図1を参照すると、レーザ衝撃ピーニングにおける使用のための例示的な装置100が示されている。装置100は、ターゲット部分101に対してレーザ衝撃ピーニング(LSP)を実施するために、レーザビームを生成し、ターゲット部分101に出力するよう、動作する。
装置100は、DPSSL発振器102、変調器104、および増幅器106を含み得る。DPSSL発振器102はパルスレーザビーム108を生成し、パルスレーザビーム108を変調器104へと出力するよう構成され、変調器104は、パルスレーザビーム108を変換し、変換済みビーム110を増幅器106へと出力し得る。装置100は、光学フィルタ112、光アイソレータ114、および波長板116も含み得る。光学フィルタ112は、変調器104からのビーム110をさらに変換し、変換済みビーム118を増幅器106に向かって出力する。
装置100は光アイソレータ120、ビーム供給装置122、およびレーザピーニングセル124も含み得る。光アイソレータ120は、変換および増幅済みビーム126を増幅器106からビーム供給装置122へと通過させ、ビーム供給装置122は、変換および増幅済みビーム126を、ターゲット部分101を含むレーザピーニングセル124へと供給してもよく、または、変換および増幅済みビーム126を直接的にターゲット部分101へと供給してもよい。
図2を参照すると、DPSSL発振器102の概略図が示されている。DPSSL発振器102は、光キャビティ228と、光キャビティ228内の利得媒質230と、光およびエネルギー233を用いて利得媒質230を励起してパルスレーザビーム108を生成するためのレーザダイオードアレイ232と、を含み得る。発振器102は、パルスレーザビーム108の安定化を支援するためにシードレーザビーム236をキャビティ228へと出力するよう構成されたインジェクションシーダ234と、虹彩/絞りアパーチャ238と、をさらに含み得る。
利得媒質230は、2mm直径(Nd:YLF)レーザロッドであり、1つまたは複数のレーザダイオード(すなわちダイオードアレイ)232により光励起され得る固体利得媒質であり得る。利得媒質230は、単結晶またはガラス物質であり得、3価の希土類イオンまたは遷移金属イオンがドープされ得る。一実施形態では、発振器102において使用されるレーザロッド230はネオジム(Nd3+)がドープされ得る。利得媒質230は、別名「YAG」としても知られる合成イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶(Y3Al5O12)にネオジムがドープされた結晶(Nd:YAG)であり得る。他の実施形態では、利得媒質230は合成イットリウム・リチウム・フッ化物(YLiF4)結晶すなわち「YLF」にネオジムがドープされた結晶(Nd:YLF)である。(Nd:YLF)レーザロッド230により生成されたレーザビーム108は1053nmの波長を有し得る。YLF結晶は、より良好なビーム品質を有するレーザビームを生成し、より長い寿命を有し、より長いビームパルス幅の抽出を可能にし得る。その結果として、装置100の設計をより小さいものとすることが可能となり得る。YAGおよびYLF結晶の両方はチョクラルスキー法などの既知の処理を使用して成長させることが可能である。利得およびエネルギー格納などの利得部媒質の要素を変化させるために、結晶を様々な幾何学的形状および構成へと成長させ得る。
レーザダイオードアレイ232は、利得媒質230による増幅のために、光エネルギー233を用いて利得媒質230を励起し得る。一実施形態では、レーザダイオードアレイ232は、10mJのレーザ出力108を生成するために利得媒質230を励起させる9個のダイオードバーのアレイを含む。例えばレーザダイオードアレイ232は、約6000WのQCW(準持続波)パワー出力を有し、約57%の電気−光効率で、約15Aの電流で動作し得る。例えばダイオードアレイ232は約60Vの作動電圧を有し得る。一実施形態では、ダイオードアレイ232は約805.5±2nmの波長の電磁放射を放出しる。他の実施形態ではダイオードアレイ232は約750nm〜約900nmの範囲の波長の電磁放射を放出する。ユニバーサルコントローラ(UCC)242が、レーザダイオード232による利得媒質230の励起を制御するために使用され得る。特にUCC242は、ビーム108が利得媒質230を通過するときにのみレーザダイオード232が利得媒質230を励起するよう、レーザダイオード232のタイミングを制御し得る。それによりビーム108の利得および増幅が最適化されることとなる。
発振器102は、パルスレーザビーム108を生成するよう構成された変調器240(すなわちQスイッチ)をさらに含み得る。一実施形態では、Qスイッチ240はナノ秒範囲のパルス幅を有するレーザビーム108を生成するために使用される。装置100に対するUCC242は、レーザビーム108の発生と発生の周波数とを制御するためのトリガ信号243をQスイッチ240に供給し得る。一実施形態では、約20Hzの繰り返し率がLSP適用のパルス生成のために使用される。他の実施形態では、約25Hz〜約30Hzの範囲の繰り返し率がパルス生成のために使用される。他の実施形態では、約50Hz以上の繰り返し率がパルス生成のために使用される。繰り返し率は可変であり、20Hzの基本的な繰り返し率より低い繰り返し率が使用され得るよう、ユーザにより選択され得る。例えば、20Hz、19Hz、18Hz、17Hz、16Hz、15Hz、14Hz、13Hz、12Hz、11Hz、10Hz、9Hz、8Hz、7Hz、6Hz、5Hz、4Hz、3Hz、2Hz、および1Hzの繰り返し率が考えられる。本明細書で記載の発振器102上のQスイッチされた光キャビティ228に対して、例えば20Hz、10Hz、6.67Hz、5Hz、4Hz、3.33Hz、2.857Hz、2.5Hz、2.22Hz、2Hz、および1Hzの繰り返し率が考えられる。これらの例示的な周波数は、20Hzの周波数が達成されるよう各パルスを選択することにより、10Hzの周波数が達成されるよう各第2パルスを選択することにより、6.67Hzの周波数が達成されるよう各第3パルスを選択することにより、その他、別様にパルスを選択することにより、形成される。
図2で図示されているように光キャビティ228は、第1ミラー244および第2ミラー246をさらに含み得る。ミラー244および246は、光キャビティ228内で利得媒質230により放出されたコヒーレント光を反射し、それにより、ビーム108が発振器102から出力されたとき、ビーム108が増幅される。圧電性変換器248が第2ミラー246に取り付けられている。
インジェクションシーダ234は、ビーム108の安定化を支援するためにシードレーザビーム236を光キャビティ228に出力するよう構成され得る。インジェクションシーダ234は単一縦モード(SLM)ファイバレーザであり、シードレーザビーム236を光キャビティ228へと放出して光キャビティ228内で単一縦モードのビーム108を生成する。
インジェクションシーダ234はシーダ制御器252を含み得る。シーダ制御器252は、シーダリセット機能を制御するために装置100のUCC制御器242とインターフェース接続し得る。シーダ制御器252は、PZT248の位置を制御しそれにより第2ミラー246の位置を制御するためにも、使用され得る。フィードバックライン254はPZT248をシーダ制御器252に接続する。出力ライン256はシーダ制御器252をPZT248に接続する。
使用時、シーダリセット信号およびPZT制御信号が、PZT248の位置を制御するためにシーダ制御器252から出力ライン256を介して送られ得る。PZT248は、PZT248の位置に基づいてフィードバックライン254に電圧を出力する。その電圧は、PZT248の現在位置および第2ミラー246の現在位置に対応する。シーダ制御器252は第2ミラー246の位置を調整し、それにより、光キャビティ228内におけるビーム108の位相シフトが制御され、且つ、単一縦モード(SLM)に対するビーム108の所望の位相が維持され得る。換言するとシーダ制御器252はPZT248および第2ミラー246の位置を制御し、それによりビーム108がSLMに維持される。
