剤、溶剤、乳剤、懸濁剤、及び当業者であれば認識可能な用途に適する任意のその他の形態用として、当業者に知られている製薬学的に許容可能な無毒性の担体と組み合わせることができる。使用できる例示的な担体としては、グルコース、ラクトース、アカシアガム、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイダルシリカ、バレイショデンプン、尿素、中鎖トリグリセリド、デキストラン、及び当業者であれば認識可能なその他の担体であって、調製剤の製造で用いるのに適する固体、半固体、または液体形態のその他の担体を挙げることができる。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、着色剤、及び香料を用いることができる。本明細書に記載されている化合物は、対象の状態に対して所望の効果(例えば、本明細書に記載されているような、脂肪の低減)をもたらすのに十分な量で、医薬組成物に含めることができる。
本明細書に記載されている化合物を含む医薬組成物は、経口用途に適する形態、例えば、錠剤、トローチ錠、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬もしくは軟カプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤、及び当業者であれば認識可能なその他の形態であることができる。経口用途用の組成物は、医薬組成物を製造するための、当該技術分野において知られている任意の方法及び当業者であれば認識可能なその他の方法に従って調製することができ、このような組成物は、製薬学的に洗練された口当たりのよい調製剤をもたらすために、スクロース、ラクトース、またはサッカリンのような甘味剤、ハッカ、ウィンターグリーン油、またはチェリーのような矯味矯臭剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択した1つ以上の作用剤を含むことができる。製薬学的に許容可能な無毒性の賦形剤との混合体で、本明細書に記載されている化合物を含む錠剤も、既知の方法によって製造することができる。使用する賦形剤は、例えば、(1)炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウム、または当業者であれば認識可能なその他のもののような不活性希釈剤、(2)コーンスターチ、バレイショデンプンもしくはアルギン酸、または当業者であれば認識可能なその他のもののような顆粒化及び崩壊剤、(3)トラガカントガム、コーンスターチ、ゼラチンもしくはアカシア、または当業者であれば認識可能なその他のもののような結合剤、及び(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルク、または当業者であれば認識可能なその他のもののような滑沢剤であることができる。錠剤は、素錠であることができ、または、当業者であれば認識可能な既知の技法によって錠剤をコーティングして、消化管での崩壊と吸収を遅らせ、それにより、さらに長期間にわたって作用を持続させることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような遅延物質を用いることができる。
いくつかの場合では、経口用途用の製剤は、硬ゼラチンカプセル剤の形態であることができ、その際には、本明細書に記載されている化合物は、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリン、または当業者であれば認識可能なその他の不活性固体希釈剤と混合されている。製剤は、軟ゼラチンカプセル剤の形態であることもでき、その際には、本明細書に記載されている化合物は、水または油媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油、または当業者であれば認識可能なその他の媒体と混合されている。
