JP2018508659A - 金属又は半金属及び過酸化物、イオン種又はラジカル種を含む化合物を調製するための電気化学的方法 - Google Patents

金属又は半金属及び過酸化物、イオン種又はラジカル種を含む化合物を調製するための電気化学的方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、金属元素、半金属元素又はそれらの2種以上の混合物を、金属元素、半金属元素又はそれらの2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から、少なくとも1種の反応生成物の1種以上のナノ粒子、特にはナノ結晶の形で回収するための電気化学的方法に関する。該方法は、ガス拡散電極を備える陰極が設けられた、電気化学的セルの陰極区画の水系の陰極液に、水溶性前駆体化合物を供給するステップと、前記陰極液のpHを調整するステップと、前記ガス拡散電極に少なくとも1種の酸化剤ガスを供給するステップと、少なくとも1種の前記酸化剤ガスの還元が起こる電気化学的ポテンシャルに前記陰極をさらすステップと、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、請求項1の前提部に記載のように、金属元素、半金属元素又はその2種以上の混合物を、少なくとも1種の反応生成物の1種以上のナノ粒子の形で、金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から回収するための電気化学的方法に関する。
さらに本発明は、ナノ粒子、特に上記方法で得られるナノ結晶、及び本発明の上記方法を行うための装置に関する。
ナノ粒子及びその複合体は、バルク相粒子及び巨視的結晶に対して、一般的ではない電子の、光学の、磁性の、及び化学の特性を示す。したがって、触媒作用、化粧品、繊維、ナノエレクトロニクス、先端技術の部品及び防御装置から、医薬品、医学的用途、センサー及び診断法まで幅広い多様な分野における用途に関して、それらは新しい又は向上した特性をもたらす。もっとも小さいサイズ(例えば20〜50nm未満)において、ナノ粒子の特性は、典型的には不規則に変化し、各サイズに特有である(非特許文献1において)。それらの調製に用いられた方法に関わらず、粒子成長の制御、結晶化度、安定性及び再現性等の多くの課題が解決されなければならない。上質な合成方法では、制御された粒度分布、多くの場合、目的とされる狭い粒度分布を有するナノ粒子が望ましく製造されなければならない。粒度分布が狭いほど、より魅力的な合成方法である。現在利用できる最も良好な合成方法は、約5%の粒度分布を有するナノ粒子を製造する。形状の制御も重要な特性である。結晶質のナノ粒子をもたらす合成方法に加えて、形状安定化をもたらす方法が好ましい。特に好ましいのは、環境維持を考慮して、有害な溶媒を使用しない合成方法である。
非結晶質の又は結晶質のナノ粒子を合成するための現代的な方法は、化学反応ステップに加え、物理的処理と生物学的ステップとを含む。結晶質のナノ粒子を製造するための化学的方法は、穏やかな反応条件を用いることができて、物理的方法よりも有利である。純粋な生物学的方法と比較して、制御の改善が達成できる。通常、化学的方法は、結晶の種付けのステップと、粒子を成長させるステップと、望ましい粒径が得られたら粒子の成長を終わらせるステップと、を用いる。これらのステップは、通常は切り離せないため、合成は大抵、ナノ結晶前駆体、溶媒及び停止(キャッピング)剤を準備することから始められる。電気化学的合成は、多くの場合、ゼロ価の金属ナノ結晶の製造に用いられ、陽極の酸化分解、陰極への金属イオンの移動、並びにゼロ価状態への還元、核形成の後に続く粒子の成長、成長を阻害するためのキャッピング剤(典型的には長鎖アルカンを含む第四級アンモニウム塩)の添加、及びナノ結晶の沈降のステップを含む。ナノ結晶の大きさは、電流密度の変更、電極間の距離の変化、反応時間の制御、溶媒の温度と両極性とによって調整される。化学的及び旧知の電気化学的方法は、通常、およそ100nmの平均粒径を有するナノ結晶の形成をもたらす。数少ない例では、100nm未満の平均粒径のナノ結晶の形成が見られるが、それらはかなり多分散(非均一)な大きさと形状分布とを有する。
特許文献1は、ゼロ価の、裸の金属又は金属合金ナノ結晶のコロイド状の安定な懸濁液を調製するための熱電気化学的方法を開示している。該方法は、ナノ結晶のための基本的に汚染されていない金属出発物質を含む金属製の犠牲陽極と陰極とを、基本的に汚染されていない水に少なくとも部分的に浸すステップと、陽極と陰極とを超えて電位を加え、金属製の犠牲陽極から、基本的に金属からなる裸の金属ナノ結晶のコロイド状で安定な懸濁液を生じさせるステップと、を含む。
ナノ粒子合成のための従来の方法を分析する際、発明者は従来技術が異なる視点で考えられることを見出した。ナノ粒子のための化学的前駆体は、通常は取り扱われる溶液において溶解状態で存在し、例えば化学的前駆体は水溶性マトリックスに溶解している。ナノ粒子の形成と安定な固体沈殿物へのそれらの変化は、水溶性イオンが水溶性マトリックスから除去されるという結果を招く。したがって、ナノ粒子を合成するための方法も、溶液から水溶性化合物を除去し、例えば固体沈殿物として、それらを回収するための方法として考えられる。
これは、重要な原鉱物質、いくつか例を挙げると電子機器並びに電気通信装置の製造、先端技術用途、戦略的技術、クリーンエネルギー技術及び防衛手段で用いられる、特には希土類元素(REE)のような高度な技術に関するものの回収の分野で特別に関心が寄せられる。REEはその幅広い適用可能性のためのみならず、主に供給停止の危険のため、加えておそらくそれらの高い経済的価値のために重要な原料として位置づけられる。REE供給の脆弱性を予測するための主要な評価基準は、寿命終わりの製品からの再利用である。今のところ、再利用の将来性はREEの需要を満たすほど十分ではない。供給の脆弱性の危険とREEの価値が高まっているため、未だに探査されていない他の基盤が、回収に関する経済観念を形成し始めている。
特許文献2は、ランタニド及びアクチニド元素を、標的の金属に対する吸着剤として機能させることができる金属吸着性化合物を有するナノ構造にそれらの溶液を接触させることによって抽出及び分離するための方法を開示する。標的の金属を回収するために、金属が吸着した吸着性化合物を逆抽出溶媒に接触させる。
流体、例えば正常に機能しない給水源からイオン種を除去するための、容量性脱イオンを利用する他の方法が特許文献3に開示されている。特許文献3に開示された方法は、広い表面積で、多孔質な、電子移動反応を行わない非ファラデーの電極を利用する電気透析及び/又は逆電気透析システムを使用する。システムは、陽イオン移動膜と陰イオン移動膜とを交互に有する膜の層に加え、多孔質の陰極と多孔質の陽極とを備える。直流電力が電極を通過すると、陽イオンと陰イオンとが反対の電極に移動することで、塩性水の、濃縮された及び希釈された流れ系列への分離が起こる。結果として、高い見かけ容量を有する二重層コンデンサが各電極に形成される。この方法は、液体からイオン種が除去されることが必要な、水、医薬品、並びに食品及び飲料産業等の産業に典型的に適用可能である。
しかし、上述の方法は、金属の再使用が可能な形での、本当に経済的に実現可能な回収率をもたらさない。水溶性マトリックスからREE又は他の重要な金属を抽出するための、例えば規制上の要件を満たす従来の抽出方法は、十分ではなく、商業的に関心のある生成物をもたらすように適応させる必要がある。
特許文献4は、インジウム、スズ、銅、ガリウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、ニッケル、マンガン及びリチウム等の金属水酸化物、又はこれら金属から選択される少なくとも1種を含有する合金の粒子を製造する方法を開示し、該金属粒子は均一な100nmの粒径を有する。ガス拡散電極は、電解質、例えば硝酸アンモニウムに沈められ、陽極は金属又は導電性金属酸化物によって特徴づけられる。陰極に供給される酸素が気液界面で還元されることで、水酸化物イオンが発生し(O+2HO+4e→4OH)、処理を継続するにつれてpHが上昇する。酸素の還元反応の基準となる電極電位(+0.40V)が硝酸イオンの還元反応の基準となる電極電位(+0.01V)より高くなり、硝酸イオンの還元がほとんど起きなくなる。電気分解の間に陽極から溶出する金属イオンは電解液中の水酸化物イオンと反応し、金属水酸化物粒子が形成される。反応が行われるアルカリ性条件によって、粒径が増加し、得ることが難しい均一な望ましい粒径を有する粒子として金属水酸化物が得られる。必要ならば、電解質のpHと温度とが安定化される。粒子の形態を分析することで、複数の集合した小さな粒子で各粒子が構成され、さらに大きな粒子を形成していることが分かる。
特許文献5は、酸化鉄又は主に含む酸化鉄を含む金属酸化物の混合物の電解製造のための方法を開示し、該方法は、鉄陽極と、1種以上の他の金属陽極と、導電体、例えば金属又は炭素からなる陰極と、を用いる。陰イオンが陽極の金属と不溶性塩類を形成せず、鉄よりも水素に対して大きい親和性を有するアルカリ塩溶液が電解質として用いられる。一連の変化の過程で、陽極における金属は溶解し、隣接した陰極を形成したアルカリ媒体と接触する。もし酸素が供給されたら、金属イオンが電解液中で対応する酸化物に変換され、該酸化物は、100nm以上程度の大きい平均粒径を有する粒子として溶液中に沈降する。特許文献5の一連の反応では、酸素の還元は起こらない。
特許文献6は、約0.5ミクロンから約10ミクロンの範囲の大きさの粒子を有する、細かく分けられた金属粉末、特にニッケル、銀、金及び白金族金属の粉末を製造するための方法を開示する。酸化物、水酸化物又は金属自体に細かく分けられるように、陽極が金属で製造される。陽極は、8から12の間の典型的なpHを有する、塩のアルカリ性溶液に浸され、上記金属と結合した場合に塩の陰イオンが溶解する。陰極は、触媒される空気電極である。陽極の表面で生じた金属イオンは溶液の水酸基イオンとは直接反応せず、不溶性の酸化物又は水酸化物が陽極の表面からかなりの距離で溶液中に形成されるため、電解質の再循環によって粒径が制御され得る。さらに酸化物又は水酸化物の粒径を増大させるために、固体物質の一部が、追加の酸化物又は水酸化物が沈着する核を与えるために処理が行われるセルに戻される。この方法の最終ステップは、細かく分けられた金属への金属酸化物又は金属水酸化物の化学的還元であって、例えばホルムアルデヒド又は転化糖を用いる。
特許文献7は、1ミクロンを超えない、特には1から1000nm、好ましくは5から100nmの粒径を有する金属酸化物又は金属水酸化物のような金属化合物の粒子を製造するための方法及び装置を開示している。用語“粒径”は、透過型電子顕微鏡を用いて観測される200個以上の粒子の体積平均粒径及びシャープな粒度分布を本明細書では意味し、安価な出発物質で始められ、簡易な製造設備を用いる。それに、超微細な金属化合物粒子のための出発物質としての金属イオンを含む電解液が陽極室に供給され、アルカリ性の電解液が陰極室に供給される。陽極と陰極との間に電圧が加圧され、陽極側の室からイオン交換層を通過して陰極側の室への金属イオンの移動が誘導される。超微細な金属化合物粒子は、陰極室のアルカリ性電解液内に沈降する。特許文献7に記載の方法での使用に適した金属の例は、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルリウム、セシウム、バリウム、タンタラム、タングステン、オスミウム、白金、金、水銀、鉛、ビスマス、セリウム、ネオジム、サマリウム及びユウロピウム、又はこれらの組み合わせ等である。
特許文献8は、1から500nmの範囲の平均粒径を有する、非結晶質の及び/又は結晶質の金属の、より具体的には、周期系の第三から第五主族又は第二族の金属の混合酸化物の製造方法を開示している。陰極区画の電解質で生じる(混合された)酸化物のそれら金属の有機電解質に溶解したイオンは、酸化剤としての空気の存在下において陰極で電気化学的に還元される。陰極区画は、陽イオン及び陰イオンを透過させる多孔質の分離隔壁によって陽極区画から独立しているが、該分離隔壁は陽極区画から陰極区画への基本的なハロゲンは通過させない。好ましくは、有機電解質は、アルコール、ポリアルコール又はその混合物及び誘導体、ケトン、エーテル、亜硝酸塩、有機炭酸塩及び芳香族化合物、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、トルエン等である。有機電解質は例えば約0.01から約2重量%の少量の水を含んでもよい。小さな気泡の形で導入される空気は、一方で陰極区画に酸化剤の微細な分布を与え、他方で、電解質を持続して混合することで陰極上での固体金属酸化物の形成を抑え、むしろ金属酸化物粒子が陰極から流され、電解質に分散されるようにする。
特許文献8には、1から500nmの範囲の平均粒径を有する非結晶質の及び/又は結晶質の混合された金属の酸化物の粒子を製造することが記載されているが、実施例では実際に得られた粒径が明らかにされていない。さらに、当該方法は有機電解質の使用に関するため、水溶液から金属イオンを回収するための例にふさわしくない。
金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む水溶性前駆体化合物から、金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む反応生成物を回収できる、経済的に実現可能な電気化学的方法が求められている。少なくとも1種の金属元素又は半金属元素を含む化合物又は2種以上の化合物の混合物の結晶質のナノ粒子の形で、上記金属元素又は半金属元素を回収できる、経済的に実現可能な電気化学的方法が特に求められており、該結晶質のナノ粒子は50nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下、もっとも好ましくは10nm以下、あるいはさらに5nm以下の平均粒径を有する。より具体的には、制御された粒度分布、好ましくは狭い粒度分布又は単分散であると言われる粒度分布を有する上記結晶質の粒子を製造することができる電気化学的方法が求められている。当該方法は、よく使われる金属元素又は半金属元素に加え、あまり使われないそれらを回収するのに適しているはずである。
米国特許出願公開第2006/0068026号明細書 国際公開第2012/115273号 米国特許出願公開第2011/042219号明細書 米国特許出願公開第2015/0200082号明細書 米国特許第3073763号明細書 米国特許第4067788号明細書 米国特許第6235185号明細書 米国特許出願公開第2004/0108220号明細書
Rao C.N.R.,Thomas P.J.,Kulkami G.U.,Nano crystals:Synthesis,Properties and Applications
したがって、本発明は、金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から、金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の反応生成物のナノ粒子、特には結晶質のナノ粒子を単離するための経済的に実現可能な方法を提供することを目的とする。
これは、請求項1の特徴部分の技術的特徴を有する方法に係る本発明によって達成される。
そこで、本発明の電気化学的方法は、
少なくとも50m/gのBET表面積を有する電気化学的に活性な多孔質物質を含むガス拡散電極を備える陰極が設けられた、電気化学的セルの陰極区画の水系の陰極液に水溶性前駆体化合物を供給するステップと、
前記陰極液のpHを、前記水溶性前駆体化合物のpKaよりも低いpHに調整するステップと、
前記ガス拡散電極に少なくとも1種の酸化剤ガスを供給するステップと、