PZT248はスタート位置を有する。PZT248のスタート位置は、装置100のスタートアップの際に、且つシーダリセット信号がシーダ制御器252からPZT248に送られた後に、発生する。発振器102がビーム108を生成および出力すると、PZTは継続的に調整し、後続のビーム108をSLMに維持するために、そのスタート位置から離れた新しい位置に移動する。シーダ制御器252は、SLMビーム108を生成し得るPZT248の位置に対応する基準電圧を格納し得る。基準電圧は、スタート位置に対するPZT248の現在位置に対応するPZT248からの電圧と比較される。比較されたこれらの電圧値間の差異が事前決定された範囲から逸脱した場合、シーダ制御器252は、PZT248および第2ミラー246の位置を調整するためのPZT制御信号を、出力ライン256を介して送信し得る。PZT248が移動限界に到達する場合もある。PZT248が移動限界に到達した後は、PZT248は、第2ミラー246の位置を調整するために移動することはもはやないであろう。その時点で、シーダ制御器252は「シーダリセット」を実施してPZT248をスタート位置に復帰させる。シーダ制御器252はリセット信号を、出力ライン256を介してPZT248に送信し、PZT248は、シーダリセット信号を受信すると、その現在位置からスタート位置まで移動する。
シーダ制御器252は、PZT248のリセットがいつ実施されるかを制御するためにも使用され得る。シーダに関する1つの問題は、PZT248のリセットが自動的に実施され得、フルシステムレージングの間に実施され得ることである。シーダの手動制御は、修正され、シーダリセットに対する必要性を予測するためにシーダ制御器252およびUCC制御器242に統合され得、シーダリセットを実施するに適切な時点でシーダリセットを実施する。
図3を参照すると、DPSSL発振器からの通常出力としてのレーザビーム108の時間プロファイルを示す例示的なグラフ300が図示されている。ビーム108は、ビーム108に対する実質的な効果がまったくない状態で、シーダリセット動作間において発振器102から出力され得る。
図4を参照すると、シーダリセット動作の間に発振器102から出力されるレーザビーム108の時間プロファイルを示す例示的なグラフ400が図示されている。グラフ400では、シーダリセット動作により生じた、発振器102から出力されたビーム108のモードビーティングが示されている。
図5を参照すると、シーダ制御器252により提供される例示的なシーダリセット方法500を示すフローチャートが提供されている。(501)では、図1で示されるレーザ衝撃ピーニングにおいて使用するための装置100は、レーザ衝撃ピーニングのためのレーザビームを出力する準備が整ったウォームアップ状態またはアイドル状態にある。(501)の間、図2で示されるPZT248は、発振器102内におけるビーム108の位相を調整するために、第2ミラー246を移動させるであろう。(501)では、ビーム108は図1で示すように発振器102から出力されるであろう。しかしビーム126は装置100から出力され得ない。
(503)では、ユーザが、またはユーザのプログラムされたコマンドが、装置100(図1)からビーム126を出力するよう、UCC制御器242(図2)に対して命令し得る。(505)では、ビーム126が装置100から出力される場合、ビーム126が事前決定されたパラメータ(例えばエネルギー、時間プロファイル、空間プロファイル、直径、その他)にしたがって装置100から出力され得るよう、装置100に対する処理設定がロードされる。
第2ミラー246(図2)におけるビーム108の位相に基づいて、シーダ制御器252は(507)においてフィードバックライン250を使用してPZT248の電圧を判定し、その電圧と基準電圧とを比較して、光キャビティ228内におけるPZT248の位置を判定し得る。上述のようにPZT248はスタート位置(すなわち装置100のスタートアップ時におけるPZT248の初期位置)を有する。第2ミラー246を調整して発振器102内におけるビーム108の位相を調整するために、PZT248が移動し続けるにつれて、PZT248は、もはや移動が不可能となる位置へとしだいに移動し、PZT248をスタート位置に復帰させるにあたってはリセットが必要となるであろう。
(507)においてフィードバック電圧が基準限界よりも低い場合、(509)において手動シーダリセットが起動され得る。手動シーダリセットの間、装置100から出力されるビーム126は中断される。(509)における手動シーダリセットは、PZT248をスタート位置へと調整する。(511)では、PZT248がそのスタート位置に復帰するのを待機するために、1秒の遅延が用いられる。
PZT248がスタート位置に復帰することを可能にするための(511)における1秒の遅延の後、シーダは自動モードに復帰する。なお自動モードでは、PZT248が第2ミラー246を調整するために移動すると、発振器102内におけるビーム108の位相が調整され得る。ビーム108に対する所望の位相が生成される位置へとPZT248が第2ミラー246を調整することを可能にする自動モードに切り替わった後、5秒の遅延が用いられる。一実施形態では、自動モード遅延は5秒未満であり得る。
(509)から(515)までは、装置100(図1)からのビーム126の出力は中断され、UCC制御器242(図2)は、ビーム126が出力されないよう、装置100内の構成要素を調整し得る。例えばUCC制御器242は、ビーム108が装置100の他の構成要素に出力されないようスライサー104(図1)の切り替えを制御し、それにより、装置100からビーム126が出力されることが防止され得る。UCC制御器242は、スライサー104から漏出するレーザエネルギーがビーム126として装置100から出力されないよう、増幅器106(図1)のタイミングも調整し得る。
(515)における遅延の後、装置100からビーム126を出力する処理は(517)において再開する。PZT248の電圧が(507)においてフィードバック基準電圧250に基づいて限界を越える場合、装置100からビーム126を出力する処理は(517)において継続される。
(517)におけるビーム126(図1)の処理および出力の後、UCC制御器242は(519)において装置100をシャットダウンするかどうかを問い合わせる。装置100がシャットダウンされるべきであるとUCC制御器242が(519)において判定した場合、装置100はシャットダウンされて動作は(521)で終了する。装置100がシャットダウンすべきでないとUCC制御器242が(519)において判定した場合、方法500は(501)に戻る。(503)において装置100がビーム126を出力しないとUCC242が判定した場合、UCC242は、上述のように、(519)において装置100がシャットダウンされるべきかどうかを問い合わされる。
シーダリセット方法500は、フラッシュランプ励起発振器を有するレーザシステム/装置上のシーダをリセットするよう適応され得る。
図2で図示されているように、発振器102は虹彩/絞りアパーチャ238をさらに含み得る。虹彩238は、レーザビーム108が発振器102から出力される前にレーザビーム108を通過させるためのアパーチャ開口部を含み得る。虹彩238上のアパーチャのサイズは、発振器102から出力されるビーム108の量を加減し得る。虹彩238を通してビーム108を通過させることは、TEM00単一横モードのビームを生成するために使用される。
本明細書で使用される「単一横モード」(STM)とは、レーザビーム108の品質が回折限界であり、ビーム108が非常に小さいスポットに集光され得るよう、発振器102が単一横共振器モード(一般にガウスモード)で動作することを意味する。ここで、横共振器モードは横電磁モード(TEM)モードであり、ビーム伝搬方向において磁界も電界も存在しない。「単一縦モード」(SLM)は、単一周波数および単一波長の縦ビームを意味する。レーザシステムにおける主要なノイズの供給源は、励起源232の変動、光キャビティ228の長さにおける変化、または光キャビティ228のアライメントであり得る。発振器102から出力されるビーム108をSTMおよびSLMに限定することは、ビーム108におけるノイズを排除し得る。したがって発振器102は、STMおよびSLMの両方においてパルスレーザビーム108を出力するよう動作し得る。
ビーム一様性はビームプロファイル測定であり、ビーム108の中央の90%以上における、その平均からのエネルギー密度の正規化されたRMS(二乗平均平方根)偏差を表す。中央の90%に含まれないデータは、RMS計算に含まれない。一実施形態では、発振器102から出力されるパルスレーザビーム108に対するビーム一様性は約0.2より低い。
