JP2018504560A - 分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング、ライニングホルダにおけるブレーキライニングの配置構造、およびライニングホルダに留められるブレーキライニングを操作する方法 - Google Patents

分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング、ライニングホルダにおけるブレーキライニングの配置構造、およびライニングホルダに留められるブレーキライニングを操作する方法 Download PDF

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Abstract

レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニングは、1つのライニングキャリア(3)と、ライニングキャリア(3)にキャリア薄板(5)を介して支持される複数のライニング要素(41,42,43)と、を備え、キャリア薄板(5)は、ライニングキャリア(3)に球面支持されており、ライニング要素(41,42,43)は、キャリア薄板(5)に球面支持されており、ライニングキャリア(3)におけるキャリア薄板(5)を介したライニング要素(41,42,43)の支持は、ライニング要素(41,42,43)をブレーキディスク(6)に圧着させたときの締結力により発生されるライニング要素(41,42,43)の面圧(P)が、ブレーキディスク(6)の回転軸線に関して半径方向で、ブレーキディスク(6)の回転軸線からライニング要素(41,42,43)までの間隔が増すにつれ減少するように設計されている。さらに本発明は、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキのライニングホルダ(2)における、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング(1)の配置構造、およびレール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダ(2)に留められる、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング(1)を操作する方法に関する。

Description

本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ(Teilbelag−Scheibenbremse)用のブレーキライニング、レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダにおけるこのようなブレーキライニングの配置構造、およびレール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダに留められるブレーキライニングを操作する方法に関する。
本発明の前提としてのブレーキライニングは、欧州特許第0784761号明細書(EP 0 784 761 B1)に記載されている。欧州特許第0784761号明細書に記載のブレーキライニングでは、全フェーシング面が、複数の小さなライニング要素に分割され、レール車両のディスクブレーキのキャリパレバーの締結力が、これらのライニング要素へ静定的に伝達されることで、このディスクブレーキのブレーキディスクへの極めて均等な入熱が達成される。
その際、キャリパレバーの力は、ブレーキライニングが留められたライニングホルダから、ライニング要素が留められたライニングキャリアのそれぞれの半部に均等に分割される。
キャリパレバーの、ライニングキャリアのこのような半部に作用する力は、この公知のブレーキライニングでは、ライニングキャリアに支持されるそれぞれ3つのキャリア薄板を介して支持される。その際、力は、すべてのキャリア薄板に均等に荷重がかかるように分割される。他方、キャリア薄板の各々は、キャリパレバーにより及ぼされる力を、再び均等に、このようなキャリア薄板に支持されるライニング要素に分割する。
球面軸受を介してライニング要素が保持されるキャリア薄板のこのような配置構造は、以下では、グループ要素と称する。
これらのグループ要素、さらには、1つのこのようなグループ要素の3つのライニング要素は、ライニング要素が制動動作時に当接するブレーキディスクに関してそれぞれ異なる軌道円直径上に位置する。
それぞれ異なる軌道円直径上にライニング要素をこのように位置決めしたことで、ブレーキディスク上でのライニング要素の滑動速度の大きさも、それぞれ異なっている。
それぞれ異なる滑動速度に起因して、ライニング要素の面圧が同じであれば、ライニング要素の摩耗がそれぞれ異なる速さで進行し、ひいては、キャリア薄板、それどころかライニングホルダ全体の傾斜姿勢が生じてしまうことがある。
その際、キャリア薄板上でのライニング要素の支持は、ライニング要素が面にわたって一定の面圧でブレーキディスク上に載置されるように構成されている。
