以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面と示す。
(第1実施形態)
図1、図2、図3、図4に基づき、本実施形態に係る電子装置10の概略構成について説明する。図1、図2、図4に示すように、電子装置10は、ケース20とカバー30とを含む防水筐体、回路基板60、送風ファン100、及びファンカバー300を備えている。この電子装置10は、例えば、車両のエンジンを制御する電子制御装置(ECU)として適用できる。なお、図4は、電子装置10のXZ平面での部分的な断面図である。防水筐体は、筐体に相当する。本実施形態では、筐体として、防水筐体を採用しているが、防水筐体に限定されない。
防水筐体は、回路基板60を収容する内部空間S1としての防水空間を提供する。防水筐体は、回路基板60の板厚方向であるZ方向において二つの筐体部材に分割されている。二つの筐体部材は、一方がケース20で、他方がカバー30とされている。防水筐体は、図示しないシール部材を介して、ケース20及びカバー30を相互に組み付けて構成される。つまり、防水筐体は、ケース20とカバー30とがシール部材を介して組み付けられて、防水空間を提供している。
ケース20は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20がアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されている。つまり、ケース20は、樹脂材料を用いて形成されていても回路基板60を保護することができる。しかしながら、ケース20は、金属材料を用いて形成することで、樹脂材料を用いて形成されたものより放熱性を向上できる。ケース20は、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。
ケース20の壁部21は、例えば平面略矩形状をなしている。ケース20の壁部21は、防水筐体の壁部に相当する。壁部21に連なる4つの側壁のひとつには、図示しない切り欠きが設けられている。この切り欠きは、ケース20の一面の開口につながっている。また、切り欠きは、コネクタ40の一部を防水筐体の外部に露出するために設けられている。
壁部21は、壁部21を板厚方向に貫通するファン取付開口部25が形成されている。ファン取付開口部25は、防水筐体のケース20に送風ファン100を取り付けるための開口部である。ファン取付開口部25は、ケース20の外面及び内面にわたって形成されている。つまり、ファン取付開口部25は、内部空間S1と、防水筐体と、防水筐体の外部とを連通する貫通孔である。また、ファン取付開口部25は、壁部21に形成された貫通孔に相当する。
なお、本実施形態では、一例として、ファン取付開口部25が形成された部位が壁部21の他の部分に対して凹んで設けられたケース20を採用している。つまり、ケース20は、壁部21において、ファン取付開口部25が形成された部位に対して突出した部位を含んでいる。なお、この突出した部位は、コネクタ取付部22や高背収容部22aなどである。
コネクタ取付部22は、コネクタ40を収容すべくX方向における一端側に設けられている。しかしながら、回路基板60と外部機器との電気的な接続構造によっては、ケース20にコネクタ取付部22が形成されていなくてもよい。
高背収容部22aは、回路基板60を構成するアルミ電解コンデンサなどの高背部品を収容する部位である。本実施形態の高背収容部22aは、コネクタ取付部22からX方向に延設されている。さらに、高背収容部22aは、X方向において、後程説明するファンカバー300と間隔をあけて設けられている。しかしながら、回路基板60が高背部品を含んでいない場合、ケース20に高背収容部22aが形成されていなくてもよい。
さらに、図1、図2に示すように、ケース20は、放熱フィンとして、第1フィン22b、第2フィン22cが形成されている。本実施形態では、二つの第1フィン22bと、二つの第2フィン22cで挟まれる位置に設けられた複数の第1フィン22bとを含む例を採用している。第1フィン22bと第2フィン22cは、周辺よりも突出した部位であり、壁部21からZ方向に突出しており、且つ、コネクタ取付部22に対してX方向に延設されている。よって、第1フィン22bと第2フィン22cは、コネクタ取付部22に対してX方向に突出して設けられているとも言える。なお、第1フィン22b、第2フィン22cは、例えば、ケース20と一体的に、アルミニウムなどの金属材料を用いて形成されている。
後程説明するが、電子装置10は、壁部21に対向する位置にファンカバー300が設けられている。そして、電子装置10は、ファンカバー300と壁部21との間に送風空間S2が形成されている。この場合、ケース20は、ファンカバー300との対向位置に第1フィン22b、第2フィン22cが設けられていると好ましい。つまり、ケース20は、Z方向の平面視において、ファンカバー300と重なる位置に第1フィン22b、第2フィン22cが設けられている。
これによって、電子装置10は、送風ファン100で形成された空気の流れに加えて、第1フィン22b、第2フィン22cによって防水筐体の放熱を行うことができる。よって、電子装置10は、送風ファン100と、フィン22b、22cの一方のみが設けられている構成よりも放熱性を向上できる。なお、ケース20は、これに限定されず、第1フィン22bや第2フィン22cが、ケース20におけるファンカバー300の対向位置から外れた位置に設けられていてもよい。
また、各第1フィン22bは、ケース20とファンカバー300との対向位置から対向位置の外にわたって設けられていると好ましい。つまり、各第1フィン22bは、Z方向の平面視において、ファンカバー300と重なる位置から、ファンカバー300と重ならない位置に連続的に設けられている。これによって、電子装置10は、送風空間S2と送風空間の外部空間とを連通する連通口A1が形成される。よって、電子装置10bは、空気が送風空間S2を流れやすくすることができる。なお、外部空間とは、電子装置10の周辺空間と言い換えることができる。
このように、本実施形態では、第1フィン22b、第2フィン22cが形成されたケース20を採用している。しかしながら、ケース20は、これに限定されず、第1フィン22bや第2フィン22cが形成されていなくてもよい。
以上のように、ケース20は、コネクタ取付部22、高背収容部22a、第1フィン22b、第2フィン22cが形成されている。このため、ケース20は、壁部21のうち、第1フィン22b、第2フィン22cを除く部分にファン取付開口部25が形成されている。また、ファン取付開口部25は、壁部21のうち、略平坦な部分に形成されていると言える。
なお、図1に示す符号23は、ねじなどによって電子装置10を車両に取り付けるための車体固定部である。符号24は、ケース20とカバー30とを固定するための筐体固定孔である。筐体固定孔24には、図示しないねじが挿入される。これら車体固定部23及び筐体固定孔24は、ケース20と一体に設けられている。
しかしながら、電子装置10は、クリップや接着剤によって車両に取り付けられてもよい。この場合、ケース20は、車体固定部23が設けられていなくもてよい。また、ケース20とカバー30は、クリップや接着剤によって固定されてもよい。この場合、ケース20は、筐体固定孔24が設けられていなくもてよい。
さらに、ケース20は、後程説明するフランジ部221と対向する壁部21における位置に、ケース側凸部26、ケース側溝部27が設けられている。つまり、ケース側凸部26とケース側溝部27は、壁部21の内面側に設けられている。ケース側凸部26は、凸部に相当し、周辺よりも突出した部位である。一方、ケース側溝部27は、凹部に相当し、周辺よりも凹んだ部位である。