ビーム品質はM2値により与えられ、ビーム品質因子と呼ばれる。M2値は、実際のビーム108と理想的ビームとの間の変動の程度を定量化するために使用される。単一横モードのTEM00ガウス型レーザビームに対して、M2は正確に1.0である。一実施形態では、発振器102はM2値が約1.2以下であるビーム108を出力する。他の実施形態では、発振器102はM2値が約1.3より小さいビーム108を出力する。他の実施形態では、発振器102はM2値が約1.5より小さいビーム108を出力する。SLMビーム108は約1pmのスペクトル幅を有し得る。「実質的」という修飾語が本明細書では様々な場合で使用される。明示的であったとしても、または明示的でなかったとしても、M2の説明については「単一横モード」および「単一縦モード」という用語は「実質的な単一横モード」および「実質的な単一縦モード」と解釈されるべきである。理想からの係る逸脱は、当業者には容易に理解されるであろう。
STMおよびSLMにおける出力ビームに加えて、発振器102から出力されるパルスレーザビーム108は、約10mJ〜約20mJの第1エネルギーを、直径が約4mmまでの第1ビーム直径を、第1時間プロファイル(例えばガウス形状)を、および第1空間プロファイル(例えばガウス形状)を、有し得る。
図1を参照すると、変調器104は発振器102からパルスレーザビーム108を受容し得る。変調器104はパルススライサーであって、このパルススライサーは、パルスレーザビーム108の前縁部および後縁部の一方または両方を鋭利化して、パルスレーザビーム108の時間プロファイルを変換し、第2エネルギー、第1直径、第2時間プロファイル、および第1空間プロファイルを有する変換済みビーム110を出力するために使用され得る。
一実施形態では、パルススライサー104はレーザビーム108の時間プロファイルを変更するために使用されるSBSセルである。他の実施形態では、パルススライサー104はレーザビーム108の時間プロファイルを変更するために使用されるポッケルスセルである。
変調器104は、パルスレーザビーム108が通過するホウ酸バリウム(BBO)またはリン酸二重水素化カリウム(KD*P)などの結晶体を含み得る。一実施形態では、パルススライサー104は、ビーム108のより高速なパルススライシングを提供するために、BBO物質を含む。一実施形態では、パルススライサー104はレーザパルス108の前縁部を変換する。他の実施形態では、パルススライサー104はレーザパルス108の前縁部および後縁部の両方を変換する。パルスレーザビーム108はスライスされ、約5nsより短い立ち上がり時間を有する変換済みビーム110として出力され得る。一実施形態では、変換済みビーム110の立ち上がり時間は3nsより短い。他の実施形態では、変換済みビーム110の立ち上がり時間は2nsより短い。一実施形態では、ビーム108のパルス幅は、変換済みビーム110として出力されるために、約5ns〜16nsの範囲へと調整される。他の実施形態では、ビーム108のパルス幅は、変換済みビーム110として出力されるために、約8ns〜16nsの範囲へと調整される。他の実施形態では、変換済みビーム110のパルス幅は約5ns以下である。短い立ち上がり時間は、より良好なレーザ衝撃ピーニング結果をもたらすレーザビームを提供する。
図6を参照すると、例示的な変換済みビーム110の時間プロファイル600が示されている。上述のように、発振器102から出力されるパルスレーザビーム108の時間プロファイルは、図面で示されているように、実質的にガウス形状の外観を有する。ビーム108が変調器104によりビーム110へと変換される際、前縁部656は変調器104によりスライスされ、その結果、レーザパルスのより鋭利な前縁部658が形成される。レーザパルスの鋭利な前縁部658は、変換済みビーム110に対して、より高速な立ち上がり時間を提供し得る。レーザパルスの後縁部660も変調器104によりスライスされ、その結果、変換済みビーム110のパルス幅662が変えられ得る。
図1を参照すると、変換済みビーム110は変調器104から出力され、光アイソレータ114を通過し得る。一実施形態では光アイソレータ114は、変換済みビーム110を順方向に伝達し、その一方で逆方向の光(例えば、装置100内の構成要素の光学表面から、またはターゲット部分101から、反射されたレーザエネルギー)をブロックするファラデーアイソレータである。光アイソレータ114は、後方反射が制限および防止されるよう、すなわち他の構成要素から反射された光が光アイソレータ114を通って後方に通過し、発振器102および変調器104に損傷が加えられることが防止および制限されるよう、変換済みビーム110が装置100の他の構成要素と相互作用することから発振器102および変調器104を保護するために使用され得る。一実施形態では、ファラデーアイソレータ114は、約4mmまでのビーム直径を有する変換済みビーム110を通過させるよう構成される。
波長板116は、例えば、直線偏光したレーザパルス(例えば変換済みレーザパルス110)の偏光を回転させるために使用される1/2波長板(λ/2板)であり得る。レーザパルスが装置100の光学構成要素と相互作用すると、レーザパルスの偏光状態が変化し得る。波長板116は、装置100を通るパルスのエネルギー伝達が最適化されるようレーザビームの偏光を回転させることにより、装置100を微調整するために使用され得る。追加的な波長板が、装置100内の光学構成要素を通るレーザパルスの伝達を最適化するために、装置100に追加され得る。追加的な波長板は、図1で示される波長板116と同一であってもよく、または代替的に、異なってもよい。例えば係る異なる波長板は1/4波長板(λ/4板)であり得る。
光学フィルタ112は波長板116から変換済みビーム110を受容し、第2エネルギー、第2時間プロファイル、および第1空間プロファイルを有する状態から、第2エネルギー、第2時間プロファイル、および第2空間プロファイルを有する変換済みビーム118へと、ビーム110をさらに変換し、変換されたビーム118を出力し得る。
図7を参照すると、例示的な光学フィルタ118の概略図が示されており、この概略図は、ビームエキスパンダ766およびビーム整形要素768を含み得る。ビームエキスパンダ766は、変換済みビーム110の直径を、発振器により生成されたビームの第1直径よりも大きくなるよう拡大するために使用され得る。ビームエキスパンダ766を用いて変換済みビーム110の直径を拡大することにより、拡大された変換済みビーム770は、ビーム整形要素768上のアパーチャ772を過剰充填し得る。一実施形態では、ビーム整形要素768はアポダイザである。アポダイザ768は、グリットブラストされた縁部またはのこぎり状の縁部774を有するアパーチャ772を含み得る。ビームエキスパンダ766を用いて変換済みビーム110を拡大し、拡大された変換済みビーム770でアポダイザ768を過剰充填することにより、拡大された変換済みビーム770の翼型の部分が除去され、その結果、第1空間プロファイルを有するビーム110は第2空間プロファイルを有するビーム118(頂部が平坦な山高帽形状の外観となっている)へと変換され得る。他のビーム整形装置がビーム整形要素768に対して使用され得る。一実施形態では、ドイツ、ベルリンのAdlOptica Optical Systems GmbH製のパイシェーパー(πshaper(登録商標))が、頂部が平坦な(すなわちπ形状)ビーム118を生成するためにビーム整形要素768として使用される。
図8を参照すると、変換済みレーザビーム118の例示的な空間プロファイル800が示されている。図1で示されるパルスレーザビーム108および変換済みビーム110の両方は、図8で示される実質的なガウス型の外観を有する第1空間プロファイルを有し得る。実質的に山高帽形状の頂部が平坦なビームをビーム中央部分876から作るために、ビーム整形要素が使用され得る。翼型の区域878が除去された後、実質的に山高帽形状の頂部が平坦なビームの丸みを帯びた部分880は、頂部が平坦な中央部分876を有する変換済みビーム118が増幅器を通過する際、破線881により近似されるように平坦化され続け得る。
図1を参照すると、第2エネルギー、第2時間プロファイル、および第2空間プロファイルを有する変換済みビーム118は光学フィルタ112から出力され、変換済みビーム118を増幅するために、増幅器106に入力され得る。増幅器106は変換および増幅済みビーム126を出力し得る。一実施形態では、発振器102から出力されたレーザビームパルス108は、第1エネルギーを、第1ビーム直径を、第1時間プロファイルを、および第1空間プロファイルを有し、その一方で、増幅器106から出力された変換および増幅済みビーム126は、第1エネルギーよりも大きいエネルギーを、第1ビーム直径よりも大きいビーム直径を、第1時間プロファイルと異なる時間プロファイルを、および、第1空間プロファイルと異なる空間プロファイルを有する。