しかし、要素面上の局所的な滑動速度は一定ではないので、ライニング要素の各々も、偏摩耗あるいは傾斜摩耗する傾向がある。
1つのライニング要素内あるいは1つのグループ要素内の偏摩耗が過大となると、ライニング要素がキャリア薄板に、あるいはキャリア薄板がライニングキャリアに片当たりすることになりかねない。これにより、所望される均等な力の分割は、損なわれ、これにより、ブレーキライニングの当たりは悪化してしまう。
その際、ディスクブレーキの性能は、とりわけ、ブレーキディスクの摩擦面上に生じる表面温度により制限されている。これにより、表面温度が過度に高いとき、熱き裂が成長して、許容できない大きさまで達してしまうことがあり、これにより、ブレーキディスクの交換が必要となる。
ブレーキディスク上の表面温度の変動が大きければ大きいほど、ブレーキディスクが制動中に損傷せずに受容できる熱エネルギは、小さくなる。これに応じて、最適に構成されたブレーキライニングは、比較的大きな温度差(例えばホットスポット)を表面上に発生させることなく、熱エネルギを全摩擦面にわたって均等にブレーキディスクに導入するようになっている。
上述の要求を充足すべく、レール車両、特に高速鉄道のブレーキライニングは、大きな手間あるいはコストをかけて構成されており、そのため、消耗品として、このようなレール車両の運転コストのかなりの割合を占めている。
ブレーキライニングの摩耗は、とりわけ、ブレーキライニングとブレーキディスクとの間の面圧と、摩擦ライニング上でのブレーキディスクの滑動速度とに主に依存している:
Figure 2018504560
ここで、
v‘は、摩耗速度、
Pは、面圧、
vは、滑動速度、
α,βは、材料特性値、
である(Saumweber,Gerum:“Grundlagen der Schienenfahrzeugbremse”,Hestra−Verlag)。
上述の理由から、このようなレール車両の運転中、しばしば、ブレーキライニングの偏摩耗が発生する。それゆえ、ブレーキライニングは、ブレーキライニングがもつ摩耗代を使い切ることなく、頻繁に交換されねばならない。
本発明の課題は、存在する摩耗代を最適に利用し、要素または要素群の偏摩耗を理由とするブレーキライニングの早期の交換を回避し、かつ、均等な当たりの維持により、ライニング要素の摩耗状態に関わらず、ライニング要素からブレーキディスクへの均等な入熱を維持することができるように、ライニング面全体にわたってできる限り均等に進行する摩耗を実現する、レール車両用のブレーキライニング、レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダにおけるこのようなブレーキライニングの配置構造、およびレール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダに留められるブレーキライニングを操作する方法を提供することである。
上記課題は、請求項1の特徴を有する、レール車両用のブレーキライニング、請求項12の特徴を有する、レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダにおけるこのようなブレーキライニングの配置構造、および請求項13の特徴を有する、レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダに留められるブレーキライニングを操作する方法により解決される。
本発明に係るブレーキライニングにおいて、ライニングキャリアにおけるキャリア薄板を介したライニング要素の支持は、ライニング要素をブレーキディスクに圧着させたときの締結力により発生されるライニング要素の面圧が、ブレーキディスクの回転軸線に関して半径方向で、ブレーキディスクの回転軸線からライニング要素までの間隔が増すにつれ減少するように設計されている。
こうすることで、より高い滑動速度に曝されているライニング要素には、より小さい面圧が生じるようになり、摩耗速度に関わるこれらの両ファクタの相殺が生じ、このことは、ブレーキライニングのすべてのライニング要素の略同じ摩耗速度につながる。
これにより、さらに、ブレーキライニングの均等な当たりが維持される。
最終的には、ブレーキライニングの摩耗代の最適化された利用も達成される。
本発明の有利な実施変化形態は、従属請求項に係る発明である。
本発明に係るブレーキライニングの有利な一実施変化形態において、ライニング要素の、締結力を制動動作時にライニング要素に伝達する支持要素が、ライニング要素の面の重心に対してブレーキディスクの回転軸線に向かって半径方向でオフセットされてライニング要素に配置されている。
これにより、面圧は、個々のライニング要素の中で調整され、半径方向内側に位置する縁部から、半径方向外側に位置する縁部に向かって、摩耗の法則(Verschleissgesetz)にしたがって減少する。
本発明の別の有利な一実施変化形態において、ライニングキャリアには、それぞれ1つのキャリア薄板と、このキャリア薄板に支持される複数のライニング要素とから形成される複数のグループ要素が配置されている。
その際、これらのグループ要素の各々は、好ましくは3つのライニング要素を有する。