本医薬組成物は、滅菌注射用懸濁剤の形態であることができる。この懸濁剤は、当業者であれば認識可能な既知の方法に従って、好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を用いて調合することができる。滅菌注射用調製剤は、非経口的に許容可能な無毒性の希釈剤もしくは溶媒中の(例えば1,3−ブタンジオール溶液としての)、または当業者であれば認識可能なその他の非経口的に許容可能な無毒性の希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁剤であることもできる。溶媒または懸濁媒体としては、滅菌固定油が従来から用いられている。この目的には、合成モノグリセリドもしくは合成ジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、ゴマ油、ヤシ油、ラッカセイ油、綿実油、及び当業者であれば認識可能なその他の油のような天然の植物油、またはオレイン酸エチルのような合成脂肪酸賦形剤、ならびに当業者であれば認識可能な他のものを含む無刺激固定油を用いることができる。必要に応じて、緩衝液、保存剤、抗酸化剤、及び当業者であれば認識可能なその他のものを組み入れることができる。
本明細書に記載されている化合物を含む医薬組成物は、局所用途に適する形態、例えば、油性懸濁剤、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁剤、水中油型液状乳剤、または油中水型液体乳剤であることができる。医薬組成物は、本明細書に記載されている化合物を少なくとも1つ、有効成分として治療有効量で、局所的に許容可能な従来の医薬品賦形剤と組み合わせることによって、かつ局所用途に適する単位投与量を調合することによって調製できる。本医薬組成物とともに使用するのに適し得る追加的な組成物は、「Compositions and methods for stimulating hair growth」という標題の米国特許出願公開第2014/0155488号に記載されており、この特許出願の開示内容は、参照により、本明細書に援用される。
記載されている化合物は、その化合物を直腸投与するための座剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸腔内で液化及び/または溶解して、本化合物を放出させる好適な非刺激性賦形剤(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールの合成グリセリドエステルなど)と、本明細書に記載されている化合物を混合することによって調製することができる。
個々の対象が示す低減すべき脂肪の量は非常に様々であり得、かつ各化合物には特有の特徴があるので、各対象に対して採用する厳密な投与経路と投与量は、施術者の判断に委ねられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物(例えば、式I及び式IIの化合物)が組成物の一部であるときには、この化合物が、脂肪を低減させる、特には、本明細書に記載されているように、有意な発育毛及び/または追加的な発育毛なしに脂肪を低減させる唯一の有効成分である。「有効成分」という用語は、本明細書で使用する場合、脂肪を低減させる生物学的効果、特には、本明細書に記載されているように、有意な発育毛及び/または追加的な発育毛なしに脂肪を低減させる生物学的効果を担う成分を指し、一方、組成物のその他の成分(例えば賦形剤、担体、及び希釈剤)は、組成物において、製剤の一部として必要であるかまたは所望される他の機能(脂肪を低減させる機能、特には、本明細書に記載されているように、有意な発育毛及び/または追加的な発育毛なしに脂肪を低減させる機能以外の、潤沢化、矯味矯臭、pH制御、乳化、及びその他の機能など)を有していても、脂肪を低減させる生物学的効果、特には、本明細書に記載されているように、有意な発育毛及び/または追加的な発育毛なしに脂肪を低減させる生物学的効果を担わない。
「有効量」という用語は、本明細書で使用する場合、個体に投与したときに有益な効果をもたらす、化合物(例えば、式I及びIIの化合物)の量を指す。例えば、化合物の所定の量は、その量の化合物を投与した結果、対象の脂肪が低減される(本明細書に記載されている測定及び評価技法によって割り出した場合)ときに、「有効量」となる。具体的には、いくつかの実施形態では、有効量によって、脂肪が低減されるのみならず、本明細書に記載されているように、有意な発育毛及び/または追加的な発育毛なしに脂肪が低減され、これは、ビマトプロストなどの特定の化合物で見ることができる。