前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上の混合物を含む陽イオンと反応できる1種以上の対応する過酸化物反応種、イオン反応種及び/又はラジカル反応種への、前記少なくとも1種の酸化剤ガスの還元を起こすことができる電気化学ポテンシャルに前記陰極をさらして、前記少なくとも1種の反応生成物としての30.0nm以下の、平均粒径を有する少なくとも1種のナノ粒子、特には平均結晶径を有する少なくとも1種のナノ結晶を形成させるステップと、
を含む。
さらに本発明が添付の図面で説明される。
本発明での使用に適した試験的な電気化学的半電池反応器の略図を示す。 電気化学的に活性な物質の孔内での反応及びナノ結晶形成を含む本発明に係る一連の変化を示す。 実施例1に関して、酸化剤ガスがない場合のガス拡散陰極を介して供給されるNの存在下でのバルク溶液からのCe3+イオンの除去効率を%で示す。 ガス拡散電極を介して供給される酸化剤ガスがなく、Nのみの場合の電気化学応答を示す。100kHzから3mHzの周波数域において20mVの振幅で測定された電気化学的インピーダンス分光分析(EIS)によって実施例1で得られた周波数応答を示す。 ガス拡散電極を介して供給される酸化剤ガスがなく、Nのみの場合の電気化学応答を示す。実施例1において1mV・s−1の走査速度で得られたサイクリックボルタンメトリ反応を示す。 ガス拡散電極を介して供給される酸化剤ガスがなく、Nのみの場合の電気化学応答を示す。無限の厚さのフィルムを横切った拡散限界(左)に関する典型的なEIS応答を示す。 ガス拡散電極を介して供給される酸化剤ガスがなく、Nのみの場合の電気化学応答を示す。電気活性物質の定められた量を有するフィルムを介した有限拡散による制限に関する典型的なEIS応答を示し、実施例1で、ひとたび消費されると、電極で補充されないか、かなりゆっくり補充される(右)。 ガス拡散電極を介して供給される酸化剤ガスがなく、Nのみの場合の電気化学応答を示す。実施例1での代表的な導電性の及び疑似導電性のCV応答を示す。 実施例1において、ガス拡散電極に供給される酸化剤ガスとしてのO存在下で、バルク溶液からのCe3+イオンの除去の程度を示す。 実施例1において、ガス拡散陰極を介して供給された酸化剤ガスとしてO存在下で、電極から放出され、溶液中に堆積した後の沈殿として回収される固体生成物に変化したCe3+イオンの回収効率(%)を回収生成物の乾燥重量に基づいて示す。 実施例1において、空気がガス拡散電極を介して供給される実験で得られた電気化学応答を示す。100kHzから3mHzの周波数域において20mVの振幅で測定された電気化学的インピーダンス分光分析(EIS)によって得られた周波数応答を示す。 実施例1において、空気がガス拡散電極を介して供給される実験で得られた電気化学応答を示す。1mV・s−1の走査速度で得られたサイクリックボルタンメトリ反応を示す。 実施例1において、空気がガス拡散電極を介して供給される実験で得られた電気化学応答を示す。電荷移動反応に関係がある変化を制限された吸着の典型的なEIS応答を示す。 実施例1で研究されたCe3+の様々な初期濃度に関して見られた結晶径を示す。CeO及びNaClの結晶径(220)を示す。 実施例1で研究されたCe3+の様々な初期濃度に関して見られた格子定数を示す。CeO及びNaClの格子定数を示す。20mg未満のCeで両方のパラメータに検出限界があった。 実施例1において、XRDで得られたものに合致する結晶径を有するCeOナノ粒子の特徴的な形態の証拠となる透過電子顕微鏡検査を示す。 図8の小さな結晶質ナノ粒子の、実施例1のより大きな大きさのナノ粒子への凝集の証拠となる透過電子顕微鏡検査を示す。 ガス拡散陰極を介して供給される空気が存在するバルク溶液からの種々の金属イオンの回収効率(%)を示す。 本発明に係る方法を実行するのに適した装置を示す。 実施例1で得られたナノ粒子の高解像度の透過電子顕微鏡検査(HRTEM)を示す。 異なる実験条件下においてTBABで得られた沈殿のIRスペクトルを示す。 TBAB実験に当初使用された試薬のIRスペクトルを示す。 TBACの場合のIRスペクトルを示す。 実施例7においてその場で水素が電気合成された場合の、過剰なIL存在下において沈降したナノ結晶を示す。大きさ0.1mmの範囲の小さな泡が見え、当該泡は、浮遊する物質の体積の10%より多くを占める。 TBAB30で得られたナノ結晶質生成物に関するXRDパターンを示す。 TBABの異なる濃度(モル比)で行われた実験の間に消費されたクーロンの電荷を示す。 モル比20においてTBABで形成されたナノ結晶質生成物のTGA特性を示す。 いくつかの酸化剤ガスの電気化学系列を示し、異なるガス拡散陰極物質(様々なタイプの炭素)の表面の電流密度分布がいろいろな定常状態還元電位で測定された。
陰極に供給された酸化剤ガスの還元が起こるように選択された電気化学ポテンシャルに陰極をさらすことで、陰極のガス拡散電極の電気化学的に活性な表面、言い換えると、陰極の電気化学的に活性な表面で、酸化還元変換を誘導できることを、発明者は見出した。この酸化還元変換は、一方では酸化剤ガスの還元に、他方では水溶性前駆体化合物に含まれる金属元素及び/又は半金属元素の高酸化状態へのその場酸化に関する。これは驚くべきことであって、通常は、金属元素及び/又は半金属元素の還元反応が陰極で起こることを、当業者は予期する。少なくとも1種の金属元素及び/又は半金属元素のその場酸化が起こるという仮定は、水溶液からの金属イオン又は半金属イオンの回収の度合いが増加する、すなわち反応生成物のナノ粒子、特にはナノ結晶の形成の増加とともに、電解液の導電性が低下する、という知見によって支持される。また、酸化された、正原子価を有する少なくとも1種の金属元素及び/又は半金属元素が陰極の電気化学的に活性な表面に少なくとも一時的に吸着することで、陰極液との界面を形成することを、発明者は見出した。
酸化剤ガスの還元が起こる電気化学ポテンシャル又は電気化学ポテンシャルの範囲は、当業者によく知られており、ネルンストの式で表される。ネルンストの式は、いずれかの時点での半電池の還元電位又は全電圧を標準電極電位、温度、活性、並びに使用される基礎となる反応及び種の反応商に関連づける式である。ネルンストの式は、次のように表される。
ここで、
Eは対象の温度での半電池の還元電位である。
は基準の半電池の還元電位である。
Rは一般気体定数であって、R=8.314472(15)JK−1mol−1である。
Tは絶対温度である。
aは関連のある種に関する化学活性であって、aRedは還元剤でaOxは酸化剤である。a=γにおけるγは種Xの活量係数である(活量係数は低濃度では1になる傾向があるため、ネルンストの式における活量は単に濃度によく置換される)。
Fはファラデー定数であって、1モルの電子あたりのクーロン数である。F=9.64853399(24)×10 Cmol−1
zはセル反応又は半反応で移動した電子のモル数である。
Qは反応商である。
室温(25℃)では、RT/Fは定数のように扱われ、セルに関して25.693mVに置き換えられる。
ネルンストの式は、多くの場合、自然対数よりも10を底とする対数(すなわち常用対数)で表され、25℃でセルに関して次のように記載される。
また、この式は次のようにpHの関数として表される。
ここで、mは次の反応に従う化学量論係数を表す。
(Pourbaix M(1976)Atlas of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions.NACE Cebelcor.Houston,Tx参照)
酸化還元変換がガス拡散電極の電気化学的に活性な層の活性表面、すなわち電気化学的に活性な層を形成する多孔質物質の外面と同様に、電気化学的に活性な物質の内面、言い換えると電気化学的に活性な多孔質物質の孔の内側の中の活性表面でも起こると、発明者は考えている。また、電気分極を停止する場合に、ナノ粒子、特にはナノ結晶の大部分を電解質に放出することによって、電気分極が停止した際、一連の変化が電気化学的に活性な物質の孔の中で起こるという事実が観察された。
この理論に縛られたくないが、陰極での酸化剤ガスの還元は、1種以上の過酸化物、イオン種及び/又はラジカル種、通常は多原子種の形成を引き起こし、これらは陰極の電気化学的に活性な表面に吸着され、これらの種は、電気化学的に活性な物質の孔の中に限定された局所環境をそこに生じさせる、と発明者は推測している。電気化学的に活性な物質の孔の中において、溶液及び電極の外面の両方とは異なる特徴的なpHと酸化還元電位とが生じる。上記の種での局所環境の過飽和が起こる。
さらに発明者は、少なくとも部分的な解離状態:
において、少なくとも1種の水溶性前駆体化合物が電解質、特には陰極液に溶解すると考えている。ここで、Mは金属元素、半金属元素、又は少なくとも1種の金属元素、半金属元素、若しくは上述の種の2種以上の混合物を含む正原子価を有する化合物の陽イオンを表す。少なくとも1種の金属イオン、半金属イオン又は少なくとも1種の金属元素若しくは半金属元素を含む化合物が+1、+2、+3の正原子価又は上記種について生じるかもしれない任意の他の原子価を有することが分かる。水性電解質に含まれる溶解した水溶性前駆体化合物の陽イオンが電解液から陰極に向かって移行又は拡散し、電気化学的に活性な物質の外面に付着又は吸着され、電気化学的に活性な物質の孔の中、特にその活性部位に吸着される。ガス拡散電極の電気化学的に活性な表面への正に帯電した陽イオンの付着は、いくつかの機序を介して起こり、吸着力、主にはファンデルワールス力に関与する。それに加えて、電気二重層が陽イオンを伴う活性表面に形成されることで、二重層で静電気吸着又は容量性吸着が可能になるが、可逆のイオン交換吸着、複合体形成又はキレート化及び他の種類の付着又は吸着が同様に起こり得る。
さらに発明者は、特に電気化学的な電位が電極に加えられた場合、電気化学的に活性な物質の表面に存在する少なくとも一部の官能基が少なくとも部分的に解離状態(C−R)で存在すると考えている。電荷を運搬する解離部位C−Rは、正に帯電した金属イオン又は半金属イオンのためにイオン交換部位を形成する。電気化学的に活性な層の表面は、例えば(C−RH)の形で弱プロトン酸部位を含み、これがC−RとHに解離する。ここで、Cは陰極の電気化学的に活性な層における活性部位を表す。
酸素のような酸化剤ガス又はその他の酸化剤ガスが存在すると、電気化学的に活性な表面での解離状態における活性部位の利用可能性が高められ、局所環境が極端なpH及び酸化還元条件で生じ、これは電解液のバルク及びむき出しの電極表面に見られるものと異なる。
そして、正に帯電した1種以上のイオン、すなわち金属イオン、半金属イオン、又は1種以上の金属元素又は半金属元素を含む化合物は、C−R部位又は酸化剤ガスの還元された種、例えば過酸化物ラジカル種、イオン種又は他のラジカル種のいずれかに直接吸着され、過酸化物ラジカルがもっとも活性な種になる。この結果、(多金属イオン ポリオキシラジカル)又は(多半金属イオン ポリオキシラジカル)が形成され、電気化学的に活性な部位及び過飽和している当該部位に吸着されると、陰極の電気化学的に活性な物質の表面で、少なくとも1種の金属イオン及び/又は少なくとも1種の半金属イオンを含む酸化された化合物の形成のための核形成部位として機能し得る。
例えば、セリウムイオン(Ce3+)の場合、これは次の反応を導く。
ガス拡散電極及び陰極の電気化学的に活性な表面は、外面に加えて電気化学的に活性な物質の孔に存在する活性表面を含む。電気化学的に活性な多孔質物質、特に炭素系の電気化学的に活性な多孔質物質を使用する従来のガス拡散電極では、多孔質物質が通常少なくとも50m/gの高いBET表面を有するので、孔の中に存在する活性表面が活性表面の非常に大きい部分をもたらす。したがって、本発明の電気化学的な一連の変化、すなわち反応生成物のナノ粒子、特にはナノ結晶の形成が電気化学的に活性な物質の孔で主に行われ、過飽和条件が酸化剤ガスの還元の間に形成される多原子のイオン又はラジカルを存続させる。結果として、電気化学的に活性な多孔質物質の孔における反応生成物の粒子の形成と成長とがその孔の寸法によって制限される。多孔質物質の性質に応じて、ナノ粒子、特にはナノ結晶の平均径が最大5nmに制限されることが多い。このため、電気化学的に活性な物質、特には多孔質物質のBET表面によって代表される電気化学的に活性な物質の孔の大きさの分布についての特化した選択によって、反応生成物のナノ粒子、特にはナノ結晶の大きさ、ひいては反応生成物の粒径を制御できる。
ガス拡散陰極が受ける電気化学ポテンシャルは、基準電極に対して還元電位であって、好ましくは水中で酸化剤ガスが安定である熱力学のpH−電位平衡領域より低く、より好ましくは水の熱力学的安定性の領域より低いが、なるべく水素の熱力学的安定性の領域内ではない。このように、水素が生じる水の電気分解が起こる危険性が最小化される。しかし、特定の実施の形態では、例えば、形成されるナノ粒子、特にはナノ結晶の目的とする用途がその場での水素捕捉又は貯蔵に関する場合、水素の形成は好ましい。
本発明に係る方法で形成され、上記反応スキームで概説された酸化金属陽イオン及び/又は半金属陽イオンが、周りの液体電解質の物理状態とは異なる物理状態で、電気化学的に活性な物質の孔における界面に蓄積することで、それらはそこから分離され得るようになっていることを本発明者は観測した。例えば、反応生成物は、固相又はコロイド相を形成する生成物の粒子として蓄積する。金属陽イオン又は半金属陽イオンの性質に依存して、例えば反応生成物は、結晶質の又は非結晶質のナノ粒子の形で界面に蓄積し、一連の変化が進むと時間経過とともに大きいサイズに成長し、電解質の物理状態とは異なる物理状態を生じさせる。そのため、反応生成物のナノ粒子が陰極及び電解質から単離され得る。反応生成物は、様々な物理的形態、例えば沈殿の形態、又はコロイド状ナノ粒子の形態、例えばコロイド分散の形態で放出される。電解質に放出された後で、さらに粒子が凝集し安定な固相、分離可能な沈殿、ゲル状、泡状又はピッカリング乳濁液状の相を形成し得る。
酸化状態の少なくとも1種の金属元素及び/又は半金属元素を含む反応生成物がガス拡散電極の電気化学的に活性な表面に付着又は吸着させる力の性質は、電気化学的に活性な物質の性質及び酸化化合物の性質で変わるため、ナノ粒子、特にはナノ結晶の形で反応生成物の電解質への放出がそれ自体で起こり、あるいは強制される必要がある。
金属元素及び半金属元素が様々な酸化状態をとり、そして酸化剤ガスの還元に起因する種により、陰極液から及び陰極から分離され得る相を生じさせる酸化状態において、1種以上の単原子イオン又は多原子イオンを含む反応生成物又は化合物を形成する。当業者は、水系の電解質に分離可能な相を形成する酸化化合物を同定でき、そして分離可能な相を形成可能な陰極液に関する適切な電位(又は酸化還元電位)及びpHを選択できる。Pourbaix“Atlas of electrochemical equilibria in aqueous solutions”、second edition、1974年は、標準条件でのいくつかの金属及びそれらの酸化物のイオン又は固体化合物としての溶解度と安定性を電位とpHの関数として開示する。酸素以外の酸化剤ガスに関するものも含む多様な種に関する理論的な図が本明細書に記載される根拠に基づいて不当な負担なしで構成される。当業者は、酸化剤ガスの電気化学的還元、さらに金属陽イオン又は半金属陽イオンの対応する酸化が起こる電気化学ポテンシャルを特定できる。これは、いくつかの酸化剤ガスの電気化学的系列を示す図18に説明される。
電位又は電気化学ポテンシャルを陰極で変化させることによって反応生成物の化学組成が制御されることが観察された。この理論に縛られたくはないが、酸化剤ガスのイオン種又はラジカル種が、帯電した電気化学的に活性な表面全体に拡散し、陰極の活性表面に付着している他の同様の種、例えば過酸化物ラジカルと集合すると、発明者は推測する。
先行技術で公知の電解液での結晶形成とは対照的に、この集合は、電気化学的に活性な物質の孔の中の活性表面等の電気化学的に活性な物質の活性表面上の局所的な過飽和と、その電気化学的に活性な表面に存在するイオン種又はラジカル種(例えば表面の過酸化物)の臨界核への成長と、を導く。
