ディーゼルエンジン用電子制御技術の発展に伴い、電子制御燃料噴射システムは厳しくなりつつあるディーゼルエンジンの排出ガス規制及び経済性の要求を満たすことが必然的な傾向となっている。電子制御ユニットインジェクタ、ユニットポンプ、分配ポンプであっても、現在最も急速に発展している高圧コモンレール式電子制御燃料噴射システムであっても、高速電磁弁はそれらの通常動作を確保する最も重要な部材である。高速電磁弁は、高速電磁弁の電磁石によってその制御弁の開閉時点及び閉時間の長さを正確に調整することにより、燃料噴射タイミング、燃料噴射量及び燃料噴射規律を柔軟に制御し、さらにディーゼルエンジンの経済性を向上させ、排出量を削減する。
なお、電磁弁の動的応答特性及びそのマルチサイクル作動の一致性は燃料システムの高精度の燃料噴射タイミング、噴射量及び柔軟な燃料噴射規律を実現する最も主要な特徴である。現在、電磁弁は、アーマチュア吸引段階では、高い駆動電圧で大電流を生成してその吸引速度を高め、吸引維持段階では相対的に小さい電流で維持し、さらにアーマチュアの釈放速度を高め、電磁弁全体の応答速度を高める。しかしながら、大電流によって電磁弁の電力消費量が増加し、コイル発熱量が増加し、コイル及びそのシール材等の温度特性への要求が高まり、電磁弁の安全信頼性や耐用年数が低下してしまう。また、アーマチュアの吸引維持段階は電磁弁の主な動作期間であり、電流の作用時間が長く、特に燃料システムは広パルス幅の動作状態では、作用時間がより長くなり、この時、コイルの発熱量が大幅に増加してしまう。この場合、維持電流をさらに低減できると、電磁弁の安全信頼性を大幅に向上させるとともに、アーマチュアの釈放速度を高めることができる。また、電子制御燃料システムの高応答特性を満たすために、一般的な電磁弁のアーマチュアが吸引時に大きな速度で弁座又はリミット装置に必ず激しく衝突して大きな発振が発生し、制御弁の実際の開閉時点に影響を与える。さらに燃料噴射制御の制御精度に影響を与えると共に、長時間にわたり動作すると弁座又はリミット装置への損傷を引き起こし、その動作の一致性及び耐用年数を損なってしまう。
特許文献1には、電磁石アセンブリ及び電磁石アセンブリを備えた噴射弁が開示されており、1つのマグネットコア、1つの電磁石コイル、該電磁石コイルと互いに嵌合し、単一部材又は複数の部材からなる1つの昇降動作可能なアーマチュア、及び少なくとも1つの永久磁石を備える電磁石アセンブリが設けられ、永久磁石はマグネットコア内又はアーマチュア内に組み込まれ1つの基本磁束を生成し、基本磁束が電磁石コイルに電流を流す場合に、アーマチュアに作用する磁力を高めたり、弱めたりする。該電磁石アセンブリのコイルに永久磁石の極性に対して同一方向の電流を流す場合、アーマチュアに作用する磁力が高くなり、アーマチュアの吸引速度が高くなる一方、コイルに電流を遮断する場合、永久磁石で生じる基本磁束は依然としてアーマチュアに作用し、セルフロック力が発生し、アーマチュアの釈放速度に影響を与えるため、後続に逆方向電圧を使用してその釈放速度を高めるが、駆動制御の複雑性、及び電力消費量の増加を招いてしまう。
本発明は、低電力消費量、高応答、低発振の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石を提供することを目的とする。本発明は、さらに、複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石に基づく複合磁気回路ダブル永久磁石高速電磁弁を提供することを目的とする。
本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石は、鉄心、ボビンに巻き付けられるコイル、及び永久磁石を備え、鉄心に環状凹溝が設けられて主磁極と副磁極が形成され、コイルが前記環状凹溝内に嵌め込まれ、前記永久磁石が広幅永久磁石及び狭幅永久磁石を含み、狭幅永久磁石が鉄心の主磁極と副磁極との間、且つコイルの外側又は内側に設けられ、狭幅永久磁石の高さがボビンの高さに等しく、広幅永久磁石が主磁極と副磁極との間、且つボビンの下方に設けられ、広幅永久磁石の下面が鉄心の下面と同一平面上にあり又は鉄心の下面よりやや低く、2つの永久磁石の磁化方向はいずれもラジアル放射磁化方向であり、且つ極性が同一である。