この有効量は、本明細書に記載されているように投与することができる。例えば、医薬組成物として有効量を配合し、体の特定の脂肪沈着部に皮下注射して、その特定の領域の脂肪を低減させることができる。あるいは、局所投与用の組成物(例えば、クリームまたはゲル)の一部として有効量を配合し、対象の体の特定の脂肪沈着部に局所投与して、その領域の脂肪を低減させることができる。あるいは、経口製剤(例えばカプセル剤)または非経口製剤(例えば注射用製剤)の一部として有効量を配合し、対象に投与して、対象の体の様々な領域の脂肪を低減させることができる。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物のみを有効量投与することができる。別の実施形態では、式IIの化合物のみを有効量投与することができる。別の実施形態では、式Iによる化合物と式IIによる化合物を組み合わせたものを有効量投与することができる。
任意の所定の場合で投与される化合物の実際の量は、脂肪低減量、患者の年齢及び体重、患者の全身の健康状態、その状態の原因、ならびに投与経路など、関連する状況を考慮して、医師またはその他の当業者が決定することになる。
本明細書に記載されている有効な化合物の実際の有効量は、具体的な化合物と、所望する脂肪低減量にも左右される。適切な用量の選択は、本開示を読んだ上で、当業者の一般的知識に基づいて、十分に当業者の知識の範囲内で行われる。例えば、一部の対象では、女性の場合、高い体脂肪率から約25〜31%の範囲の体脂肪率に低下させること、男性の場合、高い体脂肪率から約15〜24%の範囲の体脂肪率に低下させることを、望ましい目標とすることができる。さらなる低下が望ましい場合もあり、対象と医療提供者との間で議論を行って、医学的に安全な形で脂肪を低減させるようにすることができる。また、対象の目標及び医療提供者の医学的知識に基づいた医療提供者の勧告に基づき、投与量及び処置期間を選択できる。別の例として、脂肪低減量は、体重を少なくとも約5%減少させる量であることができる。さらなる例として、脂肪低減量は、脂肪沈着部の視認可能な変化(例えば、顎下脂肪、セルライト、腹部脂肪、または胴部脂肪の視認可能な減少)をもたらす量であることができる。本化合物は、所望される視認可能な変化が実現するまで、有効量で投与できる。
本明細書に別段の定めのない限り、「約」という用語には、示されている範囲に近い値(例えば、重量パーセント)であって、個々の成分(例えば、有効成分または賦形剤)、組成物、または実施形態の機能の点で同等である(例えば、生物学的に同等である)値が含まれるように意図されている。さらに、当業者であれば分かるように、成分の量、分子量のような特性、反応条件などを表す数を含むすべての数は、近似値であり、いずれの場合においても、「約」という用語によって任意に修飾されるものとして理解する。これらの値は、本明細書の記載の教示内容を用いて当業者が実現させようとする所望の特性に応じて、変化し得る。このような値には本来的に、それぞれの試験測定値で見られる標準偏差から必然的に得られるばらつきがある。
他の治療有効量は、当業者であれば、本開示を読めば分かるであろう。例えば、当業者は、常法によって動物実験で使用した用量に基づき、健常な対象に対する最大安全用量を定めることができ(例えば、Dept.of Health and Human Services“Guidance For Industry:Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers”を参照のこと)、続いて、それを必要とする対象に対し、所望の効果(例えば、有意または追加的な発育毛なしに脂肪を低減させる)が得られる用量に達するまで、常法及び実験による最大安全用量を下回る様々な用量を投与できる。例示的な有効量は、約0.05mg/kg〜約5mg/kgであることができる。さらなる有効量は、約0.05mg/kg〜1mg/kg、0.05mg/kg〜約2mg/kg、約0.05mg/kg〜約3mg/kg及び約0.05mg/kg〜約4mg/kgであることができる。
さらなる治療有効量は、約0.05mg/kg〜約0.15mg/kg、約0.15mg/kg〜約0.27mg/kg、約0.27mg/kg〜約0.39mg/kg、約0.39mg/kg〜約0.51mg/kg、約0.51mg/kg〜約0.63mg/kg、約0.63mg/kg〜約0.75mg/kg、約0.75mg/kg〜約0.87mg/kg、約0.87mg/kg〜約0.99mg/kg、約0.99mg/kg〜約1.11mg/kg、約1.11mg/kg〜約1.23mg/kg、約1.23mg/kg〜約1.35mg/kg、約1.35mg/kg〜約1.47mg/kg、約1.47mg/kg〜約1.59mg/kg、約1.59mg/kg〜約1.71mg/kg、約1.71mg/kg〜約1.83mg/kg、約1.83mg/kg〜約1.95mg/kg、約1.95mg/kg〜約2.07mg/kg、約2.07mg/kg〜約2.19mg/kg、約2.19mg/kg〜約2.31mg/kg、約2.31mg/kg〜約2.43mg/kg、約2.43mg/kg〜約2.55mg/kg、約2.55mg/kg〜約2.67mg/kg、約2.67mg/kg〜約2.79mg/kg、約2.79mg/kg〜約2.91mg/kg、約2.91mg/kg〜約3.03mg/kg、約3.03mg/kg〜約3.15mg/kg、約3.15mg/kg〜約3.27mg/kg、約3.27mg/kg〜約3.39mg/kg、約3.39mg/kg〜約3.51mg/kg、約3.51mg/kg〜約3.63mg/kg、約3.63mg/kg〜約3.75mg/kg、約3.75mg/kg〜約3.87mg/kg、約3.87mg/kg〜約3.99mg/kg、約3.99mg/kg〜約4.11mg/kg、約4.11mg/kg〜約4.23mg/kg、約4.23mg/kg〜約4.35mg/kg、約4.35mg/kg〜約4.47mg/kg、約4.47mg/kg〜約4.59mg/kg、約4.59mg/kg〜約4.71mg/kg、約4.71mg/kg〜約4.83mg/kg、約4.83mg/kg〜約4.95mg/kg及び約4.95mg/kg〜約5mg/kgであることができる。
治療有効量は、製剤(例えば、局所投与用)に、約0.01〜約5%(w/v)で存在することができる。いくつかの実施形態では、製剤における治療有効量は、約0.01〜約1%、約0.01〜約2%、約0.01〜約3%及び約0.01〜約4%であることができる。別の実施形態では、製剤における治療有効量は、約0.01〜約1%、約1〜約2%、約2〜約3%、約3〜約4%、約4〜約5%であることができる。
別の実施形態では、製剤における治療有効量は、約0.01〜約0.06%、約0.06〜約0.11%、約0.11〜約0.16%、約0.16〜約0.21%、約0.21〜約0.26%、約0.26〜約0.31%、約0.31〜約0.36%、約0.36〜約0.41%、約0.41〜約0.46%、約0.46〜約0.51%、約0.51〜約0.56%、約0.56〜約0.61%、約0.61〜約0.66%、約0.66〜約0.71%、約0.71〜約0.76%、約0.76〜約0.81%、約0.81〜約0.86%、約0.86〜約0.91%、約0.91〜約0.96%、約0.96〜約1.01%、約1.01〜約1.06%、約1.06〜約1.11%、約1.11〜約1.16%、約1.16〜約1.21%、約1.21〜約1.26%、約1.26〜約1.31%、約1.31〜約1.36%、約1.36〜約1.41%、約1.41〜約1.46%、約1.46〜約1.51%、約1.51〜約1.56%、約1.56〜約1.61%、約1.61〜約1.66%、約1.66〜約1.71%、約1.71〜約1.76%、約1.76〜約1.81%、約1.81〜約1.86%、約1.86〜約1.91%、約1.91〜約1.96%、約1.96〜約2.01%、約2.01〜約2.06%、約2.06〜約2.11%、約2.11〜約2.16%、約2.16〜約2.21%、約2.21〜約2.26%、約2.26〜約2.31%、約2.31〜約2.36%、約2.36〜約2.41%、約2.41〜約2.46%、約2.46〜約2.51%、約2.51〜約2.56%、約2.56〜約2.61%、約2.61〜約2.66%、約2.66〜約2.71%、約2.71〜約2.76%、約2.76〜約2.81%、約2.81〜約2.86%、約2.86〜約2.91%、約2.91〜約2.96%、約2.96〜約3.01%、約3.01〜約3.06%、約3.06〜約3.11%、約3.11〜約3.16%、約3.16〜約3.21%、約3.21〜約3.26%、約3.26〜約3.31%、約3.31〜約3.36%、約3.36〜約3.41%、約3.41〜約3.46%、約3.46〜約3.51%、約3.51〜約3.56%、約3.56〜約3.61%、約3.61〜約3.66%、約3.66〜約3.71%、約3.71〜約3.76%、約3.76〜約3.81%、約3.81〜約3.86%、約3.86〜約3.91%、約3.91〜約3.96%、約3.96〜約4.01%、約4.01〜約4.06%、約4.06〜約4.11%、約4.11〜約4.16%、約4.16〜約4.21%、約4.21〜約4.26%、約4.26〜約4.31%、約4.31〜約4.36%、約4.36〜約4.41%、約4.41〜約4.46%、約4.46〜約4.51%、約4.51〜約4.56%、約4.56〜約4.61%、約4.61〜約4.66%、約4.66〜約4.71%、約4.71〜約4.76%、約4.76〜約4.81%、約4.81〜約4.86%、約4.86〜約4.91%、約4.91〜約4.96%及び約4.96〜約5%(w/v)であることができる。