ケース側凸部26とケース側溝部27は、ファン取付開口部25を取り囲むように環状に設けられている。さらに、ケース側溝部27は、ケース側凸部26を取り囲むように環状に設けられている。本実施形態では、ファン取付開口部25の開口端部として、ケース側凸部26が設けられたケース20を採用している。
カバー30は、ケース20とともに防水筐体の内部空間S1を形成する。ケース20とカバー30を組み付けることで、カバー30によりケース20における一面の開口が閉塞される。また、カバー30によりケース20の一面の開口が閉塞されることで、側壁に形成された切り欠きが区画され、図示しない開口部となる。この開口部により、コネクタ40の一部が外部に露出される。なお、コネクタ40は、少なくとも一部が内部空間S1に配置され、残りの部分が外部空間に配置される。
本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20と同様にアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されたカバー30を採用できる。また、カバー30は、ケース20と同様に、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。カバー30は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、一例として、外面側に複数の放熱フィン31が形成されたカバー30を採用している。しかしながら、カバー30は、放熱フィン31が形成されていなくてもよい。
防水筐体のシール部材は、ケース20とカバー30との間、ケース20とコネクタ40との間、及びカバー30とコネクタ40との間を介して、内部空間S1が外部空間と連通するのを遮断するように設けられている。このシール部材は、内部空間S1を取り囲むようにケース20及びカバー30の周縁部に配置されている。シール部材により、ケース20及びカバー30の周縁部が水密に封止されている。シール部材として、例えば硬化前において液状の接着材を採用することができる。また、シール部材は、これに限定されず、Oリングや環状のゴムシートなどのように弾性変形によって水密に封止する部材であっても採用できる。
回路基板60は、防水筐体の内部空間S1に収容されており、ケース20又はカバー30に固定されている。また、回路基板60は、ケース20とカバー30とで挟み込まれて、ケース20とカバー30に固定されていてもよい。ケース20やカバー30に対する回路基板60の固定構造は、特に限定されない。
回路基板60は、プリント基板、及び、プリント基板に実装された回路素子61を有している。プリント基板は、例えば樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成された基材に、配線が配置されてなる。そして、回路基板60は、配線と回路素子61とにより、回路が形成されている。プリント基板は、例えば平面略矩形状をなしている。回路素子61は、プリント基板におけるケース20側の面及びカバー30側の面の少なくとも一方に実装されている。
本実施形態では、回路素子61のうち、パワーMOSFETなどの発熱素子が、図2に示すように、プリント基板におけるケース20側の面であって、Z方向の平面視において送風ファン100の周囲に配置されている。電子装置10は、発熱素子の周辺、すなわち壁部21における発熱素子に対向する領域を積極的に冷却することが好ましい。
このため、発熱素子は、送風ファン100の周囲であり、且つ、後程説明する第2通気口212の開口方向に沿う位置に設けられていると好ましい。つまり、送風ファン100は、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成されていると好ましい。電子装置10は、壁部21における送風ファン100の位置や、送風ファン100における第2通気口212の位置などによって、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成可能である。なお、プリント基板には、アルミ電解コンデンサなどの高背部品が実装されている。
また、本実施形態では、スルーホール62が形成されたプリント基板を採用している。そして、回路基板60は、例えば回路素子61の端子がスルーホール62に挿入された状態で、回路素子61とプリント基板(配線)が電気的に接続されている。
回路基板60には、コネクタ40が実装されている。コネクタ40は、回路基板60と、電子装置10の外部に設けられた電子機器とを電気的に接続するための電子部品である。コネクタ40は、回路基板60におけるX方向の一端側に実装され、プリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、一部が防水筐体の上記した開口部を介して外部に露出され、残りの部分が内部空間S1に収容されている。
コネクタ40は、樹脂材料を用いて形成されたハウジング、及び、導電性材料を用いて形成され、ハウジングに保持された複数の端子を有している。つまり、コネクタ40は、複数の端子がプリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、複数の端子が、スルーホール62に挿入された状態で、プリント基板の配線に電気的に接続されていてもよい。
送風ファン100は、送風ユニットに相当する。送風ファン100は、ケース20の壁部21に取り付けられている。送風ファン100は、ケース20のファン取付開口部25に取り付けられている。送風ファン100は、回路基板60を冷却するために設けられている。送風ファン100は、羽根部120の回転により、図4の一点鎖線で示すように空気の流れを形成して、ケース20に風を供給する。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転にともないハウジング200に設けられた第1通気口201、212を介して壁部21の外面に沿った空気の流れを形成する。また、送風ファン100は、第1通気口201と第2通気口212の位置及び開口方向を後程説明する構成とすることで、図4の一点鎖線で示すように空気の流れを形成することができる。
送風ファン100は、ケース20に風を供給することで回路基板60を冷却する。つまり、送風ファン100は、ケース20を冷却することで、ケース20内の回路基板60を冷却するものと言える。このため、送風ファン100は、冷却ファンとも言える。送風ファン100としては、例えば、周知の軸流ファンを採用することができる。
送風ファン100は、ケース20に風を供給する部位であるファン機構と、ファン機構を保持するハウジング200とを含んでいる。送風ファン100は、シール部材50を介してケース20に固定されるとともに、回路基板60に電気的に接続されている。
ファン機構は、例えば、軸部110、羽根部120、ファン用回路基板130、端子140、ポッティング部150などを備えている。なお、ファン機構は、軸流ファンにおける周知の構造を採用できるため、図4などにおいては、軸部110、羽根部120などを簡略化して図示している。
例えば、軸部110は、羽根部120の回転軸となる回転シャフト111、回転シャフトをハウジング200やコイルに対して回転可能に構成するための軸受、回転シャフトの周囲に配置されハウジング200に対して固定されたコイルなどを含んでいる。コイルは、ファン用回路基板130と電気的に接続されており、ファン用回路基板130から通電される。なお、コイルは、回転軸の周囲における複数箇所に設けられている。