図9を参照すると、例示的な多段増幅器106が示されている。図9で示されているように、増幅器106は4つの増幅段901、902、903、および904を有する。図9で示されているように、変換済みビーム118が第1増幅器段901に進入し得、変換および増幅済みビーム126が第4増幅器段904から出力され得る。
変換済みビーム118は第1増幅器段901上の入力905に入力され、光アイソレータ907を通過し得る。変換済みビーム118は、光アイソレータ907から、真空リレー撮像モジュール(VRIM)909をさらに通過する。VRIM909は、変換済みビーム118を集束させ、次に、ビーム118をより大きい直径に再度コリメートし、その後、コリメート済みビーム911を増幅器モジュール913に出力する。増幅器モジュール913はコリメート済みビーム911を増幅し、増幅済みビーム915を第1増幅器段出力917へと出力する。
光アイソレータ907は上述の光アイソレータ114と同様の機能を発揮し得る。光アイソレータ907は、変換済みビーム118を順方向の伝搬方向に伝達し、その一方で、ビーム118からの後方散乱された光および他の逆方向のエネルギーをブロックする、ファラデーアイソレータであり得る。一実施形態では、光アイソレータ907は、ビーム118が光アイソレータ907を通過した後に、ビーム118からの逆方向のエネルギーから、装置100の前述の構成要素を保護するために使用される。光アイソレータ907は、約8mmまでのビーム直径を有する変換済みビーム118の通路を提供し得る。
変換済みビーム118はアイソレータ907を通過し、真空リレー撮像モジュール(VRIM)909に入力され得る。VRIM909は、変換済みビーム118を集束および再度コリメートし、コリメート済みビーム911を出力し得る。VRIM909は第1レンズ921、真空チューブ923、および第2レンズ925を含み得る。変換済みビーム118はVRIM909に進入し、第1レンズ921を通過する。第1レンズ921は、変換済みビーム118を、真空チューブ923の内部の中心付近の焦点を通過させる。変換済みビーム118が真空チューブ923から出ると、ビーム118は第2レンズ925により再度コリメートされる。コリメート済みビーム911は、ビーム強度が減少し且つビーム直径がパルスレーザビーム118第1ビーム直径より大きい状態で、VRIM909から出力される。VRIM909は、変換済みビーム118を、より大きい直径のコリメート済みビーム911へと中継する。真空チューブ923は、焦点位置における変換済みビーム118のエアブレークダウンを防止するために使用される。ビーム118のエアブレークダウンにより、ビーム品質およびビームエネルギーの損失がもたらされるであろう。
VRIM909は、変換済みビーム118の空間プロファイルを保持し、その一方で、増幅器モジュール913の利得媒質927を最適に充填するよう、変換済みビーム118のサイズを大きくし得る。利得媒質927を最適に充填することにより、増幅器モジュール913によるコリメート済みビーム911の増幅が最適化される。
ビーム911は増幅器モジュール913の利得媒質927に進入する。増幅器モジュール913は、利得媒質927および励起源929を含む。ビーム911が利得媒質927を通過する際、励起源はビーム911を最適に励起する。利得媒質927は、レーザダイオードアレイ929により励起されるNd:YLF結晶レーザロッドであり得る。ビーム911がロッド927を通過する際にビーム911は増幅され、増幅済みビーム915として出力される。一実施形態では、レーザロッド927の直径は約5mmである。他の実施形態では、レーザロッド927の直径は約4〜6mmである。他の実施形態では、レーザロッド927の直径は約3〜7mmである。利得媒質927は約80%のフィルファクタを有し得る。すなわち、利得媒質面積の約80%がビーム911により充填されるであろう。一般に、より大きいフィルファクタを有する利得媒質はより高い利得を有し、利得媒質内に格納されたより多くのエネルギーが抽出され得る。一実施形態では、ロッド927は85%のフィルファクタを有する。
増幅器モジュール913を有する第1増幅器段901は、入力905で入力されるビームのエネルギーを増幅し且つ出力917において増幅済みビーム915を出力する小型の前置増幅器として機能し得る。所与の事例では、増幅済みビーム915は、約40mJ〜100mJの第3エネルギー、約4.5mmの第2ビーム直径、第3時間プロファイル、および第3空間プロファイルを有し得る。
増幅済みビーム915は第2増幅器段902上の入力931に入力され得る。第2増幅器段902は、第1増幅器段901と同様であり、VRIM933と、利得媒質937および励起源939を有する増幅器モジュール935と、を含む。増幅済みビーム941は増幅器モジュール935から第2増幅器段出力943に出力され得る。
VRIM933は、動作においてVRIM909と同様であり、レンズと、増幅済みビーム915を集束させ、ビーム915を再度コリメートし、コリメート済みビーム945を出力するための真空チューブと、を含み得る。VRIM933は、増幅済みビーム915のブレークダウンを防止し、利得媒質937上のコリメート済みビーム945のフィルファクタが大きくなるよう、増幅済みビーム915の直径を大きくする。VRIM933のレンズは、VRIM909のレンズ921および923よりも直径がより大きいものであり得(すなわち、より高いエネルギーおよびより大きいビーム直径を有するビーム、例えば増幅済みビーム915は、より大きい直径のレンズを利用し得る)、VRIM933における真空チューブの長さはVRIM909におけるチューブ923よりも長いものであり得る。一般に、VRIMに対するレンズのサイズおよびVRIMにおける真空チューブの長さは、ビームエネルギーおよびビーム直径が大きくなるにしたがって、大きくなる。VRIM933は増幅済みビーム915をコリメート済みビーム945に画像中継(Relay Image)し得る。なおコリメート済みビーム945は、約80%〜85%のフィルファクタを有する利得媒質937が提供されるような直径を有する。
増幅器モジュール935は、上述の増幅器モジュール913と同様に、利得媒質937および励起源939を含み得る。ビーム945は、利得媒質937が励起源939により励起されている間に、利得媒質937を通過し得、それによりビーム945は増幅され、その後、ビーム945は、増幅器モジュール935から、増幅済みビーム941として出力され得る。利得媒質937は、レーザダイオードアレイ939により励起されるNd:YLF結晶レーザロッドであり得る。一実施形態では、レーザロッド937の直径は約9mmである。他の実施形態では、レーザロッド937の直径は約8〜10mmである。他の実施形態では、レーザロッド937の直径は約7〜11mmである。増幅器モジュール935を有する第2増幅器段902は、入力931で入力されるビームのエネルギーを増幅し且つ出力943において増幅済みビーム941を出力する小型の前置増幅器として機能し得る。所与の事例では、増幅済みビーム941は、約1Jの第4エネルギー、約8.1mmの第3ビーム直径、第4時間プロファイル、および第4空間プロファイルを有し得る。
図9で示されているように、増幅器段901および902は小信号利得の方式で動作し得る。そのため、利得鋭利化を通して、ビームの時間プロファイルの前縁部がさらに鋭利化され得る。ビームがこれらの増幅器段を通過する際に、ビームのパルス幅も狭くなり得る。
増幅済みビーム941は第3増幅器段903上の入力947に入力され得る。第3増幅器段903は以前の増幅器段901および902と同様であり、光アイソレータ949と、VRIM951と、利得媒質955および励起源957を有する増幅器モジュール953と、を有し得る。増幅済みビーム959は、増幅器モジュール953から第3増幅器段出力961へと出力され得る。
光アイソレータ949は上述の光アイソレータ907と動作において同様であり得る。一実施形態では、光アイソレータ949は、約12mmまでの直径を有する増幅済みビーム941に対して通路を提供するよう構成される。