当業者であれば認識可能な投与頻度に従って、当業者であれば認識可能な期間中に、この治療有効量を投与することができる。「投与頻度」という用語は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載されている化合物を対象に投与する回数を指す。例示的な投与頻度としては、1日の間に、間隔をあけて、例えば、1日に1回(QD)、1日に2回(BID)、1日に3回(TID)、1日に4回(QID)、及び当業者であれば認識可能なその他の頻度で、有効量を投与することが挙げられる。その他の例示的な投与頻度としては、例えば、静脈内注入、薬剤ポンプの使用、経皮パッチの使用、または当業者であれば認識可能なその他の連続投与方法によって連続投与することが挙げられる。
所望の投与頻度で、当業者であれば認識可能な期間にわたって、治療有効量を投与することができる。例えば、1日に1回もしくは2回(または当業者であれば認識可能な別の投与頻度で)、所定の期間(例えば、7〜14日、2〜4週間、1〜6カ月、または当業者であれば認識可能な別の期間)にわたって、治療有効量を投与できる。別の例として、1日に1回もしくは2回(または当業者であれば認識可能な別の投与頻度で)、非所定の期間にわたって、治療有効量を投与できる。当業者は、期間中の様々な時点に、有効量の投与を継続すべきか(例えば、特定の量の脂肪の低減などの所望の成果が得られ、有効量の投与がもはや不要であるか及び/または望ましくないかなど)を判断することができる。
本明細書に記載されているいくつかの化合物は、その構造内に、不斉中心を少なくとも1つ有する。この不斉中心は、R配置またはS配置で存在でき、前記R及びSの表記は、Pure Applied Chem.1976,45,11−13に記載されている規則に従って使用している。
本明細書に記載されている1つの化合物または複数の化合物に言及している際には、具体的に特定の異性体に言及してない限りは、その考え得る各異性体及びそれらの各混合物の形態の化合物を含むように意図されている。
本明細書に記載されている化合物(例えば、式I及びII)の合成は、例えばWO1996/036599及びWO1997/031895に示されているような既知の方法によって行うことができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、対象の脂肪を低減させるための医薬の製造に用いることができる。
別の実施形態は、本明細書に開示されている化合物を含む組成物と、容器と、脂肪を低減させるために前記組成物を対象に投与するための説明書とを含むキットである。
下記の実施例は、本開示を例示するように意図されているに過ぎず、本開示を限定するものとして解釈すべきでは決してない。
実施例1:ヒト毛乳頭細胞に対する活性の欠如
この実施例では、式I及びIIによる化合物に活性がないことが示されている。概して、インビトロインピーダンスアッセイにおいて、ビマトプロストまたは式Iの化合物を10-5〜10-12Mの濃度で、ヒト毛乳頭細胞とともにインキュベートした。ビマトプロストによって、下方信号(緩和)、すなわちインピーダンスの低下がもたらされたのに対して、式Iの化合物によって、検出可能な作用は全くもたらされなかった。独立した実験を3回行った。
より具体的には、ヒト頭髪毛乳頭細胞(HHDPC)を特定の培地(Promo Cell)で増殖させた。増殖後、ポリ−L−リジンをコーティングした96ウェルプレートに、これらの細胞を1ウェル当たり20,000細胞で播種した。細胞を24時間、37℃、5%CO2でインキュベートした。実験日に培地を除去し、BSAを0.1%v/v含むHBSSで置換した。これらの細胞をCellKeyシステムで4時間、28℃でインキュベートしてから、化合物を試験するのに用いた。ビマトプロスト、式Iの化合物、及び/または式IIの化合物を10-5〜10-12Mの7つの濃度で試験した。インピーダンスの変化を20分にわたって測定した。バックグラウンドを差し引き、式Iの化合物と式IIの化合物のインピーダンス信号を対照(ビマトプロスト)に対して正規化した。示されているデータは、トリプリケートにおけるものであり、3回の独立した実験のものである。