本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石は、さらに以下のようなことを含んでもよい。
1、鉄心の中央に段差中心孔が設けられ、前記段差中心孔内に油圧制振アセンブルが設けられ、前記油圧制振アセンブルはピストンガイドスリーブ、減衰ピストン、ピストン復帰ばね及び減衰変位調整リングを備え、減衰ピストンとピストンガイドスリーブが対偶部材であり、減衰ピストンに複数の減衰孔が設けられ、ピストンガイドスリーブが段差中心孔の小孔に締り嵌めされ、ピストンガイドスリーブの高さが段差中心孔の小孔の深さに等しく、減衰ピストンがピストン復帰ばねにより減衰変位調整リングに予圧され、減衰変位調整リングは中心に円筒孔が設けられたボス構造であり、減衰変位調整リングが段差中心孔の大孔に固定して連結される。
2、広幅永久磁石及び/又は狭幅永久磁石は完全な磁石リングである。
3、広幅永久磁石及び/又は狭幅永久磁石は等分されたアーク永久磁石であり、等分されたアーク永久磁石が密着して配置され又は等分されて等間隔に均一分布する。
本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石高速電磁弁は、シェル、電磁石、初期エアギャップ調整リング、低圧室、ベース、弁棒及びアーマチュアを備え、ベース、低圧室、初期エアギャップ調整リング、電磁石が下から上にシェル内に順に配置され、シェルの上部に固定ナットが設けられ、ベースに高圧油孔が設けられ、低圧室の中央に大円筒孔が設けられて低圧油室が形成されると共に、連通円孔と油戻し孔が設けられ、弁棒がベースと低圧室を貫通し、弁棒の下端にリミットリングが設けられ、アーマチュアが弁棒の上部に取り付けられ、弁棒内にポペット弁を有し、ポペット弁が低圧油室内に位置し、且つポペット弁上部の弁棒にアーマチュア復帰ばねが套設され、前記電磁石は複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石であり、前記複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石は、鉄心、ボビンに巻き付けられるコイル、及び永久磁石を備え、鉄心に環状凹溝が設けられて主磁極と副磁極が形成され、コイルが前記環状凹溝内に嵌め込まれ、前記永久磁石が広幅永久磁石及び狭幅永久磁石を含み、狭幅永久磁石が鉄心の主磁極と副磁極との間、且つコイルの外側又は内側に設けられ、狭幅永久磁石の高さがボビンの高さに等しく、広幅永久磁石が主磁極と副磁極との間、且つボビンの下方に設けられ、広幅永久磁石の下面が鉄心の下面と同一平面上にあり又は鉄心の下面よりやや低く、2つの永久磁石の磁化方向はいずれもラジアル放射磁化方向であり、且つ極性が同一である。
本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石高速電磁弁はさらに以下のようなことを含んでもよい。
1、鉄心の中央に段差中心孔が設けられ、前記段差中心孔内に油圧制振アセンブルが設けられ、前記油圧制振アセンブルはピストンガイドスリーブ、減衰ピストン、ピストン復帰ばね及び減衰変位調整リングを備え、減衰ピストンとピストンガイドスリーブが対偶部材であり、減衰ピストンに複数の減衰孔が設けられ、ピストンガイドスリーブが段差中心孔の小孔に締り嵌めされ、ピストンガイドスリーブの高さが段差中心孔の小孔の深さに等しく、減衰ピストンがピストン復帰ばねにより減衰変位調整リングに予圧され、減衰変位調整リングは中心に円筒孔が設けられたボス構造であり、減衰変位調整リングが段差中心孔の大孔に固定して連結される。
2、ベースの下部にアーマチュアリフト量調整ブロックが取り付けられる。
3、広幅永久磁石及び/又は狭幅永久磁石は完全な磁石リング又は等分されたアーク永久磁石であり、広幅永久磁石及び/又は狭幅永久磁石がアーク永久磁石である場合、等分されたアーク永久磁石は密着して配置され又は等分されて等間隔に均一分布する。
