JP2018514386A - 厚い壁厚と大きい直径とを有する耐圧性の管を誘導曲げ変形させる方法 - Google Patents

厚い壁厚と大きい直径とを有する耐圧性の管を誘導曲げ変形させる方法 Download PDF

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Abstract

厚い壁厚と大きい直径とを有する耐圧性の管(1)を誘導曲げ変形させる方法において、開始フェーズt1において、管(1)の開始タンジェント(3)が、曲げクランプ(31)の介入なくインダクタ(20)を通るように挿入されることによって熱処理される。時点t2において、開始タンジェント(3)の終了時に管の送りが停止され、インダクタ(20)が、送り方向とは逆方向に管(1)に沿って移動され、その一方で、曲げクランプ(31)が管(1)において閉鎖される。フェーズt3において、曲げ加工を開始するために、インダクタ(20)の移動速度がゼロまで低減され、インダクタ(20)が自身の曲げ位置へと移動され、それと同時に管(1)の送りが開始される。フェーズt4において、管(1)のプロセス送り速度を一定にして管曲げ部(4)が製造される。フェーズt5において、管(1)の送り速度が低減され、インダクタ(20)が送り方向とは逆方向に加速され、曲げクランプ(31)が開放される。フェーズt6において、インダクタを逆方向にさらに送ることによって終端タンジェント(5)が加熱される。