VRIM951は、上述のVRIM909および933と動作において同様であり、レンズと、増幅済みビーム941を集束させ、増幅済みビーム941を再度コリメートし、コリメート済みビーム963を出力するための真空チューブと、を含む。VRIM951は、増幅済みビーム941が集束された後の増幅済みビーム941のブレークダウンを防止し、利得媒質955上でコリメート済みビーム963のフィルファクタが大きくなるよう増幅済みビーム941の直径を大きくするために、ビーム941を再度コリメートする。VRIM951のレンズは、VRIM909および933におけるレンズよりも直径が大きいものであり得、VRIM951における真空チューブの長さはVRIM909および933における真空チューブよりも長いものであり得る。VRIM951は増幅済みビーム941をコリメート済みビーム963に画像中継し得る。なおコリメート済みビーム963は、約80%〜85%のフィルファクタを有する利得媒質955が提供されるような直径を有する。
増幅器モジュール953は、上述の増幅器モジュール913および935と同様に、利得媒質955および励起源957を含み得る。コリメート済みビーム963は、利得媒質955が励起源957により励起されている間に、利得媒質955を通過し、それによりビーム963は増幅され、その後、ビーム963は、増幅器モジュール953から、増幅済みビーム959として出力され得る。利得媒質955は、レーザダイオードアレイ957により励起されるNd:YLF結晶レーザロッドであり得る。一実施形態では、レーザロッド955の直径は約15mmである。他の実施形態では、レーザロッド955の直径は約14〜18mmである。他の実施形態では、レーザロッド955の直径は約12〜18mmである。増幅器モジュール953を有する第3増幅器段903は、入力947で入力されるビームのエネルギーを増幅し且つ増幅済みビーム959を出力961において出力する小型の前置増幅器として機能し得る。所与の事例では、増幅済みビーム959は、約4.3Jの第5エネルギー、約13.5mmの第4ビーム直径、第5時間プロファイル、および第5空間プロファイルを有し得る。
増幅済みビーム959は第4増幅器段904上の入力965に入力され得る。第4増幅器段904は以前の増幅器段901、902、および903と同様であり、VRIM967と、波長板969と、利得媒質973および励起源975を有する増幅器モジュール971と、を有し得る。増幅済みビーム126は、増幅器モジュール971から第4増幅器段出力977へと出力され得る。
VRIM967は上述のVRIM909、933、および951と動作において同様であり、レンズと、増幅済みビーム959を集束させ、増幅済みビーム959を再度コリメートし、コリメート済みビーム979を出力するための真空チューブと、を含み得る。VRIM967は、増幅済みビーム959のブレークダウンを防止し、利得媒質973上で出力ビーム979のフィルファクタが大きくなるよう増幅済みビーム959の直径を大きくするために、増幅済みビーム959を再度コリメートする。VRIM967のレンズは、VRIM909、933、および951におけるレンズよりも直径が大きいものであり得、VRIM967における真空チューブの長さはVRIM909、933、および951における真空チューブよりも長いものであり得る。VRIM967は増幅済みビーム959をコリメート済みビーム979に画像中継し得る。なおコリメート済みビーム979は、約80%〜85%のフィルファクタを有する利得媒質973が提供されるような直径を有する。
増幅器モジュール971は、上述の増幅器モジュール913、935、および953と同様に、利得媒質973および励起源975を含み得る。コリメート済みビーム979は、利得媒質973が励起源975により励起されている間に、利得媒質973を通過し、それによりビーム979は増幅され、その後、ビーム979は、増幅器モジュール971から、増幅済みビーム126として出力され得る。利得媒質973は、レーザダイオードアレイ975により励起されるNd:YLF結晶レーザロッドであり得る。一実施形態では、レーザロッド973の直径は約25mmである。増幅器モジュール971を有する第4増幅器段904は、入力965で入力されるビームのエネルギーを増幅し且つ増幅済みビーム126を出力977において出力する増幅器として機能し得る。一実施形態では、第4増幅器段904は1つの増幅器モジュール971を含む。他の実施形態では、第4増幅器段904は1つまたは複数の増幅器モジュール971を含む。所与の事例では、増幅済みビーム126は、約7J〜13Jの第6エネルギー、約20mm〜25mmの第5ビーム直径、第6時間プロファイル、および第6空間プロファイルを有し得る。増幅器106から出力される増幅済みビーム126は変換および増幅済みのビームであり得る。
増幅器106を通過するビームの特性はビームの増幅により変化し得る。例えば、ビームが増幅される際、ビーム直径が増幅器106における光学要素により増大化され、その結果、各利得媒質(例えばレーザロッド)がより効果的に充填されることとなる。それにより、最適に増幅されたレーザが利得媒質から出力され、その一方で、増幅器106における特定の構成要素の能力も十分に活用されることとなり得る。
ビームが増幅器106を通過する際、ビーム直径は、例えば増幅器901、902、903、および904でそれぞれ使用されるロッド927、937、955、および973などの利得媒質のサイズ(例えばロッド直径)に合致するよう、大きくなり得る。ビームエネルギーが増幅器106の全域を通して増大化されるため、ビーム直径が小さすぎた場合には、増幅器106内の光学構成要素に損傷が生じるリスクが大きくなる。ビームエネルギーの増大化につれてビームサイズを増大化させることにより、利得媒質上のパワー密度は損傷閾値より小さい値に保たれ得る。
増幅器106のビームの他の特性は、ビームの増幅により、変化し得る。例えば、ビームの時間プロファイルの前縁部は、ビームが増幅されると鋭利化され得る。
図2で図示されるUCC制御器242は、図9で図示される増幅器モジュール913、935、953、および971のタイミングを制御するために使用され得る。特にUCC制御器242は、利得媒質を通過するビームの増幅が最適化されるよう増幅器モジュールにおける励起源が増幅器モジュールにおける利得媒質を励起するタイミングを制御し得る。このようにして、増幅器モジュールを通過するビームの増幅が制御され得る。
図1を参照すると、ビーム126が増幅器106から出力された後、ビーム126がひとたび光アイソレータ120を通過した後にはビーム126が装置100の以前の光学構成要素と相互作用することを防止するために、光アイソレータ120は使用され得る。例えば、ビーム126がひとたび光アイソレータ120を通過すると、光アイソレータ120は、ビーム126から後方散乱された光が、装置100における発振器102から増幅器106までの以前の光学構成要素のいずれとも相互作用することを防止する。一実施形態では、光アイソレータ120はファラデーアイソレータであり、約35mmまでの直径を有するビーム126の通過を可能にし得る。
追加的要素が、レーザ衝撃ピーニング(LSP)が実施されるよう変換および増幅済みレーザビーム126をターゲット部分101に供給するために、装置100とともに使用され得る。ビーム126は、ターゲット部分101のみに供給されるよう、または、ピーニングセル124内に含まれたターゲット部分101に供給されるよう、光アイソレータ120を通ってビーム供給装置122まで通され得る。
図10で示されているように、レーザビーム供給装置122は1つまたは複数のミラー1081、1つまたは複数の光ケーブル1083、および多軸関節アーム1085を含み得る。レーザビーム供給装置122は、より大きいサイズのビーム126を、LSP実施のために使用する約2〜3mmのより小さいスポットサイズへと集束させるための集束光学系1087を含み得る。一実施形態では、レーザビーム供給装置122の集束光学系1087は、ビーム126のスポットサイズを約3mm〜8mmの範囲へと集束および調整する。レーザビーム供給装置122は追加的な安全機能(例えば、供給装置122がビーム126をターゲット部分101またはピーニングセル124に供給する位置にないかぎり、ビーム126がレーザビーム供給装置122に進入することをブロックするためのシャッター1089など)も含み得る。追加的なVRIM組立体1091が、増幅器106から出力される変換および増幅済みビーム126の近接場値および測定値を維持するために、レーザビーム供給装置122とともに使用され得る。一実施形態では、VRIM1091はビーム126をターゲット部分101に画像中継するために使用される。
