JP2018512398A - ジアミノブタンの調製のためのプロセス - Google Patents

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Abstract

本発明は、i.(c)プロトン性有機溶媒又は双極性非プロトン性有機溶媒、或いはこれらの混合物を含む溶媒に溶解した、(a)オルニチン及び酸の塩、並びに(b)アルデヒド又はケトン、或いはこれらの混合物、の溶液を調製する工程と、ii.溶液を100℃超の温度に加熱し、これによってオルニチンの脱カルボキシル化及びジアミノブタンの形成を誘発する工程と、を含むオルニチンからジアミノブタンを調製するプロセスに関する。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、オルニチンからのジアミノブタンの調製のためのプロセスに関する。
α−アミノ酸の脱カルボキシル化は、アミノ化合物を製造する周知の方法である。例えば、ジアミノブタンは、オルニチンからの酵素的脱カルボキシル化によって調製されることができる。典型的には、こうしたプロセスに適する酵素は、高価であり、プロセスは、非常に希釈された水溶液で行われ、発酵ブロスからジアミノブタンを単離することは、面倒で費用がかかる。別の方法として、酵素は、初めにホストから単離される。このようなプロセスは、例えば、J.C.Richardsらによる、“The stereochemistry of the enzymatic decarboxylation of L−arganine and of L−ornithine”,Can.J.Chem.,60(22),2810−2820に記載されている。この論文は、大腸菌(E.coli)のL−オルニチンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.17)によって触媒される水性媒体におけるオルニチンの脱カルボキシル化によるジアミノブタンを調製するためのプロセスを記載している。このプロセスは、水性媒体において行われ、単離において有機溶媒が使用される。
α−アミノ酸の脱カルボキシル化のためのいくつかの手順が、熱脱カルボキシル化、触媒としての過酸化物による脱カルボキシル化、又はケトン若しくはアルデヒドの存在下での脱カルボキシル化などの文献において記載されている。トリプタミンへのL−又はD,L−トリプトファンの脱カルボキシル化は、溶媒としてジフェニルメタンにおいてトリプトファンを加熱することによって行われることができる(T.Kametaniら、Synthesis(1972),475でなど)。溶媒としてジフェニルメタンにおいて(沸点264℃)トリプトファンを5〜20分間還流した後、乾燥塩酸で処理し、粗トリプタミンを得る。塩酸塩は、収率93%で得ることができる。エタノール/酢酸エチルからの再結晶の後、純粋な塩酸トリプタミン(融点248〜249℃)を、無色の結晶として収率63%で得ることができる。また、α−アミノ酸の脱カルボキシル化は、アルゴン雰囲気下で蒸留によって可能である(欧州特許第1527776号明細書)。このようにして、(2S,3R)−3−ヒドロキシピロリジン−2−カルボン酸の熱脱カルボキシル化により、(R)−3−ヒドロキシ−ピロリジンが、収率72%で得られた。不活性媒体におけるα−アミノ酸の熱脱カルボキシル化は、触媒としての有機過酸化物の存在下で促進される(G.Chatelus,Bulletin de la Societe Chimique de France(1964),10,2523−32、S.Kanao、Yakugaku Zasshi(1947),67,243−244、及びAjinomoto Co、Yakugaku Zasshi(1964),84,1014−16)。例えば、触媒としてテトラリンペルオキシドの存在下でテトラリンにおいて加熱することにより、l−ロイシンを脱カルボキシル化させて、イソペンチルアミンを生成する。使用されるテトラリンの純度に応じて、イソペンチルアミンは、80〜95%の収率で得ることができる。1当量以上のケトン又はアルデヒドとともにα−アミノ酸を加熱すると、アミノ酸に対応するアミンを生成する。
A.F.Al−Sayyabら(J.Chem.Soc.(C)(1968),406−410)は、等モル量の(環置換された)アセトフェノン又はベンゾフェノンの存在下でのα−アミノ酸の脱カルボキシル化/アミノ基転移を記載している。しかしながら、脱カルボキシル化とは別に、アミノ交換が起こり、ケトンの形成をもたらす場合がある。
G.Chatelus(Bulletin de la Societe Chimique de France(1965),4,929−933)は、過剰のケトン又はアルデヒドとの反応によるα−アミノ酸の脱カルボキシル化を記載している。例えば、ロイシンと過剰の(5.56モル当量)のジアミルケトンとの155℃での反応、続いての酸加水分解は、イソペンチルアミンの塩酸塩の形成をもたらす。1当量以上のケトン又はアルデヒドを使用することの欠点は、アミンのシッフ塩基の形成であり、これは、アミンが中和後に単離されなければならない(例えば、抽出によって)アミンの塩の水溶液をもたらす酸性条件下で加水分解されなければならない。