本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石及び本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石に基づく複合磁気回路ダブル永久磁石高速電磁弁は、複合磁気回路ダブル永久磁石の構造を採用し、コイルに永久磁石の分極方向と同一方向の電流を流す場合、コイルで生じる磁束と永久磁石で生じる磁束が重ね合わせてアーマチュアを透過するとともに、主副磁極間における磁気漏れを効果的に回避し、アーマチュアに作用する軸方向の電磁力を増加させることができ、したがって、アーマチュアの吸引及び吸引維持段階におけるコイル駆動電流を低減させ、電磁弁の電力消費量及びコイルの発熱量を低減させることができる一方、コイルに電流を遮断する場合、永久磁石で生じる磁束が主に鉄心部分に磁気回路を形成し、非常にわずかな磁束がアーマチュアを透過するため、セルフロックが発生することがなく、また複合磁気回路ダブル永久磁石の構造によって吸引維持段階において電流の低減を維持できるため、アーマチュアの釈放速度を高めることができ、なお、油圧制振構造を採用することにより、アーマチュア吸引過程における前期の加速運動と後期の制振動作が可能となり、閉時点の衝突程度を軽減させ、開弁時の発振を軽減させ、燃料噴射の制御精度を高め、リミット装置への損傷を軽減させると共に、初期エアギャップ調整リング、アーマチュアリフト量調整ブロック及び減衰変位調整リングを組み合わせることにより、アーマチュアの残留エアギャップ、運動リフト量及び加速や制振距離を自由に調整することができる。
以下、図面を参照して例を挙げながら本発明をより詳細に説明する。
図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石の第1実施形態は、アーマチュア2、広幅永久磁石4、鉄心5、コイル6、狭幅永久磁石7、及びボビン8を備えるように構成される。鉄心5の環状凹溝内には狭幅永久磁石7及び広幅永久磁石4を含む複合磁気回路ダブル永久磁石構造が設けられ、狭幅永久磁石7が鉄心5の主磁極25と副磁極26との間、且つボビン8の外側又は内側に設けられ、主磁極25又は副磁極26に隙間なく密着される。狭幅永久磁石7の高さがボビン8の高さに等しく、広幅永久磁石4が主磁極25と副磁極26との間、且つボビン8の下方に設けられ、広幅永久磁石4がそれぞれ主磁極25と副磁極26に締り嵌めされ、広幅永久磁石4の下面12が鉄心の下面11と同一平面上にあり又は鉄心の下面よりやや低く、2つの永久磁石の磁化方向はいずれもラジアル放射磁化方向であり、且つ極性が同一である。
同時に、図7に示すように、本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石の第2実施形態では、第1実施形態に加えて、鉄心5の中心に油圧制振アセンブル10が追加される。油圧制振アセンブルはピストンガイドスリーブ31、減衰ピストン32、ピストン復帰ばね30、及び減衰変位調整リング34を備え、減衰ピストン32とピストンガイドスリーブ31が対偶部材であり、減衰ピストン32に同一円周上に均等に分布する複数の減衰孔33が設けられる。ピストンガイドスリーブ31が鉄心5の段差中心孔の小孔に締り嵌めされ、その高さが鉄心5の段差中心孔の小孔の深さに等しく、減衰ピストン32がピストン復帰ばね30により減衰変位調整リング34に予圧される。減衰変位調整リング34は中心に円筒孔が設けられたボス構造であり、鉄心5の段差中心孔の大孔にねじ山によって接続される。
図3(a)、図3(b)及び図3(c)に示すように、上記複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石の2種類の実施形態では、2つの永久磁石は完全な磁石リングであってもよく、等分されたアーク永久磁石或いは等分されて等間隔に均一分布するアーク永久磁石からなってもよい。図3(a)、図3(b)、図3(c)はそれぞれ広幅永久磁石である完全な磁石リング、3等分されたアーク永久磁石の組み合わせ磁石リング、3等分されて等間隔に均一分布するアーク永久磁石の組み合わせ磁石リングを示す。