レーザピーニングセル124はレーザ衝撃ピーニングが実施されるべきターゲット部分101を含み得る。ロボットハンドリングシステム1093は、レーザビーム供給装置122の位置を変化させ、それにより供給装置122から出力されたビーム126の位置をターゲット部分101へと変化させるために、レーザビーム供給装置を操作するよう適応され得る。ロボットハンドリングシステム1093は、レーザピーニングセル124へとパーツを、およびレーザピーニングセル124からパーツを、導入するためにも使用され得る。レーザピーニングセル124は、ビーム126から発する危険なレーザ光をレーザピーニングセル124内に閉じ込めるための光遮蔽環境を提供し得る。レーザピーニングセル124には、照明、空気濾過システム、ならびに、LSP処理の際に生成される流出物およびデブリを除去するための排出システムなどの、オプション部品、および、様々なパーツをレーザピーニングセル124へと、ならびにレーザピーニングセル124から、移動させるためのロボット1093に対するインターフェース1095(すなわち入口/出口)の他に、他の安全システムも、装備され得る。一実施形態では、レーザピーニングセル124は、ロボット1093が、レーザピーニングセル124内のより大きいターゲット部分を操作することが可能となるよう、約4.5m×4.5m×3.0m(高さ)の寸法となり得る。レーザピーニングセル124は、ターゲット部分101から後方散乱されたレーザエネルギーが、供給装置122に、または装置の他の光学要素に、進入することを防止するためのターゲット分離システム1096(例えば光アイソレータ)を含み得る。一実施形態では、レーザピーニングセル124は、不透明オーバーレイをターゲット部分101に印加するための不透明オーバーレイアプリケータ1097と、透明オーバーレイをターゲット部分101に印加するための透明オーバーレイアプリケータ1099と、を含み得る。不透明オーバーレイおよび透明オーバーレイは、増幅および変換済みビーム126がLSP処理の際にターゲット部分101上の不透明オーバーレイおよび透明オーバーレイに接触するよう、ターゲット部分101に印加され得る。
一実施形態では、変換および増幅済みビーム126の近接場値は、約7〜13Jのエネルギーと、約16nsまでのパルス幅と、200Wの平均パワーと、少なくとも3mmのスポットサイズと、を含む。この実施形態では、これらのパラメータを有する変換および増幅済みビーム126は、20Hzの繰り返し率で装置100により生成される。
他の実施形態では、変換および増幅済みビーム126の近接場値は、約5J〜約10Jのエネルギーと、約5W〜約200Wの平均パワーと、約0.2(20%)より小さいビーム一様性と、約3mm〜約8mmのスポットサイズに集束されたビームと、を有する。この実施形態では、装置100の発振器102は、発振器からの約1.3M2より小さいビーム品質を有するビームと、これらのパラメータを有するビームと、を生成し得る。初期のビーム品質は、約1Hz〜20Hzの範囲の可変繰り返し率で、所望により、ターゲット部分101の表面に応じて、可変の「オン・ザ・フライ」で、生成され得る。
他の実施形態では、最終的な集束光学系1087とターゲット101との間の約5〜10mの作動距離が可能である。大きい作動距離は、適切には、装置100の光学構成要素と、LSP処理の際に生成されるデブリおよび流出物と、の間の距離である。
図11を参照すると、パワー/パルスエネルギーの長期ドリフトを図示するグラフが1100において示されている。グラフ1100は、8時間の連続動作後における変換および増幅済みビームの平均パルスパワーを示し、およそ200Wの平均パワーを示す。なおここでは、パルスエネルギーの長期的安定性が0.28%(rms)となっている。
図12を参照すると、空間ビームフルエンス一様性を図示するグラフが1200において示されている。空間ビームフルエンス一様性は、変換および増幅済みビームを、ビームを輪郭検出するよう構成されたカメラに対して向けることにより、キャプチャされ得る。係るカメラはアパーチャを含み得、ビームフルエンス一様性は、輪郭検出器ソフトウェアにより画成されるアパーチャ内で定量化され得る。この画成されたアパーチャ内のビームエネルギーは、パルスエネルギー全体の約90%以上となるであろう。なおビーム一様性は、画成されたアパーチャ内のその平均値からのパワー/エネルギー密度の正規化されたrms偏差として定義される。輪郭検出器ソフトウェアは、空間ビーム一様性を測定するために使用され得る。例えば、ユタ州ノースローガンのOphir−Spiricon社製のSpiricon(登録商標)BeamGage(登録商標)ソフトウェアを使用するSpiricon(登録商標)カメラが、1200で示されるビームフルエンス一様性を測定および出力するために使用され得る。グラフ1200における同様色が変換および増幅済みビームの空間ビームフルエンス一様性を維持する能力を示す一方で、色の変化は変換および増幅済みビーム内のホットスポットを示す。グラフ1200で図示されているように、ビームフルエンス一様性は9.10%である。
図13を参照すると、変換および増幅済みビームの近接場ビームプロファイルを図示するグラフ1300が示されている。グラフ1300で図示される近接場ビームプロファイルは約21mm(さらに詳細には、測定および計算技術に応じて21.06mm〜21.793mm)のビーム直径を示す。
図14を参照すると、M
2分析(すなわち、出力ビーム126(図1)に対する近接場におけるビーム品質分析)グラフ1400が示されている。M
2値(ビーム品質因子としても知られる)は、次の式1により求められる。
式中d
1はビームにおける最小ウエスト(表における2ω
0)すなわち0.310mmであり、D
0はレンズに進入するビームのサイズ(この場合20mm)である。なおλはレーザの波長(この場合、1053nm)であり、fはレンズの焦点距離(この場合、800mm)である。表1401で示されるように、近接場ビーム品質は約5.97の平均値を有する。
図15で図示されているように、グラフ1500は、変調器104(図1)により前縁部がスライスにより除去された状態のビームの時間プロファイルを示す。ビームのグラフは、ビームのエネルギーを電圧として測定するフォトダイオードにビームの一部分を誘導することにより生成された。電圧は、データ収集のためにオシロスコープに送られる。図15で図示されているように、y軸は、オシロスコープからのデジタル化された未加工データポイントを表す。オシロスコープは、データを8ビットのサンプルとしてキャプチャし、それにより127の離散的な正の値が提供される。表1では、時間と、図15で図示されるビームの前縁部上における0と、58のピーク値と、の間でキャプチャされた値に対する関連付けられた値と、が示されている。
立ち上がり時間は、ピーク値の約10%と90%との間の時間として計算され得る。所与の事例では、58のピーク値に対して、立ち上がり時間は約6と52との値の間で計算される。上記の表における値に基づいて、図15で図示されるビームの前縁部に対する立ち上がり時間は約3.5nsである。
図16を参照すると、ターゲット部分に対してレーザピーニングを実施するための例示的な方法1600のフローチャートが提供されている。この方法は、ダイオードで励起されたレーザロッドを有する発振器から第1エネルギー、第1ビーム直径、および第1時間プロファイルを有するパルスレーザビームを生成および出力することを含む(1601)。発振器により出力されるビームは、第1エネルギーおよび第1時間プロファイルを有するビームを第2エネルギーおよび第2時間プロファイルに変換する(1605)パルススライサーにより受容される(1603)。パルススライサーは、第2エネルギーおよび第2時間プロファイルを有する変換済みビームをパルススライサーから増幅器に出力する(1607)。増幅器は、変換済みビームを受容し、増幅器を用いて、第2エネルギーから、第1ビーム直径よりも大きい第2ビーム直径を有する第3エネルギーへと(1609)、および第2時間プロファイルと異なる第3時間プロファイルへと増幅し、第3エネルギー、第2ビーム直径、第3時間プロファイルを有するビームを、ターゲット部分に対してレーザ衝撃ピーニングを実施するために、増幅器からターゲット部分に出力する(1611)。
方法1600で記載の発振器は、第1空間プロファイルを有するビームをさらに出力し、第2エネルギー、第2時間プロファイル、および第1空間プロファイルを有する変換済みビームを光学フィルタにおいて受容することと、光学フィルタを用いて変換済みビームを変換し、第2エネルギー、第2時間プロファイル、および第2空間プロファイルを有する変換済みビームを出力することと、を含み得る。
方法1600で記載の増幅器は、スポットサイズを有するビームをさらに出力し、増幅器から出力されたビームをレーザビーム供給装置において受容することと、レーザビーム供給装置を用いてビームを約3mm〜約8mmのスポットサイズに集束させることと、ビームをターゲット部分に出力することと、を含み得る。