電気化学的に活性な物質の孔のサイズ分布に特化した選択によって、選択された結晶形での反応生成物のナノ結晶が得られ、その格子定数に影響を与えることができる。特にかなり均一な孔のサイズ分布を有する電気化学的に活性な物質を使用する場合、反応生成物のナノ結晶は、単分散のもの、又は少なくとも小さな粒径分布曲線を示すものが得られる。本発明の範囲内では、単分散は、複数の粒子の75%が最大5%、好ましくは最大3%、より好ましくは最大1%異なる粒径を有する複数の粒子を意味する。
陰極の電気化学的に活性な表面は吸着した反応性ラジカル及び/又は吸着した酸化剤ガスを含み、さらに水系の電解質はいくつかの溶解した酸化剤ガスを含むが、これは通常、電解質に存在するすべての金属イオン又は半金属イオンの完全な回収を保証するのに十分ではないだろう。したがって、水系の電解質に溶解した水溶性前駆体化合物からの、酸化状態で少なくとも1種の金属元素又は半金属元素を含む反応生成物の最大の回収を保証するために、さらには反応速度を最適にするために、陰極、特にはガス拡散電極への酸化剤ガスの供給が好ましい。実際、ガス拡散電極の疎水性側からガス拡散電極のガス室を経由して、ガス拡散電極及び陰極の電気化学的に活性な物質に向かって、電気化学的に活性な物質の中に、そして電気化学的に活性な物質を通って、ガス拡散電極に供給される酸化剤ガスが移行する。
本発明での使用に適した酸化剤ガスの例は、有機の、さらには無機の酸化剤ガス等である。本発明での使用に適した無機のガスの例は、オゾン、酸素、例えばCO等の炭素酸化物ガス、例えばNO、N等の窒素酸化物、ハロゲンガス、ハロゲン酸化物ガス、硫黄酸化物ガス、空気、バイオガス、煙道ガス、酸性ガス及び燃焼排ガス及び上記のガスの2種以上の混合物等である。しかし、好ましくは、経済的理由で空気が使用される。本発明での使用に特に適した他の酸化剤ガスは、酸化剤単原子ラジカル及び/又は酸化剤多原子ラジカルを形成することができるものであって、例えば酸素、オゾン、二酸化炭素等である。
特に好ましくは、酸化剤ガスは多原子イオン、多原子ラジカル又は多原子過酸化物を生じるように還元されるものであって、例えば次の表に挙げられたものである。
1種以上の好ましい多原子イオンが生じるように少なくとも1種の酸化剤ガスが好ましく選択され、特に1種以上の多原子イオンは酢酸塩(CHCOO)、アセチリド(C 2−)、炭酸塩(CO 2−)、過酸化物(O 2−)、リン酸塩(PO 3−)、硫酸塩(SO 2−)、硝酸塩(NO )の群から選択される。
他の好ましい実施の形態によれば、少なくとも1種の酸化剤ガスが、エーテル(例えば酸化エチレン、酸化プロピレン)、アルケン(例えばエチレン、プロピレン)、アルキン(例えばアセチレン)、又は共役ジエン(例えばブタジエン)又はこれらガスの2種類以上の混合物等の有機ガスの群から選択される。例えば、酸化エチレンはSHEに対して−1.2Vの電気化学ポテンシャルで還元される。他の有機ガスに関して、電気化学ポテンシャルは、当業者によって容易に決定される。
少なくとも1種の酸化剤ガスが、それ自体で、又は1種以上の例えばN、Ar又はHe等の不活性ガスとの混合物として、あるいは、これらガスの2種類以上の混合物として使用されてもよい。
ガス混合物内の少なくとも1種の酸化剤ガスの分圧は本発明で重要ではなく、幅広い範囲で変化してよい。しかし、酸化剤ガスの分圧又は酸化剤ガスの供給速度を変化させることで、少なくとも1種の金属元素又は/及び半金属元素を含む反応生成物の結晶の大きさを制御することができる。また、酸化剤ガスの分圧、特には少なくとも1種の酸化剤ガスの分圧を大きくするか小さくすることによって、特には、所定の結晶面に渡って測定されるX線回折で評価され、又は透過電子顕微鏡イメージングを用いて観察される反応生成物の結晶の平均格子定数を増加させたり、減らしたりするように制御できる。酸化剤ガスの分圧又は酸化剤ガスの供給速度を変化させることは、すなわち、電気化学的に活性な表面に蓄積し得る酸化剤ガスの量に、特には電気化学的に活性な多孔質物質の孔内の活性表面にある酸化剤ガスの量に影響を及ぼす。次に、ガス拡散電極のガス室へのガス供給速度を制御することによって、さらにガス拡散電極のガス室へ供給されるガスにおける酸化剤ガスの濃度を制御することによって、このガス量が制御される。酸化剤ガスとして空気が使用された場合、流速は通常、100から400ml/分の間で、好ましくは200から400ml/分との間で変化させる。
電解質における水溶性前駆体化合物の濃度は、本発明で重要ではない。しかし、水溶性化合物の濃度は、好ましくは少なくとも100ppmである。一連の変化の効率は、高い濃度ではほとんど改善されないため、一般に、水溶性化合物の濃度は、10g/リットルよりも高くない。したがって、陰極液の水溶性化合物の濃度は、好ましくは100から500ppmの間である。例えば、陰極液における水溶性前駆体の濃度は、水溶性前駆体が陰極液に供給される速度を変えることで変化させてもよい。水溶性前駆体の濃度の変化によって粒径、特には反応生成物の結晶の大きさが変わるため、反応生成物の粒径、特には結晶の大きさの変化が想定される場合に、この変化が特に行われる。粒径、特には結晶の大きさは前駆体濃度が増加するとともに大きくなり、粒径、特には結晶の大きさは、前駆体濃度が減少するとともに小さくなることを、発明者は見出した。
少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から回収され得る化合物の性質は、適切な酸化剤ガスの選択によって多様である。O又はOを含むガスが酸化剤ガスとして供給された場合、通常、化合物は金属イオン若しくは半金属イオンの酸化物又は混合酸化物の形をとる。CO又は窒素酸化物を含むガスが酸化剤ガスとして供給された場合、化合物は、炭酸塩、亜硝酸塩又は硝酸塩の形をとる。言い換えると、反応生成物の陰イオンの性質は、酸化剤ガスの妥当な選択によって変わる。
当業者は、電解質から単離される必要がある水溶性前駆体化合物の濃度に対して、酸化剤ガスの供給量及びガスの流速を適応させることができる。とりわけ、特には取り除かれる水溶性前駆体化合物の連続的な供給が行われる連続モードで処理がなされる場合に、ガスの供給速度を変えるのが望ましい。さらに、ガス供給は、陰極液で対流物質移動を生じさせ、水溶性前駆体化合物から電気化学的に活性な表面への金属イオン及び/又は半金属イオンの拡散を促進するだけでなく、酸化剤ガスの還元生成物、すなわち過酸化物イオン種及び/又は過酸化物ラジカル種の表面拡散に加え、付着した金属イオン及び/又は半金属イオン又はあらゆる中間反応生成物の表面拡散を促進し、その結果として反応速度を向上させる。対流物質移動を生じさせる他の適した方法が、当業者に知られており、例えば、撹拌機、ガス供給の使用、乱流状態を形成可能なスペーサ物質の添加である。
好ましい実施の形態では、ガス拡散電極及び陰極のための電気化学的に活性な多孔質物質としては、表面の官能基によって与えられる複数の活性部位を含む活性表面を有するように選択され、当該官能基は好ましくは、窒素含有部分、酸素含有部分、塩素含有部分又は硫黄含有部分の群から選択される1種以上の部分を含む。
最大の回収を保証するために、好ましい実施の形態では、陽イオンの水溶性化合物を供給する前に、陰極区画における電解質のpHが7.0以下、好ましくは固体の反応生成物の形成が当業者によって予期されない酸性条件のpHに調整される。より好ましくは、水溶性前駆体化合物を供給する前に、電解質のpHが水溶性前駆体化合物の酸又は塩の解離定数を下回るpH、さらに好ましくは5.0未満に調整される。通常、pHは少なくとも1.5であって、この値未満では一連の変化が遅くなりすぎてしまう。陰極液のpHが反応の過程でアルカリ性に次第に進み、しばしばイオンの金属化合物及び/又は半金属化合物の酸又は塩の解離定数を超えることを、発明者は見出した。特に陰極液の最終pHが4より上、多くは6又は7より上、より好ましくは9より上、もっとも好ましくは11より上の値まで上がってもよい。
本発明の方法に係る好ましい実施の形態では、弱プロトン性の電解質の所定量が陰極液に供給される。この結果、金属の酸化速度が速くなることを発明者は見出した。この理論に縛られたくはないが、陰極での酸化剤ガスからの反応性過酸化物種、イオン種及び/又はラジカル種の形成において、さらには水溶性化合物が陰極及び陰極液から分離される反応生成物へ変換される電気化学的な反応において、弱プロトン性の電解質が触媒又は共触媒として機能する、と発明者は考えている。共触媒は、反応種の利用可能性を高めることで、分離可能な化合物への金属陽イオン又は半金属イオンの酸化を促進させ得ることが見出された。さらに発明者は、弱プロトン性の電解質の添加が陰極液の導電性を増加させるだけではなく、陰極全体の電流密度も増加させ得ることを見出した。
さらに、弱プロトン性の電解質の存在は、酸化反応の過程における陰極液のpHの変動を最小に抑えるように影響する。これは、陰極及び/又は陰極液から容易には分離できない、例えば水溶性である化合物の形成を導く不必要な副反応の発生の危険を最小化するのに貢献する。この分離可能性は、方法が生物学的物質を用いる処理由来の反応生成物の単離に直結する使用又はそのための使用に適するものとして重要な利点をもたらす。
弱プロトン性の電解質の量は、幅広い範囲で変えられてもよいが、好ましくは10mMより少ない溶液、好ましくは1.5M以下の溶液であって、より好ましくは弱い電解質の濃度は、10から500mMの間で変えられることができ、最も好ましくはおおよそ100mMである。
弱プロトン性の電解質は、分離可能な化合物が形成されるpHの範囲に応じて、弱プロトン酸又は弱プロトン塩基のいずれかであってもよい。特に、弱プロトン性の電解質は、弱い多プロトン酸又は弱い多プロトン塩基であってもよい。
弱プロトン酸は、水中で部分的にだけ解離するプロトン酸である。
弱い多プロトン酸は、分子あたりに2個以上のイオン性プロトンを有する弱酸である。弱い多プロトン酸の解離定数は、次の式で表される。
好ましい弱プロトン酸は、2.0から8.0、好ましくは3.0から7.0、より好ましくは約7.0のpKaを有する。本発明の使用に適した弱プロトン酸の例は、弱有機酸及び弱無機酸、特には酢酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ギ酸、グリコール酸、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化アンモニウム、ホウ酸、硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化アンモニウム、及びこれら2種以上の混合物の群から選択されるもの等である。特に好ましい弱プロトン酸は、陰極液のpHよりも少なくとも1ユニット高いpKaを有するものである。
好ましい弱プロトン塩基は、6.0から12.00、好ましくは7.0から11.0のpKaを有する。本発明での使用に適した弱プロトン塩基は、アンモニア、トリメチルアンモニア、水酸化アンモニウム、ピリジン、及び酢酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ギ酸、グリコール酸、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化アンモニウム、ホウ酸、硫酸水素ナトリウム並びに炭酸水素ナトリウムの共役塩基、又はこれら2種以上の化合物の混合物の群から選択されるもの等である。
固体物質としての回収を保証するために、好ましい実施の形態では、陰極区画における電解質のpHは、固相の形成が当初は予期されない酸性条件に調整される。後で、反応の進行とともにpHがより塩基側に徐々に変えられ、懸濁液にコロイド粒子が現れてくる。
他の好ましい実施の形態では、イオン性の水溶性塩が、制御の目的、特には陰極液のイオン強度を増加させるために陰極液に供給される。アルカリ金属イオンを含む塩化物の塩が好ましく、NaClが特に好ましい。しかし、他の電解質が同じく使用されてもよい。1g・L−1よりも高いNaClの量が好ましく、より好ましくは加えられる量は10g・L−1より高く、もっとも好ましくは少なくとも30g・L−1である。
本発明に係る方法は、陰極区画における電解質の全体の導電性が、方法の過程で最小の範囲でのみ変化するという利点を示す。特に、全体の伝導性の事実上ないかほんの少しの低下が見られた。これはおそらく、陰極の電気化学的に活性な表面への水溶性前駆体化合物の少なくとも1種の金属元素及び/又は半金属元素を含む陽イオンの付着又は吸着のためであり、単離される正の価数のイオンのすべてが酸化され、特にはバッチ式の操作過程において分離可能な段階に変換されたときに、準安定なレベルに達することが概して予期される。
それでもなお、追加の電解質を供給することで、又は陰極液に二元電解質を組み入れることで、導電性に対するあらゆる望ましくない変化が相殺される。これは、本発明に係る方法が連続的に行われ、回収される金属イオン及び/又は半金属イオンの連続的な供給が行われる場合に、特に重要である。二元電解質の存在によって、電解質の導電性が少なくとも5mS・cm−1、より好ましくは20から80mS・cm−1、さらにいっそう好ましくは20から50mS・cm−1に増加してもよく、この結果、金属イオン及び/又は半金属イオンの除去の結果として導電性が変化する危険性が最小化される。
電気化学的に活性な物質からのナノ粒子、特にはナノ結晶の放出を促進するため、及び沈殿物の回収を容易にするために、陰極は分極反転を受ける。また、分極反転は、陰極から、そこに付着したあらゆる不要な残余を取り除くためにも使用される。これによって、陰極に供給された金属イオン又は半金属イオンの量の少なくとも10%を溶液から回収すること、より好ましくはその少なくとも40%を回収すること、及びさらにいっそう好ましくはその少なくとも80%を回収することが可能になる。
本明細書に記載された本発明に係る電気化学的方法は、水溶性前駆体化合物に含まれる上記の金属元素又は半金属元素を含む金属イオン若しくは半金属イオン又は陽イオンを回収することを可能にする。このため、回収率は実質的に完全で、その99.0重量%超の量である。通常、回収率は、前駆体化合物に存在する少なくとも1種の金属元素又は半金属元素の当初濃度の少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも80%、もっとも好ましくは90重量%より多く、あるいは99%超でさえある。
本発明に係る電気化学的方法は、様々な濃度の、種々の水溶性前駆体化合物を回収する構成部分に適している。
本発明は、対応する水溶性前駆体化合物の水溶液から様々な化合物を単離するのに適している。前駆体化合物は、例えば、C及びSiを除く、元素周期表のII、III、IV族、主要な遷移金属元素、アクチニド、ランタニドの群から選択される元素のイオンを含む化合物である。また、水溶性化合物は、化合物がP又はSを含む場合、I族元素の群から選択される元素のイオンを含む化合物であってもよい。また、水溶性化合物は、有機金属化合物若しくは複合体、又は有機化合物であってもよい。
好ましい実施の形態では、少なくとも1種の前駆体水溶性金属化合物が1種以上のアルカリ金属イオン、好ましくはLi、Na、K、Csイオンの1種以上、より好ましくはLi及び/又はNaを含有する前駆体化合物の群から選択される。第2の好ましい実施の形態では、少なくとも1種の前駆体水溶性イオン性の金属化合物は、アルカリ土類金属、特に好ましくはCa及び/又はMgの群から選択される少なくとも1種の金属イオンを含む。第3の好ましい実施の形態では、少なくとも1種の前駆体水溶性イオン性の金属化合物に含まれる金属イオンは、遷移金属、好ましくはSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、Tu、Re、Ir、Pt、又はAuイオンの1種以上、より好ましくはV、Mn、Co、Nb、Ag、Pt又はAuイオンの1種以上の群から選択される。第4の好ましい実施の形態では、少なくとも1種の金属イオンは、ポスト遷移金属、特にはAl、Ga、In、Sn、Tl、Biイオンの1種以上の群から選択される。第5の好ましい実施の形態では、少なくとも1種の前駆体水溶性イオン性の半金属化合物は、B、Si、Ge、As、Sb、Te、Se若しくはCイオン又はこの2種以上の混合物の群から選択される。第6の好ましい実施の形態では、少なくとも1種の前駆体水溶性イオン性の半金属化合物は、Li、Na、Ca、Fe、Mg、Al又はZrイオンの群から選択される。特に好ましい実施の形態では、金属イオン及び/又は半金属イオンは、H、Li、Na、K、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Al3+、Ag、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Cu及びこの2種以上の混合物の群から選択される単原子陽イオンの群から選択される。上述の主要な金属イオン及び/又は半金属イオンが本発明に係る方法で使用されてもよいが、その一部に関して、特にNa及びKは、さらに他の金属イオン及び/又は半金属イオンとの混合物で使用される必要がある。