Description

本発明は、請求項1の上位概念に記載の特徴を有する、特に発電所管及びパイプライン管における厚い壁厚と大きい直径とを有する耐圧性の管を誘導曲げ変形させる方法に関する。
圧力下にある液体媒体又は気体媒体を通流させるために、負荷に耐久する厚い壁厚を有する鋼製の管が必要とされる。このような要求は、例えば、管路を構造的な状況に適合させるために管の曲げ加工が必要となる発電所での高温蒸気の輸送、又は、熱に起因する長さ変化を補償するために補償器、いわゆる伸縮継手が規則的な間隔をおいて使用されている長距離にわたるパイプラインでの原油の輸送に当てはまる。大きいスループットを可能にするためには、大きい開口断面積と、ひいては大きい管外径とが必要となる。本方法が関連する管は、一般的に300mmを越える定格直径を有しており、直径対壁厚の比は10:1〜100:1、典型的には20:1〜70:1である。
誘導曲げ変形させるためのこのような方法は、久しい以前から例えば独国特許出願公開第2513561号明細書から公知であり、巨大な寸法にもかかわらず寸法的に非常に安定した管曲げ部を製造することが可能となるように、持続的に改善がなされている。このような大型の管の変形は、狭幅のリングゾーンを、850℃を上回る変形温度へと誘導加熱することによってのみ成功する。このとき熱作用ゾーンでは、材料内における構造変化が生じる。なお、材料は、微細粒鋼であることが多い。熱変形後の構造を均質にするため、ひいては鋼の機械的な特性を改善するために、多くの場合、管曲げ部が事後的に約600℃の温度で熱処理される。管曲げ部の前と後に続いている、タンジェントとも呼ばれる直線の管部分も、この事後的な熱処理による影響を受ける。しかしながらこの直線の管部分は、変形プロセスの経過中に前もって高温に加熱されておらず、従ってその構造が変化していないままであるので、この事後的な熱処理は、この部分に対して悪影響を及ぼす。つまり、この直線の管部分が脆くなってしまうのである。従って、この部分を切り離さなければならず、誘導曲げ変形によって製造された管曲げ部を、新しいタンジェントに溶接接合しなければならない。
特にこのことは、独国特許出願公開第102010020360号明細書に記載された装置によって実現されるように同じ1つの管部分において複数回の管の曲げ加工が種々異なる方向においても順次に実施される場合には、作業コストが高くなるので不利である。上記の装置によって達成される、3次元の管構造をただ1回の作業で製造することによる管路建設の簡略化及び促進は、直線のタンジェント部分を置き換えなければならない場合には台無しになってしまう。なぜなら、所定の強度値を達成するために管構造の熱処理が必要となるからである。これを回避するためには、タンジェントにおける熱処理後に構造全体に対する機械的な所要最低強度値を確保するために、比較的高い硬度の鋼からなる管及び/又は比較的厚い壁厚を有する管を使用することしかできない。しかしながらこのアプローチも、材料費が著しく高くなるので不利である。
従って、本発明の課題は、管曲げ部に続いているタンジェントにおける材料の強度値に対する、変形プロセスによる悪影響が回避されるように、冒頭に述べた形式の方法を改善することにある。
解決するために本発明は、請求項1に記載の特徴を有する方法を提供する。
本発明に係る解決方法は、曲げ部の前と後におけるタンジェントに、曲げ部の管部分が変形中に受けなければならない熱処理と正確に同じ熱処理を施すこと、すなわちタンジェントを、曲げたい管部分のときと同じ通過速度で誘導装置を通るようにガイドすること、そしてこの場合にさらに誘導装置において同じ温度を使用し、またこれに後続して同じ冷却パラメータも使用すること、に関する。つまり、タンジェントが通過する際の相違点は、タンジェントの処理中に管が曲げクランプにおいて緊締されていないので、送り時に何ら反力が作用しないということだけにある。
別の支持装置を用いることなくただ管の後方端部だけで挟持することによって、曲げクランプにおける前方端部の緊締とは関係なく操作を行うことが可能となり、さらには、支持装置によって邪魔されることなくインダクタを管壁に沿って後方端部の方向へと移動させることが可能となる。
本発明に係る解決方法は、送りユニットの移動とインダクタの移動とを正確に調整することを企図しており、この調整は、制御ユニットによって実施及び監視される。これらのステップを、以下、図面に基づいてより詳細に説明する。
誘導式管曲げ加工装置の概略図である。 本方法の実施中のそれぞれ異なる段階における誘導式管曲げ加工装置を示す図である。 本方法の実施中のそれぞれ異なる段階における誘導式管曲げ加工装置を示す図である。 本方法の実施中のそれぞれ異なる段階における誘導式管曲げ加工装置を示す図である。 本方法の実施中のそれぞれ異なる段階における誘導式管曲げ加工装置を示す図である。 経路上に移動速度がプロットされたフロー図である。 経路上に移動速度がプロットされたフロー図である。
図1は、誘導式管曲げ加工装置100を示す。誘導式管曲げ加工装置100は、位置固定された機械台10を含み、この機械台10の上に、管1のための保持装置11が配置されている。保持装置11は、管1の後方端部を把持して固定的に緊締する。保持装置11はさらに、送り方向も同時に表している管中心軸線2の方向において、機械台10とは逆方向にスライド可能である。送りは、液圧ユニット12を介して実施される。
誘導装置は、リング形のインダクタ20を含み、インダクタ20の中心は、管中心軸線2の領域に位置決めされている。本発明によれば、インダクタ20を機械台10に対して相対的に移動させることができるようにするために線形変位装置21が設けられている。
曲げアーム30が、鉛直方向の曲げ軸線32に旋回可能に支持されている。所望の曲げ半径を設定するために、管中心軸線2に対して垂直な方向に曲げ軸線32の間隔を調整することができる。曲げアーム30の上には曲げクランプ31が配置されており、この曲げクランプ31によって管1を把持及び挟持することができる。
インダクタ20及び熱作用ゾーンに対して相対的に近傍に、冷却装置40が配置されている。変形ゾーンから対応する長手部分が出てくるとすぐに、冷却装置40によって例えば水を用いて表面温度の冷却が引き起こされる。