方法1600で記載の第3エネルギーは約5J〜約10Jであり得る。方法1600で記載の第2ビーム直径は約22mm〜約22.5mmの範囲であり得る。方法1600で記載の第3時間プロファイルは約12nsの平均パルス幅を含み得る。
図17を参照すると、増幅器106に対する例示的な二重通過型の第1増幅段1701が示されている。第1増幅段1701は、変換済みレーザビーム178を入力1705において受容し、変換済みビーム178を、偏光器1706、光アイソレータ1707、およびVRIM1709を通過させ、それにより、より大きい直径を有するビーム1711を出力するよう構成され得る。より大きいビーム1711は、レーザ増幅器モジュール1713をさらに通され、増幅済みビーム1715として増幅器モジュール1713から出力され得る。増幅済みビーム1715はミラー1716で反射された後、増幅器モジュール1713を逆向きに通され、その結果、二重通過された増幅済みビーム1717が生成され得る。この増幅済みビーム1717は、VRIM1709および光アイソレータ1707を逆向きに通され、偏光器1706から出力1719へと反射され得る。
上述の第1増幅器段901と同様に、二重通過型の第1増幅器段1701は、変換済みビーム178を入力1705で受容し、偏光器1706を通して変換済みビーム178を通過させ得る。偏光器1706はビーム178の偏光を変化させ、ビーム178を光アイソレータ1707に向かって誘導し得る。光アイソレータ1707は、上述の光アイソレータ907と同様に作用し得る。ビーム178の偏光を変化させることにより、二重通過された増幅済みビーム1717は、光アイソレータ1707を、ビーム178の方向とは異なる方向に、逆方向に通過することが可能となる。
VRIM1609は第1レンズ1721と、真空チューブ1723と、第2レンズ1725と、を含み、上述のVRIM909と同様に、より大きいビーム1711を出力するよう動作し得る。加えてVRIM1709は、増幅器モジュール1713から出力された、二重通過された増幅済みビーム1717がVRIM1709を、ビーム1711の方向とは異なる移動方向に通過することを可能にし得る。
増幅器モジュール1713は、上述の増幅器モジュール913と同様であり、利得媒質1727および励起源1729を含み得る。ビーム1711は、利得媒質1727が励起源1729により励起されている間に、利得媒質1727を通過し、それによりビーム1711は増幅され、その後、ビーム1711は、増幅器モジュール1713から、増幅済みビーム1715として出力され得る。利得媒質1727は、レーザダイオードアレイ1729により励起されるNd:YLF結晶レーザロッドであり得る。ロッド1727は、ロッド1727を逆方向に通過する反射された増幅済みビーム1715をさらに増幅し、その後、増幅済みビーム1715はロッド1727および増幅器モジュール1713から、二重通過された増幅済みビーム1717として、出力され得る。
ミラー1716が、逆方向に第1増幅器モジュール1713を通すように増幅済みビーム1715を反射させると、ビーム1715はさらに増幅され、二重通過された増幅済みビーム1717として出力され得る。
二重通過された増幅済みビーム1717がVRIM1709および光アイソレータ1707の両方を通過した後、二重通過されたビーム1717は偏光器1706に接触し、偏光器1706は二重通過された増幅済みビーム1717の偏光を変化させ、ビーム1717を二重通過型の第1増幅器段1701の出力1719に向かって誘導し得る。
増幅器モジュール1713を有する二重通過型の第1増幅器段1701は、入力1705において入力されたビームのエネルギーを増幅し且つ二重通過された増幅済みビーム1717を出力1719において出力するための小型の前置増幅器として動作し得る。所与の事例では、二重通過された増幅済みビーム1717は、約230mJの第3エネルギー、約4.5mmの第2ビーム直径、第3時間プロファイル、および第3空間プロファイルを有し得る。
図9で図示されているような追加的な増幅器段(例えば902、903、および904など)は、二重通過される第1増幅器段1701に対して上述した同様の構成要素に関して二重通過されるよう構成され得る。追加的な複式二重通過型の増幅構成が使用され得る。なおこの複式二重通過型の増幅構成では、パルスは、最初に、1つの増幅器モジュールを通して二重通過された後、以前の増幅器モジュールよりも大きい直径を有する利得媒質を有する後続の増幅器モジュールを通して二重通過される。
図18で図示されているように、合致する増幅器モジュール1883を有する例示的な第4増幅段1804が、増幅器モジュール971から出たビーム1881の増幅を増大化させるために使用され得る。合致する第4増幅段1804は、追加的な増幅器モジュールを有する、上述の増幅段904と同様であり得る。増幅器モジュール1883は増幅器モジュール971と同様であり得る。すなわち、増幅器モジュール1883の利得媒質1887は、増幅器モジュール971の利得媒質973と同一サイズであり得る。増幅器モジュール1883は、出力977において出力ビーム126を出力する前に入力ビーム1881が増幅されるよう利得媒質1887を励起するための励起源1885を有する。装置100のあらゆる増幅器段は合致するよう構成され得る。すなわち、増幅器段は、ビームを増幅するための追加的な増幅器モジュールを含み、図18で図示されている構成と同様に構成され得る。
図19を参照すると、例示的なビームスプリッタ構成1900の概略図が示されている。ビームスプリッタ構成1900は、例えば、最終の増幅器段の後、1つのビームを、等しいエネルギーまたは等しくないエネルギーの2つのビームに分割するために使用され得る。ビームスプリッタ構成1900は、変換および増幅済みビーム1926をビーム1928および1930に分割するためのビームスプリッタ1905を含み得る。追加的な増幅構成(例えば二重通過型の構成、合致型の構成、または他の構成)が分割ビームを増幅するために使用され得る。
本明細書で記載の実施形態では、実行されたときに本明細書で記載の例示的な方法を実行し得る、ロボティック制御、制御システム、および、コンピュータ可読媒体上に格納された命令が使用され得る。例えば、ターゲット部分を操作し且つターゲット部分上の異なる位置にパルスレーザビームを誘導するために、ロボットが使用され得る。ロボットは、LSPを実施するために、ターゲット部分をレーザピーニングセル内に、およびレーザピーニングセルから移動させるために、使用され得る。ロボットは、効率的なLSP処理のために、複数の部分を一括的に移動させ得る。ロボットは、LSP処理のために部品を操作するために、制御システムとインターフェース接続し得る。すなわち、部品が透明オーバーレイおよびLSPのためのレーザパルスの両方を受容するために位置決めされ得るよう、ロボットは部品の位置決めを制御し得る。ロボットアームが同一部品を、部品上の後続のLSPターゲットのために、再度位置決めし得る。一実施形態では、ロボットは、約20Hzの速度で後続のLSPターゲットに対して部品を再度位置決めする。他の実施形態では、ロボットは約0.2mmより小さい位置反復精度を有する。加えてロボットは、システム調整またはシステム較正のためのフィードバックが生成されるよう、ツールまたはセンサと相互作用するために使用され得る。図10で図示されているように、ロボティックアーム1093などのロボットがビーム供給装置122の構成要素に装備され得る。それにより、ロボット1093およびビーム供給装置122は、レーザ衝撃ピーニングのためにレーザパルスがターゲット部分101に供給されるよう、静止部分101に対して再度位置決めされ得る。このようにしてロボットは、出力ビーム126に対してターゲット部分101の位置を制御すること、またはターゲット部分101に対して出力ビーム126の位置を制御すること、を実施し得る。
LSP処理において使用するための装置は、装置の機能を制御するための1つまたは複数の制御器とインターフェース接続され得る。制御器においては、較正または調整が自動的に実施されてもよく、または、ユーザが装置の制御とインターフェース接続するためのユーザインターフェースが存在してもよい。自動制御に関して、ビームが装置内を進行する際の様々なビームパラメータを収集するために様々なセンサが用いられ得る。センサの測定値はリアルタイムで収集される場合もあり、または周期的に収集される場合もある。センサの測定値は装置制御のためのフィードバックとして使用され得る。例えば、装置が特定的な温度範囲内で動作していることを確認するために、温度測定値が周期的に装置内で採取されてもよい。1つまたは複数のパルスのパルスエネルギー、パルス幅、および空間プロファイルが測定および監視され、測定値がユーザの選択による範囲から逸脱した場合、制御システムは、測定値がユーザの選択による範囲内に収まるよう、装置の構成要素を調整し得る。