キャリア薄板は、本発明の別の有利な一実施変化形態において、ライニングキャリアにおける球面支持用の支持要素と、それぞれの支持要素から間隔を置いた凹所とを有し、凹所内には、ライニング要素の支持要素が収容されているように構成されている。
1つのグループ要素の複数の要素の平均面圧を、これらの要素が位置決めされている軌道円直径に応じて調整すべく、本発明の有利な一実施変化形態において、キャリア薄板は、キャリア薄板から、キャリア薄板に連結される支持要素に伝達される制動力が、1つのキャリア薄板のライニング要素の各々について同じであるように成形されており、ライニング要素のうちの、半径方向外寄りに配置されるライニング要素の摩擦面は、ライニング要素のうちの、半径方向内寄りに配置されるライニング要素の摩擦面より大きい。
面圧は、ライニング要素の摩擦面面積に反比例するので、半径方向外寄りに配置されるライニング要素の大きい方の摩擦面により、加えられる制動力が同じであれば、半径方向でブレーキディスクの回転軸線の近くに配置される小さい方の摩擦面を有するライニング要素におけるより小さい面圧が生じる。
代替的な実施変化形態では、キャリア薄板は、キャリア薄板から、キャリア薄板に連結される支持要素に伝達される制動力が、1つのキャリア薄板の、半径方向外寄りに配置されるライニング要素について、1つのキャリア薄板の、半径方向内寄りに配置されるライニング要素における制動力より小さいように成形されており、すべてのライニング要素の摩擦面は、同じ大きさである。
1つのこのようなグループ要素に伝達される制動力の異なる分配は、好ましくは、半径方向外側に位置する1つのライニング要素を有する1つのグループ要素用の1つのキャリア薄板において、半径方向外寄りに配置される1つのライニング要素の支持点と、このグループ要素の支持点との間の半径方向の間隔と、半径方向内寄りに配置される1つのライニング要素の支持点と、このグループ要素の支持点との間の半径方向の間隔との長さ比が、2より大きいことにより達成される。
半径方向内側に位置する1つのライニング要素を有する1つのグループ要素用の1つのキャリア薄板において、半径方向内寄りに配置される1つのライニング要素の支持点と、このグループ要素の支持点との間の半径方向の間隔と、半径方向外寄りに配置される1つのライニング要素の支持点と、このグループ要素の支持点との間の半径方向の間隔との長さ比は、2より小さい。
キャリア薄板自体には、好ましい一実施変化形態において、支持要素から延出するフィンガが設けられており、フィンガ内には、ライニング要素の支持要素を収容する凹所が設けられている。
個々のライニング要素の配置は、好ましい一実施変化形態において、1つのグループ要素のそれぞれ2つのライニング要素が、キャリアプレートの、概ねブレーキディスクの回転軸線に関して同心の1つの円周上に位置するそれぞれの凹所内に収容されているように実施される。
その際、レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダにおける、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキのブレーキライニングの本発明に係る配置構造は、上述のように形成されるブレーキライニングを特徴とする。
以下に、本発明の実施例について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
ライニングホルダに固定された本発明に係るブレーキライニングの一実施変化形態の斜視図である。 ライニングホルダに固定された本発明に係るブレーキライニングの一実施変化形態の斜視図である。 ブレーキライニングの1つのグループ要素の好ましい一実施変化形態の斜視図である。 異なる大きさのライニング要素を有するグループ要素を備える本発明に係るブレーキライニングの一実施変化形態の平面図である。 同じ大きさのライニング要素を有し、図4に示した実施変化形態とは異なって構成されるグループ要素を備える本発明に係るブレーキライニングの別の実施変化形態の平面図である。 半径方向外側に向かって減少する押し付け力を示す、(ブレーキライニングを組み込んだ状態で)ブレーキディスクの回転軸線に関して半径方向でブレーキライニングを断面した図である。 半径方向外側に向かって減少する締結力を示す、ブレーキライニングの1つのライニング要素を半径方向で断面した図である。 レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダの斜視図である。
以下の図面の説明中、上、下、左、右、前、後等の概念は、専ら、ブレーキライニング、ライニング要素、キャリア薄板、ライニングキャリア、ライニングホルダその他の部材の、それぞれの図で選択した例示的な図示および位置に関するものである。これらの概念は、限定的に解すべきものではない。すなわち、様々な作業位置または鏡面対称の設計等により、これらの関係は、変化することがある。