回転シャフト111は、送風ファン100がケース20や回路基板60に取り付けられた状態で、回路基板60に対して垂直に設けられている。回転シャフト111の軸方向、すなわち羽根部120の回転軸の方向が、Z方向と一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で、すなわちZ方向に沿った状態で壁部21に配置されている。このため、送風ファン100は、XY平面に沿って羽根部120が回転する。
また、羽根部120は、例えば、コイルの周囲に等間隔で複数個設けられており、コイルと対向する位置に磁石が取り付けられている。羽根部120は、回転シャフトに固定されており、回転シャフトの回転に伴って、ハウジング200に対して回転可能に構成されている。
このように、ファン機構は、ハウジング200に対して回転可能に構成された回転子と、ハウジング200に固定された固定子とを含んでいるとも言える。回転子は、例えば回転シャフト111や羽根部120などを含んでいる。一方、固定子は、例えばコイルや軸受などを含んでいる。さらに、ファン機構は、モータと、モータの回転に伴って回転する羽根部120を備えているとも言える。
送風ファン100は、コイルが通電されることによって羽根部120が回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第1通気口201から空気を吸入して、第2通気口212から排出する。この場合、第1通気口201を吸込口、第2通気口212を排出口と称することもできる。
なお、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第2通気口212から空気を吸入して、第1通気口201から排出するように構成されていてもよい。この場合、第2通気口212を吸込口、第1通気口201を排出口と称することができる。
本実施形態では、ファン用回路基板130を保護するために、ポッティング部150を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、後程説明するハウジング200とともにファン用回路基板130と端子140がインサート成形されていてもよい。さらに、送風ファン100は、ポッティング部150が設けられていなくてもよい。なお、本実施形態で採用したファン機構は一例である。ファン機構は、例えば、遠心ファンと同様の構成であっても採用できる。
ハウジング200は、回転シャフト111や羽根部120などの回転子が回転可能な状態で、ファン機構を収納している。ハウジング200は、第1通気口201、側壁210、側壁端部211、第2通気口212、底部220、フランジ部221などを含んでいる。ハウジング200は例えば樹脂材料を用いて形成されている。側壁210及び底部220は、Z方向において一端側が開口する有底の筒形状をなしている。この筒の開口が、第1通気口201とされている。第1通気口201の全体が、Z方向において羽根部120よりも上方に設けられている。送風ファン100は、ファン機構がハウジング200の側壁210で囲まれているため、飛び石などの異物がファン機構に当たるのを抑制することができ、ファン機構の羽根部120などを保護することができる。
ハウジング200は、ファン取付開口部25を塞ぐように、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向しつつファン取付開口部25を覆うように配置されている。つまり、ハウジング200は、壁部21の内面と対向する部分を有しつつファン取付開口部25を塞ぐように壁部21に配置されている。ハウジング200には、複数の通気口201、212が形成されている。複数の通気口は、羽根部120の回転にともなって、壁部21の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において異なる位置に形成されている。
本実施形態では、第1通気口201と第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。第1通気口201及び第2通気口212の一方が空気の吸込口として機能し、他方が排出口として機能する。
第1通気口201及び第2通気口212は、いずれも、Z方向において、壁部21におけるファン取付開口部25の開口周囲の外面よりも上方、すなわち回路基板60から離れた位置に形成されている。第1通気口201は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも上方に位置し、第2通気口212は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも下方に位置するように形成されている。また、ハウジング200は、回転軸周りに設けられた側壁210を含んでおり、側壁210の壁部21とは反対側端部が開口して通気口の一つである第1通気口201をなしていると言える。
さらに、第2通気口212は、送風ファン100がケース20に取り付けられた状態で、防水筐体の外部に配置される位置に設けられている。つまり、第2通気口212は、壁部21の外面を基準として、内部空間S1とは反対側の位置に設けられている。
また、第1通気口201は、Z方向に開口している。一方、第2通気口212は、XY平面に沿う方向(以下、XY平面方向)に開口している。このように、第1通気口201と第2通気口212は、開口方向が異なる。このため、羽根部120が回転した際の第1通気口201を通過する風の流れは、Z方向になると言える。一方、羽根部120が回転した際の第2通気口212を通過する風の流れは、XY平面方向になると言える。送風ファン100は、吸込口を通る風の向きと、排出口を通る風の向きを変えることができるように構成されていると言える。また、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、XY平面方向に吸い込んだ空気をZ軸方向へ排出、又はZ軸方向に吸い込んだ空気をXY平面方向へ排出できるように構成されているとも言える。
ハウジング200は、例えば平面略矩形状の底部220と、底部220と連なる四つの側壁210を有している。側壁210の少なくともひとつに、第2通気口212が形成されている。本実施形態では、4つの側壁210のそれぞれに、第2通気口212が形成されている。第2通気口212は、側壁210を貫通する貫通孔である。第2通気口212は、Z方向が短手方向、Z方向に直交する方向が長手方向となるように、形成されている。しかしながら、第2通気口212の開口形状は、これに限定されない。第2通気口212は、開口形状が円形や正方形であってもよく、特に限定されない。
側壁210は、底部220からZ方向に離れた位置に第2通気口212が形成されている。側壁210は、底部220側の端部に側壁端部211が設けられている。側壁端部211は、側壁210のうち、第2通気口212と底部220との間の部位である。なお、側壁端部211は、Z方向における底部220及びフランジ部221から第2通気口212までの間隔が、壁部21の厚みよりも長くなっている。これによって、ハウジング200は、第2通気口212が防水筐体の外部に配置されることになる。しかしながら、ハウジング200は、第2通気口212が内部空間S1に連通しておらず、第2通気口212の少なくとも一部が防水筐体の外部に配置されていればよい。