また、S.Wallbaumら、Synthetic Communications,24(10),1381−1387(1994)は、高沸点溶媒における過剰のケトン又はアルデヒドとの反応によるα−アミノ酸の脱カルボキシル化を記載している。α−アミノ酸は、例えば、L−セロニン(2S,3R)−1、L−ヒドロキシプロリン(2S,4R)−2、及び二環式プロリン類似体(1R,3R,5R)−5である。使用される触媒は、2−シクロヘキセン−1−オンであり、溶媒としてはグリコールエーテル、より具体的には、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが用いられ、脱カルボキシル化は170℃で行われる。
特開2014−169230号公報は、160〜300℃で液体状態である環状ケトンの存在下で、160〜300℃での脱カルボキシル化反応による、例えば、リシン又はオルニチンなどの、アミノアルキル基を有するアミノ酸からアルキレンポリアミンを調製する方法を記載している。本明細書においては、すべての例において、リシンが使用された。
場合により、触媒量のケトン又はアルデヒドの存在下で、高沸点溶媒において脱カルボキシル化が熱的に実施される手順(S.Takano et al,Heterocycles(1977),6(8),1167−1171、K.Rossen et al,Synthetic Communications(1993),23(8),1071−74、H.Mitsunori,et al,Chemistry Letters(1986),893−896、S.Wallbaum et al,Synthetic Communications(1994),24(10),1381−7、参照文献8〜11によって記載されるように)、及び、特開2014−169230号公報は、従って、アミンが、例えば、蒸留によって単離されることができる有機溶媒において直接得られることから、商業的規模での製造がより魅力的である。例えば、溶媒としてシクロヘキサノール(沸点160〜161℃)に溶解した触媒量の2−シクロヘキセン−1−オンとリシンとの反応により、1,5−ジアミノペンタンが高収率で生成され、これは蒸留により回収/精製されることができる。従って、オルニチンを出発原料として同様の反応が行われると、1,4−ジアミノブタンが生成することが予想された。
本発明者らはいくつかの選択肢を試験したが、反応が起こらかった、又は、重大な副反応が起こり、所望の1,4−ジアミノブタンの代わりに閉環生成物が生じることを見出した。
従って、本発明の目的は、効果的であり、且つ、多くの副生成物を伴わず良好な収率をもたらす、オルニチンからジアミノブタンを調製するためのプロセスを提供することである。
この目的は、本発明によるプロセスにより達成され、以下の工程を含む:
i.
(c)プロトン性有機溶媒又は双極性非プロトン性有機溶媒、或いはこれらの混合物を含む溶媒に溶解した、
(a)オルニチン及び酸の塩、並びに
(b)アルデヒド又はケトン、或いはこれらの混合物、
の溶液を調製する工程、
ii.溶液を100℃超の温度に加熱し、これによってオルニチンの脱カルボキシル化及びジアミノブタンの形成を誘発する工程。
プロトン性有機溶媒若しくは双極性非プロトン性有機溶媒、若しくはこれらの混合物における、アルデヒド若しくはケトン、又はこれらの混合物との組合せにおけるオルニチンの塩の使用を含む、本発明によるプロセスの効果は、オルニチンのほぼ定量的な脱カルボキシル化が、比較的短時間で行われ、環形成がほとんど何に対しても起こらないことである。これは、オルニチンの塩ではなく、オルニチンから出発するプロセス、又は無極性溶媒で実施されるプロセスと対照的である。オルニチンから出発して、触媒量の2−シクロヘキセン−1−オンを有するシクロヘキサノールにおいて実施されるプロセスは、オルニチンの脱カルボキシル化よりもむしろ主に閉環を生成する。これとは対照的に、ジグライムとしても知られているジエチレングリコールジメチルエーテルなどの無極性溶媒で行われる対応するプロセスでは、反応は生じなかった。
溶媒は、3つの広い部類:プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、及び無極性溶媒が特徴であることができる。
プロトン性溶媒は、典型的には極性である。例えば、水、アルコール、及びカルボン酸などのプロトン性溶媒は、高い極性を有し、水素結合供与体である。例えば、ケトン、スルホン、スルホキシド、及びニトリルなどの極性非プロトン性溶媒は、強い水素結合を形成するために、不安定な水素原子を供与することはできないが、相当な永久双極子モーメントのために中程度の極性を有する。従って、極性非プロトン性溶媒は、双極性非プロトン性溶媒としても知られている。一般的には、こうした(双)極性非プロトン性溶媒は、不安定な水素原子を供与することができる溶媒と水素結合を形成することができる。例えば、脂肪族、脂環式、及び芳香族炭化水素などの無極性溶媒は、無視できるほど非常に低い極性を有し、水素結合供与体ではなく、一般的には、不安定な水素原子を供与することができる溶媒と水素結合を形成しない。典型的には、これらの溶媒は、水と混和性でない。これらの例は、ジグライム、ヘキサン、ベンゼン、ジエチルエーテルである。