このアッセイの結果は、図1A〜1Dに見ることができる。ビマトプロストでは、初代ヒト毛乳頭細胞に対する活性が見られるが、式I及びIIの化合物では、活性は見られない(式IIの化合物については図2A〜2Dを、式Iの化合物については図3A〜3Dを参照のこと)。これらの結果によって、式I及びIIによる化合物は活性を示さないので、上記の細胞に存在するレセプターを活性化させないことが示されている。これらの細胞は、発育毛を促す主要な要素であり、発育毛のための作用は、ビマトプロスト及びその他の化合物(ミノキシジルなど)による刺激によって媒介され(例えば、Khidhir et al.FASB J.2013,27,557−567、Messenger et al.Br.J.Dermatol.2004,150,186−194及びLi et al.J.Invest.Dermatol.2001,117,1594−1600を参照のこと)、この発育毛は、ビマトプロストのような分子と関連付けられている。
実施例2:完全に発育毛するまでの時間の短縮化の欠如
この実施例では、式Iの化合物が、完全に発育毛するまでの時間を短縮しないことが示されている。概して、式Iの化合物及びビマトプロストをミノキシジル製剤(50%プロピレングリコール、30%エチルアルコール)中に、いずれの化合物も0.03%の濃度で調製した。いずれの化合物も、(Khidhir et al.FASEB J.2013 27(2):557−567に記載されているように、)マウスの剃毛背部に局所投与した。
より具体的には、雌の7週齢C57BL/6Jマウス(カタログ番号000664、米国メイン州バーハーバーのJackson Laboratory)を無作為に4つのグループに分けて、いずれの同胞バイアスも回避し、5匹からなるグループで飼育し、標準的な食餌ペレットと水を自由に摂取させた。まず、電動トリマー(Wahl Stylique Designer/Liner pet trimmer、919179、米国カリフォルニア州サンディエゴのPetco)を用いて、背部体毛を剃ることによって外側から取り除き(約2×6cm)、ピンク色の皮膚を露出させた。翌日(d0(ゼロ)という)からは、14日間、ビヒクルのみ(エタノール:プロピレングリコール:水=3:5:2)、またはその0.03%、0.10%もしくは0.30%ビマトプロストを含むビヒクルのいずれかを各マウスに局所処置した。各条件につき10匹のマウスを用いた。毎日、該当する溶液(70μl)を各マウスの背部皮膚に軽く塗り、処置タイプごとに、新しいグローブを装着した。42日間、各マウスの発育毛を毎日記録し、0日目、7日目、14日目、17日目、21日目、24日目、28日目、31日目、35日目、及び42日目に、背部の写真を撮った。各マウスの体毛再生期の初日(視認可能な黒色部分あって、後に増加して、視認可能な黒い体毛に進行した黒色部分を確認できた初日として定義)を記録した。平均値を算出するために、最終日までに発育毛の徴候が見られなかったすべてのマウスの発毛初日は、43日目とした。剃毛背部区域が新たな黒い体毛で完全に覆われた日、すなわち、ピンク色の皮膚がなくなり、隣接する非剃毛区域と、体毛の長さの視認可能な違いがなくなった日も記録した。このアッセイは、発育毛を引き起こす化合物を評価するのに、問題なく用いられてきている(例えば、Khidhir et al.FASB J.2013,27,557−567、Plikus et al.J.Invest.Dermatol.2008,128,1071−1080を参照のこと)。
この実施例の結果は、図4A及び4Bに見ることができる。式Iは、再発育毛の開始を促すようではあるが、完全な再発育毛はもたらさない。ビマトプロストを投与すると、再発育毛が開始されるまでの時間も、完全な再発育毛に至るまでの時間も短縮する。これにより、式Iの化合物は、このマウスモデルにおいて、再発育毛を引き起こさないことが示されている。
実施例3:前脂肪細胞に対する活性
この実施例では、式I及びIIの化合物が前脂肪細胞を刺激することが示されている。概して、式I及びIIの化合物、ならびにビマトプロストをxCelligenceインピーダンスアッセイで試験した。ビマトプロストも、式I及びIIの化合物も、ヒト前脂肪細胞のプロスタミドレセプターを刺激する。