また、ハウジング200は、ケース20に取り付けられた防水筐体の防水性を維持するために、羽根部120などを収容している収容空間と内部空間S1とを連通する穴が形成されていない。つまり、例えば底部220には、内部空間S1に達する貫通孔などは設けられていない。側壁210及び底部220で構成される有底の筒状部材は、底に開口が設けられていない、と言うことができる。
しかしながら、ハウジング200は、後程説明するように、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続するための端子140が内部空間S1に突出している。このため、端子140は、ハウジング200との間が水密な状態でハウジング200から突出するように構成されている。これは、ハウジング200を形成する際に、端子140をインサート成形することなどによって達成できる。
なお、本実施形態では、隣り合う側壁210の角部、すなわち連結部分がR形状をなしたハウジング200を採用している。第2通気口212は、R形状の部分を除く平坦部分に形成されている。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、R形状をなしていなくてもよく、R形状をなしている部分に第2通気口212が形成されていてもよい。
また、本実施形態では、四箇所に第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、三箇所以下に第2通気口212が形成されていてもよいし、五箇所以上に第2通気口212が形成されていてもよい。さらに、ハウジング200は、Z方向の平面視において丸形状であってもよい。
図4に示すように、ハウジング200は、ファン取付開口部25に挿入されている。ハウジング200は、ファン取付開口部25を通じて、ケース20の内外にわたって配置されている。底部220の少なくとも一部は、内部空間S1に配置されている。側壁210は、一部がファン取付開口部25内に配置されるとともに、他の一部が壁部21の外面よりも上方に突出している。本実施形態では、ハウジング200がファン取付開口部25に挿入された状態で、側壁端部211の一部がファン取付開口部25に配置される。つまり、側壁端部211は、Z方向に直交する方向において、ファン取付開口部25を構成するケース20の側壁と対向している。
フランジ部221は、側壁210及び底部220がなす筒の下端から、周囲に広がるようにして、側壁210及び底部220と一体に成形されている。フランジ部221は、ファン取付開口部25周りの全周で、壁部21と対向するように設けられている。本実施形態では、フランジ部221が、側壁210の下端及び底部220の外周端に連なっている。つまり、フランジ部221は、側壁210の下端及び底部220の外周端とから、XY平面に沿って突出した部位と言える。また、フランジ部221が、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向している。フランジ部221は、壁部21の内面と対向する部分に相当する。
ハウジング200は、壁部21と対向するフランジ部221における位置に、ファン側溝部222、ファン側凸部223が設けられている。ファン側凸部223は、凸部に相当し、周辺よりも突出した部位である。一方、ファン側溝部222は、凹部に相当し、周辺よりも凹んだ部位である。
ファン側溝部222とファン側凸部223は、送風ファン100がケース20に取り付けられた状態で、ファン取付開口部25を取り囲むように環状に設けられている。さらに、ファン側凸部223は、ファン側溝部222を取り囲むように環状に設けられている。
なお、本実施形態では、側壁端部211の一部が突出した突出部230を含むハウジング200を採用している。これにより、金型を用いてハウジング200を樹脂成形する際に、金型からハウジング200を取り出しやすくすることができる。しかしながら、ハウジング200は、突出部230が設けられていなくてもよい。
電子装置10は、ケース20に送風ファン100が取り付けられた状態で、ケース側凸部26とファン側溝部222とが対向し、ファン側凸部223とケース側溝部27が対向するように構成されている。つまり、電子装置10は、ケース20に送風ファン100が取り付けられた状態で、フランジ部221と壁部21aとが互いにかみ合うように凹凸形状をなしている部位を備えている。しかしながら、電子装置10は、これに限定されず、ファン側凸部223とケース側溝部27、ファン側溝部222とケース側凸部26の少なくとも一方が設けられていればよい。
このように、送風ファン100は、少なくともフランジ部221においてケース20に固定されている。電子装置10は、ハウジング200とケース20との対向部分の一部により、防水シール部51が構成されている。防水シール部51は、少なくともフランジ部221とケース20との対向部分に、シール部材50が介在してなる。
本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211(突出部230)とケース20との対向部分にもシール部材50が介在してなる例を採用している。このため、電子装置10は、ケース側凸部26とファン側溝部222との対向部分、及びファン側凸部223とケース側溝部27との対向部分にシール部材50が設けられている。
なお、フランジ部221とケース20との対向部分は、フランジ部221とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。同様に、側壁端部211とケース20との対向部分は、側壁端部211とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。
防水シール部51は、ファン取付開口部25を取り囲むように環状に設けられている。ハウジング200及びケース20のうち、Z方向の平面視においてシール部材50と重なる部分が、防水シール部51を構成する部分である。本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211とケース20との対向部分が防水シール部51とされている。このように、電子装置10は、壁部21とハウジング200との対向部分にシール部材50が介在してなり、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する防水シール部51を有していると言える。
しかしながら、電子装置10は、これに限定されず、ファン取付開口部25の全周であり、且つ、フランジ部221とケース20との対向部分及び側壁210とケース20との対向部分の一部にシール部材50が設けられていればよい。電子装置10は、例えば、側壁端部211とケース20との対向部分にシール部材50が設けられていなくてもよい。この場合、電子装置10は、フランジ部221の先端から所定範囲の部分にシール部材50が設けられ、この部分が防水シール部51となる。
また、シール部材50としては、硬化前において液状の接着材を採用できる。送風ファン100は、防水シール部51にてケース20に固定されている。
なお、本実施形態では、壁部21とハウジング200との対向部分にシール部材50が介在してなり、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する防水シール部51を有する電子装置10を採用した。しかしながら、電子装置10は、これに限定されず、防水シール部51を有していない構成であっても、放熱性能を向上させることができる。なお、電子装置10が放熱性能を向上させることができる点に関しては、後程説明する。