水溶性前駆体化合物は、正電荷を有する1種の単一タイプの金属イオン、半金属イオン又は元素を含む前駆体化合物として供給されるが、本発明の範囲では、正電荷を有する金属イオン、半金属イオン又は元素の2種以上の混合物を含む組成物も同様に供給されてもよい。単一の金属イオン又は半金属イオンが供給される場合には、前駆体水溶液から分離される反応生成物は、好ましくは酸化状態の1種の単一の金属又は半金属を含有する化合物である。電解質が正電荷を有する2種以上の金属イオン、半金属イオン又は元素の混合物を含む場合、反応生成物は、酸化状態の化合物の混合物を含み、すべての反応生成物は、例えば式Mに対応するが、それは金属化合物又は半金属化合物の混合、例えばMを含んでもよい。しかし、1種の前駆体化合物を含む主原材料(matrix)又は2種以上の前駆体化合物の混合物を含む主原材料が供給されることも本発明の範囲に含まれる。
本発明に係る第1の実施の形態では、前駆体化合物から形成される反応生成物は結晶性酸化物ナノ粒子、限定されないが例えばCeO、La、Co、Al、CsO、LiO、CoFe、FeAsO、若しくはその不定比の形態又はその水和した形態を含んでもよい(例えば、CeO1.75)。第2の実施の形態では、反応生成物は結晶性炭酸塩ナノ粒子、限定されないが好ましくはNaLa(CO、NaHCOあるいはその不定比の形態又はその水和した形態を含んでもよい。本発明に係る第3の実施の形態では、分離可能な化合物は、非晶質の若しくは結晶質の金属酸化物ナノ粒子の混合物又は混合酸化物を含んでもよい。本発明に係る第4の実施の形態では、イオン液体のような追加のイオン性化合物が陰極液に供給されてもよい。当該イオン液体があることによって、反応生成物の構造は、その分解物のイオン液体生成物、限定されないが例えば塩化テトラブチルアンモニウム(terbutylammonium)又は塩化テトラブチルアンモニウムを含む。驚くべきことに、構造が完全には解明されていないがイオン液体を供給することで泡状の反応生成物が得られることが見出され、これは形成された反応生成物のIRスペクトルによって確認された。
反応生成物の粒子は、多様な物理的形状、例えばコロイドナノ粒子の形で、例えばコロイド分散、粒子又はゲル様の分離可能な沈殿、泡様の又はピッカリング乳濁液様の相の形で放出される。通常、安定な分散又はゲルが得られる。安定性を改善するために、粒子の分散又は懸濁が高周波音による分解又は超音波処理を受けてもよい。別の変形によれば、都合のいい任意の時点で1種以上の添加剤が水溶性前駆体化合物に、陰極の電解質に、懸濁液又は分散に添加されてもよい。添加剤は、分散剤、安定化剤、界面活性剤、ポリマー、コポリマー、乳化剤、架橋結合剤、キャッピング剤、及びフリーフロー剤又はその混合物の群から選択されてもよい。この添加は、ナノ粒子、特にはナノ結晶の成長を止めるため、ナノ粒子の凝集の危険性を減らすため、安定な分散を得るために行われる。
本発明に係る好ましい実施の形態では、陰極の一部を形成するガス拡散電極の電気化学的に活性な物質は、好ましくは弱プロトン酸官能性を有する複数の活性部位、すなわち水中で部分的にのみ解離する活性部位を有する活性表面を含む。様々な電気化学的に活性な物質がこれを達成するために用いられる。好ましいのは、プロトン酸官能基を含む表面を有するこれらの物質である。特に好ましいのは、炭素を起源とする導電性粒子を含むこれらの物質であり、より好ましいのは、複数のプロトン酸基を含む触媒的に活性な表面を備える、炭素を起源とする導電性粒子を含むこれら物質である。プロトン酸の官能基が触媒的に活性な表面に存在し、特にはR−Hの類の酸性の官能基が対応するpHで部分的に解離すると考えられている。また、解離した表面基C−Rが高い酸素親和性を有し、そのため金属イオン又は半金属イオンの酸化に介入すると、発明者は考えている。
電気化学的に活性な物として、幅広い導電性物質が使用されてよいが、多孔質物質、特には弱プロトン酸官能基を含むものが好ましい。そのような物質の例は、当業者によく知られており、多孔質の金属及び半金属等であって、例えば、とりわけ、多孔質のニッケル又は銅、多孔質の炭素系物質、多孔質のイオン交換樹脂、カーボンエアロゲル、シリコン、導電性ポリマー、導電性の泡又は導電性のゲル等である。電気化学的に活性な表面としての多孔質の炭素系物質の使用又は電気化学的に活性な表面での多孔質の炭素系物質の使用が好ましいのは、他の物質と比較して、妥当であるコストと十分である利用可能性に加えて触媒活性があるためである。適した物質の例は、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック、アセチレンブラック、バルカンのような活性炭又は合成炭素等である。本発明での使用に適した他の電気化学的に活性な物質は、その触媒活性及び反応媒体との適合性を適応させるために表面が化学的に修飾された炭素質物質等である。この理論に縛られたくないが、酸素含有官能基の存在は、酸化反応を支えると考えられている。特に好ましい炭素物質は、キノン型官能基を有する表面を備える。
電気化学的に活性な層としての使用に適した多孔質物質は、好ましくはASTM D5665に記載されたBET法で測定された高い比表面積を有し、特に少なくとも50m/g、好ましくは少なくとも100m/g、より好ましくは少なくとも200又は250m/g、もっとも好ましくは少なくとも400又は500m/gのBET表面積を有するが、それらは、750又は1000m/g又はそれ以上の表面積を有するものでさえも特に好ましい。電気化学的に活性な層としての使用に特に適した多孔質物質は、炭素を起源とする粒子等であって、小さなBET表面積を有するものも含むが、好ましいものはBET法で測定された高い比表面積を有し、特には、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック、活性炭又は合成炭素の群から選択される炭素質粒子である。好ましい導電性炭素質粒子は、少なくとも50m/g、好ましくは少なくとも100m/g、より好ましくは少なくとも200又は250m/g、もっとも好ましくは少なくとも400又は500m/gのBET表面積を有するが、750又は1000m/g又はそれ以上のものでさえも特に好ましい。
好ましくは、活性炭は、75から300ミクロン、好ましくは100から250ミクロンの範囲の粒子サイズを有する。
電気化学的に活性な層としての使用に適した多孔質物質は、好ましくは陰極に連続的な層を形成する。それに、電気化学的に活性な物質の支持体として機能するポリマー物質から製造できる。
他の好ましい実施の形態によれば、電気化学的に活性な多孔質物質は、水系電解質で分散可能又は流動性を有する固体である。ここで、固体が上述の物質の1種以上から製造される。
本発明に係る方法では、好ましくは多孔質のガス拡散電極を備える陰極が使用され、そのガス拡散電極の一面が、酸素の過酸化水素への還元を触媒することに関して活性な少なくとも1種の電気化学的に活性な物質、又は酸素の過酸化水素への還元を触媒できる少なくとも1種電気化学的に活性な物質を含む層を備える。好ましい活性物質は、上述されている。また、反応速度を上げるために、少なくとも陰極のガス区画で対流物質移動を生じさせてもよい。
本発明に係る方法は、幅広い用途での使用に適している。本発明に係る方法は、例えば、選択された粒径分布で、選択された結晶形態の、選択された格子定数を有する、選択された物質のナノ結晶を製造することに使用される。また、本発明に係る方法は、水溶液から金属イオン又は半金属イオンを回収することに用いられ、例えば、特には電子材料の破壊から得られる貴金属を水溶液から回収するために適した方法を提供する。
本発明で得られる、ナノ結晶の形の反応生成物は幅広い用途を有する。例えばセリウムを含む反応生成物に関して、CeO又はCeO1.75等の亜酸化物が形成され、これは酸素又は過酸化水素のような酸化剤の捕捉に特に適している。酸素捕捉剤としてのそれらの使用には、画面封止剤への添加剤として特に電子工業が関心を寄せる。過酸化水素捕捉剤としてのそれらの使用には、限定されないが例えば、白髪の防止又は回復のために毛嚢で自然発生した過酸化物を捕捉することに対して化粧品工業が特に関心を寄せる。多くの他の用途の中で、他の組成物、例えばイオン液体との反応で生じたものは、水素又はCOの捕捉剤として用途を有する。
また、本発明は、上記方法で得られたナノ結晶の少なくとも1種の凝集体粒子を含む組成物に関し、ナノ粒子、特にナノ結晶は、粒子サイズ、特には0.2から30.0nmの結晶サイズを有する。結晶質の生成物が得られた場合、ナノ結晶は通常、1.0から18.0nmの格子定数を有し、形成される凝集体粒子は30nm以下の平均粒径を有する。反応生成物は水媒体中で反応生成物の分散の形をとり、1.0から30.0重量%、好ましくは5.0から10.0重量%の固体含量を有する。水媒体は、電解質、水又は水溶液を含んでもよい。
また、本発明は、少なくとも1種の金属元素、半金属元素又はその2種以上を、その水溶性前駆体化合物を含む水溶液から選択的に単離するための方法に関し、該方法は上述のように用いられる。
さらに本発明は、金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から、少なくとも1種の反応生成物として1種以上のナノ粒子、特にはナノ結晶の形態の、前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上を回収するための装置に関し、該装置は、
前記水溶性前駆体化合物のpKaよりも小さいpHを有する、水系の陰極液中で少なくとも部分的に溶解する前記水溶性前駆体化合物を、少なくとも50m/gのBET表面積を有する電気化学的に活性な多孔質物質を含むガス拡散電極を備える陰極が設けられた、電気化学セルの陰極区画に供給する手段と、
前記ガス拡散電極に少なくとも1種の酸化剤ガスを供給する手段と、を備え、
前記陰極は、前記金属元素、前記半金属元素、又は該金属元素若しくは該半金属元素を含む陽イオン、又はその2種以上と反応できる1種以上の対応する過酸化物反応種、イオン反応種及び/又はラジカル反応種への、少なくとも1種の酸化剤ガスの還元を起こすことができる電気化学ポテンシャルを有して、前記少なくとも1種の反応生成物としての少なくとも1種のナノ結晶、特には、30.0nm以下の平均結晶径を有する少なくとも1種のナノ結晶を形成する。
本発明に係る方法を実行するのに適した装置が図11に示されている。図1に示された装置は、少なくとも1個の陽極区画5と少なくとも1個の陰極区画15とを備える電気化学セルを備える。必要に応じて、複数の陽極区画と陰極区画とがあってもよい。複数の陽極区画と陰極区画とを備える場合、イオン透過膜によって分離されたスタックを形成する複数の別の陽極及び陰極とともに、それらは好ましくは単極配置に配列される。単極設計では、スタックを形成する電気化学セルが外部に接続され、陰極が陽極と同様に電気的に並列に接続される。
陽極すなわち陽極1は、水性陽極液流体2を備える陽極区画に浸される。陰極すなわち陰極10は、水性陰極液流体12を備える陰極区画に浸される。陽極区画及び陰極区画は流体連結されて、陽イオンの輸送、特には陽極区画から陰極区画への陽子の輸送及び陰極区画から陽極区画への陰イオンの輸送が可能になる。陽極液流体としては、当業者によって適していると考えられるあらゆる陽極液が用いられてよい。特に電気化学還元反応で慣例的に使用されるいずれかの水性電解質が用いられてよい。陽極液は、例えば硫酸塩、リン酸塩、塩化物及びこれら化合物の2種以上の混合物の群から選択される電解質の水溶液を含む。陽極液室は、陽極液流体を送り込むための供給部材を備える。陰極液室は、陰極液流体を送り込むための供給部材を備える。陰極液は陽極液と異なってよいが、陽極液と陰極液とが同じであってもよい。適切な陰極液物質は当業者によく知られたもの、例えば硫酸塩、リン酸塩、塩化物及びこれら化合物の2種以上の混合物の群から選択される電解質の水溶液等である。
陽極区画5及び陰極区画15は、当業者によって適していると考えられるあらゆる物質で製造されてよいが、好ましくはポリマー物質で製造される。適した物質は、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(EFTE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン、ポリカーボネート及びこれら化合物の2種以上の混合物又は複合体等である。
少なくとも1個の陽極区画5及び少なくとも1個の陰極区画15は、好ましくはイオン透過膜11によって互いに分離され、両区画間での陽イオンと陰イオンとの交換が制御される。好ましいイオン透過膜は、合成ポリマー物質を含む、イオン透過膜は一方で陽イオン、特には陽子が陽極から陰極区画へ移動することを確実にし、他方でガス障壁として機能するとともに、いわゆる化学的ショートカットの発生を防ぐ。また、イオン透過膜は、陰極区画における陰極液のpH低下の発生を防ぐ。イオン透過膜としての使用に適した物質は、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はテフロン(商標))、ポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエテン)(EFTE)、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリ硫化フェニレン、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホン樹脂、ペルフルオロロビニルエーテル(PFVE)、トリプロピレングリコール、ポリ−1,3−ブタンジオール又はこれら化合物の2種以上の混合物又はこれら化合物の1種以上を含む複合体、そして、イオン伝導率を上げるためにポリマーの溶液に金属酸化物及び/又は金属水酸化物を分散することで得られる複合体等である。また、イオン透過膜は、必要に応じてイオン交換物質を含む。
構造的完全性を向上させるために、陽極区画5と陰極区画15とを分離するイオン透過膜11が固定支持体で強化されても良い、例えば固定支持体は、織られた又は織られていないシート、フリースで製造され、あるいは多孔質のポリマー、織編物若しくは金属繊維の網、あるいは織られた又は織られていない構造に形成された金属繊維であってもよい。
本発明に係る装置で使用される陰極10は、好ましくはガス拡散電極であって、水への酸素の限られた溶解性を考慮して、陰極にある電気化学的に活性な表面への酸化剤ガスの十分に多い物質移動、及び十分高い反応収率を確かにする。ガス拡散電極は、好ましくは、電流分配器の上端に配置された電気化学的に活性な表面4に電流を供給するための電流密度分配器3を備える重層化された電極である。
電気化学的に活性な物質4は、好ましくは、高い導電性を有する物質である。これによって、電気化学的に活性な物質が電流密度分配器から電子を奪い去り、又は電流密度分配器に電子を持っていくことができる。