図4および5に、符号1を付して、本発明に係るブレーキライニングの2つの実施変化形態全体を示している。レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキのこのようなブレーキライニング1は、この場合、使用中、図1および2ならびに図8に示したようにライニングホルダ2に固定される。なお、図1および2は、ライニングホルダ2を、ブレーキライニング1が固定された状態で示し、図8は、ブレーキライニングなしの状態で示している。
図1、2および5に看取可能であるように、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のこのようなブレーキライニングは、ライニングホルダ2に固定可能な1つのライニングキャリア3と、このライニングキャリア3にキャリア薄板5を介して支持される複数のライニング要素41,42,43とを備える。この場合、ライニング要素41,42,43は、キャリア薄板5に球面支持されている。キャリア薄板5自体は、図6に示したように、ライニングキャリア3に球面支持されている。
好ましくは、図3に例示したように、それぞれ3つのライニング要素41,42,43が、1つのキャリア薄板5に配置されている。
この場合、ライニングキャリア3におけるキャリア薄板5を介したライニング要素41,42,43の支持は、図6に例示したように、ライニング要素41,42,43をブレーキディスク6に圧着させたときの締結力Fにより発生されるライニング要素41,42,43の面圧Pが、ブレーキディスク6の回転軸線に関して半径方向で、ブレーキディスク6の回転軸線からライニング要素41,42,43までの間隔が増すにつれ減少するように行われる。
図6には、Fを付した矢印が示してあり、矢印Fは、ブレーキディスク6上に作用する、ライニング要素41,42,43への押し付け力を示している。本発明に係るブレーキライニング1の一実施変化形態を断面した本図(ブレーキディスク6の回転軸線に関して半径方向の断面図)に示したように、ライニング要素41,42,43に作用する圧着力は、ブレーキディスク6の回転軸線からの半径方向の間隔が増すにつれ小さくなっている。
面圧のこのような分布を達成すべく、図6および7に例示したように、ライニング要素41の、摩擦ライニング411を支持する要素キャリアプレート412に一体成形され、制動動作時にブレーキライニングに及ぼされる締結力Fをライニング要素41に伝達する球面状の面414は、締結力Fが、ライニング要素41の面積の重心Sに作用するのではなく、ブレーキディスク6の回転軸線に向かって半径方向で、ライニング要素41の面の重心に対して距離aの分だけオフセットされて配置されているように、配置されている。その際、球面状の面414は、特に好ましくは、球冠状の隆起部として形成されている。図4および5に示した別のライニング要素42,43にも、このような球面状の面424,434が設けられている。このオフセットに起因して、ライニング要素41,42,43に対するブレーキディスク6の圧着力Fの、図7に略示した分布が生じる。
その際、キャリア薄板5の、キャリア薄板5をライニングキャリア3に球面支持する支持要素56は、好ましくは球冠として形成され、その中央部から突出するカム57を備えて形成されており、それぞれの支持要素56は、ライニングキャリア3の、ライニングホルダ2から背離した面に、それぞれの支持要素56に対応するように成形された球面状の空所32内に収まる。
その際、キャリア薄板5自体は、図3に良好に看取可能であるように、好ましくは、支持要素56から延在するフィンガ51,52,53を備えて形成されており、フィンガ51,52,53内には、ライニング要素41,42の支持要素413,423を収容する凹所54が設けられている。
しかし、キャリア薄板5をこれとは別の形状にデザインすることも可能である。重要なことは、ライニングホルダ3に対する傾倒運動が可能であるようにキャリア薄板5を構成することである。
その際、これらの凹所54は、図6に示したように、凹所54の、キャリアプレート3から背離し、ライニング要素41,42,43に対面した側で、球面状に成形されている。この凹所の球面状の部分の中央部には、貫通穴が設けられており、この貫通穴を通して、ライニング要素41,42,43の支持要素413,423は、ライニングキャリア3内にこのために設けられた空所31内へ延在し、空所31内でばね弾性的にばね要素415、例えば皿ばねまたは成形ばね(Formfeder)の形態のばね要素415により留められている。
ライニングキャリア3におけるキャリア薄板5の支持は、相応に、図6に示したように、締結力がキャリア薄板5の支持要素56の球面状の部分に作用するように行われる。
その際、ライニングホルダ2からライニングキャリア3への締結力の伝達は、好ましくは、図8に示したような、ライニングホルダ2の、ライニングキャリア3に対面した裏面から突出した押し付け面23を介して行われる。
キャリア薄板5の支持要素56の球面状の部分の中央部には、カム57が突設されており、カム57は、付加的な形状結合によって、予期しない高い摩擦力または(例えばブレーキディスクにおける損傷による)相応に方向付けられた別の高い力が発生したときでも、支持要素56の、ここでは球体の面として形成される球面状の部分が、ライニングキャリア3の球冠から滑脱しないようにしている。