端子140は、電気接続端子に相当し、ハウジング200から内部空間S1側に突出しており、回路基板60と電気的に接続されている。送風ファン100は、例えば、三つの端子140を備えている。端子140は、ハウジング200の底部220を貫通している。端子140は、ハウジング200のうち、防水シール部51により囲まれた部分から、内部空間S1に突出している。つまり、端子140は、底部220からZ方向であり、且つ、回路基板60側に突出していると言える。端子140は、一部がハウジング200内に配置されたファン用回路基板130と電気的に接続され、他の一部が回路基板60と電気的に接続されている。
このように、電子装置10は、端子140を介して、ファン用回路基板130、すなわち送風ファン100と、回路基板60とが電気的に接続されている。また、送風ファン100は、端子140が防水シール部51で囲まれた位置に設けられており、端子140を介して回路基板60に電気的に接続されている。
なお、金属製の端子140は、樹脂製のハウジング200にインサート成形されて、一体化されている。また、端子140は、例えば、回路基板60に設けられたスルーホール62に一部が配置されて、すなわちスルーホール62に挿入されて、はんだなどの導電性の接続部材63によって回路基板60の配線と電気的に接続されている。
ファン用回路基板130には、羽根部120を回転させるための駆動回路が形成されている。ファン用回路基板130には、軸部110におけるコイルが電気的に接続されている。送風ファン100は、回路基板60、端子140、及びファン用回路基板130を通じてコイルが通電されることにより、上記した回転子が正方向に回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120の所定の形状によりハウジング200内に空気の圧力差が発生し、図4に示すように、第1通気口201から吸入した空気が第2通気口212から排出される。なお、送風ファン100は、ロータを正方向とは反対の方向に回転させると、第2通気口212から吸入した空気が第1通気口201から排出される。
ファン用回路基板130は、ハウジング200内において、羽根部120よりも下方、すなわち回路基板60側に配置されている。ファン用回路基板130は、ハウジング200に固定されている。本実施形態では、ファン用回路基板130及び端子140の一部がポッティング部150内に埋設されて、ポッティング部150で封止されている。このため、ファン用回路基板130や端子140の一部は、ポッティング部150によって保護されている。つまり、送風ファン100は、ポッティング部150で覆われたファン用回路基板130や端子140に、水などの液体が付着することを抑制できる。言い換えると、送風ファン100は、ポッティング部150によって防水性が確保されている。
ポッティング部150は、ハウジング200内に、第2通気口212を閉塞せず、且つ、羽根部120などの回転子の動きを阻害しないように設けられている。本実施形態では、一例として、底部220から第2通気口212に達するまでの空間、すなわち、底部220上において側壁端部211で囲まれた空間にポッティング部150が形成された例を採用している。
なお、ファン用回路基板130は、端子140とは別の支持部によって支持されていてもよい。ファン用回路基板130は、底部220の内面に固定されてもよい。また、ファン用回路基板130の封止は、ポッティング部150に限定されない。例えば、端子140が実装されたファン用回路基板130は、ハウジング200にインサート成形され、底部220によって封止された構成であっても採用することができる。
ファンカバー300は、例えば、樹脂材料や、アルミニウムなどの金属を用いて形成されている。ファンカバー300は、製造の容易性や、電子装置10の重量の観点から樹脂材料で形成されたものが好ましい。
図1、図2、図3に示すように、ファンカバー300、カバー上壁310、カバー前壁320、カバー側壁330、貫通孔311を含んでいる。ファンカバー300は、通気口(ここでは第2通気口212)からの空気が供給される送風空間S2を壁部21との間に形成する。ファンカバー300は、図2に示すように、例えば、第2通気口212が送風空間S2に配置された状態で、壁部21の少なくとも一部を覆いつつ、ハウジング200とケース20とに取り付けられている。さらに、ファンカバー300は、送風ファン100による外面に沿った空気の流れが形成可能な状態で、壁部21の少なくとも一部を覆いつつ、ハウジング200とケース20とに取り付けられている。なお、本実施形態では、第2通気口212が送風空間S2に配置される例を採用している。しかしながら、ファンカバー300は、通気口の少なくとも一つが送風空間S2に配置されつつ、送風ファン100による外面に沿った空気の流れが形成可能であればよい。
ファンカバー300は、カバー上壁310が壁部21と間隔をあけて対向するように取り付けられている。また、ファンカバー300は、コネクタ取付部22に対してX方向に対向する位置にカバー前壁320が設けられており、第2フィン22cに沿う位置にカバー側壁330が設けられている。
カバー上壁310は、ファンカバー300がケース20に取り付けられた状態で、第1通気口201に対向する位置に、貫通孔311が設けられている。また、カバー上壁310は、ファンカバー300がケース20に取り付けられた状態で、二つの第2フィン22cとZ方向において対向する部位を含んでいる。
カバー前壁320は、ファンカバー300がケース20に取り付けられた状態で、壁部21とZ方向における対向する部位を含んでいる。また、カバー側壁330は、ファンカバー300がケース20に取り付けられた状態で、二つの第2フィン22cとX方向において対向する部位を含んでいる。
密閉部材400は、ファンカバー300がハウジング200に取り付けられている部分、及びファンカバー300がケース20に取り付けられている部分を密閉している。例えば、密閉部材400は、ハウジング200の開口端部とカバー上壁310との間に設けられ、両部材に密着している。詳述すると、カバー上壁310は、カバー上壁310における壁部21との対向面と、ハウジング200の開口端部の全周が対向しており、この対向面と開口端部とが密閉部材400を介して接続されている。言い換えると、ハウジング200とカバー上壁310は、第1通気口201と貫通孔311を囲うように密閉部材400で密閉されている。密閉部材400は、ハウジング200の開口端部とカバー上壁310との間に空気が通過するのを防止可能な材料であれば採用できる。
なお、貫通孔311は、カバー側通気口に相当する。また、ハウジング200の開口端部は、反対側端部に相当する。
また、密閉部材400は、二つの第2フィン22cにおけるZ方向側に露出している部位とカバー上壁310との間、及び二つの第2フィン22cにおけるX方向側に露出している部位とカバー側壁330との間の全域を密閉している。さらに、密閉部材400は、壁部21とカバー前壁320との間の全域を密着している。
電子装置10は、ファンカバー300とケース20との間に連通口A1が形成され、ファンカバー300に第1通気口201と対向する貫通孔311が設けられている。このため、電子装置10は、ケース20とファンカバー300とハウジング200との間に、第2通気口212から排出された空気が流れる送風空間S2が形成される。つまり、電子装置10は、ケース20とファンカバー300とハウジング200との間に空気の出口としての連通口A1を有する送風空間S2が形成される。また、送風空間S2は、ケース20とファンカバー300とハウジング200とで囲まれた空間と言える。さらに、送風空間S2は、第2通気口212、第1通気口201、及び貫通孔311を介して、外部空間と連通しているとも言える。