電気化学的に活性な表面は、任意の導電性物質又は広い表面積を有する複合体物質で形成されてよい。このような電極物質の例は、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭素繊維、炭素布、カーボンエアロゲル、グラフェン、例えばニッケル等の金属粉末、例えば酸化ルテニウム等の金属酸化物、導電性ポリマー、及び上記のいずれかの混合物等である。基板が必要とされないように電極全体が十分に多孔質で導電性であってもよいことが理解されるべきである。また、例えば白金、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、又は当該金属のいずれかの合金等の導電性コーティングで被覆された非導電性物質で基板が形成されてもよいことが、理解されるべきである。広い表面積は電圧が最小化されることを可能にする。イオン性電解質に多孔質部分を接触させることで、帯電したときの電極の見かけの容量がかなり大きくなり得る。
本発明に係る装置における陰極10として使用されるガス拡散電極は、好ましくは電流密度分配器3を備え、電流密度分配器3は当業者にとって適していると考えられるあらゆる物質及び形態で製造されてよい。しかし、好ましくは、円周状の導電性フレーム内に、又は複数網の列内に網を収容した、電気網型の電流密度分配器が使用されてもよい。電流密度分配器は、電流密度分配器に電気エネルギーを供給するために電流供給線に沿って電源に接続される。網は複数の導電性の進路を含む。網は、例えば複数の穿孔又は孔を有する平板、網、薄片又はシート等の任意の適した金属の構造で形成されてもよい。さらに、網は、適切な導電性物質、例えばステンレス鋼、グラファイト、チタニウム、白金、イリジウム、ロジウム、又は導電性プラスチックで形成されてもよい。さらに、金属は被覆されていなくても、被覆されていてもよい。1つの例は、白金で被覆されたステンレス鋼の網である。1つの実施の形態では、網はチタニウム網である。他の実施の形態では、ステンレス鋼の網、グラファイト平板、又はチタニウム平板が使用される。用語“網”は実質的に長方形で導電性ワイヤの配向と絶縁線を有する四角形の網を意味するが、網は管状、又はらせんフィルム、又は別の形状をした三次元物質であってもよい。本発明での使用に適した網のさらに他の型は、非導電性物質で形成され、電流の流れに平行な方向に織り合わされた導電性物質の複数のワイヤ又は線を有する、孔の開いたシート、平板又は薄片等である。本発明での使用に適した網の他の型は、電流の流れに平行な方向に伸びる、孔の開いたシート、平板又は薄片等に押し付けられた導電性物質の糸/ワイヤ等である。
電流密度分配器3の一面は、酸化剤ガスの還元を触媒することができる電気化学的に活性な表面4で被覆されてもよい。電気化学的に活性な物質4の層、すなわち、上記のように酸化剤ガスの還元において触媒的に活性である層は、好ましくは、電流密度分配器のガス相に面した側に適用される。通常、電気化学的に活性な表面は、一方の表面が電解質(すなわち電流分配器に面する側)であり、他方の側が撥水剤(疎水性ガス拡散)層13である界面を有する。
好ましくは、装置は電気化学的に活性な層を備える陰極側に酸化剤ガスを供給するための供給部材を備える。
陰極区画は、好ましくは電気化学的に活性な層を備える陰極側の反対側に、少なくとも1種の弱プロトン電解質、好ましくは水性電解質を供給するための注入口を備える。好ましくは弱プロトン電解質の流速は可変である。
電気化学的に活性な表面4は、電極を介してガス相に水が漏れる恐れを最小化するために、ガス相13に面する側が撥水剤層13又は疎水性のガス拡散層で被覆されてもよい。また、この疎水性層又は撥水剤層13は、電気化学的に活性な表面4の上端に配置されてもよい。撥水層としての使用に適した物質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はテフロン)、PSU等であるが、当業者によって適していると考えられる他の物質が同様に用いられる。
本発明に係る装置に用いられる陽極1は、従来の電極であってもよく、あるいは陰極と同様のガス拡散電極であってもよい。陽極液のpHは好ましくは酸性で、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、もっとも好ましくは3以下であるが、1.5よりは小さくない。通常、電解質は少なくとも1.0mS/cmのイオン伝導率を有するが、それは実用では70〜100mS/cmに達する。
本発明が以下の実施例でさらに説明される。
実施例1
材料と方法
化学品
活性炭としてNorit Americas社のNorit(商標) SX1Gを使用した。フッ化エチレンプロピレン樹脂(テフロン(商標) FEP8000)はDupontから得られた。アルゴン下でアンプル封入した極めて乾燥した結晶質のCeCl 99.99%(REO)がAlfa Aesarから得られた。KHPOはMerckから入手された。35%のHCl、CeN・6HO 99.99%微量金属基礎原料、及び分析グレードのKIはAldrichから購入された。50% NaOH、分析グレードのフタル酸水素カリウム(KHP)、及び分析グレードの(NHMo24・4HOがMerckから得られた。
電気化学セルの組み立て
実験は、半電池電気化学反応器(図1)で行われた。陰極半電池は、陰極、基準電極及び対電極から構成された。Ag/AgCl 3M KCl(+200mV vs SHE)が基準電極として用いられ(Koslow Scientific)、一方でチタニウム(Ti)プレートの上にレーザー溶接で固定されたPtディスクが対電極として使用された。ここで報告されるすべての電位は、Ag/AgCl 3M KCl基準電極に対して正確である。陰極と対電極は、液体電解質と分離膜Zirfon(商標) (AGFA)で隔離される。使用電極と対電極は互いに4cmの距離で隔離されており、膜はちょうど中間(各電極から2cm)に調整されている。Zirfon(商標)の主要な機能は、対電極で最終的に発生した酸素が使用電極に到達することを防ぐことである。電極と隔離体は、推定で10cmの電極表面積を有していた。不活性ガス又は反応ガス(それぞれN又は空気)の流れは、それぞれ個別の実験で陰極ガス区画に通された。ガス流速は、すべての事例で400mL/分(過剰)に設定され、10mbarの超過圧力が加えられた。電解質の供給は、陰極区画及び対電極区画を通ってデュアルヘッド蠕動ポンプ(Watson−Marlow)で、約100mL/分の流速で独立に循環された。上記条件下での液体及びガスの流れは、層流プロファイルに一致する。
実験の電気化学半電池反応器の略図が図1aに示されている。
ガス拡散電極
集電体(金網)と、多孔質ポリマーマトリックスの埋め込まれた活性炭で製造された活性層と、疎水性のガス拡散層と、から構成される多層のVITO CORE(商標)電極が使用された。活性層及び疎水性ガス拡散層(GDL)の両方にPVDFがポリマー接着剤として使用された。疎水性バッキングにおける疎水性粒子は、FEP8000とした。典型的なGDLは、50重量%のPVDFと50重量%のFEP8000とから構成される。無触媒陰極のための活性層の組成は、80重量%の活性炭素と20%のPTFEとである。他には、触媒電極が使われてもよく、例えばそれは76重量%の活性炭素と、4重量%のCeOと、20重量%のPTFEとであって、一連の変化の効率を改善するが、目的とする合成を行うのに必須ではない。
電解質の組成
陰極ガス区画において、独立した電極が空気又はNの存在下でガス拡散陰極としてそれぞれ試験された。脱塩水に溶解された30g/L NaClと10mMの酢酸ナトリウムからなり、HClでpH2.7に調整された陰極の電解質に、CeN・6HOが加えられた。酢酸ナトリウムは目的の合成を行うのに必須ではないが、その速度に影響する。異なるCeN・6HOの濃度、0ppm、100ppm、500ppm、1000ppm、2000ppm、3000ppm、5000ppm及び10000ppmが独立して評価された。対電極(陽極)区画の電解質は同様であるが、Ceを添加しなかった。実験は、室温(18±2℃)で行われた。
電気化学操作と特徴づけ
Bio‐Logic VMP3定電位電解装置/ガルバノスタット及び周波数応答分析装置が電気化学的測定を行うために使用された。EC‐Lab v.10.23ソフトウェアがデータ収集に用いられた。定電位電解法の実験が120分間、基準電極に対して−0.350Vで行われた。その時間内に定常状態に達した。金属回収過程の効率を間接的に評価するために、電気化学的インピーダンス分光分析(EIS)及びサイクリックボルタンメトリ(CV)が分極の前後で記録された。
−0.350VでのCA実験の間に、O電気化学的還元後のHの生成が、本明細書に提案された電極及び電解質で行われる。(Pourbaix図表に示されたように)ここで検討された範囲内のpHの水媒体でのCeの還元に関する熱力学的状態は、−2.7Vより低い電位でのみ起こるため(Pourbaix、1974)、これらの条件では金属性Ceの電着が予期されない。それでも、解離したCe3+イオンの陰極への移動は、主に拡散によることが予期され、続いて多孔質な電極の活性部位に吸着する可能性がある。さもなければ、水素を生じる水の電気分解が本実施例の条件で起こり得ない。
電気化学的インピーダンス分光分析(EIS)が、10mVの振幅を用いて、定常状態の分極電位(−0.350V)において、3kHzから3mHzの周波数範囲で10を底とする対数間隔あたり6点で記録された。安定性、線形性、因果関係及び有限性を保証するために細心の注意が払われ、信頼性のある有効な電気抵抗データが得られた。EIS反応は、短くとも1時間で電流の変動が±10μA未満であることが検出された場合にのみ記録された。全体の電気抵抗検査の時間は、約19分とした。線形性は、オンライン接続されたオシロスコープを介して観測されるリサジュー図形でひずみがないことをリアルタイム追跡することで検証された。EISの記録の間、偽の(ノイズ)データが観測されないことで因果関係が確かめられた。データの妥当性はクラマース−クローニッヒ変換で検証された。対応するEIS測定の後、Ag/AgClに対して−0.450〜0.450Vの範囲の電位で、1mVs−1で2周においてCVが記録された。CVの第2周のみが本明細書で報告された。ここで行われた実験に関しては、IR落下補正はなされなかった。
濃度の分析
Aryal及びLiakopoulou−Kyriakides、2013年、3:117に開示されたように、溶液中のH濃度を決定するために分光光度法が用いられた。33gのKI、1gのNaOH及び0.1gの(NHMo24・4HOを500mLの脱イオン化された水の中で混合することで試薬Aが調製された。この溶液は、Iの酸化を阻害するために暗い状態に維持された。500mLの脱イオン化された水に10gのKHPを溶解することで試薬Bが調製された。セリウムを含まない、実験に用いられたものと同じ電解質に溶解された0〜3mgL−1の既知のH濃度から較正曲線(不図示)が準備された。3.0mLの試薬Aと3.0mLの試薬Bと3.0の標準試料をビーカーにピペッティングすることで、さらなる解析が行われた。混合物を5分間反応させてから、溶液の351nmでの吸光度を測定した(GSI Scientific Report.、2009年、Helmholtzzentrum fur Schwerionenforschung、2010−1)。
次の式に記載されるように、Hの計算された濃度は5つの平均較正曲線で得られた定量的結果の平均である。
351=0.3687CH2O2=0.9991
ここで、CH2O2は、過酸化水素の濃度(mgL−1)を表し、A351は351nmで記録された吸光度を意味する。
濃度が既知のものの他に、電気化学的特性評価後に対象の試料が得られ、標準と同様の方法で分析された。
X線回析
粉末X線回析(XRD)試験が回析計PANalytical X’Pert Proを用いて、40kVにおけるCuKα(λ=1.5405Å)で行われた。条件は、4秒/ステップ;ステップ=0.04°及び連続読み取りとした。湿潤な沈殿が単結晶に置かれた。試料は湿潤及び乾燥の両方で評価された。それらの間に大きな違いはなかったため、本明細書では、乾燥試料に関する値のみが開示される。
データベースと比較することで結晶相が同定された。結晶径(D)がシェラーの式(式8)を用いて計算された。
ここでBはシェラー定数(0.89)で、λは、X線ビームの波長(1.5405Å)で、β1/2は回析ピークの半値全幅で、θは回析角である。
NaCl及び酢酸ナトリウム(CHCOONa)を定められた濃度で含む個々の水溶液に様々な濃度のCe(NO)3・6HOが加えられた(すなわち、それぞれ0mg・L−1、100mg・L−1、500mg・L−1、1000mg・L−1、2000mg・L−1、3000mg・L−1、5000mg・L−1、及び10000mg・L−1)。各電解質のpHは、HClで2.7に固定された。無色溶液が全ての場合で形成された。Ag/AgCl(3M KCl)に対して、−0.350Vの定電位が上記の陰極に適用された。N又は空気が一定の流速(約400mL・分−1)でそれぞれ独立した実験において供給された。このような操作条件下で、水の電気分解が避けられたが、GDEを介して空気を供給した場合、陽子及び電子が利用可能になってOが電気化学的にHに還元される。
電気化学的な分極が生じる前は溶液全体が電気的中性とみなされた。高濃度のNaClを考慮すると、移動によるイオン移送は起こりそうにもない。
電気的分極が陰極に起こるとすぐに、電気化学ポテンシャルの勾配が半電池に渡って生じる。当初、濃度勾配がないため、いくつかの正に帯電したイオンの移送は、平衡した溶液から多孔質の陰極の表面に向かって進むことができ、それゆえに電位が調節された電気的吸着によって補足され、電気二重層の拡散部分に容量的に蓄積された。
図2は、ガス拡散陰極を介して供給されたNの存在下かつ酸素ガスの非存在下でバルク溶液からのCe3+イオンの移送の程度を示す(%での除去効率)。除去効率(%)は溶液中のCe3+の初期含量(CeT,i/mg)の関数として算出された。
CeT,f(mg)は溶液中のCe3+の最終含量を表す。
水性媒体にCe3+が供給されない場合(0ppm)、濃度勾配が開始された結果として、他の電極の空隙への拡散によって多孔質電極の微構造内でのNaの移送が延長される。さらに、Naがバルクにおけるその最も高い濃度で利用可能であった。動的平衡に達するまで、全体でこれは、Na移送に関する律速段階としてGDEの全体の空隙におけるバルクからEDLへの拡散を確立する。
図3は、ガス拡散電極を介して供給される酸化剤がなく、Nのみが供給される実験に関して得られた電気化学的反応を示す。図3aは、100kHzから3mHzの周波数域において20mVの振幅で測定された電気化学的インピーダンス分光分析(EIS)によって得られた周波数応答である。図3bは1mVs−1の走査速度で得られたサイクリックボルタンメトリ反応を示す。図3cとdは、無限の厚さのフィルムを横切った拡散限界(左)及び電気活性物質の定められた量を有するフィルムを介した有限拡散による制限に関する典型的なEIS応答を示し、ひとたび消費されると、電極で補充されないか、かなりゆっくり補充される(右)。図3eは代表的な導電性の及び疑似導電性のCV応答を示す。
図3において、次の記号は示された実験に関する。
電気化学的インピーダンス分光分析(EIS)で得られた、この場合の周波数応答は、半無限の線形拡散の代表的なものであることがわかり(図3a参照)、これは大きな多孔質の陰極への自由拡散である。高周波数域では、EISは(実験の開始時に)典型的な定位相要素挙動から(実験の終了時に)空隙の閉塞の特性である疑似輸送抵抗へのシフトを示した(Kaiser et al、1976年、Electrochim.Acta,21,539)。サイクリックボルタンメトリでの反応は(図3b参照)、疑似導電性挙動を伴う多孔質の電極の特性であって(図3c参照)、Naの導電性蓄積を裏付けるが(Yang et al.、2003年、J Electroanal Chem 540:159)、一連の変化全体は拡散に限定される。いくつかのNaが静電的に吸着されると確かに考えられるが、EDLで実際に電気吸着され得る少量のイオンと水溶性マトリックスで極めて利用可能なそれらとの間での分極のために、そのバルク濃度(導電率として見られる)に実質的な変化は観測されなかった。