その際、ライニング要素41,42,43の支持要素413,423を収容する凹所54は、カム57に対して相対的に、2つのライニング要素41の凹所54に対する間隔hが、1つの第3のライニング要素42の支持要素423の凹所54に対する間隔hより小さいように配置されている。これに応じて、長さhおよびhを介して、グループ要素4の3つのライニング要素41,42への力の分配が規定される。
図4および5に良好に看取可能であるように、好ましくは、1つのグループ要素4のそれぞれ2つのライニング要素41,42,43は、概ねブレーキディスク6の回転軸線に関して同心の1つの円周上に配置されている。
球面状に成形された支持要素56を介したキャリア薄板5の球面支持部に加え、好ましくは、1つのフィンガ51,52,53の一端に、別のカム55が、キャリア薄板5の、ライニングキャリア3に対応する面に一体成形されており、カム55は、キャリアプレート3の、カム55に対応するように成形された空所33内を延在する。
その際、図6に看取可能であるように、カム55は、支持要素56のカム57よりも僅かに低く、このことは、運転中、キャリア薄板5がライニングキャリア3に対して揺動運動することを可能にする。ライニングキャリア3に対するキャリア薄板5の揺動運動と、キャリア薄板5に対するライニング要素41,42,43の揺動運動とは、それぞれの両部材間の遊びにより制限される。
特に図4に示したように、キャリア薄板5は、本発明に係るブレーキライニングの好ましい一実施変化形態において、キャリア薄板5から、キャリア薄板5に連結される支持要素56に伝達される制動力が、1つのキャリア薄板5のライニング要素41,42の各々について同じであるように成形されており、ライニング要素41,42のうちの、半径方向外寄りに配置されるライニング要素41の摩擦面は、ライニング要素41,42のうちの、半径方向内寄りに配置されるライニング要素42の摩擦面より大きい。
すべてのライニング要素41,42の均等な摩耗速度を達成すべく、1つのキャリア薄板5における異なる大きさのライニング要素41,42の面積比A/Aは、ライニングキャリアに配置されているライニング要素の各軌道円直径D,Dと、摩耗の法則のパラメータαおよびβとにより、
Figure 2018504560
から求められる。
ここで、材料特性値パラメータαは、0.6〜1.4の値を有する。その際、材料特性値パラメータβの値は、1.5〜2.5の間にある。
その際、より小さい面圧は、締結力Fがキャリア薄板5のライニング要素41,42に均等に分配されるとき、半径方向外側のライニング要素41において、その大きい方の摩擦面に基づいて生じる。
その際、個々のライニング要素41,42への締結力Fの等分配は、キャリア薄板5におけるライニング要素41,42の配置の好適な選択により実施される。
而して、図4に示したように、1つのグループ要素4の同じ面積のそれぞれ2つのライニング要素41,42は、ブレーキディスク6の回転軸線を取り囲む1つの円上に位置するように、ライニングキャリア5に配置されている一方、1つの第3のライニング要素42,41は、その半径方向内寄りあるいは外寄りに配置されている。
図3に示したグループ要素4を見ると、面積の同じ両ライニング要素41は、グループ要素4の支持点から半径方向で間隔hを置いて離間している一方、別のライニング要素42は、グループ要素4の支持点から半径方向で間隔hを置いて離間している。さらに両ライニング要素41は、グループ要素4の支持点とカム55とを通るように引いた対称軸線に関して対称に配置されている。これにより、これらの両ライニング要素41に作用する力は、同じである。
したがって、別のライニング要素42に作用する力に関して、次式:
Figure 2018504560
が成立する。ここで、
Figure 2018504560
とすると、
Figure 2018504560
図5に示す実施変化形態では、個々のライニング要素43は、同じ大きさの摩擦面を有する。キャリア薄板5は、本実施変化形態では、キャリア薄板5から、キャリア薄板5に連結される支持要素に伝達される制動力が、1つのキャリア薄板5の、半径方向外寄りに配置されるライニング要素43について、このキャリア薄板5の、半径方向内寄りに配置されるライニング要素43における制動力より小さいように成形されている。
このことは、好ましくは、キャリア薄板5の長さ比h2i/h1iが、半径方向内側に位置するライニング要素43を2つ有するグループ要素4について、2より大きく、半径方向外側に位置するライニング要素43を2つ有するグループ要素4について、対応するキャリア薄板5の長さ比h2a/h1aが、2より小さいことにより達成される。
図5に示した実施変化形態では、さらに、半径方向でブレーキディスク6の回転軸線により近いグループ要素4の幾何学形状が、半径方向でブレーキディスク6の回転軸線からさらに離れたグループ要素4とは、若干異なる幾何学形状を有することが看取可能である。その際、グループ要素の幾何学的な構成は、1つのグループ要素の、ブレーキディスクの回転軸線に近いライニング要素に、半径方向でブレーキディスク6の回転軸線からさらに離れたライニング要素よりも高い力が加えられるように選択されている。