特に、本実施形態では、コネクタ取付部22の上端に沿う仮想平面上に配置される部位を含んだファンカバー300を採用している。具体的には、カバー上壁310が仮想平面上に配置されている。言い換えると、カバー上壁310は、コネクタ取付部22のXY平面に沿う上面に沿って設けられている。電子装置10は、壁部21の外面からカバー上壁310までの間隔と、壁部21の外面からコネクタ取付部22のXY平面に沿う上面との間隔が等しいとも言える。
これによって、電子装置10は、ファンカバー300がコネクタ取付部22よりもZ方向に突出することを抑制できる。このため、電子装置10は、Z方向の体格が大きくなることを抑制しつつ、送風空間S2の容積を大きくすることができる。したがって、電子装置10は、送風空間S2を流れる空気の量を増大させることができるため放熱効率を向上できる。
次に、上記した電子装置10の組み付け手順の一例について説明する。
先ず、ケース20、カバー30、回路基板60、送風ファン100、及びファンカバー300をそれぞれ準備する。そして、送風ファン100を回路基板60に実装する。本実施形態では、挿入実装型の端子140を採用しており、回路基板60のスルーホール62に端子140を挿入し、回路基板60と端子140とを接続部材63で電気的に接続する。このようにして、回路基板60と送風ファン100を一体化させる。なお、接続部材63としてはんだを採用する場合、回路基板60と端子140とをはんだ付けするとも言える。
なお、コネクタ40については、送風ファン100と同じタイミングで回路基板60に実装してもよいし、送風ファン100とは別のタイミングで実装してもよい。本実施形態では、挿入実装される回路素子61、コネクタ40、及び送風ファン100を、同じタイミングではんだ付けする。
次いで、回路基板60をケース20に取り付ける。例えば、ケース20は、壁部21の内面側に図示しない台座を有しており、回路基板60を台座に配置してねじ固定する。
回路基板60を取り付ける際、送風ファン100もケース20に取り付ける。回路基板60をケース20の台座に配置する前に、フランジ部221や側壁端部211にシール部材50を塗布する。また、ケース20の周縁部のうち、コネクタ40のハウジングが対向する部分にも、図示しないシール部材を塗布する。なお、シール部材50は、ケース20におけるフランジ部221や側壁端部211と対向する部位に塗布してもよい。
そして、ファン取付開口部25に対して送風ファン100を位置決めした状態で、回路基板60を台座に配置する。これにより、ケース20とフランジ部221や側壁端部211との間にシール部材50が形成される。シール部材50は、ケース20、フランジ部221、側壁端部211に接触する。そして、ケース20への回路基板60の固定により、防水シール部51が形成される。
次いで、ケース20の周縁部及びコネクタ40におけるカバー30との対向部分にシール部材を塗布した後、ケース20にカバー30を組み付ける。その後、ケース20に対して、密閉部材400を介してファンカバー300を組み付ける。以上により、上記した電子装置10を得ることができる。
このように、電子装置10は、ファンカバー300を備えて送風空間S2を形成しているため、送風ファン100によって形成された空気の流れを効率的に壁部21の外面に沿わせることができる。さらに、電子装置10は、ファンカバー300がハウジング200とケース20とに密閉部材400を介して取り付けられているため、送風ファン100によって形成された空気の流れが外部空間に発散することを抑制でき、放熱性能を向上させることができる。
電子装置10は、高背収容部22aを有したケース20を採用している。電子装置10は、第2通気口212に対向する位置に高背収容部22aが設けられていた場合、第2通気口212から排出される空気が高背収容部22aで遮られて、高背収容部22aの裏側に流れにくい。なお、高背収容部22aの裏側とは、高背収容部22aにおける第2通気口212と対向している側の反対側である。
しかしながら、電子装置10は、ファンカバー300が取り付けられることで、送風空間S2が形成されている。このため、電子装置10は、第2通気口212に対向する位置に高背収容部22aが設けられていた場合であっても高背収容部22aの裏側に空気が流れやすくすることができる。
さらに、送風ファン100は、回転軸がXY平面に沿う状態で壁部21に配置することも考えられる。しかしながら、本実施形態では、回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で壁部に配置している。このため、電子装置10は、回転軸がXY平面に沿う状態で壁部21に配置する場合よりも、Z方向の体格を小さくすることができる。また、ファンカバー300は、ハウジング200の反対側端部に密閉部材400を介して取り付けられている。つまり、電子装置10は、コネクタ取付部22のXY平面に沿う上面に沿うようにカバー上壁310が設けられている。このため、電子装置10は、電子装置10のZ方向の体格を大きくすることなく、送風空間S2の容積を大きくすることができる。
特に本実施形態では、送風ファン100の一部をファン取付開口部25内に配置している。このため、電子装置10は、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。さらには、電子装置10は、送風ファン100の一部を内部空間S1内に配置しているため、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。
また、電子装置10では、防水シール部51で囲まれた位置から内部空間S1に突出した端子140を介して送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続している。このため、電子装置10は、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを電気的に接続する必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。また、電子装置10は、防水筐体の外部に設けられたワイヤハーネスなどを介して回路基板60と送風ファン100とを接続したり、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを直接電気的に接続したりする必要がない。よって、電子装置10は、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。これによって、電子装置10は、構成を簡素化でき、体格を小型化できる。さらに、電子装置10は、送風ファン100を回路基板60に電気的に接続する際の工数を低減できる。
また、送風ファン100は、強制的に空気の流れを作ってケース20を冷却している。このため、送風ファン100を取り付けた電子装置10は、放熱フィンのみを取り付けた電子装置よりも放熱性能が優れていると言える。つまり、防水筐体の占める面積が同じ場合、送風ファン100を取り付けた電子装置10は、放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置よりも放熱性能が優れている。逆に、放熱性能が同じ電子装置を比較した場合、送風ファン100を取り付けた電子装置10の防水筐体が必要とする面積は,放熱フィンのみを取り付けた電子装置の防水筐体が占める面積よりも小さい。よって、電子装置10は、送風ファン100と同様の冷却性能を確保するために放熱フィンを設ける場合よりも、体格を小型化できる。