本発明の文脈内において、溶媒は、その中で別の物質を溶解することができる物質であると理解される。典型的には、溶媒として使用される物質は、その他の物質が溶解されなければならない温度で液体である。適切には、溶媒として使用される物質は、室温及び大気圧(即ち、約0.1MPa)で液体である。
有機溶媒は、本明細書においては、化学構造において少なくとも1つの炭素原子を含む化学構造を有する液体物質であると理解される。
本発明の文脈内において、プロトン性有機溶媒は、ヒドロキシル基におけるように、酸素原子に結合した水素原子、又は、アミノ基におけるように、窒素原子に結合した水素原子を有する有機溶媒であると理解される。
本発明の文脈内において、双極性非プロトン性有機溶媒は、酸素又は窒素原子に結合した水素原子を含まない有機溶媒であると理解され、この溶媒は、オルニチン塩、アルデヒド、及び/又はケトン、並びに有機溶媒を含む溶液において、オルニチン塩の反応を誘発するのに十分高い誘電率を有する。
適切には、双極性非プロトン性有機溶媒は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15の誘電率を有する。本明細書においては、誘電率は、ASTM D924−08による方法によって決定され、20℃及び55Hzで測定された比誘電率であると理解される。本明細書においては、比誘電率は、真空における実際の誘電率で割った物質の測定された実際の誘電率から計算される。
本発明によるプロセスにおいては、使用されるプロトン性有機溶媒又は双極性非プロトン性有機溶媒は、好ましくは少なくとも100℃の沸点を有する。より好ましくは、溶媒は、少なくとも125℃、更により好ましくは少なくとも140℃、更には少なくとも150℃、更により良くは少なくとも175℃の沸点を有する。本明細書においては、言及される沸点は、0.1MPa(大気圧)で測定される。
所望の反応温度未満の大気圧での沸騰温度を有するプロトン性有機溶媒及び双極性非プロトン性有機溶媒を、圧力反応器を使用することにより前記沸点を超える反応温度と組み合わせて使用し、反応がより高圧で起こることを可能にし、これによって溶媒が沸騰し始める温度を上昇させる。例えば、140℃未満の沸騰温度を有する溶媒を、こうした圧力反応器を用いて140℃を超える反応温度と組み合わせて使用することができる。また、250℃より高い高温を使用することができる。ここでもまた、ほとんどの溶媒は低い沸騰温度を有することから、多くの場合に、圧力反応器を使用する必要がある。また、圧力反応器は、溶媒が沸騰し始める温度を上昇させるために、140〜250℃の範囲の沸騰温度を有する溶媒と組み合わせて使用することができ、これにより反応を加速するより高い温度を可能にする。
ともに高沸点を有するDMSO又はベンジルアルコールなどの溶媒では、圧力反応器を使用する必要なしに、脱カルボキシル化を完了するために短い反応時間を得ることが可能である。
適切な双極性非プロトン性有機溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、又はジメチルアセトアミドである。適切なプロトン性有機溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、及びジオール及びトリオールなどのC1〜C12アルコールである。これらの例としては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert.ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、及びグリセリンが挙げられる。その他の適切なプロトン性溶媒としては、酸、アミン、及びアミノアルコールが挙げられる。これらの例としては、酢酸、及び2−アミノエタノールが挙げられる。好ましくは、プロトン性溶媒はアルコールである。
また、プロトン性有機溶媒及び双極性非プロトン性有機溶媒は、混和性であるならば、様々なプロトン性有機溶媒及び/又は様々な双極性非プロトン性溶媒の混合物として使用されることができる。
好ましくは、溶媒混合物は、少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも150℃、更により良くは少なくとも175℃の沸点を有する。
最も好ましくは、プロトン性若しくは双極性非プロトン性有機溶媒は、DMSO、ベンジルアルコール、又はシクロヘキサノール、又はこれらの混合物である。
本発明によるプロセスにおける脱カルボキシル化工程は、高温で行われる。実際には、オルニチンの完全な脱カルボキシル化を得るのに十分に長い時間、溶液をこの高温に保つ。
適切には、この高温は、140〜250℃の範囲、好ましくは160〜220℃の範囲、最も好ましくは180〜210℃の範囲にある。140℃未満の高温が使用されることができるが、反応時間がより長くなることから、これはあまり実用的ではない。一般的には、より高い反応温度は、より短い反応時間をもたらす。