本発明に係る方法を実施するために、管1及びインダクタリング20の経路及び速度を記録するためのセンサと、制御ユニット内の制御モジュールとが設けられており、これらの制御モジュールによって、インダクタユニットの経路及び速度と、スイッチオン及びオフとが、本発明に基づいて関連付けられる。
図2a〜2dには、本方法の実施中のそれぞれ異なる段階が図示されている。図3は、図2a〜2dに対応する時点又はフェーズt1〜t6の線図を示し、この線図では、上側のグラフが経路上における管1の送り方向の速度又は長手方向の送りvを示し、下側のグラフが経路上におけるインダクタの移動速度vを示す。正の速度値は、送り方向への移動に対応しており、負の速度値は、逆方向への移動を表している。
図2aに図示された開始時点には、管の前方端部が、軸線方向の開始位置に位置しているインダクタリング20の中に挿入されている。従来技術による誘導曲げ変形とは異なり、また後で変形される管曲げ部において前方タンジェント3を形成することとなる管の前方端部は、まだ曲げクランプ31において固定されていない。
誘導装置20及び冷却装置がスイッチオンされ、第1のフェーズ(図3参照)において管1の軸線方向における送りが一定の管送り速度vで実施される。この管送り速度は、典型的には毎分3mm〜200mmである。これによって管1のタンジェント3は、後続の変形時と正確に同じように、ただし実際には変形は実施されることなく、熱処理される。このフェーズは、図3の時間−速度線図ではt1として記されている。この図からも見て取れるように、インダクタ20の移動速度vは存在しない。すなわち、インダクタ20は静止している。
さてここで、曲げ加工プロセスを開始するためには、曲げをもたらす力を印加することが可能となるように、曲げアーム30の上の曲げクランプ31が管1を把持及び挟持しなければならない。ただし、曲げクランプ31を接近させて挟持力を加えるには、ある程度の時間を必要とする。しかも、接近中には曲げクランプ31と管1との間の相対移動を回避しなければならない。他方ではしかし、曲げクランプ31を有する曲げアーム30を、管1の送りに対して平行に移動させることはできない。なぜなら、曲げアーム30の軸受をこのように長手方向に変位させるための構造的コストは高すぎるからであり、また、そうした場合にはさらに、曲げクランプ31とインダクタリング20の加熱ゾーンとの間隔が変化してしまうからである。
従って、本発明によれば、短いフェーズt2(図3参照)において、管の送りを停止することによって、すなわち管送り速度v=0にすることによって管1と曲げクランプ31との間の相対移動をなくし、それと同時に、インダクタ20を送り方向とは逆方向に移動速度vで、かつ管の送りと同じ大きさの速度vで移動させることによって、インダクタ20に対して相対的な管1の送りを維持することが企図される。機械による管の送りを徐々に線形に制動する必要がある場合には、それと同時に既にインダクタ20の反対方向への移動が開始され、これによって相対速度が常に一定となる。このことは、図3のvとvの2つのグラフの間の間隔が同じままであることにおいて見て取れる。
図2bに示されるように、管1の静止状態と共に、曲げクランプ31を接近させることができる。その間にインダクタ20は、一定の移動速度vで逆方向への移動を継続する。曲げクランプ31が管1を挟持するとすぐに、フェーズt3においてインダクタ速度vがゼロに戻され、それと同時に、管1の管送り速度vが線形に増加する。速度差Δv=v−vは、常に同じであり、従って、管1におけるそれぞれの差動の長手部分の、インダクタ20を通る通過速度は同じであり、従って、インダクタによる管の周壁への熱入力は常に同一である。フェーズt3の間にインダクタ20は、曲げ加工プロセスのための作業位置に相当する開始位置に戻る。
さてここで、管曲げ部を製造しようとした場合には、フェーズt3の終了時に存在している曲げ加工の開始位置を、管1の長手軸線2上に任意に設けることができる。ただし、曲げ加工を開始する際には、曲げ加工を開始するための軸線方向の所定の管位置に到達するために、上述したt1,t2,及びt3のプロセスを正確に計算されたフローで開始しなければならない。
図2cに図示されているようにフェーズt4の間には、管曲げ部4を製造するための公知の誘導曲げ変形が、一定の管送り速度vで、かつインダクタ20が静止した状態で実施される。
管曲げ部4の製造が完了した後、管1の後方タンジェント5にも管1の残りの長手部分と同じ熱処理を施すために、管1及びインダクタ20の移動が上述した開始プロセスとは逆方向で実施される。
曲げ部が予定の長さに到達する直前に、フェーズt5において速度vでの管の送りが徐々に制動され、それと同時にインダクタ20の逆方向への移動が開始され、しかもより詳細には、管1とインダクタ20との間の相対移動が一定に維持されるような移動速度vで開始される。これによって、移動する熱作用ゾーンにおける管1のそれぞれの長手部分の滞在時間も一定に維持される。管1が静止状態になると、曲げクランプ31を開放することができる。これによって管1は、曲げアーム30によって完全に邪魔されなくなる。
管1において短い端部側のタンジェント5だけを処理するためには、フェーズt6において単純にインダクタ20を、一定の移動速度vで、機械台10に面した自身の終端位置へと移動させることができる(図2d参照)。その後、インダクタ20はここで停止され、誘導装置がスイッチオフされる。熱処理されていない管1の残りの部分には目印が付けられ、遅くとも、このようにして製造された管曲げ部4が端部側のタンジェント部分3,5と共に熱処理された後には、直接的に切り離される。
比較的長いタンジェント5を形成するため、特にさらに別の管曲げ部に直接的に続いているタンジェント5を形成するためには、図4の別のフロー図から見て取れるように本方法を継続することが可能である。このためにフェーズt7では、フェーズt3と同様に、管1の長手方向の送りが徐々に開始され、インダクタ20が自身の開始位置に戻される。さてここで、フェーズt8では、一定の管送り速度vにおいて、熱処理された充分に長いタンジェント5を形成するために必要となる期間だけ、タンジェント5の熱処理を継続することができる。曲げクランプ31は、このフェーズには関与していない。従って、フェーズt8はフェーズt1に相当する。