反対に、Ce3+を追加した場合に関して(Ce(NOの上記濃度100ppm〜10000ppmに対応する4mg〜403mgのCe3+)、消費されたら電極で補充されない、又はかなりゆっくり補充されるだけの定められた量の電気活性物質を含むフィルムを経由する有限の拡散によって、制限に関して周波数応答が独特になることが観測された(図3a参照)。
図3は、Ce(NO・6HOなし、あるいは10g・L−1のCe(NO・6HOを補充された系において得られたEIS及びCVデータを示すだけだが、電気化学的挙動は、陰極ガス区画でNが流れ、かつ100mgL−1程度の低いCe(NO・6HOの濃度でもCe3+が電極に補充される、すべての場合を代表する。
実験の最初と最後で、pHと導電性とが陰極液で観測された。Nが供給された場合(研究結果1)、それぞれ独立した実験において開始時のpH2.7が実験の終わりまでに約0.3±0.18増加した一方で、濃度に応じてわずかに減少した(2.8±0.2未満に減少した場合はなかった)。Ce3+なし(すなわち30g・L−1のNaCl+10mM酢酸ナトリウム)の場合の開始時の導電性は49.7±0.6で、実験の終わりまでに準安定に維持された(50.1±0.3)。これは、上記のような高いNaCl濃度では、NaClの濃度が実質的に変化しないことを示す。Ce3+を含む場合、分極の前に、導電性のいつもの上昇が濃度に応じて観測された。この場合、分極処理が行われた後、図2で観測された除去効率に十分に一致して導電性がわずかに低下した。これは、各実験の最後までに、導電性が30mg・L−1のNaClだけのものにほぼ一致した。
がGDEを通過する系に関して、Ce3+除去効率の平均は、25.42±12.14%であった(図2参照)。酸素又は他の酸化剤ガスの非存在下では、金属イオン(Ce3+)の除去された量が、電子顕微鏡法及びエネルギー分散型のX線分光学の解析によって特徴づけられるようなCl、S及びO基を含む表面機能で、多孔質の電極構造で主にイオン交換によって捕捉されたと考えられる。
ガス拡散陰極を介して酸化剤ガスとして供給されるO
多孔質な活性炭(NORIT SX 1G)で製造されたVITO CORE(商標)冷延ガス拡散電極(GDE)が用いられた。電極の材料である粉末の比表面積は約1000m・g−1である。多孔質な電極の形に形成されると、通常、活性炭層は、BET法に従って測定して621m・g−1〜745m・g−1の比表面積を有する(Alvarez−Gallego et al、2012年、Electrochim Acta、82:415、Sharma et al.、2014年、Electrochimica Acta 140 191)。
図4は、ガス拡散陰極を介して供給され、ガス区画を経由して流れて、ガス拡散電極を介して拡散している酸化剤ガスとしてのOの存在下での、バルク溶液からのCe3+イオンの移送の程度(除去効率%)を示す。この場合、図4に示すように、ほぼ全量のCe3+が溶液から除去されていた(平均99.47±0.53%)。先の場合に対して、除去効率が溶液中の金属の濃度に応じて増加しないことは、標準的な電気的吸着等の場合、イオン交換による吸着が支配的な現象ではないことを示している(研究結果1参照)。
ガス拡散陰極を介してOが供給された場合の除去効率は、Nのみが供給された場合よりもはるかに大きかった。
溶液からのCe3+の除去のみならず、安定な固相の形成も行われた。図5は、ガス拡散陰極を介して供給された酸化剤ガスとしてO存在下で、電極から放出され、溶液中に堆積した後の沈殿として回収される固体生成物に変化したCe3+イオンの回収効率(%)を回収生成物の乾燥重量に基づいて示す。
XRD及び以下に記載される微視的証拠で同定されるように、固相はCeOの等方性の単結晶で構成され、多孔質な活性炭ガス拡散電極(GDE)と近傍の水性電解質との間の界面に析出した。これらは溶液中に分散したコロイド状のナノ粒子として当初同定され、一連の変化が続くと凝集して沈降する。これらの一部は、バルク電解質に放出され、他は電極に付着したままで、電気分極を終えるか元に戻すとようやく放出される。
低いCe3+濃度でより高い回収率が得られた。低い効率は変換速度が低いためではないことに留意されたい。結晶質のナノ粒子の放出は、単なる逆流以外の他の手段でなされなかった。反転時間内に収集され得るそれらナノ粒子が定量された。この場合、分極反転が回収を促進する。
中間体、副生成物(例えば過酸化物O ・− (abs))及び電気合成されたHも役割を果たすと考えられる。図6aに見られるように、EISの挙動が吸着された中間体に伴う誘導電流反応(電荷移動)に特有なものであることがわかった(Wu et al、2012年、Chem Rev,112:3959)。Ag/AgClに対して−0.350VにおけるGDEでの制限された変化は、もはや導電性のイオン貯蔵又は電気吸着のみではなく、電極触媒還元であって、おそらくOがHに還元されることを、CV応答(図6b)はさらに示唆した。炭素材料における過酸化物中間体の形成につながる吸着に関する特有の速度限定的なEIS反応によって観測されたように、これはナノ結晶の形成に関する一連の変化がpH変化の結果として溶液中で起こるのではなく、電極触媒反応の結果として電極の空隙で起こることの証明の一部を構成する。電極の電気化学的に活性な物質の孔内の過飽和条件をもたらす過酸化物ラジカル等の吸着に反応機構が関与しないような場合に、非多孔質な金属触媒がガス拡散電極に組み入れられるならば、すなわち後の反応は観測されない。
図6は、空気がガス拡散電極を介して供給される実験で得られた電気化学応答を示す。
図6aは、100kHzから3mHzの周波数域において20mVの振幅で測定された電気化学的インピーダンス分光分析(EIS)によって得られた周波数応答を示す。
図6bは、1mV・s−1の走査速度で得られたサイクリックボルタンメトリ反応を示す。
図6c及びdは、電荷移動反応に関係がある変化を制限された吸着の典型的なEIS応答を示す。
図6の記号は以下の意味である。
図7は、研究されたCe3+の様々な初期濃度に関して見られた結晶径及び格子定数を示す。
図7aは、CeO及びNaClの結晶径(220)を示す。
図7bは、CeO及びNaClの格子定数を示す。20mg未満のCeで両方のパラメータに検出限界があった。
図8は、CeO触媒がある場合とない場合とでの過酸化水素の電極触媒生成の120分後の異なる酸素還元ガス拡散陰極についての時間に応じた定常状態電流密度を示す。N:Norit、V:バルカン−Norit、AB:アセチレンブラック−Norit。すべての電極は80%炭素混合物及び20%ポリマー(PVDF)から構成された。
結晶質生成物の結晶の大きさは、Ce3+の初期濃度に応じて勾配が異なっていたが、溶液中に存在するHの濃度に比例していた(図7a)。低いCe3+濃度ではCeOの結晶の大きさが小さくなる一方で、濃度が増加するに従って、結晶の大きさが大きくなった。CeOの結晶の大きさの平均は、3.5±0.337nmで、NaClのそれは45.1275±0.337であった。これはCeOが安定なpH、例えばpH>10でのNaClの再溶解、又は乾燥後の大きさでの排除(例えばスクリーニング)のいずれかによって、さらなる分離を可能にする。また、図7bに見られる格子定数が初期のCe3+イオンの濃度に応じて変化し、溶液中に存在するHの濃度に比例していた。Ce3+はHそれ自体の電気合成に共触媒の役割を果たし得る。
図8は、XRDで得られたものに合致する結晶径を有するCeOナノ粒子の特徴的な形態の証拠となる透過電子顕微鏡検査を示す。
図9は、図8の小さな結晶質ナノ粒子のより大きな大きさのナノ粒子への凝集の証拠となる透過電子顕微鏡検査を示す。
図8と9とは、実際に本発明に係る方法で形成された物質に特有の特徴を示し、その特性は、適用される物理化学的な又は電気化学的な条件を制御して変えることによって調整され得る。
ガス拡散電極の電気化学的に活性な層からナノ結晶を放出させるために、いくつかの技術が使用できる。好適な技術は、電極の極性を反転させること、電解質の流速を速めること等である。これらの技術が電解質へのナノ結晶の放出を引き起こす事実が、電解質溶液ではなく電気化学的に活性な層の孔で起こる一連の変化の付加的な証明である。実際には、電解質のpHを変えただけで得られた生成物の大きさと形態とを比較すると、違いが明確になる。ナノ結晶が得られず、代わりに非結晶質の生成物がXRDで評価した際に見える。さらに、本発明で得られた単結晶の生成物は、特徴的な単分散の泡様の形態を示し(図12及び14 HRTEM参照)、一方アルカリ性のpHまで塩基を単純に加えることで得られた生成物は、かなりの不均一性を示す。
実施例2
独立した電極が、(H、その多原子イオン又は多原子ラジカルへの還元のためにOを与えるべく)空気が存在するガス区画でガス拡散陰極として試験された。表Aに記載された試薬が脱塩水に溶解され、溶液のpHが約4に調整された。
さらに、30g/LのNaClが供給され、溶解された。各実験での陰極液の操作体積は125mLとした。
種々の金属の濃度がICP−MSの方法で定量的に分析された。
処理が上述の基準電極に対して−0.350mvで一定の分極に2時間適用された。処理の数分後(20分未満)、相当に濁った相において電解質の色が透明から白色に次第に変化した。処理によってpHが11まで段階的に変化した。40mA・cm−2を超える電流密度が一定の陰分極条件下で記録された。処理を停止させた後、固体粒子が形成され、凝集し、沈降し、澄んだ液状媒体と分離可能な固体沈殿相とが残った。
金属含量のほとんどは、溶液から除去されたことが判明し(図10)、これはすべての金属全体に関して99.9を超えることがICP−MSで測定された。
図10は、ガス拡散陰極を介して供給される空気が存在するバルク溶液からの種々の金属イオンの回収効率(%)を示す。
混合された結晶質の濃度が得られた。全体で、91mgの固体REE含量が取り戻され、これは最初の水溶性マトリックスにおける全イオン性(溶解した)REE含量の約25%に相当する。単離された生成物は、それぞれ1.97nm、1.71nm及び2.29nmの結晶径を有し、結晶質の特性に合致した。
実施例3
電解質の組成は、実施例1で説明されたものと同じとしたが、硝酸セリウムの代わりに硝酸ランタンを、0ppm、100ppm、500ppm、1000ppm及び5000ppmの濃度で用いた。
異なる濃度の金属を含む陰極液の最初のpH及び導電性が表bに開示される。各実験における陰極液の操作体積は125mLとした。
ランタンの濃度がICP−MSの方法で定量的に分析された。
化学物質を溶解させると無色溶液が得られた。ガス区画に空気が供給された。Ag/AgCl(3M KCl)に対して−0.350Vの一定の分極での処理の2時間後、電解質の色は実験を通して透明のままであった。しかし、分極及び逆流を停止すると、見た目の白濁が媒体に広がった。放出された生成物(又は濁り)の量は、硝酸ランタンの初期濃度に相当した。約1時間後、すべての濁り生成物が沈殿した。pHの変化は、実施例1の陰極液で観測されたものと同様で、陰極液のpHは、ガス拡散区画を介して空気が供給された実験の最後まで顕著に上昇した。陰極液及び陽極液の導電性及びpHは、ほとんど同じに保たれた。陰極液の導電性が全体で少し低下することが考えられる。
澄んだ溶液と固体の白色沈殿が分離され、分析された。すべての場合において、99.9%を超えるランタンが溶液から回収された。XRDで白色沈殿を解析したところ、生成した固体は、バーバンカイト及びより具体的にはランタンレモンダイト、すなわちNaLa(COに一致する結晶質ナノ粒子の特性を示した。非結晶質相も検出された
実施例4
電解質の組成は、実施例1で説明されたものと同じとしたが、硝酸セリウムの代わりにホウ酸が陰極液に供給された。ホウ酸の濃度は、すべての実験で一定に維持された(5g・L−1)。分極電圧の影響が評価された。基準電極に対して次の電位−0.350V、−0.550V、−0.750V及び−0.950Vが比較された。各実験における陰極液の操作体積は125mLとした。
特に陰極液のpH及び導電性における変化から、上記の実施例で観測されたものと同様の傾向が観測された。すなわち、実験を通してpHが顕著に上昇した。しかし、−0.950Vの場合に限っては、電解質の黄色への明らかな変色が見られた。
pHの変化は、適用された電位に直接的な相関があった。pHの変化は、実験の最初の1時間の間に起こり、さらに分極の時間を延長しても(すなわち2〜4時間)、pH変化をさらに増大させることはなかった。
遠心分離及び乾燥の後、ホウ酸石の特性に合致する結晶質の生成物が、−0.950Vで形成されるナノ結晶のホウ砂Na・10HOの特性を有するものを除いて取り戻される。後者の生成物は、柔軟で蛍光を発する電子機器におけるドーパントとしての応用性を有する。
下記の例は、種々の酸化ガスの、過酸化物、その多原子イオン又は多原子ラジカルへの還元電位を表す電気化学系列を示す。この表に記載された電位は、標準水素電極(NHE)についてのものである。これら電位は、ネルンストの式で算出される。
実施例5
8種の異なる電解質組成が実施例1に記載のように評価されたが、硝酸セリウムの代わりに、次の独立した化合物がそれぞれ500ppmの濃度で陰極液に補充された。
1.Co(NO・6H
2.Al(NO・9H
3.CsCl
4.LiCl
5.KNO
6.Sm(NO・6H
7.Er(NO・5H
8.Lu(NO・xH
9.Fe(NO
処理は−0.350Vで行われた。各実験における陰極液の操作体積は125mLとした。KNOを除くすべての場合で、ナノ結晶質の生成物が回収された。沈殿が見られた各事例において、終わりのほうには使用された特有の前駆体に関係する特性(色、形態)が現れることが、ナノ結晶物質が周期表の異なる族からの金属の広範な多様性を伴って形成され得ることを示している。すべての事例において結晶径は30nm未満であった。
実施例6
陰極液が上述の実施例1と同じく調製されたが、硝酸セリウムの代わりにヒ酸が溶液に用いられ、該溶液はFe/As比が1.5と考えられる72g/Lのヒ素と塩化鉄、及び5.61g/LのSとみなされる硫酸を含む。処理は実施例1と同様の実験条件で行われたが、操作温度は80℃以上とした。処理後、安定なナノ結晶のスコロダイトが得られ、スコロダイトの結晶径は30nm未満であった。この実施の形態はヒ素固定化に応用できる。
実施例7
実験条件
本実施例では、請求項に記載の方法がアンモニウムをベースとするイオン液体(IL)の存在下で検討された。より具体的には、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)及び塩化テトラブチルアンモニウム(TBAC)が用いられた。イオノサーマル合成による有機金属構造体(MOF)の合成のためにILを使用することを記載した文献はほとんどない(Lei Liu,David S.Wragg,Hongyan Zhang,Ying Kong,Peter J.Byrne,Timothy J. Prior,John E.Warren,Zhuojia Lin,Jinxiang Dong and Russell E.Morris.、Ionothermal synthesis,structure and characterization of three−dimensional zinc phosphates. Dalton Trans.、2009年、6715-6718)。また、少ない文献で、ナノ粒子安定化ILが水においてピカリング乳濁液として挙動すると報告している(Huan Ma and Lenore L.Dai.、Particle Self−Assembly in Ionic Liquid−in−Water Pickering Emulsions.、Langmuir、2011年、27(2)、pp508-512)。すなわち、それらは集合し、一部のガスがそこに捕捉されるケージ様の構造を形成する。これらの乳濁液は、媒体が乱されない限り、通常は安定である。別の面では、ILはその伝導特性のために電解質として使用される(Chiappe and Rajamani 2012;Chiappe et al、2011年、及びAndrzej Lewandowski、Agnieszka Swiderska−Mocek.、Ionic liquids as electrolytes for Li−ion batteries−An overview of electrochemical studies.、Journal of Power Sources.、Volume 194、Issue 2、1 December、2009年、601-609ページ)。すべての試薬が購入され、さらに精製されることなく使用された。