CRC Handbook of Chemistry and Physics,CRC press,74thedition,1993−1994においてDavid R.Lideによって、並びに、Dean’s Handbook of Organic Chemistry,2nd Edition,McGraw−Hill,2004においてGeorge W Gokelによって報告されるように、様々な沸騰温度及び20〜25℃での誘電率(比誘電率)を有する溶媒の概要を表1に示す。
Figure 2018512398
Figure 2018512398
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工程(i)の塩溶液は、オルニチンと酸の塩を溶媒に溶解することにより調製することができる。これは、最初に塩が調製されることを必要とする。本発明によるプロセスの好ましい実施形態においては、工程(i)の塩溶液は、オルニチン及び酸を溶媒に溶解することによってその場で調製される。
塩における酸については、原則として、オルニチンと塩を形成することができる任意の酸を使用することができる。好ましくは、本発明によるプロセスにおいてオルニチンの塩に使用される酸は、臭化水素、塩化水素、硫酸水素、リン酸水素、及び硝酸水素からなる群から選択される強酸である。より好ましくは、使用される酸は、塩化水素であり、且つ、塩は、オルニチン及び塩化水素の塩である。
本発明によるプロセスにおいて使用される酸は、工程(ii)の後に形成された反応混合物から、1,4−ジアミノブタンよりも強いアミンの使用によって、適切に除去されることができる。より強いジアミンは、例えば、第3級アミンであることができる。適切な例は、トリエチルアミンである。より強いアミンは、脱カルボキシル化の完了後に加えられなければならない。脱カルボキシル化工程の前又は間に溶液に3級アミンを加えると、また、脱カルボキシル化以外に、閉環反応が起こり、6−アミノピペリジン−2−オンなどの副生成物をもたらす。
アルデヒド又はケトンについては、反応条件下でDABに対して不活性であるアルデヒド又はケトンを使用することが適切である。適切なアルデヒドの例は、p−メトキシベンズアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、ピリジン−2−カルボキシアルデヒド、ピリジン−3−カルボキシアルデヒドである。適切なケトンの例は、2−シクロヘキセン−1−オン、アセトン、2−ブタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、アセチルアセトン、3−ペンタノン、アセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、o−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイン、α−テトラロン、及びシクロヘキサノンである。
本発明によるプロセスにおいては、アルデヒド及びケトンは、脱カルボキシル化のための触媒として作用する。これらの成分は、オルニチンの脱カルボキシル化及びジアミノブタンの形成に悪影響を及ぼすことなく、オルニチン塩に対して等モル若しくはほぼ等モル量で、若しくは更に過剰で存在することができるが、アルデヒド若しくはケトン、又はこれらの組合せは、触媒量で存在するに過ぎないことが必要である。適切には、その量は1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%、更により好ましくは5〜20モル%の範囲である。ここでモル%はオルニチン塩のモル量に対するものである。
また、溶液におけるオルニチン塩の濃度、及びこれに対応してアルデヒド又はケトンの濃度は、広く変動することができる。適切には、オルニチン塩の濃度は、例えば、5〜20重量%などの、2〜50重量%の範囲にあり、約10重量%の濃度は、良好な結果を与えることが示された。濃度は、脱カルボキシル化反応に重要でないと考えられ、より低い濃度又はより高い濃度のいずれかを使用することができる。本明細書においては、重量パーセント(重量%)は、溶液の総重量に対するものである。
プロセスのために使用される溶媒は、極性溶媒を含む。本明細書においては、極性溶媒は、プロトン性有機溶剤若しくは双極性非プロトン性有機溶媒、又はこれらの混合物である。極性溶媒に次いで、溶媒は、極性溶媒の量が、オルニチン塩溶液におけるオルニチンの脱カルボキシル化反応を誘発するのに十分な量で存在するという条件で、無極性溶媒を含むことができる。
反応の完了後、ジアミノブタンは、通常のプロセス操作の後に反応混合物から単離されることができる。例えば、初めに、酸は、3級アミンを用いて反応混合物から適切に除去され、これにより、溶液における液体成分から濾過される塩を形成する。ジアミノブタンは、その他の成分、即ち溶媒及びアルデヒド及び/又はケトンから、例えば、蒸留によって単離されることができる。適切には、極性溶媒、即ちプロトン性有機溶媒、若しくは双極性非プロトン性有機溶媒、又はこれらの混合物は、溶媒の総重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%の量で存在する。更により好ましくは、この量は、少なくとも90重量%である。適切には、この量は、溶媒の総重量に対して100重量%である。