レーザビームパラメータに関するデータは、装置の内部から、およびビーム供給経路から(例えば、光学構成要素からの反射の一部として、またはミラーから漏出したエネルギーとして)、取得され得る。データは周期的に取得され、LSP処理条件がユーザの選択による誤差の範囲内となることを確保するために、ターゲットデータに対して相互較正され得る。
ビーム位置およびスポットサイズは、ビーム経路内に配置されたカメラを用いて、非常に厳しい許容誤差範囲内で判定され得る。ビーム画像をキャプチャするためにカメラが使用され、ビーム画像から抽出されたパラメータが理想的なパラメータと比較され得る。例えばビーム位置が理想的な位置パラメータにより示される中心にない場合、理想的なパラメータにより確定される位置にビームが近接するよう、ミラーが自動的に調整され得る。ビームの調整および移動は小さい増分で実施され、理想的な位置パラメータにより確定される位置にビームが到達するには数回の測定および調整が必要となり得る。カメラは、スポット面積およびスポットサイズの測定にも使用され得る。制御器は、ターゲットレンズが設定されたスポットサイズに調整されるよう、レンズを自動的に調整し得る。
網羅的または限定的であることを意図するものではないが、LSP処理における使用のための装置とともに使用される制御システムは、eDrive/発振器(例えば、タイミング、励起電流)を構成および監視することと、タイミング生成器を構成および監視することと、レーザ安全性を制御および監視することと、レーザ出力を制御および監視することと、レーザ温度(例えば、エンクロージャ温度、冷却水温度、その他)を制御および監視することと、レーザヘッド部タイミングに対する調整を介して出力エネルギーを制御することと、オーバーレイ適用を制御することと、最終的な集束レンズを制御および監視することと、最終的な反射鏡を制御および監視することと、ロボットなどの外部制御システムとの統合化と、装置の構成要素の構成を格納することと、レーザ処理のために装置により収集されたデータを格納することと、装置に対するアクセスを制御する(例えば、装置のアクセスを認定ユーザに制限する)ことと、を実施するために使用され得る。
網羅的であることまたは限定的であることを意図するものではないが、LSP処理のための装置とともに使用される制御システムのセンサ構成要素は、パルス幅、パルスエネルギー、ビーム空間プロファイル、ダイオード電圧、励起電流、エンクロージャ温度、冷却水温度、レーザ安全システム、および装置の健康状態の検出および監視を実施し得る。
本明細書で記載の制御システムは、レーザヘッド部タイミング、最終的な集束レンズ位置、最終的な反射鏡位置、オーバーレイ適用タイミング、冷却システム動作、およびデータ収集の自動的調整を実施するために使用され得る。制御システムは出力レーザビームのエネルギーを自動的に調整し得る。制御システムはダイオード電圧を自動的に調整し得る。ダイオード電流はeDriveにより自動的に制御され得る。
図20を参照すると、LSPにおいて使用するための装置に対して自動的な較正および調整を実施するための例示的な方法(2000)のフローチャートが提供されている。方法(2000)は、ターゲット部分に対してLSPを実施する前に、LSPのための装置における最終的な集束レンズをユーザの定義によるスポットサイズに調整することを含み得る(2001)。この方法は、ターゲット部分に対してLSPを実施する前に、レーザビーム供給システム上のミラーの位置を、ユーザの定義によるターゲット場所に基づいて調整することも含み得る(2003)。この方法は、較正されたエネルギー測定値のテストレーザをテストレーザのエネルギーを測定するために放出し、テストレーザの測定エネルギーとユーザの定義によるレーザ出力エネルギーとを比較することにより、装置により出力されるビームのエネルギーを較正することも含み得る(2005)。この方法は、出力ビームを較正するために、LSPのための装置の構成要素を調整し、テストレーザの測定エネルギーがユーザの定義によるエネルギーの許容誤差範囲内となるまで、較正されたエネルギー計測値のテストレーザを再度放出することをさらに含み得る(2007)。この方法は、較正されたビームをLSPに対するターゲット部分に放出し、較正されたビームパラメータをビームにおけるピックオフ位置において測定し(2009)、測定されたスポットサイズ、測定された位置、および測定されたパルス幅と、ユーザの定義によるスポットサイズ、位置、およびパルス幅とを比較すること(2011)により、レーザ出力のスポットサイズ、ビーム位置、およびバルス幅を較正することも含み得る。この方法は、最終的な集束レンズを調整し、レーザビーム供給装置におけるミラーの位置を調整し、パルススライサーを調整することにより、レーザのパラメータを反復的に調整し、スポットサイズ、ビーム位置、およびパルス幅がユーザの定義によるスポットサイズ、ビーム位置、およびパルス幅となるまで、スポットサイズ、ビーム位置、およびパルス幅を再度測定することをさらに含み得る(2013)。
特記ある場合を除き、添付の請求項を含む本明細書において説明される数値パラメータは、代表的な実施形態にしたがって取得しようと努められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。請求項の範囲に対して均等論の適用を制限することを意図するものではなく、少なくとも、各数値パラメータは、記録された有効数字の桁数に照らし合わせ、通常の丸め技術を適用することにより、少なくとも解釈されるべきである。
本発明の広範な範囲を説明する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体例において説明される数値は、可能な限り正確に記載されている。しかし、任意の数値は、それぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含むものである。
さらに、システム、方法、および装置については例示的な実施形態を記載することにより説明し、例示的な実施形態について、かなり詳細に記載および説明してきたが、出願者は、係る詳細が添付の請求項に記載されていなかったとしても、請求項の範囲を、係る詳細に制限またはあらゆる方法で限定することを意図しない。無論のこと、システム、方法、および装置を説明する目的のために、構成要素または方法体系の考えられ得るあらゆる組み合わせを説明することは不可能である。本願の利益を用いるならば、追加的な利点および変更が当業者には明らかとなることであろう。それゆえ本発明は、その広範な態様において、本明細書で図示および説明された特定の詳細にわたる具体例および代表的な実施形態に限定されない。したがって、全般的な発明概念の趣旨および範囲から逸脱することなく、係る詳細からの逸脱が可能であり得る。したがって本願は、添付の請求項の範囲に含まれる改変例、変更例、および変化例を含むことを意図するものである。前述の記載は本発明の範囲を制限するものではない。むしろ本発明の範囲は添付の請求項およびその均等物により決定されるべきである。
明細書および請求項で使用される単数形の「a」、「an」、および「the」は複数形を含む。さらに「または」という用語が請求項で用いられる(例えばAまたはB)限り、それは「AもしくはB、またはその両方」を意味することを意図する。出願者が「両方ではなく、AのみまたはBのみ」を指すことを意図する場合には、「両方ではなく、AのみまたはBのみ」という用語が用いられるであろう。同様に出願者がA、B、またはCのうちの「1つであって、1つに限る」を指すことを意図する場合には、出願者は「1つであって、1つに限る」という文言を用いるであろう。また、「〜における」または「〜へと」という用語が明細書または請求項で使用される限り、それは追加的に「〜上の」または「〜上に」を意味することを意図する。「選択的に」という用語が明細書または請求項で使用される限り、それは、装置のユーザが装置の使用時に必要または所望に応じて構成要素の特徴または機能を有効化または無効化し得る構成要素の状態を指すことを意図する。「動作可能に連結された」という用語が明細書または請求項で使用される限り、それは、指定された構成要素が、設計された機能が実行されるように接続されることを意味することを意図する。最後に、「約」という用語が数値と組み合わせて使用される場合、それは、当該数値の±10%を含むことを意図する。換言すると「約10」は9〜11を意味し得る。