脱塩水が本研究に使用された。使用された活性炭はNorit Americas社のNorit(登録商標) SX1Gであった。フッ素化エチレンプロピレン樹脂(テフロン(商標) FEP8000)がDupontから得られた。アンモニウム塩基系の2種類のIL、すなわちTBAB(Sigma−Aldrich 98.0%以上)及びTBAC(Aldrich 97.0%以上(NT))が購入された。また、硝酸ランタン六水和物(La(NO・6HO)がAldrich(登録商標)から購入された(99.99%微量金属主成分)。すべての試薬は対応する供給元の推奨に従って保管された。すべての試薬の取り扱いは、対応する製品安全データシート(MSDS)の推奨に従って行われた。実験は、特に記載がなければ、実施例1に記載されたものに相当する半電池電気化学反応器で行われた。ここでのZirfon(商標)の重要な機能は、対電極で結果的に発生した酸素が、機能している電極に到達することを防ぐこと、イオン透過性の隔離体として、及び陰極液区画で望ましいpHを維持するために流体輸送障壁としても機能することである。電極及び隔離体は、10cmの電極表面積を有すると予測された。反応(酸化剤)ガス流(それぞれ空気又はCO)が独立した各実験で陰極ガス区画に流された。ガスの流速はすべての事例で200mL/分(過剰)に設定され、30mbargの超過気圧が加えられた。電解質の供給は、デュアルヘッド蠕動ポンプを用いて約20rpmの流速で(Watson−Marlow)、陰極区画及び対電極区画を独立して循環された。酸性の基礎的な電解質が本実施例に関するすべての実験で用いられ、該電解質は、初期pHが2.7になるようにHClを加えられた脱塩水からなる。2種類の独立した酸化剤ガス、aka空気(組成は窒素:78%;酸素:20%;CO:0.03%、主にアルゴンの不活化ガス:0.97%;水蒸気:1%)及びCO/N 80%/20%の影響がそれぞれ調べられた。La(NO・6HOが500ppmの濃度で、陰極の電解質に加えられた。ILとLa(NO・6HOとの間で異なるモル比として0、0.1、1、10、20、30及び86.5が検討された。最後のモル比はILに関して0.1Mの濃度に相当する。対電極区画(陽極の)における電解質は、陰極液(酸性の基礎的な電解質)と同一であるが、硝酸ランタン又はILを加えられていない。
実験は室温(18±2℃)で行われた。H濃度、導電性及びpHのようなパラメータは、両方のセットで各実験の前と後で測定された。もう3つの事例である陰極液が酸性の基本的な電解質のみ、酸性の基礎となるLa(NO・6HO及びTBAC(0.1M)が実施された。より高い濃度のTBAB(具体的には0.1M)が陽極液室内に黄色の沈殿又は副生成物を生じさせ、それは臭化物又は硝酸塩のいくつかの化合物である。酸性の基礎的な電解液に金属硝酸エステルを含まないTBAB(0.1M)のみを用いると、電位がAg/AgClに対して−0.95Vに達しないという肯定的な結果を示さなかった。TBAB及びTBACの両方が最も高い濃度において、Ag/AgClに対して−0.35Vで実験が行われた。Bio‐Logic VMP3定電位電解装置/ガルバノスタット及び周波数応答分析装置が電気化学的な測定を行うために使用された。EC‐Lab v.10.40ソフトウェアがデータ収集に用いられた。0から−0.950Vまでの1回の線形走査ボルタンメトリ(LSV)に続いてクロノアンペロメトリ(CA)実験が、pH11に到達するまでAg/AgClに対して−0.950Vで行われた。陰極液溶液及び陽極液溶液それぞれからの試料において、Laの濃度がICP−MSの方法を用いて定量的に分析された。まず、試料溶液が上澄みからピペットで採取された。各試料は、分析の前にx因子で希釈され酸性化された。10×希釈の場合、1mlの試料溶液が1mlのHNOに混合されて得られたものがMilli−Q水で10mlまで希釈された。100×希釈の場合、100mlの最終体積まで希釈された。観測されたイオン強度の較正は、1000mg/l Merck、Certipur、Cat No 1.70311.0100、2−3%HNOのCe(NO溶液に基づいて調製された較正基準の系列に対して行われた。較正基準として0、1、2、5、10、20ppb、100、200、500、1000及び2000ppbが調製された。すべての測定はVarian820 ICP−MSで行われた。質量較正が日常的に行われ、Varianによってもたらされる10ppb多元素標準で最大の信号対ノイズ比が得られるように、イオンレンズ及びガス流が最適化された。
独立した異なる実験が行われる前に測定された陰極液の導電性が表1に示されている。すべての実験の終わりまでに、導電性が顕著に低下し、これは電解質内のILの存在量に加え、電解質におけるLa濃度の両方の減少に関係していた(表G2)。電解質に存在するILはすべての事例で電解質から60〜75%除去され、一部は沈殿に含まれていた。しかし、沈殿が蒸留水で洗浄されると、そこに存在するILのほとんどが洗い出された。
ILの他に、加えられたILの量に特別な相関がないギ酸及び酢酸のmg/L濃度が見出された。ギ酸及び酢酸の量はCOの還元から、又はILの部分的な分解から生じると、発明者は考えている。また、より標準的なMOFの電気化学形成で起こるのと同様に、これら生成物がIL又はその分解産物と、一連の変化において形成されるナノ結晶生成物との間のリンカーとして機能すると、発明者は考えている。−0.350Vで形成された生成物は、標準的な沈殿物のような外観である。−0.350Vでの生成物の形成が−0.950Vでのそれの形成と比較された。図13a、b、cにおいてIRスペクトルに示されるように、生成物の特徴的な応答、ひいては特徴的な結合が一致し、ILのタイプによってではなく、用いられたIL濃度との相関関係において強度に違いがあるのみである。また、ILの特徴的な結合の一部のみが沈殿物で保たれていることが示されたのは、少なくとも一部のILが沈殿生成物の構造の一部を形成したままであることを示唆している。沈殿物試料のIRが、洗浄の前(P2)及び後(P3)で比較され、ILの過剰分は除去されるが、洗浄後でもILの一部の構造的な影響が残っていることが示された。したがって、形成された生成物はILとナノ結晶両方の特性を有する有機金属化合物であると考えられる。
図13a、b及びcそれぞれの上記IRスペクトルから、本来の硝酸ランタンの場合にピークaがランタンと窒素の結合に関係すると発明者は理解する。ランタンがTBAの窒素に結合した場合、このピークはより広くなる。ピークbは、N−CH結合に関係する。しかし、このピークが最初の図(洗浄していない部分)に現れるが2番目の図で消失することは、TBAB分子の一部がこれら化合物に対して界面活性剤として存在することを示唆している。ピークc(多くのピーク)が本来のTBABの場合に見られる(図13bにおける下のほうの青い曲線)。これらは脂肪族アミンにおけるC−N結合に対応する。洗浄された試薬に対応する図では(P3)、すべてではないがこれらのピークのいくつかが失われることが観測されることは、窒素とメチレン基との間の結合にいくつかの変化があることを示唆している。
−0.950Vで適用された分極条件下では、水素形成も可能であることに留意されたい。この条件では、それでも沈殿が個別の沈殿として最初に見られたが、それらがそこで形成された水素の金属イオン封鎖を可能にし、それが運ぶ水素のために陰極液のカラム全体に浮かぶ泡状生成物を最終的に形成することが明らかだった(図14参照)。この生成物はピッカリング乳濁液を同様の挙動をし、形成されたナノ結晶が溶液内で自己集合することで残りのILを安定化し、ガスが隔離される特徴的なケージ様構造を形成する、と発明者は考えている。また、生成物は、媒体が単なる撹拌によって乱れるまでピッカリング乳濁液に特徴的な安定性を示す。このような条件では、水素の泡が放出され空気内に戻る。形成されたナノ結晶質の生成物において隔離された水素の量は、固体沈殿物に対して10%を超える体積と見積もられた。
図14は、過剰なIL存在下において、その場で水素が電気合成される場合に沈降したナノ結晶を示す。0.1mmのサイズの範囲内の小さな泡が見え、浮遊する物質の体積の10%よりも多くを占める。
洗浄された沈殿生成物のXRDパターンが記録された。XRDパターンは、利用可能なデータベースのいずれにも対応するものがなく、当該生成物は、高い結晶化度と小さな結晶径(例えば10−5nm未満)を有するナノ物質に係る特有の特徴を示した。特徴的なXRDスペクトルがTBAB30に関して図15に示される。
走査電子顕微鏡法(SEM)による特性評価がN、C、La及びOを示し、そして沈殿物元素解析では、ナノ結晶におけるILの少なくとも一部の構造的組み込みの第2の標識となる位置に強い相関があった。また、ILからのBr及びClが見られたが、沈殿物が洗浄された場合はなかった。
形成された生成物の元素分析は、水素と炭素の約1:1の比を示した。
得られた電気化学応答に基づいて、各実験で消費された電荷が測定され、その結果が図12に示されている。消費された電荷と使用されたIL濃度との間に指数相関が見られたことは、ILが確かに電気化学的変化に関与していることを示唆している。
得られた沈殿物のTGA特性評価は(図12参照)、ナノ結晶生成物が大量のイオン液体を含まず、そのごく少量だけを含み、一連の変化の間にILの部分的な分解後に組み込まれることを示唆している。酸化ガスの還元から生じる多原子のイオンラジカルがこのIL分解過程、さらに最終的には、最後の沈殿物構造にごく少量のILを結合させることに貢献すると考えられる。ナノ結晶生成物の構造が現時点では完全には実証されていないが、発明者はILの少なくとも一部が最終のナノ結晶に存在し、これらが有機金属生成物になるという論理的根拠を支持する。
酸化ガスとしてCOが単に使用された場合、初期のLa前駆体の83%より多くが除去され得る一方で、酸化剤ガスが空気で構成されたときには98%より多くが除去された。純粋なCOの使用が炭酸ランタンの形成を引き起こしたのに対して、空気の使用が上述の有機金属ナノ結晶生成物の形成の原因となった。
(付記)
(付記1)
金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から、少なくとも1種の反応生成物として1種以上のナノ粒子、特にはナノ結晶の形態の前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上の混合物を回収する電気化学的方法であって、
該方法は、
少なくとも50m/gのBET表面積を有する電気化学的に活性な多孔質物質を含むガス拡散電極を備える陰極が設けられた、電気化学的セルの陰極区画の水系の陰極液に水溶性前駆体化合物を供給するステップと、
前記陰極液のpHを、前記水溶性前駆体化合物のpKaよりも低いpHに調整するステップと、
前記ガス拡散電極に少なくとも1種の酸化剤ガスを供給するステップと、
前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上の混合物を含む陽イオンと反応できる1種以上の対応する過酸化物反応種、イオン反応種及び/又はラジカル反応種への、前記少なくとも1種の酸化剤ガスの還元を起こすことができる電気化学ポテンシャルに前記陰極をさらして、前記少なくとも1種の反応生成物としての30.0nm以下の、平均粒径を有する少なくとも1種のナノ粒子、特には平均結晶径を有する少なくとも1種のナノ結晶を形成させるステップと、
を含む、方法。
(付記2)
前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物は、前記金属元素又は前記半金属元素を、該金属元素の又は該半金属元素の陽イオンの形態で含むか、前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物は、前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上の混合物を含む陽イオンを含むか、あるいは少なくとも1種の前記水溶性前駆体化合物は、2種以上の前記化合物の混合物を含む、
付記1に記載の方法。
(付記3)
前記酸化剤ガスは、有機酸化剤ガス、無機酸化剤ガス又は2種以上の該ガスの混合物である、
付記1又は2に記載の方法。
(付記4)
前記無機酸化剤ガスは、オゾン、酸素、炭素酸化物、窒素酸化物、ハロゲン酸化物、硫黄酸化物、ハロゲン、空気、バイオガス、煙道ガス、酸性ガス及び燃焼排ガス、2種以上の前記ガスの混合物の群から選択され、
前記有機ガスは、エーテル、特には酸化エチレン及び酸化プロピレン、アルケン、特にはエチレン又はプロピレン、アルキン、特にはアセチレン、共益ジエン、特にはブタジエン又は2種以上の前記酸化剤ガスの混合物の群から選択される、
付記3に記載の方法。
(付記5)
前記酸化剤ガスが前記ガス拡散電極に供給される供給速度は、可変である、
付記1から4のいずれか一つに記載の方法。
(付記6)
前記ガス拡散電極に供給される前記酸化剤ガスの分圧は、可変である、
付記1から5のいずれか一つに記載の方法。
(付記7)
前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物は、該水溶性前駆体の水溶液として前記水系の陰極液に供給される、
付記1から6のいずれか一つに記載の方法。
(付記8)
少なくとも1種の前記水溶性前駆体化合物は、固体として前記水系の陰極液に供給され、前記陰極液に少なくとも部分的に溶解している、
付記1から7のいずれか一つに記載の方法。
(付記9)
前記水系の陰極液に供給される前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物の濃度は、可変である、
付記1から8のいずれか一つに記載の方法。
(付記10)
前記陰極液は、少なくとも1.0mS/cmのイオン伝導率を有する、
付記1から9のいずれか一つに記載の方法。
(付記11)
前記電気化学的に活性な物質は、少なくとも1種の弱酸若しくは弱塩基官能基又は少なくとも1種の弱酸及び弱塩基性基の混合物を有する活性表面を含み、好ましくは前記電気化学的に活性な物質は、少なくとも1種の弱プロトン酸若しくは弱プロトン塩基官能基又は少なくとも1種の弱プロトン酸及び弱プロトン塩基性基の混合物を含む、
付記1から10のいずれか一つに記載の方法。
(付記12)
前記ガス拡散電極の前記電気化学的に活性な表面の親水性側は、前記電気化学ポテンシャルの適用で分極又脱プロトン化され得る複数の官能基を包含し、前記官能基は、好ましくは窒素含有部分、酸素含有部分、塩素含有部分、又は硫黄含有部分の群から選択される1種以上の部分を含む、
付記1から11のいずれか一つに記載の方法。
(付記13)
前記陰極区画に前記水溶性前駆体化合物を供給する前に、前記陰極液のpHがpH≦7、好ましくはpH≦5に調整される、
付記1から12のいずれか一つに記載の方法。
(付記14)
弱プロトン電解質、好ましくは弱プロトン塩基又は弱プロトン酸、より好ましくは弱多プロトン塩基又は弱多プロトン酸の水溶液が前記陰極液に供給される、
付記1から13のいずれか一つに記載の方法。
(付記15)
前記弱プロトン酸は、前記陰極液のpHよりも少なくとも1ユニット高いpKaを有する、
付記14に記載の方法。
(付記16)
前記弱プロトン塩基は、6.0から12.0まで、好ましくは7.0から11.0までの間のpKaを有する、
付記14に記載の方法。
(付記17)