本発明を以下の実施例及び比較実験で更に説明する。
[実験]
オルニチンと塩化水素の塩の一定量を、還流冷却器を備えた小さな反応容器に秤量して入れ、溶媒の分量及び少量のアルデヒド又はケトンを加えた。得られた溶液を大気圧下で加熱し、溶媒の還流下に維持した。オルニチンの脱カルボキシル化の変換の後に、薄層クロマトグラフィーを行った。ジアミノブタンの形成及び閉環反応による副生成物の有無を、薄層クロマトグラフィー及び基準試料によって確認した。
実験に使用した溶媒、及びいくつかの溶媒の特性を、以下の表3及び表4に示す。種々の実験におけるこれらの成分及び量、並びに反応条件及び得られた結果を表5にまとめた。
Figure 2018512398
Figure 2018512398
結果は、十分な極性を有する溶媒の使用により、ジグライムなどの比較的無極性の溶媒とは対照的に、良好な変換が得られることを示している。また、トリエタノールアミンの添加は、所望の反応を触媒する役目を果たさない。
Figure 2018512398

Claims (15)

  1. i.
    (c)プロトン性有機溶媒又は双極性非プロトン性有機溶媒、或いはこれらの混合物を含む溶媒に溶解した、
    (a)オルニチン及び酸の塩、並びに
    (b)アルデヒド又はケトン、或いはこれらの混合物、
    の溶液を調製する工程と、
    ii.前記溶液を100℃超の温度に加熱し、これによって前記オルニチンの脱カルボキシル化及びジアミノブタンの形成を誘発する工程と、を含むオルニチンからジアミノブタンを調製するプロセス。
  2. オルニチンの前記塩は、オルニチンと、臭化水素、塩化水素、硫酸水素、リン酸水素、及び硝酸水素からなる群から選択される酸との塩である、請求項1に記載のプロセス。
  3. 工程(i)において、前記塩溶液は、オルニチン及び酸を前記溶媒に溶解することによって調製される、請求項2に記載のプロセス。
  4. 前記溶媒は、前記プロトン性有機溶媒、又は前記双極性非プロトン性有機溶媒、或いはこれらの混合物を、前記溶媒の総重量に対して、少なくとも50重量%の量で含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. 前記溶媒は、0.1MPaで測定された、少なくとも150℃の沸点を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 工程(ii)において、前記溶液は、140〜250℃、好ましくは160〜220℃、最も好ましくは180〜210℃の範囲にある温度まで加熱される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 前記双極性非プロトン性有機溶媒は、20℃で、ASTM D924による方法によって測定される、少なくとも10、好ましくは少なくとも15の誘電率を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、及びジメチルアセトアミド、並びにこれらの混合物からなる群から選択される双極性非プロトン性有機溶媒を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
  9. 前記溶媒は、アルコールからなる群から選択されるプロトン性有機溶媒を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
  10. 前記プロトン性溶媒はアルコールである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
  11. 前記プロトン性又は双極性非プロトン性有機溶媒は、DMSO、ベンジルアルコール、又はシクロヘキサノール、或いはこれらの任意の混合物を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
  12. 前記アルデヒドは、p−メトキシベンズアルデヒドである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
  13. 前記ケトンは2−シクロヘキセノンである、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 前記アルデヒド又はケトン、或いはこれらの組合せ(b)は、前記オルニチン塩のモル量に対して、0.01〜0.50モル%の範囲の量で前記溶液に存在する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
  15. オルニチン及び酸の前記塩(a)は、前記溶液の総重量に対して、2〜50重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプロセス。
JP2017547388A 2015-03-17 2016-03-15 ジアミノブタンの調製のためのプロセス Active JP6801930B2 (ja)

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