また、防水筐体や回路基板を冷却するには、エンジン冷却水などを防水筐体の周囲に配置して、エンジン冷却水で冷却することも考えられる。さらに、防水筐体や回路基板を冷却するには、ラジエータファンからの風があたる位置に電子装置を配置して、ラジエータファンからの風によって冷却することも考えられる。
しかしながら、電子装置10は、上記のようにケース20に送風ファン100を取り付けて、送風ファン100で冷却を行う。このため、電子装置10は、エンジン冷却水を防水筐体の周囲に配置したり、ラジエータファンからの風があたる位置に電子装置10を配置したりする必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。
また、電子装置10は、壁部21の内面にハウジング200のフランジ部221が対向するように、送風ファン100とケース20とが組み付けられている。このため、電子装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装してから、ケース20を送風ファン100に組み付けることができる。これによって、電子装置10は、送風ファン100から露出している端子140を回路基板60のスルーホール62に容易に挿入することができる。また、電子装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装される電子部品の一つとして取り扱うことができ、組み付けを簡素化できる。
電子装置10は、回路基板60が防水筐体に収容されているため、回路基板60から発せられた熱が防水筐体に放熱される。そして、電子装置10は、送風ファン100によって外面に沿った空気の流れが形成されるため、防水筐体の放熱を促進することができる。電子装置10は、送風ファン100によって作り出された風によって回路基板60を冷却するため、放熱フィンによって防水筐体や回路基板60を冷却する構成よりも、防水筐体や回路基板60を急冷することができる。
つまり、本実施形態では、羽根部120の回転軸が、回路基板60の板厚方向であるZ方向と略一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。そして、ハウジング200には、羽根部120の回転にともなって、ケース20の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において互いに異なる位置に第1通気口201及び第2通気口212が形成されている。このため、送風ファン100により、ケース20、ひいては回路基板60を効率よく冷却することができる。
特に本実施形態では、第1通気口201が吸込口、第2通気口212が排出口とされる。これによれば、第2通気口212が吸込口、第1通気口201が排出口とされる構成に較べて、同じ回転数でも、ケース20の外面上の流速を高めることができる。すなわち、ケース20、ひいては回路基板60の温度を低くすることができる。この点については、シミュレーションにより確認されている。
上記したように、ケースの底壁に貫通孔を設けない構成では、送風ユニットにコネクタを設け、防水筐体の外で電気的な接続を行うこととなる。このため、ケースの外面上に、コネクタに接続されたハーネスが配置されることとなり、冷却の妨げとなる。すなわち、電子部品である発熱素子の配置も制限される。これに対し、本実施形態では、送風ファン100の端子140が回路基板60に接続されている。したがって、上記したコネクタやハーネスの妨げが無いため、回路素子61の配置自由度を向上することができる。
このように、コネクタやハーネスの妨げが無いため、本実施形態では、ハウジング200の4つの側壁210のすべてに、第2通気口212が形成されている。これにより、第1通気口201から吸入した空気が、ケース20の外面上を四方に広がる。したがって、ケース20を効果的に冷却することができる。また、電子装置10は、防水シール部51を有しているため、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続しつつ、防水筐体の防水性を確保することができる。
なお、本実施形態では、シール部材50として、硬化前において液状の接着材を採用している。しかしながら、シール部材50は、これに限定されず、弾性変形によってファン取付開口部25の周りを水密に封止する部材であっても採用できる。このシール部材50は、Oリングや環状のゴムシートなどであり、ファン取付開口部25を囲う位置に設けられ、ハウジング200とケース20とで挟み込まれて弾性変形することで、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する。この場合、電子装置10は、ケース20に対して送風ファン100を固定する固定機構を備えることが好ましい。また、この点は、他の実施形態でも同様である。
また、本実施形態では、ハウジング200の一部と壁部21の内面とを対向させた状態で、送風ファン100がケース20に取り付けられている例を採用した。しかしながら、電子装置10は、これに限定されず、ハウジング200と壁部21の外面とを対向させた状態で、送風ファン100がケース20に取り付けられていてもよい。
さらに、本実施形態では、ファン側溝部222及びファン側凸部223が設けられたハウジング200と、ケース側凸部26及びケース側溝部27が設けられたケース20を採用した。しかしながら、電子装置10は、これに限定されず、これらの溝部や凸部が設けられていなくてもよい。
また、ファンカバー300は、送風ファン100に飛び石などの異物が衝突することを抑制するために、貫通孔311の形状を迷路形状などのようにしてもよい。つまり、ファンカバー300は、送風ファン100の対向領域に、Z方向に直線的に貫通する穴が設けられておらず、Z方向に非直線的に貫通する貫通孔311が設けられていると言える。また、ファンカバー300は、送風ファン100をZ方向からファンカバー300を介してみた場合に、羽根部120が見えないような貫通孔311が設けられていると言える。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2〜第5実施形態に関して説明する。上記実施形態及び第2〜第5実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(第2実施形態)
図5に基づき、第2実施形態に係る電子装置10aの概略構成について説明する。ここでは、電子装置10aにおける電子装置10と異なる点を中心に説明する。電子装置10aは、ファンカバー300aの構成、及びファンカバー300aの取付位置が電子装置10と異なる。電子装置10aにおいては、電子装置10と同様の構成要素に同じ符号を付与する。よって、同じ符号の構成要素に関しては、上記実施形態を参照して適用できる。
ファンカバー300aは、カバー上壁310aに、ハウジング200を囲う貫通孔311aが設けられている。ファンカバー300aは、貫通孔311aにハウジング200が挿入された状態で、側壁210との間に密閉部材400を介して取り付けられている。このため、電子装置10aは、ケース20とファンカバー300aとの間隔が電子装置10よりも近い。
このように構成された電子装置10aは、電子装置10と同様の効果を奏することができる。また、電子装置10aは、第1通気口201の対向領域に貫通孔311が設けられていないため、送風ファン100による空気の流れを阻害することを抑制できる。このため、電子装置10aは、電子装置10よりも効率的に空気を流すことができる。