より具体的には、前脂肪細胞をLonzaから購入した。細胞を前脂肪細胞維持培地(スイスのLonza)で増殖させた。増殖させた時点で、xCelligenceの96ウェルプレートに、1ウェル当たり10,000細胞を播種し、インピーダンス信号が安定するまで、37℃で72時間インキュベートした。安定したら、培地を2時間、37℃で、無血清前脂肪細胞培地(PDM−2)に置換した。30分間信号を安定させたら、化合物を7つの濃度(10-5〜10-9M)で加え、信号を20分間測定した。インピーダンスの変化をバックグラウンドの値(緩衝液のみ)に対して正規化し、プリズムソフトウェアを用いて、EC50の値を求めた。
表1の結果によって、式I及びIIは、ヒト前脂肪細胞に対する作用がビマトプロストよりも相対的に強いことが示されている。
加えて、3T3−L1マウス前脂肪細胞を、ビマトプロスト、式I及びIIの化合物の存在下で3日間、示した濃度で分化誘導させた。3日後、培地及び化合物を除去し、脂肪細胞維持培地に置換した。2日おきに培地を変更し、最初の誘導から8日までフォローアップした。adiporedという色素(Lonza)を用いることによって、脂質含量を測定したとともに、蛍光プレートリーダーによって測定した。分化ウェルの未分化コントロールに対する比率として、分化指数を算出した。100%は、ビヒクルのみを含む分化コントロールウェルの分化指標として定義する。分化培地条件は、インスリン、イソブチルメチルキサンチン、及びデキサメタゾンを含むDMEM/F−12培地であった。維持培地は、インスリン及びデキサメタゾンのみを含んでいた。結果は、図6に示されている。
実施例4:体重増加の緩和及び平均体重の低下
この実施例では、式Iの化合物を毎日、経口投与すると、体重増加が緩やかになり、平均体重が低下することが示されている。概して、雄のラット(n=17〜20)及び雌のラット(n=17〜20)に毎日、6カ月間、下記の用量で経口投与(強制投与)した。式Iの化合物は、5mg/kg/日で雌雄両方、0.3mg/kg/日で雌の体重増加を抑制した(p<0.05)。薬物の投与を中止した後には、この作用は、多少可逆的であった。
より具体的には、雄及び雌のラット(Hsd:Sprague Dawley)を4つのグループに割り当て、試験物質の製剤(式Iの化合物0.03mg/kg/日、0.3mg/kg/日、もしくは5mg/kg/日)またはビヒクルコントロール物質(3%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン[30mg/mL(150mg/kg/日)]と10mMのリン酸緩衝化生理食塩水とを含む式Iの化合物0mg/mL[0%][プラセボ])を1日に1回、26週間、5mL/kgの体積で強制経口投与した。投与フェーズの終わり(最大で15匹/性別/グループ)、または4週間の復帰フェーズの終わり(ビヒクルコントロール物質を投与したグループ、及び式Iの化合物を5mg/kg/日で投与したグループにおいて、5匹/性別/グループ)に、ラットを殺処分した。これらのラットには、実験の長さにより、食事制限を課した。1週間に1度、体重を測定した。
この実施例の結果は、図5A(雄のラット)及び図5B(雌のラット)に示されている。グラフから見て取れるように、式Iを毎日投与したところ、14日目に、体重増加が緩やかになり始めた。この緩和の持続性は、処置期間にわたって、最長で183日間維持された。休薬期間後、ラットにおいては、処置期間に見られた体重増加緩和状態が、部分的に元の状態に戻った。このデータによって、体重の減少が可逆的であることが示されている。当業者であれば、本開示を読めば、用量は、約0.05mg/kg〜約5mg/kg及び約0.3mg/kg〜約5mg/kgであることができることが分かるであろう。
本明細書全体にわたり、米国及び外国特許出願、学術論文、本の章などの文献が参照されている。このような文献はいずれも、対応する参考文献とともに公開されている補足/支援情報部分を含め、別段の定めのない限り、あらゆる目的において、参照により、その全体が本明細書に明示的に援用される。援用される参照文献中のいずれかの内容が、本明細書中のいずれかの内容と対立する範囲においては、本明細書中の内容を優先するものとする。
上記の説明においては、脂肪を低減させるのに、特には、有意な発育毛及び/または追加的な発育毛なしに脂肪を低減させるのに使用できる具体的な方法について詳述されているとともに、考えられる最良の形態が示されている。上記の説明は、本開示の全体的な範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲の法的構成部によってのみ定められるものとする。

Claims (22)