この構成上の変化形態でも、所定の軌道円直径D,Dに配置されるライニング要素43のために調整された面圧Pが生じる。
ライニングキャリア3にキャリア薄板5を介して球面支持される複数のライニング要素41,42,43を備え、レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダ2に留められる、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング1を操作する、本発明に係る方法は、ブレーキライニング1に締結力を加えたとき、ライニング要素41,42,43上に作用する面圧が、ブレーキディスク6の回転軸線からの半径方向の間隔が増すにつれ減少するように、締結力をライニング要素41,42,43に分配することを特徴とする。
すべての上述の機能群(ライニング要素、グループ要素、ライニング全体)にわたって、ブレーキディスク6の回転軸線からの間隔が増すにつれ、面圧が連続的に減少することで、ライニング要素の偏摩耗の傾向は、大幅に軽減されている。
これにより、ブレーキライニングのより均等な当たりが、全摩耗高さにわたって達成される。ライニング摩耗が進行しても、ブレーキディスク表面への熱導入は、比較的均等に可能であり、これにより、ブレーキディスクの熱負荷は減少する。
ブレーキディスク上のより均等な、ひいてはより低温の表面温度に基づいて、ブレーキライニングの、制動エネルギに関わる摩耗も、軽減されている。
ライニングホルダ2は、ライニングホルダ2の、ライニングキャリア3から背離した面に、ばねクリップ22と、ばねクリップ22により固定可能なボルトとを有し、ボルトは、ライニングホルダ2のプレート21を通して、ライニングキャリア3内にこのために設けられた空所内に係合する。
1 ブレーキライニング
2 ライニングホルダ
21 プレート
22 ばねクリップ
3 ライニングキャリア
31 空所
32 球面状の空所
33 空所
4 グループ要素
41 ライニング要素
411 摩擦ライニング
412 要素キャリアプレート
413 支持要素
414 球面状の面
415 ばね要素
42 ライニング要素
423 支持要素
43 ライニング要素
5 キャリア薄板
51 フィンガ
52 フィンガ
53 フィンガ
54 凹所
55 カム
56 支持要素
57 カム
6 ブレーキディスク
半径方向の間隔
半径方向の間隔
1i 半径方向の間隔
2i 半径方向の間隔
1a 半径方向の間隔
2a 半径方向の間隔
a 距離
締結力
押し付け力
P 面圧
S 面の重心

Claims (13)

  1. レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニングであって、
    1つのライニングキャリア(3)と、
    前記ライニングキャリア(3)にキャリア薄板(5)を介して支持される複数のライニング要素(41,42,43)と、
    を備え、
    前記キャリア薄板(5)は、前記ライニングキャリア(3)に球面支持されており、
    前記ライニング要素(41,42,43)は、前記キャリア薄板(5)に球面支持されている、
    ブレーキライニングにおいて、
    前記ライニングキャリア(3)における前記キャリア薄板(5)を介した前記ライニング要素(41,42,43)の支持は、前記ライニング要素(41,42,43)をブレーキディスク(6)に圧着させたときの締結力により発生される前記ライニング要素(41,42,43)の面圧(P)が、前記ブレーキディスク(6)の回転軸線に関して半径方向で、前記ブレーキディスク(6)の前記回転軸線から前記ライニング要素(41,42,43)までの間隔が増すにつれ減少するように設計されている、
    ことを特徴とする、分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング。
  2. 前記ライニング要素(41,42,43)の、前記締結力を制動動作時に前記ライニング要素(41,42,43)に伝達する球面状に湾曲した面(414)が、前記ライニング要素(41,42,43)の面の重心に対して前記ブレーキディスク(6)の前記回転軸線に向かって半径方向にオフセットされて前記ライニング要素(41,42,43)に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のブレーキライニング。
  3. 前記ライニングキャリア(3)には、それぞれ1つのキャリア薄板(5)と、前記キャリア薄板(5)に支持される複数のライニング要素(41,42,43)とから形成される複数のグループ要素(4)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載のブレーキライニング。