Claims (5)

  1. 特に発電所管及びパイプライン管における厚い壁厚と大きい直径とを有する耐圧性の管(1)を誘導曲げ変形させる方法であって、
    未処理の前記管(1)を機械台(10)の上で支持するステップと、
    前記管(1)を、管送り速度vで、電気的な誘導装置のリング形のインダクタ(20)を通るように送るステップと、
    前記管(1)の側方に配置された鉛直方向の回転軸線(32)を中心にして旋回可能な曲げアーム(30)の上に支持されている曲げクランプ(31)において、前方の管部分(3)を挟持するステップと、
    前記インダクタ(20)の内部に位置する管部分を加熱するために、前記誘導装置に電流を印加するステップと、
    管曲げ部(4)が完成するまで前記管(1)を長手方向に送ることによって前記曲げアーム(30)を変位させるステップと、
    を少なくとも有する方法において、
    前記管(1)の後方端部を、管長手軸線(2)の方向にスライド可能に支持された保持装置(11)において緊締し、
    開始フェーズt1において、前記管(1)の開始タンジェント(3)を、前記曲げクランプ(31)の介入なく前記インダクタ(20)を通るように挿入することによって熱処理し、
    時点t2において、前記開始タンジェント(3)の終了時に前記管の送りを停止し、前記インダクタ(20)を、送り方向とは逆方向に前記管(1)に沿って移動させ、その一方で、前記曲げクランプ(31)を前記管(1)において閉鎖し、
    フェーズt3において、前記管(1)の曲げ加工を開始するために、前記インダクタ(20)の移動速度vをゼロまで低減し、前記インダクタ(20)を自身の曲げ位置へと移動させ、それと同時に前記管(1)の送りを開始して、プロセス管送り速度vに到達させ、
    フェーズt4において、前記管(1)の管送り速度vを一定にして管曲げ部(4)を製造し、
    フェーズt5において、前記管送り速度vを低減し、前記インダクタ(20)を前記送り方向とは逆方向に加速させ、前記曲げクランプ(31)を開放し、
    フェーズt6において、前記インダクタを逆方向にさらに送ることによって終端タンジェント(5)を加熱する、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記インダクタ(20)を、送り方向で見て曲げ位置の上流に位置する開始位置へと移動させる、
    請求項1記載の方法。
  3. 前記インダクタ(20)を、前記フェーズt1の開始前に、送り方向で見て下流の位置から自身の開始位置へと移動させる、
    請求項2記載の方法。
  4. 前記インダクタ(20)を、前記フェーズt1の間、送り方向で見て下流の位置から自身の開始位置へと移動させ、前記管送り速度vを、前記インダクタ(20)の前記移動速度vだけ増加させる、
    請求項2記載の方法。
  5. 前記管送り速度vと、前記インダクタ(20)の前記移動速度vとの間の差である相対速度を、前記フェーズt1からt6において一定にする、
    請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
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