前記電気化学的に活性な物質は、少なくとも100m/g、好ましくは少なくとも200又は250m/g、より好ましくは少なくとも400又は500m/g、もっとも好ましくは750又は1000m/gより大きいBET表面積を有する、
付記1から16のいずれか一つに記載の方法。
(付記18)
前記陰極液の電気伝導率を高める目的で、二元電解質が前記陰極液に供給され、好ましくは、前記陰極液の電気伝導率を少なくとも5mS・cm−1、より好ましくは20から80mS・cm−1、もっとも好ましくは20から50mS・cm−1に高める、
付記1から17のいずれか一つに記載の方法。
(付記19)
前記二元電解質は、水溶性イオン塩又は2種以上の該塩の混合物であるが、好ましくは、前記二元電解質は塩化ナトリウムである、
付記18に記載の方法。
(付記20)
イオン液体又は1種以上のその分解生成物を含むナノ結晶を生じさせる目的で、該イオン液体が前記水溶性前駆体化合物に関して少なくとも10:1のモル比で、前記陰極液に供給される、
付記1から19のいずれか一つに記載の方法。
(付記21)
前記イオン液体は、親水性イオン液体、好ましくは塩化テトラブチルアンモニウム又は臭化テトラブチルアンモニウムである、
付記20に記載の方法。
(付記22)
前記陰極が受ける前記電気化学ポテンシャルは、基準電極に対して還元電位であって、水における前記酸化剤ガスの安定性の熱力学のpH‐電位平衡領域より低く、より好ましくは水の熱力学的安定性の領域より低く、より好ましくは水素の熱力学的安定性の領域外である、
付記1から21のいずれか一つに記載の方法。
(付記23)
前記前駆体化合物は、元素周期表のI、II、III及びIV族の元素、遷移金属元素、アクチニド及びランタニド又は2種以上の該元素を含む化合物の群から選択される元素のイオンの化合物である、
付記1から22のいずれか一つに記載の方法。
(付記24)
前記陰極が受ける電気化学ポテンシャルは、前記ガス拡散陰極で前記電気化学的に活性な多孔質物質からナノ結晶を回収する目的で、反転される、
付記1から23のいずれか一つに記載の方法。
(付記25)
1種以上の添加剤が前記陰極液に供給され、該1種以上の添加剤は、分散剤、安定化剤、界面活性剤、ポリマー、コポリマー、乳化剤、架橋結合剤、キャッピング剤、及びフリーフロー剤又は該化合物の2種以上の混合物の群から選択される、
付記1から24のいずれか一つに記載の方法。
(付記26)
付記1から25のいずれか一つに記載の方法で得られるナノ粒子の少なくとも1種の凝集体粒子を含み、該ナノ粒子は、0.2から30.0nmの結晶サイズを有する、
組成物。
(付記27)
前記ナノ結晶は、1.0から18.0nmの格子定数を有する、
付記26に記載の組成物。
(付記28)
前記凝集体粒子は、30nm以下の平均粒径を有する、
付記26又は27に記載の組成物。
(付記29)
前記反応生成物の水媒体での分散系を含む、
付記26から28のいずれか一つに記載の組成物。
(付記30)
前記分散系は、1.0から30.0重量%の間、好ましくは5.0から10.0重量%の間の固体含量を有する、
付記29に記載の組成物。
(付記31)
前記水媒体は、前記電解質、水又は水溶液を含む、
付記29又は30に記載の組成物。
(付記32)
少なくとも1種の金属元素、半金属元素又はそれら2種以上を、それらの水溶性前駆体化合物を含む水溶液から選択的に単離するための方法であって、付記1から25のいずれか一つに記載の方法において使用される、
方法。
(付記33)
金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から、少なくとも1種の反応生成物として1種以上のナノ粒子、特にはナノ結晶の形態の、前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上を回収するための装置であって、
該装置は、
前記水溶性前駆体化合物のpKaよりも小さいpHを有する、水系の陰極液中で少なくとも部分的に溶解する前記水溶性前駆体化合物を、少なくとも50m/gのBET表面積を有する電気化学的に活性な多孔質物質を含むガス拡散電極を備える陰極が設けられた、電気化学セルの陰極区画に供給する手段と、
前記ガス拡散電極に少なくとも1種の酸化剤ガスを供給する手段と、
を備え、
前記陰極は、前記金属元素、前記半金属元素、又は該金属元素若しくは該半金属元素を含む陽イオン、又はその2種以上と反応できる1種以上の対応する過酸化物反応種、イオン反応種及び/又はラジカル反応種への、少なくとも1種の酸化剤ガスの還元を起こすことができる電気化学ポテンシャルを有して、前記少なくとも1種の反応生成物としての30.0nm以下の、平均粒径を有する少なくとも1種のナノ粒子、特には平均結晶径を有する少なくとも1種のナノ結晶を形成する、
装置。

Claims (33)

  1. 金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から、少なくとも1種の反応生成物として1種以上のナノ粒子、特にはナノ結晶の形態の前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上の混合物を回収する電気化学的方法であって、
    該方法は、
    少なくとも50m/gのBET表面積を有する電気化学的に活性な多孔質物質を含むガス拡散電極を備える陰極が設けられた、電気化学的セルの陰極区画の水系の陰極液に水溶性前駆体化合物を供給するステップと、
    前記陰極液のpHを、前記水溶性前駆体化合物のpKaよりも低いpHに調整するステップと、
    前記ガス拡散電極に少なくとも1種の酸化剤ガスを供給するステップと、
    前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上の混合物を含む陽イオンと反応できる1種以上の対応する過酸化物反応種、イオン反応種及び/又はラジカル反応種への、前記少なくとも1種の酸化剤ガスの還元を起こすことができる電気化学ポテンシャルに前記陰極をさらして、前記少なくとも1種の反応生成物としての30.0nm以下の、平均粒径を有する少なくとも1種のナノ粒子、特には平均結晶径を有する少なくとも1種のナノ結晶を形成させるステップと、
    を含む、方法。
  2. 前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物は、前記金属元素又は前記半金属元素を、該金属元素の又は該半金属元素の陽イオンの形態で含むか、前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物は、前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上の混合物を含む陽イオンを含むか、あるいは少なくとも1種の前記水溶性前駆体化合物は、2種以上の前記化合物の混合物を含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸化剤ガスは、有機酸化剤ガス、無機酸化剤ガス又は2種以上の該ガスの混合物である、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記無機酸化剤ガスは、オゾン、酸素、炭素酸化物、窒素酸化物、ハロゲン酸化物、硫黄酸化物、ハロゲン、空気、バイオガス、煙道ガス、酸性ガス及び燃焼排ガス、2種以上の前記ガスの混合物の群から選択され、
    前記有機ガスは、エーテル、特には酸化エチレン及び酸化プロピレン、アルケン、特にはエチレン又はプロピレン、アルキン、特にはアセチレン、共益ジエン、特にはブタジエン又は2種以上の前記酸化剤ガスの混合物の群から選択される、
    請求項3に記載の方法。
  5. 前記酸化剤ガスが前記ガス拡散電極に供給される供給速度は、可変である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ガス拡散電極に供給される前記酸化剤ガスの分圧は、可変である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物は、該水溶性前駆体の水溶液として前記水系の陰極液に供給される、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 少なくとも1種の前記水溶性前駆体化合物は、固体として前記水系の陰極液に供給され、前記陰極液に少なくとも部分的に溶解している、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記水系の陰極液に供給される前記少なくとも1種の水溶性前駆体化合物の濃度は、可変である、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記陰極液は、少なくとも1.0mS/cmのイオン伝導率を有する、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記電気化学的に活性な物質は、少なくとも1種の弱酸若しくは弱塩基官能基又は少なくとも1種の弱酸及び弱塩基性基の混合物を有する活性表面を含み、好ましくは前記電気化学的に活性な物質は、少なくとも1種の弱プロトン酸若しくは弱プロトン塩基官能基又は少なくとも1種の弱プロトン酸及び弱プロトン塩基性基の混合物を含む、
    請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ガス拡散電極の前記電気化学的に活性な表面の親水性側は、前記電気化学ポテンシャルの適用で分極又脱プロトン化され得る複数の官能基を包含し、前記官能基は、好ましくは窒素含有部分、酸素含有部分、塩素含有部分、又は硫黄含有部分の群から選択される1種以上の部分を含む、
    請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記陰極区画に前記水溶性前駆体化合物を供給する前に、前記陰極液のpHがpH≦7、好ましくはpH≦5に調整される、
    請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 弱プロトン電解質、好ましくは弱プロトン塩基又は弱プロトン酸、より好ましくは弱多プロトン塩基又は弱多プロトン酸の水溶液が前記陰極液に供給される、
    請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記弱プロトン酸は、前記陰極液のpHよりも少なくとも1ユニット高いpKaを有する、
    請求項14に記載の方法。
  16. 前記弱プロトン塩基は、6.0から12.0まで、好ましくは7.0から11.0までの間のpKaを有する、
    請求項14に記載の方法。
  17. 前記電気化学的に活性な物質は、少なくとも100m/g、好ましくは少なくとも200又は250m/g、より好ましくは少なくとも400又は500m/g、もっとも好ましくは750又は1000m/gより大きいBET表面積を有する、
    請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記陰極液の電気伝導率を高める目的で、二元電解質が前記陰極液に供給され、好ましくは、前記陰極液の電気伝導率を少なくとも5mS・cm−1、より好ましくは20から80mS・cm−1、もっとも好ましくは20から50mS・cm−1に高める、
    請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記二元電解質は、水溶性イオン塩又は2種以上の該塩の混合物であるが、好ましくは、前記二元電解質は塩化ナトリウムである、
    請求項18に記載の方法。
  20. イオン液体又は1種以上のその分解生成物を含むナノ結晶を生じさせる目的で、該イオン液体が前記水溶性前駆体化合物に関して少なくとも10:1のモル比で、前記陰極液に供給される、
    請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記イオン液体は、親水性イオン液体、好ましくは塩化テトラブチルアンモニウム又は臭化テトラブチルアンモニウムである、
    請求項20に記載の方法。
  22. 前記陰極が受ける前記電気化学ポテンシャルは、基準電極に対して還元電位であって、水における前記酸化剤ガスの安定性の熱力学のpH‐電位平衡領域より低く、より好ましくは水の熱力学的安定性の領域より低く、より好ましくは水素の熱力学的安定性の領域外である、
    請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記前駆体化合物は、元素周期表のI、II、III及びIV族の元素、遷移金属元素、アクチニド及びランタニド又は2種以上の該元素を含む化合物の群から選択される元素のイオンの化合物である、
    請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記陰極が受ける電気化学ポテンシャルは、前記ガス拡散陰極で前記電気化学的に活性な多孔質物質からナノ結晶を回収する目的で、反転される、
    請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 1種以上の添加剤が前記陰極液に供給され、該1種以上の添加剤は、分散剤、安定化剤、界面活性剤、ポリマー、コポリマー、乳化剤、架橋結合剤、キャッピング剤、及びフリーフロー剤又は該化合物の2種以上の混合物の群から選択される、
    請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 請求項1から25のいずれか一項に記載の方法で得られるナノ粒子の少なくとも1種の凝集体粒子を含み、該ナノ粒子は、0.2から30.0nmの結晶サイズを有する、
    組成物。
  27. 前記ナノ結晶は、1.0から18.0nmの格子定数を有する、
    請求項26に記載の組成物。
  28. 前記凝集体粒子は、30nm以下の平均粒径を有する、
    請求項26又は27に記載の組成物。
  29. 前記反応生成物の水媒体での分散系を含む、
    請求項26から28のいずれか一項に記載の組成物。
  30. 前記分散系は、1.0から30.0重量%の間、好ましくは5.0から10.0重量%の間の固体含量を有する、
    請求項29に記載の組成物。
  31. 前記水媒体は、前記電解質、水又は水溶液を含む、
    請求項29又は30に記載の組成物。
  32. 少なくとも1種の金属元素、半金属元素又はそれら2種以上を、それらの水溶性前駆体化合物を含む水溶液から選択的に単離するための方法であって、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法において使用される、
    方法。
  33. 金属元素、半金属元素又はその2種以上を含む少なくとも1種の水溶性前駆体化合物から、少なくとも1種の反応生成物として1種以上のナノ粒子、特にはナノ結晶の形態の、前記金属元素、前記半金属元素又はその2種以上を回収するための装置であって、
    該装置は、
    前記水溶性前駆体化合物のpKaよりも小さいpHを有する、水系の陰極液中で少なくとも部分的に溶解する前記水溶性前駆体化合物を、少なくとも50m/gのBET表面積を有する電気化学的に活性な多孔質物質を含むガス拡散電極を備える陰極が設けられた、電気化学セルの陰極区画に供給する手段と、
    前記ガス拡散電極に少なくとも1種の酸化剤ガスを供給する手段と、
    を備え、
    前記陰極は、前記金属元素、前記半金属元素、又は該金属元素若しくは該半金属元素を含む陽イオン、又はその2種以上と反応できる1種以上の対応する過酸化物反応種、イオン反応種及び/又はラジカル反応種への、少なくとも1種の酸化剤ガスの還元を起こすことができる電気化学ポテンシャルを有して、前記少なくとも1種の反応生成物としての30.0nm以下の、平均粒径を有する少なくとも1種のナノ粒子、特には平均結晶径を有する少なくとも1種のナノ結晶を形成する、
    装置。
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