  4. 前記グループ要素(4)の各々は、3つのライニング要素(41,42,43)を有することを特徴とする、請求項3記載のブレーキライニング。
  5. 前記キャリア薄板(5)は、前記ライニングキャリア(3)における球面支持用の支持要素(56)と、それぞれの前記支持要素(56)から間隔を置いた凹所(54)とを有し、前記凹所(54)内には、前記ライニング要素(41,42,43)の前記支持要素(413,423)が収容されていることを特徴とする、請求項3または4記載のブレーキライニング。
  6. 前記キャリア薄板(5)は、前記キャリア薄板(5)から、前記キャリア薄板(5)に連結される球面状に湾曲した面(414)に伝達される制動力が、1つのキャリア薄板(5)の前記ライニング要素(41,42)の各々について同じであるように成形されており、前記ライニング要素(41,42)のうちの、半径方向外寄りに配置されるライニング要素(41)の前記摩擦面は、前記ライニング要素(41,42)のうちの、半径方向内寄りに配置されるライニング要素(42)の前記摩擦面より大きいことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のブレーキライニング。
  7. 前記キャリア薄板(5)は、前記キャリア薄板(5)から、前記キャリア薄板(5)に連結される球面状に湾曲した面(434)に伝達される制動力が、1つのキャリア薄板(5)の、半径方向外寄りに配置されるライニング要素(43)について、1つのキャリア薄板(5)の、半径方向内寄りに配置されるライニング要素(43)における制動力より小さいように成形されており、すべてのライニング要素(43)の前記摩擦面は、同じ大きさであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のブレーキライニング。
  8. 半径方向外側に位置する1つのライニング要素(43)を有する1つのグループ要素(4)の1つのキャリア薄板(5)において、半径方向外寄りに配置される1つのライニング要素(43)の支持点と、当該グループ要素(4)の支持点との間の半径方向の間隔(h2i)と、半径方向内寄りに配置される1つのライニング要素(43)の支持点と、当該グループ要素(4)の前記支持点との間の半径方向の間隔(h1i)との長さ比(h2i/h1i)が、2より大きいことを特徴とする、請求項7記載のブレーキライニング。
  9. 半径方向内側に位置する1つのライニング要素(43)を有する1つのグループ要素(4)の1つのキャリア薄板(5)において、半径方向内寄りに配置される1つのライニング要素(43)の支持点と、当該グループ要素(4)の支持点との間の半径方向の間隔(h2a)と、半径方向外寄りに配置される1つのライニング要素(43)の支持点と、当該グループ要素(4)の前記支持点との間の半径方向の間隔(h1a)との長さ比(h2a/h1a)が、2より小さいことを特徴とする、請求項7または8記載のブレーキライニング。
  10. 前記キャリア薄板(5)は、前記支持要素(56)から延出するフィンガ(51,52,53)を有し、前記フィンガ(51,52,53)内には、前記ライニング要素(41,42,43)の前記支持要素(413,423)を収容する前記凹所(54)が設けられていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のブレーキライニング。
  11. 1つのグループ要素(4)のそれぞれ2つの前記ライニング要素(41,42,43)が、概ね前記ブレーキディスク(6)の前記回転軸線に関して同心の1つの円周上に配列されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のブレーキライニング。
  12. レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダ(2)における、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング(1)の配置構造であって、前記ブレーキライニング(1)が、請求項1から11までのいずれか1項にしたがって形成されていることを特徴とする、ライニングホルダにおけるブレーキライニングの配置構造。
  13. ライニングキャリア(3)にキャリア薄板(5)を介して球面支持される複数のライニング要素(41,42,43)を備え、レール車両のブレーキディスクアッセンブリのライニングホルダ(2)に留められる、レール車両の分割ライニング式ディスクブレーキ用のブレーキライニング(1)を操作する方法であって、
    前記ブレーキライニング(1)に締結力を加えたとき、前記ライニング要素(41,42,43)上に作用する面圧が、前記ブレーキディスク(6)の回転軸線からの半径方向の間隔が増すにつれ減少するように、前記締結力を前記ライニング要素(41,42,43)に分配する、
    ことを特徴とする、ライニングホルダに留められるブレーキライニングを操作する方法。
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