図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石電磁石に基づく複合磁気回路ダブル永久磁石高速電磁弁の第1実施形態は、弁棒1、アーマチュア2、止めリング3、広幅永久磁石4、鉄心5、コイル6、狭幅永久磁石7、ボビン8、固定ナット9、初期エアギャップ調整リング13、シェル14、低圧室15、アーマチュア復帰ばね16、ベース18、及びリミットリング21を備えるように構成される。
アーマチュア2と鉄心5はいずれも高透磁率の軟磁性材料であり、他は非軟磁性材料である。鉄心5は円筒状であり、その軸がアーマチュア2の中心軸に位置合わせし、その中心に段差円筒孔が設けられ、大孔にねじ山が加工され、外側に環状凹溝が設けられて鉄心が主磁極25と副磁極26に分けられる。ボビン8にエナメル銅線が所定巻数巻き付けられてコイル6が形成され、その径方向の幅と軸方向の高さがそれぞれ鉄心の環状凹溝の幅と深さよりも小さく、ボビン8とコイル6がともに環状凹溝内に圧入される。鉄心5の環状凹溝内に狭幅永久磁石7及び広幅永久磁石4を含む複合磁気回路ダブル永久磁石構造が設けられる。狭幅永久磁石7は環状であり、図2(a)及び図2(b)に示すように、2種類の配置形態を有する。図2(a)は狭幅永久磁石7がボビン8の外側に位置し、狭幅永久磁石7が副磁極26とボビン8との間に圧入されることを示し、図2(b)は狭幅永久磁石7がボビン8の内側に位置し、狭幅永久磁石7が主磁極25とボビン8との間に圧入されることを示す。狭幅永久磁石7とボビン8との間に所定の隙間が形成されてゴムや樹脂等により充填されてもよいが、狭幅永久磁石7が必ず副磁極26又は主磁極25に隙間なく密着される。また、狭幅永久磁石7の高さがボビン8の高さに等しい。広幅永久磁石4は同様に環状であり、コイルの下方、且つ主磁極25と副磁極26との間に圧入され、広幅永久磁石4はそれぞれ主磁極25と副磁極26に締り嵌めされ、広幅永久磁石4の下面12が鉄心の下面11と同一平面上にあり又は鉄心の下面よりやや低い。狭幅永久磁石7と広幅永久磁石4の磁化方向はいずれもラジアル放射磁化方向であり、且つ極性が同一である。2つの永久磁石は完全な磁石リングであってもよく、等分されたアーク永久磁石或いは等分されて等間隔に均一分布するアーク永久磁石からなってもよく、図3(a)、図3(b)、図3(c)はそれぞれ広幅永久磁石である完全な磁石リング、3等分されたアーク永久磁石の組み合わせ磁石リング、3等分されて等間隔に均一分布するアーク永久磁石の組み合わせ磁石リングを示す。
同時に、図7に示すように、本発明の複合磁気回路ダブル永久磁石高速電磁弁の第二実施形態では、第1実施形態に加えて、鉄心5の中心に油圧制振アセンブル10が設けられる。図7は油圧制振アセンブル10の拡大模式図であり、ピストンガイドスリーブ31、減衰ピストン32、ピストン復帰ばね30、及び減衰変位調整リング34を備え、減衰ピストン32とピストンガイドスリーブ31が対偶部材であり、減衰ピストン32に同一円周上に均一に分布する複数の減衰孔33が設けられ、ピストンガイドスリーブ31が鉄心5の段差中心孔の小孔に締り嵌めされ、その高さが鉄心5の段差中心孔の小孔の深さに等しく、減衰ピストン32がピストン復帰ばね30により減衰変位調整リング34に予圧される。減衰変位調整リング34は中心に円筒孔が設けられたボス構造であり、鉄心5の段差中心孔の大孔にねじ山によって接続され、異なるボス高さhを有する減衰変位調整リング34を採用することにより減衰ピストン32と弁棒1との初期距離を変更する。電磁弁アセンブリ全体がシェル14内に封入され、弁棒1とアーマチュア2が止めリング3により固定して連結されると共に、弁棒1にポペット弁17とリミットリング21とを有し、ポペット弁17が弁棒1と一体に形成され、リミットリング21が締り嵌め又はねじ山により弁棒に固定して連結される。また、鉄心5と低圧室15との間にアーマチュア初期エアギャップ調整リング13が設けられ、低圧室15の中央に大円筒孔が設けられて低圧油室23が形成されると共に、アーマチュア室36と連通する円孔35及び油戻し孔24が設けられ、ベース18に高圧油孔19が設けられ、その下方に2つの半月形ブロックからなりかつ2つの対称孔を有するアーマチュアリフト量調整ブロック20が設けられ、図8に示すように、アーマチュアリフト量調整ブロック固定ナット22によりベースに固定される。