  1. 対象の体脂肪の低減方法であって、体脂肪を低減させる必要のある対象に、下記の式Iの化合物、下記の式IIの化合物、またはこれらの混合物を有効量投与することを含む前記方法。
  2. 前記式Iの化合物を有効量投与する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記式IIの化合物を有効量投与する、請求項1に記載の方法。
  4. 脂肪低減部位で実質的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させるのに有効な量で、前記化合物または化合物の混合物を投与する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 脂肪低減部位で追加的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させるのに有効な量で、前記化合物または化合物の混合物を投与する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 約0.05mg/kg〜約5mg/kgの量で、前記化合物または化合物の混合物を投与する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 約0.3mg/kg〜約5mg/kgの量で、前記化合物または化合物の混合物を投与する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記化合物または化合物の混合物を局所投与する、注射によって投与する、経皮投与する、または経口投与する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 対象の顎下領域、大腿部、腹部または胴部のうちの少なくとも1つに、前記化合物または化合物の混合物を投与する請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記化合物または化合物の混合物を全身投与する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記化合物または化合物の混合物を脂肪沈着部に局所投与する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  12. 脂肪を低減させるのに用いる医薬組成物であって、有効量の下記の式Iの化合物、下記の式IIの化合物またはこれらの混合物、及び1つ以上の製薬学的に許容可能な賦形剤を含む前記医薬組成物。
  13. 前記式Iの化合物を有効量含む、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記式IIの化合物を有効量含む、請求項12に記載の医薬組成物。
  15. 脂肪低減部位で実質的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  16. 脂肪低減部位で追加的な発育毛を引き起こすことなく脂肪を低減させる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  17. 約0.05mg/kg〜約5mg/kgの量で、前記化合物または化合物の混合物を含む、請求項12〜16のいずれか1項に記載の組成物。
  18. 約0.03mg/kg〜約5mg/kgの量で、前記化合物または化合物の混合物を含む、請求項12〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  19. 局所投与、注射による投与、経皮投与、または経口投与に適する、請求項12〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  20. 対象の顎下領域、大腿部、腹部、または胴部のうちの少なくとも1つに投与するのに適する、請求項12〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  21. 全身投与に適する、請求項12〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  22. 脂肪沈着部への局所投与に適する、請求項12〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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