(第3実施形態)
図6、図7に基づき、第3実施形態に係る電子装置10bの概略構成について説明する。ここでは、電子装置10bにおける電子装置10と異なる点を中心に説明する。電子装置10bは、ファンカバー300bの構成が電子装置10と異なる。電子装置10bにおいては、電子装置10と同様の構成要素に同じ符号を付与する。よって、同じ符号の構成要素に関しては、上記実施形態を参照して適用できる。
ファンカバー300bは、壁部21側に突出し、送風空間S2において、送風空間S2に配置された第2通気口212の開口方向に沿って設けられた複数の突出壁部340を含んでいる。つまり、ファンカバー300bは、ケース20に取り付けられた状態で、突出壁部340が周辺よりも壁部21側に突出している。また、ファンカバー300は、第2通気口212の開口方向に沿って設けられた突出壁部340が、回路基板60の板厚方向に直交する方向の複数箇所に設けられていると言える。例えば、突出壁部340は、樹脂成形などによって、ファンカバー300bのその他の部分と一体的に設けられている。また、突出壁部340は、平板形状をなしている。
本実施形態では、一例として、X方向に延びる三つの突出壁部340と、Y方向に延びる三つの突出壁部340が設けられたファンカバー300bを採用している。X方向に延びる三つの突出壁部340は、Y方向に並んで設けられている。一方、Y方向に延びる三つの突出壁部340は、X方向に並んで設けられている。なお、ファンカバー300bは、第2通気口212を通る空気の流路を形成する複数の突出壁部340を備えていると言える。
このように構成された電子装置10bは、電子装置10と同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置10bは、送風空間S2に配置された排出口としての第2通気口212から排出される空気の流路を形成できる。これによって、電子装置10bは、第2通気口212から排出される空気を周辺に供給しやすくできる。
(第4実施形態)
図8、図9に基づき、第4実施形態に係る電子装置10cの概略構成について説明する。ここでは、電子装置10cにおける電子装置10bと異なる点を中心に説明する。電子装置10cは、ファンカバー300cの構成が電子装置10bと異なる。電子装置10cにおいては、電子装置10bと同様の構成要素に同じ符号を付与する。よって、同じ符号の構成要素に関しては、上記実施形態を参照して適用できる。
ファンカバー300cは、ファンカバー300bと同様に、壁部21側に突出し、送風空間S2において、送風空間S2に配置された第2通気口212の開口方向に沿って設けられた複数の突出壁部350を含んでいる。さらに、突出壁部350は、第1フィン22bに沿って配置されている。例えば、突出壁部350は、Z方向における平面視において、直線状のものと、L字状のものを含んでいる。
突出壁部350は、第2通気口212の開口方向に延びる部位と、第1フィン22bに沿う部位とを含んでいる。よって、突出壁部350は、Y方向の位置が第1フィン22bと一致した部分を含んでいる。また、ファンカバー300cは、突出壁部350の端部が、第1フィン22bの端部と対向した形状をなしていると言える。しかしながら、突出壁部350は、これに限定されず、第1フィン22bの端部と、突出壁部350の端部とが対向していなくてもよい。
電子装置10cは、第1フィン22bと突出壁部350によって、第2通気口212から連通口A1に達する空気流路が形成されている。つまり、電子装置10cは、二つの突出壁部350で挟まれた領域と、この領域と連通した二つの第1フィン22bで挟まれ領域によって、第2通気口212から連通口A1に連通した空気流路が形成されている。そして、電子装置10cは、このような空気流路が複数設けられている。
このように構成された電子装置10cは、電子装置10bと同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置10cは、第2通気口212から排出された空気を効率的に第1フィン22bに供給できる。よって、電子装置10cは、送風ファン100と第1フィン22bの両方を有効活用することができ、より一層放熱性を高めることができる。また、電子装置10cは、送風ファン100によって形成された空気の流れを第2通気口212と連通口A1との間で遮ることを抑制できる。
(第5実施形態)
図10、図11に基づき、第5実施形態に係る電子装置10dの概略構成について説明する。ここでは、電子装置10dにおける電子装置10と異なる点を中心に説明する。電子装置10dは、ファンカバー300dの構成が電子装置10と異なる。電子装置10dにおいては、電子装置10と同様の構成要素に同じ符号を付与する。よって、同じ符号の構成要素に関しては、上記実施形態を参照して適用できる。
ファンカバー300dは、送風ファン100が取り付けられたケース20からカバー30に対向する位置にわたって設けられており、ケース20とカバー30との間に連続した送風空間S2を形成している。ファンカバー300dは、カバー上壁310d、カバー前壁320d、カバー側壁330dに加えて、カバー裏壁360を含んでいる。これらは、一体的に設けられている。なお、カバー上壁310dは、カバー上壁310と同様である。
カバー前壁320dは、ケース20の側壁とカバー30の側壁に対向する部位である。ここでのケース20の側壁は、X方向における、ケース20のコネクタ40が取り付けられた部位の反対側の壁部である。一方、カバー30の側壁は、X方向における、カバー30のコネクタ40が取り付けられた部位の反対側の壁部である。カバー前壁320dは、ケース20の側壁とカバー30の側壁と間隔をあけて対向配置されている。
カバー裏壁360は、カバー30のXY平面に沿う面と間隔をあけて対向配置されている。なお、カバー裏壁360は、放熱フィン31のZ方向の先端部と密閉部材400を介して接続されていてもよい。
カバー側壁330dは、カバー上壁310dからケース20側に突出した部位、及びカバー裏壁360からカバー30側に突出した部位であり、ケース20及びカバー30と密閉部材400を介して接続されている。カバー側壁330dは、カバー側壁330と同様に、二つの第2フィン22cにおけるX方向側に露出している部位との間の全域が密閉部材400を介して接続されている。さらに、カバー側壁330dは、カバー30における放熱フィン31が形成されている面との間の全域が密閉部材400を介して接続されている。また、カバー裏壁360とカバー30との対向領域は、カバー側壁330dで挟まれている。そして、カバー側壁330dは、この対向領域を挟み込む位置において、カバー30との間の全域が密閉部材400を介して接続されている。
このように、ファンカバー300dは、防水筐体の連続する三つの面に対向している。よって、電子装置10dは、カバー30とファンカバー300dとの間にも、送風ファン100よって形成された空気の流れを形成することができる。つまり、電子装置10dは、ケース20とファンカバー300dとの間だけでなく、カバー30とファンカバー300dとの間にも送風空間S2が形成されている。そして、ケース20とファンカバー300dとの間の送風空間S2は、カバー30とファンカバー300dとの間の送風空間S2と連続的に設けられている。
よって、電子装置10dは、ケース20に取り付けられた送風ファン100を用いて、カバー30も冷却することができる。つまり、電子装置10dは、送風ファン100を有効活用することができる。なお、電子装置10dは、電子装置10と同様の効果も奏することができる。