図4〜図6は複合磁気回路ダブル永久磁石構造の励磁原理を示す。(1)コイル6に永久磁石の分極方向と同一方向の電流を流す場合、コイルで生じる、主磁極25、ヨーク29、副磁極26、外動作エアギャップ27、アーマチュア2、内動作エアギャップ28を経由して閉じられる磁束Ф3と、広幅永久磁石4で生じる、副磁極26、外動作エアギャップ27、アーマチュア2、内動作エアギャップ28、広幅永久磁石4を経由して閉じられる磁束Ф1と、狭幅永久磁石7で生じる、副磁極26、外動作エアギャップ27、アーマチュア2、内動作エアギャップ28、主磁極25、ボビン8、コイル6、狭幅永久磁石7を経由して閉じられる磁束Ф2との三者が重ね合わされ、それによりアーマチュアの動作エアギャップにおける磁束密度を増加させるとともに、一般的な電磁石のコイルの通電時に生じる主副磁極間における磁気漏れФ7を効果的に回避する。該部分の磁束がアーマチュアを経由せずに閉じるため、アーマチュアに作用する電磁力が増加し、それによりアーマチュアの吸引及び吸引維持段階におけるコイル駆動電流の大きさを低減させ、電磁弁の電力消費量とコイルの発熱量を低減させることができると共に、アーマチュアの吸引維持段階における駆動電流の低減により、コイルの電源オフの時、電流減衰速度を高め、アーマチュアの釈放速度を高めることができる。(2)コイルに通電しない場合、広幅永久磁石4で生じる磁束の一部Ф5が副磁極26、ヨーク29、主磁極25、広幅永久磁石4を経由して閉じられ、一部Ф4が副磁極26、外動作エアギャップ27、アーマチュア2、内動作エアギャップ28、主磁極25、広幅永久磁石4を経由して閉じられるとともに、広幅永久磁石4で生じる磁場により、狭幅永久磁石7で生じる磁束Ф6を副磁極26、ヨーク29、主磁極25、ボビン8、コイル6、狭幅永久磁石7を経由して閉じさせる。また鉄心は高透磁率の材料からなり、その磁気抵抗が動作エアギャップにおける磁気抵抗よりも遥かに小さいため、Ф4もФ5及びФ6よりも遥かに小さく、動作エアギャップとアーマチュア2を流れる磁束が極めて少なく、それによりコイルの電源オフの時、アーマチュアの受ける電磁力が極めて小さく、アーマチュア復帰ばねの付勢力と比べて遥かに小さいため、セルフロック現象が発生することがない。
コイルに通電する場合、鉄心5はアーマチュア2に対して電磁吸引力が発生し、アーマチュア復帰ばね16の付勢力を克服することに対して十分になると、アーマチュア2は弁棒1が鉄心5へ加速運動するように駆動する。鉄心5とアーマチュア2との間のエアギャップが小さくなるにつれて、電磁力がますます大きくなり、アーマチュア2の運動速度もますます高くなり、弁棒1の頂端が減衰ピストン32に接触した後、減衰ピストン32がともに運動するように駆動し、減衰ピストン32に複数の減衰孔33が設けられて絞り作用を生じさせる。アーマチュアの運動が油圧減衰力の作用を受けて、一部の運動エネルギーを液体の熱エネルギー及びピストン復帰ばね30の位置エネルギーに変換し、それによりアーマチュアが最大リフト量に到達する時のリミットリング21とアーマチュアリフト量調整ブロック20との衝突程度を軽減させ、ポペット弁17の開弁時の発振を軽減させ、さらに高圧油孔19から低圧油室23にドレインして油戻し孔24から排出される高圧油の非線形量を減少させ、該油路による噴射ニードル弁の制御精度を向上させ、燃料噴射の制御精度を向上させる。同時に、アーマチュア初期エアギャップ調整リング13の高さ、アーマチュアリフト量調整ブロック20の厚さ、及び減衰変位調整リング34hの高さを組み合わせ調整することにより、アーマチュアの残留エアギャップ、運動リフト量及び加速や制振距離を自由に調整し、電磁弁の応答及びその吸引衝突状況を両立させることができる。
以上、挙げられた実施形態は本発明の一部の具体的な実施例に過ぎない。勿論、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。当業者が本発明に開示される内容から直接に導出又は想到できるすべての変形は、いずれも本発明の保護範囲に属すると見なされるべきである。